以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。本開示では、レンズ測定装置の一例として、レンズLEの光学特性を測定するために用いるレンズメータについて説明する。なお、本開示におけるレンズ測定装置は、レンズの光学特性を測定するための測定光学系と、レンズに施された隠しマークを撮像するための撮像光学系と、を有するものであればよい。つまり、レンズ測定装置としては、光束をレンズに投光し、レンズ及び指標板を通過した光束を撮像素子で撮像することによって、レンズの光学特性を測定する測定光学系を備え、かつ、光束をレンズに投光し、レンズを通過して反射部材に反射された光束を撮像素子で撮像することによって、レンズに施された隠しマークを撮像する撮像光学系を備える、レンズメータであればよい。また、レンズ測定装置としては、上記の測定光学系及び撮像光学系を備えた、レンズLEの加工時に装着するカップの取付け位置を決定するために用いるカップ取付け装置であってもよい。
なお、本開示では、レンズメータ1に向かって、奥行き方向(検者からみた前後方向)をZ方向、奥行き方向に垂直な平面上の水平方向(検者からみた左右方向)をX方向、奥行き方向に垂直な平面上の鉛直方向(検者からみた上下方向)をY方向として説明する。また、本開示における略平行状態とは、完全な平行状態を含む。また、本開示における略同一とは、完全に同一な状態を含む。
<概要>
本実施形態におけるレンズ測定装置(例えば、レンズメータ1)は、レンズの光学特性を測定するための測定光学系(例えば、測定光学系10)を用いてレンズの光学特性を測定する。例えば、レンズ測定装置は、第1撮像光学系(例えば、第1撮像光学系20)と、第2撮像光学系(第2撮像光学系30)を備える。
例えば、第1撮像光学系は、第1隠しマーク及び第2隠しマークが付与されたレンズの一方の隠しマークを撮像する。例えば、第2撮像光学系は、第1撮像光学系で撮像された隠しマークとは異なる他方の隠しマークを撮像する。
例えば、第1撮像光学系のレンズ上での第1撮像領域(例えば、第1撮像領域A2)と、第2撮像光学系のレンズ上での第2撮像領域(例えば、第2撮像領域A3)と、が異なる撮像領域であってもよい。例えば、測定光学系は、第1撮像領域と第2撮像領域との間の中心領域(例えば、中心領域B)に測定光学系によるレンズ上での測定領域(例えば、測定領域A1)を備えてもよい。
例えば、本実施形態において、累進屈折力レンズ(累進レンズ)を測定する際に、隠しマークに位置合わせした際に、測定光学系の測定領域に遠用部が配置されるため、レンズを容易に遠用部の測定を行うことができる。また、例えば、累進レンズを測定する際に、隠しマークに位置合わせした際に、常時同一の位置で遠用部の測定を行うことができるため、同一のレンズで遠用部の測定を再測定した場合であっても、再現性のよい遠用部の測定結果を取得することができる。
例えば、第1撮像領域と第2撮像領域の配置は、第1撮像領域の第1撮像中心位置(例えば、中心C2)と、第2撮像領域における第2撮像中心位置(例えば、中心C3)と、が測定領域における測定中心位置(中心C1)を中心として対称となる位置に配置されていてもよい。例えば、累進レンズに施された隠しマークを撮像する第1撮像光学系における第1撮像領域の中心位置と、第2撮像光学系における第2撮像領域の中心位置が、光学特性を測定する測定光学系における測定領域の中心位置から対称に配置されていることによって、累進レンズを測定する際に、累進レンズの幾何学中心位置から左右の一定の位置に形成される隠しマークを容易に位置合わせすることができる。
例えば、測定中心位置から第1撮像中心位置までの水平方向における距離及び測定領域中心位置から前記第2撮像中心位置までの水平方向における距離は、レンズの遠用ポイントから隠しマークの中心位置までの水平方向における距離とそれぞれ略同一であるようにしてもよい。例えば、測定光学系における測定領域の中心位置から、第1撮像光学系における第1撮像領域の中心位置までの水平方向における距離が、累進レンズの遠用度数測定ポイントから隠しマークまでの水平方向における距離と略同一であることによって、累進レンズを測定する際に、隠しマークを容易に位置合わせすることができる。また、例えば、測定光学系における測定領域の中心位置から、第2撮像光学系における第2撮像領域の中心位置までの水平方向における距離が、累進レンズの遠用度数測定ポイントから隠しマークまでの水平方向における距離と略同一であることによって、累進レンズを測定する際に、隠しマークを容易に位置合わせすることができる。
例えば、測定光学系は、第1撮像中心位置と第2撮像中心位置を結んだ直線の中心を通る垂線上において垂直方向に所定距離ずれた領域に測定領域を備えるように配置されてもよい。例えば、測定光学系における測定領域が、第1撮像光学系における第1撮像領域の中心位置と、第2撮像光学系における第2撮像領域の中心位置を結んだ直線の中心を通る垂線上において、垂直方向に所定距離ずれて位置することによって、累進レンズの隠しマークを位置合わせした際、測定光学系の測定領域を累進レンズの遠用部に容易に配置することができる。
例えば、所定の距離は、レンズの遠用ポイントからレンズの幾何学中心までの垂直方向における距離と略同一の距離であってもよい。例えば、第1撮像領域の中心位置と、第2撮像領域の中心位置を結んだ直線の中心から、測定光学系の測定領域までの距離が、累進レンズの遠用度数測定ポイントから幾何学中心位置までの垂直方向における距離と略同一であることによって、累進レンズの隠しマークを位置合わせした際、測定光学系の測定領域を累進レンズの遠用度数測定ポイントにより容易に配置することができる。
例えば、第1撮像光学系は、第1光源(例えば、光源11)と、第1反射部材(例えば、第1反射部材27)と、第1撮像素子(例えば、第1撮像素子26)と、を有してもよい。この場合、例えば、第1撮像光学系は、第1光源から出射された光を所定の位置の配置されたレンズの表面側から照射し、レンズを通った光を第1反射部材で反射して再びレンズを通過させ、再びレンズを通過した光を第1撮像素子によって受光することで前記第1隠しマークを撮像してもよい。
例えば、第2撮像光学系は、第2光源(例えば、光源11)と、第2反射部材(例えば、第2反射部材37)と、第2撮像素子(例えば、第2撮像素子36)と、を有し、第2光源から出射された光を所定の位置の配置されたレンズの表面側から照射し、レンズを通った光を第2反射部材で反射して再びレンズを通過させ、再びレンズを通過した光を第2撮像素子によって受光することで前記第2隠しマークを撮像するようにしてもよい。例えば、第1反射部材によって第1光源が反射され、第1撮像素子が累進レンズの所定の位置を撮像することによって、第1隠しマークをより検出しやすくすることができる。また、例えば、第2反射部材によって第2光源が反射され、第2撮像素子が累進レンズの所定の位置を撮像することによって、第2隠しマークをより検出しやすくすることができる。
例えば、第1撮像光学系と、第2撮像光学系と、は、少なくとも一部の光学部材が兼用される光学系であってもよい。この場合、例えば、少なくとも、第1撮像素子と第2撮像素子とが別途それぞれ設けられる構成であってもよい。また、例えば、第1撮像光学系と、第2撮像光学系と、は、別途それぞれ設けられる構成であってもよい。
例えば、測定光学系は、ノーズピース(例えば、ノーズピース4)上に配置されたレンズの光学特性を測定するための測定光学系であって、ノーズピース内を測定光学系の光軸が通過するようにしてもよい。この場合、例えば、第1撮像領域及び第2撮像領域は、ノーズピースの外部に配置されていてもよい。例えば、第1撮像光学系における第1撮像領域と、第2撮像光学系における第2撮像領域が、ノーズピースの外部に配置されていることによって、累進レンズの隠しマークを撮像するための撮像光学系に妨げられることなく、測定光学系によってレンズの光学特性を測定することができる。
なお、例えば、レンズ測定装置は、印点機構(例えば、印点機構9)を備えてもよい。例えば、印点機構は、第1印点部材(例えば、第1印点部材85a)と、第2印点部材(例えば、第2印点部材85b)と、第3印点部材(例えば、第3印点部材85c)と、を備えてもよい。例えば、第1印点部材は、第1隠しマーク位置又は第2隠しマークの一方を規定する第1の印点を施してもよい。例えば、第2印点部材は、第1隠しマーク位置又は第2隠しマークの他方を規定する第2の印点を施してもよい。例えば、第3印点部材は、第3の印点を施してもよい。
例えば、第1印点部材の第1印点軸(例えば、第1印点軸S1)は、第1の印点を施す際に第1撮像中心位置と交わってもよい。例えば、第2印点部材の第2印点軸(例えば、第1印点軸S2)は、第2の印点を施す際に第2撮像中心位置と交わってもよい。例えば、第3印点部材の第3印点軸(例えば、第3印点軸S3)は、第3の印点を施す際に測定中心位置と交わってもよい。例えば、第1撮像領域の中心位置に交わる第1の印点と、第2撮像領域の中心位置に交わる第2の印点と、測定領域の中心位置に交わる第3の印点と、を施すことが可能な印点部材であることによって、累進レンズの第1隠しマークと、第2隠しマーク上と、遠用度数測定ポイントに、容易に印点を施すことができる。
<実施例>
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。図1はレンズメータ1の外観略図である。例えば、レンズメータ1は、ディスプレイ(モニタ)2、入力用スイッチ3、ノーズピース4、レンズ押え5、レンズテーブル6、レバー7、READスイッチ8、印点機構9等を備える。なお、本実施例におけるレンズメータ1の構成はこれに限定されない。本実施例におけるレンズメータ1は、少なくとも、後述する測定光学系10と、第1撮像光学系20と、第2撮像光学系30を備えていればよい。
例えば、ディスプレイ2には、LCD(Liquid Crystal Display)を用いる。なお、本実施例においては、ディスプレイ2としてLCDを用いる構成を例に挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、ディスプレイ2としては、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイを用いる構成でもよい。
例えば、ディスプレイ2はタッチパネルである。すなわち、本実施例においては、ディスプレイ2が操作部(コントローラ)として機能する。もちろん、ディスプレイ2はタッチパネル式でなくともよい。また、例えば、ディスプレイ2は、複数のディスプレイを併用する構成でもよい。
例えば、ディスプレイ2は、入力された操作指示に応じた信号を、後述する制御部70(図9参照)に出力する。もちろん、ディスプレイ2と操作部は別に設けられた構成でもよい。例えば、操作部としては、マウス、ジョイスティック、キーボード、携帯端末等の少なくともいずれかを用いる構成が挙げられる。
例えば、ディスプレイ2には各種の情報が表示される。例えば、各種の情報とは、レンズの光学特性(例えば、球面度数S、柱面度数C、乱視軸角度A、プリズム量Δ等)等である。また、例えば、レンズメータ1を用いて累進レンズの光学特性を測定した場合には、累進レンズに施された隠しマーク(すなわち、後述する第1隠しマークM1及び第2隠しマークM2)等が表示される。
例えば、入力用スイッチ3は、レンズメータ1に各種の処理を実行させるための信号を入力する際に使用する。例えば、各種の処理とは、測定モードの切り換え等である。例えば、本実施例では、入力用スイッチ3がディスプレイ2の画面上において電子的に表示される。すなわち、入力用スイッチ3は、ディスプレイ2の画面をタッチすることによって操作できる。なお、入力用スイッチ3の構成については本実施例に限定されない。例えば、入力用スイッチ3は、ディスプレイカバー2a等に設置してもよい。
例えば、ノーズピース4は、レンズを載置するための載置台である。例えば、レンズ押え5は、レンズを上方から押さえて安定に保持するためのものである。例えば、レンズテーブル6は、眼鏡フレームに枠入れされたレンズの光学特性を測定する際に用いる。例えば、レンズテーブル6には、眼鏡フレームにおける左右リムの下端を当接させる。例えば、レバー7は、レンズテーブル7を前後方向(Z方向)に移動させるためのものである。例えば、READスイッチ8は、レンズの光学特性を読み取る際に使用する。例えば、印点機構9は、レンズに印点を施すためのものである。なお、印点機構9については後ほど詳しく説明する。
例えば、本実施例におけるレンズメータ1は、後述する累進レンズの隠しマークM(図2参照)を検出することができる。また、例えば、本実施例におけるレンズメータ1は、後述する累進レンズの遠用度数測定ポイント100(図2参照)における光学特性を容易に測定することができる。そこで、まずは累進レンズの特徴について説明する。なお、本実施例におけるレンズメータ1は、累進レンズ以外のレンズについて光学特性を測定することも可能である。
図2は未加工の累進レンズLEを表面側(凸面側)から示す一例の図である。例えば、累進レンズLEには、遠用度数測定ポイント100、遠用アイポイント101、近用度数測定ポイント102、近用アイポイント103等が設定されている。これらの設定位置及び設定領域は、累進レンズLEの表面にプリントマークとして印刷されている。また、例えば、累進レンズLEには、隠しマークMが施されている。
例えば、累進レンズLEの遠用度数は、遠用度数測定ポイント100において測定される。例えば、遠用度数測定ポイント100の中心位置Cは、遠用アイポイント101から上方向に所定の距離(例えば、4mm)だけ離れて位置している。例えば、遠用アイポイント101は、眼鏡装用者の瞳孔位置を一致させるために用いる。すなわち、眼鏡装用者が正面視をした際の視線が、遠用アイポイント101を通過するように処方される。また、例えば、遠用アイポイント101は、累進レンズLEにおける幾何学中心位置O(言い換えると、累進レンズLEの中心位置O)から上方向に所定の距離(例えば、2mm)だけ離れて位置している。例えば、累進レンズLEの近用度数は、近用度数測定ポイント102において測定される。例えば、近用アイポイント103は、累進レンズLEにおける幾何学中心位置Oから下方向に所定の距離だけ離れて位置している。例えば、近用アイポイント103と遠用アイポイント101間の左右方向(水平方向)における距離は、累進レンズの近用部における内寄せ量を示している。また、近用アイポイント103と遠用アイポイント101間の上下方向(垂直方向)における距離は、累進レンズの累進帯長を示している。
例えば、隠しマークMとしては、累進レンズLEの種類、加入度数、屈折率、累進帯長等を表す図示なき記号や数値が表示される。例えば、隠しマークMは、第1隠しマークM1と、第2隠しマークM2と、からなる。例えば、第1隠しマークM1及び第2隠しマークM2は、累進レンズLEの幾何学中心位置Oに対して左右方向(水平方向)に施されている。例えば、本実施例において、第1隠しマークM1は、累進レンズLEの幾何学中心位置Oから右方向に17mm離れた位置に形成される。また、例えば、本実施例において、第2隠しマークM2は、累進レンズLEの幾何学中心位置Oから左方向に17mm離れた位置に形成される。すなわち、本実施例において、第1隠しマークM1及び第2隠しマークM2は、累進レンズLEの幾何学中心位置Oを中心として左右対称に形成されている。
上記のように、累進レンズLEは、幾何学中心位置Oから上方向及び左右方向にそれぞれ所定の距離だけ離れた位置に、遠用アイポイント101及び隠しマークMが位置する。従って、累進レンズLEに施された隠しマークMの位置を基準とすれば、幾何学中心位置Oや遠用アイポイント101等の位置を特定することができる。
図3はレンズメータ1の光学系を示す図である。例えば、本実施例における光学系は、測定光学系10と、第1撮像光学系20と、第2撮像光学系30と、を備える。例えば、本実施例におけるレンズメータ1は、第1撮像光学系20と、第2撮像光学系30と、の2つの撮像光学系を備えることによって、レンズ上の異なる領域をそれぞれ撮像することができる。
例えば、測定光学系10は、レンズLEの光学特性を測定するための光学系である。例えば、第1撮像光学系20は、第1隠しマークM1及び第2隠しマークM2が施された累進レンズLEにおいて、一方の隠しマーク(例えば、第1隠しマークM1)を撮像するための光学系である。例えば、第2撮像光学系30は、第1隠しマークM1及び第2隠しマークM2が施された累進レンズLEにおいて、他方の隠しマーク(例えば、第2隠しマークM2)を撮像するための光学系である。なお、第1撮像光学系20及び第2撮像光学系30は、第1隠しマークM1と第2隠しマークM2のどちらを撮像する構成であってもよい。
例えば、測定光学系10は、光源11、コリメーティングレンズ12、ハーフミラー13、ハーフミラー14、指標板15、撮像素子16、絞り18等を備える。例えば、測定光学系10における光軸L1は、ノーズピースの開口4aの平面に対して垂直な関係となる。例えば、光軸L1は、ノーズピースの開口4aの中心を通過する。例えば、ノーズピースの開口4aは、直径8mmの円形である。例えば、光源11は、LED(Light Emitting Diode)で構成される。例えば、光源11は、光軸L1上に配置される。例えば、指標板15は、後述する測定指標40(図6参照)を有する。例えば、指標板15は、レンズメータ本体1の保持部材17によって保持される。例えば、撮像素子16は、CCD(Charge Coupled Device)を用いて構成される。
例えば、測定光学系10において、光軸L1上に配置された光源11から照射された光束は、絞り18とコリメーティングレンズ12を介して平行光束となり、ハーフミラー13及びハーフミラー14を通過してレンズLEへと投光される。さらに、レンズLEを透過した光束は、ノーズピースの開口4aと、指標板15が有する測定指標40(図6参照)と、を通過する。例えば、撮像素子16は、測定光束が測定指標40を通過することによって形成された指標パターン像を撮像する。
例えば、測定光学系10においては、光源11から照射された光束が、ハーフミラー13によって、ハーフミラー14に向かう光束と、ハーフミラー23に向かう光束と、に分岐される。ハーフミラー23に向かった光束は、ハーフミラー23によって反射されて、後述する第1撮像光学系20の光軸L2に一致する。また、光源11から照射された光束は、ハーフミラー14によって、ノーズピースの開口4aに向かう光束と、後述するハーフミラー34に向かう光束と、に分岐される。ハーフミラー34に向かった光束は、ハーフミラー34に反射されて、後述する第2撮像光学系30の光軸L3に一致する。
例えば、第1撮像光学系20は、第1反射部材27、ハーフミラー24、ハーフミラー23、コンデンサレンズ22、絞り25、撮像素子26、等を備える。例えば、第1撮像光学系20における光軸L2は、累進レンズLEに施された一方の隠しマーク(例えば、第1隠しマークM1)位置に対して垂直な関係となるように配置される。例えば、第1撮像素子26は、CCDを用いて構成される。例えば、第1反射部材27は、ノーズピース4に載置したレンズLEの表面側から入射した光束を反射する。
例えば、第1撮像光学系20において、光源11から照射された光束は、絞り18とコリメーティングレンズ12を介して平行光束となり、ハーフミラー13及びハーフミラー23にそれぞれ反射された後、光軸L2に一致する。この光束は、ハーフミラー24を介してレンズLEに投光されると、第1反射部材27によって反射され、レンズLE、ハーフミラー24、ハーフミラー23を通過し、コンデンサレンズ22と絞り25を介して、第1撮像素子26に撮像される。すなわち、例えば、第1撮像光学系20は、光源11から照射され、ハーフミラー13、ハーフミラー23、ハーフミラー24を経由して、レンズLEに照射された光束を、第1反射部材27、ハーフミラー24、ハーフミラー23、コンデンサレンズ22、絞り25を介して撮像素子26で撮像する。例えば、第1撮像素子26は、累進レンズLEに施された第1隠しマークM1を撮像する。
なお、本実施例では、第1撮像光学系20にハーフミラー24を設置している。例えば、ハーフミラー24は、光源11から照射され、ハーフミラー13及びハーフミラー23によって反射されて光軸L2に一致した光束を第1反射部材27に向かう光束と、光軸L2の光路外に向かう光束とに分岐する。例えば、光路外に向かった光束は、図示無き光吸収部材(例えば、光束を吸収する黒色の部材等)によって吸収される。これによって、第1撮像光学系20の第1撮像素子26が撮像する光束の量と、後述する第2撮像光学系30の第2撮像素子36が撮像する光束の量と、を等量に合わせることができる。
なお、本実施例においては、ハーフミラー24を設定することで、第1撮像素子26が撮像する光束の量と第2撮像素子36が撮像する光束の量とを一致させる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、第1撮像素子26及び第2撮像素子36の撮像結果をディスプレイ2の画面上に表示させる際に、第1撮像素子26及び第2撮像素子36の撮像結果が同一の明るさで観察できるように、輝度値の調整を行う構成であってもよい。
例えば、第2撮像光学系30は、第2反射部材37、ハーフミラー34、コンデンサレンズ32、絞り35、第2撮像素子36等を備える。例えば、第2撮像光学系30における光軸L3は、累進レンズに施された他方の隠しマーク(例えば、第2隠しマークM2)位置に対して垂直な関係となるように配置される。例えば、第2撮像素子36は、CCDを用いて構成される。例えば、第2反射部材37は、ノーズピース4に載置したレンズLEの表面側から入射した光束を反射する。
例えば、第2撮像光学系30において、光軸L1上に配置された光源11から照射された光束は、絞り18とコリメーティングレンズ12を介して平行光束となり、ハーフミラー13を通過して、ハーフミラー14及びハーフミラー34にそれぞれ反射された後、光軸L3に一致する。この光束がレンズLEに投光されると、第2反射部材37によって反射され、レンズLEとハーフミラー34を通過し、コンデンサレンズ32と絞り35を介して、第2撮像素子36に撮像される。すなわち、例えば、第2撮像光学系30は、光源11から照射され、ハーフミラー13、ハーフミラー14、ハーフミラー34を経由して、レンズLEに照射された光束を、第2反射部材37、ハーフミラー34、コンデンサレンズ32、絞り35を介して撮像素子36で撮像する。例えば、第2撮像素子36は、累進レンズLEに施された第2隠しマークM2を撮像する。
例えば、第2撮像光学系30においては、光源11から照射され、ハーフミラー13を通過した光束が、ハーフミラー14によって、ハーフミラー34に向かう光束と、ノーズピースの開口4aに向かう光束と、に分岐される。ハーフミラー34に向かった光束は、ハーフミラー34に反射されて、光軸L3に一致する。
なお、本実施例では、レンズLEの光学特性を測定するためにレンズLEに光束を照射するための測定光学系10の光源11と、隠しマークMを撮影するためにレンズLEに光束を照射する光源と、が兼用される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、これらの光源は、別途それぞれ設けられる構成としてもよい。この場合、例えば、レンズLEの光学特性を測定するため測定光学系10と、第1隠しマークM1を撮像するための投光光学系と、第2隠しマークM2を撮像するための投光光学系と、がそれぞれ設けられる構成としてもよい。また、例えば、上記各光学系の内、二つの光学系が兼用される構成としてもよい。
なお、本実施例では、測定光学系10と、第1撮像光学系20と、第2撮像光学系30と、におけるレンズやミラー等をそれぞれ別に設けているがこれに限定されない。これらのレンズやミラー等は、それぞれの測定光学系及び撮像光学系において、少なくとも一部の部材を兼用する構成としてもよい。
なお、本実施例では、第1撮像光学系20における第1反射部材27と、第2撮像光学系30における第2反射部材37と、をそれぞれ別に設ける構成としたがこれに限定されない。第1反射部材27と第2反射部材37が兼用される構成であってもよい。例えば、第1反射部材27と第2反射部材37は、光軸L2における光束と、光軸L3における光束と、を反射できる構成であればよい。この場合には、例えば、反射部材を、ノーズピース4を中心として周囲を覆うような円盤形状とすれば、第1撮像光学系20における第1反射部材と、第2撮像光学系30における第2反射部材と、を1つの反射部材で兼用することができる。また、例えば、反射部材を四角形状としても、第1反射部材と第2反射部材と、を1つの反射部材で兼用することができる。なお、反射部材の形状については本実施例に限定されない。本実施例における反射部材には、種々の形状を適用することができる。
例えば、本実施例における第1反射部材27及び第2反射部材37には、光束の入射方向と反射方向が略平行となる再帰性反射部材を用いることが好ましい(再帰性反射部材についての詳細は後述する)。なお、本実施例では、反射部材として再帰性反射部材を用いる構成を例に挙げて説明をするがこれに限定されない。本実施例における反射部材は、入射光を反射させることが可能な部材であればよい。すなわち、例えば、反射部材としては、入射光の散乱作用を高めるスクリーン等を用いることもできる。なお、本実施例では、撮像素子によってレンズLEの表面側を撮像する構成としているが、撮像素子によってレンズLEの裏面側を撮像する構成とするのであれば、反射部材を用いなくてもよい。
以下、上記の光学系によって測定が行われる測定領域及び上記光学系によって撮像される撮像領域について説明する。図4は、測定光学系10と、第1撮像光学系20と、第2撮像光学系30と、の位置関係を示す図である。例えば、本実施例では、測定領域A1と、第1撮像領域A2と、第2撮像領域A3と、を備える。
例えば、測定領域A1は、測定光学系10によって測定可能な領域を示している。すなわち、測定領域A1は、測定光学系10の測定範囲を示している。例えば、測定領域A1は、測定光学系10の光軸L1を中心として所定の範囲に形成される。
例えば、第1撮像領域A2は、第1撮像光学系20によって撮像可能な領域を示している。すなわち、第1撮像領域A2は、第1撮像光学系20の撮像範囲を示している。例えば、第1撮像領域A2は、第1撮像光学系20の光軸L2を中心として所定の範囲に形成される。
例えば、第2撮像領域A3は、第2撮像光学系30によって撮像可能な領域を示している。すなわち、第2撮像領域A3は、第2撮像光学系30の撮像範囲を示している。例えば、第2撮像領域A3は、第2撮像光学系30の光軸L3を中心として所定の範囲に形成される。
例えば、測定領域A1は、第1撮像領域A2と、第2撮像領域A3と、の間にある領域(中心領域B)内に位置する。例えば、本実施例において、測定領域A1は、中心領域B内に位置されるとともに、第1撮像領域A2及び第2撮像領域A3と領域が重ならない位置(言い換えると、第1撮像光学系20及び第2撮像光学系30がノーズピース4の外部)に配置される。もちろん、測定領域A1は、中心領域B内に位置されるとともに、第1撮像領域A2及び第2撮像領域A3と少なくとも一部の領域が重なって配置されるようにしてもよい。
なお、本実施例では、第1撮像領域A2の第1撮像中心位置C2から第2撮像領域A3の第2撮像中心位置心C3までの領域を中心領域Bとする。もちろん、中心領域Bはこれに限定されない。例えば、中心領域Bは、第1撮像領域A2の右端から第2撮像領域A3の左端までの領域としてもよい。また、例えば、中心領域Bは、第1撮像領域A2の左端から第2撮像領域A3の右端までの領域としてもよい。
例えば、本実施例において、測定領域A1は、ノーズピースの開口4aと略同一径(直径8mmの円形)である。例えば、本実施例において、第1撮像領域A2は、所定の径(例えば、直径2cmの円形)をもつ領域である。また、例えば、本実施例において、第2撮像光学系30によって撮像される第2撮像領域A3は、所定の径(例えば、直径2cmの円形)をもつ領域である。
なお、本実施例においては、第1撮像領域A2と、第2撮像領域A3とを、それぞれ直径2cmの円形領域としたがこれに限定されない。例えば、第1撮像領域A2と第2撮像領域A3の大きさは、いずれも累進レンズに施された隠しマークMを撮像することが可能な大きさであればよい。つまり、第1撮像領域A2と第2撮像領域A3の大きさとしては、累進レンズに施された隠しマークMよりも広ければよい。
本実施例において、例えば、第1撮像領域A2の第1撮像中心位置(以下、中心と記載)C2と、第2撮像領域A3における第2撮像中心位置(以下、中心と記載)C3と、が測定領域A1における測定中心位置(以下、中心と記載)C1を中心として対称となる位置に配置されている。本実施例において、例えば、測定領域A1の中心C1は、ノーズピースの開口4aの中心位置に一致する。すなわち、測定領域A1の中心C1は、測定光学系10の光軸L1と一致する。本実施例において、例えば、第1撮像領域A2の中心C2は、第1撮像光学系20の光軸L2と一致する。本実施例において、例えば、第2撮像領域A3の中心C3は、第2撮像光学系30の光軸L3と一致する。
なお、例えば、本実施例においては、測定光学系10の測定領域A1と、第1撮像光学系20の第1撮像領域A2と、第2撮像光学系30の第2撮像領域A3と、を三角形状に配置している。すなわち、第1撮像光学系20の光軸L2と第2撮像光学系30の光軸L3を結んだ直線上に、測定光学系10の光軸L1が位置しない配置となっている。
本実施例においては、累進レンズをノーズピース4に配置して位置合わせが行われた場合に、累進レンズの遠用度数測定ポイント100が測定領域A1内に、隠しマークMが第1撮像領域A2内に、第2撮像領域A3内に、それぞれ配置されるように各光学系の配置が設定されている。すなわち、累進レンズにおける遠用度数測定ポイント100と隠しマークMの位置との配置関係と、測定領域A1、第1撮像領域A2、第2撮像領域A3の配置関係と、が類似するように各光学系が配置されている。
例えば、第1撮像光学系20と第2撮像光学系30は、累進レンズLEの幾何学中心Oに対して水平方向(左右方向)に配置される。すなわち、第1撮像光学系20と第2撮像光学系30は、幾何学中心Oを中心として左右に形成される隠しマークMの位置に配置される。また、例えば、測定光学系10は、累進レンズLEの幾何学中心Oに対して垂直方向(上下方向)に配置される。すなわち、測定光学系10は、幾何学中心Oを中心として上下方向の少なくともいずれかの方向に形成される遠用度数測定ポイント100の位置に配置される。なお、測定光学系10は、累進レンズLEの幾何学中心Oに対して、上方向と下方向のどちらに配置されていてもよい。
以下、各光学系の配置についてより詳細に説明する。例えば、本実施例において、測定領域A1の中心C1が第1撮像領域A2の中心C2と、第2撮像領域A3の中心C3と、を結んだ線分の中央(すなわち、累進レンズLEの幾何学中心位置O)を通る垂線上において、垂直方向(例えば、本実施例においては上方向)に所定の距離だけ離れた位置に配置されるように、測定光学系10が配置される。
例えば、所定の距離は、累進レンズLEの幾何学中心位置Oから、遠用度数測定ポイント100の中心位置Cまでの垂直方向における距離(例えば、8mm)である。言い換えると、測定領域A1の中心C1から、累進レンズLEにおける幾何学中心位置Oまでの垂直方向における距離は、累進レンズLEにおける遠用度数測定ポイント100の中心Cから、幾何学中心位置Oまでの垂直方向における距離と略同一に設定されている。
例えば、本実施例において、第1撮像領域A2の中心C2は、累進レンズLEの幾何学中心位置Oから右方向に所定の距離だけ離れて位置するように、第1撮像光学系20が配置されている。例えば、所定の距離は、累進レンズLEの幾何学中心位置Oから、第1隠しマークM1までの距離(すなわち、17mm)である。累進レンズLEにおける幾何学中心位置Oの上方向には、遠用度数測定ポイント100が位置している。従って、第1撮像領域A2の中心C2から測定領域A1の中心C1までの水平方向における距離は、累進レンズLEにおける第1隠しマークM1から遠用度数測定ポイント100の中心までの水平方向における距離と略同一となる。
例えば、本実施例において、第2撮像領域A3の中心C3は、累進レンズLEの幾何学中心位置Oから左方向に所定の距離だけ離れて位置するように、第2撮像光学系30が配置されている。例えば、所定の距離は、累進レンズLEの幾何学中心位置Oから、第2隠しマークM2までの距離(すなわち、17mm)である。従って、第2撮像領域A3の中心C3から測定領域A1の中心C1までの水平方向における距離は、累進レンズLEにおける第2隠しマークM2から遠用度数測定ポイント100の中心までの水平方向における距離と略同一となる。
上記のような構成によって、累進レンズLEに施された隠しマークMの撮像と、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100における光学特性の測定と、を同時に行うことができる。より詳細には、例えば、検者は累進レンズLEをノーズピース4に配置する。例えば、検者はノーズピース4に載置した累進レンズLEを移動させて、第1隠しマークM1が第1撮像光学系20の光軸L2上に一致するように、かつ、第2隠しマークM2が第2撮像光学系30の光軸L3上に一致するように位置合わせをする。例えば、第1隠しマークM1と第2隠しマークM2が第1撮像光学系20の光軸L2と第2撮像光学系30の光軸L3と一致されることで、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100が測定光学系10の光軸L1上に一致する。このため、検者は、隠しマークMの位置合わせを行うだけで、累進レンズLEにおける遠用度数の測定を容易に行うことができる。また、例えば、本実施例においては、累進レンズLEの隠しマークMを位置合わせすれば、遠用度数測定ポイント100が常に測定光学系10の光軸L1上に一致するため、同一レンズについて遠用度数を何度測定しても、測定結果を再現よく取得することができる。
なお、本実施例では、累進レンズLEに施された隠しマークMの位置に、第1撮像領域の中心C2及び第2撮像領域の中心C3が配置される構成としたがこれに限定されない。例えば、累進レンズLEに施された隠しマークMの位置には、必ずしも撮像領域の中心が配置されなくてもよい。すなわち、累進レンズLEに施された隠しマーク位置は、第1撮像領域A2内及び第2撮像領域A3内に配置される構成であってもよい。
なお、例えば、本実施例においては、測定光学系10と、第1撮像光学系20と、第2撮像光学系30と、を三角形状に配置する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、これらの測定光学系と撮像光学系は、それぞれが水平方向に並び、直線状に配置される構成であってもよい。このような場合には、累進レンズLEに施された隠しマークMを撮像した後に、累進レンズLEあるいは測定光学系10を垂直方向に所定の距離だけ移動させ、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100における光学特性を測定してもよい。
以下、これらの測定光学系と撮像光学系は、それぞれが水平方向に並び、直線状に配置される構成についてより詳細に説明する。例えば、図5は各光学系を直線状に配置した構成の一例を示す図である。例えば、測定光学系10の光軸L1と、第1撮像光学系20の光軸L2と、第2撮像光学系30の光軸L3と、が水平方向に直線状に配置される構成としてもよい。この場合に、例えば、測定光学系10における測定領域A1の中心C1(測定光学系10の光軸L1)が、累進レンズLEの幾何学中心位置Oと一致するように配置する構成としてもよい。
なお、上記のような構成の場合、例えば、第1撮像領域A2内及び第2撮像領域A3内に、累進レンズLEに施された隠しマークMを位置合わせしても、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100は、幾何学中心位置Oの垂直方向にずれた位置に位置することになるため、測定領域A1内に累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100が配置されない。
そこで、例えば、レンズメータ1に、測定光学系10あるいは累進レンズLEを垂直方向に移動させるための移動機構を備える構成とすることで、測定領域A1内に累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100が配置されるようにしてもよい。なお、この場合、例えば、累進レンズLEあるいは測定光学系10の移動は、自動で行われる構成としてもよいし、検者が手動で行う構成としてもよい。
例えば、上記のような移動を自動で行う場合には、累進レンズLEの隠しマークMが、第1撮像領域A2内と第2撮像領域A3内に一致したことを検知する検知手段を設けてもよい。このような構成を備えていれば、後述する制御部70は、累進レンズに施された隠しマークMの位置合わせが完了したか否かを判断することができる。
例えば、累進レンズLEあるいは測定光学系10の移動を自動で行う場合、制御部70は、隠しマークMの位置合わせの完了に基づいて、自動的に測定光学系10あるいは累進レンズLEを垂直方向に移動させる。これによって、測定領域A1内に累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100が配置される。
より詳細には、例えば、検者が隠しマークMを位置合わせすると、検知手段によって、第1撮像領域A2と第2撮像領域A3のそれぞれに、第1隠しマークM1と第2隠しマークM2が一致したことが検知される。例えば、後述する制御部70は、移動機構を駆動して、測定光学系10を図5の上方向(検者からみた手前方向)に所定の距離(例えば、8mm)だけ移動させる。これによって、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100が、測定光学系10の測定領域A1内に入って位置合わせされ、遠用度数を測定することができる。なお、本実施例では、測定光学系のみが移動する構成を例に挙げて説明したが、測定光学系と撮像光学系が一体的に移動する構成であってもよい。
また、累進レンズLEあるいは測定光学系10の移動を手動で行う場合、例えば、検者が隠しマークMを位置合わせすると、検知手段によって、第1撮像領域A2と第2撮像領域A3のそれぞれに、第1隠しマークM1と第2隠しマークM2が一致したことが検知される。例えば、検者は、第1隠しマークM1と第2隠しマークM2が一致したことを確認し、図示無き移動スイッチを選択することによって、後述する制御部70は、移動機構を駆動して、累進レンズLEを図5の下方向(検者からみた奥方向)に所定の距離(例えば、8mm)だけ移動させる。これによって、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100が、測定光学系10の測定領域A1内に入って位置合わせされ、遠用度数を測定することができる。
なお、例えば、上記のような移動を手動で行う場合には、ディスプレイ2の画面上に、レンズLEの移動方向を示すガイド表示がなされてもよい。例えば、ガイド表示は、累進レンズLEに施された隠しマークMの位置合わせが完了すると、後述する制御部70によって、ディスプレイ2の画面上に表示される。検者は、ガイド表示に従って累進レンズLEを移動させ、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100を、測定光学系10の測定領域A1内に一致させる。これによって、累進レンズLEの遠用度数を測定することができる。
なお、本実施例では、測定光学系と撮像光学系を直線状に配置した際に、測定光学系10あるいは累進レンズLEを移動させる構成としたがこれに限定されない。本実施例では、測定光学系10によって、累進レンズLEにおける遠用度数測定ポイント100の光学特性を測定できればよい。すなわち、例えば、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100が、測定光学系10における測定領域A1内に入るのであれば、測定光学系10あるいは累進レンズLEを移動させない構成であってもよい。この場合、例えば、測定光学系10の測定領域A1を広く設定した構成を用いてもよい。
図6は指標板を示す図である。例えば、指標板15には多数の測定指標40が形成されている。例えば、測定指標は、中心孔41と、小孔42と、からなる。例えば、中心孔41は指標板15の中央に位置する。例えば、中心孔41は直径0.4mmの円形状である。例えば、小孔42は等間隔(例えば、0.5mm間隔)かつ格子状に配置される。例えば、小孔42は直径0.2mmの円形状である。例えば、指標板15には、光源11から照射された光束が投光される。このため、測定指標を通過した光束によって、後述する指標パターン像50が形成される。例えば、測定光学系10の撮像素子16は、この指標パターン像を撮像する。撮像素子16によって撮像される指標パターン像は、測定指標40がグリッド状に配置されているために、グリッド状のパターン形状を示す。なお、本実施例においては、測定指標40をグリッド状に配置する構成を例に挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、測定指標40は、非等間隔に配置してもよい。また、例えば、測定指標40は、放射状に配置してもよいし、同心円状に配置してもよい。この場合には、撮像素子16によって、放射状または同心円状の指標パターン像50が撮像される。
図7は指標パターン像50を示す図である。図7(a)は0D基準状態の指標パターン像50を示す図である。図7(b)はレンズをノーズピース4上に載置した状態における指標パターン像50の一例を示す図である。例えば、レンズLEをノーズピース4上に載置していない「0D基準」状態の指標パターン像50は、レンズLEにおける光学特性の演算に使用される。例えば、「0D基準」状態の指標パターン像50は、後述する制御部70の不揮発性メモリ71に記憶されている。
例えば、指標パターン像50は、中心孔の像51と、小孔の像52と、で形成される。例えば、中心孔の像51は、中心孔の像51と、小孔の像52と、の位置関係を把握するための基準指標である。つまり、中心孔の像51を用いることによって、0D基準状態の指標パターン像50に形成されたある小孔の像52aが、ノーズピース4にレンズLEを載置したことによって変化した指標パターン像50に形成された小孔の像のいずれに該当するのかを特定することができる。なお、本実施例では、指標板15の中央に1つの基準指標(中心孔)を配置する構成としたがこれに限定されない。本実施例における基準指標は、他の測定指標(小孔)との区別が可能なものであればよい。すなわち、基準指標の個数、形状、位置等は、本実施例とは異なっていてもよい。
例えば、レンズLEをノーズピース4上に載置すると、光源11から照射された光束が、レンズLEによって屈折される。このため、撮像素子16が撮像する指標パターン像50は、レンズの屈折に応じて変化する。例えば、球面度数のみを有するレンズLEを載置した場合における指標パターン像50は、0D基準状態の指標パターン像に対して、円形状かつ等距離に拡大あるいは縮小する。例えば、レンズLEの球面度数は、このような指標パターン像50の拡大量あるいは縮小量に基づいて求められる。例えば、後述する制御部70は、0D基準状態を示す指標パターン像50に対して、レンズLEを載置した状態における指標パターン像50の変化量を求めることによって、レンズLEの光学特性を演算する。なお、指標パターン像を用いてレンズLEの光学特性を測定する方法については、周知の技術(特開2008−241694号公報)を参照することができる。
また、例えば、後述する制御部70は、撮像素子16が撮像した指標パターン像50を解析することによって、レンズLEの複数の位置における屈折度数を1度に測定している。このため、制御部70は、レンズLEにおいて測定したそれぞれの位置について、1度に光学特性を演算している。例えば、レンズLEの光学特性は、指標パターン像50を形成する小孔の像52のうち、隣接する4個(少なくとも3個)の小孔像を1組として算出することができる。あるいは、3×3個、4×4個、または5×5個等の小孔像を1組として算出することもできる。なお、指標パターン像を用いてレンズLEの光学特性を測定する方法についても、周知の技術(特開2008−241694号公報参照)を参照することができる。
なお、本実施例では、中心孔41及び小孔42によって測定指標40を形成する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、測定指標は、光源から照射された光束を透過させる透光部と、光源から照射された光束を遮光する遮光部と、によって形成することもできる。この場合には、例えば、透光部がグリッド状のパターンとなるように、指標板に対して透光部と遮光部を配置する。なお、例えば、透光部と遮光部は、指標板にコーティング等を施すことによって形成することが可能である。
図8は再帰性反射部材の構成を示す一例の図である。例えば、再帰性反射部材60は、厚さ100μmほどの板である。例えば、再帰性反射部材60は、微細なガラス小球61、反射膜62、光透過カバー63、基板64等を備える。例えば、再帰性反射部材60へ入射した入射光T1は、光透過カバー63を通過し、ガラス小球61によって屈折され、ガラス小球61の球面付近の1点で焦点を結ぶ。この入射光T1は、反射膜62によって反射されて、反射光T2となる。反射光T2は、ガラス小球61によって再度屈折され、入射光T1と略平行となって元の方向に反射される。なお、再帰性反射部材60の構成については本実施例に限定されない。本実施例における再帰性反射部材は、光束を入射方向と略同一方向に反射することが可能であればよい。すなわち、再帰性反射部材の構成としては、ガラス小球に限らず、マイクロコーナーキューブやマイクロプリズム等が用いられたものを使用することができる。
例えば、本実施例における再帰性反射部材60は、図示なきモータ等によって高速で移動する。これによって、再帰性反射部材におけるガラス小球や反射膜の分布がばらついているために生じる反射ムラを均一にすることができる。なお、再帰性反射部材60の移動は、種々の移動の仕方で移動する構成を適用することができる。例えば、再帰性反射部材60の移動は、回転移動であってもよいし、直線移動であってもよいし、楕円状に移動する構成であってもよい。また、本実施例においては、再帰性反射部材60を移動させる構成を例に挙げて説明したが、再帰性反射部材60は移動させない構成としてもよい。
図9はレンズメータ1における制御系の概略構成図である。例えば、制御部70は、レンズメータ1の装置全体を統括及び制御する。例えば、制御部70には、ディスプレイ2、READスイッチ8、不揮発性メモリ71等が接続される。また、例えば、制御部70には、測定光学系10における光源11と撮像素子16、第1撮像光学系20における第1撮像素子26、第2撮像光学系30における第2撮像素子36等が接続される。
例えば、制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備える。例えば、制御部のCPUは、各種の演算処理(例えば、レンズの光学特性等の演算処理等)を行う。例えば、制御部70のRAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、制御部70のROMには、CPUが実行するプログラムや初期値等が記憶されている。なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されていてもよい。
例えば、本実施例における制御部70は、撮像素子16が撮像したレンズLEの指標パターン像50を画像処理することによって、各小孔の像52の位置を検出し、レンズの光学特性を演算する。また、例えば、本実施例における制御部70は、第1撮像素子26及び第2撮像素子36が撮像したレンズ像を画像処理することによって、レンズに施された隠しマークM(すなわち、第1隠しマークM1及び第2隠しマークM2)等を検出する。
例えば、不揮発性メモリ71は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、不揮発性メモリ71としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ等を使用することができる。例えば、不揮発性メモリ71には、レンズの0D基準状態における指標パターン像50や、光学特性の測定結果等が記憶される。
図10は印点機構9が待機位置にある状態を説明するための図である。図10(a)は、印点部材が待機位置にある状態を右側面から示した図である。図10(b)は、印点部材が待機位置にある状態を正面から示した図である。例えば、印点機構9は、アーム80、印点支基81、レバー82、中継部材83、基台84、印点部材85等を備える。例えば、アーム80は、図示なきスライド機構によって、レンズメータ1の上下方向(Y方向)に移動する。例えば、アーム80の一端は印点支基81に取り付けられている。例えば、印点支基81は、その内部に図示なきバネを備える。例えば、印点支基81は、図示なきバネの力によって常に一回転方向に付勢される。このため、印点機構9は常に待機位置にある状態となっている。例えば、印点支基81にはレバー82が固定される。また、例えば、印点支基81には中継部材83が固定される。例えば、中継部材83には基台84が固定される。例えば、中継部材83は、印点支基81の軸を中心として一体的に回転する。例えば、基台84には、印点部材85が取り付けられている。
例えば、印点部材85は、先端にインクペンまたはインクペン先をもつ。また、例えば、印点部材85は、その内部にインクボトルをもつ。例えば、印点部材85は、第1印点部材85aと、第2印点部材85bと、第3印点部材85cと、を備える。例えば、第1印点部材85aと第2印点部材85bは、第3印点部材85cを中心として水平方向において直線状に配置される。また、例えば、第3印点部材85cは、第1印点部材85aと第2印点部材85bを結ぶ直線の中心から所定の距離(例えば、8mm)だけ垂直かつ下方向(図10(a)の待機位置における下方向)に配置される。
図11は印点機構9が印点位置にある状態を説明するための図である。図11(a)は、印点部材が印点位置にある状態を右側面から示した図である。図11(b)は、印点部材が印点位置にある状態を正面から示した図である。例えば、印点部材が印点位置にある状態では、第1印点部材85aの第1印点軸S1が、第1撮像光学系20における第1撮像領域A2の中心C2と交わるように、第1印点部材85aが配置される。第1撮像領域A2の中心C2には光軸L2が通っているため(図4参照)、第1印点軸S1は、光軸L2と一致する。これによって、累進レンズLE上における第1隠しマークM1または第2隠しマークM2の一方(例えば、第1隠しマークM1)の位置に印点を施すことができる。
また、例えば、印点部材が印点位置にある状態では、第2印点部材85bの第2印点軸S2が、第2撮像光学系30における第2撮像領域A3の中心C3と交わるように、第2印点部材85bが配置される。第2撮像領域A3の中心C3には光軸L3が通っているため(図4参照)、第2印点軸S2は、光軸L3と一致する。これによって、累進レンズLE上における第1隠しマークM1または第2隠しマークM2の他方(例えば、第2隠しマークM2)の位置に印点を施すことができる。
また、例えば、印点部材が印点位置にある状態では、第3印点部材85cの第3印点軸S3が、測定光学系10における測定領域A1の中心C1と交わるように、第3印点部材85cが配置される。測定領域A1の中心C1には光軸L1が通っているため(図4参照)、第3印点軸S3は、光軸L1と一致する。これによって、累進レンズLE上における遠用度数測定ポイント100の位置に印点を施すことができる。
例えば、本実施例においては、検者がレバー82を後方に倒すことによって、印点支基81、中継部材83、基台84、印点部材85等が一体的に回転し、印点機構9は図10に示す待機位置から図11に示す印点位置になる。印点位置では、第1印点部材85aのペン先が下方を向き、光軸L2上に配置される。また、第2印点部材85bのペン先が下方を向き、光軸L3上に配置される。また、第3印点部材85cのペン先が下方を向き、光軸L1上に配置される。さらに、この状態から、検者がレバー82を下方に押し下げることによって、アーム80、印点支基81、中継部材83、基台84、印点部材85等が一体的に下方へ移動し、印点部材のペン先がレンズLEに当接して、印点が施される。例えば、第1印点部材85aは、累進レンズLE上に第1の印点を施す。例えば、第2印点部材85bは、累進レンズLE上に第2の印点を施す。例えば、第3印点部材は、累進レンズLE上に第3の印点を施す。
なお、本実施例においては、印点部材85は、各印点部材(第1印点部材85a、第2印点部材85b、第3印点部材85c)の配置関係が固定されている構成を用いているがこれに限定されない。例えば、本実施例における印点機構9は、印点部材85を前後方向(Z方向)にスライドさせるための移動機構を備えていてもよい。
例えば、本実施例では、第1印点部材85aと第2印点部材85bをスライド移動させることによって、第1印点部材85aと第2印点部材85bを結ぶ直線の中央に第3印点部材85cを配置させることができる。すなわち、第1印点部材85aと第2印点部材85bをスライド移動させることによって、第1印点部材85aと、第2印点部材85bと、第3印点部材85cと、が水平方向において直線状に配置することができる。
例えば、検者は印点機構9をスライドさせていない状態の場合に、検者がレバー82を後方に倒し、さらにレバー82を押し下げることによって、累進レンズLEの第1隠しマークM1と、第2隠しマークM2と、遠用度数測定ポイント100に印点を施すことができる。また、例えば、検者は印点機構9をスライドさせた状態の場合に、検者がレバー82を後方に倒し、さらにレバー82を押し下げることによって、遠用度数測定ポイント100と、その左右の水平方向に印点を施すことができる。なお、例えば、第1印点部材85aと第2印点部材85bをスライド移動させた場合に、単焦点レンズの幾何学中心位置(光学中心位置)に印点を施すこともできる。
なお、本実施例においては、印点部材85のうち、第1印点部材85aと第2印点部材85bが移動する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、印点部材85の移動は、第3印点部材85cが前後方向にスライドする構成であってもよい。また、印点機構9の全体を前後方向にスライドさせることによって、第1印点部材85aと、第2印点部材85bと、第3印点部材85cのすべてが前後方向にスライドする構成であってもよい。この場合、例えば、第1印点部材85aと、第2印点部材85bと、第3印点部材85cは、直線状に配置されていてもよい。
なお、本実施例では、第1印点部材85aと第2印点部材85bのみを直線状に配置する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、第1印点部材85aと、第2印点部材85bと、第3印点部材85cは、予めすべてが直線状に配置された構成であってもよい。この場合には、例えば、印点機構9の全体が前後方向に移動するスライド構成を設けておけば、累進レンズLEが有する隠しマークMと、遠用度数測定ポイント100に印点を施すことが可能であり、本実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施例では、印点機構9として、第1印点部材85aと、第2印点部材85bと、第3印点部材85cの3つの印点部材を設ける構成としたがこれに限定されない。例えば、印点機構9に予め第4印点部材を備えた構成としてもよい。このような場合には、例えば、第1印点部材と、第2印点部材と、第3印点部材に加え、第4印点部材を累進レンズの幾何学中心位置Oに一致させるように配置する。検者は、この状態でレバー82を操作することによって、累進レンズLEが有する隠しマークMと、遠用度数測定ポイント100に印点を施すと同時に、累進レンズLEの幾何学中心位置Oにも印点を施すことができる。また、印点機構9に第4印点部材を備えた構成では、第1の印点と、第2の印点と、第4印点部材によって施される第4の印点と、が水平方向において直線状に配置されるため、第1印点部材と、第2印点部材と、第4印点部材を移動させる機構を設けることによって、単焦点レンズの幾何学中心位置(光学中心位置)に印点を施すこともできる。
上記のような構成を備えるレンズメータ1を用いて、累進レンズLEの光学特性を測定する動作について説明する。例えば、検者は累進レンズLEをノーズピース4上に載置する。より詳しくは、検者は、累進レンズの表面に印刷されたプリントマークを参考にして、遠用度数測定ポイント100が手前側に、近用度数測定ポイント102が奥側となるように、累進レンズをノーズピース4上に載置する。
例えば、ディスプレイ2には、図示無き測定モード設定スイッチが表示されている。図示無き測定モード設定スイッチは、レンズメータ1に備えられた測定モードを設定するためのものである。例えば、図示無き測定モード設定スイッチが操作されることによって、測定モードを切り換えることなできる。なお、本実施例における測定モードの切り換えは、検者によって手動で行われる構成であってもよいし、自動的に切り換えられる構成としてもよい。例えば、測定モードとしては、累進レンズの光学特性を測定するための累進レンズ測定モード、単焦点レンズの光学特性を測定するための単焦点レンズ測定モード等を備えてもよい。
例えば、検者は、図示無き測定モード設定スイッチを操作して、累進レンズ測定モードを選択する。検者によって、累進レンズ測定モードの選択がされると、制御部70は、レンズメータの設定を累進レンズ測定モードに切り換える。また、制御部70は、累進レンズ測定モードに設定されると、ディスプレイ2の画面上に累進レンズLEの光学特性を測定するための測定画面を表示する。また、制御部70は、累進レンズ測定モードに設定されると、測定光学系10における光源11を点灯させる。
例えば、図12は累進レンズLEの測定画面の一例を示す図である。例えば、累進レンズの測定画面90には、2つの十字マークK1とK2が表示される。例えば、十字マークK1は、第1撮像光学系20における撮像領域A2の中心C2(第1撮像光学系20の光軸L2)を電子的に表示したものである。例えば、十字マークK1は、累進レンズLEに施された第1隠しマークM1を、光軸L2に位置合わせするために使用する。例えば、十字マークK2は、第2撮像光学系30における撮像領域A3の中心C3(第2撮像光学系30の光軸L3)を電子的に表示したものである。例えば、十字マークK2は、累進レンズLEに施された第2隠しマークM2を、光軸L3に位置合わせするために使用する。
また、例えば、累進レンズの測定画面90には、ノーズピース4上に載置した累進レンズLEの一部領域が表示される。累進レンズLEの一部領域とは、第1撮像素子26よって撮像された第1撮像領域A2の範囲内に位置する累進レンズLEの領域と、第2撮像素子36によって撮像された第2撮像領域A3の範囲内に位置する累進レンズLEの領域である。従って、第1撮像領域A2の範囲内に、累進レンズLEに施された第1隠しマークM1がおさまっていれば、測定画面90に表示される累進レンズの像に、第1隠しマークM1が表示される。また、第2撮像領域A3の範囲内に、累進レンズLEに施された第2隠しマークM2がおさまっていれば、測定画面90に表示される累進レンズの像に、第2隠しマークM2が表示される。例えば、制御部70は、撮像したレンズ像を画像処理し、レンズ像の中から隠しマークMを検出する。
例えば、検者は、測定画面90に表示された第1隠しマークM1の像が、十字マークK1に一致するように、ノーズピース4上の累進レンズLEを移動させる。また、例えば、検者は、測定画面90に表示された第2隠しマークM2の像が、十字マークK2に一致するように、ノーズピース4上のレンズLEを移動させる。第1隠しマークM1の像及び第2隠しマークM2の像が、それぞれ十字マークに一致すると、累進レンズLEの位置合わせが完了となる。
例えば、本実施例においては、レンズLEの位置合わせが完了したとき、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100はノーズピース4上に位置している。また、レンズLEの位置合わせが完了したとき、累進レンズLEの遠用度数測定ポイント100は、測定光学系10における測定領域A1の範囲内におさまっている。
例えば、検者は、隠しマークの像を十字マークの位置に合わせた後で、READスイッチ8を押すことによって、累進レンズにおける遠用度数測定ポイント100の光学特性を測定することができる。検者によってREADスイッチ8が操作されると、制御部70は光学特性の測定結果をディスプレイ2の画面に表示する。また、制御部70は、光学特性の測定結果を不揮発性メモリ71に記憶させる。なお、光学特性の測定、及びディスプレイへの測定結果の表示は、制御部70が累進レンズLEの位置合わせが完了したか否かを判断して、自動的に行われる構成であってもよい。
このようにして、検者は、累進レンズLEに施された隠しマークMの位置合わせを完了させると同時に、累進レンズの遠用度数測定ポイントにおける光学特性を測定することができる。また、この状態で上述の印点機構9を用いることによって、累進レンズLEの隠しマーク位置及び遠用度数測定ポイントの位置に印点を施すことができる。
次いで、上記のような構成を備えるレンズメータを用いて、単焦点レンズLEの光学特性を測定する動作について説明する。例えば、検者は単焦点レンズLEをノーズピース4上に載置し、図示無き測定モード設定スイッチを操作して、単焦点レンズ測定モードを選択する。制御部70は、レンズメータの設定を単焦点レンズ測定モードに切り換え、ディスプレイ2の画面上に単焦点レンズLEの光学特性を測定するための測定画面を表示する。また、制御部70は、単焦点レンズ測定モードが設定されると、測定光学系10における光源11を点灯させる。
例えば、単焦点レンズLEの測定画面には、単焦点レンズの幾何学中心位置(光学中心位置)を位置合わせするための指標が表示される。この指標は、測定光学系10における測定領域A1の中心C1(測定光学系10の光軸L1)を電子的に表示したものである。また、単焦点レンズLEの測定画面には、単焦点レンズの光学中心位置が電子的に示される。単焦点レンズの光学中心位置は、測定光学系10によって測定された光学特性に基づいて表示されている。また、単焦点レンズの光学中心位置は、レンズの移動にともない、制御部70によって表示位置が変更される。例えば、検者は、単焦点レンズの光学中心位置が指標に一致するように、ノーズピース4上のレンズLEを移動し、レンズLEの位置合わせを完了させる。ここで、検者はREADスイッチ8を押し、単焦点レンズの光学中心位置における光学特性を測定する。検者によってREADスイッチ8が操作されると、制御部70は光学特性の測定結果をディスプレイ2の画面に表示する。また、制御部70は、光学特性の測定結果を不揮発性メモリ71に記憶させる。
このようにして、検者は、単焦点レンズLEにおける光学中心位置の位置合わせを完了させ、光学特性を測定することができる。また、この状態において、検者は、上述の印点機構9が備えるスライド機構を操作し、印点部材85を三角形状から直線状の配置に変更することによって、単焦点レンズの光学中心位置に印点を施すことができる。
なお、単焦点レンズの光学特性を測定する場合には、光源11からの光束が、第1撮像光学系20の光軸L2と第2撮像光学系30の光軸L3に一致しないように、遮光板を設ける構成であってもよい。例えば、本実施例では、単焦点レンズの光学特性を測定する場合であっても、第1撮像光学系20と第2撮像光学系30によって、単焦点レンズの一部領域が撮像される。第1撮像光学系20と第2撮像光学系30は、ノーズピース4の外部に位置するため、測定光学系10による光学特性の測定には影響しないが、遮光板を設けることによって、単焦点レンズの撮像を防ぐことができる。
なお、本実施例においては、測定光学系10が、第1撮像光学系20と第2撮像光学系30よりも所定の距離だけ手前側に配置される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。測定光学系10は、第1撮像光学系20と第2撮像光学系30よりも所定の距離だけ奥側に配置されてもよい。この場合には、検者は、遠用度数測定ポイント100が奥側に、近用度数測定ポイント102が手前側に向くように、累進レンズをノーズピース4上に載置すればよい。隠しマークの撮像と、光学特性の測定は、上記と同様の操作によって行うことができる。
なお、本実施例においては、遠用度数測定ポイント100の中心位置Cに、測定光学系10の光軸L1が配置される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、遠用アイポイント位置に測定光学系10の光軸L1が配置される構成であってもよい。
以上説明したように、例えば、本実施例においては、累進レンズを測定する際に、隠しマークに位置合わせした際に、測定光学系の測定領域に遠用部が配置されるため、容易にレンズの遠用部の測定を行うことができる。また、例えば、累進レンズを測定する際に、隠しマークに位置合わせした際に、常時同一の位置で遠用部の測定を行うことができるため、同一のレンズで遠用部の測定を再測定した場合であっても、再現性のよい遠用部の測定結果を取得することができる。
また、例えば、本実施例においては、累進レンズに施された隠しマークを撮像する第1撮像光学系における第1撮像領域の中心位置と、第2撮像光学系における第2撮像領域の中心位置が、光学特性を測定する測定光学系における測定領域の中心位置から対称に配置されていることによって、累進レンズを測定する際に、累進レンズの幾何学中心位置から左右の一定の位置に形成される隠しマークを容易に位置合わせすることができる。
また、例えば、本実施例においては、測定光学系における測定領域の中心位置から、第1撮像光学系における第1撮像領域の中心位置までの水平方向における距離が、累進レンズの遠用度数測定ポイントから隠しマークまでの水平方向における距離と略同一であることによって、累進レンズを測定する際に、隠しマークを容易に位置合わせすることができる。
また、例えば、本実施例においては、測定光学系における測定領域の中心位置から、第2撮像光学系における第2撮像領域の中心位置までの水平方向における距離が、累進レンズの遠用度数測定ポイントから隠しマークまでの水平方向における距離と略同一であることによって、累進レンズを測定する際に、隠しマークを容易に位置合わせすることができる。
また、例えば、本実施例においては、測定光学系における測定領域が、第1撮像光学系における第1撮像領域の中心位置と、第2撮像光学系における第2撮像領域の中心位置を結んだ直線の中心を通る垂線上において、垂直方向に所定距離ずれて位置することによって、累進レンズの隠しマークを位置合わせした際、測定光学系の測定領域を累進レンズの遠用部に容易に配置することができる。
また、例えば、第1撮像領域の中心位置と、第2撮像領域の中心位置を結んだ直線の中心から、測定光学系の測定領域までの距離が、累進レンズの遠用度数測定ポイントから幾何学中心位置までの垂直方向における距離と略同一であることによって、累進レンズの隠しマークを位置合わせした際、測定光学系の測定領域を累進レンズの遠用度数測定ポイントにより容易に配置することができる。
なお、本開示における技術は、本実施例のレンズメータにおいて適用する場合に限定されない。例えば、本実施例におけるレンズメータの測定光学系には、位相差方式によって光学特性を測定するような測定光学系を適用することができる。また、例えば、本実施例におけるレンズメータの測定光学系には、レンズLEの広い範囲に亘って光学特性を測定するような測定光学系を適用することもできる(例えば、特表2002−534665号公報参照)。