JP2018039704A - 発色性のよい来待風陶磁器釉薬 - Google Patents

発色性のよい来待風陶磁器釉薬 Download PDF

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Abstract

【課題】来待釉特有の虹彩及び色調を一層忠実に再現する、鉛を含まない来待風陶磁器釉薬の提供。【解決手段】ゼーゲル表示で、R12O(R12OはLi2O、Na2OおよびK2Oの1種または2種以上を表す)をR12O≦0.1モル;R2O(R2OはCaO、MgO、SrO、ZnOおよびBaOの1種または2種以上を表す)を0.9モル≦R2O;Al2O3を0.1モル≦Al2O3≦0.45モル;Fe2O3を0.08モル≦Fe2O3≦0.24モル;SiO2を1.8≦SiO2≦4;P2O5を0.01≦P2O5≦0.2;TiO2を0.05モル≦TiO2≦0.3;及びWO3を0.01モル≦WO3≦0.2モル量で含む、来待風陶磁器釉薬、【選択図】なし

Description

本発明は、発色性のよい来待風陶磁器釉薬に関する。
来待釉とは山陰地方に古くから伝わる伝統色を醸し出す、赤褐色から柿色の虹彩を持ったラスター釉である。
来待釉は焼成後のガラス質表面が見る角度によって色が変化する独特な輝きを持った釉材であり、島根県で産出する凝灰質岩石の1種である来待石の粉末70%以上を直接利用した伝統的な釉薬である。すなわち、この釉薬の色の変化については、焼成したガラス質表面を正面から見るとき、赤褐色から柿色、斜めの角度からみると白く輝いて見えるというものである。
元々来待釉は、天然の来待石を粉砕し作られていた。しかしながら原料の枯渇化や安定生産の面から、入手が容易な窯業原料を調合するようになっている(特許文献1及び2)。
窯業原料を調合による来待釉が製造され始めた当時は、来待釉特有の虹彩や色調を再現するために鉛が熔剤として不可欠であった。しかしながら、近年、労働衛生上、環境の観点から無鉛化の要請が高まり、その要請に応える技術が存在している。鉛は伝統の独特な虹彩及び色調を醸し出させる機能を有する成分である。
特許第4787112号公報 特許第5142583号公報
鉛を含まない来待風陶磁器釉薬には、来待釉特有の虹彩及び色調を、一層忠実に再現する需要がある。
上記課題に鑑み、本発明者らは鉛を含まない来待風陶磁器釉薬において来待釉特有の虹彩及び色調を、一層忠実に再現する成分及びその配合比について検討したところ、ある種の成分の配合比を適切に調整することにより上記課題が解決できる可能性があることを見出し、さらに鋭意研究を進めた結果本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも下記の各発明に関する:
[1]
ゼーゲル表示で、
O(R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)をR O≦0.1モル;
O(ROはCaO、MgO、SrO、ZnOおよびBaOの1種または2種以上を表す)を0.9モル≦RO;
Alを0.1モル≦Al≦0.45モル;
Feを0.08モル≦Fe≦0.24モル;
SiOを1.8≦SiO≦4;
を0.01≦P≦0.2;
TiOを0.05モル≦TiO≦0.3;及び
WOを0.01モル≦WO≦0.2モル
の量で含む、来待風陶磁器釉薬。
[2]
ゼーゲル表記で、
O(R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)をR O≦0.4モル;
O(ROはCaO、MgO、SrO、ZnOおよびBaOの1種または2種以上を表す)を0.6モル≦RO;
Alを0.1モル≦Al≦0.6モル;
Feを0.08モル≦Fe≦0.24モル;
SiOを1.8≦SiO≦5;
を0.01≦P≦0.2;
TiOを0.05モル≦TiO≦0.3;及び
MoOを0.01モル≦MoO≦0.2モル
の量で含む、来待風陶磁器釉薬。
[3]
0.05モル≦R O≦0.1モルであり、かつ
0.2モル≦Al<0.4モルである、上記[1]の来待風陶磁器釉薬:
[4]
下記(1)〜(4)の1つ又は2つ以上をさらに充足する上記[3]の来待風陶磁器釉薬:
(1)0.1モル≦Fe≦0.25モル
(2)2.0モル≦SiO<3.5モル
(3)0.05モル≦P≦0.2モル
(4)0.03モル≦WO<0.2モル
[5]
0.1モル<R O≦0.2モルであり、かつ
0.05モル≦P<0.2モルであるか又は0.02モル≦MoO<0.2モルである、上記[2]の来待風陶磁器釉薬。
[6]
WOをさらに含み、WOとMoOとの合計の量が0.02モル〜0.3モルである、上記[2]の来待風陶磁器釉薬。
[7]
SrOを0.05モル≦SrO≦0.2モルの量でさらに含む、[1]〜[6]のいずれかの来待風陶磁器釉薬。
[8]
ゼーゲル表示で、
O(R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)をR O≦0.1モル;
O(ROはCaO、MgO、SrO、ZnOおよびBaOの1種または2種以上を表す)を0.9モル≦RO;
Alを0.1モル≦Al≦0.45モル;
Feを0.08モル≦Fe≦0.24モル;
SiOを1.8≦SiO≦4;
を0.01≦P≦0.2;
TiOを0.05モル≦TiO≦0.3;及び
WOを0.01モル≦WO≦0.2モル
の量で含む、来待風陶磁器釉薬、又は
ゼーゲル表示で、
O(R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)をR O≦0.4モル;
O(ROはCaO、MgO、SrO、ZnOおよびBaOの1種または2種以上を表す)を0.6モル≦RO;
Alを0.1モル≦Al≦0.6モル;
Feを0.08モル≦Fe≦0.24モル;
SiOを1.8≦SiO≦5;
を0.01≦P≦0.2;
TiOを0.05モル≦TiO≦0.3;及び
MoOを0.01モル≦MoO≦0.2モル
の量で含む、来待風陶磁器釉薬
を施釉、焼成して得られる来待風陶磁器製品
[9]
陶器瓦である、[8]の来待風陶磁器製品。
理論に束縛されるものではないが、本発明において来待釉特有の虹彩及び色調を、一層忠実に再現することができるようになった原理は、以下のように考えられる。
(1)本発明においてはアルカリ(R O)の量を低くすることにより釉薬の熱膨張が小さくなる。そのためAl及び/又はSiOを低くすることが可能であり、結晶の析出をより促進させることが可能である。かかる結晶の析出をより促進させる効果は、とくにアルカリ(R O)が少ない程現れることが、本発明者らによって見出された。
(2)また特許文献1においてはWOに着目がなされているが、MoOによりWOと同様な効果が得られることが、本発明の発明者らにより明らかにされた。むしろ、MoOの方がWOより虹彩結晶の析出を促進させることが明らかになった。
とくに特許文献1に記載の技術においてはアルカリ成分(本願発明におけるR O)の量が0.10モル〜0.40モルと多いことが特徴であるところ、アルカリ成分の量が多いと釉薬の熱膨張が大きくなり、かかる釉薬においては瓦生地との膨張差が広がり貫入が入りやすくなる。かかる膨張差を埋めるため、このような釉薬においてはSiO及びAlを増やさざるを得ない。しかしながら来待特有の虹彩の結晶は一種の表層結晶であり、その結晶はSiO及びAlの量が小さい程析出しやすい。すなわち、アルカリ成分が多いこと、ひいてはSiO及びAlの量が多いことは、来待特有の虹彩の結晶の析出を阻害することとなる。
本発明においては、特許文献1に記載の技術における上記問題点を解消し、来待釉特有の虹彩及び色調を、一層忠実に再現することを可能にしたのである。
本発明の来待風陶磁器釉薬においては、有鉛製品に近づいた従来の来待釉に比較して、さらに来待特有の虹彩、色調を再現できるという効果を奏する。
また本発明の来待風陶磁器釉薬のうちSrOを0.2モル程度添加されたものは、これまで得られなかった鮮やかな柿色が再現できるといった効果を奏する。
以下、本発明に必要な各成分量及びその相互関係について説明する。
なお、本発明の来待釉を、タングステンを含有しモリブデンを含有しないもの(「タングステンタイプ」)とモリブデンを含有するもの(「モリブデンタイプ」)と分けて説明する。
A.タングステンタイプ
タングステンタイプは、本発明の来待釉のうちタングステンを含有しモリブデンを含有しないものであり、アルカリ金属酸化物の量が小さいことを特徴とする。
タングステンタイプにおけるWOの量は、0.01モル≦WO≦0.2モル(0.01モル以上0.2モル以下。以下本明細書において「〜」を用いた表記は同様の意味を有する。)であり、好ましくは0.03モル≦WO≦0.2モルであり、より好ましくは0.03モル≦WO≦0.15モルである。
O(Rは、R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)については、R O≦0.1モルであり、好ましくは0.01モル≦R O≦0.1モルであり、より好ましくは0.02モル≦R O≦0.1モルであり、一層より好ましくは0.05モル≦R O≦0.1モルである。該R Oを前記の量で用いることによって所望の発色が達成されるばかりでなく、貫入も防止される。
O(ROはCaO、MgO、SrO、ZnOおよびBaOを表す)は、釉薬の熔融を助ける働きをする必須成分であり、ある程度の量を添加することによって釉薬は熔融しやすくなる。タングステンタイプにおける量は0.9モル以上であれば限定されず、好ましくは0.9モル≦RO≦0.99モルであり、より好ましくは0.9モル≦RO≦0.98モルであり、一層より好ましくは0.9モル≦RO≦0.95モルである。
Srの酸化物(SrO)は本発明において好適に用いられ、上記ROに含まれるもの以外の量は例えば0.05モル≦SrO≦0.2モルであり、好ましくは0.1モル≦SrO≦0.2モルである。
SrOは、R Oの量が比較的少ない場合、例えばR O≦0.05モルの場合にとくに好適に用いられる。
またSrOは、Alの量が比較的少ない場合、例えばAl≦0.3モルの場合にも、とくに好適に用いられる。
SrOを上記の量で使用することにより、これまでなし得なかった鮮やかな柿色が再現できるといった効果が奏される。
Alは、発色に影響し、溶融にも大きな影響を与える成分であり、タングステンタイプにおけるAlの量は、0.1モル≦Al≦0.45モル(0.1モル以上0.45モル以下。以下本明細書において「〜」を用いた表記は同様の意味を有する。)であり、好ましくは0.2モル≦Al≦0.45モルであり、より好ましくは0.2モル≦Al≦0.44モルであり、一層より好ましくは0.25モル≦Al≦0.3モルである。
Feは、発色に影響する成分であり、タングステンタイプにおける量は0.08モル≦Fe≦0.3モルであり、好ましくは0.1モル≦Fe≦0.25モルであり、より好ましくは0.1モル≦Fe≦0.2モルである。
SiOは、Al成分と共に釉薬の性状をコントロールする基本的な成分である。
タングステンタイプにおける量は、1.8モル≦SiO≦4.0モルであり、好ましくは2.0モル≦SiO≦4.0モルであり、より好ましくは2.0モル≦SiO≦3.5モルである。
は来待の明度を与える結晶を生じさせる成分の一つであり、タングステンタイプにおけるPの量は0.01モル≦P≦0.2モルであり、好ましくは0.05モル≦P≦0.2モルであり、より好ましくは0.05モル≦P≦0.15モルである。
TiOは釉薬表面の色合い、とくに明るさを調整するために用いられる。タングステンタイプにおけるTiOの量は0.05モル≦TiO≦0.3モルであり、好ましくは0.05モル≦TiO≦0.2モルであり、より好ましくは0.1モル≦TiO≦0.2モルである。
タングステンタイプにおいては、下記のものは好ましい:
0.05モル≦R O≦0.1モルであり、かつ
0.2モル≦Al≦0.4モルである、
もの。
これらのタングステンタイプ(0.05モル≦R O≦0.1モルであり、かつ0.2モル≦Al≦0.4モルであるもの)のうち、下記(1)〜(4)の1つ又は2つ以上を充足するものはより好ましい:
(1)0.1モル≦Fe≦0.25モル
(2)2.0モル≦SiO<3.5モル
(3)0.05モル≦P≦0.2モル
(4)0.03モル≦WO<0.2モル
B.モリブデンタイプ
モリブデンタイプは、本発明の来待釉のうちモリブデンを含有するものであり、タングステンタイプよりアルカリ金属酸化物の量が大きいにもかかわらず、タングステンタイプに勝るとも劣らない性能を具備する。
モリブデンタイプにおけるMoOの量は、0.01モル≦MoO≦0.2モルであり、好ましくは0.02モル≦MoO≦0.2モルであり、より好ましくは0.03モル≦MoO≦0.15モルであり、一層より好ましくは0.03モル≦MoO≦0.15モルである。
モリブデンタイプにおけるR O(Rは、R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)の量については、R O≦0.4モルであり、好ましくは0.02モル≦R O≦0.4モルであり、より好ましくは0.02モル≦R O≦0.3モルであり、一層より好ましくは0.1モル≦R O≦0.2モルである。該R Oを前記の量で用いることによって所望の発色が達成されるばかりでなく、貫入も防止される。
モリブデンタイプにおけるROの量は0.6モル以上であれば限定されず、好ましくは0.7モル≦RO≦1.0モルであり、より好ましくは0.7モル≦RO≦0.98モルであり、一層より好ましくは0.8モル≦RO≦0.9モルである。
Srの酸化物(SrO)はモリブデンタイプにおいても好適に用いられ、添加される量は例えば0.05モル≦SrO≦0.2モルであり、好ましくは0.08モル≦SrO≦0.2モルであり、より好ましくは0.1モル≦SrO≦0.2モルである。なお、本明細書において示されるROの量は、上記添加されたSrOの量も含む。
SrOは、R Oの量が比較的少ない場合、例えばR O≦0.2モルの場合に、とくに好適に用いられる。SrOを上記の量で使用することにより、モリブデンタイプにおいてもこれまでなし得なかった鮮やかな柿色が再現できるといった効果が奏される。
モリブデンタイプにおけるAlの量は、0.1モル≦Al≦0.6モルであり、好ましくは0.2モル≦Al≦0.6モルであり、より好ましくは0.2モル≦Al≦0.5モルである。
モリブデンタイプにおけるFeの量は0.08モル≦Fe≦0.3モルであり、好ましくは0.1モル≦Fe≦0.25モルであり、より好ましくは0.1モル≦Fe≦0.2モルであり、一層より好ましくは0.15モル≦Fe≦0.2モルである。
モリブデンタイプにおけるSiOの量は、1.8モル≦SiO≦6.0モルであり、好ましくは2.0モル≦SiO≦6.0モルであり、より好ましくは2.0モル≦SiO≦5.0モルである。
モリブデンタイプにおけるPの量は0.01モル≦P≦0.2モルであり、好ましくは0.05モル≦P≦0.2モルであり、より好ましくは0.05モル≦P≦0.15モルである。
モリブデンタイプにおけるTiOの量は0.05モル≦TiO≦0.3モルであり、好ましくは0.08モル≦TiO≦0.3モルであり、より好ましくは0.1モル≦TiO≦0.2モルである。
モリブデンタイプにおいて、タングステンを併用してもよい。この場合WOとMoOとの総量が0.02モル〜0.3モルであることは好ましく、0.02モル〜0.2モルであることはより好ましく、0.05モル〜0.15モルであることは一層より好ましい。
モリブデンタイプにおいては、下記のものは好ましい:
0.1モル<R O≦0.2モルであり、かつ
0.05モル≦P<0.2モルである、もの。
モリブデンタイプにおいては、下記のものも好ましい:
0.1モル<R O≦0.2モルであり、かつ
0.02モル≦MoO<0.2モルである、もの。
C.タングステンタイプとモリブデンタイプに共通する事項
その他、釉薬の成分として一般的に使用されるB、V、Cr、Mn、Co、Ni、Zr、Sn、Sb、Bi、Ta、Nb、Y及びMo等を添加することも可能である。すなわち、本発明の来待釉には、B、V、Cr、Mn、Co、Ni、Zr、Sn、Sb、Bi、Ta、Nb、Y及びMoの酸化物群の少なくとも1種をさらに適量含むことが可能である。
添加量としては、例えば、Vの場合、来待釉全体の約4%までが好適であり、Bの場合には来待釉全体の約5%以下の量で用いることが好ましい。
Cr、Snは、Tiと同様に釉薬表面の色合い、とくに明るさを調整するために用いられる。Crは来待釉全体の約5%以下の量、好ましくは約3%以下の量で、Snは来待釉全体の約10%以下の量、好ましくは約5%以下の量で、それぞれ用いてよい。
天然の来待釉は原料の影響により、産地等によって発色が微妙に異なることがある。このような微妙な色合いの相違を調整するため、来待釉の特徴を損なわない範囲でNi、Co、Mn等の重金属成分やSb、Zr等の乳濁成分を用いることができる。その添加割合はNi、Co、Mnにおいては来待釉全体の約3%、Sb、Zrの場合は来待釉全体の約6%が好ましい。同様に、Ta、Nb及びY、ならびにランタノイド希土類元素の酸化物群の少なくとも1種を微量含むことによってより微妙な自然の色合いをかもしだすことが可能である。さらにBiも鉛の代替成分として、適量使用してよい。
これらの任意成分のうち、B、Cr、Zr及びSnからの1種又は2種以上を含むものは好ましい。すなわち、フリット(ガラス)、長石、珪石、カオリン、粘土、燐酸アルミニウム、アルミナ、燐酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、酸化鉄、等の原料を用いて、本発明の釉薬の成分を配合し、湿式粉砕して釉薬のスリップを得てよい。
本発明の釉薬には、本発明の目的を阻害しない範囲で、当該釉薬の作用を成分や製造過程において不回避的に混入する成分として、上記以外の成分を含んでよい。
本発明は上記いずれかの来待釉を用いて製造される来待風陶磁器製品、とくに陶器瓦にも関するところ、該陶器瓦の製造は本技術分野における通常の方法により行うことができる。すなわち、陶器瓦の焼成温度は約1000℃〜約1300℃とすることができ、施釉付着量は50g〜150g/陶器瓦として、来待風陶磁器製品を製造することができる。
以下において、実施例により本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はいかなる意味においてもこれらの実施例に限定されるものではない。
サンプルの製造方法
フリット(ガラス)、長石、珪石、カオリン、粘土、燐酸アルミニウム、アルミナ、燐酸カルシウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、酸化鉄、等の原料を用いて、下記表の成分(単位は、モル)になるように釉薬を配合し、ポットミルで、3時間湿式粉砕して、釉薬のスリップを得た。このスリップの粒度は、75μ以上が1.7%であった。このスリップを1枚当り100gの付着量で乾燥した瓦の白地へ施釉し、所定の温度で焼成した。
本発明の構成を具備する実施例として、実施例1〜11はタングステンタイプであり、実施例12〜20はモリブデンタイプである。
一方本発明の構成を具備しない例として比較例1〜11も調製し評価した。
評価方法
来待風発色を、瓦を看る角度を変えて観察した。すなわち、正面及び斜めから見た場合の色の変化を伝統的な来待釉薬と比較し、その近似性の程度を下記の4段階の基準により判定した:
◎・・・色の変化が来待釉に極めて近い
○・・・色の変化が来待釉に近いが、◎には劣る
△・・・色の変化があるが○に劣る
×・・・色の変化が来待釉と異なる
結果
来待釉に似た風合いを有する瓦として、タングステンタイプ及びモリブデンタイプのいずれについても良好であった(表1)。いずれもが比較例(表2)を上回る色の変化を示し、来待釉特有の虹彩及び色調を一層忠実に再現した。比較例1、3、4及び6は特許文献1における成分量の規定(請求項1)を充足するものである(表中において「特許文献1」と注記した)。
タングステンタイプのうち実施例2〜5及び9、ならびにモリブデンタイプのうち実施例13、19及び20は、それぞれとくに良好であった。これらのうち、タングステンタイプは0.05モル≦R O≦0.1モルであり、かつ0.2モル≦Al≦0.4モルであった。また、モリブデンタイプにおいては0.1モル<R O≦0.2モルであり、かつ
0.05モル≦P<0.2モルであるか又は0.02モル≦MoO<0.2モルであった。
Figure 2018039704



Figure 2018039704
本発明の方法によれば、従来品の性能を上回る来待風陶磁器釉薬及び来待風陶磁器製品の提供が可能となる。したがって、本発明は釉薬製造業・来待風陶磁器製品製造業および関連産業の発展に寄与するところ大である。

Claims (9)

  1. ゼーゲル表示で、
    O(R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)をR O≦0.1モル;
    O(ROはCaO、MgO、SrO、ZnOおよびBaOの1種または2種以上を表す)を0.9モル≦RO;
    Alを0.1モル≦Al≦0.45モル;
    Feを0.08モル≦Fe≦0.24モル;
    SiOを1.8≦SiO≦4;
    を0.01≦P≦0.2;
    TiOを0.05モル≦TiO≦0.3;及び
    WOを0.01モル≦WO≦0.2モル
    の量で含む、来待風陶磁器釉薬。
  2. ゼーゲル表示で、
    O(R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)をR O≦0.4モル;
    O(ROはCaO、MgO、SrO、ZnOおよびBaOの1種または2種以上を表す)を0.6モル≦RO;
    Alを0.1モル≦Al≦0.6モル;
    Feを0.08モル≦Fe≦0.24モル;
    SiOを1.8≦SiO≦5;
    を0.01≦P≦0.2;
    TiOを0.05モル≦TiO≦0.3;及び
    MoOを0.01モル≦MoO≦0.2モル
    の量で含む、来待風陶磁器釉薬。
  3. 0.05モル≦R O≦0.1モルであり、かつ
    0.2モル≦Al≦0.4モルである、
    請求項1に記載の来待風陶磁器釉薬。
  4. 下記(1)〜(4)の1つ又は2つ以上をさらに充足する請求項3に記載の来待風陶磁器釉薬:
    (1)0.1モル≦Fe≦0.25モル
    (2)2.0モル≦SiO<3.5モル
    (3)0.05モル≦P≦0.2モル
    (4)0.03モル≦WO<0.2モル
  5. 0.1モル<R O≦0.2モルであり、かつ
    0.05モル≦P<0.2モルであるか又は0.02モル≦MoO<0.2モルである、請求項2に記載の来待風陶磁器釉薬。
  6. WOをさらに含み、WOとMoOとの合計の量が0.02モル〜0.3モルである、請求項2に記載の来待風陶磁器釉薬。
  7. SrOを0.05モル≦SrO≦0.2モルの量でさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の来待風陶磁器釉薬。
  8. ゼーゲル表示で、
    O(R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)をR O≦0.1モル;
    O(ROはCaO、MgO、SrO、ZnOおよびBaOの1種または2種以上を表す)を0.9モル≦RO;
    Alを0.1モル≦Al≦0.45モル;
    Feを0.08モル≦Fe≦0.24モル;
    SiOを1.8≦SiO≦4;
    を0.01≦P≦0.2;
    TiOを0.05モル≦TiO≦0.3;及び
    WOを0.01モル≦WO≦0.2モル
    の量で含む、来待風陶磁器釉薬、又は
    ゼーゲル表示で、
    O(R OはLiO、NaOおよびKOの1種または2種以上を表す)をR O≦0.4モル;
    O(ROはCaO、MgOおよびBaOの1種または2種以上を表す)を0.6モル≦RO;
    Alを0.1モル≦Al≦0.6モル;
    Feを0.08モル≦Fe≦0.24モル;
    SiOを1.8≦SiO≦5;
    を0.01≦P≦0.2;
    TiOを0.05モル≦TiO≦0.3;及び
    MoOを0.01モル≦MoO≦0.2モル
    の量で含む、来待風陶磁器釉薬
    を施釉、焼成して得られる来待風陶磁器製品。
  9. 陶器瓦である、請求項8に記載の来待風陶磁器製品。
JP2016175499A 2016-09-08 2016-09-08 発色性のよい来待風陶磁器釉薬 Active JP6653109B2 (ja)

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