JP2018044826A - ペプチド解析方法、ペプチド解析装置、及びペプチド解析用プログラム - Google Patents

ペプチド解析方法、ペプチド解析装置、及びペプチド解析用プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】煩雑な作業を行うことなく、異性化ペプチドの存在を確認するためのペプチドの構造解析を効率よく行う。【解決手段】本発明は、MS/MS測定が可能なクロマトグラフ質量分析装置を用いてタンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸の異性化を解析する方法であり、タンパク質又はペプチドを含む試料をクロマトグラフによって時間的に分離し、その分離された試料に含まれるタンパク質又はペプチドがイオン化して生じるプリカーサイオン、該プリカーサイオンが複数の異なる箇所でアミノ酸が開裂して形成される複数種のフラグメントイオンに応じた複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM測定を実行し、MRM測定により得られたデータに基づき作成された複数のクロマトグラムの各々についてピークを検出し、複数のクロマトグラムの各々に複数のピークが検出された場合であって該複数のクロマトグラムに共通に、複数のピークがそれぞれ同一保持時間に存在するか否かを判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、液体クロマトグラフ質量分析装置を用いてペプチドを構成するアミノ酸の異性化を解析するペプチド解析方法、ペプチド解析装置、及びペプチド解析用プログラムに関する。
タンパク質は老化によりその一部のアミノ酸がL体からD体に変化することが知られており、このような現象が白内障やアルツハイマー症等の老年期に多く見られる各種疾病の要因となる可能性が指摘されている。このようなことから、タンパク質やペプチドの構造解析は、生命科学や医療、医薬品開発等、様々な分野において非常に重要になっている。こうした解析のために質量分析は非常に威力を発揮しており、質量分析を利用したタンパク質やペプチドの様々な分析手法が研究・開発されている。
質量分析を利用して、一部のアミノ酸が異性化したタンパク質の構造解析を行う際には、多くの場合、クロマトグラフ質量分析装置を用いて、タンパク質を断片化して得られるペプチドに対する質量分析が行われる。この際、D−アミノ酸又はL−アミノ酸を特異的に加水分解する酵素を用いてターゲットとなるペプチドを分解し、得られた分解物をクロマトグラフにより分離しながら質量分析することにより、目的とするペプチドが分解されたかどうかを確認する。
非特許文献1には、液体クロマトグラフ−エレクトロスプレーイオン化イオントラップ型質量分析装置を用いて、一部のアミノ酸が異性化したペプチド(以下、異性化ペプチドという。)を検出する手法が報告されている。
この手法では、イオントラップ型質量分析装置を用いて異性化ペプチドを含む可能性がある試料のMS/MSスペクトル(MSスペクトル)を取得し、このスペクトルをデータベースに収録されているMS/MSスペクトルの情報と照合する、もしくはペプチド配列を推測するソフトウエアなどでそのスペクトルの配列情報を得ることで目的とするペプチドの同定を行う。次に、同定されたペプチドのクロマトグラム(MSクロマトグラム)を作成し、このMSクロマトグラムに現れるピークが1本の場合は異性化ペプチドが検出されなかったと判断し、ピークが複数本の場合は異性化ペプチドが存在する可能性があると判断する。このように判断することができる理由は、異性化ペプチドと異性化していないペプチドとはカラムによる保持挙動が異なるため、クロマトグラフによって別々に検出することができるからである。
異性化ペプチドが存在する可能性があると判断された場合、MSクロマトグラムの複数本のピークのそれぞれに対応するMS/MSスペクトルの一致度を確認し、一致している場合は異性化ペプチドの存在を検証するための追加実験の対象とし、一致していない場合は異性化ペプチドが存在しないと判断する。すなわち、非異性化ペプチドのプロダクトイオンと異性化ペプチドのプロダクトイオンにはアミノ酸配列が同じものが含まれることから、MSクロマトグラム中の複数本のピークが異性化ペプチドの存在を示す場合は、これらピークに対応する各MS/MSスペクトルからアミノ酸配列が同じプロダクトイオンが検出され、MS/MSスペクトルの形状が一致することになる。
Fujii N, Sakaue H, Sasaki H, and Fujii N., J Biol Chem., 287; 39992-40002, 2012 Maeda H, Takata T, Fujii N, Sakaue H, Nirasawa S, Takahashi S, Sasaki H. and Fujii N., Anal. Chem., 87; 561-568, 2015
MS/MSスペクトルが一致した場合の追加検証実験の方法としては、例えば標準ペプチドに異性体のアミノ酸を導入したもの(異性化標準ペプチド)を合成し、該異性化標準ペプチドのMSクロマトグラムに現れるピークの保持時間と、試料中に含まれる異性化ペプチドの候補となるペプチドのピークの保持時間の一致・不一致を確認する方法(非特許文献1)、D−Asp残基に特異的に作用するペプチダーゼを用いて試料中のペプチドを加水分解し、その分解物をLC/MSを用いて確認する方法(非特許文献2)が、それぞれ報告されている。しかし、前者の方法では異性化標準ペプチドを合成する工程を経なければならず、後者の方法では酵素反応という工程を経なければならない。いずれの工程も作業が煩雑で面倒である。また、酵素を用いる場合は、該当する酵素がなければ追加検証実験を行うことができないという問題もある。
本発明が解決しようとする課題は、煩雑な作業を行うことなく、異性化ペプチドの存在を確認することができる、ペプチド解析方法、ペプチド解析装置、及びペプチド解析用プログラムを提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、MS/MS測定が可能なクロマトグラフ質量分析装置を用いて、タンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸の異性化を解析するためのペプチド解析方法であって、
a) 解析目的であるタンパク質又はペプチドを含む試料をクロマトグラフによって時間的に分離する工程と、
b) 該分離された試料に含まれるタンパク質又はペプチドがイオン化して生じるプリカーサイオン、該プリカーサイオンが異なる箇所でアミノ酸が開裂して形成される複数種のフラグメントイオンに応じた複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM測定を実行する測定実行工程と、
c) 前記MRM測定により得られたデータに基づき、前記複数のMRMトランジションの各値におけるクロマトグラムを作成する工程と、
d) 前記複数のクロマトグラムの各々についてピークを検出するピーク検出工程と、
e) 前記複数のクロマトグラムの各々に複数のピークが検出された場合であって、前記複数のクロマトグラムに共通に、複数のピークがそれぞれ同一保持時間に存在するか否かを判定することにより、前記解析目的であるタンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸が異性化しているか否かを判断する工程
とを備えることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために成された本発明に係るペプチド解析装置は、上記本発明に係るペプチド解析方法を実現するための装置であり、MS/MS測定が可能なクロマトグラフ質量分析装置を含み、タンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸の異性化を解析するためのペプチド解析装置であって、
a) 解析目的であるタンパク質又はペプチドを含む試料をクロマトグラフによって時間的に分離し、その分離された試料に含まれるタンパク質又はペプチドがイオン化して生じるプリカーサイオン、該プリカーサイオンが異なる箇所でアミノ酸が開裂して形成される複数種のフラグメントイオンに応じた複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM測定を実行するように前記クロマトグラフ質量分析装置を動作させる分析制御部と、
b) 前記MRM測定により得られたデータに基づき、前記複数のMRMトランジションの各値におけるクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成部と、
c) 前記複数のクロマトグラムの各々についてピークを検出するピーク検出部と、
d) 前記複数のクロマトグラムの各々に複数のピークが検出された場合であって、前記複数のクロマトグラムに共通に、複数のピークがそれぞれ同一保持時間に存在するか否かを判定することにより、前記解析目的であるタンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸が異性化しているか否かを判断する異性化判断部
とを備えることを特徴とする。
さらに、上記課題を解決するために成された本発明に係るペプチド解析用プログラムは、上記本発明に係るペプチド解析方法を実現するためのコンピュータ用プログラムであり、タンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸の異性化を解析するために、MS/MS測定が可能なクロマトグラフ質量分析装置の動作を制御するとともに該装置で得られたデータを処理する、コンピュータ上で動作するプログラムであって、
a) 解析目的であるタンパク質又はペプチドを含む試料をクロマトグラフによって時間的に分離し、その分離された試料に含まれるタンパク質又はペプチドがイオン化して生じるプリカーサイオン、該プリカーサイオンが異なる箇所でアミノ酸が開裂して形成される複数種のフラグメントイオンに応じた複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM測定を実行するように前記クロマトグラフ質量分析装置を動作させる分析制御機能部と、
b) 前記MRM測定により得られたデータに基づき、前記複数のMRMトランジションの各値におけるクロマトグラムを作成し、前記複数のクロマトグラムの各々に複数のピークが検出された場合において、前記複数のクロマトグラムに共通に、複数のピークがそれぞれ同一保持時間に存在するか否かを判定することにより、前記解析目的であるタンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸が異性化しているか否かを判断する異性化判断機能部
とを備えることを特徴とする。
本発明では、MS/MS測定が可能なクロマトグラフ質量分析装置を構成するクロマトグラフとしては、例えばガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、キャピラリ電気泳動などがあり、質量分析装置としては、タンデム四重極型質量分析装置(三連四重極型質量分析装置とも呼ばれる)、四重極飛行時間型質量分析装置(QTOF)、イオントラップ型質量分析装置、マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析装置などがあり、それらを組み合わせた装置を用いることができる。
本発明において、一部のアミノ酸が異性化したペプチドとは、ペプチドを構成する複数のアミノ酸のうちの1個ないし複数がL体からD体に変化したペプチド、あるいはその逆の変化が生じたペプチド、又は、αアミノ酸からβアミノ酸に変化したペプチド、βアミノ酸がαアミノ酸に変化したペプチド等をいう。また、一部のアミノ酸がL体のαアミノ酸からD体のβアミノ酸に変化したペプチド等、光学異性化、立体異性化が生じたペプチドも一部のアミノ酸が異性化したペプチドに含まれる。一部のアミノ酸が異性化したタンパク質も同様である。
本発明では、タンパク質試料をトリプシンなどのタンパク質消化酵素によりペプチド断片化した試料をクロマトグラフで分離し、質量分析装置に導入する。ただし、分子量が比較的小さいタンパク質については、消化酵素を用いずに分析することも可能である。以下では、タンパク質をペプチド断片化した試料を用いる場合について説明するが、タンパク質をそのまま試料として用いる場合も同様のことが言える。
試料中のペプチドは複数のアミノ酸がペプチド結合した構成を有しており、液体クロマトグラフ質量分析装置で用いられる一般的なイオン化法であるエレクトロスプレーイオン化により、イオンが生成される。従って、異性化が生じていることが予想されるアミノ酸を含むイオンがプリカーサイオンとなり、さらに、このプリカーサイオンが異なる箇所でアミノ酸が開裂して生じたイオンがフラグメントイオンとなるように、MRMトランジションを設定する。つまり、フラグメントイオンを構成するアミノ酸の開裂場所の違いに応じた複数のMRMトランジションが設定される。なお、「異なる箇所でアミノ酸が開裂する」とは、「異なるアミノ酸が開裂する」こと、「あるアミノ酸が異なる箇所で開裂する」こと、の両方を含む。このようにして設定された複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM(多重反応イオンモニタリング)測定を実施すると、フラグメントイオンのアミノ酸の数に応じたMRMトランジションにおいて、それぞれ元のペプチド由来のイオンが検出される。
着目するアミノ酸に異性化が生じている場合、あるMRMトランジションを測定条件としたMRM測定で得られるクロマトグラムと、別のMRMトランジションを測定条件としたMRM測定で得られるクロマトグラムには、いずれも非異性化ペプチドと異性化ペプチド(これらを合わせて「ペプチドの異性体」又は「異性体ペプチド」ともいう)の数に応じた複数のピークが現れ、しかも、これら複数のピークは、複数のクロマトグラムに共通に、それぞれ同一保持時間に現れる。一方、各クロマトグラフに現れる複数のピークの強度はプリカーサイオンからフラグメントイオンが生成されるときに開裂した箇所(つまり、それぞれのMRMトランジション)に応じた値となる。従って、複数のMRMトランジションにおけるクロマトグラムを作成し、各クロマトグラムに複数のピークが観測され、これら複数のピークが、複数のクロマトグラムに共通に、それぞれ同一保持時間に存在する場合には、着目するアミノ酸に異性化が生じていると判断することができる。このとき、複数のクロマトグラムにおいて同一保持時間に観察される各ピークの強度は異なることになる。
この場合、複数のMRMトランジションを測定条件とするMRM測定でそれぞれ得られたクロマトグラムを同一座標軸上に重ねて表示するようにすれば、各クロマトグラムのピークが同一保持時間に現れていること、及び、それらピークの強度が異なっていることが一目瞭然となるため、好ましい。
また、ペプチド鎖の中のアミノ酸異性体は、ペプチドバックボーンに対する側鎖カルボキシル基の相対位置が異なる。これは、各アミノ酸に不斉炭素が含まれているため、アミノ酸異性体がジアステレオマーの関係になるためである。ジアステレオマーは一般的には、C18カラム、C8カラムなど逆相カラムを用いた液体クロマトグラフで分離することが可能である。さらにまた、アミノ酸の異性体によって、ペプチドバックボーンを構成する炭素数が異なる場合がある。例えば、図8は、アスパラギン酸(Asp)の異性体であるDα−Asp、Lα−Asp、Dβ−Asp、Lβ−Aspのペプチドバックボーン(長方形又はV字形状の網掛け部分)と側鎖カルボキシル基(楕円の網掛け部分)を示している。この図に示すように、β−Asp(Dβ−Asp、Lβ−Asp)は、ペプチドバックボーンを構成する炭素数がα−Asp(Dα−Asp、Lα−Asp)よりも1個多い。これらも逆相の液体クロマトグラフで分離することが可能である。
図9は、現在提唱されている、ペプチドのイオン化の際にAspの側鎖を介して開裂するメカニズムを示している。図8及び図9から分かるように、着目するアミノ酸がAspであって、該Aspを含むプリカーサイオンがAspの側鎖を介した開裂によってフラグメントイオンが生成される場合には、フラグメントイオンを構成するアミノ酸の数が同じであってもフラグメントイオンの開裂のためのエネルギー値が異なるため、異性体間でイオン化する際のピーク強度が異なると考えられる。
以上より、複数のクロマトグラムにおいて、それぞれ同一保持時間に存在するピークの強度比を比較することにより、異性化しているアミノ酸が存在する部位を推定することが可能である。
本発明に係るペプチド解析方法、ペプチド解析装置、及びペプチド解析用プログラムによれば、煩雑な作業を行うことなく、タンパク質又はペプチドを構成するアミノ酸の一部において異性化が生じている否かを確認することができる、
本発明に係るペプチド解析方法を実施するペプチド解析装置の一実施例の概略構成図。 本実施例のペプチド解析装置におけるペプチド解析処理の手順を示すフローチャート。 4種類の異性体ペプチドを含む試料の実測MRMクロマトグラムを示す図。 図3に示す領域Aの拡大図。 4種類の異性体ペプチドを含む試料のSIMクロマトグラムを示す図。 図3に示すMRMクロマトグラムの各ピークにおける相対強度を示す図。 第2フラグメントイオンを構成するアミノ酸配列を示す図。 アスパラギン酸の異性体のピーク強度の関係を示す図。 アスパラギン酸の側鎖を介した開裂メカニズムの説明図。
本発明に係るペプチド解析方法の一実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係るペプチド解析方法を実施するペプチド解析装置の概略構成図である。
図1に示すように、ペプチド解析装置は、液体クロマトグラフ部(LC部)1と質量分析部(MS/MS部)2とを含む液体クロマトグラフ質量分析システム(「LC−MS/MSシステム」という)である。
LC部10は、移動相が貯留された移動相容器11と、移動相を吸引して一定流量で送給するポンプ12と、移動相中に予め用意された所定量の試料を注入するインジェクタ13と、試料に含まれる各種化合物を時間方向に分離するカラム14と、を含む。なお、LC部10が複数の移動相の組成を連続的に変化させながら試料に含まれる化合物を分離する、いわゆるグラジエント分離を行う場合は、移動相容器11及びポンプ12はそれぞれ2個以上設けられる。
MS/MS部20は、タンデム四重極型質量分析装置から成り、大気圧であるイオン化室21と図示しない高性能の真空ポンプにより真空排気される高真空の分析室24との間に、段階的に真空度が高められた第1、第2中間真空室22、23を備えた多段差動排気系の構成である。イオン化室21には、試料溶液に電荷を付与しながら噴霧するエレクトロスプレーイオン化用プローブ25が設置され、イオン化室21と次段の第1中間真空室22との間は細径の加熱キャピラリ26を通して連通している。第1中間真空室22と第2中間真空室23との間は頂部に小孔を有するスキマー28で隔てられ、第1中間真空室22と第2中間真空室23にはそれぞれ、イオンを収束させつつ後段へ輸送するためのイオンガイド27、29が設置されている。分析室24には、多重極イオンガイド32が内部に設置されたコリジョンセル31を挟み、イオンを質量電荷比に応じて分離する前段四重極マスフィルタ30と、同じくイオンを質量電荷比に応じて分離する後段四重極マスフィルタ33、さらにはイオン検出器34が設置されている。CIDガス供給部35はコリジョンセル31の内部にアルゴン、窒素などのCIDガスを供給するものである。また電源部36は、エレクトロスプレイイオン化用プローブ25、イオンガイド27、29、32、四重極マスフィルタ30、33などにそれぞれ所定の電圧を印加する。
データ処理部40は、機能ブロックとして、データ収集部41、データ記憶部42、グラフ作成部43、定量分析部44等を備える。入力部52や表示部53が付設された制御部50は、液体クロマトグラフ部10のポンプ12やインジェクタ13、質量分析装置20の電源部36やCIDガス供給部35などの各部の動作をそれぞれ制御する。なお、制御部50及びデータ処理部40の機能の少なくとも一部は、パーソナルコンピュータをハードウエア資源とし、該コンピュータに予めインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアをコンピュータ上で実行することにより実現することができる。
本実施例のLC−MS/MSシステムにおける基本的なMS/MS測定動作は次の通りである。
まず、ポンプ12は移動相容器11から移動相を吸引して一定流量で以てカラム14に送給する。インジェクタ13から一定量の試料液が移動相中に導入されると、移動相の流れに乗って試料はカラム14に導入され、カラム14を通過する間に試料中の各種化合物は時間方向に分離されてカラム14出口から溶出し、MS/MS部2に導入される。
MS/MS部2において、エレクトロスプレイイオン化用プローブ25にカラム14からの溶出液が到達すると、該プローブ25の先端において電荷が付与されながら溶出液が噴霧される。噴霧により形成された帯電液滴は付与された電荷による静電気力の作用によって分裂しながら微細化され、その過程で溶媒は気化し化合物由来のイオンが飛び出す。
こうして生成されたイオンは加熱キャピラリ26を通して第1中間真空室22に送られ、イオンガイド27で収束されてスキマー28頂部の小孔を経て第2中間真空室23に送られる。そして、化合物由来のイオンはイオンガイド29で収束されて分析室24に送られ、前段四重極マスフィルタ30の長軸方向の空間に導入される。なお、イオン化法はエレクトロスプレイイオン化法に限らず、大気圧化学イオン化法や大気圧光イオン化法などを用いてもよいことは当然である。
MS/MS部2においてMS/MS分析を行う際には、前段四重極マスフィルタ30及び後段四重極マスフィルタ33の各ロッド電極に電源部36からそれぞれ所定の電圧(高周波電圧と直流電圧とが重畳された電圧)が印加され、コリジョンセル31内にはCIDガス供給部35から連続的に又は間欠的にCIDガスが供給される。これにより、前段四重極マスフィルタ30に送り込まれた各種イオンの中で、前段四重極マスフィルタ30の各ロッド電極に印加されている電圧に応じた特定の質量電荷比を有するイオンのみが該フィルタ30を通過し、プリカーサイオンとしてコリジョンセル31に導入される。コリジョンセル31内でプリカーサイオンはCIDガスに衝突して開裂し、各種のプロダクトイオンが生成される。生成された各種プロダクトイオンが後段四重極マスフィルタ33に導入されると、後段四重極マスフィルタ33の各ロッド電極に印加されている電圧に応じた特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンのみが該フィルタ33を通過し、イオン検出器34に到達して検出される。イオン検出器34はパルスカウント型検出器を用いることができ、この場合、入射したイオンの数に応じた個数のパルス信号を検出信号として出力する。
イオン検出器34の検出信号はデータ処理部40に入力され、マススペクトルやマスクロマトグラムが作成されるとともに、後述するようなペプチド解析処理などが実行される。
一般的なLC−MS/MSと同様、本実施例のシステムでも、MS/MS測定のモードとして、多重反応モニタリング(MRM)測定、プロダクトイオンスキャン測定、プリカーサーイオンスキャン測定、ニュートラルロススキャン測定が用意されている。
MRM測定では、前段四重極マスフィルタ30及び後段四重極マスフィルタ33でそれぞれ所定の質量電荷比のイオンのみを通過させてMS/MS測定が行われ、これにより、目的化合物由来の特定のプリカーサイオンに対する特定のプロダクトイオンが検出される。MRM測定では、プリカーサイオンの質量電荷比(m/z)とプロダクトイオンの質量電荷比(m/z)とを1組とするチャンネルを複数設定した測定を行うことができ、プリカーサイオンの質量電荷比とプロダクトイオンの質量電荷比の組を「MRMトランジション」という。以下に説明するペプチド解析処理では、MS/MS測定としてMRM測定が使用される。
以下、上記LC−MS/MSシステムを用いて実施されるペプチド解析処理について説明する。図2はこの処理の手順を示すフローチャートである。
あるタンパク質又はペプチドについてその一部のアミノ酸が異性化しているか否かを解析する場合、測定者はまず、標準ペプチドを用いて、上述のLC−MS/MSシステムを用いてMRMモードでMS/MS測定する際の測定条件の検討を行う(ステップS1)。なお、標準ペプチドとは、解析対象のタンパク質又はペプチドがMS/MS部2に導入されてイオン化される際に開裂が生じて生成される、構造が既知のペプチドであり、異性化していることが予想されるアミノ酸に関する複数種の異性体が含まれるものをいう。
例えばあるペプチドについて、アスパラギン酸(D、Asp)が異性化していることが予想される場合は、アスパラギン酸の複数種類の異性体(例えば4種類の異性体(Dα-Asp、Dβ-Asp、Lα-Asp、Lβ-Asp))をそれぞれ1種類ずつ含む複数種類のペプチドが標準ペプチドに含まれることとなる。
このような標準ペプチドを用いてMRMモードで、複数のMRMトランジションを測定条件とするMS/MS測定を実行すると、複数のMRMトランジションの各値についてMRMクロマトグラムが得られるから、各MRMクロマトグラムにおいて現れる複数のピークを抽出し、各ピークが現れた時間(保持時間)、及び複数のMRMクロマトグラムの同一の保持時間に現れたピークの強度比をデータ記憶部42に登録する(ステップS2)。
なお、異性化ペプチドの解析に際して、既に決まった保持時間やピーク強度比を測定条件として用いる場合は、上述の処理は省略することができる。
次に、解析対象のタンパク質又はペプチドを含む実試料について、上述のLC−MS/MSシステムを用いた解析処理の開始が指示されると、標準ペプチドと同様に、MRMモードで、複数のMRMトランジションを測定条件とするMS/MS測定を実行し、それによって得られたデータを収集し、データ記憶部42に格納する(ステップS3)。そして、測定が終了すると、グラフ作成部43によりデータが処理されて複数のMRMトランジションの各値についてクロマトグラムが作成されるとともに、作成されたクロマトグラムについて波形処理が行われ、ピークが抽出される(ステップS4)。
続いて、MRMトランジションの各値について作成されたクロマトグラムのピーク保持時間とピーク強度の関係を示すピークテーブルを作成し(ステップS5)、複数のクロマトグラムのそれぞれにおいて同じ保持時間に現れたピークを紐付ける(ステップS6)。そして、紐付けたピークの強度比を、標準ペプチドのピーク強度比と照合し(ステップS7)、両強度比の差が許容範囲を超えていれば(ステップS8にてNo)、異性化ペプチドが存在しないと推定し(ステップS13)、その結果を出力する(ステップS12)。
一方、紐付けられたピークの強度比と標準ペプチドのピーク強度比の差が許容範囲内であれば(ステップS8においてYes)、紐付けられたピークの保持時間を標準ペプチドについて得られたピークの保持時間と照合し(ステップS9)、その差が許容範囲内であれば、標準ペプチドと同じ種類の異性体(上述のAspの例では4種類の異性体)が実試料に含まれていると推定してその結果を出力する(ステップS11、S12)。また、許容範囲を超えているときは、標準ペプチドと同じではないが、実試料に異性体が含まれていると推定してその結果を出力する(ステップS14、S15)。
次に、アスパラギン酸を含むペプチドについて、該アスパラギン酸の異性化について具体的に解析を行った例を説明する。
ここでは、アスパラギン酸を含むペプチドとして、アミノ酸配列が「TVLDSGISEVR」である11個のアミノ酸から成るペプチドを用いた。この試料ペプチドは、水晶体に存在するタンパク質の一種であるクリスタリン(Crystallin)に含まれ、白内障を発症した患者においてD体からL体に変化することが指摘されているアスパラギン酸の複数の異性体を含むペプチドの混合物である。
測定に使用した装置は以下の通りである。
LC−MS/MS:株式会社島津製作所製 LCMS-8060
カラム: L-column 2 metal free, 3 μm, 150 x 2.0 mm (一般財団法人化学物質評価研究機構)製 カタログ番号731020
(1)アミノ酸配列が「TVLDSGISEVR」であるペプチドについて、アスパラギン酸(Asp、記号D)がそれぞれLα-Asp、Lβ-Asp、Dα-Asp、Dβ-Aspである4種類の異性体を準備する。これらの4種類の異性体のペプチドは、アスパラギン酸以外のアミノ酸は同一の立体構造を有している。そして、準備した4種類の異性体をそれぞれ2mgずつ秤量し、これを50%メタノールに溶解して5mg/mLのストック溶液を調製する。
(2)4種類のストック溶液を混合し、この混合液を10%ACNにて希釈して各ペプチドの濃度が0.5μm/mLになるように調製し、これを試料とした。
(3)この試料を、0.2μL(カラムあたりの各異性体ペプチドの重量:0.1ng)ずつLC部1に導入してLC−MS/MS測定を実行する。
このときのLC部1における測定条件を表1に、MS/MS測定の測定条件を表2に示す。表1に示すように、ここでは、移動相Aと移動相Bの組成を連続的に変化させながら試料に含まれるペプチドを分離するグラジエント分離を行っている。
Figure 2018044826
Figure 2018044826
表2に示す測定条件のうちMRMトランジションの各値は、プリカーサイオンの質量電荷比(m/z)とプロダクトイオンの質量電荷比(m/z)の値の組を示している。なお、前段四重極マスフィルタ30の各ロッドに印加する電圧値と後段四重極マスフィルタ33の各ロッドに印加する電圧値をMRMトランジションとしても良い。この測定事例では、プリカーサイオンの質量電荷比は5種類の測定条件y5〜y9に共通であり、アミノ酸配列が「TVLDSGISEVR」であるペプチドをプリカーサイオンとして前段四重極マスフィルタ30を通過させる条件に相当する。同じペプチドであっても、価数の違いにより、プリカーサイオンの質量電荷比が異なっていてもよい。一方、各測定条件y5〜y9の後段四重極マスフィルタ33の各ロッドに印加する電圧値は、それぞれ図7に示すアミノ酸配列のペプチド(図7において、記号y5〜y9の右横に示すアミノ酸配列のうち灰色の長方形で色づけられた5〜9個のアミノ酸からなるペプチド)をプロダクトイオンとして後段四重極マスフィルタ33を通過させる条件に相当する。
図3に、上記サンプルの測定結果であるMRMクロマトグラムを示し、図4に、図3において矩形枠で囲んだ領域の拡大図を示す。なお、図5は、SIMモードでMS/MS測定を行うことにより得られたマスクロマトグラムを示す。
図3から分かるように、表2に示すMRMトランジションの各値で得られたMRMクロマトグラムは、いずれも4個のピークを有している。これら4個のピークは、SIMモードのMS/MS測定で得られたマスクロマトグラムで観測されたピークと同じである(図5参照)。そして、各MRMクロマトグラムで観測される4個のピークは、他のMRMクロマトグラムで観測される4個のピークと同じ保持時間に存在していることから、これらのピークは試料に含まれる4個の異性体ペプチドであると判断することができる。本発明者の解析によると、図3に示すMRMクロマトグラムで観察される4個のピークは、左側から順に、Lβ-Aspを含むペプチド、Lα-Aspを含むペプチド、Dβ-Aspを含むペプチド、Dα-Aspを含むペプチドに対応することが分かっている。
また、図6は、MRMトランジションの各値について得られたMRMクロマトグラムで観察される4個のピーク、具体的には、左側から順に、Dα-Aspを含むペプチド、Dβ-Aspを含むペプチド、Lα-Aspを含むペプチド、Lβ-Aspを含むペプチドに対応するピークの相対強度を示している。ここでは、SIMモードでMS/MS測定したときに得られたマスクロマトグラムにおいて観察された4個のピークに対する面積比を相対強度としている。
図6に示すように、各異性体ペプチドに対応するピーク毎に、5個の測定条件に対応するピーク強度比が少しずつ異なり、特にAsp(D)とセリン(記号S)の間で開裂が生じる測定条件y7で得られたMRMクロマトグラムのピーク強度と、Aspとロイシン(記号L)の間で開裂が生じる測定条件y8で得られたMRMクロマトグラムのピーク強度の比(y8/y7)が、4種類の異性体ペプチドにおいて異なることが分かる。従って、ピーク強度比y8/y7を指標とすることにより、異性体ペプチドが存在すること、及び異性化が生じている箇所(この例ではAsp)を推定することが可能であることが検証できた。
図4は、図3のベースライン付近(Aの部分)を拡大したものである。ここには、標準ペプチドとして準備した4種類の異性体ペプチドの中に、不純物として含まれていたもののピークが検出されている。これらのピークについても5個の測定条件に対応するピークが検出されている。したがって、これらの小さいピークについても異性体ペプチドであることを推測することができる。この場合、これらは標準ペプチドを用意せずに対象ピークが異性体ペプチドであることを推測可能であった。したがって、図2に示すフローチャートのステップS1、ステップS2を省略した場合においても異性体ペプチドの存在を推測することが可能であることが検証できた。
なお、上記実施例は本発明の一例に過ぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変更したり拡張したりすることが可能である。例えば上記実施例では液体クロマトグラフを用いたが、ガスクロマトグラフを用いても良い。
10…液体クロマトグラフ部
14…カラム
2…MS/MS部
20…質量分析装置
30…四重極マスフィルタ
30…前段四重極マスフィルタ
31…コリジョンセル
32…多重極イオンガイド
34…イオン検出器
35…CIDガス供給部
36…電源部
40…データ処理部
41…データ収集部
42…データ記憶部
43…グラフ作成部
44…定量分析部
50…制御部
52…入力部
53…表示部

Claims (5)

  1. MS/MS測定が可能なクロマトグラフ質量分析装置を用いて、タンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸の異性化を解析するためのペプチド解析方法であって、
    a) 解析目的であるタンパク質又はペプチドを含む試料をクロマトグラフによって時間的に分離する工程と、
    b) 該分離された試料に含まれるタンパク質又はペプチドがイオン化して生じるプリカーサイオン、該プリカーサイオンが異なる箇所でアミノ酸が開裂して形成される複数種のフラグメントイオンに応じた複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM測定を実行する測定実行工程と、
    c) 前記MRM測定により得られたデータに基づき、前記複数のMRMトランジションの各値におけるクロマトグラムを作成する工程と、
    d) 前記複数のクロマトグラムの各々についてピークを検出するピーク検出工程と、
    e) 前記複数のクロマトグラムの各々に複数のピークが検出された場合であって、前記複数のクロマトグラムに共通に、複数のピークがそれぞれ同一保持時間に存在するか否かを判定することにより、前記解析目的であるタンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸が異性化しているか否かを判断する工程
    とを備えることを特徴とするペプチド解析方法。
  2. 請求項1に記載のペプチド解析方法において、
    前記複数のクロマトグラムの同一保持時間に存在するピークの強度比を比較することにより、異性化しているアミノ酸が存在する部位を推定する異性化部位推定工程を
    有することを特徴とする、ペプチド解析方法。
  3. 請求項1又は2に記載のペプチド解析方法において、
    保持時間を第1軸、強度を第2軸とする座標軸に前記複数のクロマトグラムを表示する表示工程を
    有することを特徴とする、ペプチド解析方法。
  4. MS/MS測定が可能なクロマトグラフ質量分析装置を含み、タンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸の異性化を解析するためのペプチド解析装置であって、
    a) 解析目的であるタンパク質又はペプチドを含む試料をクロマトグラフによって時間的に分離し、その分離された試料に含まれるタンパク質又はペプチドがイオン化して生じるプリカーサイオン、該プリカーサイオンから複数の異なる数のアミノ酸がそれぞれ開裂して形成される複数種のフラグメントイオンに応じた複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM測定を実行するように前記クロマトグラフ質量分析装置を動作させる分析制御部と、
    b) 前記MRM測定により得られたデータに基づき、前記複数のMRMトランジションの各値におけるクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成部と、
    c) 前記複数のクロマトグラムの各々についてピークを検出するピーク検出部と、
    d) 前記複数のクロマトグラムの各々に複数のピークが検出された場合であって、前記複数のクロマトグラムに共通に、複数のピークがそれぞれ同一保持時間に存在するか否かを判定することにより、前記解析目的であるタンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸が異性化しているか否かを判断する異性化判断部
    とを備えることを特徴とするペプチド解析装置。
  5. タンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸の異性化を解析するために、MS/MS測定が可能なクロマトグラフ質量分析装置の動作を制御するとともに該装置で得られたデータを処理する、コンピュータ上で動作するプログラムであって、
    a) 解析目的であるタンパク質又はペプチドを含む試料をクロマトグラフによって時間的に分離し、その分離された試料に含まれるタンパク質又はペプチドがイオン化して生じるプリカーサイオン、該プリカーサイオンから複数の異なる数のアミノ酸がそれぞれ開裂して形成される複数種のフラグメントイオンに応じた複数のMRMトランジションを測定条件としたMRM測定を実行するように前記クロマトグラフ質量分析装置を動作させる分析制御機能部と、
    b) 前記MRM測定により得られたデータに基づき、前記複数のMRMトランジションの各値におけるクロマトグラムを作成し、前記複数のクロマトグラムの各々に複数のピークが検出された場合において、前記複数のクロマトグラムに共通に、複数のピークがそれぞれ同一保持時間に存在するか否かを判定することにより、前記解析目的であるタンパク質又はペプチドの一部のアミノ酸が異性化しているか否かを判断する異性化判断機能部
    とを備えることを特徴とするペプチド解析用プログラム。
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