JP2018039853A - 有機ヒ素化合物および癌を処置するための方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
本発明は、非ホジキン骨髄腫およびホジキン骨髄腫から選択される、リンパ腫の処置のための方法を提供し、この方法は、式(I)の構造を有する有機ヒ素化合物を投与する工程を包含し、式中、Xは、SもしくはSeであり、そして、R1およびR2は、独立に、C1〜30アルキル(R3、R3’、R4、R5、Wおよび「n」は請求項1において定義される。)である。特に、上記化合物が、S−ジメチルアルシノグルタチオン、N−(2−S−ジメチルアルシノチオプロピオニル)グリシン、2−アミノー3−(ジメチルアルシノ)チオ−3−メチル酪酸、S−ジメチルアルシノ−チオコハク酸またはS−ジプロピルアルシノ−1−チオグリセロールである方法が提供される。
【選択図】なし
Description
本願は、2008年8月20日に出願された米国仮特許出願第61/189,511号の利益を主張する。この仮特許出願は、参照によりその全体が本明細書中に援用される。
本発明は、一般に、抗癌治療の分野に関する。より具体的には、本発明は、有機ヒ素化合物、ならびに白血病および固形腫瘍のような癌を処置することにおいてそれらを使用するための方法を提供する。
白血病治療の進歩にも拘わらず、白血病を有する大部分の成人患者はなお、疾患の進行によって死亡する。三酸化ヒ素(無機化合物)は、再発性もしくは難治性の急性前骨髄球性白血病(APL)を有する患者の処置について認可されてきており、他の白血病タイプの治療として評価されつつある。しかし、中国からの予備データおよび米国での近年の経験から、他の血液癌における三酸化ヒ素の役割もまた、示唆されている。結果として、抗白血病薬剤としての三酸化ヒ素の活性は、多くのタイプの白血病において現在調査中である。調査中である白血病タイプのうちのいくつかの応答率に関しては、結果は有望であるようだが、三酸化ヒ素の全身毒性が問題である(Soignetら,1999;Wiernikら,1999;Geisslerら,1999;Rousselotら,1999)。
(項目1)
非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択されるリンパ腫を処置するための方法であって、該方法は、式(I)の構造を有する化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩:
を投与する工程を包含し、
ここで
Xは、SもしくはSeであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり;
nは、0〜20の整数であり;
R1およびR2は、独立して、C1−30アルキルであり;
R3は、-H、C1−10アルキル、もしくはC0−6アルキル−COOR6であり;
R3’は、H、アミノ、シアノ、ハロゲン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、もしくはC1−10アルキニルであり;
R4は、−OH、−H、−CH3、アミノ、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグルタミン置換基であり;
R5は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基であり;そして
R6は、HもしくはC1−10アルキルである、
方法。
(項目2)
前記化合物が、以下:
である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫である、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記リンパ腫が、ホジキンリンパ腫である、項目1または2に記載の方法。
(項目5)
前記リンパ腫が、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、周縁帯リンパ腫、および結節硬化型ホジキンリンパ腫から選択される、項目1または2に記載の方法。
(項目6)
前記化合物が、静脈内投与される、項目1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記化合物の用量が、200〜420mg/m2である、項目1〜6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記化合物の用量が、300mg/m2である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記化合物が、4週間毎に5日間にわたって毎日投与される、項目1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記化合物が、4週間毎に連続5日間にわたって毎日投与される、項目9に記載の方法。
(項目11)
非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択されるリンパ腫を処置するための医薬の製造における、式(I)の構造を有する化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩:
の使用であって、
ここで
Xは、SもしくはSeであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり;
nは、0〜20の整数であり;
R1およびR2は、独立して、C1−30アルキルであり;
R3は、-H、C1−10アルキル、もしくはC0−6アルキル−COOR6であり;
R3’は、H、アミノ、シアノ、ハロゲン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、もしくはC1―10アルキニルであり;
R4は、−OH、−H、−CH3、アミノ、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグルタミン置換基であり;
R5は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基であり;そして
R6は、HもしくはC1−10アルキルである、
使用。
(項目12)
前記化合物が、以下:
である、項目11に記載の使用。
(項目13)
前記リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫である、項目11または12に記載の使用。
(項目14)
前記リンパ腫が、ホジキンリンパ腫である、項目11または12に記載の使用。
(項目15)
前記リンパ腫が、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
、周縁帯リンパ腫および結節硬化型ホジキンリンパ腫から選択される、項目11または12に記載の使用。
(項目16)
前記化合物が、静脈内投与される、項目11〜15のいずれか1項に記載の使用。
(項目17)
前記化合物の用量が、200〜420mg/m2である、項目11〜16のいずれか1項に記載の使用。
(項目18)
前記化合物の用量が、300mg/m2である、項目17に記載の使用。
(項目19)
前記化合物が、4週間毎に5日間にわたって毎日投与される、項目11〜18のいずれか1項に記載の使用。
(項目20)
前記化合物が、4週間毎に連続5日間にわたって毎日投与される、項目19に記載の使用。
本発明は、抗癌特性を有する有機ヒ素剤化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、式(I)の構造を有する化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩:
を提供し、ここで
Xは、SもしくはSeであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり;
nは、0〜20の整数であり;
R1およびR2は、独立して、C1−30アルキルであり;
R3は、-H、C1−10アルキル、もしくはC0−6アルキル−COOR6であり;
R3’は、H、アミノ、シアノ、ハロゲン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、もしくはC1−10アルキニル、好ましくは、Hであり;
R4は、−OH、−H、−CH3、アミノ、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグルタミン置換基であり;
R5は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基であり;そして
R6は、HもしくはC1−10アルキルである。
であり、ここで
Xは、SもしくはSe、好ましくは、Sであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり、Wは、好ましくは、Oであり;
Zは、CHもしくはN、好ましくは、Nであり;
R1およびR2は、独立して、C1−10アルキルであり、好ましくは、R1およびR2は、メチル、エチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから独立して選択され;そして
R5は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基、好ましくは、OHであり;
R6は、HもしくはC1−10アルキルであり;
R7は、ハロゲン、−OH、C0−6アルキル−COOR6、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、およびニトロから選択され;
mは、0〜4の整数、好ましくは、0である。
本発明は、多くの有機ヒ素化合物を提供する。
を有し、ここで
Xは、SもしくはSe、好ましくは、Sであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり、Wは、好ましくは、Oもしくは(R)(R)であり;
nは、0〜20の整数であり;
R1およびR2は、独立して、C1−30アルキルであり;
R3は、-H、C1−10アルキル、もしくはC0−6アルキル−COOR6であり;
R3’は、H、アミノ、シアノ、ハロゲン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、もしくはC1−10アルキニル、好ましくは、Hであり;
R4は、−OH、−H、−CH3、アミノ、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグルタミン置換基であり;
R5は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基であり;そして
R6は、HもしくはC1−10アルキル、好ましくは、Hである。
もしくはその薬学的に受容可能な塩から選択される。
もしくはその薬学的に受容可能な塩から選択される。
もしくはその薬学的に受容可能な塩から選択される。
から選択される。
である。
もしくはその薬学的に受容可能な塩である。
であり、ここで
Xは、SもしくはSe、好ましくは、Sであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり、Wは、好ましくは、Oであり;
Zは、CHもしくはNであり;
R1およびR2は、独立して、C1−10アルキルであり、好ましくは、R1およびR2は、独立して、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから選択され;そして
R5は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基、好ましくは、OHであり;
R6は、HもしくはC1−10アルキルであり;
R7は、ハロゲン、−OH、C0−6アルキル−COOR6、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、およびニトロから選択され;
mは、0〜4、好ましくは、0である。
から選択される。
である。
であり、ここで
Xは、SもしくはSe、好ましくは、Sであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり、Wは、好ましくは、Oであり;
R1およびR2は、独立して、C1−10アルキルであり、好ましくは、R1およびR2は、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから独立して選択され;そして
R5は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基、好ましくは、OHであり;
R6は、HもしくはC1−10アルキルであり;
R7は、ハロゲン、−OH、C0−6アルキル−COOR6、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、およびニトロから選択され;
mは、0〜4の整数、好ましくは、0である。
。
用語「Cx−yアルキル」とは、x〜y個の炭素を鎖中に含む直鎖アルキルおよび分枝鎖アルキル基を含む、置換されているかもしくは置換されていない飽和炭化水素基をいう。上記基としては、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチルおよび2,2,2−トリフルオロエチルなど)が挙げられる。C0アルキルは、上記基が末端位置にある水素、および内部にある場合は、結合を示す。用語「C2−yアルケニル」および「C2−yアルキニル」とは、長さおよび上記のアルキルへの考えられる置換が類似であるが、それぞれ、少なくとも1つの二重結合もしくは三重結合を含む置換されているかもしくは置換されていない不飽和の脂肪族基をいう。
三酸化ヒ素の使用は、その毒性によって制限されている。OAは、他方、インビボでのOAへの無機ヒ素のメチル化が無毒化反応であると考えられてきた程度まで、遙かに毒性が低い。上記OAは、モノメチルアルシン酸およびジメチルアルシン酸は、無機ヒ素の主な代謝産物である(Hughesら,1998)。無機ヒ素剤は、三酸化ヒ素を含め、多くの器官系(心血管系、胃・腸管、腎臓、皮膚、神経系、および血液が挙げられる)に対して効果がいろいろであった。無機性ヒ素剤は、肝臓に対して特に毒性であり、浸潤、中心壊死、および硬変を引き起こす(IARC,1980:ACGIH,1991;Belilesら,1994;Goyerら,1996)。無機ヒ素化合物は、ヒトにおいて皮膚および肺の発癌物質であるという十分な証拠が今や存在する。(Goyerら,1996)。
本発明の有機ヒ素剤は、全ての固形腫瘍および全ての血液癌(白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄形成異常症、もしくは骨髄増殖性障害を含む)を含む、種々の癌を処置するために使用され得る。上記有機ヒ素剤はまた、他の形態の処置に対して難治性であった血液癌を処置するために使用され得る。
少なくとも1種の有機ヒ素剤もしくはさらなる活性成分を含む薬学的組成物の調製は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版.Mack Printing Company,1990(本明細書に参考として援用される)によって例示されるように、本発明開示に鑑みれば当業者に公知である。さらに、動物(例えば、ヒト)投与については、調製物は、生物製剤基準(Biological Standards)という、FDA局によって要求される場合の滅菌基準、発熱性基準(pyrogenicity)、全身安全性基準および純度基準を満たすべきであることが理解される。
上記有機ヒ素剤が、別の薬剤もしくは治療法(好ましくは、別の癌処置)と組み合わせ使用され得ることは、本発明の一局面である。上記有機ヒ素剤は、数分から数週間の範囲の間隔だけ他の薬剤での処置より前に行われてもよいし、後に行われてもよい。上記他の薬剤および発現構築物が上記細胞に別個に適用される実施形態において、一般に、かなりの時間が、各送達の時間の間に経過しないことが確実にされる。その結果、上記薬剤および発現構築物は、上記細胞に対して有利に組み合わせられた効果を発揮することがなお可能である。例えば、このような場合において、上記細胞、組織もしくは器官と、上記有機ヒ素剤での2種、3種もしくは4種以上のモダリティーとを実質的に同時に(すなわち、約1分未満以内に)接触させ得ることが企図される。他の局面において、1種以上の薬剤は、上記有機ヒ素剤を投与する前および/もしくは投与後、約1分以内から、約5分、約10分、約20分、約30分、約45分、約60分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、約29時間、約30時間、約31時間、約32時間、約33時間、約34時間、約35時間、約36時間、約37時間、約38時間、約39時間、約40時間、約41時間、約42時間、約43時間、約44時間、約45時間、約46時間、約47時間、約48時間以上まで投与され得る。特定の他の実施形態において、薬剤は、上記有機ヒ素剤を投与する前および/もしくは後、約1日から、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日まで以内で投与され得る。いくつかの状況において、しかし、処置のための期間をかなり長期にする(数週間(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、もしくは約8週間以上)がそれぞれの投与の間で経過する場合、)ことは望ましいことであり得る。
患者への本発明の治療用組成物の投与は、あるとすれば、毒性を考慮に入れて、化学療法剤の投与についての一般的プロトコルに従う。上記処置サイクルは、必要な場合には、反復されることが予測される。種々の標準的治療剤もしくは補助的癌治療、ならびに手術的介入が、上記記載されるヒ素剤と組み合わせて適用され得ることもまた、企図される。これら治療としては、化学療法、放射線療法、免疫療法、遺伝子治療、および手術が挙げられるが、これらに限定されない。以下のセクションは、いくつかの補助的な癌治療を記載する:
(化学療法)
癌治療はまた、化学物質および放射線ベースの処置の両方との種々の組み合わせ治療を含む。組み合わせ化学療法剤としては、例えば、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲンレセプター結合剤、タキソール、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、トランス白金(transplatinum)、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびメトトレキサート、または前述の任意のアナログもしくは誘導改変体が挙げられる。
DNA損傷を引き起こしかつ広く使用されてきた他の因子は、γ線、X線、および/もしくは腫瘍への放射性同位体の指向性送達として一般に公知であるものが挙げられる。他の形態のDNA損傷因子がまた企図され、例えば、マイクロ波およびUV照射が挙げられる。おそらく、これら因子の全ては、DNAに対して、DNAの前駆体に対して、DNAの複製および修復に対して、ならびに染色体のアセンブリおよび維持に対して、広い範囲の損傷をもたらす可能性がある。X線の線量範囲は、長期(3〜4週間)にわたる50〜200レントゲンの1日用量から、2000〜6000レントゲンの単一線量に及ぶ。放射線同位体についての線量範囲は、広く変動し、上記同位体の半減期、発せられる放射線の強さおよびタイプ、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。用語「接触させられる」および「曝される」とは、細胞に適用される場合、治療用構築物および化学療法剤もしくは放射線療法剤が標的細胞に送達されるか、または上記標的細胞とすぐ近接して並べて配置されるプロセスを記載するために、本明細書で使用される。細胞の死滅もしくは静止を達成するために、両方の薬剤は、細胞を死滅させるかもしくは上記細胞が分裂しないようにするために有効な組み合わせ量で、上記細胞に送達される。
免疫療法剤は、一般に、癌細胞を標的としかつ破壊するための免疫エフェクター細胞および分子の使用に依存する。上記免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面にあるいくつかのマーカーに対して特異的な抗体であり得る。上記抗体単独では、治療のエフェクターとして働き得るか、または細胞死滅を実際にもたらすために他の細胞を増し得る。上記抗体はまた、薬物もしくは毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)に結合体化され得、標的化剤としてのみ働く。あるいは、上記エフェクターは、腫瘍細胞標的と、直接的もしくは間接的のいずれかで相互作用する表面分子を有するリンパ球であり得る。種々のエフェクター細胞は、細胞傷害性T細胞およびNK細胞を含む。
なお別の実施形態において、上記二次的処置は、治療用ポリヌクレオチドが第1の治療剤の前に、その後にもしくは同時に投与される二次的遺伝子治療である。遺伝子生成物をコードするベクターとともに上記治療剤を送達すると、標的組織に対して組み合わせの抗過剰増殖効果がある。
癌を有する個体のうちの約60%が、いくつかのタイプの手術を受ける。そのタイプとしては、予防的、診断的もしくは病期分類、治療のための、および緩和的手術が挙げられる。治療のための手術は、多の治療(例えば、本発明の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子治療、免疫療法および/もしくは代替療法)とともに使用され得る癌処置である。治療のための手術は、癌組織の全てもしくは一部を物理的に除去し、切り出し、そして/もしくは破壊する切除術を含む。腫瘍切除術とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去をいう。腫瘍切除術に加えて、手術による処置としては、レーザー手術、冷凍手術、電軌外科手術、および顕微鏡制御下での手術(モース術)が挙げられる。本発明が表在性の癌、前癌、もしくは付随的な量の正常組織の除去とともに使用され得ることは、さらに企図される。
MER−1:メルカプトコハク酸(4.5g)を、250mL丸底フラスコ中のグライム(1,2−ジメトキシエタン)100mLに入れた。4mLのジメチルクロロアルシン(0.03mol)を滴下し、続いて、4mLのジエチルアミン(0.04mol)を再び滴下した。上記反応混合物を、室温で20時間にわたって撹拌した。ジエチルアミンヒドロクロリドの白色の沈殿が形成されたので、濾過によって分離した。上記グライム中のMER1の溶液を、低圧でのエバポレーションによって、体積を大きく減少させた。MER1の白色結晶を濾過によって分離し、冷蒸留水で洗浄した。次いで、無色の結晶生成物を、エタノール−水から150℃の一定の融点まで再結晶化した。
以下の手順は、S−ジメチルアルシノグルタチオンの調製の様式を記載する。使用される量は、それぞれの比が維持されれば、等しく成功して、かけ算もしくは割り算され得る。
ジメチルアルシン酸(CH3)2As(O)OHは、Luxembourg Chemical Co.,Tel Aviv,Israelによって供給された。上記生成物には、その純度の提示が付随し、99.7% 純度として供給した。上記ジメチルアルシン酸を、pH3になるまで水−塩酸中に溶解した。二酸化硫黄の流れを、約1時間にわたってこの溶液に通した。ジメチルクロロアルシンを、重い無色の油状物として分離した。2つの液相、水/(CH3)2AsClを、分離漏斗を使用して分離した。上記クロロジメチルアルシンを、ジエチルエーテル中に抽出し、上記エーテル溶液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この乾燥させた溶液を蒸留フラスコに移し、これを、ゆっくりと加熱して、エーテルをエバポレートした。その残りの液体であるジメチルクロロアルシンを、蒸留によって精製した。106〜109℃で沸騰する画分を集めた。この生成物(無色の油状物)は、1.65ppmにおいて単純な1H NMR共鳴を示す。
500mLフラスコ中に、7gのグルタチオンを、Aldrich Chemical Co.,から受け取ったまま(純度 98%)使用し、250mLの1,2−ジメトキシエタン中に溶解した。この溶液に、3.3gのジメチルクロロアルシンを添加した。これに続いて、3.5gのピリジン(NaOHペレットで乾燥させた後に再蒸留)を添加した。上記溶液を1時間にわたって還流し、その後、3時間にわたって室温でこれを攪拌した。
ジメチルアルシノグルタチオンを、Chen(Chen,G.C.,ら Carbohydrate Res.(1976)50:53−62(その内容は、それら全体が本明細書に参考として援用される))の改変を使用して作製する。簡潔には、ジチオビス(ジメチルアルシノグルタミン)を、窒素下でジクロロメタン中に溶解する。テトラメチルジアルシンを上記溶液に滴下し、その反応系を、室温において一晩窒素下で攪拌し、次いで、1時間空気に曝す。次いで、上記混合物を、乾燥するまでエバポレートし、その残渣を水で洗浄し、乾燥させて、粗製固体を得た。これを、メタノールから再結晶化して、S−ジメチルアルシノグルタチオンを得る。
S−ジメチルアルシノグルタチオンを、Cullenら(J.Inorg.Biochem.(1984)21:179−194(その内容は、それら全体が本明細書に参考として援用される))の手順を使用して作製する。簡潔には、ジメチルアルシン酸およびグルタチオンを、窒素雰囲気下で水に溶解し、攪拌する。得られた溶液を、12時間にわたって撹拌し、次いで、加熱することなく減圧下で乾燥するまでエバポレートして、齢メタノールで抽出される固体を得る。次いで、上記メタノール溶液を、減圧下で乾燥するまでエバポレートし、得られた固体を、メタノール/水から再結晶化し、集め、乾燥させて、S−ジメチルアルシノグルタチオンを得る。
メカニカルスターラーアセンブリ、添加漏斗、サーモメーター、窒素入り口、および乾燥チューブを備え付けた3Lの三ツ口丸底フラスコを、バス中に置いた。上記フラスコに、カコジル酸(250g)および濃HCl(825mL)を充填し、溶解するまで攪拌した。上記カコジル酸が完全に溶解した後、上記溶液を40℃へと加温した。この攪拌溶液に、反応温度を40〜50℃の間に維持して、次亜リン酸(H3PO2)(50% 溶液,250g)を滴下した。約50mLのH3PO2を添加した後、上記溶液が混濁し、上記反応系の温度が急激に上昇し、この時点で、外部冷却バスを使用して、上記反応温度を40〜50℃の間に維持した。所望の範囲に上記反応温度を維持して、H3PO2の添加を継続した。H3PO2の添加が完了した後、上記反応を、撹拌しながら15分間にわたって40〜45℃の間に保持した。上記外部バスを外し、攪拌を継続した。上記反応系を攪拌し、<30℃へと冷却した。上記反応混合物の温度が30℃以下に低下した後、メチレンクロリド(300mL)を添加し、得られた混合物を攪拌して、その生成物をメチレンクロリドへと抽出した。攪拌を中止したところ、その層は1/2時間で分離した。上記層を分離し、メチレンクロリド層を、最低1時間にわたって撹拌しながら、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その混合物を、窒素雰囲気下で最大72時間にわたって静置した。上記有機混合物を濾過して、上記硫酸ナトリウムを除去し、上記メチレンクロリドを、常圧蒸留によって除去した。その粗製残渣生成物を、窒素雰囲気下で、8” Vigreuxもしくは充填カラムを通して蒸留した。常圧でbp 104〜106℃を有するその生成物画分を、集めた。
メカニカルスターラーアセンブリ、サーモメーター、添加漏斗、窒素入り口、および乾燥チューブを備え付けた5Lの三つ口丸底フラスコを、冷却バス中に置いた。ポリエチレンの鉢にグルタチオン(還元型)(200g)および脱イオン水(2L)を充填し、窒素雰囲気下で攪拌して、全ての固体を融解した。上記混合物を濾過して、いかなる不溶性の物質をも除去し、その濾液を、上記5Lフラスコに移した。撹拌しながら、エタノール(200プルーフ(2L))を添加し、その透明な溶液を、氷/メタノールバスを使用して0〜5℃へと冷却した。ピリジン(120g)を添加し、続いて、Me2AsCl(120g)を最低1時間かけて滴下した。上記反応混合物を、0〜5℃で最低2時間にわたって攪拌し、その後、冷却バスを外し、上記混合物を窒素雰囲気下で攪拌しながら室温へと加温した。上記反応混合物を、窒素雰囲気下で室温において一晩(>15時間)攪拌し、その時点で、白色固体が沈殿し得る。上記反応混合物を、オイルポンプ真空を使用して、35〜45℃においてスラリー(液体および固体)へと濃縮して、白色固体の残渣を得た。可能な限り多くの水を除去し、続いて、エタノールでの2回の同時エバポレーションを行って、最後の微量の水を共沸(azeotrope)した。その白色固体の残渣を、エタノール(200pf.(5L))中で、窒素雰囲気下で一晩室温においてスラリーにした。上記白色固体を濾過し、エタノール(200pf.(2×500mL))で洗浄し、続いて、アセトン、ACS(2×500mL)で洗浄した。その得られた固体を乾燥トレイに移し、真空オーブンを25〜35℃でオイルポンプ真空を用いて一晩乾燥させて、ピリジニウムヒドロクロリドなしのS−ジメチルアルシノグルタチオンを、189−190℃の融点を有する白色固体として得た。
注射用水(WFI)中のS−ジメチルアルシノグルタチオンの溶液を、NaOHもしくはHClでpH5.0〜5.5へと調節した。次いで、得られた溶液を、0.2ミクロンSartopore 2フィルタを通して濾過し、Flexicon濾過ユニットを使用して、タイプ1 ホウケイ酸ガラスバイアル(Wheaton)1つあたり150mgを入れた。次いで、上記充填したバイアルを、最初に上記バイアルをシェルフの上に載せ、その温度を0.5℃/分の冷却速度で−40℃へと一定割合で低下させることによって、Hull 48 Lyophilizerユニットの中で凍結乾燥した。次いで、上記シェルフ温度を、−40℃において300分間保持した。次いで、75ミクロンで真空を適用し、上記シェルフ温度を、0.1℃/分の速度で最大5℃へと一定温度で上昇させた。次いで、上記シェルフ温度を、5℃において1,000分間にわたって保持し、その後、50ミクロンにおいて真空を適用した。次いで、上記シェルフ温度を、0.1℃/分の速度で最大25℃へと上昇させ、上記温度を、25℃において720分間にわたって保持した。次いで、上記シェルフ温度を、5℃へと低下させ、最終の栓をする工程まで保持した。その時点で、チャンバを窒素で640,000mmTorrに戻し、上記バイアルに灰色のブチル凍結乾燥ストッパーで栓をし、最終的に、アルミニウムシールで波形を付け(crimp)て、S−ジメチルアルシノグルタチオンを水分含有量1.8%の白色から灰白色のケーキとして得た。上記凍結乾燥手順のための合計時間は、47時間であった。次いで、上記凍結乾燥したS−ジメチルアルシノグルタチオンを、2.0mL 滅菌水で再構成して、最終濃度75±7.5mg S−ジメチルアルシノグルタチオン/mLおよびpHが4.5〜6.0の無色透明の溶液を得た。
メカニカルスターラー、窒素用の入り口、サーモメーター、およびアイスバスを備え付けた三ツ口丸底フラスコ(500mL)に、カコジル酸(33g,0.23mol)および濃塩酸(67mL)を充填した。別個のフラスコに、濃塩酸(10mL)中のSnCl2・2H2O(54g,0.239mol)の溶液を調製した。上記SnCl2・2H2O溶液を、温度を5℃〜10℃の間に維持しながら、窒素下で上記HCl溶液中のカコジル酸に添加した。上記添加が完了した後に、上記アイスバスを外し、上記反応混合物を、周囲温度で1時間にわたって攪拌した。上記反応混合物を、分離漏斗に移し、その上側の層(有機性)を集めた。その下側の層を、ジクロロメタン(DCM)(2×25mL)で抽出した。その合わせた有機抽出物を、1N HCl(2×10mL)および水(2×20mL)で洗浄した。上記有機抽出物を、MgSO4で乾燥させ、DCMをロータリーエバポレーター(バス温度80℃、窒素下、大気圧)で除去した。その残渣をさらに窒素下で蒸留した。DMCAの2つの画分を集めた。第1の画分は、いくらかのDCMを含み、第2の画分は、適切な質のもの(8.5g,26% 収率)であった。そのGC分析から、上記生成物の正体および純度を確認した。
水/エタノール 1:1 v/v(180mL)の混合物中のグルタチオン(18g,59mmol)の懸濁物を、不活性雰囲気下で5℃未満に冷却し、少しずつトリエチルアミン(10mL,74mmol)で処理した。上記混合物を0〜5℃へと冷却し、5℃未満の温度を維持しながらDMCA(11g,78.6mmol)を10分間にわたって滴下した。上記反応混合物を、0〜5℃において4時間にわたって撹拌し、得られた固体を、濾過によって単離した。上記生成物を、エタノール(2×50mL)およびアセトン(2×50mL)で洗浄し、室温において一晩真空中で乾燥させて、11g(46%)のSGLU−1を得た。HPLC純度は、面積で97.6%(3回の注入の平均)であった。C12H22AsN3O6Sについての分析計算値:C,35.04; H,5.39; N,10.12, S,7.8。実測値:C,34.92; H,5.31; N,10.27, S,7.68。1Hおよび13C−NMRは、上記構造と一致していた。その濾液を、アセトン(150mL)で希釈し、冷蔵庫中に2日間置いた。さらに5.1g(21%)のSGLU−1を、第2の収穫物として単離した。HPLC純度は、面積で97.7%(3回の注入の平均)であった。
不活性雰囲気下で、メカニックスターラー、滴下漏斗およびサーモメーターを備え付けた3Lの三つ口フラスコにおいて、水/エタノールの1:1 (v/v)混合物(1140mL)中にグルタチオン(114.5g,0.37mol)の懸濁物を調製し、5℃未満に冷却した。上記混合物を、温度を20℃未満に維持しながら、トリエチルアミン(63.6mL,0.46mol)でゆっくりと(15分かけて)処理した。上記混合物を、4℃へと冷却し、15分間にわたって撹拌し、次いで、微量の溶解していない物質を濾過によって除去した。その濾液を、メカニックスターラー、滴下漏斗、窒素入り口、およびサーモメーターを装備したきれいな3Lの三つ口フラスコに移し、DMCA(70g,0.49mol)(ロット番号 543−07−01−44)を、温度を3〜4℃に維持しながら、ゆっくりと添加した。上記反応混合物を、1〜4oCで4時間にわたって撹拌し、アセトン(1.2L)を、1時間にわたって添加した。上記混合物を、2〜3℃の間で90分間にわたって撹拌し、得られた固体を、濾過により単離した。上記生成物を、エタノール(2×250mL)およびアセトン(2×250mL)で洗浄し、その湿った固体を、エタノール 200プルーフ(2000mL)中に懸濁した。上記生成物を濾過によって単離し、エタノール(2×250mL)およびアセトン(2×250mL)で洗浄し、室温において2日間にわたって真空中で乾燥させて、115g(75%)のSGLU−1(HPLC純度>99.5%(試験しているプロセスにおいて))を得た。
GMZ27(以下の構造を有する有機性アルシン):
を、異なるヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株に対して、72時間のMTSアッセイにおいて試験したところ、IC50が0.56〜0.86μMであることが見いだされた。この活性は、これら細胞株に対する三酸化ヒ素の活性より高かった(図27A)。次いで、上記GMZ27の抗白血病活性を、長期(7日間)のコロニー形成アッセイ(このアッセイにおいて細胞を、半固体培地中で増殖させる)において評価した。GMZ27は、ヒト白血病細胞株ならびに急性および慢性の白血病を有する患者から得られた白血病細胞の両方に対して、三酸化ヒ素より顕著に高い活性を有した(図27B)。
N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン(0.02mol,3.264g)を、1,2−ジメトキシエタン(50mL)に入れ、ジメチルクロロアルシン(0.025mol,3.52g)を滴下した。上記反応混合物を、室温において4時間にわたって攪拌した。次いで、トリエチルアミンヒドロクロリド塩の白色沈殿物を、濾過によって分離し、上記溶液を、減圧でのエバポレーションによって体積を減らした。その得られた残渣を、カラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物(3.5g)を得た。
2−メルカプトニコチン酸(0.02mol,3g)を、ジクロロメタン(50mL)中に入れ、ジメチルクロロアルシン(0.025mol,3.52g)を滴下した。上記反応系を、4時間にわたって還流して攪拌した。次いで、上記ジクロロメタンを蒸留によって除去し、その残渣を、ジエチルエーテル(50mL)に溶解し、水で洗浄した(3×)。上記溶液を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、所望の生成物を、減圧下での濃縮後に淡黄色固体として得た。
L−(+)−2−アミノ−3−メルカプト−3−メチル酪酸(0.01mol,1.55g)を、ジクロロメタン(50mL)中に入れ、ジクロロメタン(dichlorormethane)(5mL)中のジメチルクロロアルシン(dimthylchloroarsine)(0.015mol,2.1g)を滴下し、続いて、トリエチルアミン(1.6g)を滴下した。上記混合物を4時間にわたって撹拌したところ、所望の生成物が、上記反応混合物の濾過の後に、浮遊する白色結晶性固体として出現した。上記結晶性固体をジクロロメタン、酢酸エチル、およびアセトンで洗浄して、連続して所望の生成物(1.6g;mp 107〜109℃)を得た。
SGLU−1(ダリナパルシン(darinaparsin))の第2相多施設治験を、進行したリンパ腫と診断された患者において行った。適格な患者は、治療を必要とし、少なくとも1回は以前に治療を受けていた。患者に、28日毎に連続5日間にわたって300mg/m2のダリナパルシンを静脈内に与え(1サイクル)、次いで、標準的な基準に従って効力および安全性について評価した。毒性もしくは進行まで処置を継続した。現在までのところ、上記研究は、22名の患者を得た(15名は非ホジキンリンパ腫[NHL]、7名はホジキンリンパ腫);12名は男性であり、10名は女性である。ベースラインのメジアン年齢は、60.5歳であった(範囲:28〜80歳)。ECOG全身状態(performance status)は、≦2であった。以前の治療のメジアン数値は、3(範囲:1〜6)であった。13名の被験体に、少なくとも2サイクルのSGLU−1を受けさせたところ、効力について評価可能である。これらのうち、1名(末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)と診断された)は、完全な応答(CR)を達成し、3名(それぞれ、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、周縁帯リンパ腫、および結節硬化型ホジキンリンパ腫と診断された)は、部分的な応答(PR)を達成し、2名のNHLを有する患者は、安定(stable disease)(SD)を達成した。PRを達成した、周縁帯リンパ腫を有する患者において、肉眼的に疾患の証拠は存在しなかったが、顕微鏡的には、正常そうな胃粘膜からの無作為生検に対して疾患が検出可能であった。全ての応答者が、かなりの回数で前もって処置されて(heavily pretreated)いた(PTCL:CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロン)×6、ICE(イホスファミド、カルボプラチンおよびエトポシド)×1、およびEPOCH(エトポシド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、およびプレドニゾン)×2;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:RCHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロン)×5、RICE(リツキシマブ、イホスファミド、カルボプラチンおよびエトポシド)×3、ならびに放射線療法;周縁帯リンパ腫:リツキシマブ×8、RCVP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾロン)×1、およびゲムシタビン×1;ならびにホジキンリンパ腫:ICE×1、CBV(シクロホスファミド、カルムスチンおよびエトポシド)×1、ゲムシタビン+MDX−060(Medarex)×6)。合計49サイクルのSGLU−1を投与した。薬物関連と考えられる唯一のグレード3の有害事象(AE)が、喘鳴(wheezing)であった。合計12名の被験体が、37回の重篤な有害事象(SAE)を研究の間に報告した。これらのうち、わずか2名が、薬物関連と考えられるSAE(好中球減少性発熱,低下(fall)を有した。結論として、SLGU−1は、非常によく許容されており、進行したリンパ腫と診断された、かなりの回数で前もって処置された患者において有望な活性を実証した。最初の応答(1名 CR、3名 PR、2名 SD)は、13名の評価可能な患者の中で観察された。
当業者は、単に慣用的な実験法、上記化合物に対する多くの等価物および本明細書に記載されるその使用法を認識するか、またはこれらを使用して、確認し得る。このような等価物は、本発明の範囲内であるとみなされ、以下の特許請求の範囲によって網羅される。当業者はまた、本明細書に記載される実施形態の全ての組み合わせが、本発明の範囲内にあることを認識する。
を、異なるヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株に対して、72時間のMTSアッセイにおいて試験したところ、IC50が0.56〜0.86μMであることが見いだされた。この活性は、これら細胞株に対する三酸化ヒ素の活性より高かった。次いで、上記GMZ27の抗白血病活性を、長期(7日間)のコロニー形成アッセイ(このアッセイにおいて細胞を、半固体培地中で増殖させる)において評価した。GMZ27は、ヒト白血病細胞株ならびに急性および慢性の白血病を有する患者から得られた白血病細胞の両方に対して、三酸化ヒ素より顕著に高い活性を有した。
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