JP2019209798A - 電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータハウジングの端面壁にカバーを正確な位置に組み付けることができ、しかもOリングの組み付けを容易に目視して確認することができる電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置を提供する。【解決手段】モータハウジングの端面壁14からモータハウジング11の軸線にそって後退する円環状溝18と、円環状溝18に収納されるカバー側円環状先端部20との間に配置されたOリング22とを備え、モータハウジング側円環状溝部19の周方向の一部に径方向外側に向けて延びる位置決め用溝部23が形成され、カバー側円環状先端部20の周方向の一部に径方向外側に向けて延び、位置決め用溝部に収納される位置決め用先端部24が形成されていると共に、位置決め用溝部23に位置決め用先端部24が収納された状態で、位置決め用溝部23に位置決め用先端部24の間にはOリング22の突出部22Pが目視できる所定幅の隙間Gが形成されている。【選択図】図5
Description
本発明は電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置に係り、特に電子制御装置を内蔵した電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置に関するものである。
一般的な産業機械分野においては、電動モータによって機械系制御要素を駆動することが行われているが、最近では電動モータの回転速度や回転トルクを制御する半導体素子等からなる電子制御部を電動モータに一体的に組み込む、いわゆる機電一体型の電動駆動装置が採用され始めている。
機電一体型の電動駆動装置の例として、例えば自動車の電動パワーステアリング装置においては、運転者がステアリングホィールを操作することにより回動するステアリングシャフトの回動方向と回動トルクとを検出し、この検出値に基づいてステアリングシャフトの回動方向と同じ方向へ回動するように電動モータを駆動し、操舵アシストトルクを発生させるように構成されている。この電動モータを制御するため、電子制御部(ECU:Electronic Control Unit)がパワーステアリング装置に設けられている。
従来の電動パワーステアリング装置としては、例えば、特開2017−189033号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。特許文献1には、電動モータ部と電子制御部とにより構成された電動パワーステアリング装置が記載されている。そして、電動モータ部の電動モータは、アルミ合金等から作られた筒部を有するモータハウジングに形成された収納空間に収納され、電子制御部の電子部品が実装された基板は、モータハウジングの軸方向の出力軸とは反対側の端面壁に、合成樹脂製のカバーによって形成された収納空間に収納されている。
モータハウジングの端面壁に取り付けられる電子制御部の基板は、電源回路部、電動モータを駆動制御するMOSFET、或いはIGBT等のようなパワースイッチング素子を有する電力変換回路部、及びパワースイッチング素子を制御する制御回路部を備え、パワースイッチング素子の出力端子と電動モータの入力端子とはバスバーを介して電気的に接続されている。
そして、電子制御部には、合成樹脂から作られたカバーに形成されたコネクタを介して電源から電力が供給され、また検出センサ類から運転状態等の検出信号が供給されている。コネクタとカバーは蓋体として機能しており、電子制御部を密閉して塞ぐように接着剤によって端面壁の外周表面に固定されている。
尚、この他に電子制御装置を一体化した電動駆動装置としては、電動ブレーキや各種油圧制御用の電動油圧制御器等が知られているが、以下の説明では代表して電動パワーステアリング装置について説明する。
ここで、特許文献1にあるような構成の電動パワーステアリング装置においては、モータハウジングの端面壁とカバーの開口面を突きあわせた固定部分の形状は円環状に形成され、更に、両者の固定部分は接着剤で接着される構成とされている。そして、この接着剤は、モータハウジングの端面壁とカバーの開口面とを固定する固定機能と、カバーの内側に形成された収納空間に外部から塩水等の水分が浸入するのを防ぐ防水機能を兼ねている。
したがって、端面壁とカバーの開口面を突きあわせた固定部分の形状が円環状のため、端面壁にカバーを組み付ける時にカバーが回転することによって、正確な位置に組み込むことが難しく組み込み作業に時間がかかるといった課題や、位置決めがないので誤組み付けを行う恐れがあるといった課題がある。
また、自動車においては融雪剤等を散布された道路を走行する場合や、海岸線に近い道路を走行する場合が往々にしてある。このため、融雪された道路や、雨が降った海岸線に近い道路を走行する場合、塩水が自動車の床下に浸入することは良く経験することである。このため、接着剤に剥がれ等が発生していると、この剥がれの部分に塩水が入り込み、最悪の場合は液密不良を惹起して塩水がカバーの内部に浸入して、電子制御部の電気的な信頼性を損なう恐れがある。
このため、確実な防水機能を得るためにはOリングを使用することが有利であるが、この場合、Oリングの組み付け作業で、Oリングの組み付けを失念した状態で出荷する恐れがあり、この対策が必要である。したがって、これらの課題に対応した電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置が要請されている。
本発明の主たる目的は、モータハウジングの端面壁にカバーを正確な位置に組み付けることができ、しかもOリングの組み付けを目視して確認することができる新規な電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明の特徴は、電動モータの回転軸の出力部とは反対側のモータハウジングの端面壁に形成された、この端面壁からモータハウジングの軸線にそって後退する円環状溝からなるモータハウジング側円環状溝部と、電動モータを制御する電子制御部を覆うカバーの開口端に形成された、モータハウジング側円環状溝部の円環状溝に収納されるカバー側円環状先端部と、モータハウジング側円環状溝部とカバー側円環状先端部の間に配置されたOリングとを備え、モータハウジング側円環状溝部の周方向の一部には径方向外側に向けて延びる位置決め用溝部が形成され、カバー側円環状先端部の周方向の一部には径方向外側に向けて延び、位置決め用溝部に収納される位置決め用先端部が形成されていると共に、位置決め用溝部に位置決め用先端部が収納された状態で、位置決め用溝部に位置決め用先端部の間にはOリングが目視できる所定幅の隙間が形成されている、ところにある。
本発明によれば、モータハウジングの端面壁に設けたモータハウジング側円環状溝部の位置決め用溝部に、カバー側円環状先端部の位置決め用先端部を収納することによってカバーとモータハウジングの位置決めが確実に行われ、しかも位置決め用溝部と位置決め用先端部の間には所定幅の隙間が形成されているので、Oリングを目視して確認することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
本発明の実施形態を説明する前に、本発明が適用される一例としての操舵装置の構成について図1を用いて簡単に説明する。
まず、自動車の前輪を操舵するための操舵装置について説明する。操舵装置1は図1に示すように構成されている。図示しないステアリングホイールに連結されたステアリングシャフト2の下端には図示しないピニオンが設けられ、このピニオンは車体左右方向へ長いラック(図示せず)と噛み合っている。このラックの両端には前輪を左右方向へ操舵するためのタイロッド3が連結されており、ラックはラックハウジング4に覆われている。そして、ラックハウジング4とタイロッド3との間にはゴムブーツ5が設けられている。
ステアリングホイールを回動操作する際のトルクを補助するため、電動パワーステアリング装置6が設けられている。即ち、ステアリングシャフト2の回動方向と回動トルクとを検出するトルクセンサ7が設けられ、トルクセンサ7の検出値に基づいてラックにギヤ10を介して操舵補助力を付与する電動モータ部8と、電動モータ部8に配置された電動モータを制御する電子制御部(ECU)9とが設けられている。電動パワーステアリング装置6の電動モータ部8は、出力軸側の外周部の3箇所が、図示しないねじを介してギヤ10に接続され、電動モータ8部の出力軸とは反対側に電子制御部9が設けられている。
電動パワーステアリング装置6においては、ステアリングホイールが操作されることによりステアリングシャフト2がいずれかの方向へ回動操作されると、このステアリングシャフト2の回動方向と回動トルクとをトルクセンサ7が検出し、この検出値に基づいて電子制御部9が電動モータの駆動操作量を演算する。この演算された駆動操作量に基づいて電子制御部9のパワースイッチング素子により電動モータが駆動され、電動モータの出力軸はステアリングシャフト2を操作方向と同じ方向へ駆動するように回動される。電動モータの出力軸の回動は、図示しないピニオンからギヤ10を介して図示しないラックへ伝達され、自動車が操舵されるものである。これらの構成、作用は既によく知られているので、これ以上の説明は省略する。
繰り返しなるが、特許文献1にあるような構成の電動パワーステアリング装置においては、モータハウジングの端面壁とカバーの開口面を突きあわせた固定部分の形状が円環状のため、端面壁にカバーを組み付ける時にカバーが回転することによって、正確な位置に組み込むことが難しく組み込み作業に時間がかかるといった課題や、位置決めがないので誤組み付けを行う恐れがあるといった課題がある。また、モータハウジングの端面壁とカバーの開口面との間で確実な防水機能を得るためにはOリングを使用することが有利であるが、この場合、Oリングの組み付け作業で、Oリングの組み付けを失念して出荷する恐れがあり、この対策が必要である。
このような背景から、本発明では次のような構成の電動パワーステアリング装置を提案するものである。
本発明においては、電動モータの回転軸の出力部とは反対側のモータハウジングの端面壁に形成された、この端面壁からモータハウジングの軸線にそって後退する円環状溝からなるモータハウジング側円環状溝部と、電動モータを制御する電子制御部を覆うカバーの開口端に形成された、モータハウジング側円環状溝部の円環状溝に収納されるカバー側円環状先端部と、モータハウジング側円環状溝部とカバー側円環状先端部の間に配置されたOリングとを備え、モータハウジング側円環状溝部の周方向の一部には径方向外側に向けて延びる位置決め用溝部が形成され、カバー側円環状先端部の周方向の一部には径方向外側に向けて延び、位置決め用溝部に収納される位置決め用先端部が形成されていると共に、位置決め用溝部に位置決め用先端部が収納された状態で、位置決め用溝部に位置決め用先端部の間にはOリングが目視できる所定幅の隙間が形成されている構成とした。
本発明によれば、モータハウジングの端面壁に設けたモータハウジング側円環状溝部の位置決め用溝部に、カバー側円環状先端部の位置決め用先端部を収納することによってカバーとモータハウジングの位置決めが確実に行われ、しかも位置決め用溝部と位置決め用先端部の間には所定幅の隙間が形成されているので、Oリングを目視して確認することができる。
次に、本発明の実施形態になる電動パワーステアリング装置の具体的な構成について、図2乃至図7を用いて詳細に説明する。
図2は本実施形態になる電動パワーステアリング装置を分解して斜めから見たものであり、図3は電動パワーステアリング装置をカバー側から見たものであり、図4は図3に示す電動パワーステアリング装置のA−A断面を示すものであり、図5は図3に示す電動パワーステアリング装置のB−B断面を示すものであり、図6はOリングの形状を示すものであり、図7は図3に示す電動パワーステアリング装置のP部を拡大したものである。
図2に示すように、電動パワーステアリング装置を構成する電動モータ部8は、アルミニウム、或いはアルミ合金等のアルミ系金属から作られた筒部を有するモータハウジング11及びこれに収納された図示しない電動モータとから構成されている。電動モータは周知のように回転軸を備えており、この回転軸の出力部にはピニオンが固定されてラックに回転運動を伝えている。回転軸の軸心とモータハウジングの軸心はほぼ一致しており、電動モータはモータハウジング11内で回転することができる。
また、電子制御部9は、モータハウジング11の軸方向の出力部とは反対側に配置されており、合成樹脂製のカバー12によって収納されるように覆われており、これによって、電子制御部9は液密構造となっている。
モータハウジング11とカバー12は、その対向端面で図示しない固定クリップによって一体的に固定される。モータハウジング11の端面壁14の外周面には、図3に示すように、等間隔に形成された3個の固定クリップ係合部15が形成されており、同様にカバー12の開口端である先端領域部16の外周面にも、等間隔に形成された3個の固定クリップ係合部17が形成されている。
したがって、モータハウジング11の端面壁14と、カバー12の先端領域部16を突き合わせて、詳細は後述するが、端面壁14に形成されたモータハウジング側円環状溝部19の円環状溝18にカバー側円環状先端部20が収納された状態で、断面が「C」字状の固定クリッブを夫々の固定クリップ係合部15、17に係合することによって、モータハウジング11とカバー12とを強固に固定することができる。尚、端面壁14とは反対側のカバー12の端面部にはコネクタ13A〜13Cが形成されている。
更に、モータハウジング11の端面壁14の外周面には位置決め用溝部23が形成され、カバー12の先端領域部16には位置決め用先端部24が形成されている。尚、モータハウジング側円環状溝部19とカバー側円環状先端部20、及び位置決め用溝部23と位置決め用先端部24の詳細については、図3〜図7を用いて説明する。
カバー12の内部に収納された電子制御部9は、必要な電源を生成する電源回路部や、電動モータ部8の電動モータを駆動制御するMOSFET或いはIGBT等からなるパワースイッチング素子を有する電力変換回路や、このパワースイッチング素子を制御する制御回路部からなり、パワースイッチング素子の出力端子と電動モータのコイル入力端子とはバスバーを介して電気的に接続されている。
図3にもあるように、モータハウジング11とは反対側のカバー12の端面部には、カバー12に形成したコネクタ13A〜13Cが一体的に形成されている。具体的には、1対の電力供給用コネクタ13A、検出センサ用のコネクタ13B、制御状態を外部機器に送出する制御状態送出用コネクタ13Cを備えている。
そして、カバー12に収納された電子制御部9は、電力供給用コネクタ13Aを介して電源から電力が供給され、また、検出センサ類から運転状態等の検出信号が検出センサ用コネクタ13Bを介して供給され、現在の電動パワーステアリング装置の制御状態信号が制御状態送出用コネクタ13Cを介して送出されている。
図2に戻って、モータハウジング11には内部に円環状の鉄製のサイドヨーク(図示せず)が嵌合されており、このサイドヨーク内に電動モータ(図示せず)が収納されている。電動モータの出力部(図示せず)はピニオンを介してラックに操舵補助力を付与している。尚、電動モータの具体的な構造は良く知られているので、ここでは説明を省略する。
モータハウジング11はアルミ合金から作られており、電動モータで発生した熱や、電源回路部や電力変換回路部で発生した熱を外部大気に放出するヒートシンク部材として機能している。電動モータとモータハウジング11で電動モータ部8を構成している。
電動モータ部8の出力部の反対側のモータハウジング11の端面壁14には電子制御部9が取り付けられている。電子制御部9は、電力変換回路部、電源回路部、制御回路部から構成されている。モータハウジング11の端面壁14は、モータハウジング11と一体的に形成されているが、この他に端面壁14だけを別体に形成し、ねじや溶接によってモータハウジング11と一体化しても良いものである。
ここで、電力変換回路部、電力変換回路部、制御回路部は冗長系を構成するものであり、主電子制御部と副電子制御部の二重系を構成している。そして、通常は主電子制御部によって電動モータが制御、駆動されているが、主電子制御部に異常や故障が生じると、副電子制御部に切り換えられて電動モータが制御、駆動される。
したがって、通常は主電子制御部からの熱がモータハウジング11に伝えられ、主電子制御部に異常や故障が生じると、主電子制御部が停止して副電子制御部が作動し、モータハウジング11には副電子制御部からの熱が伝えられる。
また、この冗長系とは異なり、主電子制御部と副電子制御部を合せて正規の電子制御部として機能させ、一方の電子制御部に異常、故障が生じると、他方の電子制御部で半分の能力によって電動モータを制御、駆動することも可能である。この場合、電動モータの能力は半分となるが、電動パワーステアリング機能は確保されるようになっている。したがって、通常の場合は、主電子制御部と副電子制御部の熱がモータハウジング11に伝えられる。
また、電子制御部9は制御回路部、電源回路部、電力変換回路部から構成されており、端面壁14側から離れる方向に向かって、電力変換回路部、電源回路部、制御回路部の順序で配置されている。制御回路部は電力変換回路部のスイッチング素子を駆動する制御信号を生成するもので、マイクロコンピュータ、周辺回路等から構成されている。電源回路部は、制御回路部を駆動する電源及び電力変換回路部の電源を生成するもので、コンデンサ、コイル、スイッチング素子等から構成されている。電力変換回路部は、電動モータのコイルに流れる電力を調整するもので、3相の上下アームを構成するスイッチング素子等から構成されている。
次に、本発明の実施形態になる、モータハウジング側円環状溝部19とカバー側円環状先端部20の固定領域付近の更に詳細な構成について、図3〜図7を用いて説明する。
図3、及び図4において、モータハウジング11の端面壁14の外周側には、モータハウジング11の軸方向に沿って後退する断面が矩形状の円環状溝18を有するモータハウジング側円環状溝部19が形成されている。また、カバー12の開口端には、モータハウジング側円環状溝部19の円環状溝18内に収納されるカバー側円環状先端部20が形成されている。
カバー12の先端領域部16の外周面には係止部21が形成されており、この係止部21とモータハウジング11の端面壁14の端面が突き合わされて、カバー12のカバー側円環状先端部20の円環状溝18への収納深さを管理されている。これによって、後述するOリングの圧縮率が管理されることになる。
モータハウジング側円環状溝部19の円環状溝18とカバー側円環状先端部20の間には、液密用のOリング22が配置されており、所定の圧縮率に管理されている。これによって、モータハウジング側円環状溝部19の円環状溝18とカバー側円環状先端部20の夫々の壁面の間で、所定のシール機能を確保でき、外部からの塩水等の浸入を防止することができる。尚、Oリング22はニトリル系や、シリコン系を用いることができる。
次に、本実施形態の特徴的な構成について、図3、及び図5〜図7を用いて説明する。図3にある通り、モータハウジング側円環状溝部19の周方向の一部には径方向外側に向けて延びる位置決め用溝部23が形成されている。同様に、カバー側円環状先端部20の周方向の一部にも径方向外側に向けて延び、位置決め用溝部23に収納される位置決め用先端部24が形成されている。
位置決め用溝部23と位置決め用先端部24は対で組み合わされるものであり、本実施形態では、固定クリップ係合部15、17を挟んで2個設けられている。モータハウジング11とカバー12とを位置決めする場合は、少なくとも1個以上の位置決め部が必要であるが、3個以上だと寸法管理が困難となり得策でない。このため、本実施形態では、固定クリップ係合部15、17を挟んで2個設ける構成としている。尚、位置決めに問題がなければ、必ずしもこの個数に限定されるものではない。
このように、位置決め用溝部23と位置決め用先端部24を設けたので、モータハウジング11の端面壁14とカバー12を突きあわせた固定部分の形状が円環状であっても、端面壁14にカバー12を組み付ける時にカバー12が回転することがなく、正確な位置に組み込むことができ、組み込み作業を短い時間で行うことができる、また、位置決め機構があるので、誤組み付けを行う恐れがない、といった作用、効果を奏することができる。
更に、図5、及び図7に示しているように、位置決め用溝部23に位置決め用先端部24が収納された状態で、径方向で見て、位置決め用溝部23の周方向の内側周壁面23W(図7参照)と、位置決め用先端部24の周方向の外側周壁面24W(図7参照)の間には、Oリング22の突出部22Pが目視できる所定幅の隙間Gが形成されている。
また、図6に示すように、Oリング22は、モータハウジング側円環状溝部19に形成された円環状溝18に沿った円環状に形成されており、その周方向の一部に位置決め用溝部23に収納される突出部22Pが2個形成されている。
したがって、このOリング22は、突出部22Pを位置決め用溝部23に収納した状態で円環状溝18に収納、配置されている。ここで、突出部22Pの径方向の長さLは次の2通りの設定の仕方がある。
1つの方法は、カバー12の位置決め用先端部24を位置決め用溝部23に収納して固定クリップによる固定荷重を加えていない状態で、突出部22Pの径方向の長さLが、位置決め用先端部24の径方向の外側周壁面24Wを超える長さに設定される場合である。
この方法によると、モータハウジング11の端面壁14に形成した円環状溝18、及び位置決め用溝部23にOリング22、及び突出部22Pを収納した状態で、カバー12の円環状先端部20、及び位置決め用先端部24をモータハウジング11の端面壁14に形成した円環状溝18、及び位置決め用溝部23に収納、配置すると、位置決め用溝部23の周方向の内側周壁面23Wと、位置決め用先端部24の周方向の外側周壁面24Wの間に形成した所定幅の隙間Gによって、Oリング22の突出部22Pの存在の有無を目視で確認することができる。つまり、隙間Gから露出したOリング22の突出部22Pの一部を確認することができる。
したがって、固定クリップによる固定作業の前にOリング22の存在を確認できるので、仮にOリング22の組み付けを失念した場合であっても、簡単にOリング22を再組み付けすることができる。
もう1つの方法は、カバー12の位置決め用先端部24を位置決め用溝部23に収納して固定クリップによる固定荷重を加えていない状態で、突出部22Pの径方向の長さLが、位置決め用先端部24の径方向の外側壁面24Wを超えない長さに設定される場合である。
この方法によると、モータハウジング11の端面壁14に形成した円環状溝18、及び位置決め用溝部23にOリング22、及び突出部22Pを収納した状態で、カバー12の円環状先端部20、及び位置決め用先端部24をモータハウジング11の端面壁14に形成した円環状溝18、及び位置決め用溝部23に収納、配置すると、Oリング22の存在の有無は目視では確認できない。
ただ、モータハウジング11とカバー12を固定するために固定クリップによる固定荷重を加えるか、或いは固定クリップを模擬した固定荷重を加えると、カバー12の円環状先端部20に形成した位置決め用先端部24によってOリング22の突出部22Pが圧縮され、位置決め用溝部23の周方向の内側周壁面23Wと、位置決め用先端部24の周方向の外側周壁面24Wの間に形成した所定幅の隙間Gに突出部22Pの一部が変形してはみ出して露出され、これによって、Oリング22の突出部22Pの存在を目視で確認することができる。
したがって、Oリング22の存在を隙間Gによって確認できるので、仮にOリング22の組み付けを失念した場合であっても、Oリング22を再組み付けすることができる。更に、固定クリップを装着した場合は、固定クリップによるOリング22の突出部22Pの圧縮状態を同時に確認できるので、シール機能が確実に得られているかどうかを容易に確認することができる。
尚、上述した実施形態では、位置決め用溝部23の周方向の内側周壁面23Wと、位置決め用先端部24の周方向の外側周壁面24Wの間にOリング22の突出部22Pが目視できる隙間Gを形成しているが、位置決め用溝部23の周方向の側壁面と、位置決め用先端部24の周方向の側壁面の間にOリング22の突出部22Pが目視できる隙間Gを形成することもできる。例えば、図7に示す側壁面23Sの領域部分に形成することができる。
ここで、図7に示しているように、位置決め用先端部24の周方向の側面を挟み込む、位置決め用溝部23の対向する2つの側壁面23Sは、位置決め用溝部23の底面に向かうにしたがって、2つの側壁面23Sの間の長さが短くなるように傾斜されている。そして、位置決め用溝部23はアルミ合金等の金属で作られ、位置決め用先端部24は合成樹脂で、しかも周方向の形状、及びその断面形状が矩形状に作られている。
このため、位置決め用先端部24を位置決め用溝部23に押し込んでいくと、矩形状の位置決め用先端部24が、位置決め用溝部23の対向する2つの側面面23Sの形状に沿うように変形して両者の間に隙間がなくなり、正確な位置決めが可能となる。
以上述べた通り、本発明によれば、電動モータの回転軸の出力部とは反対側のモータハウジングの端面壁に形成された、この端面壁からモータハウジングの軸線にそって後退する円環状溝からなるモータハウジング側円環状溝部と、電動モータを制御する電子制御部を覆うカバーの開口端に形成された、モータハウジング側円環状溝部の円環状溝に収納されるカバー側円環状先端部と、モータハウジング側円環状溝部とカバー側円環状先端部の間に配置されたOリングとを備え、モータハウジング側円環状溝部の周方向の一部には径方向外側に向けて延びる位置決め用溝部が形成され、カバー側円環状先端部の周方向の一部には径方向外側に向けて延び、位置決め用溝部に収納される位置決め用先端部が形成されていると共に、位置決め用溝部に位置決め用先端部が収納された状態で、位置決め用溝部に位置決め用先端部の間にはOリングが目視できる所定幅の隙間が形成されている構成とした。
これによれば、モータハウジングの端面壁に設けたモータハウジング側円環状溝部の位置決め用溝部に、カバー側円環状先端部の位置決め用先端部を収納することによってカバーとモータハウジングの位置決めが確実に行われ、しかも位置決め用溝部と位置決め用先端部の間には所定幅の隙間が形成されてので、Oリングを目視して確認することができる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
6…電動パワーステアリング装置、8…電動モータ部、9…電子制御部、11…モータハウジング、12…カバー、13A〜13C…コネクタ、14…端面壁、15…固定クリップ係合部、16…カバーの先端領域部(開口端)、17…固定クリップ係合部、18…円環状溝、19…モータハウジング側円環状溝部、20…カバー側円環状先端部、21…係止部、22…Oリング、22P…突出部、23…位置決め用溝部、23S…位置決め用溝部の側壁面、24…位置決め用先端部。
Claims (14)
- 機械系制御要素を駆動する電動モータが収納されたモータハウジングと、前記電動モータの回転軸の出力部とは反対側の前記モータハウジングの端面壁の側に配置された前記電動モータを駆動するための電子制御部と、前記電子制御部を覆うカバーと、を備えた電動駆動装置であって、
前記回転軸の前記出力部とは反対側の前記モータハウジングの前記端面壁に形成された、前記端面壁から前記モータハウジングの軸線にそって後退する円環状溝からなるモータハウジング側円環状溝部と、
前記電動モータを制御する前記電子制御部を覆う前記カバーの開口端に形成された、前記モータハウジング側円環状溝部の円環状溝に収納されるカバー側円環状先端部と、
前記モータハウジング側円環状溝部と前記カバー側円環状先端部の間に配置されたOリングとを備え、
前記モータハウジング側円環状溝部の周方向の一部には径方向外側に向けて延びる位置決め用溝部が形成され、前記カバー側円環状先端部の周方向の一部には径方向外側に向けて延び、前記位置決め用溝部に収納される位置決め用先端部が形成されていると共に、
前記位置決め用溝部に前記位置決め用先端部が収納された状態で、前記位置決め用溝部と前記位置決め用先端部の間には前記Oリングが目視できる所定幅の隙間が形成されている
ことを特徴とする電動駆動装置。 - 請求項1に記載の電動駆動装置において、
前記Oリングには前記位置決め用溝部に収納される突出部が一体的に形成されている
ことを特徴とする電動駆動装置。 - 請求項2に記載の電動駆動装置において、
前記カバーの外周面と前記モータハウジングの前記端面壁の外周面には、複数の固定クリップ係合部が形成されており、前記カバーの外周面と前記端面壁の外周面に形成した前記固定クリップ係合部に固定クリップを係合して前記モータハウジングに前記カバーが固定されている
ことを特徴とする電動駆動装置。 - 請求項3に記載の電動駆動装置において、
前記位置決め用溝部と前記位置決め用先端部は、前記固定クリップ係合部を挟んで前前記モータハウジング側円環状溝部と前記カバー側円環状先端部に2個設けられている
ことを特徴とする電動駆動装置。 - 請求項2に記載の電動駆動装置において、
前記Oリングに形成された前記突出部の径方向の長さLは、前記位置決め用先端部を前記位置決め用溝部に収納して固定クリップによる固定荷重を加えていない状態で、前記位置決め用先端部の周方向の外側周壁面を超える長さに設定され、
前記位置決め用溝部に前記Oリングの前記突出部を収納した状態で、前記位置決め用先端部を前記位置決め用溝部に収納すると、前記隙間に前記Oリングの前記突出部の一部が露出されている
ことを特徴とする電動駆動装置。 - 請求項2に記載の電動駆動装置において、
前記Oリングに形成された前記突出部の径方向の長さLは、前記位置決め用先端部を前記位置決め用溝部に収納して固定クリップによる固定荷重を加えていない状態で、前記位置決め用先端部の周方向の外側周壁面を超えない長さに設定され、
前記位置決め用溝部に前記Oリングの前記突出部を収納し、更に前記位置決め用先端部を前記位置決め用溝部に収納して荷重を加えた状態で、前記隙間に前記Oリングの前記突出部の一部が変形して露出される
ことを特徴とする電動駆動装置。 - 請求項2に記載の電動駆動装置において、
前記モータハウジングの前記端面壁は金属で作られ、また、前記カバーは合成樹脂で作られており、
前記位置決め用溝部の周方向の対向する2つの側壁面は、前記位置決め用溝部の底面に向かうにしたがって、2つの前記側壁面の間の長さが短くなるように傾斜され、前記位置決め用先端部の周方向の形状、及びその断面形状は矩形状に形成されている
ことを特徴とする電動駆動装置。 - ステアリングシャフトの回動方向と回動トルクとを検出するトルクセンサからの出力に基づきステアリングシャフトに操舵補助力を付与する電動モータと、前記電動モータが収納されたモータハウジングと、前記電動モータの回転軸の出力部とは反対側の前記モータハウジングの端面壁の側に配置された、前記電動モータを駆動するための電子制御部と、前記電子制御部を覆うカバーと、を備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記回転軸の前記出力部とは反対側の前記モータハウジングの前記端面壁に形成された、前記端面壁から前記モータハウジングの軸線にそって後退する円環状溝からなるモータハウジング側円環状溝部と、
前記電動モータを制御する前記電子制御部を覆う前記カバーの開口端に形成された、前記モータハウジング側円環状溝部の前記円環状溝に収納されるカバー側円環状先端部と、
前記モータハウジング側円環状溝部と前記カバー側円環状先端部の間に配置されたOリングとを備え、
前記モータハウジング側円環状溝部の周方向の一部には径方向外側に向けて延びる位置決め用溝部が形成され、前記カバー側円環状先端部の周方向の一部には径方向外側に向けて延び、前記位置決め用溝部に収納される位置決め用先端部が形成されていると共に、
前記位置決め用溝部に前記位置決め用先端部が収納された状態で、前記位置決め用溝部と前記位置決め用先端部の間には前記Oリングが目視できる所定幅の隙間が形成されている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項8に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記Oリングには前記位置決め用溝部に収納される突出部が一体的に形成されている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項9に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記カバーの外周面と前記モータハウジングの前記端面壁の外周面には、複数の固定クリップ係合部が形成されており、前記カバーの外周面と前記端面壁の外周面に形成した前記固定クリップ係合部に固定クリップを係合して前記モータハウジングに前記カバーが固定されている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項10に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記位置決め用溝部と前記位置決め用先端部は、前記固定クリップ係合部を挟んで前前記モータハウジング側円環状溝部と前記カバー側円環状先端部に2個設けられている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項9に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記Oリングに形成された前記突出部の径方向の長さLは、前記位置決め用先端部を前記位置決め用溝部に収納して固定クリップによる固定荷重を加えていない状態で、前記位置決め用先端部の周方向の外側周壁面を超える長さに設定され、
前記位置決め用溝部に前記Oリングの前記突出部を収納した状態で、前記位置決め用先端部を前記位置決め用溝部に収納すると、前記隙間に前記Oリングの前記突出部の一部が露出されている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項9に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記Oリングに形成された前記突出部の径方向の長さLは、前記位置決め用先端部を前記位置決め用溝部に収納して固定クリップによる固定荷重を加えていない状態で、前記位置決め用先端部の周方向の外側周壁面を超えない長さに設定され、
前記位置決め用溝部に前記Oリングの前記突出部を収納し、更に前記位置決め用先端部を前記位置決め用溝部に収納して荷重を加えた状態で、前記隙間に前記Oリングの前記突出部の一部が変形して露出される
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項9に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記モータハウジングの前記端面壁は金属で作られ、また、前記カバーは合成樹脂で作られており、
前記位置決め用溝部の周方向の対向する2つの側壁面は、前記位置決め用溝部の底面に向かうにしたがって、2つの前記側壁面の間の長さが短くなるように傾斜され、前記位置決め用先端部の周方向の形状、及びその断面形状は矩形状に形成されている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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JP2018106632A JP6956682B2 (ja) | 2018-06-04 | 2018-06-04 | 電動駆動装置及び電動パワーステアリング装置 |
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JP2021127016A (ja) * | 2020-02-14 | 2021-09-02 | 株式会社デンソー | 駆動装置 |
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- 2018-06-04 JP JP2018106632A patent/JP6956682B2/ja active Active
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