JP2018052850A - 生理活性を有する組成物 - Google Patents

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Masayuki Taniguchi
正之 谷口
秋人 落合
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秋人 落合
伸彦 橘
Nobuhiko Tachibana
伸彦 橘
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Abstract

【課題】本発明は、優れた抗菌活性、エンドトキシン中和活性、及び創傷治癒活性を有し、長期間処方しても安全性に優れる組成物及びその用途を提供することを目的とする。また、本発明は、優れた抗菌活性、エンドトキシン中和活性、及び創傷治癒活性を有し、長期間処方しても安全性に優れるペプチドを提供することを目的とする。【解決手段】以下の(A)〜(B)のペプチドのいずれかを有効成分として含有することを特徴とする生理活性を有する組成物が、優れた抗菌活性、エンドトキシン中和活性、及び創傷治癒活性を有することを見出した。(A)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド(B)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列において1個〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド。【選択図】なし

Description

本発明は、生理活性を有する組成物に関する。
人は、加齢とともに発音、咀嚼、嚥下、唾液分泌などの口腔機能が低下する。なかでも唾液分泌が低下すると、歯周病や口内炎、齲蝕(虫歯)、口臭といった口腔疾患が増大する。また、皮膚の疾患や傷害によって皮膚のバリア機能や保湿機能が低下する。更に、乳幼児や高齢者の免疫機能は低いため、病原菌に感染しやすい。これらの機能の低下は、国民の健康の維持と増進にとって重大な課題である。
これまで、口腔ケア用品等に添加される抗菌成分又は殺菌成分としては、エタノール等の有機溶剤や抗生物質などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、前記有機溶剤を用いた口腔ケア用品は、体質的に受け入れられないという問題、乳幼児には使用できないという問題があり、前記抗生物質を用いた口腔ケア用品では、長期間使用により耐性菌が出現するという問題がある。
一方、動物、植物、昆虫、微生物等の様々な生物には、外界からの病原微生物の侵入に対して自己防御するための自己生体防御機構が本来備っており、多糖分解酵素や溶菌酵素などのタンパク質やアミノ酸が約10個〜約50個程度からなる抗菌ペプチドを生物自らが産生している。これらの抗菌成分は、前記抗生物質と比較して広範囲な抗菌活性を有し、耐性菌を生じさせにくいという特性を有することから、口腔用抗菌剤としての利用が期待されている。
生物由来の抗菌剤として、例えば、イネ由来の抗菌タンパク質であるオリザシスタチンが知られている。しかしながら、オリザシスタチンは、歯周病原因菌(Porphyromonas gingivalis等)のジンジパインを阻害することが知られているものの、その菌体に対して直接抗菌活性を示すものではない。
イネゲノム中にはディフェンシンなど既知の抗菌タンパク質のホモログが存在するが、イネの生体防御に対する寄与は不明である。
本発明者らは、イネ種子に由来し、歯周病の治療や予防に有効な、歯周病菌のプロテアーゼに対する阻害活性を有するペプチドを報告している(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、未だ、生物由来であって、菌体に対して強い抗菌作用を有し、且つ、エンドトキシン中和活性、創傷治癒活性のような生理活性を有する組成物の開発が望まれているのが現状である。
特開2007−84471号公報 特許第4982908号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた抗菌活性、エンドトキシン中和活性、及び創傷治癒活性を有し、長期間処方しても安全性に優れる組成物及びその用途を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗菌活性、エンドトキシン中和活性、及び創傷治癒活性を有し、長期間処方しても安全性に優れるペプチドを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下の(A)〜(B)のペプチドのいずれかを有効成分として含有することを特徴とする生理活性を有する組成物が、優れた抗菌活性、エンドトキシン中和活性、及び創傷治癒活性を有することを見出し本発明を完成させた。
(A)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド
(B)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列において1個〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド。
すなわち本発明は、
(1)以下の(A)〜(B)のペプチドのいずれかを有効成分として含有することを特徴とする生理活性を有する組成物、
(A)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド
(B)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列において1個〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド、
(2)生理活性が、抗菌活性、エンドトキシン中和活性または創傷治癒活性である、(1)記載の生理活性を有する組成物、
(3)以下の(A)〜(B)のペプチドのいずれかを有効成分とする生理活性剤、
(A)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド
(B)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列において1個〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド、
(4)生理活性剤が、抗菌剤、エンドトキシン中和剤または創傷治癒剤である、(3)記載の生理活性剤、
である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、優れた抗菌活性、エンドトキン中和活性、及び創傷治癒活性を有し、長期間処方しても安全性に優れる生理活性を有する組成物、及びその用途を提供することができる。
また、本発明によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、優れた抗菌活性、エンドトキン中和活性、及び創傷治癒活性を有し、長期間処方しても安全性に優れるペプチドを提供することができる。
配列番号4〜6のペプチドのグラム陰性菌(P. gingivalis ATCC 33277)に対する抗菌活性を測定した結果を示すグラフである。 配列番号4〜6のペプチドのグラム陽性菌(P. acnes JCM 6473)に対する抗菌活性を測定した結果を示す図である。 配列番号4〜6のペプチドのグラム陽性菌(S. mutans JCM 5705)に対する抗菌活性を測定した結果を示すグラフである。 配列番号4〜6のペプチドの真菌(C. albicans NBRC 1385)に対する抗菌活性を測定した結果を示すグラフである。 配列番号4〜6のペプチドのエンドトキシン中和活性を測定した結果を示すグラフである。 LL−37のHUVECに対する血管新生(管腔形成)促進作用を測定した結果を示すグラフである。 各ペプチドのHUVECに対する血管新生(管腔形成)促進作用を測定した結果を示すグラフである。
(生理活性を有する組成物)
本発明の生理活性を有する組成物は、以下の(A)〜(B)のペプチドのいずれかを有効成分として含有することからなる。
(A)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド
(B)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列において1個〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
本発明でいう生理活性とは、抗菌活性、エンドトキシン中和活性、及び創傷治癒活性をいう。
本発明の抗菌活性としては、例えば、歯周病の原因となるグラム陰性細菌(P. gingivalis ATCC 33277)に対する抗菌活性、う蝕(虫歯)の原因となるグラム陽性菌(S. mutans JCM 5705)に対する抗菌活性、にきび(アクネ)の原因となるグラム陽性菌(P. acnes JCM 6473)に対する抗菌活性、日和見感染症の原因となる真菌(C. albicans NBRC 1385)に対する抗菌活性が挙げられる。
本発明のエンドトキシン中和活性は、カブトガニ血球抽出物を用いたリムルステストにおいて、エンドトキシンが引き起こす反応を阻害する活性が挙げられる。
本発明の創傷治癒活性としては、例えば、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞の管腔形成促進作用に基づくものが挙げられる。
(ペプチド)
前記ペプチドは、配列番号4〜6で表されるアミノ酸配列からなるペプチドに限定されず、抗菌活性、エンドトキシン中和活性、及び創傷治癒活性の生理活性を有する限り、配列番号4〜6で表されるアミノ酸配列において1個〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。
(配列番号4)
RKSREWRSKKTQPRRPR
(配列番号5)
KNQYGRIRVLQRFNQR
(配列番号6)
RIRLLQRFNKR
配列番号4〜6で表されるアミノ酸配列からなるペプチドは、例えば、大豆タンパク質より得ることができるし、また、化学合成により得ることもできる。
配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチドは、大豆タンパク質のグリシニン成分の配列番号1から見出され(配列番号1の下線部分: 348〜364番目の17残基)、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるペプチドは、大豆タンパク質のβ-コングリシニン成分のαサブユニットの配列番号2から見出され(配列番号2の下線部分:208〜223番目の16残基)、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるペプチドは、大豆タンパク質のβ-コングリシニン成分のβサブユニットの配列番号3から見出される(配列番号3の下線部分:52〜62番目の11残基)。
配列番号1〜3の配列を以下に示す。
(配列番号1)
MGKPFTLSLS SLCLLLLSSA CFAISSSKLN ECQLNNLNAL EPDHRVEFEG
GLIQTWNSQH PELKCAGVTV SKLTLNRNGL HLPSYSPYPR MIIIAQGKGA
LQCKPGCPET FEEPQEQSNR RGSRSQKQQL QDSHQKIRHF NEGDVLVIPP
GVPYWTYNTG DEPVVAISLL DTSNFNNQLD QTPRVFYLAG NPDIEYPETM
QQQQQQKSHG GRKQGQHQQE EEEEGGSVLS GFSKHFLAQS FNTNEDIAEK
LQSPDDERKQ IVTVEGGLSV ISPKWQEQQD EDEDEDEDDE DEQIPSHPPR
RPSHGKREQD EDEDEDEDKP RPSRPSQGKR EQDQDQDEDE DEDEDQPRKS
REWRSKKTQP RRPRQEEPRE RGCETRNGVE ENICTLKLHE NIARPSRADF
YNPKAGRIST LNSLTLPALR QFQLSAQYVV LYKNGIYSPH WNLNANSVIY
VTRGQGKVRV VNCQGNAVFD GELRRGQLLV VPQNFVVAEQ AGEQGFEYIV
FKTHHNAVTS YLKDVFRAIP SEVLAHSYNL RQSQVSELKY EGNWGPLVNP
ESQQGSPRVK VA
(配列番号2)
MMRARFPLLL LGLVFLASVS VSFGIAYWEK ENPKHNKCLQ SCNSERDSYR
NQACHARCNL LKVEKEECEE GEIPRPRPRP QHPEREPQQP GEKEEDEDEQ
PRPIPFPRPQ PRQEEEHEQR EEQEWPRKEE KRGEKGSEEE DEDEDEEQDE
RQFPFPRPPH QKEERKQEED EDEEQQRESE ESEDSELRRH KNKNPFLFGS
NRFETLFKNQ YGRIRVLQRF NQRSPQLQNL RDYRILEFNS KPNTLLLPNH
ADADYLIVIL NGTAILSLVN NDDRDSYRLQ SGDALRVPSG TTYYVVNPDN
NENLRLITLA IPVNKPGRFE SFFLSSTEAQ QSYLQGFSRN ILEASYDTKF
EEINKVLFSR EEGQQQGEQR LQESVIVEIS KEQIRALSKR AKSSSRKTIS
SEDKPFNLRS RDPIYSNKLG KFFEITPEKN PQLRDLDIFL SIVDMNEGAL
LLPHFNSKAI VILVINEGDA NIELVGLKEQ QQEQQQEEQP LEVRKYRAEL
SEQDIFVIPA GYPVVVNATS NLNFFAIGIN AENNQRNFLA GSQDNVISQI
PSQVQELAFP GSAQAVEKLL KNQRESYFVD AQPKKKEEGN KGRKGPLSSI
LRAFY
(配列番号3)
MMRVRFPLLV LLGTVFLASV CVSLKVREDE NNPFYFRSSN SFQTLFENQN
GRIRLLQRFN KRSPQLENLR DYRIVQFQSK PNTILLPHHA DADFLLFVLS
GRAILTLVNN DDRDSYNLHP GDAQRIPAGT TYYLVNPHDH QNLKIIKLAI
PVNKPSRYDD FFLSSTQAQQ SYLQGFSHNI LETSFHSEFE EINRVLFGEE
EEQRQQEGVI VELSKEQIRQ LSRRAKSSSR KTISSEDEPF NLRSRNPIYS
NNFGKFFEIT PEKNPQPRDL DIFLSSVDIN EGALLLPHFN SKAIVILVIN
EGDANIELVG IKEQQQKQKQ EEEPLEVQRY RAELSEDDVF VIPAAYPFVV
NATSNLNFLA FGINAENNQR NFLAGEKDNV VRQIERQVQE LAFPGSAQDV
ERLLKKQRES YFVDAQPQQK EEGSKGRKGP FPSILGALY
「1個〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加された」とは、部位特異的変異法等の公知の変異ペプチド作製法により欠失、置換又は付加できる程度の数(好ましくは1〜2個、より好ましくは1個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加されることを意味する。このような変異ポリペプチドは、公知の変異ポリペプチド作製法により人為的に導入された変異を有するポリペプチドに限定されるものではなく、天然に存在するタンパク質から単離精製したものであってもよい。タンパク質のアミノ酸配列中のいくつかのアミノ酸が、当該タンパク質の構造又は機能に有意に影響することなく容易に改変され得ることは、本技術分野において周知である。更に、人為的に改変させるだけでなく、天然のタンパク質において、当該タンパク質の構造又は機能を有意に変化させない変異体が存在することもまた周知である。好ましい変異体は、保存性又は非保存性アミノ酸置換、欠失、若しくは付加を有する。より好ましくは、保存性置換、欠失、又は付加であり、特に好ましくは、保存性置換である。
(その他の成分)
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、添加剤、補助剤、水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記生理活性を有する組成物中の前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
前記生理活性を有する組成物の用途としては、例えば、抗菌剤、エンドトキシン中和剤、創傷治癒剤などが好適に挙げられる。
(飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品又は飼料)
本発明の飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品又は飼料は、前記生理活性を有する組成物を含有してなる。
前記飲食品としては、特に制限はなく、例えば、各種の清涼飲料水、果汁飲料、和洋菓子、乳製品その他の畜産加工品、果実加工品、野菜加工品、穀物の加工品、水産加工品、調味料、ビタミンなどを主成分としたいわゆる各種の健康食品など数多くの飲食品が挙げられる。
前記医薬品、医薬部外品としては、特に制限はないが、歯周病治療剤、口内炎治療剤、薬用トローチ、薬用のど飴、洗口液、練歯磨き、などが好適に挙げられる。
前記化粧品又は飼料としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下に実施例を記載することで本発明を説明するが、本発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。尚、例中の部及び%は特に断らない限り重量基準を意味するものとする。
(実施例1)大豆タンパク質由来ペプチドの抗菌活性
配列番号1に示す大豆タンパク質(グリシニン)から見出した配列番号4のペプチド、配列番号2に示す大豆タンパク質(β-コングリシニンαサブユニット)から見出した配列番号5のペプチド、及び配列番号3に示す大豆タンパク質(β-コングリシニンβサブユニット)から見出した配列番号6のペプチドの特徴を表1に示す。
各ペプチドは、株式会社医学生物学研究所に委託して、合成した。配列番号4、5、および6の各ペプチドの表2に示す被験菌に対する抗菌活性を測定した。
(表1)大豆タンパク質由来生理活性ペプチドの特徴
(表2)被験菌として使用した疾病に関連する微生物
(抗菌試験)
グラム陰性細菌(P. gingivalis ATCC 33277)は、変法GAM培地(1L中、ペプトン5.0g、ダイズペプトン3.0g、プロテオーゼペプトン5.0g、消化血清末10.0g、酵母エキス末2.5g、肉エキス末2.2g、肝臓エキス末1.2g、ブドウ糖0.5g、溶性デンプン5.0g、L−トリプトファン0.2g、L−システイン塩酸塩0.3g、チオグリコール酸ナトリウム0.3g、L−アルギニン1.0g、ビタミンK10.005g、ヘミン0.01g、リン酸二水素カリウム2.5g、塩化ナトリウム3.0g、pH7.3)を用いて絶対嫌気条件下、37℃で48時間静置培養した。
グラム陽性細菌(S. mutans JCM 5705)は、BHI培地(1L中、豚脳エキス末4.0g、豚ハートエキス末4.0g、ペプトン17.5g、ブドウ糖2.0g、塩化ナトリウム5.0g、リン酸水素二ナトリウム2.5g、pH7.2)を用いて、通性嫌気条件下、37℃で6時間静置培養した。
グラム陽性細菌(P. acnes JCM 6473)は、GAM培地(1L中、ペプトン10.0g、ダイズペプトン3.0g、プロテオーゼペプトン10.0g、消化血清末13.5g、酵母エキス5.0g、肉エキス2.2g、肝臓エキス1.2g、ブドウ糖3.0g、リン酸二水素カリウム2.5g、塩化ナトリウム3.0g、溶性デンプン5.0g、L−システイン塩酸塩0.3g、チオグリコール酸ナトリウム0.3g、pH7.1)を用いて、通性嫌気条件下、37℃で24時間静置培養した。
真菌(C. albicans NBRC 1385)は、YM培地(1L中、グルコース10.0g、ペプトン5.0g、酵母エキス3.0g、麦芽エキス1.0g、pH6.2)を用いて、通性嫌気条件下、25℃で24時間静置培養した。
被験菌に対する抗菌活性試験は、以下の手順で行った。被験菌の培養に用いたものと同じ培地に、80μLの各被験菌の培養液を播種した後、所定の温度に設定したインキュベーターに入れて所定の時間培養した。その後、新たな培地に植え継いで、さらに所定の時間培養した。得られた前培養液を段階希釈することでOD650=5.0×10−5の種菌液を調製した。
次に、リザーバーを用意して、各レーンに300μLの1.33倍濃度の培地、100μLの各ペプチド溶液(等電点電気泳動によって分画した各フラクションの濃度は1.5mg/mLに調節した。また化学合成したペプチドの濃度は、100μM、200μMまたは300μMに調節した。)、100μLの前記種菌液を添加してよく混合した。
コントロールとブランクには、ペプチド溶液の代わりに同量の滅菌水を添加し、更にブランクには種菌液の代わりに1倍濃度の各培地を同量添加した。ペプチド溶液を添加したもの、コントロール及びブランクのそれぞれを96ウェル培養プレート(#3595、Corning社製)のウェルに100μLずつ分注し、前記各被験菌の培養条件と同じ条件で培養を行った。
(抗菌活性の評価方法)
各ペプチドの抗菌活性は、生菌に由来するATPを定量することによって評価した。
生菌に由来するATPの定量は、BacTiter・Glo(登録商標)Microbial Cell Viability Assay Kit(Promega社製)を用いたルシフェリン−ルシフェラーゼ発光法により行った。以下のように微生物からATPを抽出し、ATP量に応じた発光強度から微生物量を測定した。
具体的には、まず、培養プレートの各ウェルに分注した100μL被験菌培養液に対して10μLのルシフェールATP消去試薬(キッコーマン株式会社製)を添加し、10分間撹拌することによって生菌体外に存在するATPを分解消去させてサンプルとした。
次に、あらかじめ96穴プレート(OptiPlate−96、PerkinElmer社製)の各ウェルに分注した50μLのATP発光試薬に対して、前記サンプルを50μL添加した。各ウェルの生菌に由来するATP発光強度(発光波長560nm)を、マイクロプレートリーダー1420 (Multilabel Counter Arvo(登録商標)MX、PerkinElmer社製)を用い、Relative Light Unit (RLU)として測定した。1サンプルについて3回測定を行い、測定は、各菌の対数増殖初期において行った。抗菌活性は、抗菌成分を含まないコントロールのRLUを100%とし、それぞれの濃度のおけるRLUから増殖率を求め、各ペプチドの増殖阻害率を算出した。
これらの抗菌活性を測定した結果を図1〜4に示した。
図1から図4の結果から明らかなように、前記の3種類のペプチド(配列番号4、5、及び6)は、いずれもP. gingivalis ATCC 33277、グラム陽性菌のP. acnes JCM 6473及びS. mutans JCM 5705及び真菌のC. albicans NBRC 1385に対して抗菌活性を示した。
(実施例2)ペプチドのエンドトキシン中和活性
実施例1で用いた3種のペプチドのエンドトキシン中和活性は、「エンドスペシーES−50Mセット」(生化学工業株式会社製)及び「エンドトキシン標準品CSE−Lセット」(生化学工業株式会社製)を用いて評価した。
96ウェルプレート(#3595 マルチプルウェルプレート(平底)、Corning社製)の各ウェルにエンドトキシン標準品(0.10EU/mL)25μL及びペプチド溶液(最終濃度0.1 μM, 0.5μM、及び1μM)を加えて、37℃にて30分間又は35分間振盪しながらインキュベーションした。次に、50μLの前記セットに含まれていたLAL試薬を各ウェルに添加し、37℃で10分間振盪しながらインキュベーションした。その後、マイクロプレートリーダー(2030 Arvo X、PerkinElmer社製)を用いて、波長405nmの吸光度を測定した。ペプチド溶液の代わりに蒸留水(エンドトキシンフリー)を添加したものをコントロールとし、コントロール(0μM)の吸光度を100%とした時の相対値をエンドトキシン中和活性とした。
3種類のペプチドのエンドトキシン中和活性を測定した結果を図5に示した。図5から明らかなように、配列番号4,5,及び6のペプチドは、すべて濃度依存的にエンドトキシンを中和することが示された。特に、配列番号4と5の中和活性は、0.4μMにおいてエンドトキシンの反応を100%抑制したことから、医療用の抗菌薬であり、0.1μMにおいて約50%の中和活性を示すポリミキシンB(P1004−1、Sigma社製)に匹敵する活性を有していた。
(実施例3)ペプチドの創傷治癒活性
実施例1で用いたペプチドの創傷治癒作用を、HUVEC(ヒト臍帯静脈血管内皮細胞、倉敷紡績株式会社製、KE−4109)の管腔形成促進作用に基づいて評価した。
96穴プレート(#3595, Corning社製)を用いて、HUVECを3日間〜4日間コンフルエントな状態になるまで培養した後、HEPES緩衝液(倉敷紡績株式会社製、HK−3320)を用いて洗浄し、不純物を取り除いた。次に、トリプシン/EDTA(倉敷紡績株式会社製、HK−3120)で3分間処理し、剥がれてきたHUVECを回収し、トリプシン中和液(倉敷紡績株式会社製、HK−3220)に添加した。この細胞懸濁液を800rpmで5分間遠心分離した後、上澄液を除去し、HuMedia−EG2(倉敷紡績株式会社製、KE−2150S)を加えて細胞濃度を2.0×105cells/mLに調整した。得られた細胞懸濁液と各ペプチドとを1:1の割合で混合した。
本実験では、ヒト由来の創傷治癒作用を有する生体防御ペプチドとして知られているLL−37(LLGDF FRKSK EKIGK EFKRI VQRIK DFLRN LVPRTDS:(配列番号7)/株式会社ペプチド研究所製、4445−s)をポジティブコントロールとして用いて、化学合成したペプチドの管腔形成促進作用と比較した。
なお、LL−37がヒト由来の創傷治癒作用を有する生体防御ペプチドであることは、例えば、1)M. Carretero, M.J.Escamez, M.Garc?a, B.Duarte, A.Holguin, L.Retamosa, J.L.Jorcano, M.del Rio, and F.Larcher: In vitro and in vivo wound healing promoting activity of human cathelicidin LL−37. Journal of Investigative Dermatology, (2008) Vol.128, pp.233−236.、2)R.Ramos, J.P.Silva, A.C.Rodrigues, R Costa, L.Guardao, F.Schmitt, R. Soares, M.Vilanova, L.Domingues, and M.Gama: Wound healing activity of the human antimicrobial peptide LL37. Peptides, (2011) Vol.32, pp.1469−1476.などに記載されている。
マトリゲル(Becton Deckinson and Company、 354234)は常温では固まり、4℃で液体状態になるため、はじめに40μLのマトリゲルを氷上で96穴プレート(#3595, Corinig社製)に添加した。添加したマトリゲルを37℃で30分間インキュベートした後、予め準備しておいた細胞懸濁液と各ペプチド、又はLL−37との混合液(100μL)を添加し、15時間培養した。
マトリゲル内でHUVECが形成した管腔構造を、顕微鏡を用いて40倍の倍率で観察し、写真撮影を行った。また、得られた画像から300×400pixelの範囲を抽出し、形成された管腔構造をした細胞の長さの合計値を測定し、各ペプチドの創傷治癒作用を評価した。
LL−37及び各ペプチドのHUVECに対する血管新生(管腔形成)促進作用を図6-1と図6-2に示した。
図6-1に示すように、ポジティブコントロールとして用いたLL−37は、0.1μM、1.0μM、10μMと濃度が高くなるにつれて、顕微鏡観察した細胞の写真からもわかるように、管腔構造をした細胞の長さを徐々に促進した。
また、図6-2に示すように、配列番号4,5,及び6の3種類のペプチドは、すべて管腔構造をした細胞の長さを徐々に促進した。また、10 μMのペプチドを添加した実験において、顕微鏡観察した細胞の写真を、それぞれ示す。顕微鏡観察の結果から、10 μMのペプチドを添加したときに、無添加の場合に比べて細胞の増殖が促進され、10 μMのLL−37を添加したときと同じように、管腔構造をした細胞の長さが増加していることがわかった。細胞の長さを定量した結果、特に配列番号5は、LL−37に比べて、HUVECの管腔形成促進作用が強いことがわかった。
したがって、3種類のペプチド(配列番号4、5及び6)は、血管新生(管腔形成)促進作用を示し、創傷治癒活性を有することがわかった。
(実施例4)化学合成したペプチドの溶血活性
緬羊脱繊維無菌血液(0102−1、株式会社日本バイオテスト研究所製、以下「赤血球」とも称する)を用いて、前記ペプチドの溶血活性を試験した。
マイクロチューブ中にて、40μlの赤血球を960μlの生理的食塩を含むリン酸緩衝液(PBS: pH 7.2)に4体積%になるように懸濁して懸濁液とした。前記懸濁液を5,000rpmにて、5分間遠心分離した後、上澄液を除き、新たに960μLのPBSを加えて赤血球を再懸濁した。この操作を3回繰り返した後、得られた赤血球をサンプルとして用いた。任意の濃度に希釈された前記ペプチド溶液、又は0.1質量% TritonX−100(595−13135、和光純薬工業株式会社製)を96穴プレート(#3595、Corning社製)の各ウェルに50μlずつ分注した。次に、4体積%の赤血球懸濁液を各ウェルに50μLずつ分注した後、37℃にて1時間インキュベーションした。その後、4,000rpmにて10分間遠心分離を行った。遠心分離によって得られた50μLの上澄液を、あらかじめ50μLのPBS又は水を分注しておいたウェルに添加した。マイクロプレートリーダー(2030 ArvoTM X、PerkinElmer社製)を用いて、各ウェルの405nmにおける吸光を測定した。前記ペプチドを添加しないときの吸光度を0%、及び前記ペプチドの代わりに0.1質量% TritonX−100を添加したときの吸光度を100%として、次の式を用いて溶血活性を評価した。
溶血活性(%)=(Apeptide−A)×100/(ATritonX−100−A
ここで、Aは無添加のときの吸光度、Apeptideは各ペプチドを添加したときの吸光度、及びATritonX−100は0.1質量%TritonX−100を添加したときの吸光度をそれぞれ示す。
強い抗菌活性を有するが、同時に強い溶血活性を持つハチ毒中の抗菌ペプチドであるMelittin(511−97531、Serva Electrophoresis社製)は、10μMにおいて94%の溶血活性を示した。一方、配列番号4、5及び6の3種類のペプチドの溶血活性は、200μMの濃度においてそれぞれ0.4%、31.3%、及び0.7%であり、配列番号5のペプチドを除いて、溶血率が1%以下であり、ほとんど溶血活性を示さなかった。

Claims (4)

  1. 以下の(A)〜(B)のペプチドのいずれかを有効成分として含有することを特徴とする生理活性を有する組成物。
    (A)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド
    (B)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列において1個〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
  2. 生理活性が、抗菌活性、エンドトキシン中和活性または創傷治癒活性である、請求項1記載の生理活性を有する組成物。
  3. 以下の(A)〜(B)のペプチドのいずれかを有効成分とする生理活性剤。
    (A)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列からなるペプチド
    (B)配列番号(4)〜(6)で表されるアミノ酸配列において1個〜3個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド
  4. 生理活性剤が、抗菌剤、エンドトキシン中和剤または創傷治癒剤である、請求項3記載の生理活性剤。
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