JP2018034937A - 記録媒体搬送装置及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録媒体をより安定且つ確実に保持することの出来る記録媒体搬送装置及びインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】搬送部(10)は、記録媒体(P)を載置させる搬送ベルト(13)と、搬送ベルトを周回移動させて、ヘッドユニット(21)のインク吐出面と対向させる範囲を少なくとも含む範囲で記録媒体を搬送する搬送ローラー(11、12)と、載置された記録媒体を搬送ベルトに吸着させる吸引部(15)と、載置される記録媒体を搬送ベルトに対して押下することで搬送ベルトからの浮き上がりを抑制する押さえローラー(18)と、押さえローラーと搬送ベルトの外周面との距離を変更させる移動動作部と、搬送対象の記録媒体の厚さを取得する媒体厚取得部と、媒体厚取得部により取得された記録媒体の厚さが大きいほど相対距離が大きくなるように移動動作部の動作を制御する制御部と、を備える。【選択図】図1

Description

この発明は、記録媒体搬送装置及びインクジェット記録装置に関する。
従来、記録媒体に対してインク液滴を吐出して当該記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置がある。多くのインクジェット記録装置では、インク液滴を吐出するインクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させることで、記録媒体上に二次元画像を記録する。通常、インクジェット記録装置では、多くの記録媒体に高速で続けて画像の記録を行うために、少なくとも記録媒体が搬送可能に構成され、媒体供給部から供給された記録媒体上に画像を記録した後に、当該記録媒体を媒体排出部に排出する。
インクジェット記録装置による記録画像の高精度化に伴って、記録媒体を搬送する搬送部による搬送にも高精度が要求されている。特許文献1には、ローラーに巻き掛けられた無端状ベルトにより記録媒体を搬送する構成を有するインクジェット記録装置において、無端状ベルトがインクジェットヘッドと対向する部分で当該無端状ベルトに記録媒体を適切に吸着させることで、記録媒体の平面を維持する技術について開示されている。
特開2004−210530号公報
しかしながら、記録媒体が無端状ベルトから浮きを生じた状態で当該無端状ベルト上に送られると、無端状ベルトに記録媒体が確実に吸着されずに保持されないという課題がある。一方で、無端状ベルトに記録媒体を確実に接触させるために記録媒体を無端状ベルトに押し付ける押さえ部材を備える場合、記録媒体の厚さ、剛性や湾曲などに応じて当該記録媒体がこの押さえ部材に衝突したり、当該記録媒体が搬送されて押さえ部材と搬送面との間から外れて押さえ部材にかかる抗力が急激に変化したりした場合に、押さえ部材が振動してこの振動が更に無端状ベルトや記録媒体に伝播することで記録媒体の位置が安定せずにぶれて、インクの着弾位置が正確な位置からずれる虞があるという課題がある。
この発明の目的は、記録媒体をより安定且つ確実に保持することの出来る記録媒体搬送装置及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
記録媒体を載置させる搬送部材と、
前記搬送部材を周回移動させて、インクを吐出するインク吐出部のインク吐出面と対向させる範囲を少なくとも含む範囲で記録媒体を搬送する搬送動作部と、
前記搬送部材上に載置された記録媒体を当該搬送部材に吸着させる吸着動作部と、
前記搬送部材上に載置される記録媒体を前記搬送部材に対して押下することで、前記記録媒体の前記搬送部材からの浮き上がりを抑制する浮上防止部と、
前記浮上防止部と前記搬送部材における記録媒体の載置面との相対距離を変更させる移動動作部と、
搬送対象の記録媒体の厚さを取得する媒体厚取得部と、
前記媒体厚取得部により取得された記録媒体の厚さが大きいほど前記相対距離が大きくなるように前記移動動作部の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする記録媒体搬送装置である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の記録媒体搬送装置において、
前記記録媒体の厚さと前記相対距離との対応関係を記憶する対応記憶部を備え、
前記制御部は、前記対応関係に応じて前記移動動作部により前記相対距離を変更させる
ことを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の記録媒体搬送装置において、
前記浮上防止部は、少なくとも、前記記録媒体が前記インク吐出面と対向する位置よりも前記記録媒体の搬送方向について上流側に設けられていることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、
前記浮上防止部は、前記吸着動作部による吸着範囲外で前記記録媒体を前記搬送部材に対して押下することを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、
前記搬送部材は、無端状の帯状部材を含み、
前記搬送動作部は、前記帯状部材が架け渡される複数の回転動作部と、前記回転動作部の少なくとも一部を回転動作させて前記帯状部材を周回移動させる周回駆動部と、を有し、前記記録媒体を前記帯状部材の外周面上に載置させて当該記録媒体を搬送する
ことを特徴としている。
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の記録媒体搬送装置において、
前記吸着動作部は、前記帯状部材の開口を介して吸引動作を行うことで、前記帯状部材の外周面に記録媒体を吸着させる
ことを特徴としている。
まあ、請求項7記載の発明は、請求項5記載の記録媒体搬送装置において、
前記帯状部材の外周面が前記インク吐出面と対向する位置を少なくとも含む範囲で前記帯状部材を支持する支持部材を備え、
前記吸着動作部は、前記支持部材及び前記帯状部材のそれぞれにおける開口を介して吸引動作を行うことで、前記帯状部材の外周面に記録媒体を吸着させる
ことを特徴としている。
また、請求項8記載の発明は、請求項5〜7の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、
前記帯状部材は、スチールベルトであることを特徴としている。
また、請求項9記載の発明は、請求項5〜8の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、
前記帯状部材を挟んで前記浮上防止部の反対側には、前記帯状部材の移動動作を誘導するガイド部材が設けられていることを特徴としている。
また、請求項10記載の発明は、請求項1〜9の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、
前記浮上防止部は、ローラーと、前記ローラーを回転動作させるローラー動作部と、を有し、
前記ローラーは、搬送される記録媒体の前記載置面と当接させる面とは反対側の面と当接し、
前記ローラー動作部は、搬送される記録媒体の移動速度と同期して前記ローラーを回転動作させる
ことを特徴としている。
また、請求項11記載の発明は、請求項1〜10の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、
搬送される記録媒体の厚さに応じた値を計測する計測部を備え、
前記媒体厚取得部は、前記計測部の計測結果に基づいて前記記録媒体の厚さを取得することを特徴としている。
また、請求項12記載の発明は、請求項1〜10の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、
搬送される記録媒体の厚さに応じた値を計測する計測部と、
所定の報知動作を行う報知動作部と、
を備え、
前記媒体厚取得部は、予め記録媒体の厚さに係る情報を外部から取得し、
前記制御部は、前記計測部の計測結果に基づく前記記録媒体の厚さと、予め外部から取得されている情報に基づく厚さとを比較して、前記記録媒体の厚さに所定の基準範囲以上のずれがある場合には、前記報知動作部に所定の報知動作を行わせる
ことを特徴としている。
また、請求項13記載の発明は、請求項1〜12の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置において、
外部からの入力操作を受け付ける操作受付部を備え、
前記媒体厚取得部は、前記操作受付部により受け付けられた入力操作の内容に基づいて前記記録媒体の厚さを取得する
ことを特徴としている。
また、請求項14記載の発明は、
請求項1〜13の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置と、
前記インク吐出部と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
本発明に従うと、記録媒体搬送装置において、記録媒体をより安定且つ確実に保持することが出来るという効果がある。
搬送部を含むインクジェット記録装置の全体構成を示す図である。 押さえローラー周辺の構造を拡大した図である。 インクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。 押さえローラーと記録媒体との位置関係について説明する図である。 搬送開始制御処理の制御手順を示すフローチャートである。 インクジェット記録装置の全体構成の変形例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の記録媒体搬送装置である搬送部10を含むインクジェット記録装置100の全体構成を示す図である。
インクジェット記録装置100は、媒体供給部30と、搬送部10と、画像記録部20と、媒体排出部40などを備える。
媒体供給部30は、載置トレー31と媒体出力部32などを備える。
載置トレー31は、枚葉紙、厚紙、段ボール材や樹脂板などの各種個別の記録媒体Pが重ねて載置可能な板状の部材であり、最上部に載置された記録媒体Pから順に搬送部10へと送出される。載置トレー31は、上下方向に移動可能であり、載置された記録媒体Pの全重量などに応じて最上の記録媒体Pが搬送部10へ送出される位置で保持される。載置トレー31の高さの変更度合いは、設定などにより記録媒体Pの種別に応じて調整可能であっても良い。
媒体出力部32は、例えば、送出する記録媒体Pを上下から挟持する回転自在なローラーを有し、記録媒体Pをここでは水平方向に送出する。記録媒体Pを挟持する2つのローラーは、記録媒体Pの厚さに応じて幅を可変に移動動作し、フィーダー検出部232(図3参照)により当該幅が制御部60(図3参照)に出力される。
また、媒体出力部32は、更に、ガイドローラー16の直近まで支持板14の上面(支持面)と同じ高さで記録媒体Pを載置して送出する無端状の送出ベルト及び当該送出ベルトが架け渡された2つのローラーなどを備えていても良い。
搬送部10は、記録媒体Pを媒体供給部30から受けて搬送し、媒体排出部40へ送出する。搬送部10は、駆動ローラー11と、従動ローラー12と、搬送ベルト13(搬送部材)と、支持板14(プラテン;支持部材)と、吸引部15と、ガイドローラー16、17(ガイド部材)と、押さえローラー18(浮上防止部)と、テンションローラー19などを備える。
搬送ベルト13は、無端状のベルト(帯状部材)であって、ここではスチールベルトが用いられる。スチールベルトの材質としては、例えば、SUS304、SUS631やアルミ合金などが挙げられる。搬送ベルト13は、駆動ローラー11及び従動ローラー12(回転動作部;まとめて搬送ローラー11、12とも記す)の間に架け渡されており、駆動ローラー11が搬送モーター211(図3参照)の回転動作に応じて回転することで当該回転速度及び回転方向に従って周回移動する。ここでは、駆動ローラー11が図1の面内において反時計回りすることで搬送ベルト13が通常の記録媒体Pの搬送方向に移動する。搬送ベルト13の外周面(即ち、搬送ローラー11、12と接しない側の面;載置面)には、媒体供給部30から送出された記録媒体Pが載置されて、当該記録媒体Pは、搬送ベルト13の移動に伴って搬送される。
支持板14は、搬送ベルト13の2つの搬送ローラー11、12の間の区間において、搬送される記録媒体P、即ち、搬送ベルト13の外周面がヘッドユニット21のインク吐出面と対向する一方の区間における当該対向する部分を含む範囲で搬送ベルト13の内周面(搬送ローラー11、12と接触する側の面)を平面(ここでは水平面)で支持する。この平面をなす支持板14の上面(支持面)は、駆動ローラー11と従動ローラー12の上端間を結んだ線よりも高い位置で水平方向に配置されている。支持板14により支持された搬送ベルト13は、媒体供給部30から水平方向に送出された記録媒体Pを鉛直方向について位置の変化を生じさせずに載置させながらこの支持板14上で移動させる。
支持板14は、搬送方向に長い方が画像記録部20による画像記録時に記録媒体Pをより安定させやすいが、水平方向に占める面積が増大する。従って、支持板14は、適切な長さ、例えば、記録媒体Pの搬送方向についての長さ(単一サイズであれば当該単一サイズに基づき、複数サイズの記録媒体Pに対して画像記録が可能な場合には、標準的な長さ又は最大の長さなどに基づく)程度に好ましく定められる。
搬送ベルト13及び支持板14は、多数の孔部(開口)を有し、空気が透過可能となっている。支持板14としては、ここでは、上面を平面状に加工した発泡部材といった各種周知の多孔質(ポーラス)体が用いられる。搬送ベルト13の孔部のサイズ、数及び配置は、記録媒体Pの載置が均一に行われる範囲内で定められている。
吸引部15は、支持板14の下方、即ち、搬送ベルト13に当接する側とは反対側に設けられ、これら搬送ベルト13及び支持板14の孔部を介して搬送ベルト13の外周面側から空気の吸引動作を行うことで当該搬送ベルト13の外周面に載置された記録媒体Pを搬送ベルト13に吸着させる。
搬送ベルト13の移動方向(記録媒体Pの搬送方向)について、支持板14の上流側には、ガイドローラー16が設けられ、また、支持板14の下流側には、ガイドローラー17が設けられている。ガイドローラー16、17は、搬送ベルト13を支持面の両端外側で支持する。
ガイドローラー16、17は、それぞれ支持板14の支持面と略同一の高さで搬送ベルト13を支持し、搬送ベルト13の周回移動時の移動動作を誘導する。即ち、搬送ベルト13は、従動ローラー12と接する位置から鉛直方向上向きの成分を含んでガイドローラー16と接する位置まで移動し、水平方向に向きを変えて支持板14の支持面と接する位置に移動する。また、支持板14の支持面と接する位置から移動する搬送ベルト13は、そのまま水平方向に移動してガイドローラー17と接する位置まで移動し、それから鉛直方向下向きの成分を含んで駆動ローラー11と接する位置へ移動する。
ここで、略同一の高さとは、例えば、記録媒体Pを搬送ベルト13に載置させるときに、ガイドローラー16の位置が高いために当該搬送ベルト13に衝突したり、押さえローラー18で押し下げる際にずれが大きくて記録媒体Pが歪んだりといったことがない範囲、即ち、記録媒体Pの硬さやサイズ(厚さを含む)に対して大きすぎない範囲であれば良く、簡単な目視レベル、例えば、1〜2cm以下程度のずれ、角度にして1〜2度以下程度のずれは、通常許容され得る。
図2は、押さえローラー18周辺の構造を拡大した図である。
押さえローラー18は、搬送ベルト13を挟んでガイドローラー16と対向する位置で回転可能に設けられたローラーである。押さえローラー18は、記録媒体Pに対するインクの吐出位置(記録媒体Pがインク吐出面と対向する位置)に対して搬送方向について上流側において、媒体供給部30から送出された記録媒体Pの搬送ベルト13(支持板14)からの浮き上がりを抑制してより確実に吸着されるように、適宜な圧力で搬送ベルト13に対して押圧(押下)して搬送ベルト13に沿って誘導する。記録媒体Pには、しばしば供給時から先端にカール(巻き上がり)が生じる。例えば、記録媒体Pが湿気を吸収したり吸収した湿気が再度蒸発乾燥したりといった状態変化によってカールが生じ得る。また、特に、インクの好適な着弾温度などに応じて記録媒体Pが加熱されて搬送部10に供給される場合には、この加熱により記録媒体Pにカールが大きくなることもある。押さえローラー18は、このようなカールの影響を抑制し、支持板14上への記録媒体Pの到達時に搬送ベルト13の外周面からの浮上を抑制することで、速やか且つ確実に搬送ベルト13に吸着させる。
押さえローラー18は、回転モーター218(図3参照)により搬送モーター211と連動して回転動作し、記録媒体Pを搬送方向に移動させる。また、押さえローラー18は、軸181及び/又はその支持部材を昇降駆動部318(図3参照)により上下動させることで、その搬送ベルト13の外周面からの距離ΔGを変更設定可能とされている。昇降駆動部318としては、例えば、エアシリンダーを有し、空気圧に応じた距離ΔGで調整、固定される。これにより、押さえローラー18の下端と搬送ベルト13の外周面とのギャップ幅Δgが適切な距離とされる。また、ここでは、記録媒体Pの搬送ベルト13の外周面からの浮き上がり量が距離ΔGと比較して十分小さくなるように、押さえローラー18の回転半径が大きく定められる、及び/又は押さえローラー18の前に更に浮き上がりを抑制する部材が設けられる。
また、押さえローラー18は、図示略の加熱部が内部に設けられて、ヒーター駆動部88(図3参照)により発熱動作が行われ、押さえローラー18の表面が加熱されることで記録媒体Pを加熱することが可能であっても良い。加熱部としては、例えば、ジュール熱を生じる電熱線や膜などが用いられ、表面にはゴムなどの熱伝導性と弾性を有する部材が用いられる。
テンションローラー19は、搬送ベルト13のうち、2つの搬送ローラー11、12間において外周面がヘッドユニット21とは対向しない側、即ち、駆動ローラー11から従動ローラー12へ搬送ベルト13が移動する途中の位置で当該搬送ベルト13を内周面の側から押圧することで適切な張力を与える。テンションローラー19は、幅方向について異なる2箇所、例えば、両端でそれぞれ鉛直方向に上下に位置を設定可能であり、支持板14などにより搬送ベルト13が受ける張力の不均一に応じて生じる蛇行を補正して、搬送ベルト13及び記録媒体を正常に搬送方向へ移動させる。
画像記録部20は、インクを吐出する記録ヘッドを有する一又は複数、ここでは4つのヘッドユニット21(インク吐出部)を備える。各ヘッドユニット21の支持板14の支持面(記録媒体P)と対向する側の面は、記録ヘッドが配列され、ノズルの開口部が各々設けられたインク吐出面となっており、搬送ベルト13により支持板14の支持面上を搬送される記録媒体Pに対して記録ヘッドの動作に応じてインクを吐出、着弾させる。
4つのヘッドユニット21は、ここでは、各々シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及び黒色(K)の各色のインクタンク(図示略)と接続され、これらCMYK各色のインクをそれぞれ吐出する。これらヘッドユニット21から記録媒体Pへのインク着弾位置より搬送方向下流側には、インクの特性に応じて着弾したインクを定着されるための構成、例えば、溶媒成分を乾燥させる乾燥部や、紫外線硬化型インクを反応固化させる紫外線照射部などが更に設けられていても良い。
媒体排出部40は、搬送部10から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排出トレー41等を有し、画像記録後の記録媒体Pをユーザーにより取り出されるまで格納する。排出トレー41は、上下方向に移動可能に構成されて、搬送部10の支持面の高さからの記録媒体Pの落下量を適切な範囲内に調節しても良い。
搬送部10と媒体排出部40との間には、記録媒体Pをより安全且つ確実に媒体排出部40に送出するためのローラーやベルトなどを備えたデリバリー部が設けられていても良い。例えば、ガイドローラー17の上方を通過した記録媒体Pを排出トレー41上における最上の記録媒体Pの更に上に導くように2つのローラー間に架け渡されたベルトが設けられていても良い。
図3は、インクジェット記録装置100の機能構成を示すブロック図である。
インクジェット記録装置100は、搬送駆動部52及び搬送モーター211(周回駆動部)と、フィーダー検出部232(計測部)と、回転モーター218(ローラー動作部)及び昇降駆動部318(移動動作部)と、吸引駆動部55及び吸引部15と、テンション調整部219と、ヘッド駆動部221と、通信部71と、操作表示部72(報知動作部、操作受付部)と、制御部60と、ヒーター駆動部88と、バス79などを備える。
搬送モーター211は、搬送駆動部52により駆動されて所定の速さで回転動作することで駆動ローラー11を回転動作させる回転モーターである。この駆動ローラー11の回転に応じて搬送ベルト13が周回移動する。搬送駆動部52は、搬送モーター211及び回転モーター218に駆動電圧を供給して制御部60の制御に応じた速度で搬送モーター211及び回転モーター218を連動して回転駆動し、駆動ローラー11と押さえローラー18(即ち、搬送される記録媒体Pの移動速度)を同期して回転動作させる。
搬送モーター211と搬送ローラー11、12とにより搬送動作部が構成される。
フィーダー検出部232は、媒体供給部30において、送出する記録媒体Pを検出し、媒体出力部32の2つのローラー間の距離に応じた信号を制御部60に出力する。フィーダー検出部232は、媒体出力部32により出力される記録媒体Pの厚さに応じた値を計測して出力可能なものであれば良く、例えば、光線(赤外線など)を出射する発光部と発光部から出射された光の反射光を検出する検出部とを備え、記録媒体Pの表面及び裏面とそれぞれ対向する位置から光線を照射して当該記録媒体Pで反射させ、反射光量や反射光の出射光との位相ずれなどを用いた周知の技術により出射位置から記録媒体Pの表面及び裏面までの距離を計測して差分を厚さとして算出するものなどであっても良い。この場合、記録媒体Pは、圧縮などで当初の厚さとは異なっていない状態である必要がある。また、表面の位置のみから厚さを算出する場合、フィーダー検出部232は、更に、確実に記録媒体Pの浮き上がりが生じていない状態で計測する必要がある。
回転モーター218は、上述のように、搬送駆動部52に駆動されて搬送モーター211と連動して回転動作し、記録媒体Pを搬送方向に進める。また、押さえローラー18を回転動作させることにより、記録媒体Pと押さえローラー18との摩擦を低減し、スムーズに記録媒体Pを搬送ベルト13に沿って誘導する。
昇降駆動部318は、上述のように、押さえローラー18を上下方向に移動させて、押さえローラー18(ローラー18の軸181)と搬送ベルト13の外周面との距離(相対距離)を変化(変更)させる。この昇降駆動部318は、駆動動作が行われていない状況では、最後に設定された距離で押さえローラー18を維持するものが好ましい。
吸引駆動部55は、支持板14及び搬送ベルト13を介した空気の吸引動作を吸引部15により行わせる。吸引部15は、例えば、ブロワー(送風機)などを有し、搬送ベルト13の外周面側から支持板14の裏側方向へと空気を流すように送風させることで吸引力を生じさせる。ブロワーは、必要な吸引能力に応じて複数設けられても良く、記録媒体Pが略均等に搬送ベルト13に吸着されるように適切に配置され、また、制御部60により吸引量が制御される。
吸引部15及び吸引駆動部55により吸着動作部が構成される。
テンション調整部219は、テンションローラー19を上下動させて搬送ベルト13の張力を適切に保ち、搬送ベルト13を弛みや歪みなく正常に周回移動させる。テンション調整部219としては、昇降駆動部318と同様にエアシリンダーなどを用いることが出来る。この場合、テンション調整部219は、テンションローラー19が幅方向に均等な張力となるように当該幅方向について均一ではない調整が可能となっている。
制御部60は、インクジェット記録装置100の全体動作を統括制御する。
制御部60は、CPU61(Central Processing Unit)、RAM62(Random Access Memory)、ROM63(Read Only Memory;対応記憶部)、記憶部64などを備える。
CPU61は、各種演算処理を行い、また、インクジェット記録装置100の制御動作を行う。
RAM62は、CPU61に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM62としては、DRAMやSRAMなどが適切な容量ずつ設けられる。
ROM63は、制御プログラムや初期設定データなどを格納する。ROM63としては、マスクROMに加えて書き換え更新可能な不揮発性メモリーが用いられていても良い。ROM63の格納データには、記録媒体Pの厚さと押さえローラー18から搬送ベルト13の外周面までの距離との対応関係に係る設定を記憶する高さ調整テーブル631が含まれている。或いは、この高さ調整テーブル631は、記憶部64に記憶されても良い。
記憶部64は、インクジェット記録装置100による出力画像データや画像出力に係る設定(ジョブデータ)などを記憶する。また、記憶部64は、インクジェット記録装置100の動作に係る各種状況(ステータス)データの履歴や異常に対する対処設定(補完設定など)を記憶する。
通信部71は、外部のPC端末やプリントサーバーなどの電子機器や記憶媒体などと通信を行って情報の送受信を行う。通信部71としては、LANによる有線又は無線による通信に係る各種通信規格に対応した通信制御を行う他、フラッシュメモリーなどの各種可搬型記録媒体とのデータのやり取りなどを制御可能である。
操作表示部72は、押しボタンスイッチやタッチセンサーなどを備え、外部からの所定の入力動作を検出して(入力操作を受け付けて)検出信号を制御部60に出力する。また、操作表示部72は、液晶表示画面などの表示画面を備え、制御部60の制御動作に応じて当該表示画面を駆動して、ステータスやメニューなどの表示を行う。タッチセンサーと表示画面とは、重ねて設けられて、表示画面がタッチパネルとして用いられて良い。また、表示部としては、表示画面の他にLEDランプなどを有し、点灯や点滅状態などに応じて所定の報知動作を行うことが可能とされても良い。
ヒーター駆動部88は、上述のように、押さえローラー18内部や媒体供給部30内の加熱部などに発熱動作を行わせることで記録媒体Pの加熱を行う。加熱部がジュール熱を発するものである場合には、ヒーター駆動部88は、適宜な電圧及び電流で加熱部に通電させることで適切な温度で発熱させる。
バス79は、制御部60と上述の各部との間で信号をやり取りする信号経路である。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置100における押さえローラー18の位置調整動作について説明する。
本実施形態のインクジェット記録装置100では、記録媒体Pの厚さに応じて搬送ベルト13の外周面からの押さえローラー18の高さ(距離)を変更する。押さえローラー18は、記録媒体Pの浮き上がりを防止するために、記録媒体Pの表面に接触するように配置される。
図4は、押さえローラー18と記録媒体Pとの位置関係について説明する図である。
押さえローラー18の位置が固定されていると、記録媒体Pが厚くなるほど、記録媒体Pが搬送されることで当該記録媒体Pは押さえローラー18の下端よりも上方、即ち、押さえローラー18の回転軸に近い高さの位置で当該押さえローラー18に衝突することになる。図4(a)に示すように、押さえローラー18の下端と搬送ベルト13の外周面とのギャップ幅Δgが記録媒体Pの厚さΔw1よりも僅かに小さい程度の場合には、記録媒体Pが押さえローラー18を押し上げる向きの力(即ち、押さえローラー18が記録媒体Pを押す力)が小さく、また、この力の搬送方向についての成分も小さいので、押さえローラー18に加わる衝撃が大きくならない。一方で、図4(b)に示すように、記録媒体Pの厚さΔw2が増すと、押さえローラー18を押し上げる力(押さえローラー18が記録媒体Pを押す力)が増加するとともに、当該押さえローラー18を搬送方向に押す成分も増加して、押さえローラー18に対して大きな衝撃が加わる。その結果、特に、記録媒体Pが高速で搬送される場合や、記録媒体Pの剛性や質量が大きい場合には、押さえローラー18の支持部材などを介して搬送部10全体に衝撃が伝わって無視できない大きな振動が生じることになる。
なお、押さえローラー18と当接する前の記録媒体Pが湾曲(カール)するなどにより大きく搬送ベルト13の表面から浮上していると、当該記録媒体Pは、浮上していない場合と比較して、押さえローラー18の下端よりも回転軸に近い位置で当該押さえローラー18に衝突することになる。このような場合には、結局押さえローラー18に加わる力や向きが搬送部10の振動を誘発しやすくなる。この悪影響を低減するために、想定される湾曲量に比して押さえローラー18の回転半径を大きく設定することで、湾曲があっても押さえローラー18の回転軸よりも下端側に近い位置で当接し易くすることが出来る。また、上述のように、押さえローラー18の更に上流側に大きな浮き上がりを規制する他の浮き上がり抑制部が設けられていても良い。この場合、この浮き上がり抑制部に対する記録媒体Pの衝撃が搬送部10の振動に繋がらないように、傾斜の緩やかな構造で徐々に浮き上がりを抑制したり、或いは浮き上がり抑制部が搬送部10に固定されない構造を用いたりすることが出来る。
同様に、図4(c)に示すように、記録媒体Pが押さえローラー18の下部から外れる際にも、記録媒体Pの厚さΔw2とギャップ幅Δgとの間に大きな差がある場合には、押さえローラー18を上方に持ち上げていた記録媒体Pがなくなることで押さえローラー18が急激に移動して大きな振動が生じ得る。
インクジェット記録装置100では、記録媒体Pの厚さに応じて押さえローラー18の位置を調整して、搬送される記録媒体Pが押さえローラー18の下端付近でのみ接触させることで、記録媒体Pの浮上を確実に抑制しつつ搬送部10への衝撃の増大を抑制する。更に、これによって記録媒体Pを必要以上に押圧しないので、フルート構造を有する中芯が用いられた段ボール材などを記録媒体Pとする場合に、当該記録媒体Pを圧縮変形させない。搬送対象となる記録媒体Pの厚さは、ここでは、ユーザーによる操作表示部72への入力操作の内容に応じた設定や、プリントジョブに含まれる記録媒体選択情報などに基づいて外部から取得されて予め定められている。
即ち、通信部71及び操作表示部72は、媒体厚取得部を構成する。媒体厚取得部には、フィーダー検出部232が含まれ得る。
図5は、本実施形態の搬送開始制御処理の制御部60による制御手順を示すフローチャートである。
搬送開始制御処理が開始されると、制御部60(CPU61)は、記録媒体Pの厚さを取得する(ステップS101)。なお、取得データがない場合には、制御部60は、操作表示部72に制御信号を出力して設定を入力するように表示させる報知動作を行っても良い。制御部60は、高さ調整テーブル631を参照し、取得された記録媒体Pの厚さに対応する押さえローラー18の位置設定を取得する(ステップS102)。
制御部60は、昇降駆動部318に制御信号を出力し、押さえローラー18の高さを調整させる(ステップS103)。制御部60は、搬送駆動部52に制御信号を出力して媒体出力部32及び搬送モーター211を動作させる(ステップS104)。
制御部60は、フィーダー検出部232から記録媒体Pの厚さに係る検出データを取得する(ステップS105)。制御部60は、これらの検出データから得られる記録媒体Pの厚さが設定値と比較して所定の基準誤差範囲(基準範囲)内にあるか否かを判別する(ステップS106)。基準誤差範囲内にあると判別された場合には(ステップS106で“YES”)、搬送開始制御処理を終了する。基準誤差範囲内にないと判別された場合には(ステップS106で“NO”)、制御部60は、搬送駆動部52に制御信号を出力して記録媒体Pの搬送動作を中止させる。また、制御部60は、操作表示部72に制御信号を出力して所定の報知動作を行わせる(ステップS107)。それから、制御部60は、搬送開始制御処理を終了する。
なお、ユーザーによる設定がなされていない場合やプリントジョブに設定が含まれない場合に、制御部60は、ステップS101の処理において、媒体供給部30に制御信号を出力し、記録媒体Pの厚さをフィーダー検出部232により検出させて当該検出結果を取得しても良い。この場合、ステップS105の処理は省略され、又は、制御部60は、検出結果が正常な厚さの範囲内であるか否かの判定を行う。また、制御部60は、異常の有無に拘わらず、計測された記録媒体の厚さやこれに対応するものとして特定された記録媒体Pの種別などを操作表示部72に表示させることとしても良い。
また、記録媒体Pの厚さがフィーダー検出部232により最初に取得されるまで、制御部60は、記録媒体Pの搬送速度を通常の画像記録時の搬送速度(通常速度)より低下させた値に定めることが出来る。記録媒体Pがヘッドユニット21のインク吐出面と対向する位置に到達するまでに搬送速度が通常速度にまで上昇しない場合には、ヘッド駆動部221は、当該搬送速度に応じてヘッドユニット21の記録ヘッドにより記録媒体P上の適切な位置にインクの吐出を行わせる。
[変形例]
図6は、インクジェット記録装置の全体構成の変形例を示す図である。
図6(a)に示す変形例では、搬送ベルト13が支持板14上から外れた後(搬送方向について下流側)において、ガイドローラー17と対向して後端押さえローラー18aが設けられている。これにより、記録媒体Pの先端(搬送方向下流側端部)が支持板14上から外れて吸着が終了した後、当該記録媒体Pの後端(搬送方向上流側端部)付近での画像の記録が未だ継続されている状況で、記録媒体Pの先端側の浮き上がりや振動などで後端側の画像記録に悪影響を及ぼすのを抑える。
この後端押さえローラー18aについても、押さえローラー18と同様に記録媒体Pの厚さに応じて軸181aの位置を上下させることで、記録媒体Pの後端押さえローラー18aへの衝突や、記録媒体Pが後端押さえローラー18aから離れる際の振動の増大を抑えつつ適切に当該記録媒体Pの浮上を抑えることが出来る。
また、図6(b)に示す変形例では、ガイドローラー16、17が設けられておらず、押さえローラー18及び後端押さえローラー18aは、記録媒体Pをこれらガイドローラー16、17との間で挟持するのではなく、単純に一方から押さえる。この場合、押さえローラー18及び後端押さえローラー18aの下端が記録媒体Pの表面と比較して低過ぎると、記録媒体Pが押さえローラー18及び後端押さえローラー18aに衝突するときの衝撃が大きくなるだけではなく、記録媒体Pの移動方向も変化し得るので、記録媒体Pをより確実に搬送ベルト13の外周面に沿って移動させるように距離ΔG(即ちギャップ幅Δg)が調整されることが望ましい。
なお、押さえローラー18及び後端押さえローラー18aは、搬送ローラー11、12と対向して配置されても良い。
以上のように、本実施形態のインクジェット記録装置100が備える搬送部10は、記録媒体Pを載置させる搬送ベルト13と、搬送ベルト13を周回移動させて、インクを吐出するヘッドユニット21のインク吐出面と対向させる範囲を少なくとも含む範囲で記録媒体Pを搬送する駆動ローラー11及び搬送モーター211と、搬送ベルト13上に載置された記録媒体Pを当該搬送ベルト13に吸着させる吸引部15及び吸引駆動部55と、搬送ベルト13上に載置される記録媒体Pを当該搬送ベルト13に対して押下することで、記録媒体Pの搬送ベルト13からの浮き上がりを抑制する押さえローラー18と、押さえローラー18と搬送ベルト13の外周面との距離ΔGを変更させる昇降駆動部318と、搬送対象の記録媒体Pの厚さを取得する媒体厚取得部としての通信部71及び操作表示部72と、媒体厚取得部により取得された記録媒体Pの厚さが大きいほど距離ΔGが大きくなるように昇降駆動部318の動作を制御する制御部60と、を備える。
これにより、記録媒体Pの厚さに応じた適切な圧力で記録媒体Pの浮き上がりを抑制し、確実に吸引部15及び吸引駆動部55の動作により搬送ベルト13に確実に吸着させる。記録媒体Pを必要以上に圧縮したり、圧縮に伴って表面の性質を変化させたりしない。また、記録媒体Pの有無に応じて押さえローラー18に係る応力が大きく変化しないので、当該応力の急激な変化に応じた高さ方向への振動を抑える。また、記録媒体Pが特に浮き上がって押さえローラー18に当接する際の押さえローラー18への衝撃を低減させるので、この衝撃に伴う押さえローラー18の搬送方向への振動を抑える。このような振動の発生を抑えることで、ヘッドユニット21からのインク吐出時におけるインクの着弾地点のぶれを抑える。このように、この搬送部10では、記録媒体Pをより安定且つ確実に保持することが出来、これにより、記録媒体P上のより正確な位置にインクを着弾させることが出来るようになり、画質の維持向上を図ることが出来る。
また、記録媒体Pの厚さと距離ΔGとの対応関係を示す高さ調整テーブル631を記憶するROM63を備え、制御部60(CPU61)は、高さ調整テーブル631の対応関係に応じて昇降駆動部318により距離ΔGを変更させる。
このように予めテーブルデータを記憶させておくことで、容易且つ簡便に押さえローラー18を適切な位置に移動させ、適正な画像記録動作を行わせることが出来る。
また、押さえローラー18は、少なくとも、記録媒体Pがインク吐出面と対向する位置よりも記録媒体Pの搬送方向について上流側に設けられている。これにより、ヘッドユニット21によるインク吐出時に確実に記録媒体Pを搬送ベルト13に吸着させて正確な位置にインクを着弾させることが出来る。また、浮き上がった状態で供給された記録媒体Pに対し、より適切な高さに設けられることで、記録媒体Pが押さえローラー18に当接する際の衝撃をより効果的に低減させることが出来る。
また、押さえローラー18は、吸引部15による吸着範囲外で記録媒体Pを搬送ベルト13に対して押下する。これにより、記録媒体Pを搬送ベルト13に沿ったより適切な位置で吸着範囲に導入しつつ、このときの押さえローラー18と記録媒体Pとの位置関係に応じた搬送部10の揺れなどを効果的に抑えることが出来る。また、吸着範囲に支持板14が用いられている場合には、この支持板14を直接押下しないことで、変形などの問題を生じさせない。
また、搬送ベルト13は、無端状の帯状部材を含み、搬送動作部は、搬送ベルト13が架け渡される複数のローラー(駆動ローラー11及び従動ローラー12)と、駆動ローラー11を回転動作させて搬送ベルト13を周回移動させる搬送モーター211と、を有し、記録媒体Pを搬送ベルト13の外周面上に載置させて記録媒体Pを搬送する。
無端状のベルトを用いた搬送部10では、局所的な振動が全体に伝わりやすいので、上述のように記録媒体Pの導入時や排出時などに振動を生じさせないようにしつつ安定且つ適切に記録媒体をさせることで、出力画像の維持向上を図ることが出来る。
また、吸引部15は、吸引駆動部55の駆動により搬送ベルト13の開口を介して吸引動作を行うことで、搬送ベルト13の外周面に記録媒体を吸着させる。このように空気吸引で吸着を行わせることで、構成を複雑にせずに容易に適切な記録媒体の着脱が可能となる。
また、搬送ベルト13の外周面がインク吐出面と対向する位置を少なくとも含む範囲で搬送ベルト13を支持する支持板14を備え、吸引部15は、吸引駆動部55の駆動により、支持板14及び搬送ベルト13のそれぞれにおける開口を介して吸引動作を行うことで、搬送ベルト13の外周面に記録媒体Pを吸着させる。このように、搬送ベルト13を支持板14(プラテン)で支持することで安定的に搬送ベルト13を周回移動させるとともに、この搬送ベルト13に記録媒体Pを吸着させることで、より正確な位置で画像の記録動作を行わせることが出来る。また、支持板14として発泡部材などの多孔質体を用いることで、容易且つ確実にムラの少ない記録媒体Pの吸着動作を行うことが出来る。
また、搬送ベルト13にはスチールベルトが用いられることで、高速で高精度な搬送制御が可能となる。また、搬送ベルト13自体の伸縮などによる振動が抑えられるので、より精度の高い画像記録が可能となる。
また、搬送ベルト13を挟んで押さえローラー18(18a)の反対側には、搬送ベルト13の移動動作を誘導するガイドローラー16(17)が設けられている。これにより、搬送ベルト13を正確な移動経路に保って支持板14上に導入することが出来るとともに、当該ガイドローラー16(17)により、押さえローラー18(18a)による押圧が記録媒体P及び搬送ベルト13にかかるので、押さえローラー18(18a)の位置変更による押圧調整がより効果的となる。
また、押さえローラー18と、この押さえローラー18を回転動作させる回転モーター218と、を有し、押さえローラー18(18a)は、搬送される記録媒体Pのうち、搬送ベルト13の外周面に当接させる面とは反対側の面と当接し、回転モーター218は、搬送される記録媒体Pの移動速度と同期して(即ち、駆動ローラー11の回転速度と同期して)押さえローラー18を回転動作させる。
このように、押さえローラー18を記録媒体Pの移動速度に合わせて回転させることで、特に、浮き上がりを生じて押さえローラー18に当接する記録媒体Pの衝撃を受け流しながら適切に当該記録媒体Pの浮き上がりを抑制して搬送ベルト13に沿うように導くことが出来る。
また、搬送される記録媒体Pの厚さに応じた値を計測するフィーダー検出部232を備え、このフィーダー検出部232の計測結果に基づいて記録媒体Pの厚さを取得して、制御部60は、当該記録媒体Pに応じた押さえローラー18の位置を定める。
このように、記録媒体Pの厚さを実測することで、ユーザーの手間を要さずに記録媒体Pにとって最適な位置に押さえローラー18を移動設定することが出来る。
また、表示動作を行う操作表示部72を備え、当該操作表示部72への入力操作や、通信部71が受け付けてプリントジョブ中の設定データなどに基づいて予め記録媒体Pの厚さに係る情報が外部から取得され、制御部60は、フィーダー検出部232の計測結果に基づく記録媒体の厚さと、予め外部から取得されている情報に基づく厚さとを比較して、これらの厚さに所定の基準範囲以上のずれがある場合には、操作表示部72の表示画面に所定の表示を行わせる。
従って、ユーザーが直接又はプリントジョブ設定などにおいて、誤って設定を行った場合や、記録媒体の設定変更を反映していなかった場合や、反対に設定変更後に記録媒体が変更されていなかった場合などの状況を適切に検出してユーザーに知得させることが出来る。
また、外部からの入力操作を受け付ける操作受付部として機能する操作表示部72を備え、この操作受付部(操作表示部72)により受け付けられた入力操作の内容に基づいて記録媒体Pの厚さを取得する。
即ち、インクジェット記録装置100(搬送部10)のユーザーは、媒体供給部30の記録媒体を交換する場合、その場で入力操作により容易に記録媒体Pの変更設定を行うことが出来るので、設定変更のし忘れを低減させることが出来る。
また、本実施形態のインクジェット記録装置100は、上述の搬送部10と、ヘッドユニット21と、を備える。これにより、ヘッドユニット21によりインクを吐出させて画像を記録する際に、記録媒体Pをより確実に安定して搬送ベルト13により搬送しつつ、精度の低下に繋がる振動の発生を低減させることが出来る。
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、搬送部材として無端状ベルト、特にスチールベルトを用いる場合を例に挙げて説明したが、スチールベルト以外のゴムベルトなど各種樹脂製の搬送ベルトであっても同様に本発明を適用することが出来る。また、無端状ベルト以外、例えば、円筒状の筐体外周面が記録媒体Pの載置面とされる搬送部10であっても良い。
また、搬送部材が筐体外周面などの剛体構造を有する場合には、支持板14を備えなくても良い。また、支持板14としては、多孔質体のものに限らず、人為的に多数の孔部が設けられた構造を有するものや、メッシュ構造のもの、これらの組み合わせなどが用いられても良い。
また、押さえローラー18は、必ずしも回転モーター218によって回転動作される必要はなく、移動する記録媒体Pとの接触によって従動的に回転する構成であっても良い。或いは、回転せずに表面を記録媒体Pが滑っていく構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、記録媒体Pの厚さだけではなく、記録媒体Pの材質や構造(段ボール材の強度など)の種別を考慮して、種別ごとに記録媒体Pの厚さと押さえローラー18の位置(この場合、即ち、圧縮量と押圧強度)との関係を各々定めても良い。
また、上記実施の形態では、ブロワーによる送風により搬送ベルト13の外周面側の空気を吸引することで(支持板14の裏側へ送って)記録媒体Pを搬送部材に吸着させたが、ポンプなどで空気を吸引しても良い。また、空気の吸引以外の吸着方法、例えば、電磁気的に吸着させる構成を有して又は併用していても良い。
その他、上記実施の形態で示した構成、配置や制御内容、手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
10 搬送部
11 駆動ローラー
12 従動ローラー
13 搬送ベルト
14 支持板
15 吸引部
16、17 ガイドローラー
18 押さえローラー
18a 後端押さえローラー
181、181a 軸
19 テンションローラー
20 画像記録部
21 ヘッドユニット
30 媒体供給部
31 載置トレー
32 媒体出力部
40 媒体排出部
41 排出トレー
52 搬送駆動部
55 吸引駆動部
60 制御部
61 CPU
62 RAM
63 ROM
631 高さ調整テーブル
64 記憶部
71 通信部
72 操作表示部
79 バス
100 インクジェット記録装置
211 搬送モーター
218 回転モーター
219 テンション調整部
221 ヘッド駆動部
232 フィーダー検出部
318 昇降駆動部
P 記録媒体
Δg ギャップ幅
ΔG 距離

Claims (14)

  1. 記録媒体を載置させる搬送部材と、
    前記搬送部材を周回移動させて、インクを吐出するインク吐出部のインク吐出面と対向させる範囲を少なくとも含む範囲で記録媒体を搬送する搬送動作部と、
    前記搬送部材上に載置された記録媒体を当該搬送部材に吸着させる吸着動作部と、
    前記搬送部材上に載置される記録媒体を前記搬送部材に対して押下することで、前記記録媒体の前記搬送部材からの浮き上がりを抑制する浮上防止部と、
    前記浮上防止部と前記搬送部材における記録媒体の載置面との相対距離を変更させる移動動作部と、
    搬送対象の記録媒体の厚さを取得する媒体厚取得部と、
    前記媒体厚取得部により取得された記録媒体の厚さが大きいほど前記相対距離が大きくなるように前記移動動作部の動作を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする記録媒体搬送装置。
  2. 前記記録媒体の厚さと前記相対距離との対応関係を記憶する対応記憶部を備え、
    前記制御部は、前記対応関係に応じて前記移動動作部により前記相対距離を変更させる
    ことを特徴とする請求項1記載の記録媒体搬送装置。
  3. 前記浮上防止部は、少なくとも、前記記録媒体が前記インク吐出面と対向する位置よりも前記記録媒体の搬送方向について上流側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の記録媒体搬送装置。
  4. 前記浮上防止部は、前記吸着動作部による吸着範囲外で前記記録媒体を前記搬送部材に対して押下することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置。
  5. 前記搬送部材は、無端状の帯状部材を含み、
    前記搬送動作部は、前記帯状部材が架け渡される複数の回転動作部と、前記回転動作部の少なくとも一部を回転動作させて前記帯状部材を周回移動させる周回駆動部と、を有し、前記記録媒体を前記帯状部材の外周面上に載置させて当該記録媒体を搬送する
    ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置。
  6. 前記吸着動作部は、前記帯状部材の開口を介して吸引動作を行うことで、前記帯状部材の外周面に記録媒体を吸着させる
    ことを特徴とする請求項5記載の記録媒体搬送装置。
  7. 前記帯状部材の外周面が前記インク吐出面と対向する位置を少なくとも含む範囲で前記帯状部材を支持する支持部材を備え、
    前記吸着動作部は、前記支持部材及び前記帯状部材のそれぞれにおける開口を介して吸引動作を行うことで、前記帯状部材の外周面に記録媒体を吸着させる
    ことを特徴とする請求項5記載の記録媒体搬送装置。
  8. 前記帯状部材は、スチールベルトであることを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置。
  9. 前記帯状部材を挟んで前記浮上防止部の反対側には、前記帯状部材の移動動作を誘導するガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項5〜8の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置。
  10. 前記浮上防止部は、ローラーと、前記ローラーを回転動作させるローラー動作部と、を有し、
    前記ローラーは、搬送される記録媒体の前記載置面と当接させる面とは反対側の面と当接し、
    前記ローラー動作部は、搬送される記録媒体の移動速度と同期して前記ローラーを回転動作させる
    ことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置。
  11. 搬送される記録媒体の厚さに応じた値を計測する計測部を備え、
    前記媒体厚取得部は、前記計測部の計測結果に基づいて前記記録媒体の厚さを取得することを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置。
  12. 搬送される記録媒体の厚さに応じた値を計測する計測部と、
    所定の報知動作を行う報知動作部と、
    を備え、
    前記媒体厚取得部は、予め記録媒体の厚さに係る情報を外部から取得し、
    前記制御部は、前記計測部の計測結果に基づく前記記録媒体の厚さと、予め外部から取得されている情報に基づく厚さとを比較して、前記記録媒体の厚さに所定の基準範囲以上のずれがある場合には、前記報知動作部に所定の報知動作を行わせる
    ことを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置。
  13. 外部からの入力操作を受け付ける操作受付部を備え、
    前記媒体厚取得部は、前記操作受付部により受け付けられた入力操作の内容に基づいて前記記録媒体の厚さを取得する
    ことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置。
  14. 請求項1〜13の何れか一項に記載の記録媒体搬送装置と、
    前記インク吐出部と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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