以下、本発明に係るパワーステアリング装置の一実施例を図面に基づいて詳述する。
[第1の実施例]
(パワーステアリング装置の構成)
図1は、電動パワーステアリング装置1を示す正面図である。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置1は、運転者からの操舵力を伝達する操舵機構2と、運転者の操舵操作を補助する操舵アシスト機構3と、を備えている。操舵機構2および操舵アシスト機構3の少なくとも一部は、金属例えばアルミニウムからなるハウジング部材4内に収容されている。
なお、ハウジング部材4は、特許請求の範囲に記載の「ハウジング」に相当する。
操舵機構2は、車両の運転室内に配置された図示せぬステアリングホイールと、車両の前輪である図示せぬ2つの転舵輪と、を機械的に連結している。操舵機構2は、上記ステアリングホイールからの回転力が伝達される入力軸5と、図示せぬトーションバーを介して入力軸5に接続された出力軸6と、を有した操舵軸7、およびこの操舵軸7の回転を直線運動に変換する変換機構8を備えている。変換機構8は、出力軸6の外周に形成されたピニオン歯6a(図2参照)と、ラックバー9の外周に形成されたラック歯9a(図2参照)と、からなるラック&ピニオン機構により構成されている。ラックバー9の両端は、図示せぬタイロッドおよびナックルアームを介して対応する転舵輪にそれぞれ連結されている。
ラックバー9を収容するラックバー収容部10の軸方向両端には、図示せぬ2つのタイロッドの一端側外周を覆う蛇腹状のブーツ11,11が設置されている。ブーツ11,11は、弾性材料例えば合成ゴム材料により所定の可撓性を確保するように形成されており、ラックバー9等への水や埃等の浸入を防止している。
さらに、ラックバー収容部10の軸方向両端には、このラックバー収容部10を車体に取り付けるためのマウントブラケット12がそれぞれ設けられている。マウントブラケット12には、図示せぬゴムブッシュが設置され、このゴムブッシュを介して、ラックバー収容部10が車体に取り付けられる。
操舵アシスト機構3は、操舵機構2に操舵アシスト力を付与する電動モータ13と、この電動モータ13を駆動制御する制御装置(ECU)14と、減速機(伝達機構)であるウォームギヤ15と、を備えている。電動モータ13は、制御装置14と一体に構成されている。電動モータ13は、モータハウジング部16内に収容されている。ウォームギヤ15は、電動モータ13が出力した操舵アシスト力(回転力)を減速しつつ出力軸6に伝達する。
かかる電動パワーステアリング装置1の構成から、運転者がステアリングホイールを回転操作すると、入力軸5が回転してトーションバーが捩られ、これにより生じるトーションバーの弾性力によって、出力軸6が回転する。そして、出力軸6の回転運動が上記ラック&ピニオン機構によりラックバー9の軸方向に沿う直線運動に変換され、図示せぬ2つのタイロッドを介して同じく図示せぬナックルアームが車幅方向へと引っ張られることによって、対応した転舵輪の向きが変更される。
図2は、図1のA−A線に沿って切断したラックバー9等の断面図である。
図2に示すように、細長い円筒形のラックバー収容部10は、ウォームホイール収容部17と内部で連通するように形成されている。これにより、ハウジング部材4は、該ハウジング部材4を構成するラックバー収容部10、減速機収容部18及び後述するモータECUハウジング部19(図3参照)の全てが内部空間を介して連通するようになっている。
また、ラックバー収容部10内のラックバー9の外周に形成されたラック歯9aと、減速機収容部18内の出力軸6の外周に形成されたピニオン歯6aとが、互いに噛み合っており、これにより、上記ラック&ピニオン機構が構成されている。ラックバー収容部10は、ラックバー9と直交するようにラックバー収容部10から円筒状に突出したラックリテーナ収容部20を備えている。ラックリテーナ収容部20内には、ラックリテーナ21と、出力軸6に向けてラックバー9を付勢するばね22と、ばね22を支持する有底円筒状の閉塞部材23と、が設けられている。ばね22およびラックリテーナ21によって出力軸6に向けてラックバー9を付勢することで、ラックバー9の外周のラック歯9aと出力軸6の外周のピニオン歯6aとのバックラッシュを抑制している。
図3は、図1のB−B線に沿って切断したモータECUハウジング部19等の断面図である。
図3に示すように、電動モータ13は、三相交流電流に基づき駆動されるいわゆる三相インダクションモータである。電動モータ13は、ハウジング部材4の一部を構成するモータハウジング部16と、該モータハウジング部16内に設けられたステータ24及びロータ25と、該ロータ25の回転に伴い一体回転する駆動軸26と、を備えている。
モータハウジング部16は、ステータ24及びロータ25を内部に収容するほぼ円筒状の筒状部27と、該筒状部27のウォームギヤ15側の一端開口を閉塞する壁部である一側壁28と、筒状部27の駆動軸26軸方向ほぼ中央位置に設けられた隔壁29と、から主に構成されている。
筒状部27は、一端部27aの外径が他の部位よりも小さな段差径状に形成され、該一端部27aがウォームギヤ15の後述するウォームシャフト収容部30の開口部内に嵌合された状態で、該開口部にボルト31(図1参照)によって固定されている。
また、筒状部27は、駆動軸26軸方向の隔壁29よりも他端側の部位が、ECU14の後述するECUハウジング部32の一部を構成するようになっている。すなわち、モータハウジング部16とECUハウジング部32は、筒状部27を共有することによりモータECUハウジング部19として一体的に構成されている。
一側壁28は、ほぼ円板状に形成され、筒状部27の一端部27a側の端面にボルト33によって固定されていると共に、そのほぼ中央位置に駆動軸26の軸方向においてウォームギヤ15側に向かって開口する円形凹状の壁部凹部28aが形成されている。
また、一側壁28は、その中央部に駆動軸26の一端部26aが挿入される第1挿入孔28bが貫通形成されていると共に、ロータ25側の端面にほぼ円筒状の第1軸受収容部28cが突出形成されている。第1軸受収容部28cには、第1ボールベアリング34が収容されており、該第1ボールベアリング34を介して、駆動軸26の一端部26aが回転可能に支持されている。
隔壁29は、ほぼ円板状に形成されて筒状部27の内周に固定されていると共に、その中央位置に駆動軸26の他端部26bが挿入される第2挿入孔29aが貫通形成されている。また、隔壁29は、ロータ25側の端面にほぼ円筒状の第2軸受収容部29bが突出形成されている。第2軸受収容部29bには、第2ボールベアリング35が収容されており、第2ボールベアリング35を介して、駆動軸26の他端部26bが回転可能に支持されている。
ECU14は、ハウジング部材4の一部を構成するECUハウジング部32と、該ECUハウジング部32の内部に形成された制御回路収容部32aに収容されて電動モータ13の駆動制御等に供される制御回路36と、を備えている。
ECUハウジング部32は、モータハウジング部16の一部でもある筒状部27及び隔壁29と、円筒状のケーシング部材37と、該ケーシング部材37の筒状部27と反対側の開口端を閉塞するカバー部材38と、から主に構成されている。ケーシング部材37は、筒状部27の他端部27b側の開口端にボルト39(図1参照)によって固定されている。カバー部材38は、ケーシング部材37の筒状部27と反対側の開口端にボルト40(図1参照)によって固定されている。また、ECUハウジング部32は、隔壁29の第2挿入孔29aを介してモータハウジング部16と内部で連通するようになっている。
制御回路36は、回路基板やマイクロコンピュータ等から構成されるものであって、パワーモジュール41および制御モジュール42を備えている。パワーモジュール41は、車両に搭載された図示外のバッテリから供給された電力に基づき、電動モータ13に供給する三相交流電力を生成する。制御モジュール42は、パワーモジュール41のうちMOS−FETに代表されるような図示外のスイッチング素子を駆動制御する。
図3に示すように、ウォームギヤ15は、電動モータ13の駆動軸26の一端部26aに軸継手43を介して一体回転可能に接続されたウォームシャフト44と、出力軸6の下端部に固定された合成樹脂製のウォームホイール45と、を備えている。ウォームシャフト44の外周には、歯部44aが形成されている。また、ウォームホイール45の外周には、ウォームシャフト44の歯部44aと噛み合う歯部45aが形成されている。
減速機収容部18は、ウォームシャフト44を内部に収容するほぼ有底円筒状のウォームシャフト収容部30と、該ウォームシャフト収容部30と連通し、内部にウォームホイール45を収容する扁平円筒状のウォームホイール収容部17と、から構成されている。また、減速機収容部18は、ウォームシャフト収容部30に接続されたモータECUハウジング部19に対して一側壁28の第1挿入孔28bを介して内部が連通するようになっている。
図4は、電動モータ13及びECU14の内部構造をモータの回転軸線方向に沿って切断して示す縦断面図である。
一側壁28には、後述する水分検知センサ46の第1,第2電極47,48が挿入される貫通孔28dが、駆動軸26の軸方向に沿って貫通形成されている。
この貫通孔28dは、断面ほぼ長円形状に形成され、一側壁28の第1ボールベアリング34や第2ボールベアリング35よりも鉛直方向下側の位置となる壁部凹部28aの鉛直方向下端部に配置されていると共に、その内部には、樹脂材料またはゴム材料で形成され、第1,第2電極47,48と貫通孔28dとの間を液密にシールする扁平な長円柱状のグロメット49が設けられている。
パワーモジュール41は、ECUハウジング部32のうちヒートシンクとしての機能を有するカバー部材38の内端面に付設されている。また、パワーモジュール41は、その基板上にパワーモジュール41によって生成された三相交流電力を出力する図示外の3つの電流出力端子を有している。この各電流出力端子には、制御回路36の一部を構成する3つのバスバー50u,50v,50wの各一端部がそれぞれ接続されている。
この各バスバー50u,50v,50wは、隔壁29のECUハウジング部32側の端面に隣接配置された樹脂製のバスバーモールド部材51内にインモールドされている。また、各バスバー50u,50v,50wは、それぞれ他端部が図示外の各中継端子を介して電動モータ13の対応するコイル52(図5参照)に接続され、パワーモジュール41によって生成された三相交流電力を電動モータ13へ供給するようになっている。
制御モジュール42は、ガラスエポキシ樹脂に代表されるような非導電性樹脂材料からなる基板53の表裏両面にそれぞれ図示外の導体パターンを形成し、該導体パターン上にマイクロコンピュータ54を含む多数の電子部品が搭載されることにより構成されている。制御モジュール42は、ECUハウジング部32内のパワーモジュール41よりも電動モータ13側の位置に配置されている。
マイクロコンピュータ54は、電動モータ13の制御にかかるモータ指令信号の演算処理や、電動パワーステアリング装置1に異常が発生した際のフェールセーフ処理といった種々の処理を行う。
ハウジング部材4の内部には、該ハウジング部材4の内部に水分が浸入した際にこれを検知する水分検知センサ46が設けられている。
この水分検知センサ46は、ウォームシャフト収容部30内の水分検知に基づきハウジング部材4の内部への水分の浸入を検知するものであって、導電性材料によってほぼ円柱棒状に形成された一対の第1,第2電極47,48から主に構成されている。
これら第1,第2電極47,48は、それぞれ大部分がモータECUハウジング部19内に収容され、ECU14側の一端部が制御回路36に電気的に接続されている。一方、他端部が一側壁28に形成された貫通孔28dを貫通してウォームシャフト収容部30内に突出しており、この各突出部が水分検知に供される第1,第2水分検知部55,56として機能している。第1,第2水分検知部55,56の鉛直方向下側には、ウォームシャフト収容部30内に浸入した水分を保持する水受け部57が設けられている。
また、第1,第2電極47,48は、各水分検知部55,56から貫通孔28dを介してモータECUハウジング部19内に延びるように形成され、制御回路36と電気的に接続されることで該制御回路36と各水分検知部55,56との間の電気信号の伝達を行う第1,第2伝達部58,59を備えている。第1,第2伝達部58,59は、適宜折曲しつつも第1,第2水分検知部55,56からモータハウジング部16内を通って制御回路収容部32aに延びるように形成されている。第1,第2伝達部58,59は、バスバーモールド部材51と接する部位が、該バスバーモールド部材51に一体成形された伝達部保持部である第1,第2伝達部保持孔51a,51bにインモールドされている。また、第1,第2伝達部58,59は、モータハウジング部16内に設けられる範囲の外周部において、それぞれ絶縁材料60によって被覆されている。
第1,第2伝達部58,59は、制御回路収容部32a内に延びる各一端部が、それぞれ制御回路36の基板53に設けられたコネクタ部61a,61bに駆動軸26の軸方向に沿って差し込まれることによって、制御回路36に保持されると共に電気的に接続されている。
ここで、制御回路36は、常時あるいは一定の周期毎に両水分検知部55,56のうち一方の水分検知部に電気信号を出力すると共に、他方の水分検知部を監視し、該他方の水分検知部から電気信号が入力されることをもってハウジング部材4の内部に水が浸入したものと判断する。例えばブーツ11が破損して該破損部位から水分がハウジング部材4の内部に浸入した後、この水分がウォームシャフト収容部30内に到達して水受け部57に滴下する。通常時には離間により非導通状態に維持されている両水分検知部55,56が水分を介して導通する水分検知状態となり、制御回路36から第1伝達部58を介して第1水分検知部55に出力された電気信号が第2水分検知部56から第2伝達部59を介して制御回路36に入力される。制御回路36は、この第2水分検知部56からの電気信号の入力をもってハウジング部材4の内部に水が浸入したものと判断する。
なお、上記第1,第2電極47,48は、特許請求の範囲に記載の「第1端子部」および「第2端子部」にそれぞれ相当する。
図5は、電動モータ13のステータ24を示す縦断面図である。
ステータ24は、磁性材料によって形成された図示せぬ円筒状のステータコアと、該ステータコアに巻回されたコイル52と、を備えており、ステータコアは、図5に示すほぼT字状の分割コア62を円環状に複数設けることにより形成されている。
分割コア62は、プレスにより打ち抜かれた複数の薄板を積層して形成されている。分割コア62は、駆動軸26の円周方向に沿って延びる円弧状のコアバック62aと、該コアバック62aの内周面から突出したティース62bと、を備えていると共に、ティース62bの外周にはコイル52が巻回されている。また、分割コア62のコイル52が当接する箇所、すなわち、コアバック62aの内周面とティース62bの外面には非導電性の樹脂材料によって形成されたボビン63が装着され、該ボビン63によってコイル52が電気的に絶縁された状態で保持されている。
さらに、コアバック62aの外周面の所定位置には、駆動軸26の軸方向に沿って断面矩形状のステータコア凹部64が凹設されている。
また、ステータ24は、金属材料によりほぼ円筒状に形成されたステータカバー65によって包囲された状態で、モータハウジング部16内へ収容されるようになっている。
第1,第2伝達部58,59は、図5に示すように、ステータ24と実質的に一体となる部位のうち少なくとも一部が電動モータ13を構成するステータコア凹部64とステータカバー65との間に収容配置されている。
図6は、図4の指示線C部を拡大して示す拡大断面図である。
図6に示すように、第1,第2水分検知部55,56は、貫通孔28dの形成位置の関係から、自ずと第1,第2ボールベアリング34,35よりも鉛直方向下側に配置されるようになっている。
また、第1,第2水分検知部55,56は、それぞれ直線状に形成され、互いにほぼ平行でかつ径方向に僅かに離間した非接触状態でウォームシャフト収容部30内に配置されている。
図7は、水分検知センサ46、グロメット49及び水受け部57を示す斜視図である。
水受け部57は、グロメット49に対して一体に成形されてなるもので、U字状の保持部57aと、堰部57bと、を備えている。保持部57aは、グロメット49のウォームシャフト収容部30側の端面から駆動軸26軸方向に沿って突出し、鉛直方向上方に向かって開口している。堰部57bは、保持部57aの先端側(反グロメット49側)に設けられて保持部57aに滴下した水分を堰き止める。
保持部57aは、一側壁28の壁部凹部28aの内周面下部に対して僅かに鉛直方向上方へ離間した位置に設けられている。また、保持部57aの内部には、第1,第2水分検知部55,56のそれぞれ少なくとも一部が収容されており、保持部57a内に滴下した水分の量が所定以上になると該水分を介して第1,第2水分検知部55,56が導通するようになっている。
堰部57bは、その上部側に第1,第2水分検知部55,56の先端部55a,56aとそれぞれ係合する円弧溝状の第1,第2水受け部側係合部57c,57dが形成されている。これら第1,第2水受け部側係合部57c,57dは、互いに径方向に離間して設けられており、第1,第2水分検知部55,56が係合した際に、該第1,第2水分検知部55,56をそれぞれ離間した状態で保持するようになっている。
すなわち、本実施例では、堰部57bのうち第1水受け部側係合部57cと第2水受け部側係合部57dとの間の肉部が、第1,第2水分検知部55,56の間に設けられ、該第1水分検知部55と第2水分検知部56とを所定距離離間させるスペーサ部材として機能するスペーサ部57eとして構成されている。
図8は、制御回路36による水分検出処理及び異常判断処理の概略を示すブロック図である。
制御回路36は、水分検知センサ46によってハウジング部材4の内部の水分が検知された際に、電動パワーステアリング装置1に異常が発生したものとして種々の異常対応処理を行う異常対応部66を有している。
この異常対応部66は、マイクロコンピュータ54内のソフトウェアとして制御回路36に設けられている。異常対応部66は、図8に示すように、水分検知センサ46による水分検知の情報を記憶する記憶部67と、ハウジング部材4内の水分の有無を判断する第1異常判断部69と、後述する水分検知回路68A〜68Dの異常の有無を判断する第2異常判断部70と、を備えている。第1異常判断部69は、後述する水分検知回路68A〜68Dの出力信号である電圧VOUTの変化に基づき水分の有無を判断する。
また、異常対応部66には、水分検知センサ46による水分検知に際して、車両に搭載されたスピーカ71や図示外のインストルメントパネルに設けられた警告灯72に警告信号を出力する警告信号出力部73と、を備えている。スピーカ71は警告信号出力部73から警告信号が入力されると警告音を発する一方、警告灯72は警告信号出力部73から警告信号が入力されると点灯し、いずれも運転者に対して注意を喚起する。
(水分検知回路の構成)
図9は、水分検知の基本的な論理を説明するための通常時の水分検知回路68Aを示す概略的な電気回路図である。
水分検知回路68Aは、第1,第2水分検知部55,56(図8参照)とA/Dコンバータとの間、より詳細には、第1,第2電極47,48と制御装置14内のA/Dコンバータとの間に設けられている。水分検知回路68Aは、第1,第2電極47,48と制御装置14とを電気的に接続する接続回路74を備えている。接続回路74は、所定の電圧が印加される電圧印加部VCCと、第1抵抗R1と、第2抵抗R2と、ノイズ除去用の第3抵抗R3と、接地75と、を備えている。ここで、第1,第2抵抗R1,R2は、共に数十kΩであり、第3抵抗R3は、数kΩである。本実施例では、電圧印加部VCCは、例えば5Vであり、第1,第2抵抗R1,R2は、共に、例えば10kΩである。
図9に示すように、接続回路74では、第1コンデンサC1の正極が、第1電極47、第1抵抗R1の一端、第2抵抗R2の一端および第3抵抗R3の一端に電気的に接続されている。第1抵抗R1の他端は、電圧印加部VCCに電気的に接続されている。第3抵抗R3の他端および第2コンデンサC2の正極は、共通接続点76を介してA/Dコンバータに電気的に接続されている。
また、同じく図9に示すように、接続回路74では、第1コンデンサC1の負極が、第2電極48に電気的に接続されるとともに、第2抵抗R2と接地75との間の共通接続点77を介して第2抵抗R2の他端、第2コンデンサC2の負極および接地75に電気的に接続されている。
上記のように構成された接続回路74において、通常時つまりハウジング部材4の内部に水分が浸入していないときは、電流が、図9に実線矢印78Aで示すように流れている。具体的には、通常時には、電圧印加部VCCから第1抵抗R1を介して共通接続点79に流れた電流が、第3抵抗R3を介してA/Dコンバータに流れるとともに、第2抵抗R2を介して接地75に流れている。このとき、A/Dコンバータにかかる電圧VOUTは、オームの法則により、2.5Vとなる。
図10は、水分検知の基本的な論理を説明するための水分浸入時の水分検知回路68Aを示す概略的な電気回路図である。
図10の水分検知回路68Aでは、ハウジング部材4の内部に水分が浸入したことにより第1,2電極47,48の間が短絡し、これにより、抵抗RWが生じる。本実施例では、抵抗RWは、例えば10Ωである。
水分検知回路68Aの接続回路74では、ハウジング部材4への水分浸入時に、電流が、図10に破線矢印80Aで示すように流れている。具体的には、水分浸入時に、電圧印加部VCCから第1抵抗R1を介して共通接続点79に流れた電流が、第3抵抗R3を介してA/Dコンバータに流れ、第2抵抗R2を介して接地75に流れ、さらに、共通接続点79から抵抗RWを介して共通接続点77に流れている。このとき、電圧VOUTは、0.0049Vとなる。
図11は、ハウジング部材4への水分浸入前後におけるA/Dコンバータにかかる電圧VOUTの変化を示す図である。
図11では、ハウジング部材4に水分が浸入したときを示す時間t1までは、電流が実線矢印78Aに沿って流れており(図9参照)、電圧VOUTは、所定の閾値Aよりも高い2.5Vとなっている。一方、時間t1において、水分が浸入すると、電流が、破線矢印80Aに沿って流れ(図10参照)、電圧VOUTは、閾値Aよりも低い0.0049Vまで降下する。
このように、第1の実施例では、第1異常判断部69は、水分の浸入前に閾値Aよりも高かった電圧VOUTが、水分浸入後に閾値Aよりも低い値に正常に降下したことをもって、ハウジング部材4内に水分が有ると判断することができる。
図12は、第1の実施例の水分検知回路68Bの概略的な電気回路図である。
水分検知回路68Bの接続回路74は、水分検知回路68Aの電圧印加部VCC、第1〜第3抵抗R1〜3、第1,2コンデンサC1,C2および接地75に加えて、ノイズ除去用の第4,5抵抗R4,R5および第1のスイッチング回路81を備えている。ここで、電圧印加部VCC、第1抵抗R1および第2抵抗R2は、水分検知回路68Aと同様に、それぞれ、5V、10kΩ、10kΩである。第1のスイッチング回路81は、水分検知回路68Bの異常(故障)の有無を判断するための初期診断を行うために設けられた回路である。第1のスイッチング回路81は、スイッチング素子例えば電界効果トランジスタである。本実施例では、第1のスイッチング回路81を、MOSトランジスタ(MOS−FET)であるFET1とする。
なお、第1のスイッチング回路81は、特許請求の範囲に記載の「スイッチング回路」に相当する。
図12に示すように、接続回路74では、第1コンデンサC1の正極が、第1電極47、FET1のドレイン、第1抵抗R1の一端、第2抵抗R2の一端および第3抵抗R3の一端に電気的に接続されている。第1抵抗R1の他端は、電圧印加部VCCに電気的に接続されている。第3抵抗R3の他端および第2コンデンサC2の正極は、共通接続点76を介してA/Dコンバータに電気的に接続されている。FET1のゲートは、共通接続点82を介して第4抵抗R4の一端および第5抵抗R5の一端に電気的に接続されている。第4抵抗R4の他端は、CPUポートに電気的に接続されている。
また、同じく図12に示すように、接続回路74では、第1コンデンサC1の負極が、第2電極48およびFET1のソースに電気的に接続されるとともに、共通接続点77を介して第2抵抗R2の他端、第5抵抗R5の他端、第2コンデンサC2の負極および接地75に電気的に接続されている。FET1のソースは、共通接続点77に電気的に接続されている。
図12では、FET1がオフのときに、図12に実線矢印78Bで示すように、電圧印加部VCCから第1抵抗R1を介して共通接続点79に流れた電流が、第3抵抗R3を介してA/Dコンバータに流れるとともに、第2抵抗R2を介して接地75に流れる。また、FET1がオンのときに、図12に破線矢印80Bで示すように、電圧印加部VCCから第1抵抗R1を介して共通接続点79に流れた電流が、第3抵抗R3を介してA/Dコンバータに流れ、第2抵抗R2を介して接地75に流れ、さらに、FET1を介して共通接続点77に流れる。なお、FET1のオン、オフの切換は、イグニッション・オンのときに行われる。
接続回路74は、FET1をオフからオンに切り換え、電圧印加部VCCに印加された所定の電圧をFET1を介して共通接続点77に分圧する分圧回路90を構成している。分圧回路90は、FET1のオフからオンへの切り換えにより、水分が浸入したときの回路(図10参照)と実質的に同様の分圧回路を構成し、水分が浸入した状態を擬似的に生じさせている。
図13は、第1の実施例の水分検知回路68Bの異常(故障)に関する初期診断の説明図である。
水分検知回路68Bの初期診断は、イグニッション・オンのときに時間t1においてFET1のオン、オフを切り換えることにより行われ、FET1がオフのときに実行される第1診断と、FET1がオンのときに実行される第2診断と、から構成されている。
第1診断では、電流が実線矢印78Bに沿って流れており(図12参照)、電圧VOUTは、2.5Vとなっている。ここで、2.5Vの電圧VOUTは、閾値Bと該閾値Bよりも低い閾値Cとの間にある。本実施例では、説明の便宜上、閾値Bを例えば4Vとしておく。
また、第2診断では、電流が破線矢印80Bに沿って流れており(図12参照)、電圧VOUTは、閾値Dよりも低い0Vとなっている。ここで、閾値Dは、閾値Cよりも低い値に設定されている。なお、本実施例では、説明の便宜上、閾値Dを例えば1Vとしておく。
次に、表1を参照して、第2の実施例の水分検知回路68Bの部品毎の異常(故障)に関する初期診断について説明する。
表1において、第1診断および第2診断の上側に位置した値は、A/Dコンバータにかかる電圧VOUTを示しており、下側の「OK」または「NOK(=NOT OK)」は、第1診断や第2診断での合否判断が示されている。
第1診断における「OK」は、電圧VOUTが閾値Bと閾値Cとの間にあるときを示しており、「NOK」は、電圧VOUTが閾値Bと閾値Cとの間にないときを示している。また、第2診断における「OK」は、電圧VOUTが閾値Dよりも低いときを示しており、「NOK」は、電圧VOUTが閾値Dよりも高いときを示している。
水分検知回路68Bの初期診断では、第2異常判断部70は、第1診断において、電圧VOUTが閾値Bと閾値Cとの間にあり、さらに、第2診断において、電圧VOUTが閾値Dよりも低い値に降下したことをもって、水分検知回路68が正常であると判断する。これにより、初期診断の結果が「合格」となり、電動パワーステアリング装置1では、操舵アシスト機構3により、運転者の操舵操作が補助される。
一方、初期診断では、第1診断において、電圧VOUTが閾値Bと閾値Cとの間から外れている、または、第2診断において、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっている場合には、水分検知回路68Bが異常であると判断する。これにより、初期診断の結果が「不合格」となり、操舵アシスト機構3による運転者の操舵操作の補助が行われず、スピーカ71や警告灯72を介して、運転者に異常を知らせる(図8参照)。
初期診断1において、第1抵抗R1が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断1の診断結果は、第1診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
また、初期診断2において、第2抵抗R2が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断2の診断結果は、第1診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断3において、第3抵抗R3が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断3の診断結果は、第1診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
また、初期診断4において、第1コンデンサC1が短絡故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断4の診断結果は、第1診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断5において、第2コンデンサC2が短絡故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断5の診断結果は、第1診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
また、初期診断6において、FET1が短絡故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断6の診断結果は、第1診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断7において、FET1が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっており、「NOK」の判断がなされる。よって、初期診断7の診断結果は、第2診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
また、初期診断8において、第4抵抗R4が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっており、「NOK」の判断がなされる。よって、初期診断8の診断結果は、第2診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断9において、第5抵抗R5が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断9の診断結果は、第1診断および第2診断の双方で「OK」の判断がなされているため、「合格」となる。
また、初期診断10において、CPUが故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっており、「NOK」の判断がなされる。よって、初期診断10の診断結果は、第2診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断11において、水検知状態にあるときに、第1診断において、電流が実線矢印78B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が破線矢印80B(図12参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断11の診断結果は、第1診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
ここで、水検知状態とは、図12の水分検知回路68BにおいてFET1をオンにすることにより、水分が浸入した状況を擬似的に生じさせており、この状況を検知している状態である。
第1の実施例では、FET1のオフからオンへの切り換えに伴う電圧VOUTの変化により、水分検知回路68Bの異常を判断することができる。即ち、電圧VOUTが、FET1のオフからオンへの切り換えに伴い閾値Dを跨いで変化する、つまり降下した場合は、水分検知回路68Bが正常であり、この電圧VOUTの降下が生じない場合は、水分検知回路68Bが異常であると判断される。
このように水分検知回路68Bの異常の判断を行うことにより、例えば上記表1に記載のように、水分検知回路68Bの各部品の故障について、初期診断1〜8,10,11の「不合格」や初期診断9の「合格」を判断することができる。
例えば、上記特許文献1に記載のような電動パワーステアリング装置では、ブーツ内に設けられた水分検知センサが故障した場合には、水分がハウジング内に浸入することにより、ECU内でショートし発火を生じさせたり、ギヤが錆びて固着する虞がある。
しかし、第1の実施例において電圧VOUTの変化により水分検知回路68Bの異常を判断することで、異常の判断を比較的短時間で行い、水分の浸入による電動パワーステアリング装置1の不具合を抑制することができる。これにより、電動パワーステアリング装置1の信頼性が向上する。
[第2の実施例]
図14は、第2の実施例の水分検知回路68Cの概略的な電気回路図である。
水分検知回路68Cの接続回路74は、水分検知回路68Bの電圧印加部VCC、第1〜第5抵抗R1〜5、第1,2コンデンサC1,C2、接地75および第1のスイッチング回路81に加えて、ノイズ除去用の第6,7抵抗R6,R7および第2のスイッチング回路83を備えている。第2のスイッチング回路83は、第1のスイッチング回路81と同様にスイッチング素子例えば電界効果トランジスタである。本実施例では、第2のスイッチング回路83を、MOSトランジスタ(MOS−FET)であるFET2とする。
接続回路74では、第1コンデンサC1の正極が、第1電極47、FET1のドレイン、第1抵抗R1の一端、第2抵抗R2の一端および第3抵抗R3の一端に電気的に接続されている。第1抵抗R1の他端は、電圧印加部VCCに電気的に接続されている。FET1のゲートは、共通接続点84を介して第4抵抗R4の一端および第5抵抗R5の一端に電気的に接続されている。第4抵抗R4の他端は、CPUポートに電気的に接続されている。FET1は、FET2と直列に接続されており、FET1のソースは、共通接続点85を介してFET2のドレインに電気的に接続されている。共通接続点85は、第2電極48に電気的に接続されている。FET2のゲートは、共通接続点86を介して第6抵抗R6の一端および第7抵抗R7の一端に電気的に接続されている。FET2のソースは、第1コンデンサC1の負極、第2コンデンサC2の負極、第5抵抗R5の他端および第7抵抗R7の他端に電気的に接続されている。第6抵抗R6の他端は、CPUポートに電気的に接続されている。
図14では、FET1およびFET2の双方がオフのときに、電流が、図14に実線矢印78Cで示すように流れる。具体的には、電圧印加部VCCから第1抵抗R1を介して共通接続点79に流れた電流が、第3抵抗R3を介してA/Dコンバータに流れるとともに、第2抵抗R2を介して接地75に流れる。
また、FET1およびFET2の双方がオンのときに、電流が、図14に破線矢印80Cで示すように流れる。具体的には、電圧印加部VCCから第1抵抗R1を介して共通接続点79に流れた電流が、第3抵抗R3を介してA/Dコンバータに流れ、第2抵抗R2を介して接地75に流れ、さらに、FET1およびFET2を介して接地75に流れる。
また、FET1がオンでかつFET2がオフのときに、電流が、FET2を通して流れないため、破線矢印80Cに沿って流れることができず、実質的に実線矢印78Cに沿って流れることになる。
図15は、第2の実施例の水分検知回路68Cの異常(故障)に関する初期診断の説明図である。
水分検知回路68Cの初期診断は、イグニッション・オンのときに、時間t1においてFET1をオフからオンに切り換え、時間t2において、FET1をオンにしたまま、FET2をオフからオンに切り換えることにより行われる。この初期診断は、FET1がオフでかつFET2がオフのときに実行される第1診断と、FET1がオンでかつFET2がオフのときに実行される第2診断と、FET1がオンでかつFET2がオンのときに実行される第3診断と、から構成されている。
第1診断では、電流が実線矢印78Cに沿って流れており(図14参照)、電圧VOUTは、2.5Vとなっている。ここで、第2の実施例の第1診断には、第1の実施例の第1診断と同様の閾値B,Cが設定されている。
また、第2診断では、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れており、電圧VOUTは、2.5Vとなっている。ここで、第2の実施例の第2診断にも、第1の実施例の第1診断と同様の閾値B,Cが設定されている。
さらに、第3診断では、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れており、電圧VOUTは、0Vとなっている。ここで、第2の実施例の第3診断には、第1の実施例の第2診断と同様の閾値Dが設定されている。
次に、表2を参照して、第2の実施例の水分検知回路68Cの部品毎の異常(故障)に関する初期診断について説明する。
水分検知回路68Cの初期診断では、第2異常判断部70は、第1診断において、電圧VOUTが閾値Bと閾値Cとの間にあり、第2診断においても、電圧VOUTが閾値Bと閾値Cとの間にあり、第3診断において、電圧VOUTが閾値Dよりも低い値に降下したことをもって、水分検知回路68Cが正常であると判断する。これにより、初期診断の結果が「合格」となり、電動パワーステアリング装置1では、操舵アシスト機構3により、運転者の操舵操作が補助される。
一方、初期診断では、第2異常判断部70は、第1診断において、電圧VOUTが閾値Bと閾値Cとの間から外れていること、第2診断において、電圧VOUTが閾値Bと閾値Cとの間から外れていること、および第3診断において、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっていること、のうち少なくとも1つが成立している場合に、水分検知回路68Cが異常であると判断する。これにより、初期診断の結果が「不合格」となり、操舵アシスト機構3による運転者の操舵操作の補助が行われず、スピーカ71や警告灯72を介して、運転者に異常を知らせる(図8参照)。
初期診断1では、第1抵抗R1が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断1の診断結果は、第1診断および第2診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
また、初期診断2では、第2抵抗R2が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断2の診断結果は、第1診断および第2診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断3では、第3抵抗R3が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断3の診断結果は、第1診断および第2診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
また、初期診断4では、第1コンデンサC1が短絡故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断4の診断結果は、第1診断および第2診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断5では、第2コンデンサC2が短絡故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断5の診断結果は、第1診断および第2診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
また、初期診断6では、FET1が短絡故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断6の診断結果は、第1〜3診断の全てで「OK」の判断がなされているため、「合格」となる。
さらに、初期診断7では、FET1が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっており、「NOK」の判断がなされる。よって、初期診断7の診断結果は、第3診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
また、初期診断8では、FET2が短絡故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間から外れており、「NOK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断8の診断結果は、第2診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断9では、FET2が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっており、「NOK」の判断がなされる。よって、初期診断9の診断結果は、第3診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
また、初期診断10では、第4抵抗R4が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっており、「NOK」の判断がなされる。よって、初期診断10の診断結果は、第3診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断11では、第5抵抗R5が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断11の診断結果は、第1〜3診断の全てで「OK」の判断がなされているため、「合格」となる。
また、初期診断12では、第6抵抗R6が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっており、「NOK」の判断がなされる。よって、初期診断12の診断結果は、第3診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断13では、第7抵抗R7が断線故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断13の診断結果は、第1〜3診断の全てで「OK」の判断がなされているため、「合格」となる。
また、初期診断14では、CPUが故障しているときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも高くなっており、「NOK」の判断がなされる。よって、初期診断14の診断結果は、第3診断で「NOK」の判断がなされているため、「不合格」となる。
さらに、初期診断15では、水検知状態にあるときに、第1診断において、電流が実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第1診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。また、第2診断において、電流が実質的に実線矢印78C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが2.5Vとなっている。従って、第2診断では、電圧VOUTが、閾値Bと閾値Cとの間にあり、「OK」の判断がなされる。さらに、第3診断において、電流が破線矢印80C(図14参照)に沿って流れている状態で、電圧VOUTが0Vとなっている。従って、第3診断では、電圧VOUTが閾値Dよりも低くなっており、「OK」の判断がなされる。よって、初期診断15の診断結果は、第1〜3診断の全てで「OK」の判断がなされているため、「合格」となる。
第2の実施例では、第1の実施例と比較して、第2の診断のように診断を1段階増やした上で、第2異常判断部70は、FET1とFET2の夫々をオン状態とオフ状態に切り換え制御を行い、電圧VOUTが、閾値Dを跨いで変化する、つまり降下するか否かを判断している。つまり、第2異常判断部70は、FET1とFET2の夫々のオン、オフの状態と水分検知回路68Cからの出力である電圧VOUTの組み合わせに基づき、水分検知回路68Cの異常の有無を判断する。従って、FET1、FET2のオン、オフの切り換えの組み合わせと、切換時の水分検知回路68Cの電圧VOUTの組み合わせを複数パターンで考慮することにより、1パターンで判断する場合に比べ、水分検知回路68Cの異常に関して判断精度を向上させることができる。
例えば、第1の実施例では、表1に記載のように、初期診断6のFET1の短絡故障と初期診断11の水検知状態について、診断結果が「不合格」であった。しかし、第2の実施例では、上記表2に記載のように、初期診断6のFET1の短絡故障と初期診断15の水検知状態について、診断結果が「合格」となっている。従って、水分検知回路68Cを用いることにより初期診断の結果をさらに絞り込むことができ、これにより、異常判断の精度がより向上する。
[第3の実施例]
図4は、第3の実施例の水分検知回路68Dの概略的な電気回路図である。
第3の実施例では、図16に示すように、第1電極47が第3電極91に電気的に接続されており、一方、第2電極48が第4電極92に電気的に接続されている。そして、第1,2電極47,48が、水分検知回路68Dを介してA/Dコンバータに電気的に接続されている。
水分検知回路68Dの接続回路74は、電圧印加部VCCと、第8〜12抵抗R8〜12と、第3コンデンサC3と、接地94〜96と、を備えている。
接続回路74では、電圧印加部VCCが、第8抵抗R8の一端に電気的に接続されている。第8抵抗R8の他端が、第1電極、第9抵抗R9の一端、第10抵抗R10の一端に電気的に接続されている。第9抵抗R9の他端が、第11抵抗R11の一端および第3コンデンサC3の正極に電気的に接続されている。第11抵抗R11の他端は、A/Dコンバータに電気的に接続されている。第3コンデンサC3の負極は、接地94に電気的に接続されている。第10抵抗R10の他端は、接地95に電気的に接続されている。第12抵抗R12の一端が、第2電極48に電気的に接続されており、一方、第12抵抗R12の他端が、接地96に電気的に接続されている。
さらに、水分検知回路68Dは、第3,4電極91,92と制御装置14とを電気的に接続する第2接続回路(診断回路)93を備えており、第3,4電極91,92が、第2接続回路93を介してマイクロコンピュータポートに電気的に接続されている。
第2接続回路93は、第3のスイッチング回路97と、第13〜15抵抗R13〜15、レベルシフタ98と、接地99と、を備えている。第3のスイッチング回路97は、スイッチング素子例えば電解効果トランジスタである。本実施例では、第3のスイッチング回路97を、MOSトランジスタ(MOS−FET)であるFET3とする。
第2接続回路93において、第13抵抗R13の一端が第3電極91に電気的に接続されており、一方、第13抵抗R13の他端がFET3のドレインに電気的に接続されている。FET3のゲートは、第14抵抗R14の一端および第15抵抗R15の一端に電気的に接続されている。第14抵抗R14の他端は、レベルシフタ98の一端に電気的に接続されている。レベルシフタ98の他端は、マイクロコンピュータポートに電気的に接続されている。第15抵抗R15の他端は、接地99に接続されている。
FET3がオフのときには、電圧印加部VCCから第8抵抗R8を介して共通接続点100に流れた電流が、実線矢印78Dに示すように、第9,11抵抗R9,R11を介してA/Dコンバータに流れるとともに、第10抵抗R10を介して接地95に流れる。
FET3がオンのときには、電圧印加部VCCから第8抵抗R8を介して共通接続点100に流れた電流が、破線矢印80Dに示すように流れる。具体的には、この電流は、第9,11抵抗R9,R11を介してA/Dコンバータに流れ、第10抵抗R10を介して接地95に流れ、さらに、第1電極47、第3電極91、第13抵抗R13、FET3、第4電極92、第2電極48および第12抵抗R12を介して接地96に流れる。
第3の実施例においては、FET3のオフからオンへの切り換えに伴う電圧VOUTの変化に基づき、水分検知回路68Dの異常を判断することができる。
また、第3の実施例では、水分検知回路68Dの外部に第1電極47に電気的に接続された第3電極91と第2電極48に電気的に接続された第4電極92とが設けられ、FET3がオンのときに、電流が、第1,第2電極47,48を通して流れるようにしてある。従って、FET3のオフからオンへの切り換えに伴う電圧VOUTの変化に基づき、例えば第1,第2電極47,48の断線や水分検知センサ46内の断線も判断することができる。
また、第2接続回路93を設けたことにより、水分検知部55,56が水分を検知している際にも水分検知回路68Dの異常判断を精度よく行うことができる。
なお、上記各実施例では、スイッチング素子として電界効果トランジスタFET1,FET2を用いた例を開示したが、スイッチング素子としてリレーを用いた構成についても本発明を適用することができる。
(第1〜第3の実施例の効果)
以下に、第1〜第3の実施例のパワーステアリング装置1により得られる効果を列挙する。
(1)パワーステアリング装置は、ステアリングホイールの回転を転舵輪に伝達する操舵機構2と、操舵機構2に操舵力を付与する電動モータ13と、操舵機構2と電動モータ13の間に設けられ電動モータ13の回転力を操舵機構2に伝達するウォームギヤ15と、操舵機構2の少なくとも一部、ウォームギヤ15、および電動モータ13を収容するハウジング部材4と、ハウジング部材4内に設けられ、互いに離間して設けられた第1電極47と第2電極48を有し、水分を検知する水分検知部55,56と、マイクロコンピュータ54を有する制御装置14と、水分検知部55,56と制御装置14の間に設けられ、第1電極47および第2電極48と制御装置14とを電気的に接続する接続回路74と、接続回路74に設けられ所定の電圧が印加される電圧印加部VCCと、を備えた水分検知回路68A〜68Dと、制御装置14に設けられ、水分検知回路68A〜68Dの出力信号である電圧VOUTの変化に基づきハウジング部材4内の水分の有無を判断する第1異常判断部69と、制御装置14に設けられ、水分検知回路68B〜Dの異常の有無を判断する第2異常判断部70と、を有している。
従って、水分検知回路68B〜Dの異常判断を行うことによって、装置の信頼性を向上させることができる。
(2)水分検知回路68Bは、FET1を備え、第2異常判断部70は、FET1のオン、オフの切り換えに伴う水分検知回路68Bの電圧VOUTの変化に基づき、水分検知回路68Bの異常の有無を判断する。
従って、FET1のオン、オフ動作に伴う電圧の変化によって異常の有無を判断するため、異常有無判断を短時間で行うことができる。
(3)FET1は、スイッチング素子である。
従って、電子回路内で異常を検出する回路68Bを構成することができる。
(4)水分検知回路68Bは、FET1がオン状態のとき、電圧印加部VCCに印加された所定の電圧を分圧する分圧回路90を有している。
従って、分圧により電圧が正常に降下した場合、水分検知回路68Bが正常であると判断することができる。
(5)水分検知回路68Cは、FET2を備え、第2異常判断部70は、FET1とFET2の夫々をオン状態とオフ状態に切り換え制御を行い、FET1とFET2の夫々のオン、オフの状態と水分検知回路68Cの電圧VOUTの組み合わせに基づき、水分検知回路68の異常の有無を判断する。
従って、FET1、FET2を夫々オン、オフ切り換えし、その組み合わせと、そのときの水分検知回路68Cの電圧VOUTの組み合わせを複数パターンで考慮することにより、1パターンで判断する場合に比べ、異常判断精度を向上させることができる。
(6)水分検知部55,56は、第1電極47と電気的に接続された第3電極91と、第2電極48と電気的に接続された第4電極92を備え、水分検知回路68Dは、第3電極91および第4電極92と制御装置14を電気的に接続する第2接続回路93を備え、第2異常判断部70は、第2接続回路74の電圧VOUTの変化に基づきハウジング部材4内の水分の有無を判断する。
従って、第2接続回路93を設けたことにより、水分検知部55,56が水分を検知している際にも水分検知回路68Dの異常判断を精度よく行うことができる。
以上説明した実施例に基づくパワーステアリング装置としては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
パワーステアリング装置は、その一つの態様において、ステアリングホイールの回転を転舵輪に伝達する操舵機構と、前記操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、
前記操舵機構と前記電動モータの間に設けられ前記電動モータの回転力を前記操舵機構に伝達する伝達機構(減速機)と、前記操舵機構の少なくとも一部、前記伝達機構、および前記電動モータを収容するハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、互いに離間して設けられた第1端子部と第2端子部を有し、水分を検知する水分検知部と、マイクロコンピュータを有する制御装置と、前記水分検知部と前記制御装置の間に設けられ、前記第1端子部および前記第2端子部と前記制御装置とを電気的に接続する接続回路と、前記接続回路に設けられ所定の電圧が印加される電圧印加部と、を備えた水分検知回路と、前記制御装置に設けられ、前記水分検知回路の出力信号である電圧の変化に基づき前記ハウジング内の水分の有無を判断する第1異常判断部と、前記制御装置に設けられ、前記水分検知回路の異常の有無を判断する第2異常判断部と、を有している。
パワーステアリング装置の好ましい態様において、前記水分検知回路は、スイッチング回路を備え、前記第2異常判断部は、前記スイッチング回路のオン、オフの切り換えに伴う前記水分検知回路の電圧の変化に基づき、前記水分検知回路の異常の有無を判断する。
別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記スイッチング回路は、スイッチング素子である。
別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記水分検知回路は、前記スイッチング回路がオン状態のとき、前記電圧印加部に印加された前記所定の電圧を分圧する分圧回路を有している。
別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記水分検知回路は、第2のスイッチング回路を備え、前記第2異常判断部は、前記スイッチング回路と前記第2のスイッチング回路の夫々をオン状態とオフ状態に切り換え制御を行い、前記スイッチング回路と前記第2のスイッチング回路の夫々のオン、オフの状態と前記水分検知回路の電圧の組み合わせに基づき、前記水分検知回路の異常の有無を判断する。
別の好ましい態様では、前記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記水分検知部は、前記第1端子部と電気的に接続された第3端子部と、前記第2端子部と電気的に接続された第4端子部を備え、前記水分検知回路は、前記第3端子部および前記第4端子部と前記制御装置を電気的に接続する第2接続回路を備え、前記第2異常判断部は、前記第2接続回路の電圧の変化に基づき前記ハウジング内の水分の有無を判断する。