JP2018042721A - 外科用固定材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂成分と当該樹脂成分よりも熱伝導性の高い熱伝導性粉末として金属フレークを含有させてなる基材を用いた、外科用固定材の製造方法において、熱伝導性能は維持したまま、臭気を低減することである。【解決手段】実施形態の外科用固定材の製造方法においては、フレーク化助剤を用いて金属粉末を第1の有機溶媒が存在する湿式条件下でフレーク化して得られた、フレーク化助剤が表面に付着した金属フレークを準備する金属フレーク準備工程と、金属フレークと前記樹脂成分とを混合して基材を成型する成型工程と、を少なくとも備え、前記金属フレーク準備工程において用いるフレーク化助剤が、炭素数12以上の1価の不飽和脂肪酸であるか、または前記金属フレーク準備工程において用いる第1の有機溶媒は、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒である構成を採用する。【選択図】なし

Description

本発明は、外科用固定材の製造方法に関する。
外科用固定材、いわゆるギプス材として、従来の石膏を用いたものに代えて、熱可塑性を有する樹脂素材を用いたものが近年普及しつつある。
このような熱可塑性を有する樹脂素材からなる外科用固定材としては、特許文献1のような技術があり、この技術によれば、熱を加えることで骨折した箇所等の人体の患部に沿わせて変形させることが容易であり、固化した後には形状が維持されやすいため、利便性が高い。
さらに、樹脂素材からなる外科用固定材の熱伝導性を向上させて患部の腫れの冷却効果に優れたものとするため、特許文献2のように、樹脂成分とアルミニウム粉末とを含有させてなる基材を用いた外科用固定材に関する技術がある。
特許文献2の外科用固定材によれば、患部の腫れを冷却する効果に優れるため、患部の治りが早くなるなどの治療効果が期待される。
特開平9‐234241号公報 特開2015―171395号公報
しかし、特許文献2の外科用固定材の場合、そのアルミニウム粉末成分として、市販のアルミニウムペーストやアルミニウム粉末を含有するメタリック樹脂マスターバッチを使用すると、外科用固定材の構成成分に起因する臭気が気になる場合がある。
特に患部が鼻や鼻に近い顔にある場合や、患部が手のように日常の生活動作により鼻と近い位置にくることが多々あるような箇所である場合には、その患部に特許文献2の外科用固定材を使用した場合、臭気が不快に感じるときがある。
そこで本発明の解決すべき課題は、樹脂成分とアルミニウム粉末とを含有させてなる基材を用いた外科用固定材について、熱伝導性能は維持したまま、臭気を低減した外科用固定材を提供することである。
上記課題を解決するため、この臭気の原因が何かを本発明者らが鋭意検討した。
その結果、一般にアルミニウムペーストやメタリック樹脂マスターバッチに含まれるアルミニウム粉末としてフレーク状のアルミニウム粉末(アルミニウムフレーク)が使用されているが、このアルミニウムフレークのフレーク化工程において用いられているフレーク化助剤であるステアリン酸やフレーク化工程において使用する有機溶媒に起因する臭気であることがわかった。
そして、このフレーク化助剤としてステアリン酸に代えて特定のフレーク化助剤を使用してフレーク化工程を行うか、フレーク化工程時に使用する有機溶媒として特定の有機溶媒を使用してフレーク化工程を行うか、のいずれかの態様を採用すれば臭気の問題が改善され、さらにはフレーク化工程後にフレーク化助剤をアルミニウムフレーク表面から除去する工程を行えば臭気の問題がより改善されることを見出した。
また、以上の事実は、アルミニウムフレークのみならず、金属フレーク全般について成り立つことを見出した。
すなわち、上記解題を解決するため、樹脂成分と当該樹脂成分よりも熱伝導性の高い熱伝導性粉末として金属フレークを含有させてなる基材を用いた、本発明にかかる外科用固定材の製造方法において、
(1)フレーク化助剤を用いて金属粉末を第1の有機溶媒が存在する湿式条件下でフレーク化して得られた、フレーク化助剤が表面に付着した金属フレークを準備する金属フレーク準備工程と、
(2)金属フレークと前記樹脂成分とを混合して基材を成型する成型工程と、を少なくとも備え、
前記金属フレーク準備工程において用いるフレーク化助剤が、炭素数12以上の1価の不飽和脂肪酸であるか、または前記金属フレーク準備工程において用いる第1の有機溶媒は、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒である構成を採用したのである。
これら前記金属フレーク準備工程において用いるフレーク化助剤が、炭素数12以上の1価の不飽和脂肪酸であるとの構成、および前記金属フレーク準備工程において用いる第1の有機溶媒が、芳香族系炭化水素を含まないとの構成は、併用するのが好ましい。
また発明にかかる外科用固定材の製造方法において、前記金属フレーク準備工程後に、金属フレークと芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒である第2の有機溶媒とを混合することで、金属フレーク表面に付着したフレーク化助剤を取り除くフレーク化助剤除去工程をさらに備える構成を採用するのが好ましい。
前記芳香族系炭化水素を含まない第1の有機溶媒は、パラフィン系炭化水素であるのが好ましい。また前記炭素数12以上の1価の不飽和脂肪酸であるフレーク化助剤は、オレイン酸であるのが好ましい。
また発明にかかる外科用固定材の製造方法において、前記基材中の金属フレークの含有量は、5〜50重量%の範囲内であることが好ましい。また前記金属フレークの平均粒径(メジアン径)は、5〜100μmの範囲内であるのが好ましい。
前記金属フレークは、アルミニウムフレークであるのが好ましい。
また発明にかかる外科用固定材の製造方法において、前記基材中の樹脂成分は熱可塑性を有するのが好ましい。この熱可塑性を有する樹脂成分の融点は、40〜90℃の範囲内であるのが好ましい。
本発明の外科用固定材の製造方法によれば、得られた外科用固定材の臭気の問題が解決でき、かつ金属フレークの熱伝導性が損なわれることがないため、熱伝導性能は維持したまま、臭気を低減した外科用固定材を提供することが可能である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態の製造方法にて製造される外科用固定材は、骨折した箇所等の人体の患部を覆って固定するために用いられるものであり、従来の樹脂素材からなる外科用固定材と比較して熱伝導性が良好であり、さらに外科用固定材に金属粉末(金属フレーク)を含有した場合の臭気の問題を低減することが可能である。
<本発明の製造方法における第1の実施形態>
まず本発明の製造方法における第1の実施形態について説明する。
本発明の製造方法の第1の実施形態は、樹脂成分と当該樹脂成分よりも熱伝導性の高い熱伝導性粉末として金属フレークを含有させてなる基材を用いた外科用固定材の製造方法であって、
(1)フレーク化助剤を用いて金属粉末を第1の有機溶媒が存在する湿式条件下でフレーク化して得られた、フレーク化助剤が表面に付着した金属フレークを準備する金属フレーク準備工程と、
(2)金属フレークと前記樹脂成分とを混合して基材を成型する成型工程と、を少なくとも備え、
前記金属フレーク準備工程において用いるフレーク化助剤が、炭素数12以上の1価の不飽和脂肪酸である、外科用固定材の製造方法である。ここで前記の金属フレーク準備工程および成型工程を含む限り、他の工程の存在は排除されるものではない。
<金属フレーク準備工程>
本工程は、フレーク化助剤を用いて金属粉末を第1の有機溶媒が存在する湿式条件下でフレーク化して得られた、フレーク化助剤が表面に付着した金属フレークを準備する工程である。
・フレーク化方法およびフレーク化装置(摩砕方法および摩砕装置)
金属粉末の湿式条件下でのフレーク化する方法、装置等は特に限定されないが、例えば、摩砕メディアを有する摩砕装置を用いて後述する第1の有機溶媒存在下でフレーク化する方法が採用できる。ここで、「フレーク化」とは、粒子状の金属粉末を摩砕装置などを用いてフレーク状(鱗片状)に変形することを意味する。
本工程において使用する摩砕装置については、特に種類は限定されず、従来公知の摩砕装置を好適に使用できる。たとえば、内部に回転アームを備えたアトライター型の摩砕装置、または円筒状のボールミルなどを好ましく用いることができる。
・摩砕メディア
摩砕メディアとしては、特に限定されず、鋼球、ステンレス球、ガラス球、セラミック球など種々の材質のものが使用できるが、比重と経済性の観点から、鋼を含む材質からなる球状メディアが好ましい。なお、用いる摩砕メディアは、球状であることが好ましいが、必ずしも真球状の摩砕メディアである必要は無く、実質的に球状の摩砕メディアであれば良い。
また、摩砕メディアの大きさは、最終的に得ようする金属フレークにより適宜選択すればよいが、たとえば、直径が0.3mm〜5.0mmの範囲であることが好ましい。摩砕メディアの量は、摩砕装置に投入する金属粉末の量に応じて適宜変化させればよい。
・金属粉末
金属フレークの元となる金属粉末は、樹脂成分よりも高い熱伝導率を有するものであればよく、その種類は特に限定されない。例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、鉄、ステンレスなどの金属粉末(これらの合金も含む)などが挙げられる。
金属粉末は、特に、20℃における熱伝導率が100W/m・K以上である金属粉末であることが好ましく、20℃における熱伝導率が200W/m・K以上である金属粉末であることがより好ましい。この中でも、安価で入手が容易でかつ比較的軽量で高い放熱性を有するアルミニウム粉末(アルミニウムの合金を含む)がよい。アルミニウム粉末を用いた場合、最終的に得られる外科用固定材の重量やコストの増加を抑えることができる。
金属粉末は、どのような製法で得られたものでも使用可能であるが、入手のしやすさまたはコストから、従来公知のアトマイズ法により得られるアトマイズド金属粉末であることが好ましい。
また金属粉末の形状も特に限定されず、球状、フレーク状(偏平状)、板状、涙滴状、針状、粒状、板状のものが例示できる。
金属粉末の平均粒径は特に限定されないが、メジアン径(D50)で5〜100μmの範囲内が好ましい。
平均粒径が5μmを下回ると、粉体の取り扱いが容易ではなくなるからである。また平均粒径が100μmを上回ると、フレーク化後の金属フレークの平均粒径が大きくなって外科用固定材の表面から金属フレークの突き出しが生じたり、樹脂成分内に均等に分散されにくくなり、過熱の恐れもあるため、外科用固定材に所望の熱伝導性を与えにくくなるからである。なお、金属粉末の平均粒径は、レーザー回折法などの公知の粒度分布測定法により測定できる。
・第1の有機溶媒
本工程において使用する第1の有機溶媒としては、特に限定されず、従来公知の有機溶媒を使用可能であるが、たとえば、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、パラフィンなどの炭化水素系溶剤や、アルコール系、エーテル系、エステル系の溶剤などが使用できる。一般的には、磨砕時の溶媒への引火性などの安全上の問題を配慮して、高沸点の炭化水素系溶剤が好適に使用される。
ただし、最終的に得られる外科用固定材の臭気をより低減させるには、これらの有機溶媒として、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒を用いることが好ましく、その中でもノルマル−パラフィン系、イソ−パラフィン系、ナフテン系の炭化水素系溶剤がより好ましい。
第1の有機溶媒は、フレーク化の際に金属粉末の粉塵が発生したり、空気中の酸素と反応して発火することを抑える役割を果たす。
・フレーク化助剤
本工程において、金属粉末のフレーク化は、フレーク化助剤を用いて行われる。フレーク化助剤としては、炭素数12以上の1価の不飽和脂肪酸を使用する。好ましくは、炭素数が16以上、より好ましくは18以上の1価の不飽和脂肪酸を使用する。
たとえば、ミリストレイン酸(炭素数14)、パルミトレイン酸(炭素数16)、サビエン酸、オレイン酸(炭素数18)、エライジン酸(炭素数18)、バクセン酸(炭素数18)、ガドレイン酸(炭素数18)、エイコセン酸(炭素数20)、アラキドン酸(炭素数20)、エルカ酸(炭素数22)、ネルボン酸(炭素数24)などの不飽和脂肪酸を挙げることができる。
使用するフレーク化助剤の量は、特に限定されないが金属粉末100重量部に対し、0.1〜20質量部の範囲が好ましい。この量が0.1質量部未満では金属フレークの凝集が生じることがあり、フレーク化するのに潤滑性が足りずに、金属フレークに千切れが生じたりして熱伝導性に影響を与える場合がある。一方で、フレーク化助剤が20質量部を超えると、外科用固定材とした場合に金属フレークの樹脂成分との密着性が悪くなり外科用固定材の強度が低下する場合がある。また、後の工程でフレーク化助剤除去工程を行う場合においては、十分にフレーク化助剤が除去できなくなるおそれがある。
フレーク化助剤を用いてフレーク化を行うことで得られた金属フレーク表面にはフレーク化助剤が付着する。
実施形態においては、上述のようなフレーク化助剤を使用することで、最終的に得られた外科用固定材の臭気の問題が低減する。
その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
不飽和脂肪酸は二重結合に由来する立体構造を有しており、二重結合の部分で分子構造が屈曲した状態となるため、同じ炭素数を有する直鎖構造の飽和脂肪酸に比べて嵩高い分子構造となっていると考えられる。通常、フレーク化助剤としてステアリン酸などの脂肪酸を用いて得られた金属フレークの表面には脂肪酸が付着(または吸着)している。この付着は、脂肪酸が金属フレーク表面に存在する酸化被膜中の水酸基(−OH基)または酸素(−O)に水素結合などの物理的な力で付着していると考えられている。そして、不飽和脂肪酸が金属フレーク表面に付着する場合は、同じ炭素数を有する飽和脂肪酸が付着する場合に比べて不飽和脂肪酸の嵩高い分子構造に起因して、金属フレーク表面への単位面積当たりの付着量が飽和脂肪酸の場合よりも少なくなることが考えられる。その結果、不飽和脂肪酸を用いることで臭気の問題が低減されると考えられる。
なお、フレーク化助剤に用いる不飽和脂肪酸を1価としたのは、1価の不飽和脂肪酸は工業的によく用いられており安価であり入手しやすく、また2価以上の不飽和脂肪酸は二重結合を多く含み酸化しやすいため、最終的に得られる外科用固定材に含まれた場合には経時で外科用固定材の強度などの特性に影響を与えるおそれがあるからである。また炭素数を12以上としたのは、炭素数が12を下回ると、金属粉末をフレーク化する際の潤滑性に劣るためフレーク化が不十分となるおそれがあり、さらには金属フレークに付着する脂肪酸は金属フレーク表面の酸化を防止する役割もあるが、脂肪酸の炭素数が低いため炭素鎖長が短くなるため、脂肪酸が金属フレーク表面に付着して被覆しても金属フレークの酸化を防止する性能が低下するおそれがあるからである。
・他の工程
金属フレーク準備工程では、金属粉末をフレーク化して金属フレークを得た後に、金属フレークを取り出すために、濾過操作またはスクリーン操作などの固液分離操作を行ってもよい。
たとえば、フレーク化の後にボールミル内の金属フレークを含むスラリーをミネラルスピリットで洗い出して振動スクリーンにかけ、通過したスラリーをヌッチェまたはフィルタープレスで固液分離し、金属フレーク(ただしフィルターケーキとして)を得る操作を行うことができる。ここで、「フィルターケーキ」とは、有機溶媒を除去した後に残る半固形の物質をいう。濾過操作またはスクリーン操作において、有機溶媒中から摩砕メディアを除くこともできる。なお、濾過操作またはスクリーン操作は、金属フレーク準備工程中に限らず、後述のフレーク化助剤除去工程においても適宜行うことも可能である。
上記のような工程を経て、金属フレーク準備工程にて金属フレークが得られる。
得られた金属フレークの平均粒径は特に限定されないが、メジアン径(D50)で5〜100μmの範囲内が好ましい。
平均粒径が5μmを下回ると、金属フレークの取り扱いが容易ではなくなるからである。また平均粒径が100μmを上回ると、外科用固定材の表面から金属フレークの突き出しが生じたり、樹脂成分内に均等に分散されにくくなり、過熱の恐れもあるため、外科用固定材に所望の熱伝導性を与えにくくなるからである。なお、金属フレークの平均粒径は、レーザー回折法などの公知の粒度分布測定法により測定できる。
また、アルミニウムフレークのような金属フレークは、その表面がケイ素、チタン、アルミニウム、などの金属の酸化物や同様の金属の水酸化物のような無機物による層や、樹脂や有機化合物などの有機物による層で被覆されているなどの表面処理がなされていてもよい。
このような表面処理がなされている場合、皮膚と直接接触する部分への汗などの水分付着による金属フレークの腐食やそれによる樹脂成分の変質を抑制することができる。また、患者が金属アレルギーを有している場合には、そのような表面処理がなされていれば皮膚と金属フレークとの直接的な接触を防ぐことができ、金属アレルギーの発症を抑制することが可能となる。さらには、臭気も低減することが可能となる。
<成型工程>
本工程は、金属フレークと前記樹脂成分とを混合して基材を成型する工程である。この工程により、所望の形状の外科用固定材を得ることができる。金属フレークと樹脂成分とを混合して基材を成型することで、外科用固定材の熱伝導性が向上する。
・樹脂成分
樹脂成分の種類は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の場合、熱を加えることで人体の患部に沿わせて変形させることが容易であり、かつ固化した後には形状が維持されやすいため、扱いやすく好ましい。
このような樹脂としては、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのポリエステル系生分解樹脂、生分解系を除くポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂が例示でき、これらの樹脂が混合したものであってもよい。
基材中の樹脂成分の含有量は、特に限定されないが、50〜95重量%の範囲内が好ましい。
含有量が50重量%を下回ると、外科用固定材が脆くなって患部に沿わせた際に割れや折れが生じやすくなる。また含有量が95重量%を上回ると、後述する熱伝導性粉末を配合しても、外科用固定材の熱伝導性の向上率が望めなくなるからである。なお、樹脂成分そのものの熱伝導率は非常に低く、0.1〜0.5W/m・Kである。
熱可塑性樹脂の融点は特に限定されないが、外科用固定材が一般的な温度の湯により軟化するように調整しておくと、取扱いが容易であることから、融点は40〜90℃の範囲内であることが好ましい。
なかでも、ポリカプロラクトンが50〜80℃程度の範囲内の湯で簡単に熱変形し、かつ冷却し固化した後は変形しにくいため、特に好ましい。
金属フレークは、外科用固定材の熱伝導性を向上させるために、樹脂成分に含有される。
金属フレークは、樹脂成分よりも高い熱伝導率を有するものであればよく、その種類は特に限定されない。例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、鉄、ステンレスなどの金属粉末(これらの合金も含む)をフレーク化したものなどが挙げられる。
基材中の金属フレークの含有量は特に限定されないが、5〜50重量%の範囲内が好ましい。さらには、10〜30重量%の範囲内であることがより好ましい。特に10〜30重量%の範囲内であれば、外科用固定材に含有させた場合に、使用上問題の無い範囲内で成型性、熱伝導性、柔軟性の全ての点を程よく満足することが可能となる。
含有量が5重量%を下回ると、外科用固定材の熱伝導性の向上率が低くなるからである。また含有量が50重量%を上回ると、外科用固定材の重量が増加し、また外科用固定材が脆くなって患部に沿わせた際に割れや折れが生じやすくなるからである。
金属フレークを樹脂成分に混合させる際には、金属フレーク単体で混合させてもよいし、取り扱いを容易にするため、成型工程に先立ち、あらかじめキャリア樹脂中に金属フレークを含有させてマスターバッチ化したもの用いて樹脂成分と混合させてもよい。
キャリア樹脂の種類は特に限定されないが、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンワックスなどのポリエチレンが例示できる。マスターバッチ中の熱伝導性粉末の含有量も特に限定されないが、60〜80重量%の範囲内が例示できる。
金属フレークと樹脂成分との混合方法は特に限定されず、公知のどのような方法も採用できる。たとえば、金属フレーク(あるいは金属フレークを含むマスターバッチ)と樹脂成分とを押出機や万能攪拌機等により加熱しながら混練する方法が採用できる。このようにして混合したものを射出成型、カレンダ成型、押出成型、ブロー成型、シート成型等の従来公知の各種成型装置に供して所望の形状に成型することができる。また、混合と成型は一工程で行ってもよい。たとえば、射出成型、カレンダ成型、押出成型、ブロー成型等の従来公知の各種成型方法に用いられる成型装置に成型用原料として金属フレーク(あるいは金属フレークを含むマスターバッチ)と樹脂成分とを投入し混錬してそのまま同装置にて成型するという方法が採用できる。
混合や成型に際しての温度も特に限定されないが、通常は用いられる樹脂成分の融点よりも高い温度が採用される。本工程においては、90〜180℃の範囲とすることが好ましい。また、本工程における混合時間は、樹脂成分が金属フレークと均一に分散する限り特に限定されないが、通常は0.5〜10時間とすることが好ましい。
<本発明の製造方法における第2の実施形態>
次に、本発明の製造方法における第2の実施形態について説明する。
本発明の製造方法の第2の実施形態は、樹脂成分と当該樹脂成分よりも熱伝導性の高い熱伝導性粉末として金属フレークを含有させてなる基材を用いた外科用固定材の製造方法であって、
(1)フレーク化助剤を用いて金属粉末を第1の有機溶媒が存在する湿式条件下でフレーク化して得られた、フレーク化助剤が表面に付着した金属フレークを準備する金属フレーク準備工程と、
(2)金属フレークと前記樹脂成分とを混合して基材を成型する成型工程と、を少なくとも備え、
前記金属フレーク準備工程において用いる第1の有機溶媒は、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒である、外科用固定材の製造方法である。ここで前記の金属フレーク準備工程および成型工程を含む限り、他の工程の存在は排除されるものではない。
<金属フレーク準備工程>
本工程は、フレーク化助剤を用いて金属粉末を第1の有機溶媒が存在する湿式条件下でフレーク化して得られた、フレーク化助剤が表面に付着した金属フレークを準備する工程である。
本工程の説明においては、・フレーク化方法およびフレーク化装置(摩砕方法および摩砕装置)、・摩砕メディア、・金属粉末、は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
第1の実施形態と異なる点は以下に述べる点にある。
・第1の有機溶媒
本工程において使用する第1の有機溶媒としては、第1の実施形態の場合と異なり、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒に限定される。これは、最終的に得られる外科用固定材の臭気をより低減させるには、これらの有機溶媒として、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒が有効であるためである。その中でもノルマル−パラフィン系、イソ−パラフィン系、ナフテン系の炭化水素系溶剤がより好ましい。
第1の有機溶媒は、フレーク化の際に金属粉末の粉塵が発生したり、空気中の酸素と反応して発火することを抑える役割を果たす。
その中で好ましい有機溶媒はパラフィン系炭化水素であり、特に好ましいのはイソパラフィン系炭化水素である。
芳香族系炭化水素は特有の臭いがあり、金属フレークの摩砕溶剤としては高沸点のものを使用するのが好ましく、後述する成型工程にて金属フレークを配合する際に金属フレークがペースト状で配合される場合には第1の有機溶媒が残っていると、この第1の有機溶媒も一緒に最終的に得られる外科用固定材中に取り込まれてしまう。
この場合、第1の有機溶媒として芳香族系炭化水素を含んでいると、外科用固定材からこの芳香族系炭化水素が揮発等により外部へ出ることが臭気の一要因であると推察される。一方で、第1の有機溶媒として芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒を用いた場合には、この有機溶媒そのものが芳香族系炭化水素に比して嫌な臭気を持たないため、仮に外科用固定材からこの有機溶媒が揮発等により外部へ出たとしても臭気を感じずに嫌な臭気の発生が抑えられ、臭気低減の一要因となると推察される。
もちろん、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒の中でも溶剤臭を放つものが存在はするが、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒の中でもイソパラフィン系炭化水素は比較的揮発性が高いため、後述する成型工程時の加熱によりその大部分は揮発して無くなるため、臭気低減に特に効果を奏する。
・フレーク化助剤
本工程において、金属粉末のフレーク化は、フレーク化助剤を用いて行われるが、第1の実施形態と異なり、使用されるフレーク化助剤としては、従来公知のものが使用可能である。
たとえば、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘニン酸などの飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸を挙げることができる。また、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミドなどの脂肪族アミドを挙げることができる。また、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの脂肪族アルコールも挙げることができる。さらに、ラウリン酸メチル、オレイン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピルなどの脂肪酸と脂肪酸アルコールとからなるエステルも挙げることができる。
使用するフレーク化助剤の量は、特に限定されないが金属粉末100重量部に対し、0.1〜20質量部の範囲が好ましい。この量が0.1質量部未満では金属フレークの凝集が生じることがあり、フレーク化するのに潤滑性が足りずに、金属フレークに千切れが生じたりして熱伝導性に影響を与える場合がある。一方で、フレーク化助剤が20質量部を超えると、後の工程であるフレーク化助剤除去工程において十分にフレーク化助剤が除去できなくなるおそれがある。本工程でフレーク化助剤を用いてフレーク化を行うことで得られた金属フレーク表面にはフレーク化助剤が付着することなる。
ただし、フレーク化助剤としては、炭素数12以上の1価の不飽和脂肪酸を使用することが好ましい。その中でも好ましくは、炭素数が16以上、より好ましくは18以上の1価の不飽和脂肪酸がよい。
たとえば、ミリストレイン酸(炭素数14)、パルミトレイン酸(炭素数16)、サビエン酸、オレイン酸(炭素数18)、エライジン酸(炭素数18)、バクセン酸(炭素数18)、ガドレイン酸(炭素数18)、エイコセン酸(炭素数20)、アラキドン酸(炭素数20)、エルカ酸(炭素数22)、ネルボン酸(炭素数24)などの不飽和脂肪酸を挙げることができる。使用するフレーク化助剤の量は、特に限定されないが金属粉末100重量部に対し、0.1〜20質量部の範囲が好ましい。この量が0.1質量部未満では金属フレークの凝集が生じることがあり、フレーク化するのに潤滑性が足りずに、金属フレークに千切れが生じたりして熱伝導性に影響を与える場合がある。一方で、フレーク化助剤が20質量部を超えると、後の工程であるフレーク化助剤除去工程において十分にフレーク化助剤が除去できなくなるおそれがある。本工程でフレーク化助剤を用いてフレーク化を行うことで得られた金属フレーク表面にはフレーク化助剤が付着する。このフレーク化助剤を使用することで理由は定かではないが最終的に得られた外科用固定材の臭気の問題が低減する。
・他の工程
本工程において、適宜他の工程を追加してもよく、その工程は、第1の実施形態の金属フレーク準備工程で述べた他の工程と同様であるため、説明は省略する。
<成型工程>
本工程は、金属フレークと前記樹脂成分とを混合して基材を成型する工程である。この工程により、所望の形状の外科用固定材を得ることができる。金属フレークと樹脂成分とを混合して基材を成型することで、外科用固定材の熱伝導性が向上する。本工程の詳細は、第1の実施形態で述べたのと同様であるため説明は省略する。
以上が、第1の実施形態および第2の実施形態の詳細であるが、両実施形態では金属フレーク準備工程の後にさらに下記に示すフレーク化助剤除去工程を行ってもよい。
<フレーク化助剤除去工程>
本工程は、金属フレーク準備工程で得られた金属フレークと、芳香族系炭化水素を含まない第2の有機溶媒とを混合することで、前記金属フレーク表面からフレーク化助剤(第1の有機溶媒が芳香族系炭化水素を含む有機溶媒の場合は第1の有機溶媒も)を取り除くフレーク化助剤除去工程である。
本工程により、金属フレーク準備工程により金属フレーク表面に付着したフレーク化助剤(第1の有機溶媒が芳香族系炭化水素を含む溶媒の場合は第1の有機溶媒も)を取り除くことができ、その結果、最終的に得られる外科用固定材の臭気を低減することが可能となる。
・金属フレークと第2の有機溶媒の混合方法
本工程における、金属フレークと第2の有機溶媒とを混合する方法は特に限定されない。たとえば、金属フレーク準備工程で得られた粉体状の金属フレーク(フレーク化助剤が表面に付着した状態)または、第1の有機溶媒を含むスラリー状もしくはペースト状の金属フレーク(フレーク化助剤が表面に付着した状態)と第2の有機溶媒とをスラリー状もしくはペースト状となるように添加して攪拌機または混錬機などで混合することが挙げられる。
そして、混合後に、金属フレークを取り出すために、濾過操作またはスクリーン操作などの固液分離操作を行うことが好ましい。この固液分離操作は、第1の実施形態および第2の実施形態の金属フレーク準備工程で例示したのと同様の方法で行うことができ、たとえば、第2の有機溶媒と混合した後の金属フレークを含むスラリーまたはペーストを第2の有機溶媒で洗い出して振動スクリーンにかけ、通過したスラリーをパンフィルターで固液分離し、金属フレークを得る操作を行うことができる。また、金属フレークと第2の有機溶媒の混合と固液分離操作は複数回行ってもよい。
・第2の有機溶媒
本工程において使用する第2の有機溶媒としては、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒であれば特に限定されず、前記<本発明の製造方法における第2の実施形態>にて述べた第1の有機溶媒と同様のものが使用可能である。
ただし、第1の有機溶媒に比して、フレーク化助剤を溶解しやすいものが好ましい。最終的に得られる外科用固定材の臭気をより低減させるには、第1の有機溶媒にも、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒を用いることが好ましい。その中でもノルマル−パラフィン系、イソ−パラフィン系、ナフテン系の炭化水素系溶剤がより好ましい。
金属フレーク準備工程において第1の有機溶媒としてミネラルスピリッツのように芳香族系炭化水素を含む有機溶媒を用いた場合には、フレーク化助剤除去工程を行うことで金属フレーク表面に付着したフレーク化助剤と芳香族系炭化水素を含む第1の有機溶媒を取り除くことが可能となる。また、第1の有機溶媒として芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒を用いた場合には、フレーク化助剤除去工程を行うことで金属フレーク表面に付着したフレーク化助剤を取り除くことが可能となる。
なお、フレーク化助剤除去工程においては、フレーク化助剤(および芳香族系炭化水素を含む第1の有機溶媒)が完全に除去されている必要はなく、最終的に得られる外科用固定材の臭気が十分に低減される程度であれば残っていてもよい。
次に本発明の実施例および比較例を挙げて本発明の内容を一層明確にする。
<実施例1>
以下に示すように、本発明の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
(金属フレーク準備工程)
円筒状ボールミルの中に、摩砕メディアとして鋼球、金属粉末としてアルミニウム粉末、第1の有機溶媒としてミネラルスピリッツ、フレーク化助剤としてオレイン酸をそれぞれ投入して最終的に得られるアルミニウムフレークの平均粒径が10μmとなるようにフレーク化することで、金属フレークとしてのアルミニウムフレークを含むスラリーを得た。
次いで、このスラリーをミネラルスピリッツを用いてボールミル内から洗い出し、振動スクリーンにかけ、通過したスラリーをパンフィルターで固液分離することによりオレイン酸が表面に付着したアルミニウムフレークのフィルターケーキを得た。
(フレーク化助剤除去工程)
このオレイン酸が表面に付着したアルミニウムフレークと、第2の有機溶媒としてイソパラフィン系炭化水素とを攪拌機で混合した後、振動スクリーンにかけ、通過したスラリーをパンフィルターで固液分離することによりアルミニウムフレークのフィルターケーキを得た。
このフィルターケーキを低密度ポリエチレンとポリエチレンワックスの混合物であるキャリア樹脂と混合することでアルミニウムフレークを含有するマスターバッチを準備した。
マスターバッチに含有するアルミニウム粉末の平均粒径は、10μmであり、キャリア樹脂は低密度ポリエチレンとポリエチレンワックスの混合物であり、マスターバッチ中のアルミニウム粉末の含有量は、70重量%である。
(成型工程)
樹脂成分として、Perstorp社製の熱可塑性ポリカプロラクトン「CapaTM6800」を準備した。
ここで「CapaTM6800」は分子量が120000g/mol、メルトフローインデックス(MFI)が160℃で7.3dg/min、融点が58〜60℃である。
金属フレーク準備工程で得られたアルミニウムフレークを含むマスターバッチ20質量%(アルミフレーク分:14質量%、キャリア樹脂分:6質量%)および樹脂成分80質量%を用いて、汎用されている射出成型機により成型温度170℃にて、100mm×100mm×2.0mmの寸法の成型物のサンプルを作製することで本発明の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
<実施例2>
以下に示すように、本発明の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
フレーク化助剤除去工程において、第2の有機溶媒としてパラフィン系炭化水素を用いたとともに、成型工程において、アルミニウムフレークを含むマスターバッチ40質量%(アルミフレーク分:28質量%、キャリア樹脂分:12質量%)および樹脂成分60質量%を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
<実施例3>
以下に示すように、本発明の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
成型工程において、アルミニウムフレークを含むマスターバッチ70質量%(アルミフレーク分:49質量%、キャリア樹脂分:21質量%)および樹脂成分30質量%を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
以上の実施例1から実施例3にて示す製造方法は、本発明の製造方法における第1の実施形態に相当するものである。
<実施例4>
以下に示すように、本発明の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
金属フレーク準備工程において、第1の有機溶媒としてミネラルスピリッツに代えてイソパラフィン系炭化水素、フレーク化助剤としてオレイン酸に代えてステアリン酸を用いて、最終的に得られるアルミニウムフレークの平均粒径が5μmとなるようにフレーク化した以外は、実施例1と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
<実施例5>
以下に示すように、本発明の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
金属フレーク準備工程において、第1の有機溶媒としてミネラルスピリッツに代えてイソパラフィン系炭化水素を用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
<実施例6>
以下に示すように、本発明の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
金属フレーク準備工程において、第1の有機溶媒としてミネラルスピリッツに代えてイソパラフィン系炭化水素を用いて、最終的に得られるアルミニウムフレークの平均粒径が30μmとなるようにフレーク化した以外は、実施例2と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
<実施例7>
以下に示すように、本発明の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
金属フレーク準備工程において、第1の有機溶媒としてミネラルスピリッツに代えてイソパラフィン系炭化水素を用いたとともに、フレーク化助剤除去工程において、第2の有機溶媒としてナフテン系炭化水素を用いた以外は、実施例3と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
以上の実施例4から実施例7にて示す製造方法は、本発明の製造方法における第1の実施形態に相当するものである。
<比較例1>
以下に示すように、従来の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
金属フレーク準備工程において、フレーク化助剤としてオレイン酸に代えてステアリン酸を用いて、最終的に得られるアルミニウムフレークの平均粒径が5μmとなるようにフレーク化したとともに、フレーク化助剤除去工程において、第2の有機溶媒としてミネラルスピリッツを用いた以外は、実施例1と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
<比較例2>
以下に示すように、従来の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
金属フレーク準備工程において、フレーク化助剤としてオレイン酸に代えてステアリン酸を用いて、最終的に得られるアルミニウムフレークの平均粒径が30μmとなるようにフレーク化したとともに、フレーク化助剤除去工程において、第2の有機溶媒としてイソパラフィン系炭化水素を用いた以外は、実施例2と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
<比較例3>
以下に示すように、従来の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
金属フレーク準備工程において、フレーク化助剤としてオレイン酸に代えてステアリン酸を用いたとともに、フレーク化助剤除去工程において第2の有機溶媒としてナフテン系炭化水素を用いた以外は、実施例3と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
<比較例4>
以下に示すように、従来の本発明の製造方法を用いて外科用固定材を得た。
実施例1の金属フレーク準備工程およびフレーク化助剤除去工程を行わずに成型工程にてアルミニウムフレークを含まずに樹脂成分のみ(含有量100質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様の工程を経て外科用固定材を得た。
<サンプルの評価結果>
・熱伝導性テスト
熱伝導性の評価には、測定装置としてカトーテック株式会社製「KES−F7」用い、定常熱伝導測定にて行った。具体的には、50mm×50mmに切り出したサンプルを20℃に設定した冷却板にのせ、30℃に調整したBT板を重ねる。
BT板の消費熱量が一定になった後、熱流量を測定する。この時の冷却板、BT板の温度および平均熱流量から熱伝導率を算出した。なお、測定は、室温20℃、相対湿度65±10%の条件下で行った。表1に熱伝導率の測定結果を示す。
・臭気テスト
臭気の評価は、官能試験法にて実施した。具体的には、サンプルを市販の2Lのポリエステル製臭い袋にいれ、ヒートシールにて空気を封入するための部分を除きふさぎ、その後空気を入れ、口部より空気が漏れないように密閉した。空気で満たされたサンプル入りのポリエステル袋を50℃に設定したオーブン内で4時間加温後、取り出し直後にポリエステル袋を開封し、4人の試験者が袋内の臭いを嗅いで評価を行った。
基準となる比較例を評価1(臭気が最も強い)とし、臭気が最もしない場合を5として5段階評価により判定した。4人の5段階評価での平均値が4以上を◎、平均値が3以上4未満を○、平均値が2以上3未満を△、平均値が1以上2未満を×とした。その結果を表1に示す。
Figure 2018042721
表1に示すように、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態に相当する製造方法によれば、従来の製造方法に比べて、熱伝導性は維持しつつ臭気が低減されていることがわかる。
特に本発明の第2の実施形態に相当する実施例4から実施例7のうち、フレーク化助剤として炭素数12以上の1価の不飽和脂肪酸を用いた製造方法により得られた外科用固定材は臭気が大幅に低減されている。
なお、比較例1から3においてもフレーク化助剤除去工程を行っているにもかかわらず臭気が×となっているのは、理由は定かではないが、不飽和脂肪酸ではないステアリン酸をフレーク化助剤として用いているため、比較例1から3で用いた第2の有機溶媒によってはフレーク化助剤および第1の有機溶媒が除去されにくくなったためと推察される。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、その範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。

Claims (11)

  1. 樹脂成分と当該樹脂成分よりも熱伝導性の高い熱伝導性粉末として金属フレークを含有させてなる基材を用いた外科用固定材の製造方法であって、
    (1)フレーク化助剤を用いて金属粉末を第1の有機溶媒が存在する湿式条件下でフレーク化して得られた、フレーク化助剤が表面に付着した金属フレークを準備する金属フレーク準備工程と、
    (2)金属フレークと前記樹脂成分とを混合して基材を成型する成型工程と、を少なくとも備え、
    前記金属フレーク準備工程において用いるフレーク化助剤が、炭素数12以上の1価の不飽和脂肪酸である、外科用固定材の製造方法。
  2. 前記フレーク化助剤は、オレイン酸である、請求項1に記載の外科用固定材の製造方法。
  3. 樹脂成分と当該樹脂成分よりも熱伝導性の高い熱伝導性粉末として金属フレークを含有させてなる基材を用いた外科用固定材の製造方法であって、
    (1)フレーク化助剤を用いて金属粉末を第1の有機溶媒が存在する湿式条件下でフレーク化して得られた、フレーク化助剤が表面に付着した金属フレークを準備する金属フレーク準備工程と、
    (2)金属フレークと前記樹脂成分とを混合して基材を成型する成型工程と、を少なくとも備え、
    前記金属フレーク準備工程において用いる第1の有機溶媒は、芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒である、外科用固定材の製造方法。
  4. 前記第1の有機溶媒は、パラフィン系炭化水素である、請求項3に記載の外科用固定材の製造方法。
  5. 前記フレーク化助剤は、オレイン酸である、請求項3または4に記載の外科用固定材の製造方法。
  6. 前記金属フレーク準備工程後に、金属フレークと芳香族系炭化水素を含まない有機溶媒である第2の有機溶媒とを混合することで、金属フレーク表面に付着したフレーク化助剤を取り除くフレーク化助剤除去工程をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の外科用固定材の製造方法。
  7. 前記成型工程において、前記基材中の前記金属フレークの含有量は、5〜50重量%の範囲内である請求項1から6のいずれかに記載の外科用固定材の製造方法。
  8. 前記金属フレークの平均粒径(メジアン径)は、5〜100μmの範囲内である請求項1から7のいずれかに記載の外科用固定材の製造方法。
  9. 前記金属フレークは、アルミニウムフレークである、請求項1から8のいずれかに記載の外科用固定材の製造方法。
  10. 前記樹脂成分は、熱可塑性を有する請求項1から9のいずれかに記載の外科用固定材の製造方法。
  11. 前記熱可塑性を有する樹脂成分の融点は40〜90℃の範囲内である請求項10に記載の外科用固定材の製造方法。
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