JP2018043363A - 感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】印字部が耐可塑剤性に優れた感熱記録材料を提供する。【解決手段】顕色性化合物として、下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする感熱記録材料。(式(1)中、R1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基を表す。)【選択図】なし
Description
本発明は、印字部の耐可塑剤性に優れた感熱記録材料に関する。
感熱記録材料は、一般にロイコ染料とフェノール性化合物等の顕色性化合物とをそれぞれ微粒子状に分散化した後、両者を混合し、これに結合剤、増感剤、充填剤、滑剤等の添加剤を添加して得られた塗工液を、紙、フィルム、合成紙等に塗布したもので、加熱によりロイコ染料と顕色性化合物の一方又は両者が溶融、接触して起こる化学反応により発色(以後、印字とも記載する)記録を得るものである。このように感熱記録材料を発色するためには、サーマルヘッドを内蔵したサーマルプリンター等が用いられる。この感熱記録法は他の記録法に比較して、(1)記録時に騒音が出ない、(2)現像・定着の必要がない、(3)メンテナンスフリーである、(4)機械が比較的安価である等の特徴により、ファクシミリ分野、コンピューターのアウトプット、電卓などのプリンター分野、医療計測用のレコーダー分野、自動券売機分野、感熱記録型ラベル分野等に広く用いられている。
一般にフェノール性水酸基を有する顕色性化合物は顕色能が高く、中でもビスフェノール系化合物は、発色濃度の高さから、例えば特許文献1に示される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン)(ビスフェノールA)及び特許文献2に示される4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)をはじめ、数多く報告されている。感熱記録材料は食品分野でもラベル類に使用されており、食品包装に多く用いられる塩化ビニル製フィルムに含まれる可塑剤に対する印字部の保存安定性の向上が強く望まれている。しかしながら、これらは塩化ビニル製フィルムやプラスチックシート、消しゴムに含まれる可塑剤に対する画像安定性(耐可塑剤性)に劣ることから、この耐可塑剤性の向上がより強く望まれている。
本発明は、前記の欠点を解決することを目的に、印字部が耐可塑剤性に優れた感熱記録材料を提供することにある。
本発明者は、前記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ある特定の構造を有した化合物を顕色性化合物として用いた感熱記録材料は、印字部が耐可塑剤性に優れることを新たに見出し、本発明を完成させたものである。
即ち本発明は、
[1]下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする感熱記録材料、
(式(1)中、R1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基を表す。)
[2]一般式(1)の化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする[1]に記載の感熱記録材料、
(式(2)中、R3は前記と同義である。)
[3]一般式(2)において、R3がメチル基であることを特徴とする[2]に記載の感熱記録材料、
[4][1]乃至[3]のいずれか一つに記載の感熱記録材料を含むことを特徴とする感熱記録層、
[5][4]に記載の感熱記録層を含む感熱記録紙、
[6]下記式(3)乃至式(5)で表される化合物、
に関する。
[1]下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴とする感熱記録材料、
[2]一般式(1)の化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする[1]に記載の感熱記録材料、
[3]一般式(2)において、R3がメチル基であることを特徴とする[2]に記載の感熱記録材料、
[4][1]乃至[3]のいずれか一つに記載の感熱記録材料を含むことを特徴とする感熱記録層、
[5][4]に記載の感熱記録層を含む感熱記録紙、
[6]下記式(3)乃至式(5)で表される化合物、
本発明は顕色性化合物として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種類用いることで、印字部が耐可塑剤性に優れた感熱記録材料を提供することができた。
本発明を詳細に説明する。
本発明は、通常無色ないし淡色の発色性化合物と、上記一般式(1)で表される化合物を主に使用するが、必要に応じてその他の顕色性化合物や増感剤、保存性向上剤、さらには以下に示す結合剤及び充填剤、他の添加物等を含有することができる。
本発明は、通常無色ないし淡色の発色性化合物と、上記一般式(1)で表される化合物を主に使用するが、必要に応じてその他の顕色性化合物や増感剤、保存性向上剤、さらには以下に示す結合剤及び充填剤、他の添加物等を含有することができる。
一般式(1)のR1〜R5におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
一般式(1)のR1〜R5におけるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられ、中でも直鎖または分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。その炭素数の範囲は通常C1〜C12、好ましくはC1〜C8、より好ましくはC1〜C6、さらに好ましくはC1〜C4が挙げられる。その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル等の直鎖のアルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、イソヘキシル、イソオクチル等の分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状のアルキル基;等が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるアルコキシ基としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシ基が挙げられ、中でも直鎖または分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。その炭素数の範囲は通常C1〜C12、好ましくはC1〜C8、より好ましくはC1〜C6、さらに好ましくはC1〜C4が挙げられる。その具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシロキシ、n−ヘプトキシ、n−オクチロキシ、n−ノニロキシ、n−デシロキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、イソアミロキシ、t−アミロキシ、イソヘキシロキシ、t−ヘキシロキシ、イソヘプトキシ、t−ヘプトキシ、イソオクチロキシ、t−オクチロキシ、2−エチルヘキシロキシ、イソノニロキシ、イソデシロキシ等の分岐鎖(好ましくはC3〜C10)のもの;シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキシロキシ、シクロヘプトキシ等の環状(好ましくはC3〜C7)のもの;好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるアリールオキシ基としては、C6〜C12アリールオキシ基が好ましく、その具体例としては、フェノキシ、ナフチロキシ、ビフェニロキシ等が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるアルキルカルボニルオキシ基としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられ、C1〜C10アルキルカルボニルオキシ基が好ましく、その具体例としては、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n−プロピルカルボニルオキシ、n−ブチルカルボニルオキシ、n−ペンチルカルボニルオキシ、n−ヘキシルカルボニルオキシ、n−ヘプチルカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ、n−ノニルカルボニルオキシ、n−デシルカルボニルオキシ等の直鎖のもの;イソプロピルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、イソアミルカルボニルオキシ、t−アミルカルボニルオキシ、イソヘキシルカルボニルオキシ、t−ヘキシルカルボニルオキシ、イソヘプチルカルボニルオキシ、t−ヘプチルカルボニルオキシ、イソオクチルカルボニルオキシ、t−オクチルカルボニルオキシ、2−エチルヘキシルカルボニルオキシ、イソノニルカルボニルオキシ、イソデシルカルボニルオキシ等の分岐鎖(好ましくはC3〜C10)のもの;シクロプロピルカルボニルオキシ、シクロブチルカルボニルオキシ、シクロペンチルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、シクロヘプチルカルボニルオキシ等の環状(好ましくはC3〜C7)のもの;中でも直鎖又は分岐鎖のアルキルカルボニルオキシ基が好ましく、直鎖のアルキルカルボニルオキシ基がより好ましい。アリールカルボニルオキシ基としては、C6〜C12アリールカルボニルオキシ基が好ましく、その具体例としては、フェニルカルボニルオキシ、ナフチルカルボニルオキシ、ビフェニルカルボニルオキシ等が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるアルキルカルボニルアミノ基としては、直鎖、分岐鎖または環状のアルキルカルボニルアミノ基が挙げられ、C1〜C10アルキルカルボニルアミノ基が好ましく、その具体例としては、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノ、n−ペンチルカルボニルアミノ、n−ヘキシルカルボニルアミノ、n−ヘプチルカルボニルアミノ、n−オクチルカルボニルアミノ、n−ノニルカルボニルアミノ、n−デシルカルボニルアミノ等の直鎖のもの;イソプロピルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec−ブチルカルボニルアミノ、t−ブチルカルボニルアミノ、イソアミルカルボニルアミノ、t−アミルカルボニルアミノ、イソヘキシルカルボニルアミノ、t−ヘキシルカルボニルアミノ、イソヘプチルカルボニルアミノ、t−ヘプチルカルボニルアミノ、イソオクチルカルボニルアミノ、t−オクチルカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ、イソノニルカルボニルアミノ、イソデシルカルボニルアミノ等の分岐鎖(好ましくはC3〜C10)のもの;シクロプロピルカルボニルアミノ、シクロブチルカルボニルアミノ、シクロペンチルカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘプチルカルボニルアミノ等の環状(好ましくはC3〜C7)のもの;好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキルカルボニルアミノ基、より好ましくは直鎖のアルキルカルボニルアミノ基が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるアリールカルボニルアミノ基としては、C6〜C12アリールカルボニルアミノ基が好ましく、その具体例としては、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ、ビフェニルカルボニルアミノ等が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるアルキルスルホニルアミノ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキルスルホニルアミノ基が挙げられ、C1〜C10アルキルスルホニルアミノ基が好ましく、その具体例としては、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノ、n−ペンチルスルホニルアミノ、n−ヘキシルスルホニルアミノ、n−ヘプチルスルホニルアミノ、n−オクチルスルホニルアミノ、n−ノニルスルホニルアミノ、n−デシルスルホニルアミノといった直鎖のもの;イソプロピルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、sec−ブチルスルホニルアミノ、t−ブチルスルホニルアミノ、イソアミルスルホニルアミノ、t−アミルスルホニルアミノ、イソヘキシルスルホニルアミノ、t−ヘキシルスルホニルアミノ、イソヘプチルスルホニルアミノ、t−ヘプチルスルホニルアミノ、イソオクチルスルホニルアミノ、t−オクチルスルホニルアミノ、2−エチルヘキシルスルホニルアミノ、イソノニルスルホニルアミノ、イソデシルスルホニルアミノ等の分岐鎖(好ましくはC3〜C10)のもの;シクロプロピルスルホニルアミノ、シクロブチルスルホニルアミノ、シクロペンチルスルホニルアミノ、シクロヘキシルスルホニルアミノ、シクロヘプチルスルホニルアミノ等の環状(好ましくはC3〜C7)のもの;好ましくは直鎖又は分岐鎖のもの、より好ましくは直鎖のものが挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるアリールスルホニルアミノ基としては、C6〜C12アリールスルホニルアミノ基が好ましく、その具体例としては、フェニルスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノ、ビフェニルスルホニルアミノ等が挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるモノアルキルアミノ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のモノアルキルアミノ基が挙げられ、モノC1〜C10アルキルアミノ基が好ましく、その具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、n−ヘキシルアミノ、n−ヘプチルアミノ、n−オクチルアミノ、n−ノニルアミノ、n−デシルアミノといった直鎖のもの;イソプロピルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、イソアミルアミノ、t−アミルアミノ、イソヘキシルアミノ、t−ヘキシルアミノ、イソヘプチルアミノ、t−ヘプチルアミノ、イソオクチルアミノ、t−オクチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、イソノニルアミノ、イソデシルアミノ等の分岐鎖(好ましくはC3〜C10)のもの;シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、シクロヘプチルアミノ等の環状(好ましくはC3〜C7)のもの;好ましくは直鎖又は分岐鎖のもの、より好ましくは直鎖のものが挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるジアルキルアミノ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のジアルキルアミノ基が挙げられ、ジC1〜C10アルキルアミノ基が好ましく、その具体例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ、ジ−n−ペンチルアミノ、ジ−n−ヘキシルアミノ、ジ−n−ヘプチルアミノ、ジ−n−オクチルアミノ、ジ−n−ノニルアミノ、ジ−n−デシルアミノといった直鎖のもの;ジイソプロピルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ−sec−ブチルアミノ、ジ−t−ブチルアミノ、ジイソアミルアミノ、ジ−t−アミルアミノ、ジイソヘキシルアミノ、ジ−t−ヘキシルアミノ、ジイソヘプチルアミノ、ジ−t−ヘプチルアミノ、ジイソオクチルアミノ、ジ−t−オクチルアミノ、ジ−(2−エチルヘキシル)アミノ、ジイソノニルアミノ、ジイソデシルアミノ等の分岐鎖(好ましくはC3〜C10の分岐鎖を2つ有する)のもの;ジシクロプロピルアミノ、ジシクロブチルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジシクロヘプチルアミノ等の環状(好ましくはC3〜C7の環状基を2つ有する)のもの;好ましくは直鎖又は分岐鎖のもの、より好ましくは直鎖のものが挙げられる。
一般式(1)のR1〜R5におけるアリールアミノ基としては、モノアリールアミノ基又はジアリールアミノ基が挙げられ、モノC6〜C12アリールアミノ基が好ましく、その具体例としては、フェニルアミノ(アニリノ)、ナフチルアミノ、ビフェニルアミノ等が挙げられる。;同様にアリールアミノ基としてジC6〜C12アリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ、ジ(ビフェニル)アミノ等が挙げられる。
本発明におけるR1〜R5としては、メチル基または水素原子が特に好ましい。
上記一般式(1)中のジフェニル尿素構造の一方のベンゼン環に結合する、下記一般式(6)で表される部分骨格の置換位置としては、当該ベンゼン環上のフェニル尿素基に対してオルト位、メタ位、またはパラ位が挙げられ、メタ位またはパラ位が好ましく、メタ位が特に好ましい。
本発明における化合物としては、下表1に記載の具体例を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式[1−2]の化合物は、塩基の存在下または不存在下、一般式[1−1]のアミノフェノールとイソシアン酸フェニルを反応させることにより製造することができる。この反応に用いられるイソシアン酸フェニルの使用量は、一般式[1−1]の化合物1モルに対して、通常0.1〜50モル倍であり、0.1〜5モル倍が好ましい。
この反応において所望により用いられる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、および炭酸セシウム等の無機塩基;トリエチルアミン、およびジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。これらの塩基の使用量は、一般式[1−1]の化合物1モルに対して0.1〜50モル倍であり、1〜5モル倍が好ましい。
上記一般式[1−3]の化合物は、塩基の存在下または不存在下、式[1−2]の化合物とベンゼンスルホニルイソシアネート誘導体を反応させることにより製造することができる。
この反応に用いられるベンゼンスルホニルイソシアネート誘導体の使用量は、式[1−2]の化合物1モルに対して、0.1〜50モル倍であり、1〜5モル倍が好ましい。
この反応において所望により用いられる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、および炭酸セシウム等の無機塩基;トリエチルアミン、ピリジン、およびジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。塩基の使用量は、式[1−2]の化合物1モルに対して0.1〜50モル倍、好ましくは1〜5モル倍であればよい。
これら2つの製造工程で使用される溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであれば、特に限定されないが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN−メチルピロリドン等のアミド化合物;塩化メチレンおよびクロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素化合物;ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、およびジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;アセトンおよび2−ブタノン等のケトン化合物;酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル化合物;スルホラン等のスルホン化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド化合物等が挙げられ、これらは単独または混合して使用してもよい。製造工程1では、必要により水を用いてもよい。
これら2つの製造工程の反応温度は、通常−78〜100℃であり、0〜80℃が好ましく、反応時間は10分〜24時間実施すればよい。
本発明における感熱記録材料を形成するにあたり、発色性化合物は通常1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%;上記一般式(1)で表される化合物は通常1〜70質量%、好ましくは10〜50質量%;増感剤は1〜80質量%、保存性向上剤は通常0〜30質量%、結合剤は通常1〜90質量%、充填剤は通常0〜80質量%;その他の滑剤、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤等は各々任意の割合で、例えば通常各々0〜30質量%使用される(質量%は感熱記録材料中に占める各成分の質量比)。
更に好ましい態様としては、上記の組成のうちで、各々の使用量が質量比で発色性化合物1質量部に対して一般式(1)で表される化合物は通常0.5〜20質量倍、より好ましくは1〜5質量倍の質量比の範囲でそれぞれ使用される。本発明の感熱記録材料においては、前記の成分以外のそれ自身が公知の顕色性化合物、増感剤又はその他の添加物を併用することができる。
本発明に用いられる発色性化合物は、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられるものであればよく、特に制限されない。用いられる発色性化合物としては、例えばフルオラン系化合物、トリアリールメタン系化合物、スピロ系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、ラクタム系化合物、フルオレン系化合物が挙げられ、フルオラン系化合物が好ましい。
フルオラン系化合物の具体例としては、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−フルオロアニリノ)フルオラン、3−[N−エチル−N−(p−トリル)アミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−トルイジノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−エトキシエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルフルオラン、3−[N−エチル−N−(p−トリル)アミノ]−6−メチル−7−フェネチルフルオラン等が挙げられ、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランが好ましい。
トリアリールメタン系化合物の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン又はCVL)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルアミノインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。
スピロ系化合物の具体例としては、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、1,3,3−トリメチル−6−ニトロ−8’−メトキシスピロ(インドリン−2,2’−ベンゾピラン)等;ジフェニルメタン系化合物の具体例としては、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、4,4−ビス−ジメチルアミノフェニルベンズヒドリルベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等;チアジン系化合物の具体例としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等;ラクタム系化合物の具体例としては、ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム等;フルオレン系化合物の具体例としては、例えば3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオレンスピロ(9,3’)−6’−ピロリジノフタリド等、が挙げられる。これらの発色性化合物は単独もしくは混合して用いられる。
本発明に併用可能な顕色性化合物としては、特に制限されないが、一般に感圧記録紙や感熱記録紙に用いられているものであればよく、例えばα−ナフトール、β−ナフトール、p−オクチルフェノール、4−t−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA又はBPA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−チオビスフェノール、4,4’−シクロ−ヘキシリデンジフェノール、2,2’−ビス(2,5−ジブロム−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メトキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ベンジルオキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド等のフェノール性化合物、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、5−ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸等の芳香族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸又はその多価金属塩、ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、フェニル−6ベンゾトリアゾール、フェニル−5ベンゾトリアゾール、クロロ−5ベンゾトリアゾール、クロロ−5メチルベンゾトリアゾール、クロロ−5イソプロピル−7メチル−4ベンゾトリアゾール、ブロモ−5ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体、サッカリン、1−ブロモサッカリン、1−ニトロサッカリン、1−アミノサッカリン等のサッカリン誘導体、メタニルアニリド、N−フェニル−4−アミノベンゼンスルホンアミド、ネオウリロン、N−フェニル−3−ニトロベンゼンスルホンアミド、N−(4−メチル−2−ニトロフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(2−メトキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−(3−フェニルウレイド)フェニル)ベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド誘導体、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(3−n−ブチルアミノスルホニルフェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(4−トリメチルアセトフェニル)尿素、N−(ベンゼンスルホニル)−N’−(3−p−トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(3−p−トルエンスルホニルフェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(3−フェニルスルホニルオキシフェニル)尿素、トルブタミド、クロルプロパミド等のスルホニルウレア誘導体等が挙げられる。
本発明において用いられる増感剤(熱可融性化合物)の具体例としては、動植物性ワックス、合成ワックス等のワックス類や高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、ナフタレン誘導体、芳香族エーテル、芳香族カルボン酸誘導体、芳香族スルホン酸エステル誘導体、炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体、ビフェニル誘導体、ターフェニル誘導体、スルホン誘導体、芳香族ケトン誘導体、芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。
ワックス類としては、例えば木ろう、カルナウバろう、シェラック、パラフィン、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等;高級脂肪酸としては、例えばステアリン酸、ベヘン酸等;高級脂肪酸アミドとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等;;高級脂肪酸アニリドとしては、例えばステアリン酸アニリド、リノール酸アニリド等;ナフタレン誘導体としては、例えば1−ベンジルオキシナフタレン、2−ベンジルオキシナフタレン、1−ヒドロキシナフトエ酸フェニルエステル、2,6−ジイソプロピルナフタレン等;芳香族エーテルとしては、例えば1,2−ジフェノキシエタン、1,4−ジフェノキシブタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、1−フェノキシ−2−(4−クロロフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、ジフェニルグリコール等;芳香族カルボン酸誘導体としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル等;芳香族スルホン酸エステル誘導体としては、例えばp−トルエンスルホン酸フェニルエステル、フェニルメシチレンスルホナート、4−メチルフェニルメシチレンスルホナート、4−トリルメシチレンスルホナート等;炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体としては、例えば炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)エステル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)エステル類;ビフェニル誘導体としては、例えばp−ベンジルビフェニル、p−アリルオキシビフェニル等;ターフェニル誘導体としては、例えばm−ターフェニル等;スルホン誘導体としては、例えばp−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアニリド、p−トルエンスルホンアニリド、4,4’−ジアリルオキシジフェニルスルホン、ジフェニルスルホン等;芳香族ケトン誘導体としては、例えば4,4’−ジメチルベンゾフェノン、ジベンゾイルメタン等;芳香族炭化水素化合物としては、例えばp−アセトトルイジン等が挙げられる。
本発明に用いられる保存性向上剤の具体例としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,6−ジメチル−4−ターシャリーブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,6−ジメチル−4−ターシャリーブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン、ウレアウレタン化合物(ケミプロ化成株式会社製顕色性化合物UU等)、及び下記式(7)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物もしくはそれらの混合物等が挙げられる。
本発明に用いられる結合剤の具体例としては、メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸基変性ポリビニルアルコール、シリル基変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デンプン及びその誘導体、カゼイン、ゼラチン、水溶性イソプレンゴム、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソ(又はジイソ)ブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性のもの或は(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、カルボキシル化スチレン/ブタジエン(SB)共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル酸系共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン(NB)共重合体、カルボキシル化アクリロニトリル/ブタジエン(NB)共重合体、コロイダルシリカと(メタ)アクリル樹脂の複合体粒子等の疎水性高分子エマルジョン等が挙げられる。
本発明に用いられる充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、クレー、アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ポリスチレン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等が挙げられる。
更に本発明においては上記以外の種々の添加剤を使用することができ、例えばサーマルヘッド磨耗防止、スティッキング防止等の目的でのステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、酸化防止あるいは老化防止効果を付与する為のフェノール誘導体、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤、各種の界面活性剤、消泡剤、等が挙げられる。
次に、本発明の感熱記録材料の調製方法を説明する。本発明に用いられる、発色性化合物、一般式(1)で表される化合物を、それぞれ結合剤あるいは必要に応じてその他の添加剤等と共にボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機にて粉砕、分散化し分散液とした後(通常、粉砕や分散を湿式で行うときは水を媒体として用いる)、分散液を混合して感熱記録層塗布液を調製し、紙(普通紙、上質紙、コート紙等が使用出来る)、プラスチックシート、合成紙等の支持体上に通常乾燥質量で1〜20g/m2になるようにバーコーター、ブレードコーター等により塗布、乾燥して本発明の感熱記録材料とする。
また、必要に応じて感熱記録層と支持体の間に中間層を設けたり、感熱記録層上にオーバーコート層(保護層)を設けても良い。中間層、オーバーコート層(保護層)は、例えば前記の結合剤あるいは必要に応じてその他の添加物と共に、感熱記録層塗布液の調製におけるのと同様に必要に応じて粉砕、分散して中間層用塗布液又はオーバーコート層(保護層)用塗布液とした後、乾燥時の質量で通常0.1〜10g/m2程度となるように塗布し、乾燥することに本発明の感熱記録材料を作製する。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。実施例中「部」は質量部、「%」は質量%を意味する。
[実施例1]表1の化合物番号1の合成
[工程1]
トルエン200部中に2−アミノフェノール(東京化成工業)20.0部を加え攪拌し、次いでイソシアン酸フェニル(東京化成工業)20.7部を室温下で滴下した。同温度で24時間攪拌した後、析出物を濾別し、濾過物を水で洗浄し乾燥することで、上記化合物[100−1]を白色固体として39.9部得た。
MS(ESI):[M+H]+:cal.:229.1,found:229.1
[工程1]
MS(ESI):[M+H]+:cal.:229.1,found:229.1
[工程2]
トルエン50部中に上記化合物[100−1]5.0部及びp−トルエンスルホニルイソシアナート(東京化成工業)4.8部を加え撹拌し、次いでトリエチルアミン3.0部を室温下で滴下した。同温度で24時間撹拌した後、析出物を濾別し、イソプロピルアルコール及び水で順次洗浄し、乾燥することで、表1の化合物番号1を白色固体として8.4部得た。
MS(ESI):[M+H]+:cal.:426.1,found:426.1
MS(ESI):[M+H]+:cal.:426.1,found:426.1
[実施例2]表1の化合物番号2の合成
[工程1]
トルエン350部中に3−アミノフェノール(東京化成工業)30.0部を加え攪拌し、次いでイソシアン酸フェニル(東京化成工業)31.3部を室温下で滴下した。同温度で4時間攪拌した後、析出物を濾別し、濾過物を水で洗浄し乾燥することで、上記化合物[200−1]を白色固体として57.8部得た。
MS(ESI):[M+H]+:cal.:229.1,found:229.1
[工程1]
MS(ESI):[M+H]+:cal.:229.1,found:229.1
[工程2]
トルエン100部中に上記化合物[200−1]5.0部を加え撹拌し、p−トルエンスルホニルイソシアナート(東京化成工業)4.8部を室温下で滴下した。次いでトリエチルアミン3.0部を滴下し、その後60℃に昇温した。同温度で24時間撹拌した後、析出物を濾別し、メタノール及び水で順次洗浄し、乾燥することで、表1の化合物番号2を白色固体として6.0部得た。
MS(ESI):[M+H]+:cal.:426.1,found:426.1
MS(ESI):[M+H]+:cal.:426.1,found:426.1
[実施例3]表1の化合物番号3の合成
[工程1]
アセトニトリル300部中に4−アミノフェノール(東京化成工業)20.0部を加え攪拌し、次いでイソシアン酸フェニル(東京化成工業)21.4部を室温で滴下した。同温度で20時間攪拌した後、析出物を濾別し、濾過物を水で洗浄し乾燥することで、上記化合物[300−1]を白色固体として38.2部得た。
MS(ESI):[M+H]+:cal.:229.1,found:229.1
[工程1]
MS(ESI):[M+H]+:cal.:229.1,found:229.1
[工程2]
酢酸エチル100部中に上記化合物[300−1]5.0部及びp−トルエンスルホニルイソシアナート(東京化成工業)4.8部を加え撹拌し、次いでトリエチルアミン3.0部を室温で滴下した。同温度で24時間撹拌した後、析出物を濾別し、イソプロピルアルコール及び水で順次洗浄し、乾燥することで、表1の化合物番号3を白色固体として6.5部得た。
MS(ESI):[M+H]+:cal.:426.1,found:426.1
MS(ESI):[M+H]+:cal.:426.1,found:426.1
[実施例4]表1の化合物番号1を用いた感熱記録材料の作製
実施例1で得られた、表1の化合物番号1を以下の組成で安井器械(株)製のマルチビーズショッカー(型式:PV1001(S))を用いて1時間粉砕、分散化して[A]液を調製した。
実施例1で得られた、表1の化合物番号1を以下の組成で安井器械(株)製のマルチビーズショッカー(型式:PV1001(S))を用いて1時間粉砕、分散化して[A]液を調製した。
[A]液:表1の化合物番号1 15部
25%PVA水溶液 20部
水 65部
25%PVA水溶液 20部
水 65部
下記組成の混合物をサンドグラインダーによりレーザー回析/散乱式粒子径分布測定装置LA−950(株式会社堀場製作所)によるメディアン粒子径が1μmになるように粉砕、分散化して発色性化合物の分散液[B]を調製した。
[B]液:3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 35部
15%PVA水溶液 40部
水 25部
[B]液:3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 35部
15%PVA水溶液 40部
水 25部
次いで、上記で得られた各液及び下記の薬剤を以下の組成で混合して感熱記録層塗布液を調製し、坪量50g/m2の上質紙上に乾燥時の質量が5g/m2となるように塗布、乾燥して本発明の感熱記録材料を作製した。
[A]液 40.0部
[B]液 8.6部
67%炭酸カルシウム水分散液 9.0部
48%変性スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス 6.3部
水 36.1部
[A]液 40.0部
[B]液 8.6部
67%炭酸カルシウム水分散液 9.0部
48%変性スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス 6.3部
水 36.1部
(保護層の形成)
次に、下記の組成からなる保護層塗布液を前記の感熱記録材料上に乾燥時の質量が2g/m2となるように塗布、乾燥して保護層付きの感熱記録材料を作製した。
40%スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 115部
5%ベントナイト水分散液 17部
45%スチレン・アクリル共重合体水性エマルジョン 44部
39%ステアリン酸亜鉛水分散液 103部
67%炭酸カルシウム水分散液 15部
次に、下記の組成からなる保護層塗布液を前記の感熱記録材料上に乾燥時の質量が2g/m2となるように塗布、乾燥して保護層付きの感熱記録材料を作製した。
40%スチレン/アクリル酸エステル共重合体エマルジョン 115部
5%ベントナイト水分散液 17部
45%スチレン・アクリル共重合体水性エマルジョン 44部
39%ステアリン酸亜鉛水分散液 103部
67%炭酸カルシウム水分散液 15部
[実施例5]表1の化合物番号2を用いた感熱記録材料の作製
表1の化合物番号1で表される化合物の代わりに表1の化合物番号2で表される化合物を用いた以外は、実施例4と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
表1の化合物番号1で表される化合物の代わりに表1の化合物番号2で表される化合物を用いた以外は、実施例4と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
[実施例6]表1の化合物番号3を用いた感熱記録材料の作製
表1の化合物番号1で表される化合物の代わりに表1の化合物番号3で表される化合物を用いた以外は、実施例4と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
表1の化合物番号1で表される化合物の代わりに表1の化合物番号3で表される化合物を用いた以外は、実施例4と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
[比較例1]
下記組成の混合物をサンドグラインダーによりレーザー回析/散乱式粒子径分布測定装置LA−950(株式会社堀場製作所)によるメディアン粒子径が1μmになるように粉砕、分散化して[C]液を調製し、上記実施例4に記載の感熱記録層塗布液の組成のうち、[A]液の代わりに[C]液を用い、下記の組成比で混合して感熱記録層塗布液を調製した以外は実施例4と同様にして、比較用の感熱記録材料を作製した。
[C]液:ビスフェノールS(東京化成工業) 25部
25%PVA水溶液 20部
水 55部
下記組成の混合物をサンドグラインダーによりレーザー回析/散乱式粒子径分布測定装置LA−950(株式会社堀場製作所)によるメディアン粒子径が1μmになるように粉砕、分散化して[C]液を調製し、上記実施例4に記載の感熱記録層塗布液の組成のうち、[A]液の代わりに[C]液を用い、下記の組成比で混合して感熱記録層塗布液を調製した以外は実施例4と同様にして、比較用の感熱記録材料を作製した。
[C]液:ビスフェノールS(東京化成工業) 25部
25%PVA水溶液 20部
水 55部
[保存安定性試験(耐可塑剤性試験)]
ガラス板に塩化ビニルラップフィルム(可塑剤が含まれているもの)を1重に巻き付け、その上にオオクラエンジニアリング株式会社のサーマルプリンター(TH−M2/PP)を用いてパルス幅1.4msecで印字した上記の実施例4乃至6及び比較例1で得られた感熱記録材料を張り付けた。さらに、この上に同塩化ビニルラップフィルムを1重に巻き付けた状態で、45℃で24時間放置した。試験前後の試料の印字部のマクベス反射濃度をGRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名「SpectroEye」を用いて測定した。測色する際は、いずれも光源にイルミナントC、濃度基準にANSI A、視野角2度の条件で行った。結果を下表2に示す。なお、残存率が高い程、耐可塑剤性に優れていることがわかる。残存率は以下の計算式(I)で求めた。
残存率(%)=(試験後の感熱記録材料の印字部のマクベス反射濃度)/(試験前の感熱記録材料の印字部のマクベス反射濃度)×100 (I)
ガラス板に塩化ビニルラップフィルム(可塑剤が含まれているもの)を1重に巻き付け、その上にオオクラエンジニアリング株式会社のサーマルプリンター(TH−M2/PP)を用いてパルス幅1.4msecで印字した上記の実施例4乃至6及び比較例1で得られた感熱記録材料を張り付けた。さらに、この上に同塩化ビニルラップフィルムを1重に巻き付けた状態で、45℃で24時間放置した。試験前後の試料の印字部のマクベス反射濃度をGRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名「SpectroEye」を用いて測定した。測色する際は、いずれも光源にイルミナントC、濃度基準にANSI A、視野角2度の条件で行った。結果を下表2に示す。なお、残存率が高い程、耐可塑剤性に優れていることがわかる。残存率は以下の計算式(I)で求めた。
残存率(%)=(試験後の感熱記録材料の印字部のマクベス反射濃度)/(試験前の感熱記録材料の印字部のマクベス反射濃度)×100 (I)
上記の表2より明らかなように、本発明の化合物を顕色性化合物に用いた実施例4乃至6は、特許文献2に記載の顕色性化合物であるビスフェノールSを用いた比較例1に比べ残存率が高く、本発明は従来品よりも印字部の耐可塑剤性に優れていると言える。
Claims (6)
- 一般式(2)において、R3がメチル基であることを特徴とする請求項2に記載の感熱記録材料。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感熱記録材料を含むことを特徴とする感熱記録層。
- 請求項4に記載の感熱記録層を含む感熱記録紙。
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JP2016177902A JP2018043363A (ja) | 2016-09-12 | 2016-09-12 | 感熱記録材料 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020105564A1 (en) * | 2018-11-19 | 2020-05-28 | Ricoh Company, Ltd. | Thermosensitive recording medium, thermosensitive recording liquid, and article |
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-
2016
- 2016-09-12 JP JP2016177902A patent/JP2018043363A/ja active Pending
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