JP2018053826A - スクロール流体機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】スクロール流体機械において、圧縮室や膨張室等の内部空間から漏れ出た水の軸受部内側への侵入を確実に防止できる構成を提供すること。【解決手段】スクロール圧縮機4は、固定側基板部51の板面に渦巻き状の固定ラップ52が設けられる固定スクロール50と、旋回側基板部31の板面に固定ラップ52に噛み合う渦巻き状の旋回ラップ32が設けられるとともに、旋回側基板部31における旋回ラップ32の外周側に旋回軸受部35が周方向で複数設けられる旋回スクロール30と、旋回軸受部35に挿入される偏芯軸部71が設けられる複数のクランク軸70と、旋回軸受部35の周囲における少なくとも旋回ラップ32側を向く範囲に設けられ、旋回ラップ32側から旋回軸受部35の内側への水の移動を妨げる水切構造110と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、複数のクランク軸によって旋回スクロールが固定スクロールに対して旋回するスクロール流体機械に関する。
従来、スクロール圧縮機やスクロール膨張機等のスクロール流体機械において、給気に水を添加する水添加式の空気圧縮機や蒸気から動力を取り出す蒸気膨張機が知られている。例えば、水添加式のスクロール圧縮機を開示するものとして特許文献1から3がある。特許文献1から3には、旋回ラップの外周側に軸受部を介して2軸支される2本のクランク軸によって旋回スクロールを固定スクロールに対して旋回させる構造が記載されている。
ところで、スクロール流体機械では、旋回スクロールと固定スクロールによって形成され、流体が導入される内部空間(例えば、圧縮機における圧縮室や膨張機における膨張室)をシール部材で囲うことにより、圧縮室や膨張室の外側に水(添加水又は凝縮水)が漏れ出ないようにしている。しかし、シール部材が劣化したり、シール部材が適切に取り付けられていなかったりする等の理由により、内部空間の外側に漏れ出した水が、ベアリングの外輪を押さえる押さえ部材を乗り越えて軸受部の内側に入るおそれがある。旋回ラップの外周側に配置される軸受部に収容されるベアリングにはグリスが封入されており、水が侵入するとエマルジョン化し、グリスの性状変化やグリスの漏えいにより、ベアリングボールの潤滑不良の原因になってしまう。従来のスクロール流体機械には軸受部の内側への水の侵入を防止するという観点で改善の余地があった。
本発明は、スクロール流体機械において、圧縮室や膨張室等の内部空間から漏れ出た水の軸受部内側への侵入を確実に防止できる構成を提供することを目的とする。
本発明は、固定側基板部の板面に渦巻き状の固定ラップが設けられる固定スクロールと、旋回側基板部の板面に前記固定ラップに噛み合う渦巻き状の旋回ラップが設けられるとともに、前記旋回側基板部における前記旋回ラップの外周側に軸受部が周方向で複数設けられる旋回スクロールと、前記軸受部に挿入される偏芯軸部が設けられる複数のクランク軸と、前記軸受部の周囲における少なくとも前記旋回ラップ側を向く範囲に設けられ、前記旋回ラップ側から前記軸受部の内側への水の移動を妨げる水切構造と、を備えるスクロール流体機械に関する。
前記水切構造は、軸方向に延出するとともに、前記クランク軸に向かって径方向で延出することが好ましい。
前記水切構造は、前記軸受部の外周に溝状に形成されることが好ましい。
前記旋回スクロールの軸方向は横向きであり、複数の前記クランク軸のうちの少なくとも1本が旋回中心よりも下側に位置することが好ましい。
本発明のスクロール流体機械によれば、圧縮室や膨張室等の内部空間から漏れ出た水の軸受部内側への侵入を確実に防止できる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るスクロール流体機械(スクロール圧縮機4)が用いられる空気圧縮システム1の概略図である。本実施形態の空気圧縮システム1は、蒸気から駆動力を取り出し、その駆動力を利用して空気圧縮を行う蒸気利用システムでもある。
図1は、本発明の一実施形態に係るスクロール流体機械(スクロール圧縮機4)が用いられる空気圧縮システム1の概略図である。本実施形態の空気圧縮システム1は、蒸気から駆動力を取り出し、その駆動力を利用して空気圧縮を行う蒸気利用システムでもある。
図1に示すように、本実施形態の空気圧縮システム1は、蒸気を供給する蒸気発生装置2と、蒸気発生装置から供給された蒸気により作動するスクロール膨張機3と、スクロール膨張機3から供給される駆動力によって駆動され、圧縮空気を吐出するスクロール圧縮機4と、を主要な構成として備える。
蒸気発生装置2は、蒸気ボイラ11及び蒸気ボイラ11から蒸気が送られるスチームヘッダ12を備える。蒸気ボイラ11は、水道管や地下水源等から供給される水を加熱し、蒸気を生成する。スチームヘッダ12では、蒸気の凝縮水に起因する配管(蒸気・復水配管)の腐食を防止するために、復水処理剤添加装置13から復水処理剤が添加される。なお、本実施形態では、スチームヘッダ12に復水処理剤を添加する構成であるが、ボイラ給水に添加し、ボイラ缶体と蒸気・復水配管の両方を復水処理剤で保護する構成としてもよい。
スクロール膨張機3は、スチームヘッダ12から給蒸気ラインL1を通じて供給される蒸気を膨張して駆動力を取り出す原動機である。給蒸気ラインL1には蒸気の経路を開閉する開閉弁14等が配置される。スクロール膨張機3で駆動力を取り出された蒸気は、回収用のスチームヘッダ(図示省略)に排蒸気ラインL2を通じて送られる。スクロール膨張機3は、減圧弁としても機能するので、前述の回収用のスチームヘッダに送られた減圧後(膨張後)の蒸気は、低圧蒸気として各種の蒸気使用装置でそのまま利用することもできる。
スクロール圧縮機4は、スクロール膨張機3から伝達機構6を通じて伝達された駆動力によって駆動する被動機である。
本実施形態のスクロール圧縮機4は、空気を取り込む給気ラインL3に添加水ラインL5を通じて水が添加される水添加式の圧縮機である。スクロール圧縮機4から吐出された圧縮空気は送気ラインL4を通じて圧縮空気使用機器(図示省略)に送られる。なお、圧縮空気は、送気ラインL4の途中でセパレータ(図示省略)によって気水分離され、アフタークーラ(図示省略)で冷却された後、圧縮空気使用機器に送られる。また、セパレータで分離された水は、水クーラ(図示省略)で冷却された後、添加水ラインL5に戻される。
本実施形態のスクロール膨張機3とスクロール圧縮機4は略同様の構造を有するスクロール式流体機械である。次に、本発明が適用されるスクロール流体機械の例としてスクロール圧縮機4の具体的な構造について説明する。
<スクロール圧縮機の全体構成>
図2は、本実施形態のスクロール圧縮機4の正面図である。図3は、本実施形態のスクロール圧縮機4の縦断面図である。図2及び図3に示すように、スクロール圧縮機4は、ハウジング20と、このハウジング20に旋回可能に保持される旋回スクロール30と、旋回スクロール30を挟むようにハウジング20に固定される一対の固定スクロール50と、旋回スクロール30を旋回させる複数のクランク軸70と、を主要な構成として備える。
図2は、本実施形態のスクロール圧縮機4の正面図である。図3は、本実施形態のスクロール圧縮機4の縦断面図である。図2及び図3に示すように、スクロール圧縮機4は、ハウジング20と、このハウジング20に旋回可能に保持される旋回スクロール30と、旋回スクロール30を挟むようにハウジング20に固定される一対の固定スクロール50と、旋回スクロール30を旋回させる複数のクランク軸70と、を主要な構成として備える。
<ハウジング>
ハウジング20は、その両側面のそれぞれに軸方向(水平方向)に貫通する開口穴21が形成される。ハウジング20両側の開口穴21は、ハウジング20の内の中空部を介して連通している。各開口穴21の周壁の内側端部には、径方向内側に延出する円環状のフランジ22が設けられる。
ハウジング20は、その両側面のそれぞれに軸方向(水平方向)に貫通する開口穴21が形成される。ハウジング20両側の開口穴21は、ハウジング20の内の中空部を介して連通している。各開口穴21の周壁の内側端部には、径方向内側に延出する円環状のフランジ22が設けられる。
ハウジング20の内部に旋回スクロール30が配置される、また、各固定スクロール50がフランジ22を介して旋回スクロール30の両側に固定される。ハウジング20の内部には、旋回スクロール30及び固定スクロール50を取り囲む環状の中空部が形成されており、この中空部がクランク軸70の偏芯軸部71の収容空間23となる。
ハウジング20の下部には収容空間23のクランク軸70を冷却するための給気口24が設けられ、上部には冷却後の空気が排気される排気口25が設けられる。なお、図2に示すように、ハウジング20の両側表面及び各固定スクロール50の表面には、軽量化のための肉盗み(符号省略)が施されている。
<旋回スクロール>
旋回スクロール30は、その軸方向が横向き(水平方向)であって、その旋回中心が中央に位置するようにハウジング20に固定される。
旋回スクロール30は、その軸方向が横向き(水平方向)であって、その旋回中心が中央に位置するようにハウジング20に固定される。
旋回スクロール30の具体的な構造について説明する。本実施形態の旋回スクロール30は、円板状の旋回側基板部31と、旋回側基板部31の両面にそれぞれ設けられる旋回ラップ32と、旋回側基板部31が着脱可能に固定されるとともに複数のクランク軸70が連結される旋回スクロールベース33と、を備える。
旋回ラップ32は、旋回側基板部31の板面から垂直(軸方向)に延出するとともに、旋回側基板部31の中央部から外周部へ向けてインボリュート曲線の渦巻き状に湾曲する板状に構成される。両側の旋回ラップ32は、互いに対応した形状となっている。各旋回ラップ32の先端には、固定スクロール50の固定側基板部51との隙間を埋めるためのチップシール34が設けられる。チップシール34は、旋回ラップ32の渦巻きに沿って配置される。
旋回スクロールベース33は、旋回側基板部31を取り囲む略三角形の枠状に形成されており、その内側に旋回側基板部31がボルト等の締結部材によって固定される(図2参照)。旋回スクロールベース33の略三角形の頂点部分(角部)に相当する位置には、クランク軸70の偏芯軸部71が軸支される旋回軸受部35が配置される。偏芯軸部71は、旋回軸受部35のベアリング収容穴36の内側にベアリング37を介して支持される。ベアリング37はベアリングナット38によって軸方向が位置決めされる。
<固定スクロール>
旋回スクロール30の両側に配置される各固定スクロール50は、円板状の固定側基板部51と、固定側基板部51における旋回側基板部31に対向する板面(片面)に設けられる1又は複数の固定ラップ52と、固定ラップ52を取り囲む環状の外周ラップ55と、を備える。
旋回スクロール30の両側に配置される各固定スクロール50は、円板状の固定側基板部51と、固定側基板部51における旋回側基板部31に対向する板面(片面)に設けられる1又は複数の固定ラップ52と、固定ラップ52を取り囲む環状の外周ラップ55と、を備える。
各固定側基板部51は、その中央に厚み方向に貫通する中央開口部60が設けられる。中央開口部60は、スクロール圧縮機4の外側と圧縮室90を連通する貫通孔である。また、各固定側基板部51の外周側には外周側開口部61が設けられる(図2参照)。本実施形態では、本実施形態では、外周側開口部61に給気ラインL3が接続され、中央開口部60に送気ラインL4が接続される。
固定ラップ52は、旋回ラップ32と対応した個数、形状及び大きさで設けられ、固定側基板部51の板面から垂直(軸方向)に延出するとともに、固定側基板部51の中央部から外周部へ向けて、インボリュート曲線の渦巻き状に湾曲して構成される。各固定ラップ52の先端には、旋回スクロール30の旋回側基板部31との隙間を埋めるためのチップシール54が設けられる。チップシール54は、固定ラップ52の渦巻きに沿って配置される。
外周ラップ55は、固定ラップ52を取り囲む円筒状に形成される。外周ラップ55の高さは、固定ラップ52の高さに略対応している。旋回側基板部31、固定側基板部51及び外周ラップ55に囲まれた空間が水添加された空気(流体)を圧縮する圧縮室90として機能する。
外周ラップ55の先端には、旋回スクロール30の旋回側基板部31との隙間を埋めるための外周シール80が設けられる。外周シール80は、圧縮室90を取り囲む環状に形成され、圧縮室90の外側への水漏れを防止する。
<複数のクランク軸>
図3に示すように、クランク軸70は、偏芯軸部71と、この偏芯軸部71の両側に配置される基軸部72と、を備える。本実施形態では、基軸部72には、旋回スクロール30の回転を円滑にするウェイトバランサ75が設けられる。ウェイトバランサ75は、その形状や重さがクランク軸70の取り付ける位置によって適宜調整されている。
図3に示すように、クランク軸70は、偏芯軸部71と、この偏芯軸部71の両側に配置される基軸部72と、を備える。本実施形態では、基軸部72には、旋回スクロール30の回転を円滑にするウェイトバランサ75が設けられる。ウェイトバランサ75は、その形状や重さがクランク軸70の取り付ける位置によって適宜調整されている。
偏芯軸部71が旋回スクロールベース33(旋回スクロール30)に軸支されるとともに基軸部72がハウジング20のハウジング軸受部26に軸支される。ハウジング軸受部26は、クランク軸70の数に応じて開口穴21の周囲に配置される。
図2に示すように、クランク軸70は、周方向で等間隔に合計3本配置されており、正面視で下向きの三角形の頂点に相当する位置に配置される。3本のクランク軸70は、同一の構造となっており、偏芯軸部71の位置を揃えた状態で、タイミングベルト又は歯車等によって構成される回転同期機構(図示省略)により同期回転する。3本のクランク軸70のうち、最も下側に位置する下側クランク軸70Aがスクロール膨張機3から伝達機構6を介して駆動力が伝達される駆動軸となっている。残り2本の上側クランク軸70Bは、駆動力が直接には伝達されない従動軸である。
下側クランク軸70Aが回転すると、回転同期機構を介して上側クランク軸70Bも同期回転し、旋回スクロール30が固定スクロール50に対して旋回する。固定スクロール50に対し旋回スクロール30が旋回すると外周側開口部61から水が添加された空気(流体)が導入される。スクロール圧縮機4の圧縮室90に導入された空気は、旋回ラップ32と固定ラップ52との間で圧縮されながら、その渦巻きの外端側から内端側へ移動し、中央開口部60から吐出される。
<水切構造>
本実施形態のスクロール圧縮機4は、外周シール80のシール性能の低下等によって内部空間(圧縮室90)から外部に漏れ出した水が、旋回軸受部35の内側(ベアリング収容穴36)に入り込もうとする動きを規制する水切構造110を備える。
本実施形態のスクロール圧縮機4は、外周シール80のシール性能の低下等によって内部空間(圧縮室90)から外部に漏れ出した水が、旋回軸受部35の内側(ベアリング収容穴36)に入り込もうとする動きを規制する水切構造110を備える。
本実施形態の水切構造110について説明する。図4は、本実施形態の水切構造110及びその近傍を示す拡大断面図である。なお、以下の説明において、下側クランク軸70Aにおける伝達機構6に接続される側を軸方向のクランク軸基端側とし、その反対側を軸方向のクランク軸先端側として説明する場合がある。
図4に示すように、本実施形態の水切構造110は、旋回スクロールベース33のクランク軸先端側(紙面における左側)に配置されるカバー部材120と、旋回スクロールベース33のクランク軸基端側(紙面における右側)に形成される環状溝130と、からなる。
まず、カバー部材120の構成について説明する。図5は、本実施形態の水切構造110を構成するカバー部材120及びその近傍を示す断面斜視図である。なお、図5ではウェイトバランサ75等の図示を省略している。
図5に示すように、カバー部材120は、旋回スクロールベース33における旋回軸受部35のクランク軸先端側の面に固定されている。本実施形態のカバー部材120は、ベアリング37の外輪の端面を押さえるカバー側押さえ部121と、ベアリング収容穴36への水の侵入を防止する水切部122と、を備える。
水切部122は、カバー側押さえ部121から軸方向のクランク軸先端側に延出した後、下側クランク軸70A側の外周面73に向かって屈曲して径方向内側に延出している。本実施形態の水切部122は、下側クランク軸70Aの外周を囲うように形成されており、旋回軸受部35の周囲における旋回ラップ32側を向く範囲もカバーされている。
図5の鎖線に示すように、圧縮室90から水が漏れ出たとしても、カバー部材120に到達した水は水切部122の外周を伝ってベアリング収容穴36に入ることなく、下側(径方向外側)に落下する。このように、水切部122は、旋回軸受部35と外周ラップ55の間で、旋回ラップ32側から旋回軸受部35の内側への水の移動を妨げる規制壁として機能する。
また、水切部122は、クランク軸70に向って延びる先端部123がクランク軸70の外周面73に近接しており、水切部122の内側面124の一部とベアリングナット38の一部が軸方向視で重なるレイアウトになっている。水切部122の先端部123と、クランク軸70の外周面73と、の隙間が小さなものとなっているので、クランク軸70の外周面73に落下して飛散した水がベアリング収容穴36に入り込み難い構造となっている。
次に、環状溝130の構成について説明する。図6は、本実施形態の水切構造110を構成する環状溝130及びその近傍を示す斜視図である。なお、図6では、旋回スクロールベース33以外の図示を省略している。
図6に示すように、旋回軸受部35は、ベアリング収容穴36の周囲(全周)にベアリング37の外輪の端面を押さえるベース側押さえ部39を備える。本実施形態の環状溝130は、このベース側押さえ部39(旋回軸受部35)の外周面に途切れることなく形成される。
図6の鎖線に示すように、圧縮室90から水が漏れ出たとしても、ベース側押さえ部39に到達した水は環状溝130を伝ってベアリング収容穴36に入ることなく、下側(径方向外側)に落下する。クランク軸基端側においても、ベアリング収容穴36への水の侵入を確実に防止できる構造が実現されている。
水の侵入を防ぐ観点からは、ベアリング37はできるだけ外部に露出しないレイアウトであることが好ましい。しかし、組立時において、偏芯軸部71を備えるクランク軸70を挿入する必要があるため、ベアリング収容穴36にはクランク軸70を挿入できる程度の開口面積を確保する必要がある。本実施形態では、カバー部材120及び環状溝130によってベアリング収容穴36(旋回軸受部35の内側)への水の侵入を防ぐことができるので、開口面積を大きく確保して組立作業性を確保しつつ、ベアリング収容穴36への水の侵入を防止できる構造が実現されている。
なお、本実施形態では、旋回スクロールベース33における3本のクランク軸70が連結される部分の全てに水切構造110が設けられる。即ち、図4で示した下側クランク軸70Aが連結される部分に設けられる水切構造110と同様の構成が、2本の上側クランク軸70Bの旋回軸受部35にも設けられる。
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
スクロール圧縮機4は、固定側基板部51の板面に渦巻き状の固定ラップ52が設けられる固定スクロール50と、旋回側基板部31の板面に固定ラップ52に噛み合う渦巻き状の旋回ラップ32が設けられるとともに、旋回側基板部31における旋回ラップ32の外周側に旋回軸受部35が周方向で複数設けられる旋回スクロール30と、旋回軸受部35に挿入される偏芯軸部71が設けられる複数のクランク軸70と、旋回軸受部35の周囲における少なくとも旋回ラップ32側を向く範囲に設けられ、旋回ラップ32側から旋回軸受部35の内側への水の移動を妨げる水切構造110と、を備える。
スクロール圧縮機4は、固定側基板部51の板面に渦巻き状の固定ラップ52が設けられる固定スクロール50と、旋回側基板部31の板面に固定ラップ52に噛み合う渦巻き状の旋回ラップ32が設けられるとともに、旋回側基板部31における旋回ラップ32の外周側に旋回軸受部35が周方向で複数設けられる旋回スクロール30と、旋回軸受部35に挿入される偏芯軸部71が設けられる複数のクランク軸70と、旋回軸受部35の周囲における少なくとも旋回ラップ32側を向く範囲に設けられ、旋回ラップ32側から旋回軸受部35の内側への水の移動を妨げる水切構造110と、を備える。
これにより、圧縮室90から外側に漏れ出した水は、水切構造110によって旋回軸受部35に入ることなく旋回スクロール30の外側に案内される。従って、ベアリング収容穴36の内側に水が入ってベアリング37のグリスが性状変化したり、漏えいしたりする事態を確実に防止できる。
また、本実施形態の水切構造110を構成するカバー部材120(水切部122)は、軸方向に延出するとともに、クランク軸70に向かって径方向で延出するように構成される。
これにより、カバー部材120における軸方向に延びる部分で圧縮室90から外側に漏れ出した水を旋回スクロール30の下側(外側)に案内しつつ、カバー部材120における径方向に延びる部分でクランク軸70にあたって飛散した水がベアリング収容穴36に侵入する事態を防止できる。本実施形態では、軸方向視で、ベアリングナット38の端面に重なる位置までカバー部材120が延出しているので、旋回軸受部35への水の侵入がより一層確実に防止される。
また、本実施形態の旋回軸受部35の外周には溝状の環状溝130が形成される。
これにより、環状溝130に沿って圧縮室90から外側に漏れ出した水を旋回スクロール30の下側(外側)に移動させることができる。
また、本実施形態の旋回スクロール30の軸方向は横向きであり、複数のクランク軸70のうちの下側クランク軸70Aが旋回中心よりも下側に位置する。
重力により水が集まり易い下側クランク軸70Aの旋回軸受部35についても、水切構造110(カバー部材120及び環状溝130)によって水の侵入を確実に防止できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態ではカバー部材120が旋回スクロールベース33とは別体の例を説明したが一体的な構造とすることもできる。また、カバー部材120に環状溝を形成することも可能である。
また、水切構造としての溝は、上記実施形態の環状溝130に限定されない。全周ではなく途切れている溝や軸方向に溝を形成することもできる。また、水の流路を溝ではなく壁によって形成することもできる。より具体的には、カバー部材120又は旋回軸受部35のベース側押さえ部39の周面から延出する壁を形成し、当該壁によって水を下側(旋回スクロール30の外側)に案内する構成とすることもできる。
次に、変形例の水切構造220について説明する。図7は、変形例の水切構造220を示す旋回スクロールベース33の拡大正面図である。図7では、下側クランク軸70Aの旋回軸受部35に配置される変形例の水切構造220が示されており、下側クランク軸70Aや固定スクロール50等の図示は省略している。
図7に示すように、変形例の水切構造220は、上記実施形態のカバー部材120とは異なり、クランク軸70の全周ではなく、正面視において旋回軸受部35の周囲における旋回ラップ32側を向く範囲に設けられる。なお、本変形例における旋回軸受部35の周囲における旋回ラップ32側を向く範囲とは、旋回軸受部35における上下方向で旋回ラップ32に重なる部位をカバーできる範囲である。本変形例では、水切構造220の両端部がベアリング収容穴36の中心よりも下側まで延び出るとともに外周面側がエッジになっており、外側に水切りし易い構造となっている。なお、場合によっては水切構造220の両端部が、ベアリング収容穴36の中心よりも上側であってもよいし、エッジが形成されていない形状であってもよい。
本変形例の水切構造220は、正面視において略円弧状に延びる壁として構成されている。図7の鎖線に示すように、圧縮室90から漏れ出た水は、水切構造220によって旋回軸受部35の内側に入り込むことなく旋回スクロール30の下側に落とされる。
以上説明した変形例においても、圧縮室90を取り囲み外周シール80から漏れ出た水が旋回軸受部35のベアリング収容穴36に入り込む事態を確実に防止できる。このように、水切構造は、旋回ラップ側から軸受部の内側への水の移動を妨げる構成であれば、上記実施形態や変形例の構成に限定されず、事情に応じて適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、スクロール圧縮機4を例に本発明を説明したが、スクロール膨張機に本発明を適用することができる。例えば、上記実施形態のスクロール膨張機3のように蒸気の膨張を行う場合において、膨張室で生成した凝縮水が外周シール80から漏れ出した場合にも上記実施形態の水切構造110及び変形例の水切構造220は有効である。
4 スクロール圧縮機(スクロール流体機械)
30 旋回スクロール
31 旋回側基板部
32 旋回ラップ
35 旋回軸受部(軸受部)
50 固定スクロール
51 固定側基板部
52 固定ラップ
70 クランク軸
71 偏芯軸部
110 水切構造
120 カバー部材(水切構造)
130 環状溝(水切構造)
220 水切構造
30 旋回スクロール
31 旋回側基板部
32 旋回ラップ
35 旋回軸受部(軸受部)
50 固定スクロール
51 固定側基板部
52 固定ラップ
70 クランク軸
71 偏芯軸部
110 水切構造
120 カバー部材(水切構造)
130 環状溝(水切構造)
220 水切構造
Claims (4)
- 固定側基板部の板面に渦巻き状の固定ラップが設けられる固定スクロールと、
旋回側基板部の板面に前記固定ラップに噛み合う渦巻き状の旋回ラップが設けられるとともに、前記旋回側基板部における前記旋回ラップの外周側に軸受部が周方向で複数設けられる旋回スクロールと、
前記軸受部に挿入される偏芯軸部が設けられる複数のクランク軸と、
前記軸受部の周囲における少なくとも前記旋回ラップ側を向く範囲に設けられ、前記旋回ラップ側から前記軸受部の内側への水の移動を妨げる水切構造と、
を備えるスクロール流体機械。 - 前記水切構造は、軸方向に延出するとともに、前記クランク軸に向かって径方向で延出する請求項1に記載のスクロール流体機械。
- 前記水切構造は、前記軸受部の外周に溝状に形成される請求項1又は2に記載のスクロール流体機械。
- 前記旋回スクロールの軸方向は横向きであり、複数の前記クランク軸のうちの少なくとも1本が旋回中心よりも下側に位置する請求項1から3の何れかに記載のスクロール流体機械。
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JP2020029958A (ja) * | 2018-08-15 | 2020-02-27 | ナブテスコ株式会社 | 歯車装置 |
-
2016
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JP2020029958A (ja) * | 2018-08-15 | 2020-02-27 | ナブテスコ株式会社 | 歯車装置 |
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