JP2018048391A - カーボン成型体からなる基材を備えた構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カーボン成型体からなる基材の表面に密着性に優れた耐磨耗皮膜を形成することにより、カーボン粉塵の発生を防止し、かつカーボン成型体の多孔質部へのガスの進入抑制や出ガス抑制効果を付与するとともに、形成した皮膜の剥離状態や摩滅状態を目視により容易に観察できるようにした、カーボン成型体からなる基材を備えた構造体を提供することを目的とする。【課題の解決手段】カーボン成型体よりなる基材と、該基材上の少なくとも一部に直接又は中間層を介して形成された、半金属元素及び/又は金属元素を含む非晶質炭素膜を備えた構造体とする。【選択図】 図2

Description

本発明は、カーボン成型体からなる基材、特にカーボン成型体を主体とする治具に、硬質膜を積層した構造体及びその製造方法に関する。
カーボンを主体とする材料からなる成型体(以下、「カーボン成型体」ということもある)は、ガラスの加工やセラミックスの焼成をはじめとする種々の分野において治具として用いられており(特許文献1〜4等)、特に、自動車、産業機械などの高信頼性を求められる機構に採用される電子回路への電子部品実装は、300〜450℃程度の高温でのリフローにより半田接合が行われるものが多いため、電子部品の実装用基板への電子部品を位置決め、保持する治具には、主に熱線膨張係数が小さく高温で熱変形を起こさず、かつ摺動性能が高く(摩擦係数が0.1〜0.2μと低く)、接触するものへの摩擦攻撃性や硬度による攻撃性の低い柔らかい素材であるカーボンを主体とした治具が用いられている(特許文献1等)。また、カーボンは加熱使用後に冷めやすく、軽量で、纏まった数量を一括でハンドリングする際の作業負荷の軽減、作業の効率化にも大きく貢献している。
特開2010−165764号公報 特開平07−215724号公報 特開2001−85340号公報 特開平08−133873号公報
しかしながら、カーボンを主体とする各種治具などの成型体は、もろく、磨耗し易いため搭載する部品との摩擦や治具キャリアとの摩擦でカーボン粉塵が容易に発生し、電子部品回路基板へのコンタミ源となっている。前記粉塵となったカーボン微粉は導電性を有し、電子回路のショートなどの深刻な問題を惹起する。また、カーボン微粉が人体に吸収されると呼吸系などに障害を起こす可能性もあり得る。
そこで、カーボンを主体とする治具等のカーボン成型体に、各種表面処理を行うことが考えられる.
(ウエット系処理)
そこで、カーボンを主体とする治具等の成型体に、湿式めっきを行い、脆く粉塵の発生し易いカーボン成型体の保護を行うことが考えられる。湿式めっきはカーボン成型体の表層のポーラス構造の凹部に回り込み、強力なアンカー効果を発現し易い。しかしながら、カーボンに湿式めっきする場合、例えば焼結カーボン等はその多孔性を活用して吸着治具に使用されるようなものもあるように、一般に微細な多孔性のものが多く、一度めっき浴中で湿式めっき皮膜を形成しても、多孔質体に浸漬しためっき液がめっき皮膜形成後表面に染み出し、形成しためっき皮膜の密着を含め皮膜を損傷させてしまうことが確認できた。
また、前記の多孔質なカーボン成型体を用いた場合、雰囲気からその多孔質部分に取り込まれた気体や水蒸気は、その多孔質部分に保持され、除去が困難なため、その使用時、特に、リフロー炉内等高温環境や、真空、減圧環境、窒素などの特定雰囲気が必要な環境において、コンタミガス(汚染ガス)としてカーボン成型体から噴出するという問題もある。
このため、高温で、真空雰囲気、窒素雰囲気や水素雰囲気の加熱炉で使用されるカーボン材料からの使用中のガスの発生、所謂「出ガス」を防止するために、該カーボン材料の使用前の前処理として、600〜900℃の高温の水素雰囲気中にて予め該カーボン材料を還元する、真空減圧炉にてガス抜きを行う、または窒素雰囲気で加熱するなど、様々な複雑な前処理を経て該カーボン材料が使用される場合があるのが実情である。
他の課題解決方法として、前記カーボン成型体にガラスコートなど行うことも考えられるが、ガラスコートはその皮膜の延伸性に乏しく、柔らかく変形しやすい基材であるカーボン成型体が他の物体に衝突、又は摩擦し変形(変位)を生じた場合、基材変形に追随できずに剥離、損傷するなどの問題を惹起する。
さらには、ガラス状カーボン(特許文献2等)や、SiC、BNなどの硬質膜でカーボン成型体をコートすること(特許文献3、4等)も考えらえるが、これらの硬質膜は、表面の摺動性が悪い(摩擦係数が低い)ことや接触する相手への相手攻撃性が高いことから、接触物を傷つけ易いなどの問題や、ガスバリア性に乏しく、前記カーボン成型体の多孔質部へのガスの進入抑制や多孔質部からの出ガス抑制効果に乏しく、十分な課題解決には至っていない。
(ドライ系表面処理)
カーボン成型体を主に構成するグラファイト構造は、亀の甲状の層状物質であり、層毎の面内においては強い共有結合(sp的)で炭素間が繋がっているが、層と層の間は弱いファンデルワールス力で結合しており、それゆえ、層状に剥離し易い。
カーボンを主体とする各種治具などの成型体の表層を改質するため各種表面処理を行う場合、カーボン成型体の材料は、こうしたグラファイトなどのsp結合の炭素で構成されている場合が多く、炭素同士の結合は、厚み方向の結合が炭素の横面方向の結合に比べて著しく弱いため、カーボン材料の表層からカーボンが原子層状に剥離し易く、カーボン材料の最表層のみに表面処理を行っても、該表面処理された例えばグラファイトの炭素単層が本体のカーボン材料表層から玉ねぎの皮のように剥離すると、その表層に形成した表面処理部分も下層のグラファイトの炭素単層(または複数層)と一緒に容易に基材であるカーボン材料から剥離してしまう事態が生じる。
例えば、複雑な立体表面形状ワークへの付きまわりの悪いことから、主に平滑面に表面処理を形成する場合に用いられているプラズマスパッタリング法やプラズマ蒸着法等のプラズマPVD法により、カーボン成型体の最表層のグラファイト層表層に平滑な面状の表面処理を形成しても、グラファイトの表層から内部にかけて複数の炭素層を貫通するようなアンカーが無い場合、表面のグラファイト層の剥離に伴い、その表層に形成した前記プラズマPVD法による表面処理は容易にカーボン成型体から剥離してしまう。
グラファイトを主体としたカーボン成型体の表面処理はこのような特殊な事情により密着良く形成することが困難である場合が多い。
また、一般にプラズマPVD法は、例えばカーボン成型体表層のポーラス構造の凹部壁面等への表層部からの回り込み(付きまわり)が悪く、また、延伸性に乏しいために、表面から凹部内部に回り込んだ凹の角部(エッジ部)等の皮膜が破断し易く、カーボン成型体の表層への物理的アンカー効果も弱くなり、密着の良い表面処理を行うのが困難な場合がある。
さらに、一般にプラズマPVD法による表面処理、例えばTiN、TiAlNなどの皮膜は、ドロップレットを伴い表面の面粗度が大きく、表面の摩擦係数も0.5μ程度と非常に大きいことが知られており、相手攻撃性(接触するものを傷つける能力)も高くなってしまい、さらに、カーボン成型体と接触する主に軟質金属より構成される電子部品に施されためっき皮膜やハンダ皮膜との凝着付着防止性にも乏しく、カーボン成型体のグラファイトの利点である低摩擦係数や低相手攻撃性、軟質金属凝着付着防止性等の重要な機能を損なう致命的な問題を起こし易い。
そこで、低摩擦係数や低相手攻撃性、軟質金属凝着付着防止性等のカーボン成型体表層として重要な要件(機能)を満たすとともに、剥離を生じないドライ薄膜について検討したところ、カーボン成型体と同様の主成分である炭素を主成分とする非晶質炭素膜を用いることにより、非常に密着性の良い皮膜が形成可能なことが確認できた。
このように、カーボン成型体に少なくとも基材と同種の元素である炭素を含む表面処理を行うことはその表面処理の密着性を向上させるため極めて有効となり得る。
カーボン成型体への非晶質炭素膜の密着性が良いのは、非晶質炭素膜は炭素同士のsp結合と、炭素同士の3次元立体的なsp3結合を伴うアモルファス状の炭素膜であり、その表層から炭素が膜状(層状)に剥離しないのは、この炭素の3次元的なsp3結合を伴う為であることが知られている。非晶質炭素膜がカーボン成型体に密着良く形成できるのは、ただ単にカーボン成型体と非晶質炭素膜が同種の炭素同士の結合であるのみに留まらず、カーボン成型体を構成するグラファイト表層部のsp結合部分を破壊して立体的なsp3結合を含む非晶質炭素膜との混合層を層間境界部に形成することが密着性を向上させる要因と推定できる。
なお、炭素のsp結合の共有結合半径は0.77Åであり、グラファイトのsp結合の0.73Åよりも炭素原子の位置関係が離れて大きくなることにより、グラファイトのsp結合炭素層に結合のうねりが生じアンカーとなり、グラファイト炭素層が面状に横滑りを起こすことを抑制しているともいいうる。
さらに、非晶質炭素膜は、他の表面処理、特にTiN、TiCr,TiAlNなどのセラミクス系ドライ薄膜、またはガラスコート等に比べ、接触する相手に傷をつけにくい(相手攻撃性が低い)、軟質金属の凝着付着防止性に優れる、摩擦抵抗が低く接触するものを滑らかに扱うことができる、延伸性に富、柔軟である、ガスバリア性にも優れ基材からの出ガス防止効果が期待できるなど優れた表面処理材料である。
しかしながら、非晶質炭素膜皮膜(黒)が基材の色(黒)と判別が困難になり、カーボン成型体からの非晶質炭素膜皮膜の剥離や摩滅の状況確認が困難となるという新たな課題が生じた。
さらに、非晶質炭素膜皮膜は内部応力も大きい皮膜であるので、カーボン成型体への密着力をさらに向上させることも重要である。
本発明は、こうした従来のカーボン成型体における課題を解決するものであって、カーボン成型体からなる基材の表面に密着性に優れた耐磨耗皮膜を形成することにより、カーボン粉塵の発生を防止し、かつカーボン成型体の多孔質部へのガスの進入抑制や出ガス抑制効果を付与するとともに、形成した皮膜の剥離状態や摩滅状態を、特殊な検査装置等を使用することなく、自然光下等で目視により容易に観察できるようにした、カーボン成型体からなる基材を備えた構造体を提供することを目的とするものである。
本発明は上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、カーボン成型体に、炭素原子の原子半径0.70Åやsp結合の共有結合半径0.77Å、sp結合の共有結合半径0.73Å、sp結合の共有結合半径0.69Åより、原子半径や共有結合半径が大きい元素である、半金属元素及び/又は金属元素を含む非晶質炭素膜(以下、半金属元素及び/又は金属元素を「M」とし、半金属元素及び/又は金属元素を含む非晶質炭素膜を「M含有非晶質炭素膜」ということもある)を形成すると、前記成型体への密着性に優れた皮膜となるとともに、該皮膜が自然光や、照明のついた屋内など、自然光に類似する波長の光のある環境下において、金属光沢や干渉色のある外観を示し、カーボン成形体の黒色と異なる色合いを伴うことで、カーボン成型体からのM含有非晶質炭素膜の剥離状態や摩滅状態を、特別高価な検査装置等を使用することなく容易に目視外観や一般的な拡大鏡等で観察、管理可能であるという知見を得た。
例えば、カーボン成型体表層に、炭素原子より原子半径の大きい半金属原素であるケイ素(Si)を含む非晶質炭素膜(以下、「Si含有非晶質炭素膜」ということもある)を形成すると、前記成型体への密着性に優れた皮膜となるとともに、該皮膜が「薄灰〜灰色」、「白」、「くすんだ白」、あるいは前記Si含有非晶質炭素膜の膜厚が、数十nmと薄い場合は金色(黄土色)様、数百nmの場合は赤と緑の2色の干渉色の外観を示し、カーボン成形体の黒と大きなコントラストを伴うか、又は外観が異なるため、カーボン成形体の黒色と明確に区別が可能となり、カーボン成型体からの「M含有非晶質炭素膜の剥離状態や摩滅状態を、特別高価な検査装置等を使用することなく容易に目視外観等で観察、管理可能である。
このように、半金属元素及び/又は金属元素は、非晶質炭素膜中で自然光からのエネルギーを受け取り、当該半金属元素及び/又は金属元素のイオン化したものや、それに伴う自由電子が共鳴振動による光の反射を引き起こし、自然光や自然光と類似の光の波長から構成されるD65光源などを反射して色覚に捕らえられる「色」、「光沢」を付加することが可能になると推定できる。
例えば、金属基板上に形成された炭素を伴うTiCN(炭窒化チタン)の皮膜がダークグレーやバイオレットグレーなどの金属光沢を伴う色を示し、また皮膜が薄い場合は干渉模様を示すことなど公知の事例は多い。
また、Tiのような通常はバルク状態でグレーの金属光沢を示す金属が窒素などの他の元素と結合するとその色が変わる場合があることも公知になっている。例えば前記TiNは金属光沢を伴う金色になることなどが良く知られている公知の事例である。
また、半金属元素及び/又は金属元素を含有する非晶質炭素膜のカーボン材料基材への密着性が向上するメカニズムとして、例えば炭素(C)の原子半径0.70Å、sp結合の共有結合半径0.77Å、sp結合の共有結合半径0.73Å、sp結合の共有結合半径0.69Åであるのに対して、各種半金属元素及び各種金属元素の殆どは、その原子半径や共有結合半径が、炭素原子よりも大きいことがあげられる。例えば、ケイ素(Si)の原子半径は1.11Å、共有結合半径1.11Åと、炭素原子の原子半径、共有結合半径に比べ大きくなっている。
主にグラファイトなどの炭素のsp結合を基本とするカーボン成型体表層に、炭素原子よりも、原子半径や共有結合半径が大きい元素であるSi原子などの半金属元素及び/又はTi、Al、Crなどの金属元素を混合注入することで、sp結合している炭素原子の層間を跨ぎ層中に層の幅の変化(例えばSiの存在する厚く飛び出した部分の構成(形成))を伴うことにより、原子半径や共結合半径の大きな半金属元素及び/又は金属原素が、グラファイトの炭素層が横方向に滑ることに対する滑り止めやアンカー材料(アンカー効果)となっていると推定し得る。このように、炭素原子よりも原子半径や共有結合半径が大きい元素を非晶質炭素膜中に含有させること、特に、グラファイト表層と非晶質炭素膜層との界面付近に存在させることが、特に炭素同士のsp結合している構造のカーボン成型体との密着性向上に有効であると推定できる。
さらに、後述する実施例に示すように、表層に形成した表面処理自体の耐磨耗性に加え、該表面処理の基材密着力が試験されるスクラッチ式の摩擦磨耗試験の結果、カーボン成型体上に形成したケイ素(Si)を含有する非晶質炭素膜の高い耐磨耗性、低摩擦係数(摩擦係数が0.1〜0.2μとグラファイト同様に低い)が確認できた。
また、通常の非晶質炭素膜は大気中などの酸素雰囲気中での耐熱温度が280℃程度しかないが、例えばSiを含有する非晶質炭素膜は耐熱温度が450〜500℃程度であり、高温リフロー(350〜450℃)で使用される治具等には好適に使用することが可能になることが判明した。さらに、カーボン成型体への不測の溶融半田の付着防止も併せて可能であることも判明した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]カーボン成型体よりなる基材と、該基材上の少なくとも一部に直接又は中間層を介して形成された半金属元素及び/又は金属元素素を含む非晶質炭素膜を備えることを特徴とする構造体。
[2]前記非晶質炭素膜の少なくとも1部が前記基材との混合層を成して形成されている[1]に記載の構造体。
[3]前記非晶質炭素膜と前記基材との混合層の厚みは、少なくとも10nm以上である[2]に記載の構造体。
[4]前記中間層が、少なくともその1部にsp結合を有する炭素、またはsp結合を有する炭素と水素よりなる非晶質炭素膜である[1]に記載に構造体。
[5]前記基材がポーラス状である[1]〜[4]のいずれかに記載の構造体。
[6]前記非晶質炭素膜が、前記基材表層のポーラス状の孔の少なくとも壁面にまで回りこんで形成されている[5]に記載の構造体。
[7]前記カーボン成型体が、加熱炉の部品搬送系又は部品保持系の一部をなすことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の構造体。
[8]前記カーボン成型体が、電子部品の保持、整列、運搬、位置決めガイド、計量、又は保管用の治具を構成する[1]〜[7]のいずれかに記載の構造体。
[9]前記基材が黒色であり、前記非晶質炭素膜がケイ素を含み、白色、薄灰色、金色または干渉色を示す[1]〜[8]のいずれかに記載の構造体。
[10]前記基材上の1〜数箇所に、φ2mm未満の点状又は幅2mm未満の線状の前記非晶質炭素膜の未成膜部分を有する[1]〜[9]のいずれかに記載の構造体。
[11]前記基材が金属を含み、該基材上に形成された湿式金属めっき皮膜、及び該湿式金属めっき皮膜に直接又は中間層を介して形成された前記非晶質炭素膜を備える[1]〜[10]のいずれかに記載の構造体。
[12]前記非晶質炭素膜を形成する際に、前記基材よりも熱線膨張の大きい保持部材を用い、前記基材の少なくとも1部分を2接点以上で保持することを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載の構造体の製造方法。
[13]前記非晶質炭素膜を形成する際に、前記基材にカーボンファイバー製冶具で給電することを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載の構造体の製造方法。
本発明によれば、カーボン成型体からなる基材の表層に、直接又は中間層を介して、半金属元素及び/又は金属元素を含む非晶質炭素膜(M含有非晶質炭素膜)を形成することで、密着性及び耐磨耗性に優れた皮膜によるカーボン粉塵の発生防止を可能とするとともに、外部応力等により該膜が基材から剥離した場合或いは摩滅した場合、該膜と色調の異なる基材が露出することで、M含有非晶質炭素膜の剥離や摩滅状況を即座に識別可能となり、本発明にかかる構造体の異常を遅滞なく把握でき、該膜の継続的な剥離コンタミや、該膜の摩滅に伴う基材の損傷を未然に防止することが可能となる。
グラファイトからなるカーボン治具に電解Niめっき皮膜を形成した後、1日間経過したカーボン治具を撮影した写真 実施例1の表面処理部分と比較例1の未処理部分を撮影した写真 比較例4の摩擦磨耗試験における変位量のグラフ 実施例4の摩擦磨耗試験における変位量のグラフ 実施例5の摩擦磨耗試験における変位量のグラフ
本発明に係る構造体は、カーボン成型体よりなる基材と、該基材上の少なくとも一部に直接又は中間層を介して形成された半金属元素及び/又は金属元素を含む非晶質炭素膜を備えることを特徴とする。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
[基材]
本発明の構造体における基材は、カーボンを主体とする材料からなる成型体であれば、特に限定されないが、好適には、例えば、東洋炭素株式会社製のISO−66、新日本テクノカーボン社製のIGS743等の様々なカーボン材料からなるカーボン成型体であって、特に電子部品の半田実装用、電気接点接合用、封止用等において、位置決め、搬送、整列、保管、保持等の目的に供される治具とすることができる。
前記のようなカーボン成型体治具は、リフロー炉、フロー炉、マッフル炉、焼成炉、焼結炉等の様々な加熱炉の部品搬送系、部品保持系の一部を成す場合が多い。但し、必ずしも加熱される用途に使用される必要は無く、例えば半導体へのバンプ接合用ハンダマイクロボール吸着冶具のような常温付近で使用されるものであってもかまわない。
なお、カーボン成型体として人工的に生成された例えばグラファイトのブロックとしてはCIP材、押出材、モールド材の3種類が代表的なものとして市販されている。
カーボン成型体からなる基材の素材は、特には限定されないが、主に炭素で構成されるもので、例えば、グラファイト、グラフェン、アセチレンブラック、フラーレン、カーボンブラック、CNT、CNH、活性炭などが例示できる。また、前記各素材の少なくともいずれか一つが他の素材(例えばゴムや樹脂、ガラス、セララミクス素材)より成る成型体の表層に配置され、最外層が前記素材になる成型体もカーボン成型体として扱うことができる。
また、前記カーボンで成型された基材(特にポーラス状のカーボン成型体)に炭素以外の元素が含浸、含有されていても構わない。例えば、炭素と水素からなる有機高分子材料や、カーボン基材にめっき皮膜を施したものや、カーボン成型体の成型加工前の炭素材料自体にFeなどの金属を混練して焼結させたもの、カーボンのポーラス空間にガラス、金属等、金属酸化物等を厚入したもの、あるいは金属アルコキシドなどの溶液を含浸させた後、焼結したものなどであっても構わない。
このような各種カーボン成型体からなる黒色の基材の表層に、通常の炭素を主体とする非晶質炭素膜を形成した場合、自然光や可視光に対する光の吸収や屈折、反射の状態は、前記基材と非晶質炭素膜の積層体総体、特に前記基材と非晶質炭素膜との界面付近で大きくは変化しないため、前記基材上の非晶質炭素膜は、金属等の光を反射する基材の表層に形成された場合のような光の干渉色等を示さず、基材とほぼ同色のくすんだ黒(煤のようなマットな黒色)を示して積層されることになり易く、カーボン基材への非晶質炭素膜の形成状況や、定着状況が容易には判別しにくくなる。
[半金属元素及び/又は金属元素(M)を含有する非晶質炭素膜]
通常の水素と炭素からなる非晶質炭素膜を、金属光沢を伴う所謂「銀色」の金属基材上に形成した場合、光沢を伴う黒色を示すが、本発明にかかるカーボン基材などの自然光を吸収して光沢のない(光沢の乏しい)黒色に見える素材や、ガラスなど自然光を透過させてしまう透明な素材など、光を反射しない、または光の反射量が少ない素材が基材となる場合(光を反射しない基材上等に形成した場合)、前記非晶質炭素膜は光沢の無い茶色から黒色、光沢に乏しい茶色から黒色となる場合が多い。
よって、例えば、基材がガラスなどの場合は、前記非晶質炭素膜が剥離、摩滅した場合、基材の光を透過する基材自体が露出して来るので剥離、摩滅状況を目視管理し易いが、カーボン基材のように自然光を吸収して光沢に乏しい黒色を示す基材の場合、前記非晶質炭素膜も光沢の無い茶色から黒色、光沢に乏しい茶色から黒色となる場合が多いため、前記非晶質炭素膜は基材のカーボンの黒色に同化し、前記非晶質炭素膜の剥離、摩滅を目視管理することが困難となる。
本発明においては、前記のカーボン成型体からなる基材の表層に、直接又は中間層を介して、半金属元素及び/又は金属元素を含む非晶質炭素膜(M含有非晶質炭素膜)を形成することにより、皮膜に自然光などへの含有金属からの反射による金属光沢(灰色、灰紫色など)を付与することが可能となり得る。
具体的には例えば暗灰色を示す元素であるケイ素(Si)を含有する非晶質炭素(Si含有非晶質炭素膜)を形成することで、通常は1μm未満の膜厚で金色や、干渉色か、或いは1μm以上の膜厚で白色、灰色(薄いグレー、または銀色)の層として黒色基材上に「基材の黒と異なる他の色合い」で形成することが可能となり得る。
さらに、本発明のM含有非晶質炭素膜を、複数形成することにより、干渉模様を形成することも可能である。
例えば、黒色のカーボン成形体の表層にSi含有非晶質炭素膜を2μm程度の膜厚で形成し、一旦カーボン成形体の表層が金属光沢を伴うグレーの色(灰色)になるようにした後、当該基材を一度真空装置から常態(大気下)に取出し、再び、Si含有非晶質炭素膜を概ね300〜500nm未満の薄膜で追加形成すると、あたかも金属光沢を有する銀色の金属上に、前記膜厚の薄膜でSi含有非晶質炭素膜にした場合と同様の、追加形成される膜厚に応じた干渉色、例えば前記のように追加形成する膜厚が概ね300〜500nm未満の場合は赤と緑から成る干渉模様を形成することができる。
このことは、前記Si含有非晶質炭素膜の2μm程度の膜厚の層が光沢のある金属表面のような光(自然光)の反射を起こしていることを裏づけることに成り得る。
さらに、本発明においては、前記のカーボン成型体からなる基材の表層に、直接又は中間層を介して、通常の水素と炭素からなる非晶質炭素膜を形成し、さらに直接又は中間層を介して、M含有非晶質炭素膜を形成することで、M含有非晶質炭素膜の厚みが数十nm未満の場合で青黒色、さらに膜厚が厚くなった場合は茶色又は薄い金属光沢のあるグレー、または銀色)の層の皮膜を基材上に形成することが可能となり得る。
このように、本発明の構造体は、カーボン成型体からなる基材の表層のいずれかの部分に、少なくとも半金属元素及び/又は金属元素を含有し、かつ基材のカーボン成型体との光の屈折(率)や吸収(率)、反射(率)の異なる層を形成(挿入)することで、カーボン成型体の見かけの色を変えることが可能となり得る。
よって、外部応力等により該膜が、基材から剥離或いは摩滅した場合、該膜と色の異なる基材が露出することで、剥離や摩滅状況を即座に識別可能となり、本発明にかかる構造体の異常を遅滞なく把握できる。
而して、該膜の継続的な剥離コンタミや、該膜の摩滅に伴う基材の損傷を未然に防止することが可能となる。
また、本発明一実施形態において、Si含有非晶質炭素膜により300〜450℃で設定される加熱炉(例えば高温ハンダリフロー炉)用のカーボン治具への粉塵発生防止膜又は耐磨耗保護膜を形成した場合、Siを含まない通常の炭素と水素からなる非晶質炭素膜の耐熱温度が酸素雰囲気中(大気中)で280℃程度であるのに比べ、Si含有非晶質炭素膜は450℃程度と十分高いため、好適に使用することが可能となる。
さらに、これはSiを含まない炭素非晶質膜でも同様ではあるが、前記加熱炉の雰囲気が酸素を含まない真空や水素、窒素雰囲気などの非酸化雰囲気である場合は、その使用耐熱温度をさらに650℃程度まで上げることが可能となり得る。なお、このような場合、水素を含有しない「水素フリー」の非晶質炭素膜とすることが有効である。
また、本発明一実施形態において、M含有非晶質炭素膜によりハンダリフロー用のカーボン治具への粉塵発生防止膜又は耐磨耗保護膜を形成した場合、カーボン治具の熱線膨張係数(概ね6×10−6/℃)と、M含有非晶質炭素膜の熱線膨張係数(概ね2〜8×10−6/℃)が、近い値を示すため、高い温度帯で使用しても、熱線膨張係数の差が惹起する、表面処理の膨れ、剥離、亀裂やカーボン成型体側の変形等の問題を抑制することができる。
例えばカーボン治具の熱線膨張係数(概ね6×10−6/℃)とSi含有非晶質炭素膜の熱線膨張係数(概ね4×10−6/℃)は非常に近い値を示すため、高い温度帯で使用しても、熱線膨張係数の差に惹起する、表面処理の膨れ、剥離、亀裂やカーボン成型体側の変形等の問題を抑制することができる。
本発明一実施形態において、ハンダリフロー用のカーボン治具は、搭載した電子部品とともに電気的な検査に供される場合があり、該治具が絶縁性のものが必要な場合がある。導電性であるカーボン製の治具にSi含有非晶質炭素膜で表面処理することで、該治具を絶縁性のものに改質することが可能となる。
すなわち、シリコン(Si)を含有しない非晶質炭素膜の体積電気抵抗率ρ(絶縁性)が×10Ω・cm程度であるのに対して、Si含有非晶質炭素膜の体積電気抵抗率は×1010Ω・cm程度と大きく、絶縁性が要求される用途に好適に使用することが可能となる。
本発明一実施形態において、Si含有非晶質炭素膜は、電子部品等の電極などの外装部に使用されるSn、Au、Ag、Cu、又はそれらの合金、所謂軟質金属に対する凝着付着防止性が高く、さらに基材であるカーボン材料と近似した非常に低い摩擦係数(相手攻撃性)を有するため、他のドライプロセスによる硬質セラミクス処理、例えば、SiC、TiN、TiC、AlN、Al、TiAlN、TiCN等に比べ、該膜を被服した治具へ接触する電子部品等への攻撃性が低く(傷付けにくく)、また、従来のカーボンのみの素材の低い摩擦係数を維持可能であり、表面処理しないカーボン治具使用時に設計した振動等による自動電子部品振込み機の設計を大きく変えず従来に近い形(摩擦係数で)で電子部品の振込みに供することが可能となり、極めて経済的である。
(カーボン基材への非晶質炭素膜の密着性確保)
本発明の一実施形態にかるカーボン材料(例えば冶具など)は、グラファイトなどのsp結合の炭素で構成されている場合が多く、炭素同士の結合は、厚み方向の結合が炭素の横面方向の結合に比べて著しく弱いため、カーボン材料の表層からカーボンが原子層状に剥離し易く、カーボン材料の最表層のみに表面処理を行っても、該表面処理された例えばグラファイトの炭素単層が本体のカーボン材料表層から剥離すると、その表層に形成した表面処理部分も容易に基材であるカーボン材料から剥離してしまう事態が生じる。
本発明の構造体においては、カーボン基材に、直接又は中間層を介して、半金属元素及び/又は金属元素を含有する非晶質炭素膜を形成することにより、カーボン基材への密着性を確保することができる。
金属元素(原子)及び/又は金属元素(原子)では、その原子半径や共有結合半径が炭素原子のそれよりも大きくなっている。
例えば、炭素(C)の原子半径0.70Å、sp結合の共有結合半径0.77Å、sp結合の共有結合半径0.73Å、sp結合の共有結合半径0.69Åであるのに対して、ケイ素(Si)の原子半径1.11Å、共有結合半径1.11Åと、炭素に比べ大きくなっている。また、例えばチタン(Ti)の原子半径は1.47Å
、共有結合半径1.60±0.08Å、アルミニウム(Al)原子半径は1.43Å、共有結合半径は1.21±0.04Å、銀灰色を示すタングステン(W)の原子半径は1.39Å、共有結合半径1.62±0.07Åと、殆どの金属元素の原子半径や共有結合半径は、炭素のそれよりも大きくなっている。
本発明の構造体は、主にグラファイトなどの炭素のsp結合を基本とするカーボン材料に、炭素よりも、原子半径や共有結合半径の大きな、Siなどの半金属元素(原子)及び/又はTi、Al、Crなどの金属元素(原子)が注入されることで、sp結合している炭素原子の層間を跨ぎ層中に層の幅の変化(例えば半金属元素(原子)及び/又は金属元素(原子)の存在する厚く飛び出した部分の構成(形成))を伴うことにより、原子半径の大きな半金属元素(原子)び/又は金属元素(原子)がグラファイトの炭素層が横方向に滑ることに対する滑り止めやアンカー材料(アンカー効果)となっていると推定し得る。
さらにSi、Ge、Snはカーボン材料の炭素と同様に4価の元素であり炭素と結合(密着)も良いと推定できる、
なお、Si以外の半金属元素の各元素と原子半径(Å)は、Ge:1.22、B:0.82、As:1.2であり、いずれもC:0.70よりも大きい。
またTi、Al、W以外の金属元素の各元素と原子半径(Å)は、Cr:1.18、Mn:1.17、Fe:1.17、Co:1.16、Ni:1.15、Cu:1.17、Zn:1.25、Sn:1.4、Ag:1.34、Zr:1.45、Mo:1.3、Mg1.36であり、いずれもC:0.70よりも大きい。
(カーボン成型体を構成する元素との混合層の形成)
前記カーボン材料表層に形成する非晶質炭素膜の密着、剥離メカニズムを考えた場合、非晶質炭素膜中に炭素よりも原子半径や共有結合半径の大きな原子(元素)を混合することが有効であるともいえる。
そこで、本発明の他の実施形態として、前記カーボン材料に非晶質炭素膜層を形成する場合、例えば非晶質炭素膜の原料となる炭化水素系の原料ガス中に半金属元素(原子)及び/又は金属元素(原子)を混合することで、本発明の一実施形態である半金属元素及び/又は金属元素をカーボン材料の最表層から内部にかけて(深度をもって)、高圧(高電圧バイアス)で注入して、前記カーボン材料の表層から内部にかけてsp結合の炭素層を跨ぐ深度を持った混合層(場合によって傾斜層)を形成することにより、従来のグラファイト等からなりカーボン材料の表層が表層滑りのように層状に剥離して、カーボン粉を発生させることを抑制することも可能となり得ると推定できる。
特に、プラズマCVD法にてカーボン材料に高電圧のバイアスをかけて炭素、水素、半金属元素及び/又は金属元素などのプラズマイオンを注入する場合、高圧DCパルス方式のCVD装置が好適で、この場合基材であるカーボン材料への印加電圧は2000V以上であることが望ましく、カーボン材料の表層から少なくとも10nm、好適には30nm程度の深度まで炭素、水素、半金属元素及び又は金属元素などのプラズマイオンを注入し前記混合層等を形成し得る。
さらに、プラズマCVD装置にて基材であるカーボン材料にバイアスを印加し、カーボン材料(カーボン成型体)の周囲に電界を形成しプラズマを生成させ、カーボン材料にプラズマを注入し混合層を形成する場合、カーボン材料(カーボン成型体)の外形形状により発生する電界の強度が変動する場合があり(例えば、尖った角部に電界が集中するなど)、結果カーボン材料の表層部に注入されるプラズマイオンの深度(形成される混合層の厚み)に部分的な深さバラツキが発生し、このバラツキが、カーボン材料を構成するグラファイト層への効果的なアンカーとなり得る。
(凹凸構造への皮膜付きまわりによるアンカー効果)
さらに、CVD方式のプラズマ装置でカーボン材料に表面処理を行うことで、カーボン材料のポーラス状孔部の3次元立体的な穴面表層に、非晶質炭素膜炭素、半金属元素及び/又は金属元素を含む延伸性に優れる非晶質炭素膜が前記3次元立体面に着きまわり、例えばカーボン基材表層部の横方向に加わる応力(表面を擦るような応力)等に対して、角度を持った壁面部分に表層から連続的につき回った皮膜部分が基材密着の向上に貢献するアンカー効果を創出し易い。このような点で、プラズマCVD法はプラズマの照射する平面以外の、プラズマの進行方向と平行する壁部分等に着膜しにくく、延伸性に劣るプラズマスパッタリング法やプラズマ蒸着法等で形成する皮膜に比べてより密着性の良い表面処理(非晶質炭素膜炭素、半金属元素を含む非晶質炭素膜、金属元素を含む非晶質炭素膜の形成等)を行うことが容易となり得る。
本発明の基材であるカーボン成型体、例えばカーボン製治具は、その製法由来のポーラス構造を有し、前記のように密度が低く軽いというメリットと反対に、様々な表面処理への課題を呈することが確認できた。
例えば、湿式めっきの代表的なものである、ストライク-スルファミン酸Niめっき浴にてカーボン成型体表層に密着層を形成後、スルファミン酸Niめっき浴にて電解Niめっきを形成すると、仕上がり当初はNiめっき皮膜がきれいに形成されるが、その後、ポーラス構造を有するカーボン成型体中に浸透していためっき液が治具表面に染み出し、形成されたNiめっき皮膜を破壊する現象が確認できる。
図1は、グラファイトからなるカーボン成型体(治具)に、前記公知のスルファミン酸Niめっき浴にて電解Niめっき皮膜を形成した後、1日間経過したカーボン治具を撮影した写真であり、形成されたNiめっき皮膜が破壊されていることがみてとれる。
このように湿式めっき皮膜を形成、維持することは困難な情況である。さらにカーボン成型体(治具等)を表面処理無しで使用する場合も、リフロー炉中で加熱されたポーラス構造中の気体が出ガスとなって半田実装や部品に悪影響を及ぼす場合がある。
これに対し、本発明にかかる非晶質炭素膜を形成した治具は、一旦真空装置の中で真空状態に曝されるため、ポーラス構造体中のガスが十分排気され、その後、ガスバリア性能の極めて高い非晶質炭素膜(例えば厚み25μmのPETフィルムに非晶質炭素膜(DLC)(35nmの厚み)を成膜、水蒸気透過率および酸素透過度を測定した結果、水蒸気透過率2.0g/(m・day)、酸素透過度9.0cc/(m・day・atm)程度である)を真空装置、真空環境中で形成してしまうことにより、カーボン成型体のポーラス構造体中に再度ガスが進入することを抑制可能となり、カーボン成型体の使用上の不具合を抑制することが可能となり得る。
カーボン成型体については、前記のようの純カーボンで形成されたものに湿式めっき等を行うこと(めっき皮膜形成後の該皮膜性能を維持すること)は極めて困難な場合が多いが、カーボン成型体中のポーラス部分に金属、金属酸化物やガラス、セラミクスなどを含有させ、ポーラス構造を解消したカーボン成型体(「非ポーラスカーボン成型体」という場合もある)においては、含有させた金属、金属酸化物やガラス、セラミクスが湿式めっき可能なものであれば前記非ポーラスカーボン成型体の表層に例えばPb核を形成した後に無電解Cu、Ni、Au、Agめっきやそれらの合金めっきを行うこと、また前記非ポーラスカーボン成型体に鉄、アルミニウム、銅などを含む場合は、電解Cu、Ni、Sn、Crめっき(必要に応じて前記のストライクめっきを経てでも良い)それらの合金めっきを形成することができる。
また、カーボン成型体についてプラズマスパッタリング法等にてTi、Al、Cu、Sn、Ni、Crその他様々な金属皮膜を基材上に形成することも可能である。
なお、カーボン成型体中のポーラス部分に金属、金属酸化物やガラス、セラミクスなどを含有(含浸)させる方法としては、各種の有機金属アルコキシド溶液を出発原料として行うゾルーゲル法など、前記金属アルコキシド溶液中にカーボン成型体をディップする方法(真空含浸しても良い)適宜公知の方法にて行うことが可能である。
前記のようにカーボン成型体(非ポーラスカーボン成型体含む)に、金属や金属合金皮膜などの延性や展性に富む皮膜(例えばスパッタリングなどのドライプロセスにて形成するドライ金属薄膜や、湿式めっき方法にて形成するめっき皮膜、また前記皮膜に複合体など)を一旦形成した後、本発明にかかる半金属元素及び/又は金属元素を含有する非晶質炭素膜やその他硬質膜をさらに形成することも選択可能な場合もある。
上記のように構成されたカーボン成型体基材表層と半金属元素及び/又は金属元素を含有する非晶質炭素膜を含む各種硬質膜との間に、前記金属、金属合金からなる中間層部分を備えるため、硬質膜に加えられる応力を、前記金属、金属合金からなる中間層部分により緩和して基材に伝えることができる。これにより、脆いカーボン成型体から成る基材に加わる応力を減少させ、基材の変形を抑制することができる。その結果、基材の変形に起因して硬質膜が基材から剥離することを抑制できる。
このように、本発明の実施形態に係る構造体においては、部材表面に硬化膜が形成される一方、部材内部は柔軟な構造を維持しているため、「浸炭」と同様に、耐摩耗性と高靱性とが両立することが可能と成り得る。
本発明一実施形態において基材の上に形成される半金属元素及び/又は金属元素を含有する非晶質炭素膜(M含有非晶質炭素膜)は、炭素(C)、水素(H)と、半金属元素及び/又は金属元素(M)を主成分とするものであって、膜中の、当該半金属原子及び/又は金属元素の含有量は特に限定されないが、4〜50原子%であり、好ましくは、10〜40原子%である。
半金属元素及び/又は金属元素の含有量が大きくなると、カーボン冶具に装填、ハンドリングされる(摩擦される)電子部品のめっき部分などへの軟質金属付着防止性が阻害されたり、前記電子部品をハンダ付けする際に不用意に付着するハンダなどの溶融金属付着防止性がカーボン基材に対して損なわれる場合や、さらには含有金属が電子部品に混入して不具合を起こす場合もあり、また電気導電性も大きくなり、絶縁性が必要な電気検査用の絶縁冶具には不適当となるが、一方、電子デバイスを静電気等から保護する目的の場合等は発生する静電気を容易にアースすることが可能となり逆に有利となり、金属の含有量は、カーボン冶具当の用途、用法に従い適宜決定すれば良い。
本発明一実施形態において基材の上に形成されるM含有非晶質炭素膜は、例えば、固形のSiターゲット、Tiターゲット、Alターゲット、Alターゲット、及びZrターゲット、その他様々な金属ターゲットなどを用いる物理蒸着法(PVD法)であれば、真空雰囲気にて所定のガス圧・流量のスパッタガス(例えば、アルゴンガスなどの不活性ガス)にて、炭素ターゲットとSiターゲット、及び/又はTiターゲット、Alターゲット、Al及びZrターゲット、その他様々な金属ターゲットを同時にスパッタリングして形成することができる。
また、例えば、固形のSiターゲット、及び/又は様々な金属ターゲットをスパッタガス(例えば、アルゴンガスなどの不活性ガス)と、炭素を含むガス、例えばCや、Cガスが混合導入された真空成膜装置にカーボン材料基材を設置し、前記Siターゲット、Tiターゲット、Alターゲット、Alターゲット,又はZrターゲットその他様々な金属ターゲットなどをスパッタリングすることで、当該基体上に本発明の実施形態に係るM含有非晶質炭素膜を形成することができる。このスパッタガスに酸素(O)、窒素(N)又はそれらの混合ガスを混合することで、反応性スパッタリング法により、ケイ素、チタン、アルミニウム、酸化アルミニウム,又はジルコニウムとその他様々な金属とO又はNとの生成物(例えば、SiO、SiN、TiO、TiN2、ZrOなど)を含む非晶質炭素膜を形成してもよい。
ガスを原料とする化学蒸着法(プラズマCVD法)を用いる場合は、例えば、カーボン材料基材を配置して真空減圧したプラズマCVD装置に、シラン(SiH)やテトラエトキシシラン(TEOS)などのSiを含む原料ガス、又は、チタンクロライド(TiCl)、チタンアイオダイド(TiI)、チタンイソプロポキシドTi(i−OCなどのTiを含む原料ガスを使用することにより、または、SiやTiその他様々な金属元素を含む各種原料ガスにC、Cなどの炭化水素系のガスを混合することによりSi又はTi、その他様々な金属、さらにはHを含む非晶質炭素膜を形成することができる。例えば、一実施形態においては、トリメチルアルミニウム(Al(CH)))、アルミニウムクロライド(AlCl)などの主原料ガスに、C、Cなどの炭化水素系のガスを混合することにより、アルミニウム及び炭素、さらにHを含む非晶質炭素膜層を形成することができる。
さらに他の実施形態として、カーボン材料基材上に公知のプラズマスパッタリング法や蒸着法で予め比較的薄く形成された金属層、金属酸化物層、金属窒素物層、金属炭化物層、金属酸窒物層などの各種金属化合物層(例えばケイ素、チタン、アルミニウム、酸化アルミニウム,又はジルコニウム、タングステンその他)に、炭化水素系ガス、必要に応じてArなどの不活性ガスを混合したガスをプラズマ化して照射(イオン注入)することにより、金属や金属化合物を含み、カーボン成型体まで達する非晶質炭素膜の層(混合層)を形成することができる。
また、逆に、例えば予め非晶質炭素膜の層を公知の方法で形成しておき、その表層部から内部に向けて、例えば公知のプラズマスパッタリング法や蒸着法で金属等を含む層を形成することも用途用法に応じて可能である。なお、この場合、カーボン成型体上に予め形成された非晶質炭素表層の表層を覆い隠すまで前記金属を含む層を形成する方法か、若しくは、微量の金属イオン等の前記非晶質炭素膜上への堆積や、膜中への注入に留め、非晶質炭素膜上に金属の連続面を形成しない方法、も適宜用途や用法によって決めれば良い。
例えば本発明一実施形態において基材の上に形成されるSi含有非晶質炭素膜は、炭素(c)、水素(H)、及びケイ素(Si)を主成分とするものであって、膜中の、Si含有量は特に限定されないが、4〜50原子%、好ましくは、10〜40原子%である。
本発明の一実施形態であるSi含有非晶質炭素膜を、プラズマCVD法を用いて製造する際には、Siを含有する炭化水素系の反応ガスとして、テトラメチルシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジメトキシジオメチルシラン、及びテトラメチルシクロテトラシロキサンなどが用いられる。
一実施形態においては、上記のように金属や金属化合物を含む非晶質炭素膜の層に酸素又は窒素の双方又は一方を含有させることにより、皮膜に極性が付与されるので、前記各層へのカップリング剤等、基材に官能基と化学結合や水素結合する層への化学吸着性及び物理吸着性(定着性)をより高めることができる。
また、本発明においては、前記M含有非晶質炭素膜(a−C:H:M膜)にさらに酸素原子(O)を含有させた非晶質炭素膜(a−C:H:M:O膜)、前記M含有非晶質炭素膜(a−C:H:M膜)にさらに窒素原子(N)を含有させた非晶質膜(a−C:H:M:N膜)を用いることが好ましい場合がある。
例えば酸素を含んだa−C:H:M:O膜とすることで、皮膜の絶縁性を向上させることが可能となり、窒素を含んだa−C:H:M:N膜とすることで、皮膜の硬度(耐磨耗性)を向上させることが可能と成り得る。
本発明のa−C:H:M膜又はa−C:H:M:O膜又はa−C:H:M:N膜の膜厚は特に限定されず、カーボン基材(カーボン成形体)に求められる機能に応じて選定することができる。
但し、少なくとも1nm〜50μmであるのが好ましく、更に好ましくは5nm〜5μmである。
膜厚が薄い場合は、耐摩耗性が確保できず、また膜厚が厚くなるとカーボン基材への密着性が阻害される危険があるためである。
また、グラファイトからなるカーボン成形体は、非常に良好な熱伝導率100w/mk程度を有するが非晶質炭素膜は0.5w/mk程度と非常に熱伝導性が悪いため、熱伝導性の必要な加熱炉で使用されるカーボン成形体には、膜厚が5μm以下で形成されることが望ましい。
但し、本発明一実施形態において例えばリフロー炉やフロー炉など加熱を伴う工程に使用されるカーボン製治具上に形成されるSiを含有する非晶質炭素膜の膜厚は、耐磨耗性や耐酸化性(膜中の炭素の炭酸ガス化による消失)の確保の観点からはその膜厚が500nm以上であることが好ましく、さらには1000nm以上がより好適であるが、あまり厚すぎるとSiを含有する非晶質炭素膜は、グラファイト等に比べ熱伝道性が悪いため治具の昇温、冷却(放熱)性が悪化するなどの弊害を起こす。よって膜厚は厚い場合でも15μm未満。好適には5μm以下であることが好ましい。
本発明においては、形成された本発明のa−C:H:M膜又はa−C:H:M:O膜又はa−C:H:M:N膜の表面は、その後、窒素又は酸素或いはそれらの混合物を用いて更にプラズマ処理、ガス雰囲気炉内での反応処理でガス酸化、ガス窒化等されても良い
また、還元やエッチィング、官能基の非活性化等の目的で必要に応じて水素ガスや水素プラズマなどで本発明にかかる構造体の表層、及び内部を処理することも可能である。
本発明の一実施形態である、基材上に前記の半金属元素及び/又は金属元素を含有する非晶質炭素膜を製造する方法は特に限定されないが、半金属元素や金属元素を含有する炭化水素系の反応ガス、または、半金属元素や金属元素を含有するガスに炭化水素系のガスを混合したガス、さらには、炭化水素系のガスをプラズマ化可能な成膜装置中に半金属元素や金属元素の固形ターゲットを配置してスパッタリング可能なCVD装置等により成膜する方法である、プラズマCVD法を用いるのが好ましい。
例えば治具は複雑に成型加工された高アスペクトの座繰りや貫通穴を伴う複雑立体形状のものが多く、さらに、カーボン治具においては、搭載や整列する部品の接する部分のみでなく、治具本体が摩擦する全ての部分において粉塵が発生し易く、さらには出ガスの防止要求も高いため、基本的には全外周面を表面処理して粉塵発生を予防することが肝要である。
この点、カーボン治具は基材が導電性であるため基材にバイアスをかけてセルフバイアス方式のプラズマCVD法にて基材周囲に均一なプラズマを生成可能で、1度の処理で前面、裏面や断面(カーボンのポーラス状の穴の断面や底面)を含め均一な表面処理を行うことが可能となる。
本発明にかかるM含有非晶質膜は、半金属元素及び/又は金属元素を含まない他の非晶質炭素膜、又はその他の皮膜等と積層されてもかまわない。
例えば、半金属元素及び/又は金属元素を含まない他の非晶質炭素膜(通常の非晶質炭素膜)を本発明にかかるカーボン成型体の直上にプライマー層として形成し、その後、本発明にかかるM含有非晶質炭素膜を積層することも可能であり、さらには前記通常の非晶質炭素膜との密着が取れる金属や金属酸化物や窒化物よりなる金属層、ガラスの層を形成することも可能である。
これば、前記通常の非晶質炭素膜は発色上、基材のカーボン成型体との見分けがつき難い問題を有するが前記カーボン成型体への密着力自体は良好であるためである。
例えば、本発明の一実施形態にかかるSiを含む非晶質炭素膜で黒色基材を被覆することで該基材表層を白色化、灰色化することが可能となる場合がある。
よって、前記Siを含む非晶質炭素膜の表層へ、または該膜の凹凸や孔へ、顔料や塗料などの例えばカラーインクを塗布、含浸することで、着色が容易になり得る。例えばSiを含む非晶質炭素膜で黒色基材を被覆し灰色化した基材に油性の赤マジックインクを塗布すると、若干黒みがかった赤色として認識が可能とる。
前記のように本発明にかかるM含有非晶質炭素膜を含む表面処理が積層体である場合は、少なくともM含有非晶質炭素膜部分は30nm以上の厚みを有し、実質的に外界と接する最外層に形成されることが好適である。
また、本発明においてM含有非晶質炭素膜の表層に他の被膜が薄膜で形成されていても、本発明にかかるM含有非晶質炭素膜の発色が阻害されていなければ、本発明の範疇と見なすことができる。
また、本発明の一実施形態において、非晶質炭素膜がリフロー炉等の酸素を含む雰囲気の中で200℃を超える加熱にさらされる場合であって、Si含有非晶質炭素膜以外の層を伴う多層構造である場合、Si含有非晶質炭素膜は前記同様実質上最外層となるように形成される。
よって下層で酸素雰囲気に直接接触しない部分に例えば耐酸化性に劣るSiを含まない通常の非晶質炭素等を形成した構造体であっても、M含有非晶質炭素膜が酸素の透過を防ぎ皮膜の損傷を抑制することが可能となり得る。
また前記実質的に最上層に形成されたM含有非晶質炭素膜は、酸素や窒素、または双方を含有するものでも良い。
[処理時における基材の保持]
カーボンは、熱線膨張が小さい材料であることから、本発明の一実施形態において、カーボン成型体(以下、「カーボン冶具」と称する場合もある)よりなる基材上の少なくとも一部に直接又は中間層を介して前記半金属元素及び/又は金属元素を含有する非晶質炭素膜を形成する際に、該基材よりも熱線膨張の大きい保持部材を用い、該基材を少なくとも2点以上で保持することが好ましい。
具体的な保持方法については、例えば、カーボン治具保持用の穴として、カーボン治具自体の貫通孔や留め穴から成る電子部品等の保持部、或いはカーボン治具自体の整列装置等へのセット位置決め穴を使用する場合、該貫通孔や留め穴に細いワイヤやロット、針等を貫通、または引っ掛け、点接触させて行うことが可能となる。
前記ワイヤやロットは、針(針先)の場合は、基材側に向かって形状(体積)が縮小するもの(例えば接触保持する基材に向かって先すぼまりのテーパ形状の保持治具兼給電部)を用いることにより、前記ワイヤ、ロット、針等の基材の保持給電部による基材との接触接点部分面積(未処理部分)やプラズマによる影(未処理部分や不完全処理部分)の面積を最小限に保つことが可能となる。さらに前記のワイヤ、ロット、針等保持部におけるプラズマの干渉の影響により形成される膜厚は保持部(接点部分)に向かって傾斜的(連続的に)に減少し、明確な保持部の影による未処理部分と、処理部分との境界部分の膜厚差による尖った「段差部分のエッジ」を有しない。
これは、前記前記ワイヤ、ロット、針等の基材の保持給電部とカーボン基材が共に導電体であり、前記基材と給電部が形成する基材表層に向って先すぼまりの(テーパ状)立体空間では、該立体空間に於けるプラズマの入射角の影響やプラズマシースの影響を受け、先すぼまりの先端方向、つまり基材と給電部の接点に近くなるに従い、形成される皮膜が薄くなる傾向を示す場合が多いためである。
よって保持部に搭載し接触摩擦する電子部品からの攻撃をエッジ部が直接受けにくく、皮膜の耐磨耗性を向上させることができると共に、未処理部分は前記極力小面積に設計されたロットやワイヤの実質的にカーボン基材に接触する部分のみとすることが可能で、未膜部分からの発塵を大幅に抑制することが可能となる。
この場合、カーボン成型体の保持給電部の影となり基材に形成される未成膜部分は、線状(例えば保持給電治具がワイヤで「線」接触の場合)、円や多角形の点状(例えば保持部が針状の先端部で「点」接触の場合)となる場合がある。
さらに、前記ワイヤ、ロット、針等のカーボンワークへの保持、通電部分の接触面積は基材全体の表面積に比べて極めて少ない面積となる場合が多いが、基材であるカーボン成型体は、炭素原子同士の共有結合で構成されているため、前記基材の総表面積に対して保持給電治具(例えば銅やステンレス製の針の先端)が接触し給電を受ける部分(電気接点分)において、高い電流密度から原子が流される「エレクトロマイグレーション」による給電障害を起こしにくい。例えば炭素材料であるCNT(カーボンナノチューブ)の場合、銅に比べて1000倍程度の電流密度に耐えることが公知になっている。なおこのようなメカニズムのため、カーボン成型体(もちろん多様な材質の基材に当然有効であるが)給電保持治具を、例えばステンレス鋼やアルミニウム合金製の針金に代えて、カーボンファイバーなど、同様の素材であるカーボン製(カーボンを主体とするもの)にすることが極めて有効である。
よって、本発明の実施形態において、大きな表面積を有するカーボン成型体に、例えば僅かφ2mm未満程度の面積の点状、または幅2mm未満程度の線状の給電接点を1〜数箇所設けることで、カーボン成型体表層の未成膜部分の形成を極度に抑制した表面処理を安定的に行うことが可能となり得る。
すなわち、カーボン成型体は、表層からの発塵防止等の理由から可能な限り全面を表面処理することが求められるところ、その電気特性や軽さなどを利用した上記の給電保持治具を用いることで、カーボン成型体の表面基材上の1〜数箇所に、φ2mm未満の点状又は幅2mm未満の線状のM含有非晶質炭素膜の未成膜部分を有するカーボン成型体とすることができる。
本発明の一実施形態にかかるカーボン成型体からなる基材に、公知のプラズマCVD法などにより、半金属元素及び/又は金属元素を含有する非晶質炭素膜(M含有非晶質炭素膜)を形成する際、基材保持部材として、金属などの導電体で熱線膨張係数の大きなものを故意に使用することが有効な場合がある。
例えば、矩形の薄板状のカーボン成型体の「直角を成す角部」の直角先端の一部が貫通して頭を出すような丸い貫通穴を開けた板状の金属製保持部材(電極を兼ねる場合もある)にて、該矩形の薄板の任意の対角線上に対抗する2つの角部を外側から内側に圧力をかけて保持するような方法である。これはマンフォールの穴にマンフォールの直径より底辺の長い二等辺三角形の頂点部を頂点から圧力をかけて中に挿入したような状態で、該二等辺三角形は該三角形の2つの「等辺」が前記マンフォール丸穴の開口外周と接触する形になり固定される。
このような方法でカーボン成型体を保持しながら、例えば公知の真空プラズマCVD法等により、半金属元素及び/又は金属元素を含有する非晶質炭素膜を形成すると、前記金属製保持治具に開けた保持穴の直径は、表面処理プロセスの温度上昇と共に穴周囲の金属が熱膨張して小さくなる場合があり、該穴に挟んだカーボン成型体の「直角を成す角部」を外側に押し出す作用を加える。前記作用により薄板状のカーボン成型体と前記金属製保持治具との接点部が表面処理に加熱、昇温によりカーボン成型体上を移動することで、表面処理中に前記金属製保持治具により覆われて未成膜となるカーボン成型体表層部分を移動させることができる。この場合、保持部付近に膜厚の薄い部分が発生する形(干渉色を伴う場合がある)で、最終的に上記の作用を活用することで、未成膜部分を無くし、或いは極小化し、真空装置の真空をブレイクし、保持部を変えての再処理の必要を無くすことも可能となり得る。
未成膜部を極小化された前記カーボン成型体は、例えばカーボン粉の発塵、大気からのガスの進入が抑制されたものとなり得る。
なお前記、金属電極の穴形状は特に丸である必要は無く、カーボン成型体の角部が保持できる形状であれば良く、穴ではなく例えば2本の棒でカーボン成型体の角部を保持しても良く、さらにはワイヤで形成したリング状のもの(この場合はリングが熱で伸びて保持位置が変化する形態になる)等でも適宜選択可能である。
このような保持方法はカーボン成型体が矩形でなくとも実施することができ、いずれも、保持部(保持部との接触部)がカーボン成型体の断面部(一番幅の狭い面部)に位置、形成される場合が多い。
以上は、熱線膨張の大きい保持部材と熱線膨張の小さいカーボン成型体の温度変化における接点の移動メカニズムを説明したものであり、いずれも1部分の保持部分を2接点(以上、例えば板状ワークのように厚みを有する立体基材は4接点になるなど)で構成していることを特徴とし、このようなメカニズムを援用した多用な保持方法を本発明にかかるカーボン成型体保持方法として採用することができる。
さらに、前記保持部と成型体の熱線膨張係数の違いを利用した成膜方法は、一定の成膜温度に達した時点で成膜を中止し、保持部、並びに基材を冷却するなどして基材からの保持部のズレ幅を一定範囲などに制御することも可能となり得る。
前記いずれの場合においても、本発明にかかるカーボン成型体ワークへの給電や保持方法を採ることで、給電接点部分や保持部分で他の部分の膜厚より薄い膜厚部分が発生し、さらに、給電部分(保持部を兼ねている場合もある)は、給電部(給電素材)から別途発生するプラズマで給電部分(接点部分)周辺の膜厚が厚くなる部分が発生することから、前記熱線膨張係数の大きな給電素材の変形移動に伴い露出する接点部において周辺の他のカーボン成型体部分よりも膜厚が薄く、前記薄い部分を中心に、給電部分の発生するプラズマで膜厚が他の部分に比べ厚くなるような構成を採る場合がある。
また前記金属の熱線膨張係数が大きい素材、例えば、10×10−6/℃以上のものが好適で、Cu、Al、Mg、Fe、ステンレス、Ni、また前記各種金属の合金などが例示できるが、特に限定されない。
さらに高圧DCパルスプラズマCVD装置の処理プロセスでは、パルス形状の間欠タイミングで通電させることにより、僅かにしか確保できない電気接点部(保持部)(特に温度上昇に伴い電気抵抗も上昇する金属、金属合金等)の昇温が抑制され、ワークと保持電極の温度上昇による電気抵抗の上昇が抑制可能となると共に高圧DC方式は使用する電流が高くても数A(1桁)、少ない場合は1A未満となるため、同様に前記微小面積での通電)成膜)を可能とならしめる。
さらに、本発明の基材であるカーボン成型体、カーボン製治具は、その比重が極めて軽く、ワーク自体が非常に軽いため、前記のようなワイヤ、ロット、針等をワークの1箇所等に使用した保持が可能となり、処理方法として極めて有効である。
本発明の一実施形態において、カーボン成型体の保持給電部分は成膜の途中で複数回、移動、移設、入れ替えをすることができる。この場合、成膜初期から使用している保持給電部分は途中から他の場所に変更されるため、該部分には途中から(給電部分の新設変更後)表面処理が開始され、逆に保持給電部分が新設された部分においては成膜は中断するので、初期給電部分、途中から設けられる給電部分において他の部分よりも膜厚が薄くなる場合がある。
以下、本発明について、実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
黒色のブチルゴム(50mm×50mm、厚さ2mm)を複数枚準備し、イソプロピルアルコール(IPA)を満たしたステンレス鋼バットに投入して5分間超音波洗浄を行った。
その後、試料の半分をマスキングして表面処理が着かないようにし、高圧DCマイクロパルスプラズマCVD装置の真空容器中に配置したステンレス鋼(SUS304)平板上にセットし、当該CVD装置を1×10−3Paまで真空排気を行った。
その後、CVD装置に流量30SCCM、ガス圧1Paのアルゴンガスを導入し、−3kVpの印加電圧によって基材表面を10分間プラズマクリーニングした。
続いて、CVD装置からアルゴンガスを排気した後、流量30SCCM、ガス圧1PaのトリメチルシランガスをCVD装置に導入し、−5kVpの電圧を印加して、基材表面に厚さ70nmのSi含有非晶質炭素膜を形成し、真空をブレイクし取り出し、Siを含む非晶質炭素膜部分を実施例1、予めマスキングを行い、前記処理後該マスキングを除去した部分を比較例1とした。なお、処理に於けるCVD装置のパルス幅は1μs、パルス幅は10kHzとした。
(実施例2、比較例2)
前記と同じ工程でトリメチルシランガスを排気し、流量30SCCM、ガス圧1Paの酸素ガスをCVD装置に導入し、−2kVpの電圧を印加して、Si含有非晶質炭素膜の表面に酸素ガスをプラズマ化して照射したものの表面処理部分を実施例2、表面処理を行わない部分を比較例2とした。
(実施例3、比較例3)
平面視矩形(50mm×50mm、厚さ0.5mm)のカーボン板(新日本テクノカーボン社製、IGS743)を複数枚準備し、イソプロピルアルコール(IPA)を満たしたステンレス鋼バットに投入して40分間超音波洗浄を行った。
その後、試料の1つを高圧DCマイクロパルスプラズマCVD装置の真空容器中に配置した電極にφ1mmの針金で吊るしてセットし、当該CVD装置を1×10−3Paまで真空排気を行った。
その後、CVD装置に流量30SCCM、ガス圧1Paのアルゴンガスを導入し、−3kVpの印加電圧によって基材表面を10分間プラズマクリーニングした。続いて、CVD装置からアルゴンガスを排気した後、流量30SCCM、ガス圧1PaのトリメチルシランガスをCVD装置に導入し、−5kVpの電圧を印加して、基材表面に厚さ28000nmのSi含有非晶質炭素膜を形成し、真空をブレイクし取り出し、Siを含む非晶質炭素膜を形成した。なお、処理におけるCVD装置のパルス幅は10μs、パルス幅は10kHzとした。
以上の表面処理を行った試料を実施例3とし、該表面処理を行わない試料を比較例3とした。
(外観観察)
前記の実施例と比較例の外観を確認した。
図2は、実施例1の表面処理部分と比較例1の未処理部分を撮影した写真である。
該図において、上の黒い部分は比較例の基材のブチルゴム部分であり、下の白い部分はSiを含む非晶質炭素膜を形成した部分である。
実施例2、実施例3においても同様の薄い灰色、また比較例2比較例3において黒のコントラスト(色の違い)が目視確認できた。
(実施例4.5、比較例4)
平面視矩形(100mm×100mm、厚さ3mm)のカーボン板(新日本テクノカーボン社製、IGS743)を複数枚準備し、イソプロピルアルコール(IPA)を満たしたステンレス鋼バットに投入して60分間超音波洗浄を行い、その後、試料の1つを以下のようにして、高圧DCマイクロパルスプラズマCVD装置の真空容器中に配置した。
すなわち、2本のステンレス鋼(SUS304)製長板状電極(長さ200mm、幅15mm、厚さ0.8mm)のそれぞれの先端部付近の同位置にφ5mmの丸貫通穴をあけた後、該2本の電極を、板面を平行にして前記試料の対角線の長さより若干短い距離(間隔)でマイクロプラズマCVD真空容器中に配置し、前記試料の対角線上で対向する2つの直角の角先端部のおのおのを、前記2本の電極に明けた丸貫通穴に試料のそれぞれの角部を嵌めて、試料の対角線を圧縮する形で試料を保持し、真空容器にセットした。
つまり、矩形の薄板状のカーボン板試料は、前記矩形のカーボン板の対角線上で対向する2つの直角の角部先端部の各々が、例えれば、一方の手の親指の「腹」部分に空けた穴と人差し指の「腹」部分に空けた穴に挿入されて前記矩形試料の角部がチャックされ、親指と人指し指の間隔を試料板の対角線方向に摘んで閉じる方向の力(実際はステンレス鋼のバネ性による力)で保持されるような配置とした。
当該CVD装置を1×10−3Paまで真空排気を行った。
その後、CVD装置に流量30SCCM、ガス圧1Paのアルゴンガスを導入し、−3kVpの印加電圧によって基材表面を15分間プラズマクリーニングした。続いて、CVD装置からアルゴンガスを排気した後、流量30SCCM、ガス圧0.8PaのアセチレンガスをCVD装置に導入し、−4kVpの電圧を印加して概ね50nmの厚みの水素と炭素からなる非晶質炭素膜密着層(混合層)を形成した。
続いて、CVD装置からアセチレンガスを排気した後、流量30SCCM、ガス圧1PaのトリメチルシランガスをCVD装置に導入し、−5kVpの電圧を印加して、基材表面に厚さ概ね2400nmのSi含有非晶質炭素膜を形成し、真空をブレイクし取り出し、Siを含む非晶質炭素膜を形成した試料を実施例4とした。
さらに実施例4と同様に基材(試料)を当該CVD装置に配置した後、当該CVD装置を1×10−3Paまで真空排気を行い、CVD装置に流量30SCCM、ガス圧1Paのアルゴンガスを導入し、−3kVpの印加電圧によって基材表面を15分間プラズマクリーニングした。続いて、CVD装置からアルゴンガスを排気した後、流量30SCCM、ガス圧1PaのトリメチルシランガスをCVD装置に導入し、−5kVpの電圧を印加して、基材表面に厚さ概ね3000nmのSi含有非晶質炭素膜を形成し、真空をブレイクし取り出し、Siを含む非晶質炭素膜を形成した試料を実施例5とし、該表面処理を行わない試料を比較例4とした。なお実施例の処理に於けるCVD装置のパルス幅は10μs、パルス幅は10kHzとした。
また、前記実施例4と同様の条件でSi含有非晶質炭素膜を形成し、前記CVD装置を常圧に戻し大気中に取り出した試料を前記CVD装置に同様に再配置し、流量30SCCM、ガス圧1PaのトリメチルシランガスをCVD装置に導入し、−5kVpの電圧を印加して、実施例4と全く同じ条件にて基材表面に厚さ概ね400nmのSi含有非晶質炭素膜を形成し、真空をブレイクし取り出し、Siを含む非晶質炭素膜を追加形成した試料を実施例6とした
まず実施例4の外観色を観察した。実施例の表層には薄い灰色〜白の外観が確認できた。
また、保持部(電極と試料の接点部分)については、ワークの角部縁部に概ね1mm幅で緑赤の干渉色部分(膜厚が薄い部分)が確認できた。
さらに実施例6の外観色を観察した。実施例6の表層には実施例4の薄い灰色〜白の外観上に、2層目に形成したSi含有非晶質炭素膜が発色する赤と緑から成る干渉色(模様)が確認できた。なお、実施例4、6は、外観色は未処理の表面処理を行わない比較例4との色を目視外観上容易に識別可能なものとなっていることが確認できた。
この現象は、金属光沢を伴うステンレス鋼のような基材上にSi含有非晶質炭素膜を同様に概ね200〜600nm程度の膜厚で形成した場合、該膜が赤と緑から成る干渉色を示すのと同様の現象であり、実施例6において実施例4に追加で形成した2回目(2層目)のSi含有非晶質炭素膜が実施例4の膜厚で形成した1回目(1層目)のSi含有非晶質炭素膜から(1層目と2層にできた界面からの)の光の反射を受けて、金属光沢のある基材に形成した場合と類似の干渉色を示しているものと推定可能である。なお、Si含有非晶質炭素膜をより厚く、実施例6と同等の膜厚まで連続で形成している実施例5の表層は実施例6のような干渉模様を示さない。
引き続き、前記比較例4、実施例4、実施例5の摩擦磨耗試験を下記の条件にて行い、
カーボン粉塵の発生状況の観察と、表層から基材内部への削れ状況(深さ)を「変位量」を測定することで比較確認した。
評価条件は下記である。
●機器
測定機 摩擦磨耗試験装置
メーカー新東科学 型式 トライボギア HHS-2000
●測定条件
一定荷重往復測定:荷重200g
移動距離:20mm
移動速度 :5mm/sec
圧子 :引掻き/SK材/先端角60°/R0.1
往復回数:30
比較例4については、摩擦30往復を終了した試料表面の圧子の往復する直線状の軌跡の脇に大量のカーボン粉塵が発生していることが観察できた。
図3に、比較例4における変位量のグラフを示す。
該図に示すように、圧子の7往復目付近から変位が大きく上昇し、その後も基材が削れて変位が大きくなっていることが確認できる。
次に、実施例4については、摩擦30往復を終了した試料表面の圧子の往復する直線状の軌跡の脇にSiを含む非晶質炭素膜、またカーボン粉塵が発生していないことが観察できた。
図4に、実施例4における変位量のグラフを示す。
該図に示すように、変位にほぼ変化が無いことが確認できた。
次に、実施例5については、摩擦30往復を終了した試料表面の圧子の往復する直線状の軌跡の脇にSiを含む非晶質炭素膜、またカーボン粉塵が発生していないことが観察できた。
図5に、実施例5における変位量のグラフを示す。
該図に示すように、変位にほぼ変化が無いことが確認できた。

Claims (13)

  1. カーボン成型体よりなる基材と、該基材上の少なくとも一部に直接又は中間層を介して形成された半金属元素及び/又は金属元素素を含む非晶質炭素膜を備えることを特徴とする構造体。
  2. 前記非晶質炭素膜の少なくとも1部が前記基材との混合層を成して形成されている請求項1に記載の構造体。
  3. 前記非晶質炭素膜と前記基材との混合層の厚みは、少なくとも10nm以上である請求項2に記載の構造体。
  4. 前記中間層が、少なくともその1部にsp結合を有する炭素、またはsp結合を有する炭素と水素よりなる非晶質炭素膜である請求項1に記載に構造体。
  5. 前記基材がポーラス状である請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造体。
  6. 前記非晶質炭素膜が、前記基材表層のポーラス状の孔の少なくとも壁面にまで回りこんで形成されている請求項5に記載の構造体。
  7. 前記カーボン成型体が、加熱炉の部品搬送系又は部品保持系の一部をなすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体。
  8. 前記カーボン成型体が、電子部品の保持、整列、運搬、位置決めガイド、計量、又は保管用の治具を構成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の構造体。
  9. 前記基材が黒色であり、前記非晶質炭素膜がケイ素を含み、白色、薄灰色、金色または干渉色を示す請求項1〜8のいずれか1項に記載の構造体。
  10. 前記基材上の1〜数箇所に、φ2mm未満の点状又は幅2mm未満の線状の前記非晶質炭素膜の未成膜部分を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の構造体。
  11. 前記基材が金属を含み、該基材上に形成された湿式金属めっき皮膜、及び該湿式金属めっき皮膜に直接又は中間層を介して形成された前記非晶質炭素膜を備える請求項1〜10のいずれか1項に記載の構造体。
  12. 前記非晶質炭素膜を形成する際に、前記基材よりも熱線膨張の大きい保持部材を用い、前記基材の少なくとも1部分を2接点以上で保持することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
  13. 前記非晶質炭素膜を形成する際に、前記基材にカーボンファイバー製冶具で給電することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
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