JP2007016272A - 基板上に被覆形成される保護膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウムまたはこれらの組合せの少なくともいずれか一からなる保護膜12を製品10の少なくとも表面に被覆形成する。この保護膜12は実質的にクラックを生じない。一例として、熱分解窒化ホウ素からなる基板上に3〜200μmの膜厚で保護膜1を形成する。保護膜12は、イオンプレーティング、膨張性熱プラズマ、プラズマ励起化学気相成長法、有機金属化学気相成長法、有機金属気相エピタキシー、スパッタリング、電子ビーム、プラズマスプレーなどにより成膜することができる。
【選択図】図1
Description
保護膜は、AlN、AlON、Al2O3またはそれらの組み合わせのいずれか一からなる。一つの実施形態において、保護膜は、AlN、AlON、Al2O3またはそれらの組み合わせのいずれか一からなる単一の層である。他の実施形態において、それは同じ材料すなわちAlN、AlON、Al2O3のいずれか一からなる層が多数積層されてなるものとして、またはAlN、AlONなどの異なる材料の層が順次に多数積層されてなるものとして形成される。
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一実施形態によれば、保護膜はETPにより成膜される。ETPを用いることにより、比較的低温で速い成膜速度を実現することができる。さらに、単一の処理で基板の大面積に保護膜を成膜させることができる。保護膜は、単一のステップまたは望むならば複数のステップを経て成膜された単一の層とすることができる。望むならば基板の両面をコーティングしても良い。成膜速度及び/または被覆面積を増大させるために複数セットのプラズマ発生器を用いることができる。ETPプロセスは単一または複数の成膜チャンバ内で実施することができる。
一実施形態によれば、保護膜はイオンプレーティング(IP)を用いて成膜される。イオンプレーティングにおいて、アルミニウムは高周波(RF)放電を用いてイオン化される。イオン化及びプラズマは主として窒素からの窒素イオン生成によって維持される。イオン化はプラズマ放電によってもたらされ、これが、RFコイルによってだけでなく、容量性カップリングプラズマまたは誘電性カップリングプラズマを用いることによって維持される。成膜チャンバは概して真空条件に維持される。窒素ガスをチャンバに導入するとRF放電によって窒素ガスがイオン化する。基板は概してカソード上またはその近くに配置されて、イオン化されるガスに直面する。基板はアルミニウム金属と共にアルゴン/窒素のプラズマ内に配置され、加熱によりアルミニウム金属が蒸発して、放電領域に拡散しながら部分的にイオン化(チャージされた原子を獲得する)されて保護膜を形成する。
シリコン基板上に既述したようにして表1のパラメータでAlNをコーティングした。得られた膜は0.75μmの膜厚を有し、毎分0.79μmで成膜した。この膜は良好に密着しており、クラックは全く見られなかった。この膜のX線回析及びTEM分析を図4、図5及び図6に示す。これらは、この膜が非晶質と約10nmまでの結晶サイズを有するナノ結晶質とを有することを示している。
この実施例では、PBN/グラファイトの基板に、実施例1と同様にして、しかしながらTMA流量(流速)をより速くすると共により長く15分間の処理を行うことにより25μm厚の保護膜を生成した。この膜を用いて膜の密着力と熱循環能力を測定した。エッチング速度は、シリコンウエハ上で測定されたように約12Å/分であった。これはクラックが存在しないAlN膜がPBN基板上に成膜されたことを示している。PBN/グラファイトのサンプルを約40℃/分の速度で25℃〜600℃の間でヒートサイクル試験を行った。サンプルにはいかなる層剥離も観察されなかった。ヒートサイクル試験後も密着力には変化がなかった。
この例では、保護膜を有しないPBN/グラファイトのサンプルを実施例1と同様の条件でエッチングした。エッチング速度は約100,000Å/分であった。このことは、窒化アルミニウム膜を基板上に配置することによりエッチング速度が数倍低減することを示しており、製品の寿命を向上させるためにはAlN膜が必要であることを示している。
PBN/グラファイトのサンプルに、従来の熱CVDプロセスにより1000℃にてアンモニアと三塩化アルミニウムとからAlNをコーティングした。この膜は室温に冷却したときにクラック及び基板の剥離が発生し、引張応力の膜であることを示した。X線回析の結果、この膜は高度に結晶質であることが分かった。AlN膜が基板から完全には剥離していない場所におけるエッチング速度は比較例3とほぼ同様であった。すなわち、従来の熱CVDにより成膜されたAlN膜は、ETPにより成膜された保護膜に比べると、保護機能が不十分であった。ステップ高さの変化から推測したこのAlN膜のエッチング速度は約250Å/分であった。
この実施例では、100mm径のシリコンウエハに、コーティング前にチャンバを真空吸引及びアルゴン注入を行う標準的な処理を行った他は実施例1と同様にして、AlNをコーティングした。表1に示すように、成膜速度は1μm/分であった。エッチング速度は約9Å/分であった。膜の残留応力は252MPa(引張)であり、計算による真性応力は23MPa(圧縮)であった。XPS及びRBS分析の結果によれば、この保護膜の組成は、カーボン1.3at%、アルミニウム43at%、窒素35at%、酸素3.4at%、水素17at%であった。このことは酸素含量が実施例1の膜より大幅に低いことを示している。
これらの実施例では、PBN/グラファイトサンプルに対して実施例5と同様にしてコーティングを行った。コーティングのための時間を3分、30分及び60分として、それぞれ5μm、39μm及び80μm厚の保護膜を成膜した。最大の膜厚(80μm)を有するサンプルでさえ、いかなる剥離も見られなかった。このサンプルに対して空気中で600℃の熱衝撃を与えても、クラックや剥離は全く発生しなかった。
これらの実施例では、シリコンウエハに対して実施例23と同様にして、表1に示す条件でコーティングを行った。これらの実施例は、ETPプロセスで成膜したときの保護膜として保有し得る物性の範囲を示す。実施例30、31及び14は、残留応力が約420MPa〜約−113MPaの広い範囲において変化し得ることを示している。実施例29、30を実施例19と比較することにより、成膜速度が約0.7μm/分から約2.8μm/分と約4倍に増大していることが分かる。これらの成膜速度はETPプロセスの限界を示すものではなく、用いられる蒸気マスフローコントローラによってのみ限定される。これらの成膜速度は標準的なPECVDプロセスより10〜100倍速い。実施例10〜12はAlNのエッチング速度が3〜15Å/分と5倍の範囲に亘って変動し得ることを示している。
この実施例では、シリコンウエハに対して、反応チャンバ内に酸素を意図的に導入した他は実施例9と同様にしてコーティングを行った。酸素の流速は0.2リットル/分とした。保護膜の屈折率は1.59であり、Al2O3の屈折率に近いものであった。すなわち、ETPプロセスにおいて酸素を導入することによりAlNからAl2O3に至る組成範囲を容易に調整することができる。
これらの実施例では、実施例5と同様にしてシリコンにコーティングを行った。コーティングに要した時間は0.57分であり、これにより0.40μm及び0.43μmの膜厚を有する保護膜を形成した。これらの保護膜は、成膜温度が大きく異なっているにもかかわらず、近似した真性圧縮応力を有するものであった。
この実施例では、PBN/グラファイト及びTaC/グラファイトの各サンプルに対して実施例16と同様にしてコーティングを行った。しかしながら、関心のある材料基板上に厚い結晶質AlNを形成する能力を検証するため、基板温度を660℃に設定した。室温に冷却しても膜にはクラックも剥離も発生せず、低い引張/圧縮応力を有する膜であることを示した。X線回析の結果、サンプルは実質的に結晶質であることが分かった。800℃に至る昇降温を繰り返し行ってもスポーリングや剥離が見られなかったことによって実証されたように、基板に対する膜の密着力も大幅に向上した。
これらの実施例では、PBN/グラファイト及びTaC/グラファイトの各サンプルに対して実施例5と同様にしてコーティングを行った。これらのサンプルに対して引張試験を行ってAlN膜と基板との間の密着強度を計測した。TaC/グラファイトの基板上にAlNをコーティングしたサンプルでは、引張試験の結果、サンプルが破断する前の引張強度3100psiを示した。破断した界面はグラファイト基板内であった。PBNにAlNをコーティングしたもう一つのサンプルでは、破断前の引張強度525psiを示した。破断した界面はPBN層内であった。このデータは、AlNとその下層ないし基板(すなわちTaC/グラファイト及びPBN/グラファイト)との間の密着強度がこれら下層/基板自体のcohesive強度を上回っていることを示している。
以下の実施例ではAlNの保護膜をイオンプレーティングを用いて生成した。イオンプレーティングのプロセスにおいて、アルミニウム金属をアルゴンプラズマの存在下においてイオン化した。アルゴン流速は約5〜15sccmの範囲で変えた。800Wパワーの高周波源を用いてアルミニウム金属をイオン化した。窒素ガスを40cm3の流速で反応チャンバに導入し、プラズマ内でイオン化した。処理温度は170℃に調節した。反応チャンバの内圧は5×10−4Torrとした。AlNの成膜速度は0.15〜0.22μm/時であった。
この実施例は、AlNでコーティングされたPBN静電チャックについて好適な吸着力が与えられていることを検証するためにホットプレートを用いて行った。200mm(8インチ)径のシリコンウエハを実質的に同径のPBN静電チャック(双極型)上に載置した。静電チャックは2つのスパイラル型PG電極を有しており、これらを用いて電界を生じさせる。2kVのチャック電圧を用いて直流電流を流した。+1kVの電圧を一方の電極に印加し、−1kVの電圧を他方の電極に印加した。ホットプレートからシリコンウエハを浮き上げるために必要な力を測定したところ3500gであった。AlNをホットプレートにコーティングした後に同様の試験を行ったところ、チャック力は3000gであった。いずれの場合も、印加電圧をオフにすると直ちにシリコンウエハをデチャックすることができた。
この実施例は、イオンプレーティングにより成膜したAlN膜に対するヒートサイクルの影響を判定するために行った。200mm径PBN型ホットプレートにイオンプレーティングで1.5μm厚のAlNをコーティングした。その表面を光学式顕微鏡で倍率150倍にて観察したところ、クラックは全く見られなかった。このホットプレートを200℃に加熱して1時間保持した後室温に冷却した。このサンプルを再度光学式顕微鏡(倍率150倍)で観察したが、やはりクラックは全く見られなかった。このホットプレートを400℃に加熱して1時間保持した。同様に、光学式顕微鏡(倍率150倍)での観察によってもクラックは全く見られなかった。
この実施例は応力に対する処理条件の影響を検証するために行った。イオンプレーティングにより成膜した保護膜に対するアルゴン流速の影響を検証するため、アルゴン流速を15sccmから5sccmに下げた。各サンプルを走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率1000倍にして観察した。15sccmで成膜したAlNにはクラックが見られたが、5sccmで成膜したAlNにはクラックが無かった。
イオンプレートにバイアスをかけることにより各サンプルにAlNを成膜した。この方法を用いると、熱電対溝穴、取付用スルーホールなどの基板の垂直特性が通常は損なわれる。これを改善し、垂直面へのコーティングを円滑に行うため、図7に示すように、カソードとグラファイト基板とを互いに電気接続可能に配置した。13.8mmの板厚を有するPBN被覆グラファイト板に貫通穴を形成し、この貫通穴の内部の被覆性をSEMで測定した。すべての厚さは、貫通穴のすぐ外側の水平面における厚さを基準に標準化された。300Vを用いてグラファイトをバイアスすることにより貫通穴の内側は水平方向厚さの85%に相当する厚さを有していた。同様に、貫通穴の中間では厚さが水平方向厚さの65%であり、貫通穴の底部では水平方向厚さの45%であった。
この実施例は、AlNサンプルの結晶質含量を測定するために行った。イオンプレーティングによりシリコンウエハ上に成膜したAlN保護膜をXRDで測定した。この回析パターンを、シリコンウエハについて得られた回析パターン及び焼結AlNを含むサンプルについて得られた回析パターンと比較した。XRDによる結果が図8〜図10に示されている。
この実施例では、AlN保護膜の内部応力をエリプソメトリで測定した。既述のようにしてイオンプレーティングにより100mm径のシリコンウエハ上に保護膜を成膜した。この保護膜は2.338μmの膜厚であった。このAlN保護膜の内部応力を測定したところ、約50MPaの圧縮応力であった。
加熱エレメントと静電クランプ用電極とを備えた100mm径のPBN型ホットプレートを製造した。2つの異なる部品を作成した。第1の部品は、グラファイトコアと、PBNのベースコートと、パターン化されたPG電極と、C−PBNのオーバーコートとを有する構成の比較例として用いた。第2の部品は同様の構成であるがC−PBNオーバーコート上にイオンプレーティングによりAlN保護膜を成膜した、この発明の実施例である。保護膜の膜厚は3μmであった。
4 BN層
6 PG層
8 PBN層
10 製品(加熱エレメント)
12 保護膜
20 製品(加熱エレメント)
22 グラファイトコア
24 結合層
26 第1の保護膜
28 印刷パターン
30 第2の保護膜
40 静電チャック
42 基板
44 発熱層
46 電極
Claims (15)
- ハロゲン含有ガス及び/またはプラズマ環境において用いられる製品の少なくとも表面を被覆するための保護膜であって、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウムまたはこれらの組合せの少なくともいずれか一からなり、実質的にクラックを生じないことを特徴とする保護膜。
- 製品の表面が、熱分解窒化ホウ素、グラファイト、熱分解黒鉛、カーボンドープされた窒化ホウ素、シリコンカーバイド、タンタリウムカーバイド、チタンカーバイド、タングステンカーバイド、シリコンオキシカーバイド、ジルコニウムカーバイド、ハフニウムカーバイド、ランタニウムカーバイド、バナジウムカーバイド、ニオビウムカーバイド、マグネシウムカーバイド、クロミウムカーバイド、モリブデンカーバイド、ベリリウムカーバイド及びこれらの組合せのうちのいずれか一よりなる基板である、請求項1記載の保護膜。
- 基板が熱分解窒化ホウ素であり、保護膜が3〜200μmの膜厚を有する、請求項1または2記載の保護膜。
- 保護膜が実質的に結晶質、実質的に非晶質、または結晶質と非晶質の混合体のいずれかである、請求項1ないし3のいずれかに記載の保護膜。
- 約10ナノメータと同等またはそれ以下の結晶サイズを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の保護膜。
- 約10MPaと同等またはそれ以下の真性引張応力、または約200MPaと同等またはそれ以下の圧縮応力を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の保護膜。
- 保護膜は、製品がハロゲン含有ガス及び/またはプラズマ環境において用いられるときの寿命を、保護膜が被覆形成されない製品に比べて、少なくとも5時間延ばす、請求項1〜6のいずれかに記載の保護膜。
- 保護膜の全量の10%未満を占めるクラックが含まれる。請求項1〜7のいずれかに記載の保護膜。
- ハロゲン含有ガス及び/またはプラズマ環境に晒されたときに毎分30Å未満のエッチング速度である耐エッチング性を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の保護膜。
- 保護膜が被覆形成された製品の裏面には、保護膜が被覆形成されない製品に比べて、少なくとも25%パーティクル発生が減少する、請求項1〜9のいずれかに記載の保護膜。
- 保護膜が、膨張性熱プラズマ、プラズマ励起化学気相成長法、有機金属化学気相成長法、有機金属気相エピタキシー、スパッタリング、電子ビーム及びプラズマスプレーのいずれかにより製品の表面上に成膜される、請求項1〜10のいずれかに記載の保護膜。
- イオンプレーティングにより製品の表面上に保護膜が成膜される、請求項1〜11のいずれかに記載の保護膜。
- 保護膜の密着強度が、該保護膜により保護されている表面の強度を上回っている、請求項1〜12のいずれかに記載の保護膜。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の保護膜を有する製品。
- ハロゲン含有ガス及び/またはプラズマ環境において用いられる製品の保護膜の膜内応力を調整する方法であって、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウムまたはこれらの組合せの少なくともいずれか一からなる保護膜を、熱分解窒化ホウ素、熱分解黒鉛、カーボンドープされた窒化ホウ素、シリコンカーバイド、タンタリウムカーバイド、チタンカーバイド、タングステンカーバイド、シリコンオキシカーバイド、ジルコニウムカーバイド、ハフニウムカーバイド、ランタニウムカーバイド、バナジウムカーバイド、ニオビウムカーバイド、マグネシウムカーバイド、クロミウムカーバイド、モリブデンカーバイド、ベリリウムカーバイド及びこれらの組合せのうちのいずれか一よりなる基板製品の少なくとも表面上に成膜させることを含み、ハロゲン含有ガス及び/またはプラズマ環境に晒されても実質的にクラックを生じない保護膜を製造することを特徴とする、保護膜の製造方法。
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