JP2018052185A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気入りタイヤは、バイアス構造であり、タイヤ幅方向に一列に設けられた複数の積層ビードコア5a,5b,5cを有する。前記空気入りタイヤのタイヤ断面において、最内側ビードコア5aに関して、タイヤ径方向の最も外側に位置する最外ビードワイヤ列よりタイヤ径方向内側の内側ビードワイヤ列の1つは、ビードワイヤの配列本数が前記最外ビードワイヤ列よりも多く、前記複数のビードワイヤ列の中でビードワイヤの配列本数が最大となる最大ビードワイヤ列である。前記最内側ビードコアに、複数のカーカス層3a、3b,3cのうち最も近くに位置するカーカス層3aの、最内側ビードコアに巻き付けるために前記最内側ビードコアに接近する部分の、前記最内側ビードコアの幅中心線に対する傾斜角度は、10度以上である。
【選択図】図2
Description
当該空気入りタイヤは、
前記空気入りタイヤの両側のビード部のそれぞれにタイヤ幅方向に一列に設けられた複数のビードコアと、
前記ビードコアのそれぞれの周りに巻きつけられて折り返された複数のカーカス層と、
前記空気入りタイヤのトレッド部に、前記カーカス層に対して、前記空気入りタイヤのタイヤ径方向の外側に設けられた複数のベルトと、
前記トレッド部に、前記ベルトの前記タイヤ径方向の外側に設けられたトレッドゴムと、を備える。
前記ビードコアのそれぞれは、前記ビード部のビードベース面に沿った方向に複数のビードワイヤが配列されたビードワイヤ列がタイヤ周上を1周した周回層がタイヤ径方向に複数段積み重なった構成の積層ビードコアである。
前記空気入りタイヤのタイヤ回転軸を含む平面で前記空気入りタイヤを切断したタイヤ断面において、前記ビードコアのうち前記タイヤ幅方向の最も内側に位置する最内側ビードコアに関して、前記ビード部の前記ビードワイヤ列のうち前記タイヤ径方向の最も外側に位置する最外ビードワイヤ列よりタイヤ径方向内側の内側ビードワイヤ列の1つは、ビードワイヤの配列本数が前記最外ビードワイヤ列よりも多く、前記複数のビードワイヤ列の中でビードワイヤの配列本数が最大となる最大ビードワイヤ列である。
前記カーカス層のうち前記最内側ビードコアに最も近くに位置するカーカス層の、前記タイヤ幅方向の内側から前記最内側ビードコアに巻き付けるために前記最内側ビードコアに接近する部分の、前記最内側ビードコアの幅中心線に対する傾斜角度は、10度以上である。
最外ビードワイヤ列から離れた段に位置する、ことが好ましい。
タイヤ幅方向は、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向である。タイヤ幅方向外側は、タイヤ幅方向において、比較する位置に対して、タイヤ赤道面を表すタイヤ赤道線CLから離れる側である。また、タイヤ幅方向内側は、比較する位置に対して、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道線CLに近づく側である。タイヤ周方向は、空気入りタイヤの回転軸を回転の中心として空気入りタイヤが回転する方向である。タイヤ径方向は、空気入りタイヤの回転軸に直交する方向である。タイヤ径方向外側は、比較する位置に対して、タイヤ径方向に沿って前記回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ径方向内側は、比較する位置に対して、タイヤ径方向に沿って前記回転軸に近づく側をいう。
タイヤ1は、バイアスタイヤであり、骨格材として、カーカス3と、ベルト4と、複数対のビードコア5とを有し、これらの骨格材の周りに、トレッドゴム6、サイドゴム7、インナーライナ9等の各ゴム層を有する。ベルト4は、バイアスタイヤではブレーカともいう。図1では、カーカス3は、複数のカーカス層を有するため、複数のカーカス層が積層構造で配置された領域で示されている。
ベルト4は、タイヤ1のトレッドゴム6が設けられるトレッド部に、カーカス3を構成する複数のカーカス層に対してタイヤ1のタイヤ径方向の外側であって、トレッドゴム6に対してタイヤ径方向の内側に、複数設けられている。ベルト4は、2層のベルト材が積層した交錯層を有する。本実施形態では、ベルト4は、2層の交差ベルトで構成されるが、3層以上の交差ベルトで構成されてもよい。
トレッドゴム6は、トレッド部に、ベルト4のタイヤ径方向の外側に設けられている。
カーカス3は、複数のカーカス層を備え、複数のカーカス層がビードコア5a,5b,5cのそれぞれの周りに、タイヤ幅方向内側から外側に折り返されるように、巻きつけられている。これにより、同じカーカス層が巻きつけられるビードコア5の対が複数形成される。図2では、各ビードコア5の周りに巻き回される複数のカーカス層の領域を3a,3b,3cで表している。領域3aはビードコア5aの周りを巻きまわすカーカス層の束を含み、領域3bはビードコア5bの周りを巻きまわすカーカス層の束を含み、領域3cはビードコア5cの周りを巻きまわすカーカス層の束を含む。領域3a,3b,3cのそれぞれは、複数のカーカス層、例えば14枚のカーカス層を含む。各カーカス層におけるカーカスコードは、タイヤ径方向あるいはタイヤ幅方向に対して傾斜して延在している。カーカスコードのうち、互いに隣リ合うカーカス層のカーカスコードの傾斜角度は、タイヤ径方向あるいはタイヤ幅方向に対して互いに異なる側に傾斜して積層されているため、交錯層となっている。すなわち、タイヤ1は、バイアスタイヤの構造を備えている。
ビードコア5a,5b,5cそれぞれのタイヤ径方向外側にはビードフィラー8a,8b,8cが配置され、このビードフィラー8a,8b,8cがカーカス3の本体部分と折り返し部分により包み込まれている。ビードコア5a,5b,5c及びビードフィラー8a,8b,8cによりビード8は形成されている。
トレッドゴム6におけるカーカス3のタイヤ径方向外側には、複数のベルトで構成されたベルト4が設けられている。
交差ベルト4a,4bは、タイヤ径方向に積層するように設けられている。交差ベルト4a,4bを構成するコード(有機繊維コードあるいはスチールコード)は、タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向の一方の側に傾斜している。タイヤ径方向に隣接する交差ベルト間では、コードの傾斜方向が異なっており、具体的には、タイヤ周方向から、タイヤ幅方向の異なる側に傾斜している。このため、交差ベルト4a,4bは、内圧充填により拡張しようとするタイヤに対してタガ効果を発揮する。交差ベルト4a,4bのスチールコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は、例えば20°〜40°の範囲に設定されている。
交差ベルト4a,4bのタイヤ径方向外側に保護ベルトが設けられてもよい。
図4は、本実施形態のタイヤ1における最内側ビードコアの構成の一例を詳細に説明した図である。最内側ビードコアは、タイヤ幅方向の最も内側に位置するビードコア5aである。以降、この最内側ビードコアには符号5aを振って説明する。図4に示すように、タイヤ1のタイヤ回転軸を含む平面でタイヤ1を切断したタイヤ断面において、積層ビードコアである最内側ビードコア5aに関して、複数段のビードワイヤ列のうちタイヤ径方向の最も外側に位置する最外ビードワイヤ列14よりタイヤ径方向内側の内側ビードワイヤ列の1つは、ビードワイヤの配列本数が最外ビードワイヤ列14よりも多く、複数のビードワイヤ列の中でビードワイヤの配列本数が最大となる最大ビードワイヤ列16である。
したがって、最大ビードワイヤ列16は、最外ビードワイヤ列14よりタイヤ径方向内側に位置するように設けられている。
図4に示すビードコア5aの輪郭形状は、六角形形状であるが、これに限定されない。最大ビードワイヤ列16が最外ビードワイヤ列14よりタイヤ径方向内側の内側ビードワイヤ列の1つである限りにおいて、輪郭形状は限定されず、円形状、楕円形状、三角形形状、五角形形状等であってもよい。
カーカスコード19は、バイアス構造のため、図5(a)に示すように、タイヤ径方向に対して傾斜した向きに延びている。このため、タイヤ1の制駆動時(発進あるいは停止時)、カーカスコード19は、最内側ビードコア5aのタイヤ径方向の最も内側に位置する位置Yを中心にしてタイヤ周方向に移動する変形を受ける。このため、巻き回される前のカーカスコード19の、最内側ビードコア5aに近接する部分は、最内側ビードコア5aに対して擦れるように変位し易い。この変位により、カーカスコード19を含むカーカス層17は剥離をし易くなる。しかし、本実施形態では、位置Yに比較的近い、最大ビードワイヤ列16の位置Z1でカーカスコード19を含むカーカス層17は近接するので、この部分における最内側ビードコア5aに対するカーカス層17の変位量は小さくなる。
本実施形態のタイヤの効果を調べるために、種々のタイヤを作製してタイヤのビード耐久性を評価した。作製したタイヤのタイヤサイズは、29.5−25 22PRである。作製したタイヤをTRAに準拠したリムに装着し、この車輪をホイールローダの前輪に装着した。空気圧は高圧条件の425kPaとし、タイヤを砕石現場で使用したときに、カーカス層の剥離に起因したビード故障が発生するまでの時間を調べた。カーカス層の剥離に起因したビード故障は、目視で確認できる。砕石現場における前輪荷重は、チッピング時、規格で定まっている正規荷重の160%荷重であり、走行時、100%荷重であった。
タイヤのビード耐久性は、ビード故障が発生するまでの時間に基づいて、以下の4つに分けた4段階で評価した。
・レベルA:4000時間超
・レベルB:2500時間超4000時間以下
・レベルC:1000時間超2500時間以下
・レベルD:1000時間以下
従来例では、内側ビードコアの輪郭形状を四角形形状としたため、最大ビードワイヤ列は存在しない。一方、比較例、実施例1〜8では、内側ビードコア5aの輪郭形状を六角形形状とし、実施例9〜12では、内側ビードコア5aの輪郭形状を三角形形状とし、最大ビードワイヤ列を設けた。輪郭形状の六角形形状及び三角形形状の辺の部分は略直線になるように、ビードワイヤの配列本数を徐々に変化させた。比較例、実施例1〜12におけるビードコア5b,5cの輪郭形状を四角形形状とした。
実施例12では、図2に示すように、ナイロンチェーファ20,22を設けた。
従来例、比較例、実施例1〜12における内側ビードコアのビードワイヤ列の段数は16段とし、最大ビードワイヤ列におけるビードワイヤの配列本数は16とした。
下記表1〜3は、タイヤの仕様内容とそれに伴う評価結果を示す。
また、実施例1〜3の比較より、最内側ビードコア5aにおけるカーカス層17の傾斜角度θを10度以上とし、10度〜30度の範囲内で傾斜角度θを大きくする程ビード耐久性レベルが向上することがわかる。
また、実施例4〜9の比較より、最大ビードワイヤ列16は、ビードワイヤ列の総段数の0.3倍以上の段数、最外ビードワイヤ列14から離れた段に位置することが、ビード耐久性レベルの向上の点から好ましいことがわかる。
さらに、実施例9〜11の比較より、最大ビードワイヤ列16におけるビードワイヤの配列数は、最外ビードワイヤ列14におけるビードワイヤの配列本数の1.2倍以上であることが、ビード耐久性レベルの向上の点から好ましいことがわかる。
さらに、実施例11,12の比較では、ビード耐久性レベルに変更はないが、ビード故障発生までの走行時間は、実施例12の方が長かった。これより、ナイロンチェーファを設けることが、ビード耐久性の向上の点から好ましいことがわかる。
3 カーカス
3a,3b,3c 領域
4 ベルト
5,5a,5b,5c ビードコア
6 トレッドゴム
7 サイドゴム
8a,8b,8c ビードフィラー
9 インナーライナ
10 ビードベース面
14 最外ビードワイヤ列
16 最大ビードワイヤ列
17 カーカス層
18 部分
19 カーカスコード
50 積層ビードコア
51 ビードワイヤ
52a〜52g ビードワイヤ列
Claims (4)
- 空気入りタイヤであって、
前記空気入りタイヤの両側のビード部のそれぞれにタイヤ幅方向に一列に設けられた複数のビードコアと、
前記ビードコアのそれぞれの周りに巻きつけられて折り返された複数のカーカス層と、
前記空気入りタイヤのトレッド部に、前記カーカス層に対して、前記空気入りタイヤのタイヤ径方向の外側に設けられた複数のベルトと、
前記トレッド部に、前記ベルトの前記タイヤ径方向の外側に設けられたトレッドゴムと、を備え、
前記ビードコアのそれぞれは、前記ビード部のビードベース面に沿った方向に複数のビードワイヤが配列されたビードワイヤ列がタイヤ周上を1周した周回層がタイヤ径方向に複数段積み重なった構成の積層ビードコアであり、
前記空気入りタイヤのタイヤ回転軸を含む平面で前記空気入りタイヤを切断したタイヤ断面において、前記ビードコアのうち前記タイヤ幅方向の最も内側に位置する最内側ビードコアに関して、前記ビード部の前記ビードワイヤ列のうち前記タイヤ径方向の最も外側に位置する最外ビードワイヤ列よりタイヤ径方向内側の内側ビードワイヤ列の1つは、ビードワイヤの配列本数が前記最外ビードワイヤ列よりも多く、前記複数のビードワイヤ列の中でビードワイヤの配列本数が最大となる最大ビードワイヤ列であり、前記カーカス層のうち前記最内側ビードコアに最も近くに位置するカーカス層の、前記タイヤ幅方向の内側から前記最内側ビードコアに巻き付けるために前記最内側ビードコアに接近する部分の、前記最内側ビードコアの幅中心線に対する傾斜角度は、10度以上である、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記最大ビードワイヤ列は、前記ビードワイヤ列の総段数の0.3倍以上の段数、前記
最外ビードワイヤ列から離れた段に位置する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記最大ビードワイヤ列におけるビードワイヤの配列本数は、前記最外ビードワイヤ列におけるビードワイヤの配列本数の1.2倍以上である、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記最内側ビードコアに巻き付けられるカーカス層に対して前記タイヤ幅方向の内側に、有機繊維をゴムで被覆した有機繊維補強層が、前記最内側ビードコアの前記最外ビードワイヤ列に対して前記タイヤ径方向の外側の領域に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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