JP2018044649A - ベルト式無段変速機 - Google Patents

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Takashi Atsumi
隆士 渥美
晃尚 岡本
Akihisa Okamoto
晃尚 岡本
亮輔 淺井
Ryosuke Asai
亮輔 淺井
圭宏 吉田
Yoshihiro Yoshida
圭宏 吉田
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Abstract

【課題】ベルト式無段変速機における可動シーブを軸方向にシフトさせるために、アクチュエータによる第1シフト機構と、遠心機構による第2シフト機構とを併用するものにおいて、可動シーブのボス部と遠心機構のランププレートとをナット無しで直結可能として可動シーブの軸方向拡大、並びに遠心機構の径方向拡大を抑えることで、無段変速機を軸方向にも径方向にも小型化する。【解決手段】遠心機構40のランププレート41が、可動シーブ22のボス部22bを囲繞するプレートボス41bと、プレートボス41bから径方向外方へ張り出して遠心機構40のカム部材42との間で遠心重錘43を保持するプレート本体部41aとを一体に有しており、可動シーブ22のボス部22bとプレートボス41bとの相対向する周面相互が直接結合70される。【選択図】 図2

Description

本発明は、無段変速機、特に回転軸に固定される固定シーブと、回転軸に対し軸方向移動可能な可動シーブと、固定シーブ及び可動シーブに巻き掛けられるベルトとを備えたベルト式無段変速機に関する。
上記ベルト式無段変速機に関し、例えば特許文献1には、電動のアクチュエータによって可動シーブを軸方向にシフトさせる第1シフト機構と、遠心重錘を利用した遠心機構によって可動シーブを軸方向にシフトさせる第2シフト機構とを備えたものが開示されている。
そして、特許文献1の無段変速機においては、第2シフト機構の遠心機構が、可動シーブに固定されるランププレートと、ランププレートを挟んで軸受とは反対側に配置されるカム部材と、ランププレート及びカム部材間に介装される遠心重錘とを有しており、回転軸の回転に伴い遠心重錘に生じた遠心力をカム部材で軸方向駆動力に変換してランププレートに作用させるようになっている。
特許第5864388号公報
特許文献1の無段変速機は、可動シーブに対する第1,第2シフト機構の各作用部が回転軸の軸方向に直列に配置されるため、可動シーブが軸方向に長くなる構造である上、ランププレートを可動シーブのボス部にナットで締結しているため、ナットの取付スペース分だけ可動シーブが軸方向に更に拡大してしまう構造である。
そこで特許文献1の無段変速機では、カム部材に、ナットを受容する凹部を設け、ナットと遠心重錘とが径方向で互いにオーバラップする(即ち軸方向で互いに同一の領域に位置する)レイアウトを採用することにより、遠心機構の軸方向拡大を抑えている。
ところが上記レイアウトを採用すると、遠心重錘が必然的にナットの径方向外方側に配置されるため、遠心機構(例えば遠心重錘を支持するカム部材)が径方向に拡大してしまい、結局のところ、遠心機構、延いては無段変速機の軸方向拡大と径方向拡大を同時に抑えることが困難であった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、可動シーブのボス部とランププレートとをナット無しで直結可能として、可動シーブの軸方向拡大、並びに遠心機構の径方向拡大を抑えることで、無段変速機を軸方向にも径方向にも小型化可能としたベルト式無段変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、回転軸に固定される固定シーブと、前記回転軸を挿通させるボス部を有すると共に該回転軸に対し軸方向移動可能な可動シーブと、前記固定シーブ及び前記可動シーブに巻き掛けられるベルトと、前記ボス部に軸受を介して第1の軸方向駆動力を付与するアクチュエータを有して前記可動シーブを軸方向にシフトさせる第1シフト機構と、前記ボス部に第2の軸方向駆動力を付与する遠心機構を有して前記可動シーブを軸方向にシフトさせる第2シフト機構とを備え、前記遠心機構は、前記可動シーブに固定されるランププレートと、前記ランププレートを挟んで前記軸受とは反対側に配置されて前記回転軸と一体に回転するカム部材と、前記ランププレート及び前記カム部材間に介装される遠心重錘とを有し、前記遠心重錘の遠心力を前記カム部材で前記第2の軸方向駆動力に変換して前記ランププレートに作用させるベルト式無段変速機において、前記ランププレートは、前記ボス部を囲繞するプレートボスと、前記プレートボスから径方向外方へ張り出して前記カム部材との間で前記遠心重錘を保持するプレート本体部とを一体に有し、前記ボス部と前記プレートボスとの相対向する周面相互が直接結合されることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記プレートボスの少なくとも一部と、前記軸受の少なくとも一部とが径方向で互いにオーバラップすることを第2の特徴とする。
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記軸受を前記ランププレートを介して前記ボス部に支持させるべく、前記軸受の内周部が前記プレートボスに装着されることを第3の特徴とする。
また本発明は、第1〜第3の何れかの特徴に加えて、前記ボス部の外周面には、軸方向で前記遠心機構側を向く段部が形成されており、前記ランププレートは、前記段部との間で前記軸受の内周部を軸方向に挟持する係止部を有することを第4の特徴とする。
また本発明は、前記回転軸を車幅方向に配して車両に搭載される、第1〜第4の何れかの特徴を有するベルト式無段変速機であって、前記アクチュエータは、少なくとも一部が前記ベルトよりも車幅方向外方側に配設されるアクチュエータ本体と、前記アクチュエータ本体から前記ベルトよりも車幅方向内方側に延出する出力部材とを有していて、該出力部材がシフトアームを介して前記可動シーブに前記第1の軸方向駆動力を出力可能であり、前記シフトアームは、前記軸受の外周部に固定される基部と、前記基部から前記可動シーブの径方向外方側へ延出する中間部と、前記中間部から車幅方向内方側に延び且つ前記出力部材が連結される先部とを一体に有し、少なくとも前記ランププレートと前記カム部材とが軸方向で最接近したときに、前記シフトアームの前記先部の少なくとも一部と、前記カム部材の少なくとも一部とが径方向で互いにオーバラップすることを第5の特徴とする。
本発明において、「軸方向」とは、回転軸(実施形態で入力軸11)の軸線に沿う方向をいい、また「径方向」とは、前記軸線を中心とした円の半径方向をいう。
本発明の第1の特徴によれば、可動シーブを軸方向にシフトさせるために、アクチュエータを有する第1シフト機構と、遠心機構を有する第2シフト機構とを併せ持つベルト式無段変速機において、遠心機構のランププレートは、可動シーブのボス部を囲繞するプレートボスと、プレートボスから径方向外方へ張り出してカム部材との間で遠心重錘を保持するプレート本体部とを一体に有し、プレートボスと可動シーブのボス部との相対向する周面相互が直接結合されるので、可動シーブとランププレート相互の結合のために従来のようにナットを特別に用いる必要はなくなり、ナットの省略により可動シーブ(ボス部)を軸方向に小型化できる。しかも、ナットの省略により、遠心重錘の配設部位をナットに影響されずに径方向内方寄りに設定可能となるため、カム部材を含む遠心機構の径方向小型化も併せて達成できる。これにより、全体として無段変速機を軸方向にも径方向にも小型化する上で有利となる。
また第2の特徴によれば、プレートボスの少なくとも一部と、軸受の少なくとも一部とが径方向で互いにオーバラップするので、そのオーバラップにより可動シーブの軸方向小型化を図ることができる。
また第3の特徴によれば、軸受をランププレートを介して可動シーブのボス部に支持させるべく、軸受の内周部がプレートボスに装着されるので、軸受を予めプレートボスに前組みすることで、軸受及びランププレートをサブアッシーとして可動シーブに一挙に組付け可能となり、組付け作業効率を高めることができる。
また第4の特徴によれば、可動シーブのボス部の外周面には、軸方向で遠心機構側を向く段部が形成され、ランププレートは、段部との間で軸受の内周部を軸方向に挟持する係止部を有するので、可動シーブのボス部とプレートボスとの対向周面相互を直接結合するのと同時に、段部と係止部との間に軸受の内周部を機械的に挟み込んで、軸受を位置決め・固定可能となる。これにより、軸受の位置決め・固定のための専用部品が不要となって、可動シーブの構造簡素化及び小型化が達成され、しかも軸受の位置決め・固定作業が頗る簡素化され且つ迅速化されるので、組付作業効率を高めることができる。
また第5の特徴によれば、第1シフト機構のアクチュエータは、少なくとも一部がベルトよりも車幅方向外方側に配設されるアクチュエータ本体と、ベルトよりも車幅方向内方側に延出する出力部材とを有しており、出力部材の出力を可動シーブに伝達するシフトアームは、軸受の外周部に固定される基部と、基部から可動シーブの径方向外方側へ延出する中間部と、中間部から車幅方向内方側に延び且つ出力部材が連結される先部とを一体に有し、少なくともランププレートとカム部材とが軸方向で最接近したときに、シフトアームの先部の少なくとも一部と、カム部材の少なくとも一部とが径方向で互いにオーバラップするので、アクチュエータの車幅方向外方側への張出しと、遠心機構の車幅方向内方側への張出しとを何れも抑えることができ、無段変速機の車幅方向小型化に寄与することができる。この場合、シフトアームの先部とカム部材の一部とが径方向にオーバラップしても、前述の如く第1の特徴に基づきカム部材を径方向に小型化可能であることから、シフトアームの中間部を極力短かくできて、アーム剛性を高めることができる。
本発明の第1実施形態に係るベルト式無段変速機を含むパワーユニットの平断面図 前記ベルト式無段変速機の要部、特に図1の2矢視部の拡大断面図(図3の2−2線断面図)であって、ベルト巻き掛け半径が最小の状態を示す 前記ベルト式無段変速機の第2シフト機構(遠心機構)の断面図(図2の3−3線断面図) 前記ベルト式無段変速機の要部の拡大断面図であって、ベルト巻き掛け半径が最大の状態を示す(図2対応図) 本発明の第2実施形態に係るベルト式無段変速機の要部の拡大断面図(図2対応図)
本発明のベルト式無段変速機を自動二輪車に適用した第1実施形態を、図1〜図4に基づいて以下に説明する。
自動二輪車の図示しない車体フレームには、後輪駆動用パワーユニットUが上下揺動可能に軸支されており、後輪駆動用パワーユニットUは、動力源たるエンジンEと、エンジンEの出力を無段階に変速して後輪Wに伝達可能なベルト式無段変速機Tとを備える。
ベルト式無段変速機Tは、エンジンEのクランク軸10から動力が伝達される入力軸11と、入力軸11に平行に配置されて後輪Wに動力を伝達する出力軸12と、入力軸11に支持される駆動プーリ20と、出力軸12に支持される従動プーリ30と、両プーリ20,30に巻き掛けられる無端状のベルト14と、両プーリ20,30及びベルト14並びに入,出力軸11,12を収容するミッションケース15と、駆動プーリ20の溝幅を可変制御する第1,第2シフト機構S1,S2とを備える。そして、入力軸11は、本発明の回転軸に対応する。
尚、第1,第2シフト機構S1,S2は、従動プーリ30の溝幅を変更するものであってもよい。
ミッションケース15は、例えば相互に着脱可能に結合される第1,第2ケース半体15a,15bより分割構成される。車幅方向内方側の第1ケース半体15aの一部は、エンジンEのクランクケースの一部を構成していて、クランク軸10の一端部を軸受13を介して回転自在に支持すると共に、エンジンEのシリンダブロック(図示せず)に着脱可能に結合される。
入,出力軸11,12は、車幅方向に延びるように配置される。入力軸11は、本実施形態ではクランク軸10の軸端に同軸且つ一体に突設されていて、ミッションケース15内に延出している。尚、入力軸11を、クランク軸10とは別体としてクランク軸10に後付けで結合してもよいし、或いは、クランク軸10に連動機構を介して連動、連結してもよい。また、出力軸12は、入力軸11よりも車両後方側でミッションケース15に回転自在に支持される。
駆動プーリ20は、入力軸11に固定される固定シーブ21と、入力軸11に軸方向移動可能且つ相対回転不能に支持される可動シーブ22とを備える。そして、第1,第2シフト機構S1,S2が出力する軸方向駆動力により可動シーブ22を軸方向にシフトさせることで、可動シーブ22及び固定シーブ21の相互間隔、即ち駆動プーリ20の溝幅(従ってベルト巻き掛け半径)を変更可能である。
一方、従動プーリ30は、出力軸12に固定される固定シーブ31と、出力軸12に軸方向移動可能且つ相対回転不能に支持される可動シーブ32と、可動シーブ32を固定シーブ31側(即ち従動プーリ30の溝幅を狭める方向)に常に付勢する戻しばね33とを備える。そして、従動プーリ30の可動シーブ32は、駆動プーリ20の溝幅変更に伴うベルト14の張力変化に応じて軸方向に移動可能であり、これにより、従動プーリ30の溝幅を調整可能である。
而して、駆動プーリ20が第1、第2シフト機構S1,S2の軸方向駆動力に基づいて溝幅を狭めてベルト14の巻き掛け半径を増大させる方向に作動(従ってベルト張力が増大)すれば、その作動に連動して従動プーリ30は、戻しばね33の付勢力に抗して溝幅を拡げて巻き掛け半径を減少させる方向に作動する。また反対に、駆動プーリ20が溝幅を拡げてベルト14の巻き掛け半径を減少させる方向に作動(従ってベルト張力が減少)すれば、その作動に連動して従動プーリ30は、戻しばね33の付勢力により溝幅を狭めて巻き掛け半径を増大させる方向に作動する。
このようにして駆動プーリ20及び従動プーリ30相互の巻き掛け半径比を変更することで、入,出力軸11,12間の変速比を無段階に変速可能である。
次に駆動プーリ20及び第1、第2シフト機構S1,S2の具体例を説明する。
駆動プーリ20の可動シーブ22は、テーパ状の可動シーブ本体22aと、可動シーブ本体22aの中心部に一体に結合(本実施形態では鋳包み)されて軸方向に延びる円筒状のボス部22bとを有する。ボス部22bは、入力軸11に嵌合したカラー18を介して入力軸11に軸方向摺動可能に嵌合、支持される。カラー18とボス部22bとの嵌合面間には、嵌合面間に潤滑油を封入するための一対のシール部材25,26が相互に間隔をおいて介装される。尚、カラー18は、固定シーブ21と一体に構成してもよい。
また駆動プーリ20の固定シーブ21は、可動シーブ本体22aとは逆テーパ状の固定シーブ本体21aと、固定シーブ本体21aの中心部に位置する環状の厚肉部21bとを一体に有する。厚肉部21bは、入力軸11の先部にスプライン嵌合される。そして、固定シーブ本体21aと可動シーブ本体22aとには、両者に跨がらせてベルト14が巻き掛けられる。
入力軸11の先端部にはナット16が螺合される。ナット16は、ワッシャ17、固定シーブ21、カラー18、及び後述する遠心機構40のカム部材42をクランク軸10の外周段部との間で一体的に挟持、締結する。従って、ナット16の締結状態では、固定シーブ21、カラー18及びカム部材42はクランク軸10と常に一体に回転する。
ところで第1シフト機構S1は、可動シーブ22のボス部22bに軸受24を介して第1の軸方向駆動力を付与する電子制御のアクチュエータ50を有しており、上記第1の軸方向駆動力により可動シーブ22を固定シーブ21に対し軸方向にシフトさせる。また第2シフト機構S2は、可動シーブ22のボス部22bに第2の軸方向駆動力を付与する遠心機構40を有しており、上記第2の軸方向駆動力により可動シーブ22を固定シーブ21に対し軸方向にシフトさせる。
第2シフト機構S2の遠心機構40は、可動シーブ22に固定されるランププレート41と、ランププレート41を挟んで軸受24とは反対側に配置される上記したカム部材42と、ランププレート41及びカム部材42間に介装されて周方向に互いに間隔をおいて並ぶ複数の遠心重錘43とを有する。遠心重錘43は、本実施形態では円柱状のローラより構成されるが、ローラの他、ランププレート41及びカム部材42に対し摺動可能な種々の形態(例えばボール)を選定可能である。
カム部材42は、概ね円盤状のカム部材本体42mと、カム部材本体42mの外周端よりランププレート41側に屈曲して延びる外周筒部42tとを一体に備える。そしてカム部材42の、ランププレート41側の対向側面には、複数の遠心重錘43をそれぞれ収容する複数のカム溝部44が、互いに周方向に間隔をおいて且つ各々径方向に延びるように形成される。
各カム溝部44の底面(即ちランププレート41との対向面)は、ランププレート41に向かって径方向外方側に傾斜したカム面44cに構成される。またカム部材42の外周筒部42tの内周面には、周方向に並ぶカム溝部44の間に、径方向内向きの回止め突条45が、入力軸11の軸線に沿うように突設される。
一方、ランププレート41は、可動シーブ22のボス部22bを同心状に囲繞する円筒状のプレートボス41bと、プレートボス41bの一端から径方向外方に張出すプレート本体部41aとを一体に有する。プレート本体部41aは、径方向外方に向かって、軸方向でカム部材42側(即ち図2で右方側)に傾斜して延びるように形成される。そして、プレート本体部41aとカム溝部44との間で遠心重錘43が摺動可能に保持される。
プレートボス41bの外周面には、軸受24の内周部、即ちインナレース24iが圧入により嵌合固定される。尚、プレートボス41bに対するインナレース24iの固定手段として、圧入以外の固定手段、例えば接着、カシメ、溶接、止め輪(例えばサークリップ)等も採用可能である。
プレートボス41bと可動シーブ22のボス部22bとの相対向する周面相互間は直接結合70される。直接結合70のための結合手段として、本実施形態ではボス部22b外周面にプレートボス41bの内周面を直接螺合、緊締している。
また可動シーブ22のボス部22bの外周面には、軸方向で遠心機構40側(即ち図2で右方側)を向く立ち上がり段部22bsが形成される。一方、ランププレート41は、プレート本体41aの径方向内端部において、入力軸11の軸線と直交する環状平坦面又は円弧面よりなる係止部41asを有する。そして、係止部41asは、上記段部22bsとの間で軸受24のインナレース24iを軸方向に挟着するが、その挟着をガタなく確実に行わせるために、プレートボス41bの他端の端面と段部22bsとの間には軸方向空隙46が設定されている。
またプレートボス41bの少なくとも一部(本実施形態では大部分)と、軸受24の少なくとも一部(本実施形態では大部分)とが、径方向に互いにオーバラップし、即ち軸方向で互いに同一の領域に位置している。これにより、可動シーブ22の軸方向小型化が図られる。
また、プレート本体部41aは、カム部材42(カム溝部44)との間で遠心重錘43を摺動可能に挟持する重錘支持部41awと、周方向に並ぶ重錘支持部41awの間に在ってカム部材42の回止め突条45に軸方向摺動可能に係合する係合溝部41agとを有し、係合溝部41agは径方向外向きに開口している。本実施形態では、係合溝部41agが回止め突条45が直接接触するのを回避して両者の相対摺動を円滑化するための溝付きの樹脂製ガイド部材47が係合溝部41agに一体的に被着される。
回止め突条45及び係合溝部41ag(従ってガイド部材47)相互の係合によれば、カム部材42(従って入力軸11)に対する可動シーブ22の相対回転が規制され且つ軸方向摺動が許容される。尚、可動シーブ22の入力軸11に対する上記のような回り止め構造に代えて、可動シーブ22のボス部22bとカラー18とをスプライン嵌合させてもよく、また特にカラー18を省略してボス部22bを入力軸11外周に直接嵌合させる場合は、ボス部22bを入力軸11外周に直接、スプライン嵌合させてもよい。
而して、第2シフト機構S2の遠心機構40は、例えば次のように作動する。エンジンEの低速運転域(図2参照)よりクランク軸10従って入力軸11の回転速度が上昇して遠心重錘43の遠心力が増大すると、遠心重錘43は、遠心力でカム部材42のカム面44c上をランププレート41に向かって径方向外方側に斜め方向に摺動する。そのとき、遠心重錘43は、ランププレート41を介して可動シーブ22をベルト14の張力に抗して固定シーブ21側に移動させる軸方向駆動力を作用させ、これにより、駆動プーリ20は溝幅を狭めてベルト巻き掛け半径を増大させる。
一方、エンジンEの高速運転域(図4参照)よりクランク軸10の回転速度が下降して遠心重錘43の遠心力が減少すると、遠心重錘43が可動シーブ22に作用させる軸方向駆動力よりもベルト14の張力が上回るようになるため、駆動プーリ20が溝幅を拡げてベルト巻き掛け半径を減少させる。
このようにして第2シフト機構S2の遠心機構40は、カム部材42が遠心重錘43の遠心力を可動シーブ22に対する軸方向駆動力に変換してランププレート41に作用させる。そして、その変換された軸方向駆動力は、遠心重錘43の遠心力(即ち入力軸11の回転速度)の増減変化に応じて増減変化する。
ところで第1シフト機構S1のアクチュエータ50は、少なくとも一部(本実施形態では大部分)がベルト14よりも車幅方向外方側(図1で左側)に配設されるアクチュエータ本体50mと、アクチュエータ本体50mからベルト14よりも車幅方向内方側(図1で右側)に延出する出力部材としての出力ロッド50aとを有しており、出力ロッド50aがシフトアーム60を介して可動シーブ22に軸方向駆動力を出力可能である。
アクチュエータ本体50mは、ミッションケース15の第2ケース半体15bに着脱可能に装着されて複数のケース要素に分割可能なアクチュエータケース51を有する。アクチュエータケース51には、例えば電動モータ52と、電動モータ52の出力回転を減速して伝達する減速歯車機構53と、減速歯車機構53の出力回転を出力ロッド50aの軸方向移動に変換する送り螺子機構54とが内蔵される。
出力ロッド50aは、送り螺子機構54に連動連結(本実施形態では送り螺子機構54の出力螺子軸54aに一体に結合)されてアクチュエータケース51の内側壁を通してミッションケース15内に延出する。そして、出力ロッド50aの先端部には、シフトアーム60に対する被係合部としての係合凹部55が設けられる。
シフトアーム60は、軸受24の外周部、即ちアウタレース24oに嵌合固定される環状の基部60bと、基部60bから可動シーブ22の径方向外方側へ延出する中間部60aと、中間部60aの先端から車幅方向内方側(図2で右側)に屈曲して延びる先部60cとを一体に有する。先部60cには、径方向外方に延びる連結部材65の基端が固着(本実施形態では圧入)される。アウタレース24oは、例えばサークリップ等の係止具27を以て着脱可能にシフトアーム60の基部60bに固定される。
連結部材65の先部は、出力ロッド50a先端の係合凹部55に首振り可能に嵌合連結される。尚、本実施形態では、出力ロッド50aの係合凹部55及び連結部材65が互いに協働して首振り可能に嵌合連結するものを例示したが、出力ロッド50a及び連結部材65相互を連動連結するために、出力ロッド50a及び連結部材65相互を、実施形態とは別の結合手段で結合してもよい。
また少なくともランププレート41とカム部材42とが軸方向で最接近したとき(図2を参照)には、シフトアーム60の先部60cの少なくとも一部(本実施形態では大部分)と、遠心機構40のカム部材42の少なくとも一部(本実施形態では外周筒部42tの大部分)とは、径方向で互いにオーバラップし、即ち軸方向で互いに同一の領域に位置する。
而して、第1シフト機構S1においては、電動モータ52の出力回転がアクチュエータ50内で減速歯車機構53及び送り螺子機構54を介して出力ロッド50aに伝達され、出力ロッド50aからシフトアーム60、軸受24及びランププレート41を介して可動シーブ22のボス部22bに軸方向駆動力として伝達される。
次に、第1実施形態の作用を説明する。ベルト式無段変速機Tにおいては、入,出力軸11,12間の変速のために可動シーブ22をシフトさせるに当たり、電動式の第1シフト機構S1に加えて、遠心式の第2シフト機構S2を併用している。
この場合、特に第1シフト機構S1では、自動二輪車の運転状況やエンジンEの運転状態等に応じて車載の電子制御装置がアクチュエータ50(具体的には電動モータ52)を作動制御して可動シーブ22の軸方向駆動力を制御することで、駆動プーリ20の溝幅(ベルト巻き掛け半径)が可変制御されて入,出力軸11,12間の変速が行われる。一方、第2シフト機構S2では、エンジンEの回転速度上昇(従って遠心重錘43の遠心力増大)に応じて遠心機構40が可動シーブ22に対する軸方向駆動力を増大させる。
そして、駆動プーリ20の可動シーブ22は、第1,第2シフト機構S1,S2が各々出力する軸方向駆動力の総和によりシフトさせられることから、アクチュエータ50の電力負荷の軽減が図られる。また可動シーブ22に対する軸方向駆動力の増強がなされることで迅速なシフトアップが可能となり、燃費の向上が図られる。一方、第2シフト機構S2の軸方向駆動力を抑制するように第1シフト機構S1の軸方向駆動力を制御することで、シフトアップが抑制され、加速性能の向上が図られる。
ところで本実施形態の第2シフト機構S2においては、遠心機構40のランププレート41が、可動シーブ22のボス部22bを同心状に囲繞するプレートボス41bと、プレートボス41bから径方向外方へ張り出してカム部材42との間で遠心重錘43を保持するプレート本体部41aとを一体に有していて、ボス部22bとプレートボス41bとの相対向する周面相互間が直接結合70(実施形態は螺合)される。これにより、可動シーブ22とランププレート41との結合のために、特許文献1の従来技術の如くナットを特別に用いる必要はなくなり、ナットの省略により可動シーブ22(ボス部22b)を軸方向に小型化可能となる。しかもナット省略により、遠心重錘43の配設位置をナットに影響されずに径方向内方寄りに設定可能となるため、遠心重錘43を保持するカム部材42を含む遠心機構40の径方向小型化も併せて達成可能となる。その結果、全体として可動シーブ22及び第2シフト機構S2の組立体(延いては無段変速機T)を軸方向にも径方向にも小型化する上で有利となる。
また本実施形態では、軸受24のインナレース24iが、プレートボス41bに装着(圧入)されている。これにより、軸受24を予めプレートボス41bに前組みしておくことで、軸受24及びランププレート41をサブアッシーとして可動シーブ22に一挙に組付け可能となり、それだけ組付け作業効率が向上する。
しかも可動シーブ22のボス部22bの外周面には、軸方向で遠心機構40側を向く段部22bsが形成されており、ランププレート41は、段部22bsとの間で軸受24のインナレース24iを軸方向に挟持する係止部41asをプレート本体41aの径方向内端部に有している。これにより、可動シーブ22のボス部22bとランププレート41のプレートボス41bとの対向周面相互を直接結合70(実施形態では螺合緊締)するのと同時に、段部22bsと係止部41asとの間にインナレース24iを機械的に挟み込んで、軸受24を位置決め・固定可能となるため、軸受24の位置決め・固定のための専用部品が不要となって、可動シーブ22の構造簡素化及び小型化が達成され、しかも軸受24の位置決め・固定作業が頗る簡素化され且つ迅速化される。
また本実施形態の第1シフト機構S1のアクチュエータ50は、大部分がベルト14よりも車幅方向外方側(図1で左側)に配設されるアクチュエータ本体50mと、アクチュエータ本体50mからベルト14よりも車幅方向内方側(図1で右側)に延出する出力ロッド50aとを有しており、出力ロッド50aの出力を可動シーブ22に伝達するシフトアーム60が、軸受24のアウタレース24oに固定される基部60bと、基部60bから可動シーブ22の径方向外方側へ延出する中間部60aと、中間部60aの先端から車幅方向内方側に延び且つ出力ロッド50aが連結される先部60cとを一体に有し、ランププレート41とカム部材42とが軸方向で最接近したときには、先部60cの一部と、カム部材42の外周筒部42tの一部とが、径方向に互いにオーバラップしている。これにより、アクチュエータ50の車幅方向外方側への張出しと、遠心機構40の車幅方向内方側への張出しとが共に効果的に抑えられて、無段変速機Tの車幅方向小型化が図られる。この場合、シフトアーム60の先部60cとカム部材42の外周筒部42tとが径方向にオーバラップしても、前述のようにカム部材42を径方向に小型化可能としたことから、シフトアーム60の中間部60aを径方向に極力短かくでき、それだけアーム剛性が高められる。
次に図5を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態では、ランププレート41のプレートボス41bがプレート本体部41aに対しカム部材42とは反対側に延出し、且つプレートボス41bの外周面に軸受24のインナレース24iを嵌着しているが、第2実施形態は、ランププレート41′のプレートボス41b′がプレート本体部41a′に対しカム部材42側に延出し、且つ可動シーブ22のボス部22b外周面上に軸受24のインナレース24iが、プレートボス41b′とは軸方向に隣接した状態で嵌合される点で、第1実施形態と相違している。
第2実施形態でも、プレートボス41b′と可動シーブ22のボス部22bとの相対向する周面相互間は直接結合70されており、その結合手段として、第1実施形態と同様、ボス部22b外周にプレートボス41b′の内周を直接、螺合緊締している。そして、その螺合緊締により、ボス部22b外周上に存する軸受24のインナレース24iが、ボス部22bの立ち上がり段部22bsと、ランププレート41′のプレート本体41aの径方向内端部(係止部41as′)との間に挟持、固定される。
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と基本的に同じであるため、各構成部材には、第1実施形態の対応する構成部材と参照符号と同じにして、具体的な構造説明を省略する。そして、第2実施形態によれば、第1実施形態の上記した作用効果と同様の作用効果を達成可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、前記実施形態では、ベルト式無段変速機Tを自動二輪車に搭載したものを例示したが、本発明のベルト式無段変速機は、自動二輪車以外の種々の車両、例えば自動三輪車等にも適用可能である。
また前記実施形態では、ランププレート41,41′のプレートボス41b,41b′と可動シーブ22のボス部22bとの対向周面間を直接結合70するための結合手段として、螺合手段(ネジ止め)を採用したものを例示したが、本発明では、螺合以外の種々の結合手法を適用可能である。例えば、上記対向周面間を直接圧入したり、或いは、上記対向周面間をスプライン嵌合させた上でスプライン嵌合部を直接圧入したり、或いはまた、上記対向周面間を接着又は溶接で直接結合したりしてもよい。更には、ランププレート41,41′のプレートボス41b,41b′と可動シーブ22のボス部22bの端面をカシメ加工することで上記対向周面に相互に食い込む凹凸係合部を形成してもよい。また、上記対向周面間を螺合、圧入、スプライン圧入、接着又は溶接により直接結合したものに対して更に上記端面のカシメ加工を施すことで結合強度をより強固にするようにしてもよい。
また第1実施形態では、プレートボス41bのボス部22bへの螺合緊締前(即ちプレートボス41bのボス部22bへの組付け前)に、プレートボス41bの外周面に軸受24のインナレース24iを圧入その他の固着手段で固着するものを示したが、本発明では、プレートボス41bの外周面に軸受24のインナレース24iを圧入せずに嵌合させ、嵌合位置の固定をプレートボス41bのボス部22bへの螺合緊締により行うようにしてもよい。
また前記実施形態では、第1シフト機構S1のアクチュエータ50が電動モータ51を出力源とするものを例示したが、アクチュエータとしては、電動モータ以外の種々の電磁機器(例えばリニアソレノイド)を出力源とするアクチュエータを用いてもよい。
また前記実施形態では、第1シフト機構S1のアクチュエータ50が電動式のものを例示したが、アクチュエータとしては、油圧式のアクチュエータを用いてもよい。
S1,S2・・第1,第2シフト機構
11・・・・・入力軸(回転軸)
14・・・・・ベルト
21・・・・・固定シーブ
22・・・・・可動シーブ
22b・・・・ボス部
22bs・・・段部
24・・・・・軸受
24i・・・・インナレース(軸受の内周部)
24o・・・・アウタレース(軸受の外周部)
40・・・・・遠心機構
41,41′・・・・ランププレート
41a,41′a・・プレート本体部
41as,41as′・・係止部
41b,41b′・・プレートボス
42・・・・・カム部材
43・・・・・遠心重錘
50・・・・・アクチュエータ
50a・・・・出力ロッド(出力部材)
50m・・・・アクチュエータ本体
60・・・・・シフトアーム
60a,60b,60c・・シフトアームの中間部,基部,先部
70・・・・・直接結合

Claims (5)

  1. 回転軸(11)に固定される固定シーブ(21)と、前記回転軸(11)を挿通させるボス部(22b)を有すると共に該回転軸(11)に対し軸方向移動可能な可動シーブ(22)と、前記固定シーブ(21)及び前記可動シーブ(22)に巻き掛けられるベルト(14)と、前記ボス部(22b)に軸受(24)を介して第1の軸方向駆動力を付与するアクチュエータ(50)を有して前記可動シーブ(22)を軸方向にシフトさせる第1シフト機構(S1)と、前記ボス部(22b)に第2の軸方向駆動力を付与する遠心機構(40)を有して前記可動シーブ(22)を軸方向にシフトさせる第2シフト機構(S2)とを備え、
    前記遠心機構(40)は、前記可動シーブ(22)に固定されるランププレート(41,41′)と、前記ランププレート(41,41′)を挟んで前記軸受(24)とは反対側に配置されて前記回転軸(11)と一体に回転するカム部材(42)と、前記ランププレート(41,41′)及び前記カム部材(42)間に介装される遠心重錘(43)とを有し、前記遠心重錘(43)の遠心力を前記カム部材(42)で前記第2の軸方向駆動力に変換して前記ランププレート(41,41′)に作用させるベルト式無段変速機において、
    前記ランププレート(41,41′)は、前記ボス部(22b)を囲繞するプレートボス(41b,41b′)と、前記プレートボス(41b,41b′)から径方向外方へ張り出して前記カム部材(42)との間で前記遠心重錘(43)を保持するプレート本体部(41a,41a′)とを一体に有し、
    前記ボス部(22b)と前記プレートボス(41b,41b′)との相対向する周面相互が直接結合(70)されることを特徴とするベルト式無段変速機。
  2. 前記プレートボス(41b)の少なくとも一部と、前記軸受(24)の少なくとも一部とが径方向で互いにオーバラップすることを特徴とする、請求項1に記載のベルト式無段変速機。
  3. 前記軸受(24)を前記ランププレート(41)を介して前記ボス部(22b)に支持させるべく、前記軸受(24)の内周部(24i)が前記プレートボス(41b)に装着されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のベルト式無段変速機。
  4. 前記ボス部(22b)の外周面には、軸方向で前記遠心機構(40)側を向く段部(22bs)が形成されており、
    前記ランププレート(41,41′)は、前記段部(22bs)との間で前記軸受(24)の内周部(24i)を軸方向に挟持する係止部(41as,41as′)を有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のベルト式無段変速機。
  5. 前記回転軸(11)を車幅方向に配して車両に搭載される、請求項1〜4の何れか1項に記載のベルト式無段変速機であって、
    前記アクチュエータ(50)は、少なくとも一部が前記ベルト(14)よりも車幅方向外方側に配設されるアクチュエータ本体(50m)と、前記アクチュエータ本体(50m)から前記ベルト(14)よりも車幅方向内方側に延出する出力部材(50a)とを有していて、該出力部材(50a)がシフトアーム(60)を介して前記可動シーブ(22)に前記第1の軸方向駆動力を出力可能であり、
    前記シフトアーム(60)は、前記軸受(24)の外周部(24o)に固定される基部(60b)と、前記基部(60b)から前記可動シーブ(22)の径方向外方側へ延出する中間部(60a)と、前記中間部(60a)から車幅方向内方側に延び且つ前記出力部材(50a)が連結される先部(60c)とを一体に有し、
    少なくとも前記ランププレート(41,41′)と前記カム部材(42)とが軸方向で最接近したときに、前記シフトアーム(60)の前記先部(60c)の少なくとも一部と、前記カム部材(42)の少なくとも一部とが径方向で互いにオーバラップすることを特徴とするベルト式無段変速機。
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