JP2018039334A - 二輪自動車用タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】良好なグリップ力と、剛性及びトラクションが実現された二輪自動車用タイヤの提供。【解決手段】このタイヤ2は、一対のインスレーション20を備えている。それぞれのインスレーション20は、赤道面と上記トレッド面22の端との間のこのトレッド面22の端寄りの位置において、ベルト12の内側層36と上記外側層38との間に位置している。このタイヤ2がリムに組み込まれたときにこのタイヤ2の外面とこのリムのフランジとが接触する部分の半径方向外側端が位置PTとされたとき、半径方向において、ビードベースラインからビード8のエイペックス26の先端までの高さHaの、ビードベースラインから上記位置PTまでの高さHpに対する比(Ha/Hp)は、0.9以上1.1以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、二輪自動車用タイヤに関する。
二輪自動車が旋回する時には、十分なキャンバースラストを得るために、ライダーは二輪自動車を内側へ傾斜させる。サーキット走行で車体を大きく傾斜させて走行すると、タイヤには、強い横力が負荷される。タイヤには、この強い横力に耐えうる剛性が必要となる。
トレッドの剛性を上げるために、カーカスやベルトの締め付け力を上げる、材料を変更する等が行われている。サイド部の剛性を上げるために、サイドウォールの厚みを増やす、カーカスの巻き上げ高さを増やす等が行われている。さらに、旋回時に特に大きな荷重が負荷されるショルダー部(赤道面とトレッド端との間のトレッド端寄りの位置)の剛性を上げるために、タイヤが、ショルダー部に補強層を備えることがある。例えば、特開2008−87494公報で開示されたタイヤでは、ゴム組成物からなる補強層がベルトとカーカスとの間に設けられている。特開2010−105459公報で開示されたタイヤでは、コードとトッピングゴムとからなる補強層がバンドとカーカスとの間に設けられている。
特開2008−87494公報 特開2010−105459公報
二輪自動車の旋回は、直進からフルバンクに至るまでの1次旋回と、フルバンクからコーナーを抜けるまでの2次旋回とに分けることができる。1次旋回では、リアタイヤには、フロントタイヤほどの荷重は負荷されない。一方で車両の傾きが増していくため、リアタイヤには、主に旋回のグリップ力が求められる。2次旋回では、二輪自動車は加速されるため、リアタイヤには加速時の荷重に耐えうる十分な剛性及びトラクションが求められる。しかし、タイヤの剛性を上げると、旋回時におけるタイヤの撓みは小さくなる。このタイヤでは、1次旋回時の接地面積が小さくなり、1次旋回での十分なグリップ力が得られないことが起こりうる。さらにタイヤの撓みが小さいため、2次旋回におけるトラクションを得るためのグリップ力も十分得られないことがある。
本発明の目的は、1次旋回における良好なグリップ力と、2次旋回における良好な剛性及びトラクションとが実現された二輪自動車用タイヤの提供にある。
本発明に係る二輪自動車用タイヤは、トレッド、一対のビード、ベルト及び一対のインスレーションを備えている。上記トレッドの外面は、路面と接地するトレッド面をなしている。上記ベルトは、上記トレッドの半径方向内側に位置する外側層とこの外側層の内側に積層された内側層とを備えている。それぞれのインスレーションは、赤道面と上記トレッド面の端との間のこのトレッド面の端寄りの位置において上記内側層と上記外側層との間に位置している。それぞれのビードは、コアとこのコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えている。このタイヤがリムに組み込まれたときにこのタイヤの外面とこのリムのフランジとが接触する部分の半径方向外側端が位置PTとされたとき、半径方向において、ビードベースラインから上記エイペックスの先端までの高さHaの、ビードベースラインから上記位置PTまでの高さHpに対する比(Ha/Hp)は、0.9以上1.1以下である。
好ましくは、上記インスレーションの厚みTは、0.5mm以上1.5mm以下である。
好ましくは、上記インスレーションの中点から引いたこのインスレーションの外側面の法線VLと上記トレッド面との交点が点Pcとされたとき、このトレッド面に沿って計測した、上記トレッド面の端から交点Pcまでの距離Lcの、上記トレッド面の両端間の距離Ltに対する比(Lc/Lt)は、0.15以上0.25以下である。
好ましくは、上記インスレーションの幅Wは、25mm以上75mm以下である。
好ましくは、上記インスレーションの幅Wの、上記トレッド面に沿って計測した上記トレッド面の両端間の距離Ltに対する比(W/Lt)は、10%以上30%以下である。
本発明に係る二輪自動車用タイヤは、一対のインスレーションを備えている。それぞれのインスレーションは、赤道面とトレッド面の端との間のトレッド面の端寄りの位置(ショルダー部)において、内側層と外側層との間に位置している。2次旋回において加速が始まる際に、タイヤのショルダー部には、接地面から大きな荷重が負荷される。タイヤのカーカスとベルトとの境界より外側には、圧縮力が負荷される。内側層と外側層との間に位置するインスレーションは、この圧縮力を効果的に緩和するとともに、ショルダー部の剛性に寄与する。さらにこのインスレーションは、2次旋回での加速の始まりからコーナーを抜けるまでの間、トレッドが接地する部分における剛性のバランスを整える。これは、2次旋回でのトラクションを向上させる。このインスレーションは、2次旋回の十分な剛性及び良好なトラクションに寄与する。
このタイヤでは、タイヤの外面とリムのフランジとが接触する部分の半径方向外側端が位置PTとされたとき、半径方向において、ビードベースラインからエイペックスの先端までの高さHaの、ビードベースラインから上記位置PTまでの高さHpに対する比(Ha/Hp)は、0.9以上1.1以下である。このエイペックスの高さは、適正に整えられている。このエイペックスは、タイヤのサイド部の適正な撓みに寄与する。サイド部が適正に撓むことにより、上記インスレーションを有するタイヤにおいても、十分な旋回時の接地面積が得られる。これは、1次旋回及び2次旋回におけるグリップ力に寄与する。このタイヤは、1次旋回におけるグリップ力に優れる。このタイヤは、2次旋回におけるトラクションを得るために十分なグリップ力を有する。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1の一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2の断面が示されている。図2には図1のタイヤ2の一部が拡大されて示されている。図1及び2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。このタイヤ2は、トレッドパターンを除き、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。このタイヤ2は、二輪自動車に装着される。このタイヤ2は、特に二輪自動車の後輪に装着される。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14、インナーライナー16、一対のチェーファー18及び一対のインスレーション20を備えている。
トレッド4は、架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4の外面は、トレッド面22をなしている。このトレッド面22は、路面と接地する。図示されないが、このトレッド面22には溝が刻まれている。この溝により、トレッドパターンが形成されている。なお、このトレッド面22に溝が刻まれなくてもよい。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。
それぞれのビード8は、サイドウォール6よりも軸方向略内側に位置している。ビード8は、コア24と、このコア24から半径方向外向きに延びるエイペックス26とを備えている。コア24はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス26は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス26は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、カーカスプライからなる。この実施形態では、カーカス10は、第一プライ28及び第二プライ30の二つのカーカスプライからなる。第一プライ28及び第二プライ30は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。第一プライ28は、コア24の周りにて、折り返されている。第一プライ28は、主部32と折返し部34とを備えている。主部32は、一方のビード8の軸方向内側から他方のビード8の軸方向内側まで延びている。折返し部34は、ビード8の軸方向外側を略半径方向に延びている。第二プライ30は、第一プライ28の外側に積層されている。第二プライ30の端は、ビード8の近傍まで延びている。第二プライ30の端は、半径方向において、折返し部34の端よりも内側に位置している。第二プライ30は、コア24の周りにて折り返されていない。第二プライ30がコア24の周りにて折り返されていてもよい。
図示されないが、第一プライ28及び第二プライ30は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、65°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト12は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト12は、カーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側層36及び外側層38からなる。外側層38は、トレッド4の半径方向内側に位置する。内側層36は、外側層38の内側に積層されている。
図示されないが、内側層36及び外側層38のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、15°以上30°以下である。内側層36のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層38のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
バンド14は、トレッド4の半径方向内側に位置している。バンド14は、ベルト12の半径方向外側に位置している。バンド14は、ベルト12に積層されている。バンド14は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド14は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。バンド14は、タイヤ2の半径方向の剛性に寄与しうる。バンド14は、走行時に作用する遠心力の影響を抑制しうる。このタイヤ2は、高速安定性に優れる。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。コードに、スチールが用いられてもよい。
インナーライナー16は、カーカス10の内側に位置している。インナーライナー16は、カーカス10の内面に接合されている。インナーライナー16は、架橋ゴムからなる。インナーライナー16には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー16の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー16は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのチェーファー18は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2が、図示されないリムに組み込まれると、このチェーファー18がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。チェーファー18は、布とこの布に含浸したゴムとからなっている。
それぞれのインスレーション20は、ベルト12の内側層36と外側層38との間に位置している。インスレーション20は、ショルダー部に位置している。すなわち、インスレーション20は、赤道面とトレッド面22の端40(トレッド端40と称される)との間のトレッド端40寄りに位置している。インスレーション20は、トレッド端40の近辺から、赤道面CLとトレッド端40との中央近辺まで延びている。インスレーション20の厚みはほぼ一定である。インスレーション20は、架橋ゴムからなる。
図1において、符号PTはこのタイヤ2の外面上の位置である。符号PTは、このタイヤ2のビード8の部分の外面上の位置である。このタイヤ2がリムに装着されたとき、ビード8の部分の外面は、リムのフランジと接触する。位置PTは、このビード8の部分の外面とフランジとが接触する部分の半径方向外側端である。
図1において、実線BBLはビードベースラインである。ビードベースラインBBLは、リム径(JATMA参照)を規定する線である。両矢印HpはビードベースラインBBLから位置PTまでの半径方向高さである。両矢印HaはビードベースラインBBLからエイペックス26の先端までの半径方向高さである。このタイヤ2では、高さHaの高さHpに対する比(Ha/Hp)は0.9以上1.1以下である。比(Ha/Hp)が0.9以上1.1以下となるように、エイペックス26のサイズが整えられている。
以下、本発明の作用効果が説明される。
二輪自動車の1次旋回では、リアタイヤには、主に旋回のグリップ力が求められる。二輪自動車の2次旋回では、リアタイヤには加速時の荷重に耐えうる十分な剛性及びトラクションが求められる。タイヤの剛性を上げると、旋回時におけるタイヤの撓みは小さくなる。このタイヤでは、1次旋回時の接地面積が小さくなり、1次旋回での十分なグリップ力が得られないことが起こりうる。さらにタイヤの撓みが小さいため、2次旋回におけるトラクションを得るためのグリップ力も十分得られないことがある。
本発明に係る二輪自動車用タイヤ2では、インスレーション20は、ショルダー部においてベルト12の内側層36と外側層38との間に位置している。2次旋回において加速が始まる際に、タイヤ2のショルダー部には、接地面から大きな荷重が負荷される。このインスレーション20は、ショルダー部の剛性に寄与する。タイヤ2に荷重が負荷されたとき、カーカス10とベルト12との境界より外側には、圧縮力が負荷される。このインスレーション20は内側層36と外側層38との間に位置しているため、このインスレーション20には圧縮力が負荷される。一般にゴムは、圧縮方向の力に対して、高い強度を有する。架橋ゴムからなるインスレーション20を内側層36と外側層38との間に位置させることで、このインスレーション20はショルダー部での圧縮力を効果的に緩和する。このインスレーション20は、ショルダー部での圧縮力を効果的に緩和するとともに、ショルダー部の剛性に寄与する。このタイヤ2のショルダー部は、2次旋回での荷重に耐えうる十分な剛性を備える。
上記の通り、インスレーション20はショルダー部の剛性に寄与する。このインスレーション20は、2次旋回での加速の始まりからコーナーを抜けるまでの間、トレッド4が接地する部分における剛性のバランスを整える。これは、2次旋回でのトラクションに寄与する。このタイヤ2は2次旋回でのトランションに優れる。
このタイヤ2では、タイヤ2の外面とリムのフランジとが接触する部分の半径方向外側端が位置PTとされたとき、半径方向において、ビードベースラインBBLからエイペックス26の先端までの高さHaの、ビードベースラインBBLから位置PTまでの高さHpに対する比(Ha/Hp)は、0.9以上1.1以下である。このエイペックス26の高さは、適正に整えられている。比(Ha/Hp)が0.9以上1.1以下であるこのエイペックス26は、タイヤ2のサイド部の適正な撓みに寄与する。サイド部が適正に撓むことにより、上記インスレーション20を有するタイヤ2においても、十分な旋回時の接地面積が得られる。これは、1次旋回及び2次旋回におけるグリップ力に寄与する。このタイヤ2は、1次旋回におけるグリップ力に優れる。このタイヤ2は、2次旋回におけるトラクションを得るために十分なグリップ力を有する。さらに比(Ha/Hp)が0.9以上であるこのエイペックス26は、サイド部の剛性に寄与する。このサイド部は優れた耐久性を有する。
1次旋回及び2次旋回におけるグリップ力に効果的に寄与するとの観点から、比(Ha/Hp)は0.95以上1.05以下がより好ましく、1.0が最も好ましい。
図2において両矢印Tは、インスレーション20の厚みである。厚みTは、インスレーション20の外側面の法線に沿って計測される。厚みTは、インスレーション20の外側面の法線に沿って計測した、インスレーション20の外側面と内側面との距離である。厚みTは0.5mm以上が好ましい。厚みTを0.5mm以上とすることで、このインスレーション20はショルダー部での圧縮力を効果的に緩和するとともに、ショルダー部の剛性に寄与する。このタイヤ2のショルダー部は、2次旋回での荷重に耐えうる十分な剛性を備える。さらにこのインスレーション20は、2次旋回でのトレッド4の接地部分における剛性のバランスを適正に整える。これは、2次旋回でのトラクションに寄与する。この観点から、厚みTは0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上がさらに好ましい。厚みTは1.5mm以下が好ましい。厚みTを1.5mm以下とすることで、ショルダー部の剛性は、適切に抑えられる。ショルダー部の剛性が大きくなり過ぎることによる、トラクション、グリップ力及び吸収性の低下が抑えられている。さらにショルダー部の剛性が大きくなり過ぎることによる、過渡特性の低下が抑えられている。この観点から、厚みTは1.3mm以下がより好ましく、1.1mm以下がさらに好ましい。剛性と、グリップ力及びトラクションとの両立の観点から、厚みTは0.8mmが最も好ましい。
図2において、符号Pgはインスレーション20の外側面上の点である。符号Pgは、このインスレーション20の中点である。実線VLは中点Pgにおけるインスレーション20の外側面の法線である。符号Pcは法線VLとトレッド面22との交点である。両矢印Lcは、トレッド面22に沿って計測した交点Pcとトレッド端40(二つ存在するトレッド端40のうち、交点Pcと近い方のトレッド端40)との距離である。図1において、両矢印Ltは、トレッド面22に沿って計測した両トレッド端40間の距離である。
距離Lcの距離Ltに対する比(Lc/Lt)は、0.15以上0.25以下が好ましい。比(Lc/Lt)を0.15以上0.25以下とすることで、このインスレーション20はショルダー部での圧縮力を効果的に緩和するとともに、ショルダー部の剛性に寄与する。このタイヤ2のショルダー部は、2次旋回での荷重に耐えうる十分な剛性を備える。さらにこのインスレーション20は、2次旋回でのトレッド4の接地部分における剛性のバランスを適正に整える。これは、2次旋回でのトラクションに寄与する。この観点から、(Lc/Lt)は0.17以上0.23以下がより好ましく、0.20が最も好ましい。
図2において両矢印Wは、インスレーション20の幅である。インスレーション20の幅は、インスレーション20の外側面に沿って計測される。幅Wは、25mm以上が好ましい。幅Wを25mm以上とすることで、このインスレーション20はショルダー部での圧縮力を効果的に緩和するとともに、ショルダー部の剛性に寄与する。このタイヤ2のショルダー部は、2次旋回での荷重に耐えうる十分な剛性を備える。さらにこのインスレーション20は、2次旋回でのトレッド4の接地部分における剛性のバランスを適正に整える。これは、2次旋回でのトラクションに寄与する。この観点から幅Wは30mm以上がより好ましく、35mm以上がさらに好ましい。幅Wは、75mm以下が好ましい。幅Wを75mm以下とすることで、直進走行から旋回走行に移行するとき又は旋回走行から直進走行に移行するとき、トレッド4の接地部分における剛性の急激な変化が抑えられる。このタイヤ2は、過渡特性に優れる。この観点から、幅Wは70mm以下がより好ましく、65mm以下がさらに好ましい。ショルダー部の剛性及びトラクションと過渡特性との両立の観点から、幅Wは、55mmが最も好ましい。
幅Wの距離Ltに対する比(W/Lt)は、10%以上が好ましい。比(W/Lt)を10%以上とすることで、このインスレーション20はショルダー部での圧縮力を効果的に緩和するとともに、ショルダー部の剛性に寄与する。このタイヤ2のショルダー部は、2次旋回での荷重に耐えうる十分な剛性を備える。さらにこのインスレーション20は、2次旋回でのトレッド4の接地部分における剛性のバランスを適正に整える。これは、2次旋回でのトラクションに寄与する。この観点から比(W/Lt)は、15%以上がより好ましい。比(W/Lt)は、30%以下が好ましい。(W/Lt)を30%以下とすることで、直進走行から旋回走行に移行するとき又は旋回走行から直進走行に移行するとき、トレッド4の接地部分における剛性の急激な変化が抑えられる。このタイヤ2は、過渡特性に優れる。この観点から比(W/Lt)は、25%以下がより好ましい。
インスレーション20の複素弾性率Egは、1.0MPa以上が好ましい。複素弾性率Egを1.0MPa以上とすることで、このインスレーション20はショルダー部での剛性に効果的に寄与する。このタイヤ2のショルダー部は、2次旋回での荷重に耐えうる十分な剛性を備える。複素弾性率Egは、10MPa以下が好ましい。複素弾性率Egを10MPa以下とすることで、ショルダー部の剛性は、適切に抑えられる。ショルダー部の剛性が大きくなり過ぎることによる、トラクション、グリップ力及び吸収性の低下が抑えられている。さらにショルダー部の剛性が大きくなり過ぎることによる、過渡特性の低下が抑えられている。
エイペックス26の複素弾性率Eaは60MPa以上が好ましい。複素弾性率Eaを60Pa以上とすることで、エイペックス26がタイヤ2の支持に寄与する。このタイヤ2は、耐久性に優れる。複素弾性率Eaは70MPa以下が好ましい。複素弾性率Eaを70MPa以下とすることで、エイペックス26による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2では、良好な乗り心地が維持されている。
本発明では、インスレーション20の複素弾性率Eg及びエイペックス26の複素弾性率Eaは「JIS K 6394」の規定に準拠して測定される。測定条件は、以下の通りである。
粘弾性スペクトロメーター:岩本製作所の「VESF−3」
初期歪み:10%
動歪み:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃
本発明では、タイヤ2及びタイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された構造を備えた、実施例1の二輪自動車用タイヤを得た。このタイヤのサイズは、200/60R420とされた。下記表1にこのタイヤの諸元が示されている。タイヤでは、比(Lc/Lt)は0.20とされた。インスレーションの複素弾性率Egは3.0MPaである。
[比較例1]
インスレーションを有さず、比(Ha/Hp)を表1の通りとした他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。これは、従来のタイヤである。
[実施例2−3、比較例2−3]
高さHaを変更し、比(Ha/Hp)を表1の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−3及び比較例2−3のタイヤを得た。
[実施例4−8]
厚みTを表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例4−8のタイヤを得た。
[実施例9−13]
幅Wを表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例9−13のタイヤを得た。
[トラクション、旋回グリップ、剛性バランス、吸収性、過渡特性]
試作タイヤを標準リム(サイズ=MT6.00)に組み込み、排気量が1000ccである二輪自動車の後輪に装着した。タイヤウォーマーでタイヤ温度を100℃にした状態で、このタイヤの内圧を170kPaとした。前輪には、市販のタイヤ(サイズ:120/80R420)を装着し、その内圧が240kPaとなるように空気を充填した。この二輪自動車を、その路面がアスファルトであるサーキットコースで走行させて、ライダーによる官能評価を行った。評価項目は、トラクション、旋回グリップ、剛性バランス、吸収性及び過渡特性である。この結果が、下記表1から表3に示されている。値が大きいほど好ましい。
Figure 2018039334
Figure 2018039334
Figure 2018039334
表1から表3に示されるように、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、様々な二輪自動車にも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・バンド
16・・・インナーライナー
18・・・チェーファー
20・・・インスレーション
22・・・トレッド面
24・・・コア
26・・・エイペックス
28・・・第一プライ
30・・・第二プライ
32・・・主部
34・・・折り返し部
36・・・内側層
38・・・外側層
40・・・トレッド面の端

Claims (5)

  1. トレッド、一対のビード、ベルト及び一対のインスレーションを備えており、
    上記トレッドの外面が、路面と接地するトレッド面をなしており、
    上記ベルトが、上記トレッドの半径方向内側に位置する外側層とこの外側層の内側に積層された内側層とを備えており、
    それぞれのインスレーションが、赤道面と上記トレッド面の端との間の上記トレッド面の端寄りの位置において上記内側層と上記外側層との間に位置しており、
    それぞれのビードが、コアとこのコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えており、
    このタイヤがリムに組み込まれたときにこのタイヤの外面とこのリムのフランジとが接触する部分の半径方向外側端が位置PTとされたとき、
    半径方向において、ビードベースラインから上記エイペックスの先端までの高さHaの、ビードベースラインから上記位置PTまでの高さHpに対する比(Ha/Hp)が、0.9以上1.1以下である二輪自動車用タイヤ。
  2. 上記インスレーションの厚みTが、0.5mm以上1.5mm以下である請求項1に記載の二輪自動車用タイヤ。
  3. 上記インスレーションの中点から引いたこのインスレーションの外側面の法線VLと上記トレッド面との交点が点Pcとされたとき、上記トレッド面に沿って計測した、上記トレッド面の端から交点Pcまでの距離Lcの、上記トレッド面の両端間の距離Ltに対する比(Lc/Lt)が、0.15以上0.25以下である請求項1又は2のいずれかに記載の二輪自動車用タイヤ。
  4. 上記インスレーションの幅Wが25mm以上75mm以下である請求項1から3のいずれかに記載の二輪自動車用タイヤ。
  5. 上記インスレーションの幅Wの、上記トレッド面に沿って計測した上記トレッド面の両端間の距離Ltに対する比(W/Lt)が、10%以上30%以下である請求項1から4のいずれかに記載の二輪自動車用タイヤ。
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