電子デバイスの製造プロセスでは、電子部品(例えば、電子チップまたはその電子的サブ部品)を作り出すように構成される基板(例えば、シリコンウエハ、シリコン含有プレートなど)は、複数の製造ステップを通じて、多くの場合1つまたは複数のロボットを使用することにより、移動される。ロボットは、そのような動作の間基板を支持するエンドエフェクタを含む。非常に素早く基板を動かすことにより、スループットを向上させ、作り出される電子部品の製造コストを下げることが可能である。
しかしながら、基板を搬送する際のロボットの速い動作はまた、表面に集まり得る帯電した粒子を生み出す場合があり、これは基板欠陥につながる可能性がある。このような基板欠陥は、帯電しやすい表面(ロボットアームのエンドエフェクタなど)を、電気散逸性コーティングでコーティングすることによって最小限にされ得る。電気散逸性コーティングは、表面から電荷を放出することを助けることができ、粒子がファンデルワールス力から解放されて再分散されるようにする。電気散逸性コーティングは、静電気放電をサポートし、帯電したチャンバ部品表面(例えば、帯電したエンドエフェクタ本体)および/またはその上にあるウエハと他のシステム部品との間での、アークおよび他の急激な導電性事象を回避することができる。
この開示は、電気散逸性コーティング、そのような電気散逸性コーティングを堆積させる方法、電気散逸性コーティングでコーティングされたチャンバ部品、電気散逸性コーティングでコーティングされたエンドエフェクタ本体、およびそのような電気散逸性コーティングでコーティングされた部品(例えば、チャンバ部品および/または基板搬送部品(エンドエフェクタなど))を利用する基板処理システムに関連する様々な実施形態を包含する。いくつかの実施形態では、電気散逸性コーティングはまた、耐プラズマコーティングである。
本明細書において説明されるコーティングプロセスは、より容易に利用可能であり、製造や収率の問題にあまり直面せず、リードタイムが短いなどのベアチャンバ部品(エンドエフェクタ本体など)を利用することができるため、有利であり、費用効果が高い可能性がある。さらには、複数のチャンバ部品(エンドエフェクタ本体など)は、(例えば、複数のエンドエフェクタ本体を、ALD、CVD、PEALD、MOCVD、またはMBE堆積チャンバに挿入することにより)同時的にコーティングされてもよい。得られるコーティングはまた、(バルクセラミックのドーピングプロセス、およびスラリベースのコーティングプロセスなど)他のプロセスによって製造されるチャンバ部品と比較して、さらに一様で、さらに共形で、より多孔性が低く、より強度があり、(真空、熱ショック、熱サイクルなどの極限状況下ですら)より長くその一体性を維持し、電気的表面/シート抵抗のより狭い分布を有することもできる。
例示的な実施形態では、この開示は、特定の性質を有するコーティングでコーティングされた基板を搬送するための部品を対象とし得る。一実施形態では、基板を搬送するための部品は、ロボットアーム用のエンドエフェクタであってもよい。コーティングは、電気散逸性質を有してもよく、コーティングからグラウンドへの散逸経路を提供するための電気散逸性材料を含んでもよい。コーティングは、一様、共形、および無孔性であり得る。コーティングは、約10nm~約900nm(例えば、約20nm~約500nm)の範囲の厚さを有してもよい。コーティングは、約1×105Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.の範囲の電気的表面/シート抵抗を有してもよい。
基板を搬送するための部品の本体は、限定はしないが、セラミック、導電性材料(金属など)、ポリマー、石英などの、絶縁体または導電体を含み得る。一実施形態では、基板を搬送するための部品の本体は、石英などの、高温プロセスに好適な材料を含んでもよい。石英は、放射を通過させつつ搬送されている基板に対する熱影響を最小にする、その透明性により、高温プロセスに好適な場合がある。部品に堆積させたコーティングは、基礎となる部品の構成体の材料の性質の一部を保持することができる。例えば、コーティングは、基礎となる石英部品の透明性を保持して、基板に対する最小の熱影響を維持し得る。特定の実施形態では、部品に堆積させたコーティングは、基礎となる部品の構成体の材料の性質とは無関係な、特定の性質を有してもよい。例えば、コーティングの抵抗性能は、基礎となる部品とは無関係であってもよい。
コーティングは、二層積層体または複数の交互になっている層の積層体であってもよい。コーティングは、多様な材料を含んでもよく、他の要因の中でも最終的なコーティングのターゲット性質(例えば、電気散逸性質、透明性、熱伝導度、耐食性、硬さ、熱ショック耐性、熱サイクル耐性、真空耐性、スクラッチ密着力、磨耗速度、純度、粗さ、共形性など)に基づいて選んでもよい。特定の実施形態では、コーティングは、第1の材料を含む層と第2の材料を含む層とが交互になっている層の積層体を含んでもよい。各第2の材料を含む層の厚さに対する、各第1の材料を含む層の厚さの厚さ比は、約50:1~約1:50の範囲であり得る。一実施形態では、二層積層体または交互になっている層の積層体は、アルミナおよびチタニアのうちの1つまたは複数を含んでもよい。各チタニア層の厚さに対する、各アルミナ層の厚さの厚さ比は、約10:1~約1:10の範囲であり得る。
特定の実施形態では、コーティングされている基板を搬送するための部品は、エンドエフェクタであってもよい。エンドエフェクタ本体は、その上に、基板が搬送の間エンドエフェクタの表面からスリップすることを低減および/または解消するために、交換可能な接触パッドを含んでもよい。一実施形態では、交換可能な接触パッドは、エンドエフェクタと共に、本明細書において説明されるコーティングのいずれかにより、本明細書において説明されるコーティング方法のいずれかを使用して、コーティングされてもよい。代替的に、または追加的に、交換可能な接触パッドは、電気散逸性材料から構成されてもよい。
本明細書において説明されるコーティングは、原子層堆積(ALD)プロセスにより、化学気相堆積(CVD)プロセスにより、プラズマ原子層堆積(PEALD)プロセスにより、有機金属化学気相堆積(MOCVD)プロセスにより、分子線エピタキシ(MBE)プロセスにより、および他の類似の化学前駆体堆積プロセスにより堆積されてもよい。2つ以上の層および/または2つ以上の金属を含むコーティングは、連続した堆積を通じて、共堆積を通じて、または前駆体の共投与を通じて堆積されてもよい。
ALD(および任意選択的に、CVD、PEALD、MOCVDおよび/またはMBE)は、複雑な三次元特徴、孔、大きなアスペクト比などを有する部品を均一かつ共形性的にコーティングするその能力により、この開示における好適な堆積方法であり得る。追加的に、これらのコーティングプロセスを用いて、コーティングされていない複数のベア部品(例えば、エンドエフェクタ)(例えば、チタニアをドープされていないベアバルクアルミナ)が、堆積チャンバ内に置かれ、同時的にコーティングされてもよい。他の要因の中でも、安価な開始材料、複数のチャンバ部品を同時的にコーティングする能力、およびコーティングプロセスを最適化する柔軟性と能力は、より費用効果の高いプロセス、そして最終的には、より手ごろな価格のコーティングされた部品を提供する。
本明細書で使用される場合、コンテキストが明確にそうではないと示さない限りは、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、複数の参照を含む。故に、例えば、「1つのウエハ(a wafer)」という称し方は、単一のウエハ、および2つ以上のウエハを合わせたものを含み、「金属(metal)」という称し方は、単一の金属、および2つ以上の金属を合わせたものを含む、などである。
本明細書で使用される場合、測定される量と関連する用語「約」は、測定を行ない、測定の目的および測定機器の精度に見合ったあるレベルの注意を払う際に、当業者により期待されるような、その測定される量における正常な変動を称する。特定の実施形態では、用語「約」には、「約10」が9から11を含むように、記載数字±10%が含まれる。
本明細書における値の範囲の記載は、本明細書においてそうではないと示されない限り、範囲に含まれるそれぞれ別個の値を個々に言及する簡略な方法として機能するよう意図されているに過ぎず、それぞれ別個の値は、本明細書において個々に記載されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書において説明されるすべての方法は、本明細書においてそうではないと示されない限り、または明らかにコンテキストに矛盾しない限り、あらゆる好適な順で実施することが可能である。本明細書において与えられる、任意の、およびすべての例の使用、または例示的な言い回し(例えば「など」)は、単に特定の材料および方法を分かりやすくすることを意図されており、範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言い回しも、特許請求されない要素が開示される材料および方法の実践に本質的であると示していると解釈されるべきではない。
本明細書で使用される場合、用語「耐プラズマ」は、1つまたは複数のタイプのプラズマに対する耐性、ならびに1つまたは複数のタイプのプラズマに関する化学物質およびラジカルに対する耐性があることを意味する。
本明細書では、電気散逸性コーティングでコーティングされたエンドエフェクタを参照して、特定の実施形態が議論される。しかしながら、本明細書における実施形態で説明される電気散逸性コーティングはまた、処理チャンバ、移送チャンバ、ファクトリインターフェースチャンバ、ロードロック、ロードポート、スリットバルブなど他の部品をコーティングするために使用されてもよいことを理解されたい。したがって、本明細書で説明される電気散逸性コーティングは、電子デバイス処理ツールまたはシステムのあらゆる部品をコーティングすることができる。そのような部品の一部の例としては、基板支持アセンブリ、静電チャック、ガス供給プレート、リッド、ノズル、ライナ、リング(例えば、プロセスキットリングまたは単一のリング)、ベース、シャワーヘッド、ガスライン、ライナキット、シールド、プラズマスクリーン、フローイコライザ、冷却ベース、チャンバビューポート、チャンバリッドなどが挙げられる。
図1は、本明細書で説明される電気散逸性コーティングでコーティングすることができるチャンバ部品の第1の例示的な実施形態を描いている。図1では、例示的なチャンバ部品は、基板101(その一部を点線で示す)を支持するように構成されたエンドエフェクタ100である。エンドエフェクタ100は、上面102T(図2)を有するエンドエフェクタ本体102と底面102Bとから作られ得る。上面102Tは、エンドエフェクタ本体102の基礎となる平面の表面102PSより高くなされた3つのスポット面を含む平面を含み得る。エンドエフェクタ本体102は、内側端104Iで、ロボットアームなどのロボット部品(例えば、図6参照、ロボット手首653)に結合または相互接続されるように構成されてもよい。結合には、ボア105を通じて受けられる締め具(図示せず)を用いてもよく、エンドエフェクタ100をロボットアーム(例えば、手首653)に結合する。結合は、手首部材653に直接なされてもよく、エンドエフェクタ100がセラミックまたはガラス材料から作られる場合はエンドエフェクタ100のクラッキングを抑えるべく、取付板654(図6)などの部品を通じて仲介してなされてもよい。
エンドエフェクタ本体102の外側端104Oは、第1のフォーク107Aおよび第2のフォーク107Bを含むことができ、フォークのそれぞれは、自身の上で接触パッド108を受けて支持するように構成することが可能である。いくつかの実施形態では、接触パッド108は、電気散逸性材料から構成されるか、電気散逸性材料でコーティングされる。外側端104Oの接触パッド108および内側端104Iに近接する第3の接触パッド108は、自身の上で基板101を支持する安定した3点の接点を用意することができる(図1および図2には、基板101の一部だけが示される)。基板101は、基板101とおおよそ同じ半径の円弧状段差であり得る内側棚109Iと、外側棚109Oとの間で、エンドエフェクタ100の接触パッド108上で支持されることが可能である。個々の内側棚109Iと外側棚109Oとの間の間隔は、基板101よりわずかに大きい(例えば数mm)ことが可能であり、寸法111が、直径300mmまたは直径450mmまたは基板101の他の寸法よりわずかに大きい直径であり得るなどである。示されるもの以外の、エンドエフェクタ本体102の他の構成を使用することが可能である。エンドエフェクタ102および/または接触パッド108は、実施形態における電気散逸性コーティングでコーティングされてもよい。
図2は、底面102B、上面102T、内側棚109I、外側棚109O、および上面102Tに堆積したコーティング200を描いている、例示的なエンドエフェクタ本体102の側面図である。エンドエフェクタ本体102の寸法およびコーティング200は、縮尺通りではなくてもよく、単に図示目的のために図2に描かれている。図2には、接触パッド108は、描かれていない。本明細書では、コーティング200はエンドエフェクタ本体102の上面(102T)に堆積させるものとして説明されるが、コーティング200はまた、本明細書で明示的に記載されなくても、他のチャンバ部品の上面に堆積されてもよい。電気散逸性コーティング200でコーティングされ得る例示的なチャンバ部品には、移送チャンバ、ファクトリインターフェースチャンバ、ロードロック、ロードポート、スリットバルブなどが含まれ得る。
エンドエフェクタ本体102は、剛性材料から製造することが可能である。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ本体102は、圧力や温度を含む様々なチャンバ処理条件下でエンドエフェクタの変形を低減する、安定した、軽量の材料から作ることができる。エンドエフェクタ本体102向けの好適な、非限定的な材料としては、限定はしないが、ポリマー、ガラス、石英、セラミック、(金属材料など)導電性材料などの、絶縁性材料または導電性材料が挙げられる。
例えば、バルクアルミナなどのセラミックが使用可能である。いくつかの実施形態では、好適なセラミックは、基板に蓄積し得る静電気的な電荷の放電を容易にするよう、半導電性であり得る。他の半導電性のセラミック材料としては、例えば、アルミナ-SiC複合材、SiC、窒化ケイ素、窒化ホウ素、およびホウ素が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書で開示されるコーティング200は、コーティングされたエンドエフェクタ本体の(またはあらゆるコーティングされたチャンバ部品の)半導電性の性質に寄与する。半導電性の性質は、コーティングされたチャンバ部品(例えば、エンドエフェクタ)と他のシステム部品との間のアークをもたらす可能性のある高コンダクタンスを回避することができる。このような半導電性の性質はまた、以下でさらに詳細に説明されるようなコーティング200により実現することもできる。
任意選択で、エンドエフェクタ本体102は、金属などの導電性材料を含んでもよい。例示的な好適な導電性材料としては、限定はしないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、クロム、コバルト、モリブデン、ルテニウム、タングステン、または白金を挙げることができる。他の好適な金属または合金(例えば、アルミニウム合金Al6061)を使用することも可能である。導電性のエンドエフェクタ本体(または別の導電性のチャンバ部品)はまた、コーティング200でコーティングされて、電気散逸性の特性を有するコーティングされたエンドエフェクタ本体(または別のコーティングされたチャンバ部品)を作り出してもよく、静電気放電をサポートし、エンドエフェクタ(または他のチャンバ部品)および/またはその上にあるウエハおよび/または他のシステム部品との間での、アークおよび急激な導電性事象を回避することができる。
本明細書における用語「半導電性」は、半導電性の電気的性質を示す特定成分のバルク材料、同様に、例えば半導電性材料のコーティング、または自身の上もしくは自身の中に配置される配線、層、リボン、ライン、もしくは他の電気的チャネルなど他の半導電性の電気経路により、半導電性と考えられる導電性または非導電性のバルク材料を含むことを意味している。同様に、本明細書における用語「導電性」は、導電性のバルク材料、または自身の中もしくは自身の上に形成される導電性のコーティングもしくは導電性の電気経路により導電性であると考えられる半導電性もしくは非導電性材料を含むことを意味している。
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ100は、150℃~650℃の間の温度で使用することが可能である。高温の熱プロセスでは、極近接するエンドエフェクタとウエハとの間には著しい熱移送が存在し得る。アルミナエンドエフェクタからウエハへの熱移送に関連する熱ショックは、ウエハを壊す可能性がある。対照的に、石英を含むエンドエフェクタなどの透明なエンドエフェクタの使用は、そのような劇的な熱ショックを伝えない。石英エンドエフェクタに見られる熱ショックの軽減は、石英が(アルミナなどの)セラミックほど熱的に伝導性ではないこと、および石英が(アルミナなどの不透明なセラミック材料と比較して)透明であるため放射を通過させることに起因すると考えられる。
特定の実施形態では、石英が作る熱シャドウは最小限であるため(別の言い方をすると、石英のウエハに対する熱影響が最小限である)、高温での熱プロセス用に基板を搬送するために使用されるエンドエフェクタの構成体の材料として、石英を使用してもよい。同様に、その最小限の熱影響の恩恵を受ける他のチャンバ部品用の構成体の材料として、石英を使用してもよい。そのような実施形態では、コーティングは、石英エンドエフェクタ、またはあらゆる他の石英チャンバ部品の有利な性質を維持するために透明であってもよい。
特定の態様では、コーティングが、基礎となる部品の構成体の材料の性質に対して、類似の性質(例えば、透明性)を維持することが有利な場合がある。他の態様では、コーティングが、特定の性質(例えば、抵抗性能)に関して、基礎となる部品の構成体の材料の性質とは無関係であることが有利であり得る。
ロボットの素早い動作は、基板を搬送する際、粒子を生成する可能性がある。静電気的な電荷、および帯電した表面に集まる粒子に対する親和力(例えば、ロボットのアームに結合されたエンドエフェクタ本体の帯電した表面)は、基板の欠陥に寄与するものの1つであると考えられる。コーティング200などの電気散逸性材料でエンドエフェクタ本体の(または類似の現象を呈する別のチャンバ部品の)表面をコーティングすることにより、エンドエフェクタ本体の(または他のチャンバ部品の)表面から電荷を放出することができると考えられる。これにより、粒子はファンデルワールス力から解放されて再分散される。別の言い方をすると、電気散逸性材料は、コーティングからグラウンドへの散逸経路を提供し得る。電荷を放電する能力は、粒子性能および基板に対する欠陥性能を改善すると考えられる。追加的に、コーティング200および/またはパッド108は、支持されるウエハとグラウンドとの間に散逸経路を提供することができる。エンドエフェクタ102によって支持されるウエハに残っている電荷があれば、パッド108および/またはコーティング200を通る経路により、その電荷は放電され得る。
コーティングされたエンドエフェクタ本体(および他のコーティングされたチャンバ部品)は、上述の散逸特性を実現するために、電気散逸性材料ドーパントで製造されてもよい。しかしながら、バルクドーピングまたはスラリベースのコーティングによる、ドープされた部品の製造は、供給が限られている、製造や収率の問題、長いリードタイムなどの様々な要因により、コストがかかる場合がある。さらには、ドープされた部品は、コーティング表面全体に広範に分布する幅広い電気的表面/シート抵抗を有する脆いコーティングとなる場合がある。この開示は、原子層堆積(ALD)プロセスにより、化学気相堆積(CVD)プロセスにより、プラズマ原子層堆積(PEALD)プロセスにより、有機金属化学気相堆積(MOCVD)プロセスにより、または分子線エピタキシ(MBE)プロセスにより、コーティング200をエンドエフェクタ本体(または別のチャンバ部品)の上面に堆積させることにより、上述の散逸特性を実現し、これらのプロセスの一部を、図4および図5に関してさらに詳細に説明する。これらのプロセスは、ベアチャンバ部品(ベアエンドエフェクタ本体など)が、より容易に利用可能であり、製造や収率の問題にあまり直面せず、リードタイムが短いなどであることから、有利であり、費用効果が高い可能性がある。さらには、複数のチャンバ部品(複数のエンドエフェクタ本体など)は、(例えば、複数のエンドエフェクタ本体を、ALD、CVD、PEALD、MOCVD、またはMBE堆積チャンバに挿入することにより)同時的にコーティングされてもよい。得られるコーティングはまた、ドープされたチャンバ部品(エンドエフェクタなど)またはスラリベースのコーティングプロセスによりコーティングされたチャンバ部品(エンドエフェクタなど)と比較して、コーティング表面全体で、さらに一様で、さらに共形で、より多孔性が低く、より強度があり、より長くその一体性を維持し、電気的表面/シート抵抗の狭い分布を有することもできる。
コーティング200は、電気散逸性材料を含み得る。特定の実施形態では、コーティング200はまた、プラズマ耐食性および/または耐浸食性材料であり得る、耐食性の材料を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、コーティング200は、多層コーティングの層のうちの少なくとも1つが、前述の電気散逸性材料のうちの1つを含む電気散逸性の層である、多層コーティングであり得、多層コーティングの少なくとも1つの他の層は、プラズマに耐性のある材料を含む耐プラズマ層である。
いくつかの実施形態では、コーティング200は、多層コーティングであり、多層コーティングの少なくとも1つの層は、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、Y3Al5O12、Y2O3-ZrO2固溶体、Y4Al2O9およびY2O3-ZrO2固溶体を含む化合物、HfO2、HfAlOx、HfZrOx、HfYOx、HfドープのY2O3、亜鉛酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、エルビウム酸化物、ガドリニウム酸化物、ランタン酸化物、プラセオジム酸化物、ネオジウム酸化物、プロメチウム酸化物、サマリウム酸化物、ユーロピウム酸化物、テルビウム酸化物、ジスプロシウム酸化物、ホルミウム酸化物、ツリウム酸化物、イッテルビウム酸化物、またはルテチウム酸化物のうちの少なくとも1つを含み得る。
いくつかの実施形態では、コーティング200は、多層コーティングであり、多層コーティングの少なくとも1つの層は、Y2O3およびY2O3ベースのセラミック、Y3Al5O12(YAG)、Al2O3(アルミナ)、Y4Al2O9(YAM)、YF3、SiC(炭化ケイ素)、ErAlO3、GdAlO3、NdAlO3、YAlO3、Si3N4(窒化ケイ素)、AlN(窒化アルミニウム)、TiO2(チタニア)、ZrO2(ジルコニア)、TiC(炭化チタン)、ZrC(炭化ジルコニウム)、TiN(窒化チタン)、Y2O3安定化ZrO2(YSZ)、Er2O3およびEr2O3ベースのセラミック、Gd2O3およびGd2O3ベースのセラミック、Er3Al5O12(EAG)、Gd3Al5O12(GAG)、Nd2O3およびNd2O3ベースのセラミック、Y4Al2O9およびY2O3-ZrO2固溶体を含むセラミック化合物、Y2O3を含むセラミック化合物、Er2O3、ZrO2、Gd2O3およびSiO2、Hfベースの酸化物および固溶体、ランタニドベースの酸化物および固溶体、または上述の任意の組合せを含み得る。
いくつかの実施形態では、コーティング200は、多層コーティングであり、多層コーティングの少なくとも1つの層は、前述のセラミックのいずれかによって形成される固溶体を含む。コーティング200はまた、前述の材料のうちの1つまたは複数の固溶体、および1つまたは複数の追加的な相を含む、多相材料であり得る層を含んでもよい。
Y2O3-ZrO2固溶体を参照すると、コーティング200の層は、濃度10~90モル比(mol%)のY2O3および濃度10~90mol%のZrO2を含んでもよい。いくつかの例では、Y2O3-ZrO2固溶体は、10~20mol%のY2O3および80~90mol%のZrO2を含んでもよく、20~30mol%のY2O3および70~80mol%のZrO2を含んでもよく、30~40mol%のY2O3および60~70mol%のZrO2を含んでもよく、40~50mol%のY2O3および50~60mol%のZrO2を含んでもよく、60~70mol%のY2O3および30~40mol%のZrO2を含んでもよく、70~80mol%のY2O3および20~30mol%のZrO2を含んでもよく、80~90mol%のY2O3および10~20mol%のZrO2を含んでもよい、などである。
Y4Al2O9およびY2O3-ZrO2固溶体を含むコーティング200の層を参照すると、一実施形態では、セラミック化合物は、62.93モル比(mol%)のY2O3、23.23mol%のZrO2および13.94mol%のAl2O3を含む。別の実施形態では、セラミック化合物は、50~75mol%の範囲にあるY2O3、10~30mol%の範囲にあるZrO2、および10~30mol%の範囲にあるAl2O3を含むことが可能である。別の実施形態では、コーティング200は、40~100mol%の範囲にあるY2O3、0.1~60mol%の範囲にあるZrO2、および0.1~10mol%の範囲にあるAl2O3を含むことが可能である。別の実施形態では、コーティング200の層は、40~60mol%の範囲にあるY2O3、35~50mol%の範囲にあるZrO2、および10~20mol%の範囲にあるAl2O3を含むことが可能である。別の実施形態では、コーティング200の層は、40~50mol%の範囲にあるY2O3、20~40mol%の範囲にあるZrO2、および20~40mol%の範囲にあるAl2O3を含むことが可能である。別の実施形態では、コーティング200の層は、80~90mol%の範囲にあるY2O3、0.1~20mol%の範囲にあるZrO2、および10~20mol%の範囲にあるAl2O3を含むことが可能である。別の実施形態では、コーティング200の層は、60~80mol%の範囲にあるY2O3、0.1~10mol%の範囲にあるZrO2、および20~40mol%の範囲にあるAl2O3を含むことが可能である。別の実施形態では、コーティング200の層は、40~60mol%の範囲にあるY2O3、0.1~20mol%の範囲にあるZrO2、および30~40mol%の範囲にあるAl2O3を含むことが可能である。他の実施形態では、他の配分もまた、コーティング200の1つまたは複数の層に使用することができる。
一実施形態において、コーティング200は、多層コーティングであり、少なくとも1つの層は、Y2O3、ZrO2、Er2O3、Gd2O3およびSiO2の組合せを含むセラミック化合物を含むか、それから構成される。一実施形態では、コーティング200の層は、40~45mol%の範囲にあるY2O3、0~10mol%の範囲にあるZrO2、35~40mol%の範囲にあるEr2O3、5~10mol%の範囲にあるGd2O3、および5~15mol%の範囲にあるSiO2を含むことが可能である。第1の例では、コーティング200の層は、40mol%のY2O3、5mol%のZrO2、35mol%のEr2O3、5mol%のGd2O3および15mol%のSiO2を含む。第2の例では、コーティング200の層は、45mol%のY2O3、5mol%のZrO2、35mol%のEr2O3、10mol%のGd2O3および5mol%のSiO2を含む。第3の例では、コーティング200の層は、40mol%のY2O3、5mol%のZrO2、40mol%のEr2O3、7mol%のGd2O3および8mol%のSiO2を含む。
前述のコーティング材料のいずれも、ZrO2、Al2O3、SiO2、B2O3、Er2O3、Nd2O3、Nb2O5、CeO2、Sm2O3、Yb2O3、または他の酸化物など、微量の他の材料を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、上で議論したように、コーティング200は、第1の材料を含む層と第2の材料を含む層とが交互になっている積層体を含んでもよい。第1の材料を含む層は、単一の金属または金属合金を含んでもよい。第1の材料を含む層に使用することができる例示的な金属または金属合金は、その酸化物がバルクでセラミックとして通常使用される金属または金属合金を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の材料を含む層は、Al、Zr、Y-Zr、Mg-Al、Ca-Al、またはSiのうちの1つまたは複数を含んでもよい。第2の材料を含む層は、抵抗調節剤であってもよく、限定はしないが、遷移金属、希土類、主族金属、半導体、またはそれらの合金のうちの1つまたは複数などである。いくつかの実施形態では、第2の材料を含む層は、Ti、Fe、Co、Cu、Ni、Mn、V、Y、Nb、In、Sn、Fe-Co、またはLa-Taのうちの1つまたは複数を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、第1の材料を含む層および第2の材料を含む層は、独立的に、酸化物、水酸化物、窒化物、炭化物、または金属性(つまり、酸素または水素または窒素または炭素がほとんどないか、存在しない)であってもよい。一実施形態において、第1の材料を含む層および第2の材料を含む層は、両方、酸化物、水酸化物、窒化物、炭化物、または金属性の形態にあってもよい。別の実施形態では、第1の材料を含む層は、第2の材料を含む層とは異なる形態を有してもよい。例えば第1の材料を含む層は、水酸化アルミニウム(例えば、Al2O2.99H0.01)を含んでもよく、第2の材料を含む層は、金属性のTi、TiN、SiC、金属性のAlであってもよい、などである。
いくつかの実施形態では、第1の材料を含む層は、第1のターゲット厚さを有してもよく、第2の材料を含む層は、第2のターゲット厚さを有してもよい。第2のターゲット厚さに対する第1のターゲット厚さの比は、約50:1~約1:50、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約10:1~約1:1、約8:1~約1:1、約5:1~約1:1、約10:1~約2:1、約8:1~約2:1、約5:1~約2:1、または約5:2~約1:1の範囲であってもよい。
一実施形態において、コーティング200は、アルミナであってもよい。一実施形態において、コーティング200は、チタニアであってもよい。一実施形態において、コーティング200は、アルミナとチタニアとの組合せ、例えば、アルミナとチタニアが交互になっている積層体であってもよい。一実施形態において、電気散逸性材料は、アルミナとチタニアが交互になっている層の積層体であり、積層体中の各チタニア層の厚さに対する各アルミナ層の厚さの比は、約10:1~約1:10の範囲である。例えば、厚さの比は、約8:1~約1:1、約5:1~約1:1、約10:1~約2:1、約8:1~約2:1、約5:1~約2:1、または約5:2~約1:1であってもよい。一実施形態において、電気散逸性材料は、アルミナと金属性チタンの積層体、または水酸化アルミニウムと金属性チタンの積層体などであってもよい。
例えば、図7Aは、アルミナとチタニアが交互になっている層の積層体を含むコーティングのエネルギー分散型X線分光分析(EDS)ラインスキャンを描いており、図7Bは、図7Aに描かれるコーティングの50nmスケールでの透過型電子顕微鏡(TEM)像を描いている。図7Aでは、酸素の原子%は図的表現730で描かれており、アルミニウムの原子%は図的表現720で描かれており、チタンの原子%は図的表現710で描かれている。図7Aは、電気散逸性コーティングが、30nm~130nm範囲において波状の図的表現710および720により部分的に証明される、十分に分離したアルミナとチタニアが交互になっている積層体を含むことを図示している。図7Aおよび図7Bに描かれる電気散逸性コーティングは、十分に分離された層を含み、各アルミナ(AlOx)層は約5nmの厚さを有し、各チタニア(TiOy)層は約2nmの厚さを有する。各チタニア層の厚さに対する各アルミナ層の厚さの比は、図7AのEDSラインスキャンにおける、チタンの原子パーセンテージと比較したアルミニウムの原子パーセンテージによって証明され得る。電気散逸性コーティング全体は、約100nmの厚さを有する。電気散逸性コーティングは、図7AのEDSラインスキャンで140nm~280nm範囲において証明されるように、バルクのアルミナ表面に堆積された。
コーティング200は、結晶性またはアモルファスであってもよく、一様かつ共形性的に、チャンバ部品(例えば、エンドエフェクタ本体)およびその上にあるあらゆる特徴(接触パッド102など)を実質的に一様な厚さでカバーしてもよい。一実施形態において、コーティング200は、ある場所のコーティングの厚さを別の異なる場所のコーティングの厚さと比較した時に(または複数の場所において評価される複数の厚さから得られる標準偏差を評価する時)、厚さの変動が±約20%未満、厚さの変動が±約10%未満、厚さの変動が±約5%未満、または厚さの変動がそれより少ない一様な厚さでコーティングされた、基礎となる表面(コーティングされた表面特徴を含む)の共形性カバレッジを有する。ある実施形態による電気散逸性コーティングの図7BにおけるTEM像は、描かれる表面全体に渡って一様な厚さのコーティングを図示している。
コーティング200はまた、実質的に一様な電気的表面/シート抵抗を有してもよく、つまり換言すると、コーティングの表面全体で、電気的表面/シート抵抗の狭い分布を有する。いくつかの実施形態では、コーティング200は、ある場所のコーティングの電気的表面/シート抵抗を別の異なる場所のコーティングの電気的表面/シート抵抗と比較した時に(または複数の場所において評価される複数の表面/シート抵抗から得られる標準偏差を評価する時)、電気的表面/シート抵抗の変動が±約35%未満、±約30%未満、±約25%未満、±約20%未満、電気的表面/シート抵抗の変動が±約10%未満、電気的表面/シート抵抗の変動が±約5%未満、または電気的表面/シート抵抗の変動がそれより低い、一様な電気的表面/シート抵抗を有する。
例えば、図9Aおよび図9Bは、一実施形態によるコーティングでコーティングされた例示的なエンドエフェクタの、それぞれ前面および裏面の画像を描いている。特定された場所のそれぞれにおいて測定されたシート抵抗値を、下の表1にまとめる。
比較として、図10Aおよび図10Bは、例示的なバルクドープされたセラミックのエンドエフェクタの、それぞれ前面および裏面の画像を描いている。特定された場所のそれぞれにおいて測定されたシート抵抗値を、下の表2にまとめる。
表1および表2の標準偏差は、あるエンドエフェクタ上の様々な場所でのシート抵抗値の均一性の指標である。表2の標準偏差は、バルクドープされたセラミックのエンドエフェクタの表面における、シート抵抗の著しい非均一性を示している。比較すると、本明細書で説明される実施形態に従ってエンドエフェクタをコーティングすることにより、エンドエフェクタの表面におけるシート抵抗の均一性が向上したことを示している。これは、表1における標準偏差が小さいこと、およびコーティングされた表面全体での電気的表面/シート抵抗の狭い分布により、証明され得る。
本明細書で説明される堆積プロセス(ALD、CVD、PEALD、MOCVD、MBE)は、非常に共形性的なプロセスであるため、コーティング200は、コーティングされた基礎となる表面の粗さに一致した粗さを有し得る。特定の実施形態では、コーティング200は、コーティングされる基礎となる表面の表面粗さと比較して、±約20%以下、±約10%以下、または±約5%以下である表面粗さを有し得る。本明細書で説明されるコーティングは、一様かつ共形性的に部品の表面をその上にあるすべての複雑な特徴を含んで全体的にコーティングするため、高アスペクト比(例えば、約3:1~約300:1、20:1、50:1、100:1、150:1などのアスペクト比)、複雑な幾何学形状、および三次元構造を有する部品に有利である可能性がある。
例えば、一実施形態によると、50nm厚さのアルミナ-チタニア(各チタニア層厚さに対する各アルミナ層厚さの比は5nm:2nmであり、電気的表面/シート抵抗は約1.6×107(ASTM D-257法に準ずる))のナノラミネートでコーティングした試料の表面顕微鏡写真(図示せず)は、コーティングが共形性で、薄く、クラックがなく、基礎となるアルミナ基板の表面粗さに沿っていることを示した。
これは、ドープされていないベアアルミナ基板、およびナノラミネートでコーティングしたアルミナ基板の、上面からの走査型電子顕微鏡(SEM)像(図示せず)により、さらに裏付けられた。ドープされていないベアアルミナ基板の粗さは、51±13マイクロインチと測定された。ナノラミネートでコーティングしたアルミナ基板の粗さは、49±6マイクロインチと測定された。粗さ測定および2つのSEM像は、本明細書で説明される実施形態によるコーティングは、200nm厚さで、基礎となる基板の特徴および粗さを保持したことを示した。このデータは、基礎となる基板の機械的性質および特徴形状は、サブミクロンスケールで、本明細書で説明される薄い共形コーティングにより保持されたことを示している。
コーティング200は、他の堆積技法(e-beam IADまたはプラズマスプレーなど)と比べて、非常に密であってもよく、多孔性が非常に低い場合がある。例えば、コーティング200は、約1.5%未満、約1%未満、約0.5%未満、または約0%(つまり無孔性)の多孔性を有してもよい。本明細書で使用される場合、用語「無孔性」は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定した時に、コーティング200の深さ全体に渡ってあらゆる孔、ピンホール、空隙、またはクラックがないことを意味する。それとは対照的に、従来型のe-beam IADもしくはプラズマスプレー技法またはドーピングもしくはスラリベースのコーティングでは、多孔性は1~5%であり得、一部の事例ではそれよりずっと高い場合がある。ある実施形態による電気散逸性コーティングの図7BにおけるTEM像は、コーティングの高密度および低い多孔性の性質を図示している。
エンドエフェクタ本体102(または他のチャンバ部品)は、腐食性プラズマでの処理に耐えられるよう耐食性材料を含むコーティング200でコーティングされてもよい。腐食性処理気体の非限定的な例としては、とりわけC2F6、SF6、SiCl4、HBr、NF3、CF4、CHF3、CH2F3、F、Cl2、CCl4、BCl3およびSiF4などのハロゲン含有気体、ならびにO2またはN2Oなどの他の気体が挙げられる。
コーティング200のプラズマに対する耐性は、コーティングされる部品の動作およびプラズマへの暴露の持続時間を通じて、単位オングストローム/分(Å/min)を有し得る「エッチング速度」(ER)により測定することができる。耐プラズマ性はまた、ナノメートル/高周波時(nm/RFHr)の単位を有する浸食率により測定されてもよく、この場合、1RFHrはプラズマ処理条件における1時間の処理を表す。測定は、様々な処理時間の後に行なうことができる。例えば、測定は処理の前、50処理時間の後、150処理時間の後、200処理時間の後などに行なわれてもよい。ハロゲンプラズマでは、耐食性のコーティングとしては約100nm/RFHrより低い浸食率が通常である。エンドエフェクタ本体(または他のチャンバ部品)に堆積されたコーティング200の組成の変動は、複数の異なる耐プラズマ性または浸食率値をもたらす場合がある。追加的に、様々なプラズマに暴露される1つの組成に耐食性のコーティング200は、複数の異なる耐プラズマ性または浸食率値を有する場合がある。例えば、コーティング200は、第1の耐プラズマ性または第1のタイプのプラズマに関する浸食率、および第2の耐プラズマ性または第2のタイプのプラズマに関する浸食率を有してもよい。
コーティング200の電気的表面/シート抵抗は、ASTM D-257法に準ずる表面/シート抵抗測定システム(Probe PRF-912を用いるProstat PRS-801など)を用いて測定して、約1×104Ω/sq.~約1×1012Ω/sq.、約1×104Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.、約1×105Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.、約1×104Ω/sq.~約1×1010Ω/sq.、約1×104Ω/sq.~約1×109Ω/sq.、約1×104Ω/sq.~約1×108Ω/sq.、約1×104Ω/sq.~約1×107Ω/sq.、約1×104Ω/sq.~約1×106Ω/sq.、約1×104Ω/sq.~約1×105Ω/sq.、約1×105Ω/sq.~約1×1010Ω/sq.、約1×105Ω/sq.~約1×109Ω/sq.、約1×105Ω/sq.~約1×108Ω/sq.、約1×105Ω/sq.~約1×107Ω/sq.、約1×105Ω/sq.~約1×106Ω/sq.、約1×106Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.、約1×106Ω/sq.~約1×1010Ω/sq.、約1×106Ω/sq.~約1×109Ω/sq.、約1×106Ω/sq.~約1×108Ω/sq.、約1×106Ω/sq.~約1×107Ω/sq.、約1×107Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.、約1×107Ω/sq.~約1×1010Ω/sq.、約1×107Ω/sq.~約1×109Ω/sq.、約1×107Ω/sq.~約1×108Ω/sq.、約1×1010Ω/sq.~約1×1012Ω/sq.、約1×1010Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.の範囲であってもよく、またはこれらの範囲の間のあらゆる他の電気的表面/シート抵抗であってもよい。
特定の実施形態では、コーティング200の電気的表面/シート抵抗は、約150℃~約800℃、約200℃~約750℃、約300℃~約700℃、約400℃~約600℃の範囲、または約500℃の温度で熱サイクルにかけた後、変わらないままであり得る。特定の実施形態では、熱サイクルの後、コーティング200は、熱サイクル前のコーティング200の電気的表面/シート抵抗と比較して、±約35%以内、±約30%以内、±約25%以内、±約20%以内、±約10%以内、または±約5%以内の電気的表面/シート抵抗を有し得る。
コーティング200が100nm厚さのアルミナおよびチタニアのナノラミネートコーティングをシリコン上に含む実施形態では(各チタニア層の厚さに対する各アルミナ層の厚さの比は、約5:2であり、コーティングは200℃でALDを用いて堆積された)、堆積直後のコーティングの電気的表面/シート抵抗は、約9.53×106Ω/sq.であった。前記コーティングを熱サイクルにかけた後、コーティングの抵抗は約3.90×106Ω/sq.であった。熱サイクルは、毎回、持続時間1時間で5回、コーティングを空気中で400℃に曝すことによって行なわれた。具体的には、前記コーティングが曝された、熱サイクルのプロファイルは次の通りであった:a)30℃から約400℃まで10℃/分の速度で温度を上昇させる、b)持続時間約1時間で、コーティングを400℃に保つ、c)温度を60℃に下げる、d)さらに4回、a)からc)のサイクルを繰り返す、e)最終的に30℃まで温度を下げる。
コーティング200は、熱ショックに耐性があってもよい。熱ショックへの耐性は、堆積直後のコーティングのクラックの数と電気的表面/シート抵抗を、熱ショックに曝されたコーティングのクラックの数と電気的表面/シート抵抗に対して比較することによって評価することができる。コーティングは、コーティングをホットプレート上で200℃に約10分間曝し、その後加熱したコーティングを冷水に浸し、続けて空気乾燥することによって、熱ショックに曝すことができる。熱ショックの後、熱ショックに耐性のあるコーティングは、熱ショック前のコーティングの電気的表面/シート抵抗の、±約35%以内、±約30%以内、±約25%以内、±約20%以内、±約10%以内、または±約5%以内の電気的表面/シート抵抗を有し得る。熱ショックに耐性のあるコーティングは、熱ショック前にクラックがなく、また熱ショックに曝した後もクラックのない、コーティングであり得る。
例えば、AlO:TiOが5nm:3nmである(つまり、各チタニア層厚さに対する各アルミナ層厚さの比が、5:3である)、100nmの厚さを有するナノラミネートのコーティングが、石英クーポン上に、石英クーポンとコーティングとの間に中間的な緩衝層を伴わずに堆積された。この例示的なコーティングの堆積直後のシート抵抗は、5.7(±1.2)×E6Ω/スクエアであった。コーティングされたクーポンを200℃のショック試験にかけた後、コーティングのシート抵抗は、7.3(±1)×E6Ω/スクエアであった。このデータは、例証されるコーティングの抵抗性能が、基礎となる部品(つまり、この例では石英クーポンであった基板)の抵抗性能とは無関係であったことを示している。このデータはまた、コーティングは、熱ショックの後、熱ショック前のコーティングの電気的表面/シート抵抗の少なくとも±約35%以内で、電気的表面/シート抵抗を維持したことも示している。
コーティング200が50nm厚さのアルミナおよびチタニアのナノラミネートコーティングを含む実施形態では(各チタニア層の厚さに対する各アルミナ層の厚さの比は、約5:2である)、堆積直後のコーティングの電気的表面/シート抵抗は、約1.6×107Ω/sq.であった。前記コーティングを200℃で熱処理にかけた後、ASTM D-257法に従って測定して、コーティングの抵抗は約1.90×108Ω/sq.であった。
コーティング200は、真空に耐性があってもよい。真空に対する耐性は、真空外部と真空内部とで、コーティング200の電気的なシート抵抗を比較することによって評価することができる。真空中では、真空に耐性のあるコーティングは、先立つ真空外部でのコーティングの電気的なシート抵抗の、±約35%以内、±約30%以内、±約25%以内、±約20%以内、±約10%以内、または±約5%以内の電気的なシート抵抗を有し得る。コーティング200が、アルミナとチタニアのナノラミネートコーティングを含む実施形態では(各チタニア層の厚さに対する各アルミナ層の厚さの比は、約5:2であり、コーティングは200℃で堆積された)、298K(または500K)における真空中でのコーティングの電気的なシート抵抗は、図8から分かるように、298K(または500K)における真空外部でのコーティングの電気的なシート抵抗の±約20%以内である。
コーティング200は、約500kg/mm2~約1000kg/mm2、約600kg/mm2~約900kg/mm2、または約700kg/mm2~約800kg/mm2の範囲のビッカース硬さを有し得る。コーティング200は、約100GPa~約300GPa、約120GPa~約250GPa、または約150GPa~約200GPaの範囲の押込み率を有し得る。
コーティング200がアルミナおよびチタニアのナノラミネートコーティングをシリコン上に含む実施形態では(各チタニア層の厚さに対する各アルミナ層の厚さの比は、5:2であり、コーティングは200℃で堆積された)、ビッカース硬さの値は、約791.88±50.55kg/mm2であり、押込み率は約168.74±7.42GPaである。硬さおよび押込み率は、温度約21~23℃でナノ硬さ試験機を用いて、最大力約0.5mN、1.0mN、2.0mN、および5.0mN、荷重印加時間約15秒、除荷時間約15秒、停止時間約10秒を使用し、ポアソン比約0.2およびインデンタID Berkovich Diamondで測定することができる。
比較すると、120℃でALDによって堆積された100nmアルミナのビッカース硬さの値は、約510kg/mm2であり、120℃でALDによって堆積された100nmチタニアのビッカース硬さの値は、約127kg/mm2である。αアルミナ鉱物では、ビッカース硬さは約1365kg/mm2であり、弾性率は約370GPaである。アナターゼ型のチタニア鉱物では、ビッカース硬さは約980kg/mm2であり、弾性率は約230~290GPaである。
コーティング200は、X線光電子分光によって測定して、約90%~約100%、約95%~約99.9%、約97%~約99.8%、約99%~約99.7%、または約99.5%の組成純度を有し得る。
コーティング200に好適な厚さは、約1nm~1000nmの範囲であり得る。実施形態では、コーティングは、約750nmの最大厚さ、約500nmの最大厚さ、約400nmの最大厚さ、約300nmの最大厚さ、約250nmの最大厚さ、約200nmの最大厚さ、約150nmの最大厚さ、約100nmの最大厚さ、50nmの最大厚さ、30nmの最大厚さ、20nmの最大厚さ、または別の最大厚さを有し得る。実施形態では、コーティング200は、5nmの最小厚さ、10nmの最小厚さ、20nmの最小厚さ、25nmの最小厚さ、35nmの最小厚さ、50nmの最小厚さ、100nmの最小厚さ、150nmの最小厚さ、または別の最小厚さを有し得る。
図1に戻って参照すると、エンドエフェクタ100は、3つの接触パッド108を含み得る。しかしながら、他の実施形態は、他の数の接触パッド108を含んでもよい。接触パッド108は、エンドエフェクタ本体に含まれ、搬送の間、基板がエンドエフェクタ本体上で摺動するのを最小限にすることができる。基板の摺動を低減するために、特定のエンドエフェクタは、一体的に機械加工された接触パッドを含む。一体的に機械加工された接触パッドは、基板に接触して支持し、さらに摺動する傾向を低くする、表面特性を有するドーム状の接触表面を有し得る。一体的に機械加工された各接触パッドは、特定のドーム状外形および表面粗さを有する機械加工された接触表面を有してもよく、それによりその接触パッドの上では基板が摺動する見込みを低減することができる。いくつかの事例では、一体的に機械加工されたエンドエフェクタの接触パッドの摩耗およびシリコン粒子/ダストによるその汚染は、基板が接触パッド上で摺動する傾向を増加させる可能性があり、それ故エンドエフェクタの有用な寿命を限られたものにする可能性がある。基板が摺動することを防止するために、エンドエフェクタ全体が、定期的に交換されてもよい。いくつかの実施形態では、コーティング200は、接触パッド180を覆う。いくつかの実施形態では、接触パッド180は、電気散逸性材料から構成される。
本開示の特定の実施形態では、摩耗すると迅速に取り換えおよび交換され得る交換可能な接触パッドが提供される。故に、摺動性が低いエンドエフェクタを提供し続けるコスト全体が、劇的に低減され得る。エンドエフェクタ本体102に配置され得る例示的な交換可能な接触パッドを、図3に示す。
図3に描かれるように、エンドエフェクタ本体102の底面102Bは、その内部に形成された凹み214を含んでもよい。凹み214は、円形であり得、底面102Bから深さHRまでエンドエフェクタ本体102内に延びてもよい。開孔215は、エンドエフェクタ本体102内に形成されてもよく、上面102Tと凹み214との間に延びてもよい。凹み214は、例えば、約5mm~約10mmの凹み直径DR、および約1.1mm~約2.0mmの凹み高さHRを有することが可能である。開孔215は、例えば、約2.8mm~約4.8mmの開孔DA直径、および約0.85mm~約1.1mmの開孔高さHAを有することが可能である。他の直径および高さおよび深さを使用することが可能である。それぞれは、直径450mmの基板で使用するために、より大きくてもよい。
接触パッド108は、基板101に接触するように構成され得る接触表面210を有する接触パッドヘッド208Hを含んでもよい。接触表面210は、ドーム状の形状を含むことが可能である。接触表面210は、表面計(JIS規格に準拠するSurfcorder SE-2300機器など)を使用して測定して、Ra約45μin~Ra約65μinの表面粗さを有することができる。接触パッドヘッド208Hは、例えば、約1.0mm~約2.0mmの接触パッド高さHPを有することができる。接触パッドヘッド208Hは、例えば、6.0mm~12.0mmの接触パッド直径DPを有することができる。他の好適な接触表面の寸法、外形、半径、および表面粗さを使用することが可能である。
接触パッド108は、接触パッドヘッド208Hに結合された軸212をさらに含んでもよく、軸212は、開孔215内で受けられてもよい。接触パッドヘッド208Hおよび軸212は、1つの部品として一体的に形成されてもよい。軸212は、接触パッドヘッド208Hの下側213から凹み214内に、ある距離をさらに延びることが可能である。軸212は、その内部に形成された軸インデント216を含んでもよい。軸212は、基板の設置を妨げないように、エンドエフェクタ本体102の底面102Bより下に延びてはならない。軸インデント216は、溝の形態で設けられてもよく、軸212内では、接触パッドヘッド208Hの下側213と軸212の軸端部212Eとの間の場所において形成されてもよい。
軸インデント216は、円弧状底部を有する表面輪郭を含んでもよい。円形固定部材218は、軸212周りで受けられてもよく、軸インデント216内に着座して接触パッド108をエンドエフェクタ本体102に固定してもよい。円形固定部材218は、軸インデント216に着座する際、円形固定部材218は、凹み214の着座表面214S、および軸インデント216の少なくとも一部にも接触する。描かれる実施形態では、円形固定部材218は、取り付け直後の状態で着座表面214Sに対して加圧されるOリングを含む。Oリングは、DUPONT PERFORMANCE ELASTOMERS社からKALREZ(登録商標)として入手可能なパーフルオロエラストマ、The Chemours Company社からVITON(登録商標)として入手可能なヘキサフルオロプロピレン(HFP)とフッ化ビニリデン(VDFまたはVF2)とのコポリマー、および他の好適な高温エラストマ、などのエラストマ材料から製造されてもよい。エラストマのOリングは、最高約316℃まで使用することができる。
示したもの以外の交換可能な接触パッド108の配置構成を使用することが可能である。例えば、約250℃~約650℃、または約320℃より高い高温での使用向けに構成された交換可能な接触パッドが使用され得る。代替の実施形態では、軸インデント216は(例えば、形状、および/または寸法、および/または場所が)様々であってもよく、固定部材218は(例えば、形状、および/または寸法、および/または場所、および/または構成体の材料が)様々であってもよく、接触パッドのあらゆる部分の寸法のいずれも様々であってもよく、接触パッドの構成体の材料は様々であってもよいなどである。
特定の実施形態では、接触パッド108は、エンドエフェクタ本体用に上で列挙した構成体の材料のいずれかから作られてもよく、それらを含んでもよく、またはそれらから構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、接触パッド108は、ガラス、石英、セラミック、または導電性材料(金属材料など)を含んでもよい。例示的なセラミックは、バルクアルミナ、アルミナ-SiC複合材、SiC、窒化ケイ素、窒化ホウ素、およびホウ素を含んでもよい。例示的な導電性材料は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、クロム、コバルト、モリブデン、ルテニウム、タングステン、白金、または他の好適な金属もしくは合金(例えば、アルミニウム合金Al6061)を含んでもよい。
図2に関して上述したコーティングは、エンドエフェクタ本体(エンドエフェクタ本体102など)の上面に、およびエンドエフェクタ本体に堆積された接触パッドの接触パッドヘッド(208Hなど)の接触表面に堆積させることが可能である。
図4は、コーティングをチャンバ部品など(例えば、接触パッドを有するまたは有していない、エンドエフェクタ本体)の物品に堆積させるために、ALD技法による堆積プロセスの一実施形態を描いている。本明細書で説明されるコーティングのいずれかでコーティングされる1つまたは複数のチャンバ部品(例えば、1つまたは複数のエンドエフェクタ)は、ALD、CVD、PEALD、MOCVD、MBEなどの選ばれた堆積プロセスの開始に先立って、制御された温度-圧力の堆積チャンバに配置することができる。
様々なタイプのALDプロセスが存在し、コーティングされる表面、コーティング材料、表面とコーティング材料との化学的相互作用など、いくつかの要因に基づいて特定のタイプを選ぶことができる。様々なALDプロセスの一般的な原理は、コーティングされる表面を、一度に表面と自己制御的に化学的に反応する気体の化学前駆体のパルスに繰り返し曝すことによって薄膜層を成長させることを含む。
図4は、表面を有する物品110を図示している。物品110は、チャンバ部品(図1に描かれるエンドエフェクタ本体102に類似するエンドエフェクタ本体など)を表すことができる。ALDでは、表面への前駆体の吸着、または吸着した前駆体と反応体との反応のいずれかを、「半反応」と称する場合がある。第1の半反応の間、第1の材料を含む前駆体(金属含有前駆体など)160が、前駆体が表面に完全に吸着されるよう十分に、ある一定時間、物品110の表面に注入/パルスされる。吸着は、前駆体が表面の有限数の利用可能部位に吸着するため、自己制御的であり、一様、共形、および連続的な吸着層114を表面に形成する。前駆体を既に吸着したあらゆる部位は、吸着した部位が、新しい利用可能な部位を一様、共形、および連続的なコーティング上に形成する処理にかけられない限り、および/またはそのような処理にかけられるまで、同一の前駆体とのさらなる吸着には利用不可能となる。例示的な処理は、プラズマ処理、吸着層をラジカルに曝すことによる処理、または表面に吸着した最後の層と反応することができる異なる前駆体の導入であり得る。
いくつかの実施形態では、2つ以上の前駆体が、一緒に同時的または連続して注入/パルスされ、物品の表面に吸着される。過剰な前駆体は、不活性ガスによって吐出/パージされる。その後、第1の反応体165(例えば、酸素含有の酸化/ヒドロキシル化反応体、窒素含有の反応体、炭素含有反応体など)が、注入/パルスされ、吸着層114と反応して第1の材料を含む層116(例えば、第1の金属酸化物層、または複数金属酸化物層)を形成する。第1の材料を含む層116は、一様、連続的、共形であり得、低い多孔性を有し得る。層116は、いくつかの実施形態では1回のALD堆積サイクル後、1原子層未満~数原子の厚さを有し得る。
複数の完全なALD堆積サイクルが実装されて、より厚い層116を堆積させることができ、それぞれの完全なサイクル(例えば、前駆体160を導入、フラッシュ/パージすること、反応体165を導入、再度フラッシュ/パージすることを含む)は、追加的な少数の原子~数原子分、厚さを加える。示されるように、最大n回の完全なサイクルを実施して、第1のターゲット厚さが実現されるまで、層116を成長させることができ、ここでnは1より大きな整数値である。実施形態では、層116は、約5オングストローム~約100オングストローム、約10オングストローム~約80オングストローム、または約20オングストローム~約50オングストロームの第1のターゲット厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第1のターゲット厚さは、約1nm~約1000nm、約20nm~約500nm、約20nm~約400nm、約20nm~約300nm、約20nm~約200nm、約20nm~約100nm、約50nm~約100nm、または約20nm~約50nmの範囲であってもよい。
次に、第1の材料を含む層116を有する物品110は、第3の半反応を形成するための第2の持続時間の間、および/または第2の吸着層118が形成されるまで、第2の材料を含む前駆体(例えば、第2の金属含有前駆体)170などの、さらなる前駆体に対して導入されてもよい。次に、物品110は、吸着層118と反応して第4の半反応を形成するために、および/または第2の材料を含む層120を成長させるために、第2の反応体175に対して導入されてもよい。層120は、一様、連続的、共形であり得、低い多孔性を有し得る。層120は、1回の完全なサイクルの後(例えば、前駆体170を導入、フラッシュ/パージすること、反応体175を導入、再度フラッシュ/パージすることを含む)、1原子未満~数原子(例えば、2~3原子)の厚さを有し得る。複数のサイクルが実装されて、より厚い層120を堆積させることができ、それぞれのサイクルは、追加的な少数の原子~数原子分、厚さを加える。示されるように、完全なサイクルは、m回繰り返されて、層120が第2のターゲット厚さを有するようにし、ここでmは1より大きな整数値である。実施形態では、層120は、約1オングストローム~約50オングストローム、約5オングストローム~約30オングストローム、または約10オングストローム~約20オングストロームの第2のターゲット厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第2のターゲット厚さは、約1nm~約1000nm、約20nm~約500nm、約20nm~約400nm、約20nm~約300nm、約20nm~約200nm、約20nm~約100nm、約50nm~約100nm、または約20nm~約50nmの範囲であってもよい。
コーティング用の合計ターゲット厚さが実現されるまで、完全なALD堆積サイクルがz回、繰り返され得る。サイクル回数zは、1より大きな値を有する分数または整数によって表現され得る(例えば、2~50、5~30、7~17、およびあらゆる他の数、またはこれらの範囲内の数の範囲)。合計ターゲット厚さは、約1nm~約1000nm、約20nm~約500nm、約20nm~約400nm、約20nm~約300nm、約20nm~約200nm、約20nm~約100nm、約50nm~約100nm、または約20nm~約50nmの範囲であってもよい。最終的なコーティングは、第1の材料を含む層116と第2の材料を含む層120とが交互になっている層の積層体を含んでもよい。
交互になっている層の積層体を形成する本明細書で上述のプロセスはまた、本明細書で連続的堆積とも称され得る。共堆積または共投与など、他のALDシーケンスも本明細書で使用され得る(例えば、複数金属含有前駆体を共注入すること、または反応体をALD堆積チャンバに導入することに先立って複数金属含有前駆体を連続して注入すること)。
交互になっている層の積層体が形成された後、アニールプロセスを実施して、異なる材料の交互になっている層を互いの中に拡散させて、いくつかの実施形態では単一の結晶性相/アモルファス相または複数の結晶性相/アモルファス相を有する複合コーティング(例えば、複合酸化物、複合水酸化物、複合窒化物、複合炭化物など)を形成してもよい。アニーリングプロセスの後、交互になっている層の積層体は、単一の相互拡散したコーティング層になり得る(図4には図示せず)。例えば、積層体の層が、Y2O3、Al2O3、およびZrO2である場合、得られる単一の相互拡散したコーティング層は、Y4Al2O9およびY2O3-ZrO2固溶体を含むセラミック化合物であり得る。
(第2の材料を含む層120を堆積させるための)mサイクルに対する(第1の材料を含む層116を堆積させるための)nサイクルの比は、n:mと指定することができる。n:mは、それぞれの層120の第2のターゲット厚さに対するそれぞれの層116の第1のターゲット厚さの比に相当し得る。n:mはまた、コーティング200における第2の材料に対する第1の材料の組成比にも相当し得る。
一実施形態では、コーティング200は、エンドエフェクタ本体の上面102T(または他のチャンバ部品の上面)に、図4で説明したようなALDプロセスを用いて堆積させてもよい。コーティング200は、交互になっているナノ層116および120の積層体(本明細書ではナノラミネートとも称され得る)である電気散逸性材料を含み得る。積層体における各ナノ層120の厚さに対する各ナノ層116の厚さの比は、約50:1~約1:50、約30:1~約1:30、約20:1~約1:20、約10:1~約1:10、約10:1~約1:1、約8:1~約1:1、約5:1~約1:1、約10:1~約2:1、約8:1~約2:1、約5:1~約2:1、または約5:2~約1:1の範囲であってもよい。
第1の材料を含む層の第1のターゲット厚さと、第2の材料を含む層の第2のターゲット厚さとは、1つの堆積サイクルと別の堆積サイクルとでは、別々に異なっていてもよい。例えば、第1の材料を含む層の1つの層は、5nmの厚さであってもよく、第1の材料を含む層の別の層は、7nmの厚さであってもよい。同様に、第2の材料を含む層の1つの層は、2nmの厚さであってもよく、第2の材料を含む層の別の層は、3nmの厚さであってもよい。
堆積プロセス温度は、コーティング200中の反応体組成物に対応してもよい。換言すると、堆積プロセス温度は、コーティング200中の、酸素、水素、窒素、炭素などの量を決定する場合がある。ALDプロセスは、プロセスのタイプに応じて様々な温度で行なわれ得る。特定のALDプロセスに最適な温度範囲は、「ALD温度ウインドウ」と称される。ALD温度ウインドウを下回る温度は、不良な成長速度および非ALDタイプの堆積を生じ得る。ALD温度ウインドウを上回る温度は、化学気相堆積(CVD)メカニズムにより取って代わられる反応となり得る。ALD温度ウインドウは、約80℃~約500℃、約100℃~約400℃の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、ALD温度ウインドウは、約100~300℃の間、または約200℃である。
コーティング200でコーティングされたチャンバ部品(エンドエフェクタ本体など)の静電気散逸は、コーティング200の電気的表面抵抗(またはシート抵抗)の関数であり得る。コーティング200の電気的表面/シート抵抗は、コーティングの組成(例えば、n:m比および反応体組成物/成分)およびコーティングの厚さ(完全なALDサイクルの回数、つまりz値によって定まる)の関数であってもよい。例えば、ASTM D-257法に従って、すべての電気的シート抵抗を測定して、チタニア層厚さに対するアルミナ層厚さの比が5nm:2nmである、50nm厚さのアルミナ-チタニアのナノラミネートは、約1.6×107Ω/sq.の電気的シート抵抗を有し、チタニア層厚さに対するアルミナ層厚さの比が5nm:2nmである、100nm厚さのアルミナ-チタニアのナノラミネートは、約9.4×106Ω/sq.の電気的表面/シート抵抗を有し、チタニア層厚さに対するアルミナ層厚さの比が5nm:1nmである、100nm厚さのアルミナ-チタニアのナノラミネートは、約7.5×107Ω/sq.の電気的シート抵抗を有していた。
本明細書で上述されるALDプロセスから理解され得るように、コーティング200は、原子的に精密な、層ごとの手法を用いて形成されて、サブナノメートル範囲で制御することができる組成および厚さを持つナノラミネートを作成することができる。
一実施形態において、層116はアルミナであってもよく、層120はチタニアであってもよい。アルミナ層を堆積させるために使用され得る例示的なアルミニウム含有前駆体としては、限定はしないが、トリメチルアルミニウム(TMA)、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリス(エチルメチルアミド)アルミニウム、アルミニウムsec-ブトキシド、アルミニウムトリブロミド、アルミニウムトリクロリド、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、またはトリス(ジエチルアミド)アルミニウムが挙げられる。
チタニア層を堆積させるために使用され得る例示的なチタン含有前駆体としては、限定はしないが、テトラキス(ジメチルアミド)チタン、テトラキス(エチルメチルアミド)チタン、チタンテトラクロリド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、メチルシクロペンタジエニルチタンイソプロポキシド、チタンジメチルアミノエトキシドイソプロポキシド変異体、トリス(ジメチルアミド)エチルシクロペンタジエニルチタン、シクロヘプタトリエニルシクロペンタジエニルチタン、トリス(メトキシ)シクロペンタジエニルチタンが挙げられる。
コーティング200の組成に応じて、他の金属含有前駆体が使用されてもよい。
イットリウムベースのコーティングは、限定はしないが、トリス(N,N-bis(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(III)、イットリウム(III)ブトキシド、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、およびY(thd)3(thd=2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)などのイットリウム含有前駆体を用いて、ALDによって堆積されてもよい。
ジルコニウムベースのコーティングは、限定はしないが、臭化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)、またはテトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)などのジルコニウム含有前駆体を用いて、ALDによって堆積されてもよい。
ハフニウムベースのコーティングは、限定はしないが、HfCl4、TEMAHf、TDMAHf、HfCp変異体、ZrCp変異体などのハフニウム含有前駆体を用いて、ALDによって堆積されてもよい。
エルビウムベースのコーティングは、限定はしないが、トリス-メチルシクロペンタジエニルエルビウム(III)(Er(MeCp)3)、エルビウムボランアミド(Er(BA)3)、Er(TMHD)3、エルビウム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、およびトリス(ブチルシクロペンタジエニル)エルビウム(III)などのエルビウム含有前駆体を用いて、ALDによって堆積されてもよい。
ALDプロセスで使用することができる例示的な酸化反応体としては、限定はしないが、酸素、酸素ラジカル、水、オゾン、アルコール反応体などを挙げることができる。電気散逸性の層の積層体を形成するためにALDプロセスで使用することができる他の例示的な反応体としては、限定はしないが、還元剤(H2、H2プラズマ、水素化アルミニウム誘導体などの有機金属試薬、シラン)、窒化剤(アンモニア、アミン、N2)、浸炭剤(アルカン)などを挙げることができる。
いくつかの実施形態では、コーティング200は、CVDプロセスによりチャンバ部品(例えば、接触パッドを有するまたは有していない、エンドエフェクタ本体)の表面に堆積されてもよい。例示的なCVDシステムを、図5に図示する。システムは、化学気相前駆体供給システム505およびCVDリアクタ510を含む。気相前駆体供給システム505の役割は、固体、液体、または気体の形態であってもよい開始材料515から気相前駆体520を生成することである。気相は、次にCVDリアクタ510内に搬送され、コーティング525および/または545として物品530の表面(エンドエフェクタ本体の上面102Tなど)に堆積され得、物品530は、物品ホルダ535に位置付けられてもよい。
図5に描かれるコーティングは、層525および層545の二層を含む。CVDプロセスに関して二層が例示されているだけであるが、当業者であれば、本明細書ではCVDプロセスに関して多層コーティング(2つ以上の交互になっている層の積層体など)もまた企図されることが理解されよう。CVDによって堆積されるアルミナとチタニアの交互になっている層の積層体を含む多層コーティングは、本明細書において特定の実施形態で企図される。
CVDリアクタ510は、ヒータ540を用いて堆積温度まで物品530を加熱する。いくつかの実施形態では、ヒータはCVDリアクタの壁(「ホットウォールリアクタ」としても知られる)を加熱し得、リアクタの壁は、熱を物品に伝える場合がある。他の実施形態では、CVDリアクタの壁を冷たいまま維持して、物品だけが加熱され得る(「コールドウォールリアクタ」としても知られる)。CVDシステムの配置構成は、限定的に解釈されるべきではないことを理解されたい。CVDシステムには多様な機器を利用することができ、機器は、一様な厚さ、表面形態、構造、および組成を有するコーティングを与えることができる最適な処理条件が得られるように選ばれる。
様々なCVD技法は、以下のフェーズを含む:(1)開始材料から活性な気体の反応体種(「前駆体」としても知られる)を生成する、(2)前駆体を反応チャンバ(「リアクタ」とも称される)に搬送する、(3)前駆体を加熱した物品上で吸収する、(4)気相固相境界において前駆体と物品との間の化学反応に関与し、堆積物および気体の副生成物を形成する、(5)気体の副生成物および未反応の気体の前駆体を反応チャンバから除去する。
好適なCVD前駆体は、室温では安定であり得、低い気化温度を有する場合があり、低温で安定な蒸気を生成し、好適な堆積速度(薄膜コーティングでは遅い堆積速度、厚さのある膜のコーティングでは速い堆積速度)、比較的低い毒性を有し、費用効果が高く、比較的純粋であることができる。熱分解反応(「熱分解」としても知られる)または不均化反応などの一部のCVD反応では、堆積を完了するために、化学前駆体だけで十分な場合がある。
CVDは、高い密度で純粋なコーティングを堆積させるその機能、および適度に速い堆積速度で良好な再現性と密着性を有する一様な膜を作り出すその能力を含め、多くの利点を有する。実施形態においてCVDを用いて堆積された層は、1%を下回る多孔性、0.1%を下回る多孔性を有するか、無孔性(例えば、0%の多孔性)であってもよい。したがって、複雑な形状の部品を一様にコーティングし、共形性の膜を良好な共形性カバレッジで(例えば、実質的に一様な厚さで)堆積させるために使用することが可能である。CVDはまた、例えば、所定の速度で混合チャンバ内に複数の化学前駆体をフィードし、次にその混合物をCVDリアクタシステムに供給することによって、複数の成分から作られる膜を堆積させるために利用することもできる。
本明細書で企図されるCVDプロセスは、本明細書で企図されるALDプロセスに関して上で列挙した前駆体の一部を利用してもよい。
特定の実施形態では、CVDプロセスよりもALDプロセスを使用してコーティング200を堆積させることが好ましい場合がある。
図6は、基板101(図示目的で点線で示される)を支持するエンドエフェクタ100を有する移送ロボット650を含む電子デバイス処理ツール600の例示的な実施形態を図示しており、基板101は、(一体的な、または交換可能な)接触パッド上で支持される。エンドエフェクタ100(その上に堆積された接触パッドを有するまたは有していない)は、本明細書で説明されるようなALD、CVD、PEALD、またはMBEプロセスを使用して、電気散逸性材料でコーティングされてもよい。電子デバイス処理ツール600は、移送チャンバ648に結合された複数の処理チャンバ655(点線で示す)を含んでもよい。移送チャンバ648は、移送チャンバ(TC)ロボット650を収容してもよい。TCロボット650は、第1のアーム651、第2のアーム652、および第3のアーム653(例えば、ロボット手首)を有し得る。エンドエフェクタ100は、取付板654などを介して第3のアーム653に結合される。エンドエフェクタ100は、その上で基板101に接触して支持することができる(例えば、半導体ウエハ、ガラス板など)。
処理ツール600の移送チャンバ648は、1つまたは複数のロードロックチャンバ656を介して、ファクトリインターフェース662に接続されてもよい。ファクトリインターフェース662は、ファクトリインターフェース(FI)ロボット661を収容してもよい。FIロボット661は、本明細書で説明されるような交換可能な接触パッド108を有することが可能であり、本明細書で説明されるようなALDまたはCVDプロセスを使用して電気散逸性材料でコーティングされ得るエンドエフェクタ(図示されていないが、エンドエフェクタ100と実質的に同一)を含んでもよい。
基板キャリア664は、ファクトリインターフェース662の前壁に着脱可能に接続されてもよく、その内部の基板101は、FIロボット661によって基板キャリア664と1つまたは複数のロードロックチャンバ656との間で動かされ得る。
処理ツール100は、コントローラ665に結合されてもよい。コントローラ665は、基板101およびその処理の動きを制御することができる。コントローラ665は、例えば、中央処理装置(CPU)、支持回路、およびメモリを含んでもよい。動作中、TCロボット650は、コントローラ665からのコマンドに支配されて動作し、例えば、基板101を様々な処理チャンバ655とロードロックチャンバ656との間で、または異なる処理チャンバ655同士の間で動かすことができる。
製造プロセスが進行するにつれ、FIロボット661およびTCロボット650は、同時に稼働して、基板101を基板キャリア664と処理チャンバ655との間で動かすことができる。様々な電子デバイス組み立てプロセス、例えば、酸化、薄膜堆積、エッチング、熱処理、脱ガス、冷却などの半導体デバイスの製造プロセスは、処理チャンバ655内で行なわれ得る。
TCチャンバロボット650は、電気散逸性コーティングでコーティングされたエンドエフェクタを有するものとして説明されるが、FIロボット661は、追加的にまたは代替的に、電気散逸性コーティングを有するエンドエフェクタを含んでもよい。
第1の実施形態では、コーティングされたチャンバ部品であって、チャンバ部品と、チャンバ部品の表面に堆積されたコーティングであり、コーティングは、電気散逸性材料を含み、電気散逸性材料はコーティングからグラウンドへの散逸経路を提供し、コーティングは、一様、共形、および無孔性であり、コーティングは、約10nm~約900nmの範囲の厚さを有し、ならびにコーティングは、約1×105Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.の範囲の電気的表面/シート抵抗を有する、コーティングとを含む、コーティングされたチャンバ部品が説明される。
第2の実施形態では、コーティングの電気的表面/シート抵抗は、約300℃~約700℃の範囲の温度で熱サイクルにかけた後、変わらないままである、第1の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第3の実施形態では、コーティングは、約20nm~約900nmの範囲の厚さを有する、第1の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第4の実施形態では、チャンバ部品は、導電性材料、セラミック、ポリマー、または石英を含む、第1の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第5の実施形態では、コーティングは、約500kg/mm2~約1000kg/mm2の範囲のビッカース硬さを有する、第1の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第6の実施形態では、コーティングの電気的表面/シート抵抗は、コーティング全体の電気的表面/シート抵抗の変動が±約35%未満であることにより証明されるように一様である、第1の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第7の実施形態では、電気散逸性材料は、第1の材料を含む層と第2の材料を含む層とが交互になっている積層体を含む、第1の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第8の実施形態では、第1の材料を含む層は、Al、Zr、Y-Zr、Mg-Al、Ca-Al、Siのうちの1つまたは複数を含む金属または金属合金を含む、第7の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第9の実施形態では、第2の材料を含む層は、遷移金属、希土類、主族金属、半導体、またはそれらの合金を含む、第7の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第10の実施形態では、第2の材料を含む層は、Ti、Fe、Co、Cu、Ni、Mn、V、Y、Nb、In、Sn、Fe-Co、La-Taのうちの1つまたは複数を含む、第9の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第11の実施形態では、交互になっている積層体において、各第2の材料を含む層の厚さに対する、各第1の材料を含む層の厚さの比は、約50:1~約1:50の範囲である、第7の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第12の実施形態では、コーティングは、腐食性プラズマに耐性がある、第1の実施形態のコーティングされたチャンバ部品が説明される。
第13の実施形態では、方法であって、原子層堆積(ALD)プロセス、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ原子層堆積(PEALD)プロセス、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、または分子線エピタキシ(MBE)プロセスを使用して、チャンバ部品の表面にコーティングを堆積させることであり、コーティングは電気散逸性材料を含む、チャンバ部品の表面にコーティングを堆積させることを含み、電気散逸性材料は、コーティングからグラウンドへの散逸経路を提供し、コーティングは、一様、共形、および無孔性であり、コーティングは、約10nm~約900nmの範囲の厚さを有し、ならびにコーティングは、約1×105Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.の範囲の電気的表面/シート抵抗を有する、方法が説明される。
第14の実施形態では、ALDプロセスを使用してコーティングを堆積させることは、第1の材料を含む前駆体を、チャンバ部品を含む堆積チャンバ内に注入して、第1の材料を含む前駆体をチャンバ部品の表面に吸着させて第1の半反応を形成することと、第1の反応体を堆積チャンバに注入して第2の半反応を形成することと、コーティングの第1の材料を含む層の第1のターゲット厚さが実現されるまで、第1の材料を含む前駆体を注入すること、および第1の反応体を注入することを1回または複数回繰り返すことと、第2の材料を含む前駆体を、堆積チャンバ内に注入して、第2の材料を含む前駆体を第1の材料を含む層に吸着させて第3の半反応を形成することと、第2の反応体を堆積チャンバに注入して第4の半反応を形成することと、コーティングの第2の材料を含む層の第2のターゲット厚さが実現されるまで、第2の材料を含む前駆体を注入すること、および第2の反応体を注入することを1回または複数回繰り返すことと、約20nm~約500nmの範囲の厚さが実現されるまで、堆積サイクルを1回または複数回繰り返すこととを含む、堆積サイクルを実施することを含む、第13の実施形態の方法が説明される。
第15の実施形態では、第2のターゲット厚さに対する第1のターゲット厚さの比は、約50:1~約1:50の範囲である、第13の実施形態の方法が説明される。
第16の実施形態では、第1のターゲット厚さと第2のターゲット厚さとは、1つの堆積サイクルと別の堆積サイクルとでは、別々に異なっていてもよい、第13の実施形態の方法が説明される。
第17の実施形態では、コーティングは、約1×105Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.の範囲の電気的表面/シート抵抗を有し、コーティングの電気的表面/シート抵抗は、コーティング全体の電気的表面/シート抵抗の変動が±約35%未満であることにより証明されるように一様である、第13の実施形態の方法が説明される。
第18の実施形態では、第1の材料を含む層は、Al、Zr、Y-Zr、Mg-Al、Ca-Al、Siのうちの1つまたは複数を含む金属または金属合金を含み、第2の材料を含む層は、Ti、Fe、Co、Cu、Ni、Mn、V、Y、Nb、In、Sn、Fe-Co、La-Taのうちの1つまたは複数を含む、第13の実施形態の方法が説明される。
第19の実施形態では、電気散逸性材料を含む電気散逸性コーティングであって、コーティングは、一様、共形、および無孔性であり、コーティングは、約20nm~約500nmの範囲の厚さを有し、ならびにコーティングは、約1×105Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.の範囲の電気的表面/シート抵抗を有する、電気散逸性コーティングが説明される。
第20の実施形態では、電気散逸性材料は、第1の材料を含む層と第2の材料を含む層とが交互になっている積層体を含み、第1の材料を含む層は、Al、Zr、Y-Zr、Mg-Al、Ca-Al、Siのうちの1つまたは複数を含む金属または金属合金を含み、第2の材料を含む層は、Ti、Fe、Co、Cu、Ni、Mn、V、Y、Nb、In、Sn、Fe-Co、La-Taのうちの1つまたは複数を含み、コーティングは、約500kg/mm2~約1000kg/mm2の範囲のビッカース硬さを有し、コーティングの電気的表面/シート抵抗は、コーティング全体の電気的表面/シート抵抗の変動が±約35%未満であることにより証明されるように一様である、第19の実施形態の電気散逸性コーティングが説明される。
第21の実施形態では、ロボットアーム用のエンドエフェクタであって、エンドエフェクタ本体と、エンドエフェクタ本体の表面に堆積されたコーティングであり、コーティングは、電気散逸性材料を含み、電気散逸性材料はコーティングからグラウンドへの散逸経路を提供し、コーティングは、一様、共形、かつ無孔性であり、コーティングは、約20nm~約500nmの範囲の厚さを有し、ならびにコーティングは、約1×105Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.の範囲の電気抵抗を有する、コーティングとを含む、ロボットアーム用のエンドエフェクタが説明される。
第22の実施形態では、コーティングの電気抵抗は、約300℃~約700℃の範囲の温度で熱サイクルにかけた後、変わらないままである、第21の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第23の実施形態では、コーティングは、約20nm~約200nmの範囲の厚さを有する、第21の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第24の実施形態では、エンドエフェクタ本体は、導電性材料、セラミック、または石英を含む、第21の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第25の実施形態では、エンドエフェクタ本体は、金属である導電性材料を含む、第24の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第26の実施形態では、エンドエフェクタ本体は、バルクアルミナであるセラミックを含む、第21の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第27の実施形態では、電気散逸性材料は、導電性材料、アルミナ、チタニア、またはその組合せを含む、第26の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第28の実施形態では、電気散逸性材料は、アルミナとチタニアが交互になっている積層体を含む、第27の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第29の実施形態では、アルミナとチタニアが交互になっている積層体において、各チタニア層の厚さに対する、各アルミナ層の厚さの比は、約10:1~約1:1の範囲である、第28の実施形態の方法が説明される。
第30の実施形態では、エンドエフェクタ本体は石英を含み、コーティングは透明である、第24の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第31の実施形態では、コーティングは、腐食性プラズマに耐性がある、第21の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第32の実施形態では、エンドエフェクタ本体に配置される交換可能な接触パッドをさらに含み、交換可能な接触パッドは、基板に接触するように構成された接触表面を有する接触パッドヘッド、および接触パッドヘッドに結合されてエンドエフェクタの本体に形成された開孔内で受けられ、凹み内に延びる軸を含む、第21の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第33の実施形態では、コーティングは、エンドエフェクタ本体の表面および接触パッドヘッドの接触表面に堆積される、第32の実施形態のエンドエフェクタが説明される。
第34の実施形態では、方法であって、原子層堆積(ALD)プロセスまたは化学気相堆積(CVD)プロセスを使用して、ロボットアーム用のエンドエフェクタの表面にコーティングを堆積させることであり、コーティングは電気散逸性材料を含む、ロボットアーム用のエンドエフェクタの表面にコーティングを堆積させることを含み、電気散逸性材料は、コーティングからグラウンドへの散逸経路を提供し、コーティングは、一様、共形、および無孔性であり、コーティングは、約20nm~約500nmの範囲の厚さを有し、ならびにコーティングは、約1×105Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.の範囲の電気抵抗を有する、方法が説明される。
第35の実施形態では、ALDプロセスを使用してコーティングを堆積させることは、第1の材料を含む前駆体を、エンドエフェクタ本体を含む堆積チャンバ内に注入して、第1の材料を含む前駆体をエンドエフェクタ本体の表面に吸着させて第1の半反応を形成することと、第1の反応体を堆積チャンバに注入して第2の半反応を形成することと、コーティングの第1の材料を含む層の第1のターゲット厚さが実現されるまで、第1の材料を含む前駆体を注入すること、および第1の反応体を注入することを1回または複数回繰り返すことと、第2の材料を含む前駆体を、堆積チャンバ内に注入して、第2の材料を含む前駆体を第1の材料を含む層に吸着させて第3の半反応を形成することと、第2の反応体を堆積チャンバに注入して第4の半反応を形成することと、コーティングの第2の材料を含む層の第2のターゲット厚さが実現されるまで、第2の材料を含む前駆体を注入すること、および第2の反応体を注入することを1回または複数回繰り返すことと、約20nm~約500nmの範囲の厚さが実現されるまで、堆積サイクルを1回または複数回繰り返すこととを含む、堆積サイクルを実施することを含む、第34の実施形態の方法が説明される。
第36の実施形態では、コーティングは、アルミナとチタニアが交互になっている積層体を含み、第1の材料を含む前駆体は、トリメチルアルミニウム(TMA)、ジエチルアルミニウムエトキシド、トリス(エチルメチルアミド)アルミニウム、アルミニウムsec-ブトキシド、アルミニウムトリブロミド、アルミニウムトリクロリド、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、またはトリス(ジエチルアミド)アルミニウムのうちの少なくとも1つを含むアルミニウム含有前駆体であり、第2の材料を含む前駆体は、テトラキス(ジメチルアミド)チタンのうちの少なくとも1つを含むチタン含有前駆体であり、第1の反応体および第2の反応体は、水、オゾン、アルコール、および酸素のうちの少なくとも1つを独立的に含む、第35の実施形態の方法が説明される。
第37の実施形態では、アルミナとチタニアが交互になっている積層体において、各チタニア層の厚さに対する、各アルミナ層の厚さの比は、約10:1~約1:1の範囲である、第36の実施形態の方法が説明される。
第38の実施形態では、基板処理システムであって、チャンバと、チャンバに配置されたロボットと、ロボットに接続されたロボットアームであり、ロボットアームは、エンドエフェクタ本体と、エンドエフェクタ本体に配置された交換可能な接触パッドであり、交換可能な接触パッドは、基板に接触するように構成された接触表面を有する接触パッドヘッド、および接触パッドヘッドに結合されてエンドエフェクタの本体に形成された開孔内で受けられ、凹み内に延びる軸を含む、交換可能な接触パッドと、エンドエフェクタ本体の表面および接触パッドヘッドの接触表面に堆積されるコーティングであり、電気散逸性材料を含むコーティングとを含む、ロボットアームとを含み、電気散逸性材料はコーティングからグラウンドへの散逸経路を提供し、コーティングは一様で共形性である、基板処理システムが説明される。
第39の実施形態では、エンドエフェクタ本体は、導電性材料、セラミック、または石英を含み、コーティングは、約1×105Ω/sq.~約1×1011Ω/sq.の範囲の電気抵抗を有し、コーティングは、約20nm~約500nmの範囲の厚さを有し、コーティングは無孔性である、第38の実施形態の基板処理システムが説明される。
第40の実施形態では、エンドエフェクタ本体が、バルクアルミナを含み、電気散逸性材料は、アルミナとチタニアが交互になっている積層体を含む、第38の実施形態の基板処理システムが説明される。
前述の説明では、本発明の徹底した理解を与えるために、特定の材料、寸法、プロセスパラメータなどの数々の具体的な詳細が述べられる。特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、あらゆる好適なやり方で組み合わされてもよい。「例」または「例示的な」という語句は、本明細書では、例、事例、または図示として機能することを意味するために使用される。本明細書で「例」または「例示的な」と説明されるあらゆる態様または設計は、必ずしも他の態様または設計より好ましいまたは有利であると解釈されるものではない。むしろ、「例」または「例示的な」という語句の使用は、単純に具象的な様式で概念を提示するよう意図されている。本開示で使用される場合、用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味するよう意図される。つまり、そうではないと述べられない限り、またはコンテキストから明らかな場合、「Xは、AまたはBを含む」は、自然包括的並べ替えのいずれかを意味するよう意図される。つまり、XがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがAとBの両方を含む場合、前述の事例のいずれかの下で「Xは、AまたはBを含む」が満たされる。本明細書全体を通じての、「(ある)実施形態」、「特定の実施形態」、または「一実施形態」への参照は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。故に、本明細書全体を通じて様々な場所における、言い回し「(ある)実施形態」、「特定の実施形態」、または「一実施形態」の出現は、必ずしもすべてが同一の実施形態を参照していない。
本発明は、その具体的で例示的な実施形態を参照して説明された。したがって、明細書および図面は、制限的な意味合いではなく説明的なものと考えられるべきである。本明細書で示され、説明されるものに加えて、本発明の様々な修正形態が、当業者には明らかなものとなり、添付の特許請求の範囲に含まれるよう意図される。