実施例に係るバリ取り装置につき、図1から図10を参照して説明する。以下、図1の紙面左下側をバリ取り装置の正面側(前方側)とし、図1の紙面右上側をバリ取り装置の背面側(後方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
また、本明細書において、回転するブラシの先端部(下端部等)の移動方向とコンベア装置の搬送方向との関係を説明する際に、ブラシのコンベア装置側の先端の移動方向を基準として、単にブラシの回転方向とコンベア装置の搬送方向が同一方向または反対方向として説明している。必要に応じて、ブラシの先端部の用語を用いて説明している。
本実施例のバリ取り装置1は、図1に示されるように、例えば、バリ100(図6、図7参照)が形成された合成樹脂製の容器10を整備する際に使用されるものである。バリ取り装置1は、搬入部2aから搬出部2bへと容器10を搬送面2c(ローラの上端がなす面)に載置した状態で搬送するローラコンベア2(コンベア装置)と、ローラコンベア2の搬入部2aから搬出部2bに向かう途中に搬送面2cの上方を左右方向に跨り設置される正面視門型のバリ取りユニット3と、から主に構成されており、容器10に形成されたバリ100を除去する際には、ローラコンベア2の搬送面2cに容器10の開口を下方に向けた状態で、載置・搬送する。
また、説明の便宜上、ローラコンベア2の搬送方向は、搬入部2aから搬出部2bに向かい一定方向であるものとして説明する。
容器10は、上面視略長方形状の底部11と、底部11の対向する長尺辺より略垂直に立設する一対の長側部12,12’と、底部11の対向する短尺辺より略垂直に形成された一対の短側部13,13’と、から主に構成され、長側部12,12’と短側部13,13’により上面視略長方形状の開口が形成されている。開口縁には、長側部12,12’および短側部13,13’に亘って把持部15が形成されている。尚、図1において、2つの容器10,10は、それぞれ180度向きを回転させた状態で搬送面2c上に載置されている。尚、2つの容器10,10は同方向を向けて載置されていてもよい。
容器10は、物流等において繰り返し使用されるものであり、通常の使用において、底部11の裏面11aを床面や載置台に載置した状態で使用される。容器10は、繰り返し使用されるうちに他の物に擦られたり、ぶつけられたりすることで、図6〜図9に示されるように、バリ100が形成されることがあるが、頻繁に床面等と接触する裏面11aは、特にバリ100が形成されやすい。尚、図6〜図9においては、説明の便宜上、バリ100の寸法を実際に形成されるバリ100よりも誇張して大きく図示している。
また、底部11は、略格子状に形成されていることで表面積が大きく、また他の物が引っ掛かる等しやすいため、底部11の裏面11a全体にバリ100が形成されやすい形状になっている。
長側部12は、上下略中央から底部11にかけて形成された凸部12c,12dが長側部12の左右端近傍にそれぞれ形成されており、左右の幅寸法の小さい小凸部12cと、左右の幅寸法の大きい大凸部12dがある。また、小凸部12cと大凸部12dは、対向する長側部12’にも形成されており、それぞれの配置関係が長側部12と対向している。尚、大凸部12dと小凸部12cの裏面は、それぞれ裏面11aと略同一平面上に形成されている。さらに尚、長側部12,12’においては、小凸部12cおよび大凸部12dが突出した形状に形成されているため、他のものと接触しやすく、バリ100が形成されやすい。
短側部13,13’は、上下略中央から底部11にかけて形成された凸部13c,13dが短側部13,13’の左右端近傍にそれぞれ形成されており、短側部13には前後の幅寸法の小さい小凸部13c,13cが、短側部13’には前後の幅寸法の大きい大凸部13d,13dがそれぞれ形成されている。尚、小凸部13cと大凸部13dの裏面は、それぞれ裏面11aと略同一平面上に形成されている。さらに尚、短側部13,13’においては、小凸部13cおよび大凸部13dが突出した形状に形成されているため、他のものと接触しやすく、バリ100が形成されやすい。
また、図示は省略するが、把持部15の内周縁には、別体の容器10における小凸部12c、大凸部12dおよび小凸部13c、大凸部13dに対してそれぞれ凹凸嵌合可能な凹部が複数形成されており、不使用時に複数の容器10,10,…を収納する場合には、各凸部と各凹部とをそれぞれ凹凸嵌合させることで、複数の容器10,10,…を重ねて収納することができ、収納した際の高さ寸法を抑えることができる。一方、使用時に複数の容器10,10,…をスタックする場合には、さらに、複数の容器10,10,…を重ねる際の向きを、各凸部と各凹部とをそれぞれ凹凸嵌合させない(180度反転させて重ねる)ことで、容器10内に収まる物品(例えば商品)を収納した状態であっても、収納した物品に他の容器10,10,…が干渉することなく、複数の容器10,10,…をスタックすることができる。
尚、小凸部12c、大凸部12dおよび小凸部13c、大凸部13dは、バリ100が形成されやすいが、バリ100が形成されていると、複数の容器10,10,…を重ねて収納する際に、バリ100が各凸部と各凹部との凹凸嵌合を阻害することがあるため、各凸部のバリ100を除去することが好ましい。
図2〜図4に示されるように、バリ取りユニット3は、ローラコンベア2の搬送面2cの上方を左右方向に跨り設置される正面視門型のフレーム4と、フレーム4の内部においてローラコンベア2から離間して備え付けられたバリ取り手段5と、から構成されている。尚、バリ取り手段5の詳細は後述する。
フレーム4は、ローラコンベア2を挟んで左右に立設される略下向きコ字状の側部フレーム42,42(図4参照)と、側部フレーム42,42の上端部同士を連結する前後一対の上部フレーム43,43と、から構成されている。
また、フレーム4には、フレーム4の前方・上方・後方を覆う断面視下向きコ字状の上部カバー材40と、フレーム4の左右両側方を覆う側部カバー材41,41とが取り付けられることで筐体を形成しており(図1参照)、バリ100を除去するにあたり、バリ100が飛散する範囲を抑えることができる。尚、説明の便宜上、上部カバー材40と側部カバー材41,41については、図2以降において図示を省略する。
図2〜図4に示されるように、バリ取り手段5は、フレーム4内部の上部前方に配設された第1ブラシユニット6と、フレーム4内部の上部後方に配設された第2ブラシユニット7と、側部フレーム42,42に配設された側面ブラシユニット8と、側面ブラシユニット8の下方において側部フレーム42,42に備え付けられた搬送補助手段9と、から構成されている。尚、図3においては、説明の便宜上、上方に第1ブラシユニット6等他の部材が位置するローラの一部の図示を省略する。
また、第1ブラシユニット6は、図示しない吊支部材を介して前方側の上部フレーム43に取り付けらており、第2ブラシユニット7は、図示しない吊支部材を介して後方側の上部フレーム43に取り付けられている。
図2〜図4に示されるように、第1ブラシユニット6は、ローラコンベア2の上方で左右方向に延びる第1ブラシ60(ブラシ)と、第1ブラシ60を駆動する第1モータ65と、環状の歯付ベルト69と、から主に構成されている。
第1ブラシ60は、左右方向に延びるシャフト62と、シャフト62の延伸方向に所定間隔をおいて固着される略円柱状の3つのブラシ部61,61,61と、シャフト62の左端に軸支されたギヤ63と、シャフト62の右端に固定された軸受64と、から構成されている。尚、ブラシ部61,61,61は、同一構成であるため、一つのブラシ部61について説明する。
ブラシ部61は、略円柱形状の基部61aと、基部61aの周面に亘って研磨剤を含むナイロン製の無数の繊毛が植毛されることにより形成される繊毛部61bと、から構成されている。また、説明の便宜上、ブラシ部61の下端部に位置するブラシ部61の先端部分を下端部61c(ブラシの下端部)と定義する。
第1モータ65は、第1ブラシ60の上方に配設されており、第1モータ65に通電されることで回転するシャフト66の先端にギヤ67が固定されている。また、第1モータ65のギヤ67の垂直下方には、前述した第1ブラシ60のギヤ63が配設されており、第1ブラシ60のギヤ63と第1モータ65のギヤ67とに亘って歯付ベルト69が取り付けられている。
尚、本実施例における第1モータ65は、シャフト66の駆動方向を切り替えることができ、第1ブラシ60の回転方向を方向P1または方向M1(図6および図8参照)を切り替えることができる。この切り替えにより、第1ブラシ60のブラシ部61,61,61の下端部61c,61c,61c(以降、単に「第1ブラシ60の下端部61c」と表記することもある)の移動方向が反転する。
さらに尚、第1ブラシ60のブラシ部61,61,61の下端部61c,61c,61cおよび後述する第2ブラシ70のブラシ部71,71の下端部71c,71cの移動方向は、ローラコンベア2の搬送方向を基準として、同一方向を方向P1、反対方向を方向M1とそれぞれ定義する。
また、第1モータ65は、第1ブラシ60の上方に配設されているため、第1ブラシ60の側方に配設された態様と比較すると、バリ取りユニット3の設置面積を小さくできる。
図2〜図4に示されるように、第2ブラシユニット7は、第2ブラシ70(ブラシ)と、第2モータ75と、環状の歯付ベルト79と、から構成されている。
第2ブラシ70は、左右方向に延びる第1ブラシ60のシャフト62よりも短尺なシャフト72(図3参照)と、シャフト72の延伸方向に所定間隔を置いて軸支される略円柱状の2つのブラシ部71,71と、シャフト72の左端に軸支されたギヤ73と、シャフト72の右端に固定された軸受74と、から構成されている。尚、ブラシ部71,71は、同一構成であるため、一つのブラシ部71について説明する。
ブラシ部71は、略円柱形状の基部71aと、基部71aの周面に亘って研磨剤を含むナイロン製の無数の繊毛が植毛されることにより形成される繊毛部71bと、から構成されている。また、説明の便宜上、ブラシ部71の下端部に位置するブラシ部71の先端部分を下端部71c(ブラシの下端部)と定義する。
第2モータ75は、第2ブラシ70の上方に配設されており、第2モータ75に通電されることで回転するシャフト76の先端にギヤ77が固定されている。また、第2モータ75のギヤ77の垂直下方には、前述した第2ブラシ70のギヤ73が配設されており、第2ブラシ70のギヤ73と第2モータ75のギヤ77とに亘って歯付ベルト79が取り付けられている。
尚、本実施例における第2モータ75は、シャフト76の駆動方向を切り替えることができ、すなわち第2ブラシ70のブラシ部71,71の下端部71c,71c(以降、単に「第2ブラシ70の下端部71c」と表記することもある)の移動方向を方向P1または方向M2(図6および図8参照)へ切り替えることができる。
また、第2モータ75は、第2ブラシ70の上方に配設されているため、第2ブラシ70の側方に配設された態様と比較すると、バリ取りユニット3の設置面積を小さくできる。
尚、図3に示されるように、第1ブラシ60のブラシ部61,61,61および第2ブラシ70のブラシ部71,71は、左右方向に互い違いとなるように(上面視略千鳥状)に配設されている。
また、第1ブラシ60のシャフト62と第2ブラシ70のシャフト72は、同じ高さにて水平に配置されており、ブラシ部61およびブラシ部71それぞれの径が同一寸法であるため、正面視略一字状に各ブラシ部61,71が配設されている。
また、第1モータ65および第2モータ75は、それぞれ個別に駆動させることができるが、本実施例では、駆動方向が同一となっている。
図2〜図4に示されるように、側面ブラシユニット8は、左右に対向する一対の側面ブラシユニット8R,8Lとから構成されており、側面ブラシユニット8Rはローラコンベア2の右側に配設され、側面ブラシユニット8Lはローラコンベア2の左側に配設されている。尚、側面ブラシユニット8R,8Lは同一構成であるため、側面ブラシユニット8Rについて説明する。
側面ブラシユニット8Rは、前方に配設される前方側面ブラシ80a(側面ブラシ)と、後方に配設される後方側面ブラシ80b(側面ブラシ)と、第3モータ85と、環状の歯付ベルト89と、から主に構成されている。尚、図4においては、説明の便宜上、ローラコンベア2を一点鎖線にて図示する。
前方側面ブラシ80aは、略円柱状に形成されたブラシ部81と、ブラシ部81が固定されているシャフト82aと、シャフト82aの下端に固定されたギヤ83aと、から主に構成されている。
また、前方側面ブラシ80aは、側部フレーム42に取り付けられた上下一対の支持部材88,88の前方側において、支持部材88,88間の上下略中央にブラシ部81が配置されるように備え付けられている。尚、前方側面ブラシ80aは、第1ブラシ60に対して直接接触することが無いよう第1ブラシ60より後方に離間して配設されている。
後方側面ブラシ80bは、略円柱状に形成されたブラシ部81と、ブラシ部81が固定されているシャフト82bと、シャフト82bの下端に固定されたギヤ83bと、から主に構成されている。
また、後方側面ブラシ80bは、上述した支持部材88,88の後方側において、支持部材88,88間の上下略中央に円柱のブラシ部81が配置されるように備え付けられている。尚、後方側面ブラシ80bは、第2ブラシ70に対して直接接触することが無いよう第2ブラシ70より前方に離間して配設されている。さらに尚、前方側面ブラシ80aと後方側面ブラシ80bも接触しないように前後方向に離間している。
ブラシ部81は、略円柱形状の基部81aと、基部81aの周面に亘って研磨剤を含むナイロン製の無数の繊毛が植毛されることにより形成される繊毛部81bと、から構成されている。
第3モータ85は、後方側面ブラシ80bの上方において第3モータ85に通電されることで回転するシャフト86の先端が垂直下方に配設されており、シャフト86の下端部は連結部材87を介して後方側面ブラシ80bのシャフト82の上端に連結されている。また、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bは、それぞれのギヤ83a,83bに亘って歯付ベルト89が取り付けられている。よって、後方側面ブラシ80bは、第3モータ85の駆動を直接受けて回転し、前方側面ブラシ80aは、第3モータ85の駆動が歯付ベルト89を介して伝達され、従動的に同一方向に回転する。
また、第3モータ85は、シャフト86の駆動方向を切り替えることができ、すなわち前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bのローラコンベア2側の端部の移動方向を、それぞれローラコンベア2の搬送方向と同一方向の方向P2または反対方向の方向M2(図7および図9参照)へ切り替えることができる。
尚、先述したように、側面ブラシユニット8Lも側面ブラシユニット8Rと同一の構成ではあるが、それぞれに備え付けられた第3モータ85,85のシャフト86,86の回転方向は互いに異なるように制御されている。これにより側面ブラシユニット8は、側面ブラシユニット8R,8Lそれぞれの前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bそれぞれの回転方向を方向P2または方向M2へ同期させることができる。
図3および図4に示されるように、搬送補助手段9は、左右に対向する一対のベルトコンベア部90R,90Lから構成されており、ベルトコンベア部90Rはローラコンベア2の右側に配設され、ベルトコンベア部90Lはローラコンベア2の左側に配設されている。尚、ベルトコンベア部90R,90Lは同一構成であるため、ベルトコンベア部90Rについて説明する。
ベルトコンベア部90Rは、前方に備え付けられる前方ギヤ部91aと、後方に備え付けられる後方ギヤ部91bと、ベルトコンベアモータ95と、環状の歯付ベルト99と、から主に構成されている。
前方ギヤ部91aは、上下方向に延びるシャフト92aと、シャフト92aの上端部に軸支されるギヤ93aと、から主に構成されており、図示しない上下一対の支持部材を介して側部フレーム42へ固定されている。尚、前方ギヤ部91aは、シャフト92aの軸方向の中心が第1ブラシ60のシャフト62よりも前方に配置されている。
後方ギヤ部91bは、上下方向に延びるシャフト92bと、シャフト92aの上端部に軸支されるギヤ93bと、から主に構成されており、図示しない上下一対の支持部材を介して側部フレーム42へ固定されている。また、シャフト92bの下端部には変換装置96を介してベルトコンベアモータ95に接続されている。尚、後方ギヤ部91bは、シャフト92bの軸方向の中心が第2ブラシ70のシャフト72よりも後方に配置されている。
ベルトコンベアモータ95は、図示しない前後方向に延びるシャフトを有しており、このシャフトが変換装置96に接続されている。また、変換装置96は、通電されることで駆動されるベルトコンベアモータ95の図示しないシャフトの駆動の軸方向を、後方ギヤ部91bの上下方向に延びるシャフト92bを駆動する軸方向へ変換し、シャフト92bに動力を伝達することで、ベルトコンベア部90Rを駆動できるようになっている。
また、前方ギヤ部91aおよび後方ギヤ部91bは、それぞれのギヤ93a,93bに亘って歯付ベルト99が取り付けられている。よって、後方ギヤ部91bは、ベルトコンベアモータ95の駆動が変換装置96を介して伝達されることで回転し、前方ギヤ部91aは、ベルトコンベアモータ95の駆動が歯付ベルト99を介して伝達され、従動的に同一方向に回転する。尚、ベルトコンベアモータ95の駆動方向は、一定である。
また、ギヤ93a,93bの間にはそれぞれ所定間隔を置いて上下方向に軸支されるローラ98,98,98が備え付けられており、直接の図示は省略するが、ローラ98,98,98は、ローラコンベア2の中央側に向けてバネで付勢された状態で歯付ベルト99の内周面に当接している。
尚、先述したように、ベルトコンベア部90Lもベルトコンベア部90Rと同一の構成ではあるが、それぞれに備え付けられたベルトコンベアモータ95,95の図示されていない各シャフトの駆動方向は互いに異なるように制御されており、これにより搬送補助手段9は、左右一対のベルトコンベア部90R,90Lそれぞれの回転方向を搬送方向と同一方向へ同期させることができる。よって、搬送補助手段9は、ベルトコンベア部90R,90Lにより容器10を左右から挟持した状態で回転することにより、容器10を方向P2へと搬送することができる。
尚、搬送補助手段9のベルトコンベア部90R,90Lによる容器10の搬送速度は、ローラコンベア2による搬送速度と略等速である。
次に、第1ブラシ60、第2ブラシ70、前方側面ブラシ80a,80aまたは後方側面ブラシ80b,80bと、搬送される容器10との関係性について、図5に基づいて説明する。尚、第1ブラシ60および第2ブラシ70と容器10との関係性については、略同一であるため、第2ブラシ70と容器10との関係性についての説明を省略する。また、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bと容器10との関係性については、略同一であるため、後方側面ブラシ80bと容器10との関係性についての説明を省略する。さらに尚、図5においては、正面略中央より左方の図示を省略した一部拡大図となっているが、これまでの説明のとおりであるため、省略した図示内の構造等についても同様のものとして説明する。
図5に示されるように、第1ブラシ60は、ブラシ部61の下端部61cと搬送面2cとの高さ寸法L1となる位置に配設されている。対して、容器10は、高さ寸法L1よりも大きな高さ寸法L2となっている。すなわち、ブラシ部61の下端部61cと搬送面2cとの高さ寸法L1は、容器10の高さ寸法L2よりも短尺である(L1<L2)。そのため、搬送される容器10は、下端部61cと搬送面2cとの間に挟持されるようになる。
また、第1ブラシ60は、基部61aの下端部と搬送面2cとの高さ寸法L3が、容器10の高さ寸法L2よりも長尺となっている(L3>L2)。これによれば、基部61aに容器10が接触等することで容器10の搬送が阻害されることがない。
また、搬送される容器10は、後述のようにベルトコンベア部90R,90Lに把持部15が挟持されることで、左右方向の位置決めがされる。尚、搬送される容器10は、把持部15は周方向に複数のリブが形成されていることで強度が高められているため、ベルトコンベア部90R,90Lに把持部15が挟持されても、容器10が変形しにくい構造となっている。
前方側面ブラシ80a,80aのローラコンベア2側の端部は、ローラコンベア2上において左右方向の位置決めがされた状態で搬送される容器10の短側部13の小凸部13cおよび大凸部13d(図示略)に当接するように配置されている。すなわち、前方側面ブラシ80a,80aは、容器10の積み重ねに関わる小凸部13cおよび大凸部13dをブラッシングすることができる。さらに、前方側面ブラシ80a,80aは、容器10の裏面11aから短側部13,13’に飛び出たバリ100もブラッシングすることができる。
また、搬送される容器10は、下方の把持部15がベルトコンベア部90R,90Lに挟持されるため、ベルトコンベア部90R,90Lの上方に備え付けられた前方側面ブラシ80a,80aのブラッシングによるブラッシングされる状況が視認されやすい。
次いで、バリ100を除去する態様であるバリ取り工程について、図1および図6〜図7を用いて詳しく説明する。
まず、図1に示されるように、搬入部2aにて容器10の裏面11aを上方に向けた状態でローラコンベア2の搬送面2cに載置する。ローラコンベア2は、搬送面2cに載置された容器10を、バリ取りユニット3へと搬送する。
図7(a)に示されるように、ローラコンベア2により搬送される容器10は、バリ取りユニット3内に進入すると、搬送補助手段9であるベルトコンベア部90R,90Lの前端部により把持部15は当接して挟持される。
また、このベルトコンベア部90R,90Lにより、搬送面2cに載置された容器10の短側部13,13’が搬送方向にわずかに傾いていても、ベルトコンベア部90R,90Lが容器10の把持部15を左右から挟持することで、容器10の短側部13,13’を搬送方向に対して略平行に調整することができるため、後述する側面ブラシユニット8によるブラッシングがされやすくなる。
尚、前述のようにベルトコンベア部90R,90Lのローラ98,98,…は、ローラコンベア2の中央側に向けてバネで付勢されているため、ベルトコンベア部90R,90Lが把持部15を左右から押圧して挟持することができる。また、容器10の左右寸法にわずかな違いがある場合も、バネの付勢により歯付ベルト99,99の各内周面により容器10を安定して挟持できる。よって、搬送補助手段9は、ローラコンベア2による容器10の搬送を確実に補助することができる。
図6(a)および図7(a)に示されるように、容器10は、第1ブラシ60および前方側面ブラシ80aに向けて搬送される。このとき、第1ブラシ60は、方向M1に回転しているとともに、前方側面ブラシ80a,80aは、方向M2に回転している。すなわち、第1ブラシ60の下端部61cおよび前方側面ブラシ80a,80aのローラコンベア2側の端部は、ローラコンベア2の搬送方向とは反対方向へ移動している。
図6(b)に示されるように、容器10が第1ブラシ60に到達すると、第1ブラシ60の下端部61cと搬送面2cとの間に容器10が上下方向に挟持された状態で容器10の裏面11aがブラッシングされる。また、第1ブラシ60の下端部61cは、裏面11a近傍の長側部12,12’と、大凸部12d,12dおよび小凸部12c,12cそれぞれの裏面近傍に形成されたバリ100もブラッシングすることができる(図示略)。
また、第1ブラシ60の下端部61cは、搬送面2cとの間に容器10を挟持した状態であるため、容器10の裏面11aを第1ブラシ60の下端部61cがブラッシングすると、第1ブラシ60の下端部61cが容器10を搬送面2cに押さえつけるため、確実に容器10の裏面11aに第1ブラシ60の下端部61cの移動による摩擦力を伝えることができる。
図6(a)に示されるように、第1ブラシ60の回転方向が方向M1であり、その下端部61cの移動方向はローラコンベア2の搬送方向とは反対方向であるため、第1ブラシ60の下端部61cの移動速度とローラコンベア2の搬送速度が加算されて両者間の相対速度はローラコンベア2の搬送速度よりも速くなり、両者間の摩擦力を大きくするようになっている。
また、容器10は、底部11が略格子状に形成されているため、裏面11aに形成されたバリ100を第1ブラシ60のブラッシングにより除去した際、除去されたバリ100が底部11の網目から抜け落ちることから、除去されたバリ100が第1ブラシ60に蓄積されにくい。
また、容器10は、底部11が略格子状に形成されているため、第1ブラシ60の下端部61cを網目に入り込ませることで、裏面11aに形成されたバリ100の根本へ食い込ませやすくバリ100を確実に除去できる構造となっている。さらに、この特性と摩擦力の増加との相乗効果によりバリ100を確実に除去できる。
尚、第1ブラシ60の下端部は、第1ブラシ60の回転方向が方向M1であるため、容器10を搬送させるための推力を減少させるが、容器10は搬送補助手段9により挟持された状態であり、不足する推力を搬送補助手段9が補助するため、容器10の搬送速度はローラコンベア2による搬送速度よりも減速することがない。つまり、一定の速度で容器10が搬送されるため、ブラッシングのムラが発生することを抑制できる。
次いで、図7(a)に示されるように、容器10は、把持部15が搬送補助手段9に挟持された状態のまま、第1ブラシ60によるブラッシングを終えた裏面11a近傍の短側部13,13’から順に、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bへと搬送される。
前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bの回転方向が方向M2であり、そのローラコンベア2側の端部の移動方向はローラコンベア2の搬送方向とは反対方向であるため、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bの移動速度とローラコンベア2の搬送速度が加算されて両者間の相対速度はローラコンベア2の搬送速度よりも速くなり、両者間の摩擦力が増加する。
また、図7(b)に示されるように、短側部13,13’側面近傍は、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bにより、連続して2度ブラッシングされるため、前方側面ブラシ80a,80aで除去することができなかったバリ100についても、後方側面ブラシ80b,80bにより除去することができる。
また、前述のように、容器10の裏面11aが第1ブラシ60によるブラッシングを受けたことにより、裏面11aに形成されていたバリ100が、小凸部13c,13cおよび大凸部13d,13d側に押し出されることがある。このようなバリ100も、前方側面ブラシ80a,80aにより小凸部13c,13cおよび大凸部13d,13dそれぞれに形成されたバリ100と同様にブラッシングすることができる。
尚、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bは、回転方向が方向M2であるため、容器10を搬送させるための推力を減少させているが、容器10は、ベルトコンベア部90R,90Lにより挟持された状態であるため、ローラコンベア2による搬送速度よりも減速することがない。
次いで、直接の図示は省略するが、容器10は、把持部15が搬送補助手段9に挟持された状態のまま、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bによるブラッシングを終えた短側部13,13’近傍の裏面11aから順に、第2ブラシ70へと搬送される。これにより、第1ブラシ60によりブラッシングがなされていない容器10の裏面11aをブラッシングすることができる。
尚、第2ブラシ70のブラッシングの態様については、図6(a),(b)に示されるように、第1ブラシ60のブラッシングと同様である。
搬送補助手段9は、第1ブラシ60から第2ブラシ70を通過するまで、容器10を左右から挟持した状態で搬送するため、バリ取り手段5により容器10の搬送が停滞することを防いでいる。
尚、搬送補助手段9は、容器10を両側から挟持しているため、各ブラシによるブラッシングを容器10が受けても、容器10がローラコンベア2の搬送面2c上で水平方向に回転することを抑止される。
バリ取り装置1は、容器10をバリ取りユニット3に通過させることで、第1ブラシ60および第2ブラシ70によるブラッシングにより容器10の裏面11aに形成されたバリ100を除去することができ、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bによるブラッシングにより容器10の、短側部13,13’に形成されたバリ100を除去することができる。
各ブラシによるブラッシングが終了した容器10は、ローラコンベア2により搬出部2bまで搬送される。尚、搬出部2bに搬送された容器10は、図示しない洗浄機により洗浄される。
[変形例1]
これまで、バリ取り装置1は、バリ100を除去するためのバリ取り工程について説明してきたが、より確実にバリ100を除去するため、バリ取り工程より先に行う、バリ揃え工程を有する例について、その相乗効果も合わせて詳しく説明する。尚、バリ取り工程と同様の態様については一部省略、あるいは簡略化する。
バリ揃え工程は、バリ取り工程と同様に、まず、容器10を搬入部2aにおいてローラコンベア2の搬送面2cに載置する。ローラコンベア2は、搬送面2cに載置された容器10をバリ取りユニット3へと搬送し、搬送されてきた容器10をバリ取りユニット3の搬送補助手段9が挟持する。
図8(a)および図9(a)に示されるように、容器10は、第1ブラシ60および前方側面ブラシ80aに向けて搬送される。このとき、第1ブラシ60は、方向P1に回転しているとともに、前方側面ブラシ80a,80aは、方向P2に回転している。すなわち、第1ブラシ60の下端部61cおよび前方側面ブラシ80a,80aのローラコンベア2側の端部は、ローラコンベア2の搬送方向と同一方向へ移動している。
また、第1ブラシ60の回転方向が方向P1であり、その下端部61cの移動方向はローラコンベア2の搬送方向と同一方向であるため、第1ブラシ60の下端部61cの移動速度とローラコンベア2の搬送速度が減算されて両者間の相対速度はローラコンベア2の搬送速度よりも遅くなり、両者間の摩擦力を図6の構成に比較し少なくするようになっている。これを利用して、図8(a)に示されるように、裏面11aに形成された向きが不規則なバリ100をブラッシングすることで、図8(b)に示されるように、略同一方向へと向きを揃えることができる。
尚、第1ブラシ60は、回転方向が方向P1であるため、容器10に対して搬送方向への推力が付加されるが、容器10は、搬送補助手段9により挟持された状態であるため、ローラコンベア2による搬送速度よりも加速することはない。つまり、一定の速度で容器10が搬送されるため、ブラッシングのムラが発生することを抑制できる。
次いで、図9(b)に示されるように、容器10は、把持部15が搬送補助手段9に挟持された状態のまま、第1ブラシ60によるブラッシングを終えた部分から順に、前方側面ブラシ80aへと搬送される。
前方側面ブラシ80a,80aの回転方向が方向P2であり、そのローラコンベア2側の端部の移動方向はローラコンベア2の搬送方向と同一方向であるため、前方側面ブラシ80a,80aのローラコンベア2側の端部の移動速度とローラコンベア2の搬送速度が減算されて両者間の相対速度はローラコンベア2の搬送速度よりも遅くなり、両者間の摩擦力を図7の構成に比較し少なくするようになっている。これを利用して、図9(a)に示されるように、小凸部13c,13cおよび大凸部13d,13dに形成された向きが不規則なバリ100をブラッシングすることで、図9(b)に示されるように、略同一方向へと向きを揃えることができる。
また、前述のように、容器10の裏面11aが第1ブラシ60によるブラッシングを受けたことにより、裏面11aに形成されていたバリ100が、小凸部13c,13cおよび大凸部13d,13d側に押し出されることがある。このようなバリ100も、前方側面ブラシ80a,80aにより小凸部13c,13cおよび大凸部13d,13dそれぞれに形成されたバリ100と同様にブラッシングすることができる。
また、図9(b)に示されるように、前方側面ブラシ80a,80aのブラッシングの後は、後方側面ブラシ80b,80bにより連続して2度ブラッシングされるため、前方側面ブラシ80a,80aで略同一方向へと向きを揃えることができなかったバリ100についても、後方側面ブラシ80b,80bにより向きを揃えることができる。
尚、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bは、回転方向が方向P2であるため、容器10に対して搬送方向への推力が付加されるが、容器10は、搬送補助手段9により挟持された状態であるため、ローラコンベア2による搬送速度よりも加速することはない。
次いで、直接の図示は省略するが、容器10は、把持部15が搬送補助手段9に挟持された状態のまま、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bによるブラッシングを終えた短側部13,13’近傍の裏面11aから順に、第2ブラシ70へと搬送される。これにより、第1ブラシ60によりブラッシングがなされていない容器10の裏面11aをブラッシングすることができる。
バリ取り装置1は、容器10がバリ取りユニット3を通過することで、第1ブラシ60および第2ブラシ70によるブラッシングにより容器10の裏面11a搬送方向近傍に形成されたバリ100の向きを略均一に揃えることができ、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bによるブラッシングにより容器10の、短側部13,13’側面近傍に形成されたバリ100の向きを略均一に揃えることができる。
各ブラシによるブラッシングが終了した容器10は、ローラコンベア2により搬出部2bまで搬送される。尚、搬出部2bに搬送された容器10(バリ揃え工程が完了した容器10)は、回収される。
このようにして、バリ取り装置1は、容器10のバリ揃え工程を終えると、第1ブラシ60および第2ブラシ70、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bの回転方向が、バリ揃え工程の回転方向である方向P1,P2とは反対方向である方向M1,M2に切り替えられる。各回転方向の切り替えが完了すると、先述したバリ取り工程が行われる。尚、搬送面2cに載置される際の容器10の向きは、バリ揃え工程と同一である。
容器10の裏面11aに形成されたバリ100は、バリ揃え工程にて略同一方向へ向きを揃えられており、その向きが第1ブラシ60の下端部61cの移動方向と対向するため、確実にバリ100の根本に第1ブラシ60の下端部61cを食い込ませてブラッシングすることで、バリ100を確実に除去できる。
短側部13,13’側面近傍のバリ100についても、バリ揃え工程にて略同一方向へ向きを揃えられており、その向きが前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bのローラコンベア2側の端部の移動方向と対向するため、確実にバリ100の根本に各先端部を食い込ませてブラッシングすることで、バリ100を確実に除去できる。
尚、バリ揃え工程後のバリ取り工程における第2ブラシ70のブラッシングの態様については、バリ揃え工程後のバリ取り工程における第1ブラシ60のブラッシングと同様である。
これまで説明してきたように、バリ取り装置1は、容器10のバリ100を除去するために、バリ揃え工程を経て、バリ取り工程を行うことで、より確実にバリ100を除去することができる。
[変形例2]
変形例1では、容器10をローラコンベア2により2度搬送して、バリ揃え工程とバリ取り工程を行う例について説明したが、容器10をローラコンベア2により1度搬送して、バリ揃え工程とバリ取り工程を行うものであってもよい。例えば、図10に示されるように、第1ブラシ160のブラシ部161および第2ブラシ170のブラシ部171は左右方向に連続する一本に形成された態様であってもよい。この場合、第1ブラシ160と第2ブラシ170を異なる回転方向に回転させることで、バリ取りユニット3内に容器10を1度通過させるだけで、バリ揃え工程とバリ取り工程とを行うことができるため、短時間で確実にバリ100を除去することができる。また、ブラシ部161,171が左右方向に連続しているため、ムラなくブラッシングを行うことができる。
尚、ブラシ部161,171は、左右方向に連続する一本に形成された態様として説明したが、これに限らず、例えば複数のブラシ部61,61,…またはブラシ部71,71,…が隙間なく配置されたものであってもよい。この態様であれば、いずれかのブラシ部61,71が摩耗等した際に、その摩耗等した箇所だけを交換するだけでよいため、交換にかかわるコストを抑えることができる。
[変形例3]
実施例1では、容器10をローラコンベア2により1度搬送して、バリ取り工程を行う例について説明したが、ローラコンベア2により容器10を2度搬送し、この場合1度目と2度目においてローラコンベア2に載置する容器10の向きを180度変えることで、1度目のバリ取り工程と2度目のバリ取り工程とを行うものであってもよい。この場合、バリ100の傾きが異なっていても1度目のバリ取り工程と2度目のバリ取り工程とのいずれかのバリ取り工程にて除去することができる。
尚、本実施例においては、第1ブラシユニット6および第2ブラシユニット7は、それぞれが第1モータ65および第2モータ75を備える態様として説明したが、これに限らず、第1ブラシユニット6または第2ブラシユニット7のいずれか一方がモータを有し、他方は歯付ベルト等を介して一方のモータの駆動に従同する態様であってもよい。この態様であれば、部材点数を減らすことができる。
また、第1ブラシ60のブラシ部61,61,61および第2ブラシ70のブラシ部71,71は、左右方向に互い違いとなるように前後に配設されていたが、これに限らず、例えば、左右方向に亘って伸びる1本の第1ブラシ160のみであってもよい。
また、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bは、それぞれ同一方向に回転するようになっていたが、例えば、左右一対の前方側面ブラシ80a,80aが方向P2へ回転し、左右一対の後方側面ブラシ80b,80bが方向M2へ回転するようになっていてもよい。
また、バリ取りユニット3は、バリ取り工程やバリ揃え工程において、エア吹き付けまたは水(洗剤等を含む)等、あるいはその両方を使用する態様であってもよい。この態様であれば、容器10等に付着する容器10より剥離されたバリ100を、確実に除去することができる。
以上説明してきたように、本実施例におけるバリ取り装置1は、ローラコンベア2の搬送面2cよりも上方に位置する第1ブラシ60および第2ブラシ70を備え、第1ブラシ60の下端部61cおよび第2ブラシ70の下端部71cと搬送面2cとの高さ寸法L1が容器10の高さ寸法L2よりも短尺である。そして、第1ブラシ60および第2ブラシ70とローラコンベア2の搬送面2cとの間で容器10を挟持しているため、第1ブラシ60および第2ブラシ70から容器10に摩擦力を十分に伝えられ、容器10の裏面11aのバリ100の除去力が高い。
また、容器10は、開口を有する箱状であって、容器10の裏面11aを上方に向けてローラコンベア2の搬送面2cに載置されるため、搬送時およびブラッシング時に容器10の裏面11aの状態を目視確認しやすい。また、容器10の裏面11aにはバリ100が形成されやすいため、特に効果的である。
また、容器10の短側部13,13’に接触してローラコンベア2の搬送方向への搬送を補助する搬送補助手段9が、少なくとも第1ブラシ60および第2ブラシ70の近傍に、すなわち第1ブラシ60および第2ブラシ70の下方において第1ブラシ60の前方から第2ブラシ70の後方に亘って設けられているため、搬送補助手段9により、第1ブラシ60および第2ブラシ70とローラコンベア2に挟持される容器10を確実に搬送することができる。また、搬送補助手段9は、ベルトコンベア部90R,90Lにより容器10を両側方から挟持するため、第1ブラシ60または第2ブラシ70の近傍で容器10の搬送が加速することを抑制できる。
また、図示しないが、第1ブラシユニット6、第2ブラシユニット7、および側面ブラシユニット8R,8Lは、フレーム4に対して前後位置、左右位置または高さ位置を調整可能に取り付けられている。これによれば、形状の異なる容器であってもブラッシングすることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、容器10の底部11は、略格子状に形成されている態様として説明したが、これに限らず、略板状のものであってもよい。また、長側部12,12’および短側部13,13’においても、各凸部が形成されていないものでもよく、単に略板状のものであってもよく、また格子状をした網目状に形成されていてもよい。すなわち、容器10の形状は類似形状をしたものであればよく、本実施例で説明した特定の形状に限定するものではない。
バリ取り装置1は、ローラコンベア2をコンベア装置として備える態様として説明してきたが、これに限らず、ベルトコンベアであってもよく、ローラコンベアに限定するものではない。
ローラコンベア2の搬送方向および搬送補助手段9のベルトコンベアモータ95の駆動方向は、それぞれ一定である態様として説明したが、これに限らず、それぞれの搬送方向および駆動方向が反転可能であってもよい。
バリ取り手段5は、第1ブラシユニット6および第2ブラシユニット7を備える態様として説明してきたが、これに限らず、ブラシユニットを3つ以上備えていてもよい。
第1ブラシ60および第2ブラシ70は、それぞれのシャフトに軸支されるブラシ部の径が同一寸法である態様として説明したが、これに限らず、各ブラシ部の下端部とローラコンベアの搬送面との間の高さ寸法L1が容器の高さ寸法L2よりも小さくなっていれば、径の大きさが異なるブラシ部を利用してもよい。
ブラシ部61,71,ブラシ部81の各繊毛は、研磨剤を含むナイロン製である態様として説明したが、これに限らず、繊毛は金属製等、ナイロン製以外であってもよい。
側面ブラシユニット8は、前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bを備える態様として説明したが、これに限らず、左右一対のブラシを一つだけ有していてもよく、左右一対のブラシを3つ以上有していてもよい。
側面ブラシユニット8は、前方に配設される前方側面ブラシ80a,80aと、後方に配設される後方側面ブラシ80b,80bと、を有する態様として説明したが、これに限らず、対向する左右一対の側面ブラシだけを有していてもよい。
また、側面ブラシユニット8は、左右一対の前後に延びるシャフトにブラシ部が固定されており、シャフトを中心にブラシ部が回転する態様であってもよい。この場合、ブラシ部もシャフトに合わせて、左右一対の前後に延びるものであってもよい。
また、側面ブラシユニット8は、短側部13,13’をブラッシングする態様として説明したが、これに限らず、長側部12,12’をブラッシングしてもよい。
また、側面ブラシユニット8R,8Lの間の幅を、例えば側面ブラシユニット8R,8Lを複数の長孔にボルトナットを介して固定する等、容器10の形状に応じて調整可能であってもよく、容器10の長側部12,12’と短側部13,13’とそれぞれに対応可能であってもよい。尚、前方側面ブラシ80aは、第1ブラシ60に対して直接接触することが無いよう第1ブラシ60より後方に離間して配設され、後方側面ブラシ80bは、第2ブラシ70に対して直接接触することが無いよう第2ブラシ70より前方に離間して配設され、前方側面ブラシ80aと後方側面ブラシ80bも接触しないように前後方向に離間している。これらの特徴により、側面ブラシユニット8は、側面ブラシユニット8R,8Lの間の寸法を可変するようにしても左右間の寸法における可変であるため、他のブラシに接触することがない。
また、前方側面ブラシ80aは、側部フレーム42に取り付けられた上下一対の支持部材88,88の前方側において、支持部材88,88間の上下略中央にブラシ部81が配置されるように備え付けられている。尚、前方側面ブラシ80aは、第1ブラシ60に対して直接接触することが無いよう第1ブラシ60より後方に離間して配設されている。
また、後方側面ブラシ80bは、上述した支持部材88,88の後方側において、支持部材88,88間の上下略中央に円柱のブラシ部81が配置されるように備え付けられている。尚、後方側面ブラシ80bは、第2ブラシ70に対して直接接触することが無いよう第2ブラシ70より前方に離間して配設されている。さらに尚、前方側面ブラシ80aと後方側面ブラシ80bも接触しないように前後方向に離間している。
側面ブラシユニット8の前方側面ブラシ80a,80aおよび後方側面ブラシ80b,80bそれぞれにモータが備え付けられることで個別に可動する態様であってもよい。
ローラ98,98,98は、歯付ベルト99の内周面に対して、ローラコンベア2の中央側に向けてバネで付勢された状態で当接している態様として説明したが、これに限らず、油圧により付勢されている等、付勢手段は他の態様であってもよく、取付位置によってローラコンベア2の中央側に向けて歯付ベルト99を付勢する態様であってもよい。
容器10の洗浄は、バリ取り装置1によるバリ取り後に図示しない洗浄機によりなされる態様を説明したが、これに限らず、バリ取りユニット3により容器10を洗浄する態様であってもよい。この態様の場合には、バリ取り手段5の回転速度を遅くする、ブラシの材質を変更する等により対応可能である。この態様と、特許文献1とを比較すると、ブラシ部61,71が搬送面2cよりも上方に位置するため、容器10から除去された汚れが重力によって落下し、ブラシ自身が汚損し難くなる。
また、バリ取り装置1により容器10を洗浄する態様にあたっては、エア吹き付けを行う態様であってもよい。この態様であれば、容器10から除去された汚れにエア吹き付けを行うことで、容器10から飛ばすことができるため、汚れが容器10に再度付着することを防ぐことができる。尚、洗浄もバリ取りも容器10の外部を整えることから、整備という概念に含まれる。
また、バリ取り装置1により容器10を洗浄する態様にあたっては、水(洗剤等を含む)を利用する態様であってもよい。この態様と、特許文献1とを比較すると、そもそも、バリ取り装置1においては、ローラコンベア2の搬送面2cに容器10の開口を下方に向けた状態で容器10を載置・搬送する態様であるため、容器10の裏面11aから各把持部15にかけて上方から略均一に水を流下させることができ、また容器10内に水が溜まりにくいため、ムラなく洗浄することができる。尚、先述した、エア吹き付けを併せておこなってもよい。
また、本実施例における容器10は、特許文献1の上下寸法の長い側面を有する輸送コンテナと異なり、把持部15等が形成されていることで、側面が平行面を略有していない薄型の容器である。そのため、特許文献1の洗浄装置により、本実施例の容器10を洗浄する場合には、接触面積が少ない容器10の把持部15を挟み込みベルトでは確実に挟持することは難しく、回転ブラシ上を搬送される容器10は搬送状態が安定せず、容器10の裏面が十分に洗浄されない。