JP2018048128A - 有機化合物、発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置 - Google Patents

有機化合物、発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】新規な有機化合物を提供する。特に、発光素子の素子特性を向上させることができる新規な有機化合物を提供する。また、発光効率、駆動電圧及び信頼性の良い新規な発光素子を提供する。【解決手段】アミン骨格とベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格と、を有する有機化合物を提供する。また、当該有機化合物を含む発光素子を提供する。【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、新規な有機化合物に関する。または、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を有する芳香族アミン化合物に関する。または、該有機化合物を含む発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本発明の一態様は物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、発光装置、表示装置、照明装置、発光素子、それらの製造方法に関する。また、本発明の一態様は、ベンゾナフトフラン骨格を有する芳香族アミン化合物の新規な合成方法に関する。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様としては、該有機化合物を含む発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置と、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
有機化合物を用いたエレクトロルミネッセンス(EL:Electroluminescence)を利用する発光素子(有機EL素子)の実用化が進んでいる。これら発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光材料を含む有機化合物層(EL層)を挟んだものである。この素子に電圧を印加して、キャリアを注入し、当該キャリアの再結合エネルギーを利用することにより、発光材料からの発光を得ることができる。
このような発光素子は自発光型であるため、ディスプレイの画素として用いると、視認性が高く、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として好適である。また、このような発光素子を用いたディスプレイは、薄型軽量に作製できることも大きな利点である。さらに非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
また、これらの発光素子は発光層を二次元に連続して形成することが可能であるため、面状に発光を得ることができる。これは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色である。また、有機化合物からの発光は材料を選択することにより紫外光を含まない発光とできることから、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
このように発光素子を用いたディスプレイや照明装置はさまざまな電子機器に好適であるため、より良好な効率、素子寿命を有する発光素子を求めて研究開発が進められている。特に、EL層には、主として有機化合物が用いられており、発光素子の素子特性向上に大きな影響を与えることから、様々な新規の有機化合物の開発が行われている。
有機化合物を用いた発光素子の場合、その素子寿命や特性に影響を及ぼす要素には様々なものが挙げられるが、正孔輸送材料の特性が大きく影響を及ぼす場合がある。特に、正孔輸送材料の種類によって、その素子寿命及び特性に大きな違いが生じる。
正孔輸送材料は一般に芳香族化合物に代表される、π共役系が分子全体に広がった化合物が用いられており、特に、芳香族アミン化合物の開発が進められている。芳香族アミン化合物では、芳香族骨格によって正孔輸送材料としての特性が大きく左右される。
様々な芳香族骨格を有する芳香族アミン化合物が報告されているが、これら化合物を用いた発光素子の特性及び信頼性は、向上が見られるものの、効率や耐久性をはじめ、あらゆる特性に対する高度な要求に対応するには未だ不十分と言える(例えば特許文献1)。
国際公開第2009/145016号パンフレット
そこで、本発明の一態様では、新規な有機化合物を提供する。特に新規な正孔輸送性を有する有機化合物を提供する。または、寿命の良好な発光素子を提供する。または、発光効率の良好な発光素子を提供することを課題とする。または、駆動電圧が低い発光素子を提供することを課題とする。
または、本発明の他の一態様では、信頼性の高い発光素子、発光装置及び電子機器を各々提供することを課題とする。または、本発明の他の一態様では、消費電力の小さい発光素子、発光装置及び電子機器を各々提供することを課題とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、置換または無置換の二つのベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を有する、芳香族アミン化合物である。
従って、本発明の一態様は、下記一般式(G0)で表される有機化合物である。
但し、一般式(G0)中、Ar、Ar、及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。また、A及びAはそれぞれ独立に下記一般式(g0)または(g1)で表される基である。
但し、一般式(g0)及び(g1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素−ジイル基を表す。また、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。
上述の一般式(g0)及び(g1)において、R乃至R18がそれぞれ独立に、水素または、置換若しくは無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基であると好ましい。
さらに、上述の一般式(g0)及び(g1)において、R及びR15がそれぞれ独立に、置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基であると好ましい。
また、本発明の別の一態様は、一般式(G0)中、A及びAはそれぞれ独立に下記一般式(g0−a)または(g1−a)で表される有機化合物である。
一般式(g0−a)及び(g1−a)中、Ar及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Rは水素または、置換若しくは無置換のフェニル基を表す。
また本発明の一態様は、下記一般式(G1)で表される有機化合物である。
但し、一般式(G1)中、Ar、Ar、Ar、Ar、及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。また、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。
前述の一般式(G1)において、R乃至R18がそれぞれ独立に、水素または、置換若しくは無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基であると好ましい。
前述の一般式(G1)中、R及びR15がそれぞれ独立に、置換または無置換の炭素6乃至13の芳香族炭化水素基であると好ましい。
また本発明の別の一態様は、下記一般式(G2)で表される有機化合物である。
但し、一般式(G2)中、Ar、Ar、Ar、Ar、及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G3)で表される有機化合物である。
但し、一般式(G3)中、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G4)で表される有機化合物である。
但し、一般式(G4)中、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G5)で表される有機化合物である。
但し、一般式(G5)中、nは0乃至3の整数を表す。
また本発明の別の一態様は、下記構造式(102)、(103)、(106)、(117)で表される有機化合物である。
また、本発明の別の一態様は、上記各構成に記載の有機化合物を含む発光素子である。
なお、上記各構成における発光素子は、陽極と、陰極と、の間にEL層を有する。また、EL層は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、または電子注入層のいずれかを有する。上記各構成において、EL層は、発光層及び正孔輸送層を有し、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有することがより好ましい。なお、EL層は他の機能層を含んでいても良い。
また、上記構成において、発光層が発光材料を含むことが好ましい。
また、本発明の他の一態様は、上記各構成の発光素子と、カラーフィルタまたはトランジスタの少なくとも一方と、を有する表示装置である。また、本発明の他の一態様は、当該表示装置と、筐体またはタッチセンサの少なくとも一方と、を有する電子機器である。また、本発明の他の一態様は、上記各構成の発光素子と、筐体またはタッチセンサの少なくとも一方と、を有する照明装置である。また、本発明の一態様は、発光素子を有する発光装置だけでなく、発光装置を有する電子機器も範疇に含める。従って、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光素子にコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)、TCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも発光装置を含む場合がある。
本発明の一態様では、新規な有機化合物を提供することができる。特に新規な正孔輸送性を有する有機化合物を提供することができる。または、寿命の良好な発光素子を提供することができる。または、発光効率の良好な発光素子を提供することができる。または、駆動電圧が低い発光素子を提供することができる。
または、本発明の他の一態様では、信頼性の高い発光装置、電子機器を各々提供することができる。または、本発明の他の一態様では、消費電力の小さい発光装置、及び電子機器を各々提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
本発明の一態様に係る、発光素子の概略図、及びEL層に係る最高被占軌道(Highest Occupied Molecular Orbital:HOMO)準位と最低空軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital:LUMO)準位の相関を説明する図。 本発明の一態様に係る、発光素子の概略図、及び発光層に係るエネルギー準位の相関を説明する図。 本発明の一態様に係る、発光素子の概略図。 本発明の一態様に係る、アクティブマトリクス型発光装置の概念図。 本発明の一態様に係る、アクティブマトリクス型発光装置の概念図。 本発明の一態様に係る、アクティブマトリクス型発光装置の概念図。 本発明の一態様に係る、表示装置の概略図。 本発明の一態様に係る、表示装置の回路図。 本発明の一態様に係る、表示装置の画素の回路図及び概略図。 本発明の一態様に係る、表示装置の概略図。 本発明の一態様に係る、表示装置の概略図。 本発明の一態様に係る、電子機器を表す図。 本発明の一態様に係る、光源装置を表す図。 本発明の一態様に係る、照明装置を表す図。 本発明の一態様に係る、照明装置を表す図。 本発明の一態様に係る、車載表示装置及び照明装置を表す図。 実施例に係る、化合物のNMRチャートを説明する図。 実施例に係る、化合物のNMRチャートを説明する図。 実施例に係る、化合物の吸収スペクトル、及び発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、化合物の吸収スペクトル、及び発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、化合物のNMRチャートを説明する図。 実施例に係る、化合物の吸収スペクトル、及び発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、化合物の吸収スペクトル、及び発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、発光素子の電流効率−輝度特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の輝度−電圧特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の外部量子効率−輝度特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の電界発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、発光素子の信頼性試験を説明する図。 実施例に係る、化合物のNMRチャートを説明する図。 実施例に係る、化合物の吸収スペクトル、及び発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、化合物の吸収スペクトル、及び発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、発光素子の電流効率−輝度特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の電流密度−電圧特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の外部量子効率−輝度特性を説明する図。 実施例に係る、発光素子の電界発光スペクトルを説明する図。 実施例に係る、発光素子の信頼性試験を説明する図。
以下、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書で説明する各図において、陽極、EL層、中間層、陰極などの大きさや厚さは、個々に説明の明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしも各構成要素はその大きさに限定されず、また各構成要素間での相対的な大きさに限定されない。
また、本明細書等において、第1、第2、第3などとして付される序数詞は、便宜上用いるものであって工程の順番や上下の位置関係などを示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
また、本明細書等で説明する本発明の構成において、同一部分又は同様の機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を有する部分を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
また、本明細書において色とは、色相(単色光の波長に相当)、彩度(あざやかさ即ち白みを帯びていない度合)及び明度(明るさ即ち光の強弱)の三要素によって規定されたものである。また、本明細書において色とは、上述の三要素のうちのいずれか一つの要素のみ、または任意で選んだ2つの要素のみを示してもよい。また、本明細書において、2つの光の色が異なるとは、上述の三要素のうちいずれか少なくとも一つが異なることをいい、さらに、2つの光のスペクトルの形状若しくは各ピークの相対強度比の分布が異なることをも含む。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、例えば本発明の一態様に係る有機化合物について、以下説明する。
本発明の一態様の有機化合物は、下記一般式(G0)で表される。
一般式(G0)中、Ar、Ar、Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。また、A及びAはそれぞれ独立に下記一般式(g0)または(g1)で表される基である。
一般式(g0)及び(g1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素−ジイル基を表す。また、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。
また、本発明の一態様は、一般式(g0)及び(g1)中、R乃至R18がそれぞれ独立に、水素または、置換若しくは無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基である有機化合物である。
また、本発明の一態様は、一般式(g0)及び(g1)中、R及びR15がそれぞれ独立に、置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基である有機化合物である。
また、本発明の一態様は、一般式(G0)中、A及びAがそれぞれ独立に下記一般式(g0−a)または(g1−a)で表される有機化合物である。
一般式(g0−a)及び(g1−a)中、Ar及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Rは水素または置換若しくは無置換のフェニル基を表す。
また、本発明の一態様は、一般式(G1)で表される有機化合物である。該有機化合物は、π共役系の分布が、該有機化合物中の大きな置換基であるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格にまで広がるため、高いキャリア輸送性が得られる。また、このような構造にすることで、該有機化合物は高いT1準位を有することができる。
一般式(G1)中、Ar、Ar、Ar、Ar、及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lは0または1の整数を表す。また、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。
また、本発明の一態様は、一般式(G2)で表される有機化合物である。該有機化合物は、π共役系の分布が、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格にまで広げられるため、該有機化合物は、高いキャリア輸送性が得られる。また、このような構造にすることで、該有機化合物は高いT1準位を有することができる。
一般式(G2)中、Ar、Ar、Ar、Ar、及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lは0または1の整数を表す。
また、本発明の一態様は、一般式(G3)で表される有機化合物である。該有機化合物は、π共役系の分布が、該有機化合物中の大きな置換基であるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格にまで広がるため、高いキャリア輸送性が得られる。また、一般式(G3)で表される有機化合物は、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格の8位にフェニレン基を介してアミノ基が結合しているため、π共役が広がる一方で、高いT1準位を有することが出来る。
一般式(G3)中、Ar、Ar、及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lは0または1の整数を表す。
また、本発明の一態様は、一般式(G4)で表される有機化合物である。該有機化合物は、π共役系の分布が、該有機化合物中の大きな置換基であるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格にまで広がるため、高いキャリア輸送性が得られる。また、一般式(G4)で表される有機化合物は、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格の8位にフェニレン基を介してアミノ基が結合しているため、π共役が広がる一方で、高いT1準位を有することが出来る。
一般式(G4)中、Ar、Ar、Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lは0または1の整数を表す。
また、本発明の一態様は、一般式(G5)で表される有機化合物である。該有機化合物は、π共役系の分布が、該有機化合物中の大きな置換基であるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格にまで広がるめため、高いキャリア輸送性が得られる。一般式(G5)で表される有機化合物は、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格の8位にフェニレン基を介してアミノ基が結合しているため、π共役が広がる一方で、高いT1準位を有することが出来る。
但し、一般式(G5)中、nは0乃至3の整数を表す。
また本発明の一態様は、下記構造式(102)、(103)、(106)、(117)で表される有機化合物である。
<置換基の例>
一般式(G0)乃至(G4)及び一般式(g0)及び(g1)において、Ar、Ar、Ar、Ar、及びArで表される芳香族炭化水素−ジイル基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニル−ジイル基、9H−フルオレン−ジイル基、9,9’−スピロビ[9H−フルオレン]−ジイル基が挙げられる。具体的には、下記構造式(Ar−1)乃至(Ar−18)で表される基を適用することができる。なお、Ar、Ar、Ar、Ar、Arで表される基はこれらに限定されず、置換基を有していても良い。
また、一般式(G0)乃至(G4)及び一般式(g0)及び(g1)において、Arで表される芳香族炭化水素基は、例えば、フェニル基やナフチル基やこれらを組み合わせた置換基をあげることができる。具体的には下記構造式(Ar−19)乃至(Ar−31)で表される基を適用することができる。なお、Arで表される基はこれらに限定されず、置換基を有していても良い。
また、一般式(G0)、(g0)、(g1)において、R乃至R18で表される水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基としては、例えば、下記構造式(R−1)乃至(R−57)で表される基が挙げられる。なお、R乃至R18で表される基はこれらに限定されない。
Ar乃至Ar及びR乃至R18が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば下記構造式(R−1)乃至(R−57)表される基が挙げられるが、これらに限定されない。
<化合物の具体例>
一般式(G0)乃至(G4)として表される化合物の具体的な構造としては、下記構造式(101)乃至(152)で表される化合物等を挙げることができる。なお、一般式(G0)乃至(G4)として表される化合物は、下記例示に限られない。
本発明の一態様に係る有機化合物は、π共役系の分布が該有機化合物中の大きな置換基であるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格にまで広がるため、キャリア輸送性に優れた性能となる。そのため、該有機化合物を用いた発光素子は低い電圧で駆動することができる。また、該有機化合物は広いバンドギャップを有することから、該有機化合物を発光素子に用いることで、発光効率が良好な発光素子を提供することができる。
有機化合物を用いた発光素子の場合、その素子寿命に影響を及ぼす要素には様々なものが挙げられるが、特に、正孔輸送材料の特性が大きく影響を及ぼす場合がある。特に、正孔輸送材料の輸送性の影響は大きく、正孔輸送材料の種類によって、その素子寿命に大きな違いが生じる。
正孔輸送材料は一般に芳香族化合物に代表される、π共役系が分子の広い範囲に広がった化合物が用いられる。特に、芳香族アミン化合物が用いられる。一般に芳香族アミン化合物は、π共役系を有し、分子中に電荷が負に偏った部分が存在するため、正孔輸送性が良好であり、正孔輸送材料として好適に用いることができる。近年では様々な芳香族アミン化合物が提案されている。
ここで芳香族アミン化合物の酸化還元特性やπ共役系の分布、電荷密度等は、芳香族骨格の性質と、芳香族骨格とアミン骨格との結合位置によって様々に変化する。そのため、芳香族骨格、結合位置の選択は正孔輸送材料開発において非常に重要である。
ここで、本発明者らは、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を2つ有する芳香族アミン化合物の正孔輸送性が良好であり、該有機化合物を正孔輸送層に用いた発光素子の寿命が向上することを見出した。
ベンゾナフトフラン骨格は、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格であると、ベンゾナフトフランの合成、精製がより簡便で安価に実現できるため好ましい。
特に、一分子中に8位または6位でアリーレン基と結合したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を2つ有し、該ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格それぞれが、該アリーレン基を介してアミン骨格と結合している構造を有する有機化合物が好ましい。より好ましくは、一分子中に8位でアリーレン基と結合したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を2つ有し、該ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格それぞれが、該アリーレン基を介してアミン骨格と結合している構造を有する有機化合物である。
このような構造にすることで、π共役系の分布が大きな置換基であるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格にまで広がるため、該有機化合物はキャリア輸送性に優れた性能となり、該有機化合物を用いた発光素子は低い電圧で駆動することができる。
また、一般に、トリフェニルアミン骨格を有する有機化合物のHOMO準位は−5.3eV程度であるが、一分子中に8位でアリーレン基と結合したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を2つ有し、該ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格それぞれが、該アリーレン基を介してアミン骨格と結合している構造をとる有機化合物のHOMO準位は−5.5eV程度を有する。これは、このような構造を取ることで、通常のトリフェニルアミン骨格を有する有機化合物の場合と比較し、HOMO軌道の分布が広いためである。
上述のように、一分子中に8位でアリーレン基と結合したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を2つ有し、該ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格それぞれが、該アリーレン基を介してアミン骨格と結合している構造をとる有機化合物のHOMO準位は、通常のトリフェニルアミン骨格を有する有機化合物より低いHOMO準位を有するため、本発明の一態様に係る有機化合物を発光素子の正孔輸送層に用いると、発光層と正孔輸送層間の正孔注入障壁を低減でき、該発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
また、アリーレン基と8位でベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格が結合した構造を取ることで、本発明の一態様に係る有機化合物は高いT1準位を有することができるため、好ましい。
また、窒素原子とベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格とをつなぐアリーレン基がフェニレン基である場合、窒素原子とベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格とはフェニレン基に対して、パラ位で結合を有する構造が好ましい。このような構造にすることで、π共役系の分布が大きな置換基であるベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格にまで広がるため、本発明の一態様に係る有機化合物はキャリア輸送性に優れた性能となる。
上述のように、本発明の一態様に係る有機化合物は芳香族アミン化合物であることから、正孔輸送性が良好である。また、広いバンドギャップを有することから、発光素子に用いることで、発光効率が良好な発光素子を提供することができる。該有機化合物を正孔輸送層に用いた発光素子は、EL層中における正孔と電子の再結合割合(キャリアバランス)が良好であり、加えて、発光層からの励起子拡散を抑制できるため、発光効率及び素子寿命の良好な発光素子を提供することができる。
したがって、本発明の一態様に係る有機化合物は、発光素子の正孔輸送層に用いるのに好適な材料である。また、該有機化合物は発光層中のホスト材料としても用いることができる。
ところで、発光素子に用いる有機化合物に求められる重要な性質の一つとして、耐熱性が挙げられる。材料のガラス転移点(Tg)を指標と考えると、Tgが高い程、耐熱性が良好であると言える。Tgは概ね、分子量が大きい程、高くなる傾向がある。従って、材料の耐熱性を高めるためには、分子量を大きくする必要がある。
有機化合物の分子量を大きくする方法として、フェニル基やナフチル基等の芳香族炭化水素基を導入することや、芳香族の縮環の数を増やすことが挙げられるが、このような方法では有機化合物のT1準位の低下や、置換基の結合位置によってはキャリア輸送性が低下する等の問題が生じる場合がある。
しかし、本発明の一態様に係る有機化合物は、分子中に縮環構造を有する分子量が大きなベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格や、複数の芳香族炭化水素基を有しているが、良好なキャリア輸送性及び、高いT1準位を有している。
このような特性を得るためには、一分子中に8位または6位でアリーレン基と結合したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を2つ有し、該ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格それぞれが、該アリーレン基を介してアミン骨格と結合している構造が好ましい。より好ましくは、一分子中に8位でアリーレン基と結合したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を2つ有し、該ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格それぞれが、該アリーレン基を介してアミン骨格と結合している構造である。
なお、8位でアリーレン基と結合したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格が置換基を有する場合、その結合位置は6位であることが好ましい。ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格の6位に置換基を有することで、キャリア輸送性やT1準位を低下させることなく、分子量を増大させることができる。
ここで、一般に有機化合物において、分子量が大きくなるとガラス転移点(Tg)が大きくなる傾向にあるが、耐熱性の向上に伴い精製工程で行う昇華精製又は蒸留においては、昇華温度又は沸点もあわせて高くなる傾向にある。単に分子量を大きくしても昇華温度や沸点も上昇するため、蒸着などの成膜工程や、昇華精製、蒸留等の精製工程においてより高い温度が必要となり、分解を伴う可能性が懸念される。
つまり、有機化合物の熱物性を高めるために単純に分子量を大きくすると、精製工程や成膜工程において分解を生じる可能性が高まり、高純度化した有機化合物を素子に用いることが容易ではない場合がある。
ところが、本発明の一態様に係る有機化合物は、一分子中に8位または6位でアリーレン基と結合したベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を2つ有し、該ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格それぞれが、該アリーレン基を介してアミン骨格と結合している構造とすることで、分子量が大きいにも拘わらず、分解温度が高く、精製工程や蒸着工程において分解しにくく、純度が高いままの材料を素子に用いることができる。すなわち、耐熱性が高く、且つ特性のよい素子を提供することが出来る。
なお、本実施の形態における有機化合物は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷法等の方法を用いて成膜することができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である一般式(G0)で表される有機化合物の合成方法について説明する。
一般式(G0)中、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは、置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。また、A及びAは、それぞれ独立に下記一般式(g0)または(g1)で表される基である。
一般式(g0)及び(g1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素−ジイル基を表す。また、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。該有機化合物は、合成の簡便さ、合成コストの観点から有用である。
本発明の一態様である一般式(G0)で表される有機化合物は、A及びAが同一の構造である場合、下記合成スキーム(a−1)のように合成することができる。すなわち、芳香族アミン化合物(化合物1)とベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラニル基を有する化合物(化合物2)と、をカップリングすることにより、目的物(G0−a)が得られる。以下に、合成スキーム(a−1)を示す。
合成スキーム(a−1)中、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素、トリフラート基を表す。また、Aは下記一般式(g0)または(g1)で表される基である。
一般式(g0)及び(g1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素−ジイル基を表す。また、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。
合成スキーム(a−1)において、パラジウム触媒を用いたブッフバルト・ハートウィッグ反応を行うことが出来、該反応を行う場合、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、アリルパラジウム(II)クロリド(ダイマー)等のパラジウム化合物と、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ(n−ヘキシル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、トリ(オルトートリル)ホスフィン、(S)−(6,6’−ジメトキシビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(ジイソプロピルホスフィン)(略称:cBRIDP(登録商標))等の配位子を用いる事ができる。当該反応では、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等を用いることができる。当該反応では、溶媒として、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を用いることができる。当該反応で用いることができる試薬類は、前記試薬類に限られるものではない。
また、合成スキーム(a−1)において、ウルマン反応を行う場合、用いることができる試薬は、銅もしくは銅化合物、塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。当該反応において、用いることができる溶媒は、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高温が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いることとする。当該反応において、用いることができる試薬類は、前記試薬類に限られるものではない。
本発明の一態様である一般式(G0)で表される有機化合物のA及びAの構造が異なる場合、下記合成スキーム(b−1)及び(b−2)で表されるとおり、A又はA骨格を有する化合物(化合物2又は化合物4)を2段階に分けて反応させることにより合成することが出来る。2段階で反応させることにより、A及びAの構造が異なる化合物を得ることが出来る。
前記合成スキーム(b−1)及び(b−2)中、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表し、X及びXはそれぞれ独立に塩素、臭素、ヨウ素、トリフラート基を表す。また、A及びAは下記一般式(g0)または(g1)で表される基である。
一般式(g0)及び(g1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素−ジイル基を表す。また、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。
前記合成スキーム(b−1)及び(b−2)において、ブッフバルト・ハートウィッグ反応やウルマン反応を行うことができ、それぞれの反応において用いることが出来る試薬は、合成スキーム(a−1)と同様である。
本発明の一態様である一般式(G0)で表される有機化合物の、異なる合成法を説明する。先にアミノ化反応を行う合成法について説明したが、次に原料にトリアリールアミン化合物を用いた合成方法について説明する。トリアリール化合物(化合物5)と化合物5に対して2当量のベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン化合物(化合物6)をカップリングする事で、目的の化合物(G0−b)を得ることが出来る。
前記合成スキーム(c−1)中、Ar、Ar、及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表し、X乃至Xはハロゲン基、ボロン酸基、有機ホウ素基、又はトリフラート基を表す。また、aは下記一般式(g0−1)または(g1−1)で表される基である。
一般式(g0−1)及び(g1−1)中、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。
合成スキーム(c−1)において、パラジウム触媒を用いた鈴木・宮浦カップリング反応を行う場合、X乃至Xはハロゲン基、ボロン酸基、有機ホウ素基、又はトリフラート基を表し、ハロゲンとしては、ヨウ素、臭素又は塩素が好ましい。当該反応では、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム化合物と、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ(n−ヘキシル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジ(1−アダマンチル)−n−ブチルホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、トリ(オルトートリル)ホスフィン等の配位子を用いる事ができる。当該反応では、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基等を用いることができる。当該反応では、溶媒として、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、メタノール、水等を用いることができる。当該反応で用いることができる試薬類は、前記試薬類に限られるものではない。
合成スキーム(c−1)において行う反応は、鈴木・宮浦カップリング反応に限られるものではなく、有機錫化合物を用いた右田・小杉・スティルカップリング反応、グリニヤール試薬を用いた熊田・玉尾・コリューカップリング反応、有機亜鉛化合物を用いた根岸カップリング反応、銅又は銅化合物を用いた反応等を用いることが出来る。右田・小杉・スティルカップリング反応を用いる場合、X及びXとXはそれぞれどちらか一方が有機錫基を表し、もう一方が、ハロゲン基を表す。すなわち、化合物5及び化合物6のうちどちらか一方が有機錫化合物であり、もう一方の化合物がハロゲン化物である。熊田・玉尾・コリューカップリング反応を用いる場合、X及びXとXはどちらか一方がハロゲン化マグネシウム基を表し、もう一方が、ハロゲン基を表す。すなわち、化合物5及び化合物6のうちどちらか一方がグリニヤール試薬であり、もう一方がハロゲン化物である。根岸カップリング反応を用いる場合、X及びXとXはどちらか一方が有機亜鉛基を表し、もう一方が、ハロゲン基を表す。すなわち、化合物5及び化合物6のうちどちらか一方が有機亜鉛化合物であり、もう一方がハロゲン化物である。
本発明の一態様である一般式(G0)で表される有機化合物のA及びAの構造が異なる場合、下記合成スキーム(d−1)及び(d−2)で表されるとおり、a又はaを有する化合物(化合物6又は化合物8)を2段階に分けて反応させることにより合成することが出来る。2段階で反応させることにより、A及びAの構造が異なる化合物を得ることが出来る。
前記合成スキーム(d−1)及び(d−2)中、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表し、X乃至Xはハロゲン基、ボロン酸基、有機ホウ素基、又はトリフラート基を表す。また、a及びaは下記一般式(g0−1)または(g1−1)で表される基である。
一般式(g0−1)及び(g1−1)中、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。
合成スキーム(d−1)及び(d−2)においては、前記合成スキーム(c−1)と同様に鈴木・宮浦カップリング反応や、右田・小杉・スティルカップリング反応、グリニヤール試薬を用いた熊田・玉尾・コリューカップリング反応、有機亜鉛化合物を用いた根岸カップリング反応、銅又は銅化合物を用いた反応等を用いることが出来る。右田・小杉・スティルカップリング反応を用いる場合、X及びX並びにX及びXはどちらか一方が有機錫基を表し、もう一方が、ハロゲン基を表す。すなわち、化合物5及び化合物6のうちどちらか一方が有機錫化合物であり、もう一方の化合物がハロゲン化物である。また、化合物7及び化合物8のうちどちらか一方が有機錫化合物であり、もう一方の化合物がハロゲン化物である。熊田・玉尾・コリューカップリング反応を用いる場合、X及びXとX及びXはどちらか一方がハロゲン化マグネシウム基を表し、もう一方が、ハロゲン基を表す。すなわち、化合物5及び化合物6のうちどちらか一方がグリニヤール試薬であり、もう一方がハロゲン化物である。また、化合物7及び化合物8のうちどちらか一方がグリニヤール試薬であり、もう一方がハロゲン化物である。根岸カップリング反応を用いる場合、X及びXとX及びXはどちらか一方が有機亜鉛基を表し、もう一方が、ハロゲン基を表す。すなわち、化合物5及び化合物6のうちどちらか一方が有機亜鉛化合物であり、もう一方がハロゲン化物である。また、化合物7及び化合物8のうちどちらか一方が有機亜鉛化合物であり、もう一方がハロゲン化物である。
また、本発明の一態様である一般式(G0)で表される有機化合物の合成において、合成方法は合成スキーム(a−1)乃至(d−2)に限られない。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機化合物を有する発光素子の構成例を、図1、図2を用いて以下に説明する。
図1(A)は本発明の一態様である発光素子100の断面図である。発光素子100は少なくとも、一対の電極(電極101と、電極102)を有し、該電極間にEL層103を有する。
また、EL層103は少なくとも発光層113及び正孔輸送層112を有する。さらに正孔注入層111、電子輸送層114、電子注入層115等の機能層を有する。
なお、本実施の形態では電極101を陽極、電極102を陰極として説明するが、発光素子の構成はこれに限定されない。すなわち、電極101を陰極、電極102を陽極とする構成であっても良い。その場合、積層順が逆となる。つまり、陽極側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層という順序で積層すれば良い。
また、EL層103の構成はこれに限定されず、電子または正孔の輸送性を向上または阻害する、励起子の拡散を抑制する、ことができる等の機能層を有していても良い。これら機能層はそれぞれ単層であっても、複数の層の積層構造であっても良い。
発光素子100はEL層103のいずれかの層に本発明の一態様に係る有機化合物が含まれていればよい。なお、該有機化合物が含まれる層として好ましくは発光層113であり、より好ましくは正孔輸送層112である。
本発明の一態様に係る有機化合物が発光層113に含まれている場合は、該有機化合物は良好な正孔輸送性及び広いバンドギャップを有することから、ホスト材料として用いることができる。
本発明の一態様に係る有機化合物が正孔輸送層112に含まれている場合は、該有機化合物は良好な正孔輸送性及び広いバンドギャップを有することから、発光効率及び素子寿命の良好な発光素子を提供することができる。特に、正孔輸送層112と電極101との間に正孔注入層111が設けられ、当該正孔注入層111に、電極からの正孔注入を容易とするアクセプタ性の有機化合物が用いられる場合に好適である。
<発光素子の構成例1>
アクセプタ性を有する有機化合物を用いて正孔注入を行う場合、正孔注入層111に接する正孔輸送層112に含まれる化合物は、該アクセプタ性を有する有機化合物による電子の引き抜きを容易とするため、HOMO準位の比較的高い正孔輸送材料であることが好ましい。しかし、HOMO準位の高い正孔輸送材料は、発光層113への正孔の注入が困難となってしまう。このようなHOMO準位の高い正孔輸送材料からなる正孔輸送層112と発光層113とを接して形成すると、その界面にキャリアの蓄積が起こり、発光素子の寿命や効率を低下させる原因となりうる。そこで、本発明の一態様の有機化合物を含む層を、HOMO準位の高い正孔輸送材料と発光層113との間に設けることで、発光層へのスムーズな正孔の注入を行うことが可能となり、発光素子の寿命や効率の向上が可能である。
この場合の発光素子の構成を図1(B)、図1(C)、図1(D)を用いて説明する。ここでは、正孔注入材料131にアクセプタ性を有する有機化合物を用い、正孔注入材料131のLUMO準位が第1の正孔輸送材料132のHOMO準位よりも低い場合について説明する。このときの各材料のHOMO準位及びLUMO準位の相関を表す模式図を図1(D)に示す。また、図1(C)及び図1(D)における表記及び符号は、以下の通りである。
・HIM(131):正孔注入材料131
・HTM(132):第1の正孔輸送材料132
・HTM(133):第2の正孔輸送材料133
・HTM(134):第3の正孔輸送材料134
・Host(135):ホスト材料135
・ゲスト材料136
図1(B)に示すように、正孔輸送層112を複数の層の積層構造としても良い。具体的には、正孔輸送層112は正孔注入層111側から第1の正孔輸送層112−aと、第2の正孔輸送層112−bとを有し、第1の正孔輸送層112−aには、第1の正孔輸送材料132が含まれ、第2の正孔輸送層112−bには第2の正孔輸送材料133が含まれる構成としても良い。上記本発明の一態様の有機化合物を第2の正孔輸送材料133として用いても良い。このような構成の場合、第2の正孔輸送材料133のHOMO準位が第1の正孔輸送材料132のHOMO準位よりも低い発光素子とすることで、寿命や効率の良好な発光素子とすることができる。なお、第1の正孔輸送材料132のHOMO準位は、−5.4eV以上であると、正孔注入材料131からの電子の引き抜きが容易であるため好ましい(図1(D)参照)。
また、図1(D)に示すように、第1の正孔輸送材料132のHOMO準位と、第2の正孔輸送材料133のHOMO準位との差が、0.3eV以下、より好ましくは0.2eV以下であることが、第1の正孔輸送層112−aから第2の正孔輸送層112−bへの正孔の注入が容易となるため、好ましい。本発明の一態様に係る有機化合物は−5.5eV程度のHOMO準位を有するため、第2の正孔輸送材料133として好適に用いることができる。
また、正孔輸送層112が、第2の正孔輸送層112−bと発光層113との間にさらに第3の正孔輸送層112−cを有しており、当該第3の正孔輸送層112−cには第3の正孔輸送材料134が含まれていても良い(図1(B)、図1(C)参照)。この場合、図1(D)に示すように、当該第3の正孔輸送材料134は、そのHOMO準位が、第2の正孔輸送層112−bに含まれる本発明の一態様の正孔輸送材料のHOMO準位よりも低いことが好ましく、その差が0.3eV以下、より好ましくは0.2eV以下であることが好ましい。本発明の一態様に係る有機化合物は−5.5eV程度のHOMO準位を有するため、第3の正孔輸送材料134として好適に用いることができる。
また、第3の正孔輸送材料134のHOMO準位とホスト材料135のHOMO準位は同じか、または第3の正孔輸送材料134の方が低い位置にある方が、正孔が適度に発光層内に輸送されるため寿命や効率が良好となり、より好ましい構成であると言える。
なお、図1(D)では、正孔注入材料131のLUMO準位がホスト材料135のHOMO準位よりも低い準位で表しているが、両者の準位の関係に限定はない。すなわち、正孔注入材料131のLUMO準位がホスト材料135のHOMO準位よりも高い準位であっても、また、同等であっても良い。また、第1の正孔輸送材料132のHOMO準位よりもホスト材料135のHOMO準位が高い、第2の正孔輸送材料133のHOMO準位よりもホスト材料135のHOMO準位が高い、また、第3の正孔輸送材料134のHOMO準位よりもホスト材料135のHOMO準位が高い構成であっても良い。また、第1の正孔輸送材料132のHOMO準位が第2の正孔輸送材料133のHOMO準位よりも低い構成であっても構わない。また、第2の正孔輸送材料133のHOMO準位が第3の正孔輸送材料134のHOMO準位よりも低い構成であっても構わない。また、第1の正孔輸送材料132のHOMO準位が第3の正孔輸送材料134のHOMO準位よりも低い構成であっても構わない。
なお、ゲスト材料136のHOMO準位がホスト材料135のHOMO準位よりも高い位置にある場合、正孔輸送層のHOMO準位の位置によってはゲスト材料136への正孔の注入割合が多くなり、さらに、正孔がゲスト材料136にトラップされることから発光領域の偏りによる寿命の低下が引き起こされる場合がある。そのような場合に、本発明の発光素子の構成の適用は好適である。このような構成になりやすいものとして、青色蛍光素子を例に挙げることができる。良好な青色蛍光を発する芳香族ジアミン化合物、特にピレンジアミン化合物などで本発明の構成は特に好ましく適用することができ、寿命、効率、色度共に良好な発光素子を得ることができる。
なお、電子輸送層114は図1(A)では1層で表しているが、これに限定されず、複数の層の積層構造であっても良い。また、複数の材料からなる混合膜であっても良い。具体的には、図1(B)に示すように、発光層113側から第1の電子輸送層114−bと、第2の電子輸送層114−aと、を有しても良い。このような構成にすることで、電子注入層115からの電子輸送層114−aへの電子注入性と電子輸送層114−b及び電子輸送層114−aの電子輸送性を調整することができるため、好ましい構成と言える。
<発光素子の構成例2>
次に、上記青色蛍光素子の構成例について図2(A)、図2(B)、図2(C)を用いて説明する。
図2(A)に示す発光素子120は、少なくとも正孔輸送層112に本発明の一態様である有機化合物を用いた素子である。図2(B)は発光層113における材料の構成例を示しており、図2(C)は発光層113における各材料のエネルギー準位の相関を表す模式図である。
ここでは、ホスト材料121のT1準位がゲスト材料122のT1準位よりも低い場合について説明する。図2(C)における表記及び符号は、以下の通りである。なお、ホスト材料121のT1準位がゲスト材料122のT1準位よりも高くても構わない。
・Host(121):ホスト材料121
・Guest(122):ゲスト材料122(蛍光材料)
・SFH:ホスト材料121のS1準位
・TFH:ホスト材料121のT1準位
・SFG:ゲスト材料122(蛍光材料)のS1準位
・TFG:ゲスト材料122(蛍光材料)のT1準位
ホスト材料121は、三重項励起エネルギーを三重項−三重項消滅(TTA:triplet−triplet annihilation)によって一重項励起エネルギーに変換する機能を有すると好ましい。そうすることで、本来蛍光発光に寄与しない発光層113で生成した三重項励起エネルギーの一部を、ホスト材料121における一重項励起エネルギーに変換し、ゲスト材料122に移動することで(図2(C)ルートE参照)、蛍光発光として取り出すことが可能となる。そのため、蛍光素子の発光効率を向上させることができる。なお、TTAによる蛍光発光は、寿命の長い三重項励起状態を経ての発光であるため、遅延蛍光が観測される。
発光層113において、効率良くゲスト材料122へ一重項励起エネルギーを移動させるためには、図2(C)に示すように、ホスト材料121の一重項励起エネルギーの最も低い準位(S1準位)は、ゲスト材料122のS1準位より高いことが好ましい。また、ホスト材料121の三重項励起エネルギーの最も低い準位(T1準位)は、ゲスト材料122のT1準位より低いことが好ましい(図2(C)ルートE参照)。このような構成にすることによって、発光層113において、効率良くTTAを生じさせることができる。
さらにホスト材料121のT1準位は発光層113と接する正孔輸送層112(図2(A)においては正孔輸送層112−c)に使用される材料のT1準位より低いことが好ましい。すなわち、正孔輸送層112が励起子拡散を抑制する機能を有することが好ましい。このような構成にすることで、発光層113で生成した三重項励起子の正孔輸送層112への拡散を抑制することができるため、発光効率が良い素子を提供することができる。
本発明の一態様である有機化合物は高いT1準位と良好な正孔輸送性を有するため、上記TTAを利用した発光素子中の正孔輸送材料として好適に使用することができる。なお、本発明の一態様である有機化合物はホスト材料121としても使用することができる。
なお、最低励起一重項エネルギー準位は、有機化合物が一重項基底状態から最低励起一重項状態へ遷移する際の吸収スペクトルから観測することができる。もしくは、有機化合物の蛍光発光スペクトルのピーク波長から最低励起一重項エネルギー準位を推定しても良い。また、最低励起三重項エネルギー準位は、有機化合物が一重項基底状態から最低励起三重項状態へ遷移する際の吸収スペクトルから観測することができるが、該遷移が禁制であることから、観測することが困難な場合がある。その場合には、有機化合物の燐光発光スペクトルのピーク波長より、最低励起三重項エネルギー準位を推定しても良い。
<材料>
次に、本発明の一態様に係わる発光素子の構成要素の詳細について、以下説明を行う。
≪発光層≫
発光層113中では、ホスト材料121が少なくともゲスト材料122より重量比で多く存在し、ゲスト材料122(蛍光材料)は、ホスト材料121中に分散される。なお、発光層113において、ホスト材料121は、一種の化合物から構成されていても良く、複数の化合物から構成されていても良い。
また、発光層113において、ゲスト材料122としては、特に限定はないが、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、スチルベン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン誘導体などが好ましく、例えば以下の材料を用いることができる。
具体的には、5,6−ビス[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6−ビス[4’−(10−フェニル−9−アントリル)ビフェニル−4−イル]−2,2’−ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−N,N’−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6tBu−FLPAPrn)、N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−3,8−ジシクロヘキシルピレン−1,6−ジアミン(略称:ch−1,6FLPAPrn)、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPPA)、N−[4−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、クマリン30、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン6、クマリン545T、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、2,8−ジ−tert−ブチル−5,11−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−6,12−ジフェニルテトラセン(略称:TBRb)、ナイルレッド、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、5,10,15,20−テトラフェニルビスベンゾ[5,6]インデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン、などが挙げられる。
なお、発光層113において、ホスト材料121及びゲスト材料122以外の材料を有していても良い。
なお、発光層113に用いることが可能な材料としては、特に限定はないが、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)などの複素環化合物、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物が挙げられる。また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N,9−ジフェニル−N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’−オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン−2,7,10,15−テトラアミン(略称:DBC1)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5−トリ(1−ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)などを挙げることができる。また、これら及び公知の物質の中から、上記ゲスト材料122のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。
なお、発光層113は2層以上の複数層でもって構成することもできる。例えば、第1の発光層と第2の発光層を正孔輸送層側から順に積層して発光層113とする場合、第1の発光層のホスト材料として正孔輸送性を有する物質を用い、第2の発光層のホスト材料として電子輸送性を有する物質を用いる構成などがある。
次に、図1(A)、図2(A)に示す発光素子100、発光素子120のその他の構成の詳細について、以下説明する。
≪正孔注入層≫
正孔注入層111は、一対の電極の一方(電極101または電極102)からの正孔注入障壁を低減することで正孔注入を促進する機能を有し、例えば遷移金属酸化物、フタロシアニン誘導体、あるいは芳香族アミンなどによって形成される。遷移金属酸化物としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物などが挙げられる。フタロシアニン誘導体としては、フタロシアニンや金属フタロシアニンなどが挙げられる。芳香族アミンとしてはベンジジン誘導体やフェニレンジアミン誘導体などが挙げられる。ポリチオフェンやポリアニリンなどの高分子化合物を用いることもでき、例えば自己ドープされたポリチオフェンであるポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)などがその代表例である。
正孔注入層111として、正孔輸送材料と、これに対して電子受容性を示す材料の複合材料を有する層を用いることもできる。あるいは、電子受容性を示す材料を含む層と正孔輸送材料を含む層の積層を用いても良い。これらの材料間では定常状態、あるいは電界存在下において電荷の授受が可能である。電子受容性を示す材料としては、キノジメタン誘導体やクロラニル誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体などの有機アクセプターを挙げることができる。具体的には、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT−CN)等の電子吸引基(ハロゲン基やシアノ基)を有する化合物である。また、遷移金属酸化物、例えば第4族から第8族金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどである。中でも酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
正孔輸送材料としては、電子よりも正孔の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する材料であることが好ましい。具体的には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、スチルベン誘導体などを用いることができる。また、該正孔輸送材料は高分子化合物であっても良い。
これら正孔輸送性の高い材料として、例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
また、カルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
また、カルバゾール誘導体としては、他に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
また、芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14乃至炭素数42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
なお、芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
さらに、正孔輸送性の高い材料としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’−TNATA)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−N−{9,9−ジメチル−2−[N’−フェニル−N’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)アミノ]−9H−フルオレン−7−イル}フェニルアミン(略称:DFLADFL)、N−(9,9−ジメチル−2−ジフェニルアミノ−9H−フルオレン−7−イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPASF)、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、4−フェニルジフェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン(略称:PCA1BP)、N,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニルベンゼン−1,3−ジアミン(略称:PCA2B)、N,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)ベンゼン−1,3,5−トリアミン(略称:PCA3B)、N−(4−ビフェニル)−N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9−フェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCBiF)、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(略称:PCBBiF)、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]フルオレン−2−アミン(略称:PCBAF)、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン(略称:PCBASF)、2−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:PCASF)、2,7−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−スピロ−9,9’−ビフルオレン(略称:DPA2SF)、N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−(4−フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミン(略称:YGA2F)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。また、3−[4−(1−ナフチル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPN)、3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PCPPn)、3,3’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCCP)、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,6−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:PhCzGI)、2,8−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)−ジベンゾチオフェン(略称:Cz2DBT)、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P−II)、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン(略称:DBT3P−II)、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)、4−[3−(トリフェニレン−2−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:mDBTPTp−II)等のアミン化合物、カルバゾール化合物、チオフェン化合物、フラン化合物、フルオレン化合物、トリフェニレン化合物、フェナントレン化合物等を用いることができる。上述した化合物の中でも、ピロール骨格、フラン骨格、チオフェン骨格、芳香族アミン骨格の少なくとも一を有する化合物は、安定で信頼性が良好であり好ましい。また、当該骨格を有する化合物は、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
≪正孔輸送層≫
正孔輸送層112は正孔輸送材料を含む層であり、正孔注入層111の材料として例示した正孔輸送材料を使用することができる。正孔輸送層112は正孔注入層111に注入された正孔を発光層113へ輸送する機能を有するため、正孔注入層111のHOMO準位と同じ、あるいは近いHOMO準位を有することが好ましい。
また、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、本発明の一態様である有機化合物も好適に用いることができる。
≪電子輸送層≫
電子輸送層114は、電子注入層115を経て一対の電極の他方(電極101または電極102)から注入された電子を発光層113へ輸送する機能を有する。電子輸送性材料としては、正孔よりも電子の輸送性の高い材料を用いることができ、1×10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する材料であることが好ましい。電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香族や金属錯体などを用いることができる。具体的には、キノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体などが挙げられる。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層114は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
具体的には、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などのオキサゾール系、またはチアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CO11)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、9−[4−(4,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzTAZ1)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、2,9−ビス(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:NBPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq−II)、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq−II)、2−[3’−(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2−[4−(3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq−III)、7−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq−II)、及び、6−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq−II)、2−[3−(3,9’−ビ−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzCzPDBq)、4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6−ビス[3−(4−ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm−II)、4,6−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)などのジアジン骨格を有する複素環化合物や、2−{4−[3−(N−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール−9−イル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(略称:PCCzPTzn)などのトリアジン骨格を有する複素環化合物や、3,5−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5−トリ[3−(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)などのピリジン骨格を有する複素環化合物、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。上述した複素環化合物の中でも、トリアジン骨格、ジアジン(ピリミジン、ピラジン、ピリダジン)骨格、及びピリジン骨格の少なくとも一を有する複素環化合物は、安定で信頼性が良好であり好ましい。また、当該骨格を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。また、ポリ(2,5−ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に1×10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。
なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層114は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
また、電子輸送層114と発光層113との間にキャリアの移動を制御する層を設けても良い。これは上述したような電子輸送性の高い材料に、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層であって、キャリアの移動を抑制することによって、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
また、n型の化合物半導体を用いても良く、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化錫、酸化タングステン、酸化タンタル、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、ケイ酸ジルコニウムのような酸化物、窒化ケイ素のような窒化物、硫化カドミウム、セレン化亜鉛及び硫化亜鉛等も用いることができる。
≪電子注入層≫
電子注入層115は電極102からの電子注入障壁を低減することで電子注入を促進する機能を有し、例えば第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩などを用いることができる。また、先に示す電子輸送性材料と、これに対して電子供与性を示す材料の複合材料を用いることもできる。電子供与性を示す材料としては、第1族金属、第2族金属、あるいはこれらの酸化物などを挙げることができる。具体的には、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、電子注入層115にエレクトライドを用いてもよい。該エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。また、電子注入層115に、電子輸送層114で用いることが出来る物質を用いても良い。
また、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性及び電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、ナトリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法、グラビア印刷等の方法で形成することができる。また、上述した、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層には、上述した材料の他、量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いてもよい。
≪量子ドット≫
量子ドットは、数nmから数十nmサイズの半導体ナノ結晶であり、1×10個から1×10個程度の原子から構成されている。量子ドットはサイズに依存してエネルギーシフトするため、同じ物質から構成される量子ドットであっても、サイズによって発光波長が異なる。そのため、用いる量子ドットのサイズを変更することによって、容易に発光波長を変更することができる。
また、量子ドットは、発光スペクトルのピーク幅が狭いため、色純度のよい発光を得ることができる。さらに、量子ドットの理論的な内部量子効率はほぼ100%であると言われており、蛍光発光を呈する有機化合物の25%を大きく上回り、燐光発光を呈する有機化合物と同等となっている。このことから、量子ドットを発光材料として用いることによって発光効率の高い発光素子を得ることができる。その上、無機材料である量子ドットは、その本質的な安定性にも優れているため、寿命の観点からも好ましい発光素子を得ることができる。
量子ドットを構成する材料としては、第14族元素、第15族元素、第16族元素、複数の第14族元素からなる化合物、第4族から第14族に属する元素と第16族元素との化合物、第2族元素と第16族元素との化合物、第13族元素と第15族元素との化合物、第13族元素と第17族元素との化合物、第14族元素と第15族元素との化合物、第11族元素と第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン類、カルコゲナイドスピネル類、半導体クラスターなどを挙げることができる。
具体的には、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、テルル化亜鉛、硫化水銀、セレン化水銀、テルル化水銀、砒化インジウム、リン化インジウム、砒化ガリウム、リン化ガリウム、窒化インジウム、窒化ガリウム、アンチモン化インジウム、アンチモン化ガリウム、リン化アルミニウム、砒化アルミニウム、アンチモン化アルミニウム、セレン化鉛、テルル化鉛、硫化鉛、セレン化インジウム、テルル化インジウム、硫化インジウム、セレン化ガリウム、硫化砒素、セレン化砒素、テルル化砒素、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、テルル化アンチモン、硫化ビスマス、セレン化ビスマス、テルル化ビスマス、ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウム、錫、セレン、テルル、ホウ素、炭素、リン、窒化ホウ素、リン化ホウ素、砒化ホウ素、窒化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化バリウム、セレン化バリウム、テルル化バリウム、硫化カルシウム、セレン化カルシウム、テルル化カルシウム、硫化ベリリウム、セレン化ベリリウム、テルル化ベリリウム、硫化マグネシウム、セレン化マグネシウム、硫化ゲルマニウム、セレン化ゲルマニウム、テルル化ゲルマニウム、硫化錫、セレン化錫、テルル化錫、酸化鉛、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酸化銅、セレン化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、硫化コバルト、酸化鉄、硫化鉄、酸化マンガン、硫化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、セレンと亜鉛とカドミウムの化合物、インジウムと砒素とリンの化合物、カドミウムとセレンと硫黄の化合物、カドミウムとセレンとテルルの化合物、インジウムとガリウムと砒素の化合物、インジウムとガリウムとセレンの化合物、インジウムとセレンと硫黄の化合物、銅とインジウムと硫黄の化合物、及びこれらの組合せなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、組成が任意の比率で表される、いわゆる合金型量子ドットを用いても良い。例えば、カドミウムとセレンと硫黄の合金型量子ドットは、元素の含有比率を変化させることで発光波長を変えることができるため、青色発光を得るには有効な手段の一つである。
量子ドットの構造としては、コア型、コア−シェル型、コア−マルチシェル型などがあり、そのいずれを用いても良いが、コアを覆ってより広いバンドギャップを持つ別の無機材料でシェルを形成することによって、ナノ結晶表面に存在する欠陥やダングリングボンドの影響を低減することができる。これにより、発光の量子効率が大きく改善するためコア−シェル型やコア−マルチシェル型の量子ドットを用いることが好ましい。シェルの材料の例としては、硫化亜鉛や酸化亜鉛が挙げられる。
また、量子ドットは、表面原子の割合が高いことから、反応性が高く、凝集が起こりやすい。そのため、量子ドットの表面には保護剤が付着している又は保護基が設けられていることが好ましい。当該保護剤が付着している又は保護基が設けられていることによって、凝集を防ぎ、溶媒への溶解性を高めることができる。また、反応性を低減させ、電気的安定性を向上させることも可能である。保護剤(又は保護基)としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、トリ(n−ヘキシル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン、トリ(n−デシル)アミン等の第3級アミン類、トリプロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリデシルホスフィンオキシド等の有機リン化合物、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類、また、ピリジン、ルチジン、コリジン、キノリン類等の含窒素芳香族化合物等の有機窒素化合物、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等のアミノアルカン類、ジブチルスルフィド等のジアルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシド類、チオフェン等の含硫黄芳香族化合物等の有機硫黄化合物、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、アルコール類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等が挙げられる。
量子ドットは、サイズが小さくなるに従いバンドギャップが大きくなるため、所望の波長の光が得られるように、そのサイズを適宜調整する。結晶のサイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へシフトするため、量子ドットのサイズを変更させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長領域にわたって、その発光波長を調整することができる。量子ドットのサイズ(直径)は、0.5nm以上20nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下の範囲のものが通常良く用いられる。なお、量子ドットはそのサイズ分布が狭いほど、より発光スペクトルが狭線化し、色純度の良好な発光を得ることができる。また、量子ドットの形状は特に限定されず、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。なお、棒状の量子ドットである量子ロッドは、指向性を有する光を呈する機能を有するため、量子ロッドを発光材料として用いることにより、より外部量子効率が良好な発光素子を得ることができる。
ところで、有機EL素子では多くの場合、発光材料をホスト材料に分散し、発光材料の濃度消光を抑制することによって発光効率を高めている。ホスト材料は発光材料以上の一重項励起エネルギー準位または三重項励起エネルギー準位を有する材料であることが必要である。特に、青色燐光材料を発光材料に用いる場合においては、それ以上の三重項励起エネルギー準位を有し、且つ、寿命の観点で優れたホスト材料が必要であり、その開発は困難を極めている。ここで、量子ドットは、ホスト材料を用いずに量子ドットのみで発光層を構成しても発光効率を保つことができるため、この点でも寿命という観点から好ましい発光素子を得ることができる。量子ドットのみで発光層を形成する場合には、量子ドットはコア−シェル構造(コア−マルチシェル構造を含む)であることが好ましい。
発光層の発光材料に量子ドットを用いる場合、当該発光層の膜厚は3nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下とし、発光層中の量子ドットの含有率は1以上100以下体積%とする。ただし、量子ドットのみで発光層を形成することが好ましい。なお、当該量子ドットを発光材料としてホストに分散した発光層を形成する場合は、ホスト材料に量子ドットを分散させる、またはホスト材料と量子ドットとを適当な液媒体に溶解または分散させてウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、ラングミュア・ブロジェット法など)により形成すればよい。燐光性の発光材料を用いた発光層については、上記ウェットプロセスの他、真空蒸着法も好適に利用することができる。
ウェットプロセスに用いる液媒体としては、たとえば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒を用いることができる。
≪一対の電極≫
電極101及び電極102は、発光素子の陽極または陰極としての機能を有する。電極101及び電極102は、金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物や積層体などを用いて形成することができる。
電極101または電極102の一方は、光を反射する機能を有する導電性材料により形成されると好ましい。該導電性材料としては、アルミニウム(Al)またはAlを含む合金等が挙げられる。Alを含む合金としては、AlとL(Lは、チタン(Ti)、ネオジム(Nd)、ニッケル(Ni)、及びランタン(La)の一つまたは複数を表す)とを含む合金等が挙げられ、例えばAlとTi、またはAlとNiとLaを含む合金等である。アルミニウムは、抵抗値が低く、光の反射率が高い。また、アルミニウムは、地殻における存在量が多く、安価であるため、アルミニウムを用いることによる発光素子の作製コストを低減することができる。また、銀(Ag)、またはAgとN(Nは、イットリウム(Y)、Nd、マグネシウム(Mg)、イッテルビウム(Yb)、Al、Ti、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、スズ(Sn)、鉄(Fe)、Ni、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、または金(Au)の一つまたは複数を表す)とを含む合金等を用いても良い。銀を含む合金としては、例えば、銀とパラジウムと銅を含む合金、銀と銅を含む合金、銀とマグネシウムを含む合金、銀とニッケルを含む合金、銀と金を含む合金、銀とイッテルビウムを含む合金等が挙げられる。その他、タングステン、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、銅、チタンなどの遷移金属を用いることができる。
また、発光層から得られる発光は、電極101及び電極102の一方または双方を通して取り出される。したがって、電極101及び電極102の少なくとも一方は、光を透過する機能を有する導電性材料により形成されると好ましい。該導電性材料としては、可視光の透過率が40%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下であり、かつその抵抗率が1×10−2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。
また、電極101及び電極102は、光を透過する機能と、光を反射する機能と、を有する導電性材料により形成されても良い。該導電性材料としては、可視光の反射率が20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下であり、かつその抵抗率が1×10−2Ω・cm以下の導電性材料が挙げられる。例えば、導電性を有する金属、合金、導電性化合物などを1種又は複数種用いて形成することができる。具体的には、例えば、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITO)、珪素または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(略称:ITSO)、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、チタンを含有した酸化インジウム−錫酸化物、インジウム−チタン酸化物、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウムなどの金属酸化物を用いることができる。また、光を透過する程度(好ましくは、1nm以上30nm以下の厚さ)の金属薄膜を用いることができる。金属としては、例えば、Ag、またはAgとAl、AgとMg、AgとAu、AgとYbなどの合金等を用いることができる。
なお、本明細書等において、光を透過する機能を有する材料は、可視光を透過する機能を有し、且つ導電性を有する材料であればよく、例えば上記のようなITOに代表される酸化物導電体に加えて、酸化物半導体、または有機物を含む有機導電体を含む。有機物を含む有機導電体としては、例えば、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料等が挙げられる。また、グラフェンなどの無機炭素系材料を用いても良い。また、当該材料の抵抗率としては、好ましくは1×10Ω・cm以下、さらに好ましくは1×10Ω・cm以下である。
また、上記の材料の複数を積層することによって電極101及び電極102の一方または双方を形成してもよい。
また、光取り出し効率を向上させるため、光を透過する機能を有する電極と接して、該電極より屈折率の高い材料を形成してもよい。このような材料としては、可視光を透過する機能を有する材料であればよく、導電性を有する材料であっても有さない材料であってもよい。例えば、上記のような酸化物導電体に加えて、酸化物半導体、有機物が挙げられる。有機物としては、例えば、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、または電子注入層に例示した材料が挙げられる。また、無機炭素系材料や光が透過する程度の金属薄膜も用いることができ、数nm以上数十nm以下の層を複数積層させてもよい。
電極101または電極102が陰極としての機能を有する場合には、仕事関数が小さい(3.8eV以下)材料を有することが好ましい。例えば、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素(リチウム、ナトリウム、セシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム等)、これら元素を含む合金(例えば、AgとMg、AlとLi)、ユーロピウム(Eu)、Yb等の希土類金属、これら希土類金属を含む合金、アルミニウム、銀を含む合金等を用いることができる。
また、電極101または電極102を陽極として用いる場合、仕事関数の大きい(4.0eV以上)材料を用いることが好ましい。
また、電極101及び電極102は、光を反射する機能を有する導電性材料と、光を透過する機能を有する導電性材料との積層としてもよい。その場合、電極101及び電極102は、各発光層からの所望の光を共振させ、その波長を強めることができるように、光学距離を調整する機能を有することができるため好ましい。
電極101及び電極102の成膜方法は、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、塗布法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。
≪基板≫
また、本発明の一態様に係る発光素子は、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に作製すればよい。基板上に作製する順番としては、電極101側から順に積層しても、電極102側から順に積層しても良い。
なお、本発明の一態様に係る発光素子を形成できる基板としては、例えばガラス、石英、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、からなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム、無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光素子、及び光学素子の作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。あるいは、発光素子、及び光学素子を保護する機能を有するものであればよい。
例えば、本発明等においては、様々な基板を用いて発光素子を形成することが出来る。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある。
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、発光素子を形成してもよい。または、基板と発光素子との間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に発光素子を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも発光素子を転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
つまり、ある基板を用いて発光素子を形成し、その後、別の基板に発光素子を転置し、別の基板上に発光素子を配置してもよい。発光素子が転置される基板の一例としては、上述した基板に加え、セロファン基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、壊れにくい発光素子、耐熱性の高い発光素子、軽量化された発光素子、または薄型化された発光素子とすることができる。
また、上述した基板上に、例えば電界効果トランジスタ(FET)を形成し、FETと電気的に接続された電極上に発光素子110を作製してもよい。これにより、FETによって発光素子110の駆動を制御するアクティブマトリクス型の表示装置を作製できる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態及び他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、発光素子に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、発光素子に適用しなくてもよい。
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態は、複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子ともいう)の態様について、図3を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。一つの発光ユニットは、実施の形態3で示したEL層103と同様な構成を有する。つまり、実施の形態3で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子であり、本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子ということができる。
<発光装置の構成例1>
図3において、第1の電極510と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット521と第2の発光ユニット522が積層されており、第1の発光ユニット521と第2の発光ユニット522との間には電荷発生層523が設けられている。第1の電極510と第2の電極502はそれぞれ実施の形態3における電極101と電極102に相当し、実施の形態3で説明したものと同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット521と第2の発光ユニット522は同じ構成であっても異なる構成であってもよい。例えば、第1の発光ユニット521には実施の形態3で述べたEL層103を適用すると好ましい。
電荷発生層523は、正孔輸送材料に電子受容体であるアクセプタ性物質が添加された構成であっても、電子輸送性材料に電子供与体であるドナー性物質が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
電荷発生層523に、有機化合物とアクセプタ性物質の複合材料が含まれる場合、該複合材料には実施の形態3に示す正孔注入層111に用いることができる複合材料を用いることができる。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール化合物、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔移動度が1×10−6cm/Vs以上である物質を適用することが好ましい。ただし、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を用いてもよい。有機化合物とアクセプタ性物質の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。なお、発光ユニットの陽極側の面が電荷発生層523に接している場合は、電荷発生層523が該発光ユニットの正孔注入層または正孔輸送層の役割も担うことができるため、該発光ユニットには正孔注入層または正孔輸送層を設けない構成であっても良い。あるいは、発光ユニットの陰極側の面が電荷発生層523に接している場合は、電荷発生層523が該発光ユニットの電子注入層または電子輸送層の役割も担うことができるため、該発光ユニットには電子注入層または電子輸送層を設けない構成であっても良い。
なお、電荷発生層523は、有機化合物とアクセプタ性物質の複合材料を含む層と他の材料により構成される層を組み合わせた積層構造として形成してもよい。例えば、有機化合物とアクセプタ性物質の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物とアクセプタ性物質の複合材料を含む層と、透明導電膜を含む層とを組み合わせて形成してもよい。
なお、第1の発光ユニット521と第2の発光ユニット522とに挟まれる電荷発生層523は、第1の電極510と第2の電極502とに電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、図3において、第1の電極510の電位の方が第2の電極502の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層523は、第1の発光ユニット521に電子を注入し、第2の発光ユニット522に正孔を注入する。
なお、電荷発生層523は、光取出し効率の点から、可視光に対して透光性(具体的には、電荷発生層523に対する可視光の透過率が40%以上)を有することが好ましい。また、電荷発生層523は、一対の電極(電極510及び電極502)よりも低い導電率であっても機能する。
上述した材料を用いて電荷発生層523を形成することにより、発光層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
なお、電荷発生層523は、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と他の材料により構成される層を組み合わせた積層構造として形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
いずれにしても、第1の発光ユニット521と第2の発光ユニット522に挟まれる電荷発生層523は、第1の電極510と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。例えば、図3において、第1の電極510の電位の方が第2の電極502の電位よりも高くなるように電圧を印加した場合、電荷発生層523は、第1の発光ユニット521に電子を注入し、第2の発光ユニット522に正孔を注入するものであればよい。
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度発光を可能とし、さらに長寿命な素子を実現できる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子において、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニットの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニットの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。また、一方の発光ユニットでは燐光発光を示す発光中心物質を用いた発光層を、他方の発光ユニットでは蛍光発光を示す発光中心物質を用いた発光層を適用することで、一つの発光素子において蛍光発光、燐光発光の両方を効率よく発光させることができる。例えば、一方の発光ユニットでは、赤色と緑色の燐光発光を得、他方の発光ユニットでは青色の蛍光発光を得ることで、発光効率の良好な白色発光を得ることができる。
本発明の一態様である有機化合物を発光素子に適用することによって、低駆動電圧、高効率、高寿命の青色蛍光素子を提供できることから、発光素子全体としての低電圧化、高効率化、高寿命化、色の調製が容易となる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では実施の形態3及び実施の形態4で説明した発光素子を用いた発光装置について、図4(A)及び図4(B)を用いて説明する。
図4(A)は、発光装置を示す上面図、図4(B)は図4(A)をA−B及びC−Dで切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御するものとして、点線で示された駆動回路部(ソース側駆動回路)601、画素部602、駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、625は乾燥材、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB:Printed Wiring Board)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態を含むものとする。
次に、上記発光装置の断面構造について図4(B)を用いて説明する。素子基板610上に駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と画素部602中の一つの画素が示されている。
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は種々のCMOS回路、PMOS回路、NMOS回路で形成しても良い。また本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく、外部に形成することもできる。
また、画素部602はスイッチング用TFT611と電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆うように絶縁物614が形成されている。絶縁物614は、ポジ型の感光性樹脂膜を用いることにより形成することができる。
また、絶縁物614上に形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料として感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲面をもたせることが好ましい。該曲面の曲率半径は0.2μm以上0.3μm以下が好ましい。また、絶縁物614として、ネガ型、ポジ型、いずれの感光材料も使用することができる。
第1の電極613上には、EL層616、及び第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、またはケイ素を含有したインジウム錫酸化物膜、2wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。EL層616を構成する材料としては、低分子化合物、または高分子化合物(オリゴマー、デンドリマーを含む)であっても良い。
さらに、EL層616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物、MgAg、MgIn、AlLi等)を用いることが好ましい。なお、EL層616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、ケイ素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
なお、第1の電極613、EL層616、第2の電極617により、発光素子618が形成されている。発光素子618は実施の形態3及び実施の形態4の構成を有する発光素子であると好ましい。なお、画素部は複数の発光素子が形成されてなっているが、本実施の形態における発光装置では、実施の形態3及び実施の形態4で説明した構成を有する発光素子と、それ以外の構成を有する発光素子の両方が含まれていても良い。
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、及びシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、樹脂若しくは乾燥材又はその両方で充填される場合もある。
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、実施の形態3及び実施の形態4で説明した発光素子を用いた発光装置を得ることができる。
<発光装置の構成例2>
図5には発光装置の一例として、白色発光を呈する発光素子を形成し、着色層(カラーフィルタ)を形成した発光装置の例を示す。
図5(A)には基板1001、下地絶縁膜1002、ゲート絶縁膜1003、ゲート電極1006、1007、1008、第1の層間絶縁膜1020、第2の層間絶縁膜1021、周辺部1042、画素部1040、駆動回路部1041、発光素子の第1の電極1024W、1024R、1024G、1024B、隔壁1026、EL層1028、発光素子の第2の電極1029、封止基板1031、シール材1032などが図示されている。
また、図5(A)、図5(B)には着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)を透明な基材1033に設けている。また、黒色層(ブラックマトリックス)1035をさらに設けても良い。着色層及び黒色層が設けられた透明な基材1033は、位置合わせし、基板1001に固定する。なお、着色層、及び黒色層は、オーバーコート層1036で覆われている。また、図5(A)においては、光が着色層を透過せずに外部へと出る発光層と、各色の着色層を透過して外部に光が出る発光層とがあり、着色層を透過しない光は白、着色層を透過する光は赤、青、緑となることから、4色の画素で映像を表現することができる。
図5(B)では赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034Bをゲート絶縁膜1003と第1の層間絶縁膜1020との間に形成する例を示した。図5(B)に示すように着色層は基板1001と封止基板1031の間に設けられても良い。
また、以上に説明した発光装置では、TFTが形成されている基板1001側に光を取り出す構造(ボトムエミッション型)の発光装置としたが、封止基板1031側に発光を取り出す構造(トップエミッション型)の発光装置としても良い。
<発光装置の構成例3>
トップエミッション型の発光装置の断面図を図6に示す。この場合、基板1001は光を通さない基板を用いることができる。TFTと発光素子の陽極とを接続する接続電極を作製するまでは、ボトムエミッション型の発光装置と同様に形成する。その後、第3の層間絶縁膜1037を電極1022を覆って形成する。この絶縁膜は平坦化の役割を担っていても良い。第3の層間絶縁膜1037は第2の層間絶縁膜1021と同様の材料の他、他の様々な材料を用いて形成することができる。
発光素子の下部電極1025W、1025R、1025G、1025Bはここでは陽極とするが、陰極であっても構わない。また、図6のようなトップエミッション型の発光装置である場合、下部電極1025W、1025R、1025G、1025Bは反射電極とすることが好ましい。なお、第2の電極1029は光を反射する機能と、光を透過する機能を有すると好ましい。また、第2の電極1029と下部電極1025W、1025R、1025G、1025Bとの間でマイクロキャビティ構造を適用し特定波長の光を増幅する機能を有すると好ましい。EL層1028の構成は、実施の形態2及び実施の形態3で説明したような構成とし、白色の発光が得られるような素子構造とする。
図5(A)、図5(B)、図6において、白色の発光が得られるEL層の構成としては、発光層を複数層用いること、複数の発光ユニットを用いることなどにより実現すればよい。なお、白色発光を得る構成はこれらに限られない。
図6のようなトップエミッション構造では着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)を設けた封止基板1031で封止を行うことができる。封止基板1031には画素と画素との間に位置するように黒色層(ブラックマトリックス)1035を設けても良い。着色層(赤色の着色層1034R、緑色の着色層1034G、青色の着色層1034B)や黒色層(ブラックマトリックス)はオーバーコート層によって覆われていても良い。なお封止基板1031は透光性を有する基板を用いる。
また、ここでは赤、緑、青、白の4色でフルカラー表示を行う例を示したが特に限定されず、赤、緑、青の3色でフルカラー表示を行ってもよい。また、赤、緑、青、黄の4色でフルカラー表示を行ってもよい。
以上のようにして、実施の形態3及び実施の形態4で説明した発光素子を用いた発光装置を得ることができる。
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では実施の形態3及び実施の形態4で説明した発光素子を用いた表示装置の具体的な例について説明する。以下で例示する表示装置は、反射型の液晶素子と、発光素子の両方を有し、透過モードと反射モードの両方の表示を行うことのできる、表示装置である。発光素子に実施の形態3及び実施の形態4で説明した発光素子を適用すると好ましい。
[表示装置の構成例1]
図7(A)は、表示装置400の構成の一例を示すブロック図である。表示装置400は、表示部362にマトリクス状に配列した複数の画素410を有する。また表示装置400は、回路GDと、回路SDを有する。また方向Rに配列した複数の画素410、及び回路GDと電気的に接続する複数の配線G1、複数の配線G2、複数の配線ANO、及び複数の配線CSCOMを有する。また方向Cに配列した複数の画素410、及び回路SDと電気的に接続する複数の配線S1及び複数の配線S2を有する。
画素410は、反射型の液晶素子と、発光素子を有する。画素410において、液晶素子と発光素子とは、互いに重なる部分を有する。
図7(B1)は、画素410が有する電極311bの構成例を示す。電極311bは、画素410における液晶素子の反射電極として機能する。また電極311bには、開口451が設けられている。
図7(B1)には、電極311bと重なる領域に位置する発光素子360を破線で示している。発光素子360は、電極311bが有する開口451と重ねて配置されている。これにより、発光素子360が発する光は、開口451を介して表示面側に射出される。
図7(B1)では、方向Rに隣接する画素410が異なる色に対応する画素である。このとき、図7(B1)に示すように、方向Rに隣接する2つの画素において、開口451が一列に配列されないように、電極311bの異なる位置に設けられていることが好ましい。これにより、2つの発光素子360を離すことが可能で、発光素子360が発する光が隣接する画素410が有する着色層に入射してしまう現象(クロストークともいう)を抑制することができる。また、隣接する2つの発光素子360を離して配置することができるため、発光素子360のEL層をシャドウマスク等により作り分ける場合であっても、高い精細度の表示装置を実現できる。
また、図7(B2)に示すような配列としてもよい。
非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が大きすぎると、液晶素子を用いた表示が暗くなってしまう。また、非開口部の総面積に対する開口451の総面積の比の値が小さすぎると、発光素子360を用いた表示が暗くなってしまう。
また、反射電極として機能する電極311bに設ける開口451の面積が小さすぎると、発光素子360が射出する光から取り出せる光の効率が低下してしまう。
開口451の形状は、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状とすることができる。また、細長い筋状、スリット状、市松模様状の形状としてもよい。また、開口451を隣接する画素に寄せて配置してもよい。好ましくは、開口451を同じ色を表示する他の画素に寄せて配置する。これにより、クロストークを抑制できる。
[回路構成例]
図8は、画素410の構成例を示す回路図である。図8では、隣接する2つの画素410を示している。
画素410は、スイッチSW1、容量素子C1、液晶素子340、スイッチSW2、トランジスタM、容量素子C2、及び発光素子360等を有する。また、画素410には、配線G1、配線G2、配線ANO、配線CSCOM、配線S1、及び配線S2が電気的に接続されている。また、図8では、液晶素子340と電気的に接続する配線VCOM1、及び発光素子360と電気的に接続する配線VCOM2を示している。
図8では、スイッチSW1及びスイッチSW2に、トランジスタを用いた場合の例を示している。
スイッチSW1は、ゲートが配線G1と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S1と接続され、ソース又はドレインの他方が容量素子C1の一方の電極、及び液晶素子340の一方の電極と接続されている。容量素子C1は、他方の電極が配線CSCOMと接続されている。液晶素子340は、他方の電極が配線VCOM1と接続されている。
またスイッチSW2は、ゲートが配線G2と接続され、ソース又はドレインの一方が配線S2と接続され、ソース又はドレインの他方が、容量素子C2の一方の電極、トランジスタMのゲートと接続されている。容量素子C2は、他方の電極がトランジスタMのソース又はドレインの一方、及び配線ANOと接続されている。トランジスタMは、ソース又はドレインの他方が発光素子360の一方の電極と接続されている。発光素子360は、他方の電極が配線VCOM2と接続されている。
図8では、トランジスタMが半導体を挟む2つのゲートを有し、これらが接続されている例を示している。これにより、トランジスタMが流すことのできる電流を増大させることができる。
配線G1には、スイッチSW1を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM1には、所定の電位を与えることができる。配線S1には、液晶素子340が有する液晶の配向状態を制御する信号を与えることができる。配線CSCOMには、所定の電位を与えることができる。
配線G2には、スイッチSW2を導通状態または非導通状態に制御する信号を与えることができる。配線VCOM2及び配線ANOには、発光素子360が発光する電位差が生じる電位をそれぞれ与えることができる。配線S2には、トランジスタMの導通状態を制御する信号を与えることができる。
図8に示す画素410は、例えば反射モードの表示を行う場合には、配線G1及び配線S1に与える信号により駆動し、液晶素子340による光学変調を利用して表示することができる。また、透過モードで表示を行う場合には、配線G2及び配線S2に与える信号により駆動し、発光素子360を発光させて表示することができる。また両方のモードで駆動する場合には、配線G1、配線G2、配線S1及び配線S2のそれぞれに与える信号により駆動することができる。
なお、図8では一つの画素410に、一つの液晶素子340と一つの発光素子360とを有する例を示したが、これに限られない。図9(A)は、一つの画素410に一つの液晶素子340と4つの発光素子360(発光素子360r、360g、360b、360w)を有する例を示している。図9(A)に示す画素410は、図8とは異なり、1つの画素でフルカラーの表示が可能な画素である。
図9(A)では図8の例に加えて、画素410に配線G3及び配線S3が接続されている。
図9(A)に示す例では、例えば4つの発光素子360を、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、及び白色(W)を呈する発光素子を用いることができる。また液晶素子340として、白色を呈する反射型の液晶素子を用いることができる。これにより、反射モードの表示を行う場合には、反射率の高い白色の表示を行うことができる。また透過モードで表示を行う場合には、演色性の高い表示を低い電力で行うことができる。
また、図9(B)には、画素410の構成例を示している。画素410は、電極311が有する開口部と重なる発光素子360wと、電極311の周囲に配置された発光素子360r、発光素子360g、及び発光素子360bとを有する。発光素子360r、発光素子360g、及び発光素子360bは、発光面積がほぼ同等であることが好ましい。
[表示装置の構成例2]
図10は、本発明の一態様の表示装置300の斜視概略図である。表示装置300は、基板351と基板361とが貼り合わされた構成を有する。図10では、基板361を破線で明示している。
表示装置300は、表示部362、回路部364、配線365、回路部366、配線367等を有する。基板351には、例えば回路部364、配線365、回路部366、配線367及び画素電極として機能する電極311b等が設けられる。また図10では基板351上にIC373、FPC372、IC375及びFPC374が実装されている例を示している。そのため、図10に示す構成は、表示装置300とIC373、FPC372、IC375及びFPC374を有する表示モジュールと言うこともできる。
回路部364は、例えば走査線駆動回路として機能する回路を用いることができる。
配線365は、表示部や回路部364に信号や電力を供給する機能を有する。当該信号や電力は、FPC372を介して外部、またはIC373から配線365に入力される。
また、図10では、COG(Chip On Glass)方式等により、基板351にIC373が設けられている例を示している。IC373は、例えば走査線駆動回路、または信号線駆動回路などとしての機能を有するICを適用できる。なお表示装置300が走査線駆動回路及び信号線駆動回路として機能する回路を備える場合や、走査線駆動回路や信号線駆動回路として機能する回路を外部に設け、FPC372を介して表示装置300を駆動するための信号を入力する場合などでは、IC373を設けない構成としてもよい。また、IC373を、COF(Chip On Film)方式等により、FPC372に実装してもよい。
図10には、表示部362の一部の拡大図を示している。表示部362には、複数の表示素子が有する電極311bがマトリクス状に配置されている。電極311bは、可視光を反射する機能を有し、後述する液晶素子340の反射電極として機能する。
また、図10に示すように、電極311bは開口を有する。さらに電極311bよりも基板351側に、発光素子360を有する。発光素子360からの光は、電極311bの開口を介して基板361側に射出される。
図11に、図10で例示した表示装置の、FPC372を含む領域の一部、回路部364を含む領域の一部、表示部362を含む領域の一部、回路部366を含む領域の一部、及びFPC374を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
図11に示す表示装置は、表示パネル700と、表示パネル800とが積層された構成を有する。表示パネル700は、樹脂層701と樹脂層702を有する。表示パネル800は、樹脂層201と樹脂層202を有する。樹脂層702と樹脂層201とは、接着層50によって接着されている。また樹脂層701は、接着層51により基板351と接着されている。また樹脂層202は、接着層52により基板361と接着されている。
〔表示パネル700〕
表示パネル700は、樹脂層701、絶縁層478、複数のトランジスタ、容量素子405、絶縁層411、絶縁層412、絶縁層413、絶縁層414、絶縁層415、発光素子360、スペーサ416、接着層417、着色層425、遮光層426、絶縁層476、及び樹脂層702を有する。
回路部364はトランジスタ401を有する。表示部362は、トランジスタ402及びトランジスタ403を有する。
各トランジスタは、ゲート、絶縁層411、半導体層、ソース、及びドレインを有する。ゲートと半導体層は、絶縁層411を介して重なる。絶縁層411の一部は、ゲート絶縁層としての機能を有し、他の一部は、容量素子405の誘電体としての機能を有する。トランジスタ402のソース又はドレインとして機能する導電層は、容量素子405の一方の電極を兼ねる。
図11では、ボトムゲート構造のトランジスタを示す。回路部364と表示部362とで、トランジスタの構造が異なっていてもよい。回路部364及び表示部362は、それぞれ、複数の種類のトランジスタを有していてもよい。
容量素子405は、一対の電極と、その間の誘電体とを有する。容量素子405は、トランジスタのゲートと同一の材料、及び同一の工程で形成した導電層と、トランジスタのソース及びドレインと同一の材料、及び同一の工程で形成した導電層と、を有する。
絶縁層412、絶縁層413、及び絶縁層414は、それぞれ、トランジスタ等を覆って設けられる。トランジスタ等を覆う絶縁層の数は特に限定されない。絶縁層414は、平坦化層としての機能を有する。絶縁層412、絶縁層413、及び絶縁層414のうち、少なくとも一層には、水又は水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。外部から不純物がトランジスタに拡散することを効果的に抑制することが可能となり、表示装置の信頼性を高めることができる。
絶縁層414として有機化合物を用いる場合、表示装置の端部に露出した絶縁層414を通って発光素子360等に表示装置の外部から水分等の不純物が侵入する恐れがある。不純物の侵入により、発光素子360が劣化すると、表示装置の劣化につながる。そのため、図11に示すように、絶縁層414が、表示装置の端部に位置しないことが好ましい。図11の構成では、有機化合物を用いた絶縁層が表示装置の端部に位置しないため、発光素子360に不純物が侵入することを抑制できる。
発光素子360は、電極421、EL層422、及び電極423を有する。発光素子360は、光学調整層424を有していてもよい。発光素子360は、着色層425側に光を射出する、トップエミッション構造である。
トランジスタ、容量素子、及び配線等を、発光素子360の発光領域と重ねて配置することで、表示部362の開口率を高めることができる。
電極421及び電極423のうち、一方は、陽極として機能し、他方は、陰極として機能する。電極421及び電極423の間に、発光素子360の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層422に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層422において再結合し、EL層422に含まれる発光物質が発光する。
電極421は、トランジスタ403のソース又はドレインと電気的に接続される。これらは、直接接続されてもよいし、他の導電層を介して接続されてもよい。電極421は、画素電極として機能し、発光素子360ごとに設けられている。隣り合う2つの電極421は、絶縁層415によって電気的に絶縁されている。
電極423は、共通電極として機能し、複数の発光素子360にわたって設けられている。電極423には、定電位が供給される。
発光素子360は、接着層417を介して着色層425と重なる。スペーサ416は、接着層417を介して遮光層426と重なる。図11では、電極423と遮光層426との間に隙間がある場合を示しているが、これらが接していてもよい。図11では、スペーサ416を基板351側に設ける構成を示したが、基板361側(例えば遮光層426よりも基板361側)に設けてもよい。
カラーフィルタ(着色層425)とマイクロキャビティ構造(光学調整層424)との組み合わせにより、表示装置からは、色純度の高い光を取り出すことができる。光学調整層424の膜厚は、各画素の色に応じて変化させる。
着色層425は特定の波長域の光を透過する有色層である。例えば、赤色、緑色、青色、又は黄色の波長域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。
なお、本発明の一態様は、カラーフィルタ方式に限られず、塗り分け方式、色変換方式、又は量子ドット方式等を適用してもよい。
遮光層426は、隣接する着色層425の間に設けられている。遮光層426は隣接する発光素子360からの光を遮光し、隣接する発光素子360間における混色を抑制する。ここで、着色層425の端部を、遮光層426と重なるように設けることにより、光漏れを抑制することができる。遮光層426としては、発光素子360が発する光を遮る材料を用いることができる。なお、遮光層426は、回路部364などの表示部362以外の領域に設けると、導波光などによる意図しない光漏れを抑制できるため好ましい。
樹脂層701の一方の表面には絶縁層478が形成されている。また、樹脂層702の一方の表面には絶縁層476が形成されている。絶縁層476及び絶縁層478に防湿性の高い膜を用いることが好ましい。一対の防湿性の高い絶縁層の間に発光素子360及びトランジスタ等を配置することで、これらの素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、表示装置の信頼性が高くなるため好ましい。
防湿性の高い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜、及び、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
例えば、防湿性の高い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10−5[g/(m・day)]以下、好ましくは1×10−6[g/(m・day)]以下、より好ましくは1×10−7[g/(m・day)]以下、さらに好ましくは1×10−8[g/(m・day)]以下とする。
接続部406は、配線365を有する。配線365は、トランジスタのソース及びドレインと同一の材料、及び同一の工程で形成することができる。接続部406は、回路部364に外部からの信号や電位を伝達する外部入力端子と電気的に接続する。ここでは、外部入力端子としてFPC372を設ける例を示している。接続層419を介してFPC372と接続部406は電気的に接続する。
接続層419としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)及び異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
以上が表示パネル700についての説明である。
〔表示パネル800〕
表示パネル800は、縦電界方式が適用された反射型液晶表示装置である。
表示パネル800は、樹脂層201、絶縁層578、複数のトランジスタ、容量素子505、配線367、絶縁層511、絶縁層512、絶縁層513、絶縁層514、液晶素子529、配向膜564a、配向膜564b、接着層517、絶縁層576、及び樹脂層202を有する。
樹脂層201と樹脂層202とは、接着層517によって貼り合わされている。樹脂層201、樹脂層202、及び接着層517に囲まれた領域に、液晶563が封止されている。基板361の外側の面には、偏光板599が位置する。
液晶素子529は、電極311b、電極562、及び液晶563を有する。電極311bは画素電極として機能する。電極562は共通電極として機能する。電極311bと電極562との間に生じる電界により、液晶563の配向を制御することができる。液晶563と電極311bの間には配向膜564aが設けられている。液晶563と電極562の間には、配向膜564bが設けられている。
樹脂層202には、絶縁層576、電極562、及び配向膜564b等が設けられている。
樹脂層201には、電極311b、配向膜564a、トランジスタ501、トランジスタ503、容量素子505、接続部506、及び配線367等が設けられている。
樹脂層201上には、絶縁層511、絶縁層512、絶縁層513、絶縁層514等の絶縁層が設けられている。
ここで、トランジスタ503のソース又はドレインのうち、電極311bと電気的に接続されていない方の導電層は、信号線の一部として機能してもよい。また、トランジスタ503のゲートとして機能する導電層は、走査線の一部として機能してもよい。
図11では、表示部362の例として、着色層を設けない構成を示している。そのため、液晶素子529は、白黒の階調表示を行う素子である。
図11では、回路部366の例としてトランジスタ501が設けられている例を示している。
各トランジスタを覆う絶縁層512、絶縁層513のうち少なくとも一方は、水や水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。
絶縁層514上には、電極311bが設けられている。電極311bは、絶縁層514、絶縁層513、絶縁層512等に形成された開口を介して、トランジスタ503のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。また電極311bは、容量素子505の一方の電極と電気的に接続されている。
表示パネル800は、反射型の液晶表示装置であるため、電極311bに可視光を反射する導電性材料を用い、電極562に可視光を透過する導電性材料を用いる。
可視光を透過する導電性材料としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。具体的には、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などが挙げられる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。
可視光を反射する導電性材料としては、例えば、アルミニウム、銀、またはこれらの金属材料を含む合金等が挙げられる。そのほか、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、またはこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料または合金に、ランタン、ネオジム、またはゲルマニウム等が添加されていてもよい。アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al−Ni−La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、銀と銅の合金、銀とパラジウムと銅の合金(Ag−Pd−Cu、APCとも記す)、銀とマグネシウムの合金等の銀を含む合金を用いてもよい。
ここで、偏光板599として直線偏光板を用いてもよいが、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。これにより、外光反射を抑制することができる。また、偏光板599の種類に応じて、液晶素子529に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
電極562は、樹脂層202の端部に近い部分において、樹脂層201側に設けられた導電層と接続体543により電気的に接続されている。これにより、樹脂層201側に配置されるFPC374やIC等から電極562に電位や信号を供給することができる。
接続体543としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子としては、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることができる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。またニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用いることが好ましい。また接続体543として、弾性変形、または塑性変形する材料を用いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体543は、図11に示すように上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体543と、これと電気的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良などの不具合の発生を抑制することができる。
接続体543は、接着層517に覆われるように配置することが好ましい。例えば硬化前の接着層517に接続体543を分散させておけばよい。
樹脂層201の端部に近い領域には、接続部506が設けられている。接続部506は、接続層519を介してFPC374と電気的に接続されている。図11に示す構成では、配線367の一部と、電極311bと同一の導電膜を加工して得られた導電層を積層することで接続部506を構成している例を示している。
以上が表示パネル800についての説明である。
〔表示素子について〕
表示面側に位置する第1の画素が有する表示素子には、外光を反射して表示する素子を用いることができる。このような素子は、光源を持たないため、表示の際の消費電力を極めて小さくすることが可能となる。第1の画素が有する表示素子には、代表的には反射型の液晶素子を用いることができる。または、第1の画素が有する表示素子として、シャッター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子、光干渉方式のMEMS素子の他、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した素子などを用いることができる。
また、表示面側とは反対側に位置する第2の画素が有する表示素子は光源を有し、その光源からの光を利用して表示する素子を用いることができる。このような画素が射出する光は、その輝度や色度が外光に左右されることがないため、色再現性が高く(色域が広く)、且つコントラストの高い、つまり鮮やかな表示を行うことができる。第2の画素が有する表示素子には、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)、QLED(Quantum−dot Light Emitting Diode)などの自発光性の発光素子を用いることができる。または、第2の画素が有する表示素子として、光源であるバックライトと、バックライトからの光の透過光の光量を制御する透過型の液晶素子とを組み合わせたものを用いてもよい。
〔液晶素子〕
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えばVAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード等が適用された液晶素子を用いることができる。
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
反射型の液晶素子を用いる場合には、表示面側に偏光板を設ける。またこれとは別に、表示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
〔発光素子〕
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流又は電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、LED、QLED、有機EL素子、無機EL素子等を用いることができるが、実施の形態3及び実施の形態4で説明した発光素子を用いることが好ましい。
本実施の形態では、特に発光素子は、トップエミッション型の発光素子を用いることが好ましい。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層が電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
EL層には先の実施の形態3で挙げた低分子系化合物、高分子系化合物、無機化合物を用いることができる。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
〔接着層〕
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入することを抑制でき、表示パネルの信頼性が向上するため好ましい。
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジルコニウム等を用いることができる。
〔接続層〕
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
〔着色層〕
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含まれた樹脂材料などが挙げられる。
〔遮光層〕
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態で示した構成と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態3及び実施の形態4に示す発光素子をその一部に含む電子機器について説明する。実施の形態3及び実施の形態4記載の発光素子は、本発明の一態様に係る化合物を含む発光素子を含むことから、消費電力が低減された、信頼性の良好な発光素子であり、その結果、本実施の形態に記載の電子機器は、消費電力が低減された、信頼性の良好な表示部を有する電子機器とすることが可能である。また、実施の形態3及び実施の形態4に記載の発光素子は、駆動電圧の低い発光素子であるため、駆動電圧の低い電子機器とすることが可能である。
上記発光素子を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を以下に示す。
図12(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、表示部7103は、実施の形態3または実施の形態4で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は本発明の一態様に係る有機化合物を含むため発光効率の良好な発光素子とすることが可能である。また、駆動電圧の低い発光素子とすることが可能である。そのため、当該発光素子で構成される表示部7103を有するテレビ装置は消費電力の低減されたテレビ装置とすることができる。また、駆動電圧の低いテレビ装置とすることが可能である。
テレビジョン装置の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図12(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、このコンピュータは、実施の形態3または実施の形態4で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して表示部7203に用いることにより作製される。当該発光素子は、本発明の一態様に係る化合物を含むため発光効率の良好な発光素子とすることが可能である。また、駆動電圧の低い発光素子とすることが可能である。そのため、当該発光素子で構成される表示部7203を有するコンピュータは消費電力の低減されたコンピュータとすることができる。また、駆動電圧の低いコンピュータとすることが可能である。
図12(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には、実施の形態3及び実施の形態4で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図12(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304及び表示部7305の両方、または一方に実施の形態3及び実施の形態4で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図12(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図12(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。上述のような表示部7304を有する携帯型遊技機は、表示部7304に用いられている発光素子が、本発明の一態様に係る化合物を含むことによって、良好な発光効率を有することから、消費電力の低減された携帯型遊技機とすることができる。また、表示部7304に用いられている発光素子が本発明の一態様に係る化合物を含むことによって、低い駆動電圧で駆動させることができることから、駆動電圧の低い携帯型遊技機とすることができる。
図12(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機は、実施の形態3及び実施の形態4で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して作製された表示部7402を有している。当該発光素子は、本発明の一態様に係る化合物を含むため発光効率の良好な発光素子とすることが可能である。また、駆動電圧の低い発光素子とすることが可能である。そのため、当該発光素子で構成される表示部7402を有する携帯電話機は消費電力の低減された携帯電話機とすることができる。また、駆動電圧の低い携帯電話機とすることが可能である。
図12(D)に示す携帯電話機は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる構成とすることもできる。この場合、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態4に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
以上の様に、実施の形態3及び実施の形態4で説明したような、本発明の一態様に係る化合物を含む発光素子を備えた発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。また消費電力の低減された電子機器を得ることができる。また、駆動電圧の低い電子機器を得ることができる。
また、本発明の一態様に係る化合物を含む発光素子は、光源装置に用いることもできる。一態様を、図13を用いて説明する。なお、光源装置とは、本発明の一態様に係る化合物を含む発光素子を光の照射手段として有し、且つ少なくとも当該発光素子へ電流を供給する入出力端子部を有するものとする。また、当該発光素子は、封止手段によって、外部雰囲気より遮断されていることが好ましい。
図13は、本発明の一態様に係る化合物を含む発光素子をバックライトに適用した液晶表示装置の一例である。図13に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903には、上記化合物を含む発光素子が用いられおり、端子906により、電流が供給されている。
上記化合物を含む発光素子を液晶表示装置のバックライトに適用したことにより、消費電力の低減されたバックライトが得られる。また、上記化合物を含む発光素子を用いることで、面発光の照明装置が作製でき、また大面積化も可能である。これにより、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、上記化合物を含む発光素子を適用したバックライトは発光装置を従来と比較し厚みを小さくできるため、表示装置の薄型化も可能となる。
図14は、本発明の一態様に係る化合物を含む発光素子を、照明装置である電気スタンドに用いた例である。図14に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として上記化合物を含む発光素子が用いられている。
図15は、本発明の一態様に係る化合物を含む発光素子を、室内の照明装置3001に適用した例である。上記化合物を含む発光素子は消費電力の低減された発光素子であるため、消費電力の低減された照明装置とすることができる。また、上記化合物を含む発光素子は、大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、上記化合物を含む発光素子は厚みが小さいため、薄型化した照明装置を作製することが可能となる。また、図15は、本発明の一態様に係る化合物を含む発光素子を、表示装置3002に適用した例である。
本発明の一態様に係る化合物を含む発光素子は、自動車のフロントガラスやダッシュボードにも搭載することができる。図16に上記化合物を含む発光素子を自動車のフロントガラスやダッシュボードに用いる一態様を示す。表示領域5000乃至表示領域5005は上記化合物を含む発光素子を用いて設けられた表示である。
表示領域5000と表示領域5001は自動車のフロントガラスに設けられた上記化合物を含む発光素子を搭載した表示装置である。上記化合物を含む発光素子は、第1の電極と第2の電極を透光性を有する電極で作製することによって、反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置とすることができる。シースルー状態の表示であれば、自動車のフロントガラスに設置したとしても、視界の妨げになることなく設置することができる。なお、駆動のためのトランジスタなどを設ける場合には、有機半導体材料による有機トランジスタや、酸化物半導体を用いたトランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いると良い。
表示領域5002はピラー部分に設けられた上記化合物を含む発光素子を搭載した表示装置である。表示領域5002には、車体に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を補完することができる。また、同様に、ダッシュボード部分に設けられた表示領域5003は車体によって遮られた視界を、自動車の外側に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高めることができる。見えない部分を補完するように映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。
表示領域5004や表示領域5005はナビゲーション情報、スピードメーターやタコメーター、走行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その他様々な情報を提供することができる。表示は使用者の好みに合わせて適宜その表示項目やレイアウトを変更することができる。なお、これら情報は表示領域5000乃至表示領域5003にも設けることができる。また、表示領域5000乃至表示領域5005は照明装置として用いることも可能である。
本発明の一態様に係る化合物は、有機薄膜太陽電池など電子デバイスにも用いることができる。より具体的には、キャリア輸送性があるため、キャリア輸送層、キャリア注入層に用いることができる。また、光励起が生じるため、発電層として用いることもできる。
本実施例では、本発明の一態様に係る有機化合物の一つである、N,N−ビス[4−(6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)フェニル]−4−アミノ−p−テルフェニル(略称:BnfBB1TP)(構造式(103))の合成方法と該化合物の物性について説明する。
<合成例1>
(ステップ1:4−(4−ビフェニリル)トリフェニルアミンの合成)
1000mL三つ口フラスコへ28g(85mmol)の4−ブロモトリフェニルアミンと、17g(85mmol)の4−ビフェニルボロン酸と、0.92g(3.0mmol)のトリ(オルト−トリル)ホスフィンと、340mLのトルエンと、85mLのエタノールと、100mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を入れ、この混合物を減圧脱気してから系内を窒素気流下とした。この混合物を60℃に加熱してから、0.22g(1.0mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、この混合物を80℃で5時間半撹拌した。撹拌後、室温まで冷却し、析出した固体を吸引ろ過により回収し、水、エタノール、トルエンを用いて洗浄したところ、目的物の淡褐色固体を29g、収率86%で得た。ステップ1の合成スキームを下式(A−1)に示す。
(ステップ2:N,N−ビス(4−ブロモフェニル)−4−アミノ−p−テルフェニルの合成)
2L三角フラスコへ、12g(30mmol)の4−(4−ビフェニリル)トリフェニルアミンと、1.5Lの酢酸エチルを加えた後、この混合物を加熱撹拌して、4−(4−ビフェニリル)トリフェニルアミンを良く溶かした。目視で溶けたことを確認してから、11g(60mmol)のN−ブロモサクシンイミド(NBS)を加えてから、この溶液を室温で2日間撹拌した。撹拌後得られた溶液を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を自然濾過し、ろ液を濃縮したところ、目的物の白色固体を12g、収率73%で得た。ステップ2の合成スキームを下式(A−2)に示す。
得られた固体の核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析データを以下に示す。
H NMR(クロロホルム−d,500MHz):δ=7.0(d、J=9.0Hz、4H)、7.13(d、J=8.5Hz、2H)、7.37(d、J=8.5Hz、5H)、7.46(t、J=8.0Hz、2H)、7.54(d、J=8.0Hz、2H)、7.63−7.68(m、6H)
また、得られた固体のH NMRチャートを図17(A)(B)に示す。なお、図17(B)は図17(A)における6.5ppmから8.0ppmの範囲の拡大図である。測定結果から目的物であるN,N−ビス(4−ブロモフェニル)−4−アミノ−p−テルフェニルが得られたことが分かった。
(ステップ3:N,N−ビス[4−(6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)フェニル]−4−アミノ−p−テルフェニル(略称:BnfBB1TP)の合成)
200mL三つ口フラスコへ、1.4g(2.5mmol)のN,N−ビス(4−ブロモフェニル)−4−アミノ−p−テルフェニルと、1.7g(5.0mmol)の6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−ボロン酸と、0.11g(0.40mmol)のトリ(オルト−トリル)ホスフィンと、20mLのトルエンと、5mLのエタノールと、5mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加え、この混合物を減圧脱気してから、系内を窒素気流下とした。この混合物を60℃に加熱した後、50mg(0.20mmol)の酢酸パラジウム(II)を加えた後、80℃で1時間半撹拌した。撹拌後、析出した固体を吸引ろ過で回収し、トルエン、水、エタノールを用いて洗浄したところ、褐色粉末を1.0g、収率41%で得た。ステップ3の合成スキームを下式(A−3)に示す。
得られた褐色粉末1.0gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.2×10−2Pa、430℃で褐色粉末を15時間加熱して行った。昇華精製後に目的物の淡黄色固体0.65g、回収率63%で得た。
得られた固体の核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析データを以下に示す。
H NMR(ジクロロメタン−d,500MHz):δ=7.34−7.39(m、7H)、7.41(t、J=7.5Hz、2H)、7.46(t、J=7.5Hz、2H)、7.53(t、J=7.5Hz、4H)、7.58−7.63(m、4H)、7.65−7.68(m、4H)、7.72−7.78(m、8H)、7.97(d、J=9.0Hz、4H)、8.06(d、J=7.5Hz、4H)、8.11(t、J=4.0Hz、4H)、8.43(d、J=8.0Hz、2H)、8.71(d、J=8.0Hz、2H)
また、得られた固体の1H NMRチャートを図18(A)(B)に示す。なお、図18(B)は図18(A)における7.0ppmから9.0ppmの範囲の拡大図である。測定結果から目的物であるBnfBB1TPが得られたことが分かった。
<BnfBB1TPの特性>
BnfBB1TPのトルエン溶液の吸収スペクトルと発光スペクトルを図19に示す。また、薄膜の吸収スペクトルと発光スペクトルを図20に示す。固体薄膜は石英基板上に真空蒸着法にて作成した。トルエン溶液の吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用いた。トルエンのみを石英セルに入れて測定したトルエンの吸収スペクトルを、BnfBB1TPのトルエン溶液の吸収スペクトルから差し引くことで、図19に示すBnfBB1TP溶液の吸収スペクトルを得た。また、薄膜の吸収スペクトルの測定には、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製 分光光度計U4100)を用いた。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用いた。
図19より、BnfBB1TPのトルエン溶液は370nm、352nm、324nm付近に吸収ピークが見られ、同様に図19より、発光波長のピークは416nm(励起波長370nm)であった。また、図20より、BnfBB1TPの薄膜は383nm、360nm、332nm、266nm付近に吸収ピークが見られ、同様に図20より、発光波長のピークは446nm付近(励起波長365nm)に見られた。BnfBB1TPは青色に発光することを確認した。本発明の一態様の化合物は発光物質や可視域の蛍光発光物質のホストとしても利用可能である。
また、BnfBB1TPの薄膜は、大気下においても凝集しにくく、形態の変化が小さい良好な膜質であることがわかった。
BnfBB1TPのHOMO準位及びLUMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定を元に算出した。算出方法を以下に示す。
測定装置としては電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600Aまたは600C)を用いた。CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製、カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE7非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20以上25℃以下)で行った。また、CV測定時のスキャン速度は、0.1V/secに統一し、参照電極に対する酸化電位Ea[V]及び還元電位Ec[V]を測定した。Eaは酸化−還元波の中間電位とし、Ecは還元−酸化波の中間電位とした。ここで、本実施例で用いる参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.94[eV]であることが分かっているため、HOMO準位[eV]=−4.94−Ea、LUMO準位[eV]=−4.94−Ecという式から、HOMO準位及びLUMO準位をそれぞれ求めることができる。
また、CV測定を100回繰り返し行い、100サイクル目の測定での酸化−還元波と、1サイクル目の酸化−還元波を比較して、化合物の電気的安定性を調べた。
この結果、BnfBB1TPの酸化電位Ea[V]の測定において、HOMO準位は−5.50eVであることがわかった。一方、LUMO準位は−2.52eVであることがわかった。また、酸化−還元波の繰り返し測定において1サイクル目と100サイクル後の波形と比較したところ、Ea測定においては79%、Ec測定においては69%のピーク強度を保っていたことから、BnfBB1TPは酸化、及び還元に対する耐性が非常に良好であることが確認された。
また、BnfBB1TPの示差走査熱量測定(DSC測定)を、パーキンエルマー社製、Pyris1DSCを用いて測定した。示差走査熱量測定は、昇温速度40℃/minにて、−10℃から320℃まで昇温した後、320℃で1分間保持してから降温速度50℃/minにて−10℃まで冷却する操作を2回連続で行った。
2サイクル目のDSC測定結果から、BnfBB1TPのガラス転移点は163℃、結晶化温度は215℃、融点は307℃であることが分かり、非常に高い耐熱性を有する物質であることが示された。
また、BnfBB1TPの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG−DTA2410SA)を用いた。測定は、大気圧において、昇温速度10℃/min、窒素気流下(流速200mL/min)の条件で行った。熱重量測定−示差熱分析において、熱重量測定から求めた重量が測定開始時の−5%となる温度(分解温度)は500℃以上であることがわかり、高い耐熱性を有する物質であることが示された。
本実施例では、本発明の一態様に係る有機化合物の一つである、4,4’−ビス(6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:BnfBB1BP)(構造式(102))の合成方法と該化合物の物性について説明する。
<合成例2>
(ステップ1:4,4’−ビス(6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)−4’’−フェニルトリフェニルアミン(略称:BnfBB1BP)の合成)
200mL三つ口フラスコへ、1.4g(3.0mmol)の4,4’−ジブロモ−4’’−フェニルトリフェニルアミンと、2.0g(6.0mmol)の6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−ボロン酸と、0.31g(1.0mmol)のトリ(オルト−トリル)ホスフィンと、12mLのトルエンと、3mLのエタノールと、5mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加え、この混合物を減圧脱気してから、系内を窒素気流下とした。この混合物を60℃に加熱した後、73mg(0.32mmol)の酢酸パラジウム(II)を加えた後、80℃で6時間半撹拌した。撹拌後、析出した固体を吸引ろ過で回収し、トルエン、水、エタノールを用いて洗浄し、得られた固体を高速液体クロマトグラフィー(移動相:クロロホルム)により精製したところ、目的物の淡黄色固体を1.1g、収率42%で得た。本合成スキームを下式(B−1)に示す。
得られた固体1.0gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.6Pa、420℃で固体を15時間加熱して行った。昇華精製後に目的物の淡黄色固体0.93g、回収率81%で得た。
得られた固体の核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析データを以下に示す。
H NMR(ジクロロメタン−d,500MHz):δ=7.33−7.38(m、7H)、7.41(t、J=7.5Hz、2H)、7.46(t、J=7.5Hz、2H)、7.52(t、J=7.5Hz、4H)、7.58−7.62(m、6H)、7.65(d、J=7.5Hz、2H)、7.74−7.78(m、4H)、7.97(d、J=9.0Hz、4H)、8.05(d、J=8.0Hz、4H)、8.11(t、J=4.0Hz、4H)、8.43(d、J=8.0Hz、2H)、8.71(d、J=8.0Hz、2H)
また、得られた固体のH NMRチャートを図21(A)(B)に示す。なお、図21(B)は図21(A)における7.0ppmから9.0ppmの範囲の拡大図である。測定結果から目的物であるBnfBB1BPが得られたことが分かった。
<BnfBB1BPの特性>
次に、BnfBB1BPのトルエン溶液の吸収スペクトルと発光スペクトルを図22に示す。また、薄膜の吸収スペクトルと発光スペクトルを図23に示す。測定方法は先に示す実施例1と同様に行った。
図22より、BnfBB1BPのトルエン溶液は370nm、350nm、324nm付近に吸収ピークが見られ、同様に図22より、発光波長のピークは404nm(励起波長360nm)であった。また、図23より、BnfBB1BPの薄膜は382nm、355nm、330nm、278nm、257nm、207nm付近に吸収ピークが見られ、同様に図23より、発光波長のピークは450nm付近(励起波長370nm)に見られた。BnfBB1BPは青色に発光することを確認した。本発明の一態様の化合物は発光物質や可視域の蛍光発光物質のホストとしても利用可能である。
また、BnfBB1BPの薄膜は、大気下においても凝集しにくく、形態の変化が小さい良好な膜質であることがわかった。
次に、BnfBB1BPのHOMO準位及びLUMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定を元に算出した。算出方法は実施例1と同様に行った。
また、CV測定を100回繰り返し行い、100サイクル目の測定での酸化−還元波と、1サイクル目の酸化−還元波を比較して、化合物の電気的安定性を調べた。
この結果、BnfBB1BPの酸化電位Ea[V]の測定において、HOMO準位は−5.51eVであることがわかった。一方LUMO準位は−2.50eVであることがわかった。また、酸化−還元波の繰り返し測定において1サイクル目と100サイクル後の波形と比較したところ、Ea測定においては79%、Ec測定においては77%のピーク強度を保っていたことから、BnfBB1BPは酸化、及び還元に対する耐性が非常に良好であることが確認された。
また、BnfBB1BPの示差走査熱量測定(DSC測定)を行った。測定方法は先に示す実施例1と同様に行った。2サイクル目のDSC測定結果から、BnfBB1BPのガラス転移点は155℃であることが明らかとなり、非常に高い耐熱性を有する物質であることが示された。
また、BnfBB1BPの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定方法は実施例1と同様に行った。熱重量測定−示差熱分析において、熱重量測定から求めた重量が測定開始時の−5%となる温度(分解温度)は500℃で以上あることがわかり、高い耐熱性を有する物質であることが示された。
本実施例では、本発明の一態様に係る有機化合物の比較物質として合成した、N,N−ビス[4−(ジベンゾフラン−4−イル)フェニル]−4−アミノ−p−テルフェニル(略称:DBfBB1TP)の合成方法と該化合物の物性について説明する。
<合成例3>
(N,N−ビス[4−(ジベンゾフラン−4−イル)フェニル]−4−アミノ−p−テルフェニル(略称:DBfBB1TP)(構造式(500))の合成)
200mL三つ口フラスコへ、2.8g(5.0mmol)のN,N−ビス(4−ブロモフェニル)−4−アミノ−p−テルフェニルと、2.1g(10mmol)のジベンゾフラン−4−ボロン酸と、0.63g(2.0mmol)のトリ(オルト−トリル)ホスフィンと、20mLのトルエンと、5mLのエタノールと、10mLの炭酸カリウム水溶液(2.0mol/L)を加え、この混合物を減圧脱気してから、系内を窒素気流下とした。この混合物を60℃に加熱した後、97mg(0.40mmol)の酢酸パラジウム(II)を加えた後、80℃で8時間半撹拌した。撹拌後、析出した固体を吸引ろ過で回収し、トルエン、水、エタノールを用いて洗浄した。また、ろ液の有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。この混合物を自然ろ過し、得られたろ液を濃縮して得た固体と、反応後に回収した固体を合わせて高速液体クロマトグラフィー(移動相:クロロホルム)により精製したところ、目的物の淡黄色固体を1.8g、収率48%で得た。本合成スキームを下式(C−1)に示す。
得られた固体1.8gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.7Pa、436℃で固体を15時間加熱して行った。昇華精製後に目的物の淡黄色固体1.6g、回収率91%で得た。
得られた固体の核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析データを以下に示す。
H NMR(クロロホルム−d、500MHz):δ=7.35−7.39(m、5H)、7.40(d、J=9.0Hz、4H)、7.44(t、J=7.5Hz、2H)、7.48(q、J=7.5Hz、4H)、7.64(t、J=7.5Hz、7H)、7.67−7.73(m、5H)、7.91−7.94(m、6H)、8.01(d、J=7.0Hz、2H)
<DBfBB1TPの特性>
DBfBB1TPのHOMO準位及びLUMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定を元に算出した。算出方法は実施例1と同様である。
DBfBB1TPの酸化電位Ea[V]の測定において、HOMO準位は−5.49eVであることがわかった。一方LUMO準位は−2.31eVであることがわかった。BnfBB1TP及び、BnfBB1BPはLUMO準位がいずれも−2.5eV程度であることから、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を有する事でジベンゾフラン骨格(DBf骨格)よりも低いLUMO準位の物質を得る事が出来ることが分かった。
また、DBfBB1TPのDSC測定及び、TG−DTA測定を実施例1と同様の方法で行ったところ、ガラス転移点は124℃、融点は258℃、分解温度は483℃であることが明らかとなった。この結果及び実施例1、実施例2から、ジベンゾフラン骨格を有するDBfBB1TPよりも、本発明のベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格を有するBnfBB1TP、及びBnfBB1BPの方が優れた耐熱性を有することが示された。また、本願の化合物は、昇華精製での回収率も高く、耐熱性に優れ、且つ昇華性も良好であることが明らかとなった。
本実施例では、本発明の一態様に係る有機化合物を含む発光素子の作製例と、当該発光素子の特性について説明する。本実施例で作製した素子構造の断面図は図1(B)と同様である。また、素子構造の詳細を表1に示す。また、使用した化合物の構造と略称を以下に示す。なお、他の化合物については先の実施例を参照すればよい。
<発光素子の作製>
≪発光素子1の作製≫
ガラス基板上に電極101として、ITSO膜をスパッタリング法にて厚さが70nmになるように形成した。なお、電極101の電極面積は、4mm(2mm×2mm)とした。次に基板上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間乾燥させた後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10−4Pa程度の真空度に保たれた真空蒸着装置に基板を入れ、170℃で30分間のベークを行った。その後、基板を30分程度放冷した。
次に、電極101上に正孔注入層111として、2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT−CN)を5nm蒸着して正孔注入層111を形成した。
次に、正孔注入層111上に第1の正孔輸送層112−aとして、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)を厚さが10nmになるように蒸着した。
次に、第1の正孔輸送層112−a上に第2の正孔輸送層112−bとして、本発明の一態様に係る有機化合物、N,N−ビス[4−(6−フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)フェニル]−4−アミノ−p−テルフェニル(略称:BnfBB1TP)を厚さが10nmとなるように蒸着した。
次に、第2の正孔輸送層112−b上に第3の正孔輸送層112−cとして、3,6−ビス[4−(2−ナフチル)フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール(略称:βNP2PC)を厚さが10nmとなるように蒸着した。
次に、第3の正孔輸送層112−c上に発光層113として、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)とN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)とを、重量比1:0.03(=cgDBCzPA:1,6mMemFLPAPrn)、且つ厚さが25nmになるように共蒸着した。なお、発光層113において、cgDBCzPAがホスト材料であり、1,6mMemFLPAPrnが発光材料である。
次に、発光層113上に、第1の電子輸送層114−bとして、cgDBCzPAを厚さが10nmになるように蒸着した。続けて、第1の電子輸送層114−b上に第2の電子輸送層114−aとして、バソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚15nmとなるように、蒸着した。
次に、第2の電子輸送層114−a上に、電子注入層115として、フッ化リチウム(LiF)を厚さが1nmになるように蒸着した。
次に、電子注入層115上に、電極102として、アルミニウム(Al)を厚さが200nmになるように形成した。
次に、窒素雰囲気のグローブボックス内において、有機EL用封止材を用いて封止するために、発光素子を形成した基板とは別の基板(対向基板)を、発光素子を形成したガラス基板に固定することで、発光素子1を封止した。具体的には、対向基板に乾燥剤を貼り、さらに相対する発光素子の形成範囲周辺に封止材を塗布した対向ガラス基板と発光素子を形成した基板とを貼り合わせ、波長が365nmの紫外光を6J/cm照射し、80℃にて1時間熱処理した。以上の工程により発光素子1を得た。
≪発光素子2の作製≫
発光素子2は、先に示す発光素子1と、第2の正孔輸送層112−bの形成工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子1と同様の作製方法とした。
発光素子2の第2の正孔輸送層112−bとして、BnfBB1BP、を厚さが10nmになるように蒸着した。
≪比較発光素子3の作製≫
比較発光素子3は、先に示す発光素子1と、第2の正孔輸送層112−bの形成工程のみ異なり、それ以外の工程は発光素子1と同様の作製方法とした。
比較発光素子3の第2の正孔輸送層112−bとして、DBfBB1TP、を厚さが10nmになるように蒸着した。
<発光素子の特性>
次に、上記作製した発光素子1、発光素子2、比較発光素子3の特性を測定した。輝度及びCIE色度の測定には色彩輝度計(トプコン社製、BM−5A)を用い、電界発光スペクトルの測定にはマルチチャンネル分光器(浜松ホトニクス社製、PMA−11)を用いた。
発光素子1、発光素子2、比較発光素子3の電流効率−輝度特性を図24に示す。また、輝度−電圧特性を図25に示す。また、外部量子効率−輝度特性を図26に示す。なお、各発光素子の測定は室温(23℃に保たれた雰囲気)で行った。
また、1000cd/m付近における、発光素子1、発光素子2、比較発光素子3の素子特性を表2に示す。
また、発光素子1、発光素子2、比較発光素子3に12.5mA/cmの電流密度で電流を流した際の電界発光スペクトルを図27示す。
図24、図26及び表2で示すように、発光素子1、発光素子2、比較発光素子3は、高い電流効率及び外部量子効率を示した。発光素子1、発光素子2、比較発光素子3の外部量子効率の最大値はそれぞれ11%以上であり、蛍光素子として極めて優れた値を示した。
なお、一対の電極から注入されたキャリア(正孔及び電子)の再結合によって生成する一重項励起子の生成確率は25%であるため、外部への光取り出し効率を25%とした場合、蛍光素子の外部量子効率の理論値は最大で6.25%となる。発光素子1、発光素子2、比較発光素子3においては、外部量子効率が11%以上であり、理論限界値よりも高い効率が得られている。この理由は、発光素子1、発光素子2、比較発光素子3において、一対の電極から注入されたキャリアの再結合によって生成した一重項励起子に由来する発光に加えて、実施の形態3で示したTTAにより三重項励起子の一部が一重項励起子に変換され、蛍光発光に寄与しているためと考えられる。本実施例では例示しないが、過渡蛍光測定を行ったところ、発光素子1、発光素子2、比較発光素子3それぞれから遅延蛍光が観測された。従って、発光素子1、発光素子2、比較発光素子3ではTTAによって理論限界値以上の外部量子効率が得られていることがわかった。
また、表2より発光素子1、発光素子2、比較発光素子3はそれぞれ1000cd/m付近で3.5V以下と駆動電圧が低いため、良好な電力効率を示した。
また、図27より発光素子1、発光素子2、比較発光素子3の電界発光スペクトルはそれぞれ、465nm付近にスペクトルピークを有し、半値全幅はそれぞれ40nm程度であったため、発光素子1、発光素子2、比較発光素子3は良好な青色の発光を示した。
<発光素子の信頼性>
次に、発光素子1、発光素子2、比較発光素子3の2mAにおける定電流駆動試験を行った。その結果を図28に示す。図28から分かるように発光素子1、発光素子2、比較発光素子3のLT70(輝度30%減少時間)はいずれも250時間を超えており、良好な信頼性を示すことが分かった。また、図28より発光素子1及び発光素子2は比較発光素子3と比較し、優れた信頼性を有していることが分かった。従って、ジベンゾフラン骨格よりもベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格の方が良好な信頼性を得るために好適であることが示された。
本実施例では、本発明の一態様に係る有機化合物の一つである、N,N−ビス[4−(ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−6−イル)フェニル]−4−アミノ−p−テルフェニル(略称:Bnf(6)BB1TP)(構造式(106))の合成方法と該化合物の物性について説明する。
<合成例4>
(ステップ1:N,N−ビス[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−4−アミノ−p−テルフェニルの合成)
200mL三つ口フラスコへ、1.7g(3.0mmol)のN,N−ビス(4−ブロモフェニル)−4−アミノ−p−テルフェニルと、1.4g(3.0mmol)のビス(ピナコラト)ジボロンと、0.10g(0.20mmol)の2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(略称:tBuXphos)と、1.3g(12mmol)の酢酸カリウムを加えた後、系内を窒素置換した。この混合物へ、30mLのキシレンを加え、この混合物を減圧脱気してから、系内を窒素気流下とした。この混合物を60℃に加熱した後、88mg(0.10mmol)の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドを加えた後、120℃で7時間半撹拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認してから、次の反応を行った。ステップ1の合成スキームを下式(D−1)に示す。
(ステップ2:Bnf(6)BB1TPの合成)
ステップ1で得られた混合物へ、2.1g(6.0mmol)の6−ヨードベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フランと、85mg(0.20mmol)のtBuXphosと、4.1g(12mmol)の炭酸セシウムを加えて、この混合物を減圧脱気してから、系内を窒素気流下とした。この混合物を60℃に加熱した後、86mg(0.10mmol)の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドを加えた後、120℃で15時間撹拌した。撹拌後、得られた混合物を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた混合物を自然濾過し、ろ液を濃縮し、固体を得た。得られた固体を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて精製したところ、目的物の淡黄色固体を1.0g、収率60%で得た。ステップ2の合成スキームを下式(D−2)に示す。
得られた0.89gの固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、アルゴンを流量15mL/minで流しながら、圧力3.1Pa、410℃で固体を15時間加熱して行った。昇華精製後に目的物の淡褐色固体を0.59g、回収率67%で得た。
得られた固体の核磁気共鳴分光法(H NMR)による分析データを以下に示す。
H NMR(クロロホルム−d,500MHz):δ=7.35−7.60(m、14H)、7.65−7.77(m、12H)、7.84(d、J=8.5Hz、1H)、7.95−8.09(m、8H)、8.39(d、J=8.5Hz、1H)、8.46−8.50(m、1H)、8.68(t、J=8.5Hz、2H)
また、得られた固体のH NMRチャートを図29(A)(B)に示す。なお、図29(B)は図29(A)における7.0ppmから9.0ppmの範囲の拡大図である。測定結果から目的物であるBnf(6)BB1TPが得られたことが分かった。
また、得られた固体のMSスペクトルをレーザー脱離イオン化法(LDI−TOFMS)により測定した。LDI−TOFMS測定には日本電子株式会社製超高分解能MALDI−TOFMSシステムを用いて行った。測定モードは、スパイラル、ポジティブモードで行い、任意の濃度のBnf(6)BB1TPクロロホルム溶液をターゲットプレートに滴下して測定を行った。レーザーパワーは40とし、200回以上の積算を行ったその結果、目的物の質量電荷比である、[M+]=829.3が確認された。よって、目的物であるBnf(6)BB1TPが得られたことが分かった。
<Bnf(6)BB1TPの特性>
次に、Bnf(6)BB1TPのトルエン溶液の吸収スペクトルと発光スペクトルを図30に示す。また、薄膜の吸収スペクトルと発光スペクトルを図31に示す。測定方法は先に示す実施例1と同様に行った。
図30より、Bnf(6)BB1TPのトルエン溶液は367nm付近に吸収ピークが見られ、同様に図30より、発光波長のピークは424nm(励起波長366nm)であった。また、図31より、Bnf(6)BB1TPの薄膜は374nm、350nm、256nm付近に吸収ピークが見られ、同様に図31より、発光波長のピークは451nm付近(励起波長380nm)に見られた。Bnf(6)BB1TPは青色に発光することを確認した。本発明の一態様の化合物は発光物質や可視域の蛍光発光物質のホストとしても利用可能である。
また、Bnf(6)BB1TPの薄膜は、大気下においても凝集しにくく、形態の変化が小さい良好な膜質であることがわかった。
次に、Bnf(6)BB1TPのHOMO準位及びLUMO準位をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定を元に算出した。算出方法は実施例1と同様に行った。
また、CV測定を100回繰り返し行い、100サイクル目の測定での酸化−還元波と、1サイクル目の酸化−還元波を比較して、化合物の電気的安定性を調べた。
この結果、Bnf(6)BB1TPPの酸化電位Ea[V]の測定において、HOMO準位は−5.50eVであることがわかった。一方LUMO準位は−2.51eVであることがわかった。また、酸化−還元波の繰り返し測定において1サイクル目と100サイクル後の波形と比較したところ、Ea測定においては88%、Ec測定においては99%のピーク強度を保っていたことから、Bnf(6)BB1TPは酸化、及び還元に対する耐性が非常に良好であることが確認された。
また、Bnf(6)BB1TPの示差走査熱量測定(DSC測定)を行った。測定方法は先に示す実施例1と同様に行った。2サイクル目のDSC測定結果から、Bnf(6)BB1TPのガラス転移点は163℃であることが明らかとなり、非常に高い耐熱性を有する物質であることが示された。
また、Bnf(6)BB1TPの熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定方法は実施例1と同様に行った。熱重量測定−示差熱分析において、熱重量測定から求めた重量が測定開始時の−5%となる温度(分解温度)は500℃で以上あることがわかり、高い耐熱性を有する物質であることが示された。
本実施例では、本発明の一態様に係る有機化合物の一つである、N,N−ビス[4−(ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン−8−イル)フェニル]−4−アミノ−p−テルフェニル(略称:Bnf(8)BB1TP)(構造式(117))の合成方法と該化合物の物性について説明する。
<合成例5>
(ステップ1:N,N−ビス[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]−4−アミノ−p−テルフェニルの合成)
200mL三つ口フラスコへ、0.56g(1.0mmol)のN,N−ビス(4−ブロモフェニル)−4−アミノ−p−テルフェニルと、0.52g(2.0mmol)のビス(ピナコラト)ジボロンと、0.85g(0.20mmol)の2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(略称:tBuXphos)と、0.39g(4.0mmol)の酢酸カリウムを加えた後、系内を窒素置換した。この混合物へ、10mLのキシレンを加え、この混合物を減圧脱気してから、系内を窒素気流下とした。この混合物を60℃に加熱した後、87mg(0.10mmol)の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドを加えた後、120℃で6時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにて原料の消失を確認してから、次の反応を行った。ステップ1の合成スキームを下式(E−1)に示す。
(ステップ2:Bnf(8)BB1TPの合成)
ステップ1で得られた混合物へ0.51g(2.0mmol)の8−クロロベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フランと、83mg(0.20mmol)のtBuXphosと、1.4g(4.0mmol)の炭酸セシウムを加えて、この混合物を減圧脱気してから、系内を窒素気流下とした。この混合物を60℃に加熱した後、82mg(0.10mmol)の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドを加えた後、120℃で15時間撹拌した。撹拌後、得られた混合物をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:537−02305)、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:066−05265)、アルミナを通して濾過し、得られたろ液を濃縮したところ、目的物の淡黄色固体を得た。ステップ2の合成スキームを下式(E−2)に示す。
また、得られた固体のMSスペクトルをLDI−TOFMSにより測定した。測定方法は実施例5に示す方法と同様に行った。上記測定から目的物の質量電荷比である[M+]=829.3が観測された。よって、Bnf(8)BB1TPが得られたことが分かった。
本実施例では、正孔輸送層112−bに本発明の一態様に係る有機化合物であるBnf(6)BB1TPを用いた発光素子について説明する。本実施例で作製した素子構造は実施例4と同様であるため、作製方法の説明は省略する。本実施例で作製した素子構造の断面図は図1(B)と同様である。また、素子構造の詳細を表3に示す。また、使用した化合物の構造と略称を以下に示す。なお、他の化合物については先の実施例を参照すればよい。
<発光素子の正孔輸送層112−c>
発光素子4及び比較発光素子5の正孔輸送層112−b上に、正孔輸送層112−cとして、3,3’−(ナフタレン−1,4−ジイル)ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)(略称:PCzN2)を10nm蒸着した。
<発光素子の特性>
次に、上記作製した発光素子4及び比較発光素子5の特性を測定した。測定は実施例4と同様の方法で行った。
発光素子4及び比較発光素子5の電流効率−輝度特性を図32に示す。また、電流密度−電圧特性を図33に示す。また、外部量子効率−輝度特性を図34に示す。
また、1000cd/m付近における発光素子4及び比較発光素子5の素子特性を表4に示す。
また、発光素子4及び比較発光素子5に12.5mA/cmの電流密度で電流を流した際の電界発光スペクトルを図35示す。
図32、図34及び表4で示すように、発光素子4及び比較発光素子5は、高い電流効率及び外部量子効率を示した。発光素子4及び比較発光素子5の外部量子効率の最大値はそれぞれ11%以上であり、蛍光素子として極めて優れた値を示した。実施例4に記載の発光素子と同様に、発光素子4及び比較発光素子5ではTTAによって理論限界以上の外部量子効率が得られていることが分かった。
また、表4より発光素子4、比較発光素子5はそれぞれ1000cd/m付近で3.2V以下と駆動電圧が低いため、良好な電力効率を示した。
また、図35より発光素子4、比較発光素子5の電界発光スペクトルはそれぞれ、465nm付近にスペクトルピークを有し、半値全幅はそれぞれ35nm程度であったため、発光素子4、比較発光素子5は良好な青色の発光を示した。
<発光素子の信頼性>
次に、発光素子4、比較発光素子5の2mAにおける定電流駆動試験を行った。その結果を図36に示す。図36から分かるように発光素子4のLT90(輝度10%減少時間)は100時間を超えており、良好な信頼性を示すことが分かった。また、図36より発光素子4は比較発光素子5と比較し、優れた信頼性を有していることが分かった。従って、ジベンゾフラン骨格よりもベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン骨格の方が信頼性を得るために好適であることが示された。
50 接着層
51 接着層
52 接着層
100 発光素子
101 電極
102 電極
103 EL層
110 発光素子
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
112−a 正孔輸送層
112−b 正孔輸送層
112−c 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
114−a 電子輸送層
114−b 電子輸送層
115 電子注入層
120 発光素子
121 ホスト材料
122 ゲスト材料
131 正孔注入材料
132 正孔輸送材料
133 正孔輸送材料
134 正孔輸送材料
135 ホスト材料
136 ゲスト材料
150 発光素子
201 樹脂層
202 樹脂層
300 表示装置
311 電極
311b 電極
340 液晶素子
351 基板
360 発光素子
360b 発光素子
360g 発光素子
360r 発光素子
360w 発光素子
361 基板
362 表示部
364 回路部
365 配線
366 回路部
367 配線
372 FPC
373 IC
374 FPC
375 IC
400 表示装置
401 トランジスタ
402 トランジスタ
403 トランジスタ
405 容量素子
406 接続部
410 画素
411 絶縁層
412 絶縁層
413 絶縁層
414 絶縁層
415 絶縁層
416 スペーサ
417 接着層
419 接続層
421 電極
422 EL層
423 電極
424 光学調整層
425 着色層
426 遮光層
451 開口
476 絶縁層
478 絶縁層
501 トランジスタ
502 電極
503 トランジスタ
505 容量素子
506 接続部
510 電極
511 絶縁層
512 絶縁層
513 絶縁層
514 絶縁層
517 接着層
519 接続層
521 発光ユニット
522 発光ユニット
523 電荷発生層
529 液晶素子
543 接続体
562 電極
563 液晶
564a 配向膜
564b 配向膜
576 絶縁層
578 絶縁層
599 偏光板
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 電極
614 絶縁物
616 EL層
617 電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
700 表示パネル
701 樹脂層
702 樹脂層
800 表示パネル
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
1001 基板
1002 下地絶縁膜
1003 ゲート絶縁膜
1006 ゲート電極
1007 ゲート電極
1008 ゲート電極
1020 層間絶縁膜
1021 層間絶縁膜
1022 電極
1025B 下部電極
1024B 電極
1025G 下部電極
1024G 電極
1025R 下部電極
1024R 電極
1026 隔壁
1028 EL層
1029 電極
1031 封止基板
1032 シール材
1033 基材
1034B 着色層
1034G 着色層
1034R 着色層
1035 黒色層(ブラックマトリックス)
1036 オーバーコート層
1037 層間絶縁膜
1040 画素部
1041 駆動回路部
1042 周辺部
2001 筐体
2002 光源
3001 照明装置
3002 表示装置
5000 表示領域
5001 表示領域
5002 表示領域
5003 表示領域
5004 表示領域
5005 表示領域
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク

Claims (24)

  1. 下記一般式(G0)で表される有機化合物。

    (但し、一般式(G0)中、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。また、A及びAはそれぞれ独立に下記一般式(g0)または(g1)で表される基である。)

    (但し、一般式(g0)及び(g1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素−ジイル基を表す。また、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。)
  2. 請求項1において、
    前記一般式(g0)及び(g1)中、R乃至R18がそれぞれ独立に、水素または、置換若しくは無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基である有機化合物。
  3. 請求項1において、
    前記一般式(g0)及び(g1)中、R及びR15がそれぞれ独立に、置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基である有機化合物。
  4. 請求項1において、
    一般式(G0)中、A及びAはそれぞれ独立に下記一般式(g0−a)または(g1−a)で表される有機化合物。

    (但し、一般式(g0−a)及び(g1−a)中、Ar及びArはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Rは水素または、置換若しくは無置換のフェニル基を表す。
  5. 下記一般式(G1)で表される有機化合物。

    (但し、一般式(G1)中、Ar乃至Ar、Ar、Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。また、R乃至R18は、それぞれ独立に水素、炭素数1乃至6の炭化水素基、炭素数3乃至6の環式炭化水素基、炭素数1乃至6のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン、炭素数1乃至6のハロアルキル基、及び置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基のいずれか一を表す。)
  6. 請求項5において、
    前記一般式(G1)中、R乃至R18がそれぞれ独立に、水素または、置換若しくは無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基であることを特徴とする有機化合物。
  7. 請求項5において、
    前記一般式(G1)中、R及びR15がそれぞれ独立に、置換または無置換の炭素数6乃至13の芳香族炭化水素基であることを特徴とする有機化合物。
  8. 下記一般式(G2)で表される有機化合物。

    (但し、一般式(G2)中、Ar乃至Ar、Ar、Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。)
  9. 下記一般式(G3)で表される有機化合物。

    (但し、一般式(G3)中、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。)
  10. 下記一般式(G4)で表される有機化合物。

    (但し、一般式(G4)中、Ar乃至Arはそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素−ジイル基を表し、Arは置換または無置換の炭素数6乃至25の芳香族炭化水素基を表し、n、m、lはそれぞれ独立に0または1の整数を表す。)
  11. 下記一般式(G5)で表される有機化合物。

    (但し、一般式(G5)中、nは0乃至3の整数を表す。)
  12. 下記構造式(102)、(103)、(106)、(117)で表される有機化合物。
  13. 陽極と、
    陰極と、
    EL層と、を有し、
    前記EL層は前記陽極と前記陰極との間に位置し、
    前記EL層が請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の有機化合物を含むことを特徴とする発光素子。
  14. 陽極と、
    陰極と、
    EL層と、を有し、
    前記EL層は前記陽極と前記陰極との間に位置し、
    前記EL層は発光層と正孔輸送層を有し、
    前記正孔輸送層は前記発光層と前記陽極との間に位置し、
    前記正孔輸送層に請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の有機化合物を含むことを特徴とする発光素子。
  15. 請求項14において、
    前記発光層が発光材料を含むことを特徴とする発光素子。
  16. 請求項14及び請求項15において、
    前記EL層はさらに正孔注入層を有し、
    前記正孔注入層は前記陽極と前記正孔輸送層とに接して設けられ、
    前記正孔注入層がアクセプタ性を有する有機化合物を含むことを特徴とする発光素子。
  17. 請求項16において、
    前記アクセプタ性を有する有機化合物が2,3,6,7,10,11−ヘキサシアノ−1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンであることを特徴とする発光素子。
  18. 請求項14乃至請求項17のいずれか一項において、
    前記正孔輸送層が第1の層、第2の層及び第3の層を有し、
    前記第1の層は前記正孔注入層と前記第2の層との間に位置し、
    前記第3の層は前記第2の層と前記発光層との間に位置し、
    前記第1の層は前記正孔注入層に接しており、
    前記第3の層は前記発光層に接しており、
    前記第1の層は第1の正孔輸送材料を含み、
    前記第2の層は請求項1乃至請求項12に記載の有機化合物を含み、
    前記第3の層は第3の正孔輸送材料を含み、
    前記発光層はホスト材料と発光材料を含み、
    前記第2の層の有機化合物のHOMO準位は前記第1の正孔輸送材料のHOMO準位よりも低く、
    前記発光層のホスト材料のHOMO準位は、前記第2の層の有機化合物のHOMO準位よりも低く、
    前記第2の層の有機化合物のHOMO準位と前記第3の正孔輸送材料のHOMO準位の差が0.3eV以下であることを特徴とする発光素子。
  19. 請求項14乃至請求項18のいずれか一項において、
    前記第1の正孔輸送材料のHOMO準位が−5.4eV以上であることを特徴とする発光素子。
  20. 請求項14乃至請求項19のいずれか一項において、前記第1の正孔輸送材料のHOMO準位と前記第2の層の有機化合物のHOMO準位との差が0.3eV以下であることを特徴とする発光素子。
  21. 請求項14乃至請求項20のいずれか一項において、前記第1の正孔輸送材料のHOMO準位と前記第2の層の有機化合物のHOMO準位との差が0.2eV以下であることを特徴とする発光素子。
  22. 請求項13乃至請求項21いずれか一項に記載の発光素子を有する発光部と、
    基板と、を有することを特徴とする発光装置。
  23. 請求項22に記載の発光装置を有する表示部と、
    アンテナ、バッテリ、筐体、スピーカ、マイク、または、操作キーと、
    を備えることを特徴とする電子機器。
  24. 請求項22に記載の発光装置と、
    筐体、接続端子、または、保護カバーと、
    を備えることを特徴とする照明装置。
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