JP2018035877A - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents

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真也 太向
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Abstract

【課題】ブレーキディスクの熱の影響による軸受の短寿命化を抑制する。【解決手段】インホイールモータ駆動装置(10)の減速部(31)は、車輪ハブ軸受部(11)の軸線よりも径方向外側かつ径方向に見て少なくとも一部が車輪ハブ軸受部と重なる位置に配置された複数の歯車軸(32,35,38,41)と、車幅方向外側に位置しブレーキディスク(BD)に対面する外側壁部(43f)を有する減速部ケーシング(43)とを含む。減速部ケーシングの外側壁部には、歯車軸を回転可能に支持する転がり軸受が取付けられる。減速部(31)は、減速部ケーシング(43)の上部に設けられ、歯車の回転に伴い下方側から浴びる潤滑油を外側壁部(43f)に取付けられた転がり軸受に向けて案内する潤滑油案内面(430)を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の歯車を有する歯車式減速部を備えたインホイールモータ駆動装置に関する。
車輪を駆動するモータ部と、車輪ハブ軸受部と、複数の歯車を有しモータ部の回転を減速して車輪ハブ軸受部に伝達する減速部とを備えたインホイールモータ駆動装置が存在する。このようなインホイールモータ駆動装置において、モータ部における発熱要素(ステータ)の冷却、減速部における減速機構を構成する回転要素(歯車および軸受)の潤滑や冷却のために、潤滑油が利用される。
特開2013−72458号公報(特許文献1)には、モータ収容室の外側方に設けられた減速部収容室内に潤滑油を貯留し、モータ収容室と減速部収容室間の隔壁中央部に、遊星歯車により掻き上げられてその隔壁内面に沿って流れ落ちる潤滑油をロータ軸と出力軸とを相対的に回転自在に支持する軸受に向けて誘導するテーパ状のオイル案内面を設けたインホイールモータ駆動装置が開示されている。
特開2013−72458号公報
インホイールモータ駆動装置の車輪ハブ軸受部は、車幅方向外側に位置するブレーキディスクと同軸に結合する。減速機構を構成する歯車軸が、車輪ハブ軸受部の軸線よりも径方向外側かつ径方向に見て車輪ハブ軸受部と重なる位置に配置される構成の場合、減速機構を収容する減速部ケーシングとブレーキディスクとの距離が必然的に近くなる。
ブレーキディスクは車両制動時に高温となる。そのため、一般的なブレーキディスクを車両の制動装置として用いた場合、減速部ケーシングのうちブレーキディスクに対面する外側壁部はブレーキディスクの熱を受けて高温となる。そうすると、減速部ケーシングの外側壁部に取付けられて歯車軸を回転可能に支持する軸受は、ブレーキディスクの熱の影響で昇温し易くなる。
特許文献1のインホイールモータ駆動装置では、潤滑油を案内面に沿って軸受に案内することが開示されているが、案内面はモータ収容室と減速部収容室間の隔壁中央部に設けられている。そのため、ブレーキディスクに近い軸受、すなわち減速部ケーシングの外側壁部に取付けられた軸受への潤滑油の供給量が不足する恐れがある。このような構成においては、軸受の冷却を十分に行うことはできないため、高温環境下での使用による軸受の短寿命が懸念される。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ブレーキディスクの熱の影響による軸受の短寿命化を抑制することのできるインホイールモータ駆動装置を提供することである。
この発明のある局面に従うインホイールモータ駆動装置は、車輪を駆動するモータ部と、車幅方向に沿って延び、車幅方向外側に位置するブレーキディスクと同軸に結合する車輪ハブ軸受部と、モータ部の回転を減速して車輪ハブ軸受部に伝達する減速部とを備える。減速部は、複数の歯車軸および歯車と、減速部ケーシングと、転がり軸受と、潤滑油案内面とを含む。複数の歯車軸は、車輪ハブ軸受部の軸線よりも径方向外側に位置し、かつ、径方向に見て歯車軸の少なくとも一部が車輪ハブ軸受部と重なる位置に配置される。減速部ケーシングは、歯車軸および歯車を収容し、かつ、下部に潤滑油を貯留する潤滑油貯留部が設けられたケーシングである。減速部ケーシングは、車幅方向外側に位置しブレーキディスクに対面する外側壁部を有し、この外側壁部に、歯車軸を回転可能に支持する転がり軸受が取付けられている。潤滑油案内面は、減速部ケーシングの上部に設けられ、歯車の回転に伴い下方側から浴びる潤滑油を外側壁部に取付けられた転がり軸受に向けて案内する。
このインホイールモータ駆動装置において、減速部を構成する複数の歯車軸が、車輪ハブ軸受部の軸線よりも径方向外側に位置し、かつ、複数の歯車軸の少なくとも一部が径方向に見て車輪ハブ軸受部と重なる位置に配置されている。この場合、減速部ケーシングの外側壁部は、制動時に高温となるブレーキディスクに近接して配置されるが、減速部が潤滑油案内面を含むため、外側壁部に取付けられた転がり軸受の冷却を促進することができる。その結果、ブレーキディスクの熱の影響による転がり軸受の短寿命化を抑制することができる。
好ましくは、減速部ケーシングが、外側壁部の上端部分に接続されて車幅方向に延びる上壁部を有しており、潤滑油案内面は、上壁部の下面により構成される。
あるいは、潤滑油案内面は、減速部ケーシングの上部に取付け固定された案内部材の下面により構成されてもよい。
潤滑油案内面は、車幅方向内側端部よりも車幅方向外側端部が下方となるよう勾配を有することが望ましい。
好ましくは、減速部ケーシングの外側壁部には、転がり軸受を取付けるための環状の軸受取付け部が設けられている。この場合、軸受取付け部は、潤滑油案内面より案内された潤滑油を流入する流入溝、および、流入した潤滑油を流出する流出溝を有することが望ましい。
好ましくは、複数の歯車軸は、モータ部のモータ回転軸と同軸に設けられた入力軸と、車輪ハブ軸受部と同軸に設けられた出力軸と、入力軸および出力軸よりも上方に位置する少なくとも1つの中間軸とを含む。この場合、中間軸を回転可能に支持する軸受取付け部の流出溝と、入力軸または出力軸を回転可能に支持する軸受取付け部の流入溝とが、背中合わせの位置に配置されることが望ましい。
好ましくは、減速部ケーシングが車幅方向内側に位置する内側壁部をさらに有し、歯車軸は、外側壁部に取付けられた転がり軸受、および、内側壁部に取付けられた他方側転がり軸受によって回転可能に支持されている。この場合、減速部ケーシングの内側壁部に設けられた、他方側転がり軸受を取付けるための環状の軸受取付け部も同様に、潤滑油を流入する流入溝、および、流入した潤滑油を流出する流出溝を有することが望ましい。
本発明によれば、ブレーキディスクの熱の影響による軸受の短寿命化を抑制することができる。
本発明の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の基本構成および潤滑油の供給構造を模式的に示す縦断面図である。 本発明の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の減速部の内部構造を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置とブレーキディスクとの位置関係を模式的に示す縦断面図である。 図1のVI−VI線に沿って切断した場合の減速部の縦断面図である。 図2のV−V線に沿って切断した場合の減速部の横断面図である。 本発明の実施形態の変形例に係るインホイールモータ駆動装置の基本構成および潤滑油の供給構造を模式的に示す縦断面図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(基本構成例について)
はじめに、図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態に係るインホイールモータ駆動装置10の基本構成例について説明する。インホイールモータ駆動装置10は、電気自動車およびハイブリッド車両などの乗用自動車に搭載される。
図1は、本発明の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置10を所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。図2は、インホイールモータ駆動装置10の減速部31の内部構造を示す横断面図であり、車幅方向外側から見た状態を模式的に表す。図3は、インホイールモータ駆動装置10を示す縦断面図であり、車輪ホイールWおよびサスペンション装置70とともに表す。なお、図1で表される所定の平面は、図2に示す軸線Mおよび軸線Nfを含む平面と、軸線Nfおよび軸線Nlを含む平面と、軸線Nlおよび軸線Oを含む平面を、この順序で接続した展開平面である。図2中、減速部31の内部の各歯車は歯先円で表され、個々の歯を図略する。また、図3においては、図面の煩雑を避けるため、減速部内部の各歯車は図略される。
インホイールモータ駆動装置10は、車輪ホイールWの中心と連結する車輪ハブ軸受部11と、車輪ホイールWを駆動するモータ部21と、モータ部21の回転を減速して車輪ハブ軸受部11に伝達する減速部31を備え、車両(乗用自動車)の車幅方向外側に形成されるホイールハウス(図示せず)に配置される。モータ部21および減速部31は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oと同軸に配置されるのではなく、車輪ハブ軸受部11の軸線Oからオフセットして配置される。
車輪ホイールWは周知のものであり、車輪ホイールWの外周にタイヤTが嵌合し、車体の前後左右に配置される。かかる車体は車輪とともに乗用自動車を構成する。インホイールモータ駆動装置10は、公道で乗用自動車を時速0〜180km/hで走行させることができる。
車輪ハブ軸受部11は、車幅方向に延びる。車輪ハブ軸受部11は、図1に示すように車輪ホイールWと結合する車輪ハブとしての外輪12と、外輪12の中心孔に通される内側固定部材13と、外輪12と内側固定部材13との環状隙間に配置される複数の転動体14を有し、車軸を構成する。内側固定部材13は、非回転の固定軸15と、1対のインナーレース16と、抜け止めナット17と、キャリア18とを含む。固定軸15は根元部15rが先端部15eよりも大径に形成される。インナーレース16は、根元部15rと先端部15eの間で、固定軸15の外周に嵌合する。抜け止めナット17は固定軸15の先端部15eに螺合して、抜け止めナット17と根元部15rの間にインナーレース16を固定する。
固定軸15は軸線Oに沿って延び、減速部31の外郭をなす減速部ケーシング43を貫通する。固定軸15の先端部15eは、減速部ケーシング43の外側壁部43fに形成される開口43pを貫通し、外側壁部43fよりも車幅方向外側へ突出する。固定軸15の根元部15rは、減速部ケーシング43の内側壁部43bよりも車幅方向内側から、内側壁部43bに形成される開口43qを貫通する。なお外側壁部43fと内側壁部43bは軸線O方向(車軸方向)に間隔を空けて互いに向き合う壁部分である。根元部15rにはキャリア18が取付固定される。キャリア18は減速部ケーシング43の外部でサスペンション装置70およびタイロッド(図示せず)と連結する。
転動体14は、軸線O方向に離隔して複列に配置される。軸線O方向一方のインナーレース16の外周面は、第1列の転動体14の内側軌道面を構成し、外輪12の軸線O方向一方の内周面と対面する。軸線O方向他方のインナーレース16の外周面は、第2列の転動体14の内側軌道面を構成し、外輪12の軸線O方向他方の内周面と対面する。以下の説明において、車幅方向外側(アウトボード側)を軸線方向一方ともいい、車幅方向内側(インボード側)を軸線方向他方ともいう。図1の紙面左右方向は、車幅方向に対応する。外輪12の内周面は転動体14の外側軌道面を構成する。
外輪12の軸線O方向一方端にはフランジ部12fが形成される。フランジ部12fはブレーキディスクBDおよび車輪ホイールWのスポーク部Wsと同軸に結合するための結合座部を構成する。外輪12はフランジ部12fでブレーキディスクBDおよび車輪ホイールWと結合して、車輪ホイールWと一体回転する。
モータ部21は図1に示すように、モータ回転軸22、ロータ23、ステータ24、モータケーシング25を有し、この順序でモータ部21の軸線Mから外径側へ順次配置される。なお、図1中、モータ部21のうち軸線Mより上の部分については図略する。モータ部21は、インナーロータ、アウターステータ形式のラジアルギャップモータであるが、他の形式であってもよい。例えば図示しなかったがモータ部21はアキシャルギャップモータであってもよい。
モータケーシング25は円筒形状であり、モータケーシング25の車幅方向内側端部はモータケーシングカバー25vと接続する。モータケーシング25およびモータケーシングカバー25vは、減速部ケーシング43とともに、インホイールモータ駆動装置10のケーシングを構成する。
モータ回転軸22およびロータ23の回転中心になる軸線Mは、車輪ハブ軸受部11の軸線Oと平行に延びる。つまりモータ部21は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oから離れるようオフセットして配置される。モータ回転軸22の先端部を除いたモータ部21の大部分の軸線方向位置は、図1に示すように内側固定部材13の軸線方向位置と重ならない。
モータケーシング25は筒状であり、軸線M方向一方端で減速部ケーシング43の内側壁部43bと結合し、軸線M方向他方端で蓋状のモータケーシングカバー25vに封止される。このように、減速部ケーシング43の内側壁部43bの一部分(上方部分)は、モータ部21の内部空間21aと減速部31の内部空間31aとを区画する隔壁として機能する。
モータ回転軸22の両端部は、転がり軸受27,28を介して、モータケーシング25(隔壁)およびモータケーシングカバー25vに回転自在に支持される。モータ部21は外輪12および車輪を駆動する。
減速部31は、入力軸32、入力歯車33、中間歯車34、中間軸35、中間歯車36、中間歯車37、中間軸38、中間歯車39、出力歯車40、出力軸41、および減速部ケーシング43を有する。
入力軸32は、モータ回転軸22の先端部22eよりも大径の筒状体であって、モータ部21の軸線Mに沿って延びる。先端部22eは入力軸32の軸線M方向他方端部の中心孔に受け入れられて、入力軸32はモータ回転軸22と同軸に結合する。入力軸32の両端は転がり軸受42a,42bを介して、減速部ケーシング43(具体的には、外側壁部43fおよび内側壁部43b)に支持される。入力歯車33は、モータ部21よりも小径の外歯歯車であり、歯車軸としての入力軸32と同軸に結合する。具体的には入力歯車33は、入力軸32の軸線M方向中央部の外周に一体形成される。
出力軸41は、外輪12の円筒部分よりも大径の筒状体であって、車輪ハブ軸受部11の軸線Oに沿って延びる。外輪12の軸線O方向他方端は、出力軸41の軸線O方向一方端の中心孔に受け入れられて、出力軸41は外輪12と同軸に結合する。出力軸41の軸線O方向両端部外周には転がり軸受44,46が配置される。出力軸41の軸線O方向一方端は転がり軸受44を介して、減速部ケーシング43の外側壁部43fに支持される。出力軸41の軸線O方向他方端は転がり軸受46を介して、減速部ケーシング43の内側壁部43bに支持される。出力歯車40は外歯歯車であり、歯車軸としての出力軸41と同軸に結合する。具体的には出力歯車40は出力軸41の軸線O方向他方端の外周に一体形成される。
2本の中間軸35,38は入力軸32および出力軸41と平行に延びる。つまり減速部31は四軸の平行軸歯車減速機であり、出力軸41の軸線Oと、中間軸35の軸線Nfと、中間軸38の軸線Nlと、入力軸32の軸線Mは互いに平行に延び、換言すると車幅方向に延びる。
各軸の車両前後方向位置につき説明すると、図2に示すように入力軸32の軸線Mは出力軸41の軸線Oよりも車両前方に配置される。また中間軸35の軸線Nfは入力軸32の軸線Mよりも車両前方に配置される。中間軸38の軸線Nlは出力軸41の軸線Oよりも車両前方かつ入力軸32の軸線Mよりも車両後方に配置される。図示しない変形例として入力軸32の軸線Mと、中間軸35の軸線Nfと、中間軸38の軸線Nlと、出力軸41の軸線Oが、この順序で車両前後方向に配置されてもよい。この順序は駆動力の伝達順序でもある。
各軸の上下方向位置につき説明すると、入力軸32の軸線Mは出力軸41の軸線Oよりも上方に配置される。中間軸35の軸線Nfは入力軸32の軸線Mよりも上方に配置される。中間軸38の軸線Nlは中間軸35の軸線Nfよりも上方に配置される。なお複数の中間軸35,38は、入力軸32および出力軸41よりも上方に配置されれば足り、図示しない変形例として中間軸35が中間軸38よりも上方に配置されてもよい。あるいは図示しない変形例として出力軸41が入力軸32よりも上方に配置されてもよい。
中間歯車34および中間歯車36は外歯歯車であり、図1に示すように歯車軸としての中間軸35の軸線Nf方向中央部と同軸に結合する。中間軸35の両端部は、転がり軸受45a,45bを介して、減速部ケーシング43に支持される。中間歯車37および中間歯車39は外歯歯車であり、歯車軸としての中間軸38の軸線Nl方向中央部と同軸に結合する。中間軸38の両端部は、転がり軸受48a,48bを介して、減速部ケーシング43に支持される。
減速部ケーシング43は、減速部31および車輪ハブ軸受部11の外郭をなし、筒状に形成されて、図2に示すように軸線O、Nf、Nl、Mを取り囲む。また減速部ケーシング43は、車輪ホイールWの内空領域に収容される。より具体的には、車輪ハブ軸受部11、減速部31、およびモータ部21の軸線方向一方領域が車輪ホイールWの内空領域に収容され、モータ部21の軸線方向他方領域が車輪ホイールWから軸線方向他方へはみ出す。このように車輪ホイールWはインホイールモータ駆動装置10の大部分を収容する。
図2を参照して減速部ケーシング43は、軸線Oの真下部分43cと、出力歯車40の軸線Oから車両前後方向に離れた位置、具体的には入力歯車33の軸線Mの真下で、下方へ突出する部分とを有する。この突出する部分はオイルタンク47を形成し、軸線Oの真下部分43cよりも下方に位置する。オイルタンク47は、潤滑油を貯留する潤滑油貯留部である。オイルタンク47に貯留された潤滑油は、図示しないオイルポンプにより吸入されて、モータ部21の発熱要素および減速部31の回転要素に吐出される。オイルポンプは、たとえば出力歯車により駆動される。あるいは、最下段の歯車(出力歯車40)の回転によって潤滑油が掻き揚げられて、減速部ケーシング43内で潤滑油が飛散することにより、減速部31の回転要素に潤滑油を供給する構造であってもよい。
減速部ケーシング43は、減速部31の内部空間31aを区画し、図6に示すように入力軸32、入力歯車33、中間歯車34、中間軸35、中間歯車36、中間歯車37、中間軸38、中間歯車39、出力歯車40、出力軸41、および車輪ハブ軸受部11の軸線O方向中央部を収容する。
減速部ケーシング43は、図2に示すように真下部分43cおよびオイルタンク47を含む筒状部分と、図1に示すように減速部31の筒状部分の軸線方向一方側を覆う略平坦な外側壁部43fと、減速部31の筒状部分の軸線方向他方側を覆う略平坦な内側壁部43bを有する。内側壁部43bは、モータケーシング25と結合して隔壁を構成する部分と、固定軸15と結合する部分とを含む。
減速部ケーシング43の外側壁部43fには、外輪12が貫通するための開口43pが形成される。開口43pには、出力軸41との環状隙間を封止するシール材43sが設けられる。このため回転体になる外輪12は、軸線O方向一方端部を除いて減速部ケーシング43に収容される。出力軸41の軸線O方向他方端部内周面にはシール材43vが配置される。シール材43vは出力軸41と内側壁部43bの環状隙間を封止する。
小径の入力歯車33と大径の中間歯車34は、減速部31の軸線方向他方側(モータ部21側)に配置されて互いに噛合する。小径の中間歯車36と大径の中間歯車37は、減速部31の軸線方向一方側(フランジ部12f側)に配置されて互いに噛合する。小径の中間歯車39と大径の出力歯車40は、減速部31の軸線方向他方側に配置されて互いに噛合する。このようにして入力歯車33と複数の中間歯車34,36,37,39と出力歯車40は、互いに噛合し、入力歯車33から複数の中間歯車34,36,37,39を経て出力歯車40に至る駆動伝達経路を構成する。そして上述した小径歯車および大径歯車の噛合により、入力軸32の回転は中間軸35で減速され、中間軸35の回転は中間軸38で減速され、中間軸38の回転は出力軸41で減速される。これにより減速部31は減速比を十分に確保する。
図2に示すように、出力軸41、中間軸38、および入力軸32は、この順序で車両前後方向に間隔を空けて配置される。さらに中間軸35および中間軸38は、入力軸32および出力軸41よりも上方に配置される。かかる実施形態によれば、車輪ハブになる外輪12の上方に中間軸を配置し得て、外輪12の下方にオイルタンク47の配置スペースを確保したり、外輪12の真下にボールジョイント60を受け入れる空間を確保したりすることができる。したがって上下方向に延びる転舵軸線Kを車輪ハブ軸受部11に交差して設けることができ、車輪ホイールWおよびインホイールモータ駆動装置10を転舵軸線K回りに好適に転舵させることができる。
また本実施形態によれば、図2に示すように複数の中間軸35,38は、入力軸32の上方に隣り合うよう配置されて入力軸32から駆動トルクを供給される最初の中間軸35、および出力軸41の上方に隣り合うよう配置されて出力軸41に駆動トルクを供給する最終の中間軸38を含み、入力軸32と最初の中間軸35と最終の中間軸38と出力軸41は、複数の中間軸35,38の軸線方向にみて、入力軸の中心(軸線M)と最初の中間軸35の中心(軸線Nf)と最終の中間軸38の中心(軸線Nl)と出力軸41の中心(軸線O)とを順次結ぶ基準線が逆U字を描くよう、配置される。これにより駆動伝達経路を構成する複数の軸および歯車の全体配置が小型化されて、複数の軸および歯車を車輪ホイールWの内部に収納することができる。
(潤滑油の供給構造について)
次に、図4および図5をさらに参照して、インホイールモータ駆動装置10における潤滑油の供給構造について説明する。図4は、図1のVI−VI線に沿って切断した場合の減速部31の縦断面図である。図5は、図2のV−V線に沿って切断した場合の減速部31の横断面図である。
本実施形態に係るインホイールモータ駆動装置10においては、車両走行時に、オイルポンプ(図示せず)の駆動または出力歯車40による掻き上げによって、潤滑油がモータ部21の発熱要素および減速部31の回転要素に供給される。
オイルポンプ駆動の場合、たとえば、オイルポンプが出力歯車40に駆動されると、オイルタンク47内の潤滑油がオイルポンプにより吸入され、吸入された潤滑油がモータ部21の内部空間21aおよび減速部31の内部空間31aに向けて噴射される。モータ部21の内部空間21aに噴射された潤滑油はモータ部21の発熱要素を冷却する。減速部31の内部空間31aに噴射された潤滑油は、複数の中間歯車34,36,37,39に潤滑油を供給し、歯車同士の回転によって、入力歯車33および出力歯車40の噛合部にも潤滑油を供給する。また、噴射された潤滑油は、複数の中間軸35,38の転がり軸受45a,45b,48a,48bに潤滑油を供給し、さらにケーシング70内に施された溝(図示せず)を伝って入力軸32および出力軸41の転がり軸受42a,42b,44,46にも潤滑油を供給する。
油浴式の場合においても、出力歯車40により掻き上げられた潤滑油が減速部31の内部空間31aで飛散することにより、各部に潤滑油が供給される。このように、いずれの潤滑方式を採用したとしても、各歯車軸の両端に設けられた転がり軸受への潤滑油の供給は、各歯車の回転に伴って減速部31の内部空間31aにおいて潤滑油が攪拌および飛散されることによって実現される。
ところで、本実施形態では、図1に示すように、減速部31は平行軸歯車減速機であって、複数の歯車軸すなわち、入力軸32、中間軸35,38、および出力軸41が、車輪ハブ軸受部11の軸線Oよりも径方向外側、かつ、径方向に見て車輪ハブ軸受部11と重なる位置に配置されている。より具体的には、減速機を構成する複数の歯車軸32,35,38,41が、外輪12の軸線方向位置と重なるように、径方向に整列して配置されている。これにより、インホイールモータ駆動装置10の軸線方向寸法を小さくすることができる。
一方で、このような減速部31の構成の場合、図1および図3に示されるように、これら歯車軸32,35,38,41の軸線方向一方端面と対面する減速部ケーシング43の外側壁部43fは、ブレーキディスクBDに近接した位置に配置される。ブレーキディスクBDは車両制動時に高温となる。そのため、一般的なブレーキディスクBDを車両の制動装置として用いた場合、ブレーキディスクBDに対面する減速部ケーシング43の外側壁部43fはブレーキディスクBDの熱を受けて高温となる。そうなると、減速部ケーシング43の外側壁部43fに取付けられて歯車軸を回転可能に支持する転がり軸受42a,45a,48a,44も、ブレーキディスクBDの熱の影響により昇温する。つまり、減速部ケーシング43の外側壁部43fに取付けられた転がり軸受42a,45a,48a,44の温度の方が、減速部ケーシング43の内側壁部43bに取付けられた転がり軸受42b,45b,48b,46の温度よりも高くなってしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、車幅方向内側に位置する転がり軸受42b,45b,48b,46よりも車幅方向外側に位置する転がり軸受42a,45a,48a,46の方に潤滑油を多く供給できるように、減速部ケーシング43の形状を次のような構造としている。すなわち、図1、図3、および図5に示されるように、減速部ケーシング43の上壁部43tは、車幅方向内側端部よりも車幅方向外側端部が下方となるよう勾配が付けられている。
上壁部43tは、減速部ケーシング43の筒状部分の一部分に相当し、外側壁部43fおよび内側壁部43bの上端部分に接続されて車幅方向(軸線方向)に延びる壁部分である。典型的には、上壁部43tは、複数の歯車軸32,35,38,41のうち最上段の歯車軸である中間軸38の軸線Nlよりも上の壁部分である。上壁部43tのうちの車幅方向外側部分(つまり下端部分)は、中間軸38の転がり軸受48aの軸受取付け部65の外周面だけでなく、中間軸35の転がり軸受45aの軸受取付け部63の外周面の少なくとも一部、および、出力軸41の転がり軸受44の軸受取付け部67の外周面の少なくとも一部にも対面する。なお、上壁部43tのうちの車幅方向外側部分は、少なくとも中間軸35,38の転がり軸受45a,48aを取付ける軸受取付け部63,65の外周面に対面するように配置されていればよい。
上壁部43tの内壁面(下面)430は、減速部31の内部空間31aに面しているため、車両走行時には、歯車の回転に伴い潤滑油を下方側から浴びる。本実施形態では、上壁部43t自体に車幅方向内側端部よりも車幅方向外側端部が下方となるよう勾配が付けられているため、上壁部43tの内壁面430により、下方側から浴びる潤滑油が車幅方向外側に位置する転がり軸受42a,45a,48a,44に向けて案内される。つまり、上壁部43tの内壁面430は潤滑油案内面として機能する。
より具体的には、歯車の回転に伴い上壁部43tの内壁面430に撥ね掛けられて付着した潤滑油が、内壁面430の勾配(傾斜)に沿って車幅方向外側へ向かって誘導されてから流下する。これにより、相対的に、車幅方向内側に位置する転がり軸受42b,45b,48b,46よりも車幅方向外側に位置する転がり軸受42a,45a,48a,46の方に潤滑油が多く供給される。なお、内壁面430を伝って流下する潤滑油は、内壁面430の下端領域(車幅方向外側領域)に対面する軸受取付け部63,65,67に収容された転がり軸受45a,48a,46に直接的に導かれ、軸受取付け部63の下方に位置する軸受取付け部61に収容された転がり軸受42aに間接的に導かれる。
このように、本実施形態によれば、減速部ケーシング43の上壁部43tの内壁面430に勾配を設けるという簡易な構成で、車幅方向外側に位置する転がり軸受42a,45a,48a,44への供給油量を相対的に多くすることができる。したがって、ケーシングに封入される潤滑油量自体を増やさなくても、ブレーキディスクBDの熱の影響による転がり軸受42a,45a,48a,44の温度上昇を抑制することができる。その結果、車幅方向外側に位置する転がり軸受42a,45a,48a,44が、高温環境下での使用により短寿命となることを回避または抑制することができる。
なお、図示した例では、上壁部43tを軸線方向に沿って上下に切断した場合に、内壁面430が傾斜面となるように、上壁部43tに勾配が付けられているが、立体的に見ると、内壁面430は車幅方向外側から内側へ向かうにつれて広がるテーパ状面となっていることが望ましい。あるいは、上壁部43tを軸線方向に沿って上下に切断した場合に、内壁面430が緩やかな円弧面となるよう上壁部43tが湾曲形状となっていてもよい。あるいは、上壁部43tの肉厚を変化させることによって、内壁面430を潤滑油案内面として機能させてもよい。
ここで、本実施形態では、さらに効率的に車幅方向外側に位置する転がり軸受42a,45a,48a,44に潤滑油を供給できるように、各転がり軸受の軸受取付け部には、潤滑油を流入および流出するための油路が形成されている。
図1、図4、および図5に示すように、入力軸32の軸線M方向両端の転がり軸受42a,42bは、環状の軸受取付け部61,62を介して減速部ケーシング43にそれぞれ取付けられている。中間軸35の軸線方向Nf方向両端の転がり軸受45a,45bは、環状の軸受取付け部63,64を介して減速部ケーシング43にそれぞれ取付けられている。中間軸38の軸線Nl方向一方端の転がり軸受48a,48bは、環状の軸受取付け部65,66を介して減速部ケーシング43にそれぞれ取付けられている。中間軸38の軸線Nl方向一方端の転がり軸受48a,48bは、環状の軸受取付け部65,66を介して減速部ケーシング43にそれぞれ取付けられている。出力軸41の軸線O方向両端の転がり軸受44,46は、環状の軸受取付け部67,68を介して減速部ケーシング43にそれぞれ取付けられている。
車幅方向外側に位置する軸受取付け部61,63,65,67は減速部ケーシング43の外側壁部43fに設けられ、車幅方向内側に位置する軸受取付け部62,64,66,68は減速部ケーシング43の内側壁部43bに設けられる。軸受取付け部61,63,65,67は、外側壁部43fの内壁面に形成された環状突起により形成される。軸受取付け部62,64,66,68は、内側壁部43bの内壁面に形成された環状突起により形成される。各転がり軸受は、軸受取付け部の内周面と歯車軸の端部の外周面との環状空間に設けられる。
図4に示されるように、車幅方向外側に位置する軸受取付け部61,63,65,67は、流入溝61a,63a,65a,67aおよび流出溝61b,63b,65b,67bを有している。流入溝61a,63a,65a,67aは、それぞれ歯車軸32,35,38,41の軸線よりも上に位置し、流出溝61b,63b,65b,67bは、それぞれ歯車軸32,35,38,41の軸線よりも下に位置する。これらの溝は、軸受取付け部61,63,65,67の内周面に形成され、転がり軸受42a,45a,48a,44にそれぞれ対面している。
軸受取付け部の流入溝および流出溝の具体例については、図5を参照して説明する。図5には、代表的に、上下方向に重なって配置された(車両前後方向位置が重なる)入力軸32の軸受取付け部61と中間軸35の軸受取付け部63とが示されている。
入力軸32の軸受取付け部61における流入溝61aおよび流出溝61bは、一端側において減速部31の内部空間31aに連通し、他端側において減速部ケーシング43の外側壁部43fと入力軸32の軸線方向一方端面との隙間71に連通している。中間軸35の軸受取付け部63における流入溝63aおよび流出溝63bも同様に、一端側において減速部31の内部空間31aに連通し、他端側において減速部ケーシング43の外側壁部43fと中間軸35の軸線方向一方端面との隙間73に連通している。
これにより、図5に示すように、減速部ケーシング43の上壁部43tの内壁面430を伝って中間軸35の軸受取付け部63に導かれた潤滑油が、転がり軸受45aに面する流入溝63aに流入する。流入した潤滑油は、転がり軸受45aを潤滑および冷却した後、隙間73および流出溝63bを通過して軸受取付け部63から流出する。流出した潤滑油は、軸受取付け部63の下方に位置する軸受取付け部61に形成された流入溝61aに流入する。流入した潤滑油は、転がり軸受42aを潤滑および冷却した後、隙間71および流出溝61bを通過して軸受取付け部61から流出し、減速部ケーシング43の下部すなわちオイルタンク47に流下する。
このように、軸受取付け部61,63に流入溝および流出溝が少なくとも1つずつ設けられることで、転がり軸受42a,45aの潤滑および冷却を促進することができる。なお、上下方向に部分的に重なって配置された中間軸38の軸受取付け部65および出力軸41の軸受取付け部67にも流入溝および流出溝が形成されることによって、図5に示した流路と同様の流路で潤滑油が転がり軸受48a,44に供給される。
図5に示すように、上方に位置する軸受取付け部63の流出溝63bから流出した潤滑油が、下方に位置する軸受取付け部61の流入溝61aへ効率良く流入するようにためには、軸受取付け部61,63が上下に重なり合う範囲内に流出溝63bおよび流入溝61aが設けられることが望ましい。図4では、中間軸35の軸心と入力軸32の軸心とを結ぶ直線上に、流出溝63bおよび流入溝61aが配置されており、流出溝63bと流入溝61aとが背中合わせの位置に配置されている。つまり、軸受取付け部61,63間の距離が最短となる部分に、流出溝63bおよび流入溝61aが設けられている。このことは、中間軸38の軸受取付け部65および出力軸41の軸受取付け部67においても同様であり、図4に示されるように、軸受取付け部64の流出溝65bと軸受取付け部67の流入溝67aとは背中合わせの位置に配置されることが望ましい。
なお、出力軸41における軸受取付け部67の外周面の一部は上壁部43tの内壁面430の下端領域に対面しているため、軸受取付け部67には、中間軸38における軸受取付け部65の流出溝65bと背中合わせの位置だけでなく、上壁部43tの内壁面430の下端領域に対面する部分にも、流入溝67aが設けられている。このように、各軸受取付け部における流入溝および流出溝の個数は特に限定されない。
また、車幅方向内側に位置する軸受取付け部においても、車幅方向外側に位置する軸受取付け部と同様に流入溝および流出溝が設けられていてもよい。図5には、中間軸35の車幅方向内側に位置する軸受取付け部64に流入溝64aおよび流出溝64bが設けられ、入力軸32の車幅方向内側に位置する軸受取付け部62に流入溝62aおよび流出溝62bが設けられた例が示されている。
図5に示すように、中間軸35の軸受取付け部64の流入溝64aおよび流出溝64bは、一端側において減速部31の内部空間31a(中間歯車34と軸受取付け部64との隙間)に連通し、他端側において減速部ケーシング43の内側壁部43bと中間軸35との隙間74に連通している。入力軸32の軸受取付け部62の流入溝62aおよび流出溝62bは、一端側において減速部31の内部空間31a(入力歯車33と軸受取付け部62との隙間)に連通し、他端側において入力軸32とモータ回転軸22との隙間に連通している。
このように、減速部ケーシング43に設けられた全ての軸受取付け部に流入溝および流出溝が形成されることにより、減速部31を構成する全ての転がり軸受に十分な潤滑油を供給することができる。
(変形例)
上記実施形態では、減速部ケーシング43の上壁部43tの内壁面430が潤滑油案内面として機能する構成であった。つまり、潤滑油案内面は、減速部ケーシング43の上部に一体的に設けられる構成であった。しかしながら、潤滑油案内面は、減速部ケーシング43の上部に別体で設けられてもよい。図6は、本発明の実施形態の変形例に係るインホイールモータ駆動装置10Aを所定の平面で切断し、展開して示す縦断面図である。
図6を参照して、本変形例では、減速部ケーシング43の上壁部43tは、軸線に対し傾斜しておらず平行に延びている。その代わりに、減速部ケーシング43の上部に案内部材81が取付け固定されている。案内部材81は、減速部ケーシング43の外側壁部43fに取付け固定されて、減速部ケーシング43の内側壁部43bに向かって斜め上方に延びる。案内部材81はリブ状の部材であり、その先端部は減速部ケーシング43の内側壁部43bから離れて配置されている。なお、案内部材81の先端部が減速部ケーシング43の内側壁部43bに接していてもよい。
インホイールモータ駆動装置10Aにおいては、案内部材81の下面810が潤滑油案内面として機能する。つまり、案内部材81の下面810によって、歯車の回転に伴い下方側から浴びる潤滑油が車幅方向外側に位置する転がり軸受42a,45a,48a,44に向けて案内される。
なお、本変形例においては、減速部ケーシング43に複数の案内部材81が取付け固定されることにより、複数の潤滑油案内面が形成されてもよい。
以上説明したように、本実施形態およびその変形例によれば、オイルタンク47に貯留する潤滑油の油量を増やさなくても、減速部ケーシング43の外側壁部43fに設けられた転がり軸受42a,45a,48a,44への潤滑油の供給量を相対的に増やすことができる。したがって、減速部ケーシング43の外側壁部43fとブレーキディスクBDとの距離が近いことに起因する転がり軸受42a,45a,48a,44の昇温を抑制することができる。その結果、転がり軸受42a,45a,48a,44が、高温環境下での使用により短寿命となることを回避または抑制することができる。
なお、上述の説明においては、各軸受取付け部が流入溝および流出溝を有することとしたが、少なくとも、潤滑油案内面の下端領域に対面する歯車軸に、流入溝および流出溝が設けられていればよい。
また、本実施形態およびその変形例では、径方向に見て、減速部31を構成する4段の歯車軸32,35,38,41と車輪ハブ軸受部11とが完全に重なっていることとしたが、歯車軸32,35,38,41の軸線方向の一部だけが径方向に見て車輪ハブ軸受部11と重なっている形態であってもよい。あるいは、これらの歯車軸32,35,38,41のうちの一部の歯車軸(たとえば中間軸35,38)だけが径方向に見て車輪ハブ軸受部11と重なっている形態であってもよい。
また、本実施形態およびその変形例では、減速部31は2つの中間軸35,38を有する四軸式の減速機としたが、限定的ではなく、たとえば1つの中間軸を有する三軸式の減速機であってもよい。あるいは、減速部31は、歯車を有する減速機構であればよく、たとえば、平行軸式歯車と遊星歯車とを組み合わせた減速機であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,10A インホイールモータ駆動装置、11 車輪ハブ軸受部、12 外輪、13 内側固定部材、14 転動体、15 固定軸、16 インナーレース、17 止めナット、18 キャリア、21 モータ部、21a,31a 内部空間、22 モータ回転軸、23 ロータ、24 ステータ、25 モータケーシング、25v モータケーシングカバー、27,28,42a,42b,44,46,45a,45b,48a,48b 転がり軸受、31 減速部、32 入力軸、33 入力歯車、34,36,37,39 中間歯車、35,38 中間軸、40 出力歯車、41 出力軸、43 減速部ケーシング、43b 内側壁部、43f 外側壁部、43t 上壁部、47 オイルタンク、60 ボールジョイント、61,62,63,64,65,66,67,68 軸受取付け部、61a,63a,65a,67a,62a,64a 流入溝、61b,63b,65b,67b,62b,64b 流出溝、70 サスペンション装置、81 案内部材、430,810 潤滑油案内面、BD ブレーキディスク、T タイヤ、W 車輪ホイール。

Claims (7)

  1. 車輪を駆動するモータ部と、車幅方向に沿って延び、車幅方向外側に位置するブレーキディスクと同軸に結合する車輪ハブ軸受部と、前記モータ部の回転を減速して前記車輪ハブ軸受部に伝達する減速部とを備えたインホイールモータ駆動装置であって、
    前記減速部は、
    前記車輪ハブ軸受部の軸線よりも径方向外側かつ径方向に見て少なくとも一部が前記車輪ハブ軸受部と重なる位置に配置された複数の歯車軸と、
    前記各歯車軸に結合された歯車と、
    前記歯車軸および前記歯車を収容し、かつ、下部に潤滑油を貯留する潤滑油貯留部が設けられたケーシングであって、車幅方向外側に位置し前記ブレーキディスクに対面する外側壁部を有する減速部ケーシングと、
    前記減速部ケーシングの前記外側壁部に取付けられ、前記歯車軸を回転可能に支持する転がり軸受と、
    前記減速部ケーシングの上部に設けられ、前記歯車の回転に伴い下方側から浴びる潤滑油を前記外側壁部に取付けられた前記転がり軸受に向けて案内する潤滑油案内面とを含む、インホイールモータ駆動装置。
  2. 前記減速部ケーシングが、前記外側壁部の上端部分に接続されて車幅方向に延びる上壁部を有しており、
    前記潤滑油案内面は、前記上壁部の下面により構成される、請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
  3. 前記潤滑油案内面は、前記減速部ケーシングの上部に取付け固定された案内部材の下面により構成される、請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
  4. 前記潤滑油案内面は、車幅方向内側端部よりも車幅方向外側端部が下方となるよう勾配を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
  5. 前記減速部ケーシングの前記外側壁部には、前記転がり軸受を取付けるための環状の軸受取付け部が設けられており、
    前記軸受取付け部は、前記潤滑油案内面より案内された潤滑油を流入する流入溝、および、流入した潤滑油を流出する流出溝を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置。
  6. 前記複数の歯車軸は、前記モータ部のモータ回転軸と同軸に設けられた入力軸と、前記車輪ハブ軸受部と同軸に設けられた出力軸と、前記入力軸および前記出力軸よりも上方に位置する中間軸とを含み、
    前記中間軸を回転可能に支持する前記軸受取付け部の前記流出溝と、前記入力軸または前記出力軸を回転可能に支持する前記軸受取付け部の前記流入溝とが、背中合わせの位置に配置される、請求項5に記載のインホイールモータ駆動装置。
  7. 前記減速部ケーシングが、車幅方向内側に位置する内側壁部をさらに有し、
    前記歯車軸は、前記外側壁部に取付けられた前記転がり軸受、および、前記内側壁部に取付けられた他方側転がり軸受によって回転可能に支持されており、
    前記減速部ケーシングの前記内側壁部に設けられた、前記他方側転がり軸受を取付けるための環状の軸受取付け部は、潤滑油を流入する流入溝、および、流入した潤滑油を流出する流出溝を有する、請求項5または6に記載のインホイールモータ駆動装置。
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