JP2018035598A - 注入工法及び装置 - Google Patents
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Abstract
Description
注入装置100は中空管状に構成されており、薬液供給口(図示せず)及びパッカー103を設けた薬液注入管102(パッカー付き内管)を注入装置100の中空空間に挿入する(図22(B)参照)。
薬液MCを注入するべき領域における薬液注入が完了したら、パッカー103を収縮して薬液注入管102(パッカー付き内管)を引き上げ(上下方向に移動させて)、次の注入予定領域(薬液MCを注入するべき領域)に薬液注入口(図示せず)を位置させる。そしてパッカー103を膨張させて、薬液注入を行う。この様にして順次、薬液MCを注入するべき領域において、薬液を注入する。図22において、薬液MCを注入した領域は符号RICで示されている。
以下、図22(B)で説明した作業(工程:パッカー膨張、薬液注入、パッカー収縮、薬液注入管102の移動)を繰り返し、薬液注入が完了した状態が、図22(C)で示されている。
しかし円周方向全域に薬液を注入した場合には、図24で示す様に、薬液を施工領域外に注入する(無駄な注入を行う)恐れがある。
図24において、施工予定領域R100が概略正方形である場合に、例えば領域A1の様に、施工予定領域R100内であれば、全周方向に注入しても、注入される領域は全て施工予定領域内であるため、無駄にはならない。
ここで図24では、薬液注入領域が円形で示されているが、実際の施工では、実際は隣接する薬液注入領域同士で重なり合う部分があり、施工予定領域R100内には薬液が注入されない領域は生じない。
さらに、薬液が注入された領域A3において、施工予定領域R100に含まれている領域は全体の1/4程度であり、薬液が有効に使用されない領域(施工予定領域R100の外側に注入される領域:図24のハッチングで示す領域)は、施工予定領域R100内に注入される領域(領域Aでハッチングされていない領域)よりも遥かに大きい。
領域A2、A3におけるハッチングで示す領域の様に施工予定領域R100の外側に薬液を注入することは、薬液を無駄に注入することになり、薬液が有効に使用されていないことを意味する。換言すれば、施工予定領域R100の外側の領域に注入薬液を注入する作業は不要な作業であり、且つ、注入薬液の浪費(或いは無駄使い)である。
注入管から、所定領域に薬液(固化材)を注入する際に、図23で示す様な全周方向への注入を行うと、注入施工領域Lにおける上方及び下方の部分に不必要な注入が行われるのみならず、領域Lの上方への無駄な注入により道路が隆起する恐れがある。
図25では、薬液の注入が不必要な注入領域をハッチングで示している。また、注入施工領域Lの上方に作用する力を矢印Fで示し、それによって道路が隆起する場合を想定し点線S1(仮想線)で示す。
しかし、図26の従来技術においても、注入可能な全ての位置(円周方向について間隔を空けて配置された全ての位置)から薬液が注入されるので、図23、図24、図25を参照して上述した問題が、依然として存在している。
例えば図27で示す様に、ボーリング孔HBの周辺に「大」、「中」、「小」の3種類の亀裂P、Q、Tが存在した場合、図26で示す様に、周方向の全領域について薬液が注入された場合、注入薬液の例えば90%は亀裂P(大きな亀裂)に注入されてしまい、亀裂Q(中くらいの亀裂)、亀裂T(小さな亀裂)には少量の注入薬液しか供給されないことが良く知られている。
そして、特に小さな亀裂Tには少量の薬液しか注入されないため、グラウト材が小さな亀裂Tの入口ILに滞留し、或いは、注入薬液中の粒子が小さな亀裂Tの入口ILに沈降して入口ILを閉塞し、そのため、小さな亀裂T(或いは中くらいの亀裂Q)においては薬液が亀裂の奥まで注入されず、亀裂における空間が残存して(いわゆる「巣」を形成されて)注入工法の施工品質が低下する恐れがある。
掘削されたボーリング孔(B)内に注入装置(10:弾性材製パイプ:例えばゴムパイプ)を挿入する工程を含み、当該注入装置(10)は長手方向に延在する中空部分(1)が形成され、外周部に複数の注入口(2:注入可能な位置、例えば2A〜2D)が設けられ、当該注入口(2)は注入装置(10)の長手方向に延在するスリット状に形成されており、注入口(2)に連通する薬液用流路(3:連通孔、例えば3A〜3D)が形成され、当該薬液用流路(3)は注入装置(10)の長手方向位置により連通する注入口(2)が異なっており、
注入装置(10)の中空部分(1)に薬液注入管(20:パッカー付き内管)を挿入する工程と、
薬液(C)を注入するべき注入口(2)に連通する薬液用流路(3:連通孔)が形成されている領域に、薬液注入管(20)の吐出口(11)及びその長手方向両端のパッカー(12)を位置させる工程を有していることを特徴としている。
本発明の注入工法で用いられる注入装置(10)は、その外周部に複数の注入口(2:注入可能な位置、例えば2A〜2D)が設けられ、当該注入口(2)は注入装置(10)の長手方向に延在するスリット状に形成されており、注入口(2)に連通する薬液用流路(3:連通孔、例えば3A〜3D)が形成されており、当該薬液用流路(3)は注入装置(10)の長手方向位置により連通する注入口(2)が異なっているので、注入装置(10)の長手方向位置と薬液注入管(20)のパッカー(12)が膨張する位置及び薬液吐出口(11)の位置との相対的な関係により、どの注入口(2:例えば2A〜2D)から薬液が注入されるかを調整することが出来る。
すなわち、当該注入装置(10)は、外周部の注入口(例えば2A〜2D)の全てから薬液(C)が注入されるとは限らず、薬液(C)が注入される注入口(2:例えば2A〜2D)を任意に選択することが出来る。換言すれば、本発明によれば、注入工法が施工される領域毎に薬液(C)が注入される方向を自在に変更することが出来る。
そして本発明によれば、外周部の注入口(例えば2A〜2D)の全てから薬液(C)が注入することが可能であり、外周部の注入口(例えば2A〜2D)に均等に薬液(C)を注入する必要がある施工領域内では、注入可能な全ての注入口(例えば2A〜2D)を経由して、注入材(C)を注入すれば良い。
その結果、必要な領域のみ注入材(C)を注入し、施工領域から外れた不必要な領域には注入を行わない(無駄な注入を行わない)本発明によれば、注入薬液(C)の浪費を防止して、施工コストを節減することが出来る。
そのため、最上方の水平方向ボーリング孔(HB1)の薬液注入を必要としない領域に薬液(C)を注入して浪費することがなく、その様な無駄な薬液注入により、当該ボーリング孔(HB1)直上の道路が隆起してしまう恐れもない。
同様に、施工領域の最下方の水平方向ボーリング孔(HB2)よりも下方に薬液(C)を注入して、施工領域外に注入薬液を注入することがない。
その様にそれぞれ異なった方向に注入薬液(C)を複数回に分割して注入することにより、施工領域中に複数の亀裂等(大、中、小)が存在したとしても、注入薬液(C)が全て大きな亀裂(第)内に注入されてしまうことはなく、小さな亀裂(中、小)にも十分な注入薬液(C)を注入することが出来る。
その結果、注入薬液(C)が亀裂(小)の入口(IL)に滞留することはなく、注入薬液中の粒子が当該亀裂(小)の入口(IL)に沈降してしまうこともなくなり、当該亀裂(小)の入口(IL)は閉塞されず十分な量の薬液(C)が供給されて亀裂(小)の奥部まで到達する。そのため、注入工法の施工品質が向上する。
最初に図1を参照して、図示の実施形態における作動原理を説明する。
図示の実施形態においては、図1で示す様に、外周方向の所定位置から注入管の長手方向(図1の紙面に垂直な方向)に亘って延在するスリット状の吐出口(図1では明示せず:方向A、B、C、Dに向かう位置に設けられた吐出口)から、平板状に注入薬液を吐出することが出来るタイプの注入装置を用いている。当該注入装置は、詳細は後述するが、方向A、B、C、Dの内の所望な方向にのみ注入薬液を吐出して、所望な方向のみに薬液を注入する機能を有している。
図1では、薬液が注入される方向について6通りを例示しているが、注入装置10は、その注入口から、A〜Dの何れか1つの方向、何れか2つの方向(例えば、方向AとB、方向AとC等)、何れか3つの方向(例えば方向AとBとC、方向BとCとD等)、全ての方向(A〜Dの4方向)に、注入薬液を自在に吐出することが出来る。
或いは、注入装置10の断面形状を5角形以上の多角形状に構成し、当該多角形の各々の角部から注入材が注入可能に構成することも出来る。
係る構造は、図3〜図5で示す弾性材製パイプ10(注入装置:例えばゴムパイプ)と、図6〜図11で示すパッカー付き内管20(薬液注入管)により構成される。すなわち、図3〜図5で示すゴムパイプ10(注入装置)と、図6〜図11で示すパッカー付き内管20(薬液注入管)を組み合わせることにより、図1を参照して説明した様に、図1の方向A〜Dにおける所望の方向のみに注入材C(注入薬液)を吐出(注入)することが出来る。
ゴムパイプ10の外周部の4つの角部A〜Dにはそれぞれ注入口2A〜2Dが形成され、注入口2A〜2Dは、ゴムパイプ10の上端近傍から下端近傍に亘って、ゴムパイプ10の長手方向に延在するスリット状に形成されている(図4では注入口2Cのみを示す)。
図3において、ゴムパイプ10の4つの角部の各々に、長手方向(図3では紙面に垂直な方向)に延在するスリット状の注入口2A〜2Dが形成されている。ゴムパイプ10の断面形状が三角形或いは五角形以上の多角形であっても、断面形状における角部の各々に長手方向に延在するスリット状の注入口が形成させる。
上下連続空間4A〜4Dは、断面半円形状であり、ゴムパイプ10の上端近傍から下端近傍に亘って、ゴムパイプ10の長手方向(軸方向:図3では紙面に垂直な方向、図4では上下方向)に延在している。
連通孔3A〜3Dは、ゴムパイプ10の長手方向に沿って延在しているが、ゴムパイプ10の長手方向の位置により、形成されている連通孔が異なっている。換言すれば、ゴムパイプ10の長手方向の位置により、選択的に連通孔3A〜3Dが形成されている。例えば図3で示す横断面では、注入口2Aに連通する連通孔3Aのみが形成されており、注入口2B〜2Dに連通する連通孔3B〜3D(図3では点線で仮想的に表示)は形成されていない。
また、例えば、図4に示すゴムパイプ10の上端面においては、連通孔3Dのみが形成されており、注入口2Dのみが(連通孔3Dを介して)中空部分1に連通している。図4のゴムパイプ10の上端面では、注入口2A、2B、2Cに連通する連通孔3A、3B、3Cは形成されておらず、そのため、注入口2A、2B、2Cは何れも中空部分1に連通していない。
図5において、ゴムパイプ10の長手方向における領域RA〜領域RDは、ゴムパイプ断面における構造が異なっており、具体的には注入口2A〜2Dに連通する連通孔3A〜3Dの何れが形成されているかが相違している。なお図示の実施形態では、領域RA〜RDの鉛直方向長さは、それぞれ等しく設定される。
領域RAでは、図5右側の断面図で示す様に、中空部分1と注入口2Aと接続されている上下連続空間4Aに連通する連通孔3Aのみが形成されており、連通孔3B、3C、3Dは形成されておらず、中空部分1と注入口2B、2C、2Dは連通していない。したがって、領域RAにおいては、注入口2Aのみが中空部分1と連通している。
領域RCでは、上下連続空間4Cと連通する連通孔3Cみが形成されており、連通孔3A、3B、3Dは形成されていない。したがって、領域RCにおいては、注入口2Cのみが中空部分1と連通する。
領域RDでは、上下連続空間4Dと連通する連通孔3Dのみが形成されており、連通孔3A、3B、3Cを連通する連通孔は形成されていない。したがって、領域RDにおいては、注入口2Dのみが中空部分1と連通する。
パッカー付き内管20には薬液の吐出口11が形成され、吐出口11のパッカー付き内管20長手方向の両側位置にはパッカー12が設けられている。
図示しない(地上側の)供給源からパッカー付き内管20を経由して供給される薬液MCは、吐出口11からゴムパイプ10の中空部分1に吐出される。薬液MCが吐出される場合にはパッカー12は膨張されるので、吐出された薬液はパッカー12、12間の領域のみを流れ、パッカー12、12間の領域に位置するゴムパイプ10の連通孔3と上下連続空間4を介して注入口2から吐出される。換言すれば、薬液MCはパッカー12により流路を決定され、ゴムパイプ10側の連通孔3を介して注入するべき注入口2から地中に注入される。その際にパッカー12、12は、薬液MCを注入するべき注入口2に連通する連通孔3が形成されている領域を、ゴムパイプ10の長手方向における他の領域から区画する作用を奏する。
図6〜図11には、吐出口11及びパッカー12の位置の異なる6つのパッカー付き内管20を例示している。吐出口11及びパッカー12の位置は、図1に示す複数の薬液注入方向に対応して配置されている。
図12〜図18を参照して後述するが、図6のパッカー付き内管20−1をゴムパイプ10の中空部分1に挿入する際は、パッカー付き内管20−1の右側端部を鉛直方向の下側に向けて行い、図6のパッカー付き内管20−1における吐出口11及びパッカー12、12間の領域(すなわちパッカー12、12が膨張することで長手方向における他の領域から区画される領域)を、例えば図5における領域RAに整合させて配置する。そして、パッカー12を膨張させて薬液MCを吐出させると、薬液MCは連通孔3A、上下連続空間4Aを介して、注入口2Aのみから吐出して地盤中に注入される(図13参照)。
図7のパッカー付き内管20−2では、吐出口11の長手方向両側のパッカー12間の距離L2は、図5における領域RA〜領域RDの内の2つの領域の距離(長さ)に相当する。
図8のパッカー付き内管20−3では、2組の吐出口11と、2組の吐出口11の各々の長手方向両側に位置する2組のパッカー12、12(合計4個)が配置されており、一つの吐出口11の長手方向両側のパッカー12、12間の距離L1は、それぞれ図5における領域RA〜領域RDにおける一つの領域の距離(長さ)に相当する。さらに、2組の両側のパッカー12、12の間隔L3は、図5では図5における領域RA〜領域RDにおける一つの領域の距離(長さ)に相当する。しかし、例えば注入口2Aと2Dから同時に注入する場合(図示せず)には、間隔L3は領域RA〜領域RDの内の2つの領域の距離(長さ)に相当する。
図9のパッカー付き内管20−4では、吐出口11の長手方向両側のパッカー12、12間の距離L4は、図5における領域RA〜領域RDのうちの長手方向に連続する3領域の長さに相当する。
図10のパッカー付き内管20−5では、2組の吐出口11と、吐出口11の各々の組における長手方向両側のパッカー12、12(合計4つのパッカー12)が配置されている。図10で右側に位置しているパッカー12、12間の距離L2は、図5における領域RA〜領域RDのうちの長手方向に連続する2領域分の長さに相当し、図10で左側に位置しているパッカー12、12間の距離L1は、図5における領域RA〜領域RDのうちの1領域分の長さに相当する。
上述した2組のパッカー12、12の間隔L3は、図5における領域RA〜領域RDのうちの1領域分の長さに相当する。
図11に示すパッカー付き内管20−6は、薬液MCが4つの注入口から注入される場合に用いられる。パッカー付き内管20−6において、吐出口11の両側のパッカー12、12間の距離L5は、図5における領域RA〜領域RD(4つの領域)の長さに相当する。
ゴムパイプ10の中空部分1にパッカー付き内管20を挿入するに際して、図3〜図5で示すゴムパイプ10と、図6〜図11で示すパッカー付き内管20を適宜組み合わせ、パッカー付き内管20をゴムパイプ10の長手方向に移動させて、ゴムパイプ10の長手方向におけるパッカー付き内管20の吐出口11の位置と、その両側のパッカー12、12を膨張する位置を適宜設定する。
その結果、薬液MCを吐出(地盤に注入)する注入口(2A〜2D)を自在に選択することが出来る。
ここで領域RAは、図5における領域RAであり、連通孔3Aのみが形成されている領域であって、ゴムパイプ10の注入口2A(方向Aを向いた縦スリット、図3〜図5参照)のみが中空部分1と連通している領域である。
なお、図12〜図18における領域RB、領域RC、領域RDも、図5における領域RB、領域RC、領域RDである。
図示はしないが、薬液MCを注入口2Bのみから注入する場合、注入口2Cのみから注入する場合、注入口2Dのみから注入する場合の各々では、パッカー付き内管20をゴムパイプ10の中空部分1に挿入する際に、パッカー付き内管20における吐出口11とその両側のパッカー12、12を、それぞれ図13における領域RB、領域RC、領域RDに整合させて配置すれば良い。
この状態で薬液MCを吐出口11から吐出させると、当該薬液MCは領域RA及び領域RBに供給される。
連通孔3Aのみが形成されている領域RAに供給された薬液MCは、連通孔3Aを介して上下連続空間4A、注入口2Aに供給されて、注入口2AからA方向のみに吐出され、地中に注入される。連通孔3Bのみが形成されている領域RBに供給された薬液MCは、連通孔3Bを介して上下連続空間4B、注入口2Bに供給されて、注入口2BからB方向のみに吐出され、地中に注入される。
その結果、図14では、薬液MCは、方向A、Bの2方向のみから土壌に注入される。
この状態で薬液MC(注入材)を吐出口11から吐出させると、当該薬液MCは領域RAと領域RCに供給される。
連通孔3Aのみが形成されている領域RAに供給された薬液MCは、連通孔3Aを介して上下連続空間4A、注入口2Aに供給されて、注入口2AからA方向のみに吐出されて地中に注入される。連通孔3Cのみが形成されている領域RCに供給された薬液MCは、連通孔3Cを介して、上下連続空間4C、注入口2Cに供給されて、注入口2CからC方向のみに吐出されて地中に注入される。
したがって図15では、薬液MCは、A方向、C方向に注入される。
その状態で薬液MC(注入材)を吐出口11から吐出させると、薬液MCは領域RA、領域RB、領域RCに供給される。
連通孔3Aのみが形成されている領域RAに供給された薬液MCは、連通孔3Aを介して上下連続空間4A、注入口2Aに供給されて、注入口2AからA方向のみに吐出されて地中に注入される。連通孔3Bのみが形成されている領域RBに供給された薬液MCは、連通孔3Bを介して上下連続空間4B、注入口2Bに供給されて、注入口2BからB方向のみに吐出されて地中に注入される。さらに連通孔3Cのみが形成された領域RCに供給された薬液MCは、連通孔3Cを介して上下連続空間4C、注入口2Cに供給されて、注入口2CからC方向のみに吐出されて地中に注入される。
したがって図16では、薬液MCは、方向A、方向B、方向Cの3方向から同時に地中に注入される。
その状態で薬液MC(注入材)を吐出口11から吐出させると、薬液MCは領域RA、RB、RDに供給される。
連通孔3Aのみが形成された領域RAに供給された薬液MCは、連通孔3Aを介して上下連続空間4A、注入口2Aに供給されて、吐出口2AからA方向のみに吐出されて注入され、連通孔3Bのみが形成された領域RBに供給された薬液MCは、連通孔3Bを介して上下連続空間4B、注入口2Bに供給され、注入口2BからB方向のみに吐出されて注入される。さらに、連通孔3Dのみが形成された領域RDに供給された薬液MCは、連通孔3Dを介して上下連続空間4D、注入口2Dに供給されて、注入口2DからD方向のみに吐出されて注入される。
したがって図17では、薬液MCは、方向A、方向B、方向Dへ同時に注入される。
この状態で薬液MC(注入材)を吐出口11から吐出させると、当該薬液MCは領域RA〜領域RDに供給される。
領域RA供給された薬液MCは、連通孔3Aを介して上下連続空間4A、注入口2Aに供給されて、注入口2A〜A方向のみに吐出されて注入され、領域RBに供給された薬液MCは、連通孔3Bを介して上下連続空間4B、注入口2Bに供給されて、注入口2BからB方向のみに吐出されて注入される。
さらに領域RCに供給された薬液MCは、連通孔3Cを介して上下連続空間4C、注入口2Cに供給されて、注入口2CからC方向のみに吐出されて注入され、領域RDに供給された薬液MCは、連通孔3Dを介して上下連続空間4D、注入口2Dに供給されて、注入口2DからD方向のみに吐出されて注入される。
その結果、図18では、薬液MCは、方向A〜方向D(全方向)から地中に注入される。
図示の実施形態によれば、図1で示す様に、注入装置10の例えば四角形断面の4か所の角部に形成された注入口2A〜2Dの何れかから選択的に薬液MCが注入可能である。すなわち、注入装置10の注入口2A〜2Dから、方向A〜Dの何れか1つの方向、何れか2つの方向、何れか3つの方向、或いは全4方向へ、任意に選択して吐出して注入することが出来る。そのため、注入工法が施工される領域毎に薬液MCが注入される方向を自在に変更することが出来る。
したがって、図19(従来技術を示す図24に対応)で示す様に、概略正方形の施工予定領域R100で注入工法を施工するに際して、施工領域R100の境界上の領域A1〜A8において、以下の要領で地中に薬液MCを注入することが出来る。
領域A2では、方向A、C、Dに薬液MCを注入し、方向Bには注入しない。
領域A3では、方向A、Dにのみ薬液MCを注入し、方向B、Cには注入しない。
領域A4では、方向A、B、Dに薬液MCを注入し、方向Cには注入しない。
領域A5では、方向A、Bにのみ薬液MCを注入し、方向C、Dには注入しない。
領域A6では、方向A、B、Cに薬液MCを注入し、方向Dには注入しない。
領域A7では、方向B、Cにのみ薬液MCを注入し、方向A、Dには注入しない。
領域A8では、方向B、C、Dに薬液MCを注入し、方向Aには注入しない。
この様に、薬液MCを注入すれば、施工予定領域R100から外れた領域に注入材を注入する(無駄な注入を行う)必要がない。
一方、領域A9の様に、施工予定領域R100内の領域で薬液MCを注入する場合には、全ての方向(A〜D)に注入材を注入すれば良い。
その結果、必要な領域のみ注入材Cを注入し、施工領域から外れた不必要な領域には注入を行わなくすることが出来る(無駄な注入を行わずに済む)。
その結果、下方領域L上方の領域(水平方向ボーリング孔HB1よりも上方の領域)に薬液を注入するという無駄な作業が防止される。それと共に、水平方向ボーリング孔HB1よりも上方に薬液MC(注入材)を注入することにより道路が隆起してしまうことが防止される。
図20における符号VBは、図25と同様に、水平方向にボーリング孔HB1、HB2を削孔する際の立坑を示す。
その結果、薬液MCが小さな亀裂Tの入口ILに滞留することはなく、注入薬液中の粒子が小さな亀裂Tの入口ILに沈降してしまうことも無い。そのため、小さな亀裂Tの入口ILは閉塞されず、小さな亀裂T(或いは中くらいの亀裂T)には十分な量の注入材Cが供給され、注入材Cが亀裂の奥まで到達する。
そのため、注入工法が施工された領域に薬液MCが注入されない領域(いわゆる「巣」)が形成されることが防止され、注入工法の施工品質が向上する。
図示の実施形態では、ゴムパイプの断面形状が四角形であり、4か所の角部の各々から注入材が吐出されているが、それに限定されるものではない。例えば、ゴムパイプの断面形状を三角形として、三角形の角部の角部の各々から注入材が吐出可能に構成することも出来る。また、ゴムパイプの断面形状を5角形以上の多角形として、当該多角形における各々の角部から注入材を吐出可能に構成することも出来る。
2(2A〜2D)・・・注入口
3(3A〜3D)・・・連通孔(薬液用流路)
4(4A〜4D)・・・上下連続空間
10・・・ゴムパイプ(注入装置)
11・・・薬液吐出口
12・・・パッカー
20(20−1〜20−6)・・・パッカー付き内管(薬液注入管)
R100・・・注入工法の施工予定領域
HB、HB1、HB2・・・ボーリング孔
MC・・・薬液(注入材)
Claims (3)
- 施工するべき領域にボーリング孔を掘削する工程と、
掘削されたボーリング孔内に注入装置を挿入する工程を含み、当該注入装置は長手方向に延在する中空部分が形成され、外周部に複数の注入口が設けられ、当該注入口は注入装置の長手方向に延在するスリット状に形成されており、注入口に連通する薬液用流路が形成され、当該薬液用流路は注入装置の長手方向位置により連通する注入口が異なっており、
注入装置の中空部分に薬液注入管を挿入する工程と、
薬液を注入するべき注入口に連通する薬液用流路が形成されている領域に、薬液注入管の吐出口及びその長手方向両端のパッカーを位置させる工程を有していることを特徴とする注入工法。 - 長手方向に延在する中空部分が形成され、外周部に複数の注入口が設けられ、当該注入口は注入装置の長手方向に延在するスリット状に形成されており、前記中空部分と注入口を連通する薬液用流路が形成され、当該薬液用流路は注入装置の長手方向位置により連通する注入口が異なっていることを特徴とする注入装置。
- 請求項2の注入装置内部に形成された中空部分に挿入され、注入装置の薬液を注入するべき注入口に連通する薬液用流路が形成されている領域を他の領域から区画する位置にパッカーが設けられていることを特徴とする薬液注入管。
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