JP2018051563A - 接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦攪拌装置に係る負荷を軽減しつつ接合精度を高めることができるとともに各金属部材の熱歪を小さくすることができる接合方法を提供すること。【解決手段】板状の第一金属部材1の端面1aと、板状の第二金属部材2の裏面2cとを突き合わせて突合せ部J1を形成する突合せ工程と、回転する回転ツールFの攪拌ピンF2のみを第一金属部材1と第二金属部材2とで構成される内隅に挿入し、内隅に沿ってスポット仮接合を行う仮接合工程と、回転する回転ツールFを第二金属部材2の表面2b側から挿入し、当該回転ツールFの攪拌ピンF2のみを、第二金属部材2、又は、第一金属部材1及び第二金属部材2の両方に接触させた状態で回転ツールFを相対移動させて突合せ部J1を摩擦攪拌接合する本接合工程と、を含むことを特徴とする。【選択図】図4
Description
本発明は、板状の金属部材同士の接合方法に関する。
特許文献1には、板状の第一金属部材と板状の第二金属部材とをT字状に突き合わせて接合する接合方法が開示されている。当該接合方法では、第一金属部材の端面と第二金属部材の裏面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、第二金属部材の表面から回転ツールを押し込んで突合せ部を摩擦攪拌接合する本接合工程とを行う。
従来技術は、第一金属部材を第二金属部材の凹溝に挿入する形態であるため、摩擦攪拌接合時に第一金属部材の長手方向に金属部材同士の位置がずれるという問題がある。また、摩擦攪拌接合時に、第二金属部材が第一金属部材に対して浮き上がるように離間して接合不良となるおそれがある。また、従来の接合方法では、回転ツールのショルダ部の下端面を第二金属部材の表面に押し込んで本接合工程を行うため、摩擦攪拌装置にかかる負荷が大きくなるという問題がある。また、回転ツールのショルダ部の下端面を第二金属部材の表面に押し込んで本接合工程を行うため、入熱量が多くなり第一金属部材及び第二金属部材の熱歪が大きくなるという問題がある。
このような観点から、本発明は、摩擦攪拌装置に係る負荷を軽減しつつ接合精度を高めることができるとともに各金属部材の熱歪を小さくすることができる接合方法を提供することを課題とする。
このような課題を解決するために本発明は、板状の第一金属部材の端面と、板状の第二金属部材の裏面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、回転する仮接合用回転ツールの攪拌ピンのみを前記第一金属部材と前記第二金属部材とで構成される内隅に挿入し、前記内隅に沿ってスポット仮接合を行う仮接合工程と、回転する本接合用回転ツールを前記第二金属部材の表面側から挿入し、当該本接合用回転ツールの攪拌ピンのみを、前記第二金属部材、又は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の両方に接触させた状態で前記本接合用回転ツールを相対移動させて前記突合せ部を摩擦攪拌接合する本接合工程と、を含むことを特徴とする。
かかる接合方法によれば、仮接合工程で金属部材同士をスポット仮接合するため、本接合工程の際に、金属部材同士が離間することや位置ずれを防ぐことができる。これにより、接合精度を高めることができる。また、本接合工程及び仮接合工程とも、攪拌ピンのみを各金属部材に挿入するため、入熱量を少なくすることができ、各金属部材の熱歪を小さくすることができる。また、本接合工程及び仮接合工程とも、攪拌ピンのみを各金属部材に挿入するため、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。
また、前記仮接合用回転ツールと前記本接合用回転ツールとが同一であることが好ましい。かかる接合方法によれば、仮接合工程と本接合工程の際に回転ツールを交換しなくて済むため作業効率を高めることができる。
また、本発明は、板状の第一金属部材の端面と、板状の第二金属部材の裏面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、前記第一金属部材と前記第二金属部材とで構成される内隅に沿って溶接によるスポット仮接合を行う仮接合工程と、回転する本接合用回転ツールを前記第二金属部材の表面側から挿入し、当該本接合用回転ツールの攪拌ピンのみを、前記第二金属部材、又は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の両方に接触させた状態で前記本接合用回転ツールを相対移動させて前記突合せ部を摩擦攪拌接合する本接合工程と、を含むことを特徴とする。
かかる接合方法によれば、仮接合工程で金属部材同士をスポット仮接合するため、本接合工程の際に、金属部材同士が離間することや位置ずれを防ぐことができる。これにより、接合精度を高めることができる。また、仮接合工程ではスポット仮接合するとともに、本接合工程では攪拌ピンのみを各金属部材に挿入するため、入熱量を少なくすることができ、各金属部材の熱歪を小さくすることができる。また、本接合工程では、攪拌ピンのみを各金属部材に挿入するため、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。
また、前記溶接は、TIG溶接、MIG溶接又はレーザー溶接であることが好ましい。
本発明に係る接合方法によれば、摩擦攪拌装置に係る負荷を軽減しつつ接合精度を高めることができるとともに各金属部材の熱歪を小さくすることができる。
本発明の実施形態に係る接合方法について図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、第一実施形態に係る接合方法では、第一金属部材1と第二金属部材2とをT字状に突き合わせて接合する。本実施形態に係る接合方法は、突合せ工程と、仮接合工程と、本接合工程とを行う。なお、説明における「表面」とは、「裏面」に対する反対側の面という意味である。
第一金属部材1は、板状の金属部材である。第一金属部材1の材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、 マグネシウム、マグネシウム合金等の摩擦攪拌可能な金属から適宜選択される。第二金属部材2は、板状の金属部材である。第二金属部材2の材料は、前記した摩擦攪拌可能な金属から適宜選択すればよいが、第一金属部材1と同等の材料であることが好ましい。第一金属部材1及び第二金属部材2の板厚は適宜設定すればよい。
突合せ工程は、図1に示すように、第一金属部材1の端面1aと、第二金属部材2の裏面2cとを断面T字状に突き合わせる工程である。突合せ工程によって、突合せ部J1が形成される。
仮接合工程は、図2に示すように、第一金属部材1と第二金属部材2の内隅を、回転ツール(仮接合用回転ツール)Fを用いてスポット仮接合する工程である。回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、摩擦攪拌装置の回転軸に連結される部位である。連結部F1は円柱状を呈する。
攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の長さは、第二金属部材2の板厚よりも大きくなっている。攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝が刻設されている。本実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。
なお、回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。螺旋溝をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(第一金属部材1及び第二金属部材2)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。
仮接合工程では、第一金属部材1の側面1bと第二金属部材2の裏面2cとで構成される第一内隅(内隅)及び第一金属部材1の側面1cと第二金属部材2の裏面2cとで構成される第二内隅(内隅)に、回転ツールFの回転中心軸を傾斜させつつ挿入する。また、仮接合工程では、攪拌ピンF2を前記内隅に浅く挿入しつつ突合せ部J1に沿って断続的に摩擦攪拌接合を行う。仮接合工程によって、塑性化領域W1が断続的に形成される。
また、仮接合工程では、第二金属部材2の一端側の端面にタブ材Tを仮接合するタブ材仮接合工程を行う。タブ材Tの板厚は、第二金属部材2の板厚と同一である。タブ材仮接合工程では、タブ材Tの裏面Tbと第二金属部材2の裏面2cとを面一にするとともに、表面Taと第二金属部材2の表面2bとを面一にする。また、タブ材仮接合工程では、回転ツールFを用いてタブ材Tと第二金属部材2とを仮接合する。なお、後記する本接合工程の終了位置となるように、第二金属部材2の他端側の端面にタブ材Tを設けてもよい。
本接合工程は、図3に示すように、回転ツール(本接合用回転ツール)Fを用いて、突合せ部J1を本格的に摩擦攪拌接合する工程である。本接合工程では、タブ材Tに設定された開始位置Spに右回転させた回転ツールFを挿入し、突合せ部J1に沿って回転ツールFを相対移動させる。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W2が形成される。
本接合工程では、図4に示すように、連結部F1を第二金属部材2から離間させ、つまり、攪拌ピンF2の基端側は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。また、本実施形態では、攪拌ピンF2の先端が第一金属部材1に達するように、つまり、攪拌ピンF2と第一金属部材1及び第二金属部材2とが接触するように攪拌ピンF2の挿入深さを設定する。
なお、攪拌ピンF2の挿入深さは、攪拌ピンF2が第二金属部材2のみに接触するように設定してもよい。この場合は、攪拌ピンF2と第二金属部材2との摩擦熱により突合せ部J1が塑性流動化して接合される。
本接合工程が終了したら、塑性化領域W2に形成されたバリを除去するバリ除去工程を行ってもよい。これにより、第二金属部材2の表面2bをきれいに仕上げることができる。
以上説明した本実施形態に係る接合方法によれば、仮接合工程で第一金属部材1及び第二金属部材2同士をスポット仮接合するため、本接合工程の際に、各金属部材同士が離間することや位置ずれを防ぐことができる。これにより、接合精度を高めることができる。また、本接合工程及び仮接合工程とも、攪拌ピンF2のみを各金属部材に挿入するため、入熱量を少なくすることができ、各金属部材の熱歪を小さくすることができる。特に、仮接合工程では、スポット仮接合を行うことにより、入熱量を少なくすることができるとともに、接合時間も短くすることができる。
また、本接合工程及び仮接合工程とも、攪拌ピンF2のみを各金属部材に挿入するため、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。これにより、本接合工程では、深い位置にある突合せ部J1を接合することができる。つまり、第二金属部材2の板厚が大きい場合でも接合できるため、設計の自由度を高めることができる。
また、仮接合工程で用いる仮接合用回転ツールと、本接合工程で用いる本接合用回転ツールはそれぞれ異なるものを用いてもよいが、本実施形態のように回転ツールFで兼用させることにより、各工程で回転ツールを交換する必要がない。これにより、接合作業を効率よく行うことができる。
次に、本発明の他の実施形態に係る接合方法について説明する。他の実施形態では、突合せ工程と、仮接合工程と、本接合工程とを行う。他の実施形態に係る突合せ工程及び本接合工程は、前記した実施形態と共通なので説明を省略する。
他の実施形態に係る仮接合工程は、具体的な図示は省略するが、第一金属部材1と第二金属部材2とで構成される内隅に沿って溶接によるスポット仮接合を行う。仮接合工程では、TIG溶接、MIG溶接又はレーザー溶接等によって第一金属部材1の側面1bと第二金属部材2の裏面2cとで構成される第一内隅(内隅)及び第一金属部材1の側面1cと第二金属部材2の裏面2cとで構成される第二内隅(内隅)に断続的に溶接を行う。
他の実施形態によっても前記した実施形態と略同等の効果を奏することができる。特に、仮接合工程では、溶接でスポット仮接合を行うことにより各金属部材の熱歪を防ぐことができるとともに、短時間で仮接合することができる。
以上説明した本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では、金属部材同士を断面T字状となるように接合したが、断面略L字状となるように接合してもよい。
1 第一金属部材
2 第二金属部材
F 回転ツール(仮接合用回転ツール、本接合用回転ツール)
F2 攪拌ピン
J1 突合せ部
T タブ材
2 第二金属部材
F 回転ツール(仮接合用回転ツール、本接合用回転ツール)
F2 攪拌ピン
J1 突合せ部
T タブ材
Claims (4)
- 板状の第一金属部材の端面と、板状の第二金属部材の裏面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、
回転する仮接合用回転ツールの攪拌ピンのみを前記第一金属部材と前記第二金属部材とで構成される内隅に挿入し、前記内隅に沿ってスポット仮接合を行う仮接合工程と、
回転する本接合用回転ツールを前記第二金属部材の表面側から挿入し、当該本接合用回転ツールの攪拌ピンのみを、前記第二金属部材、又は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の両方に接触させた状態で前記本接合用回転ツールを相対移動させて前記突合せ部を摩擦攪拌接合する本接合工程と、を含むことを特徴とする接合方法。 - 前記仮接合用回転ツールと前記本接合用回転ツールとが同一であることを特徴とする請求項1に記載の接合方法。
- 板状の第一金属部材の端面と、板状の第二金属部材の裏面とを突き合わせて突合せ部を形成する突合せ工程と、
前記第一金属部材と前記第二金属部材とで構成される内隅に沿って溶接によるスポット仮接合を行う仮接合工程と、
回転する本接合用回転ツールを前記第二金属部材の表面側から挿入し、当該本接合用回転ツールの攪拌ピンのみを、前記第二金属部材、又は、前記第一金属部材及び前記第二金属部材の両方に接触させた状態で前記本接合用回転ツールを相対移動させて前記突合せ部を摩擦攪拌接合する本接合工程と、を含むことを特徴とする接合方法。 - 前記溶接は、TIG溶接、MIG溶接又はレーザー溶接であることを特徴とする請求項3に記載の接合方法。
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Citations (3)
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