JP2008248707A - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】 背圧室からドレンを流出させることにより、錆や腐食の発生を防止して信頼性、寿命を向上する。
【解決手段】 旋回スクロール11を構成する旋回スクロール本体12の鏡板12Aには、高圧となる圧縮室14に連通可能な位置に高圧側背圧孔23を設け、この高圧な圧縮室14よりも圧力が低い低圧な圧縮室14に連通可能な位置に低圧側背圧孔24を設ける構成とする。従って、圧縮運転時には、高圧側背圧孔23と低圧側背圧孔24との差圧ΔPにより、背圧室22に流入したドレンを含んだ圧縮空気は、低圧側背圧孔24に向けて流通させることができ、この低圧側背圧孔24からドレンと一緒に圧縮室14に流出することができる。これにより、錆や腐食の発生を防止することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、空気圧縮機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
一般に、スクロール式流体機械は、互いに対向する固定スクロールと旋回スクロールを備え、各スクロールには、それぞれの鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設されている。そして、スクロール式流体機械は、2つのスクロールを対向して配置することにより、2つのラップ部を重ねて複数の圧縮室を画成する。この状態で、固定スクロールに対して旋回スクロールを旋回運動させることにより、外周側から中心側に向け圧縮室を連続的に縮小して加圧し、吸込んだ空気等を圧縮して吐出する。
ここで、圧縮運転時には、圧縮室の圧力によって、旋回スクロールに対し固定スクロールから離間する方向に過大なスラスト荷重が作用する。このため、従来技術によるスクロール式流体機械は、旋回スクロールの背面に圧縮空気の一部を導入した背圧室を設け、該背圧室に生じる圧力によって、スラスト荷重を軽減させる構成としている(例えば、特許文献1参照)。また、他のスクロール式流体機械には、圧縮室と背圧室とを連通する背圧孔を2個設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−28033号公報 特開平3−134285号公報
ところで、上述した特許文献1によるものでは、圧縮室から背圧孔を通じて背圧室に圧縮空気を流入させて昇圧することにより、スラスト荷重を受止めている。この場合、背圧孔は、圧縮室から背圧室に一方的に圧縮空気を流入させるだけであるから、圧縮空気に含まれた水分等が蓄積し、背圧室内にドレンが発生してしまう。
このために、特許文献1のスクロール式流体機械では、ドレンによって背圧室内に錆や腐食が生じる虞があり、信頼性や寿命が低下するという問題がある。また、特許文献2によるものでは、発生したドレンが潤滑油に混入する虞があり、潤滑油の劣化が早まってしまうという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、背圧室からドレンを圧縮室側に流出させ運転時の熱を利用してドレンを蒸発させることにより、背圧室内における錆や腐食の発生を防止して信頼性、寿命を向上できるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
本発明によるスクロール式流体機械は、ケーシングと、鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設され旋回運動によって前記固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールと、該旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構と、前記ケーシングと旋回スクロールとの間に設けられ前記旋回スクロールを固定スクロール側に押付ける背圧室と、前記圧縮室と背圧室とを連通する少なくとも2つの背圧孔とを備えてなる。
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記少なくとも2つの背圧孔は、前記各圧縮室のうち圧力の異なる位置に連通するように設けたことにある。
請求項2の発明では、前記複数の背圧孔のうち、低圧側の背圧孔を、高圧側の背圧孔よりも高さ方向で低い位置に配置する構成としている。
請求項3の発明では、前記各背圧孔は前記旋回スクロールの鏡板に設ける構成としている。
請求項1の発明によれば、圧縮室と背圧室とを連通する背圧孔を設けているから、圧縮運転時には、圧縮室の圧縮気体を背圧孔を通じて背圧室に導入することができ、旋回スクロールに作用するスラスト荷重を受止めることができる。
しかも、背圧室内では、複数の背圧孔から導入される圧縮気体によって差圧が生じるから、圧縮運転時には、圧力が高い背圧孔から圧力が低い背圧孔に向け背圧室内で圧縮気体を流通させることができる。これにより、背圧室内にドレンが蓄積したり、あるいは、背圧室に水分を含んだ圧縮気体が流入したとしても、圧縮気体の差圧による流れによって低圧側の背圧孔から圧縮室側に流出させることができる。そして、圧縮室側に流出したドレン(水分)は、運転時の熱によって蒸発させることができる。
この結果、ドレン処理のための特殊な装置を設けなくても、背圧室でのドレンの発生、蓄積を効果的に防止できるから、簡単な構成で錆や腐食の発生を防止でき、信頼性、寿命等を向上することができる。
請求項2の発明によれば、低圧側の背圧孔を、高圧側の背圧孔よりも高さ方向で低い位置に配置しているので、重力によって低い位置に集まるドレンを、低い位置の低圧側の背圧孔から効率よく流出させることができる。
請求項3の発明によれば、旋回スクロールの鏡板に設けた高圧側の背圧孔は、旋回運動で連続的に加圧されて高圧となる圧縮室に開口させ、低圧側の背圧孔は低圧となる圧縮室に開口させているから、圧縮運転時には、高圧側の背圧孔から背圧室に流入した圧縮気体が、背圧室内を低圧側の背圧孔に向けて流通し、この低圧側の背圧孔から低圧となる圧縮室に流出する。これにより、背圧室内にドレンが蓄積したり、あるいは、背圧室に水分等を含んだ圧縮気体が流入したとしても、この圧縮気体中の水分等(ドレン)は、差圧による流れによって低圧側の背圧孔から排出することができる。そして、圧縮室側に流出したドレン(水分)は運転時の熱によって蒸発させることができる。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械として空気圧縮機を例に挙げ、図1ないし図7を参照して詳細に説明する。
図1において、1はスクロール式空気圧縮機のケーシングを示している。このケーシング本体2は、スクロール式空気圧縮機の外枠を形成するもので、後述のケーシング本体2、ホルダ3等により構成されている。
2はケーシング1の本体を構成する段付筒状のケーシング本体である。このケーシング本体2は、大径筒部2Aと、該大径筒部2Aよりも小径な筒状に形成され該大径筒部2Aの軸方向一側から外側に向けて突出した小径な軸受筒部2Bと、該軸受筒部2Bと前記大径筒部2Aとの間に形成された環状部2Cとにより構成されている。また、環状部2Cには、後述する補助クランク機構21の軸受21Aを収容する筒状の軸受収容部2Dが例えば3個設けられ、該各軸受収容部2Dは周方向に対して互いに等間隔に離間して配置されている。
3はケーシング本体2の他側に設けられたホルダである。このホルダ3は、ケーシング本体2と一緒にケーシング1を構成している。また、ホルダ3は、ケーシング本体2の大径筒部2Aの開口端に取付けられる取付筒部3Aと、該取付筒部3Aの軸方向他側に設けられた略円盤状の底板部3Bとによって構成されている。ここで、取付筒部3Aは、その外周側がケーシング本体2の大径筒部2Aに固定スクロール5と一緒に取付けられ、内部に後述する旋回スクロール11のジョイント部材17および背圧プレート18を収容している。
また、底板部3Bの外周側には、環状の背圧シール部材4が取付けられ、該背圧シール部材4は、後述する背圧プレート18の背面側との間を気密にシールするものである。これにより、ホルダ3は、背圧プレート18と協働して該背圧プレート18との間に後述の背圧室22を形成している。さらに、底板部3Bの外周側には、後述する連結部材19の連結突起部19Aを旋回自在に逃すための3個の逃し穴3Cが軸方向に貫通して設けられている。
5はケーシング1の他側に取付けられた固定スクロールである。この固定スクロール5は、図2に示す如く、ホルダ3の取付筒部3Aを挟んだ状態でケーシング本体2の大径筒部2Aに固定して取付けられている。また、固定スクロール5は、円板状の鏡板5Aと、該鏡板5Aの表面に中心側が巻始め端となり外周側が巻終り端となって立設された渦巻状のラップ部5Bとにより大略構成されている。
また、ラップ部5Bの歯先面には、後述する旋回スクロール本体12の鏡板12Aとの間をシールするチップシール6が設けられている。また、固定スクロール5の外周側には、旋回スクロール本体12の鏡板12Aとの間をシールする環状のシール部材7が設けられている。一方、鏡板5Aの背面側には、複数の冷却フィン5Cが形成されている。ここで、ラップ部5Bは、図5に示すように、鏡板5Aのほぼ中央に配置した基円Zを中心とするインボリュート曲線として形成されている。
8はケーシング本体2の軸受筒部2B内に軸受9,10を介して回転可能に設けられた駆動軸である。この駆動軸8は、図1に示すように、その軸方向一側が軸受筒部2Bからケーシング本体2の外部へと突出し、軸方向他側(先端側)はケーシング本体2の大径筒部2A内でクランク部8Aとなっている。ここで、駆動軸8の一側には、例えばプーリが取付けられ、該プーリを介して駆動源となる電動モータ(いずれも図示せず)に連結されている。
また、クランク部8Aは、その軸線が駆動軸8の軸線に対して一定の偏心量だけ偏心している。そして、クランク部8Aは、後述の旋回軸受20を介して連結部材19のボス部19B内に回転可能に取付けられている。また、駆動軸8には、回転バランスをとるためのバランスウエイト部8Bが一体に設けられている。
11はケーシング1と固定スクロール5との間に設けられた旋回スクロールを示している。この旋回スクロール11は、固定スクロール5と対面するようにケーシング本体2の大径筒部2Aの開口側に旋回可能に配設されている。そして、旋回スクロール11は、後述の旋回スクロール本体12、ジョイント部材17、背圧プレート18、連結部材19により大略構成されている。
12は旋回スクロール11の本体を構成する旋回スクロール本体で、該旋回スクロール本体12は、固定スクロール5と対向して配置されている。また、旋回スクロール本体12は、略円板状に形成された鏡板12Aと、該鏡板12Aの表面から固定スクロール5側に向け、中心側が巻始め端となり外周側が巻終り端となって立設された渦巻状のラップ部12Bとにより構成されている。一方、鏡板12Aの背面側には、複数の冷却フィン12Cが形成されている。また、ラップ部12Bの歯先面には、固定スクロール5の鏡板5Aとの間をシールするチップシール13が設けられている。さらに、鏡板12Aには、後述する背圧孔23,24が2箇所に設けられている。
ここで、旋回スクロール本体12のラップ部12Bは、図5、図6に示すように、前述した固定スクロール5のラップ部5Bと同様に、基円Zを中心とするインボリュート曲線として形成され、固定スクロール5のラップ部5Bに対し、例えば180度ずらして重なり合うように配設されている。これにより、両者のラップ部5B,12B間には、外径側から内径側(中央)にかけて複数の圧縮室14が画成されている。
そして、圧縮運転時には、固定スクロール5の外周側に設けられた吸込口15から外径側の圧縮室14内に空気を吸込みつつ、各圧縮室14を連続的に縮小して内部の空気を加圧することにより、最後に、中央側の圧縮室14内に収容された圧縮空気を、固定スクロール5の中央側に設けた吐出口16から外部に吐出する。即ち、複数の圧縮室14は、外径側に位置しているときに低圧となり、中央側の位置に位置しているときに高圧となっている。
17は旋回スクロール本体12の背面側に固着して設けられたジョイント部材で、該ジョイント部材17は、鏡板12Aの背面側に一体的にボルト止めされている。また、ジョイント部材17の背面側には、略全面に亘って円形状の凹陥部17Aが設けられ、該凹陥部17A内には後述の背圧プレート18が取付けられている。これにより、ジョイント部材17は、背圧プレート18を介して後述の背圧室22内の圧力を受圧することができる。
18はジョイント部材17の背面に取付けられた背圧プレートで、該背圧プレート18は、ジョイント部材17の凹陥部17A内に嵌合する円板として形成されている。そして、背圧プレート18は、背面側に形成される背圧室22の圧力を受承することにより、ジョイント部材17を介して旋回スクロール本体12を固定スクロール5に向けて押圧するものである。
19は旋回スクロール11の連結構造部をなす連結部材である。この連結部材19は、略円板状に形成され、ホルダ3を挟んだ状態でジョイント部材17に取付けられている。また、連結部材19の外周側には、ジョイント部材17側となる正面側に向けて突出した3個の連結突起部19Aが設けられている。これらの連結突起部19Aは、ホルダ3の逃し穴3Cにそれぞれ挿通され、ジョイント部材17の外周側に一体的にボルト止めされている。
また、連結部材19の背面側中央には、筒状のボス部19Bが一体的に形成され、このボス部19B内には、駆動軸8のクランク部8Aが旋回軸受20を介して回転可能に取付けられている。これにより、連結部材19は、ホルダ3を挟んで旋回スクロール本体12と駆動軸8とを連結し、該駆動軸8のクランク部8Aの旋回運動を旋回スクロール本体12に伝達する。さらに、連結部材19の背面外周側には、後述する補助クランク機構21の軸受21Bを収容する筒状の軸受収容部19Cが例えば3個設けられている。
21は連結部材19とケーシング本体2との間に設けられた自転防止機構としての補助クランク機構である。この補助クランク機構21は、ケーシング本体2の軸受収容部2Dに収容された軸受21Aと、連結部材19の軸受収容部19Cに収容された軸受21Bと、これらの軸受21A,21Bに回転可能に取付けられたクランク部材21Cとによって構成されている。そして、これらの補助クランク機構21は、旋回運動時に旋回スクロール11がケーシング本体2内で自転するのを防止している。
22はケーシング1と旋回スクロール11との間に設けられた背圧室である。この背圧室22は、旋回スクロール11の旋回スクロール本体12を固定スクロール5側に押付けるものである。詳しくは、背圧室22は、ケーシング1を構成するホルダ3と旋回スクロール11を構成する背圧プレート18との間に位置し、外周側が背圧シール部材4によって気密にシールされた円形の空間として形成されている。
そして、背圧室22は、圧縮室14内で圧縮された圧縮空気が後述の背圧孔23,24を通じて流入することにより、各圧縮室14側の圧力によって固定スクロール5から旋回スクロール11を離す方向にスラスト荷重が生じた場合でも、旋回スクロール11(旋回スクロール本体12)を固定スクロール5側に向けて押圧することができ、前記スラスト荷重を軽減することができる。
23は旋回スクロール11を構成する旋回スクロール本体12の鏡板12Aに設けられた高圧側背圧孔を示している。この高圧側背圧孔23は、後述の低圧側背圧孔24が連通する圧縮室14の位置よりも加圧された位置の高圧な圧縮室14に連通するように設けられている。また、高圧側背圧孔23は、図2に示すように、先端側が背圧室22に連通した背圧導入管23Aを有し、この背圧導入管23Aは、背圧プレート18をジョイント部材17の凹陥部17Aに固定するボルトとしても機能している。
そして、図6に示すように、ラップ部12Bの中心側の巻始め端から始まるインボリュート曲線の巻き角を角度λとすると、高圧側背圧孔23は、ラップ部12Bの外線室(外周面12B1)側に位置し、巻き角度λ1の位置に配置されている。この場合、高圧側背圧孔23は、低圧側背圧孔24よりも高さ方向で高い位置、望ましくは、旋回スクロール本体12の中心部(基円Z)よりも高い位置に配置されている。
ここで、ラップ部12Bの内線室(内周面12B2)側に設けた背圧孔23′を、高圧側背圧孔23が開口した圧縮室14と同じ圧力まで加圧された他の圧縮室14に開口させる場合について例示する。まず、基円Zに接した状態で高圧側背圧孔23の中心(λ1)を通って一側に延びた接線を線ABとし、基円Zの対称位置に接した状態で線ABと平行に他側に延びた接線を線CDとし、また線ABと線CDとで挟む角度をα(約180度)とする。これらの条件で、背圧孔23′を配置する位置となる巻き角度λ1′は、下記数1の式により求めることができる。
Figure 2008248707
次に、24は旋回スクロール11を構成する旋回スクロール本体12の鏡板12Aに設けられた低圧側背圧孔を示している。この低圧側背圧孔24は、高圧側背圧孔23が連通する加圧状態で高圧な圧縮室14よりも圧力が低い低圧な圧縮室14に連通することができる位置に設けられている。また、低圧側背圧孔24は、図2に示すように、先端側が背圧室22に連通した背圧導入管24Aを有し、この背圧導入管24Aは、高圧側背圧孔23の背圧導入管23Aと一緒に、背圧プレート18をジョイント部材17の凹陥部17Aにボルト止めしている。
なお、例えば旋回スクロール本体12、ジョイント部材17および背圧プレート18を一体に成形した場合には、貫通孔だけで背圧室22に連通できるから、背圧導入管23A,24Aは省略することができる。
ここで、低圧側背圧孔24の詳しい配置について説明する。この低圧側背圧孔24は、ラップ部12Bの内線室(内周面12B2)側に位置している。この上で、低圧側背圧孔24は、高圧側背圧孔23と同じ圧力まで加圧された圧縮室14に連通可能な背圧孔23′よりも角度βだけ外径側に位相をずらした位置に配置されている。即ち、低圧側背圧孔24を配置する位置となるラップ部12Bの巻き角度λ2は、下記数2の式により求めることができる。
Figure 2008248707
従って、低圧側背圧孔24は、上式で求められるλ2を通る線EF上でラップ部12Bの内線室(内周面12B2)側に配置する構成としている。
また、低圧側背圧孔24は、前述した高圧側背圧孔23よりも高さ方向で低くなるように、鏡板12Aの下側位置、例えば基円Zの下側の低い位置に設けられている。これにより、低い位置の低圧側背圧孔24は、重力によって低い位置に集まるドレンを効率よく流出することができる。
これにより、固定スクロール5に対して旋回スクロール11を旋回動作させた場合には、複数の圧縮室14が外径側から中心側に移動するに従って連続的に縮小し、内部の空気を加圧する。この場合、図7に示すように、例えば駆動軸8のクランク部8Aの回転角がθ1からθ2の位置では、高圧側背圧孔23の圧力P1が低圧側背圧孔24の圧力P2よりも高くなる(P1>P2)。従って、背圧室22には、高圧側背圧孔23と低圧側背圧孔24との間で差圧ΔPが生じるから、背圧室22内の空気を高圧側背圧孔23から低圧側背圧孔24に向けて流通させることができる。
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、電動モータ等の駆動源によって駆動軸8を回転駆動したときには、駆動軸8の回転が旋回軸受20を介して旋回スクロール11に伝えられる。これにより、旋回スクロール11は、補助クランク機構21によって自転を規制された状態で、駆動軸8を中心として旋回運動を行う。
このとき、固定スクロール5のラップ部5Bと旋回スクロール本体12のラップ部12Bとの間に画成された圧縮室14は、外径側から中心側に向けて連続的に縮小する。これにより、圧縮機は、吸込口15から吸込んだ外気を各圧縮室14で順次加圧し、中心側の吐出口16から外部のタンク(図示せず)等に向けて圧縮空気を吐出する。
また、圧縮室14内で圧縮された圧縮空気は、その一部が各背圧孔23,24を通じて旋回スクロール11の背面側に画成された背圧室22に導入される。これにより、圧縮空気の圧力によって旋回スクロール11が固定スクロール5から離れる方向に向けてスラスト荷重が生じるときでも、背圧室22内の圧力によって旋回スクロール11を固定スクロール5側に向けて押圧することができ、スラスト荷重を軽減することができる。
さらに、高圧側背圧孔23は、低圧側背圧孔24よりも差圧ΔPだけ高い圧力の圧縮室14に連通するから、圧縮運転時に、高圧側背圧孔23から背圧室22に流入した圧縮空気は、背圧室22内を低圧側背圧孔24に向けて流通し、この低圧側背圧孔24から低圧な圧縮室14に流出する。これにより、背圧室22にドレン(水分等)を含んだ圧縮空気が流入したとしても、あるいは、圧縮機停止後の残留背圧により背圧室22内にドレンが蓄積された場合であっても、この空気中のドレンは、差圧ΔPによる流れによって低圧側背圧孔24から圧縮室14側に常時流出させることができる。そして、圧縮室14側に流出したドレン(水分)は、運転時の熱によって蒸発させることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、旋回スクロール11をなす旋回スクロール本体12の鏡板12Aには、高圧となる圧縮室14に連通可能な位置に高圧側背圧孔23を設け、高圧な圧縮室14よりも低圧となる圧縮室14に連通可能な位置に低圧側背圧孔24を設ける構成としている。従って、圧縮運転時には、高圧側背圧孔23と低圧側背圧孔24との差圧ΔPにより、背圧室22に流入したドレンを含んだ圧縮空気は、低圧側背圧孔24に向けて流通させることができ、該低圧側背圧孔24からドレンと一緒に低圧な圧縮室14に流出することができる。あるいは、背圧室22内にドレンが蓄積された場合であっても、同様に低圧な圧縮室14にドレンを流出させることができる。
この結果、本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機では、ドレン処理のための特殊な装置を設けたり、特殊な作業を行う必要がなく、通常の圧縮運転を行うだけで背圧室22でのドレンの発生、蓄積を効果的に防止できる。これにより、固定スクロール5、旋回スクロール11等は簡単な構成で錆や腐食の発生を防止できるから、信頼性、寿命等を向上することができる。
また、低圧な圧縮室14に連通する低圧側背圧孔24を、高圧な圧縮室14に連通する高圧側背圧孔23よりも高さ方向で低い位置、即ち、旋回スクロール本体12の鏡板12Aの下側に低圧側背圧孔24を配置し、鏡板12Aの上側に高圧側背圧孔23を配置している。これにより、重力によって低い位置に集まるドレンを、低い位置の低圧側背圧孔24から効率よく流出させることができる。
なお、実施の形態では、旋回スクロール本体12の鏡板12Aに高圧側背圧孔23と低圧側背圧孔24とをそれぞれ1個ずつ、合計2個設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば高圧側背圧孔23、低圧側背圧孔24の少なくとも一方を、2個または3個以上設ける構成としてもよく。両方を2個以上設ける構成としてもよい。
また、実施の形態では、ケーシング1のケーシング本体2と旋回スクロール11の連結部材19との間に自転防止機構としての補助クランク機構21を設けた場合を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば固定スクロール5と旋回スクロール11との間に補助クランク機構21を設ける構成としてもよい。また、補助クランク機構21に代えて、オルダム継手等の他の自転防止機構を設ける構成としてもよい。
一方、実施の形態では、背圧孔23,24を旋回スクロール11に設け、該各背圧孔23,24により圧縮室14と背圧室22とを連通する構成としている。しかし、本発明はこれに限らず、例えば背圧孔を固定スクロールの鏡板に設け、この背圧孔を固定スクロールの背面側の背圧室に連通する構成としてもよい。また、背圧孔は、外部の配管等を用いて圧縮室と背圧室とを連通する構成としてもよい。
さらに、実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用できるものである。
本発明の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 図1中の固定スクロール、旋回スクロール、背圧室、各背圧孔等を拡大して示す拡大縦断面図である。 スクロール式空気圧縮機を示す分解斜視図である。 スクロール式空気圧縮機を図3とは逆方向からみた分解斜視図である。 固定スクロールと旋回スクロール本体を図2中の矢示V−V方向から拡大して示す横断面図である。 図5中の旋回スクロール本体を単体で示す正面図である。 高圧側背圧孔と低圧側背圧孔との差圧を示す特性線図である。
符号の説明
1 ケーシング
2 ケーシング本体
3 ホルダ
5 固定スクロール
5A,12A 鏡板
5B,12B ラップ部
8 駆動軸
11 旋回スクロール
12 旋回スクロール本体
14 圧縮室
15 吸込口
16 吐出口
17 ジョイント部材
18 背圧プレート
19 連結部材
21 補助クランク機構(自転防止機構)
22 背圧室
23 高圧側背圧孔
24 低圧側背圧孔
ΔP 差圧

Claims (3)

  1. ケーシングと、鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、鏡板の表面に渦巻状のラップ部が立設され旋回運動によって前記固定スクロールとの間に複数の圧縮室を画成する旋回スクロールと、該旋回スクロールの自転を防止する自転防止機構と、前記ケーシングと旋回スクロールとの間に設けられ前記旋回スクロールを固定スクロール側に押付ける背圧室と、前記圧縮室と背圧室とを連通する少なくとも2つの背圧孔とを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記少なくとも2つの背圧孔は、前記各圧縮室のうち圧力の異なる位置に連通するように設けたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 前記複数の背圧孔のうち、低圧側の背圧孔を、高圧側の背圧孔よりも高さ方向で低い位置に配置する構成としてなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  3. 前記各背圧孔は前記旋回スクロールの鏡板に設ける構成としてなる請求項1または2に記載のスクロール式流体機械。
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