JP2018044950A - 試料中に含まれる細胞の検出方法 - Google Patents

試料中に含まれる細胞の検出方法 Download PDF

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篤史 森本
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Abstract

【課題】 試料中に含まれる細胞を、当該細胞が有する物質に基づき、高感度かつ高精度に検出/解析可能な方法を提供すること。【解決手段】 試料中に含まれる目的細胞を検出する際、当該目的細胞が特異的に有する物質のうち特定の物質の有無に基づき、試料中に含まれる目的細胞を(好ましくは夾雑細胞も)検出した後、試料中に含まれる細胞群から前記検出した目的細胞(好ましくは目的細胞および/もしくは夾雑細胞)を検出対象から除外した細胞群に対し、前記特定の物質以外の、目的細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、前記細胞群中に含まれる目的細胞を検出することにより、前記課題を解決する。【選択図】 図7

Description

本発明は、試料中に含まれる細胞を検出する方法に関する。特に本発明は、血液や尿などの生体試料中に含まれる特定の細胞を、当該細胞が特異的に有する物質に基づき検出する方法に関する。
近年、血液などの体液や、臓器などの組織を溶液に懸濁もしくは分散して得られる組織懸濁液や、細胞培養液といった試料から細胞を選択的に分離回収し、当該分離回収した細胞を基礎研究や臨床診断、治療へ応用する研究が進められている。例えば、癌患者より採取した血液から腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell、以下CTCと表記)を採取し、当該細胞について形態学的分析、組織型分析や遺伝子分析を行ない、前記分析により得られた知見に基づき治療方針を判断する研究が進められている。
しかしながら、CTCは存在確率が非常に少なく(試料が癌患者由来の全血の場合、全血1mLあたり数個程度)、高感度な検出を必要とする。またCTCは通常、DAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)などの核染色試薬で染色され、サイトケラチン(CK)やEpCAM(Epithelial cell adhesion molecule)など上皮系細胞が発現するタンパク質に対する標識抗体で染色され、かつCD45など白血球マーカーに対する標識抗体では染色されない細胞をCTCとして判定しているが、CTCの中には前記上皮系細胞が発現するタンパク質に対する標識抗体では染色されないCTCもあり(特許文献1)、当該CTCを検出するには、腫瘍細胞で発現し、かつ前記上皮系細胞が発現するタンパク質とは異なる物質に対する標識抗体で再染色する必要がある。
試料中に含まれる細胞を検出および解析する方法として、従来よりフローサイトメトリー法による検出が用いられている。フローサイトメトリー法は、あらかじめ蛍光物質や発光基質などで標識した細胞を、1列に整列させた状態で流路に流し、当該流路に流れる標識した細胞をレーザー光および光学検出器を用いて検出および解析する方法であり、試料中に含まれる前記細胞を精度高く定量できる。しかしながら、本方法は、流路を流れる細胞を連続的に検出する方法であり、一度検出した同一の細胞に対し、別の標識を行ない、再度検出または解析することは困難である。そのため、フローサイトメトリー法による高感度かつ高精度なCTCの検出/解析は困難といえる。
また試料中に含まれる細胞が保有していると推測される複数の抗原候補にそれぞれ結合可能な標識抗体を一度に添加し検出する方法や、蛍光標識抗体により標識した細胞を検出後、細胞と結合した蛍光標識抗体を一旦解離させ、別の蛍光標識抗体で再標識する方法が開示されている(特許文献2)。しかしながら、前者の方法は標的細胞以外の細胞に標的細胞を標識するための物質が結合する非特異標識が発生するおそれがあり、後者の方法も抗原抗体の結合および解離反応の繰り返し操作は煩雑であるため実用的とは言えない。さらに特許文献2に開示の方法では、蛍光観察時には、各々の蛍光波長の重複を最小限に抑えるように励起光光源やフィルターを最適化する必要もある。
WO2015/112955号 WO2015/093116号
本発明の課題は、試料中に含まれる目的細胞を、当該細胞が特異的に有するタンパク質に基づき、高感度かつ高精度に検出/解析可能な方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の第一の態様は、
以下の(1)から(5)に示す工程を少なくとも含む、目的細胞および夾雑細胞を含む試料から目的細胞を検出する方法である。
(1)核染色試薬により目的細胞を染色する工程、
(2)目的細胞が特異的に有する物質のうち特定の物質の有無に基づき、試料中に含まれる目的細胞を検出する工程、
(3)夾雑細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、試料中に含まれる夾雑細胞を検出する工程、
(4)試料中に含まれる細胞群から(3)の工程で検出した夾雑細胞を検出対象として除外する工程、
(5)(4)の工程を行なった細胞群に対し、(2)の工程で検出に用いた特定の物質以外の、目的細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、前記細胞群中に含まれる目的細胞を検出する工程
さらに本発明の第二の態様は、
以下の(1)から(4)に示す工程を少なくとも含む、試料中に含まれる目的細胞を検出する方法である。
(1)核染色試薬により目的細胞を染色する工程、
(2)目的細胞が特異的に有する物質のうち特定の物質の有無に基づき、試料中に含まれる目的細胞を検出する工程、
(3)試料中に含まれる細胞群から(2)の工程で検出した目的細胞を検出対象として除外する工程、
(4)(3)の工程を行なった細胞群に対し、(2)の工程で検出に用いた特定の物質以外の、目的細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、前記細胞群中に含まれる目的細胞を検出する工程
さらに本発明の第三の態様は、
以下の(1)から(5)に示す工程を少なくとも含む、目的細胞および夾雑細胞を含む
試料から目的細胞を検出する方法である。
(1)核染色試薬により目的細胞を染色する工程、
(2)目的細胞が特異的に有する物質のうち特定の物質の有無に基づき、試料中に含まれ
る目的細胞を検出する工程、
(3)夾雑細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、試料中に含まれる夾雑細胞を検出
する工程、
(4)試料中に含まれる細胞群から(2)の工程で検出した目的細胞および(3)の工程
で検出した夾雑細胞を検出対象として除外する工程、
(5)(4)の工程を行なった細胞群に対し、(2)の工程で検出に用いた特定の物質以
外の、目的細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、前記細胞群中に含まれる目的細胞
を検出する工程
さらに本発明の第四の態様は、
試料が血液試料であり、目的細胞が血中循環腫瘍細胞であり、前記(2)の工程で目的細胞の検出に用いる物質が上皮系細胞が発現するタンパク質である、前記第一から第三のいずれかの態様に記載の方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における、目的細胞(および夾雑細胞)を含む試料の一例として、尿、全血、血漿、血清、唾液、精液、糞便、痰、髄液、腹水、羊水といった生体から取得した試料や、細胞の凝集物、腫瘍、リンパ節、動脈といった器官または組織由来の試料や、細胞や組織の培養物およびそれらの培養液といった培養試料があげられる。
本発明では、試料中に含まれる目的細胞(および夾雑細胞)が特異的に有する物質の有無に基づき、当該細胞を検出する。本発明において、目的(夾雑)細胞が特異的に有する物質とは、目的(夾雑)細胞の表面または内部に特異的に存在する物質であって、目的(夾雑)細胞の識別を可能にする物質のことをいう。ここで目的(夾雑)細胞に特異的に存在するとは、
目的(夾雑)細胞には存在し、かつ夾雑細胞など目的細胞以外の細胞(目的細胞など夾雑細胞以外の細胞)には存在しないこと、または、
目的(夾雑)細胞における存在量が前記目的細胞以外の細胞(前記夾雑細胞以外の細胞)よりも多いこと、を意味する。
試料が血液試料であり、目的細胞が血中循環腫瘍細胞(CTC)であり、夾雑細胞が白血球である場合、目的細胞が特異的に有する物質の一例としては、サイトケラチン(CK)やEpCAM(Epithelial cell adhesion molecule)といった上皮系細胞が発現するタンパク質や、CD20、CD30、CD33、CD52、CD146、HER2、HER3、EGFR(上皮増殖因子受容体)、VEGFR(血管内皮細胞増殖因子受容体)、PD−L1(Programmed cell−Death Ligand 1)、CEA(癌胎児性抗原)、Mucin、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、Vimentin、CD266(腫瘍壊死因子受容体)があげられ、夾雑細胞が特異的に有する物質の一例としては、CD45があげられる。なお本明細書において血液試料とは、全血、希釈血、血清、血漿、臍帯血、成分採血液といった血液由来成分に限らず、肝臓、肺、脾臓、腎臓、腫瘍、リンパ節といった血液由来成分を含む組織の一片を適切な緩衝液で懸濁させた懸濁液や、尿、羊水、腹水といった血液由来成分を含み得る試料も含まれる。また本明細書におけるCTCの一例として、胃癌、大腸癌、食道癌、肝臓癌、肺癌、すい臓癌、膀胱癌、子宮癌(上皮性腫瘍)といった腫瘍組織(原発巣)から血管中に侵入した腫瘍細胞、および血液に含まれるリンパ球や白血球の腫瘍細胞(リンパ腫、白血病)があげられる。
目的(夾雑)細胞が特異的に有する物質の有無に基づく目的(夾雑)細胞の検出は、具体的には、当該物質と特異的に結合可能な認識物質に光学的に検出可能なシグナルを発することが可能な標識を結合して得られる標識物質を用いて、前記目的(夾雑)細胞を標識化した後、前記標識を検出することで、目的(夾雑)細胞を検出すればよい。前記認識物質の一例として、当該物質に対する抗体や、当該物質と特異的に結合可能なリガンド/レクチンがあげられる。前記標識は、光学的に検出可能なシグナル(蛍光、化学発光、燐光など)を発することが可能な物質であれば特に限定はなく、一例として、FITC(フルオレセインイソシアネート)、PE(フィコエリスリン)、ローダミンといった蛍光色素や、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ルシフェラーゼといった化学発光基質との反応を触媒する酵素があげられる。前記認識物質への前記標識の結合は、公知の方法により両者を直接結合させてもよいし、前記認識物質にビオチン(アビジンまたはストレプトアビジン)を、前記標識にアビジンまたはストレプトアビジン(ビオチン)を、それぞれ結合させた後、ビオチン−アビジン(またはストレプトアビジン)結合を介して間接的に両者を結合させてもよい。
本発明の第一の態様では、前述した方法で、試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を検出(以下、先の検出とも表記)した後、細胞群の中から、当該目的細胞の検出に用いた特定の物質以外の、目的細胞が有する物質の有無に基づき、前記夾雑細胞を除去および/または検出対象として除外した細胞群中に含まれる目的細胞を検出(以下、後の検出とも表記)する。また本発明の第二の態様では、前述した方法で、試料中に含まれる目的細胞を検出(以下、先の検出とも表記)した後、細胞群の中から、当該目的細胞の検出に用いた特定の物質以外の、目的細胞が有する物質の有無に基づき、前記目的細胞を除去および/または検出対象として除外した細胞群中に含まれる目的細胞を検出(以下、後の検出とも表記)する。また本発明の第三の態様では、前述した方法で、試料中に含まれる目的細胞および夾雑細胞を検出(以下、先の検出とも表記)した後、細胞群の中から、当該目的細胞の検出に用いた特定の物質以外の、目的細胞が有する物質の有無に基づき、前記目的細胞および前記夾雑細胞を除去ならびに/または検出対象として除外した細胞群中に含まれる目的細胞を検出(以下、後の検出とも表記)する。中でも前記第二の態様は、目的細胞に対する標識物質の詳細な結合能を評価することができ、目的細胞の性状をより詳しく評価できる点で、好ましい態様といえる。
なお、先の検出で検出した目的細胞および/または夾雑細胞を回収することで検出対象として除去し、検出対象として除外しても良い。この場合、吸引手段などにより直接回収してもよく、後の検出の際、先の検出で検出した目的細胞および/または夾雑細胞が保持された位置での検出をスキップすることで検出の対象として除外してもよい。なお目的細胞が特異的に有する物質が多数存在する場合は、後の検出は複数回行なってもよい。
さらに、目的細胞に対して先の検出で用いる特異的に結合可能な認識物質Aに結合した標識物質Aと、後の検出で用いる認識物質Bに結合した標識物質Bにおいて、標識物質Aと標識物質Bを光学的に異なるシグナルで検出する場合、目的細胞に対して認識物質Aと認識物質Bのそれぞれが結合した割合および、認識物質Aおよび認識物質Bがどちらも結合した割合に基づき評価してもよい。
なお本発明では、先の検出および後の検出で行なう、目的細胞(夾雑細胞)が特異的に有する物質の有無に基づく検出の他に、DAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)、ヘマトキシリン、Hoechst 33342(商品名)などの核染色試薬を用いた有核細胞の検出も行なう。なおこれら検出に加え、追加の検出を行なってもよい。追加検出の一例として、オレンジG、ライトグリーン、エオシンなどの細胞質染色試薬を用いた細胞検出や、明視野像に基づく細胞の大きさ/形状/模様の違いによる検出があげられる。
本発明を、血液試料中に含まれるCTCの検出に適用する場合、例えば、前述した核染色試薬を用いた有核細胞の検出を行ないつつ、先の検出を、上皮系細胞が発現するタンパク質(CKやEpCAMなど)の有無に基づき行ない、後の検出を、上皮系細胞が発現するタンパク質以外の、腫瘍細胞が特異的に発現するタンパク質(CD20、CD30、CD33、CD52、CD146、HER2、HER3、EGFR、VEGFR、PD−L1、CEA(癌胎児性抗原)、Mucin、PSMA、Vimentin、CD266など)の有無に基づき行なえばよい。さらに前述した、明視野像に基づく検出を追加してもよい。
本発明は、試料中に含まれる目的細胞を検出する際、当該目的細胞が特異的に有する物質のうち特定の物質の有無に基づき、試料中に含まれる目的細胞を(好ましくは夾雑細胞も)検出した後、先の検出で検出した目的細胞(好ましくは目的細胞および/もしくは夾雑細胞)を検出対象として除去ならびに/または検出対象として除外した残りの細胞群に対し、前記特定の物質以外の、目的細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、前記細胞群中に含まれる目的細胞を検出することを特徴としている。
本発明は、試料中に含まれる目的細胞の中に、前記特定の物質を有さない細胞が存在したとしても、前記特定の物質以外の、目的細胞が特異的に有する物質を用いて検出することができる。従って、試料中に含まれる目的細胞の取りこぼしを抑えることができ、試料中に含まれる目的細胞を高感度かつ高精度に検出/解析できる。更に、試料が培養細胞の様な同一の細胞株であっても、細胞によって保有する特定の物質量、例えば、特異的に有するタンパク質の発現にばらつきがある場合、同様にして複数の特異的に有するタンパク質に基づいて検出/解析を行なうことによって、目的細胞を取りこぼすことを抑えることができる。例えば、目的細胞のサイトケラチンの発現が弱い場合であっても、試料中の細胞が細胞保持装置に設けた保持部に保持されているため、EpCAM、CD20、CD30、CD33、CD52、CD146、HER2、HER3、EGFR、VEGFR、PD−L1、CEA、Mucin、PSMA、Vimentin、CD266等を使用して再度検出することができる。その結果、同じ細胞の発現状態を何度も検出することができるため、目的細胞を取りこぼすことを防止することができる。さらに、本発明によれば、目的細胞に結合した標識物質が2つ以上であっても、目的細胞に結合した標識物質の割合をそれぞれ評価できるため、目的細胞の性状をより詳細に解析できる。
特に、全血、希釈血、血清、血漿といった血液試料からの血中循環腫瘍細胞(CTC)の検出においては、血液試料中に含まれるCTC数が少なく(全血1mLあたり数個程度)、かつ当該CTCの中には腫瘍細胞が特異的に有する物質(サイトケラチン、EpCAMなど)を有しないCTCも存在するため、従来の方法では高感度かつ高精度なCTCの検出/解析が困難だったが、本発明を適用することで高感度かつ高精度なCTCの検出/解析が可能となる。
更に本発明において、CTCに代表される希少な目的細胞を検出するには、目的細胞を含む試料を、保持部を有した基板に展開し、保持部に保持された細胞を検出することで、高感度かつ高精度に1細胞ごとを観察/解析が可能であり、かつ、後の検出で細胞の再標識を行なう際、保持された細胞の剥離を軽減することができる。
本発明の検出方法で利用可能な、目的細胞を濃縮可能な構造体を示す図であ る。 図1に示す構造体を用いた、目的細胞の濃縮を説明する図である。 図1に示す構造体を用いた、目的細胞の濃縮を説明する図である。 本発明の検出方法で利用可能な、細胞保持装置の一例を示す図である。 本発明の検出方法で利用可能な、細胞保持装置の別の態様を示す図である。 図4に示す細胞保持装置を用いた、細胞の保持および検出を示した図である。 実施例1および2の結果を示す図である。
以下、図面を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明を、例えば血液試料中に含まれるCTCの検出のような、試料中に含まれる目的細胞数が少ない、および/または夾雑細胞数が極めて多い場合、あらかじめ試料中に含まれる目的細胞を濃縮する、および/または夾雑細胞を低減させる工程(以下、目的細胞濃縮工程という)を行なうと、目的細胞(または夾雑細胞)を検出する工程を効率的に行なえる点で好ましい。目的細胞濃縮工程は、試料中に含まれる目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)を低減することで目的細胞をより選択的に回収できれば特に制限はない。例えば、目的細胞と目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)との大きさの違いを利用して分離濃縮するフィルター法、細胞表面の抗体発現プロファイルの違いを利用し、前記抗体を結合した磁性粒子を用いて目的細胞を分離濃縮する磁気ビーズ法、細胞間の比重差を利用した比重差分離法が例示できる。なかでも比重差分離法は、短時間で選択的に目的細胞を濃縮できることから、目的細胞濃縮工程として特に好ましい。
以下、比重差分離法による目的細胞濃縮工程について詳細を示す。
比重差分離法による目的細胞の濃縮(夾雑細胞の低減)は、目的細胞と目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)が比重差によって分離できれば特に制限はない。例えば、密度勾配溶液が入った遠沈管に目的細胞を含む試料を重層後、遠心分離操作を行なうことで、目的細胞を含む画分と目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)を含む画分とに分離させ、前記目的細胞を含む画分を回収することで、目的細胞を濃縮(夾雑細胞の低減)させればよい。ここで用いる密度勾配溶液は、それ自身でまたは遠心分離によって密度勾配を形成する液体状の物質であり、目的細胞の密度(比重)を特定し、その分離に適当なものを選択して使用すればよい。選択の指標としては、例えば栄養成分、pH、等張性等を例示できる。密度勾配溶液の具体例としては、ショ糖、グリセロール、デキストラン、メトリザミド、イオディキサノール、ショ糖とエピクロロヒドリンの共重合体、ポリビニルピロリドンの被膜をもつコロイド状シリカ粒子、スクロースポリマー、ジアトリゾ酸、イオヘキソールがあげられ、市販品として、Ficoll、Ficoll−Paque、Percoll(以上、GEヘルスケア製)、Lymphoprep、Polymorphprep、OptiPrep、Nycodenz(以上、Axis−Shield製)などが知られている。
比重差分離法による目的細胞濃縮工程を行なう際、図1に示す構造体100を用いて行なうと好ましい。図1に示す構造体100は、連通開口端130を介して上下に分割可能な筒状部材である。下部筒状部材110は、連通開口端130を介して上部筒状部材120と接続する側(上面)には開口部を設ける一方、他端(下面)は閉じられた(開口部を設けない)構造となっている。上部筒状部材120は両端とも開口部を設けており、かつ下部筒状部材110と連通開口端130を介して接続する側の開口部(下面側開口部)は、他端(上面側開口部)と比較し、内径が絞られた構造となっている。
図1に示す構造体100に密度勾配溶液を注入する際は、下部筒状部材110および上部筒状部材120のうち連通開口端130付近の領域を満たすよう、密度勾配溶液を注入するとよい。すなわち、下部筒状部材110と上部筒状部材120とを分離した際に、遠心分離操作により密度勾配溶液を通過して下部筒状部材110側に移動した目的細胞以外の成分を密度勾配溶液の大半とともに下部筒状部材110に、密度勾配溶液上に維持される目的細胞を上部筒状部材120に、それぞれ維持された状態で分離できる程度、好ましくは1mm程度、高くなるよう注入すればよい。その後、目的細胞を含む試料150を密度勾配溶液の上に重層後、上部筒状部材120上面側開口部を蓋140で密閉し、遠心分離操作を行なう(図2)。
遠心分離操作は、一般には1000×gから2000×g程度の低速で実施すればよいが、目的細胞の密度や使用する密度勾配溶液の密度を勘案し、当該目的細胞が密度勾配溶液の上に維持される条件を選択すればよい。例えば目的細胞が腫瘍細胞であり、上記条件で遠心分離操作を行なう場合、濃縮対象である腫瘍細胞の種類に応じて密度勾配溶液の密度を1.060から1.095g/mLまでの範囲に設定することができる。中でも、腫瘍細胞の濃縮率を高める観点から、密度勾配溶液の密度は1.075g/mL以上が好ましく、1.080g/mL以上とするとより好ましい。一方、同じ理由から、密度勾配溶液の密度は1.100g/mL以下が好ましく、1.096g/mL以下とするとより好ましく、1.093g/mL以下とするとさらにより好ましい。腫瘍細胞の濃縮に最も好ましい密度勾配溶液の密度は、1.082から1.091g/mLまでの範囲である。
密度勾配溶液の浸透圧は、200mOsm/kgから450mOsm/kgまでの範囲で適宜設定すればよいが、300mOsm/kgから400mOsm/kgまでの範囲とするとより好ましい。密度勾配溶液のpHは、目的細胞が損傷を受けない範囲で任意に選択することができ、通常の細胞の場合、pH6.8からpH7.8までの範囲に設定すればよい。
前述した遠心分離操作により、密度勾配溶液の密度より大きな密度を有する目的細胞以外の成分は密度勾配溶液の勾配層を通過して下部筒状部材110側に移動する。一方、密度勾配溶液より小さな密度を有した目的細胞を含む画分160は、上部筒状部材120内の密度勾配溶液の上に維持される(図3)。そこで蓋140による密閉を維持したまま、下部筒状部材110を上部筒状部材120から分離すると、上部筒状部材120中に目的細胞を含む画分160を回収することができる(図3)。前記画分は、例えば蓋140を取り外し、上部筒状部材120の密閉状態を開放することで下方へ滴下させる等行なうことで、特別の熟練を要することなく容易に目的細胞を含む画分160を回収できる(図3)。一方、下部筒状部材110側に移動した目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)を含む画分については、例えば当該筒状部材とともに廃棄すればよい。
比重差分離法による目的細胞濃縮工程を行なう際、目的細胞に特異的に結合する物質または目的細胞以外の成分(夾雑細胞など)に特異的に結合する物質を添加することにより、目的細胞を更に効率的に分離することができる。なお、前記特異的に結合する物質と多孔質シリカ粒子等比較的密度が小さい物質とを結合させれば、見かけ上の密度を小さくすることができる。前記特異的に結合する物質としては、目的細胞(または夾雑細胞など目的細胞以外の成分)と特異的に結合可能な抗体、抗原、ペプチド、ポリペプチド、成長因子、サイトカイン、レクチンといった生体高分子を例示できる。また前述した密度を調整する目的で使用可能な物質としては、前述した多孔質シリカ粒子の他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカルボネート等のポリビニル化合物に代表される有機ポリマー、ポリスチレンラテックス、ナイロン、ポリテレフタレート等の共重合体、ガラス、シリカ、ジルコニア等の無機材料、セルロース、デキストラン、アガロース、セルロース、セファロース等の生体ポリマー、赤血球などの生体試料が例示できる。
比重差分離法による目的細胞濃縮工程を行なう際、夾雑細胞を積極的に除去する操作を追加してもよい。例えば、血液試料から比重差分離法によりCTCの濃縮操作を行なう際、赤血球を積極的に除去する溶血操作を追加してもよい。前記夾雑細胞を積極的に除去する操作は、遠心分離操作前に行なってもよいし、遠心分離操作後に行なってもよい。なお夾雑細胞を積極的に除去する操作を遠心分離操作前に行なう場合は、その後遠心分離操作を追加すると好ましい。
本発明において目的細胞(または夾雑細胞)を検出するには、例えば、目的細胞を含む試料(または当該試料をあらかじめ前述した目的細胞濃縮工程により濃縮した試料)を希釈、懸濁などの処理をした後、スライドに塗布または保持部を有した基板に展開し、塗布された、または保持部に保持された細胞を顕微鏡などの光学的手段を用いて検出すればよい。前述した検出方法のうち、保持部を有した基板に試料を展開し、保持部に保持された細胞を検出する方法は、高感度かつ高精度に1細胞ごとを観察/解析できる点、および後の検出で細胞の再標識を行なう際、保持された細胞が剥離されるおそれが軽減される点で好ましい。
本発明において、目的細胞を含む試料を展開し検出するのに好ましい装置の一例として、図4から6に示す細胞保持装置があげられる。
図4および6に示す細胞保持装置200は、
貫通孔211を有した平板状の絶縁膜210と、
貫通孔221を有した平板状の遮光膜220と、
導入口231および排出口232を有した平板状のスペーサ230と、
遮光部材220の下面およびスペーサー230の上面と密着するよう設けた電極241・242と、
電極241・242同士を接続する導線250と、
電極241・242に信号を印加する交流電源260と、
を備えている。絶縁膜210が有する貫通口211と遮光膜220が有する貫通孔221とは互いに同一の寸法および形状であり、かつそれぞれの貫通孔の位置が一致するよう絶縁膜210および遮光膜220を備えている。貫通孔211、貫通孔221および遮光部材11の下部に密着して設けた電極241により、細胞保持装置200内に細胞を保持可能な保持部270が構成され、導入口231から細胞を含む液体を導入すると保持部270へ細胞が導入される。遮光膜220は、絶縁膜210自体の自家蛍光に起因するバックグラウンドノイズや隣接する保持部270からの漏れ光に起因するクロストークノイズなどの光ノイズを低減することができ、各保持部270に保持された細胞由来の光のみを高感度かつ高精度に検出することができる。電極242はスペーサ230上面に密着して備えており、導入口231から導入した、目的細胞を含む試料の飛散や蒸発を防止している。なお保持部270に保持した細胞の回収を容易にするため、電極242はスペーサ230から取り外し可能な構造となっている。また電極241・242をITO(酸化インジウムスズ)などの透明電極にすると、保持部270に保持された細胞を、顕微鏡や光学検出器を用いて検出可能となるため、好ましい。
前述した細胞保持装置200のうち、電極基板については、図4に示す装置のように絶縁膜210、遮光膜220およびスペーサ230を上下方向に挟むよう備えてもよいし、図5に示す装置のように遮光膜220の下面のみに+極241aおよび−極241bを設けた櫛形電極の態様で電極241を備えてもよい。
保持部270の大きさは、1個の目的細胞のみを保持可能な大きさとすると、検出工程にて標的細胞の検出が容易になる点で好ましい。なお細胞保持装置200へ展開させる試料中に含まれる細胞数(目的細胞と夾雑細胞との和)が、細胞保持装置200に設けた保持部270の数よりも多いことが予想される場合は、適切な細胞数が展開されるように希釈したり、展開に供する試料をあらかじめ計量するとよい。
目的細胞を含む試料(または当該試料をあらかじめ前述した目的細胞濃縮工程により濃縮した試料)の細胞保持装置200への展開は、細胞検出に適した間隔で基板上に分布させることができれば任意の手法を用いることができ、単に前記試料を細胞保持装置200へ展開させるのみでもよいが、その後、振動や誘電泳動力を与えるなどして細胞を細胞保持装置200に設けた保持部270へ積極的に保持させる操作を追加してもよい。特に、前記保持させる操作を誘電泳動力を与えることで行なうと、生きた細胞を数秒程度の極めて短い時間で保持部270に保持できる点で好ましい。誘電泳動力500を細胞400に作用させるには、保持部270を含めた細胞保持蔵置200内の空間を液体で満たした状態で、保持部270の部分に電気力線が集中するよう、交流電源260を用いて電極241・242へ所定の波形を有する交流電圧を印加すればよい(図6)。なお保持部270をアレイ状に均等に設けると、電極間に印加した電圧によって生じる電界が各保持部270にほぼ均等に生じ、各保持部270に対して同じように細胞400を誘導し捕捉できるため好ましい。
交流電源260を用いて電極241・242へ印加する交流電圧の大きさは、保持部270に細胞400を移動/保持可能な誘電泳動力500を発生させるのに十分な電圧であればよい。具体的には、ピーク電圧が1Vから20V程度で、周波数10kHzから10MHz程度の正弦波、矩形波、三角波、台形波等の波形の交流電圧が例示できる。特に1つの保持部に対し1個の細胞のみを保持させたい場合は、周波数100kHzから3MHzの矩形波を用いると好ましい。矩形波は、正弦波、三角波、台形波などの他の波形と比較し、瞬時に設定したピーク電圧に到達するため、細胞を保持部へ速やかに移動させることでき、2個以上の細胞が重なる態様で保持部に保持される確率を低くできる(1つの保持部に1個の細胞のみを保持する確率が高くなる)。細胞は電気的にコンデンサーと見なすことができるが、矩形波のピーク電圧が変化しない間は、保持部に保持された細胞には電流が流れ難くなって電気力線が生じ難くなり、この結果、細胞を保持した保持部には誘電泳動力が発生し難くなる。従って、一度保持部に細胞が保持されると、別の細胞が同一の保持部に保持される確率は低くなり、代わりに電気力線が生じ誘電泳動力が発生している他の保持部(細胞を保持していない、空の保持部)に、順次、細胞が保持される。
なお図4から6に示す細胞保持装置200に備える交流電源260は、直流成分を有しない交流電圧を発生する電源が好ましい。直流成分を有する交流電圧を電極へ印加すると、直流成分により発生した静電気力(電気泳動力)により細胞が特定の方向に偏った力を受けて移動し、誘電泳動力による細胞保持が困難になるからである。また直流成分を有する交流電圧を印加すると、細胞を含有する懸濁液に含まれるイオンが電極表面で電気反応を生じて発熱し、細胞が熱運動を起こすため誘電泳動力による動きを制御できなくなり、保持部への移動/保持が困難になる。本明細書において、直流成分を有する交流電圧とは、周波数デューティ比が50%でない電圧、オフセットを有する電圧、周期が極端に長い(例えば1秒以上)電圧などをいう。
細胞保持装置200に備える保持部270に保持された目的細胞および夾雑細胞は、目的細胞(または夾雑細胞)が特異的に有する物質と特異的に結合可能な認識物質に光学的に検出可能なシグナルを発することが可能な標識を結合して得られる標識物質を用いて、前記目的細胞および夾雑細胞を標識化した後、前記標識を別途設けた検出部300を用いて光学的に検出する。検出部300の一例としては蛍光顕微鏡が例示できる。
蛍光顕微鏡を用いて目的細胞および夾雑細胞を検出する場合は、前記標識としてFITC(フルオレセインイソシアネート)、PE(フィコエリスリン)、ローダミンといった蛍光色素を用い、当該蛍光色素に対応した励起光を標識化した細胞に照射し、当該照射により得られる前記標識化した細胞由来の蛍光の強度に基づき検出すればよい。標識化した細胞への照射に用いる光源としては、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ、レーザー、LED等を用いることができ、前記光源からの光は、必要に応じて光学フィルターやミラー、レンズ等によって構成される光学手段により観察領域(標識化された細胞が保持された保持部)に照射されればよい。前記照射により観察領域から得られる蛍光シグナル情報として、蛍光物質が発する蛍光から検出した蛍光強度、蛍光強度のピーク値、蛍光強度の最小値、蛍光強度の平均値、蛍光強度の積分値などの蛍光強度から算出された数値が例示できる。また前記照射により観察領域から得られるシグナル情報は、前記蛍光に関する情報の他に、広い波長域での透過光、反射光による光強度分布から構成される像(明視野)なども得られる。このうち明視野情報からは、細胞の直径、細胞の面積、細胞の体積、細胞の周囲長、真円度など細胞形態に関する情報が取得できる。そのため、前述した蛍光強度による検出の他に、明視野像に基づく目的細胞の大きさ/形状/模様などの外観の情報をあわせることで、より精度高く目的細胞の検出を行なうこともできる。
本発明の検出方法の流れを、血液試料中に含まれるCTCの検出を例として説明する。患者から採取した血液試料を、図1に示す構造体100を用いて比重差分離法により、試料中に含まれるCTCを濃縮し、夾雑細胞(赤血球、白血球など)を減少させた後、図4および6に示す細胞回収装置200に導入し、CTCを含む細胞を保持部270に保持させる。前記保持させた細胞に対し、核染色試薬であるDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)で標識した抗サイトケラチン(腫瘍細胞など上皮系細胞が発現するマーカー)抗体(以下、CK−FITCと表記)、およびPE(フィコエリスリン)で標識した抗CD45(白血球が特異的に有するタンパク質)抗体(以下、CD45−PEと表記)を用いて標識操作を行なった後、DAPI、FITCおよびPE由来の蛍光を蛍光顕微鏡を用いて検出する。
表1に示す結果が得られた場合、DAPI陽性、CK−FITC陽性かつCD45−PE陰性の細胞(細胞a)は目的細胞であるCTCと判定できる。またDAPI陽性、CK−FITC陰性かつCD45−PE陽性の細胞(細胞b)は夾雑細胞である白血球と判定できる。しかしながら、DAPI陽性、CK−FITC陰性かつCD45−PE陰性の細胞(細胞cおよび細胞d)は目的細胞であるCTCなのか、白血球などの夾雑細胞なのか不明である。そこで不明な細胞である、細胞cおよび細胞dに対して、2回目の検出を行なう。
2回目の検出は、サイトケラチン以外の腫瘍細胞が特異的に有するタンパク質であるAおよびBの有無に基づき検出する。具体的には、細胞cおよび細胞dに対し、FITCで標識した抗A抗体(以下、抗A抗体−FITCと表記)、およびPEで標識した抗B抗体(以下、抗B抗体−PEと表記)を用いて標識操作を行なった後、DAPI(1回目の検出の際、標識済)、FITCおよびPE由来の蛍光を蛍光顕微鏡を用いて検出する。2回目の検出結果が表1に示す結果となった場合、DAPI陽性、抗A抗体−FITC陽性、抗B抗体−PE陰性の細胞(細胞c)はA抗原を有する細胞すなわちCTCと判定できる。一方、DAPI陽性、抗A抗体−FITC陰性かつ抗B抗体−PE陰性の細胞(細胞d)はCTCか夾雑細胞か不明のままである。そこで不明な細胞である、細胞dに対して、3回目の検出を行なう。
3回目の検出は、サイトケラチン、AおよびB以外の腫瘍細胞が特異的に有するタンパク質であるCおよびDの有無に基づき検出する。具体的には、細胞dに対し、FITCで標識した抗C抗体(以下、抗C抗体−FITCと表記)、およびPEで標識した抗B抗体(以下、抗D抗体−PEと表記)を用いて標識操作を行なった後、DAPI(1回目の検出の際、標識済)、FITCおよびPE由来の蛍光を蛍光顕微鏡を用いて検出する。細胞dの3回目の検出結果が表1に示す結果となった場合、細胞dはD抗原を有する細胞すなわちCTCと判定できる。
以上に示す本発明の検出方法により、血液試料中に含まれるCTCを、1回目の検出しか行なわない従来の検出方法と比較し、高感度かつ高精度に検出できる。
さらに具体的には、CTCに代表される希少な目的細胞を検出するには、目的細胞を含む試料を、保持部を有した基板に展開し、保持部に保持された細胞を検出することで、同じ細胞の発現状態を何度も検出することができるため、目的細胞を取りこぼすことを防止することができる。また、後の検出で細胞の再標識を行なう際、保持された細胞の剥離を軽減することができる。
Figure 2018044950
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)インフォームドコンセントを得て取得した健常者血液3mLに約500個のヒト乳癌細胞(MDA−MB−231)を添加し、懸濁させることで本実施例で用いる血液試料を調製した。
(2)以下に示す方法で、図1に示す構造体100を使用して、(1)で調製した血液試料から癌細胞を濃縮した。なお図1に示す構造体100のうち、下部筒状部材110は内径φ10mm、縦54mm、容量3mLの底を有したポリプロピレン製部材である。また上部筒状部材120は縦70mm、容量15mLのポリプロピレン製部材であり、内径は上面側(蓋140側)φ18mm、下面側(連通開口端130側)φ2mmであり、下面側先細り形状の部分の傾斜角度は30°である。
(2−1)下部筒状部材110に、密度が1.084g/mLの密度勾配溶液を3mL注入した。なお密度勾配溶液の液面高さは、上部筒状部材120の下面側(連通開口端130側)から約1mmの位置(従って液面は、上側筒状部材120の内部に位置する)である。
(2−2)密度勾配溶液の上に、3mLの血液試料と3mLの生理食塩水と75μLの結合剤(商品名RosetteSep、StemCell Technologies製)の混合液150を重層した(図2中、黒塗部分が重層した混合液150の部分である)。ここで添加する結合剤は、癌細胞以外の夾雑細胞(赤血球、白血球)を互いに結合させるための試薬であり、前記夾雑細胞の密度を高くし、癌細胞との密度差を大きくすることで、構造体100を用いた比重差分離により、高い回収率と選択性をもって癌細胞を分離できる。
(2−3)試料重層後、上部筒状部材120の上面を蓋140(ポリプロピレン製)で密閉し、2000×gで10分間、室温にて遠心分離した。当該遠心分離操作により、密度勾配溶液と試料の界面160に癌細胞は維持された(図3)。
(2−4)蓋140を取り外すことなく構造体100を構成する筒状部材110・120を分離した後、蓋140をはずして密閉を開放することで、上部筒状部材120の連通開口端130側より密度勾配溶液の一部とその上に維持された細胞160を流出させ、下方に設置した50mLチューブで回収するとともに、上部筒状部材120の内壁を洗浄することで、上部筒状部材120の壁に付着した細胞も同時に回収した。
(3)回収した細胞の懸濁液に塩化アンモニウムを主成分とする赤血球破砕液を添加して30mLまでメスアップし、300×gで10分間室温にて遠心分離した。遠心分離後、ペレットの頂部の液体をピペットで取り出し、ペレット中の細胞を300mMのマンニトール溶液30mLに再懸濁し、300×gで5分間室温にて遠心分離した。この遠心分離操作は、細胞破片及び血小板を除去し、癌細胞を濃縮するためのものである。
(4)以下に示す方法で、(3)で回収した細胞を、図4および6に示す細胞保持装置200に保持した後、癌細胞を検出した。なお細胞保持装置100には、直径φ30μm、深さ40μmの保持部270を約30万個設けている。
(4−1)導入部231から、(3)で回収した細胞の懸濁液を導入した後、交流電源260から各電極241・242に交流電圧(電圧20Vpp、周波数1MHz、矩形波)を印加し、誘電泳動力により前記細胞を保持部270に保持させた。
(4−2)導入部231から、0.01%ポリ−L−リジンを含む300mMマンニトール水溶液を、前記交流電圧を印加しながら導入し、3分間静置後、前記交流電圧の印加を停止し、排出部232から前記水溶液を吸引除去した。
(4−3)導入部231から、細胞膜透過試薬を導入し、10分間静置することで細胞膜を透過させた後、排出部232から前記試薬を吸引除去した。その後、導入部231から、PBS(Phosphate Buffered Saline)を導入することで、残留した前記試薬を洗浄した。
(4−4)導入部231から、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)標識抗サイトケラチン抗体(Miltenyi Biotec製)(以下、CK−FITCと表記)、PE(フィコエリスリン)標識抗CD45抗体(Beckman−Coulter製)(以下、CD45−PEと表記)およびDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)(0.5μg/mL)(同仁化学研究所製)を混合した細胞染色液800μLを導入し、細胞標識を行なった(25℃、30分)後、導入部231から、300mMマンニトール水溶液を導入することで洗浄した。
(4−5)保持部270に保持された全ての細胞を観察するために、コンピューター制御式電動ステージおよび電子増倍型冷却CCDカメラ(FLOVEL製ADT−100)を備えた蛍光顕微鏡(Olympus製IX71)を用いて全ての保持部の明視野像および蛍光画像を撮影した。
(4−6)(4−5)で撮影した画像を解析ソフトウェアLabVIEW(National Instruments製)を用いて解析し、以下に示す条件に基づき、細胞を判別した。なおDAPIで染色されない(細胞核を有さない)細胞は、赤血球や死細胞片などの細胞核を有さない夾雑細胞のため解析ソフトウェア上で排除した。また保持部270には夾雑細胞である白血球が10万から50万個保持されていたが、目的細胞であるヒト乳癌細胞の検出に際しては妨げにならない量であった。
癌細胞(目的細胞):DAPIで染色され(細胞核を有し)、CK−FITCで染色され(サイトケラチンを発現し)、かつCD45−PEでは染色されない(CD45を発現しない)細胞
白血球(夾雑細胞):DAPIで染色され(細胞核を有し)、CK−FITCでは染色されず(サイトケラチンを発現しない)、かつCD45−PEでは染色される(CD45を発現する)細胞
本実施例で目的細胞として用いた癌細胞(MDA−MB−231)はサイトケラチンの発現量が少ないまたは中程度の細胞株である。そのため前記判定条件では添加した癌細胞数の11.1%しか検出されなかった。一方、DAPIで染色され(細胞核を有し)、CK−FITCでは染色されず(サイトケラチンを発現しない)、かつCD45−PEでも染色されない(CD45を発現しない)細胞が多数検出された(例えば、図7(a)の左下に示す保持部に保持された細胞)。
実施例2
(1)実施例1(4−6)に記載の方法による細胞判別を行なった後、導入部231から、FITC標識抗CD146抗体(Miltenyi Biotec製)(以下、CD146−FITC)およびPE標識抗Vimentin抗体(Cell Signaling Technology製)(以下、Vimentin−PE)を混合した細胞染色液800μLを導入し、細胞標識を行なった(25℃、30分)後、導入部231から、300mMマンニトール水溶液を導入することで洗浄した。
(2)実施例1で検出した細胞のうち、DAPIで染色され、CK−FITCでは染色されず、かつCD45−PEでも染色されない細胞(すなわち、実施例1の時点では目的細胞である癌細胞か夾雑細胞か判定できなかった細胞)が保持された保持部に対して、実施例1(4−5)に記載の方法で明視野像および蛍光画像を撮影した。
(3)(2)で撮影した画像を解析ソフトウェアLabVIEW(National Instruments製)を用いて解析し、CD146−FITCまたはVimentin−PEで染色された(CD146またはVimentinを発現する)細胞を目的細胞である癌細胞と判定した。
結果、実施例1の検出で、目的細胞か夾雑細胞か判定できなかった細胞(例えば、図7(a)の左下に示す保持部に保持された細胞)のうち、70%の細胞がVimentin−PEで染色されており、これらの細胞は癌細胞として判定することができた(一例として、図7(b)の左下に示す保持部に保持された細胞)。なお本実施例では、CD146−FITCで染色された細胞はなかった。
また図7(b)の左下に示す保持部に保持された細胞(すなわち、DAPIおよびVimentin−PEでは染色され、CK−FITC、CD45−PEおよびCD146−FITCでは染色されない細胞)について、ヘマトキシリン染色を行なった結果、細胞核が肥大している癌細胞の特徴が観察できた(図7(c))。
実施例3
(1)実施例1(1)から(3)に記載の方法で血液試料中の癌細胞を濃縮後、実施例1(4)に記載の方法で前記濃縮試料中の細胞を検出した。
(2)実施例1(4−6)に記載の方法による細胞判別を行なった後、導入部231から、PE標識抗CD266抗体(Biolegend製)(以下、CD266−PE)を含む細胞染色液800μLを導入し、細胞標識を行なった(25℃、30分)後、導入部231から300mMマンニトール水溶液を導入することで洗浄した。
(3)(1)で検出した細胞のうち、DAPIで染色され、かつCD45−PEでは染色されない細胞(CK−FITCの染色結果は不問)が保持された保持部に対して、実施例1(4−5)に記載の方法で蛍光画像を撮影した。
(4)(3)で撮影した画像を解析ソフトウェアLabVIEW(National Instruments製)を用いて解析し、CD266−PEで染色された細胞を検出した。
検出した目的細胞(癌細胞)に結合したそれぞれの標識物質(CKおよびCD266)における目的細胞の検出率の結果を表2に示す。目的細胞において、CK陽性の検出率(CD266の検出結果は不問)は22.0%、CD266陽性(CKの検出結果は不問)の検出率は13.4%、CK陽性かつCD266陽性の検出率は3.6%、CK陽性かつCD266陰性の検出率は18.4%、CK陰性かつCD266陽性の検出率は9.8%、CK陽性もしくはCD266陽性の検出率は31.8%となった。
Figure 2018044950
実施例2による目的細胞の検出法では、1回目の検出でDAPIで染色され、目的細胞を染色する試薬であるCK−FITCでは染色されず、かつ夾雑細胞を染色する試薬であるCD45−PEでも染色されない細胞に対してのみ、追加で標識した標識物質(VimentinおよびCD146)での染色の有無に基づき目的細胞か否かを判定(2回目の検出)している。したがって、得られる目的細胞の検出率は、1回目の検出で用いた標識物質(CK)陽性の検出率、CK陰性かつ2回目の検出で用いた標識物質(VimentinまたはCD146)陽性の検出率、CK陽性またはVimentinもしくはCD146の検出率のみであり、これら検出率に基づく評価しかできない。
一方、本実施例による目的細胞の検出法は、2回目の検出における対象細胞を、DAPIで染色され、かつ夾雑細胞を染色する試薬であるCD45−PEでは染色されない細胞(すなわち目的細胞を染色する試薬であるCK−FITCでの染色は不問)としているため、より詳細な目的細胞に対する標識物質の結合能を評価することができ、目的細胞の性状をより詳しく評価できる。
100:構造体
110・120:筒状部材
130:連通開口端
140:蓋
150:目的細胞を含む試料
160:目的細胞を含む画分
200:細胞保持装置
210:絶縁膜
220:遮光膜
221:貫通孔
230:スペーサ
231:導入口
232:排出口
241・242:電極
241a:+極
241b:−極
250:導線
260:交流電源
270:保持部
300:検出部
400:細胞
500:誘電泳動力
600:光

Claims (4)

  1. 以下の(1)から(5)に示す工程を少なくとも含む、目的細胞および夾雑細胞を含む試料から目的細胞を検出する方法。
    (1)核染色試薬により目的細胞を染色する工程、
    (2)目的細胞が特異的に有する物質のうち特定の物質の有無に基づき、試料中に含まれる目的細胞を検出する工程、
    (3)夾雑細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、試料中に含まれる夾雑細胞を検出する工程、
    (4)試料中に含まれる細胞群から(3)の工程で検出した夾雑細胞を検出対象として除外する工程、
    (5)(4)の工程を行なった細胞群に対し、(2)の工程で検出に用いた特定の物質以外の、目的細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、前記細胞群中に含まれる目的細胞を検出する工程
  2. 以下の(1)から(4)に示す工程を少なくとも含む、試料中に含まれる目的細胞を検出する方法。
    (1)核染色試薬により目的細胞を染色する工程、
    (2)目的細胞が特異的に有する物質のうち特定の物質の有無に基づき、試料中に含まれる目的細胞を検出する工程、
    (3)試料中に含まれる細胞群から(2)の工程で検出した目的細胞を検出対象として除外する工程、
    (4)(3)の工程を行なった細胞群に対し、(2)の工程で検出に用いた特定の物質以外の、目的細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、前記細胞群中に含まれる目的細胞を検出する工程
  3. 以下の(1)から(5)に示す工程を少なくとも含む、目的細胞および夾雑細胞を含む
    試料から目的細胞を検出する方法。
    (1)核染色試薬により目的細胞を染色する工程、
    (2)目的細胞が特異的に有する物質のうち特定の物質の有無に基づき、試料中に含まれ
    る目的細胞を検出する工程、
    (3)夾雑細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、試料中に含まれる夾雑細胞を検出
    する工程、
    (4)試料中に含まれる細胞群から(2)の工程で検出した目的細胞および(3)の工程
    で検出した夾雑細胞を検出対象として除外する工程、
    (5)(4)の工程を行なった細胞群に対し、(2)の工程で検出に用いた特定の物質以
    外の、目的細胞が特異的に有する物質の有無に基づき、前記細胞群中に含まれる目的細胞
    を検出する工程
  4. 試料が血液試料であり、目的細胞が血中循環腫瘍細胞であり、前記(2)の工程で目的細胞の検出に用いる物質が上皮系細胞が発現するタンパク質である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
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