JP2018044286A - 鋼板コンクリート構造及び鋼板コンクリート構造の施工方法 - Google Patents

鋼板コンクリート構造及び鋼板コンクリート構造の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来と比較し、大幅に施工性、経済性を向上させることが可能になり、且つ信頼性の高い鋼板コンクリート構造を構築することが可能な鋼板コンクリート構造及び鋼板コンクリート構造の施工方法を提供する。【解決手段】一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2と、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1に取り付けて一面A1を形成する複数の主鋼板3と、他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2に取り付けて他面A2を形成する複数の主鋼板4と、主鋼板3、4の間の空間Hを充填するコンクリート5とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、外殻鋼板内にコンクリートを一体に充填してなる鋼板コンクリート構造及び鋼板コンクリート構造の施工方法に関する。
鋼板コンクリート構造(SC構造)は、外殻となる主鋼板を型枠としてその内部にコンクリートを充填し、主鋼板の内面に植設したスタッドボルトを介して主鋼板とコンクリートを一体化して構成される。また、このような鋼板コンクリート構造は、大断面の頑強な構造部材を効率的に施工でき、さらに主鋼板を型枠として活用することで別途コンクリート打設用の型枠が不要になり、建設工期短縮、経済性の向上を図ることができる。
特に、鉄筋径が大きく、配筋が煩雑な鉄筋コンクリート構造で構築される原子炉建屋などの原子力施設に鋼板コンクリート構造を採用することにより、施工性、経済性の面でのメリットが期待できる(例えば、特許文献1参照)。
特許第3309290号公報
一方、上記従来の鋼板コンクリート構造は、一般に、隣り合う主鋼板同士を全て溶接して複数の主鋼板で構造の一面や他面を形成した後にコンクリートを打設するようにしており、鋼板の溶接作業が施工上のクリティカルとなり施工の長期化を招く一要因となっていた。
また、先に鋼板を仮設部材で仮組みしてからコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後に鋼板同士を溶接することも考えられるが、上記のような従来の鋼板コンクリート構造では、溶接熱がコンクリートの物性に悪影響を与えるおそれがあった。
さらに、床などの水平部材を鋼板コンクリート構造で構築する場合には、水平部材の上部と下部に主鋼板が配設される(以下、フルSC構造という)。そして、この場合には、上部の主鋼板にコンクリート打設用の開口や空気抜き開口が必要となり、施工手間が増える。また、上部の主鋼板の裏面にコンクリートとの肌隙(局所的な空隙)が生じやすく、上部の主鋼板に打設したスタッドの効きが悪くなるおそれもある。このため、施工管理にも多大な時間と労力が必要になる。
本発明は、上記事情に鑑み、従来と比較し、大幅に施工性、経済性を向上させることが可能になり、且つ信頼性の高い鋼板コンクリート構造を構築することが可能な鋼板コンクリート構造及び鋼板コンクリート構造の施工方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の鋼板コンクリート構造は、厚さ方向一面側と他面側に所定の間隔をあけて平行配置される一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームに取り付けて一面を形成する複数の一面側の主鋼板と、他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームに取り付けて他面を形成する複数の他面側の主鋼板と、前記一面側の主鋼板と前記他面側の主鋼板の間の空間を充填するように設けられて前記一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと前記一面側の主鋼板と前記他面側の主鋼板を一体化するコンクリートとを備え、前記一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレームがそれぞれ、一対の側壁部と一対の側壁部の一端同士を繋ぐ底部とを備えた鋼製チャンネルの内部にコンクリートを一体に充填してなるプレキャスト鋼板コンクリート部材を複数組み付けて形成されていることを特徴とする。
本発明の鋼板コンクリート構造の施工方法は、上記の鋼板コンクリート構造を構築する方法であって、前記鋼板コンクリート構造が前記一面と前記他面を横方向に向けて構築される鉛直部材であり、前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと前記他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームを間隔をあけてそれぞれ所定位置に立設するプレキャスト鋼板コンクリートフレーム設置工程と、前記プレキャスト鋼板コンクリートフレームのプレキャスト鋼板コンクリート部材に前記複数の主鋼板を取り付ける主鋼板設置工程と、前記一面側の主鋼板と前記他面側の主鋼板の間の空間にコンクリートを打設して充填するコンクリート打設工程と、前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部に重なるように配された隣り合う主鋼板の外周縁同士を溶接する主鋼板溶接工程とを備えていることを特徴とする。
本発明の鋼板コンクリート構造の施工方法は、上記の鋼板コンクリート構造を構築する方法であって、前記鋼板コンクリート構造が前記一面と前記他面を上下方向に向けて構築される水平部材であり、前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部を下方に向けて前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームを所定位置に配設するとともに、前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部を下方に向けつつ前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと上下方向に所定の間隔をあけて前記他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームを所定位置に配設するプレキャスト鋼板コンクリートフレーム設置工程と、前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームの前記プレキャスト鋼板コンクリート部材に前記複数の主鋼板を取り付ける下面側主鋼板設置工程と、前記下面側主鋼板設置工程によって取り付けられ、前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部に重なるように配された隣り合う主鋼板の外周縁同士を溶接する下面側主鋼板溶接工程と、前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと前記他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームを埋設するように、前記下面側の主鋼板上にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、前記コンクリート打設工程で打設したコンクリートが未硬化の段階で、前記他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームの前記プレキャスト鋼板コンクリート部材に前記複数の主鋼板を取り付ける上面側主鋼板設置工程と、前記上面側主鋼板設置工程によって取り付けられ、前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部に重なるように配された隣り合う主鋼板の外周縁同士を溶接する上面側主鋼板溶接工程とを備えていることを特徴とする。
本発明の鋼板コンクリート構造及び鋼板コンクリート構造の施工方法においては、鋼板の溶接作業が施工上のクリティカルになることがなく、その分、従来と比較し工期短縮を図ることが可能になる。
また、内部コンクリートが硬化した後に鋼板同士を溶接しても、溶接熱が内部コンクリートの物性に悪影響を与えるおそれがない。
さらに、床などのフルSC構造の水平部材に適用した場合であっても、上部の主鋼板にコンクリートの打設用開口や空気抜き開口を設ける必要がなく、施工手間が減り、工期短縮を図ることが可能になる。
また、上部の鋼板の裏面にコンクリートとの肌隙が生じることがなく、上部の主鋼板に打設したスタッドの効きが悪くなるおそれもない。
よって、本発明の鋼板コンクリート構造及び鋼板コンクリート構造の施工方法によれば、従来と比較し、大幅に施工性、経済性を向上させることが可能になるとともに、信頼性の高い鋼板コンクリート構造を構築することが可能になる。
本発明の第1実施形態に係る鋼板コンクリート構造(プレキャスト鋼板コンクリートフレーム及び主鋼板)を示す正面図である。 図1のX1−X1線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る鋼板コンクリート構造(プレキャスト鋼板コンクリートフレーム)を示す図である。 図1のX2−X2線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る鋼板コンクリート構造(プレキャスト鋼板コンクリートフレーム、主鋼板、コンクリート)を示す断面図である。 図1のX3−X3線矢視図であり、本発明の一実施形態に係る鋼板コンクリート構造(プレキャスト鋼板コンクリートフレーム、主鋼板、コンクリート)を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る鋼板コンクリート構造(プレキャスト鋼板コンクリートフレーム、主鋼板、コンクリート)を示す断面図である。
以下、図1から図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る鋼板コンクリート構造及び鋼板コンクリート構造の施工方法について説明する。ここで、本実施形態は、本発明に係る鋼板コンクリート構造を壁(鉛直部材)に適用するものとして説明を行う。
本実施形態の鋼板コンクリート構造Aは、図1、図2、図3、図4に示すように、壁の幅方向T1に所定の間隔をあけて一面A1側と他面A2側に並行に配設されるプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2と、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1に一体に取り付けて壁の一面A1を形成する複数の一面側の主鋼板(外殻鋼板)3と、他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2に一体に取り付けて壁の他面A2を形成する複数の他面側の主鋼板(外殻鋼板)4と、一面A1側の主鋼板3と他面A2側の主鋼板4の間の空間Hに充填されるコンクリート(中詰めコンクリート)5とを備えて構成されている。
プレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2は、プレキャスト鋼板コンクリート部材6を縦材、横材として複数組み付け、平面視格子状等の方形枠状の盤状に形成されている。
縦材、横材を構成する各プレキャスト鋼板コンクリート部材6は、一対の側壁部7aと一対の側壁部7aの一端同士を繋ぐ底部7bとを備えた断面略コ字状、断面略C字状などの鋼製チャンネル7の内部にコンクリート8を一体に充填して形成されている。
また、それぞれの鋼製チャンネル7の底部7bが同方向を向き、同一平面を形成するように複数のプレキャスト鋼板コンクリート部材6を組み付けて、プレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2は形成されている。
プレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2は、縦材、横材としての複数のプレキャスト鋼板コンクリート部材6を主鋼板3、4の外周縁に対応する所定の位置に配設して形成されている。隣り合うプレキャスト鋼板コンクリート部材6同士の端部同士等は、例えばガセットプレートを介したボルト接合などによって接合して組み付けられている。また、隣り合うプレキャスト鋼板コンクリート部材6同士をタイロッドで接続するようにしてもよい。
各プレキャスト鋼板コンクリート部材6の側壁部7aには、所定の間隔をあけて複数のスタッドボルト10が植設されている。さらに、少なくとも一部のプレキャスト鋼板コンクリート部材6には、底部7bと反対側の面から外側に突出してタイバー11が一体に取り付けられている。
各プレキャスト鋼板コンクリート部材6の底部7bには、所定位置に底部7bが形成する面から外側に軸部を突出させるようにして複数の主鋼板取付用のボルト12が一体に取り付けられている。
そして、本実施形態の鋼板コンクリート構造Aの壁を構築する際には(本実施形態の鋼板コンクリート構造の施工方法においては)、まず、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1と他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2をそれぞれ、所定の間隔Hをあけつつ互いの複数のプレキャスト鋼板コンクリート部材6の底部7bの一面が壁の一面A1側と他面A2側にそれぞれ配されるように所定位置に対向配置して立設する(プレキャスト鋼板コンクリートフレーム設置工程)。
このように所定の間隔Hをあけて、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1と他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2を対向配置して立設した段階で、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1のプレキャスト鋼板コンクリート部材6から突出した複数のタイバー11と、他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2のプレキャスト鋼板コンクリート部材6から突出した複数のタイバー11の互いに対向する一対のタイバー11同士を長ナット13を用いて接続する。
これにより、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1と他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2を、複数のタイバー11により所定の間隔をあけて立設した状態で保持することができる。
なお、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1と他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2は、タイバー11ではなく形鋼あるいは鉄骨トラス等を介して所定の間隔Hをあけて立設するように一体に接続してもよい。そして、タイバー11に替えて形鋼や鉄骨トラスで一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2を接続すると、フレーム1、2の自立性や後述のコンクリート打設時のたわみ抵抗性を高めることができる。
一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1と他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2を立設した段階で、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1の一面、他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2の他面にそれぞれ、壁の一面A1と他面A2をそれぞれ形成する複数の主鋼板(外殻鋼板)3、4を取り付ける(主鋼板設置工程)。
ここで、本実施形態の主鋼板3、4には、予め、外周縁に複数のボルト挿通孔が所定の間隔をあけて貫通形成されている。また、主鋼板3、4には、複数のスタッドボルト10が内面の所定の位置に植設されている。
これにより、各プレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2の縦材、横材としての各プレキャスト鋼板コンクリート部材6が各主鋼板3、4の外周縁に応じた位置に配設されると、主鋼板3、4の外周縁がプレキャスト鋼板コンクリート部材6の底部7bと重なる。このとき、主鋼板3、4を所定位置に配置するとともに主鋼板3、4のボルト挿通孔にプレキャスト鋼板コンクリート部材6の底部7bから外側に突設されたボルト12の軸部を挿通し、ナットを締結することによって、各主鋼板3、4を各プレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2の一面、他面にそれぞれ一体に取り付けることができる(仮設置することができる)。
また、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1の一面、他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2の他面にそれぞれ、隣り合う主鋼板3、4の外周縁同士が突き合わされるように複数の主鋼板3、4が並設して取り付けられる。これにより、複数の主鋼板3、4によって壁の一面A1、他面A2がそれぞれ形成されるとともに、一面A1、他面A2をそれぞれ形成する複数の主鋼板3、4によって、その内側にコンクリート打設空間Hが形成される。また、主鋼板3、4の内面に植設された複数のスタッドボルト10がコンクリート打設空間H内に配設される。
壁の一面A1、他面A2を形成する複数の主鋼板3、4を設置した段階で、これら主鋼板3、4を型枠にした形でコンクリート打設空間Hにコンクリート5を打設する(コンクリート打設工程)。これにより、打設したコンクリート5が硬化するとともに、一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2と複数の主鋼板3、4とコンクリート5がスタッドボルト10等を介して一体化する。
そして、本実施形態の鋼板コンクリート構造Aの施工方法では、このようにコンクリート5を打設した段階で、隣り合う主鋼板3、4の互いに突き合わされた外周縁同士を溶接する(主鋼板溶接工程)。このとき、各主鋼板3、4の外周縁がプレキャスト鋼板コンクリート部材6の鋼製チャンネル7の底部7bと重なっているため、溶接時の熱でコンクリート5に悪影響が生じるおそれがない。
したがって、本実施形態の鋼板コンクリート構造A及び鋼板コンクリート構造Aの施工方法においては、主鋼板3、4の溶接作業が施工上のクリティカルになることがなく、その分、従来と比較し工期短縮を図ることが可能になる。
また、内部コンクリート5が硬化した後に主鋼板3、4同士を溶接しても、溶接熱が内部コンクリート5の物性に悪影響を与えるおそれがない。
よって、本実施形態の鋼板コンクリート構造A及び鋼板コンクリート構造Aの施工方法によれば、従来と比較し、大幅に施工性、経済性を向上させることが可能になるとともに、信頼性の高い鋼板コンクリート構造Aの壁を構築することが可能になる。
次に、図5(及び図1から図4)を参照し、本発明の第2実施形態に係る鋼板コンクリート構造及び鋼板コンクリート構造の施工方法について説明する。ここで、本実施形態は、本発明に係る鋼板コンクリート構造を床(水平部材)に適用するものとして説明を行う。また、第1実施形態と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の鋼板コンクリート構造Aは、床の下面A1側と上面A2側(厚さ方向T1一面側と他面側)に並行に配設されるプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2と、下方の一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1に一体に取り付けて床の下面A1を形成する複数の下面側の主鋼板(外殻鋼板)3と、上方の他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2に一体に取り付けて床の上面A2を形成する複数の上面側の主鋼板(外殻鋼板)4と、上面側の主鋼板4と下面側の主鋼板3の間Hに充填されるコンクリート5とを備えて構成されている。
プレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2は、第1実施形態と同様に、プレキャスト鋼板コンクリート部材6を縦材、横材として複数組み付け、平面視格子状等の方形枠状の盤状に形成されている。各プレキャスト鋼板コンクリート部材6は、断面略コ字状、断面略C字状などの鋼製チャンネル7の内部にコンクリート8を一体に充填して形成されている。
そして、本実施形態の鋼板コンクリート構造Aの床を構築する際には(本実施形態の鋼板コンクリート構造Aの施工方法においては、まず、下方の一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1を所定位置に設置する(プレキャスト鋼板コンクリートフレーム設置工程)。このとき、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1の複数のプレキャスト鋼板コンクリート部材6の底部7bによって形成される下面が床の下面A1側に配されるように水平に配設する。
さらに、下方の一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1の上方に、上方の他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2を、所定の間隔Hをあけつつ複数のプレキャスト鋼板コンクリート部材6の底部7bによって形成される上面が床の上面A2側に配されるように所定位置に対向配置して設置する(プレキャスト鋼板コンクリートフレーム設置工程)。
これとともに、下方の一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1のプレキャスト鋼板コンクリート部材6から突出した複数のタイバー11と、上方の他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2のプレキャスト鋼板コンクリート部材6から突出した複数のタイバー11の互いに対向する一対のタイバー11同士を長ナット13を用いて接続する。
これにより、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1と他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2を、複数のタイバー11により所定の間隔を上下方向(厚さ方向T1)にあけて配設した状態で保持することができる。
なお、第1実施形態と同様、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1と他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2は、タイバー11ではなく形鋼あるいは鉄骨トラス等を介して所定の間隔をあけて立設するように一体に接続してもよい。そして、タイバー11に替えて形鋼や鉄骨トラスで一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2を接続すると、フレーム1、2の自立性やコンクリート打設時のたわみ抵抗性を高めることができる。
このように一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1と他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2を所定位置に配設した段階で、一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1の下面に、床の下面A1を形成する複数の主鋼板(外殻鋼板)3を取り付ける。
ここで、本実施形態の主鋼板3(4)には、外周縁に複数のボルト挿通孔が所定の間隔をあけて貫通形成され、且つ、複数のスタッドボルト10が内面の所定の位置に植設されている。
これにより、下方の一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1の縦材、横材としての各プレキャスト鋼板コンクリート部材6が各主鋼板3の外周縁に応じた位置に配設され、各主鋼板3を所定の取付位置に配置すると、主鋼板3の外周縁がプレキャスト鋼板コンクリート部材6の底部7bと重なる。このとき、主鋼板3を所定位置に配置するとともに主鋼板3のボルト挿通孔にプレキャスト鋼板コンクリート部材6の底部7bから外側に突設されたボルト12の軸部を挿通し、ナットを締結することによって、各主鋼板3を一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1の下面に一体に取り付けることができる(下面側主鋼板設置工程)。
そして、本実施形態の鋼板コンクリート構造の施工方法では、この段階で、隣り合う主鋼板3の互いに突き合わされた外周縁同士を溶接する(下面側主鋼板溶接工程)。
これにより、複数の主鋼板3によって床の下面A1が形成されるとともに、下面A1を形成する複数の主鋼板3によって、その内側(上方)にコンクリート打設空間Hが形成される。また、主鋼板3の内面(上面)に植設された複数のスタッドボルト10がコンクリート打設空間H内に配設される。
これら主鋼板3を型枠にした形でコンクリート打設空間Hにコンクリート5を打設する(コンクリート打設工程)。このとき、コンクリート5の天端(上面)が上方の他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2の上面と上下方向の略同位置になるようにコンクリート5を打設する。これにより、一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2が打設したコンクリート5に埋設した状態となる。
そして、本実施形態では、コンクリート5の打設を完了するとともに、すなわち、コンクリート5が硬化していないフレッシュコンクリートの状態の段階で、上方の他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2に主鋼板4を設置する(上面側主鋼板設置工程)。このとき、主鋼板4の下面に植設したスタッドボルト10をフレッシュコンクリート5に貫入するようにして主鋼板4を配設する。また、これとともに、バイブレータによって振動を与え、主鋼板4及びスタッドボルト10とコンクリート5を密着させる。
このようにして他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム2の上面に、隣り合う主鋼板4の外周縁同士が突き合わされるように複数の主鋼板4を並設することにより、複数の主鋼板4によって床の上面A2が形成される。
これにより、打設したコンクリート5が硬化するとともに、一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム1、2と複数の主鋼板3、4とコンクリート5がスタッドボルト10等を介して一体化する。
そして、本実施形態の鋼板コンクリート構造Aの施工方法では、このようにコンクリート5を打設した段階で、隣り合う主鋼板4の互いに突き合わされた外周縁同士を溶接する(上面側主鋼板溶接工程)。このとき、各主鋼板4の外周縁がプレキャスト鋼板コンクリート部材6の鋼製チャンネル7の底部7bと重なっているため、溶接時の熱でコンクリート5に悪影響が生じるおそれがない。
したがって、本実施形態の鋼板コンクリート構造A及び鋼板コンクリート構造Aの施工方法においては、主鋼板3、4の溶接作業が施工上のクリティカルになることがなく、その分、従来と比較し工期短縮を図ることが可能になる。
また、内部コンクリート5が硬化した後に主鋼板4同士を溶接しても、溶接熱が内部コンクリート5の物性に悪影響を与えるおそれがない。
さらに、床などのフルSC構造の水平部材に適用した場合であっても、上部の主鋼板4にコンクリート5の打設用開口や空気抜き開口を設ける必要がなく、施工手間が減り、工期短縮を図ることが可能になる。
また、上部の鋼板4の裏面にコンクリート5との肌隙が生じることがなく、上部鋼板4に打設したスタッド10の効きが悪くなるおそれもない。
よって、本実施形態の鋼板コンクリート構造A及び鋼板コンクリート構造Aの施工方法によれば、従来と比較し、大幅に施工性、経済性を向上させることが可能になるとともに、信頼性の高い鋼板コンクリート構造Aの床等の水平部材を構築することが可能になる。
以上、本発明に係る鋼板コンクリート構造の第1、第2実施形態について説明したが、本発明は上記の第1、第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム
2 他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレーム
3 主鋼板
4 主鋼板
5 コンクリート
6 プレキャスト鋼板コンクリート部材
7 鋼製チャンネル
7a 側壁部
7b 底部
8 コンクリート
10 スタッド
11 タイバー
12 ボルト
13 長ナット
A 鋼板コンクリート構造
A1 一面
A2 他面
T1 厚さ方向

Claims (3)

  1. 厚さ方向一面側と他面側に所定の間隔をあけて平行配置される一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと、
    一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームに取り付けて一面を形成する複数の一面側の主鋼板と、
    他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームに取り付けて他面を形成する複数の他面側の主鋼板と、
    前記一面側の主鋼板と前記他面側の主鋼板の間の空間を充填するように設けられて前記一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと前記一面側の主鋼板と前記他面側の主鋼板を一体化するコンクリートとを備え、
    前記一対のプレキャスト鋼板コンクリートフレームがそれぞれ、一対の側壁部と一対の側壁部の一端同士を繋ぐ底部とを備えた鋼製チャンネルの内部にコンクリートを一体に充填してなるプレキャスト鋼板コンクリート部材を複数組み付けて形成されていることを特徴とする鋼板コンクリート構造。
  2. 請求項1記載の鋼板コンクリート構造の施工方法であって、
    前記鋼板コンクリート構造が前記一面と前記他面を横方向に向けて構築される鉛直部材であり、
    前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと前記他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームを間隔をあけてそれぞれ所定位置に立設するプレキャスト鋼板コンクリートフレーム設置工程と、
    前記プレキャスト鋼板コンクリートフレームのプレキャスト鋼板コンクリート部材に前記複数の主鋼板を取り付ける主鋼板設置工程と、
    前記一面側の主鋼板と前記他面側の主鋼板の間の空間にコンクリートを打設して充填するコンクリート打設工程と、
    前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部に重なるように配された隣り合う主鋼板の外周縁同士を溶接する主鋼板溶接工程とを備えていることを特徴とする鋼板コンクリート構造の施工方法。
  3. 請求項1記載の鋼板コンクリート構造の施工方法であって、
    前記鋼板コンクリート構造が前記一面と前記他面を上下方向に向けて構築される水平部材であり、
    前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部を下方に向けて前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームを所定位置に配設するとともに、前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部を下方に向けつつ前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと上下方向に所定の間隔をあけて前記他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームを所定位置に配設するプレキャスト鋼板コンクリートフレーム設置工程と、
    前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームの前記プレキャスト鋼板コンクリート部材に前記複数の主鋼板を取り付ける下面側主鋼板設置工程と、
    前記下面側主鋼板設置工程によって取り付けられ、前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部に重なるように配された隣り合う主鋼板の外周縁同士を溶接する下面側主鋼板溶接工程と、
    前記一方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームと前記他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームを埋設するように、前記下面側の主鋼板上にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
    前記コンクリート打設工程で打設したコンクリートが未硬化の段階で、前記他方のプレキャスト鋼板コンクリートフレームの前記プレキャスト鋼板コンクリート部材に前記複数の主鋼板を取り付ける上面側主鋼板設置工程と、
    前記上面側主鋼板設置工程によって取り付けられ、前記プレキャスト鋼板コンクリート部材の底部に重なるように配された隣り合う主鋼板の外周縁同士を溶接する上面側主鋼板溶接工程とを備えていることを特徴とする鋼板コンクリート構造の施工方法。
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CN109162364A (zh) * 2018-10-24 2019-01-08 长沙远大住宅工业阜阳有限公司 装配式空调板、装配式空调板结构体系及其施工方法

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