JP2016037489A - 化合物、発光材料、波長変換基板、発光素子、波長変換発光素子、色素レーザ、表示装置、照明装置及び電子機器 - Google Patents

化合物、発光材料、波長変換基板、発光素子、波長変換発光素子、色素レーザ、表示装置、照明装置及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】発光効率が高く、色純度が高い新規の青色発光材料、及び前記発光材料を用いた発光素子の提供。【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物;前記化合物からなる発光材料;前記発光材料を用いた波長変換基板;前記発光材料を用いた発光素子又は波長変換発光素子;前記発光材料を用いた色素レーザ;前記発光素子若しくは波長変換発光素子を用いた表示装置又は照明装置;前記表示装置を用いた電子機器。[化1]【選択図】なし

Description

本発明は、新規の化合物、前記化合物を用いた発光材料、前記発光材料を用いた波長変換基板、発光素子、波長変換発光素子及び色素レーザ、前記発光素子又は波長変換発光素子を用いた表示装置及び照明装置、並びに前記表示装置を用いた電子機器に関する。
有機EL素子等の発光素子では、青色画素を高効率で発光させることが難しく、消費電力を低減できないことが課題となっている。これは、赤色画素及び緑色画素では、発光材料として内部量子収率が最大で100%となる燐光材料が開発されているが、青色画素では、内部量子収率が最大でも25%程度の蛍光材料が主に使用されているためである。
青色光は赤色光及び緑色光よりも高エネルギーであり、その発光をT1(励起三重項)準位から得ようとすると、赤色光及び緑色光よりも幅広いバンドギャップが必要となる。これに対して、従来の蛍光材料(青色発光材料)では、バンドギャップが狭いために、高効率で青色光を発光させることができない。
一方で、青色燐光材料としては、含窒素複素環骨格とベンゼン環骨格とが結合した構造の配位子を有するイリジウム錯体化合物が開示されている(特許文献1及び非特許文献1参照)。
特開2013−010752号公報
Inorganic Chemistry,Vol.44,No.13,2005,4445−4447
しかし、特許文献1及び非特許文献1で開示されている化合物は、発光効率は比較的高いものの、所望の波長の(発光波長が十分に短い)青色光が得られず、色純度が低いという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、発光効率が高く、色純度が高い新規の青色発光材料、及び前記発光材料を用いた発光素子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を提供する。
Figure 2016037489
(式中、Mは周期表第8族〜第12族の遷移金属原子であり;Lは前記Mに配位する単座、2座、3座又は4座の配位子であり;Rは水素原子又は水素原子以外の基であり;Aは下記一般式(a1)、(a2)、(a3)又は(a4)で表される基であり;Xは単結合又は二価の基であり;qは1又は2であり;nは1以上の整数であり、mは0以上の整数であり、ただし、n+mはMの種類によって決定され;nが2以上である場合、又はqが2である場合、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の基であるRが複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく;nが2以上である場合、複数個のX及びAは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく;mが2以上である場合、複数個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2016037489
(式中、Rは水素原子又は水素原子以外の基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく、前記水素原子以外の基が複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子以外の基である1個以上のRは、水素原子以外の基である1個以上の前記Rと互いに結合して環を形成していてもよく;符号*1を付した結合は前記Mに対して形成され、符号*2を付した結合は前記Xに対して形成されている。)
本発明の化合物は、下記一般式(1)−1で表されるものが好ましい。
Figure 2016037489
(式中、M、L、X、q、n及びmは前記と同じであり;R11は水素原子、アルキル基又はアリール基であり;R21、R22及びR23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基であり;nが2以上である場合、又はqが2である場合、複数個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の基であるR11が複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく;nが2以上である場合、複数個のX、R21、R22及びR23は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の基であるR21、R22又はR23が複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子以外の基であるR21、R22及びR23のいずれか二種以上は、互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子以外の基である1個以上のR21、R22又はR23は、水素原子以外の基である1個以上の前記R11と互いに結合して環を形成していてもよい。)
本発明の化合物は、前記R11が水素原子又はアルキル基であり、前記R21、R22及びR23がそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基であるものが好ましい。
本発明の化合物は、前記Mがイリジウム原子又は白金原子であるものが好ましい。
本発明の化合物は、前記Xが単結合であるものが好ましい。
また、本発明は前記化合物からなる発光材料を提供する。
また、本発明は前記発光材料を用いた波長変換基板を提供する。
また、本発明は前記発光材料を用いた発光素子又は波長変換発光素子を提供する。
また、本発明は前記発光材料を用いた色素レーザを提供する。
また、本発明は前記発光素子若しくは波長変換発光素子を用いた表示装置又は照明装置を提供する。
また、本発明は前記表示装置を用いた電子機器を提供する。
本発明によれば、発光効率が高く、色純度が高い新規の青色発光材料、及び前記発光材料を用いた発光素子が提供される。
本発明に係る有機発光素子の第1実施形態を示す概略構成図である。 本発明に係る有機発光素子の第2実施形態を示す概略断面図である。 本発明に係る色変換発光素子の一実施形態を例示する概略断面図である。 図3に示す色変換発光素子の上面図である。 本発明に係る光変換発光素子の一実施形態を例示する概略模式図である。 本発明に係る有機レーザダイオード発光素子の一実施形態を例示する概略模式図である。 本発明に係る色素レーザの一実施形態を例示する概略模式図である。 本発明に係る表示装置の配線構造と駆動回路の接続構成とを例示する概略構成図である。 本発明に係る有機発光素子を用いた表示装置に配置されている、1つの画素を構成する回路を例示する画素回路図である。 本発明に係る照明装置の第1実施形態を示す概略斜視図である。 本発明に係る照明装置の第2実施形態を示す概略斜視図である。 本発明に係る照明装置の第3実施形態を示す概略斜視図である。 本発明に係る電子機器の第1実施形態を示す概略正面図である。 本発明に係る電子機器の第2実施形態を示す概略正面図である。 本発明に係る電子機器の第3実施形態を示す概略正面図である。 本発明に係る電子機器の第4実施形態を示す概略斜視図である。
<化合物>
本発明に係る化合物は、下記一般式(1)で表される(以下、「化合物(1)」と略記することがある)ものであり、新規の金属錯体化合物である。化合物(1)は、通常、燐光性化合物であり、発光波長が十分に短く、青色光として適した発光波長を示すために色純度が高く、かつ発光効率が高い。
Figure 2016037489
(式中、Mは周期表第8族〜第12族の遷移金属原子であり;Lは前記Mに配位する単座、2座、3座又は4座の配位子であり;Rは水素原子又は水素原子以外の基であり;Aは下記一般式(a1)、(a2)、(a3)又は(a4)で表される基であり;Xは単結合又は二価の基であり;qは1又は2であり;nは1以上の整数であり、mは0以上の整数であり、ただし、n+mはMの種類によって決定され;nが2以上である場合、又はqが2である場合、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の基であるRが複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく;nが2以上である場合、複数個のX及びAは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく;mが2以上である場合、複数個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2016037489
(式中、Rは水素原子又は水素原子以外の基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく、前記水素原子以外の基が複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子以外の基である1個以上のRは、水素原子以外の基である1個以上の前記Rと互いに結合して環を形成していてもよく;符号*1を付した結合は前記Mに対して形成され、符号*2を付した結合は前記Xに対して形成されている。)
式中、Mは周期表第8族〜第12族の遷移金属原子であり、鉄原子(Fe)、ルテニウム原子(Ru)、オスミウム原子(Os)、コバルト原子(Co)、ロジウム原子(Rh)、イリジウム原子(Ir)、ニッケル原子(Ni)、パラジウム原子(Pd)、白金原子(Pt)、銅原子(Cu)、銀原子(Ag)、金原子(Au)、亜鉛原子(Zn)、カドミウム原子(Cd)、水銀原子(Hg)が例示でき、イリジウム原子又は白金原子であることが好ましい。
化合物(1)において、Mの酸化状態はいずれでもよく、特に限定されない。
式中、Rは水素原子又は水素原子以外の基である。
における前記水素原子以外の基としては、炭化水素基、炭化水素オキシ基が例示できる。
前記炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基(アリール基)のいずれでもよく、1個以上の水素原子が芳香族炭化水素基で置換された脂肪族炭化水素基でもよい。
における前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基)及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。
における前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記アルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基が例示できる。
環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示でき、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが例示できる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、Rにおけるアルキル基として例示した上記のものが挙げられる。
における前記不飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜20であることが好ましい。
における前記不飽和脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記アルキル基中の、炭素原子間の1個以上の単結合(C−C)が、不飽和結合である二重結合(C=C)又は三重結合(C≡C)で置換されてなる基が例示できる。
前記不飽和脂肪族炭化水素基において、不飽和結合の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、これら不飽和結合は二重結合のみでもよいし、三重結合のみでもよく、二重結合及び三重結合が混在していてもよい。
前記不飽和脂肪族炭化水素基において、不飽和結合の位置は特に限定されない。
における前記不飽和脂肪族炭化水素基で好ましいものとしては、前記不飽和結合が1個のものに相当する、直鎖状又は分岐鎖状であるアルケニル基及びアルキニル基、並びに環状のものであるシクロアルケニル基及びシクロアルキニル基が例示できる。
における前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜20であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が例示でき、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基や、Rにおける前記アルキル基で置換されたものも例示できる。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6〜20であることが好ましい。
これらのなかでも、前記アリール基は、炭素数が6〜10であるものがより好ましい。
における前記脂肪族炭化水素基で1個以上の水素原子が置換される前記アリール基としては、Rとして例示した前記アリール基と同様のものが挙げられる。
そして、1個以上の水素原子が前記アリール基で置換されている前記脂肪族炭化水素基は、前記アリール基も含めて炭素数が7〜20であることが好ましい。
における前記脂肪族炭化水素基の2個以上の水素原子が前記アリール基で置換されている場合、これら2個以上のアリール基は、すべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
における前記炭化水素オキシ基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基等、Rにおける前記炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基が例示できる。
式中、Aは前記一般式(a1)、(a2)、(a3)又は(a4)で表される基である。
そして、式中、Rは水素原子又は水素原子以外の基であり、前記水素原子以外の基としては、Rにおける前記水素原子以外の基と同様のもの(炭化水素基、炭化水素オキシ基)が例示できる。
複数個(3個以上)のRは互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、Rはすべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
前記一般式(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)中の符号*1を付した結合は、Mに対して形成され、符号*2を付した結合は、後述するXに対して形成されている。
式中、Xは単結合又は二価の基である。
Xにおける前記二価の基は、特に限定されないが、一価の基であるRにおける前記炭化水素基から1個の水素原子を除いてなる二価の炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましく、メチレン基(−CH−)又はエチレン基(−CHCH−)であることが特に好ましい。
Xは単結合であることが好ましい。
式中、LはMに配位する配位子であり、式中では、M及びL間の結合は便宜上、一本の線で示しているが、Lは単座、2座、3座又は4座の配位子である。Lは非イオン性分子及びアニオン(陰イオン)のいずれでもよい。
好ましいLで単座配位子としては、一価のアニオンである、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)等のハロゲンイオン;酢酸イオン(CHCOO)等のカルボン酸イオン(有機酸イオン);チオシアン酸イオン(SCN)等の無機酸イオン等が例示できる。また、非イオン性分子であれば水(HO)が例示できる。
好ましいLで2座配位子としては、下記一般式(lg1)〜(lg5)で表される分子が例示できる。
Figure 2016037489
(式中、R81、R82、R83、R84及びR85は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基であり、複数個のR81、R82、R83、R84及びR85は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の複数個のR81、R82、R83、R84又はR85は、それぞれ互いに結合して環を形成していてもよく;符号*3を付した配位結合は前記Mに対して形成されている。)
式中、R81、R82、R83、R84及びR85は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基である。
81〜R85における前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基としては、Rにおける前記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基及びアリールオキシ基と同様のものが例示できる。
81〜R85における前記ヘテロアリール基としては、Rにおける前記アリール基のうち、芳香環骨格を構成する1個以上の炭素原子が、又は前記炭素原子がこれに結合している水素原子と共に、ヘテロ原子で置換され、且つ芳香族性を有する基、及びRにおける環状の前記不飽和脂肪族炭化水素基において、環骨格を構成する1個以上の炭素原子が、又は前記炭素原子がこれに結合している水素原子と共に、ヘテロ原子で置換され、且つ芳香族性を有する基が例示できる。前記ヘテロ原子で好ましいものとしては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子等が例示できる。芳香環骨格を構成するヘテロ原子の数は、特に限定されないが、1〜2であることが好ましい。そして、芳香環骨格を構成するヘテロ原子の数が2以上である場合、これら複数個のヘテロ原子は、すべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
81〜R85における前記アラルキル基としては、ベンジル基等、Rにおける前記アルキル基の1個の水素原子が、Rにおける前記アリール基で置換されてなる一価の基が例示できる。
81〜R85における水素原子以外の前記基が置換基を有するとは、前記基の1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されているか、又は前記基のうち、環状のアルキル基(シクロアルキル基)の環骨格を形成している1個以上の炭素原子がこれに結合している水素原子と共に、ヘテロ原子に置換されていることを意味する。
前記置換基としては、Rにおける前記アルキル基、アリール基、アルコキシ基及びアリールオキシ基、並びにハロゲン原子が例示できる。そして、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が例示できる。
複数個のR81、R82、R83、R84及びR85は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、R81〜R85はそれぞれ、すべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
水素原子以外の複数個のR81、R82、R83、R84又はR85は、それぞれ互いに結合して、これらが結合している炭素原子と共に、環を形成していてもよい。そして、このときの環は単環状及び多環状のいずれでもよい。
式中、符号*3を付した2個の配位結合は、いずれも前記Mに対して形成されている。
前記一般式(lg1)〜(lg5)で表される分子で好ましいものとしては、下記式(lg1−1)〜(lg5−1)で表されるものが例示できる。
Figure 2016037489
(式中、符号*3を付した配位結合は前記Mに対して形成されている。)
式中、qは1又は2であり、Rの結合位置は特に限定されないが、Mに対して配位結合している窒素原子以外の窒素原子であることが好ましい。
式中、nは1以上の整数であり、mは0以上の整数である。ただし、n+mはMの種類によって決定される。n及びmは、いずれもMの酸化状態及び配位数に依存して決定される。
なお、n+m、すなわちMの配位数Nは、下記式により決定される。
Figure 2016037489
(式中、n及びmは前記と同じであり;NはMの配位数であり;kは1〜mの整数であり;yはk番目のLの配位座数であり;rはk番目のLの個数である。)
式中、n及びmは、前記一般式(1)におけるn及びmと同じである。
kは1〜mの整数である。
はk番目のLの配位座数であり、化合物(1)では単座、2座、3座又は4座である。
はk番目のLの個数である。
NはMの配位数であり、n+mと同じであって、例えば、Mがイリジウム原子である場合には6であり、Mが白金原子である場合には4である。
なお、nに乗じる「2」は、符号nを付した配位子(A及びテトラゾール環骨格を有する配位子)の配位座数に相当する。
が複数個である場合、すなわち、nが2以上である場合又はqが2である場合、これら複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、Rが3個である場合、3個のRは、すべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部(2個)のみ同一であってもよい。
同様に、nが2以上である場合、複数個のXは互いに同一でも異なっていてもよく、複数個のAは互いに同一でも異なっていてもよい。
同様に、mが2以上である場合、複数個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。
水素原子以外の基であるRが複数個である場合、これら複数個の基(R)は互いに結合して、これらの基(R)が結合している窒素原子や窒素原子を有する基と共に、環を形成していてもよく、このときの環は単環状及び多環状のいずれでもよい。
水素原子以外の基であるRが複数個(2個以上)である場合、これら複数個の基は互いに結合して、これら基が結合している炭素原子やその他の基と共に、環を形成していてもよく、このときの環は単環状及び多環状のいずれでもよい。また、水素原子以外の基である1個以上のRは、水素原子以外の基である1個以上のRと互いに結合して、これらが結合している基と共に、環を形成していてもよく、このときの環は単環状及び多環状のいずれでもよい。
が結合しているテトラゾール環骨格は、前記一般式(1)で表すように、共鳴構造をとり得る。化合物(1)中の前記テトラゾール環骨格としては、以下に示すものが例示でき、正に帯電しているものも包含される。
Figure 2016037489
(式中、Rは前記と同じである。)
式中、Rは、一般式(1)中のRと同じである。
化合物(1)は、下記一般式(1)−1で表される(以下、「化合物(1)−1」と略記することがある)ものが好ましい。
Figure 2016037489
(式中、M、L、X、q、n及びmは前記と同じであり;R11は水素原子、アルキル基又はアリール基であり;R21、R22及びR23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基であり;nが2以上である場合、又はqが2である場合、複数個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の基であるR11が複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく;nが2以上である場合、複数個のX、R21、R22及びR23は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の基であるR21、R22又はR23が複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子以外の基であるR21、R22及びR23のいずれか二種以上は、互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子以外の基である1個以上のR21、R22又はR23は、水素原子以外の基である1個以上の前記R11と互いに結合して環を形成していてもよい。)
式中、M、L、X、q、n及びmは、一般式(1)中のM、L、X、q、n及びmと同じである。
式中、R11は水素原子、アルキル基又はアリール基である。
11における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示でき、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
11における前記アリール基としては、Rにおける前記アリール基と同様のものが例示でき、炭素数が6〜20であることが好ましく、6〜15であることがより好ましい。
11は水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
式中、R21、R22及びR23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。
21〜R23における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示でき、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
21〜R23における前記アリール基としては、Rにおける前記アリール基と同様のものが例示でき、炭素数が6〜20であることが好ましく、6〜15であることがより好ましい。
21〜R23における前記アルコキシ基としては、R21〜R23における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が例示できる。
21〜R23における前記アリールオキシ基としては、R21〜R23における前記アリール基が酸素原子に結合してなる一価の基が例示できる。
21、R22及びR23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基であることが好ましい。
11が複数個である場合、すなわち、nが2以上である場合又はqが2である場合、複数個のR11は互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、R11が3個である場合、3個のR11は、すべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部(2個)のみ同一であってもよい。
同様に、nが2以上である場合、複数個のX、R21、R22及びR23は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、nが3である場合、3個のR21は、すべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部(2個)のみ同一であってもよい。X、R22及びR23もそれぞれ同様である。
水素原子以外の基であるR11が複数個である場合、これら複数個の基(水素原子以外の基)は互いに結合して、これら基が結合している基と共に、環を形成していてもよい。そして、このときの環は単環状及び多環状のいずれでもよい。
同様に、水素原子以外の基であるR21、R22又はR23が複数個である場合、これら複数個の基(水素原子以外の基)は互いに結合して、これら基が結合している基と共に、環を形成していてもよい。そして、このときの環は単環状及び多環状のいずれでもよい。例えば、水素原子以外の基であるR21が複数個である場合、これら複数個のR21は互いに結合して、これらR21が結合している基と共に、環を形成していてもよく、ただし、環の形成形態はこれに限定されない。
水素原子以外の基であるR21、R22及びR23のいずれか二種以上は、互いに結合して、これら二種以上のものが結合している基と共に、環を形成していてもよい。そして、このときの環は単環状及び多環状のいずれでもよい。例えば、水素原子以外の基であるR22及びR23が互いに結合して、これらが結合している炭素原子と共に、環を形成していてもよく、ただし、環の形成形態はこれに限定されない。
水素原子以外の基である1個以上のR21、R22又はR23は、水素原子以外の基である1個以上のR11と互いに結合して、これらが結合している基と共に、環を形成していてもよい。そして、このときの環は単環状及び多環状のいずれでもよい。
化合物(1)−1で好ましいものを以下に例示する。
Figure 2016037489
Figure 2016037489
Figure 2016037489
化合物(1)は、例えば、先に挙げた「特開2013−010752号公報(特許文献1)」、「Inorganic Chemistry,Vol.44,No.13,2005,4447(非特許文献1)」に記載のイリジウム錯体化合物と同様の、含窒素複素環骨格と芳香環骨格とが結合した構造の配位子を有する錯体化合物である。しかし、化合物(1)は、含窒素複素環骨格又は芳香環骨格の構造の相違に起因して、これら従来の化合物とは異なり、青色光として適した発光波長を示し(青色光の色純度が高く)、かつ発光効率が高い。
例えば、化合物(1)としては、発光波長が好ましくは350〜500nm、より好ましくは400〜470nmのものが得られる。
また、化合物(1)としては、内部量子収率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上のものが得られる。ここで、「化合物(1)の内部量子収率」とは、下記式により算出されるものであり、化合物(1)の発光効率の指標となるものである。
[化合物(1)の内部量子収率]
=[化合物(1)からその外部へ放射された光子の数]/[化合物(1)が吸収した光子の数]
例えば、「特開2013−010752号公報(特許文献1)」には、下記式(9)−101で表される化合物(以下、「化合物(9)−101」と略記する)は、発光強度が最大となる波長(λmax)が450nmであることが記載されている。また、「J.Kor.Phys.Soc.,50,pp.1722(2007)」には、下記式(9)−201で表される化合物(以下、「化合物(9)−201」と略記する)は、発光強度が最大となる波長(λmax)が475nmであることが記載されている。
一方、これら波長(λmax)は、例えば、汎用の量子化学計算ソフトであるGaussian09(Gaussian社製)を用い、TD−DFT/UB3LYP/LanL2DZ等の条件で算出することができ、実測値との誤差の小さい、高精度な値が得られる。例えば、化合物(9)−201の場合、475nmという実測値に対して453nmという算出値が得られる。そこで、例えば、同様の計算を本発明に係る下記式(1)−114で表される化合物(以下、「化合物(1)−114」と略記する)について行うと、前記波長(λmax)は410nmとなり、化合物(9)−101及び(9)−201よりも格段に短波長となる。
なお、上記のGaussian09を用いて量子化学計算を行うことにより、化合物(1)等の前記内部量子収率を算出することも可能である。
Figure 2016037489
化合物(1)は、特に、Aとしてピリジン環骨格を有することで、他の芳香族複素環骨格や芳香族炭化水素環骨格を有する化合物よりも、発光波長の短波長化が実現され、発光効率を損なうことなく、青色光の色純度が顕著に高くなっている。これは、化合物(1)が、窒素原子の影響により僅かに電子の偏りが存在する前記ピリジン環骨格を有することにより、バンドギャップが十分に幅広くなっていることに起因すると推測される。
一方、従来の化合物では、高エネルギーで発光を得るために、その構造中にフッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されているものが多いが、このような化合物では、たとえ発光の色純度が高くても、発光時に分子内の結合が切れて劣化し易いものが多い。これに対して化合物(1)は、上記のように、フッ素原子等の電子求引性の高い基を有していなくても発光効率が高く、安定である。したがって、化合物(1)は、高い色純度及び効率で青色光が得られ、しかも長寿命の青色発光材料として極めて有用である。
化合物(1)がAとしてピリジン環骨格を有することで、発光効率を損なうことなく、発光波長の短波長化が達成されることを裏付ける実験結果について、以下、説明する。
下記式(9)−202及び(8)−101で表される化合物(以下、それぞれ「化合物(9)−202」、「化合物(8)−101」と略記する)をモデル化合物として、上記のGaussian09を用いた量子化学計算を行うことにより、これら化合物のλmax及び内部量子収率を算出した。
その結果、以下に示すように、ベンゼン環骨格をピリジン環骨格に置き換えることで、顕著にλmaxが小さくなり(発光波長が短波長化し)、さらに内部量子収率が向上した。このように、発光効率を損なうことなく、発光波長の短波長化を達成するためには、ピリジン環骨格の採用が有効であることが示唆された。
Figure 2016037489
さらに、下記式(8)−102〜(8)−105で表される化合物(以下、それぞれ「化合物(8)−102」〜「化合物(8)−105」と略記する)について、上記と同様に量子化学計算を行うことにより、これら化合物のλmax及び内部量子収率を算出して、それぞれの環骨格における置換基の影響について考察した。
その結果、以下に示すように、従来有効と考えられている電子求引性置換基の導入を行っても、化合物(8)−101に対する「発光波長の短波長化」、「内部量子収率の向上」については、化合物(9)−202に対する化合物(8)−101の場合ほどの大きな効果は得られず、効果は限定的であった。このように、化合物の「発光波長の短波長化」、「内部量子収率の向上」は、その化合物の置換基の種類及び位置の選択よりも、その化合物の主たる環骨格の改変の方が大きな効果が得られることが示唆された。
Figure 2016037489
さらに、化合物(8)−101に加え、下記式(8)−201で表される化合物(以下、「化合物(8)−201」と略記する)について、上記と同様に量子化学計算を行うことにより、λmax及び内部量子収率を算出して、ピリジン環骨格の結合位置の影響について考察した。
その結果、以下に示すように、化合物(8)−101の方が化合物(8)−201よりも、「発光波長の短波長化」、「内部量子収率の向上」についての効果が大きく、ピリジン環骨格の結合位置によって、得られる効果の程度に差が生じることが示唆された。
Figure 2016037489
上記の実験結果は、ピリジン環骨格にさらにピリジン環骨格が結合した構造の化合物についてのものであるが、化合物(1)のようにピリジン環骨格にテトラゾール環骨格が結合した化合物についても、テトラゾール環骨格はピリジン環骨格と同様に含窒素芳香族複素環骨格であることから、同様の結果が得られる。
化合物(9)−201と、下記式(9)−301で表される化合物(以下、「化合物(9)−301」と略記する)と、「特開2013−010752号公報(特許文献1)」に記載されている、下記式(8)−301で表される化合物(以下、「化合物(8)−301」と略記する)と、化合物(1)−114について、上記のGaussian09を用いて量子化学計算を行って得られたλmaxの計算値と、λmaxの実測値(文献記載値)とを、以下に示す。ここに示すように、化合物(1)−114は、他の化合物よりも、顕著にλmaxが小さかった(発光波長が短波長であった)。
Figure 2016037489
<化合物の製造方法>
化合物(1)は、例えば、以下に示すように、
・下記一般式(1c)で表される化合物(以下、「化合物(1c)」と略記する)とアジ化ナトリウム等の金属アジ化物又はアジ化水素とを反応させて、下記一般式(1b)で表される化合物(以下、「化合物(1b)」と略記する)を得る工程(以下、「化合物(1b)製造工程」と略記する)、
・化合物(1b)と下記一般式(1ba)で表される化合物(以下、「化合物(1ba)」と略記する)とを反応させて、下記一般式(1a)で表される化合物(以下、「化合物(1a)」と略記する)を得る工程(以下、「化合物(1a)製造工程」と略記する)、及び
・化合物(1a)から化合物(1)を得る工程(以下、「化合物(1)製造工程」と略記する)、
を有する製造方法により製造できる。ただし、化合物(1)の製造方法はこれに限定されない。
Figure 2016037489
(式中、A、M、L、X、q、R、n及びmは前記と同じであり;Gは脱離基であり;pはMの種類で決定される2以上の整数であり、複数個のGは互いに同一でも異なっていてもよい。)
式中、A、M、L、X、q、R、n及びmは、一般式(1)中のA、M、L、X、q、R、n及びmと同じである。
式中、Gは脱離基であり、Mの種類に応じて任意のものが選択できるが、好ましいものとしては塩素原子等のハロゲン原子が例示できる。また、pはMの種類で決定される2以上の整数であり、Mに対するGの結合数に相当する。そして、複数個(2個以上)のGは互いに同一でも異なっていてもよい。
化合物(1b)製造工程では、例えば、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等の溶媒を単独で又は二種以上混合して用い、化合物(1c)に対して金属アジ化物又はアジ化水素を1〜5倍モル量用い、60〜140℃で0.5〜12時間反応させることで、化合物(1c)が得られる。反応は、化合物(1c)に対して、例えば、5〜40質量%等の触媒量のゼオライト共存下で行うことが好ましい。
化合物(1b)製造工程において、反応終了後は、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(1b)を取り出せばよい。すなわち、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は二種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(1b)を取り出せばよい。また、取り出した化合物(1b)は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は二種以上組み合わせて一回以上行うことで、精製してもよい。
化合物(1b)製造工程においては、反応終了後、必要に応じて後処理を行った後、化合物(1b)を取り出すことなく、引き続き化合物(1a)製造工程を行ってもよい。
なお、化合物(1b)製造工程は、テトラゾール環骨格を形成する工程であるが、Rが水素原子以外の基である場合、その基の種類によっては、目的とする化合物(1)に対応した化合物(1b)を直接得ることが困難な場合がある。このような場合には、目的とするRを有する化合物(1b)ではなく、例えば、Rとして水素原子を有する化合物(1b)(以下、「化合物(1b)前駆体」と略記する)を得る工程(以下、「化合物(1b)前駆体製造工程」と略記する)を行い、得られた化合物(1b)前駆体に対して必要な反応(例えば、目的とする化合物(1)のRがアルキル基である場合には、アルキル化反応)を行って、化合物(1b)前駆体を化合物(1b)に変換する工程(以下、「化合物(1b)前駆体変換工程」と略記する)を行うことにより、目的とする化合物(1)に対応した化合物(1b)が得られる。
化合物(1b)前駆体製造工程は、上述の化合物(1b)製造工程と同様に行うことができる。例えば、化合物(1b)前駆体製造工程において、反応終了後は、化合物(1b)製造工程における化合物(1b)の場合と同様の方法で、化合物(1b)前駆体を取り出せばよく、必要に応じて精製してもよく、又は化合物(1b)前駆体を取り出すことなく、引き続き化合物(1b)前駆体変換工程を行ってもよい。
化合物(1b)前駆体変換工程では、例えば、好ましくは、アセトニトリル等の溶媒を単独で又は二種以上混合して用い、化合物(1b)前駆体に対して、例えば、アルキル化剤等の所望の反応を行うための化合物を1〜3倍モル量用い、この化合物の種類に応じて、必要であればさらに反応の促進に必要な化合物(例えば、所望の反応を行うための前記化合物がアルキル化剤である場合には、反応の促進に必要な前記化合物として、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基)を、化合物(1b)前駆体に対して、1〜2倍モル量用い、15〜35℃で1〜24時間反応させることで、化合物(1b)が得られる。
化合物(1b)前駆体変換工程において、反応終了後は、上記と同様に化合物(1b)を取り出せばよく、必要に応じて精製してもよく、又は化合物(1b)を取り出すことなく、引き続き化合物(1a)製造工程を行ってもよい。
化合物(1a)製造工程では、例えば、好ましくは、水、2−エトキシエタノール等の極性溶媒を単独で又は二種以上混合して用い、化合物(1b)に対して化合物(1ba)を0.3〜3倍モル量用い、110〜150℃で0.5〜12時間反応させることで、化合物(1a)が得られる。反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
化合物(1a)製造工程において、反応終了後は、化合物(1b)製造工程における化合物(1b)の場合と同様の方法で、化合物(1a)を取り出せばよく、必要に応じて精製してもよく、又は化合物(1a)を取り出すことなく、引き続き化合物(1)製造工程を行ってもよい。
化合物(1)製造工程では、例えば、好ましくは、水、2−エトキシエタノール等の極性溶媒を単独で又は二種以上混合して用い、化合物(1a)に対して、前記L又はそのイオン等を含む化合物を1〜5倍モル量用い、120〜160℃で0.5〜12時間反応させることで、化合物(1)が得られる。反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
化合物(1)製造工程において、反応終了後は、化合物(1b)製造工程における化合物(1b)の場合と同様の方法で、化合物(1)を取り出せばよく、必要に応じて精製してもよい。
ここで説明した製造方法は、符号nを付した配位子(A及びテトラゾール環骨格を有する配位子)と、配位子Lと、を段階的に配位させて化合物(1)を得ることにより、この化合物(1)から、さらに異なる種類の化合物(1)を容易に製造できるという利点を有する。以下、この点につて具体的に説明する。
化合物(1)は、例えば、以下に示すように、さらに化合物(1b)と反応させることにより、配位子を交換して、異なる種類の化合物(1)(以下、この場合の配位子Lの交換前の化合物(1)を化合物(1)、化合物(1)中の配位子Lを配位子Lとし、配位子L(L)の交換後の化合物(1)を化合物(1II)と記載することがある)とすることが可能である(以下、本工程を「配位子交換工程1」と略記する)。化合物(1II)は、化合物(1)のうち、mが0の化合物に相当する。
また、化合物(1)は、例えば、以下に示すように、配位子Lの交換によって異なる種類の化合物(1)(以下、この場合の配位子Lの交換後の化合物(1)を化合物(1III)、化合物(1III)中の配位子Lを配位子LIIIとする)とすることも可能である(以下、本工程を「配位子交換工程2」と略記する)。
Figure 2016037489
(式中、A、M、X、q及びRは前記と同じであり;L及びLIIIは、それぞれ独立に前記Mに配位する配位子であり;nは1以上の整数であり、mは1以上の整数であり、ただし、n+mはMの種類によって決定され;nIIはMの種類によって決定される2以上の整数であり、;nIIIは1以上の整数であり、mIIIは1以上の整数であり、ただし、nIII+mIIIはMの種類によって決定される。)
配位子交換工程1では、例えば、好ましくは、グリセリン等のアルコールを溶媒として用い、化合物(1)に対して、化合物(1b)を1〜10倍モル量用い、130〜170℃で12〜36時間反応させることで、化合物(1II)が得られる。
配位子交換工程1において、反応終了後は、化合物(Ib)製造工程における化合物(Ib)の場合と同様の方法で、化合物(1II)を取り出せばよく、必要に応じて精製してもよい。
配位子交換工程2では、例えば、好ましくは、メタノール、エタノール等のアルコール;ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル等のニトリル等の溶媒を単独で又は二種以上混合して用い、化合物(1)に対して、前記LIII又はそのイオン等を含む化合物を1〜5倍モル量用い、加熱還流下で12〜36時間反応させることで、化合物(1III)が得られる。反応は、化合物(1)に対して、トリフルオロメタンスルホン酸銀等のルイス酸を添加してから、前記LIII又はそのイオン等を含む化合物を添加して行うことが好ましい。この場合、好ましくは、化合物(1)に対してルイス酸を1〜5倍モル量用い、別途、10〜30℃で12〜24時間反応させてから、化合物(Ib)製造工程における化合物(Ib)の場合と同様の方法で、反応生成物を取り出し、必要に応じて精製し、又は反応生成物を取り出すことなく、次の前記LIII又はそのイオン等を含む化合物との反応を行う。また、本工程での反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
配位子交換工程2において、反応終了後は、化合物(Ib)製造工程における化合物(Ib)の場合と同様の方法で、化合物(1III)を取り出せばよく、必要に応じて精製してもよい。
ここまでは、化合物(1)の製造方法として、上記のように、化合物(1b)及び化合物(1a)を経由して化合物(1)を得る方法について説明したが、例えば、化合物(1b)から直接化合物(1)を得ることも可能である。例えば、化合物(1b)と反応させる原料化合物として、化合物(1ba)だけでなく、化合物(1ba)に該当しない前記L又はそのイオン等を含む化合物を用いることで、化合物(1b)から直接化合物(1)が得られる。また、各原料化合物の使用比率、溶媒の種類、温度、加熱法(例えば、マイクロ波照射による加熱)等の反応条件を種々変更して反応を行うことでも、化合物(1b)から直接化合物(1)が得られる。このように化合物(1)を直接得るときの工程条件は、例えば、上記の化合物(1a)製造工程、化合物(1)製造工程等での条件を参考にして、適宜調節すればよい。
なお、テトラゾール環骨格中の窒素原子として、結合しているRが水素原子であるものや、Rが結合していないものを有する化合物(1)を製造する場合には、化合物(1)製造工程や化合物(1a)製造工程等の錯体化、すなわち、Mへの配位を伴う工程において、本来Mへの配位を目的としない窒素原子がMに配位する副反応が生じ得る。ただし、例えば、上述の精製方法を適宜追加して行うなど、目的物の純度を高める操作を追加することで、目的とする化合物(1)が得られる。
<発光材料>
本発明に係る発光材料は、前記化合物(1)からなるものであり、上述のように、化合物(1)は従来の化合物とは異なり、青色光として適した発光波長を示し(青色光の色純度が高く)、かつ発光効率が高いため、前記発光材料は長寿命の青色発光材料として優れた特性を有する。前記発光材料は、各種発光素子への利用に適したものである。
以下、前記化合物(1)を発光材料として用いた、本発明に係る発光素子、波長変換発光素子、色素レーザ、表示装置、照明装置及び電子機器について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
<発光素子>
[有機発光素子]
前記発光材料を用いた本発明に係る発光素子として、以下、有機発光素子について説明する。
本発明に係る有機発光素子(有機EL素子)は、発光層を含む少なくとも一層の有機層が、一対の電極間に狭持されて構成されている。
図1は、本発明に係る有機発光素子の第1実施形態を示す概略構成図である。図1に示す有機発光素子10は、基板(図示略)上に、第1電極12、有機EL層(有機層)17及び第2電極16がこの順に積層されて構成されている。図1に示す例では、第1電極12及び第2電極16により狭持された有機EL層17は、正孔輸送層13、有機発光層14及び電子輸送層15がこの順に積層されて構成されている。
第1電極12及び第2電極16は、有機発光素子10の陽極又は陰極として対で機能する。つまり、第1電極12を陽極とした場合には、第2電極16は陰極となり、第1電極12を陰極とした場合には、第2電極16は陽極となる。図1及び以下の説明においては、第1電極12が陽極、第2電極16が陰極である場合を例に説明する。なお、第1電極12が陰極、第2電極16が陽極の場合には、後述する有機EL層(有機層)17の積層構成において、正孔注入層及び正孔輸送層を第2電極側16とし、電子注入層及び電子輸送層を第1電極12側とすればよい。
有機EL層(有機層)17は、有機発光層14の単層構造でもよいし、図1に示すような正孔輸送層13、有機発光層14及び電子輸送層15の積層構造の如く多層構造でもよい。有機EL層(有機層)17として、具体的には下記の構成が挙げられるが、本発明はこれらにより限定されない。なお、下記の構成において、正孔注入層及び正孔輸送層13は陽極である第1電極12側に配され、電子注入層及び電子輸送層15は陰極である第2電極16側に配される。
(1)有機発光層14
(2)正孔輸送層13/有機発光層14
(3)有機発光層14/電子輸送層15
(4)正孔注入層/有機発光層14
(5)正孔輸送層13/有機発光層14/電子輸送層15
(6)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/電子輸送層15
(7)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/電子輸送層15/電子注入層
(8)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/正孔防止層/電子輸送層15
(9)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/正孔防止層/電子輸送層15/電子注入層
(10)正孔注入層/正孔輸送層13/電子防止層/有機発光層14/正孔防止層/電子輸送層15/電子注入層
ここで、有機発光層14、正孔注入層、正孔輸送層13、正孔防止層、電子防止層、電子輸送層15及び電子注入層の各層は、単層構造でも多層構造でもよい。
なお、有機EL層17が励起子ブロッキング層を含む場合、励起子ブロッキング層は正孔輸送層13と有機発光層14の間、かつ/又は、有機発光層14と電子輸送層15の間に挿入することが可能である。励起子ブロッキング層は、有機発光層14中で生成された励起子が、正孔輸送層13、電子輸送層15にエネルギー移動して失活することを防止する機能を有し、より効果的に励起子のエネルギーを発光に利用することが可能となるため、効率のよい発光を実現することが可能となる。励起子ブロッキング層は、公知の励起子ブロッキング材料から構成できる。
有機発光層14は、前記化合物(1)のみから構成されていてもよいし、前記化合物(1)をドーパント(発光材料)として、ホスト材料と組み合わせて構成されていてもよく、前記化合物(1)をホスト材料として、発光性のドーパントと組み合わせて構成されていてもよい。また、本発明において、有機発光層14は、任意に正孔輸送材料、電子輸送材料、添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、また、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。有機発光層14は、第1電極12から注入された正孔と第2電極16から注入された電子とを再結合させて、前記化合物(1)又は発光性のドーパントの燐光発光により、光を放出(発光)する。
有機発光層14として、前記化合物(1)を発光性のドーパント(発光材料)とし、従来のホスト材料と組み合わせて用いる場合、ホスト材料としては、公知の有機EL用のホスト材料を用いることができる。このようなホスト材料としては、4,4’−ビス(カルバゾール)ビフェニル、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(CPF)、3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール(mCP)、ポリ(N−オクチル−2,7−カルバゾール−O−9,9−ジオクチル−2,7−フルオレン)(PCF)、1,3,5−トリス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(TCP)、9,9−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−フェニル]フルオレン(FL−2CBP)等のカルバゾール誘導体;4−(ジフェニルフォスフォイル)−N,N-ジフェニルアニリン(HM−A1)等のアニリン誘導体;1,3−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(mDPFB)、1,4−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(pDPFB)等のフルオレン誘導体;1,3,5−トリス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(TDAPB);1,4−ビストリフェニルシリルベンゼン(UGH−2);1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(UGH−3);9−(4−ターシャルブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール(CzSi)等が例示できる。
有機発光層14として、前記化合物(1)をホスト材料とし、従来の発光性のドーパントを組み合わせて用いる場合、発光性ドーパントとしては、公知の有機EL用の発光性のドーパント材料を用いることができる。このような発光性のドーパント材料としては、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(ppy)(acac))、トリス[2−(p−トリル)ピリジン]イリジウム(III)(Ir(mppy))、ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネート イリジウム(III)(FIrPic)、ビス(4’,6’−ジフルオロフェニルポリジナト)テトラキス(1−ピラゾイル)ボレートイリジウム(III)(FIr6)、トリス(1−フェニル−3−メチルベンゾイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’)イリジウム(III)(Ir(Pmb))、ビス(2,4−ビフルオロフェニルピリジナト)(5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾネート)イリジウム(III)(FIrN4)、ビス(2−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリジン)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)(Ir(btp)(acac))、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))、トリス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(piq)(acac))、ビス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(fliq)(acac))、ビス[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(flq)(acac))、トリス(2−フェニルキノリン)イリジウム(III)(Ir(2−phq))、トリス(2−フェニルキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(2−phq)(acac))等のイリジウム錯体;
ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)−ピラゾネート)(ジメチルフェニルフォスフィン)オスミウム(Os(fppz)(PPhMe)、ビス(3−トリフルオロメチル)−5−(4−tert−ブチルピリジル)−1,2,4−トリアゾネート)(ジフェニルメチルフォスフィン)オスミウム(Os(bpftz)(PPhMe))等のオスミウム錯体;
5,10,15,20−テトラフェニルテトラベンゾポリフィリン白金等の白金錯体;
等の燐光発光有機金属錯体等が例示できる。
正孔注入層及び正孔輸送層13は、陽極である第1電極12からの正孔の注入と有機発光層14への輸送(注入)をより効率よく行う目的で、第1電極12と有機発光層14との間に設けられる。電子注入層及び電子輸送層15は、陰極である第2電極16からの電子の注入と有機発光層14への輸送(注入)をより効率よく行う目的で、第2電極16と有機発光層14との間に設けられる。
これら正孔注入層、正孔輸送層13、電子注入層及び電子輸送層15は、それぞれ公知の材料を用いて構成でき、以下に例示する材料のみから構成されていてもよく、任意に添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。
正孔輸送層13を構成する材料としては、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物;無機p型半導体材料;ポルフィリン化合物;N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物;ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料;ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(ポリアニリン−カンファースルホン酸;PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン)誘導体(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)(PNV)等の高分子材料等が例示できる。
陽極である第1電極12からの正孔の注入・輸送をより効率よく行う点で、正孔注入層を構成する材料としては、正孔輸送層13に用いる材料よりも最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位が低い材料を用いることが好ましく、正孔輸送層13を構成する材料としては、正孔注入層に用いる材料よりも正孔の移動度が高い材料を用いることが好ましい。
正孔注入層を構成する材料としては、銅フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体;4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−2−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−3−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−4−イル(3−メチルフェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’、4”−トリス[9,9−ジメチル−2−フルオレニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン等のアミン化合物;酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物等が例示できるが、これらに限定されない。
正孔の注入・輸送性をより向上させるため、前記正孔注入層及び正孔輸送層13にはアクセプターをドープすることが好ましい。アクセプターとしては、有機EL用のアクセプター材料として公知のものを用いることができる。
前記アクセプター材料としては、Au、Pt、W、Ir、POCl、AsF、Cl、Br、I、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の無機材料;TCNQ(7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン)、TCNQF4(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)、TCNE(テトラシアノエチレン)、HCNB(ヘキサシアノブタジエン)、DDQ(ジシクロジシアノベンゾキノン)等のシアノ基を有する化合物;TNF(トリニトロフルオレノン)、DNF(ジニトロフルオレノン)等のニトロ基を有する化合物;フルオラニル、クロラニル、ブロマニル等の有機材料等が例示できる。
これらの中でも、TCNQ、TCNQF4、TCNE、HCNB、DDQ等のシアノ基を有する化合物が、キャリア濃度を効果的に増加させることが可能であるためより好ましい。
電子防止層を構成する材料としては、正孔輸送層13及び正孔注入層を構成する材料として先に例示したものと同じものが挙げられる。
電子輸送層15を構成する材料としては、n型半導体である無機材料;オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、ベンゾジフラン誘導体等の低分子材料;ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)、ポリスチレン誘導体(PSS)等の高分子材料等が例示できる。なお、本明細書において「誘導体」とは、例えば、元の化合物の1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された構造を有する化合物を意味する。
電子注入層を構成する材料としては、特に、フッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF2)等のフッ化物;酸化リチウム(Li2O)等の酸化物等が例示できる。
陰極である第2電極16から電子の注入・輸送をより効率よく行う点で、電子注入層を構成する材料としては、電子輸送層15に用いる材料よりも最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位が高い材料を用いることが好ましく、電子輸送層15を構成する材料としては、電子注入層に用いる材料よりも電子の移動度が高い材料を用いることが好ましい。
電子の注入・輸送性をより向上させるため、前記電子注入層及び電子輸送層15にはドナーをドープすることが好ましい。ドナーとしては、有機EL用のドナー材料として公知のものを用いることができる。
前記ドナー材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Al、Ag、Cu、In等の無機材料;アニリン類;フェニレンジアミン類;N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン等のベンジジン類;トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン等のトリフェニルアミン類;N,N’−ジ−(4−メチル−フェニル)−N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン等のトリフェニルジアミン類の芳香族3級アミンを骨格に有する化合物;フェナントレン、ピレン、ペリレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン等の縮合多環化合物(ただし、縮合多環化合物は置換基を有してもよい);TTF(テトラチアフルバレン)類、ジベンゾフラン、フェノチアジン、カルバゾール等の有機材料等が例示できる。
これらの中でも、キャリア濃度をより効果的に増加させることが可能であることから、芳香族3級アミンを骨格に有する化合物、縮合多環化合物、アルカリ金属がより好ましい。
正孔防止層を構成する材料としては、電子輸送層15及び電子注入層を構成する材料として先に例示したものと同じものが挙げられる。
有機EL層17を構成する有機発光層14、正孔輸送層13、電子輸送層15、正孔注入層、電子注入層、正孔防止層、電子防止層、励起子ブロッキング層等の形成方法としては、上記の材料を溶媒に溶解又は分散させてなる有機EL層形成用組成物を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法や、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセスにより形成する方法;上記の材料を抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセスにより形成する方法;レーザ転写法等により形成する方法等が例示できる。なお、ウエットプロセスにより有機EL層17を形成する場合には、有機EL層形成用組成物は、レベリング剤、粘度調整剤等の、組成物の物性を調整するための添加剤が配合されてなるものでもよい。
有機EL層17を構成する各層の膜厚は、1〜1000nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましい。有機EL層17を構成する各層の膜厚が10nm以上であると、本来必要とされる物性(電荷(電子、正孔)の注入特性、輸送特性、閉じ込め特性)がさらに高精度で得られ、異物による画素欠陥の抑制効果が高くなる。また、有機EL層17を構成する各層の膜厚が200nm以下であると、駆動電圧の上昇による消費電力の上昇を抑制する効果が高くなる。
第1電極12は基板(図示略)上に形成されており、第2電極16は有機EL層(有機層)17上に形成されている。
第1電極12及び第2電極16を形成する電極材料としては公知の電極材料を用いることができる。陽極である第1電極12を形成する材料としては、有機EL層17への正孔の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以上である金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属;インジウム(In)及び錫(Sn)からなる酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)インジウム(In)及び亜鉛(Zn)からなる酸化物(IZO)等が例示できる。また、陰極である第2電極16を形成する電極材料としては、有機EL層17への電子の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以下であるリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属;これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が例示できる。
第1電極12及び第2電極16は、上記の材料を用いてEB(電子ビーム)蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により基板上に形成できるが、形成方法はこれらに限定されない。また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザ剥離法により、形成した電極をパターニングすることもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターニングした電極を形成することもできる。
第1電極12及び第2電極16の膜厚は、50nm以上であることが好ましい。第1電極12及び第2電極16の膜厚が50nm以上であることにより、配線抵抗の上昇に伴う駆動電圧の上昇を抑制する効果が高くなる。
図1に示す有機発光素子10は、前記化合物(1)を用いて構成された有機発光層14を含む有機EL層(有機層)17を備えた構成であるため、第1電極12から注入された正孔と第2電極16から注入された電子とを再結合させて、有機層17(有機発光層14)に発光材料として含まれる前記化合物(1)の燐光発光により、高効率で発光可能である。また、前記化合物(1)をホスト材料として用い、これを従来の燐光ドーパントと組み合わせて有機層17(有機発光層14)に含む有機発光素子10も、従来の燐光材料を用いて高効率で発光可能である。さらに、前記化合物(1)を励起子ブロッキング材料として有機EL層17の励起子ブロッキング層に用いた場合には、励起子のエネルギーを発光層に閉じ込めることができ、より効果的に励起子のエネルギーを発光に利用できるので、効率よく発光可能となる。また、化合物(1)として、フッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されておらず、長寿命のものを用いることにより、有機発光素子10は、長寿命で耐候性に優れるものとなる。
なお、本発明に係る有機発光素子は、発光した光を基板側に放射するボトムエミッションタイプのデバイスで構成されていてもよいし、基板とは反対側に放射するトップエミッションタイプのデバイスで構成されていてもよい。
また、本発明に係る有機発光素子の駆動方式は特に限定されず、アクティブ駆動方式及びパッシブ駆動方式のいずれでもよいが、アクティブ駆動方式であることが好ましい。アクティブ駆動方式を採用することにより、パッシブ駆動方式よりも有機発光素子の発光時間を長くすることができ、所望の輝度を得る駆動電圧を低減し、低消費電力化が可能となる。
図2は、本発明に係る有機発光素子の第2実施形態を示す概略断面図である。図2に示す有機発光素子20は、TFT(薄膜トランジスタ)回路2を備えた基板1上に一対の電極12及び16間に有機EL層(有機層)17が狭持された有機発光素子10(以下、「有機EL素子10」と記載することがある)が形成されており、アクティブ駆動方式で駆動されるトップエミッションタイプの有機発光素子である。なお、図2において、図1に示す有機発光素子10と同一の構成要素には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
図2に示す有機発光素子20は、TFT(薄膜トランジスタ)回路2を備えた基板1と、基板1上に層間絶縁膜3及び平坦化膜4を介して設けられた有機EL素子10と、有機EL素子10を覆う無機封止膜5と、無機封止膜5上に設けられた封止基板9と、基板1と封止基板9との間に充填された封止材6とで概略構成されている。有機EL素子10は、前記第1実施形態と同様に、正孔輸送層13、発光層14及び電子輸送層15が積層された有機EL層(有機層)17が、第1電極12と第2電極16により狭持されており、第1電極12の下面には反射電極11が設けられている。反射電極11及び第1電極12は、層間絶縁膜3及び平坦化膜4を貫通して設けられた配線2bにより、TFT回路2の1つに接続されている。第2電極16は、層間絶縁膜3、平坦化膜4及びエッジカバー19を貫通して設けられた配線2aにより、TFT回路2の1つに接続されている。
基板1上には、TFT回路2及び各種配線(図示略)が形成され、さらに、基板1の上面及びTFT回路2を覆うように、層間絶縁膜3及び平坦化膜4が順次積層されている。
基板1としては、ガラス、石英等からなる無機材料基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等からなるプラスティック基板;アルミナ等からなるセラミックス基板等の絶縁性基板や、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等からなる金属基板;前記基板表面に酸化シリコン(SiO)等の有機絶縁材料等からなる絶縁物をコーティングした基板;Al等からなる金属基板の表面を陽極酸化等の方法で絶縁化処理を施した基板等が例示できるが、これらに限定されない。
TFT回路2は、有機発光素子20を形成する前に、予め基板1上に形成され、スイッチング用及び駆動用として機能する。TFT回路2としては、従来公知のTFT回路2を用いることができる。また、本発明においては、スイッチング用及び駆動用としてTFTの代わりに金属−絶縁体−金属(MIM)ダイオードを用いることもできる。
TFT回路2は、公知のものでよい。TFT回路2の活性層の材料としては、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、多結晶シリコン(ポリシリコン)、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料;酸化亜鉛、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛等の酸化物半導体材料;ポリチオフェン誘導体、チオフエンオリゴマー、ポリ(p−フェリレンビニレン)誘導体、ナフタセン、ペンタセン等の有機半導体材料等が例示できる。また、TFT回路2の構造としては、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型等が例示できる。
TFT回路2のゲート絶縁膜は、公知の材料を用いて形成できる。前記ゲート絶縁膜としては、プラズマ誘起化学気相成長(PECVD)法若しくは減圧化学気相成長(LPCVD)法等により形成されたSiO又はポリシリコン膜を熱酸化して得られたSiO等が例示できる。
また、TFT回路2の信号電極線、走査電極線、共通電極線、第1駆動電極及び第2駆動電極は、例えば、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の公知の材料を用いて形成できる。
層間絶縁膜3は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN、Si)、酸化タンタル(TaO、Ta)等の無機材料;アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等、公知の材料を用いて形成できる。
層間絶縁膜3の形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセスや、スピンコート法等のウエットプロセスが例示でき、必要に応じてフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることもできる。
有機発光素子20においては、有機EL素子10からの発光を封止基板9側から取り出すため、外光が基板1上に形成されたTFT回路2に入射して、TFT特性に変化が生じることを防ぐ目的で、遮光性を兼ね備えた層間絶縁膜3(遮光性絶縁膜)を用いることが好ましい。また、有機発光素子20においては、層間絶縁膜3と遮光性絶縁膜とを組み合わせて用いることもできる。遮光性絶縁膜としては、フタロシアニン、キナクロドン等の顔料又は染料をポリイミド等の高分子樹脂に分散させたものや、カラーレジスト、ブラックマトリクス材料、NiZnFe等の無機絶縁材料等が例示できる。
平坦化膜4は、TFT回路2の表面の凸凹により、有機EL素子10の欠陥(例えば、画素電極の欠損、有機EL層の欠損、対向電極の断線、画素電極と対向電極との短絡、耐圧の低下等)等の発生を防止するために設けられるものである。なお、平坦化膜4は省略することも可能である。
平坦化膜4は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の無機材料や、ポリイミド、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等の公知の材料を用いて形成できるが、材料はこれらに限定されない。
平坦化膜4の形成方法としては、CVD法、真空蒸着法等のドライプロセスや、スピンコート法等のウエットプロセスが例示できるが、これらに限定されない。
平坦化膜4は、単層構造及び多層構造のいずれでもでもよい。
有機発光素子20においては、光源である有機EL素子10の有機発光層14からの発光を、封止基板9側である第2電極16側から取り出すため、第2電極16として半透明電極を用いることが好ましい。前記半透明電極としては、金属からなる半透明電極の単体、金属からなる半透明電極とその他の材料からなる透明電極との組み合わせを用いることができるが、光の反射率及び透過率の観点から、銀又は銀合金からなるものが好ましい。
有機発光素子20において、有機発光層14からの発光を取り出す側とは反対側に位置する第1電極12としては、有機発光層14からの発光の取り出し効率を向上させるために、光の反射率が高い電極(反射電極)を用いることが好ましい。このような電極としては、アルミニウム、銀、金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−ネオジウム合金、アルミニウム−シリコン合金等の光反射性金属電極や、透明電極と前記光反射性金属電極(反射電極)とを組み合わせた電極等が例示できる。なお、図2においては、平坦化膜4上に、反射電極11を介して透明電極である第1電極12を形成した例を示している。
有機発光素子20においては、基板1側(有機発光層14からの発光を取り出す側とは反対側)に位置する第1電極12が、各画素に対応して複数個並列配置されており、隣接する第1電極12の各エッジ部(端部)を覆うように絶縁材料からなるエッジカバー19が設けられている。このエッジカバー19は、第1電極12と第2電極16との間でリークが起こることを防止するものである。エッジカバー19は、絶縁材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成でき、公知のドライ及びウエット法のフォトリソグラフィー法によりパターニングできるが、エッジカバー19の形成方法はこれらに限定されない。
エッジカバー19を構成する絶縁材料としては、SiO、SiON、SiN、SiOC、SiC、HfSiON、ZrO、HfO、LaO等、光透過性を有する公知の材料が例示できる。
エッジカバー19の膜厚は、100〜2000nmであることが好ましい。エッジカバー19の膜厚が100nm以上であることにより、十分な絶縁性を保ち、第1電極12と第2電極16との間でのリークに伴う消費電力の上昇や非発光の発生を効果的に抑制できる。また、エッジカバー19の膜厚が2000nm以下であることにより、成膜プロセスでの生産性の低下や、エッジカバー19における第2電極16の断線を効果的に抑制できる。
反射電極11及び第1電極12は、層間絶縁膜3及び平坦化膜4を貫通して設けられた配線2bにより、TFT回路2の1つに接続されている。また、第2電極16は、層間絶縁膜3、平坦化膜4及びエッジカバー19を貫通して設けられた配線2aによりTFT回路2の1つに接続されている。配線2a及び2bは、導電性材料で構成されていればよく、前記導電性材料は特に限定されないが、Cr、Mo、Ti、Ta、Al、Al合金、Cu、Cu合金等が例示できる。配線2a及び2bは、スパッタ法、CVD法、マスクを用いるフォトリソグラフィー法等の公知の方法で形成できる。
有機発光素子20においては、平坦化膜4上に形成された有機EL素子10の上面及び側面を覆うように、SiO、SiON、SiN等からなる無機封止膜5が設けられている。無機封止膜5は、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタ法等により、SiO、SiON、SiN等の無機膜を成膜することにより形成できる。なお、無機封止膜5は、光を取り出すために光透過性を有することが必要である。
無機封止膜5上には、封止基板9が設けられており、基板1と封止基板9との間に形成された有機発光素子10は、封止材6に囲まれた封止領域に封入されている。無機封止膜5及び封止材6を設けることにより、外部から有機EL層17内への酸素、水分等の混入が防止され、有機発光素子20を長寿命化させることができる。
封止基板9としては、基板1と同様のものを用いることができるが、封止基板9側より発光を取り出す(観察者は封止基板9の外側より発光による表示を観察する)ため、光透過性を有することが必要である。また、封止基板9には、色純度を高めるために、カラーフィルタが設けられていてもよい。
封止材6は、公知の封止材料を用い、公知の方法で形成できる。
封止材6としては、樹脂(硬化性樹脂)からなるものが例示できる。この場合には、例えば、有機EL素子10及び無機封止膜5が形成された基板1の無機封止膜5の上面及び/又は側面、あるいは封止基板9上に、硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物)をスピンコート法、ラミネート法等により塗工し、基板1と封止基板9とをこの塗工層を介して貼り合わせて、硬化性樹脂組成物を光硬化又は熱硬化させることにより、封止材6を形成できる。なお、封止材6は光透過性を有することが必要である。
また、封止材6として窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを用いてもよく、この場合、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスをガラス等の封止基板9で封止する方法が挙げられる。
さらにこの場合には、水分による有機EL部の劣化を効果的に抑制するために、不活性ガスと共に酸化バリウム等の吸湿剤を封入することが好ましい。
有機発光素子20は、上記の有機発光素子10と同様に、前記化合物(1)を用いて構成された有機発光層14を含む有機EL層(有機層)17を備えた構成であるため、第1電極12から注入された正孔と第2電極16から注入された電子とを再結合させて、有機層17(有機発光層14)に発光材料として含まれる前記化合物(1)の燐光発光により、高効率で発光可能である。また、前記化合物(1)をホスト材料として用い、これを従来の燐光ドーパントと組み合わせて有機層17(有機発光層14)に含む有機発光素子10も、従来の燐光材料を用いて高効率で発光可能である。さらに、前記化合物(1)を励起子ブロッキング材料として有機EL層17の励起子ブロッキング層に用いた場合には、励起子のエネルギーを発光層に閉じ込めることができ、より効果的に励起子のエネルギーを発光に利用できるので、効率よく発光可能となる。また、化合物(1)として、フッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されておらず、長寿命のものを用いることにより、有機発光素子20は、長寿命で耐候性に優れるものとなる。
<波長変換発光素子、波長変換基板>
本発明に係る波長変換発光素子は、例えば、発光素子と、この発光素子の光を取り出す面側に配され、前記発光素子からの発光を吸収して、吸収光とは異なる波長で発光を行う蛍光体層(発光体層)と、を備えて構成される。かかる波長変換発光素子は、前記蛍光体層(発光体層)を基板上に備えてなる波長変換基板を含んで構成され、例えば、色変換発光素子、光変換発光素子として用いることが可能である。以下、これら素子について説明する。
[色変換発光素子]
図3は、本発明に係る色変換発光素子の一実施形態を例示する概略断面図であり、図4は図3に示す色変換発光素子の上面図である。
図3に示す色変換発光素子30は、上記の有機発光素子10からの青色発光を吸収して、赤色に変換する赤色蛍光体層18Rと、前記青色発光を吸収して緑色に変換する緑色蛍光体層18Gとを備えている。以下、これら赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gをまとめて「蛍光体層」と記載することがある。
図3に示す色変換発光素子30において、図1及び2に示す有機発光素子10及び20と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図3に示す色変換発光素子30は、TFT(薄膜トランジスタ)回路2を備えた基板1と、基板1上に層間絶縁膜3及び平坦化膜4を介して設けられた有機発光素子(光源)10と、封止基板9と、封止基板9の一方の面上に隔壁7に仕切られて並列配置された赤色カラーフィルタ8R、緑色カラーフィルタ8G及び青色カラーフィルタ8Bと、封止基板9の一方の面上の赤色カラーフィルタ8R上に位置を合わせて形成された赤色蛍光体層18Rと、封止基板9上の一方の面上の緑色カラーフィルタ8G上に位置を合わせて形成された緑色蛍光体層18Gと、封止基板9上の青色カラーフィルタ8B上に位置を合わせて形成された散乱層31と、を備えて概略構成されており、基板1と封止基板9とは、有機発光素子10と各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31とが封止材を介して対向するように配置されている。各蛍光体層18R、18G及び散乱層31は、隔壁7により仕切られている。
有機発光素子10は、無機封止膜5に覆われている。有機発光素子10は、正孔輸送層13、発光層14及び電子輸送層15が積層された有機EL層(有機層)17が、第1電極12と第2電極16により狭持されており、第1電極12の下面には反射電極11が設けられている。反射電極11及び第1電極12は、層間絶縁膜3及び平坦化膜4を貫通して設けられた配線2bにより、TFT回路2の1つに接続されている。第2電極16は、層間絶縁膜3、平坦化膜4及びエッジカバー19を貫通して設けられた配線2aにより、TFT回路2の1つに接続されている。
色変換発光素子30は、光源である有機発光素子10から発光された光が、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31へと入射し、この入射光が散乱層31ではそのまま透過し、各蛍光体層18R及び18Gにおいては波長変換されて、結果的に赤色、緑色及び青色の三色の光として封止基板9側(観察者側)へと射出されるようになっている。
色変換発光素子30は、図3においては図面を見やすくするために、赤色蛍光体層18R及び赤色カラーフィルタ8R、緑色蛍光体層18G及び緑色カラーフィルタ8G、並びに散乱層31及び青色カラーフィルタ8Bが1つずつ並置された例を示している。しかし、図4に示すように、破線で囲まれた各カラーフィルタ8R、8G及び8Bは、y軸に沿ってストライプ状に延長され、x軸に沿って各カラーフィルタ8R、8G及び8Bがこの順に配置された、2次元的なストライプ配列とされている。
なお、図4では、各RGB画素(各カラーフィルタ8R、8G及び8B)がストライプ配列された例を示しているが、本発明はこれに限定されず、各RGB画素の配列はモザイク配列、デルタ配列等、公知のRGB画素配列とすることもできる。
赤色蛍光体層18Rは、光源である有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して、赤色領域の光に変換して封止基材9側に赤色領域の光を射出する。
緑色蛍光体層18Gは、光源である有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して、緑色領域の光に変換して封止基材9側に緑色領域の光を放出する。
散乱層31は、光源である有機発光素子10から発光された青色領域の光の視野角特性、取り出し効率を高める目的で設けられるものであり、封止基材9側に青色領域の光を放出する。なお、散乱層31は省略することが可能である。
このように、赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G(および散乱層31)が設けられていることにより、有機発光素子10から放出された光を変換して、赤色、緑色、青色の三色の光を封止基板9側から射出し、フルカラー化することができる。
光取り出し側(観察者側)の封止基板9と、蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31との間に配されたカラーフィルタ8R、8G及び8Bは、色変換発光素子30から出射される赤色、緑色、青色の色純度を高め、色変換発光素子30の色再現範囲を拡大する目的で設けられている。また、赤色蛍光体層18R上に形成された赤色カラーフィルタ8R、及び緑色蛍光体層18G上に形成された緑色カラーフィルタ8Gは、外光の青色成分及び紫外成分を吸収するため、外光による各蛍光体層8R及び8Gの発光を低減又は防止することが可能であり、コントラストの低下を低減又は防止できる。
カラーフィルタ8R、8G及び8Bとしては、特に限定されず、公知のカラーフィルタを用いることできる。また、カラーフィルタ8R、8G及び8Bは、公知の方法で形成でき、その膜厚も適宜調整できる。
散乱層31は、バインダー樹脂に透明粒子が分散されて構成されている。散乱層31の膜厚は10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
散乱層31を構成するバインダー樹脂としては、公知のものを用いることができ、特に限定されないが、光透過性を有するものが好ましい。前記透明粒子としては、有機発光素子10からの光を散乱又は透過させることができるものであれば特に限定されず、平均粒径が25μm、粒度分布の標準偏差が1μmのポリスチレン粒子等が例示できる。また、散乱層31中の透明粒子の含有量は、適宜調節可能であり、特に限定されない。
散乱層31は、公知の方法で形成でき、例えば、バインダー樹脂及び透明粒子を溶媒に溶解又は分散させてなる散乱層形成用組成物を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法や、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセス等により形成できる。
赤色蛍光体層18Rは、有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して励起し、赤色領域の蛍光を発光することのできる蛍光体材料を含んでなる。
緑色蛍光体層18Gは、有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して励起し、緑色領域の蛍光を発光することのできる蛍光体材料を含んでなる。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、以下に例示する蛍光体材料のみから構成されていてもよいし、任意に添加剤等を含んで構成されていてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散して構成されてもよい。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gを形成する蛍光体材料としては、公知のものを用いることができる。このような蛍光体材料は、例えば、有機系蛍光体材料と無機系蛍光体材料とに分類される。これらの蛍光体材料について、具体的な化合物を以下に例示するが、本発明における蛍光体材料は、これらに限定されない。
まず、有機系蛍光体材料について例示する。
赤色蛍光体層18Rを構成する蛍光体材料としては、紫外、青色の励起光を、赤色の発光に変換する蛍光色素である、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素;1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウム−パークロレート等のピリジン系色素;ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、ベーシックバイオレット11、スルホローダミン101等のローダミン系色素等が例示できる。
緑色蛍光体層18Gを構成する蛍光体材料としては、紫外、青色の励起光を、緑色発光に変換する蛍光色素である、2,3,5,6−1H、4H−テトラヒドロ−8−トリフロメチルキノリジン(9,9a、1−gh)クマリン(クマリン153)、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)等のクマリン系色素;ベーシックイエロー51、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド系色素等が例示できる。
次に、無機系蛍光体材料について例示する。
赤色蛍光体層18Rを構成する蛍光体材料としては、紫外、青色の励起光を、緑色の発光に変換する蛍光体である、(BaMg)Al1627:Eu2+、Mn2+、SrAl1425:Eu2+、(SrBa)Al12Si:Eu2+、(BaMg)SiO:Eu2+、YSiO:Ce3+,Tb3+、Sr−Sr:Eu2+、(BaCaMg)(POCl:Eu2+、SrSi−2SrCl:Eu2+、ZrSiO、MgAl1119:Ce3+,Tb3+、BaSiO:Eu2+、SrSiO:Eu2+、(BaSr)SiO:Eu2+等が例示できる。
緑色蛍光体層18Gを構成する蛍光体材料としては、紫外、青色の励起光を、赤色の発光に変換する蛍光体である、YS:Eu3+、YAlO:Eu3+、Ca(SiO:Eu3+、LiY(SiO:Eu3+、YVO:Eu3+、CaS:Eu3+、Gd:Eu3+、GdS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、MgGeO5.5F:Mn4+、MgGeO:Mn4+、KEu2.5(WO6.25、NaEu2.5(WO6.25、KEu2.5(MoO6.25、NaEu2.5(MoO6.25等が例示できる。
色変換発光素子30においては、散乱層31に代えて、光源である有機発光素子10から発光された光のうち、紫外領域の光を吸収して、青色領域の光に変換して封止基材9側に青色領域の光を放出する青色蛍光体層を設けてもよい。
この場合、青色蛍光体層に用いる有機系蛍光体材料としては、紫外の励起光を、青色発光に変換する蛍光色素である、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、トランス−4,4’−ジフェニルスチルベンゼン等のスチルベンゼン系色素;7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン等のクマリン系色素等が例示できる。
また、無機系蛍光体材料としては、紫外の励起光を青色の発光に変換する蛍光体である、Sr:Sn4+、SrAl1425:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+、SrGa:Ce3+、CaGa:Ce3+、(Ba、Sr)(Mg、Mn)Al1017:Eu2+、(Sr、Ca、Ba、Mg)10(POCl:Eu2+、BaAlSiO:Eu2+、Sr:Eu2+、Sr(POCl:Eu2+、(Sr、Ca、Ba)(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、(Ba、Ca)(POCl:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、SrMgSi:Eu2+等が例示できる。
励起光による劣化や発光による劣化等を考慮すると、その安定性のために無機系蛍光体材料を用いることが好ましい。
前記無機系蛍光体材料には、必要に応じて表面改質処理を施すことが好ましく、その方法としては、シランカップリング剤等の化学的処理によるもの、サブミクロンオーダーの微粒子等の添加による物理的処理によるもの、これらの併用によるもの等が例示できる。
前記無機系蛍光体材料は、その平均粒径(d50)が、0.5〜50μmであることが好ましい。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、前記蛍光体材料が高分子材料(結着用樹脂)に分散して構成されているものである場合、前記高分子材料として感光性樹脂を用いることで、フォトリソグラフィー法により、パターニングできる。前記感光性樹脂としては、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、硬ゴム系樹脂等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂(光硬化型レジスト材料)等が例示できる。前記感光性樹脂は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、前記蛍光体材料(顔料)及び樹脂材料を溶媒に溶解又は分散させてなる蛍光体層形成用組成物を用いて、公知のウエットプロセス、ドライプロセス、又はレーザ転写法等により形成することができる。ここで、公知のウエットプロセスとしては、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法や、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等が例示できる。また、公知のドライプロセスとしては、抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等が例示できる。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gの膜厚は、100nm〜100μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましい。赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、膜厚が100nm以上であることで、有機発光素子10から発光する青色光を十分に吸収でき、色変換発光素子30における発光効率が向上し、各蛍光体層18R及び18Gで変換された変換光への青色の透過光の混入が抑制されて、色純度が向上する。また、有機発光素子10から発光する青色光の吸収を高め、色純度の悪影響を及ぼさない程度に青色の透過光を低減するためには、各蛍光体層18R及び18Gの膜厚は1μm以上であることが好ましい。赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、膜厚が100μmを超えても、有機発光素子10から発光する青色光は既に十分吸収されているため、色変換発光素子30における発光効率の上昇には繋がらない。そこで、材料コストを低減できる点から、赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gの膜厚は100μm以下であることが好ましい。
色変換発光素子30においては、有機発光素子10の上面及び側面を覆うように、無機封止膜5が設けられている。さらに、無機封止膜5上には、一方の面上に隔壁7に仕切られて並列配置された赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G及び散乱層31、並びに各カラーフィルタ8R、8G及び8Bが形成された封止基板9が、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31と有機発光素子10とが対向するように配置されており、無機封止膜5と封止基板9との間には封止材6が封入されている。すなわち、有機発光素子10に対向配置された各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31は、それぞれ周囲を隔壁7に囲まれて区画され、かつ、封止材6に囲まれた封止領域に封入されている。
封止材6としては、樹脂(硬化性樹脂)からなるものが例示できる。この場合には、例えば、有機発光素子10及び無機封止膜5が形成された基板1の無機封止膜5上、または、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31と、各カラーフィルタ8R、8G及び8Bとが形成された封止基板9の各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31上に、硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物)をスピンコート法、ラミネート法等により塗工し、基板1と封止基板9とをこの塗工層を介して貼り合わせて、硬化性樹脂組成物を光硬化又は熱硬化させることにより、封止材6を形成できる。
また、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31の封止基板9とは反対側の面は、平坦化膜等(図示略)により平坦化されていることが好ましい。これにより、有機発光素子10と各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31とを、封止材6を介して対向させて密着させる際に、有機発光素子10と各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31との間に空乏が生じることを防止でき、かつ、有機発光素子10が形成された基板1と、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31、並びに各カラーフィルタ8R、8G及び8Bが形成された封止基板9と、の密着性を向上させることができる。
この場合の平坦化膜としては、上述の有機発光素子20における平坦化膜4と同様のものを用いることができる。
隔壁7は公知のものでよく、例えば、赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31に入射して散乱した光を、さらに赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31に反射するように、光散乱性粒子又は光反射性粒子が分散された樹脂で構成されたものや、樹脂で構成され、さらに赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31との接触面(表面)に金属等の光散乱性又は光反射性を有する層(図示略)を備えたものが好ましい。光散乱性又は光反射性を有する層を備える場合、隔壁7は、必ずしも上述のような光散乱性粒子又は光反射性粒子を用いて構成されていなくてもよいが、光散乱性粒子又は光反射性粒子を用いて構成されていることが好ましい。
前記樹脂としては、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド等が例示でき、共重合樹脂であってもよい。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を含む概念とする。
前記光散乱性粒子又は光反射性粒子としては、酸化チタンが例示でき、この酸化チタンは、例えば、ルチル型及びアナターゼ型のいずれでもよい。
前記光散乱性又は光反射性を有する層における金属としては、銀、白金、金、銅、ニッケル、コバルト、アルミニウムが例示でき、銀、白金又は金であることが好ましい。
隔壁7は、フォトリソグラフィー法で形成でき、例えば、これを構成するための硬化性組成物(隔壁形成用組成物)を封止基板9上に塗工し、得られた塗膜に対してフォトマスクを介して光を照射(露光)することにより、塗膜の所望の箇所を硬化させ、次いで、現像液を用いて現像し、パターニングすることで形成できる。硬化性組成物の塗工は、例えば、スピンコート法等の塗布法で行うことができる。
上述の光散乱性又は光反射性を有する層は、隔壁7の形成後、隔壁7の赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31側の面(表面)に、例えば、金属等の膜をパターニングする公知の方法で形成できる。
色変換発光素子30を後述する表示素子へ適用した場合、各画素間のコントラストが向上する点から、隔壁7は、封止基板9との間に黒色隔壁層(以下、「ブラックマトリックス」と略記する)7’を有することが好ましい。
ブラックマトリックス7’は公知のものでよく、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料を含む樹脂で構成された遮光性のものが好ましい。
ブラックマトリックス7’の厚さは0.01〜3μmであることが好ましい。
ブラックマトリックス7’は、フォトリソグラフィー法で形成でき、例えば、これを構成するための硬化性組成物(ブラックマトリックス形成用組成物)を用いる点以外は、隔壁7と同じ方法で形成できる。
ブラックマトリックス7’は、その赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31と対向する面(表面)に、上述の金属等の光散乱性又は光反射性を有する層を備えていてもよい。このような場合、色変換発光素子30は、光の利用効率及び各画素間のコントラストが特に優れたものとなる。この場合の光散乱性又は光反射性を有する層も、上記と同様の方法で形成できる。
有機発光素子10は、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31に多く光が到達するように、トップエミッション構造であることが好ましい。その際、第1電極12と第2電極16を反射性電極とし、これらの電極12及び16間の光学距離Lが、微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)を構成するように調整されていることが好ましい。この場合、第1電極12として反射電極を用い、第2電極16として半透明電極を用いることが好ましい。
前記半透明電極としては、金属からなる半透明電極の単体、金属からなる半透明電極とその他の材料からなる透明電極との組み合わせを用いることができるが、光の反射率及び透過率の観点から、銀又は銀合金からなるものが好ましい。
半透明電極である第2電極16の膜厚は、5〜30nmであることが好ましい。半透明電極の膜厚が5nm以上であることにより、光を十分に反射でき、干渉効果を十分に得られる。また、半透明電極の膜厚が30nm以下であることにより、光の透過率の急激な低下を抑制でき、輝度及び発光効率の低下を抑制できる。
また、反射電極である第1電極12としては、光の反射率が高い電極を用いることが好ましい。このような電極としては、アルミニウム、銀、金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−ネオジウム合金、アルミニウム−シリコン合金等の光反射性金属電極や、透明電極と前記光反射性金属電極とを組み合わせた電極等が例示できる。なお、図3においては、平坦化膜4上に、反射電極11を介して透明電極である第1電極12を形成した例を示している。この場合の反射電極11は、上記の反射電極である第1電極12と同様の材質からなる。
第1電極12及び第2電極16により微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)が構成されると、第1電極12及び第2電極16の干渉効果により、有機EL層17の発光を正面方向(光取り出し方向;封止基板9側)に集光することができる。すなわち、有機EL層17の発光に指向性を持たせることができるため、周囲に逃げる発光ロスを低減でき、発光効率を向上させることができる。これにより、有機発光素子10で生じる発光エネルギーをより効率よく各蛍光体層18R及び18Bへ伝搬させることができ、色変換発光素子30の正面輝度を向上させることができる。
また、前記微小共振器構造によれば、有機EL層17の発光スペクトルも調整でき、所望の発光ピーク波長及び半値幅に調整できる。このため、有機EL層17の発光スペクトルを、蛍光体層18R及び18B中の蛍光体を効果的に励起することが可能なスペクトルに制御できる。
なお、第2電極16として半透明電極を用いることによって、各蛍光体層18R及び18B並びに散乱層31の光取り出し方向とは反対方向に放出される光を再利用することもできる。
各蛍光体層18R及び18Gにおいて、変換光の発光位置から光取り出し面までの光学距離は、発光素子の色毎に異なるように設定される。色変換発光素子30においては、前記「発光位置」が、各蛍光体層18R及び18Gにおいて、有機発光素子10側に対向する面とされる。
ここで、各蛍光体層18R及び18Gにおける変換光の発光位置から光取り出し面までの光学距離は、各蛍光体層18R及び18Gの膜厚により調整される。そして、各蛍光体層18R及び18Gの膜厚は、スクリーン印刷法の印刷条件(スキージ印圧、スキージアタック角度、スキージ速度、若しくはクリアランス巾)、スクリーン版の仕様(スクリーン紗の選定、乳剤の厚み、テンション、若しくは枠の強度)、あるいは蛍光体層形成用組成物の性状又は組成(粘度、流動性、若しくは樹脂、顔料及び溶媒の配合比率)を変えることによって調節できる。
色変換発光素子30は、有機発光素子10から発光する光を微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)により増強し、各蛍光体層18R及び18Bにより変換された光の光取り出し効率を、前記光学距離の調整(各蛍光体層18R及び18Bの膜厚調整)により向上させることができる。これにより、色変換発光素子30の発光効率をより向上させることができる。
色変換発光素子30は、前記化合物(1)を用いた有機発光素子10からの光を蛍光体層18R及び18Bで変換する構成であるため、発光効率に優れる。また、化合物(1)として、フッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されておらず、長寿命のものを用いることにより、色変換発光素子30は、長寿命で耐候性に優れるものとなる。
以上、本発明に係る色変換発光素子について説明したが、本発明に係る色変換発光素子は上述の実施形態に限定されない。例えば、上述の色変換発光素子30において、光取り出し側(封止基板9の上)に偏光板が設けられていてもよい。偏光板としては、例えば、公知の直線偏光板とλ/4板とを組み合わせたものを用いることができる。ここで、偏光板が設けられていることにより、第1電極12及び第2電極16からの外光反射や、基板1又は封止基板9の表面での外光反射を防止でき、色変換発光素子30のコントラストを向上させることができる。
また、上述の色変換発光素子30では、前記化合物(1)を用いてなる有機発光素子10を光源(発光素子)として用いたが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、発光素子として、他の発光材料を用いた有機EL、無機EL、LED(発光ダイオード)等の光源を利用し、この発光素子(光源)からの光を吸収して青色光を放出する発光体層として、前記化合物(1)を含む層を設けることもできる。このとき、光源である発光素子は、青色よりも短波長の光(紫外光)を発光するものであることが好ましい。このような、前記化合物(1)を含む発光体層を基板(封止基板9)上に備えた波長変換基板としては、例えば上述のような、封止基板9上に赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gを備え、散乱層31に代えて前記発光体層を備えたものが例示できる。
また、上述の色変換発光素子30では、赤色、緑色及び青色の三色を発光する例を示したが、本発明に係る色変換発光素子は、色変換発光素子が、蛍光体層を一種のみ備えた単色発光素子でもよいし、赤色、緑色及び青色の発光素子以外に、白色、黄色、マジェンダ及びシアン等の多原色素子を備えたものでもよく、この場合には、各色に対応した蛍光体層を用いてもよい。これにより、低消費電力化を図ったり、色再現範囲を拡大したりすることができる。また、多原色の蛍光体層は、マスク塗り分け法等を採用するよりも、フォトレジストを用いるフォトリソグラフィー法、印刷法、ウエット形成法等を採用することで、容易に形成できる。
[光変換発光素子]
本発明に係る光変換発光素子は、前記化合物(1)を含む発光層を有する少なくとも一層の有機層と、電流を増幅させる層とを、一対の電極間に狭持させてなる。
図5は、本発明に係る光変換発光素子の一実施形態を例示する概略模式図である。図5に示す光変換発光素子40は、光電流増倍効果による光電変換を利用し、得られた電子を、EL発光の原理を用いて再び光に変換するものである。
図5に示す光変換発光素子40は、透明なガラス基板からなる素子基板41の一方の面上に形成されたITO電極等の下部電極42と、この下部電極42上に、有機EL層17と、有機光電材料層43と、Au電極44とがこの順に積層されてなり、下部電極42には駆動電源の+極が接続され、Au電極44には駆動電源の−極が接続されて、概略構成されている。
有機EL層17は、上述の有機発光素子における有機EL層17と同様の構成のものである。
有機光電材料層43は、電流を増幅させる光電効果を示し、例えば、ナフタレンテトラカルボン酸(NTCDA)からなる層1層のみの構成としてもよいし、感度波長域が選択可能な複数層で構成してもよく、この場合、Me−PTC(ペリレン顔料)層とNTCDA層との2層で構成することもできる。
有機光電材料層43の厚さは特に限定されず、例えば、10〜100nmとすることができる。
有機光電材料層43は、真空蒸着法等の公知の手法で形成できる。
光変換発光素子40は、下部電極42及びAu電極44間に所定の電圧を印加し、Au電極44の外側から光を照射することにより、この光の照射によって発生した正孔は、−極であるAu電極44の近傍にトラップされて蓄積される。その結果、有機光電材料層43とAu電極44との界面に電界が集中し、Au電極44からの電子注入が生じて電流の倍増現象が発現する。このように増幅された電流が、有機EL層17での発光に利用されるため、光変換発光素子40は、良好な発光特性を示す。
光変換発光素子40は、前記化合物(1)を含む有機EL層17を備えるため、発光効率に優れる。また、化合物(1)として、フッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されておらず、長寿命のものを用いることにより、光変換発光素子40は、長寿命で耐候性に優れるものとなる。
[有機レーザダイオード発光素子]
本発明に係る発光素子としては、有機レーザダイオード発光素子も挙げることができる。
本発明に係る有機レーザダイオード発光素子は、連続波励起光源と、この連続波励起光源からのレーザ光が照射される共振器構造とを備えて概略構成され、前記共振器構造は、レーザ活性層を有する少なくとも一層の有機層を一対の電極間に狭持してなる。
図6は、本発明に係る有機レーザダイオード発光素子の一実施形態を例示する概略模式図である。
図6に示す有機レーザダイオード発光素子50は、レーザ光を発光する連続波励起光源50aと、ITO基板51上に正孔輸送層52、レーザ活性層53、正孔ブロック層54、電子輸送層55、電子注入層56及び電極57がこの順に積層されてなる共振器構造50bと、を備える。そして、ITO基板51に形成されたITO電極は、駆動電源の+極に接続され、電極57は駆動電源の−極に接続されている。
正孔輸送層52、正孔ブロック層54、電子輸送層55及び電子注入層56は、それぞれ、上述の有機発光素子における正孔輸送層13、正孔防止層、電子輸送層15及び電子注入層と同様の構成のものである。
レーザ活性層53は、上述の有機発光素子における有機発光層14と同様の構成のものであり、従来のホスト材料に前記化合物(1)が発光材料としてドープされてなるもの、又は、従来の発光性のドーパント材料がホスト材料である前記化合物(1)にドープされてなるものが好ましい。なお、図6においては、正孔輸送層52、レーザ活性層53、正孔ブロック層54、電子輸送層55及び電子注入層56が順次積層された有機EL層58を例示しているが、有機レーザダイオード発光素子50における有機EL層はこれに限定されず、上述の有機発光素子における有機発光層14と同様の構成とすることができる。
有機レーザダイオード発光素子50は、陽極であるITO基板51側から連続波励起光源50aよりレーザ光を照射することにより、共振器構造50bの側面側から、レーザ光の励起強度に応じてピーク輝度が増大するASE発振発光(エッジ発光)が可能である。
本発明に係る有機レーザダイオード発光素子は、前記化合物(1)を用いていることにより、特に発光効率に優れる。また、化合物(1)として、フッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されておらず、長寿命のものを用いることにより、本発明に係る有機レーザダイオード発光素子は、長寿命で耐候性に優れるものとなる。
<色素レーザ>
本発明に係る色素レーザは、上述の本発明に係る発光材料を用いたものである。
図7は、本発明に係る色素レーザの一実施形態を例示する概略模式図である。
図7に示す色素レーザ60は、ポンプ光67を発光する励起用光源61と、前記ポンプ光67を色素セル62に集光するレンズ66と、色素セル62を挟んで対向配置された部分反射鏡65及び回折格子63と、回折格子63と色素セル62との間に配置され、回折格子63からの光を集光するビームエキスパンダー64とを備え、概略構成されている。
色素セル62は、石英ガラス等で形成されており、その内部には、前記化合物(1)を含む溶液であるレーザ媒質が充填されている。
色素レーザ60において、励起用光源61からポンプ光67を発光すると、このポンプ光67はレンズ66により色素セル62に集光され、色素セル62のレーザ媒質中の前記化合物(1)を励起し、発光させる。この発光された光は、色素セル62の外部に射出され、部分反射鏡65と回折格子63との間で反射及び増幅される。そして、増幅された光は、部分反射鏡65を通過して外部へと射出される。このように、前記化合物(1)は、色素レーザにも応用できる。
本発明に係る色素レーザは、前記化合物(1)を用いていることにより、特に発光効率に優れる。また、化合物(1)として、フッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されておらず、長寿命のものを用いることにより、本発明に係る色素レーザは、長寿命で耐候性に優れるものとなる。
上述の本発明に係る発光素子及び波長変換発光素子は、表示装置及び照明装置等への適用に好適である。以下、これらについて説明する。
<表示装置>
本発明に係る表示装置は、上述の本発明に係る発光素子又は波長変換発光素子を用いたものであり、例えば、画像信号を発生する画像信号出力部と、この画像信号出力部からの信号に基づいて電流又は電圧を発生する駆動部と、この駆動部からの電流又は電圧により発光する発光部と、を備えて構成される。
前記発光部は、上述の本発明に係る発光素子又は波長変換発光素子、例えば、有機発光素子、色変換発光素子及び光変換発光素子のいずれかにより構成される。以下、発光部が前記有機発光素子である場合の表示装置について説明するが、本発明はこれに限定されない。
図8は、発光部として第2実施形態の有機発光素子20と、駆動部と、を備えてなる表示装置の配線構造と駆動回路の接続構成とを例示する概略構成図であり、図9は、本発明に係る有機発光素子を用いた表示装置に配置されている、1つの画素を構成する回路を例示する画素回路図である。
図8に示すように、本発明に係る表示装置は、有機発光素子20の基板1に対して、平面視でマトリクス状に走査線101と信号線102とが配線され、各走査線101は基板1の一側縁部に設けられた走査回路103に接続され、各信号線102は基板1の他側縁部に設けられた映像信号駆動回路104に接続されている。より具体的には、走査線101と信号線102との交差部分のそれぞれに、図2に示す有機発光素子20の薄膜トランジスタ等の駆動素子(TFT回路2)が組み込まれ、各駆動素子毎に画素電極が接続され、これらの画素電極が図2に示す構造の有機発光素子20の反射電極11に対応し、これらの反射電極11が第1電極12に対応している。
走査回路103及び映像信号駆動回路104は、制御線106、107、108を介してコントローラ105に電気的に接続され、コントローラ105は中央演算装置(CPU)109により作動制御されている。また、走査回路103及び映像信号駆動回路104には、別途、電源配線110、111を介して有機EL電源回路112が接続されている。画像信号出力部はCPU109及びコントローラ105より構成されている。
有機発光素子20の有機EL素子10(有機EL発光部)を駆動させる駆動部は、走査回路103、映像信号駆動回路104及び有機EL電源回路112より構成されており、走査線101及び信号線102により区画された各領域内に、図2に示す有機発光素子20のTFT回路2が組み込まれている。
図9は、走査線101及び信号線102により区画された各領域内に配置されている、有機発光素子20の1つの画素を構成する画素回路図である。図9に示す画素回路においては、走査線101に走査信号が印加されると、この信号は薄膜トランジスタから成るスイッチングTFT124のゲート電極に印加されて、スイッチングTFT124をオンにする。次いで、信号線102に画素信号が印加されると、この信号はスイッチングTFT124のソース電極に印加され、オンであるスイッチングTFT124を経てそのドレイン電極に接続された保持容量125を充電する。保持容量125は、駆動用TFT126のソース電極とゲート電極との間に接続されている。従って、駆動用TFT126のゲート電圧は、スイッチングTFT124が次に走査選択されるまで、保持容量125の電圧により決まる値に保持される。電源線123は有機EL電源回路112(図8)に接続されており、これから供給される電流は、駆動用TFT126を経て有機発光素子(有機EL素子)127に流れて、この素子127を連続発光させる。
このような構成の画像信号出力部及び駆動部を備えることにより、所望の画素の第1電極12及び第2電極16間に挟持された有機EL層(有機層)17に電圧を印加することで、当該画素に該当する有機発光素子20を発光させて、対応する画素から可視領域光を射出させることができ、所望の色や画像を表示できる。
ここでは、発光部として前記有機発光素子20を備えた場合について説明したが、上述のように本発明においては、本発明に係る発光素子及び波長変換発光素子であれば、いずれも発光部として好適に用いることができる。そして、前記化合物(1)を用いていることにより、本発明に係る表示装置は、特に発光効率に優れる。また、化合物(1)として、フッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されておらず、長寿命のものを用いることにより、本発明に係る表示装置は、長寿命で耐候性に優れるものとなる。
<照明装置>
本発明に係る照明装置は、上述の本発明に係る発光素子又は波長変換発光素子を用いたものである。
図10は、本発明に係る照明装置の第1実施形態を示す概略斜視図である。
図10に示す照明装置70は、電流又は電圧を発生する駆動部71と、この駆動部71からの電流又は電圧により発光する発光部72と、を備えて概略構成されている。
発光部72は、上述の本発明に係る発光素子又は波長変換発光素子、例えば、有機発光素子、色変換発光素子及び光変換発光素子のいずれかにより構成される。以下、発光部が有機発光素子10である場合の照明装置について説明するが、本発明はこれに限定されない。
図10に示す照明装置70は、駆動部71によって、第1電極12及び第2電極16間に挟持された有機EL層(有機層)17に電圧を印加することにより、当該画素に該当する有機発光素子10を発光させて、光を射出させることができる。
なお、表示装置70の発光部72として本発明に係る有機発光素子を用いる場合、この有機発光素子の有機発光層には、前記化合物(1)に加えて、公知の有機EL発光材料が含まれていてもよい。
ここで、発光部として前記有機発光素子10を備えた場合について説明したが、上述のように本発明においては、本発明に係る発光素子及び波長変換発光素子であれば、いずれも発光部として好適に用いることができる。
図11は、本発明に係る照明装置の第2実施形態を示す概略斜視図である。ここに示す照明装置は、シーリングライトである。
図11に示すシーリングライト250は、発光部251、吊下線252、及び電源コード253等を備えて、概略構成されている。そして、発光部251として、本発明に係る発光素子及び波長変換発光素子であれば、いずれも好適に用いることができる。
図12は、本発明に係る照明装置の第3実施形態を示す概略斜視図である。ここに示す照明装置は、照明スタンドである。
図12に示す照明スタンド260は、発光部261、スタンド262、メインスイッチ263、及び電源コード264等を備えて、概略構成されている。そして、発光部261として、本発明に係る発光素子及び波長変換発光素子であれば、いずれも好適に用いることができる。
上述の本発明に係る照明装置は、いずれも前記化合物(1)を用いていることにより、特に発光効率に優れる。また、化合物(1)として、フッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されておらず、長寿命のものを用いることにより、本発明に係る照明装置は、長寿命で耐候性に優れるものとなる。
上述の本発明に係る表示装置は、各種電子機器への適用に好適である。以下、このような電子機器について説明する。
<電子機器>
本発明に係る電子機器は、上述の本発明に係る表示装置を用いたものである。
図13は、本発明に係る電子機器の第1実施形態を示す概略正面図である。ここに示す電子機器は、携帯電話である。
図13に示す携帯電話210は、音声入力部211、音声出力部212、アンテナ213、操作スイッチ214、表示部215及び筐体216等を備えて、概略構成されている。そして、表示部215として、上述の本発明に係る表示装置を備える。
図14は、本発明に係る電子機器の第2実施形態を示す概略正面図である。ここに示す電子機器は、薄型テレビである。
図14に示す薄型テレビ220は、表示部221、スピーカ222、キャビネット223及びスタンド224等を備えて、概略構成されている。そして、表示部221として、上述の本発明に係る表示装置を備える。
図15は、本発明に係る電子機器の第3実施形態を示す概略正面図である。ここに示す電子機器は、携帯型ゲーム機である。
図15に示す携帯型ゲーム機230は、操作ボタン231及び232、外部接続端子233、表示部234並びに筐体235等を備えて、概略構成されている。そして、表示部234として、上述の本発明に係る表示装置を備える。
図16は、本発明に係る電子機器の第4実施形態を示す概略斜視図である。ここに示す電子機器は、ノートパソコンである。
図16に示すノートパソコン240は、表示部241、キーボード242、タッチパッド243、メインスイッチ244、カメラ245、記録媒体スロット246及び筐体247等を備えて、概略構成されている。そして、表示部241として、上述の本発明に係る表示装置を備える。
上述の本発明に係る電子機器は、いずれも前記化合物(1)を用いていることにより、特に優れた発光効率で映像を表示できる。また、化合物(1)として、フッ素原子等の電子求引性の高い基が導入されておらず、長寿命のものを用いることにより、本発明に係る電子機器は、長寿命で耐候性に優れるものとなる。
以上、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内において、設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述の実施形態で説明した表示装置には、光取り出し側に偏光板が設けられていてもよい。偏光板としては、例えば、公知の直線偏光板とλ/4板とを組み合わせたものを用いることができる。ここで、偏光板が設けられていることにより、表示装置の電極からの外光反射や、基板又は封止基板の表面での外光反射を防止でき、表示装置のコントラストを向上させることができる。
また、その他、蛍光体基板、表示装置、照明装置の各構成要素の形状、数、配置、材料、形成方法等に関する具体的な記載は、上記実施形態に限ることなく、適宜、変更可能である。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<化合物(1)の製造>
[実施例1]
(化合物(1b)製造工程)
3−シアノ−2−ピコリン(下記式(1c)−101で表される化合物、0.119g、1mmol)、アジ化ナトリウム(0.2g、3mmol)、ゼオライトZSM−5(25mg)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(10mL)を混合し、110〜120℃で攪拌した後、DMF及びメタノールの混合溶媒を加え、80℃で一晩還流させる。次いで、反応液からゼオライトZSM−5を除去した後、水、アセトン、6mol/L塩酸水溶液で反応液を洗浄し、酢酸エチルで抽出し、溶媒を留去して、2−メチル−3−(1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン(下記式(1b)−101で表される化合物)を得る(収量145mg、収率90%)。
(化合物(1a)製造工程)
窒素雰囲気下、IrCl・3HO(下記式(1ba)−101で表される化合物、0.96g、2.75mmol)、下記式(1b)−101で表される化合物(1.934g、6.0mmol)を、2−エトキシエタノール(35mL)及びイオン交換水(11.5mL)の混合溶媒中、油浴温度130℃で8時間撹拌する。次いで、得られた反応溶液にイオン交換水(50mL)を加え、ろ過して固形分を取り出し、これをイオン交換水で洗浄後、乾燥させることで、下記式(1a)−101で表される化合物を得る(収量1.13g、収率75%)。
(化合物(1)製造工程)
窒素雰囲気下、下記式(1a)−101で表される化合物(1.40g、1.28mmol)、アセチルアセトン(配位子L、324μL、3.2mmol)、NaCO(1.28g、12.8mmol)を2−エトキシエタノール(60mL)に加え、油浴温度140℃で8時間撹拌する。次いで、得られた反応溶液を室温まで冷却後、イオン交換水(49mL)を加え、固形分をろ過し、これをイオン交換水で洗浄することにより、粗生成物である下記式(1)−101で表される化合物(以下、「化合物(1)−101」と略記する)を得る。次いで、この粗生成物をクロロホルム(96mL)に溶解させ、不溶物をろ過後、ヘキサンを加えて再沈殿を行うことにより、化合物(1)−101を得る(収量1.33g、収率85%)。
(配位子交換工程1)
500mL三つ口フラスコに、化合物(1)−101(1.53g、2.5mmol)、前記式(1b)−101で表される化合物(1.07g、6.25mmol、5.0eq)、グリセリン(125mL)を加え、外温150℃で2日間加熱撹拌する。次いで、生じた黄色粉末をろ過して取り出し、これをエタノール及び水で洗浄後、残渣をジクロロメタンに溶解させ、ヘキサンによって再沈殿を行う。次いで、得られた沈殿をろ過して取り出し、乾燥させ、黄色粉末として下記式(1)−102で表される化合物(以下、「化合物(1)−102」と略記する)を得る(収量1.01g、収率60%)。さらに、これを昇華精製に供し、化合物(1)−102の黄色単結晶とする。
(配位子交換工程2)
50mL三つ口フラスコに、メタノール(7.5mL)及びジクロロメタン(7.5mL)の混合溶媒に溶解させた化合物(1)−101(612mg、1.0mmol)と、トリフルオロメタンスルホン酸銀(539mg、2.1mmol)とを加え、室温で一晩撹拌し、三つ口フラスコの底に黒色スラリーが沈んだ溶液を得る。次いで、薄層クロマトグラフィー(TLC)により、化合物(1)−101の消失を確認後、スラリーを遠心して塩化銀の沈殿と分離した透明な上澄みの溶媒を留去し、油状の残渣を得る。次いで、この残渣をメタノールに溶解させ、不溶のスラリーをろ過し、残渣をメタノールで洗浄し、得られた溶液を集めた後、溶媒を留去する。次いで、得られた残渣をアセトニトリル(10mL)に溶解させ、ここにテトラキスピラゾリルボレートカリウム塩(477mg、1.5mmol)を加え、窒素雰囲気下で18時間加熱還流させた後、室温まで冷却する。次いで、生じた沈殿をろ過して取り出し、これをジクロロメタン(50mL)に溶解させ、ろ過する。次いで、得られたろ液から溶媒を留去した後、乾燥させ、粗生成物である下記式(1)−103で表される化合物(以下、「化合物(1)−103」と略記する)を得る。次いで、この粗生成物に対して、メタノール及びジクロロメタンの混合溶媒で再結晶を行い、さらに昇華精製に供し、化合物(1)−103の黄色単結晶を得る(収量554mg、収率70%)。
化合物(1)−101、化合物(1)−102、化合物(1)−103は、Gaussian09(Gaussian社製)を用いて、TD−DFT/UB3LYP/LanL2DZの条件で算出した、発光強度が最大となる波長(λmax)が、いずれも428nmである。
Figure 2016037489
[実施例2]
以下に示すように、3−シアノ−2−ピコリン(1mmol)に代えて、3−シアノ−2−メトキシピリジン(下記式(1c)−102で表される化合物、1mmol)を用い、化合物(1b)として下記式(1b)−104で表される化合物を経由させ、化合物(1a)として下記式(1a)−104で表される化合物を経由させる点以外は、実施例1と同様の方法で、下記式(1)−104〜(1)−106で表される化合物を得る。
Figure 2016037489
[実施例3]
実施例1における化合物(1b)製造工程を行い、化合物(1b)前駆体として、前記式(1b)−101で表される化合物を得る。
次いで、アセトニトリル(20mL)中で、前記式(1b)−101で表される化合物(1.0mmol)、ヨウ化メチル(2.0mmol)及びトリエチルアミン(1.0mmol)を混合し、室温で一晩(16時間)反応させた後、溶媒を留去し、水を加えて、酢酸エチルで2度抽出する。得られた有機層を硫酸マグネシウムで脱水後、ろ別し、ろ液を濃縮する。得られる粗生成物は、下記式(1b)−107で表される化合物(2−メチル−3−(4−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン)と、この化合物とはN−メチル化された位置が異なる位置異性体との混合物であるため、次いで、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物(1b)として、下記式(1b)−107で表される化合物を得る(収量70mg、収率40%)。
以下、前記式(1b)−101で表される化合物(6.0mmol)に代えて、下記式(1b)−107で表される化合物(6.0mmol)を用い、化合物(1a)として下記式(1a)−107で表される化合物を経由させる点以外は、実施例1と同様の方法で、下記式(1)−107〜(1)−109で表される化合物を得る。
Figure 2016037489
[実施例4]
実施例2における化合物(1b)製造工程を行い、化合物(1b)前駆体として、前記式(1b)−104で表される化合物を得る。
次いで、アセトニトリル(20mL)中で、前記式(1b)−104で表される化合物(1.0mmol)、ヨウ化メチル(2.0mmol)及びトリエチルアミン(1.0mmol)を混合し、室温で一晩(16時間)反応させた後、溶媒を留去し、水を加えて、酢酸エチルで2度抽出する。得られた有機層を硫酸マグネシウムで脱水後、ろ別し、ろ液を濃縮する。得られる粗生成物は、下記式(1b)−110で表される化合物(2−メトキシ−3−(4−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)ピリジン)と、この化合物とはN−メチル化された位置が異なる位置異性体との混合物であるため、次いで、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物(1b)として、下記式(1b)−110で表される化合物を得る(収量73mg、収率38%)。
以下、前記式(1b)−104で表される化合物(6.0mmol)に代えて、下記式(1b)−110で表される化合物(6.0mmol)を用い、化合物(1a)として下記式(1a)−110で表される化合物を経由させる点以外は、実施例2と同様の方法で、下記式(1)−110〜(1)−112で表される化合物を得る。
Figure 2016037489
本発明は、発光材料を用いた発光素子、色素レーザ、表示装置、照明装置及び電子機器に利用可能である。
1・・・基板、2・・・TFT回路、2a,2b・・・配線、3・・・層間絶縁膜、4・・・平坦化膜、5・・・無機封止膜、6・・・封止材、7・・・隔壁、7’・・・ブラックマトリックス、8R・・・赤色カラーフィルタ、8G・・・緑色カラーフィルタ、8B・・・青色カラーフィルタ、9・・・封止基板、10,20…有機発光素子(有機EL素子、光源)、11・・・反射電極、12・・・第1電極(反射性電極)、13・・・正孔輸送層、14・・・有機発光層、15・・・電子輸送層、16・・・第2電極(反射性電極)、17・・・有機EL層(有機層)、18R・・・赤色蛍光体層、18G・・・緑色蛍光体層、19・・・エッジカバー、30・・・色変換発光素子、31・・・散乱層、40・・・光変換発光素子、50・・・有機レーザダイオード発光素子、60・・・色素レーザ、70・・・照明装置、210・・・携帯電話(電子機器)、220・・・薄型テレビ(電子機器)、230・・・携帯型ゲーム機(電子機器)、240・・・ノートパソコン(電子機器)250・・・シーリングライト(照明装置)、260・・・照明スタンド(照明装置)

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2016037489
    (式中、Mは周期表第8族〜第12族の遷移金属原子であり;Lは前記Mに配位する単座、2座、3座又は4座の配位子であり;Rは水素原子又は水素原子以外の基であり;Aは下記一般式(a1)、(a2)、(a3)又は(a4)で表される基であり;Xは単結合又は二価の基であり;qは1又は2であり;nは1以上の整数であり、mは0以上の整数であり、ただし、n+mはMの種類によって決定され;nが2以上である場合、又はqが2である場合、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の基であるRが複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく;nが2以上である場合、複数個のX及びAは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく;mが2以上である場合、複数個のLは互いに同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2016037489
    (式中、Rは水素原子又は水素原子以外の基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく、前記水素原子以外の基が複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子以外の基である1個以上のRは、水素原子以外の基である1個以上の前記Rと互いに結合して環を形成していてもよく;符号*1を付した結合は前記Mに対して形成され、符号*2を付した結合は前記Xに対して形成されている。)
  2. 下記一般式(1)−1で表される請求項1に記載の化合物。
    Figure 2016037489
    (式中、M、L、X、q、n及びmは前記と同じであり;R11は水素原子、アルキル基又はアリール基であり;R21、R22及びR23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基であり;nが2以上である場合、又はqが2である場合、複数個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の基であるR11が複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく;nが2以上である場合、複数個のX、R21、R22及びR23は、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子以外の基であるR21、R22又はR23が複数個である場合、これら複数個の基は互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子以外の基であるR21、R22及びR23のいずれか二種以上は、互いに結合して環を形成していてもよく、水素原子以外の基である1個以上のR21、R22又はR23は、水素原子以外の基である1個以上の前記R11と互いに結合して環を形成していてもよい。)
  3. 前記R11が水素原子又はアルキル基であり、前記R21、R22及びR23がそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基である請求項2に記載の化合物。
  4. 前記Mがイリジウム原子又は白金原子である請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. 前記Xが単結合である請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物からなる発光材料。
  7. 請求項6に記載の発光材料を用いた波長変換基板。
  8. 請求項6に記載の発光材料を用いた発光素子又は波長変換発光素子。
  9. 請求項6に記載の発光材料を用いた色素レーザ。
  10. 請求項8に記載の発光素子若しくは波長変換発光素子を用いた表示装置又は照明装置。
  11. 請求項10に記載の表示装置を用いた電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111384308A (zh) * 2018-12-29 2020-07-07 Tcl集团股份有限公司 量子点发光二极管的制备方法

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