JP2018053662A - 建物の層剛性の推定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
推定式(1)中のパラメータs,i,j,KFs,αs,KWsi,H0si,L0si,Hsij,Lsij,βsij,γsiについて、以下に説明する。
ここで、推定式(1)についてさらに詳しく説明する。
パラメータ同定工程500では、推定式(1)を用いて層剛性Ksを推定するにあたって、未知パラメータ(設計情報から決定されないパラメータ)である係数αs,壁基準剛性KWsi,剛性低減係数βsijおよび指数γsiを、複数(多数)の別建物においてした微動計測の結果と設計情報に基づいて、一括的に同定する。
架構剛性算出工程501は、推定式(1)の右辺第1項を得る工程である。つまり、架構剛性算出工程501では、建物の設計情報(構造計算モデル)に基づいて算出される架構基準剛性KFsに、パラメータ同定工程500において同定された係数αsを掛け合せることで、架構体の剛性を算出する。
壁剛性算出工程502は、推定式(1)の右辺第2項を得る工程である。つまり、壁剛性算出工程502では、建物の設計情報に基づいて得られる壁体の高さHsijおよび長さLsijの値、既定の基準高さH0siおよび基準長さL0siの値と、パラメータ同定工程500において同定された壁基準剛性KWsi,剛性低減係数βsijおよび指数γsiの値をそれぞれ推定式(1)に代入することで、各グループの壁体の剛性をそれぞれ算出するとともに、これらが足し合わされた壁全体の剛性を算出する。
合算工程503は、推定式(1)の右辺第1項と第2項を合算する工程である。つまり、合算工程503では、架構体の剛性と壁全体の剛性を合算することにより、微動計測における層剛性Ksを算出する。
微動計測における層剛性Ksを本推定方法によって推定した事例1について、説明する。
事例1での推定結果と対比するために、推定式(1)の右辺第1項である架構体の剛性だけを考慮した(つまり推定式(1)の右辺第2項の壁剛性を無視した)比較例1について、説明する。
事例1での推定結果と対比するために、推定式(1)の指数γsi=1で固定した(つまりせん断モードだけを考慮した)比較例2について、説明する。
本推定方法は、複数の別建物の微動計測結果や設計情報を用いて推定式(1)の未知パラメータを同定したうえで、推定式(1)を用いて建物の層剛性の初期値を推定する方法であるから、層剛性の変化(固有振動数の変化)に基づいて建物の損傷を評価する方法やシステムに、好適に適用することができる。
一実施形態に基づいて説明したように、本開示の建物の層剛性の推定方法は、質点系モデルで表わされる建物の層剛性(Ks)を推定する方法であって、1以上のグループの壁体を対象とし、1以上のグループのうち算出対象となるグループ(以下「対象グループ」という。)の壁体の剛性を算出することで、壁全体の剛性を算出する壁剛性算出工程(502)を含む。
s:対象となる層番号
i:壁体のグループを識別する番号(1〜Ps)
j:グループiの壁体をさらに区分けする番号(1〜Nsi)
KFs:s層の架構基準剛性
αs:架構基準剛性KFsに対して設定される係数
KWsi:グループiの壁体に設定される壁基準剛性
H0si:グループiの壁体の基準高さ
L0si:グループiの壁体の基準長さ
Hsij:グループiかつ区分jの壁体の高さ
Lsij:グループiかつ区分jの壁体の長さ
βsij:グループiかつ区分jの壁体に設定される剛性低減係数
γsi:グループiの壁体に設定される指数
したがって、本開示の建物の層剛性の推定方法によれば、微動計測における壁体の実際の挙動に則したモデル(せん断モードとロッキングモードの複合モデル)に基づいて、層剛性を高精度で推定することができる。
にすることができる。
11 区分1に属する部分
12 区分2に属する部分
13 区分3に属する部分
100 開口
105 腰壁
2 垂直ばね
500 パラメータ同定工程
501 架構剛性算出工程
502 壁剛性算出工程
503 合算工程
Claims (11)
- 質点系モデルで表わされる建物の層剛性を推定する方法であって、
1以上のグループの壁体を対象とし、対象グループの壁体の剛性を算出することで、壁全体の剛性を算出する壁剛性算出工程を含み、
前記壁剛性算出工程では、前記対象グループの壁体において設定された壁基準剛性に、前記建物の設計情報に基づいて算出された壁係数を掛け合せることで、前記対象グループの壁体の剛性を算出し、
前記壁係数は、前記対象グループの壁体の高さおよび長さの設計情報を用いて算出した値を、前記対象グループにおいて設定された所定の指数で累乗した値である
ことを特徴とする建物の層剛性の推定方法。 - 前記壁係数は、前記対象グループの壁体の高さおよび長さの設計情報と、前記対象グループの壁体の開口に基づく剛性低減係数とを用いて算出した値を、前記対象グループにおいて設定された所定の指数で累乗した値である
ことを特徴とする請求項1に記載の建物の層剛性の推定方法。 - 前記建物の設計情報に基づいて架構体の剛性を算出する架構剛性算出工程と、
前記架構剛性算出工程で算出した前記架構体の剛性と、前記壁剛性算出工程で算出した前記壁全体の剛性を合算する合算工程を、さらに含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の建物の層剛性の推定方法。 - 層剛性の推定に用いる各パラメータを同定するパラメータ同定工程を、さらに備え、
前記パラメータ同定工程では、前記建物と同一構法である複数の別建物で微動計測した実測値と、前記複数の別建物の設計情報を用いて、前記対象グループの壁体の前記壁基準剛性および前記指数を同定する
ことを特徴とする請求項1に記載の建物の層剛性の推定方法。 - 層剛性の推定に用いる各パラメータを同定するパラメータ同定工程を、さらに備え、
前記パラメータ同定工程では、前記建物と同一構法である複数の別建物で微動計測した実測値と、前記複数の別建物の設計情報を用いて、前記対象グループの壁体の前記壁基準剛性、前記指数および前記剛性低減係数を同定する
ことを特徴とする請求項2に記載の建物の層剛性の推定方法。 - 層剛性の推定に用いる各パラメータを同定するパラメータ同定工程を、さらに備え、
前記架構剛性算出工程では、前記架構体の設計情報に基づいて算出した架構基準剛性に、所定の係数を掛け合わせ、
前記パラメータ同定工程では、前記建物と同一構法である複数の別建物で微動計測した実測値と、前記複数の別建物の設計情報を用いて、前記所定の係数、前記壁基準剛性および前記指数を同定する
ことを特徴とする請求項3に記載の建物の層剛性の推定方法。 - 質点系モデルで表わされる建物が有するs層の層剛性Ksを、次式(1)に基づいて推定する
ことを特徴とする建物の層剛性の推定方法。
s:対象となる層番号
i:壁体のグループを識別する番号(1〜Ps)
j:グループiの壁体をさらに区分けする番号(1〜Nsi)
KFs:s層の架構基準剛性
αs:架構基準剛性KFsに対して設定される係数
KWsi:グループiの壁体に設定される壁基準剛性
H0si:グループiの壁体の基準高さ
L0si:グループiの壁体の基準長さ
Hsij:グループiかつ区分jの壁体の高さ
Lsij:グループiかつ区分jの壁体の長さ
βsij:グループiかつ区分jの壁体に設定される剛性低減係数
γsi:グループiの壁体に設定される指数 - 前記係数αs=0である
ことを特徴とする請求項7に記載の建物の層剛性の推定方法。 - 前記係数αs≧1.0である
ことを特徴とする請求項7に記載の建物の層剛性の推定方法。 - 式(1)に基づいて前記建物の層剛性Ksを推定するにあたり、
前記建物と同一構法である複数の別建物で微動計測した実測値と設計情報を用いて、壁基準剛性KWsi、剛性低減係数βsijおよび指数γsiを同定する
ことを特徴とする請求項8に記載の建物の層剛性の推定方法。 - 式(1)に基づいて前記建物の層剛性Ksを推定するにあたり、
前記建物と同一構法である複数の別建物で微動計測した実測値と設計情報を用いて、係数αs、壁基準剛性KWsi、剛性低減係数βsijおよび指数γsiを同定する
ことを特徴とする請求項9に記載の建物の層剛性の推定方法。
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