JP2018043954A - 化合物、発光材料、波長変換基板、発光素子、色素レーザ、表示装置、電子機器および照明装置 - Google Patents

化合物、発光材料、波長変換基板、発光素子、色素レーザ、表示装置、電子機器および照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を放出可能な新規な化合物の提供。【解決手段】三座配位子を有し、式(1)で表される化合物。(Mは例えばIr等;Aは三座配位子に含まれMに配位結合する配位原子;R1〜R6はH以外の基。R1とR2、R3とR4、R5とR6は、互いに結合して環を形成していてもよい;E1及びE2は、R2又はR5と結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基;LはMに配位可能な単座、二座、三座の配位子。Qは、Mを中心金属とする錯体の電荷に応じて付される対イオン;xは1又は2;yはMの種類及びxに応じて決定される整数;zは三座配位子、M及びLの種類に応じて決定される整数)【選択図】なし

Description

本発明は、化合物、発光材料、波長変換基板、発光素子、色素レーザ、表示装置、電子機器および照明装置に関するものである。
従来、有機EL素子を用いたディスプレイ(有機ELディスプレイ、表示装置)が開発されている。有機ELディスプレイは、液晶パネルを用いたディスプレイと比べ、バックライトが不要であるため薄型化や省電力化が可能であるという利点を有している。
有機EL素子は、一対の電極と、これらの電極に挟持された発光層、電子輸送層、正孔輸送層などの各機能層と、を有している。近年、高性能な有機EL素子を得るために、各機能層を構成する新規化合物が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−137676号公報
有機ELディスプレイにおいては、低消費電力化に向けて、各画素の発光効率の改善が求められている。
ここで、緑色画素と赤色画素については、内部量子収率が最大100%を達成可能な燐光材料が開発されており、このような高い内部量子収率を示す燐光材料を用いることで低消費電力化が可能となっている。
一方、青色画素については、内部量子収率の最大値が25%に留まる蛍光材料が用いられている。そのため、有機ELディスプレイの低消費電力化に向けて、青色画素に使用可能な新規な発光材料の検討が行われている。
上記特許文献1に記載の化合物を用いた有機EL素子では、短波長化に関する取り組みが不十分であり、所望の波長の青色光を得られていないという点で改善の余地があった。そのため、所望の性能を有する有機ELディスプレイを実現可能な新規な化合物が求められていた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を放出可能な新規な化合物を提供することを目的とする。また、このような化合物が用いられ、発光効率が改善された発光材料、波長変換基板、発光素子、色素レーザ、表示装置、電子機器および照明装置を提供することをあわせて目的とする。
本発明の第1の態様によれば、三座配位子を有し、下記一般式(1)で表される化合物が提供される。
Figure 2018043954
(式中、Mは、長周期型周期表において第8族〜第11族に属する遷移金属元素である。Aは、前記三座配位子に含まれMに配位結合する配位原子である。R,R,R,R,R,およびRは、それぞれ水素原子以外の基である。RとR、RとR、RとRは、互いに結合して環を形成していてもよい。形成される環は置換基を有していてもよい。Eは、Rと結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基である。Eは、Rと結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基、またはRと結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基である。Lは、Mに配位可能な単座、二座または三座の配位子である。Qは、Mを中心金属とする錯体の電荷に応じて付される対イオンである。xは1または2である。xが2の場合、前記三座配位子は同一でもよく異なっていてもよい。yはMの種類およびxに応じて決定される整数である。yが2以上の整数である場合、複数のLは同一でもよく異なっていてもよい。zは三座配位子、MおよびLの種類に応じて決定される整数である。)
本発明の第2の態様によれば、上述の化合物からなる発光材料が提供される。
本発明の第3の態様によれば、上述の発光材料を用いた波長変換基板が提供される。
本発明の第4の態様によれば、上述の発光材料を用いた発光素子が提供される。
本発明の第5の態様によれば、上述の発光材料を用いた色素レーザが提供される。
本発明の第6の態様によれば、上述の発光素子を用いた表示装置が提供される。
本発明の第7の態様によれば、上述の表示装置を用いた電子機器が提供される。
本発明の第8の態様によれば、上述の発光素子を用いた照明装置が提供される。
本発明によれば、発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を放出可能な新規な化合物を提供することができる。また、このような化合物が用いられ、発光効率が改善された発光材料、波長変換基板、発光素子、色素レーザ、表示装置、電子機器および照明装置を提供することができる。
本発明の一態様に係る有機発光素子を示す概略構成図である。 本発明の一態様に係る有機発光素子を示す概略断面図である。 本発明の一態様に係る色変換発光素子を例示する概略断面図である。 図3に示す色変換発光素子の上面図である。 本発明の一態様に係る光変換発光素子を例示する概略模式図である。 本発明の一態様に係る有機レーザダイオード発光素子を例示する概略模式図である。 本発明の一態様に係る色素レーザを例示する概略模式図である。 本発明の一態様に係る表示装置の配線構造と駆動回路の接続構成とを例示する概略構成図である。 本発明の一態様に係る有機発光素子を用いた表示装置に配置されている、1つの画素を構成する回路を例示する画素回路図である。 本発明の一態様に係る照明装置を示す概略斜視図である。 本発明の一態様に係る照明装置を示す概略斜視図である。 本発明の一態様に係る照明装置を示す概略斜視図である。 本発明の一態様に係る電子機器を示す概略正面図である。 本発明の一態様に係る電子機器を示す概略正面図である。 本発明の一態様に係る電子機器を示す概略正面図である。 本発明の一態様に係る電子機器を示す概略斜視図である。
[第1実施形態]
<化合物>
本発明の一態様に係る化合物は、下記一般式(1)で表される。以下、下記式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と称することがある。化合物(1)は新規化合物である。
Figure 2018043954
(式中、Mは、長周期型周期表において第8族〜第11族に属する遷移金属元素である。
Aは、前記三座配位子に含まれMに配位結合する配位原子である。
,R,R,R,R,およびRは、それぞれ水素原子以外の基である。RとR、RとR、RとRは、互いに結合して環を形成していてもよい。形成される環は置換基を有していてもよい。
は、Rと結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基である。
は、Rと結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基、またはRと結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基である。
Lは、Mに配位可能な単座、二座または三座の配位子である。
Qは、Mを中心金属とする錯体の電荷に応じて付される対イオンである。
xは1または2である。xが2の場合、前記三座配位子は同一でもよく異なっていてもよい。
yはMの種類およびxに応じて決定される整数である。yが2以上の整数である場合、複数のLは同一でもよく異なっていてもよい。
zは三座配位子、MおよびLの種類に応じて決定される整数である。)
すなわち、化合物(1)は、金属Mに対して配位原子Aを有する三座配位子が配位結合した金属錯体である。以下の説明においては、配位原子Aを有する三座配位子のことを、単に「三座配位子」と称することがある。
(金属M)
金属Mは、第8族に属する遷移金属元素であるFe,Ru,Os、第9族に属する遷移金属元素であるCo,Rh,Ir、第10族に属する遷移金属元素であるNi,Pd,Pt、第11族に属する遷移金属元素であるCu,Ag,Auのいずれかの金属原子である。なかでも、金属Mとしては第9族に属する遷移金属元素が好ましく、Irがより好ましい。
(三座配位子)
式中、Aは、金属Mに配位結合可能な原子であれば、通常知られた原子を用いることができる。Aとしては、窒素(N),酸素(O),硫黄(S),リン(P)を用いることができる。なかでも、AとしてはNが好ましい。
三座配位子において、配位原子Aは隣接する炭素原子と二重結合で結合している。
式中、R,R,R,R,R,およびRは、それぞれ水素原子以外の基である。例えば、R,R,R,R,R,およびRは炭素数1〜22のアルキル基、または炭素数1〜22のアルコキシ基である。
上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、アルキル基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。アルキル基は、炭素数が1〜18であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。
炭素数1〜22のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基が例示できる。
環状のアルキル基は、炭素数が3〜22であることが好ましく、該アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示でき、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが例示できる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、Rにおけるアルキル基として例示した上記のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、シクロプロポキシ基等、上述したアルキル基が酸素原子に結合した一価の基が例示できる。アルコキシ基に含まれるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、アルキル基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。アルコキシ基に含まれるアルキル基は、炭素数が1〜18であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。
,R,R,R,R,およびRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
さらに、RとR、RとR、RとRは、互いに結合して環を形成していてもよい。RとR、RとR、RとRは、いずれか一組(例えばRとRのみ)が互いに結合して環を形成していてもよく、いずれか二組(例えばRとR、RとRの二組)が互いに結合して環を形成していてもよく、三組すべてが互いに結合して環を形成していてもよい。
形成される環構造としては、例えば、環を形成する原子数が5〜8のものを例示することができる。形成される環は、配位原子Aを含む複素環である。複素環は、芳香環であってもよく、芳香環でなくてもよい。複素環は芳香環であるほうが好ましい。形成される環は置換基を有していてもよい。
このような化合物(1)において、RとR、RとR、RとRの三組すべてが互いに結合して環を形成していることが好ましい。すなわち、本発明の一態様に係る化合物として好ましい構造は、下記一般式(2)で表される。以下、下記式(2)で表される化合物を「化合物(2)」と称することがある。
Figure 2018043954
(式中、T、T、Tは、それぞれ環内にAを含む複素環である。T、T、Tは置換基を有していてもよい)
式中、Eは隣り合う二重結合(π結合)とπ共役しない二価の基である。Eと隣り合うπ結合としては、Rと結合する炭素原子とAとの間のπ結合を挙げることができる。Eとしては、置換基を有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよいエチレン基、−N(R)−基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)を挙げることができる。−N(R)−基におけるRは水素原子または置換基を示す。なかでも、Eは置換基を有していてもよいメチレン基が好ましく、無置換のメチレン基がより好ましい。
式中、Eは、隣り合う二重結合(π結合)とπ共役しない二価の基である。Eと隣り合うπ結合としては、Rと結合する炭素原子と当該炭素原子と隣り合うAとの間のπ結合(以下、第1のπ結合)、またはRと結合する炭素原子と当該炭素原子と隣り合うAとの間のπ結合(以下、第2のπ結合)、を挙げることができる。Eとしては、置換基を有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよいエチレン基、−N(R)−基、酸素原子または硫黄原子を例示することができ、なかでもメチレン基が好ましい。
三座配位子において、Rと結合する炭素原子と、Rと結合する炭素原子との間にEが挿入されることで、第1のπ結合と第2のπ結合が共役しなくなる。
第1のπ結合と第2のπ結合が共役していると、三座配位子が金属Mに配位結合した際、配位原子Aを含む共役系に配位結合の電子が非局在化しやすくなる。すると、金属Mを含む大きな共役系が形成されるため、得られる金属錯体のHOMO−LUMOのエネルギー準位差(エネルギーバンドギャップ)が狭くなり、発光波長が長波長化しやすい。
対して、本実施形態に係る化合物においては、三座配位子がEを有し、三座配位子の分子内の共役を阻害しているため、得られる金属錯体を発光材料として用いたとき、発光波長が短波長化しやすい。
式中、xは1または2である。すなわち、本実施形態に係る化合物では、金属Mに対し、1または2の上述の三座配位子が配位している。xが2の場合、三座配位子は同一でもよく異なっていてもよい。
式中、Lは上記三座配位子とは異なる配位子である。例えば、金属Mが六配位八面体構造を形成する金属原子である場合、上記三座配位子が1つ配位すると、金属Mには、配位原子があと3つ配位結合可能である。このような場合に、金属Mに配位可能な配位子Lが金属Mの配位部位に結合し、錯体としての安定構造(上記例のバイには六配位八面体構造)を構成する。
Lとしては、金属Mにおいて上述の三座配位子が結合しなかった配位部位に対し、配位結合可能な単座、二座、または三座の配位子であれば、通常知られた構成のものを採用可能である。
Lとして使用可能な単座配位子としては、水分子、アンモニア分子、ピリジン(「py」と略称される)、ハロゲンイオン、シアン化物イオン(CN)、チオシアナトイオン(NCS)、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンを例示することができる。
Lとして使用可能な二座配位子としてはアセチルアセトナトイオン(「acac」と略称される)、グリシナトイオン(「gly」と略称される)、エチレンジアミン(「en」と略称される)、2,2’−ビピリジン(「bpy」と略称される)、1,10−フェナントロリン(「phen」と略称される)、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(「dppm」と略称される)、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(「dppe」と略称される)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(「BINAP」と略称される)を例示することができる。
Lとして使用可能な三座配位子としては、ジエチレントリアミン(「dien」と略称される)、2,2’:6’,2’’−ターピリジン(「terpy」と略称される)を例示することができる。
上述のように、式中、yは金属Mの種類および三座配位子の結合数xに応じて決定される整数である。例えば、金属Mが六配位八面体構造を形成する金属原子であり、上記三座配位子が1つ配位する系において、配位子Lが単座配位子であれば、yは3である。yが2以上の整数である場合、複数のLは同一でもよく異なっていてもよい。
式中、Qは、金属Mを中心金属とする錯体の電荷に応じて付される対イオンである。zは対イオンQの数を示す整数である。zは、三座配位子、金属Mおよび配位子Lの種類に応じて決定される。対イオンQとしては、通常知られたものを採用できる。
このような化合物(1)または化合物(2)において、好ましい構造は、下記一般式(3)で表される。以下、下記式(3)で表される化合物を「化合物(3)」と称することがある。
Figure 2018043954
(式中、R,R,およびRは、それぞれ水素原子以外の基である。l、m、nは、それぞれ0〜4の整数である。
およびEは、置換基を有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよいエチレン基、−N(R)−基、酸素原子または硫黄原子である。Rは水素原子または置換基である)
,R,およびRそれぞれ炭素数1〜22のアルキル基である。R,R,およびRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、l、m、nは同一であってもよく、異なっていてもよい。
その他、R,R,およびRとしては、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、アミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基,スルファニル基、スルフォニル基、チオシアノ基、イソチオシアノ基、フォスファニル基、フォスファニリデン基、炭素数1〜22のアルコキシ基、2環〜6環のアリール基、同じく2環〜6環の含窒素・含硫黄・含酸素などのヘテロアリール基、炭素数1〜22のアシル基、炭素数1〜22のカルボキシ基などの基を採用することができる。なお、アシル基およびカルボキシ基の説明における炭素数には、アシル基およびカルボキシ基が有するカルボニル基の炭素原子は含まない。R,R,およびRとして採用し得る基は、発明の効果を損なわない限り、これら例示に限られない。
,R,およびRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
、Eとしては、無置換のメチレン基が好ましい。
化合物(1)〜化合物(3)としては、例えば下記式(11)で示される化合物(Ir(picpy)(CN))を挙げることができる。下記式(11)は例示であって、これに限定されない。以下、下記式(11)で表される化合物を「化合物(11)」と称することがある。
Figure 2018043954
上記式(11)に似た構造を有する従来公知の化合物としては、例えば、下記式(11X)で示される化合物(Ir(terpy)(CN))を挙げることができる。以下、下記式(11X)で表される化合物を「化合物(11X)」と称することがある。
Figure 2018043954
化合物(11X)は、配位子として含まれるターピリジン骨格が、3つのピリジル基が単結合でつながった構造を有している。このようなターピリジン骨格においては、互いのπ結合が共役し、3つのピリジル基に広がる大きなπ共役系を形成している。化合物(11X)は、このような配位子が中心金属であるイリジウムに配位結合しているため、窒素とイリジウムとの配位結合の電子が大きなπ共役系にて非局在化する。その結果、化合物(11X)は、エネルギーバンドギャップが小さく発光波長が長波長となる。
対して、本実施形態の化合物の一例である化合物(11)では、上記式(1)〜(3)で示すE,Eに対応する連結基として、メチレン基を有している。このメチレン基を有することにより、化合物(11)では、隣り合うピリジル基のπ結合同士が共役することなく分断され、π共役系がピリジル基間に広がらない。その結果、化合物(11)は、エネルギーバンドギャップが大きくなり、発光波長が短波長化する。
化合物(1)〜化合物(3)は、対応する三座配位子を定法に従って合成した後、金属Mの塩と反応させ、必要に応じて配位子交換をすることで製造できる。一例として、上記化合物(11)は、下記反応式により製造することができる。
Figure 2018043954
上記反応式における各生成物は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)、紫外・可視分光法(UV−VIS吸収スペクトル)等、公知の手法で構造を確認できる。
以上のような構成の化合物によれば、発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を放出可能な新規な化合物を提供することができる。
[第2実施形態]
<発光材料>
本発明に係る発光材料は、前記化合物(1)からなるものであり、上述のように、化合物(1)は従来の化合物とは異なり、青色光として適した発光波長を示し(青色光の色純度が高く)、かつ発光効率が高いため、前記発光材料は長寿命の青色発光材料として優れた特性を有する。前記発光材料は、各種発光素子への利用に適したものである。
次に、前記化合物(1)を発光材料として用いた、本発明の一態様に係る発光素子、波長変換発光素子、色素レーザ、表示装置、照明装置及び電子機器について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第3実施形態]
<発光素子>
[有機発光素子]
図1は、本発明の一態様に係る発光素子を示す概略構成図である。前記発光材料を用いた本発明に係る発光素子として、以下、有機発光素子について説明する。
なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
本発明の一態様に係る有機発光素子(有機EL素子)は、発光層を含む少なくとも一層の有機層が、一対の電極間に狭持されて構成されている。
図1に示す有機発光素子10は、基板(図示略)上に、第1電極12、有機EL層(有機層)17及び第2電極16がこの順に積層されて構成されている。図1に示す例では、第1電極12及び第2電極16により狭持された有機EL層17は、正孔輸送層13、有機発光層14及び電子輸送層15がこの順に積層されて構成されている。
第1電極12及び第2電極16は、有機発光素子10の陽極又は陰極として対で機能する。つまり、第1電極12を陽極とした場合には、第2電極16は陰極となり、第1電極12を陰極とした場合には、第2電極16は陽極となる。図1及び以下の説明においては、第1電極12が陽極、第2電極16が陰極である場合を例に説明する。なお、第1電極12が陰極、第2電極16が陽極の場合には、後述する有機EL層(有機層)17の積層構成において、正孔注入層及び正孔輸送層を第2電極側16とし、電子注入層及び電子輸送層を第1電極12側とすればよい。
有機EL層(有機層)17は、有機発光層14の単層構造でもよいし、図1に示すような正孔輸送層13、有機発光層14及び電子輸送層15の積層構造の如く多層構造でもよい。有機EL層(有機層)17として、具体的には下記の構成が挙げられるが、本発明はこれらにより限定されない。なお、下記の構成において、正孔注入層及び正孔輸送層13は陽極である第1電極12側に配され、電子注入層及び電子輸送層15は陰極である第2電極16側に配される。
(1)有機発光層14
(2)正孔輸送層13/有機発光層14
(3)有機発光層14/電子輸送層15
(4)正孔注入層/有機発光層14
(5)正孔輸送層13/有機発光層14/電子輸送層15
(6)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/電子輸送層15
(7)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/電子輸送層15/電子注入層
(8)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/正孔防止層/電子輸送層15
(9)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/正孔防止層/電子輸送層15/電子注入層
(10)正孔注入層/正孔輸送層13/電子防止層/有機発光層14/正孔防止層/電子輸送層15/電子注入層
ここで、有機発光層14、正孔注入層、正孔輸送層13、正孔防止層、電子防止層、電子輸送層15及び電子注入層の各層は、単層構造でも多層構造でもよい。
なお、有機EL層17が励起子ブロッキング層を含む場合、励起子ブロッキング層は正孔輸送層13と有機発光層14の間、有機発光層14と電子輸送層15の間のいずれか一方、または両方に挿入することが可能である。励起子ブロッキング層は、有機発光層14中で生成された励起子が、正孔輸送層13、電子輸送層15にエネルギー移動して失活することを防止する機能を有し、より効果的に励起子のエネルギーを発光に利用することが可能となるため、効率のよい発光を実現することが可能となる。励起子ブロッキング層は、公知の励起子ブロッキング材料から構成できる。
有機発光層14は、前記化合物(1)のみから構成されていてもよいし、前記化合物(1)をドーパント(発光材料)として、ホスト材料と組み合わせて構成されていてもよく、前記化合物(1)をホスト材料として、発光性のドーパントと組み合わせて構成されていてもよい。また、本発明において、有機発光層14は、任意に正孔輸送材料、電子輸送材料、添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、また、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。有機発光層14は、第1電極12から注入された正孔と第2電極16から注入された電子とを再結合させて、前記化合物(1)又は発光性のドーパントの燐光発光により、光を放出(発光)する。
有機発光層14として、前記化合物(1)を発光性のドーパント(発光材料)とし、従来のホスト材料と組み合わせて用いる場合、ホスト材料としては、公知の有機EL用のホスト材料を用いることができる。このようなホスト材料としては、4,4’−ビス(カルバゾール)ビフェニル、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(CPF)、3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール(mCP)、ポリ(N−オクチル−2,7−カルバゾール−O−9,9−ジオクチル−2,7−フルオレン)(PCF)、1,3,5−トリス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(TCP)、9,9−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−フェニル]フルオレン(FL−2CBP)等のカルバゾール誘導体;4−(ジフェニルフォスフォイル)−N,N-ジフェニルアニリン(HM−A1)等のアニリン誘導体;1,3−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(mDPFB)、1,4−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(pDPFB)等のフルオレン誘導体;1,3,5−トリス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(TDAPB);1,4−ビストリフェニルシリルベンゼン(UGH−2);1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(UGH−3);9−(4−ターシャルブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール(CzSi)等が例示できる。
有機発光層14として、前記化合物(1)をホスト材料とし、従来の発光性のドーパントを組み合わせて用いる場合、発光性ドーパントとしては、公知の有機EL用の発光性のドーパント材料を用いることができる。このような発光性のドーパント材料としては、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(ppy)(acac))、トリス[2−(p−トリル)ピリジン]イリジウム(III)(Ir(mppy))、ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネート イリジウム(III)(FIrPic)、ビス(4’,6’−ジフルオロフェニルポリジナト)テトラキス(1−ピラゾイル)ボレートイリジウム(III)(FIr6)、トリス(1−フェニル−3−メチルベンゾイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’)イリジウム(III)(Ir(Pmb))、ビス(2,4−ビフルオロフェニルピリジナト)(5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾネート)イリジウム(III)(FIrN4)、ビス(2−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリジン)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)(Ir(btp)(acac))、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))、トリス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(piq)(acac))、ビス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(fliq)(acac))、ビス[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(flq)(acac))、トリス(2−フェニルキノリン)イリジウム(III)(Ir(2−phq))、トリス(2−フェニルキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(2−phq)(acac))等のイリジウム錯体;
ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)−ピラゾネート)(ジメチルフェニルフォスフィン)オスミウム(Os(fppz)(PPhMe)、ビス(3−トリフルオロメチル)−5−(4−tert−ブチルピリジル)−1,2,4−トリアゾネート)(ジフェニルメチルフォスフィン)オスミウム(Os(bpftz)(PPhMe))等のオスミウム錯体;
5,10,15,20−テトラフェニルテトラベンゾポリフィリン白金等の白金錯体;等の燐光発光有機金属錯体等が例示できる。
正孔注入層及び正孔輸送層13は、陽極である第1電極12からの正孔の注入と有機発光層14への輸送(注入)をより効率よく行う目的で、第1電極12と有機発光層14との間に設けられる。電子注入層及び電子輸送層15は、陰極である第2電極16からの電子の注入と有機発光層14への輸送(注入)をより効率よく行う目的で、第2電極16と有機発光層14との間に設けられる。
これら正孔注入層、正孔輸送層13、電子注入層及び電子輸送層15は、それぞれ公知の材料を用いて構成でき、以下に例示する材料のみから構成されていてもよく、任意に添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。
正孔輸送層13を構成する材料としては、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物;無機p型半導体材料;ポルフィリン化合物;N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物;ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料;ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(ポリアニリン−カンファースルホン酸;PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン)誘導体(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)(PNV)等の高分子材料等が例示できる。
陽極である第1電極12からの正孔の注入・輸送をより効率よく行う点で、正孔注入層を構成する材料としては、正孔輸送層13に用いる材料よりも最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位が低い材料を用いることが好ましく、正孔輸送層13を構成する材料としては、正孔注入層に用いる材料よりも正孔の移動度が高い材料を用いることが好ましい。
正孔注入層を構成する材料としては、銅フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体;4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−2−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−3−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−4−イル(3−メチルフェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’、4”−トリス[9,9−ジメチル−2−フルオレニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン等のアミン化合物;酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物等が例示できるが、これらに限定されない。
正孔の注入・輸送性をより向上させるため、前記正孔注入層及び正孔輸送層13にはアクセプターをドープすることが好ましい。アクセプターとしては、有機EL用のアクセプター材料として公知のものを用いることができる。
前記アクセプター材料としては、Au、Pt、W、Ir、POCl、AsF、Cl、Br、I、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の無機材料;TCNQ(7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン)、TCNQF4(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)、TCNE(テトラシアノエチレン)、HCNB(ヘキサシアノブタジエン)、DDQ(ジシクロジシアノベンゾキノン)等のシアノ基を有する化合物;TNF(トリニトロフルオレノン)、DNF(ジニトロフルオレノン)等のニトロ基を有する化合物;フルオラニル、クロラニル、ブロマニル等の有機材料等が例示できる。
これらの中でも、TCNQ、TCNQF4、TCNE、HCNB、DDQ等のシアノ基を有する化合物が、キャリア濃度を効果的に増加させることが可能であるためより好ましい。
電子防止層を構成する材料としては、正孔輸送層13及び正孔注入層を構成する材料として先に例示したものと同じものが挙げられる。
電子輸送層15を構成する材料としては、n型半導体である無機材料;オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、ベンゾジフラン誘導体等の低分子材料;ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)、ポリスチレン誘導体(PSS)等の高分子材料等が例示できる。なお、本明細書において「誘導体」とは、例えば、元の化合物の1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された構造を有する化合物を意味する。
電子注入層を構成する材料としては、特に、フッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF2)等のフッ化物;酸化リチウム(Li2O)等の酸化物等が例示できる。
陰極である第2電極16から電子の注入・輸送をより効率よく行う点で、電子注入層を構成する材料としては、電子輸送層15に用いる材料よりも最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位が高い材料を用いることが好ましく、電子輸送層15を構成する材料としては、電子注入層に用いる材料よりも電子の移動度が高い材料を用いることが好ましい。
電子の注入・輸送性をより向上させるため、前記電子注入層及び電子輸送層15にはドナーをドープすることが好ましい。ドナーとしては、有機EL用のドナー材料として公知のものを用いることができる。
前記ドナー材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Al、Ag、Cu、In等の無機材料;アニリン類;フェニレンジアミン類;N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン等のベンジジン類;トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン等のトリフェニルアミン類;N,N’−ジ−(4−メチル−フェニル)−N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン等のトリフェニルジアミン類の芳香族3級アミンを骨格に有する化合物;フェナントレン、ピレン、ペリレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン等の縮合多環化合物(ただし、縮合多環化合物は置換基を有してもよい);TTF(テトラチアフルバレン)類、ジベンゾフラン、フェノチアジン、カルバゾール等の有機材料等が例示できる。
これらの中でも、キャリア濃度をより効果的に増加させることが可能であることから、芳香族3級アミンを骨格に有する化合物、縮合多環化合物、アルカリ金属がより好ましい。
正孔防止層を構成する材料としては、電子輸送層15及び電子注入層を構成する材料として先に例示したものと同じものが挙げられる。
有機EL層17を構成する有機発光層14、正孔輸送層13、電子輸送層15、正孔注入層、電子注入層、正孔防止層、電子防止層、励起子ブロッキング層等の形成方法としては、上記の材料を溶媒に溶解又は分散させてなる有機EL層形成用組成物を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法や、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセスにより形成する方法;上記の材料を抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセスにより形成する方法;レーザ転写法等により形成する方法等が例示できる。なお、ウエットプロセスにより有機EL層17を形成する場合には、有機EL層形成用組成物は、レベリング剤、粘度調整剤等の、組成物の物性を調整するための添加剤が配合されてなるものでもよい。
有機EL層17を構成する各層の膜厚は、1〜1000nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましい。有機EL層17を構成する各層の膜厚が10nm以上であると、本来必要とされる物性(電荷(電子、正孔)の注入特性、輸送特性、閉じ込め特性)がさらに高精度で得られ、異物による画素欠陥の抑制効果が高くなる。また、有機EL層17を構成する各層の膜厚が200nm以下であると、駆動電圧の上昇による消費電力の上昇を抑制する効果が高くなる。
第1電極12は基板(図示略)上に形成されており、第2電極16は有機EL層(有機層)17上に形成されている。
第1電極12及び第2電極16を形成する電極材料としては公知の電極材料を用いることができる。陽極である第1電極12を形成する材料としては、有機EL層17への正孔の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以上である金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属;インジウム(In)及び錫(Sn)からなる酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)インジウム(In)及び亜鉛(Zn)からなる酸化物(IZO)等が例示できる。また、陰極である第2電極16を形成する電極材料としては、有機EL層17への電子の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以下であるリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属;これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が例示できる。
第1電極12及び第2電極16は、上記の材料を用いてEB(電子ビーム)蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により基板上に形成できるが、形成方法はこれらに限定されない。また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザ剥離法により、形成した電極をパターニングすることもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターニングした電極を形成することもできる。
第1電極12及び第2電極16の膜厚は、50nm以上であることが好ましい。第1電極12及び第2電極16の膜厚が50nm以上であることにより、配線抵抗の上昇に伴う駆動電圧の上昇を抑制する効果が高くなる。
図1に示す有機発光素子10は、前記化合物(1)を用いて構成された有機発光層14を含む有機EL層(有機層)17を備えた構成であるため、第1電極12から注入された正孔と第2電極16から注入された電子とを再結合させて、有機層17(有機発光層14)に発光材料として含まれる前記化合物(1)の燐光発光により、高効率で発光可能である。また、前記化合物(1)をホスト材料として用い、これを従来の燐光ドーパントと組み合わせて有機層17(有機発光層14)に含む有機発光素子10も、従来の燐光材料を用いて高効率で発光可能である。さらに、前記化合物(1)を励起子ブロッキング材料として有機EL層17の励起子ブロッキング層に用いた場合には、励起子のエネルギーを発光層に閉じ込めることができ、より効果的に励起子のエネルギーを発光に利用できるので、効率よく発光可能となる。
なお、本発明の一態様に係る有機発光素子は、発光した光を基板側に放射するボトムエミッションタイプのデバイスで構成されていてもよいし、基板とは反対側に放射するトップエミッションタイプのデバイスで構成されていてもよい。
また、本発明に係る有機発光素子の駆動方式は特に限定されず、アクティブ駆動方式及びパッシブ駆動方式のいずれでもよいが、アクティブ駆動方式であることが好ましい。アクティブ駆動方式を採用することにより、パッシブ駆動方式よりも有機発光素子の発光時間を長くすることができ、所望の輝度を得る駆動電圧を低減し、低消費電力化が可能となる。
図2は、本発明の一態様に係る有機発光素子を示す概略断面図である。図2に示す有機発光素子20は、TFT(薄膜トランジスタ)回路2を備えた基板1上に一対の電極12及び16間に有機EL層(有機層)17が狭持された有機発光素子10(以下、「有機EL素子10」と記載することがある)が形成されており、アクティブ駆動方式で駆動されるトップエミッションタイプの有機発光素子である。なお、図2において、図1に示す有機発光素子10と同一の構成要素には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
図2に示す有機発光素子20は、TFT(薄膜トランジスタ)回路2を備えた基板1と、基板1上に層間絶縁膜3及び平坦化膜4を介して設けられた有機EL素子10と、有機EL素子10を覆う無機封止膜5と、無機封止膜5上に設けられた封止基板9と、基板1と封止基板9との間に充填された封止材6とで概略構成されている。有機EL素子10は、正孔輸送層13、発光層14及び電子輸送層15が積層された有機EL層(有機層)17が、第1電極12と第2電極16により狭持されており、第1電極12の下面には反射電極11が設けられている。反射電極11及び第1電極12は、層間絶縁膜3及び平坦化膜4を貫通して設けられた配線2bにより、TFT回路2の1つに接続されている。第2電極16は、層間絶縁膜3、平坦化膜4及びエッジカバー19を貫通して設けられた配線2aにより、TFT回路2の1つに接続されている。
基板1上には、TFT回路2及び各種配線(図示略)が形成され、さらに、基板1の上面及びTFT回路2を覆うように、層間絶縁膜3及び平坦化膜4が順次積層されている。
基板1としては、ガラス、石英等からなる無機材料基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等からなるプラスティック基板;アルミナ等からなるセラミックス基板等の絶縁性基板や、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等からなる金属基板;前記基板表面に酸化シリコン(SiO)等の有機絶縁材料等からなる絶縁物をコーティングした基板;Al等からなる金属基板の表面を陽極酸化等の方法で絶縁化処理を施した基板等が例示できるが、これらに限定されない。
TFT回路2は、有機発光素子20を形成する前に、予め基板1上に形成され、スイッチング用及び駆動用として機能する。TFT回路2としては、従来公知のTFT回路2を用いることができる。また、本発明においては、スイッチング用及び駆動用としてTFTの代わりに金属−絶縁体−金属(MIM)ダイオードを用いることもできる。
TFT回路2は、公知のものでよい。TFT回路2の活性層の材料としては、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、多結晶シリコン(ポリシリコン)、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料;酸化亜鉛、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛等の酸化物半導体材料;ポリチオフェン誘導体、チオフエンオリゴマー、ポリ(p−フェリレンビニレン)誘導体、ナフタセン、ペンタセン等の有機半導体材料等が例示できる。また、TFT回路2の構造としては、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型等が例示できる。
TFT回路2のゲート絶縁膜は、公知の材料を用いて形成できる。前記ゲート絶縁膜としては、プラズマ誘起化学気相成長(PECVD)法若しくは減圧化学気相成長(LPCVD)法等により形成されたSiO又はポリシリコン膜を熱酸化して得られたSiO等が例示できる。
また、TFT回路2の信号電極線、走査電極線、共通電極線、第1駆動電極及び第2駆動電極は、例えば、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の公知の材料を用いて形成できる。
層間絶縁膜3は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN、Si)、酸化タンタル(TaO、Ta)等の無機材料;アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等、公知の材料を用いて形成できる。
層間絶縁膜3の形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセスや、スピンコート法等のウエットプロセスが例示でき、必要に応じてフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることもできる。
有機発光素子20においては、有機EL素子10からの発光を封止基板9側から取り出すため、外光が基板1上に形成されたTFT回路2に入射して、TFT特性に変化が生じることを防ぐ目的で、遮光性を兼ね備えた層間絶縁膜3(遮光性絶縁膜)を用いることが好ましい。また、有機発光素子20においては、層間絶縁膜3と遮光性絶縁膜とを組み合わせて用いることもできる。遮光性絶縁膜としては、フタロシアニン、キナクロドン等の顔料又は染料をポリイミド等の高分子樹脂に分散させたものや、カラーレジスト、ブラックマトリクス材料、NiZnFe等の無機絶縁材料等が例示できる。
平坦化膜4は、TFT回路2の表面の凸凹により、有機EL素子10の欠陥(例えば、画素電極の欠損、有機EL層の欠損、対向電極の断線、画素電極と対向電極との短絡、耐圧の低下等)等の発生を防止するために設けられるものである。なお、平坦化膜4は省略することも可能である。
平坦化膜4は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の無機材料や、ポリイミド、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等の公知の材料を用いて形成できるが、材料はこれらに限定されない。
平坦化膜4の形成方法としては、CVD法、真空蒸着法等のドライプロセスや、スピンコート法等のウエットプロセスが例示できるが、これらに限定されない。
平坦化膜4は、単層構造及び多層構造のいずれでもでもよい。
有機発光素子20においては、光源である有機EL素子10の有機発光層14からの発光を、封止基板9側である第2電極16側から取り出すため、第2電極16として半透明電極を用いることが好ましい。前記半透明電極としては、金属からなる半透明電極の単体、金属からなる半透明電極とその他の材料からなる透明電極との組み合わせを用いることができるが、光の反射率及び透過率の観点から、銀又は銀合金からなるものが好ましい。
有機発光素子20において、有機発光層14からの発光を取り出す側とは反対側に位置する第1電極12としては、有機発光層14からの発光の取り出し効率を向上させるために、光の反射率が高い電極(反射電極)を用いることが好ましい。このような電極としては、アルミニウム、銀、金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−ネオジウム合金、アルミニウム−シリコン合金等の光反射性金属電極や、透明電極と前記光反射性金属電極(反射電極)とを組み合わせた電極等が例示できる。なお、図2においては、平坦化膜4上に、反射電極11を介して透明電極である第1電極12を形成した例を示している。
有機発光素子20においては、基板1側(有機発光層14からの発光を取り出す側とは反対側)に位置する第1電極12が、各画素に対応して複数個並列配置されており、隣接する第1電極12の各エッジ部(端部)を覆うように絶縁材料からなるエッジカバー19が設けられている。このエッジカバー19は、第1電極12と第2電極16との間でリークが起こることを防止するものである。エッジカバー19は、絶縁材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成でき、公知のドライ及びウエット法のフォトリソグラフィー法によりパターニングできるが、エッジカバー19の形成方法はこれらに限定されない。
エッジカバー19を構成する絶縁材料としては、SiO、SiON、SiN、SiOC、SiC、HfSiON、ZrO、HfO、LaO等、光透過性を有する公知の材料が例示できる。
エッジカバー19の膜厚は、100〜2000nmであることが好ましい。エッジカバー19の膜厚が100nm以上であることにより、十分な絶縁性を保ち、第1電極12と第2電極16との間でのリークに伴う消費電力の上昇や非発光の発生を効果的に抑制できる。また、エッジカバー19の膜厚が2000nm以下であることにより、成膜プロセスでの生産性の低下や、エッジカバー19における第2電極16の断線を効果的に抑制できる。
反射電極11及び第1電極12は、層間絶縁膜3及び平坦化膜4を貫通して設けられた配線2bにより、TFT回路2の1つに接続されている。また、第2電極16は、層間絶縁膜3、平坦化膜4及びエッジカバー19を貫通して設けられた配線2aによりTFT回路2の1つに接続されている。配線2a及び2bは、導電性材料で構成されていればよく、前記導電性材料は特に限定されないが、Cr、Mo、Ti、Ta、Al、Al合金、Cu、Cu合金等が例示できる。配線2a及び2bは、スパッタ法、CVD法、マスクを用いるフォトリソグラフィー法等の公知の方法で形成できる。
有機発光素子20においては、平坦化膜4上に形成された有機EL素子10の上面及び側面を覆うように、SiO、SiON、SiN等からなる無機封止膜5が設けられている。無機封止膜5は、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタ法等により、SiO、SiON、SiN等の無機膜を成膜することにより形成できる。なお、無機封止膜5は、光を取り出すために光透過性を有することが必要である。
無機封止膜5上には、封止基板9が設けられており、基板1と封止基板9との間に形成された有機発光素子10は、封止材6に囲まれた封止領域に封入されている。無機封止膜5及び封止材6を設けることにより、外部から有機EL層17内への酸素、水分等の混入が防止され、有機発光素子20を長寿命化させることができる。
封止基板9としては、基板1と同様のものを用いることができるが、封止基板9側より発光を取り出す(観察者は封止基板9の外側より発光による表示を観察する)ため、光透過性を有することが必要である。また、封止基板9には、色純度を高めるために、カラーフィルタが設けられていてもよい。
封止材6は、公知の封止材料を用い、公知の方法で形成できる。
封止材6としては、樹脂(硬化性樹脂)からなるものが例示できる。この場合には、例えば、有機EL素子10及び無機封止膜5が形成された基板1の無機封止膜5の上面及び/又は側面、あるいは封止基板9上に、硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物)をスピンコート法、ラミネート法等により塗工し、基板1と封止基板9とをこの塗工層を介して貼り合わせて、硬化性樹脂組成物を光硬化又は熱硬化させることにより、封止材6を形成できる。なお、封止材6は光透過性を有することが必要である。
また、封止材6として窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを用いてもよく、この場合、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスをガラス等の封止基板9で封止する方法が挙げられる。
さらにこの場合には、水分による有機EL部の劣化を効果的に抑制するために、不活性ガスと共に酸化バリウム等の吸湿剤を封入することが好ましい。
有機発光素子20は、上記の有機発光素子10と同様に、前記化合物(1)を用いて構成された有機発光層14を含む有機EL層(有機層)17を備えた構成であるため、発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を射出可能な発光素子となる。
[第4実施形態]
<波長変換基板、波長変換発光素子>
本発明の一態様に係る波長変換発光素子(発光素子)は、例えば、励起光源と、励起光源の光を取り出す面側に配され、前記励起光源からの発光を吸収して、吸収光とは異なる波長で発光を行う蛍光体層(発光体層)と、を備えて構成される。かかる波長変換発光素子は、前記蛍光体層(発光体層)を基板上に備えてなる波長変換基板を含んで構成され、例えば、色変換発光素子、光変換発光素子として用いることが可能である。以下、これら素子について説明する。
[色変換発光素子]
図3は、本発明の一態様に係る色変換発光素子を例示する概略断面図であり、図4は図3に示す色変換発光素子の上面図である。
図3に示す色変換発光素子30は、上記の有機発光素子10からの青色発光を吸収して、赤色に変換する赤色蛍光体層18Rと、前記青色発光を吸収して緑色に変換する緑色蛍光体層18Gとを備えている。以下、これら赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gをまとめて「蛍光体層」と記載することがある。
図3に示す色変換発光素子30において、図1及び2に示す有機発光素子10及び20と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図3に示す色変換発光素子30は、TFT(薄膜トランジスタ)回路2を備えた基板1と、基板1上に層間絶縁膜3及び平坦化膜4を介して設けられた有機発光素子(光源)10と、封止基板9と、封止基板9の一方の面上に隔壁7に仕切られて並列配置された赤色カラーフィルタ8R、緑色カラーフィルタ8G及び青色カラーフィルタ8Bと、封止基板9の一方の面上の赤色カラーフィルタ8R上に位置を合わせて形成された赤色蛍光体層18Rと、封止基板9上の一方の面上の緑色カラーフィルタ8G上に位置を合わせて形成された緑色蛍光体層18Gと、封止基板9上の青色カラーフィルタ8B上に位置を合わせて形成された散乱層31と、を備えて概略構成されており、基板1と封止基板9とは、有機発光素子10と各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31とが封止材を介して対向するように配置されている。各蛍光体層18R、18G及び散乱層31は、隔壁7により仕切られている。
有機発光素子10は、無機封止膜5に覆われている。有機発光素子10は、正孔輸送層13、発光層14及び電子輸送層15が積層された有機EL層(有機層)17が、第1電極12と第2電極16により狭持されており、第1電極12の下面には反射電極11が設けられている。反射電極11及び第1電極12は、層間絶縁膜3及び平坦化膜4を貫通して設けられた配線2bにより、TFT回路2の1つに接続されている。第2電極16は、層間絶縁膜3、平坦化膜4及びエッジカバー19を貫通して設けられた配線2aにより、TFT回路2の1つに接続されている。
色変換発光素子30は、光源である有機発光素子10から発光された光が、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31へと入射し、この入射光が散乱層31ではそのまま透過し、各蛍光体層18R及び18Gにおいては波長変換されて、結果的に赤色、緑色及び青色の三色の光として封止基板9側(観察者側)へと射出されるようになっている。
色変換発光素子30は、図3においては図面を見やすくするために、赤色蛍光体層18R及び赤色カラーフィルタ8R、緑色蛍光体層18G及び緑色カラーフィルタ8G、並びに散乱層31及び青色カラーフィルタ8Bが1つずつ並置された例を示している。しかし、図4に示すように、破線で囲まれた各カラーフィルタ8R、8G及び8Bは、y軸に沿ってストライプ状に延長され、x軸に沿って各カラーフィルタ8R、8G及び8Bがこの順に配置された、2次元的なストライプ配列とされている。
なお、図4では、各RGB画素(各カラーフィルタ8R、8G及び8B)がストライプ配列された例を示しているが、本発明はこれに限定されず、各RGB画素の配列はモザイク配列、デルタ配列等、公知のRGB画素配列とすることもできる。
赤色蛍光体層18Rは、光源である有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して、赤色領域の光に変換して封止基材9側に赤色領域の光を射出する。
緑色蛍光体層18Gは、光源である有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して、緑色領域の光に変換して封止基材9側に緑色領域の光を放出する。
散乱層31は、光源である有機発光素子10から発光された青色領域の光の視野角特性、取り出し効率を高める目的で設けられるものであり、封止基材9側に青色領域の光を放出する。なお、散乱層31は省略することが可能である。
このように、赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G(および散乱層31)が設けられていることにより、有機発光素子10から放出された光を変換して、赤色、緑色、青色の三色の光を封止基板9側から射出し、フルカラー化することができる。
光取り出し側(観察者側)の封止基板9と、蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31との間に配されたカラーフィルタ8R、8G及び8Bは、色変換発光素子30から出射される赤色、緑色、青色の色純度を高め、色変換発光素子30の色再現範囲を拡大する目的で設けられている。また、赤色蛍光体層18R上に形成された赤色カラーフィルタ8R、及び緑色蛍光体層18G上に形成された緑色カラーフィルタ8Gは、外光の青色成分及び紫外成分を吸収するため、外光による各蛍光体層8R及び8Gの発光を低減又は防止することが可能であり、コントラストの低下を低減又は防止できる。
カラーフィルタ8R、8G及び8Bとしては、特に限定されず、公知のカラーフィルタを用いることできる。また、カラーフィルタ8R、8G及び8Bは、公知の方法で形成でき、その膜厚も適宜調整できる。
散乱層31は、バインダー樹脂に透明粒子が分散されて構成されている。散乱層31の膜厚は10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
散乱層31を構成するバインダー樹脂としては、公知のものを用いることができ、特に限定されないが、光透過性を有するものが好ましい。前記透明粒子としては、有機発光素子10からの光を散乱又は透過させることができるものであれば特に限定されず、平均粒径が25μm、粒度分布の標準偏差が1μmのポリスチレン粒子等が例示できる。また、散乱層31中の透明粒子の含有量は、適宜調節可能であり、特に限定されない。
散乱層31は、公知の方法で形成でき、例えば、バインダー樹脂及び透明粒子を溶媒に溶解又は分散させてなる散乱層形成用組成物を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法や、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセス等により形成できる。
赤色蛍光体層18Rは、有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して励起し、赤色領域の蛍光を発光することのできる蛍光体材料を含んでなる。
緑色蛍光体層18Gは、有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して励起し、緑色領域の蛍光を発光することのできる蛍光体材料を含んでなる。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、以下に例示する蛍光体材料のみから構成されていてもよいし、任意に添加剤等を含んで構成されていてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散して構成されてもよい。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gを形成する蛍光体材料としては、公知のものを用いることができる。このような蛍光体材料は、例えば、有機系蛍光体材料と無機系蛍光体材料とに分類される。これらの蛍光体材料について、具体的な化合物を以下に例示するが、本発明における蛍光体材料は、これらに限定されない。
まず、有機系蛍光体材料について例示する。
赤色蛍光体層18Rを構成する蛍光体材料としては、紫外、青色の励起光を、赤色の発光に変換する蛍光色素である、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素;1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウム−パークロレート等のピリジン系色素;ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、ベーシックバイオレット11、スルホローダミン101等のローダミン系色素等が例示できる。
緑色蛍光体層18Gを構成する蛍光体材料としては、紫外、青色の励起光を、緑色発光に変換する蛍光色素である、2,3,5,6−1H、4H−テトラヒドロ−8−トリフロメチルキノリジン(9,9a、1−gh)クマリン(クマリン153)、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)等のクマリン系色素;ベーシックイエロー51、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド系色素等が例示できる。
次に、無機系蛍光体材料について例示する。
赤色蛍光体層18Rを構成する蛍光体材料としては、紫外、青色の励起光を、緑色の発光に変換する蛍光体である、(BaMg)Al1627:Eu2+、Mn2+、SrAl1425:Eu2+、(SrBa)Al12Si:Eu2+、(BaMg)SiO:Eu2+、YSiO:Ce3+,Tb3+、Sr−Sr:Eu2+、(BaCaMg)(POCl:Eu2+、SrSi−2SrCl:Eu2+、ZrSiO、MgAl1119:Ce3+,Tb3+、BaSiO:Eu2+、SrSiO:Eu2+、(BaSr)SiO:Eu2+等が例示できる。
緑色蛍光体層18Gを構成する蛍光体材料としては、紫外、青色の励起光を、赤色の発光に変換する蛍光体である、YS:Eu3+、YAlO:Eu3+、Ca(SiO:Eu3+、LiY(SiO:Eu3+、YVO:Eu3+、CaS:Eu3+、Gd:Eu3+、GdS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、MgGeO5.5F:Mn4+、MgGeO:Mn4+、KEu2.5(WO6.25、NaEu2.5(WO6.25、KEu2.5(MoO6.25、NaEu2.5(MoO6.25等が例示できる。
色変換発光素子30においては、散乱層31に代えて、光源である有機発光素子10から発光された光のうち、紫外領域の光を吸収して、青色領域の光に変換して封止基材9側に青色領域の光を放出する青色蛍光体層を設けてもよい。
この場合、青色蛍光体層に用いる有機系蛍光体材料としては、紫外の励起光を、青色発光に変換する蛍光色素である、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、トランス−4,4’−ジフェニルスチルベンゼン等のスチルベンゼン系色素;7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン等のクマリン系色素等が例示できる。
また、無機系蛍光体材料としては、紫外の励起光を青色の発光に変換する蛍光体である、Sr:Sn4+、SrAl1425:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+、SrGa:Ce3+、CaGa:Ce3+、(Ba、Sr)(Mg、Mn)Al1017:Eu2+、(Sr、Ca、Ba、Mg)10(POCl:Eu2+、BaAlSiO:Eu2+、Sr:Eu2+、Sr(POCl:Eu2+、(Sr、Ca、Ba)(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、(Ba、Ca)(POCl:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、SrMgSi:Eu2+等が例示できる。
励起光による劣化や発光による劣化等を考慮すると、その安定性のために無機系蛍光体材料を用いることが好ましい。
前記無機系蛍光体材料には、必要に応じて表面改質処理を施すことが好ましく、その方法としては、シランカップリング剤等の化学的処理によるもの、サブミクロンオーダーの微粒子等の添加による物理的処理によるもの、これらの併用によるもの等が例示できる。
前記無機系蛍光体材料は、その平均粒径(d50)が、0.5〜50μmであることが好ましい。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、前記蛍光体材料が高分子材料(結着用樹脂)に分散して構成されているものである場合、前記高分子材料として感光性樹脂を用いることで、フォトリソグラフィー法により、パターニングできる。前記感光性樹脂としては、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、硬ゴム系樹脂等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂(光硬化型レジスト材料)等が例示できる。前記感光性樹脂は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、前記蛍光体材料(顔料)及び樹脂材料を溶媒に溶解又は分散させてなる蛍光体層形成用組成物を用いて、公知のウエットプロセス、ドライプロセス、又はレーザ転写法等により形成することができる。ここで、公知のウエットプロセスとしては、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法や、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等が例示できる。また、公知のドライプロセスとしては、抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等が例示できる。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gの膜厚は、100nm〜100μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましい。赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、膜厚が100nm以上であることで、有機発光素子10から発光する青色光を十分に吸収でき、色変換発光素子30における発光効率が向上し、各蛍光体層18R及び18Gで変換された変換光への青色の透過光の混入が抑制されて、色純度が向上する。また、有機発光素子10から発光する青色光の吸収を高め、色純度の悪影響を及ぼさない程度に青色の透過光を低減するためには、各蛍光体層18R及び18Gの膜厚は1μm以上であることが好ましい。赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、膜厚が100μmを超えても、有機発光素子10から発光する青色光は既に十分吸収されているため、色変換発光素子30における発光効率の上昇には繋がらない。そこで、材料コストを低減できる点から、赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gの膜厚は100μm以下であることが好ましい。
色変換発光素子30においては、有機発光素子10の上面及び側面を覆うように、無機封止膜5が設けられている。さらに、無機封止膜5上には、一方の面上に隔壁7に仕切られて並列配置された赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G及び散乱層31、並びに各カラーフィルタ8R、8G及び8Bが形成された封止基板9が、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31と有機発光素子10とが対向するように配置されており、無機封止膜5と封止基板9との間には封止材6が封入されている。すなわち、有機発光素子10に対向配置された各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31は、それぞれ周囲を隔壁7に囲まれて区画され、かつ、封止材6に囲まれた封止領域に封入されている。
封止材6としては、樹脂(硬化性樹脂)からなるものが例示できる。この場合には、例えば、有機発光素子10及び無機封止膜5が形成された基板1の無機封止膜5上、または、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31と、各カラーフィルタ8R、8G及び8Bとが形成された封止基板9の各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31上に、硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物)をスピンコート法、ラミネート法等により塗工し、基板1と封止基板9とをこの塗工層を介して貼り合わせて、硬化性樹脂組成物を光硬化又は熱硬化させることにより、封止材6を形成できる。
また、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31の封止基板9とは反対側の面は、平坦化膜等(図示略)により平坦化されていることが好ましい。これにより、有機発光素子10と各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31とを、封止材6を介して対向させて密着させる際に、有機発光素子10と各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31との間に空乏が生じることを防止でき、かつ、有機発光素子10が形成された基板1と、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31、並びに各カラーフィルタ8R、8G及び8Bが形成された封止基板9と、の密着性を向上させることができる。
この場合の平坦化膜としては、上述の有機発光素子20における平坦化膜4と同様のものを用いることができる。
隔壁7は公知のものでよく、例えば、赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31に入射して散乱した光を、さらに赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31に反射するように、光散乱性粒子又は光反射性粒子が分散された樹脂で構成されたものや、樹脂で構成され、さらに赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31との接触面(表面)に金属等の光散乱性又は光反射性を有する層(図示略)を備えたものが好ましい。光散乱性又は光反射性を有する層を備える場合、隔壁7は、必ずしも上述のような光散乱性粒子又は光反射性粒子を用いて構成されていなくてもよいが、光散乱性粒子又は光反射性粒子を用いて構成されていることが好ましい。
前記樹脂としては、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド等が例示でき、共重合樹脂であってもよい。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を含む概念とする。
前記光散乱性粒子又は光反射性粒子としては、酸化チタンが例示でき、この酸化チタンは、例えば、ルチル型及びアナターゼ型のいずれでもよい。
前記光散乱性又は光反射性を有する層における金属としては、銀、白金、金、銅、ニッケル、コバルト、アルミニウムが例示でき、銀、白金又は金であることが好ましい。
隔壁7は、フォトリソグラフィー法で形成でき、例えば、これを構成するための硬化性組成物(隔壁形成用組成物)を封止基板9上に塗工し、得られた塗膜に対してフォトマスクを介して光を照射(露光)することにより、塗膜の所望の箇所を硬化させ、次いで、現像液を用いて現像し、パターニングすることで形成できる。硬化性組成物の塗工は、例えば、スピンコート法等の塗布法で行うことができる。
上述の光散乱性又は光反射性を有する層は、隔壁7の形成後、隔壁7の赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31側の面(表面)に、例えば、金属等の膜をパターニングする公知の方法で形成できる。
色変換発光素子30を後述する表示素子へ適用した場合、各画素間のコントラストが向上する点から、隔壁7は、封止基板9との間に黒色隔壁層(以下、「ブラックマトリックス」と略記する)7’を有することが好ましい。
ブラックマトリックス7’は公知のものでよく、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料を含む樹脂で構成された遮光性のものが好ましい。
ブラックマトリックス7’の厚さは0.01〜3μmであることが好ましい。
ブラックマトリックス7’は、フォトリソグラフィー法で形成でき、例えば、これを構成するための硬化性組成物(ブラックマトリックス形成用組成物)を用いる点以外は、隔壁7と同じ方法で形成できる。
ブラックマトリックス7’は、その赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31と対向する面(表面)に、上述の金属等の光散乱性又は光反射性を有する層を備えていてもよい。このような場合、色変換発光素子30は、光の利用効率及び各画素間のコントラストが特に優れたものとなる。この場合の光散乱性又は光反射性を有する層も、上記と同様の方法で形成できる。
有機発光素子10は、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31に多く光が到達するように、トップエミッション構造であることが好ましい。その際、第1電極12と第2電極16を反射性電極とし、これらの電極12及び16間の光学距離Lが、微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)を構成するように調整されていることが好ましい。この場合、第1電極12として反射電極を用い、第2電極16として半透明電極を用いることが好ましい。
前記半透明電極としては、金属からなる半透明電極の単体、金属からなる半透明電極とその他の材料からなる透明電極との組み合わせを用いることができるが、光の反射率及び透過率の観点から、銀又は銀合金からなるものが好ましい。
半透明電極である第2電極16の膜厚は、5〜30nmであることが好ましい。半透明電極の膜厚が5nm以上であることにより、光を十分に反射でき、干渉効果を十分に得られる。また、半透明電極の膜厚が30nm以下であることにより、光の透過率の急激な低下を抑制でき、輝度及び発光効率の低下を抑制できる。
また、反射電極である第1電極12としては、光の反射率が高い電極を用いることが好ましい。このような電極としては、アルミニウム、銀、金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−ネオジウム合金、アルミニウム−シリコン合金等の光反射性金属電極や、透明電極と前記光反射性金属電極とを組み合わせた電極等が例示できる。なお、図3においては、平坦化膜4上に、反射電極11を介して透明電極である第1電極12を形成した例を示している。この場合の反射電極11は、上記の反射電極である第1電極12と同様の材質からなる。
第1電極12及び第2電極16により微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)が構成されると、第1電極12及び第2電極16の干渉効果により、有機EL層17の発光を正面方向(光取り出し方向;封止基板9側)に集光することができる。すなわち、有機EL層17の発光に指向性を持たせることができるため、周囲に逃げる発光ロスを低減でき、発光効率を向上させることができる。これにより、有機発光素子10で生じる発光エネルギーをより効率よく各蛍光体層18R及び18Bへ伝搬させることができ、色変換発光素子30の正面輝度を向上させることができる。
また、前記微小共振器構造によれば、有機EL層17の発光スペクトルも調整でき、所望の発光ピーク波長及び半値幅に調整できる。このため、有機EL層17の発光スペクトルを、蛍光体層18R及び18B中の蛍光体を効果的に励起することが可能なスペクトルに制御できる。
なお、第2電極16として半透明電極を用いることによって、各蛍光体層18R及び18B並びに散乱層31の光取り出し方向とは反対方向に放出される光を再利用することもできる。
各蛍光体層18R及び18Gにおいて、変換光の発光位置から光取り出し面までの光学距離は、発光素子の色毎に異なるように設定される。色変換発光素子30においては、前記「発光位置」が、各蛍光体層18R及び18Gにおいて、有機発光素子10側に対向する面とされる。
ここで、各蛍光体層18R及び18Gにおける変換光の発光位置から光取り出し面までの光学距離は、各蛍光体層18R及び18Gの膜厚により調整される。そして、各蛍光体層18R及び18Gの膜厚は、スクリーン印刷法の印刷条件(スキージ印圧、スキージアタック角度、スキージ速度、若しくはクリアランス巾)、スクリーン版の仕様(スクリーン紗の選定、乳剤の厚み、テンション、若しくは枠の強度)、あるいは蛍光体層形成用組成物の性状又は組成(粘度、流動性、若しくは樹脂、顔料及び溶媒の配合比率)を変えることによって調節できる。
色変換発光素子30は、有機発光素子10から発光する光を微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)により増強し、各蛍光体層18R及び18Bにより変換された光の光取り出し効率を、前記光学距離の調整(各蛍光体層18R及び18Bの膜厚調整)により向上させることができる。これにより、色変換発光素子30の発光効率をより向上させることができる。
色変換発光素子30は、前記化合物(1)を用いた有機発光素子10からの光を蛍光体層18R及び18Bで変換する構成であるため、発光効率に優れる。
以上、本発明に係る色変換発光素子について説明したが、本発明に係る色変換発光素子は上述の構成に限定されない。例えば、上述の色変換発光素子30において、光取り出し側(封止基板9の上)に偏光板が設けられていてもよい。偏光板としては、例えば、公知の直線偏光板とλ/4板とを組み合わせたものを用いることができる。ここで、偏光板が設けられていることにより、第1電極12及び第2電極16からの外光反射や、基板1又は封止基板9の表面での外光反射を防止でき、色変換発光素子30のコントラストを向上させることができる。
また、上述の色変換発光素子30では、前記化合物(1)を用いてなる有機発光素子10を光源(発光素子)として用いたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、発光素子として、他の発光材料を用いた有機EL、無機EL、LED(発光ダイオード)等の光源を利用し、この発光素子(光源)からの光を吸収して青色光を放出する発光体層として、前記化合物(1)を含む層を設けることもできる。このとき、光源である発光素子は、青色よりも短波長の光(紫外光)を発光するものであることが好ましい。
前記化合物(1)を含む発光体層を基板(封止基板9)上に備えた波長変換基板としては、例えば上述のような、封止基板9上に赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gを備え、散乱層31に代えて前記発光体層を備えたものが例示できる。
また、上述の色変換発光素子30では、赤色、緑色及び青色の三色を発光する例を示したが、本発明に係る色変換発光素子は、色変換発光素子が、蛍光体層を一種のみ備えた単色発光素子でもよいし、赤色、緑色及び青色の発光素子以外に、白色、黄色、マジェンダ及びシアン等の多原色素子を備えたものでもよく、この場合には、各色に対応した蛍光体層を用いてもよい。これにより、低消費電力化を図ったり、色再現範囲を拡大したりすることができる。また、多原色の蛍光体層は、マスク塗り分け法等を採用するよりも、フォトレジストを用いるフォトリソグラフィー法、印刷法、ウエット形成法等を採用することで、容易に形成できる。
[光変換発光素子]
本発明の一態様に係る光変換発光素子(発光素子)は、前記化合物(1)を含む発光層を有する少なくとも一層の有機層と、電流を増幅させる層とを、一対の電極間に狭持させてなる。
図5は、本発明の一態様に係る光変換発光素子を例示する概略模式図である。図5に示す光変換発光素子40は、光電流増倍効果による光電変換を利用し、得られた電子を、EL発光の原理を用いて再び光に変換するものである。
図5に示す光変換発光素子40は、透明なガラス基板からなる素子基板41の一方の面上に形成されたITO電極等の下部電極42と、この下部電極42上に、有機EL層17と、有機光電材料層43と、Au電極44とがこの順に積層されてなり、下部電極42には駆動電源の+極が接続され、Au電極44には駆動電源の−極が接続されて、概略構成されている。
有機EL層17は、上述の有機発光素子における有機EL層17と同様の構成のものである。
有機光電材料層43は、電流を増幅させる光電効果を示し、例えば、ナフタレンテトラカルボン酸(NTCDA)からなる層1層のみの構成としてもよいし、感度波長域が選択可能な複数層で構成してもよく、この場合、Me−PTC(ペリレン顔料)層とNTCDA層との2層で構成することもできる。
有機光電材料層43の厚さは特に限定されず、例えば、10〜100nmとすることができる。
有機光電材料層43は、真空蒸着法等の公知の手法で形成できる。
光変換発光素子40は、下部電極42及びAu電極44間に所定の電圧を印加し、Au電極44の外側から光を照射することにより、この光の照射によって発生した正孔は、−極であるAu電極44の近傍にトラップされて蓄積される。その結果、有機光電材料層43とAu電極44との界面に電界が集中し、Au電極44からの電子注入が生じて電流の倍増現象が発現する。このように増幅された電流が、有機EL層17での発光に利用されるため、光変換発光素子40は、良好な発光特性を示す。
光変換発光素子40は、前記化合物(1)を含む有機EL層17を備えるため、発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を射出可能である。
[有機レーザダイオード発光素子]
本発明の一態様に係る発光素子としては、有機レーザダイオード発光素子も挙げることができる。
本発明に係る有機レーザダイオード発光素子は、連続波励起光源と、この連続波励起光源からのレーザ光が照射される共振器構造とを備えて概略構成され、前記共振器構造は、レーザ活性層を有する少なくとも一層の有機層を一対の電極間に狭持してなる。
図6は、本発明の一態様に係る有機レーザダイオード発光素子を例示する概略模式図である。
図6に示す有機レーザダイオード発光素子50は、レーザ光を発光する連続波励起光源50aと、ITO基板51上に正孔輸送層52、レーザ活性層53、正孔ブロック層54、電子輸送層55、電子注入層56及び電極57がこの順に積層されてなる共振器構造50bと、を備える。そして、ITO基板51に形成されたITO電極は、駆動電源の+極に接続され、電極57は駆動電源の−極に接続されている。
正孔輸送層52、正孔ブロック層54、電子輸送層55及び電子注入層56は、それぞれ、上述の有機発光素子における正孔輸送層13、正孔防止層、電子輸送層15及び電子注入層と同様の構成のものである。
レーザ活性層53は、上述の有機発光素子における有機発光層14と同様の構成のものであり、従来のホスト材料に前記化合物(1)が発光材料としてドープされてなるもの、又は、従来の発光性のドーパント材料がホスト材料である前記化合物(1)にドープされてなるものが好ましい。なお、図6においては、正孔輸送層52、レーザ活性層53、正孔ブロック層54、電子輸送層55及び電子注入層56が順次積層された有機EL層58を例示しているが、有機レーザダイオード発光素子50における有機EL層はこれに限定されず、上述の有機発光素子における有機発光層14と同様の構成とすることができる。
有機レーザダイオード発光素子50は、陽極であるITO基板51側から連続波励起光源50aよりレーザ光を照射することにより、共振器構造50bの側面側から、レーザ光の励起強度に応じてピーク輝度が増大するASE発振発光(エッジ発光)が可能である。
本発明に係る有機レーザダイオード発光素子は、前記化合物(1)を用いていることにより、発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を射出可能である。
[第5実施形態]
<色素レーザ>
本発明の一態様に係る色素レーザは、上述の本発明に係る発光材料を用いたものである。
図7は、本発明の一態様に係る色素レーザを例示する概略模式図である。
図7に示す色素レーザ60は、ポンプ光67を発光する励起用光源61と、前記ポンプ光67を色素セル62に集光するレンズ66と、色素セル62を挟んで対向配置された部分反射鏡65及び回折格子63と、回折格子63と色素セル62との間に配置され、回折格子63からの光を集光するビームエキスパンダー64とを備え、概略構成されている。
色素セル62は、石英ガラス等で形成されており、その内部には、前記化合物(1)を含む溶液であるレーザ媒質が充填されている。
色素レーザ60において、励起用光源61からポンプ光67を発光すると、このポンプ光67はレンズ66により色素セル62に集光され、色素セル62のレーザ媒質中の前記化合物(1)を励起し、発光させる。この発光された光は、色素セル62の外部に射出され、部分反射鏡65と回折格子63との間で反射及び増幅される。そして、増幅された光は、部分反射鏡65を通過して外部へと射出される。このように、前記化合物(1)は、色素レーザにも応用できる。
本発明に係る色素レーザは、前記化合物(1)を用いていることにより、特に発光効率に優れる。
上述の本発明の一態様に係る発光素子及び波長変換発光素子は、表示装置及び照明装置等への適用に好適である。以下、これらについて説明する。
[第6実施形態]
<表示装置>
本発明の一態様に係る表示装置は、上述の本発明の一態様に係る発光素子又は波長変換発光素子を用いたものであり、例えば、画像信号を発生する画像信号出力部と、この画像信号出力部からの信号に基づいて電流又は電圧を発生する駆動部と、この駆動部からの電流又は電圧により発光する発光部と、を備えて構成される。
前記発光部は、上述の本発明の一態様に係る発光素子、例えば、有機発光素子、色変換発光素子及び光変換発光素子のいずれかにより構成される。以下、発光部が前記有機発光素子である場合の表示装置について説明するが、本発明はこれに限定されない。
図8は、発光部として上述の有機発光素子20と、駆動部と、を備えてなる表示装置の配線構造と駆動回路の接続構成とを例示する概略構成図であり、図9は、本発明の一態様に係る有機発光素子を用いた表示装置に配置されている、1つの画素を構成する回路を例示する画素回路図である。
図8に示すように、本発明の一態様に係る表示装置は、有機発光素子20の基板1に対して、平面視でマトリクス状に走査線101と信号線102とが配線され、各走査線101は基板1の一側縁部に設けられた走査回路103に接続され、各信号線102は基板1の他側縁部に設けられた映像信号駆動回路104に接続されている。より具体的には、走査線101と信号線102との交差部分のそれぞれに、図2に示す有機発光素子20の薄膜トランジスタ等の駆動素子(TFT回路2)が組み込まれ、各駆動素子毎に画素電極が接続され、これらの画素電極が図2に示す構造の有機発光素子20の反射電極11に対応し、これらの反射電極11が第1電極12に対応している。
走査回路103及び映像信号駆動回路104は、制御線106、107、108を介してコントローラ105に電気的に接続され、コントローラ105は中央演算装置(CPU)109により作動制御されている。また、走査回路103及び映像信号駆動回路104には、別途、電源配線110、111を介して有機EL電源回路112が接続されている。画像信号出力部はCPU109及びコントローラ105より構成されている。
有機発光素子20の有機EL素子10(有機EL発光部)を駆動させる駆動部は、走査回路103、映像信号駆動回路104及び有機EL電源回路112より構成されており、走査線101及び信号線102により区画された各領域内に、図2に示す有機発光素子20のTFT回路2が組み込まれている。
図9は、走査線101及び信号線102により区画された各領域内に配置されている、有機発光素子20の1つの画素を構成する画素回路図である。図9に示す画素回路においては、走査線101に走査信号が印加されると、この信号は薄膜トランジスタから成るスイッチングTFT124のゲート電極に印加されて、スイッチングTFT124をオンにする。次いで、信号線102に画素信号が印加されると、この信号はスイッチングTFT124のソース電極に印加され、オンであるスイッチングTFT124を経てそのドレイン電極に接続された保持容量125を充電する。保持容量125は、駆動用TFT126のソース電極とゲート電極との間に接続されている。従って、駆動用TFT126のゲート電圧は、スイッチングTFT124が次に走査選択されるまで、保持容量125の電圧により決まる値に保持される。電源線123は有機EL電源回路112(図8)に接続されており、これから供給される電流は、駆動用TFT126を経て有機発光素子(有機EL素子)127に流れて、この素子127を連続発光させる。
このような構成の画像信号出力部及び駆動部を備えることにより、所望の画素の第1電極12及び第2電極16間に挟持された有機EL層(有機層)17に電圧を印加することで、当該画素に該当する有機発光素子20を発光させて、対応する画素から可視領域光を射出させることができ、所望の色や画像を表示できる。
ここでは、発光部として前記有機発光素子20を備えた場合について説明したが、上述のように本発明の一態様においては、本発明に係る発光素子及び波長変換発光素子であれば、いずれも発光部として好適に用いることができる。そして、前記化合物(1)を用いていることにより、本発明に係る表示装置は、発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を射出可能となり、高品質な画像表示が可能となる。
[第7実施形態]
<照明装置>
本発明の一態様に係る照明装置は、上述の本発明に係る発光素子又は波長変換発光素子を用いたものである。
図10は、本発明の一態様に係る照明装置を示す概略斜視図である。
図10に示す照明装置70は、電流又は電圧を発生する駆動部71と、この駆動部71からの電流又は電圧により発光する発光部72と、を備えて概略構成されている。
発光部72は、上述の本発明に係る発光素子又は波長変換発光素子、例えば、有機発光素子、色変換発光素子及び光変換発光素子のいずれかにより構成される。以下、発光部が有機発光素子10である場合の照明装置について説明するが、本発明はこれに限定されない。
図10に示す照明装置70は、駆動部71によって、第1電極12及び第2電極16間に挟持された有機EL層(有機層)17に電圧を印加することにより、当該画素に該当する有機発光素子10を発光させて、光を射出させることができる。
なお、表示装置70の発光部72として本発明に係る有機発光素子を用いる場合、この有機発光素子の有機発光層には、前記化合物(1)に加えて、公知の有機EL発光材料が含まれていてもよい。
ここで、発光部として前記有機発光素子10を備えた場合について説明したが、上述のように本発明においては、本発明に係る発光素子及び波長変換発光素子であれば、いずれも発光部として好適に用いることができる。
図11は、本発明の一態様に係る照明装置を示す概略斜視図である。ここに示す照明装置は、シーリングライトである。
図11に示すシーリングライト250は、発光部251、吊下線252、及び電源コード253等を備えて、概略構成されている。そして、発光部251として、本発明に係る発光素子及び波長変換発光素子であれば、いずれも好適に用いることができる。
図12は、本発明の一態様に係る照明装置を示す概略斜視図である。ここに示す照明装置は、照明スタンドである。
図12に示す照明スタンド260は、発光部261、スタンド262、メインスイッチ263、及び電源コード264等を備えて、概略構成されている。そして、発光部261として、本発明に係る発光素子及び波長変換発光素子であれば、いずれも好適に用いることができる。
上述の本発明の一態様に係る照明装置は、いずれも前記化合物(1)を用いていることにより、発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を射出可能となる。また、発光効率に優れたものとなる。
上述の本発明の一態様に係る表示装置は、各種電子機器への適用に好適である。以下、このような電子機器について説明する。
[第8実施形態]
<電子機器>
本発明の一態様に係る電子機器は、上述の本発明に係る表示装置を用いたものである。
図13は、本発明の一態様に係る電子機器を示す概略正面図である。ここに示す電子機器は、携帯電話である。
図13に示す携帯電話210は、音声入力部211、音声出力部212、アンテナ213、操作スイッチ214、表示部215及び筐体216等を備えて、概略構成されている。そして、表示部215として、上述の本発明に係る表示装置を備える。
図14は、本発明の一態様に係る電子機器を示す概略正面図である。ここに示す電子機器は、薄型テレビである。
図14に示す薄型テレビ220は、表示部221、スピーカ222、キャビネット223及びスタンド224等を備えて、概略構成されている。そして、表示部221として、上述の本発明に係る表示装置を備える。
図15は、本発明の一態様に係る電子機器を示す概略正面図である。ここに示す電子機器は、携帯型ゲーム機である。
図15に示す携帯型ゲーム機230は、操作ボタン231及び232、外部接続端子233、表示部234並びに筐体235等を備えて、概略構成されている。そして、表示部234として、上述の本発明に係る表示装置を備える。
図16は、本発明の一態様に係る電子機器を示す概略斜視図である。ここに示す電子機器は、ノートパソコンである。
図16に示すノートパソコン240は、表示部241、キーボード242、タッチパッド243、メインスイッチ244、カメラ245、記録媒体スロット246及び筐体247等を備えて、概略構成されている。そして、表示部241として、上述の本発明に係る表示装置を備える。
上述の本発明の一態様に係る電子機器は、いずれも前記化合物(1)を用いていることにより、発光波長が短波長化され、色純度が向上した青色光を射出可能となり、高品質な画像表示が可能となる。また、特に優れた発光効率で映像を表示できる。
以上、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内において、設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述の実施形態で説明した表示装置には、光取り出し側に偏光板が設けられていてもよい。偏光板としては、例えば、公知の直線偏光板とλ/4板とを組み合わせたものを用いることができる。ここで、偏光板が設けられていることにより、表示装置の電極からの外光反射や、基板又は封止基板の表面での外光反射を防止でき、表示装置のコントラストを向上させることができる。
また、その他、蛍光体基板、表示装置、照明装置の各構成要素の形状、数、配置、材料、形成方法等に関する具体的な記載は、上記実施形態に限ることなく、適宜、変更可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(化合物(101)の合成)
以下の手順に従い、下記式(101)で表される化合物(以下、「化合物(101)」と略記する)を製造した。
Figure 2018043954
まず、200mL三ツ口フラスコに,2−メチルピリジン(Mw=93.13、3.72g、40.0mmol)と乾燥THF(20mL)を加え、クーリングバス中,ドライアイス−アセトンにて−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウム(25mL、40.0mmol,1.6Mヘキサン溶液)を15分かけて滴下した。
反応混合物を−78℃で45分間撹拌した後、−20℃まで加温し、2,6−ジフルオロピリジン(Mw=115.08、0.57g、5.0mmol)を15分掛け滴下した。その後、反応混合物を3時間加熱還流した。
一晩室温で攪拌した後、水(12mL)を添加した。分液後、水層を3回ジクロロメタン(12mL)で抽出した。有機層をまとめ、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去して黒色の残留物を0.5ミリバール,190℃で減圧蒸留することで、目的物である2,6−ビス(2−ピリジルメチル)ピリジン(化合物(101))を得た(Mw=261.32、4.8mmol、収率98%)。収量は1.26gであった。
Compound:pale yellow solid
H−NMR(500.1MHz、CDCl):δ4.34(s,4H),7.05(d,2H),7.10(ddd,2H),7.23(dm,2H),7.49(t,1H),7.56(dt,2H),8.53(ddd,2H)ppm
MS(DART):m/z(%)262
(化合物(102)の合成)
以下の手順に従い、下記式(102)で表される化合物(以下、「化合物(102)」と略記する)を製造した。
Figure 2018043954
50mL二口フラスコに,化合物(101)(1.3g、3.3mmol)、塩化イリジウム3水和物(Mw=352.62、0.96g、2.75mmol)を入れ、2−エトキシエタノール(20mL)と水(6mL)に溶解させた後、外温120℃で一晩加熱撹拌した。
反応終了後、析出物を吸引濾過した。濾過物をクロロホルムに溶かし、ヘキサンで再沈殿し、析出物を再度吸引濾過した。減圧乾燥させることにより、化合物(102)を得た(Mw=559.9、0.61g、1.1mmol、収率40%)。
(化合物(103)の合成)
以下の手順に従い、下記式(103)で表される化合物(以下、「化合物(103)」と略記する)を製造した。
Figure 2018043954
窒素雰囲気下、100mLナスフラスコに、化合物(102)(Mw=559.9、0.559g、1.0mmol)、2−エトキシエタノール(100ml)、シアン化カリウム(0.38g、5.8mmol)を加えた。この容器をマイクロウェーブ反応装置に設置し、マイクロ波照射下で20分間加熱攪拌した。放冷後、この溶液を水(600mL)に加え、1時間攪拌した。
その後、析出物を濾取し、クロロホルムで溶解させたのち、ヘキサンで再沈殿した。濾取後,減圧乾燥し,黄色粉末の化合物(103)を得た(Mw=531.6、0.159g、0.30mmol、収率30%)。
(物性評価)
得られた化合物(103)について、光学特性を測定した。
溶液サンプルは、窒素ガスが充填されたグローブボックス(酸素濃度約1ppm、水分濃度約0.1ppm)の中で、得られた化合物(103)を1.5mg秤量し、石英セルに入れた。そこに、窒素吹込みにより脱気した2−メチルテトラヒドロフランを加え、1×10−5mol/Lの溶液を調整した。セプタムキャップで封をした状態で、グローブボックス外部に持ち出して光学測定を行った。
島津製作所社製「UV−2450」を用い、室温にて液体の発光波長を測定したところ,λmax=410nmを示した。
以上の結果から、本発明が有用であることが分かった。
1…基板、2…TFT回路、2a,2b…配線、3…層間絶縁膜、4…平坦化膜、5…無機封止膜、6…封止材、7…隔壁、7’…ブラックマトリックス、8R…赤色カラーフィルタ、8G…緑色カラーフィルタ、8B…青色カラーフィルタ、9…封止基板、10,20…有機発光素子(有機EL素子、光源)、11…反射電極、12…第1電極(反射性電極)、13…正孔輸送層、14…有機発光層、15…電子輸送層、16…第2電極(反射性電極)、17…有機EL層(有機層)、18R…赤色蛍光体層、18G…緑色蛍光体層、19…エッジカバー、30…色変換発光素子、31…散乱層、40…光変換発光素子、50…有機レーザダイオード発光素子、60…色素レーザ、70…照明装置、210…携帯電話(電子機器)、220…薄型テレビ(電子機器)、230…携帯型ゲーム機(電子機器)、240…ノートパソコン(電子機器)250…シーリングライト(照明装置)、260…照明スタンド(照明装置)

Claims (12)

  1. 三座配位子を有し、下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2018043954
    (式中、Mは、長周期型周期表において第8族〜第11族に属する遷移金属元素である。
    Aは、前記三座配位子に含まれMに配位結合する配位原子である。
    ,R,R,R,R,およびRは、それぞれ水素原子以外の基である。RとR、RとR、RとRは、互いに結合して環を形成していてもよい。形成される環は置換基を有していてもよい。
    は、Rと結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基である。
    は、Rと結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基、またはRと結合する炭素原子とAとの間のπ結合と共役しない二価の基である。
    Lは、Mに配位可能な単座、二座または三座の配位子である。
    Qは、Mを中心金属とする錯体の電荷に応じて付される対イオンである。
    xは1または2である。xが2の場合、前記三座配位子は同一でもよく異なっていてもよい。
    yはMの種類およびxに応じて決定される整数である。yが2以上の整数である場合、複数のLは同一でもよく異なっていてもよい。
    zは三座配位子、MおよびLの種類に応じて決定される整数である。)
  2. 下記一般式(2)で表される請求項1に記載の化合物。
    Figure 2018043954
    (式中、T、T、Tは、それぞれ環内にAを含む複素環である。T、T、Tは置換基を有していてもよい)
  3. 下記一般式(3)で表される請求項2に記載の化合物。
    Figure 2018043954
    (式中、R,R,およびRは、それぞれ水素原子以外の基である。l、m、nは、それぞれ0〜4の整数である。
    およびEは、置換基を有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよいエチレン基、−N(R)−基、酸素原子または硫黄原子である。Rは水素原子または置換基である)
  4. およびEはメチレン基である請求項3に記載の化合物。
  5. Mはイリジウムである請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物からなる発光材料。
  7. 請求項6に記載の発光材料を用いた波長変換基板。
  8. 請求項6に記載の発光材料を用いた発光素子。
  9. 請求項6に記載の発光材料を用いた色素レーザ。
  10. 請求項8に記載の発光素子を用いた表示装置。
  11. 請求項10に記載の表示装置を用いた電子機器。
  12. 請求項8に記載の発光素子を用いた照明装置。
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