JP2018048415A - 繊維集合体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐有機溶媒性及び防水性に優れる繊維集合体、及びその製造方法を提供すること。【解決手段】 本発明の繊維集合体は、有機溶媒に可溶又は親水性の第1ポリマーが、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムが結合した第2ポリマーで被覆された繊維を含む繊維集合体である。また、前記繊維集合体は、前記第1ポリマーからなる前駆繊維を含む前駆繊維集合体を形成する工程、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムを含む溶液で、前記前駆繊維集合体を被覆する工程、前記溶液中の、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムを結合させる工程、で製造できる。【選択図】 なし

Description

本発明は繊維集合体及びその製造方法に関する。特には、耐溶剤性及び防水性に優れる繊維集合体及びその製造方法に関する。
ポリマーが有機溶媒に溶解した紡糸液を乾式紡糸して得た繊維を含む不織布などの繊維集合体を、有機溶媒と接触させると、前記繊維が溶解し、繊維集合体の形状を維持できないため、使用用途が限定されるという問題があった。
例えば、前述のような繊維集合体を電気二重層キャパシタ用のセパレータとして使用しようとしても、電気二重層キャパシタの電解液は有機溶媒からなるため、繊維集合体が有機溶媒に溶解してしまい、セパレータとしての働きをなさない場合があった。
そのため、本願出願人は「有機溶媒に可溶な第1ポリマーが、前記有機溶媒に不溶な第2ポリマーによって被覆された繊維からなる繊維集合体」(特許文献1)を提案し、この第2ポリマーとしてポリビニルアルコールを開示し、具体的に、完全けん化型ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体とを第2ポリマーとして使用したことを開示した。
この繊維集合体は有機溶媒に不溶な第2ポリマーによって有機溶媒に可溶な第1ポリマーが被覆されているため、有機溶媒が加熱された場合であっても、溶解することなく形態を維持できる、耐有機溶媒性に優れるものであったが、ポリビニルアルコールを含む第2ポリマーを使用した場合、手の汗などの少量の湿気によっても溶けてしまうため、取り扱いにくいばかりでなく、防水性を必要とする用途において使用できないという問題があった。例えば、第2ポリマーとしてポリビニルアルコール、又はポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体とを第2ポリマーとする繊維を含む不織布を、水系薬剤が塗工された貼付薬用の基布として使用しようとしても、水系薬剤の水分が不織布に浸透してしまうため、実際には貼付薬用基布として使用できないものであった。
特開2011−69011号公報
本発明はこのような状況下においてなされたものであり、耐有機溶媒性及び防水性に優れる繊維集合体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の繊維集合体は、有機溶媒に可溶又は親水性の第1ポリマーが、第2ポリマーで被覆された繊維を含む繊維集合体であり、前記第2ポリマーが、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムが結合したポリマーである。
また、本発明の繊維集合体の製造方法は、有機溶媒に可溶又は親水性の第1ポリマーからなる前駆繊維を含む前駆繊維集合体を形成する工程、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムを含む溶液で、前記前駆繊維集合体を被覆する工程、前記溶液中の、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムを結合させる工程、を有する。
本発明の繊維集合体は繊維表面が、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーに加えて、炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第4級アンモニウムが結合したポリマーで構成されているため、耐有機溶媒性及び防水性に優れている。
本発明の繊維集合体の製造方法は、繊維表面をポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーに加えて、炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第4級アンモニウムを含む溶液で被覆し、これらを結合させているため、耐有機溶媒性及び防水性に優れる繊維集合体を製造できる。
本発明の繊維集合体を構成する繊維は、有機溶媒に可溶又は親水性の第1ポリマーが、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムが結合した第2ポリマーで被覆されているため、耐有機溶媒性及び防水性に優れている。
この第1ポリマーの1つは、有機溶媒に溶解した紡糸液を乾式紡糸できるように、有機溶媒に可溶である。このような第1ポリマーは有機溶媒に可溶である限り、特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル、アクリル系樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル共重合体など)、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フッ素系樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体など)、ポリウレタン、パラ又はメタ系アラミドなどを挙げることができる。なお、有機溶媒に可溶な第1ポリマーは1種類である必要はなく、2種類以上が混在していても良い。
この有機溶媒は第1ポリマーの種類によって異なり、第1ポリマーを可溶であれば良く、特に限定するものではないが、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ギ酸、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。なお、有機溶媒は1種である必要はなく、2種以上の混合溶媒であっても良い。
本発明における「有機溶媒に可溶」とは、ポリマーをポリマー質量の100倍量の有機溶媒に投入し、100℃以下の沸点をもつ有機溶媒の場合には(沸点−10)℃で、100℃を超える沸点をもつ有機溶媒の場合には100℃で、60分間加熱し続けた時に、質量が70%以上減少することを意味する。
別の第1ポリマーは、第2ポリマーとの親和性に優れているように、親水性である。本発明における「親水性」とは、ポリマーのフィルム状態における、水の接触角が90°以下であることを意味する。なお、本発明における接触角は動的接触角の測定装置(協和界面科学(株)製、DM500)により測定した値をいう。
このような第1ポリマーは親水性である限り、特に限定するものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸系共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、エポキシ樹脂、セルロース、でんぷん、プルラン、キチン、キトサン、ゼラチン、たんぱく質、無機高分子などを挙げることができる。
このような有機溶媒に可溶な第1ポリマー又は親水性の第1ポリマーは、それぞれ有機溶媒に可溶又は防水性がなく、各種用途に適用できないため、本発明においては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムが結合した第2ポリマーで被覆した繊維(以下、「PVA系被覆繊維」と表記することがある)を含む繊維集合体であることによって、耐有機溶媒性及び防水性に優れる繊維集合体である。つまり、主として、ポリビニルアルコールとカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとによって、耐有機溶剤性を有するとともに、疎水性の強い炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第4級アンモニウムが結合していることによって、疎水性に優れるPVA系被覆繊維であるため、このPVA系被覆繊維を含む繊維集合体は耐有機溶剤性及び防水性に優れている。
このポリビニルアルコールとしては、ビニルアルコール単位を有するポリビニルアルコール系重合体を使用できる。通常、ポリビニルアルコールはビニルアルコールから直接重合することができないため、酢酸ビニル重合体をけん化することで作製したポリビニルアルコールを使用できる。本発明においては、100モル%けん化したポリビニルアルコール以外に、酢酸ビニルが残存する部分けん化ポリビニルアルコールを使用することができる。部分けん化ポリビニルアルコールのけん化度は特に限定するものではないが、50モル%以上であるのが好ましく、65モル%以上であるのがより好ましく、80モル%以上であるのが更に好ましい。また、これらの範囲のけん化度を有する再酢化物であっても使用することができる。なお、4級アンモニウム塩などが共重合していたり、4級アンモニウム基を有するとともにアルデヒド基などの反応性基を有する低分子量化合物をポリビニルアルコールと反応させるなどして形成したカチオン変性ポリビニルアルコールを使用することもできる。しかしながら、カチオン変性ポリビニルアルコールは分解して臭いを発生する場合があるため、未変性のポリビニルアルコール(100モル%けん化したポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、或いは再酢化物)であるのが好ましい。
本発明のポリビニルアルコールの平均重合度は、特に限定するものではないが、PVA系被覆繊維の強度が優れているように、80以上であるのが好ましく、100以上であるのがより好ましく、120以上であるのが更に好ましい。また、平均重合度が高すぎると、溶媒に対する溶解性が低下し、生産性に劣る場合があるため、30,000以下であるのが好ましく、20,000以下であるのがより好ましく、12,000以下であるのが更に好ましい。本発明における「けん化度」、「平均重合度」ともに、JIS K6726に準じて測定した値をいう。なお、けん化度が約70モル%を下回る場合であっても、前記JIS規格に則って測定した値をいう。
本発明のPVA系被覆繊維を構成する第2ポリマーは上述のようなポリビニルアルコールに加えて、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが結合している。このカルボキシル基を含むポリマーのカルボキシル基、又は無水酸基を含むポリマーから発生したカルボキシル基は、ポリビニルアルコールの水酸基とエステル結合し、ポリビニルアルコールとカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとの架橋構造が形成されていることによって、PVA系被覆繊維の耐有機溶媒性及び耐水性が向上していると考えている。
このカルボキシル基を含むポリマーは特に限定するものではないが、カルボキシル基含有のアクリル系樹脂又はメタクリル系樹脂を好適に使用することができ、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル以外に、(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和カルボン酸、必要に応じて他の共重合可能なモノマーが共重合したアクリル系共重合体又はメタクリル系共重合体であることができる。ここで(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、エチレン性不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のジカルボン酸、或いはそれらの無水物やハーフエステルであることができる。
更に、他の共重合可能なモノマーとして、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル等であることができる。
一方で、無水酸基を含むポリマーを構成する無水酸基を含むモノマーとして、例えば、無水マレイン酸、ジアクリル酸無水物、ジメタクリル酸無水物などを挙げることができ、具体的に無水酸基を含むポリマーとして、スチレン/無水マレイン酸共重合体、オレフィン(例えば、イソブチレン、ブタジエン)/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル/無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸エステル/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体などの無水マレイン酸系共重合体;ジアクリル酸無水物/スチレン共重合体などのジアクリル酸無水物系共重合体;ジメタクリル酸無水物/スチレン共重合体などのジメタクリル酸無水物系共重合体;などを挙げることができる。これらの中でも、無水マレイン酸系共重合体はポリビニルアルコールとの反応性が高いため好適である。
なお、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーの分子量は特に限定するものではないが、3千〜500万であるのが好ましく、4千〜400万であるのがより好ましく、5千〜300万であるのがより好ましい。
また、PVA系被覆繊維における第2ポリマーはカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが2種類以上、結合していても良い。
本発明のPVA系被覆繊維における第2ポリマーはポリビニルアルコールとカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが結合しているが、耐有機溶媒性及び耐水性に優れているように、ポリビニルアルコールとカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとの質量比は1〜99:99〜1であるのが好ましく、20〜95:80〜5であるのがより好ましく、40〜90:60〜10であるのが更に好ましい。
本発明のPVA系被覆繊維における第2ポリマーは上述のようなポリビニルアルコールとカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーに加えて、炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第4級アンモニウムが結合しているため、PVA系被覆繊維は疎水性に優れている。つまり、ポリビニルアルコールの水酸基がカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとエステル結合していることに加えて、炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第4級アンモニウムがポリビニルアルコールの水酸基、又はカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとアミド結合していることによって、PVA系被覆繊維は疎水性に優れていると考えている。
このアミン又は第4級アンモニウムは炭素数6以上のアルキル基を有し、第2ポリマーは疎水性の強いものであるが、炭素数が多い程、PVA系被覆繊維の疎水性が強くなるため、アルキル基の炭素数は8以上であるのが好ましく、10以上であるのがより好ましく、11以上であるのが更に好ましく、12以上であるのが更に好ましい。なお、アルキル基の炭素数の上限は特に限定するものではないが、24以下であるのが好ましく、20以下であるのがより好ましく、18以下であるのが更に好ましい。
なお、本発明のアミン又は第4級アンモニウムを構成するアルキル基は炭素数が6以上であれば、直鎖であっても分岐鎖でも良い。
具体的は、前記アミンとして、例えば、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチニルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン、オクタデセニルアミン、オクタデカジエニルアミンなどの一級アミン;ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチニルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジノナデシルアミン、ジイコシルアミン、ジヘンイコシルアミン、ジドコシルアミン、ジトリコシルアミン、ジテトラコシルアミン、ジオクタデセニルアミン、ジオクタデカジエニルアミンなどの二級アミン;トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチニルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、トリドデシルアミン、トリトリデシルアミン、トリテトラデシルアミン、トリペンタデシルアミン、トリヘキサデシルアミン、トリヘプタデシルアミン、トリオクタデシルアミン、トリノナデシルアミン、トリイコシルアミン、トリヘンイコシルアミン、トリドコシルアミン、トリトリコシルアミン、トリテトラコシルアミン、トリオクタデセニルアミン、トリオクタデカジエニルアミンなどの三級アミン;を挙げることができる。これらアミンは1種類であっても、これらの混合物である、牛脂アミン、硬化牛脂アミン、ヤシ油アミン、パーム油アミン、大豆油アミン等動植物油由来のアミンであっても良い。これらの中でも、反応性に優れるヘキシルアミン又はドデシルアミンが好ましい。
また、第4級アンモニウムとして、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、ヘプチルトリメチルアンモニウム、オクチニルトリメチルアンモニウム、ノニルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ウンデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、トリデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ペンタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ノナデシルトリメチルアンモニウム、イコシルトリメチルアンモニウム、ヘンイコシルトリメチルアンモニウム、ドコシルトリメチルアンモニウム、トリコシルトリメチルアンモニウム、テトラコシルトリメチルアンモニウム、オクタデセニルトリメチルアンモニウム、オクタデカジエニルトリメチルアンモニウムなどを挙げることができる。
このように、本発明のPVA系被覆繊維を構成する第2ポリマーはポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及びアミン又は第四級アンモニウムが結合したポリマーであるが、耐有機溶媒性及び疎水性に優れているように、アミン又は第四級アンモニウムの量はポリビニルアルコールとカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとの総質量100部に対して、0.1〜100部の質量比であるのが好ましく、0.3〜50部の質量比であるのがより好ましく、0.5〜10部の質量比であるのが更に好ましい。
本発明のPVA系被覆繊維は前述のような第1ポリマーが第2ポリマーで被覆された状態にあるが、耐有機溶媒性及び疎水性に優れているように、第1ポリマーは第2ポリマーで完全に被覆されているのが好ましい。しかしながら、第1ポリマー表面の一部でも第2ポリマーで被覆されていれば、耐有機溶媒性及び疎水性に優れているため、第1ポリマー表面積の50%以上が第2ポリマーで被覆されていれば良い。
本発明のPVA系被覆繊維の平均繊維径は特に限定するものではないが、1nm〜10,000nmであることができる。PVA系被覆繊維の表面を有効に利用できるように、2,000nm以下であるのが好ましく、1,000nm以下であるのがより好ましく、800nm以下であるのが更に好ましく、600nm以下であるのが更に好ましく、400nm以下であるのが更に好ましく、300nm以下であるのが更に好ましい。一方、平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、強度的に優れ、取り扱い性に優れているように、1nm以上であるのが好ましく、20nm以上であるのがより好ましい。本発明における「繊維径」は、繊維集合体の平面における電子顕微鏡写真から測定して得られる繊維の直径を意味し、「平均繊維径」は50箇所の繊維径の算術平均値をいう。
本発明の繊維集合体はこのようなPVA系被覆繊維を含むものであるが、耐有機溶媒性及び防水性に優れているように、PVA系被覆繊維を50mass%以上含んでいるのが好ましく、70mass%以上含んでいるのがより好ましく、90mass%以上含んでいるのが更に好ましく、100mass%PVA系被覆繊維からなるのが最も好ましい。
本発明の繊維集合体を構成できるPVA系被覆繊維以外の繊維は、繊維集合体の耐有機溶媒性及び防水性を損なわないものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、フッ素系樹脂繊維、ポリオレフィン系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維、ポリスルホン系樹脂繊維(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、スチレン系樹脂繊維、ポリエーテル系樹脂繊維(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリアミドイミド樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、ウレタン系樹脂繊維、ポリアクリロニトリル樹脂繊維、ポリベンズイミダゾール樹脂繊維などを挙げることができる。
本発明の繊維集合体は上述のようなPVA系被覆繊維を含むものであるが、その集合状態は特に限定するものではない。例えば、織物、編物のように、規則的に集合した状態にあっても良いし、不織布のように、不規則に集合した状態にあっても良い。特に、不織布状態にあると、孔径の揃った繊維集合体であることができるため好適である。
本発明の繊維集合体は耐有機溶媒性に優れるものであるため、耐有機溶媒性を必要とする用途に適用できるものである。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミドに10分間浸漬した後における寸法変化率が5%以下の耐有機溶媒性を有するのが好ましい。この寸法変化率が小さければ小さい程、耐有機溶媒性に優れていることを意味するため、寸法変化率は3%以下であるのがより好ましく、1%以下であるのが更に好ましい。
この耐有機溶媒性の指標である寸法変化率は次の操作により得られる値である。
(1)繊維集合体から5cm角の試料を採取する。
(2)前記試料を温度25℃に維持したN,N−ジメチルホルムアミド溶液に10分間浸漬する。
(3)10分後、溶液中から試料を引き上げた後、試料の4辺の長さ(L、L、L、L)を測定する。
(4)浸漬後の試料の4辺の長さから、次の式により寸法変化率(Rd、単位:%)を算出する。
Figure 2018048415
(5)前記(1)〜(4)の操作を繰り返し、5枚の試料について寸法変化率を算出し、その寸法変化率の算術平均値を、繊維集合体の「寸法変化率」とする。
また、本発明の繊維集合体は防水性にも優れているため、防水性を必要とする用途に適用できる。具体的には、水に浸漬した後における質量増加率が100%以下の防水性を有するのが好ましい。この質量増加率が小さければ小さい程、防水性に優れていることを意味するため、質量増加率は80%以下であるのが好ましく、60%以下であるのがより好ましく、40%以下であるのが更に好ましい。
この防水性の指標である質量増加率は、次の操作により得られる値である。
(1)繊維集合体から5cm角の試料を採取した後、試料の質量(Mb)を測定する。
(2)前記試料を温度25℃の水に10分間浸漬する。
(3)10分後、水中から試料を引き上げ、一対のローラ(線圧:0.86N/cm)で脱水した後、試料の質量(Ma)を測定する。
(4)浸漬前後の試料の質量から、次の式により質量増加率(Mi)を算出する。
Mi=[(Ma−Mb)/Mb]×100
(5)前記(1)〜(4)の操作を繰り返し、5枚の試料について質量増加率を算出し、その質量増加率の算術平均値を繊維集合体の「質量増加率」とする。
本発明の繊維集合体の目付(JIS L1085に準じて10cm×10cmとして測定した値)は特に限定するものではないが、0.1〜500g/mであるのが好ましく、0.5〜100g/mであるのがより好ましく、1〜50g/mであるのが更に好ましく、2〜30g/mであるのが更に好ましい。また、繊維集合体の厚さは、5N荷重時の外側マイクロメーターを用いて測定した値で、1〜2000μmであるのが好ましく、3〜400μmであるのがより好ましく、5〜150μmであるのが更に好ましい。
このような本発明の繊維集合体は耐有機溶媒性及び防水性に優れているため、耐有機溶媒性及び防水性を必要とする用途に好適に使用することができる。例えば、貼付薬用基材、衣料用資材(芯地、中入綿など)、手術用素材(手術用覆布、手術着など)、透湿防水性シート、フィルタ用濾過材(気体用、液体用など)、農業用資材シート、建材用シート、おむつカバー、食品包装材、膜支持体、電気二重層キャパシタなどの電気化学素子のセパレータとして使用することができる。
本発明の繊維集合体は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、有機溶媒に可溶又は親水性の第1ポリマーを用意する。この第1ポリマーは前述のような第1ポリマーであることができる。また、第1ポリマーを溶解させることのできる溶媒を用意する。この溶媒は特に限定するものではないが、例えば、前者の有機溶媒に可溶な第1ポリマーであれば、前述のような有機溶媒であることができ、後者の親水性の第1ポリマーであれば、水、アルコール類、その他の有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類など)であることができる。この溶媒は1種類の溶媒から構成されていても良いし、これら溶媒の混合溶媒であっても良い。
次いで、第1ポリマーの溶解した紡糸液を調製する。この紡糸液の固形分濃度は第1ポリマーが溶解できる濃度であれば良く、特に限定するものではないが、安定した紡糸が行なえるように、粘度が100〜100,000mPa・sであるような濃度であるのが好ましい。なお、第1ポリマーの溶解した紡糸液の調製方法は特に限定するものではない。また、本発明における「粘度」は粘度測定装置(Thermo Electron製)を用い、適用時の温度(例えば、紡糸時、被覆時など)で測定した、シェアレート100s−1の時の値をいう。
なお、紡糸液は各種機能性物質を含むことができる。例えば、難燃剤、導電剤、吸着剤、湿潤強紙剤、サイズ剤、膨潤剤、着色剤、撥水剤、粘着剤、接着剤、薬効成分などを含むことができる。
次いで、前記紡糸液を紡糸して第1ポリマーからなる前駆繊維を形成する。この前駆繊維の紡糸方法は従来公知の紡糸方法であることができ、例えば、湿式紡糸法、乾式紡糸法、フラッシュ紡糸法、遠心紡糸法、静電紡糸法、特開2009−287138号公報に開示されているような、ガスの剪断作用により紡糸する方法、或いは特開2011−32593号公報に開示されているような、電界の作用に加えてガスの剪断力を作用させて紡糸する方法、などを挙げることができる。これらの中でも静電紡糸法によれば、平均繊維径が細く(平均繊維径が2000nm以下)、繊維径が揃っており、しかも連続した前駆繊維を紡糸できるため好適である。
次いで、紡糸した前駆繊維を含む前駆繊維集合体を形成する。この前駆繊維集合体の形成方法は特に限定するものではないが、前述の方法により紡糸した前駆繊維を直接、ドラム、コンベアなどの支持体上に集積して前駆繊維集合体を形成することができる。また、紡糸した前駆繊維を切断して短繊維とした後、湿式法、又はカード機、エアレイなどの乾式法により前駆繊維集合体を形成することもできる。なお、前駆繊維の平均繊維径が細い(平均繊維径が2000nm以下)場合には、短繊維とした後に前駆繊維集合体を形成するのが困難になる傾向があり、また、前駆繊維集合体の形成が煩雑になるため、紡糸した前駆繊維を直接、支持体上に集積して前駆繊維集合体を形成するのが好ましい。
一方で、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムを用意する。前述の通り、ポリビニルアルコールとして、未変性のポリビニルアルコール(100モル%けん化したポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール、或いは再酢化物)が好ましい。また、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとして、ポリビニルアルコールとの反応性の高い、無水マレイン酸系共重合体、ポリアクリル酸が好適であり、アミンとして、反応性に優れ、また溶媒への溶解性に優れる、ヘキシルアミン又はドデシルアミン、第4級アンモニウムとして、ドデシルトリメチルアンモニウムを用意するのが好ましい。
なお、アミン又は第4級アンモニウムは塩の形態で用意しても良い。例えば、塩酸塩、酢酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、水素酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩などであっても良い。このような塩の形態であると、水に溶解しやすいため好適である。
また、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び、アミン又は第4級アンモニウムの、いずれかを溶解させることのできる溶媒を用意する。この溶媒は特に限定するものではないが、例えば、水、アルコール類、その他の有機溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類など)を用いることができる。この溶媒は1種類の溶媒から構成されていても良いし、これら溶媒の混合溶媒であっても良い。
次いで、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び、アミン又は第4級アンモニウムの溶解した溶液(以下、「被覆液」と表記することがある)を調製する。なお、被覆液の調製方法は特に限定するものではない。
なお、被覆液を調製する場合、前述の通り、ポリビニルアルコールとカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとの質量比が1〜99:99〜1となるように配合するのが好ましく、20〜95:80〜5となるように配合するのがより好ましく、40〜90:60〜10となるように配合するのが更に好ましい。
また、アミン又は第4級アンモニウムの量が、ポリビニルアルコールとカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとの総質量100部に対して、0.1〜100部の質量比となるように配合するのが好ましく、0.3〜50部の質量比となるように配合するのがより好ましく、0.5〜10部の質量比となるように配合するのが更に好ましい。
更に、この被覆液の粘度が高いと、第2ポリマーの皮膜を形成しやすく、繊維集合体の多孔性を損ないやすい傾向があり、他方で、粘度が低いと、第2ポリマーで第1ポリマーの前駆繊維を十分に被覆しにくい傾向があるため、被覆液の粘度は1〜500mPa・sであるのが好ましく、1〜100mPa・sであるのがより好ましい。
なお、被覆液はポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び、アミン又は第4級アンモニウム以外に、繊維集合体の耐有機溶媒性及び防水性を損なわない範囲内で、各種機能性物質を含ませることができる。例えば、難燃剤、導電剤、吸着剤、湿潤強紙剤、サイズ剤、膨潤剤、着色剤、撥水剤、粘着剤、接着剤、薬効成分などを含ませることができる。
次いで、前記被覆液で前駆繊維集合体を構成する前駆繊維を被覆して、被覆前駆繊維集合体を形成する。この被覆液による前駆繊維の被覆方法は、特に限定するものではないが、例えば、被覆液中に前駆繊維集合体を浸漬する方法、被覆液を前駆繊維集合体に塗布する方法、被覆液を前駆繊維集合体に散布する方法、を挙げることができる。これらの中でも被覆液中に前駆繊維集合体を浸漬する方法によれば、前駆繊維表面全体を被覆液で被覆でき、耐有機溶媒性及び耐水性の優れる繊維集合体を製造しやすいため好適である。
次いで、被覆液を構成するポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び、アミン又は第4級アンモニウムを結合してPVA系被覆繊維とし、本発明の繊維集合体を製造することができる。例えば、加熱処理、マイクロ波照射、紫外線照射、プラズマ照射、近赤外線照射、遠赤外線照射、電子線(放射線等)照射等によって、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び、アミン又は第4級アンモニウムを結合してPVA系被覆繊維とし、繊維集合体を製造できる。
特に、被覆液の溶媒の除去と反応とを同時に進めることができるため、130〜230℃で加熱処理するのが好ましい。130℃未満であると、ポリビニルアルコールの水酸基とカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーのカルボキシル基との間のエステル結合、及び/又はカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーのカルボキシル基とアミン又は第4級アンモニウムとのイミド結合が充分に進行しないと考えているためで、140℃以上であるのがより好ましく、150℃以上であるのが更に好ましい。一方で、230℃を超えると、PVA系被覆繊維に着色が生じたり、PVA系被覆繊維同士に部分的な融着が生じたり、繊維集合体の収縮が大きく、安定して繊維集合体を製造できない傾向があるためで、190℃以下であるのがより好ましい。なお、上記温度は被覆前駆繊維集合体表面における温度であり、熱源の温度は230℃以上であっても良い。
また、加熱処理により結合してPVA系被覆繊維とする場合、その時間はポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び、アミン又は第4級アンモニウムの結合が充分に進行する時間であれば良く、特に限定するものではないが、1分以上であるのが好ましく、5分以上であるのがより好ましく、10分以上であるのが更に好ましい。他方、あまり長時間加熱しても結合が進行しないため、1時間以内であるのが好ましく、45分以内であるのがより好ましい。
なお、必要であれば、繊維集合体が各種用途に適合するように、各種後処理を実施することができる。例えば、カレンダー処理などを実施することができる。
以上は、前駆繊維集合体を形成した後に、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムを含む被覆液で被覆し、結合させる、繊維集合体の製造方法であるが、第1ポリマーを第2ポリマーで被覆したPVA系被覆繊維を形成した後に切断して短繊維とし、湿式法又は乾式法により繊維集合体を形成することもできる。
なお、PVA系被覆繊維は、例えば、第1ポリマーの溶解した紡糸液Aと、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムを含む紡糸液Bを混合又は複合して紡糸し、紡糸液Bの構成成分を結合する方法、第1ポリマーの溶解した紡糸液Aを紡糸して形成した前駆繊維を被覆液で被覆した後に被覆液構成成分を結合する方法、により形成できる。
このようなPVA系被覆繊維の短繊維を使用して湿式法又は乾式法により繊維集合体を形成する際に、PVA系被覆繊維以外の繊維を混合すれば、PVA系被覆繊維以外の繊維を含む繊維集合体を形成することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、繊維集合体の物性評価は次の方法により行なった。
(耐有機溶剤性)
前述の方法により寸法変化率を算出した。
(防水性)
前述の方法により質量増加率を測定した。この質量増加率が100%以下であると、防水性に優れていると評価した。
(実施例1)
ポリアクリロニトリル[アルドリッチ製]をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、濃度17mass%の紡糸液を調製した。
次いで、ノズルとドラムとを一対の電極とする静電紡糸装置を用いて、次の条件で前駆連続繊維を静電紡糸した後、直接、ドラム上に集積して、前駆連続繊維集合体(目付:3.2g/m、厚さ:20μm、平均繊維径:300nm)を形成した。
ノズル内径:0.44mm
ノズル−ドラム間距離:10cm
ノズルからの吐出量:1cm/時間
印加電圧:15−25kV
紡糸環境温度:25℃
紡糸環境湿度:40%RH
一方で、部分ケン化ポリビニルアルコール[平均重合度:140、ケン化度:80モル%]と、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(メチルビニルエーテル1モル:無水マレイン酸1モル、分子量:22万、ALDRICH製)とを、1/1の質量比で混合した後、部分ケン化ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体の総固形分100部に対して、ドデシルアミン塩酸塩を5部添加して、被覆水溶液(濃度:1mass%、粘度:1mPa・s)を調製した。
次いで、前記前駆連続繊維集合体を被覆水溶液中に浸漬し、被覆水溶液で前駆連続繊維表面を被覆した後、温度180℃での加熱処理を30分間実施し、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、及びドデシルアミンとを結合して、PVA系連続被覆繊維100%からなる不織布形態の繊維集合体を作製した。繊維集合体の物性は表1に示す通りであった。
(比較例1)
部分ケン化ポリビニルアルコール[平均重合度:140、ケン化度:80モル%]とメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体とを1/1の質量比で混合して被覆水溶液(ドデシルアミンを含まない、粘度:1mPa・s)を調製し、この被覆水溶液で前駆連続繊維表面を被覆したこと以外は、実施例1と同様にして、PVA系連続被覆繊維100%からなる不織布形態の繊維集合体を作製した。繊維集合体の物性は表1に示す通りであった。
(比較例2)
実施例1の前駆連続繊維集合体を比較用の繊維集合体とした。この繊維集合体の物性は表1に示す通りであった。
Figure 2018048415
(実施例2〜6、比較例3〜4)
ポリエーテルスルホン[スミカエクセル、5200P]をN,N−ジメチルアセトアミド/メチルエチルケトン(質量比:3/1)の混合溶媒に溶解させ、濃度20mass%の紡糸液を調製した。
次いで、ノズルとドラムとを一対の電極とする静電紡糸装置を用いて、次の条件で前駆連続繊維を静電紡糸した後、直接、ドラム上に集積して、前駆連続繊維集合体(目付:5.2g/m、厚さ:30μm、平均繊維径:300nm)を形成した。
ノズル内径:0.44mm
ノズル−ドラム間距離:10cm
ノズルからの吐出量:1cm/時間
印加電圧:15−25kV
紡糸環境温度:25℃
紡糸環境湿度:40%RH
一方で、完全ケン化ポリビニルアルコール[平均重合度:1000]と、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(メチルビニルエーテル1モル:無水マレイン酸1モル、分子量:22万、ALDRICH製)を、4/1の質量比で混合した後、完全ケン化ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体の総固形分100部に対して、ヘキシルアミン酢酸塩を5部(実施例2)、ドデシルアミン塩酸塩を5部(実施例3)、ドデシルアミン酢酸塩5部(実施例4)、ドデシルトリメチルアンモニウム塩酸塩5部(実施例5)、オクタデシルアミン塩酸塩1部(実施例6)添加して、被覆溶液[濃度:1mass%、水/エタノール=9/1(wt/wt)]を調製した。また、アンモニウム塩を添加することなく、被覆溶液を調製した(比較例3)。
次いで、前記前駆連続繊維集合体を被覆溶液中に浸漬し、被覆溶液で前駆連続繊維表面を被覆した後、温度180℃での加熱処理を30分間実施し、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、及び、アミン又は第四級アンモニウムとを結合して、PVA系連続被覆繊維100%からなる不織布形態の繊維集合体をそれぞれ作製した。なお、前記前駆連続繊維集合体を比較用の繊維集合体(比較例4、被覆溶液での被覆なし)とした。これら繊維集合体の物性は表2に示す通りであった。
Figure 2018048415
(実施例7、比較例5)
完全ケン化ポリビニルアルコール[平均重合度:1000]と、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(メチルビニルエーテル1モル:無水マレイン酸1モル、分子量:22万、ALDRICH製)を、4/1の質量比で混合し、濃度15mass%の紡糸水溶液を調製した。
次いで、ノズルとドラムとを一対の電極とする静電紡糸装置を用いて、次の条件で前駆連続繊維を静電紡糸した後、直接、ドラム上に集積して、前駆連続繊維集合体(目付:4.7g/m、厚さ:19μm、平均繊維径:300nm)を形成した。
ノズル内径:0.44mm
ノズル−ドラム間距離:10cm
ノズルからの吐出量:1cm/時間
印加電圧:15−25kV
紡糸環境温度:25℃
紡糸環境湿度:40%RH
一方で、完全ケン化ポリビニルアルコール[平均重合度:1000]と、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(メチルビニルエーテル1モル:無水マレイン酸1モル、分子量:22万、ALDRICH製)を、4/1の質量比で混合した後、完全ケン化ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体の総固形分100部に対して、ドデシルアミン塩酸塩を1部添加して、被覆水溶液[濃度:1mass%]を調製した。
次いで、前記前駆連続繊維集合体を被覆水溶液中に浸漬し、被覆水溶液で前駆連続繊維表面を被覆した後、温度180℃での加熱処理を30分間実施し、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、及び、ドデシルアミンとを結合して、PVA系連続被覆繊維100%からなる不織布形態の繊維集合体を作製した。なお、前記前駆連続繊維集合体を比較用の繊維集合体(比較例5、被覆溶液での被覆なし)とした。これら繊維集合体の物性は表3に示す通りであった。
Figure 2018048415
(実施例8、比較例6)
レーヨン繊維(繊維径:3.3dtex、繊維長51mm)、ポリプロピレン繊維(繊維径:2.2dtex、繊維長:50mm)及びポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘型複合繊維(繊維径:1.7dtex、繊維長:51mm)を80/15/5の質量比で配合して繊維ウエブを形成した後、水流絡合法によって絡合して、不織布形態の前駆繊維集合体(目付:60g/m、厚さ:340μm、平均繊維径:15μm)を形成した。
一方で、完全ケン化ポリビニルアルコール[平均重合度:1000]と、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体(メチルビニルエーテル1モル:無水マレイン酸1モル、分子量:22万、ALDRICH製)を、4/1の質量比で混合した後、完全ケン化ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体の総固形分100部に対して、ドデシルアミン塩酸塩を1部添加して、被覆水溶液[濃度:0.5mass%]を調製した。
次いで、前記前駆繊維集合体を被覆水溶液中に浸漬し、被覆水溶液で前駆繊維表面を被覆した後、温度150℃での加熱処理を30分間実施し、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、及び、ドデシルアミンとを結合して、PVA系被覆繊維100%からなる不織布形態の繊維集合体を作製した。なお、前記前駆繊維集合体を比較用の繊維集合体(比較例6、被覆溶液での被覆なし)とした。これら繊維集合体の物性は表4に示す通りであった。
Figure 2018048415
表1〜4の結果から、第2ポリマーがポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムが結合したポリマーであることによって、耐有機溶媒性及び防水性に優れる繊維集合体であることが分かった。
本発明の繊維集合体は耐有機溶媒性及び防水性に優れているため、耐有機溶媒性及び防水性を必要とする用途に好適に使用することができる。例えば、貼付薬用基材、衣料用資材(芯地、中入綿など)、手術用素材(手術用覆布、手術着など)、透湿防水性シート、フィルタ用濾過材(気体用、液体用など)、農業用資材シート、建材用シート、おむつカバー、食品包装材、膜支持体、電気二重層キャパシタなどの電気化学素子のセパレータとして好適に使用できる。

Claims (2)

  1. 有機溶媒に可溶又は親水性の第1ポリマーが、第2ポリマーで被覆された繊維を含む繊維集合体であり、前記第2ポリマーが、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムが結合したポリマーであることを特徴とする、繊維集合体。
  2. 有機溶媒に可溶又は親水性の第1ポリマーからなる前駆繊維を含む前駆繊維集合体を形成する工程、
    ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムを含む溶液で、前記前駆繊維集合体を被覆する工程、
    前記溶液中の、ポリビニルアルコール、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー、及び炭素数6以上のアルキル基を有するアミン又は第四級アンモニウムを結合させる工程、
    を有することを特徴とする、繊維集合体の製造方法。
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