JP2018039972A - 繊維強化樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、曲げ特性、耐衝撃性、相手材への傷つけ性を大幅に改良した繊維強化樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。【解決手段】本発明は、熱可塑性樹脂、炭素繊維および共重合芳香族ポリアミド繊維を含有し、炭素繊維の繊維長が0.1〜0.3mm、共重合芳香族ポリアミド繊維の繊維長が0.5〜5.0mmの範囲であることを特徴とする樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、低温から高温までの幅広い範囲で使用することができる繊維強化樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、部品同士が接触した場合に、相手材を傷つけることが少なく、動力伝達用の部品に用いることが可能である繊維強化樹脂組成物に関する。
繊維強化成形品は、軽量性、高度な機械物性、易加工性、耐食性などの優れた特長を有し、自動車部材など様々な産業用部材として利用されている。その具体例として、熱可塑性樹脂を、炭素繊維と有機繊維で補強した繊維強化樹脂成形品が挙げられる(例えば、特許文献1や特許文献2)。しかしながら、成形品中の炭素繊維の平均繊維長が0.3〜1.5mmと長いため、相手材への傷つけ性が高かった。そのため、相手材の硬質化処理対応が必要となり、コストアップにつながっていた。
特許第5633660号 特開2009−256827号公報
本発明の目的は、低温から高温の広い温度範囲での曲げ特性、耐衝撃性、相手材への傷つけ性を大幅に改良した繊維強化樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
本発明は、熱可塑性樹脂、炭素繊維および共重合芳香族ポリアミド繊維を含有し、炭素繊維の繊維長が0.1〜0.3mm、共重合芳香族ポリアミド繊維の繊維長が0.5〜5.0mmの範囲であることを特徴とする樹脂組成物である。また本発明は、上記樹脂組成物からなる成形品である。また本発明は、熱可塑性樹脂、炭素繊維および共重合芳香族ポリアミド繊維を溶融混練する工程を含む、上記樹脂組成物の製造方法である。また本発明は、上記樹脂組成物を、溶融し、成形する各工程を含む、成形品の製造方法である。
本発明の樹脂組成物は、剛性の高い炭素繊維と、共重合芳香族ポリアミド繊維とを含有するので、低温から高温の広い温度範囲での曲げ特性、耐衝撃性、相手材への傷つけ性に優れる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、炭素繊維および共重合芳香族ポリアミド繊維を含有し、炭素繊維の繊維長が0.1〜0.3mm、共重合芳香族ポリアミド繊維の繊維長が0.5〜5.0mmの範囲である。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ハロゲン化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリールスルホン樹脂、ポリアリールケトン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアリールエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイドスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらを2種以上用いることもできる。これらの中でも、低温から高温までの幅広い範囲で使用できる耐熱性の観点から、ポリアミド系樹脂やポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)が好ましい。
熱可塑性樹脂の融点は、200〜300℃であることが好ましく、さらには220〜260℃の範囲であることが好ましい。融点が高いほど、得られる繊維強化樹脂の耐熱性を高めることができるものの、高すぎると加工性は低下する傾向にある。
本発明においては、耐熱性や強度に優れるという点から、200℃以上の融点を有するポリアミド樹脂が特に有用である。その具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、ナイロン6、ナイロン66がより好ましい。
(炭素繊維)
炭素繊維として、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、気相成長系炭素繊維、これらの黒鉛化繊維などが挙げられる。
PAN系炭素繊維は、ポリアクリロニトリル繊維を原料とする炭素繊維である。ピッチ系炭素繊維は、石油タールや石油ピッチを原料とする炭素繊維である。セルロース系炭素繊維は、ビスコースレーヨンや酢酸セルロースなどを原料とする炭素繊維である。気相成長系炭素繊維は、炭化水素などを原料とする炭素繊維である。これらのうち、強度と弾性率のバランスに優れる点で、PAN系炭素繊維が好ましい。また、導電性を付与する目的では、ニッケル、銅またはイッテルビウムなどの金属を被覆した炭素繊維を用いることもできる。
炭素繊維の平均繊維径は特に限定されないが、成形品の力学特性と表面外観の観点から、1〜20μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。
また炭素繊維は、引張強度3000MPa以上、弾性率200GPa以上であることが好ましい。
炭素繊維の繊維長は0.1〜0.3mmであり、好ましくは0.15〜0.25mmである。炭素繊維の繊維長が0.1mm未満では、得られる繊維強化樹脂の曲げ弾性が低下する傾向にあり、0.3mmを超えると、相手材を傷つけやすくなる傾向にある。繊維強化樹脂中の単位体積あたりの炭素繊維の本数が少なくなるため、樹脂リッチな部分が存在する。そのため、相手材と接触するときに、炭素繊維側に応力が集中しやすくなり、傷つけやすくなる傾向にある。また炭素繊維のL/D{アスペクト比=繊維長さ(L)/繊維径(D)}は、10〜50であることが好ましく、20〜40であることがより好ましい。
また、炭素繊維の繊維長が0.1〜0.3mm、かつ、そのL/Dが10〜50にあることで、熱可塑性樹脂の単位体積あたりの炭素繊維の本数が多くなるため、局所的に応力を受けるような場合においても、機械特性が向上する。また、有機繊維に比べて、耐熱性が格段に高いので、低温から高温までの幅広い範囲で使用することができる。
炭素繊維とマトリックス樹脂である熱可塑性樹脂の接着性を向上する等の目的で、炭素繊維は表面処理されたものも好ましい。表面処理の方法としては、例えば、電解処理、オゾン処理、紫外線処理等を挙げることができる。
(共重合芳香族ポリアミド繊維)
本発明で用いる芳香族ポリアミド繊維とは、ポリアミドを構成する繰返し単位の80モル%以上好ましくは90モル%以上が、芳香族コポリアミドからなる繊維である。ここで繊維となる芳香族基は同一または相異なる芳香族基からなるものでも構わない。また、芳香族基の水素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基で置換されていても良い。
本発明で用いる共重合芳香族ポリアミド繊維としては、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維が好ましい。共重合芳香族ポリアミド繊維として、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタラミド繊維を用いることにより、耐衝撃性を向上させることができる。また共重合芳香族ポリアミド繊維は、炭素繊維に比べて剛性も低いので、相手材への攻撃性を少なくすることができる。コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維として、例えば、帝人テクノプロダクツ(株)製、「テクノーラ」が例示される。
共重合芳香族ポリアミド繊維の繊維長は、0.5〜5.0mmであり、好ましくは1.0〜3.0μmである。繊維長が0.5mm未満では得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、5.0mmを超えると、樹脂組成物の破断時の断面積あたりの共重合芳香族ポリアミド繊維の本数が少なくなるため、やはり耐衝撃性が低下する傾向にある。
共重合芳香族ポリアミド繊維の総繊度は、800〜25,000dtexであることが好ましい。また共重合芳香族ポリアミド繊維束の表面にあらかじめポリウレタン樹脂が1〜20重量%付着していることが好ましい。
共重合芳香族ポリアミド繊維の集束体の単繊維繊度は、0.1〜5.5dtex、好ましくは0.3dtex〜2.5dtexの範囲である。0.1dtex未満の場合は製糸技術上困難な点が多く、断糸や毛羽が発生して良好な品質の繊維を安定して生産することが困難になるだけでなく、コストも高くなるため好ましくない。一方、5.5dtexを超えると繊維の機械的物性、特に強度低下が大きくなり、かつ繊維強化樹脂成形体とした時に、成形体中に均一に繊維を分散させることが困難となるため好ましくない。
共重合芳香族ポリアミド繊維の集束体の集束剤として使用するポリウレタン樹脂は100%モジュラスが好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは0.5〜5MPa、さらに好ましくは0.5〜3.0MPaである。
また、ポリウレタン樹脂の付着量は、共重合芳香族ポリアミド繊維の全重量に対して1〜20重量%であることが必要である。好ましくは2〜19重量%、更に好ましくは3〜18重量%である。付着量が1重量%未満の場合、短繊維の集束性が不十分となり、ばらけ易く、ハンドリング性が悪化したり、樹脂ペレットと混合する工程において容易に短繊維集束体が開繊し、繊維塊状物が発生するなどの問題が生じ、また、付着量が20重量%を超えると、製造が困難となるため好ましくない。
集束剤を付与した共重合芳香族ポリアミド繊維の集束体の乾燥方法としては、加熱した金属ロール等に接触させる方法、非接触のヒーター中に通す方法、高温のスチームを付与する方法等が挙げられる。また、円柱形状の短繊維集束体を得やすくする為に、乾燥工程の前に円形のノズルガイドを通しても良い。また円柱状の穴を有する加熱された金型に通しても良い。いずれの方法を用いる場合でも温度は120℃〜200℃、滞留時間0.05〜10分の条件で乾燥させることが好ましい。集束剤の付着量に応じて適宜調整した上で条件は設定することが必要である。
またカットの方法としては、共重合芳香族ポリアミド繊維の切断が可能ないずれのカッターを用いてカットしてもよく、具体的にはロータリーカッター、ギロチンカッター等を用いてカットすればよい。
共重合芳香族ポリアミド繊維とポリアミド系樹脂とを複合することにより、製造時の取扱性が良好で、成形体中で繊維が均一に分散・配置され、機械的強度にも優れた樹脂組成物を得ることができる。
この共重合芳香族ポリアミド繊維は、その主たる繊維の直径の8%未満の太さのフィブリル繊維を含有するものであることが好ましい。樹脂組成物中に最終的にこのようなフィブリル繊維を有していることにより、機械強度とともに耐摩耗性に非常に優れた樹脂組成物となる。このようなフィブリル繊維は、物理的な力によって繊維が繊維軸方向に裂けて細繊度の繊維成分が生じ、フィブリル化しているものである。
なお、融点が低い繊維では、熱可塑性樹脂との溶融混練工程において、熱で容易に溶解するため、樹脂組成物中ではフィブリル繊維は発生しない。また炭素繊維のような無機繊維では、主たる繊維の直径の8%未満の太さとなるような細いフィルリルとならない。物理的な力によって、容易に折損して粉砕されるからである。
フィブリル繊維の直径としては、せいぜいフィブリル化を生じた太い繊維の直径の8%未満の直径であって、さらには5%未満の直径のフィブリル繊維であることが好ましい。あるいはフィブリル繊維の直径が1μm未満、さらには0.05〜0.6μmの範囲にあることが好ましい。
またこのようなフィブリル繊維の存在量としては、繊維10mmあたり100本以下であることが好ましい。さらには繊維10mmあたり1〜10本、特には1〜5本の範囲であることが好ましい。ここでフィブリル繊維の測定法は、樹脂組成物からマトリックス樹脂を溶解除去した後、取りだした繊維を電子顕微鏡像にて500倍に拡大し、10本の繊維を選択し、各繊維1000μmずつフィブリル繊維の本数を測定して合計したものである(1000μm×10本=10mm)。
さらに本発明の樹脂組成物では、上記のフィブリル化が繊維の一部のみに発生し、大半の繊維が元の繊維形状を保っていることが好ましい。より具体的には、フィブリル化した元の繊維、すなわちフィブリル繊維以外の有機繊維(以下、「主体繊維」ということがある)が、そのフィブリル化前、あるいは加工前の繊維直径の95%以上の直径であることが好ましい。さらには97〜99.5%の範囲にあることが好ましい。
主体繊維が細すぎたり、存在比率が少なすぎたりした場合、樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にある。一方、主体繊維の比率が多すぎても得られる樹脂組成物の耐摩耗性が低下する傾向にある。
また、主体繊維の直径は1〜50μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。主体繊維の直径が細すぎると得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にあり、太すぎると単位体積あたりの主体繊維の本数が少なくなるため、耐衝撃性が低下する傾向にある。
(繊維含有率)
樹脂組成物中の繊維含有率は、熱可塑性樹脂、炭素繊維および共重合芳香族ポリアミド繊維の合計100重量部に対して、炭素繊維を5〜30重量部、共重合芳香族ポリアミド繊維を1〜20重量部含むことが好ましい。炭素繊維を10〜20重量部、共重合芳香族ポリアミド繊維を5〜15重量部含むことがより好ましい。共重合芳香族ポリアミド繊維が1重量部未満では、耐衝撃性を得ることができず、20重量部を超えると、共重合芳香族ポリアミド繊維を繊維強化樹脂中に均一に分散させることが困難になる。一方、炭素繊維が5重量部未満では、十分な曲げ特性を得ることができず、30重量部を超えると、相手材を傷つけやすくなる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂、炭素繊維および共重合芳香族ポリアミド繊維以外の他の成分を含有してもよい。他の成分の例としては、炭素繊維以外の無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤などが挙げられる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、炭素繊維および共重合芳香族ポリアミド繊維を溶融混練して製造することができる。
繊維の形態は、炭素繊維や共重合芳香族ポリアミド繊維を同時に加工する際の加工性の観点から、カットファイバー(短繊維)であることが好ましく、炭素繊維の繊維長は20〜100mmが好ましく、共重合芳香族ポリアミド繊維の繊維長は10〜60mmが好ましい。
さらにこのような共重合芳香族ポリアミド繊維は、溶融混練工程にてフィブリル繊維が適度に発生しやすく、特に得られた成形品同士が接触した場合にも相手材を傷つけることが少ない樹脂組成物となる。
<成形品>
本発明は、上記樹脂組成物からなる成形品を包含する。本発明の成形品は、摺動性に優れ、動力伝達用の部品として用いることができる。
<成形品の製造方法>
成形品は、上記樹脂組成物を、溶融し、成形して製造することができる。
成形方法としては、射出成形が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(1)繊維含有率
樹脂組成物1.0gを蟻酸(88%)に入れて、常温で24時間以上放置して、樹脂成分を溶解させた。これを濾過して、ギ酸を水洗し、105℃で2時間乾燥して、繊維含有率測定用の残渣とした。
まず残渣の重量を測定し、その後さらにこの残渣を、500℃で2時間加熱して、共重合芳香族ポリアミド繊維を灰化除去して、炭素繊維のみとした。この重量を測定し、炭素繊維の重量とした。共重合芳香族ポリアミド繊維の重量は、測定用の残渣から炭素繊維の重量を引くことで求めた。
(2)繊維長
上記(1)で得られた濾過後の繊維含有率測定用の残渣をシャーレに入れて、エタノールを加えて超音波で分散後、キーエンス社製光学顕微鏡を用いて、繊維長を測定した。共重合芳香族ポリアミド繊維と炭素繊維の繊維長は、各々400本測定して、各繊維長の平均を求めた。
(3)フィブリル繊維、主体繊維の測定方法
上記(1)で得られた濾過後の繊維含有率測定用の残渣について、電子顕微鏡を用いて、共重合芳香族ポリアミド繊維を500倍で観察した。そして10本の太い繊維(主体繊維)を選択し、それぞれの各主体繊維について長さ1000μmに存在するフィブリル繊維の本数と、主体繊維およびフィブリル繊維の太さをそれぞれ測定した。本数は主体繊維10mm当たりのフィブリル繊維の本数(長さ1000μm×10本=10mm)、太さは平均値とした。なおフィブリル繊維の本数は、長さ100μmあたり20本以上あるときは測定をそこで中止し、Max 2000本/10mmとした。
(4)炭素繊維のL/D
上記(2)で得られた繊維長を、炭素繊維の直径で割って、L/D(=繊維長/直径)を求めた。
(5)曲げ強度
樹脂組成物を十分に乾燥した後、ファナック製射出成形機(α−100iA)を用いて、樹脂温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル25秒の条件で、ISO準拠の試験片を作製した。前記成形片をISO178にしたがって、曲げ強度の測定を、常温(23℃)と高温(120℃)で行った。
(6)衝撃強度
上記(5)で作製した試験片を用いて、ISO 179にしたがって、シャルピー衝撃強度の測定を行った。
(7)相手材への傷つけ性
スラストシリンダー式摩耗試験法で実施した。得られた樹脂組成物から作製した試験片と、アルミ製筒とを、接触面圧:9.8MPa、滑り速度:0.35m/s、試験時間:10minの条件にてこすり合わせ、アルミ製筒の表面をレーザー顕微鏡にて計測した。表面の平均粗さが10μm未満を良好、平均粗さが10μm以上を不良と評価した。
(8)二軸押出機の工程通過性
二軸押出機を用いて、スクリュー回転数は250rpm、吐出量35kg/時間で溶融混練して押し出した溶融樹脂組成物が60分未満で切れた場合は不良と判断し、60分以上切れずに連続運転できた場合は良好と判断した。
[実施例1]
共重合芳香族ポリアミド繊維として、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人製「テクノーラT−200H」、繊維径12μm、繊度1,670dtex、繊維本数1000本)を、3本合わせてS方向に35回/mの撚りを加えた。次いで、ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業製「ボンディック8510」)をイオン交換水で固形分濃度20重量%に希釈した液に、この撚りコードを連続浸漬させて、温度150℃の乾燥機に1分間通し、処理剤付着量を13重量%の共重合芳香族ポリアミド繊維を得た。次いで、このアラミド繊維を、ギロチンカッターで3mm長にカットし、共重合芳香族ポリアミド繊維短繊維を得た。
また、炭素繊維として、炭素繊維チョップドストランド(東邦テナックス製「HT C605 6MM」、繊維長6mm、繊維径7μm)を、熱可塑性樹脂としてポリアミド6樹脂(ユニチカ製)を用いた。
次いで、熱可塑性樹脂としてポリアミド6(ユニチカ製)80重量部をクボタ社製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1を用いて計量し、スクリュー径26mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS)の主供給口に供給し、サイドフィーダーより共重合芳香族ポリアミド繊維12.5重量部と炭素繊維7.5重量部を供給し、溶融混練をおこなった。押出機のシリンダー温度は260〜290℃、スクリュー回転数は250rpm、吐出量は35kg/時間であった。
次いで、溶融樹脂組成物をダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを用いて、射出成形機を用いて成形品を作製して、この繊維含有率、繊維長、L/D、を求めた。また、曲げ強度(23℃、120℃)、衝撃強度、相手材への傷つけ性を評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
共重合芳香族ポリアミド繊維:炭素繊維:熱可塑性樹脂=5:10:85の組成(重量部)とし、実施例1と同様にして繊維強化樹脂を作製・評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
共重合芳香族ポリアミド繊維:炭素繊維:熱可塑性樹脂=20:0:80の組成(重量部)とし、実施例1と同様にして繊維強化樹脂を作製・評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
共重合芳香族ポリアミド繊維:炭素繊維:熱可塑性樹脂=0:20:80の組成(重量部)とし、実施例1と同様にして繊維強化樹脂を作製・評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
共重合芳香族ポリアミド繊維の代わりに、アラミド短繊維(パラフェニレンテレフタルアミド繊維、帝人製「トワロン1488」、繊維長6mm、繊維径12μm)を使用し、アラミド短繊維:炭素繊維:熱可塑性樹脂=25:0:75の組成(重量部)とし、実施例1と同様にして樹脂組成物を作製・評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2018039972
本発明の樹脂組成物は、低温から高温までの幅広い範囲で使用することができる。本発明の成形品は、成形品同士が接触した場合には相手材を傷つけることが少なく、動力伝達用の部品等に用いることができる。

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂、炭素繊維および共重合芳香族ポリアミド繊維を含有し、炭素繊維の繊維長が0.1〜0.3mm、共重合芳香族ポリアミド繊維の繊維長が0.5〜5.0mmの範囲であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 共重合芳香族ポリアミド繊維が、その主たる繊維の直径の8%未満の太さのフィブリル繊維を含有するものである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 共重合芳香族ポリアミド繊維のフィブリル繊維以外の主たる繊維の直径が、フィブリル化前の繊維の直径の95%以上である請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 樹脂組成物全体100重量部に対し、炭素繊維を5〜30重量部、共重合芳香族ポリアミド繊維を1〜20重量部含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 炭素繊維のL/D(アスペクト比)が、10〜50である請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 共重合芳香族ポリアミド繊維が、コポリパラフェニレン3,4’−オキシジフェニレンテレフタラアミド繊維である請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 熱可塑性樹脂の融点が200〜300℃である請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる成形品。
  9. 熱可塑性樹脂、炭素繊維および共重合芳香族ポリアミド繊維を溶融混練する工程を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を、溶融し、成形する各工程を含む、成形品の製造方法。
  11. 成形が射出成形である請求項10記載の成形品の製造方法。
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Citations (8)

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