JP2018053412A - ポリエチレンスパンボンド不織布 - Google Patents

ポリエチレンスパンボンド不織布 Download PDF

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Abstract

【課題】2.0dtex以下の十分小さい単紙繊度で、柔軟性に優れ、高強度であり、加工性に優れるポリエチレンスパンボンド不織布の提供。
【解決手段】密度が0.945〜0.965g/cm、好ましくは0.950〜0.960g/cmの線状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなり、単糸繊度が2.0dtex以下であり、単糸のΔnが0.035以上であるポリエチレンスパンボンド不織布。他のオレフィン類モノマー、スチレン類モノマーが共重されても良く、好ましくはヘプテン、オクテンが良く、シート欠点の低減、細繊度の観点からオクテンがより好ましく、重合比率は高強度の観点から、3.0mol%以下が好ましく、1.0mol%以下とするとことがより好ましい、LLDPEであり、ポリエチレンスパンボンド不織布。
【選択図】なし

Description

本発明は柔軟性に優れ、高強度であり、加工性に優れるポリエチレンスパンボンド不織布に関する。
ポリオレフィンからなるスパンボンド不職布、特にポリプロピレンスパンボンド不職布は低コストで柔軟性に優れるため、衛生材料用途を中心に幅広く用いられている。
ポリオレフィンスパンボンド不織布の特徴である柔軟性をより高める技術もこれまでに多くの検討がなされており、その中で弾性率がポリプロピレンよりも低い、ポリエチレンを用いる検討がなされている。
ポリエチレンスパンボンドは柔軟性に優れるものの、シートの加工性に劣るという課題がある。この原因の一つは、ポリエチレンは製糸性が悪く、糸切れが生じやすいためシート欠点が多く、加工時にこの欠点を起点としてゴム製のニップローラー等に巻き付いてしまうためであり、また繊維強度が低いためシート強度も低く、シート加工時に破れ等が生じやすいためである。この課題のため実用性能を満足するポリエチレンスパンボンドは工業的には未だ得られていない。
また柔軟性向上のために単糸繊度を小さくしようとすると、ポリエチレンでは製糸性がより悪化する傾向にあるため、欠点がさらに増え、加工性がより悪化する課題もある。
単糸繊度が小さく、シート欠点が少ないポリエチレンスパンボンドを得る技術に関し、密度が0.900〜0.940g/cm、メルトインデックス値が5〜45g/10分であり、融解熱が25cal/g(すなわち104.7J/g)以上である線状低密度ポリエチレンを用いることが開示されている(特許文献1参照)。該技術ではエアーサッカーを用い高速で紡糸を行う技術が開示されているが、単糸繊度については5デニール以下の記載があるものの、実施例で到達している最も小さい単糸繊度は1.9d、すなわち2.1dtexであり2.0dtex以下の十分小さい単糸繊度は得られておらず柔軟性は向上できていない。
また密度が0.940g/cmよりも大きく、約4〜約1000のメルトインデックスを有するポリエチレンを用いる技術も開示されている(特許文献2参照)。該技術においては単糸繊度を小さくすることに関する記載は見られず、スパンボンドの実施例で到達している最も小さい繊維直径は29.4μmである。このときの樹脂密度は0.882g/cmであるため単糸繊度は6.0dtexとなり2.0dtex以下の十分小さい単糸繊度は得られておらず柔軟性は向上できていない。
さらに密度が0.85〜0.97g/cmのポリエチレンを用いる技術も開示されている(特許文献3参照)。該技術では繊維径、繊度に関し通常5〜30μm(0.2〜7デニール)の記載があるが、実施例で到達している最も小さい単糸繊度は2.5d、すなわち2.8dtexであり2.0dtex以下の十分小さい単糸繊度は得られておらず柔軟性は向上できていない。
密度が0.955g/cmのポリエチレンを用いる技術も開示されている(特許文献4参照)。該技術では繊度に関し0.1〜50デニールの記載があるが、該技術の実施例で得られている単糸繊度は2.5デニール、すなわち2.8dtexであり2.0dtex以下の十分小さい単糸繊度は得られておらず柔軟性は向上できていない。
密度が0.9〜0.955g/cmのポリエチレンを用いる技術も開示されている(特許文献5参照)。該技術では繊度に関し2.8dtex未満の記載があるが、該技術の実施例で得られているポリエチレン単独のスパンボンドの単糸繊度は2.5dtexであり2.0dtex以下の十分小さい単糸繊度は得られておらず柔軟性は向上できていない。
特開昭64−6161号公報(第1頁〜第5頁) 特表平10−510013号公報(第1頁〜第30頁) 特開2002−105833号公報(第1頁〜第10頁) 特表2007−535623号公報(第21頁〜第25頁) 特開2010−189831号公報(第1頁〜第20頁)
本発明の課題は、柔軟性に優れ、高強度であり、加工性に優れるポリエチレンスパンボンド不織布を提供することにある。
前記した本発明の課題は以下の手段により達成される。
密度が0.945〜0.965g/cmの線状低密度ポリエチレンからなり、単糸繊度が2.0dtex以下であり、単糸のΔnが0.035以上であることを特徴とするポリエチレンスパンボンド不織布。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布により、柔軟性をより向上させることができ、かつ単糸繊度が細いため触感も向上し、繊維の強度も高まるためシート加工時の破れ等もなく、さらにシート欠点が少ないため加工性をより向上させることができる。
以下、本発明のポリエチレンスパンボンド不織布について詳細に説明する。
本発明のポリエチレン(以下、PEとも言う)スパンボンド不織布はポリエチレン樹脂の繊維からなる。ポリエチレン樹脂とは繰り返し単位としてエチレン単位を有するポリマーを意味する。ポリエチレン樹脂を用いることで柔軟性に優れた不織布とすることができる。
スパンボンド不織布を構成するポリエチレン繊維はポリエチレン単成分の繊維であることが好ましい。ポリエチレンの繊維化においては他ポリマーとの複合(芯鞘、海島、サイドバイサイド)も可能であるが、本願発明ではポリエチレンの特性を十分に発現させ、かつ複合紡糸では到達しがたい細繊度化を達成するためポリエチレン単成分が好ましい。
PE樹脂には少量の他成分ポリマーがブレンドされていても良い。他成分ポリマーとしては融点がPEに近いポリプロピレン、ポリ4メチル1ペンテンなどのポリオレフィン系ポリマーの他、低融点ポリエステル、低融点ポリアミドが挙げられる。ただしポリエチレンの特性を十分発現させるため、ブレンド物の重量比率は5wt%以下が好ましく、2wt%以下がより好ましい。
またPE樹脂には着色のための顔料、酸化防止剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、耐熱安定剤等が添加されていても良い。
本発明で用いるPE樹脂は線状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEとも言う)である。PEには製法、物性の違いにより区分される高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、LLDPEがあり、それぞれ繊維用に検討されている。本発明ではLLDPEを用いることで細繊度、高強度が実現できる。
また本発明で用いるPE樹脂の密度は0.945〜0.965g/cmである。LLDPEの密度は共重合するモノマーの種類、量により変化するが、LLDPEとしては高密度である0.945〜0.965g/cmとすることで適度な結晶性を発現し、高強度化が達成できる。この観点から密度は0.950〜0.960g/cmがより好ましい。
本発明で用いるLLDPEには、本発明の目的を満足する限度で他のオレフィン類モノマー、スチレン類モノマーが共重合されていても良い。共重合成分としてはヘプテン、オクテンがシート欠点低減、細繊度の観点から好ましく、オクテンがより好ましい。また共重合比率は高強度化の観点から3.0mol%以下とすることが好ましく、1.0mol%以下とすることがより好ましい。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の目付けは5〜50g/mとすることが好ましい。目付が上記範囲であることで不織布の柔軟性を好適に発現することができる。この観点から目付けは10〜30g/mとすることがより好ましい。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布を構成する繊維の断面形状は丸が好ましい。扁平や異形断面では曲げる方向によっては同一断面積の丸断面に対し断面2次モーメントが大きくなることから繊維が固くなり、ポリエチレンの持つ柔軟性を損なう可能性があるため、丸断面が好ましい。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布を構成する繊維の単糸繊度は2.0dtex以下である。本発明でいう単糸繊度とは実施例記載の方法により測定された値を指す。単糸繊度を2.0dtex以下とすることで、ポリエチレンが持つ柔軟性に加え、単糸繊度が小さいことによる断面2次モーメントの低下も発現することで柔軟性がさらに向上し、かつ触感も向上する。この観点から単糸繊度は1.8dtex以下が好ましく、1.5dtex以下がより好ましい。なお単糸繊度の下限は0.5dtex程度である。
同様の理由でポリエチレンスパンボンド不織布を構成する繊維の繊維直径は17.0μm以下が好ましく、16.0μm以下がより好ましく、15.0μm以下がさらに好ましい。本発明でいう繊維直径とは実施例記載の方法により測定された値を指す。繊維直径の下限は8.0μm程度である。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布を構成する単糸のΔnは0.035以上である。本発明でいうΔnとは実施例記載の方法により測定された値を指す。Δnが0.035以上であることで分子配向が高くでき繊維の強度が高まる。この観点からΔnは0.037以上が好ましい。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布を構成する単糸強度は120MPa以上が好ましい。本発明でいう単糸強度とは実施例記載の方法により測定された値を指す。単糸強度が120MPa以上であることで加工時の糸切れが抑制でき加工性が優れる。この観点から単糸強度は130MPa以上がより好ましい。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の融点は127℃〜131℃であることが好ましい。本発明でいう融点とは実施例記載の方法により測定された値を指す。PE樹脂の融点は一般的には130〜135℃程度であり、分岐、他種モノマーの共重合により結晶性が低下し、融点も低下する。融点が127℃〜131℃であることで適切な結晶化度を持ち、繊維強度が向上する。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の結晶融解熱量は160〜175J/gが好ましく、165〜175J/gがより好ましい。本発明でいう結晶融解熱量とは実施例記載の方法により測定された値を指す。結晶融解熱量も融点と同様、分岐、他種モノマーの共重合により結晶性が低下し、結晶融解熱量も低下する。結晶融解熱量が160〜175J/gであることで適切な結晶化度を持ち、繊維強度が向上する。
本発明のポリエチレンスパンボンド不織布は医療衛生材料、生活資材、工業資材等に幅広く用いることができるが、柔軟性に優れ、触感も良好であり、強度も高く、製品欠点も少ないため加工性が良好であることから、特に衛生材料に好適に用いることができる。具体的には使い捨ておむつ、生理用品、湿布材の基布等である。
次に、本発明のポリエチレンスパンボンド不織布の製造方法の具体例を説明する。
用いる原料はLLDPE樹脂であり、その密度、共重合種と量、その他の添加物は前記したとおりである。
PE樹脂の融点も不織布の融点とほぼ同一であり、127℃〜131℃であることが好ましい。またPE樹脂はメルトインデックス(MI)が10〜100g/10分であることが好ましく、20〜40g/10分であることがより好ましい。なお、ここでいうメルトインデックスとはASTM D1238に準拠して、190℃、荷重2.16kgで測定した値を指す。
このような範囲のLLDPE樹脂を用いることで、高速で牽引しても曳糸性に優れるためシート欠点が少なく、かつ細繊度化が可能であり、高速牽引により分子配向を高めて繊維の強度を高めることができる。
PE樹脂は特に乾燥等を行うことなく、溶融紡糸に供する。溶融紡糸では単軸・2軸エクストルーダー型などの押出機を用いた公知の溶融紡糸手法を適用することができる。押し出されたポリマーは配管を経由しギアーポンプなど公知の計量装置により計量され、異物除去のフィルターを通過した後、口金へと導かれる。このときポリマー配管から口金までの温度(紡糸温度)は流動性を高めるため160〜250℃程度とする。
吐出において使用する口金は、口金孔の孔径Dを0.10mm以上、0.60mm以下とすることが好ましく、口金孔のランド長L(口金孔の孔径と同一の直管部の長さ)を孔径で除した商で定義されるL/Dは、1.0以上、4.0以下が好ましい。
口金孔から吐出した糸条は、空気により冷却固化させる。冷却風の温度は、冷却効率の観点から冷却風速とのバランスで決定すればよいが、繊度均一性の点から50℃以下であることが好ましい。また、冷却気体は糸条にほぼ垂直方向に流すことにより、糸条を冷却させる。その際、冷却風の速度は冷却効率および繊度均一性の点から5m/分以上が好ましく、製糸安定性の点から100m/分以下が好ましい。また、口金から20mm以上、500mm以内で冷却を開始し、冷却固化することが好ましい。20mm未満の距離で冷却を開始すると、口金表面温度が低下し吐出が不安定となることがあり、500mm以内で冷却を開始しない場合には、細化挙動の安定性が維持できず、安定した紡糸ができないことがある。
口金孔から吐出した糸条は、口金から400mm以上、7,000mm以内の位置で加速した空気流により牽引される。加速空気流は冷却風を吹かせる領域を密閉とし、紡糸線下流に向かうにしたがって、徐々に密閉領域の断面積を小さくすることにより空気流速を加速させるようにしても良いが、より高い空気流速を得るためにはエジェクターを用いることが好ましい。この空気流速によって糸条は加速され、繊維の走行速度である紡糸速度も空気流速と近い速度に到達する。なお紡糸速度は以下の式により算出する値を指す。
紡糸速度(km/分)=Q・10/D
Q:単孔吐出量(g/分)、D:単糸繊度(dtex)
紡糸速度は3.0km/分以上が細繊度、高強度化のためには好ましく、4.0km/分がより好ましい。なお空気流速も同様に3.0km/分以上が好ましい。また紡糸速度の上限は10.0km/分程度である。
空気牽引された糸条は、周囲の空気流速を減じるような開繊部を通過することにより開繊し、その後裏面から空気吸引されるネットコンベアーに着地し、捕集される。捕集されたウェブは10〜1200m/分でコンベアー搬送され、その後エンボス、カレンダー加工を行うことでスパンボンド不織布が得られる。
本願のポリエチレンスパンボンド不織布について、原料、プロセスの面から重要な点を下記する。
一つは密度が0.945〜0.965g/cmのLLDPEを用いる点である。スパンボンドは溶融紡糸かつ高速紡糸のプロセスになるため、従来から曳糸性に優れるLLDPEを用いる技術が提案されていた。ここで重要になるのが密度、すなわち結晶化度である。発明者らは細繊度かつ高強度のポリエチレンスパンボンド不織布を得るため、吐出した糸条の細化と固化の挙動を調べた結果、HDPEでは結晶化が早いため固化が早く高速紡糸で糸切れする一方で、密度が低いLLDPEでも高速紡糸において糸切れすることが分かった。このためLLDPEの中でも密度が0.945〜0.965g/cmと高いものを用いることで細繊度かつ糸切れの少ないシートを得ることに成功した。これはHDPEとは異なる分岐成分(オクテン、ヘプテン由来)に起因した伸長粘度特性のため曳糸性が向上し細化が緩やかとなり、かつ結晶性はHDPE同等であるため結晶化に起因する固化も速やかに起こるためと推測している。
もう一点は、3km/分以上の紡糸速度での高速紡糸である。スパンボンドは高速紡糸プロセスであるが、固化した後に繊維を引き伸ばすことはないため、繊維の強度は固化するまでに形成される繊維構造に支配される。このため高強度化には細化完了から固化するまでの間に繊維に高い応力を与え、分子鎖を高配向状態で固定することが重要となる。糸条に高い応力を与える手段としてはスパンボンドにおいては高速紡糸が有効であるが、ポリマー種によっては紡糸線上流(口金に近い場所)での細化が進みやすくなり場合によっては糸切れとなる。本願発明ではLLDPEを用いることで細化を緩やかとし、紡糸線上流での糸切れを防ぐとともに、結晶化に起因する固化までの間で十分な応力を付与して分子鎖を配向させ、かつ十分結晶化することで構造を固定できるため高強度化できると推測している。
このように密度が0.945〜0.965g/cmのLLDPEと3.0km/分以上を超える高速での空気牽引の組み合わせにより、細繊度のため柔軟性により優れ、高強度であり、加工性に優れるポリエチレンスパンボンド不織布が得られるのである。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
A.繊維直径、単糸繊度
繊維の側面の顕微鏡観察から繊維の直径を求め、1水準につき10回測定を行い、平均値を繊維直径とした。次に繊維を丸断面として扱い、繊維直径から以下の式を用いて単糸繊度を求めた。
単糸繊度(dtex)=π・ρ・d/400
ρ:樹脂密度(g/cm)、d:繊維直径(μm) 。
B.単糸のΔn
不織布から抜き出した単糸を用い、偏光顕微鏡(OLYMPUS社製BH−2)を用いコンペンセーター法により試料1水準につき3回の測定を行い、平均値として求めた。
C.熱特性
示差走査熱量計(TA Instruments社製DSCQ1000)で窒素下、昇温速度16℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、吸熱ピークの温度を融点(Tm)とし、Tmでの融解熱量をΔHm(J/g)とした。
D.単糸強度
カレンダー加工を行う前のウェッブを採取し、ここから単糸を約50mm引き出し、JIS L1013:2010記載の方法に準じて、試料長20mm、引張速度20mm/分の条件で、(株)オリエンテック社製テンシロンUCT−100を用い1水準当たり10回の測定を行い、平均値を強力(cN)とした。またA.で求めた繊維直径を丸断面と仮定して繊維断面積を求め、強力を繊維断面積で除して単糸強度(MPaとした。
E.シート欠点
スパンボンド不織布の幅(CD)方向の中心で10cm角の領域をルーペで目視観察し、糸切れに起因して繊維径が平均の繊維直径よりも3倍以上太くなっているもの、また繊維の切れ端が丸くなって平均の繊維直径よりも3倍以上太く見えるものを欠点として扱い、その個数を数えた。この観察を不織布の長手(MD)方向に5回繰り返し、合計の個数をシート欠点数とした。
F.シート柔軟性
シート触感の官能評価を行い、柔軟性に優れるものを5点、劣るものを1点として絶対評価で点数をつけた。これを10名で行い平均点を柔軟性(点)とした。
G.シート加工性
シートをゴム製のニップローラーを用いて20m/分で5分間走行させた。このときのロール付着物、シートの状態を観察し、以下の基準で点数付けを行い加工性(点)とした。
5点:ロールに繊維付着物がなく、シートの毛羽、破れも見られない。
4点:ロールに繊維付着物があるが、シートの毛羽、破れは見られない。
3点:ロールに繊維付着物があり、シートの毛羽もあるが、破れは見られない。
2点:ロールに繊維付着物があり、シートの毛羽もあり、破れがある。
1点:シートの破れによりロールにシートが巻きつく。
実施例1
密度、MIが表1に記載された値を持つLLDPE樹脂(オクテン共重合比率0.3mol%)を用い、単軸エクストルーダーにて溶融押出しし、ギアーポンプで計量しつつ紡糸口金に樹脂を供給した。紡糸温度(口金温度)は230℃とし、孔径Dが0.30mm、ランド長Lが0.70mmの口金孔をCD方向に600個/m有する口金より、単孔吐出量0.6g/分の条件でポリマーを吐出した。なお、口金孔の直上に位置する導入孔はストレート孔とし、導入孔と口金孔の接続部分はテーパーとしたものを用いた。吐出したポリマーは50mmの保温領域を通過させた後、25℃、40m/分の空気流により糸条の外側から冷却し固化させた。その後、口金から550mmの位置に設置したエジェクターにて加速した空気流で牽引した。エジェクターを通過した糸条はネットコンベアー上に捕集させ、20m/分の速度で搬送した。その後、カレンダー加工を行い18g/mのポリエチレンスパンボンド不織布を得た。
単糸繊度と単孔吐出量から計算した紡糸速度も表1に示す。紡糸速度は4.0km/分となったが、約10分のテスト中、目立った糸切れは見られず曳糸性は良好であった。
得られたシート特性も表1に示す。表1から分かるようにシート欠点が少なく、単糸繊度が2.0dtex以下と細いため柔軟性に優れ、加工性にも優れることが分かる。
実施例2、3、比較例1
エジェクターでの牽引速度を変更し紡糸速度を変化させた以外は実施例1と同様の条件でテストを行い、ポリエチレンスパンボンド不織布を得た。
単糸繊度と単孔吐出量から計算した紡糸速度を表1に示す。紡糸速度が5.0km/分の実施例2は10分のテスト中、目立った糸切れは見られず曳糸性は良好であった。
得られたシート特性を表1に示す。比較例1では単糸繊度が2.5dtexのため柔軟性に劣り、かつΔnが小さいため単糸強度が低く、加工性にも劣る。実施例2、3では単糸繊度が小さいため柔軟性に優れ、シート欠点が少なく、単糸強度も高く加工性に優れることが分かる。
比較例2、3
PEを表1のように変更した以外は実施例1と同様の条件でテストを行った。いずれも糸切れが多発しシートが得られなかったため、表1の紡糸速度とすることでポリエチレンスパンボンド不織布を得た。
得られたシート特性も表1に示す。比較例2は単糸繊度が2.5dtexのため柔軟性に劣り、かつΔnが小さいため単糸強度が低く、シート欠点も多いため加工性に劣る。比較例3も同様にシート欠点が多いため加工性に劣ることが分かる。
Figure 2018053412

Claims (1)

  1. 密度が0.945〜0.965g/cmの線状低密度ポリエチレンからなり、単糸繊度が2.0dtex以下であり、単糸のΔnが0.035以上であることを特徴とするポリエチレンスパンボンド不織布。
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WO2021200371A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07 東レ株式会社 スパンボンド不織布

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