以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1−1.構成概要>
図1は、画像形成装置10の外観を示す図である。ここでは、画像形成装置10として、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))10を例示する。
このMFP10は、図4および図11に示されるように、原稿を載置するための原稿台140と、原稿カバー110とを備える。当該原稿カバー110は、回動式の開閉機構を有する(回動開閉式である)。具体的には、原稿カバー110は、開閉用のヒンジ部130によって原稿台140に取り付けられており、当該ヒンジ部130を回転軸として回動可能に設けられている。また、ここでは、ヒンジ部130は、原稿台140における奥行方向(Y方向)の一方端(ここでは奥側(操作パネル部6cの設置位置の反対側)の端部)にX方向に沿って配置されている。
図2は、MFP10の機能ブロックを示す図である。
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6およびコントローラ(制御部)9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。なお、MFP10は、画像処理装置あるいは画像読取装置などとも称される。
画像読取部2は、原稿台140の原稿載置用ガラス面に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、原稿台140上の当該原稿に関するスキャン画像(読取画像とも称する)(詳細には画像データ)を生成する処理部である。この画像読取部2は、スキャン部であるとも称される。なお、このMFP10においては、原稿台140の原稿載置用ガラス面におけるY方向(奥行方向)(縦方向)が、スキャン動作における主走査方向であり、当該原稿載置用ガラス面におけるX方向(左右方向)(横方向)が、スキャン動作における副走査方向である(図1、図4等参照)。
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、ネットワークを介したネットワーク通信を行うことも可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先と連携して各種のデータを授受することが可能である。通信部4は、各種データを送信する送信部4aと各種データを受信する受信部4bとを有する。
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。
操作部6は、MFP10に対する操作入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。
このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(図1参照)が設けられている。また、操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル25(図1参照)を有している。タッチパネル25は、操作入力部6aの一部としても機能するとともに、表示部6bの一部としても機能する。タッチパネル25は、液晶表示パネルに各種センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者(ユーザ)からの各種の操作入力を受け付けることが可能である。タッチパネル25には、たとえば操作画面が表示される。
コントローラ(制御部)9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM(登録商標))内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体を介してMFP10にインストールされてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク等を経由してダウンロードされてMFP10にインストールされるようにしてもよい。
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、当該プログラムの実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13と分析部14と領域判別部17と原稿外消去部18とを含む各種の処理部を実現する。
通信制御部11は、他の装置との間の通信動作を通信部4等と協働して制御する処理部である。
入力制御部12は、操作入力部6a(タッチパネル25等)に対するユーザからの操作入力の受付動作等を制御する制御部である。
表示制御部13は、表示部6b(タッチパネル25等)における表示動作を制御する処理部である。
分析部14は、原稿台140に載置された原稿に関するスキャン画像300内の複数の画素の画素値の分布状況を分析する処理を実行する処理部である。たとえば、分析部14は、スキャン画像300(図5等参照)内の複数の画素の画素値の空間分布状況に基づいて、当該スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーション(階調変化)が存在するか否か判定する。また、分析部14は、スキャン画像300内に当該所定程度以上のグラデーションが存在する場合、当該空間分布状況に基づいて、当該所定程度以上のグラデーションの変化方向を分析(判定)する処理をさらに実行する。さらに、分析部14は、スキャン画像300全体における複数の画素の画素値に関するヒストグラム(度数分布)に基づいて、当該複数の画素の画素値の度数分布状況を分析(解析)する。
領域判別部17は、スキャン画像400(図5等参照)において原稿領域(原稿が存在する領域)と原稿外領域(原稿が存在しない領域)とを判別する領域判別処理を実行する処理部である。領域判別部17は、分析部14による分析結果(分布状況の分析結果)に基づいて、画像内にて原稿領域と原稿外領域とを判別するための複数の判別手法(複数種類の判別手法)の中から、スキャン画像300に最も適した手法(最適手法)を決定する。換言すれば、当該分析結果に応じて、複数の判別手法が切り替えられる。そして、領域判別部17は、決定された最適手法を用いて、スキャン画像400において原稿領域と原稿外領域とを判別する。また、領域判別部17は、原稿領域のエッジ候補を抽出するための閾値(抽出用閾値)THを算出する閾値算出処理をも実行する。
原稿外消去部18は、原稿領域と原稿外領域との判別結果に基づいて、原稿外領域(原稿外領域として判別された領域)をスキャン画像400から消去する原稿外消去処理を実行する処理部である。具体的には、原稿外消去部18は、原稿外領域として判別された領域の画素値を白色データ(詳細には画素値「255」)に置換(補正)する(白色置換処理を実行する)。
<1−2.動作>
図3は、MFP10の動作を示すフローチャートである。
MFP10は、原稿台140に載置された原稿に関するスキャン画像300内の複数の画素の画素値の分布状況を分析する(ステップS13〜S15)。そして、MFP10は、当該分布状況の分析結果に基づいて、原稿領域と原稿外領域とを判別するための複数の判別手法(ステップS16〜S19)の中から最適手法(スキャン画像300に最も適した手法)を決定し、決定された最適手法を用いて、原稿領域と原稿外領域とを判別する。原稿領域と原稿外領域とが判別されると、MFP10は、スキャン画像400から原稿外領域を消去する(ステップS20)。そして、原稿外領域の消去結果(原稿外消去結果)の印刷出力処理等が実行される。
以下では、図3の処理の概略について説明した後、各判別手法(ステップS16〜S19)の内容について説明する。
まず、ユーザは、スキャン処理を伴うジョブ(たとえばコピージョブ)の実行に際して、MFP10の原稿カバー110(プラテンカバーとも称される)を開け、原稿台140の原稿載置用ガラス面(プラテンガラスとも称される)に原稿を載置する。そして、ユーザは、当該ジョブの実行指示をMFP10に付与する。
ユーザによる実行指示の付与に応答して、MFP10は、図3の処理を開始する。
ステップS11においては、MFP10は、プレスキャン(原稿外消去処理の準備用画像を生成するためのスキャン処理)を実行する。具体的には、MFP10は、原稿台140の原稿載置用ガラス面の全面に亘ってスキャン動作を行うことによって、原稿台140に載置された原稿を読み取ってスキャン画像300(図5等参照)を生成する。当該スキャン画像300は、原稿外消去処理の準備用画像(分布状況の分析用画像等)として生成される。
詳細には、ユーザによる実行指示の付与に応答して、原稿載置用ガラス面の下部に配置された光源150(図4参照)から光が出射されて、出射光が原稿載置用ガラス面を透過する。そして、当該出射光の一部は、原稿台140上の原稿に当たって反射し、原稿台140を再び透過して受光部(不図示)に入射するとともに、当該受光部によって検知される。その後、受光部によって検知された光の強度等に基づいて、スキャン画像300(図5等参照)が生成される。当該スキャン画像300においては、比較的強い光が検知された部分の画素(たとえば原稿領域内の画素)の画素値は比較的大きく(明るく)、比較的弱い光が検知された部分(あるいは光が検知されなかった部分)の画素の画素値は比較的小さい(暗い)。
スキャン画像300が生成されると、MFP10は、当該スキャン画像300に基づいて、原稿領域のエッジ候補を抽出するための抽出用閾値THを暫定的に算出するとともに、暫定的に算出された抽出用閾値THに基づいて、原稿領域と原稿外領域とを推定する(ステップS12)。後述のように、ステップS12にて得られた結果は、スキャン画像300内の複数の画素の画素値の分布状況の分析(ステップS13〜S15)にて利用されるとともに、暫定的に算出された抽出用閾値THは、一部の判別手法にて利用される。
具体的には、MFP10は、スキャン画像300全体における複数の画素の画素値に関してヒストグラム(度数分布)を生成し、当該ヒストグラムに基づいて、原稿領域のエッジ候補を抽出するための抽出用閾値THを暫定的に算出(仮設定)する。たとえば、当該ヒストグラムにおいて2つのピーク(そのピーク値(最大値)が一定程度以上の度数を有するピーク)が存在する場合(図6等参照)、原稿領域に対応するピークと原稿外領域に対応するピークとの間に暫定的な抽出用閾値THが設定(仮設定)される。あるいは、当該ヒストグラムにおいて単一のピークが存在する場合(図13参照)、当該単一のピークの裾野部分(たとえば左側の裾野部分)に暫定的な抽出用閾値THが設定(仮設定)される。
そして、暫定的に算出(仮設定)された抽出用閾値THに基づいて、スキャン画像300内の各画素に対して二値化処理が実行され、処理結果に基づいて原稿領域のエッジ候補を抽出するエッジ抽出処理(微分フィルタ処理等)が実行される。その後、スキャン画像300において、抽出されたエッジ候補で形成される閉領域が原稿領域として推定されるとともに、当該閉領域以外の領域が原稿外領域として推定される。
原稿領域と原稿外領域とが推定される(ステップS12)と、MFP10は、スキャン画像300内の複数の画素の画素値の分布状況を分析(解析)する(ステップS13〜S15)。そして、分析結果(解析結果)に基づいて、原稿領域と原稿外領域とを判別するための互いに異なる複数の判別手法(複数種類の判別手法)(ステップS16〜S17)の中から最適手法(最適判別手法)が決定される。換言すれば、当該複数の判別手法の中から、当該分布状況の分析結果に応じて異なる判別手法が最適手法として決定(採用)される。
まず、ステップS13においては、スキャン画像300内の複数の画素の画素値の空間分布状況に基づいて、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、が判定される。換言すれば、スキャン画像300全体における所定程度以上のグラデーションの存否判定処理が実行される。
具体的には、MFP10は、スキャン画像300から縦方向画素列(縦方向に伸びる画素列)と横方向画素列(横方向に伸びる画素列)との少なくとも一方(ここでは双方)を抽出して、各画素列の画素値の分布状況(空間分布状況)を解析(分析)する。そして、MFP10は、当該少なくとも一方の画素列に関して所定の変化特性(次述)の有無を判定し、当該所定の変化特性の有無の判定結果に基づいて、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、を判定する。
詳細には、MFP10は、スキャン画像300において、特定の縦方向画素列と特定の横方向画素列との双方を注目画素列としてそれぞれ抽出し、各注目画素列において所定の変化特性の有無を判定する。より詳細には、MFP10は、各注目画素列に関して、当該注目画素列の伸延方向における複数の画素の画素値が徐々に変化(増加あるいは減少)し且つ当該複数の画素の画素値の変化の幅(変動幅)が所定程度(たとえば画素値「50」)を超える所定の変化特性を有するか否か、を判定する。端的に言えば、MFP10は、縦方向画素列と横方向画素列との双方の画素列に注目し、縦方向画素列と横方向画素列との少なくとも一方に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、を判定する。
より具体的には、スキャン画像300において横方向に配列された複数の縦方向画素列のうちの特定の縦方向画素列(原稿外領域における縦方向の特定の画素列を含む縦方向画素列)が、注目画素列(注目縦方向画素列)として抽出される。たとえば、当該複数の縦方向画素列のうち、スキャン画像300における左端(および/あるいは右端)の縦方向画素列の全部または一部が原稿外領域に含まれる場合、当該左端の縦方向画素列が注目画素列(注目縦方向画素列)として抽出される。そして、当該注目縦方向画素列内の複数の画素の画素値の空間分布状況が解析され、当該注目縦方向画素列内の複数の画素に関して、所定の変化特性の有無が判定される。換言すれば、縦方向画素列に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、が判定される。
また、スキャン画像300において縦方向に配列された複数の横方向画素列のうちの特定の画素列(原稿外領域における横方向の特定の画素列を含む横方向画素列)が、注目画素列(注目横方向画素列)として抽出される。たとえば、当該複数の横方向画素列のうち、スキャン画像300における上端(および/あるいは下端)の横方向画素列の全部または一部が原稿外領域に含まれる場合、当該上端の横方向画素列が注目画素列(注目横方向画素列)として抽出される。そして、当該注目横方向画素列内の複数の画素の画素値の空間分布状況が解析され、当該注目横方向画素列内の複数の画素に関して、所定の変化特性の有無が判定される。換言すれば、横方向画素列に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、が判定される。
そして、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在するか否かの判定結果(分析結果)に応じて、互いに異なる判別手法が最適手法として決定(採用)される。換言すれば、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在する場合とスキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在しない場合とで、互いに異なる判別手法が最適手法として決定(採用)される。
たとえば、縦方向画素列(注目縦方向画素列)と横方向画素列(注目横方向画素列)との少なくとも一方に所定程度以上のグラデーションが存在する場合、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在する旨がステップS13にて判定される。そして、処理はステップS15以降へと進み、第3の判別手法(ステップS18)と第4の判別手法(ステップS19)とのいずれかが最適手法として決定される。
一方、縦方向画素列と横方向画素列とのいずれにおいても当該所定程度以上のグラデーションが存在しない場合、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在しない旨がステップS13にて判定される。そして、処理はステップS14以降へと進み、第1の判別手法(ステップS16)と第2の判別手法(ステップS17)とのいずれかが最適手法として決定される。
ステップS14においては、スキャン画像300全体における複数の画素の画素値に関する度数分布に基づいて、当該複数の画素の画素値の度数分布状況が分析(解析)される(度数分布状況の解析処理が実行される)。
具体的には、スキャン画像300全体における複数の画素の画素値に関してステップS12にて生成されたヒストグラム(度数分布)において原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されるか否か、が判定される。換言すれば、当該ヒストグラムにおいて原稿領域ピークの画素値と原稿外領域ピークの画素値との差分が所定値(たとえば値「50」)よりも大きい旨の条件が充足されるか否か、が判定される。なお、原稿領域ピークは、ヒストグラムにおいて原稿領域に対応するピークであり、原稿外領域は、ヒストグラムにおいて原稿外領域に対応するピークである。
そして、各ピーク間の距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されるか否かに応じて、互いに異なる判別手法が最適手法として決定される。換言すれば、各ピーク間の距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足される場合と各ピーク間の距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合とで、互いに異なる判別手法が最適手法として決定される。
たとえば、ヒストグラムにおいて2以上のピークが検出され且つ原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい場合、当該ヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されると判定され、処理はステップS16へと進む。そして、第1の判別手法が最適手法として決定(採用)される。換言すれば、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在せず、且つ当該スキャン画像300全体に関するヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足される場合、第1の判別手法を用いて原稿領域と原稿外領域とが判別される。ここでは、スキャン画像300全体における複数の画素の画素値に関するヒストグラムに基づき算出された抽出用閾値TH(TH10)に基づいて原稿領域と原稿外領域とを判別する手法(「基本判別手法」とも称する)が、当該第1の判別手法として用いられる。なお、第1の判別手法(基本判別手法)の詳細については、後述する。
一方、ヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合、処理はステップS17へと進み、第2の判別手法が最適手法として決定(採用)される。たとえば、ヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとが特定(検出)されない場合は、ヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件は充足されず、第2の判別手法(ステップS17)が最適手法として決定される。また、原稿領域ピークと原稿外領域ピークとは検出されるものの、当該原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも小さい場合も、ヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件は充足されず、第2の判別手法(ステップS17)が最適手法として決定される。換言すれば、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在せず、且つ当該スキャン画像300全体に関するヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合、第2の判別手法を用いて原稿領域と原稿外領域とが判別される。ここでは、スキャン画像300内の複数の画素の画素値に関して入出力特性調整処理を実行して、入出力特性調整処理後の入出力特性に基づき得られた画素値の新たなヒストグラムに基づき算出された抽出用閾値TH(TH20)を用いて原稿領域と原稿外領域とを特定する手法(「入出力特性調整手法」とも称する)が、第2の判別手法として用いられる。なお、第2の判別手法(入出力特性調整手法)の詳細については、後述する。
また、上述のように、縦方向画素列と横方向画素列との少なくとも一方に所定程度以上のグラデーションが存在する旨がステップS13にて判定される場合、処理はステップS15へと進む。
ステップS15においては、スキャン画像300内の複数の画素の画素値の空間分布状況に基づいて、スキャン画像300に存在する所定程度以上のグラデーションの変化方向がさらに分析(判定)される。換言すれば、スキャン画像全体における所定程度以上のグラデーションの変化方向を判定する方向判定処理が実行される。具体的には、スキャン画像300において、縦方向画素列と横方向画素列との双方における所定の変化特性の有無の判定結果に基づいて、当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が判定される。
そして、当該変化方向が、スキャン画像300における縦方向あるいは横方向と、スキャン画像300における斜め方向とのいずれであるかに応じて、互いに異なる判別手法が最適手法として決定(採用)される。換言すれば、当該変化方向が縦方向あるいは横方向である場合と当該変化方向が斜め方向である場合とで、互いに異なる判別手法が最適手法として決定される。
たとえば、当該変化方向が縦方向あるいは横方向である旨がステップS15にて判定される場合、処理はステップS18へと進み、第3の判別手法が最適手法として決定(採用)される。換言すれば、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在し、且つ当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が縦方向あるいは横方向である場合、第3の判別手法を用いて原稿領域と原稿外領域とが判別される。ここでは、スキャン画像300を複数の分割領域380に分割し、分割領域毎に算出された抽出用閾値THに基づいて各分割領域において原稿領域と原稿外領域とを判別する手法(「領域分割手法」とも称する)が、当該第3の判別手法として用いられる。なお、当該第3の判別手法(領域分割手法)の詳細については、後述する。
一方、当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が斜め方向である旨がステップS15にて判定される場合、処理はステップS19へと進み、第3の判別手法とは異なる第4の判別手法が最適手法として決定(採用)される。換言すれば、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在し、且つ当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が斜め方向である場合、第4の判別手法を用いて原稿領域と原稿外領域とが判別される。ここでは、スキャン画像300において原稿領域のエッジ候補を抽出し、当該エッジ候補の4点の直交点のうち検出されなかった直交点の位置を残余の直交点の検出位置に基づき推定して、当該4点の直交点に基づき原稿領域と原稿外領域とを判別する手法(「直交点推定手法」とも称する)が、当該第4の判別手法として用いられる。なお、第4の判別手法(直交点推定手法)の詳細については、後述する。
このように、スキャン画像300内の複数の画素の画素値の分布状況が分析され(ステップS13〜S15)、分析結果に基づいて、スキャン画像300に最も適した判別手法(最適手法)が、互いに異なる4種類の判別手法(ステップS16〜S19)の中から決定される。そして、決定された判別手法を用いて原稿領域と原稿外領域とが判別される。
その後、原稿領域と原稿外領域とが判別されると、処理はステップS20へと進み、スキャン画像400(後述)から原稿外領域を消去する原稿外消去処理が実行される。具体的には、原稿外領域として判別された領域の画素値が白色データ(詳細には画素値「255」)に置換(補正)される。なお、ここでは、スキャン画像300に関して最適手法として決定された判別手法は、スキャン画像400(後述)に最も適した判別手法でもあり、スキャン画像300に関して最適手法として決定された判別手法を用いて、スキャン画像400において原稿領域と原稿外領域とが判別される。当該スキャン画像400は、後述の本スキャンで生成されるスキャン画像であり、スキャン画像300(プレスキャンで生成されたスキャン画像)と同じ状況で撮像されたスキャン画像である。
つぎに、4種類の判別手法(ステップS16〜S19)の内容について、以下に説明する。
<第1の判別手法(基本判別手法)について>
後述するように、図5のようなスキャン画像300(310)が生成される場合は、複数の判別手法のうち第1の判別手法(基本判別手法)が最適手法として決定される。
ここでは、ユーザは、原稿を原稿載置用ガラス面に載置した後、原稿カバー110を全開状態(たとえば原稿カバー110が原稿台140に対して直交する程度に開放された状態)にして(図4も参照)、ジョブの実行指示を付与する。当該実行指示に応答して、MFP10においては、プレスキャンが実行されて(ステップS11)、スキャン画像300が生成される。
ここにおいて、原稿カバー110が全開状態である場合、光源150から出射されて原稿載置用ガラス面を透過した光のうち、原稿台140上の原稿に当たらなかった光は、受光部に入射せず、当該受光部によって検知されない。この場合、ステップS11においては、受光部によって検知された光の強度等に基づいて、図5のようなスキャン画像310が生成される。当該スキャン画像310においては、原稿に反射した光(比較的強い光)が検知されたことによって、原稿領域内の画素の画素値は比較的大きく(明るく)、原稿外領域の画素の画素値は比較的小さい(暗い)。
そして、プレスキャンによって生成されたスキャン画像310において、原稿領域と原稿外領域とが推定される(ステップS12)。具体的には、MFP10は、スキャン画像310全体における複数の画素の画素値に関してヒストグラムを生成し、当該ヒストグラムに基づいて、原稿領域のエッジ候補を抽出するための抽出用閾値TH10を暫定的に算出する。そして、暫定的に算出された抽出用閾値TH10に基づいて、スキャン画像310において原稿領域と原稿外領域とが推定される。図6は、スキャン画像310(図5)内の各画素の画素値に関するヒストグラムH10を示す図である。
原稿カバー110が全開状態である場合、スキャン画像310に関して生成されたヒストグラムH10においては、図6に示されるように、比較的大きい画素値(輝度値)Bを有するピークと比較的小さい輝度値Bを有するピークとの2つのピークが形成される。具体的には、ヒストグラムH10にて右側に存在するピークは、比較的強い光が検知された画素が比較的多いことを示し、ヒストグラムH10にて左側に存在するピークは、比較的弱い光が検知された画素が比較的多いことを示す。そして、MFP10は、当該ヒストグラムH10に存在する複数のピーク(ここでは2つのピーク)のうち、最も左側のピーク(最も小さいピーク位置を有するピーク)を、原稿外領域ピークとして検出する。また、MFP10は、当該ヒストグラムH10に存在する複数のピーク(ここでは2つのピーク)のうち、原稿外領域ピークを除く残余のピークを、原稿領域ピークとして検出する。
そして、当該ヒストグラムH10における当該2つのピークに基づいて、原稿領域のエッジ候補を抽出するための抽出用閾値TH10が暫定的に算出される。たとえば、原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの間において、原稿外領域ピークの裾野部分における特定の位置(たとえば、原稿外領域ピークの中腹から裾野にかけて原稿外領域ピークの曲線の傾きの絶対値が所定程度にまで低減した位置)に、当該抽出用閾値TH10が暫定的に設定(仮設定)される。
その後、当該暫定的な抽出用閾値TH10に基づいて、スキャン画像310において原稿領域と原稿外領域とが推定される。
具体的には、スキャン画像310において、ヒストグラムH10(図6)で暫定的に算出された抽出用閾値TH10よりも大きい画素値を有する画素群が、原稿領域内の画素群として決定される。そして、スキャン画像310において、暫定的な抽出用閾値TH10との大小関係に基づいて、スキャン画像310内の各画素に対する二値化処理が実行される。さらに、二値化処理の処理結果に基づいて、原稿領域のエッジ候補を抽出するエッジ抽出処理が実行されて、当該エッジ候補が抽出される。そして、抽出されたエッジ候補で形成される閉領域が、スキャン画像310における原稿領域(仮の原稿領域)として推定され、当該閉領域以外の領域が、原稿外領域(仮の原稿外領域)として推定される。
原稿領域と原稿外領域とが推定される(ステップS12)と、スキャン画像300内の複数の画素の画素値の分布状況が分析される(ステップS13〜S15)。そして、原稿領域と原稿外領域とを判別するための4種類の判別手法(ステップS16〜S17)の中から、当該スキャン画像310(410(後述))に最も適した手法(最適手法)が決定される。
まず、ステップS13においては、スキャン画像310全体に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、が判定される。ここでは、スキャン画像310において、注目縦方向画素列(たとえば左端の縦方向画素列)に所定程度以上のグラデーションは存在しない旨が判定されるとともに、注目横方向画素列(たとえば上端の横方向画素列)においても所定程度以上のグラデーションは存在しない旨が判定される。上述のように、縦方向画素列と横方向画素列とのいずれにおいても所定程度以上のグラデーションが存在しない場合、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在しない旨がステップS13にて判定される。そして、処理はステップS14へと進む。
ステップS14においては、スキャン画像310(図5参照)全体に関する複数の画素の画素値に関してステップS12にて生成されたヒストグラムH10(図6参照)に基づいて、原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きいか否か、が判定される。ここでは、ヒストグラムH10において、2以上のピークが検出され、且つ原稿領域ピークの画素値と原稿外領域ピークの画素値との差分が所定値(たとえば値「50」)よりも大きい。そのため、ヒストグラムH10において、原稿領域ピーク(右側のピーク)と原稿外領域ピーク(左側のピーク)との距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されると判定される。そして、処理はステップS16へと進み、第1の判別手法(基本判別手法)が最適手法として決定(採用)される。
第1の判別手法(基本判別手法)では、ステップS12にて暫定的に算出された抽出用閾値TH10がそのまま用いられて、スキャン画像400(次述)において原稿領域と原稿外領域とが判別される。
具体的には、まず、MFP10は、本スキャン(原稿外消去処理の(本来の)処理対象画像を生成するためのスキャン処理)を実行して、スキャン画像400(ここでは410(図5))を、原稿外領域を消去するための原稿外消去用画像(原稿外消去処理の処理対象画像)として生成する。
そして、スキャン画像410において、ステップS12にて暫定的に算出(仮設定)された抽出用閾値TH10(スキャン画像310全体に関するヒストグラムH10に基づき算出された抽出用閾値)に基づいて原稿領域のエッジ候補が抽出され、原稿領域と原稿外領域とが判別される。
具体的には、スキャン画像410において、当該抽出用閾値TH10よりも大きい画素値を有する画素群が、原稿領域内の画素群として決定される。そして、スキャン画像410において、抽出用閾値TH10との大小関係に基づいて、スキャン画像410内の各画素に対する二値化処理が実行される。さらに、二値化処理の処理結果に基づいて、原稿領域のエッジ候補が抽出される。そして、抽出されたエッジ候補で形成される閉領域が、スキャン画像410における原稿領域として判別され、当該閉領域以外の領域が、原稿外領域として判別される。
スキャン画像410にて原稿領域と原稿外領域とが判別されると、第1の判別手法(基本判別手法)は終了し、処理はステップS20へと進む。そして、スキャン画像410から原稿外領域が消去される(ステップS20)。
このように、スキャン画像300に所定程度以上のグラデーションが存在せず、且つヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足される場合、スキャン画像300内の複数の画素の画素値に関するヒストグラムに基づき算出された抽出用閾値THに基づいて、原稿領域と原稿外領域とが判別される。
<第2の判別手法(入出力特性調整手法)について>
さて、第1の判別手法(基本判別手法)では、ステップS12にて仮設定された抽出用閾値THがそのまま用いられて、原稿領域と原稿外領域とが判別されている。換言すれば、第1の判別手法では、スキャン画像300内の複数の画素の画素値をそのまま用いて生成されたヒストグラムに基づいて、原稿領域と原稿外領域とが判別されている。
ここにおいて、スキャン画像300内の複数の画素の画素値がそのまま利用される場合、抽出用閾値THが正確に設定(算出)されないことがある。
具体的には、スキャン画像300において原稿領域の画素の画素値と原稿外領域の画素の画素値との差分が(原稿領域と原稿外領域との境界の周辺領域において)比較的小さい場合、上記基本判別手法を用いて原稿領域と原稿外領域とを正確に判別することができないことがある。
たとえば、比較的暗い下地の原稿(たとえば濃い灰色の原稿)は、比較的明るい下地の原稿(たとえば白色の原稿)と比べて、光の反射率が小さい。そのため、比較的暗い下地の原稿がスキャンされる場合、スキャン画像300(320)に関して生成されたヒストグラムH20(H21)(図8参照)において、原稿領域に対応するピークは、比較的小さい輝度値を有する。原稿外領域に対応するピーク(原稿領域ピーク)は、図6と比べると図の左側に大きくシフトし、原稿外領域に対応するピーク(原稿外領域ピーク)に近づく。その結果、たとえば、図8のように、原稿外領域ピークと原稿領域ピークとの両ピークを区別することができなくなり、原稿外領域の画素と原稿領域の画素との双方が混在する単一のピークが形成される。また、仮に、図25のヒストグラムH25のように、原稿外領域ピークと原稿領域ピークとの2つのピークが形成された場合(両ピークが区別できる場合)であっても、当該2つピークは、比較的近い位置に形成される。
ヒストグラムにおいて単一のピークが形成される場合(図8参照)、抽出用閾値THとして設定すべき位置(画素値)を特定することは困難である。また、ヒストグラムにおいて2つのピークが形成された場合(図25参照)であっても、当該2つのピーク間の距離が比較的近いときには、原稿外領域ピークの裾野部分における特定の位置に抽出用閾値TH20が精度良く設定されない。その結果、原稿領域と原稿外領域とが正確に判別されない(誤検出が生じてしまう)恐れがある。
この点を考慮して、原稿領域の画素値と原稿外領域の画素値との差が比較的小さいスキャン画像300が生成される場合は、第1の判別手法とは異なる第2の判別手法を最適手法として用いて、原稿領域と原稿外領域とが判別される。具体的には、後述するように、スキャン画像300(320)に関するヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合、スキャン画像300内の複数の画素の画素値に関して入出力特性調整処理を実行してヒストグラムにおいて各ピーク間の距離を広げることによって、正確な抽出用閾値THが算出される。
ここでは、第1の判別手法(基本判別手法)の場合と同様に、原稿カバー110が全開状態でプレスキャンが実行される(ステップS11)ことを想定する。
そして、プレスキャン(ステップS11)にてスキャン画像320(321)(図7参照)が生成された後、当該スキャン画像321において原稿領域と原稿外領域とが推定される(ステップS12)。
具体的には、スキャン画像321全体における複数の画素の画素値に関してヒストグラムH20(H21)(図8(あるいは図25)参照)が生成され、当該ヒストグラムH21に基づいて、原稿領域のエッジ候補を抽出するための抽出用閾値TH20(TH21)が暫定的に算出(仮設定)される。
たとえば、図8のヒストグラムH21が生成される場合には、2つのピークが検出されていないため、当該ヒストグラムH21の特定の位置(たとえば単一のピークの中腹部分において曲線の傾きの絶対値が所定程度にまで低減した位置)に抽出用閾値TH21が暫定的に設定される。
また、図25のヒストグラムH21が生成される場合には、2つのピークが検出されているため、原稿外領域ピークと原稿領域ピークとの間において抽出用閾値TH21が暫定的に設定される。その後、第1の判別手法と同様にして、スキャン画像321にて原稿領域と原稿外領域とが推定される。
原稿領域と原稿外領域とが推定される(ステップS12)と、スキャン画像321内の複数の画素の画素値の分布状況が分析される(ステップS13〜S15)。
ここでは、ステップS13において、スキャン画像310(図5)と同様に、スキャン画像321(図7)内に所定程度以上のグラデーションが存在しない旨が判定される。そして、処理はステップS14へと進む。
ステップS14においては、スキャン画像321(図7参照)全体における複数の画素の画素値に関してステップS12にて生成されたヒストグラムH21において原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されるか否か、が判定される。
たとえば、図8のヒストグラムH21が生成される場合には、2以上のピークが検出されず当該2つのピーク間の距離を求めること自体ができないため、ヒストグラムH21において原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されないと判定される。
また、図25のヒストグラムH21が生成される場合には、当該2つのピーク間の距離が求められるものの、ヒストグラムH21において原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも小さい旨が判定される。そして、ヒストグラムH21において原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されないと判定される。
そして、処理はステップS17へと進み、第2の判別手法(入出力特性調整手法)が、スキャン画像321(420(後述))に最も適した最適手法として決定(採用)される。
第2の判別手法(入出力特性調整手法)では、ステップS12にて暫定的に算出された抽出用閾値TH20(TH21)は用いられず、入出力特性が調整されて新たな抽出用閾値TH20(TH25)(図9も参照)が算出される。そして、当該新たな抽出用閾値TH25に基づいて、原稿領域と原稿外領域とが判別される。
具体的には、MFP10は、プレスキャンを再度実行して(換言すれば、2回目のプレスキャンを実行し)、スキャン画像320(322)(不図示)を新たに生成する。当該スキャン画像322は、後述の入出力特性調整処理後の入出力特性に基づくA/D変換によって得られる画像である。そして、MFP10は、当該スキャン画像322に基づいて、当該新たな抽出用閾値TH25を算出する。
詳細には、MFP10は、2回目のプレスキャンに先立って、スキャン画像321内の複数の画素の画素値を決定するための入出力特性を調整する入出力特性調整処理(いわゆるゲイン調整処理)を実行する。より詳細には、図9に示されるように、入出力特性調整処理前の入出力特性における出力範囲の一部の範囲R1(スキャン画像321に関するヒストグラムH21において一定程度以上の度数を有する画素値を含む部分的範囲(図8も参照))が、より広い出力範囲R2(ここでは全範囲)となるように、入出力特性が調整される。すなわち、入出力特性の調整処理によって、入力値(CCDの各画素(受光素子)で光電変換作用により生成された電荷量(アナログ値))と出力値(画素値(デジタル値))との対応関係が変更され、特定範囲W1の入力値に対応する出力値の範囲が範囲R1からR2に増大される(図9参照)。これにより、特定範囲W1の入力値に対してより適切に量子化が行われる。
そして、2回目のプレスキャンが実行される。当該2回目のプレスキャンにおいては、入出力特性調整処理後の入出力特性に基づいて、スキャン画像322内の複数の画素の画素値がそれぞれ求められる。入出力特性調整処理後の入出力特性に基づき新たな画素値(階調値)が得られると、MFP10は、当該新たな画素値に関してヒストグラムH22(図10)を新たに生成する。
図10は、新たなヒストグラムH22を示す図である。図10に示されるように、入出力特性が調整されたことによって、調整後の入出力特性に基づき得られた画素値に関するヒストグラムH22においては、原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの2つのピークがより正確に形成される。
そして、MFP10は、新たなヒストグラムH22に基づいて仮の抽出用閾値TH22(図10参照)を算出するとともに、入出力特性調整処理前の入出力特性において当該仮の抽出用閾値TH22に対応する値を、スキャン画像321に関する新たな抽出用閾値TH25として算出する。
具体的には、入出力特性調整処理後の入出力特性に基づいて、仮の抽出用閾値TH22を出力するときの入力値V1(図9参照)が求められる。そして、入出力特性調整処理前の入出力特性に基づいて、当該入力値V1(図9)に対応する出力値が、スキャン画像321に関する新たな抽出用閾値TH25として算出される。
このように、原稿領域の画素値と原稿外領域の画素値との差が比較的小さいスキャン画像321(図7)が生成される場合は、入出力特性の調整処理が実行され、入出力特性調整処理後の入出力特性に基づいて得られた画素値の新たなヒストグラムH22に基づいて、新たな抽出用閾値TH25が算出される。
ここにおいて、入出力特性調整処理前の入出力特性では、A/D変換に際して、2つの入力値が微少な相違を有していたとしても、量子化誤差によって同じ出力値(画素値)に変換される。換言すれば、特定範囲W1の入力値が適切な出力値(画素値)に変換されない。その結果、たとえば図8のように、入出力特性調整処理前の入出力特性に関するヒストグラムH21においては、「山」(原稿領域ピークおよび原稿外領域ピーク)および「谷」が出現せず、正確な抽出用閾値THが算出されないことがある。
これに対して、入出力特性の調整処理が行われることによって、入出力特性調整処理後の入出力特性では、微少な相違を有する2つの入力値が別異の出力値に変換される。換言すれば、量子化に伴う誤差等が軽減され、より適切に量子化が行われる。
その結果、図10のように、入出力特性調整処理後の入出力特性に関するヒストグラムH22においては、入出力特性調整処理前に現れていなかった「山」および「谷」が出現する。換言すれば、入出力特性の調整処理によって、当該ヒストグラムH22において、原稿領域ピークと原稿外領域ピークとが出現するとともに、両ピーク間に「谷」が出現する。そのため、当該ヒストグラムH22に基づいて正確な抽出用閾値TH25を算出することが可能である。
新たな抽出用閾値TH25が算出されると、MFP10は、本スキャンを実行して、スキャン画像400(420)(図7)を生成する。そして、MFP10は、新たに算出された抽出用閾値TH25(スキャン画像320全体に関する抽出用閾値)に基づいて、原稿領域と原稿外領域とを判別する。具体的には、新たな抽出用閾値TH25との大小関係に基づいて、当該スキャン画像420内の各画素に関して二値化処理が実行され、処理結果に基づいて原稿領域のエッジ候補が抽出される。原稿領域のエッジ候補が抽出されると、スキャン画像420において当該エッジ候補で形成される閉領域が原稿領域として判別され、スキャン画像420において当該閉領域以外の領域が原稿外領域として判別される。
スキャン画像420にて原稿領域と原稿外領域とが判別されると、第2の判別手法は終了し、処理はステップS20へと進む。そして、スキャン画像420から原稿外領域が消去される(ステップS20)。
このように、スキャン画像300内に所定程度以上のグラデーションが存在せず、且つ当該スキャン画像300に関するヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合、スキャン画像300内の複数の画素の画素値に関して入出力特性調整処理が実行される。そして、入出力特性調整処理後の入出力特性に基づいて得られた画素値の新たなヒストグラムH22に基づいて、新たな抽出用閾値TH25が算出される。端的に言えば、入出力特性の調整処理によってスキャン画像300に関してより正確なヒストグラムが生成され、当該ヒストグラムに基づいて、より正確な抽出用閾値TH25が算出される。したがって、スキャン画像300において原稿領域内の画素の画素値と原稿外領域の画素の画素値との差分が一定程度よりも小さい場合であっても、原稿領域と原稿外領域とをより正確に(良好に)判別することが可能である。
<第3の判別手法(領域分割手法)について>
さて、第1および第2の判別手法では、スキャン画像300全体に関する抽出用閾値THに基づいて、原稿領域と原稿外領域とが判別されている。
ここにおいて、原稿カバーが半開き状態(全開状態に対して半分程度閉じられた状態)である場合、上記課題欄にて説明したように、スキャン画像300内に所定程度以上のグラデーションが生じ、スキャン画像300全体に関する抽出用閾値THを正確に算出することができないことがある。その結果、原稿領域と原稿外領域とが正確に判別されないことがある。
具体的には、図11に示されるように、原稿カバー110が半開き状態である場合、光源150から出射されて原稿載置用ガラス面を透過した光の一部が原稿カバー110の反射板120に当たって反射し、反射光が原稿載置用ガラス面を再び透過して受光部に入射する。この場合、原稿台140の一方側(ここでは奥行方向の奥側(ヒンジ部130に近い側))に比較的多くの反射光が入射し、他方側(手前側)には反射光はほとんど入射しない。そのため、原稿に関するスキャン画像300(330)においては、図12に示されるように、縦方向(主走査方向)(ヒンジ部130(図11)の回転軸に対して直交する方向)のグラデーションが生じる。詳細には、スキャン画像330(図12参照)において、比較的多くの反射光が入射した部分(原稿載置用ガラス面の奥行方向における奥側(ヒンジ部130に近い側))の輝度値が大きく、縦方向(主走査方向)の位置が当該奥側から手前側(ヒンジ部130に近い側から操作パネル部6cに近い側)へと向かうにつれて画素値(輝度値)が徐々に減少するグラデーションが生じる。
このようなグラデーションを有するスキャン画像330全体に関するヒストグラムH30においては、原稿領域に対応するピークと原稿外領域に対応するピークとの2つのピークは形成されず、単一のピークが形成される(図13参照)。当該単一のピークを有するヒストグラムH30においては、抽出用閾値THとして設定すべき位置(画素値)を特定することは困難である。また、仮に暫定的な位置に閾値TH30が設定される場合、原稿領域と原稿外領域とが正確に判別されない。たとえば、単一のピークにおける左側の裾野部分に抽出用閾値TH30が暫定的に設定された場合(図13参照)、原稿領域と原稿外領域との双方の画素が当該単一のピークに混在することによって、スキャン画像においては、図23に示されるように、原稿領域と原稿外領域とが正確に判別されない。
この点を考慮して、スキャン画像300に所定程度以上のグラデーションが存在し、且つ当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が縦方向あるいは横方向である場合は、第3の判別手法(領域分割手法)を用いて原稿領域と原稿外領域とが判別される。具体的には、後述するように、当該スキャン画像300(330)が当該グラデーションの変化方向に区分されて複数の分割領域380に分割され、分割領域380毎に抽出用閾値TH(TH30)が算出される。そして、分割領域380毎の抽出用閾値TH30に基づいて各分割領域380において原稿領域のエッジ候補が抽出されて、原稿領域と原稿外領域とが判別される。
ここでは、ユーザは、原稿を原稿載置用ガラス面に載置した後、原稿カバー110を半開き状態にしてジョブの実行指示を付与する。
MFP10においては、当該実行指示に応答してプレスキャンが実行され(ステップS11)、スキャン画像330(図12)が生成される。
そして、当該スキャン画像330において原稿領域と原稿外領域とが推定される(ステップS12)。具体的には、スキャン画像330全体における複数の画素の画素値に関してヒストグラムH30(図13参照)が生成され、当該ヒストグラムH30に基づいて、原稿領域のエッジ候補を抽出するための抽出用閾値TH30が暫定的に設定される。ここでは、上述のように、単一のピークにおける左側の裾野部分に暫定的な抽出用閾値TH30が設定(仮設定)される。そして、スキャン画像330において、暫定的に算出された抽出用閾値TH30に基づいて、原稿領域と原稿外領域とが推定される(図23も参照)。
原稿領域と原稿外領域とが推定される(ステップS12)と、スキャン画像330内の複数の画素の画素値の分布状況が分析される(ステップS13〜S15)。
まず、ステップS13においては、スキャン画像330全体に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、が判定される。具体的には、スキャン画像330における縦方向画素列と横方向画素列との少なくとも一方に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、が判定される。
ここでは、スキャン画像330(図12)にて推定された原稿外領域における縦方向の特定の画素列を含む注目縦方向画素列(たとえば左端の縦方向画素列)に関して、当該注目縦方向画素列の伸延方向における複数の画素の画素値が徐々に変化し且つ当該複数の画素の画素値の変動幅が所定程度を超えている旨(所定の変化特性を有する旨)、が判定される。換言すれば、スキャン画像330の縦方向画素列に所定程度以上のグラデーションが存在する旨が判定される。なお、ここでは、スキャン画像330にて推定された原稿外領域における横方向の特定の画素列を含む注目横方向画素列(たとえば上端の横方向画素列)に関しては、当該所定の変化特性を有しない旨が判定される。換言すれば、スキャン画像330の横方向画素列には所定程度以上のグラデーションは存在しない旨が判定される。
そして、スキャン画像330における縦方向画素列と横方向画素列との少なくとも一方(ここでは縦方向画素列)に所定程度以上のグラデーションが存在する場合、スキャン画像330全体に所定程度以上のグラデーションが存在する旨がステップS13にて判定され、処理はステップS15へと進む。
ステップS15においては、スキャン画像300(330)における縦方向画素列と横方向画素列との双方における所定程度以上のグラデーションの存否判定の判定結果に基づいて、当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が分析(判定)される。具体的には、スキャン画像330全体における所定程度以上のグラデーションの変化方向が縦方向と横方向と斜め方向とのいずれであるか、が判定される。
ここでは、上述のように、スキャン画像330(図12)の縦方向画素列に所定程度以上のグラデーションが存在しているものの、横方向画素列には当該所定程度以上のグラデーションは存在していない。この場合、MFP10は、スキャン画像330全体における所定程度以上のグラデーションの変化方向は縦方向であると判定する。そして、スキャン画像330全体における当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が縦方向である旨がステップS15にて判定され、処理はステップS18へと進み、第3の判別手法(領域分割手法)が、スキャン画像330(430(後述))に最も適した最適手法として決定(採用)される。
第3の判別手法(領域分割手法)では、スキャン画像300(330)が複数の分割領域380に分割され、分割領域380毎に抽出用閾値TH(TH30)が算出される。そして、分割領域380毎の抽出用閾値TH30に基づいて、各分割領域380において原稿領域と原稿外領域とが判別される。
具体的には、MFP10は、スキャン画像330全体における所定程度以上のグラデーションの方向が縦方向である場合、当該スキャン画像330を、当該グラデーションの方向(すなわち縦方向)に区分して複数の分割領域380(たとえば予め定められた分割数の分割領域381〜384)に分割する(図14参照)。ここでは、予め定められた分割数(たとえば4つ)に基づいて、スキャン画像330が4分割される。
なお、スキャン画像300全体におけるグラデーションの変化方向が横方向である場合は、当該スキャン画像300は横方向に分割される。たとえば、原稿カバー110の開閉用のヒンジ部130が原稿台140における左右方向のいずれかの端部(たとえば左端部)に設けられている場合(すなわちヒンジ部130の回転軸が主走査方向に対して平行に設けられている場合)、原稿カバー110が半開き状態でスキャンされて生成されたスキャン画像300(335)は、横方向のグラデーションを有する(図24参照)。この場合、当該スキャン画像335は、当該グラデーションの方向(ここでは横方向)に区分されて複数の分割領域に分割される(図24参照)。
スキャン画像330が分割されると、MFP10は、各分割領域381〜384内の各画素の画素値に関するヒストグラムH31〜H34(図14、図15参照)をそれぞれ生成し、分割領域381〜384毎に抽出用閾値TH31〜TH34を算出する。
ここにおいて、分割領域381〜384のいずれにおいても、原稿領域内の画素(原稿の下地の画素)の画素値は、(基本的には)変動しない(一定である)。
この点を考慮して、MFP10は、2以上のヒストグラムにおける共通の位置(画素値)にそのピーク位置(ピーク値に対応する位置(画素値))を有するピーク(共通位置ピークとも称する)を、原稿領域に対応するピーク(原稿領域ピーク)として判定する。また、MFP10は、当該共通位置ピーク以外のピーク(当該共通の位置とは異なる位置にそのピーク位置を有するピーク)(非共通位置ピークとも称する)のうち、最も大きい度数(最大度数)を有する非共通位置ピークを、原稿外領域に対応するピーク(原稿外領域ピーク)として判定する。
具体的には、図15に示されるように、ヒストグラムH31,H33,H34においては、それぞれ、共通の位置にピークが存在している。この場合、MFP10は、当該共通の位置に存在するピーク(共通位置ピーク)を検出し、当該共通位置ピークを、ヒストグラムH31,H33,H34において、原稿領域ピークとして判定する。また、複数のピークのうち共通位置ピーク以外のピークが非共通位置ピークとして検出され、当該非共通位置ピークのうち最も大きい度数(最大度数)を有するピークが、原稿外領域ピークとして判定される。
たとえば、ヒストグラムH33,H34においては、2つのピークのうちの右側のピークが原稿領域ピークとして判定され、左側のピークが原稿外領域ピークとして判定される。また、ヒストグラムH31においては、2つのピークのうちの左側のピークが原稿領域ピークとして判定され、右側のピークが原稿外領域ピークとして判定される。
そして、ヒストグラムH31,H33,H34(2以上のピークが存在するヒストグラム)のそれぞれに基づいて、各ヒストグラムH31,H33,H34に対応する各分割領域381,383,384に関する各抽出用閾値TH31,TH33,TH34が算出される。具体的には、各ヒストグラムH31,H33,H34における共通位置ピークと非共通位置ピークとの間において、共通位置ピークの裾野部分における特定の位置が、分割領域381,383,384に関する抽出用閾値TH31,TH33,TH34として算出される。
また、分割領域382に関するヒストグラムH32においては、原稿領域の画素と原稿外領域の画素との差分が小さいことに起因して、2以上のピークが存在しない(図15参照)。この場合、MFP10は、2以上のピークが存在しないヒストグラムH32に関する抽出用閾値TH32について、当該ヒストグラムH32に対応する分割領域382に隣接する分割領域380(ここでは381,383)の抽出用閾値TH31,TH33に基づき算出(推定)する。たとえば、分割領域381,383に関して算出された抽出用閾値TH31,TH33の平均値が求められ、当該平均値が、分割領域382に関する抽出用閾値TH32として算出(推定)される。
全ての分割領域380(381〜384)について抽出用閾値TH31〜TH34が算出されると、MFP10は、本スキャンを実行してスキャン画像400(430)(図14参照)を生成する。
そして、当該スキャン画像430内の各分割領域380(381〜384)において、分割領域380毎の抽出用閾値TH31〜TH34に基づいて、原稿領域と原稿外領域とを判別する。具体的には、スキャン画像430内の各分割領域380において、各ヒストグラム(図15)で算出された抽出用閾値THよりも大きい画素値を有する画素群と当該抽出用閾値THよりも小さい画素値を有する画素群との両画素群のうち、共通位置ピークを含む一方の画素群が、原稿領域内の画素群として決定される。
たとえば、分割領域384のヒストグラムH34(図15)においては、ヒストグラムH34で算出された抽出用閾値TH34よりも右側に共通位置ピークが存在している。そのため、スキャン画像430内の分割領域384においては、当該抽出用閾値TH34よりも大きい画素値を有する画素群(共通位置ピークを含む画素群)が、原稿領域内の画素群として決定される。そして、スキャン画像430内の分割領域384(図14参照)においては、当該抽出用閾値TH34との大小関係に基づいて分割領域384内の各画素に対する二値化処理が実行される。さらに、当該二値化処理の処理結果等に基づいて、エッジ抽出処理が実行されて、分割領域384内の原稿領域のエッジ候補が抽出される。
同様に、分割領域383のヒストグラムH33(図15)においても、ヒストグラムH33で算出された抽出用閾値TH33よりも右側に共通位置ピークが存在している。そのため、スキャン画像430内の分割領域383においても、当該抽出用閾値TH33よりも大きい画素値を有する画素群が、原稿領域内の画素群として決定される。そして、スキャン画像430内の分割領域383(図14参照)において、抽出用閾値TH33との大小関係に基づいて、分割領域383内の各画素に対する二値化処理がそれぞれ実行され、当該二値化処理の処理結果等に基づいて、分割領域383内の原稿領域のエッジ候補がそれぞれ抽出される。
一方、図15に示されるように、分割領域381のヒストグラムH31においては、ヒストグラムH31で算出された抽出用閾値TH31よりも左側に共通位置ピークが存在している。そのため、スキャン画像430内の分割領域381においては、当該抽出用閾値TH31よりも小さい画素値を有する画素群が、原稿領域内の画素群として決定される。そして、スキャン画像430内の分割領域381(図14参照)において、抽出用閾値TH31との大小関係に基づいて分割領域381内の各画素に対する二値化処理が実行され、当該二値化処理の処理結果等に基づいて、分割領域381内の原稿領域のエッジ候補が抽出される。
なお、分割領域382に関しては、他の分割領域380の各ヒストグラムにて特定された共通位置ピークの位置が、当該分割領域382に関して算出(推定)された抽出用閾値TH32よりも右側に存在する(図15参照)。そのため,スキャン画像430内の分割領域382においては、当該抽出用閾値TH32よりも大きい画素の画素値を有する画素群が、原稿領域内の画素群として決定される。そして、スキャン画像430内の分割領域382(図14参照)において、抽出用閾値TH32との大小関係に基づいて当該分割領域382内の画素に対する二値化処理が実行され、当該二値化処理の処理結果等に基づいて、分割領域382内の原稿領域のエッジ候補が抽出される。
このようにして、スキャン画像430内の各分割領域380において、原稿領域のエッジ候補が抽出される。そして、分割領域380毎に抽出されたエッジ候補に基づいて、スキャン画像430において原稿領域と原稿外領域とが判別される。具体的には、分割領域380毎に抽出されたエッジ候補で形成される閉領域が原稿領域として判別され、当該閉領域外の領域が原稿外領域として判別される。
スキャン画像430にて原稿領域と原稿外領域とが判別されると、第3の判別手法は終了し、処理はステップS20へと進む。そして、スキャン画像430から原稿外領域が消去される(ステップS20)。
このように、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在し、且つ当該所定程度以上のグラデーションの方向が縦方向と横方向とのいずれかである場合、スキャン画像300が当該グラデーションの変化方向に区分されて複数の分割領域380に分割される。そして、分割領域380毎に抽出用閾値TH30が算出され、分割領域380毎の抽出用閾値TH30に基づいて、原稿領域と原稿外領域とが判別される。したがって、スキャン画像300に所定程度以上のグラデーション(詳細には縦方向あるいは横方向のグラデーション)が存在する場合であっても、原稿領域と原稿外領域とをより正確に(良好に)判別することが可能である。
<第4の判別手法(直交点推定手法)について>
ここにおいて、原稿カバー110が全開状態であっても、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが生じることもある。
たとえば、ユーザが原稿載置用ガラス面を覗き込んだ状態でスキャン動作が行われた場合、光源150から出射されて原稿載置用ガラス面を透過した光の一部が、当該ユーザの衣類等に当たることがある。この場合、ユーザの位置等によっては、比較的多くの反射光(当該ユーザの衣類等に当たった光)が、原稿載置用ガラス面を再び透過して、原稿台140の手前側における両端の角部分の一方に入射して受光部によって検知されることもある。たとえば、ユーザが原稿台140の左手前側(奥行方向において手前側且つ左右方向において左側)から原稿載置用ガラス面を覗き込んでいる場合、原稿台140の左手前側の角部分において、比較的多くの反射光(当該ユーザの衣類等に当たった光)が検知される。このような状況において原稿に関して生成されたスキャン画像300(340)には、図16に示されるように、斜め方向のグラデーションが生じ得る。詳細には、スキャン画像340(図16)において、原稿載置用ガラス面の左手前側の部分の輝度値が大きく、画素の位置が当該左手前側から右奥側(原稿載置用ガラス面の奥行方向において奥側且つ左右方向において右側)へと向かうにつれて輝度値が徐々に減少する(暗くなる)グラデーション(斜め方向のグラデーション)が生じ得る。
このようなグラデーションを有するスキャン画像340(図16)において、仮にスキャン画像340が縦方向あるいは横方向に分割される場合、比較的多くの分割領域において原稿領域と原稿外領域とが正確に判別されないことがある。
ここにおいて、上述したように、スキャン画像300全体における所定程度以上のグラデーションの変化方向が縦方向あるいは横方向である場合、当該スキャン画像300全体に関するヒストグラムにおいては2つのピークが検出されず、当該ヒストグラムに基づいて正確な抽出用閾値THが算出されない、という問題が生じ得る。
スキャン画像300全体における所定程度以上のグラデーションの変化方向が斜め方向である場合、当該スキャン画像300がたとえば縦方向に分割されたとしても、比較的多くの分割領域内においては、横方向に所定程度以上のグラデーションが未だ存在し得る。たとえば、斜め方向に所定程度以上のグラデーションが存在するスキャン画像340が縦方向に区分されて4つの分割領域391〜394に分割されたとしても、たとえば3つの分割領域392〜394においては、図26のように、横方向に所定程度以上のグラデーションが存在する。
そのため、分割領域392〜394内において所定程度以上のグラデーションが横方向に存在することに起因して、当該分割領域392〜394のそれぞれにおいて、上記の問題と同様の問題が生じ得る。たとえば、分割領域392〜394に関するヒストグラムのそれぞれにおいては、2つのピークが検出されず、正確な抽出用閾値THが算出されない。その結果、各分割領域392〜394において、原稿領域と原稿外領域とが正確に判別されない恐れがある。
この点を考慮して、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在し、且つ当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が斜め方向である場合は、第3の判別手法(領域分割手法)とは異なる第4の判別手法(直交点推定手法)(後述)を用いて、原稿領域と原稿外領域とが判別される。
具体的には、プレスキャン(ステップS11)にてスキャン画像340(図16)が生成された後、当該スキャン画像340において原稿領域と原稿外領域とが推定される(ステップS12)。図17は、スキャン画像340全体の各画素の画素値に関して生成されたヒストグラムH40を示す図である。そして、当該ヒストグラムH40に基づいて、抽出用閾値TH(TH40)が暫定的に設定される。そして、暫定的に設定された抽出用閾値TH40に基づいて、原稿領域と原稿外領域とが推定される。
原稿領域と原稿外領域とが推定される(ステップS12)と、スキャン画像340内の各画素の画素値の分布状況が分析される(ステップS13〜S15)。
まず、ステップS13においては、スキャン画像340全体に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、が判定される。具体的には、スキャン画像330における縦方向画素列と横方向画素列との少なくとも一方に所定程度以上のグラデーションが存在するか否か、が判定される。
ここでは、スキャン画像340(図16参照)における注目縦方向画素列(たとえば左端の縦方向画素列)に関して、当該注目縦方向画素列の伸延方向における複数の画素の画素値が徐々に変化し且つ当該複数の画素の画素値の変動幅が所定程度を超えている旨(所定の変化特性を有する旨)、が判定される。換言すれば、スキャン画像340の注目縦方向画素列に所定程度以上のグラデーションが存在する旨が判定される。また、スキャン画像340における注目横方向画素列(たとえば下端の横方向画素列)に関しても、当該所定の変化特性を有する旨が判定される。換言すれば、スキャン画像340の注目横方向画素列においても所定程度以上のグラデーションが存在する旨が判定される。
そして、スキャン画像340における縦方向画素列と横方向画素列との少なくとも一方(ここでは双方)に所定程度以上のグラデーションが存在する場合、スキャン画像340全体に所定程度以上のグラデーションが存在する旨がステップS13にて判定され、処理はステップS15へと進む。
ステップS15においては、スキャン画像340における縦方向画素列と横方向画素列との双方における所定程度以上のグラデーションの存否判定の判定結果に基づいて、当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が判定される。具体的には、スキャン画像340全体における所定程度以上のグラデーションの変化方向が縦方向と横方向と斜め方向とのいずれであるか、が判定される。
ここでは、上述のように、スキャン画像340(図16)の縦方向画素列と横方向画素列との双方に所定程度以上のグラデーションが存在している。この場合、MFP10は、スキャン画像340全体における所定程度以上のグラデーションの変化方向は斜め方向であると判定する。そして、当該変化方向が斜め方向である旨がステップS15にて判定され、処理はステップS19へと進み、第3の判別手法とは異なる第4の判別手法(直交点推定手法)が、スキャン画像340(440(後述))に最も適した最適手法として決定(採用)される。
第4の判別手法(直交点推定手法)では、原稿領域のエッジ候補が直交する4点の直交点P1〜P4の位置に基づき原稿領域と原稿外領域とが判別されるにあたって、当該4点の直交点P1〜P4のうちの少なくとも1点の直交点が検出されない旨が判定される場合、当該1点の直交点の位置が、残余の直交点の検出位置に基づき求められる。そして、直交点P1〜P4を接続する直線で形成される閉領域に基づいて、原稿領域と原稿外領域とが判別される。
具体的には、まず、MFP10は、本スキャンを実行してスキャン画像400(440)(図18参照)を生成する。そして、MFP10は、ステップS12にて暫定的に算出(仮設定)された抽出用閾値TH40(スキャン画像340全体に関して算出された抽出用閾値TH40)をそのまま用いて、スキャン画像440において原稿領域のエッジ候補を抽出する。エッジ候補が抽出されると、MFP10は、抽出されたエッジ候補が直交する直交点Pを検出する直交点検出処理を実行する。
ここにおいて、斜め方向のグラデーションがスキャン画像400に存在する場合、エッジ候補の4点の直交点のうちの3点は検出される可能性が比較的高いものの、当該4点の直交点のうちの1点は検出されない可能性が比較的高い。具体的には、スキャン画像440(図18参照)の原稿外領域のうち反射光がほとんど検知されていない領域においては、直交点(ここでは直交点P1〜P3)は検出される。一方、スキャン画像440の原稿領域のうち、比較的多くの反射光(ユーザの衣類等に当たって反射した光)が入射した部分(ここでは原稿載置用ガラス面の奥行方向における手前側の左の角)に近い領域においては、直交点(ここでは直交点P4)が検出されない。
この点を考慮して、斜め方向のグラデーションがスキャン画像440に存在する場合において、4点の直交点P1〜P4のうち少なくとも1点の直交点(ここではP4)が検出されない旨が判定されるときには、当該直交点P4の位置が、残余の直交点P1〜P3の検出位置に基づいて求められる(推定される)。
具体的には、当該直交点P1〜P3の検出位置の位置関係と幾何学的関係とに基づいて、直交点P1〜P4が直線で接続されて形成される閉領域が矩形形状を有するように、直交点P4の位置が推定される(図19参照)。
そして、スキャン画像440において、直交点P1〜P3の検出位置と直交点P4の推定位置とに基づいて閉領域が形成され、当該閉領域が原稿領域として判別されるとともに、当該閉領域以外の領域が原稿外領域として判別される。
スキャン画像440にて原稿領域と原稿外領域とが判別されると、第4の判別手法(直交点推定手法)は終了し、処理はステップS20へと進む。そして、スキャン画像440から原稿外領域が消去される(ステップS20)。
このように、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在し、且つ当該所定程度以上のグラデーションの変化方向が斜め方向である場合は、原稿領域のエッジ候補の直交点の位置に基づいて原稿領域と原稿外領域とが判別される。ただし、このような判別が行われるにあたって、当該検出されない直交点(ここでは直交点P4)が存在する場合は、当該直交点P4の位置が残余の直交点(ここでは直交点P1〜P3)の検出位置に基づいて推定される。したがって、スキャン画像300内において斜め方向のグラデーションが存在する場合であっても、原稿領域と原稿外領域とをより正確に(良好に)判別することが可能である。
以上のように、本実施形態においては、原稿台140に載置された原稿に関するスキャン画像内の複数の画素の画素値の分布状況が分析され(ステップS13〜S15)、分析結果に基づいて、原稿領域と原稿外領域とを判別するための複数の判別手法(ステップS16〜S19)の中から最適手法が決定される。そして、決定された最適手法を用いて、原稿領域と原稿外領域とが判別される。したがって、原稿台に載置された原稿に関するスキャン画像において、原稿領域と原稿外領域とをより正確に判別することが可能である。
<1−3.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記内容のものに限定されるものではない。
<各判別手法の実行是非等に関する変形例>
たとえば、上記実施形態においては、スキャン画像300における所定程度以上のグラデーションの存否判定処理(ステップS13)が行われた後に、スキャン画像300全体に関するヒストグラムにおける度数分布状況の解析処理(ステップS14)が行われているが、これに限定されない。たとえば、度数分布状況の解析処理が行われた後に、グラデーションの存否判定処理が行われてもよい。
また、上記実施形態等においては、グラデーションの存否判定処理(ステップS13)と度数分布状況の解析処理(ステップS14)とグラデーションの方向判定処理(ステップS15)との3つの処理の全てが行われているが、これに限定されず、当該3つの処理の一部のみが行われるようにしてもよい。
たとえば、度数分布状況の解析処理(ステップS14)は行われずに、グラデーションの存否判定処理(ステップS13)とグラデーションの方向判定処理(ステップS15)とが行われるようにしてもよい。
具体的には、スキャン画像300に所定程度以上のグラデーションが存在しない場合、度数分布状況の解析処理は行われず、第1の判別手法(基本判別手法)と第2の判別手法(入出力特性調整手法)とのいずれか一方の判別手法が最適手法として一律に決定(採用)されるようにしてもよい。なお、スキャン画像300全体に所定程度以上のグラデーションが存在する場合は、上記実施形態と同様に、グラデーションの方向判定処理が実行され、判定結果に応じて、第3の判別手法(領域分割手法)と第4の判別手法(直交点推定手法)とのいずれか一方が最適手法として決定される。
あるいは、グラデーションの存否判定処理(ステップS13)とグラデーションの方向判定処理(ステップS15)とは行われずに、度数分布状況の解析処理(ステップS14)のみが行われてもよい。具体的には、スキャン画像300内における所定程度以上のグラデーションの存否は判定されず、スキャン画像300全体に関するヒストグラムにて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されるか否かのみが判定されてもよい。
また、グラデーションの方向判定処理(ステップS15)は行われず、グラデーションの存否判定処理(ステップS13)と度数分布状況の解析処理(ステップS14)とが行われるようにしてもよい。具体的には、スキャン画像300に所定程度以上のグラデーションが存在する旨が判定される場合、当該グラデーションの方向判定処理は行われず、第3の判別手法(領域分割手法)と第4の判別手法(直交点推定手法)とのいずれか一方が最適手法として一律に決定(採用)されるようにしてもよい。
このように、グラデーションの存否判定処理(ステップS13)と度数分布状況の解析処理(ステップS14)とグラデーションの方向判定処理(ステップS15)との3つの処理の一部のみが行われるようにしてもよい。
<第2の判別手法(ステップS17)に関する変形例>
また、上記実施形態等においては、ヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合、入出力特性調整手法が第2の判別手法(ステップS17)として用いられているが、これに限定されない。たとえば、ヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合、次のような判別手法が第2の判別手法として用いられてもよい。
具体的には、抽出されたエッジ候補のうちの正規のエッジ部分(後述)に基づく補完処理を行って当該エッジ候補の誤検出部分(後述)を補正して、原稿領域と原稿外領域とを判別する手法(「エッジ補完手法」)が、第2の判別手法(ステップS17)として用いられてもよい。
詳細には、MFP10は、ステップS12にて暫定的に算出された抽出用閾値THに基づいて原稿領域のエッジ候補を抽出するとともに、抽出されたエッジ候補のうち原稿領域の正規のエッジ部分と誤検出部分とを特定する。そして、MFP10は、正規のエッジ部分に基づく補完処理を行って当該誤検出部分を補正し、原稿領域と原稿外領域とを判別する。
より詳細には、ステップS17において、MFP10は、本スキャンを実行してスキャン画像420(図7参照)を生成する。そして、MFP10は、ステップS12にて暫定的に算出された抽出用閾値TH21(スキャン画像320内の複数の画素の画素値のヒストグラムH21に基づき算出された抽出用閾値)(図8)をそのまま用いて、スキャン画像425にて原稿領域のエッジ候補を抽出する。
ただし、原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合、抽出用閾値THが正確に算出されず、たとえば図20のように、エッジ候補の一部が正確に抽出されないこともある。なお、図20では、図示の都合上、原稿領域と原稿外領域との双方とも白色で表示しているが、実際は、図7のように、原稿外領域の画素の画素値は比較的小さく(ほぼ値「0」に近く)、原稿領域の画素の画素値は、原稿外領域の画素の画素値よりも若干大きいものとする。
この点を考慮して、MFP10は、原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合は、抽出されたエッジ候補のうちの正規のエッジ部分に基づく補完処理を行って当該エッジ候補の誤検出部分を補正して、原稿領域と原稿外領域とを判別する手法(「エッジ補完手法」)を最適手法として決定(採用)する。
具体的には、MFP10は、抽出されたエッジ候補のうち、所定値以上の長さの直線部分(線分)を、原稿領域の正規のエッジ部分(正しく検出されたているとみなす部分)として特定する(図21参照)。ここでは、直線部分M1〜M7(図21参照)が正規のエッジ部分として特定される。また、MFP10は、当該所定値以上の長さの直線部分(正規のエッジ部分)以外の部分(直線性を有しない部分あるいは所定値未満の長さの直線線分)を誤検出部分として抽出する。ここでは、4箇所の誤検出部分N1〜N4(図21参照)が特定される。
そして、MFP10は、正規のエッジ部分として特定された直線部分M1〜M7に基づく補完処理を行って、誤検出部分N1〜N4を補正する(図21参照)。たとえば、直線部分M1(および/あるいはM2)が延長されて、誤検出部分N1が補正される。また、直線部分M3(および/あるいはM4)が延長されて、誤検出部分N2が補正される。また、直線部分M5および直線部分M6が延長されて、誤検出部分N3が補正される。さらに、直線部分M6(および/あるいはM7)が延長されて、誤検出部分N4が補正される。
全ての誤検出部分N1〜N4が補正されると、MFP10は、スキャン画像420において、補正後のエッジ候補で形成される閉領域を原稿領域として判別し、当該閉領域以外の領域を原稿外領域として判別する。
このように、ヒストグラムにおいて原稿領域ピークと原稿外領域ピークとの距離が一定程度よりも大きい旨の条件が充足されない場合は、原稿領域の正規のエッジ部分に基づく補完処理によって誤検出部分を補正する手法(エッジ補完手法)が、第2の判別手法(ステップS17)として用いられてもよい。
<第4の判別手法(ステップS19)に関する変形例>
また、上記実施形態等においては、スキャン画像300全体における所定程度以上のグラデーションの変化方向が当該スキャン画像300における斜め方向である場合、直交点推定手法が第4の判別手法(ステップS19)として用いられているが、これに限定されない。たとえば、スキャン画像300全体における所定程度以上のグラデーションの変化方向が斜め方向である場合、上記のエッジ補完手法が第4の判別手法として用いられてもよい。
具体的には、ステップS19において、MFP10は、本スキャンを実行してスキャン画像440(図16参照)を生成する。そして、MFP10は、ステップS12にて暫定的に算出された抽出用閾値TH40(スキャン画像340内の複数の画素の画素値のヒストグラムH40に基づき算出された抽出用閾値)(図17)をそのまま用いて、スキャン画像440において原稿領域のエッジ候補を抽出する(図22参照)。
エッジ候補が抽出されると、MFP10は、抽出されたエッジ候補のうち正規のエッジ部分(所定値以上の長さの直線部分)を特定するとともに、誤検出部分(正規のエッジ部分以外の部分)(ここでは誤検出部分N10)を特定する。
そして、MFP10は、正規のエッジ部分に基づく補完処理を行って、誤検出部分N10を補正する。具体的には、直線部分M11および直線部分M12が延長されて、誤検出部分N10が補正される(図22参照)。当該誤検出部分N10が補正されると、MFP10は、スキャン画像440において、補正後のエッジ候補で形成される閉領域を原稿領域として判別するとともに、当該閉領域以外の領域を原稿外領域として判別する。
このように、スキャン画像300全体におけるグラデーションの変化方向が斜め方向である場合は、エッジ補完手法が第4の判別手法(ステップS19)として用いられてもよい。
<その他>
また、上記実施形態等においては、第1〜第4の判別手法(ステップS16〜S19)は互いに異なる判別手法であるが、これに限定されず、第1〜第4の判別手法のうちの一部が同じ判別手法であってもよい。たとえば、第2の判別手法と第4の判別手法とが同じ判別手法であってもよい。具体的には、ステップS17とステップS19とにおいては、同じ判別手法(上記のエッジ補完手法あるいは直交点推定処理等)が最適手法として決定されるようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態等においては、プレスキャンによって生成されたスキャン画像300が、当該スキャン画像300内の複数の画素の画素値の分布状況の分析用画像として利用され、本スキャンによって生成されたスキャン画像400が、原稿外消去処理の処理対象画像として利用されているが、これに限定されない。たとえば、プレスキャンにて生成されたスキャン画像300が、当該分布状況の分析用画像として利用されるとともに、原稿外消去処理の処理対象画像としても利用されるようにしてもよい。