JP2012500271A - 有機ヒ素化合物および癌を処置するための方法 - Google Patents

有機ヒ素化合物および癌を処置するための方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2012500271

本発明は、非ホジキン骨髄腫およびホジキン骨髄腫から選択される、リンパ腫の処置のための方法を提供し、この方法は、式(I)の構造を有する有機ヒ素化合物を投与する工程を包含し、式中、Xは、SもしくはSeであり、そして、RおよびRは、独立に、C1〜30アルキル(R、R3’、R、R、Wおよび「n」は請求項1において定義される。)である。特に、上記化合物が、S−ジメチルアルシノグルタチオン、N−(2−S−ジメチルアルシノチオプロピオニル)グリシン、2−アミノー3−(ジメチルアルシノ)チオ−3−メチル酪酸、S−ジメチルアルシノ−チオコハク酸またはS−ジプロピルアルシノ−1−チオグリセロールである方法が提供される。

Description

(関連する出願との相互参照)
本願は、2008年8月20日に出願された米国仮特許出願第61/189,511号の利益を主張する。この仮特許出願は、参照によりその全体が本明細書中に援用される。
(発明の分野)
本発明は、一般に、抗癌治療の分野に関する。より具体的には、本発明は、有機ヒ素化合物、ならびに白血病および固形腫瘍のような癌を処置することにおいてそれらを使用するための方法を提供する。
(発明の背景)
白血病治療の進歩にも拘わらず、白血病を有する大部分の成人患者はなお、疾患の進行によって死亡する。三酸化ヒ素(無機化合物)は、再発性もしくは難治性の急性前骨髄球性白血病(APL)を有する患者の処置について認可されてきており、他の白血病タイプの治療として評価されつつある。しかし、中国からの予備データおよび米国での近年の経験から、他の血液癌における三酸化ヒ素の役割もまた、示唆されている。結果として、抗白血病薬剤としての三酸化ヒ素の活性は、多くのタイプの白血病において現在調査中である。調査中である白血病タイプのうちのいくつかの応答率に関しては、結果は有望であるようだが、三酸化ヒ素の全身毒性が問題である(Soignetら,1999;Wiernikら,1999;Geisslerら,1999;Rousselotら,1999)。
ヒト用に製造されている唯一の有機ヒ素剤(OA)であるメラルソプロールは、抗白血病活性について評価された(特許文献1、特許文献2)。不運なことに、この化合物は、トリパノソーマ病の処置に使用される濃度で、白血病を有する患者に対して過度に毒性である。従って、一般に、血液の悪性腫瘍および癌の処置に使用され得る、三酸化ヒ素と類似もしくはそれより大きな活性、および三酸化ヒ素より低い毒性を有するヒ素誘導体を同定する必要がある。
国際公開第99/24029号 欧州特許第1002537号明細書
本発明は、抗癌特性を有する有機ヒ素剤化合物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、式(I)の構造を有する化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩:
Figure 2012500271
を提供し、ここで
Xは、SもしくはSeであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり;
nは、0〜20の整数であり;
およびRは、独立して、C1−30アルキルであり;
は、-H、C1−10アルキル、もしくはC0−6アルキル−COORであり;
3’は、H、アミノ、シアノ、ハロゲン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、もしくはC1−10アルキニル、好ましくは、Hであり;
は、−OH、−H、−CH、アミノ、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグルタミン置換基であり;
は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基であり;そして
は、HもしくはC1−10アルキルである。
特定の実施形態において、上記有機ヒ素剤は、式(II)の構造を有する化合物:
Figure 2012500271
であり、ここで
Xは、SもしくはSe、好ましくは、Sであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり、Wは、好ましくは、Oであり;
Zは、CHもしくはN、好ましくは、Nであり;
およびRは、独立して、C1−10アルキルであり、好ましくは、RおよびRは、メチル、エチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから独立して選択され;そして
は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基、好ましくは、OHであり;
は、HもしくはC1−10アルキルであり;
は、ハロゲン、−OH、C0−6アルキル−COOR、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、およびニトロから選択され;
mは、0〜4の整数、好ましくは、0である。
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。しかし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示のためにのみ与えられることが理解されるべきである。なぜなら、本発明の趣旨および範囲内での種々の変更および改変は、この詳細な説明から当業者にあきらかとなるからである。
(発明の詳細な説明)
本発明は、多くの有機ヒ素化合物を提供する。
特定の実施形態において、本発明の有機ヒ素剤は、式(I)の構造もしくはその薬学的に受容可能な塩:
Figure 2012500271
を有し、ここで
Xは、SもしくはSe、好ましくは、Sであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり、Wは、好ましくは、Oもしくは(R)(R)であり;
nは、0〜20の整数であり;
およびRは、独立して、C1−30アルキルであり;
は、-H、C1−10アルキル、もしくはC0−6アルキル−COORであり;
3’は、H、アミノ、シアノ、ハロゲン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、もしくはC1−10アルキニル、好ましくは、Hであり;
は、−OH、−H、−CH、アミノ、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグルタミン置換基であり;
は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基であり;そして
は、HもしくはC1−10アルキル、好ましくは、Hである。
特定の実施形態において、Wは、(R)(R)であり、Rの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルである。特定のこのような実施形態において、Rの各存在は、Hである。
特定の実施形態において、nは、0もしくは1であり、好ましくは、1である。特定の実施形態において、nは、2〜20の整数、好ましくは、5〜20もしくは9〜14の整数である。
特定の実施形態において、RおよびRは、各々独立して、C11−30アルキル、好ましくは、C12−28アルキル、C13−25アルキル、C14−22アルキル、もしくはさらにC15−20アルキルである。
特定の実施形態において、RおよびRは、C1−10アルキルであり、好ましくは、RおよびRは、独立して、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから選択される。
特定の実施形態において、Rは、-HもしくはC0−6アルキル−COORである。特定のこのような実施形態において、Rは、−COOR、−CHCOOR、−CHCHCOOR、−CH(CH)COOR、−CH(CHCH)COOR、もしくは−CHCHCHCOORから選択され、ここでRは、C1−10アルキルである。
特定の実施形態において、Rは、C1−10アルキルである。特定の好ましいこのような実施形態において、Rは、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから選択され、好ましくは、メチルである。
特定の実施形態において、R3’は、アミノ、シアノ、ハロゲン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、およびC1−10アルキニルから選択される。好ましいこのような実施形態において、R3’は、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルケニル、およびC1−10アルキニルから選択される。
特定の実施形態において、Rは、−OH、−H、−CH、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、および−OC(O)アリールから選択される。特定のこのような実施形態において、Rは、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、および−OC(O)アリールから選択される。
特定の実施形態において、Rは、アミノである。特定のこのような実施形態において、Rは、NHである。
特定の実施形態において、Rは、グルタミン置換基である。
特定の実施形態において、Rは、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、および−OC(O)アリールから選択される。
特定の実施形態において、XはSであり、Wは(R)(R)であり、ここでRの各存在はHであり、nは1であり、RおよびRは、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから独立して選択され、RおよびR3’はHであり、Rは、OH、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、および−OC(O)アリールから選択され、Rは、OH、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、および−OC(O)アリールから選択される。特定のこのような実施形態において、RおよびRは同じであり、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから一緒に選択される。
特定の実施形態において、XはSであり、WはOであり、nは1であり、RおよびRはともにメチルであり、Rは、HおよびCOORから選択され、R3’はHであり、Rは、Hおよびグルタミン置換基から選択され、Rは、OHおよびグリシン置換基から選択される。特定のこのような実施形態において、RはCOORであり、RはHであり、RはOHであり、RはHである。
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、以下:
Figure 2012500271
もしくはその薬学的に受容可能な塩から選択される。
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、以下:
Figure 2012500271
Figure 2012500271
もしくはその薬学的に受容可能な塩から選択される。
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、以下:
Figure 2012500271
もしくはその薬学的に受容可能な塩から選択される。
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、以下:
Figure 2012500271
から選択される。
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、以下:
Figure 2012500271
である。
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、以下:
Figure 2012500271
もしくはその薬学的に受容可能な塩である。
キラル中心が存在するのであれば、全ての異性形態は、本発明の範囲内にある。立体化学に関して、絶対立体化学を決定するためのカーン・インゴルド・プレローグ則に従う。これら原則は、例えば、Organic Chemistry,Fox and Whitesell;Jones and Bartlett Publishers,Boston,MA (1994);Section 5−6,pp 177−178(このセクションは、本明細書に参考として援用される)に記載されている。
特定の実施形態において、上記有機ヒ素剤は、式(II)の構造を有する化合物:
Figure 2012500271
であり、ここで
Xは、SもしくはSe、好ましくは、Sであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり、Wは、好ましくは、Oであり;
Zは、CHもしくはNであり;
およびRは、独立して、C1−10アルキルであり、好ましくは、RおよびRは、独立して、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから選択され;そして
は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基、好ましくは、OHであり;
は、HもしくはC1−10アルキルであり;
は、ハロゲン、−OH、C0−6アルキル−COOR、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、およびニトロから選択され;
mは、0〜4、好ましくは、0である。
特定の実施形態において、Wは、(R)(R)であり、Rの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルである。特定のこのような実施形態において、Rの各存在は、Hである。
特定の実施形態において、Rは、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、および−OC(O)アリールから選択される。
特定の実施形態において、XはSであり、WはOであり、RおよびRは、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピル独立して選択され、そしてRはOHである。特定のこのような実施形態において、RおよびRは同じであり、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから一緒に選択される。特定のこのような実施形態において、RおよびRはともにメチルである。
特定の実施形態において、ZはNである。
特定の実施形態において、ZはCHである。
特定の実施形態において、式(II)の化合物は、以下:
Figure 2012500271
から選択される。
特定の実施形態において、式(II)の化合物は、以下:
Figure 2012500271
である。
他の実施形態において、上記有機ヒ素剤は、式(III)の構造を有する化合物:
Figure 2012500271
であり、ここで
Xは、SもしくはSe、好ましくは、Sであり;
Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり、Wは、好ましくは、Oであり;
およびRは、独立して、C1−10アルキルであり、好ましくは、RおよびRは、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから独立して選択され;そして
は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基、好ましくは、OHであり;
は、HもしくはC1−10アルキルであり;
は、ハロゲン、−OH、C0−6アルキル−COOR、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アミノ、アミド、シアノ、およびニトロから選択され;
mは、0〜4の整数、好ましくは、0である。
特定の実施形態において、Wは(R)(R)であり、Rの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルである。特定のこのような実施形態において、Rの各存在は、Hである。
特定の実施形態において、Rは、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、および−OC(O)アリールから選択される。
特定の実施形態において、XはSであり、WはOであり、RおよびRは、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから独立して選択され、RはOHである。特定のこのような実施形態において、RおよびRは同じであり、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから一緒に選択される。特定のこのような実施形態において、RおよびRはともにメチルである。
特定の好ましい実施形態において、式(II)の化合物は、以下の構造を有する:
Figure 2012500271
本発明はさらに、式(I)、式(II)、もしくは式(III)、またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能な希釈剤もしくはキャリアを含む薬学的組成物を提供する。特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、約5より大きな、好ましくは、約5〜約8の範囲、より好ましくは、約5〜約7の範囲のpHを有する水溶液である。
本発明の別の局面は、治療上有効量の、式(I)、式(II)、もしくは式(III)の化合物を投与する工程を包含する、癌の処置のための方法を提供する。
本発明はまた、癌の処置のための医薬の製造における、式(I)、式(II)、もしくは式(III)の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩の使用に関する。
特定の実施形態において、上記癌は、固形腫瘍(例えば、脳、肺、肝臓、脾臓、腎臓、リンパ節、小腸、膵臓、血球、骨、結腸、胃、乳房、子宮内膜、前立腺、精巣、卵巣、中枢神経系、皮膚、頭頸部、食道、もしくは骨髄、または血液の癌(例えば、白血病、急性前骨髄球性白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄形成異常症、骨髄増殖性疾患、もしくは難治性白血病から選択される。特定のこのような実施形態において、上記癌は、急性白血病および慢性白血病から選択される白血病である。
特定の実施形態において、上記癌は、非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択されるリンパ腫である。特定の実施形態において、上記非ホジキンリンパ腫は、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および周縁帯リンパ腫から選択される。特定の実施形態において、上記ホジキンリンパ腫は、結節硬化型ホジキンリンパ腫である。
従って、別の局面において、本発明は、式I、式II、もしくは式IIIの化合物を含む組成物、または上記のような薬学的組成物を、上記患者に投与する工程を包含する、癌を有する患者を処置するための方法を包含する。治療上有効な量の化合物は、0.1〜1000mg/kg、1〜500mg/kg、もしくは10〜100mg/kgであり得る。特定の実施形態において、上記方法は、上記組成物を毎日投与する工程を包含し得る。処置方法は、複数回投与を包含し得ることがさらに企図される。上記方法は、例えば、注射によって、上記化合物を毎日投与する工程を包含し得る。本明細書に記載される投与の代替経路および方法がまた使用され得、上記投与態様は、上記癌のタイプおよび位置に主に依存する。特定の実施形態において、上記方法はさらに、上記患者に1種以上のさらなる薬剤を投与する工程を包含する。上記さらなる薬剤は、全てがtransのレチノイン酸(all−trans−retinoic acid)、9−cisレチノイン酸、Am−80、もしくはアスコルビン酸であり得る。他の付随する癌治療(例えば、化学療法、放射線療法、遺伝子治療、ホルモン療法、および当該分野で公知の他の癌治療)の使用はまた、本発明の方法に関連して企図される。
種々の投与法が企図され、上記投与法としては、局所投与(regional administration)、全身投与、直接投与、および灌流によるものが挙げられる。このような方法としては、注射、経口経路、静脈内、動脈内、腫瘍血管系への腫瘍内投与、腹腔内、気管内、筋肉内、内視鏡による、病変内、経皮的、皮下、局所、鼻、口内、粘膜、肛門性器部、直腸などによる投与が挙げられる。
(定義)
用語「Cx−yアルキル」とは、x〜y個の炭素を鎖中に含む直鎖アルキルおよび分枝鎖アルキル基を含む、置換されているかもしくは置換されていない飽和炭化水素基をいう。上記基としては、ハロアルキル基(例えば、トリフルオロメチルおよび2,2,2−トリフルオロエチルなど)が挙げられる。Cアルキルは、上記基が末端位置にある水素、および内部にある場合は、結合を示す。用語「C2−yアルケニル」および「C2−yアルキニル」とは、長さおよび上記のアルキルへの考えられる置換が類似であるが、それぞれ、少なくとも1つの二重結合もしくは三重結合を含む置換されているかもしくは置換されていない不飽和の脂肪族基をいう。
用語「C1−6アルコキシ」とは、C1−6アルキル基に対する酸素結合を有するC1−6アルキル基をいう。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」は、2個の炭化水素が酸素によって共有結合されたものである。よって、アルキルをエーテルにするアルキルの置換基は、アルコキシであるかもしくはアルコキシに似ている。
用語「C1−6アラルキル」とは、本明細書で使用される場合、アリール基で置換されたC1−6アルキル基をいう。
用語「アリール」とは、本明細書で使用される場合、5員、6員、および7員の、置換されているかもしくは置換されていない1個の環の芳香族基であって、上記環の各原子が炭素であるものを含む。用語「アリール」はまた、2個以上の環(cyclic ring)を有する多環式環系であって、2個以上の炭素が、上記環のうちの少なくとも1個が芳香族である(例えば、他方の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/もしくはヘテロシクリルであり得る)2個の隣接する環に共通しているものを含む。アリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリンなどが挙げられる。
語句「薬学的に受容可能な」とは、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なく、妥当な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触した状態で使用するに適し、合理的な利益/リスク比と釣り合ったリガンド、物質、組成物、および/もしくは投与形態をいうために、本明細書で使用される。
用語「予防する」とは、状態(例えば、局所的再発(例えば、疼痛))、疾患(例えば、癌)、症候群複合体(syndrome complex)(例えば、心不全もしくは任意の他の医学的状態)に関連して使用される場合、当該分野で認識されており、当該分野でよく理解されており、被験体における医学的状態の頻度、もしくはその発生の遅延、その症状を軽減する組成物を受けない被験体と比較して、この組成物の投与を含む。従って、癌の予防としては、例えば、未処置のコントロール集団と比較して、予防的処置を受けている患者の集団において検出可能な癌性の増殖の数を低減すること、ならびに/あるいは例えば、統計学的におよび/もしくは臨床的に有意な量によって、処置集団 対 未処理コントロール集団における検出可能な癌性の増殖の発生の遅延が挙げられる。感染の予防としては、例えば、処置集団 対 未処理コントロール集団における感染の診断数の低下、および/または処置集団 対 未処置集団における感染の症状の発生の遅延が挙げられる。疼痛の予防としては、例えば、処置集団 対 未処置コントロール集団における被験体が経験した疼痛感覚の程度の低下、あるいは疼痛感覚の遅延が挙げられる。
用語「予防的もしくは治療的」処置とは、当該分野で認識されており、本発明の組成物のうちの1種以上の、宿主への投与を包含する。本発明の組成物が、所望されない状態(例えば、宿主動物の疾患もしくは他の所望されない状態)の臨床的発現より前に投与される場合、上記処置は、予防的である(すなわち、上記処置が、上記所望されない状態を発症することから上記宿主を保護する)のに対して、上記組成物が所望されない状態の発現後に投与される場合、上記処置は治療的(すなわち、上記処置が、既存の所望されない状態もしくはその副作用を減らすか、改善するか、もしくは安定化することが意図される)。
用語「置換されている」とは、上記骨格のうちの1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有する部分をいう。「置換」もしくは「〜で置換されている」とは、このような置換が、置換された原詩および置換基の許容された結合価に従っており、かつ上記置換が安定な化合物を生じる(例えば、再配置、環化、脱離などによるような変換を自発的に受けない)という暗示的な但し書きを含むことが理解される。本明細書で使用される場合、用語「置換されている」とは、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことが企図される。広い局面において、上記許容される置換基としては、有機化合物の非環式および環式の、分枝状および非分枝状の、炭素環式および複素環式の、芳香族および非芳香族の置換基が挙げられる。上記許容される置換基は、1個以上であり得、適切な有機化合物について同じであっても異なっていてもよい。本発明の目的のために。ヘテロ原子(例えば、窒素)は、水素置換基および/もしくは上記ヘテロ原子の結合価を満たす、本明細書で記載される有機化合物の許容される任意の置換基を有し得る。置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、もしくはアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート、もしくはチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が挙げられ得る。上記炭化水素鎖上で置換された部分が、適切である場合、それら自体置換され得ることは、当業者によって理解される。
本発明の治療法に関して、化合物の「治療上有効な量」とは、所望の投与レジメン(哺乳動物、好ましくは、ヒトへの)一部として投与される場合に、処置されるべき障害もしくは状態、または美容目的(例えば、任意の医学的処置に対して利用可能な、合理的な利益/リスク比において)について臨床的に受容可能な標準に従って、疾患状態の症状を開眼するか、状態を改善するか、またはその疾患状態の始まりを遅らせる調製物中の化合物の量である。
本明細書で使用される場合、用語「レジメン」は、癌の処置のための1種以上の治療剤の所定のスケジュールをいう。よって、治療剤が「単独で」投与される場合、上記レジメンは、癌の処置のための別の治療剤の使用を含まない。
特定の実施形態において、上記化合物は、4週間毎に5日間にわたって毎日投与される。特定の実施形態において、上記化合物は、4週間毎に5日間にわたって、好ましくは、連続5日間にわたって、1日に1回投与される。特定の代替の実施形態において、上記化合物は、3週間にわたって1週間に2日間投与され、続いて、1週間休薬される。特定のこのような実施形態において、上記化合物は、3週間にわたって1週間に連続2日間もしくは非連続2日間(例えば、投与間が1日、2日、3日、さらには4日)投与され、続いて、1週間休薬される。特定の実施形態において、これらプロトコルは、無期限に反復され得る。
特定の実施形態において、このような投与は、静脈内投与によるものである。特定の代替の実施形態において、このような投与は、経口投与によるものである。特定のこのような実施形態において、上記化合物は、約200〜420mg/mもしくは約250〜350mg/mの用量において静脈内投与される。特定の実施形態において、上記化合物は、約200mg/m、約250mg/m、約300mg/m、約350mg/m、約400もしくはさらに約420mg/mの用量で投与される。特定の実施形態において、上記化合物は、300〜約700mgもしくは約400〜約600mgの合計1日用量において経口投与される。特定の実施形態において、上記化合物は、300mg、約400mg、約500mg、約600mg、もしくはさらには約700mgの合計1日用量において投与される。
本明細書で使用される場合、用語「処置する」もしくは「処置」とは、被験体の状態を改善もしくは安定化する様式で、状態の症状、臨床的徴候、および根底にある病状を改善する(reversing)か、軽減するかもしくは抑えることを包含する。
(無機ヒ素剤 対 有機ヒ素剤の毒性)
三酸化ヒ素の使用は、その毒性によって制限されている。OAは、他方、インビボでのOAへの無機ヒ素のメチル化が無毒化反応であると考えられてきた程度まで、遙かに毒性が低い。上記OAは、モノメチルアルシン酸およびジメチルアルシン酸は、無機ヒ素の主な代謝産物である(Hughesら,1998)。無機ヒ素剤は、三酸化ヒ素を含め、多くの器官系(心血管系、胃・腸管、腎臓、皮膚、神経系、および血液が挙げられる)に対して効果がいろいろであった。無機性ヒ素剤は、肝臓に対して特に毒性であり、浸潤、中心壊死、および硬変を引き起こす(IARC,1980:ACGIH,1991;Belilesら,1994;Goyerら,1996)。無機ヒ素化合物は、ヒトにおいて皮膚および肺の発癌物質であるという十分な証拠が今や存在する。(Goyerら,1996)。
所定のヒ素剤の毒性は、身体からのそのクリアランス速度およびその組織蓄積の程度に関連する(Belilesら,1994)。一般に、毒性は、以下の順番で増大する:有機ヒ素剤<As5+<As3+(三酸化ヒ素を含む)<アルシン。無機性ヒ素剤とは異なり、OAに起因する毒性による死亡も重篤な症例も、文献中では未だ報告されていない。結論として、哺乳動物において、無機ヒ素のメチル化は、メチル化OAの低い毒性、ならびにそれらの迅速な排出および低い保持が原因で、無毒化機構であると考えられてきた(Belilesら,1994;Goyerら,1996)。よい例は、無機ヒ素(三酸化ヒ素を含む)への曝露後に大部分の哺乳動物によって排出される主な尿代謝産物であるジメチルアルシン酸(有機化合物)のものである。マウスにおけるインビボ毒性研究において、三酸化ヒ素の腹腔内投与後に、LD50(動物の50%が急性の毒性に起因して死亡する用量)は、10mg/kgであった(Investigator’s Brochure,1998)一方で、ジメチルアルシン酸の投与後には、LD50は、500mg/kgであった(MSDS,1998)。
(癌処置)
本発明の有機ヒ素剤は、全ての固形腫瘍および全ての血液癌(白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄形成異常症、もしくは骨髄増殖性障害を含む)を含む、種々の癌を処置するために使用され得る。上記有機ヒ素剤はまた、他の形態の処置に対して難治性であった血液癌を処置するために使用され得る。
特定の実施形態において、上記癌は、非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択されるリンパ腫である。特定の実施形態において、上記非ホジキンリンパ腫は、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および周縁帯リンパ腫から選択される。特定の実施形態において、上記ホジキンリンパ腫は、結節硬化型ホジキンリンパ腫である。
リンパ腫は、リンパ球−−感染および疾患から身体を防御するのを助ける白血球−−が以上に挙動し始めるときに生じる血液癌のタイプである。異常リンパ球は、正常細胞より迅速に分裂し得るか、または想定されるより長く生存し得る。リンパ腫は、身体の主な部分(リンパ節、脾臓、骨髄、血液もしくは他の器官を含む)において発症し得る。リンパ腫には主に2つのタイプがある:ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL)。
末梢性T細胞リンパ腫は、成熟T細胞(B細胞ではない)から構成される腫瘍である。末梢性T細胞リンパ腫(例えば、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫もしくは未分化大細胞型リンパ腫)は、リンパ節において生じ得る一方で、他の同様な皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、鼻NK/T細胞リンパ腫、もしくは腸管T細胞リンパ腫は、節外性部位において生じ得る。
大細胞型リンパ腫は、最も一般的なタイプのリンパ腫である。これら癌は、リンパ節もしくは節外性部位(胃・腸管、精巣、甲状腺、皮膚、乳房、中枢神経系、もしくは骨を含む)において生じ得、局所性もしくは全身性(身体中に拡がる)であり得る。
周縁帯腫瘍は、低悪性度B細胞リンパ腫であり、リンパ節の外(節外性)もしくはリンパ節内(節性)のいずれかで生じ得る。それらは、上記リンパ腫の位置に依存して、2つのカテゴリーに分けられる。粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALTもしくはMALTomaともいわれる)は、上記リンパ節外の場所(例えば、胃・腸管、眼、甲状腺、唾液腺、肺、もしくは皮膚)で影響を及ぼす周縁帯リンパ腫の形態である。節性周縁帯B細胞リンパ腫は稀であり、ときおり、単球様(monocytoid)B細胞リンパ腫といわれる。
結節硬化型ホジキンリンパ腫において、関与するリンパ節は、正常白血球と混ざった、リード・ステルンベルグ細胞から構成される領域を含む。上記リンパ節はしばしば、顕著な瘢痕組織を含むので、名称は、結節硬化症(瘢痕型)である。このサブタイプは、最も一般的であり、ホジキンリンパ腫の全ての症例のうちの60%〜75%を構成する。
(薬学的組成物)
少なくとも1種の有機ヒ素剤もしくはさらなる活性成分を含む薬学的組成物の調製は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版.Mack Printing Company,1990(本明細書に参考として援用される)によって例示されるように、本発明開示に鑑みれば当業者に公知である。さらに、動物(例えば、ヒト)投与については、調製物は、生物製剤基準(Biological Standards)という、FDA局によって要求される場合の滅菌基準、発熱性基準(pyrogenicity)、全身安全性基準および純度基準を満たすべきであることが理解される。
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」とは、当業者に周知であるように(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版.Mack Printing Company,1990,pp.1289−1329(本明細書に参考として援用される)を参照のこと)、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定化剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、矯味矯臭剤、色素、このような同様の物質およびこれらの組み合わせが挙げられる。任意の従来のキャリアが活性成分と不適合性である範囲を除いて、上記治療用組成物もしくは薬学的組成物において、その使用が企図される。
上記有機ヒ素剤は、上記ヒ素剤が固体で、液体でもしくはエロゾル形態で投与されるべきか、および上記ヒ素剤が注射としてこのような投与経路のために無菌である必要があるか否かに依存して、異なるタイプのキャリアと合わせられ得る。本発明は、静脈内に、皮内に、動脈内に、腹腔内に、病巣内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、胸腔内に、気管内に、鼻内に、硝子体内に(intravitreally)、膣内に、直腸内に、局所的に(topically)、腫瘍内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、結膜下に、小胞内に(intravesicularlly)、粘膜に、心内膜に(intrapericardially)、臍帯内に(intraumbilically)、眼内に、口内に、局所的に(topically)、局所的に(locally)、注射、注入、連続注入、標的細胞を直接浸す局所的灌流で、カテーテルを介して、洗浄を介して、脂質組成物(例えば、リポソーム)において、または当業者に公知であるように(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版.Mack Printing Company,1990(本明細書に参考として援用される))、他の方法もしくは前述の任意の組み合わせによって、投与され得る。
患者に投与される本発明の組成物の実際の投与量は、物理的および生理的要因(例えば、体重、状態の重篤度、処置されている疾患のタイプ、以前のもしくは現在の治療的介入、上記患者の特発症、および投与経路)によって決定され得る。投与を担う開業医は、いずれにしても、個々の被験体に適切な組成物および用量中の活性成分の濃度を決定する。
特定の実施形態において、薬学的組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の有機ヒ素剤化合物を含み得る。他の実施形態において、上記活性化合物は、上記単位の重量のうちの約2%〜約75%の間、もしくは例えば、約25%〜約60%の間、およびその中から得られる任意の範囲を構成し得る。他の非限定的例において、用量はまた、投与1回あたり、約0.1mg/kg/体重、0.5mg/kg/体重、1mg/kg/体重、約5mg/kg/体重、約10mg/kg/体重、約20mg/kg/体重、約30mg/kg/体重、約40mg/kg/体重、約50mg/kg/体重、約75mg/kg/体重、約100mg/kg/体重、約200mg/kg/体重、約350mg/kg/体重、約500mg/kg/体重、約750mg/kg/体重から、約1000mg/kg/体重以上まで、およびその中から得られる任意の範囲を含み得る。本明細書に列挙される数値から得られる範囲の非限定的な例において、約10mg/kg/体重〜約100mg/kg/体重の範囲などは、上記の数値に基づいて、投与され得る。
いずれにしても、上記組成物は、1種以上の成分の酸化を遅らせるために種々の抗酸化剤を含み得る。さらに、微生物の活動の防止が、保存剤(例えば、種々の抗菌剤および抗真菌剤(パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールもしくはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)によってもたらされ得る。
上記有機ヒ素剤は、遊離塩基、中性形態もしくは塩形態において、組成物へと処方され得る。薬学的に受容可能な塩としては、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムもしくは水酸化鉄(III));またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジンもしくはプロカインのような有機塩基から得られる遊離カルボキシル基と形成される塩が挙げられる。
上記組成物が液体形態にある実施形態において、キャリアは、溶媒もしくは分散媒(水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物性油、リポソーム)およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって;キャリア(例えば、液体ポリオール)もしくは脂質中の分散によって必要とされる粒径の維持によって;界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)の使用によって;またはこのような方法の組み合わせによって、維持され得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖、塩化ナトリウムもしくはこれらの組み合わせ)を含むことは、好ましい。
滅菌注射用溶液は、上記活性化合物を、必要とされる量の適切な溶媒中に、必要とされる場合、種々の上記で列挙される他の成分とともに組み込み、続いて、濾過滅菌することによって調製される。一般に、分散物は、種々の安定化された活性成分を、基本的な分散媒および/もしくは他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液、懸濁物もしくはエマルジョンの調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、上記活性成分+任意のさらなる所望の成分の粉末を、予め滅菌濾過したその液体媒体から得る真空乾燥もしくは凍結乾燥技術である。上記液体媒体は、必要であれば、適切に緩衝化されるべきであり、上記液体希釈剤は、十分な生理食塩水もしくはグルコースで注射前に最初に等張性にされるべきである。直接注射のための非常に濃縮された組成物の調製がまた企図され、ここで溶媒としてのDMSOの使用は、極めて迅速な浸透、小さな領域への高濃度の上記活性成分の送達を生じることが想定される。
上記組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用が防止されなければならない。従って、好ましい組成物は、約5より高い、好ましくは、約5〜約8、より好ましくは、約5〜約7のpHを有する。エンドトキシン汚染は、安全なレベルで、例えば、0.5ng/mg タンパク質未満で、最小限に維持されるべきであることが理解される。
特定の実施形態において、注射用組成物の長期の吸収は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンもしくはこれらの組み合わせ)の上記組成物における使用によってもたらされ得る。
(組み合わせ治療)
上記有機ヒ素剤が、別の薬剤もしくは治療法(好ましくは、別の癌処置)と組み合わせ使用され得ることは、本発明の一局面である。上記有機ヒ素剤は、数分から数週間の範囲の間隔だけ他の薬剤での処置より前に行われてもよいし、後に行われてもよい。上記他の薬剤および発現構築物が上記細胞に別個に適用される実施形態において、一般に、かなりの時間が、各送達の時間の間に経過しないことが確実にされる。その結果、上記薬剤および発現構築物は、上記細胞に対して有利に組み合わせられた効果を発揮することがなお可能である。例えば、このような場合において、上記細胞、組織もしくは器官と、上記有機ヒ素剤での2種、3種もしくは4種以上のモダリティーとを実質的に同時に(すなわち、約1分未満以内に)接触させ得ることが企図される。他の局面において、1種以上の薬剤は、上記有機ヒ素剤を投与する前および/もしくは投与後、約1分以内から、約5分、約10分、約20分、約30分、約45分、約60分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、約29時間、約30時間、約31時間、約32時間、約33時間、約34時間、約35時間、約36時間、約37時間、約38時間、約39時間、約40時間、約41時間、約42時間、約43時間、約44時間、約45時間、約46時間、約47時間、約48時間以上まで投与され得る。特定の他の実施形態において、薬剤は、上記有機ヒ素剤を投与する前および/もしくは後、約1日から、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日まで以内で投与され得る。いくつかの状況において、しかし、処置のための期間をかなり長期にする(数週間(例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、もしくは約8週間以上)がそれぞれの投与の間で経過する場合、)ことは望ましいことであり得る。
種々の組み合わせが、使用され得る。上記有機ヒ素剤は、「A」であり、任意の他の治療剤であり得る二次的薬剤は、「B」である:
Figure 2012500271
患者への本発明の治療用組成物の投与は、あるとすれば、毒性を考慮に入れて、化学療法剤の投与についての一般的プロトコルに従う。上記処置サイクルは、必要な場合には、反復されることが予測される。種々の標準的治療剤もしくは補助的癌治療、ならびに手術的介入が、上記記載されるヒ素剤と組み合わせて適用され得ることもまた、企図される。これら治療としては、化学療法、放射線療法、免疫療法、遺伝子治療、および手術が挙げられるが、これらに限定されない。以下のセクションは、いくつかの補助的な癌治療を記載する:
(化学療法)
癌治療はまた、化学物質および放射線ベースの処置の両方との種々の組み合わせ治療を含む。組み合わせ化学療法剤としては、例えば、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、エストロゲンレセプター結合剤、タキソール、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター、トランス白金(transplatinum)、5−フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、およびメトトレキサート、または前述の任意のアナログもしくは誘導改変体が挙げられる。
(放射線療法)
DNA損傷を引き起こしかつ広く使用されてきた他の因子は、γ線、X線、および/もしくは腫瘍への放射性同位体の指向性送達として一般に公知であるものが挙げられる。他の形態のDNA損傷因子がまた企図され、例えば、マイクロ波およびUV照射が挙げられる。おそらく、これら因子の全ては、DNAに対して、DNAの前駆体に対して、DNAの複製および修復に対して、ならびに染色体のアセンブリおよび維持に対して、広い範囲の損傷をもたらす可能性がある。X線の線量範囲は、長期(3〜4週間)にわたる50〜200レントゲンの1日用量から、2000〜6000レントゲンの単一線量に及ぶ。放射線同位体についての線量範囲は、広く変動し、上記同位体の半減期、発せられる放射線の強さおよびタイプ、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。用語「接触させられる」および「曝される」とは、細胞に適用される場合、治療用構築物および化学療法剤もしくは放射線療法剤が標的細胞に送達されるか、または上記標的細胞とすぐ近接して並べて配置されるプロセスを記載するために、本明細書で使用される。細胞の死滅もしくは静止を達成するために、両方の薬剤は、細胞を死滅させるかもしくは上記細胞が分裂しないようにするために有効な組み合わせ量で、上記細胞に送達される。
(免疫療法)
免疫療法剤は、一般に、癌細胞を標的としかつ破壊するための免疫エフェクター細胞および分子の使用に依存する。上記免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面にあるいくつかのマーカーに対して特異的な抗体であり得る。上記抗体単独では、治療のエフェクターとして働き得るか、または細胞死滅を実際にもたらすために他の細胞を増し得る。上記抗体はまた、薬物もしくは毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)に結合体化され得、標的化剤としてのみ働く。あるいは、上記エフェクターは、腫瘍細胞標的と、直接的もしくは間接的のいずれかで相互作用する表面分子を有するリンパ球であり得る。種々のエフェクター細胞は、細胞傷害性T細胞およびNK細胞を含む。
従って、免疫療法は、遺伝子治療とともに、組み合わせ治療の一部として使用され得る。組み合わせ治療のための一般的アプローチは、以下で議論される。一般に、上記腫瘍細胞は、標的化に反応する(すなわち、他の細胞の大部分には存在しない)いくつかのマーカーを持っていなければない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのうちのいずれかが、本発明の文脈において標的化するために適切であり得る。いくつかの腫瘍マーカーとしては、癌胎児性抗原、前立腺特異的抗原、泌尿器腫瘍関連抗原(urinary tumor associated antigen)、胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、エストロゲンレセプター、ラミニンレセプター、erb Bおよびp155が挙げられる。
(遺伝子治療)
なお別の実施形態において、上記二次的処置は、治療用ポリヌクレオチドが第1の治療剤の前に、その後にもしくは同時に投与される二次的遺伝子治療である。遺伝子生成物をコードするベクターとともに上記治療剤を送達すると、標的組織に対して組み合わせの抗過剰増殖効果がある。
(手術)
癌を有する個体のうちの約60%が、いくつかのタイプの手術を受ける。そのタイプとしては、予防的、診断的もしくは病期分類、治療のための、および緩和的手術が挙げられる。治療のための手術は、多の治療(例えば、本発明の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子治療、免疫療法および/もしくは代替療法)とともに使用され得る癌処置である。治療のための手術は、癌組織の全てもしくは一部を物理的に除去し、切り出し、そして/もしくは破壊する切除術を含む。腫瘍切除術とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去をいう。腫瘍切除術に加えて、手術による処置としては、レーザー手術、冷凍手術、電軌外科手術、および顕微鏡制御下での手術(モース術)が挙げられる。本発明が表在性の癌、前癌、もしくは付随的な量の正常組織の除去とともに使用され得ることは、さらに企図される。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含められる。以下の実施例に開示されている技術が、本発明の実施において十分に機能する、本発明者らによって発見された技術を表し、従って、その実施のための好ましい態様を構成すると考えられ得ることは、当業者によって認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示に鑑みれば、多くの変更が、開示される特定の実施形態において行われ得、そしてなお本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、類似のもしくは同様の結果を得ることを認識する。
(実施例1:S−ジメチルアルシノ(arsino)−チオコハク酸(MER1)、S−ジメチルアルシノ−サリチル酸(SAL1)、およびS−(ジメチルアルシノ)グルタチオン(SGLU1)の合成)
MER−1:メルカプトコハク酸(4.5g)を、250mL丸底フラスコ中のグライム(1,2−ジメトキシエタン)100mLに入れた。4mLのジメチルクロロアルシン(0.03mol)を滴下し、続いて、4mLのジエチルアミン(0.04mol)を再び滴下した。上記反応混合物を、室温で20時間にわたって撹拌した。ジエチルアミンヒドロクロリドの白色の沈殿が形成されたので、濾過によって分離した。上記グライム中のMER1の溶液を、低圧でのエバポレーションによって、体積を大きく減少させた。MER1の白色結晶を濾過によって分離し、冷蒸留水で洗浄した。次いで、無色の結晶生成物を、エタノール−水から150℃の一定の融点まで再結晶化した。
SAL−1:100mLフラスコ中に、5gの2−メルカプト安息香酸(チオサリチル酸)、75mLのグライム、5mLのジメチルクロロアルシン、および5mL ジエチルアミンを入れた。上記混合物を、窒素雰囲気下で1時間にわたって還流し、室温で一晩攪拌した。ジエチルアミンヒドロクロリドの沈殿物を、濾過によって分離した。その濾液を、生成物の結晶が分離するまで、減圧下でゆっくりとエバポレートした。上記生成物を含むエバポレートした溶液を、氷中で冷却し、その冷たい溶液を濾過した。上記生成物の結晶を、エタノールから97℃の一定の融点へと再結晶化した。
SGLU−1:グルタチオン(14.0g,45.6mmol)を、ジメチルクロロアルシン(6.5g,45.6mmol)を滴下している間に、グライム中で素早く攪拌した。次いで、ピリジン(6.9g,91.2mmol)を上記スラリーに添加し、上記混合物を、その後、加熱して還流した。上記熱を直ぐに外し、上記混合物を、室温で4時間にわたって攪拌した。得られた不溶性固体を単離し、エタノールから再結晶化したところ、ピリジンヒドロクロリド複合体として4を得た(75% 収率):mp 115〜118℃; NMR (DO) d1.35 (s,6H), 1.9−4.1(m’s,10H), 7.8−9.0(m,5H);質量スペクトル(m/e) 140, 125, 110, 105, 79, 52, 45, 36。この物質は、本明細書で記載される例に対しては使用されないが、Banks,C.H.,ら(J.Med.Chem.(1979)22:572−575)(その全体が本明細書で参考として援用される)において記載されるように、生物学的アッセイにおいて使用した。
(実施例2:S−ジメチルアルシノグルタチオンの代替の合成)
以下の手順は、S−ジメチルアルシノグルタチオンの調製の様式を記載する。使用される量は、それぞれの比が維持されれば、等しく成功して、かけ算もしくは割り算され得る。
(ジメチルクロロアルシン)
ジメチルアルシン酸(CHAs(O)OHは、Luxembourg Chemical Co.,Tel Aviv,Israelによって供給された。上記生成物には、その純度の提示が付随し、99.7% 純度として供給した。上記ジメチルアルシン酸を、pH3になるまで水−塩酸中に溶解した。二酸化硫黄の流れを、約1時間にわたってこの溶液に通した。ジメチルクロロアルシンを、重い無色の油状物として分離した。2つの液相、水/(CHAsClを、分離漏斗を使用して分離した。上記クロロジメチルアルシンを、ジエチルエーテル中に抽出し、他の溶液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この乾燥させた溶液を蒸留フラスコに移し、これを、ゆっくりと加熱して、エーテルをエバポレートした。その残りの液体であるジメチルクロロアルシンを、蒸留によって精製した。106〜109℃で沸騰する画分を集めた。この生成物(無色の油状物)は、1.65ppmにおいて単純なH NMR共鳴を示す。
(S−ジメチルアルシノグルタチオン)
500mLフラスコ中に、7gのグルタチオンを、Aldrich Chemical Co.,から受け取ったまま(純度 98%)使用し、250mLの1,2−ジメトキシエタン中に溶解した。この溶液に、3.3gのジメチルクロロアルシンを添加した。これに続いて、3.5gのピリジン(NaOHペレットで乾燥させた後に再蒸留)を添加した。上記溶液を1時間にわたって還流し、その後、3時間にわたって室温でこれを攪拌した。
所望の生成物であるS−ジメチルアルシノグルタチオンを、ピリジンヒドロクロリド複合体として分離した。上記固体を濾過によって取り出し、1,2−ジメトキシエタンで徹底的に洗浄した。その後、これを無水塩化カルシウムに対して真空中で乾燥させた。S−ジメチルアルシノグルタチオンピリジンヒドロクロリドの収量は、10.3gであり、融点は、135〜140℃であった。この物質を、実施例2〜12において上記で記載される生物学的アッセイで使用した。
(実施例3:S−ジメチルアルシノグルタチオン(GLU)のピリジンヒドロクロリドを使わない合成)
ジメチルアルシノグルタチオンを、Chen(Chen,G.C.,ら Carbohydrate Res.(1976)50:53−62(その内容は、それら全体が本明細書に参考として援用される))の改変を使用して作製する。簡潔には、ジチオビス(ジメチルアルシノグルタミン)を、窒素下でジクロロメタン中に溶解する。テトラメチルジアルシンを上記溶液に滴下し、その反応系を、室温において一晩窒素下で攪拌し、次いで、1時間空気に曝す。次いで、上記混合物を、乾燥するまでエバポレートし、その残渣を水で洗浄し、乾燥させて、粗製固体を得た。これを、メタノールから再結晶化して、S−ジメチルアルシノグルタチオンを得る。
(実施例4:ピリジンヒドロクロリドを使わないS−ジメチルアルシノグルタチオン(GLU)の第3の合成)
S−ジメチルアルシノグルタチオンを、Cullenら(J.Inorg.Biochem.(1984)21:179−194(その内容は、それら全体が本明細書に参考として援用される))の手順を使用して作製する。簡潔には、ジメチルアルシン酸およびグルタチオンを、窒素雰囲気下で水に溶解し、攪拌する。得られた溶液を、12時間にわたって撹拌し、次いで、加熱することなく減圧下で乾燥するまでエバポレートして、齢メタノールで抽出される固体を得る。次いで、上記メタノール溶液を、減圧下で乾燥するまでエバポレートし、得られた固体を、メタノール/水から再結晶化し、集め、乾燥させて、S−ジメチルアルシノグルタチオンを得る。
(実施例5:ジメチルクロロアルシンの調製)
メカニカルスターラーアセンブリ、添加漏斗、サーモメーター、窒素入り口、および乾燥チューブを備え付けた3Lの三ツ口丸底フラスコを、バス中に置いた。上記フラスコに、カコジルさん(250g)および濃HCl(825mL)を充填歯、溶解するまで攪拌した。上記カコジル酸が完全に溶解した後、上記溶液を40℃へと加温した。この攪拌溶液に、反応温度を40〜50℃の間に維持して、次亜リン酸(HPO)(50% 溶液,250g)を滴下した。約50mLのHPOを添加した後、上記溶液が混濁し、上記反応系の温度が急激に上昇し、この時点で、外部冷却バスを使用して、上記反応温度を40〜50℃の間に維持した。所望の範囲に上記反応温度を維持して、HPOの添加を継続した。HPOの添加が完了した後、上記反応を、撹拌子ながら15分間にわたって40〜45℃の間に保持した。上記外部バスを外し、攪拌を継続した。上記反応系を攪拌し、<30℃へと冷却した。上記反応混合物の温度が30℃以下に低下した後、メチレンクロリド(300mL)を添加し、得られた混合物を攪拌して、その生成物をメチレンクロリドへと抽出した。攪拌を中止したところ、その層は1/2時間で分離した。上記層を分離し、メチレンクロリド層を、最低1時間にわたって撹拌子ながら、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。その混合物を、窒素雰囲気下で最大72時間にわたって静置した。上記有機混合物を濾過して、上記硫酸ナトリウムを除去し、上記メチレンクロリドを、常圧蒸留によって除去した。その粗製残渣生成物を、窒素雰囲気下で、8” Vigreuxもしくは充填カラムを通して蒸留した。常圧でbp 104〜106℃を有するその生成物画分を、集めた。
(S−ジメチルアルシノグルタチオンの調製)
メカニカルスターラーアセンブリ、サーモメーター、添加漏斗、窒素入り口、および乾燥チューブを備え付けた5Lの三つ口丸底フラスコを、冷却バス中に置いた。ポリエチレンの鉢にグルタチオン(還元型)(200g)および脱イオン水(2L)を充填し、窒素雰囲気下で攪拌して、全ての固体を融解した。上記混合物を濾過して、いかなる不溶性の物質をも除去し、その濾液を、上記5Lフラスコに移した。撹拌子ながら、エタノール(200プルーフ(2L))を添加し、その透明な溶液を、氷/メタノールバスを使用して0〜5℃へと冷却した。ピリジン(120g)を添加し、続いて、MeAsCl(120g)を最低1時間かけて滴下した。上記反応混合物を、0〜5℃で最低2時間にわたって攪拌し、その後、冷却バスを外し、上記混合物を窒素雰囲気下で攪拌しながら室温へと加温した。上記反応混合物を、窒素雰囲気下で室温において一晩(>15時間)攪拌し、その時点で、白色固体が沈殿し得る。上記反応混合物を、オイルポンプ真空を使用して、35〜45℃においてスラリー(液体および固体)へと濃縮して、白色固体の残渣を得た。可能な限り多くの水を除去し、続いて、エタノールでの2回の同時エバポレーションを行って、最後の微量の水を共沸(azeotrope)した。その白色固体の残渣を、エタノール(200pf.(5L))中で、窒素雰囲気下で一晩室温においてスラリーにした。上記白色固体を濾過し、エタノール(200pf.(2×500mL))で洗浄し、続いて、アセトン、ACS(2×500mL)で洗浄した。その得られた固体を乾燥トレイに移し、真空オーブンを25〜35℃でオイルポンプ真空を用いて一晩乾燥させて、ピリジニウムヒドロクロリドなしのS−ジメチルアルシノグルタチオンを、189−190℃の融点を有する白色固体として得た。
(S−ジメチルアルシノグルタチオンの投与形態の調製)
注射用水(WFI)中のS−ジメチルアルシノグルタチオンの溶液を、NaOHもしくはHClでpH5.0〜5.5へと調節した。次いで、得られた溶液を、0.2ミクロンSartopore 2フィルタを通して濾過し、Flexicon濾過ユニットを使用して、タイプ1 ホウケイ酸ガラスバイアル(Wheaton)1つあたり150mgを入れた。次いで、上記充填したバイアルを、最初に上記バイアルをシェルフの上に載せ、その温度を0.5℃/分の冷却速度で−40℃へと一定割合で低下させることによって、Hull 48 Lyophilizerユニットの中で凍結乾燥した。次いで、上記シェルフ温度を、−40℃において300分間保持した。次いで、75ミクロンで真空を適用し、上記シェルフ温度を、0.1℃/分の速度で最大5℃へと一定温度で上昇させた。次いで、上記シェルフ温度を、5℃において1,000分間にわたって保持し、その後、50ミクロンにおいて真空を適用した。次いで、上記シェルフ温度を、0.1℃/分の速度で最大25℃へと上昇させ、上記温度を、25℃において720分間にわたって保持した。次いで、上記シェルフ温度を、5℃へと低下させ、最終の栓をする工程まで保持した。その時点で、チャンバを窒素で640,000mmTorrに戻し、上記バイアルに灰色のブチル凍結乾燥ストッパーで栓をし、最終的に、アルミニウムシールで波形を付け(crimp)て、S−ジメチルアルシノグルタチオンを水分含有量1.8%の白色から灰白色のケーキとして得た。上記凍結乾燥手順のための合計時間は、47時間であった。次いで、上記凍結乾燥したS−ジメチルアルシノグルタチオンを、2.0mL 滅菌水で再構成して、最終濃度75±7.5mg S−ジメチルアルシノグルタチオン/mLおよびpHが4.5〜6.0の無色透明の溶液を得た。
(実施例6:ジメチルクロロアルシン(DMCA)の調製)
メカニカルスターラー、窒素用の入り口、サーモメーター、およびアイスバスを備え付けた三ツ口丸底フラスコ(500mL)に、カコジル酸(33g,0.23mol)および濃塩酸(67mL)を充填した。別個のフラスコに、濃塩酸(10mL)中のSnCl・2HO(54g,0.239mol)の溶液を調製した。上記SnCl・2HO溶液を、温度を5℃〜10℃の間に維持しながら、窒素下で上記HCl溶液中のカコジル酸に添加した。上記添加が完了した後に、上記アイスバスを外し、上記反応混合物を、周囲温度で1時間にわたって攪拌した。上記反応混合物を、分離漏斗に移し、その上側の層(有機性)を集めた。その下側の層を、ジクロロメタン(DCM)(2×25mL)で抽出した。その合わせた有機抽出物を、1N HCl(2×10mL)および水(2×20mL)で洗浄した。上記有機抽出物を、MgSOで乾燥させ、DCMをロータリーエバポレーター(バス温度80℃、窒素下、大気圧)で除去した。その残渣をさらに窒素下で蒸留した。DMCAの2つの画分を集めた。第1の画分は、いくらかのDCMを含み、第2の画分は、適切な質のもの(8.5g,26% 収率)であった。そのGC分析から、上記生成物の正体および純度を確認した。
(S−ジメチルアルシノグルタチオン(SGLU−1)の調製)
水/エタノール 1:1 v/v(180mL)の混合物中のグルタチオン(18g,59mmol)の懸濁物を、不活性雰囲気下で5℃未満に冷却し、少しずつトリエチルアミン(10mL,74mmol)で処理した。上記混合物を0〜5℃へと冷却し、5℃未満の温度を維持しながらDMCA(11g,78.6mmol)を10分間にわたって滴下した。上記反応混合物を、0〜5℃において4時間にわたって撹拌子、得られた固体を、濾過によって単離した。上記生成物を、エタノール(2×50mL)およびアセトン(2×50mL)で洗浄し、室温において一晩真空中で乾燥させて、11g(46%)のSGLU−1を得た。HPLC純度は、面積で97.6%(3回の注入の平均)であった。C1222AsNSについての分析計算値:C,35.04; H,5.39; N,10.12, S,7.8。実測値:C,34.92; H,5.31; N,10.27, S,7.68。Hおよび13C−NMRは、上記構造と一致していた。その濾液を、アセトン(150mL)で希釈し、冷蔵庫中に2日間置いた。さらに5.1g(21%)のSGLU−1を、第2の収穫物として単離した。HPLC純度は、面積で97.7%(3回の注入の平均)であった。
(S−ジメチルアルシノグルタチオン(SGLU−1)の調製)
不活性雰囲気下で、メカニックスターラー、滴下漏斗およびサーモメーターを備え付けた3Lの三つ口フラスコにおいて、水/エタノールの1:1 (v/v)混合物(1140mL)中にグルタチオン(114.5g,0.37mol)の懸濁物を調製し、5℃未満に冷却した。上記混合物を、温度を20℃未満に維持しながら、トリエチルアミン(63.6mL,0.46mol)でゆっくりと(15分かけて)処理した。上記混合物を、4℃へと冷却し、15分間にわたって撹拌し、次いで、微量の溶解していない物質を濾過によって除去した。その濾液を、メカニックスターラー、滴下漏斗、窒素入り口、およびサーモメーターを装備したきれいな3Lの三つ口フラスコに移し、DMCA(70g,0.49mol)(ロット番号 543−07−01−44)を、温度を3〜4℃に維持しながら、ゆっくりと添加した。上記反応混合物を、1〜4Cで4時間にわたって撹拌し、アセトン(1.2L)を、1時間にわたって添加した。上記混合物を、2〜3℃の間で90分間にわたって撹拌し、得られた固体を、濾過により単離した。上記生成物を、エタノール(2×250mL)およびアセトン(2×250mL)で洗浄し、その湿った固体を、エタノール 200プルーフ(2000mL)中に懸濁した。上記生成物を濾過によって単離し、エタノール(2×250mL)およびアセトン(2×250mL)で洗浄し、室温において2日間にわたって真空中で乾燥させて、115g(75%)のSGLU−1(HPLC純度>99.5%(試験しているプロセスにおいて))を得た。
(実施例7:GMZ27の抗癌活性のインビトロ評価)
GMZ27(以下の構造を有する有機性アルシン):
Figure 2012500271
を、異なるヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株に対して、72時間のMTSアッセイにおいて試験したところ、IC50が0.56〜0.86μMであることが見いだされた。この活性は、これら細胞株に対する三酸化ヒ素の活性より高かった(図27A)。次いで、上記GMZ27の抗白血病活性を、長期(7日間)のコロニー形成アッセイ(このアッセイにおいて細胞を、半固体培地中で増殖させる)において評価した。GMZ27は、ヒト白血病細胞株ならびに急性および慢性の白血病を有する患者から得られた白血病細胞の両方に対して、三酸化ヒ素より顕著に高い活性を有した(図27B)。
次いで、GMZ27および三酸化ヒ素の抗癌活性の機構を比較した。三酸化ヒ素(ATO)は、いくつかの機構(アポトーシスの誘導、細胞GSHレドックス系の調節を生じる細胞内ROSの生成の変化、細胞分化/成熟、ならびに細胞周期調節に対する考えられる効果が挙げられる)を介して、APL以外の細胞においてその抗白血病活性を発揮した。
GMZ27は、アポトーシスの誘導において、ATOより強力であった。結果は、GMZ27がミトコンドリアの膜電位を変化させ、カスパーゼ9を切断するが、変わりの、外部からの経路によっても切断するので、GMZ27がミトコンドリアのアポトーシス経路を活性化したことを示す。なぜなら、GMZ27は、カスパーゼ8を切断したからである。このことは、カスパーゼ3活性の誘導、PARPの切断、および上記細胞へのアネキシンVの結合を生じた(図28および図29)。
ブチオニンスルホキシミン(BSO)での白血病細胞の前処置は、白血病細胞をGMZ27に対してより感受性にする;その一方で、ジチオスレイトール(dthiothreitol)(DTT)もしくはN−アセチルシステイン(NAC)(これは、細胞内GSHを増大させ得る)での前処理が、上記細胞の感受性を低くする(図30)。このことは、GMZ27が、ATOと同様に、白血病においてGSHレドックス系を調節するが、より早くかつATOより高い程度にまでそのように調節することを示唆した(図31)。
GMZ27は、低用量において、細胞の表面にあるCD11b成熟マーカーの誘導によって判断される場合、細胞分化/成熟を部分的に誘導することが見いだされた。この効果は、ATOのものと比較して、重要ではなかった(図32)。GMZ27は、細胞周期進行に対して何ら効果を有さなかった(図33)。
健康なドナーの末梢血単核球に対するGMZ7の毒性を、長期のコロニー形成アッセイにおいて評価した。GMZ27は、ATOより正常細胞に対して毒性が低かった(図34)。
GMZ27の単一用量注射の毒性を決定する研究を、正常Swiss−Websterマウスにおいて行った。死亡率に基づいて毒性を測定した。マウスのうちの50%を死滅させるGMZ27の濃度(LD50)は100mg/kgであることが分かった。対照的に、ATOのLD50は、わずか10mg/kgで、遙かに低かった。
(実施例8:N−(2−S−ジメチルアルシノチオプロピオニル)グリシンの調製)
N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン(0.02mol,3.264g)を、1,2−ジメトキシエタン(50mL)に入れ、ジメチルクロロアルシン(0.025mol,3.52g)を滴下した。上記反応混合物を、室温において4時間にわたって攪拌した。次いで、トリエチルアミンヒドロクロリド塩の白色沈殿物を、濾過によって分離し、上記溶液を、減圧でのエバポレーションによって体積を減らした。その得られた残渣を、カラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物(3.5g)を得た。
(実施例9:2−(S−ジメチルアルシノ)チオニコチン酸の調製)
2−メルカプトニコチン酸(0.02mol,3g)を、ジクロロメタン(50mL)中に入れ、ジメチルクロロアルシン(0.025mol,3.52g)を滴下した。上記反応系を、4時間にわたって還流して攪拌した。次いで、上記ジクロロメタンを蒸留によって除去し、その残渣を、ジエチルエーテル(50mL)に溶解し、水で洗浄した(3×)。上記溶液を、NaSOで乾燥させ、濾過し、所望の生成物を、減圧下での濃縮後に淡黄色固体として得た。
(実施例10:L−(+)−2−アミノ−3−(ジメチルアルシノ)チオ−3−メチル酪酸)
L−(+)−2−アミノ−3−メルカプト−3−メチル酪酸(0.01mol,1.55g)を、ジクロロメタン(50mL)中に入れ、ジクロロメタン(dichlorormethane)(5mL)中のジメチルクロロアルシン(dimthylchloroarsine)(0.015mol,2.1g)を滴下し、続いて、トリエチルアミン(1.6g)を滴下した。上記混合物を4時間にわたって撹拌したところ、所望の生成物が、上記反応混合物の濾過の後に、浮遊する白色結晶性固体として出現した。上記結晶性固体をジクロロメタン、酢酸エチル、およびアセトンで洗浄して、連続して所望の生成物(1.6g;mp 107〜109℃)を得た。
(実施例11)
SGLU−1(ダリナパルシン(darinaparsin))の第2相多施設治験を、進行したリンパ腫と診断された患者において行った。適格な患者は、治療を必要とし、少なくとも1回は以前に治療を受けていた。患者に、28日毎に連続5日間にわたって300mg/mのダリナパルシンを静脈内に与え(1サイクル)、次いで、標準的な基準に従って効力および安全性について評価した。毒性もしくは進行まで処置を継続した。現在までのところ、上記研究は、22名の患者を得た(15名は非ホジキンリンパ腫[NHL]、7名はホジキンリンパ腫);12名は男性であり、10名は女性である。ベースラインのメジアン年齢は、60.5歳であった(範囲:28〜80歳)。ECOG全身状態(performance status)は、≦2であった。以前の治療のメジアン数値は、3(範囲:1〜6)であった。13名の被験体に、少なくとも2サイクルのSGLU−1を受けさせたところ、効力について評価可能である。これらのうち、1名(末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)と診断された)は、完全な応答(CR)を達成し、3名(それぞれ、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、周縁帯リンパ腫、および結節硬化型ホジキンリンパ腫と診断された)は、部分的な応答(PR)を達成し、2名のNHLを有する患者は、安定(stable disease)(SD)を達成した。PRを達成した、周縁帯リンパ腫を有する患者において、肉眼的に疾患の証拠は存在しなかったが、顕微鏡的には、正常そうな胃粘膜からの無作為生検に対して疾患が検出可能であった。全ての応答者が、かなりの回数で前もって処置されて(heavily pretreated)いた(PTCL:CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロン)×6、ICE(イホスファミド、カルボプラチンおよびエトポシド)×1、およびEPOCH(エトポシド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、およびプレドニゾン)×2;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:RCHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロン)×5、RICE(リツキシマブ、イホスファミド、カルボプラチンおよびエトポシド)×3、ならびに放射線療法;周縁帯リンパ腫:リツキシマブ×8、RCVP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾロン)×1、およびゲムシタビン×1;ならびにホジキンリンパ腫:ICE×1、CBV(シクロホスファミド、カルムスチンおよびエトポシド)×1、ゲムシタビン+MDX−060(Medarex)×6)。合計49サイクルのSGLU−1を投与した。薬物関連と考えられる唯一のグレード3の有害事象(AE)が、喘鳴(wheezing)であった。合計12名の被験体が、37回の重篤な有害事象(SAE)を研究の間に報告した。これらのうち、わずか2名が、薬物関連と考えられるSAE(好中球減少性発熱,低下(fall)を有した。結論として、SLGU−1は、非常によく許容されており、進行したリンパ腫と診断された、かなりの回数で前もって処置された患者において有望な活性を実証した。最初の応答(1名 CR、3名 PR、2名 SD)は、13名の評価可能な患者の中で観察された。
(等価物)
当業者は、単に慣用的な実験法、上記化合物に対する多くの等価物および本明細書に記載されるその使用法を認識するか、またはこれらを使用して、確認し得る。このような等価物は、本発明の範囲内であるとみなされ、以下の特許請求の範囲によって網羅される。当業者はまた、本明細書に記載される実施形態の全ての組み合わせが、本発明の範囲内にあることを認識する。
上記の参考として援用される文献および刊行物の全ては、本明細書に参考として援用される。

Claims (20)

  1. 非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択されるリンパ腫を処置するための方法であって、該方法は、式(I)の構造を有する化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩:
    Figure 2012500271
    を投与する工程を包含し、
    ここで
    Xは、SもしくはSeであり;
    Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり;
    nは、0〜20の整数であり;
    およびRは、独立して、C1−30アルキルであり;
    は、-H、C1−10アルキル、もしくはC0−6アルキル−COORであり;
    3’は、H、アミノ、シアノ、ハロゲン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、もしくはC1−10アルキニルであり;
    は、−OH、−H、−CH、アミノ、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグルタミン置換基であり;
    は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基であり;そして
    は、HもしくはC1−10アルキルである、
    方法。
  2. 前記化合物が、以下:
    Figure 2012500271
    である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記リンパ腫が、ホジキンリンパ腫である、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記リンパ腫が、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、周縁帯リンパ腫、および結節硬化型ホジキンリンパ腫から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記化合物が、静脈内投与される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記化合物の用量が、200〜420mg/mである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記化合物の用量が、300mg/mである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記化合物が、4週間毎に5日間にわたって毎日投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記化合物が、4週間毎に連続5日間にわたって毎日投与される、請求項9に記載の方法。
  11. 非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫から選択されるリンパ腫を処置するための医薬の製造における、式(I)の構造を有する化合物もしくはその薬学的に受容可能な塩:
    Figure 2012500271
    の使用であって、
    ここで
    Xは、SもしくはSeであり;
    Wは、O、S、もしくは(R)(R)であり、ここでRの各存在は、独立して、HもしくはC1−2アルキルであり;
    nは、0〜20の整数であり;
    およびRは、独立して、C1−30アルキルであり;
    は、-H、C1−10アルキル、もしくはC0−6アルキル−COORであり;
    3’は、H、アミノ、シアノ、ハロゲン、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、カルボキシル、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、もしくはC1―10アルキニルであり;
    は、−OH、−H、−CH、アミノ、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグルタミン置換基であり;
    は、-OH、シアノ、C1−10アルコキシ、アミノ、O−アラルキル、−OC(O)C1−10アラルキル、−OC(O)C1−10アルキル、−OC(O)アリール、もしくはグリシン置換基であり;そして
    は、HもしくはC1−10アルキルである、
    使用。
  12. 前記化合物が、以下:
    Figure 2012500271
    である、請求項11に記載の使用。
  13. 前記リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫である、請求項11または12に記載の使用。
  14. 前記リンパ腫が、ホジキンリンパ腫である、請求項11または12に記載の使用。
  15. 前記リンパ腫が、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、周縁帯リンパ腫および結節硬化型ホジキンリンパ腫から選択される、請求項11または12に記載の使用。
  16. 前記化合物が、静脈内投与される、請求項11〜15のいずれか1項に記載の使用。
  17. 前記化合物の用量が、200〜420mg/mである、請求項11〜16のいずれか1項に記載の使用。
  18. 前記化合物の用量が、300mg/mである、請求項17に記載の使用。
  19. 前記化合物が、4週間毎に5日間にわたって毎日投与される、請求項11〜18のいずれか1項に記載の使用。
  20. 前記化合物が、4週間毎に連続5日間にわたって毎日投与される、請求項19に記載の使用。
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