JP2016190922A - 炭素繊維強化熱可塑性樹脂成形品および炭素繊維強化熱可塑性樹脂成形材料 - Google Patents

炭素繊維強化熱可塑性樹脂成形品および炭素繊維強化熱可塑性樹脂成形材料 Download PDF

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素羅 方
Su Luo Fang
素羅 方
祐樹 三辻
Yuki Mitsutsuji
祐樹 三辻
慎 平田
Shin Hirata
慎 平田
土谷 敦岐
Atsuki Tsuchiya
敦岐 土谷
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【課題】衝撃強度と熱伝導率および電気抵抗率のバランスに優れる繊維強化熱可塑性樹脂成形品を提供すること。【解決手段】(A)炭素繊維、(B)セラミックス系フィラーおよび(C)熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して、(A)炭素繊維1〜30重量部、(B)セラミックス系フィラー1〜40重量部および(C)熱可塑性樹脂30〜98重量部を含み、(A)炭素繊維の重量平均繊維長が300〜3000μmである繊維強化熱可塑性樹脂成形品。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維、セラミックス系フィラーおよび熱可塑性樹脂を含む繊維強化熱可塑性樹脂成形品および繊維強化熱可塑性樹脂成形材料に関する。さらに詳しくは、衝撃強度と熱伝導率および電気抵抗率のバランスに優れる繊維強化熱可塑性樹脂成形品と、かかる繊維強化熱可塑性樹脂成形品に適した繊維強化熱可塑性樹脂成形材料に関する。
強化繊維と熱可塑性樹脂を含む成形品は、軽量で優れた力学特性を有するために、スポーツ用品用途、航空宇宙用途および一般産業用途などに広く用いられている。これらの成形品に使用される強化繊維は、その用途によって様々な形態で成形品を強化している。これらの強化繊維には、アルミニウム繊維やステンレス繊維などの金属繊維、アラミド繊維やPBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維などの有機繊維、シリコンカーバイド繊維などの無機繊維や炭素繊維などが使用されているが、比強度、比剛性および軽量性のバランスの観点から炭素繊維が好適であり、その中でもポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が好適に用いられる。
炭素繊維が優れた比強度、比剛性を有することから、炭素繊維で強化された成形品は、優れた軽量性と衝撃強度を有する。このため、電子機器筐体や自動車部材などの様々な分野で広く用いられている。近年、これらの用途においては、使用時に搭載されている電子部品の性能向上により、部品あたりの発熱量が増大する傾向にある。そのため、筐体などの成形品において、軽量性と衝撃強度などの力学特性に加えて、熱伝導率の向上も求められている。さらに、電子機器筐体などの用途においては、高熱伝導率かつ静電気除去および帯電防止レベルの電気抵抗率を有する材料の需要も高まっている。
繊維分散性に優れた成形材料として、例えば、複合強化繊維束に熱可塑性樹脂が接着されている成形材料(例えば、特許文献1参照)が提案されている。しかしながら、前述した用途においては、熱伝導率や電気抵抗率が不十分である課題があった。一方、熱伝導率に優れる樹脂組成物として、ポリアリーレンスルフィド樹脂と、炭素繊維と、黒鉛やセラミックス系フィラーなどの熱伝導性充填材を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)や、高分子材料と、黒鉛化炭素繊維と、電気絶縁性の熱伝導率充填剤とで構成される熱伝導率シートおよび熱伝導率グリス(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
特開2012−56232号公報 特開2002−129015号公報 特開2002−88250号公報
一般に、金属や黒鉛などの高い熱伝導率を有する材料は、導電性が高く、静電気除去や帯電防止が求められる用途においては、電気抵抗率が低くなりすぎる場合がある。また、衝撃強度などの力学特性の向上には、強化繊維の繊維長を長くすることが有効であるが、特許文献2〜3に開示された技術においては、繊維長が短く、衝撃強度と熱伝導率および電気抵抗率のバランスが不十分であった。本発明は、従来技術の有する課題に鑑み、衝撃強度と熱伝導率および電気抵抗率のバランスに優れる繊維強化熱可塑性樹脂成形品を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形品は主として以下の構成からなる。
(A)炭素繊維、(B)セラミックス系フィラーおよび(C)熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して、(A)炭素繊維1〜30重量部、(B)セラミックス系フィラー1〜40重量部および(C)熱可塑性樹脂30〜98重量部を含み、(A)炭素繊維の重量平均繊維長が300〜3000μmである繊維強化熱可塑性樹脂成形品。
また、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形材料は主として以下の構成からなる。
(A)炭素繊維、(B)セラミックス系フィラーおよび(C)熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して、(A)炭素繊維1〜30重量部、(B)セラミックス系フィラー1〜40重量部、(C)熱可塑性樹脂30〜98重量部ならびに(D)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂および/または環状ポリフェニレンスルフィド0.1〜15重量部を含み、前記(A)炭素繊維に前記(D)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂および/または環状ポリフェニレンスルフィドを複合してなる(E)複合繊維束を少なくとも前記(C)熱可塑性樹脂により被覆して得られる成形材料。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形品は、炭素繊維の繊維長が長く、衝撃強度と熱伝導率および電気抵抗率のバランスに優れる。本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形品は、電気・電子機器、OA機器、家電機器、自動車の部品、内部部材および筐体などの各種部品・部材に極めて有用である。
本発明の成形材料の好ましい縦断面形態の一例を示す概略図である。 本発明の成形材料の好ましい横断面形態の一例を示す概略図である。 本発明の成形材料の好ましい横断面形態の一例を示す概略図である。 本発明における(E)複合繊維束の横断面形態の一例を示す概略図である。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形品(以下、「成形品」と記載する場合がある)は、少なくとも(A)炭素繊維、(B)セラミックス系フィラーおよび(C)熱可塑性樹脂を含む。(D)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂および/または環状ポリフェニレンスルフィドをさらに含むことが好ましい。
本発明における(A)炭素繊維は、比強度に優れるため、成形品の衝撃強度に寄与する。さらに、(C)熱可塑性樹脂に比べて高い熱伝導率を有しており、後述する(B)セラミックス系フィラーと併用することにより、熱伝導のパスが形成されやすくなることから、熱伝導率を大幅に向上させることができる。(A)炭素繊維としては、特に限定はされないが、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が好ましく、得られる成形品の衝撃強度と熱伝導率をより向上させる観点から、PAN系炭素繊維がさらに好ましい。
さらに、(A)炭素繊維としては、X線光電子分光法により測定される繊維表面の酸素(O)と炭素(C)の原子数の比である表面酸素濃度比[O/C]が0.05〜0.5であるものが好ましい。表面酸素濃度比が0.05以上であることにより、炭素繊維表面に十分な官能基量を確保でき、(C)熱可塑性樹脂とより強固な接着を得ることができることから、成形品の衝撃強度をより向上させることができる。0.08以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましい。一方、表面酸素濃度比の上限には特に制限はないが、炭素繊維の取扱い性、生産性のバランスから、一般的に0.5以下が好ましい。0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましい。
炭素繊維の表面酸素濃度比は、X線光電子分光法により、次の手順にしたがって求めるものである。まず、炭素繊維表面にサイジング剤などが付着している場合には、溶剤で炭素繊維表面に付着しているサイジング剤などを除去した炭素繊維束を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた後、X線源としてA1Kα1、2を用い、試料チャンバー中を1×10−8Torrに保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202eVに合わせる。C1sピーク面積をK.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1sピーク面積をK.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。
ここで、表面酸素濃度比とは、上記O1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出する。X線光電子分光法装置として、国際電気社製モデルES−200を用いる場合には、感度補正値を1.74とする。
表面酸素濃度比[O/C]を0.05〜0.5に調整する手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、電解酸化処理、薬液酸化処理および気相酸化処理などの手法を挙げることができ、中でも電解酸化処理が好ましい。
また、(A)炭素繊維の平均繊維径は特に限定されないが、成形品の力学特性と表面外観の観点から、1〜20μmが好ましく、3〜15μmがより好ましい。炭素繊維束とした場合の単繊維数には特に制限はないが、100〜350,000本が好ましく、生産性の観点から、20,000〜100,000本がより好ましい。
(A)炭素繊維と(C)熱可塑性樹脂の接着性を向上する等の目的で、(A)炭素繊維は表面処理されたものであってもかまわない。表面処理の方法としては、例えば、電解処理、オゾン処理、紫外線処理等を挙げることができる。
(A)炭素繊維の毛羽立ちを防止したり、(C)熱可塑性樹脂との接着性を向上するなどの目的で、(A)炭素繊維はサイジング剤で被覆されたものであってもかまわない。サイジング剤を付与することにより、炭素繊維表面の官能基等の表面特性を向上させ、接着性およびコンポジット総合特性を向上させることができる。
サイジング剤としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリエステル、乳化剤あるいは界面活性剤などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。サイジング剤は、水溶性または水分散性であることが好ましい。炭素繊維との濡れ性に優れるエポキシ樹脂が好ましく、多官能エポキシ樹脂がより好ましい。
多官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、(C)熱可塑性樹脂との接着性を発揮しやすい脂肪族エポキシ樹脂が好ましい。脂肪族エポキシ樹脂は、柔軟な骨格のため、架橋密度が高くとも靭性の高い構造になりやすい。炭素繊維/熱可塑性樹脂間に存在させた場合、柔軟で剥離しにくくさせるため、成形品の強度をより向上させることができる。
多官能の脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルエーテル化合物、ポリグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。ジグリシジルエーテル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル類、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル類、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類等が挙げられる。また、ポリグリシジルエーテル化合物としては、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、アラビトールポリグリシジルエーテル類、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類、トリメチロールプロパングリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂の中でも、3官能以上の脂肪族エポキシ樹脂が好ましく、反応性の高いグリシジル基を3個以上有する脂肪族のポリグリシジルエーテル化合物がより好ましい。脂肪族のポリグリシジルエーテル化合物は、柔軟性、架橋密度、マトリックス樹脂との相溶性のバランスがよく、接着性をより向上させることができる。これらの中でも、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル類、ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル類がさらに好ましい。
サイジング剤の付着量は、サイジング剤と(A)炭素繊維を含む炭素繊維束100重量%中、0.01〜10重量%が好ましい。サイジング剤付着量が0.01重量%以上であれば、(C)熱可塑性樹脂との接着性をより向上させることができる。0.05重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上がさらに好ましい。一方、サイジング剤付着量が10重量%以下であれば、(C)熱可塑性樹脂の物性をより高いレベルで維持することができる。5重量%以下がより好ましく、2重量%以下がさらに好ましい。
サイジング剤の付与手段としては特に限定されるものではないが、例えば、サイジング剤を溶媒(分散させる場合の分散媒含む)中に溶解(分散も含む)したサイジング処理液を調製し、該サイジング処理液を炭素繊維に付与した後に、溶媒を乾燥・気化させ、除去する方法が挙げられる。サイジング処理液を炭素繊維に付与する方法としては、例えば、ローラーを介して炭素繊維をサイジング処理液に浸漬する方法、サイジング処理液の付着したローラーに炭素繊維を接する方法、サイジング処理液を霧状にして炭素繊維に吹き付ける方法などが挙げられる。また、バッチ式、連続式いずれでもよいが、生産性がよくバラツキが小さくできる連続式が好ましい。この際、炭素繊維に対するサイジング剤の付着量が適正範囲内で均一になるように、サイジング処理液濃度、温度、糸条張力などを調整することが好ましい。また、サイジング処理液付与時に炭素繊維を超音波で加振させることはより好ましい。
乾燥温度と乾燥時間は化合物の付着量によって調整すべきであるが、サイジング処理液に用いる溶媒の完全な除去、乾燥に要する時間を短くし、一方、サイジング剤の熱劣化を防止し、サイジング処理された(A)炭素繊維が固くなって束の拡がり性が悪化することを防止する観点から、乾燥温度は、150℃以上350℃以下が好ましく、180℃以上250℃以下がより好ましい。
サイジング処理液に使用する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン等が挙げられるが、取扱いが容易である点および防災の観点から、水が好ましい。従って、水に不溶、もしくは難溶の化合物をサイジング剤として用いる場合には、乳化剤、界面活性剤を添加し、水分散して用いることが好ましい。具体的には、乳化剤、界面活性剤としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、オレフィン−無水マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリアクリル酸ソーダ等のアニオン系乳化剤、ポリエチレンイミン、ポリビニルイミダゾリン等のカチオン系乳化剤、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンエーテルエステル共重合体、ソルビタンエステルエチルオキサイド付加物等のノニオン系乳化剤等を用いることができるが、相互作用の小さいノニオン系乳化剤が、サイジング剤に含まれる官能基の接着効果を阻害しにくく好ましい。
また、本発明の成形品における(A)炭素繊維の含有量は、(A)〜(C)の合計100重量部に対して、1〜30重量部である。(A)炭素繊維の含有量が1重量部未満では、得られる成形品の衝撃強度が低下する。また、(A)炭素繊維は後述する(C)熱可塑性樹脂に比べて高い熱伝導率を有しているが、(A)炭素繊維の含有量が1重量部未満では、後述する(B)セラミックス系フィラーとの併用による熱伝導のパス形成の効果が低減するため、熱伝導率が低下する。3重量部以上が好ましく、5重量部以上がより好ましい。一方、(A)炭素繊維の含有量が30重量部を越えると、得られる成形品の剛性が高くなり、かえって衝撃強度が低下する。また、(A)炭素繊維は高い導電性を有するため、成形品の電気抵抗率が低下する。25重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましい。
本発明において、(B)セラミックス系フィラーは、熱伝導率が高く絶縁性を有するため、成形品の熱伝導率を向上させ、電気抵抗率をある程度大きくさせる効果を奏する。さらに、興味深いことに、(B)セラミックス系フィラーを含有することにより、後述する(A)炭素繊維の成形品における重量平均繊維長を長くすることができ、衝撃強度をより向上させることができることに加え、成形品の厚み方向の熱伝導率を高くすることができる。この理由については断定できないが、おそらく、(A)炭素繊維の周囲に(B)セラミックス系フィラーが存在することにより、成形時に(B)セラミックス系フィラーが剪断力を受けて剪断力を分散するため、(A)炭素繊維の折損を抑制し、(A)炭素繊維の重量平均繊維長を長くすることができるものと推定される。
(B)セラミックス系フィラーとしては、特に限定されないが、酸化物系フィラー、水酸化物系フィラー、炭化物系フィラー、窒化物系フィラーなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。酸化物系フィラーとしては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどにより構成されるフィラーが挙げられる。水酸化物系フィラーとしては、例えば、水酸化マグネシウムなどにより構成されるフィラーが挙げられる。炭化物系フィラーとしては、例えば、炭化ケイ素、炭化アルミニウムなどにより構成されるフィラーなどが挙げられる。窒化物系フィラーとしては、例えば、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどにより構成されるフィラーが挙げられる。これらの中でも、衝撃強度と熱伝導率および電気抵抗率のバランスの観点から、酸化物系フィラーおよび窒化物系フィラーが好ましい。
また、本発明における(B)セラミックス系フィラーの形状としては、特に限定されないが、無定型、球状、スパイク状、鎖状、ビーズ状、鱗状、鱗片状などが挙げられる。これらの中でも、後述する(A)炭素繊維の成形品における重量平均繊維長をより長くすることができ、衝撃強度をより向上させることができることに加え、成形品の熱伝導率をより向上させる観点から、(B)セラミックス系フィラーの形状は鱗片状がより好ましい。
本発明の成形品における(B)セラミックス系フィラーの熱伝導率は、40W/m・K以上であることが好ましい。(B)セラミックス系フィラーの熱伝導率が40W/m・K以上であれば、得られる成形品の熱伝導率を効果的に向上させることができる。50W/m・K以上が好ましい。
なお、(B)セラミックス系フィラーの熱伝導率の値は、例えば、“高熱伝導セラミックスフィラー/樹脂複合材料” Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan Vol. 14 (2007) No. 331に示されている。様々な熱伝導率を有する(B)セラミックス系フィラーが市販されており、本発明においては、それらの中から、所望の熱伝導率を有するものを選択して用いることができる。
また、本発明の成形品に用いられる原料としての(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径は、15μm以下が好ましい。(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径を15μm以下とすることにより、成形品の外観を向上させることができる。また、(A)炭素繊維と(B)セラミックス系フィラーの干渉を抑制して(A)炭素繊維の折損を抑制することができる。一方、(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径は5μm以上が好ましい。(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径を5μm以上とすることにより、熱伝導のパス形成を効率的に進めることができ、熱伝導率をより向上させることができる。
ここで、本発明における(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径は、(B)セラミックス系フィラーを光学顕微鏡で倍率200倍に拡大して観察し、観察画像上の1500μm×1500μm面積内で観察される(B)セラミックス系フィラーのうち、粒子径の大きいものから50個選択し、50個の粒子径を測定し、数平均値を求めることにより算出することができる。なお、観察画像上に観察される(B)セラミックス系フィラーが円形でない場合には、最大径を粒子径として測定する。様々な平均粒子径を有する(B)セラミックス系フィラーが市販されており、本発明においては、それらの中から、所望の平均粒子径を有するものを選択して用いることができる。
本発明における(B)セラミックス系フィラーのモース硬度は、4以下が好ましい。モース硬度が4以下であると、成形時の(B)セラミックス系フィラーと(A)炭素繊維との接触による(A)炭素繊維の折損をより抑制し、後述する(A)炭素繊維の成形品における重量平均繊維長をより長くすることができ、衝撃強度をより向上させることができる。
なお、各種フィラーのモース硬度の値は、例えば、”Mechanical Properties of Ceramics”, M. Shimada, M. Koizumi, Journal of the Society of Materials Science, Japan Vol. 32 (1983) No. 355に示されている。様々なモース硬度を有する(B)セラミックス系フィラーが市販されており、本発明においては、それらの中から、所望のモース硬度を有するものを選択して用いることができる。
また、本発明の成形品における(B)セラミックス系フィラーの含有量は、(A)〜(C)の合計100重量部に対して、1〜40重量部である。(B)セラミックス系フィラーの含有量が1重量部未満では、成形品の衝撃強度や熱伝導率が低下し、電気抵抗率も低下する。3重量部以上が好ましく、5重量部以上がより好ましい。一方、(B)セラミックス系フィラーの含有量が40重量部を越えると、成形品の剛性が高くなり、衝撃強度が低下する。また、成形時の粘度が高く成形性が低いため、(A)炭素繊維が折損しやすくなり、衝撃強度が低下する。35重量部以下がより好ましく、30重量部以下がさらに好ましい。
また、本発明の成形品における(A)炭素繊維の含有量に対する(B)セラミックス系フィラーの含有量の重量比((B)/(A))は、0.5〜3であることが好ましい。(B)/(A)を0.5以上とすることにより、熱伝導率と電気抵抗率とのバランスをより向上させることができる。0.7以上が好ましく、1以上がより好ましい。一方、((B)/(A))を3以下とすることにより、成形時の粘度を適度に抑えて(A)炭素繊維の折損をより抑制し、後述する(A)炭素繊維の成形品における重量平均繊維長をより長くすることができ、衝撃強度をより向上させることができる。2以下がより好ましい。
本発明において、(C)熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ハロゲン化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリールスルホン樹脂、ポリアリールケトン樹脂、ポリアリーレンエーテル樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアリールエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリーレンスルフィドスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリエステル、フッ素樹脂等が挙げられる。これらを2種以上用いることもできる。これらの樹脂は、末端基が封止または変性されていてもよい。
前記熱可塑性樹脂の中でも、電気・電子機器や自動車部品の用途に用いる場合には、耐熱性の観点から、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂がより好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料とする樹脂である。その主要原料としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂環族ジアミン、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明においては、耐熱性や強度に優れるという点から、200℃以上の融点を有するポリアミド樹脂が特に有用である。その具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリラウリルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン12/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン66/6I/6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの共重合体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
ポリアミド樹脂の重合度には特に制限はないが、成形時の流動性に優れ、薄肉の成形品が容易に得られることから、98%濃硫酸25mlにポリアミド樹脂0.25gを溶解した溶液の25℃で測定した硫酸相対粘度ηが1.5〜5.0の範囲であることが好ましく、2.0〜3.5の範囲がより好ましい。ここで、硫酸相対粘度ηは、樹脂濃度1g/100mlの98%硫酸溶液について、25℃の恒温槽内でオストワルド粘度計を用いて測定した流下速度から、98%硫酸に対する試料溶液の粘度比(流下秒数比)で表される。
本発明において、ポリカーボネート樹脂とは、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。2種以上の二価フェノールまたは2種以上のカーボネート前駆体を用いて得られる共重合体であってもよい。反応方法の一例として、界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。かかるポリカーボネート樹脂はそれ自体公知であり、例えば、特開2002−129027号公報に記載のポリカーボネート樹脂を使用できる。
二価フェノールとしては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン(ビスフェノールAなど)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールAが好ましく、衝撃強度により優れたポリカーボネート樹脂を得ることができる。一方、ビスフェノールAと他の二価フェノールを用いて得られる共重合体は、高耐熱性または低吸水率の点で優れている。
カーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが挙げられる。具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体からポリカーボネート樹脂を製造するにあたっては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化を防止する酸化防止剤などを使用してもよい。
また、本発明におけるポリカーボネート樹脂は、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよいし、芳香族または脂肪族(脂環族を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよいし、二官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂であってもよいし、かかる二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよい。これらのポリカーボネート樹脂も公知である。また、これらのポリカーボネート樹脂を2種以上用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は特定されないが、粘度平均分子量が10,000〜50,000のものが好ましい。粘度平均分子量が10,000以上であれば、成形品の強度をより向上させることができる。15,000以上がより好ましく、18,000以上がさらに好ましい。一方、粘度平均分子量が50,000以下であれば、成形加工性が向上する。40,000以下がより好ましく、30,000以下がさらに好ましい。ポリカーボネート樹脂を2種以上用いる場合、少なくとも1種の粘度平均分子量が上記範囲にあることが好ましい。この場合、他のポリカーボネート樹脂として、粘度平均分子量が50,000を超える、好ましくは80,000を超えるポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。かかるポリカーボネート樹脂は、エントロピー弾性が高く、ガスアシスト成形等を併用する場合に有利となる他、高いエントロピー弾性に由来する特性(ドリップ防止特性、ドローダウン特性、およびジェッティング改良などの溶融特性を改良する特性)を発揮する。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液から20℃で求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7 。
ポリカーボネート樹脂の溶融粘度は特定されないが、200℃における溶融粘度が10〜25000Pa・sであることが好ましい。200℃における溶融粘度が10Pa・s以上であれば、成形品の強度をより向上させることができる。20Pa・s以上がより好ましく、50Pa・s以上がさらに好ましい。一方、200℃における溶融粘度が25,000Pa・s以下であれば、成形加工性が向上する。20,000Pa・s以下がより好ましく、15,000Pa・s以下がさらに好ましい。
ポリカーボネート樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製“ユーピロン”(登録商標)、“ノバレックス”(登録商標)、帝人化成(株)製“パンライト”(登録商標)、出光石油化学(株)製“タフロン”(登録商標)などとして上市されているものを用いることもできる。
本発明において、ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンスルフィドスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトン樹脂、これらのランダムまたはブロック共重合体などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。中でもポリフェニレンスルフィド樹脂が特に好ましく使用される。
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法など、任意の方法によって製造することができる。
得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施してもよい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を加熱により架橋/高分子量化する方法としては、例えば、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。加熱処理温度は200〜270℃の範囲が好ましく、加熱処理時間は2〜50時間の範囲が好ましい。処理温度と処理時間を調整することによって、得られるポリマーの粘度を所望の範囲に調整することができる。加熱処理装置としては、通常の熱風乾燥機、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置などが挙げられる。効率よく、より均一に加熱処理する観点から、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いることが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合、加熱処理温度は200〜270℃の範囲が好ましく、加熱処理時間は2〜50時間の範囲が好ましい。減圧下で処理する場合、圧力は7,000Nm−2以下が好ましい。加熱処理装置としては、通常の熱風乾燥機、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置などが挙げられる。効率よく、より均一に加熱処理する観点から、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いることが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合、有機溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの有機溶媒のなかでも、N−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどが好ましく使用される。有機溶媒による洗浄の方法としては、例えば、有機溶媒中にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬せしめる方法などが挙げられる。必要により、適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒中でポリアリーレンスルフィド樹脂を洗浄する際の洗浄温度は、常温〜150℃が好ましい。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を熱水で洗浄する場合、熱水洗浄によるポリアリーレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水洗浄は、通常、洗浄によるポリアリーレンスルフィド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、所定量の水に所定量の熱水を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリアリーレンスルフィド樹脂と水との割合は、好ましくは水1リットルに対し、ポリアリーレンスルフィド樹脂200g以下の浴比が選択される。
ポリアリーレンスルフィド樹脂を酸処理する方法としては、例えば、酸または酸の水溶液にポリアリーレンスルフィド樹脂を浸漬せしめる方法などが挙げられる。必要により、適宜撹拌または加熱することも可能である。酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。これらの酸のなかでも、酢酸、塩酸が好ましく用いられる。酸処理を施されたポリアリーレンスルフィド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。洗浄に用いる水は、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の溶融粘度は、310℃、剪断速度1000/秒の条件下で80Pa・s以下であることが好ましい。下限については特に制限はないが、5Pa・s以上であることが好ましい。溶融粘度の異なる2種以上のポリアリーレンスルフィド樹脂を併用してもよい。なお、溶融粘度は、キャピログラフ(東洋精機(株)社製)装置を用い、ダイス長10mm、ダイス孔直径0.5〜1.0mmの条件により測定することができる。
ポリアリーレンスルフィド樹脂として、東レ(株)製“トレリナ”(登録商標)、DIC(株)製“DIC.PPS”(登録商標)、ポリプラスチックス(株)製“ジュラファイド”(登録商標)などとして上市されているものを用いることもできる。
また、本発明の成形品における(C)熱可塑性樹脂の含有量は、前記(A)〜(C)の合計100重量部に対して、30〜98重量部である。(C)熱可塑性樹脂の含有量が30重量部未満では、得られる成形品の衝撃強度が低下する。40重量部以上が好ましく、50重量部以上がより好ましい。一方、(C)熱可塑性樹脂の含有量が98重量部を越えると、得られる成形品の剛性が低下するほか、前記(A)炭素繊維および(B)セラミックス系フィラーの含有量が相対的に少なくなる。94重量部以下が好ましく、90重量部以下がより好ましい。
本発明の成形品は、前述した(C)熱可塑性樹脂に比べて溶融粘度が低い化合物を含有することが好ましく、射出成形時に、(A)炭素繊維の(C)熱可塑性樹脂への分散性を向上させることができる。(C)熱可塑性樹脂に比べて溶融粘度が低い化合物としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、環状ポリアリーレンスルフィドなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。以下、(D)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂および/または環状ポリアリーレンスルフィドをまとめて「成分(D)」と記載する場合がある。これらの化合物は、後述するように、成形材料において(A)炭素繊維とともに(E)複合繊維束を形成し、成形時に(C)熱可塑性樹脂を(A)炭素繊維に含浸させることを助け、また、(A)炭素繊維が(C)熱可塑性樹脂中に分散することを助ける、いわゆる含浸助剤、分散助剤としての役割を持つ。
成分(D)としては、(C)熱可塑性樹脂と親和性の高いものが好ましい。(C)熱可塑性樹脂との親和性が高い成分(D)を選択することによって、成形材料の製造時や成形時に、(C)熱可塑性樹脂と効率よく相溶するため、(A)炭素繊維の分散性をより向上させることができる。
本発明における成分(D)は、(C)熱可塑性樹脂との組み合わせに応じて適宜選択される。例えば、成形温度が150〜270℃の範囲であればテルペン樹脂が好適に用いられ、成形温度が270〜320℃の範囲であれば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、環状ポリアリーレンスルフィドが好適に用いられる。具体的には、(C)熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂である場合は、成分(D)はテルペン樹脂が好ましく、(C)熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂やポリアリーレンスルフィド樹脂である場合は、成分(D)はエポキシ樹脂、フェノール樹脂、環状ポリアリーレンスルフィドが好ましく、(C)熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である場合は、成分(D)はテルペンフェノール樹脂が好ましい。
前記成分(D)の200℃における溶融粘度は、0.01〜10Pa・sが好ましい。200℃における溶融粘度が0.01Pa・s以上であれば、成分(D)を起点とする破壊をより抑制し、成形品の衝撃強度をより向上させることができる。0.05Pa・s以上がより好ましく、0.1Pa・s以上がさらに好ましい。一方、200℃における溶融粘度が10Pa・s以下であれば、成分(D)を(A)炭素繊維の内部まで含浸させやすい。このため、本発明の成形材料を成形する際、(A)炭素繊維の分散性をより向上させることができる。5Pa・s以下がより好ましく、2Pa・s以下がさらに好ましい。ここで、成分(D)の200℃における溶融粘度は、40mmのパラレルプレートを用いて、0.5Hzにて、粘弾性測定器により測定することができる。
なお、後述の通り、(A)炭素繊維に成分(D)を付着させて(E)複合繊維束となすに際し、成分(D)を供給する際の溶融温度(溶融バス内の温度)は100〜300℃が好ましい。そこで、本発明においては、成分(D)の(A)炭素繊維への含浸性の指標として、成分(D)の200℃における溶融粘度に着目した。200℃における溶融粘度が上記の好ましい範囲であれば、かかる好ましい溶融温度範囲において、(A)炭素繊維への含浸性に優れるため、(A)炭素繊維の分散性がより向上し、成形品の衝撃強度をより向上させることができる。
本発明において、成分(D)の200℃における2時間加熱後の溶融粘度変化率は、2%以下が好ましい。ここで、溶融粘度変化率は、下記(1)式により求められる。
(溶融粘度変化率[%])={|(200℃にて2時間加熱後の200℃における溶融粘度−200℃にて2時間加熱前の200℃における溶融粘度)|/(200℃にて2時間加熱前の200℃における溶融粘度)}×100 − (1) 。
後述のとおり、(A)炭素繊維に成分(D)を付着させて(E)複合繊維束となすに際し、成分(D)を供給する際の溶融温度(溶融バス内の温度)は100〜300℃が好ましい。そこで、かかる溶融粘度変化率を2%以下にすることにより、長時間にわたり(E)複合繊維束を製造する場合においても、付着むらなどを抑制し、(E)複合繊維束の安定した製造を確保できる。溶融粘度変化率は、より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1.3%以下である。
なお、成分(D)の溶融粘度変化率は、次の方法により求めることができる。まず、40mmのパラレルプレートを用いて、0.5Hzにて、粘弾性測定器により200℃における溶融粘度を測定する。次いで、成分(D)を200℃の熱風乾燥機に2時間静置した後、同様に200℃における溶融粘度を測定し、前記(1)式により溶融粘度変化率を算出する。
また、成分(D)は、10℃/分昇温(空気中)条件で測定した成形温度における加熱減量が5重量%以下であることが好ましい。かかる加熱減量が5重量%以下であれば、含浸時の分解ガスの発生を抑制し、(E)複合繊維束内部のボイド発生を抑制することができる。また、成形時の揮発を抑制し、成形品内部の揮発分に由来する欠陥を抑制することができる。より好ましくは3重量%以下である。
なお、本発明において「加熱減量」とは、加熱前の成分(D)の重量を100%とし、前記加熱条件における加熱前後での成分(D)の重量減量率を表し、下記(2)式により求めることができる。なお、加熱前後の重量は、白金サンプルパンを用いて、空気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件にて、成形温度における重量を熱重量分析(TGA)により測定することにより求めることができる。
(加熱減量)[重量%]={(加熱前重量−加熱後重量)/加熱前重量}×100 − (2) 。
本発明において、成分(D)として好ましく用いられるエポキシ樹脂とは、2つ以上のグリシジル基を有する化合物であって、実質的に硬化剤が含まれておらず、加熱しても、いわゆる三次元架橋による硬化をしないものをいう。グリシジル基を有することが好ましく、(A)炭素繊維と相互作用しやすくなり、後述する(E)複合繊維束と馴染みやすく、含浸しやすい。また、成形加工時の(A)炭素繊維の分散性をより向上させることができる。
ここで、グリシジル基を有する化合物としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エーテル結合を有する脂肪族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、アミノフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート等が挙げられる。
中でも、粘度と耐熱性のバランスに優れるため、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
また、成分(D)として用いられるエポキシ樹脂の数平均分子量は、200〜5000であることが好ましい。エポキシ樹脂の数平均分子量が200以上であれば、成形品の力学特性をより向上させることができる。800以上がより好ましく、1000以上がさらに好ましい。一方、エポキシ樹脂の数平均分子量が5000以下であれば、(E)複合繊維束への含浸性に優れ、(A)炭素繊維の分散性をより向上させることができる。4000以下がより好ましく、3000以下がさらに好ましい。なお、エポキシ樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
また、成分(D)として用いられるテルペン樹脂としては、例えば、有機溶媒中でフリーデルクラフツ型触媒存在下、テルペン単量体を、必要に応じて芳香族単量体等と重合して得られる重合体または共重合体などが挙げられる。
テルペン単量体としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類等の単環式モノテルペンなどが挙げられる。また、芳香族単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
また、これらテルペン樹脂を水素添加処理して得られる水素化テルペン樹脂や、テルペン単量体とフェノール類を、触媒により反応させたテルペンフェノール樹脂を用いることもできる。ここで、フェノール類としては、フェノールのベンゼン環上に、アルキル基、ハロゲン原子および/または水酸基を1〜3個有するものが好ましく用いられる。その具体例としては、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、t-ブチルフェノール、ノニルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、クロロクレゾール、ヒドロキノン、レゾルシノール、オルシノールなどを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、フェノールおよびクレゾールが好ましい。
また、テルペン樹脂のガラス転移温度は、特に限定しないが、30〜100℃であることが好ましい。ガラス転移温度が30℃以上であると、成形加工時に成分(D)の取扱性に優れる。また、ガラス転移温度が100℃以下であると、成形加工時の成分(D)の流動性を適度に抑制し、成形性を向上させることができる。
また、テルペン樹脂の数平均分子量は、200〜5000であることが好ましい。数平均分子量が200以上であれば、成形品の曲げ強度および引張強度をより向上させることができる。また、数平均分子量が5000以下であれば、テルペン樹脂の粘度が適度に低いことから含浸性に優れ、成形品中における(A)炭素繊維の分散性をより向上させることができる。なお、テルペン樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
本発明において、成分(D)として用いられるフェノール樹脂としては、フェノール骨格を有する熱可塑性重合体を指す。フェノール骨格は、置換基を有していてもよく、クレゾール、ナフトールであってもよい。フェノール樹脂としては、具体的には、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などが挙げられる。中でも、o−クレゾールノボラック樹脂が、耐熱性と、溶融粘度などの取扱性のバランスに優れることから、(E)複合繊維束の引取速度を速くすることができるため、好ましく用いられる。
本発明において、成分(D)として用いられる環状ポリアリーレンスルフィドとは、下記構造式(X)で表される繰り返し単位を主要構成単位とする環式化合物である。好ましくは当該繰り返し単位を80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上含有する化合物である。
Figure 2016190922
ただし、上記構造式(X)中、mは4〜20の範囲を表す。mは単一でも4〜20の整数の混合物でもよい。好ましくは4〜15、より好ましくは4〜12である。
また、環状ポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量は、粘度を適度に抑えて(A)炭素繊維に対する含浸性をより向上させる観点から、10,000未満が好ましく、5,000以下がより好ましく、3,000以下がさらに好ましい。一方、環状ポリアリーレンスルフィド樹脂の重量平均分子量は、成形品の機械特性をより向上させる観点から、300以上が好ましく、400以上がより好ましく、500以上がさらに好ましい。
環状ポリアリーレンスルフィドを得る方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)少なくともポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤および有機極性溶媒を含有する混合物を加熱してポリアリーレンスルフィド(PAS)樹脂を重合することにより、80meshふるい(目開き0.125mm)で分離される顆粒状PAS樹脂、重合で生成したPAS成分であって前記顆粒状PAS樹脂以外のPAS成分(ポリアリーレンスルフィドオリゴマーと称する)、有機極性溶媒、水、およびハロゲン化アルカリ金属塩を含む混合物を調製し、ここに含まれるポリアリーレンスルフィドオリゴマーを分離回収し、これを精製操作に処すことにより環状ポリアリーレンスルフィドを得る方法。
(2)少なくともポリハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤および有機極性溶媒を含有する混合物を加熱してポリアリーレンスルフィド樹脂を重合して、重合終了後に公知の方法によって有機極性溶媒の除去を行い、ポリアリーレンスルフィド樹脂、水、およびハロゲン化アルカリ金属塩を含む混合物を調製し、これを任意の方法で精製することによりポリアリーレンスルフィドプレポリマーを含むポリアリーレンスルフィド樹脂を得て、これを実質的にポリアリーレンスルフィド樹脂は溶解しないがポリアリーレンスルフィドプレポリマーは溶解する溶剤を用いて抽出することにより環状ポリアリーレンスルフィドを回収する方法。
また、本発明の成形品における成分(D)の含有量は、前記(A)〜(C)の合計100重量部に対して、0.1〜15重量部が好ましい。成分(D)の含有量が0.1重量部以上であれば、(A)炭素繊維の分散性をより向上させることができる。0.5重量部以上がより好ましく、0.8重量部以上がさらに好ましい。一方、成分(D)の含有量が15重量部以下であれば、成形品の衝撃強度をより向上させることができる。10重量部以下がより好ましく、8重量部以下がさらに好ましい。
本発明の成形品は、成形品内部に存在する(A)炭素繊維の重量平均繊維長が300〜3000μmであることが好ましい。炭素繊維は長手方向の強度が高いため、成形品内部における繊維長が長いほど、成形品の衝撃強度を向上させることができる。また、熱伝導率についても同様に、炭素繊維の長手方向に高い熱伝導率を有しているため、成形品内部における繊維長が長いほど、熱伝導のパス形成がしやすくなり、熱伝導率を向上させることができる。そこで、本発明においては、成形品内部に存在する(A)炭素繊維の重量平均繊維長が300μm以上であれば、衝撃強度をより向上させることができ、また、成形品の厚み方向における熱伝導のパス形成がより効率よく形成されることから、熱伝導率をより向上させることができる。350μm以上がより好ましく、400μm以上がさらに好ましい。一方、成形品内部に存在する(A)炭素繊維の重量平均繊維長が3000μm以下であれば、(A)炭素繊維の分散性をより向上させ、成形品の外観を向上させることができる。2000μm以下がより好ましく、1500μm以下がさらに好ましい。
ここで、本発明における(A)炭素繊維の「重量平均繊維長」とは、重量平均分子量の算出方法を繊維長の算出に適用し、単純に数平均を取るのではなく、繊維長の寄与を考慮した下記の式から算出される平均繊維長を指す。ただし、下記の式は、(A)炭素繊維の繊維径および密度が一定の場合に適用される。
重量平均繊維長=Σ(Mi×Ni)/Σ(Mi×Ni)
Mi:繊維長(mm)
Ni:繊維長Miの炭素繊維の個数 。
上記重量平均繊維長の測定は、次の方法により行うことができる。成形品を200〜300℃に設定したホットステージの上にガラス板間に挟んだ状態で加熱し、フィルム状にして均一分散させる。(A)炭素繊維が均一分散したフィルムを、光学顕微鏡(50〜200倍)にて観察する。無作為に選んだ1000本の(A)炭素繊維の繊維長を計測して、上記式から重量平均繊維長を算出する。
なお、成形品中における(A)炭素繊維の重量平均繊維長は、例えば、前述の(A)炭素繊維の種類や、成形条件などにより調整することができる。成形条件としては、例えば、射出成形の場合、背圧や保圧力などの圧力条件、射出時間や保圧時間などの時間条件、シリンダー温度や金型温度などの温度条件などが挙げられる。
また、本発明の成形品中の(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径は、7μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましい。(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径を7μm以下とすることにより、熱伝導のパス形成を緻密にすることができ、熱伝導率をより向上させることができ、かつ成形品の外観を向上させることができる。また、(A)炭素繊維と(B)セラミックス系フィラーの干渉を抑制して(A)炭素繊維の折損を抑制することができる。
ここで、本発明の成形品中の(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径は、成形品の断面を、光学顕微鏡で倍率200〜2000倍に拡大して観察し、観察画像上の1500μm×1500μm面積内で観察される(B)セラミックス系フィラーのうち、粒子径の大きいものから50個選択し、50個の粒子径を測定し、数平均値を求めることにより算出することができる。なお、観察画像上に観察される(B)セラミックス系フィラーが円形でない場合には、最大径を粒子径として測定する。
なお、成形品中の(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径を前記範囲にするための方法としては、例えば、平均粒子径が前述の好ましい範囲にある(B)セラミックス系フィラーを原料として用いる方法などが挙げられる。
次に、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形材料(以下、「成形材料」と記載する場合がある)について詳細に説明する。なお、本発明において、「成形材料」とは、成形品を射出成形などにより成形する際に用いる原材料を意味する。
本発明の成形材料は、(A)炭素繊維、(B)セラミックス系フィラーおよび(C)熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して、(A)炭素繊維1〜30重量部、(B)セラミックス系フィラー1〜40重量部、(C)熱可塑性樹脂30〜98重量部ならびに(D)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂および/または環状ポリフェニレンスルフィド0.1〜15重量部を含む。(A)〜(D)の各成分としては、本発明の成形品に含まれる成分として例示したものを挙げることができる。
本発明の成形材料は、前記(A)炭素繊維に前記成分(D)を複合してなる(E)複合繊維束が、少なくとも(C)熱可塑性樹脂によって被覆された構造を有することが好ましい。(C)熱可塑性樹脂と、必要により他の成分を含む熱可塑性樹脂組成物によって被覆されていてもよく、少なくとも(C)熱可塑性樹脂および(B)セラミックス系フィラーを含む熱可塑性樹脂組成物によって被覆されていることが好ましい。ここで、本発明において、「被覆された構造」とは、(E)複合繊維束が(C)熱可塑性樹脂と適宜配置されて接着されてなる構造を指し、その接着方法としては、溶融した(C)熱可塑性樹脂を(E)複合繊維束に接する様に配置し、冷却・固化する方法が好ましい。その手法については特に限定されないが、より具体的には、押出機と電線被覆法用のコーティングダイを用いて、(E)複合繊維束の周囲に連続的に(C)熱可塑性樹脂を被覆するように配置する方法や、ロール等で扁平化した(E)複合繊維束の片面あるいは両面から、押出機とTダイを用いて溶融したフィルム状の(C)熱可塑性樹脂を配置し、ロール等で一体化させる方法などを挙げることができる。
図1は、本発明の成形材料の好ましい縦断面形態の一例を示す概略図である。なお、本発明において、縦断面とは、軸心方向を含む面での断面を意味する。図1において、符号1は(C)熱可塑性樹脂、符号2は(A)炭素繊維、符号3は成分(D)、符号4は(E)複合繊維束を示す。図1に示す成形材料は、(A)炭素繊維(2)の各単繊維が成形材料の軸心方向にほぼ平行に配列され、(A)炭素繊維(2)の長さは成形材料の長さと実質的に同じ長さである。
ここで言う、「ほぼ平行に配列されている」とは、(A)炭素繊維の長軸の軸線と、成形材料の長軸の軸線とが、同方向を指向している状態を示す。軸線同士のなす角度は好ましくは20°以下であり、より好ましくは10°以下であり、さらに好ましくは5°以下である。また、「実質的に同じ長さ」とは、成形材料内部で(A)炭素繊維が意図的に切断されていたり、成形材料全長よりも有意に短い(A)炭素繊維が実質的に含まれたりしないことを示す。特に、成形材料全長よりも短い(A)炭素繊維の量について限定するわけではないが、成形材料全長の50%以下の長さの(A)炭素繊維の含有量が、全(A)炭素繊維中30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。(A)炭素繊維が成形材料と実質的に同じ長さを有することにより、成形品中の炭素繊維長を長くすることができ、衝撃強度をより向上させることができる。成形材料は、長手方向にほぼ同一の断面形状を保ち連続であることが好ましい。
成形材料の断面形態は、(E)複合繊維束に、(C)熱可塑性樹脂が接着するように配置されていれば図に示されたものに限定されないが、図1の縦断面形態に示されるように、(E)複合繊維束が芯材となり(C)熱可塑性樹脂で層状に挟まれて配置されている構成が好ましい。また図2の横断面形態に示されるように、(E)複合繊維束を芯構造として、その周囲を(C)熱可塑性樹脂が被覆するような芯鞘構造に配置されている構成が好ましい。また、図3に示されるような複数の(E)複合繊維束を(C)熱可塑性樹脂が被覆するように配置する場合、(E)複合繊維束の数は2〜6程度が望ましい。
(E)複合繊維束と(C)熱可塑性樹脂の境界は接着され、境界付近で部分的に(C)熱可塑性樹脂が(E)複合繊維束の一部に入り込み、(E)複合繊維束を構成する成分(D)とに含浸しているような状態になっていてもよい。
本発明において、(A)炭素繊維に成分(D)を付着させて(E)複合繊維束を得る方法は、特に限定されないが、(A)炭素繊維に成分(D)を供給し、成分(D)を100〜300℃の溶融状態で(A)炭素繊維と接触させる工程(I)と、成分(D)と接触している(A)炭素繊維を加熱して含浸させる工程(II)を有する方法などが挙げられる。
上記工程(I)において、成分(D)を供給して(A)炭素繊維と接触させる方法は特に限定されないが、例えば、炭素繊維に油剤、サイジング剤、マトリックス樹脂を付与する場合に用いられる任意の方法を用いることができる。中でも、ディッピングもしくはコーティングが好ましく用いられる。
ここで、ディッピングとは、ポンプにて成分(D)を溶融バスに供給し、該溶融バス内に(A)炭素繊維を通過させる方法をいう。(A)炭素繊維を成分(D)の溶融バスに浸すことにより、確実に成分(D)を(A)炭素繊維に付着させることができる。また、コーティングとは、例えば、リバースロール、正回転ロール、キスロール、スプレイ、カーテンなどのコーティング手段を用いて、(A)炭素繊維に成分(D)を塗布する方法をいう。ここで、リバースロール、正回転ロール、キスロールとは、ポンプで溶融させた成分(D)をロールに供給し、(A)炭素繊維に成分(D)の溶融物を塗布する方法をいう。さらに、リバースロールは、2本のロールが互いに逆方向に回転し、ロール上に溶融した成分(D)を塗布する方法であり、正回転ロールは、2本のロールが同じ方向に回転し、ロール上に溶融した成分(D)を塗布する方法である。通常、リバースロール、正回転ロールでは、(A)炭素繊維を挟み、さらにロールを設置し、成分(D)を確実に付着させる方法が用いられる。一方で、キスロールは、(A)炭素繊維とロールが接触しているだけで、成分(D)を付着させる方法である。そのため、キスロールは比較的粘度の低い場合の使用が好ましいが、いずれのロール方法を用いても、加熱溶融した成分(D)の所定量を塗布させ、(A)炭素繊維を接着させながら走らせることにより、繊維の単位長さ当たりに所定量の成分(D)を付着させることができる。スプレイは、霧吹きの原理を利用したもので、溶融した成分(D)を霧状にして(A)炭素繊維に吹き付ける方法であり、カーテンは、溶融した成分(D)を小孔から自然落下させ塗布する方法または溶融槽からオーバーフローさせ塗布する方法である。塗布に必要な量を調節しやすいため、成分(D)の損失を少なくできる。
また、成分(D)を供給する際の溶融温度(溶融バス内の温度)は、100〜300℃が好ましい。溶融温度が100℃以上であれば、成分(D)の粘度を適度に抑え、付着むらを抑制することができる。150℃以上がより好ましい。一方、溶融温度が300℃以下であれば、長時間にわたり製造した場合にも、成分(D)の熱分解を抑制することができる。250℃以下がより好ましい。100〜300℃の溶融状態で(A)炭素繊維と接触させることにより、成分(D)を安定して供給することができる。
次いで、工程(I)で得られた、成分(D)と接触した状態の(A)炭素繊維を加熱して含浸させる工程(工程(II))について説明する。具体的には、成分(D)と接触した状態の(A)炭素繊維に対して、成分(D)が溶融する温度において、ロールやバーで張力をかける、拡幅、集束を繰り返す、圧力や振動を加えるなどの操作により、成分(D)を(A)炭素繊維の内部まで含浸するようにする工程である。より具体的な例として、加熱された複数のロールやバーの表面に(A)炭素繊維を接触するように通して拡幅などを行う方法を挙げることができ、中でも、絞り口金、絞りロール、ロールプレス、ダブルベルトプレスを用いて含浸させる方法が好適に用いられる。ここで、絞り口金とは、進行方向に向かって、口金径の狭まる口金のことであり、(A)炭素繊維を集束させながら、余分に付着した成分(D)を掻き取ると同時に、含浸を促す口金である。また、絞りロールとは、ローラーで(A)炭素繊維に張力をかけることにより、余分に付着した成分(D)を掻き取ると同時に、含浸を促すローラーのことである。また、ロールプレスは、2つのロール間の圧力で連続的に(A)炭素繊維内部の空気を除去すると同時に、含浸を促す装置であり、ダブルベルトプレスとは、(A)炭素繊維の上下からベルトを介してプレスすることにより、含浸を促す装置である。
また、工程(II)において、成分(D)の供給量の80〜100重量%が(A)炭素繊維に含浸されていることが好ましい。収率に直接影響するため、経済性、生産性の観点から供給量に対する含浸量が高いほど好ましい。より好ましくは、85〜100重量%であり、さらに好ましくは90〜100重量%である。また、80重量%以上であれば、経済性の観点に加えて、工程(II)における成分(D)に起因する揮発成分の発生を抑制し、(E)複合繊維束内部のボイド発生を抑制することができる。
また、工程(II)において、成分(D)の最高温度が150〜400℃であることが好ましい。最高温度が150℃以上であれば、成分(D)を十分に溶融してより効果的に含浸させることができる。180℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。一方、最高温度が400℃以下であれば、成分(D)の分解反応などの好ましくない副反応を抑制することができる。380℃以下がより好ましく、350℃以下がさらに好ましい。
工程(II)における加熱方法としては、特に限定されないが、具体的には、加熱したチャンバーを用いる方法や、ホットローラーを用いて加熱と加圧を同時に行う方法などが例示できる。
また、成分(D)の架橋反応や分解反応などの好ましくない副反応の発生を抑制する観点から、非酸化性雰囲気下で加熱することが好ましい。ここで、非酸化性雰囲気とは酸素濃度が5体積%以下、好ましくは2体積%以下、さらに好ましくは酸素を含有しない雰囲気、すなわち、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気であることを指す。特に、経済性および取り扱いの容易さの面から、窒素雰囲気が好ましい。
また、前記工程(I)、(II)の前段階で、(A)炭素繊維の束を予め開繊してもよい。開繊とは収束された炭素繊維束を分繊させる操作であり、成分(D)の含浸性をさらに高める効果が期待できる。開繊により、強化繊維束の厚みは薄くなり、開繊前の強化繊維束の幅をb(mm)、厚みをa(μm)、開繊後の強化繊維束の幅をb(mm)、厚みをa(μm)とした場合、開繊比=(b/a)/(b/a)を2.0以上とすることが好ましく、2.5以上とすることがさらに好ましい。
炭素繊維束の開繊方法としては、特に制限はなく、例えば凹凸ロールを交互に通過させる方法、太鼓型ロールを使用する方法、軸方向振動に張力変動を加える方法、垂直に往復運動する2個の摩擦体による強化繊維束の張力を変動させる方法、炭素繊維束にエアを吹き付ける方法などを利用できる。
図4は、本発明における(E)複合繊維束の横断面形態の一例を示す概略図である。なお、本発明において、横断面とは、軸心方向に直交する面での断面を意味する。本発明において用いられる(E)複合繊維束は、(A)炭素繊維に成分(D)を溶融含浸せしめた(E)複合繊維束として形成されている。この(E)複合繊維束の形態は図4に示すようなものであり、(A)炭素繊維の各単繊維1間に、成分(D)が満たされている。すなわち、成分(D)の海に、(A)炭素繊維の各単繊維が島のように分散している状態である。
かかる(E)複合繊維束を、少なくとも(C)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物で被覆することにより、成形材料を得ることができる。
また、本発明の成形品および成形材料は、本発明の効果を妨げない範囲で添加剤を含有してもよい。添加剤としては、難燃剤、導電付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明の成形材料は、例えば、射出成形やプレス成形などの手法により成形されて成形品となる。成形材料の取扱性の点から、(E)複合繊維束と(A)熱可塑性樹脂は成形が行われるまでは接着されたまま分離せず、前述したような形状を保っていることが好ましい。(E)複合繊維束と(C)熱可塑性樹脂では、形状(サイズ、アスペクト比)、比重、質量が全く異なるため、成形までの材料の運搬、取り扱い時、成形工程での材料移送時に分級し、成形品の力学特性にバラツキを生じたり、流動性が低下して金型詰まりを起こしたり、成形工程でブロッキングする場合があるが、図2に例示されるような芯鞘構造の配置であれば、(C)熱可塑性樹脂が(E)複合繊維束を拘束し、より強固な複合化ができる。また、製造の容易さと、材料の取り扱いの容易さから、芯鞘構造とすることがより好ましい。
本発明の成形材料は、その軸心方向には、ほぼ同一の断面形状を保っていれば、連続であってもよいし、成形方法によっては連続のものをある長さに切断されてなっていてもよい。1〜50mmの範囲の長さに切断されてなっていることが好ましく、かかる長さに調整することにより、成形時の流動性、取扱性を十分に高めることができる。このように適切な長さに切断されてなる成形材料としてとりわけ好ましい態様は、射出成形用の長繊維ペレットが例示できる。
本発明の成形材料を成形することにより、成形品を得ることができる。成形方法としては、特に限定しないが、射出成形、オートクレーブ成形、プレス成形、フィラメントワインディング成形、スタンピング成形などの生産性に優れた成形方法を挙げることができる。これらを組み合わせて用いることもできる。また、インサート成形、アウトサート成形などの一体化成形にも適用することができる。さらに、成形後にも加熱による矯正処置や、熱溶着、振動溶着、超音波溶着などの生産性に優れた接着工法を活用することもできる。これらの中でも、金型を用いた成形方法が好ましく、特に射出成形機を用いた成形方法により、連続的に安定した成形品を得ることができる。射出成形の条件としては、特に規定はないが、例えば、射出時間:0.5秒〜10秒、より好ましくは2秒〜10秒、背圧:0.1MPa〜10MPa、より好ましくは2MPa〜8MPa、保圧力:1MPa〜50MPa、より好ましくは1MPa〜30MPa、保圧時間:1秒〜20秒、より好ましくは5秒〜20秒、シリンダー温度:200℃〜320℃、金型温度:20℃〜100℃の条件が好ましい。ここで、シリンダー温度とは、射出成形機の成形材料を加熱溶融する部分の温度を示し、金型温度とは、所定の形状にするための樹脂を注入する金型の温度を示す。これらの条件、特に射出時間、背圧および金型温度を適宜選択することにより、成形品における(A)炭素繊維の重量平均繊維長(L)を前述の好ましい範囲に調整することができる。
本発明の成形品の用途としては、例えば、インストルメントパネル、ドアビーム、アンダーカバー、ランプハウジング、ペダルハウジング、ラジエータサポート、スペアタイヤカバー、フロントエンドなどの各種モジュール、シリンダーヘッドカバー、ベアリングリテーナ、インテークマニホールド、ペダル等の自動車部品・部材および外板、ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、フェイリング、リブなどの航空機関連部品・部材および外板、モンキー、レンチ等の工具類、電話、ファクシミリ、VTR、コピー機、テレビ、電子レンジ、音響機器、トイレタリー用品、レーザーディスク(登録商標)、冷蔵庫、エアコンなどの家庭・事務電気製品部品、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ、携帯電話などの筐体や、パーソナルコンピューターの内部でキーボードを支持する部材であるキーボード支持体などの電気・電子機器用部材などが挙げられる。特に、本発明における電気抵抗率が静電気除去および帯電防止レベルであるため、電気・電子機器用部品により好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではない。まず、各種特性の評価方法について説明する。
(1)成形品中の(A)炭素繊維の重量平均繊維長測定
各実施例および比較例により得られた80mm×10mm×4mm厚の試験片を、200〜300℃に設定したホットステージの上にガラス板間に挟んだ状態で加熱し、フィルム状にして均一分散させた。(A)炭素繊維が均一分散したフィルムを、光学顕微鏡(50〜200倍)にて観察した。無作為に選んだ1000本の(A)炭素繊維の繊維長を計測して、下記式から重量平均繊維長(L)を算出した。
重量平均繊維長=Σ(Mi×Ni)/Σ(Mi×Ni)
Mi:繊維長(mm)
Ni:繊維長Miの強化繊維の個数 。
(2)成形品の比重測定
各実施例および比較例により得られた80mm×10mm×4mm厚の試験片の比重を、液浸法により測定した。なお、溶液は蒸留水を用いて行い、5本の平均値を算出した。
(3)成形品のノッチ付きシャルピー衝撃強度測定
各実施例および比較例により得られた80mm×10mm×4mm厚の試験片に、ISO 2818に準拠して、ノッチ角度45°、深さ2mmのノッチ加工を施した。ノッチ加工を施した試験片について、ISO179−1に準拠し、1.0Jのハンマーを用いて、ノッチ付きシャルピー衝撃強度を測定した。
(4)成形品の熱伝導率測定
各実施例および比較例により得られたISO型ダンベル試験片から、20mm×20mm×4mm厚の試験片を切り出し、アルバック理工製GH−1Sを用いて、80℃における厚み方向の熱伝導率を測定した。また、前記ISO型ダンベル試験片から20mm×4mm×4mm厚の試験片を5枚切り出し、流れ方向を垂直にして、試験片5枚を横に並べ、アルバック理工製GH−1Sを用いて、80℃における流れ方向の熱伝導率を測定した。
(5)成形品の電気抵抗率(体積固有抵抗)測定
各実施例および比較例により得られた80mm×10mm×4mm厚の試験片の10mm×4mm両端面を400番のサンドペーパーで平滑になるように研磨した。その後、研磨した試験片の表面に導電性銀塗料を塗布し、乾燥させ、体積固有抵抗測定用試験片を得た。得られた体積固有抵抗測定用試験片について、日置電気株式会社製抵抗計3541を用いて、体積固有抵抗(Ω・cm)を測定した。
(6)成形品および成形材料の(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径測定
各実施例および比較例により得られた80mm×10mm×4mm厚の試験片の中央部、または成形材料の断面を、光学顕微鏡で倍率200〜2000倍に拡大して観察し、観察画像上の1500μm×1500μmの範囲に観察される(B)セラミックス系フィラーのうち、粒子径の大きいものから50個選択し、50個の粒子径を測定してその数平均値を求めた。なお、観察画像上に観察される(B)セラミックス系フィラーが円形でない場合には、最大径を粒子径として測定した。
(7)成形材料中の(A)炭素繊維の重量平均繊維長測定
各実施例および比較例1により得られた成形材料は、ペレット長と(A)炭素繊維の長さがほぼ同じであるため、ペレット長をノギスにて100本測定し、平均値を算出することで(A)炭素繊維の繊維長とした。また、比較例2については、得られた成形材料を200〜300℃に設定したホットステージの上にガラス板間に挟んだ状態で加熱し、フィルム状にして均一分散させ、上記(1)と同様にして(A)炭素繊維の重量平均繊維長を算出した。
(参考例1)(A−1)炭素繊維の作製
ポリアクリロニトリルを主成分とする共重合体から紡糸、焼成処理、表面酸化処理を行い、総単糸数24,000本、単繊維径7μm、単位長さ当たりの質量1.6g/m、比重1.8g/cm、表面酸素濃度[O/C]0.12の均質な炭素繊維を得た。この炭素繊維のストランド引張強度は4880MPa、ストランド引張弾性率は225GPaであった。
ここで、表面酸素濃度比は、表面酸化処理を行ったあとの炭素繊維を用いて、X線光電子分光法により、次の手順にしたがって求めた。まず、炭素繊維束を20mmにカットして、銅製の試料支持台に拡げて並べた後、X線源としてA1Kα1、2を用い、試料チャンバー中を1×10−8Torrに保った。測定時の帯電に伴うピークの補正値としてC1sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を1202eVに合わせた。C1sピーク面積をK.E.として1191〜1205eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。O1sピーク面積をK.E.として947〜959eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。O1sピーク面積とC1sピーク面積の比から装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出した。X線光電子分光法装置として、国際電気社製モデルES−200を用い、感度補正値を1.74とした。
サイジング剤として、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(エポキシ当量:140g/eq)を2重量%になるように水に溶解させたサイジング処理液を調製し、付着量が1.0重量%になるよう、浸漬法により炭素繊維にサイジング剤を付与し、230℃で乾燥を行った。こうして得られた(A−1)炭素繊維のサイジング剤付着量は1.0重量%であった。
(参考例2)(E−1)複合繊維束の作製
塗布温度150℃に加熱されたロール上に、成分(D−1)エポキシ樹脂を加熱溶融した液体の被膜を形成させた。ロール上に一定した厚みの被膜を形成するため、リバースロールを用いた。このロール上を、参考例1で得られた連続した(A−1)炭素繊維束を接触させながら通過させて(D−1)エポキシ樹脂を付着させた。次に、窒素雰囲気下において、含浸温度250℃に加熱されたチャンバー内にて、5組の直径50mmのロールプレス間を通過させた。この操作により、(D−1)エポキシ樹脂を炭素繊維束の内部まで含浸させ、所定の配合量とした(E−1)複合繊維束を形成した。
(参考例3)熱可塑性樹脂組成物の作製
JSW製TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度290℃、スクリュー回転数150rpm)を使用し、各実施例および比較例に示す(B)セラミックス系フィラー、(C)熱可塑性樹脂を、各実施例および比較例に示す組成比になるようにドライブレンドしたものをメインホッパーから供給し、下流の真空ベントより脱気を行いながら、溶融樹脂組成物をダイス口から吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターで切断して熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
各実施例および比較例に用いた原料を以下に示す。
(B−1)窒化ホウ素:鱗片状窒化ホウ素UHP−1K(熱伝導率:60W/m・K、平均粒子径:8μm、モース硬度:2)(昭和電工(株)製)
(B−2)窒化ホウ素:球状窒化ホウ素FS−3(熱伝導率:60W/m・K、平均粒子径:8μm、モース硬度:2)(水島合金鉄(株)製)
(B−3)酸化アルミニウム:球状酸化アルミニウムV325F(熱伝導率:30W/m・K、平均粒子径:12μm、モース硬度:9)(日本軽金属(株)製)
(B−1)黒鉛:鱗片状黒鉛CFW−50A(熱伝導率:200W/m・K、平均粒子径:100μm、モース硬度:0.5〜1)((株)中越黒鉛製)
(C−1)熱可塑性樹脂:ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製、「“タフロン”(登録商標)FN1900」)
(D−1)エポキシ樹脂:固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製“jER”(登録商標)1004AF、軟化点97℃)。
(実施例1〜4)
参考例2に従い、(A−1)炭素繊維に(D−1)エポキシ樹脂を含浸して得られた(E−1)複合繊維束を日本製鋼所(株)TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、L/D=32)の先端に設置された電線被覆法用のコーティングダイ中に通した。一方、参考例3に従って作製した、(B−1)〜(B−3)および(C−1)からなる熱可塑性樹脂組成物をTEX−30α型2軸押出機のメインホッパーから供給して溶融混練し、溶融した状態でダイ内に吐出させ、(E−1)複合繊維束の周囲を被覆するように連続的に配置した。この時、(A)炭素繊維、(B)セラミックス系フィラーおよび(C)熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して、(A)炭素繊維、(B)セラミックス系フィラー、(C)熱可塑性樹脂および(D)エポキシ樹脂が表1記載の配合量となるように、樹脂組成物の吐出量を調整した。得られた連続状の成形材料を冷却後、カッターで切断して、7mmの長繊維ペレット状の樹脂成形材料を得た。
得られた長繊維ペレット状の成形材料を、住友重機械工業社製SE75DUZ−C250型射出成形機を用いて、射出時間:10秒、背圧力:10MPa、保圧時間:10秒、シリンダー温度:300℃、金型温度:100℃の条件で射出成形することにより、ISO型引張ダンベル試験片、80mm×80mm×3mm厚の試験片、80mm×10mm×4mm厚の試験片(成形品)を作製した。ここで、シリンダー温度とは、射出成形機の成形材料を加熱溶融する部分の温度を示し、金型温度とは、所定の形状にするために成形材料を注入する金型の温度を示す。得られた試験片(成形品)を、温度23℃、50%RHに調整された恒温恒湿室に24時間静置した後、前述の方法により評価した。評価結果を表1に示した。
(比較例1)
表1記載の配合量となるように調整した以外は、実施例1と同様にして成形品を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
(比較例2)
JSW製TEX−30α型2軸押出機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度290℃、スクリュー回転数150rpm)を使用し、(A−1)炭素繊維、(B−1)黒鉛、(C−1)ポリカーボネート樹脂を、表1記載の配合量になるようにドライブレンドしたものをメインホッパーから供給し、下流の真空ベントより脱気を行いながら、溶融樹脂組成物をダイス口から吐出し、得られたストランドを冷却後、カッターで切断して熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを用いて、実施例1と同様にして成形品を作製し、評価を行った。評価結果を表1に示した。
Figure 2016190922
実施例1〜4いずれの材料も優れた熱伝導率および電気抵抗率を示した。特に、鱗片状の窒化ホウ素を含む実施例1および3では、成形品中の(A)炭素繊維の重量平均繊維長が長く、衝撃強度と熱伝導率および電気抵抗率のバランスがより優位であった。一方、(B)セラミックス系フィラーを含まない比較例1は、熱伝導率および電気抵抗率が低下した。また、成形品中の(A)炭素繊維の重量平均繊維長が短く、(B−1)黒鉛を含む比較例2では、電気抵抗率が低下した。
本発明の成形品は、衝撃強度と熱伝導率および電気抵抗率のバランスに優れるため、種々の用途に展開できる。特に、電気・電子機器、OA機器、家電機器、または自動車の部品・内部部材および筐体などの各種部品・部材に好適である。
1 (C)熱可塑性樹脂
2 (A)炭素繊維
3 成分(D)
4 (E)複合繊維束

Claims (10)

  1. (A)炭素繊維、(B)セラミックス系フィラーおよび(C)熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して、(A)炭素繊維1〜30重量部、(B)セラミックス系フィラー1〜40重量部および(C)熱可塑性樹脂30〜98重量部を含み、(A)炭素繊維の重量平均繊維長が300〜3000μmである繊維強化熱可塑性樹脂成形品。
  2. 前記(B)セラミックス系フィラーが酸化物系フィラー、水酸化物系フィラー、炭化物系フィラーおよび/または窒化物系フィラーを含む請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品。
  3. 前記(B)セラミックス系フィラーが40W/m・K以上の熱伝導率を有する請求項1〜2いずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品。
  4. 前記(B)セラミックス系フィラーの形状が鱗片状である請求項1〜3いずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品。
  5. 前記(B)セラミックス系フィラーのモース硬度が4以下である請求項1〜4いずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品。
  6. 前記(A)炭素繊維の含有量に対すると前記(B)セラミックス系フィラーの含有量の重量比((B)/(A))が0.5〜3である請求項1〜5いずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品。
  7. 前記(B)セラミックス系フィラーの平均粒子径が7μm以下である請求項1〜6いずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品。
  8. 前記(A)〜(C)の合計100重量部に対して、さらに(D)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂および/または環状ポリフェニレンスルフィド0.1〜15重量部を含む請求項1〜7いずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂成形品。
  9. (A)炭素繊維、(B)セラミックス系フィラーおよび(C)熱可塑性樹脂の合計100重量部に対して、(A)炭素繊維1〜30重量部、(B)セラミックス系フィラー1〜40重量部、(C)熱可塑性樹脂30〜98重量部ならびに(D)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂および/または環状ポリフェニレンスルフィド0.1〜15重量部を含み、前記(A)炭素繊維に前記(D)エポキシ樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂および/または環状ポリフェニレンスルフィドを複合してなる(E)複合繊維束を少なくとも前記(C)熱可塑性樹脂により被覆して得られる成形材料。
  10. 前記(B)セラミックス系フィラーの形状が鱗片状である請求項9に記載の成形材料。
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