JP2018034380A - 樹脂シート - Google Patents

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Abstract

【課題】製造容易な構成であるとともに充分な表面平滑性を備える、熱可塑性樹脂からなる発泡層と透明樹脂層を有する樹脂シートを提供する。【解決手段】樹脂シート100は、熱可塑性樹脂からなり、気泡を含む発泡層10と熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層20とが共押出により積層されてなり全体厚み500μm以上10000μm以下の樹脂シートであって、透明樹脂層が樹脂シートの少なくとも一方の表面側に位置しているとともに透明樹脂層の厚みが50μm以上であり、樹脂シートの押出方向と直交する垂直断面における発泡層の気泡の平均気泡径が500μm以下であり、JIS B0601:2001に準拠して測定された樹脂シート100の透明樹脂層20側の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以下であり、JIS Z8741:1997に準拠して測定された樹脂シート100の透明樹脂層20側の表面の20度鏡面光沢度が50%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂からなる発泡層と、熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層とを有する樹脂シートに関する。
発泡樹脂シートは、ガラス、金属材料または木材等の材料より軽量かつ安価であって、種々の分野への利用が期待されている。例えば、発泡樹脂シートを、パーテーションまたは収納棚の扉等へ使用することが期待される。この場合、軽量性だけではなく外観も勘案されることが望ましく、発泡樹脂シートの表面において良好な平滑性が示されると良い。
発泡樹脂シートの表面に平滑性を付与する技術に関しては、下記特許文献1及び2が知られる。
特許文献1には、ポリスチレン系樹脂発泡シート(以下、単に発泡シートともいう)の表面に非発泡樹脂フィルムが積層されてなる積層シートが開示されている。特許文献1には、押出成形時に発泡シートの表面を冷却して高密度とし、さらに非発泡樹脂フィルムを積層することによって外観美麗な表面を形成することが開示されている。
特許文献2には、発泡層の両面に非発泡層を有する樹脂性の単板であるプレートの発明が開示されている。特許文献2には、金型ダイから大気中に押出された発泡剤を含有する溶融樹脂の両表面を冷却し、次いで、冷却プレートサイジングを行うことで発泡層の表面に非発泡層が形成されてなるプレートが製造されることが開示されている。
特開2000−143863号公報 特開2014−172381号公報
しかしながら、上述する従来技術には以下の問題点があった。即ち、特許文献1に記載の積層シートは、上記パーテーションまたは収納棚の扉等の用途に使用するには、積層シート表面の平滑性、光沢性が不十分であった。また、特許文献1の積層シートは、発泡シートの押出工程に加え、冷却工程、養生工程、及び積層工程という複数の工程を経て製造され、製造工程が多数かつ複雑であるという製造上のデメリットを有し、これに起因する実用化の弊害の問題を有していた。
また特許文献2に記載されるプレートは、発泡層の表面に非発泡層が形成されているとはいえ、実施例の数値からみて、表面粗さ(10点平均粗さ)は8から15程度であって、表面平滑性の観点で充分といえるレベルではない。
本発明は以上の課題を鑑みなされたものであり、充分な表面平滑性と光沢性を備える、熱可塑性樹脂からなる発泡層と透明樹脂層を有する樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明の樹脂シートは、熱可塑性樹脂からなる発泡層と熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層とが共押出により積層されてなる全体厚み500μm以上10000μm以下の樹脂シートであって、上記透明樹脂層が樹脂シートの少なくとも一方の表面側に位置しており、上記透明樹脂層の厚みが50μm以上であり、樹脂シートの押出方向と直交する垂直断面における発泡層の気泡の平均気泡径が500μm以下であり、JIS B0601:2001に準拠して測定された上記樹脂シートの上記透明樹脂層側の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以下であり、JIS Z8741:1997に準拠して測定された上記樹脂シートの上記透明樹脂層側の表面の20度鏡面光沢度が50%以上であることを特徴とする。
本発明の樹脂シートは、発泡層において破泡や過度な大気泡がなく、微細な気泡が形成されている。そのため、該樹脂シートは、表面の透明樹脂層における鏡面光沢度が高く、かつ算術平均粗さが小さくすることができ、優れた表面平滑性に起因する外観上の美観の優位性から、多様な用途に利用可能である。
(a)は、本発明の第一実施形態にかかる樹脂シートの断面を示す断面図であり、(b)は、本発明の第一実施形態の第一変形例である樹脂シートの断面を示す断面図であり、(c)は、本発明の第一実施形態の第二変形例である樹脂シートの断面を示す断面図である。 本発明の樹脂シートの製造方法を説明する説明図である。
以下に、本発明の樹脂シートについて順に説明する。
以下の説明において、本発明の樹脂シートの方向に関し、特段の断りなく押出方向という場合には、樹脂シートの共押出成形時におけるシートの流れ方向を意味し、幅方向という場合には、上記押出方向と直交する方向を意味する。また本発明における発泡層に含まれる気泡に関し、気泡径という場合には、観察された状態における気泡の最も長い径を意味する。また切断面における発泡層の気泡の平均気泡径とは、上記切断面における発泡層において、形状全体が確認された気泡の最も長い径を測定し、測定個数に基づき行った算術平均により得られた値を意味する。
[1]樹脂シート
まず、本実施形態にかかる樹脂シート100の概要について説明する。樹脂シート100は、図1(a)に示すように、熱可塑性樹脂からなり、気泡を含む発泡層10と熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層20とを備える。樹脂シート100は、発泡層10と透明樹脂層20とが共押出しされて積層されてなる。透明樹脂層20は、樹脂シート100の一方の表面側に位置している。
樹脂シート100の全体厚みは、500μm以上10000μm以下となるよう調整されており、共押出しに適切な厚み範囲となっている。透明樹脂層20の厚みは、50μm以上であり、これによって発泡層10に含まれる気泡の影響が透明樹脂層20の表面平滑性の妨げにならないよう配慮されている。ここでいう透明樹脂層20の厚みとは、樹脂シート100の最外層として配置される1層の透明樹脂層20の厚みを意味する。例えば、図1(a)のように、樹脂シート100の両面側に透明樹脂層20が配置される場合には、透明樹脂層20の合計の厚みは100μm以上となる。一方、発泡層10の厚みは、全体厚みと透明樹脂層20の厚みを勘案して適宜決定することができる。
尚、樹脂シート100の全体厚み、発泡層10の厚み、及び透明樹脂層の厚みの測定方法は、後述する実施例において記載する方法が参照される。
本発明において、樹脂シートの押出方向と直交する垂直断面における発泡層10に含まれる気泡の平均気泡径は、500μm以下であり、これによって発泡層10に積層される透明樹脂層20の表面の平滑性が担保されている。また、樹脂シート100は、JIS B0601:2001に準拠して測定された透明樹脂層20側の表面22の算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以下であるとともに、JIS Z8741:1997に準拠して測定された透明樹脂層20側の表面22の20度鏡面光沢度が50%以上である。このように樹脂シート100の表面は、算術平均粗さ(Ra)が適度に小さく、かつ適度な光沢を備え、外観に優れる。
尚、上記平均気泡径の測定方法は、後述する実施例において記載する方法が参照される。
尚、樹脂シート100において、発泡層10は、熱可塑性樹脂を発泡剤により発泡させてなる層であって、内部に複数の気泡を含む。これに対し透明樹脂層20は、実質的に内部に気泡を有さず、非発泡の樹脂層である。ここで実質的に気泡を有しないとは、発泡剤等を用いて意図的に発生させた気泡を有しないという意味である。
従来のパーテーションボードは、表面平滑性とともに光拡散性を得るため、最外層に非発泡のポリスチレン等の樹脂層を備えるとともに、芯層としてシリコーン拡散剤を含む非発泡のポリスチレン等の樹脂層を備える態様が知られている。これに対し上記の構成を備える本発明の樹脂シート100は、従来のパーテーションボードと同等の表面平滑性を維持しつつ、製造容易な構成であるため実用性に優れ、種々の用途に使用可能である。また、樹脂シート100は、芯層として発泡樹脂層10を備えることで軽量化が図られているとともに、シリコーン拡散剤を使用せずとも発泡樹脂層10に含まれる気泡によりシートに入射した光を良好に拡散することができ、樹脂をリサイクル原料として使用するもできるため、従来のパーテーションボードに比べ製造コストの縮減や再利用を図ることができる。また樹脂シート100は、最外層である透明樹脂層20を介して発泡樹脂層10の微細な気泡が視認されるため、意匠性にも優れる。
図1(a)に示す樹脂シート100は、厚み50μm以上の透明樹脂層20が、発泡層10を介して樹脂シート100の両表面側(最表面側)に位置している。かかる態様によれば、樹脂シート100は、両面側において平滑性及び外観に優れ、パーテーション等の両面側から視認され得る使用態様に適切に適用することができる。図1(a)に示す樹脂シート100は、具体的には、両面側に配置されて透明樹脂層20の間に、1層の発泡樹脂層10が配置されており、全体として3層構造をなす。
本発明は、図1(a)に示す樹脂シート100の態様に限定されるものではない。樹脂シート100の変形例として、発泡層10を複数有し、一の発泡層10(第一の発泡層131)と他の発泡層10(第二の発泡層132)との間に中間透明樹脂層30を有する態様を包含する。より具体的には、たとえば図1(b)に示すとおり、本発明は、両面側(最表面側)に透明樹脂層20を備えるとともに、厚み方向の中間に中間透明樹脂層30を備え、透明樹脂層20と中間透明樹脂層30との間のそれぞれに発泡層10を備える5層構造の樹脂シート200を包含する。発泡層10の層数が多いほどシートの入射する光の拡散性を増大させることが可能である。そのため、樹脂シート200のように発泡層10を複数備える態様は、高い拡散性が要求される場合に好ましい。
また本発明の異なる変形例として、図1(c)に示す樹脂シート220のように、透明樹脂層20は、シートの一方側の面にのみ設けられていてもよい。樹脂シート220は、発泡層10の一方側の面に積層され透明樹脂層20を有する2層構造のシートである。透明樹脂層20は、上述するとおり平滑性及び外観に優れるため、たとえば、透明樹脂層20を印刷面とする印刷基板として樹脂シート220を使用することもできる。
次に樹脂シート100の詳細について説明する。
樹脂シート100の厚みは、上述のとおり500μm以上10000μm以下であり、かかる範囲において適宜調整することができる。同じ厚みであって非発泡の樹脂層からなる樹脂シートに比べて、樹脂シート100は発泡層を備えることから軽量化が図られている。樹脂シートの剛性の観点から、樹脂シート100の厚みは、1000μm以上が好ましく、2000μm以上がより好ましく、3000μm以上がさらに好ましい。一方、樹脂シートの軽量性の観点から、8000μm以下が好ましく、6000μm以下がより好ましく、4000μm以下がさらに好ましい。
樹脂シート100に設けられる発泡層10及び透明樹脂層20はいずれも熱可塑性樹脂から構成される。また図1(b)に示すとおり、任意で設けられる中間透明樹脂層30も同様に熱可塑性樹脂から構成することができる。発泡層10、透明樹脂層20、及び任意で設けられる中間透明樹脂層30は、同一の熱可塑性樹脂で構成されてもよいし、層ごとに異なる熱可塑性樹脂で構成されてもよい。樹脂シート100において、発泡層10または透明樹脂層20が2層以上設けられる場合には、一の発泡層10と他の発泡層10、または一の透明樹脂層20と他の発泡樹脂層20は、同一の熱可塑性樹脂で構成されてもよいし、層ごとに異なる熱可塑性樹脂で構成されてもよい。
上記熱可塑性樹脂は、JIS K7361(1997年)で知られた「透明プラスチック」に該当する樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。
上記ポリスチレン樹脂としては、例えばポリスチレン、スチレン−αメチルスチレン共重合体、スチレン−pメチルスチレン共重合体ポリスチレンやスチレンを主成分とするスチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレンアクリレート共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体、スチレン−ジメチルスチレン共重合体、スチレン−エチルスチレン共重合体、スチレン−ジエチルスチレン共重合体、ハイインパクトポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン樹脂)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用される。なお、上記ポリスチレン樹脂は、スチレンに基づく単位又はスチレン成分含有量が50モル%を超え、好ましくは、70モル%以上であり、特に好ましくは80モル%以上である。
上記ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレン成分とその他の重合性モノマー成分との共重合体、上記プロピレン(共)重合体とその他の重合体との混合物等が挙げられる。具体的には、プロピレン単独重合体(h−PP)、プロピレン−エチレンランダム共重合体やプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体(r−PP)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(b−PP)などが例示される。なお、上記ポリプロピレン樹脂は、プロピレンに基づく単位又はプロピレン成分含有量が50モル%を超え、好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは80モル%以上である。
上記アクリル樹脂は、アクリル酸アルキルエステルおよび/もしくはメタクリル酸アルキルエステル(これらを総称して以下、(メタ)アクリル酸エステルということもある。)の単独重合体もしくは(メタ)アクリル酸エステル同士の共重合体、または(メタ)アクリル酸エステルに基づく単位が50モル%以上であり他のコモノマーに基づく単位が50モル%以下である(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、およびこれらの2以上の混合物等である。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタアクリル酸とを含む概念であり、これら一方又は双方を意味する。
上記(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体、またはメタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体等が例示される。これらのうち、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、またはメタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体が好ましく、ポリメタクリル酸メチルがより好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、メタクリル酸メチル−スチレン−ブチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−スチレン共重合体、またはメタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が例示される。これらのうち、メタクリル酸メチル−スチレン−ブチレン共重合体、またはメタクリル酸メチル−スチレン共重合体が好ましい。
上記ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールA(4,4'−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン)ポリカーボネート、ビスフェノールF(4,4'−ジヒドロキシジフェニル−2,2−メタン)ポリカーボネート、ビスフェノールS(4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン)ポリカーボネート、または2,2−ビス(4−ジヒドロキシヘキシル)プロパン)ポリカーボネートなどが例示される。これらのうち特に光学グレードのポリカーボネート樹脂が好ましい。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂としては、芳香環含有ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート)および脂肪族ポリエステル(例えばポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートおよびポリ−ε−カプロラクトン)が挙げられる。ポリエチレンテレフタレートとしては、透明性に優れるアモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)が好ましく使用される。
上記環状オレフィン樹脂としては、環状オレフィンの単独重合体、環状オレフィン同士の共重合体、または環状オレフィンとエチレンやα−オレフィンとの共重合体、およびこれらの2以上の混合物等である。環状オレフィン系ポリマーとしては、例えば、三井化学株式会社の商品名「アペル」もしくは「トーパス」、または日本ゼオン株式会社の商品名「ゼオネックス」もしくは「ゼオノア」等が挙げられる。
本発明の樹脂シートを構成する各層に使用される上記熱可塑性樹脂は1種又は2種以上を混合して使用することができる。尚、1種の熱可塑性樹脂が使用される場合、各層に使用される樹脂は同一又は異なってもよい。熱可塑性樹脂の2種以上を混合して使用する場合、又は上記熱可塑性樹脂に本発明の目的を阻害しない範囲内で他の樹脂等を混合して使用する場合は、使用する各熱可塑性樹脂の屈折率が近似しているか等しいものがよい。各熱可塑性樹脂の屈折率差、又は熱可塑性樹脂と他の樹脂の屈折率差が大きいと、その混合割合にもよるが混合樹脂は白濁して透明性及び像鮮明度が低下してしまうため、屈折率差は小さいことが望ましい。具体的には、その屈折率差は、0.05以下が好ましく、0.04以下がより好ましく、0.03以下がさらに好ましく、屈折率差は0(ゼロ)であることが最適である。
本発明の樹脂シートを構成する各層に使用される熱可塑性樹脂は、上記からそれぞれ適宜選択することができる。発泡層10に用いる樹脂としては、上記熱可塑性樹脂の中でも低吸水性、剛性、発泡性に優れるという観点から、ポリスチレン樹脂が好ましく、特に分岐ポリスチレン樹脂が好ましい。分岐ポリスチレン樹脂を用いて構成された発泡層10は、破泡の発生が良好に抑制されるため、樹脂シート100の外観を特に良好なものとすることができる。中間透明樹脂層30に用いる樹脂としても、上記熱可塑性樹脂の中でも低吸水性、剛性に優れるという観点から、ポリスチレン樹脂が好ましく、特に分岐ポリスチレン樹脂が好ましい。
また、樹脂シートの表面側に位置する透明樹脂層20に用いる樹脂としては、上記熱可塑性樹脂を適宜選択して用いることができるが、リサイクルの観点からポリスチレン樹脂が好ましく、特に直鎖ポリスチレン樹脂が好ましい。
本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、発泡層10または透明樹脂層20若しくは中間透明樹脂層30は、上述する熱可塑性樹脂以外の樹脂、エラストマー、気泡調整剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、抗菌剤、収縮防止剤等の機能性添加剤、または無機充填剤等の添加剤を1以上含有することができる。上記添加剤の合計量は、各層において熱可塑性樹脂100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
本発明の樹脂シートのヘーズ(Hz)は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。なお、ヘーズが高いことは、樹脂シートの曇り度合いが高いことを意味する。上記ヘーズは、JIS K7136(2000年)に従って、濁度計(例えば、日本電色工業株式会社製Haze Meter NDH7000SP)を用いて測定することができる。
また、本発明の樹脂シートの全光線透過率(TT)は、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。一方下限は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。上記全光線透過率は、JIS K7361−1:1997に従って、濁度計(例えば、日本電色工業株式会社社製Haze Meter NDH7000SP)を用いて測定することができる。上記ヘーズと上記全光線透過率を満足する樹脂シートは、一定量の光の透過性を有しつつ、背面側を透過しにくくなるためパーテーション等の用途として好適に使用することができる。
発泡層10は、層内に多数の気泡を含む熱可塑性樹脂層であって、樹脂シート100の光拡散性、軽量化、または外観に関与する。たとえば発泡層10は、上述する熱可塑性樹脂に対し発泡剤が添加され透明樹脂層20と共押出される際に発泡させることで形成される。発泡層10の厚みは、樹脂シート100の全体厚みと透明樹脂層20の厚みを勘案して決定される。具体的には、樹脂シート100の全体厚みに対する発泡層10の厚み(α)の下限は、20%が好ましく、25%がより好ましく、30%がさらに好ましい。一方上限は、85%が好ましく、75%がより好ましく、65%がさらに好ましく、50%が特に好ましい。上記範囲であれば、樹脂シート100の軽量性を確保しつつ、表面が平滑であり意匠性に優れた樹脂シート100とすることができる。
樹脂シートの押出方向と直交する垂直断面における発泡層10に含まれる気泡は、平均気泡径([D])が500μm以下であることが好ましい。これによって樹脂シート100の軽量化が図られるとともに、気泡の凹凸に起因する透明樹脂層20の平滑性の損失が防止される。即ち、本発明者らの検討によれば、透明樹脂層20の厚みが50μm以上であっても、共押出しされて積層される発泡層10に含まれる気泡が平均気泡径500μmを上回る場合、相対的に大径の気泡が透明樹脂層20の表面に影響を及ぼし、良好な平滑性が得られ難い傾向にあることがわかった。
また平均気泡径が500μm以下である発泡層10は、相対的に微細な気泡を多数含むため透明樹脂層20を介して視認されることで樹脂シート100に良好な意匠性を付与し得る。なお、樹脂シート100が発泡層を複数層有する場合には、各発泡層において、平均気泡径([D])が500μm以下であることが好ましい。
発泡層10に微細な気泡が多く含まれることで、良好な表面平滑性が得られるとともに意匠性にも優れるという観点からは、樹脂シート100の面内方向に対し略垂直上方から観察される発泡層10の単位面積における気泡径500μm以下の気泡数は、10個/mm以上であることが好ましい。上述する気泡径とは、上方から観察された気泡の最も長い径を意味する。
気泡径500μm以下の気泡数が10個/mm以上であれば、微細な気泡が充分に存在し、意匠性に優れる樹脂シート100とすることができることから好ましい。上記観点から、発泡層10の単位面積における気泡径500μm以下の気泡数は、20個/mm以上であることがより好ましく、30個/mm以上であることがさらに好ましい。
シートの平面における気泡の観察方法の詳細は、まず、観察に供される樹脂シート100の押出方向及び幅方向が縦横となるように上面から面内方向に対しマイクロスコープで100倍に拡大撮影する。得られた写真に基づいて、発泡層10の押出方向2mm、幅方向2mmの範囲内に存在する外郭の鮮明な気泡の数を計測し、計測結果を1mm当たりの個数に単位換算することによって発泡層10における気泡数が求められる。尚、該気泡数の計測にあたっては、押出方向2mm、幅方向2mmの範囲内に一部のみが存在する気泡、即ち、該範囲内の境界線上の気泡は除外する。
また上述と同様に良好な表面平滑性及び優れた意匠性を得るという観点から、樹脂シート100は、樹脂シート100の押出し方向と直交する垂直断面(樹脂シート100の幅方向断面)における発泡層の全気泡数に対する、気泡径500μmを上回る気泡の数(大気泡の数Y)の割合が発泡層10の所定面積あたり1%以下であることが好ましい。尚、上記全気泡数とは、気泡径500μm以下の気泡の数[微細気泡の数X]+気泡径500μmを上回る気泡の数[大気泡の数Y]を意味する。
気泡径500μmを上回る気泡の数の割合が上記範囲であれば、表面平滑性に優れ、意匠性にも優れた樹脂シートとすることができることから好ましい。なお、樹脂シート100が発泡層を複数層有する場合には、各発泡層において、気泡径500μmを上回る気泡の数の割合が上記範囲を満足することが好ましい。
上述する微細気泡の数X及び大気泡の数Yの測定方法は、観察に供される樹脂シート100の幅方向において、ミクロトームで切断して断面を露出させ、当該断面をマイクロスコープ(落射モード)で50倍にて拡大撮影する。得られた写真に基づいて、1層の発泡層10の厚み方向(厚み領域)かつ幅方向(6mm)の範囲内に存在する気泡の数を計数する。このとき、気泡径が500μm以下の気泡の数は微細気泡の数Xとして計測し、気泡径が500μmを上回る気泡の数は大気泡の数Yとして計測する。計測結果を1mm当たりの個数に単位換算し、発泡層10における微細気泡の数X及び大気泡の数Yを求める。尚、上記気泡数の測定にあたっては、発泡層10の厚み方向(厚み領域)かつ幅方向(6mm)の範囲内に一部のみが存在する気泡、即ち、該範囲内の境界線上の気泡は除外する。
以上に述べるとおり、樹脂シート100における発泡層10は、相対的に気泡径の小さい気泡が多く含まれることが好ましく、かかる構成を実現するために、たとえば、発泡層10の発泡倍率が、1倍を上回り2倍以下であることが好ましい。発泡層10の発泡倍率が上記範囲であると、意匠性に優れたシートとすることができることから好ましい。樹脂シートの意匠性の観点から、1.05倍以上1.8倍以下であることがより好ましく、1.1倍以上1.6倍以下であることがさらに好ましい。なお、樹脂シート100が発泡層を複数層有する場合には、各発泡層において上記発泡倍率を満足することが好ましい。
発泡層10の発泡倍率の測定方法は、予め発泡剤を含有していない透明樹脂層20のみのシートを作製し、非発泡透明樹脂シートの単位体積当たりの質量を確認し、標準質量とする。次いで、測定に供される所定形状の樹脂シート100(またはこれに対応する比較例)を用いて全体の坪量を測定し、上記層厚みの測定結果における透明樹脂シートの厚み及び上記標準質量から透明樹脂層20の秤量を算出する。所定形状の樹脂シート100全体の坪量、透明樹脂層20の坪量、及び標準質量から発泡層10の坪量を算出し、発泡層10の倍率を算出する。
発泡層10をなすために熱可塑性樹脂とともに用いられる発泡剤は、特に限定されず、公知の物理発泡剤または化学発泡剤から適宜選択される。発泡剤の使用態様は特に限定されないが、たとえば発泡剤は、発泡層10を構成する熱可塑性樹脂とドライブレンドして用いることができる。
上記物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のフッ化炭化水素等の有機系物理発泡剤、窒素、二酸化炭素、空気、水等の無機系物理発泡剤が挙げられる。
上記化学発泡剤としては、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、P,P’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、P−トルエンスルホニルヒドラジド、P−トルエンスルホニルアセトンヒドラジド、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸ナトリウム、または炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。
発泡層10の発泡倍率を適度な範囲に抑え、形成される気泡の径を小径に調整されやすいことから、発泡剤は、炭酸水素ナトリウム、またはアゾジカルボジアミドを選択することが好ましい。
また、発泡剤の量は、目的とする発泡倍率に応じて適宜調整されるが、発泡層を構成する熱可塑性樹脂100質量部に対して、概ね0.5質量部以上5質量部以下である。
次に透明樹脂層20について説明する。
本発明における透明樹脂層20は、上述するとおり、厚み([T])が50μm以上であり、算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以下であり、かつ20度鏡面光沢度が50%以上であり、平滑性に優れる。
樹脂シート100において、少なくとも一方の表面側に透明樹脂層20が位置している。図1(a)及び(b)に示すとおり樹脂シート100または樹脂シート200の両方の表面側に透明樹脂層20が位置することで、両表面における平滑性及び外観が良好な樹脂シート100とすることができることから、樹脂シート100の両表面に透明樹脂層20が形成されていることが好ましく、その場合、両表面の透明樹脂層20の厚みが50μm以上であることが好ましい。透明樹脂層20における透明性とは、光の透過度を数値化して示されるほど厳密なものではなく、光に透かしてみたときに光の透過が有意に感じられる程度を意味し、相対的に発泡層10よりも光の透過度が大きければよい。透明樹脂層20における透明とは、無色透明及び有色透明のいずれであってもよく、意匠性を高めるために透明樹脂層20を顔料、染料等の着色剤で着色することもできる。
透明樹脂層20の厚みは50μm以上であるが、共押出しにより積層された発泡層10に含まれる気泡の影響をより受け難いという観点からは、樹脂シート100の表面側に配置された少なくとも1層の透明樹脂層20の厚みは、70μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましく、300μm以上であることが特に好ましく、600μm以上であることが最も好ましい。
また透明樹脂層20の厚みは、上記平均気泡径([D])に対し下記式(1)の関係であることが好ましい。
[数1]
発泡層に含まれる気泡の平均気泡径([D])(μm)/透明樹脂層の厚み([T])(μm)≦2 (1)
発泡層10の平均気泡径に対し透明樹脂層20の厚みが適度に大きく確保されることによって、発泡層10に含まれる気泡が、透明樹脂層20の表面平滑性に有意に影響を及ぼすことを回避することが可能である。上記観点からは、D/Tの値は、1.6以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。
透明樹脂層20の算術平均粗さ(Ra)は、0.7μm以下であるため樹脂シートの表面平滑性に優れる。上記観点から、算術平均粗さ(Ra)は、0.5μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましく、0.05μm以下であることが特に好ましい。上記透明樹脂層20の算術平均粗さ(Ra)の測定は、JIS B0601:2001に準拠して測定することができる。
透明樹脂層20の20度鏡面光沢度は、50%以上であるため樹脂シートの表面光沢性に優れる。上記観点から、透明樹脂層20の20度鏡面光沢度は、70%以上であることがより好ましく、100%以上であることがさらに好ましい。また、透明樹脂層20の60度、85度における鏡面光沢度について50%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましい。上記透明樹脂層20の20度、60度、85度鏡面光沢度は、JIS Z8741:1997に準拠して測定することができる。
樹脂シート100の透明樹脂層20側の表面22は、上述する算術平均粗さ及び20度鏡面光沢度を容易に実現することから鏡面ロール転写面122とすることが好ましい。鏡面ロール転写面122とは、表面が鏡面加工されたロールの当該表面の状態が転写された面のことを意味する。鏡面ロール転写面122は、共押出しされた発泡層10及び表面側に配置された透明樹脂層20を少なくとも1層有する積層体を、対向する2つのロール間に通して当該ロールの回転により所定方向に引き取ることで上記ロール表面の鏡面状態を透明樹脂層20に転写することにより形成される。
上述する鏡面ロール転写面122の形成を含む樹脂シート100の望ましい製造方法の詳細は後述する。
次に中間透明樹脂層30について説明する。中間透明樹脂層30は、図1(b)に示すとおり、発泡層10を複数層備える樹脂シート100において、発泡層10(第一の発泡層131)と発泡層10(第二の発泡層132)との間に配置される。中間透明樹脂層30は、本発明において任意の層である。中間透明樹脂層30が設けられることによって樹脂シート100の剛性を増大させることができる。また、中間透明樹脂層30を設けて発泡層10を複数備えた多層の樹脂シート100は、同じ発泡倍率で1層の発泡層10からなる樹脂シート100と比べて、より光を効果的に拡散させることができて意匠性に優れる、または厚みが薄くても同じ拡散性を示すことができて軽量性に優れる樹脂シート100とすることができる。上記観点から、より意匠性、軽量性に優れる樹脂シート100とする場合には、発泡層10を複数有する樹脂シート100とすることが好ましく、その中でも製造が容易であることから5層構成(透明樹脂層20/発泡131/中間透明樹脂層30/発泡層132/透明樹脂層20)とすることが特に好ましい。
中間透明樹脂層30は、発泡層10及び/または透明樹脂層20に使用可能な熱可塑性樹脂と同じ組成の樹脂を用い、発泡層10及び透明樹脂層20とともに共押出しすることにより形成することができる。中間透明樹脂層30の厚みは特に限定されず、樹脂シート100ならびに発泡層10および透明樹脂層20の厚みを勘案して決定することができる。樹脂シート100に充分な剛性と軽量性を両立するという観点からは、樹脂シート100の全体厚みに対する中間透明樹脂層30の厚みは、20%以上70%以下であることが好ましく、25%以上65%以下であることがより好ましく、30%以上60%以下であることがさらに好ましい。なお、樹脂シート100が複数の中間透明樹脂層を有する場合には、各中間透明樹脂層において上記比率を満足することが好ましい。
[2]樹脂シートの製造方法
次に図2を用いて、樹脂シート100の製造方法(以下、本製造方法ともいう)について説明する。図2は、本発明の樹脂シート100の製造方法を説明する説明図であり、少なくとも2台の押出機を連結した共押出装置300、Tダイ310、及び複数の引取ロール(本実施態様では第一ロール320、第二ロール330、第三ロール340)を用い、複数の樹脂材料が共押出しされて形成された溶融状態にある積層体150(以下、溶融積層体150ともいう)を、対向する2つのロールによって狭圧しながら所定方向に引き取ることによって樹脂シート100を製造している状態を示している。
本製造方法は、上記複数の押出機のそれぞれに、溶融された熱可塑性樹脂を含む樹脂材料を導入し、上記樹脂材料をさらにTダイ310に導入して積層合流させた状態でTダイ310に設けられたリップ311より吐出させた後、冷却することで、本発明の樹脂シート100を製造する。本製造方法は、上記複数の押出機の少なくとも1つに発泡剤を含む樹脂材料を導入し、かつ他の少なくとも1つに発泡剤を含まない樹脂材料を導入することで、発泡層10と非発泡層である透明樹脂層20とを積層した状態で共押出し、樹脂シート100を製造する。各押出機から押出され積層合流される樹脂材料の積層順は、上述する本発明の樹脂シートの積層構成と同様である。
各層を構成する樹脂の溶融温度(押出温度)は特に限定されず、使用される樹脂の種類によっても異なるが、良好な表面平滑性及び機械物性等のバランスに優れた樹脂シート100を得るという観点からは、押出温度は、160℃以上260℃以下の範囲であることが好ましく、170℃以上250℃以下の範囲であることがより好ましく、180℃以上240℃以下の範囲であることがさらに好ましい。
上記本製造方法において、樹脂シート100における透明樹脂層20の平滑性及び外観を良好なものとするために、以下の工程をさらに含むことが好ましい。即ち、リップ311より吐出された溶融積層体150を、対向するロール(第一ロール320及び第二ロール330)間に挟み所定の方向に引き取るとともに冷却することで、樹脂シート100を引き取る冷却引取部360を設ける。ここで、対向するロールの少なくともいずれか一方の表面を鏡面加工しておくことで、当該表面の鏡面性を樹脂シート100の表面に転写(以下、単に鏡面転写ともいう)させることが可能である。これにより表面が平滑な樹脂シート100を形成することができる。かかる製造方法によれば、製造される樹脂シートの表面に非発泡の透明樹脂層20を配置するとともに、当該透明樹脂層20に積層された発泡層10を配置することができ、軽量であって良好な表面平滑性を備える樹脂シート100を製造することができる。
以下により具体的に、樹脂シート100を製造する本製造方法について説明する。尚、以下の説明において特段の断りなく上流または下流という場合には、共押出装置300より押し出された積層体150の押出し方向において、任意の地点から共押出装置300に近い側を上流側といい、当該地点から共押出装置300から遠い側を下流側という。
複数の樹脂層を共押出する際に用いられるTダイ310としては、例えば、マルチマニホールドダイと呼ばれるTダイが用いられる。マルチマニホールドダイとは、内部に複数のマニホールドを有し、各マニホールドから押出される溶融樹脂を積層した状態で合流させダイより吐出させることが可能なTダイである。また上記マルチマニホールドを使用する替りに、特開昭55−117639号方向に記載されているような、各押出機とTダイとの間に取り付けられ各押出機から押出された溶融樹脂を積層合流させて多層構造化させるフィードブロックと呼ばれる装置を用いることもできる。
Tダイ310に設けられたリップ311より吐出された溶融積層体150は、冷却引取部360に送られる。冷却取引部360における冷却機構は特に限定されないが、一般的には、冷却取引部360に設けられた互いに対向するロールのいずれかまたは全部を冷却ロールとするとよい。冷却ロールとしては、例えばロールを内筒と外筒との二重構造とし、これらの間に冷却溶媒を流通させることでロール表面を冷却するものが例示される。対向する2つのロール(たとえば第一ロール320および第二ロール)間に溶融積層体150を通し、冷却しつつ所定方向に引き取ることで樹脂シート100が製造される。このように製造された樹脂シート100は、表面側に非発泡樹脂からなる透明樹脂層20が配置されており、当該透明樹脂層20において優れた表面平滑性が示される。
樹脂シート100の表面平滑性をより良好なものとするために、冷却引取部360に鏡面加工されたロールを配置し、当該ロールの表面を樹脂シート100の透明樹脂層20に転写するとよい。これにより、透明樹脂層20の表面を、鏡面ロール転写面とすることができる。
鏡面加工されたロールの表面を樹脂シートの表面に転写させる一般的な方法は、以下のとおりである。鏡面加工されたロールであって、実質的に表面において弾性を示さない一般的な金属ロールを適度な間隔をあけて対向配置する。対向配置された上記ロールが最接近する対向部に対し、押出機から樹脂材料(溶融積層体)を吐出させ、当該対向部の上流側に樹脂材料の液溜まり(所謂、バンク)を形成しつつ、下流方向に向かって溶融積層体を引取る。これによって、対向部を通過する溶融積層体の表面にロールの表面を転写し鏡面ロール転写面を形成することができる。しかしながら発泡層10を含む樹脂シート100を製造する場合、上記液溜まりを形成した状態で対向配置された第一ロール320及び第二ロール330間を通過させると、発泡層10に含まれる気泡が破泡し易く、これによって樹脂シート100の外観が劣化する恐れがある。
そこで、より好ましい態様として、一方のロール(たとえば第一ロール320)を、ロール表面に弾性を有するタッチロールとし、対向するロール(たとえば第二ロール330)を、溶融積層体150を受けて引き取り方向に送り出すキャストロールとするとよい。かかる態様では、上記タッチロールにて上記キャストロールに対し溶融積層体150を押し付けつつ送り出すことで、上記液溜まり(バンク)の形成を抑制し冷却と鏡面転写を行いながら所定方向に引き取ることができる。ここで、キャストロールの表面が鏡面加工されていることが好ましい。かかる態様では、キャストロールに対向するタッチロールの弾性により、上記バンクの形成が抑制され、リップ311から吐出された溶融積層体150をスムーズに対向するロール間に導入することが可能であり、気泡の破泡が防止され外観に優れた樹脂シート100を製造することができる。
上記キャストロールとしては、実質的に表面において弾性を示さない一般的な金属ロールであって、表面が鏡面加工されたロールを用いることができる。好ましくは、キャストロールは、冷却ロールであるとよい。これにより溶融積層体150を押し付けつつ冷却も同時に実施することができる。
一方、上記タッチロールは表面に弾性を有するロールであり、代表的なものとしては、ロール表面がシリコーンゴムなどのゴム製部材で構成された軟質タッチロール、又はロール表面がスチールなどの金属部材で構成された硬質タッチロールである。上記硬質タッチロールには、シリコーンゴムロール等の弾性部材の表面に薄膜金属層を設けたものも含まれる。
タッチロールは、表面の弾性変形により、溶融積層体150を、対向するキャストロールに均一に押接させ易く、ムラなく溶融積層体150を狭圧することができる。これにより、溶融積層体150の一方側の表面と、キャストロールの鏡面加工された表面と、を充分に密着させることができ、当該鏡面加工された表面を溶融積層体150の表面にムラなく転写することができる。これにより、表面平滑性に優れ光沢ムラが抑制された樹脂シート100を製造することができる。
表面の弾性変形がより大きく溶融積層体150を、対向するキャストロールに押接させ易いという観点からは、軟質タッチロールがより好ましい。一般的に、軟質タッチロールは硬質タッチロールよりも表面における冷却効率が低いが、例えば、図2に示すように、軟質タッチロールである第一ロール320よりも下流域に、冷却ロールである第三ロール340をさらに設けることによって、冷却引取り部360の冷却効率を上げることができる。第三ロール340は、図2に示すように、例えば、第二ロール330に対し適度なギャップを維持した位置に対向配置される。かかる態様では、溶融積層体150は、タッチロールである第一ロール320にて冷却ロールである第二ロール330に溶融積層体150が押し付けられるとともに冷却されながら送り出され、次いで第二ロール330と第三ロール340と間を狭圧されるとともに冷却されながら送り出され、これによって樹脂シート100が製造される。冷却ロールである第三ロール340を設けることで、溶融積層体150(樹脂シート100)の両面を効率良く冷却することができる。尚、図中の補助ロール350は、所定方向に引き取られる樹脂シート100のテンションを調製するための補助部材である。
また第三ロール340として、実質的に表面において弾性を示さない一般的な金属ロールであって、表面が鏡面加工されたロールを用いてもよい。鏡面加工された第三ロール340が、冷却ロールであることがより好ましい。第二ロール330に対向して鏡面加工された第三ロール340を配置することで第二ロール330に対向した面を鏡面転写とすることがき、溶融積層体150の両面を鏡面転写することができる。
上述では、本製造方法として図1(a)に示す3層構造の樹脂シート100を製造する方法について説明したが、これは一例であって、3層構造以外の層構成の樹脂シートを製造する場合には、目的とする層の数に対応した分配ピンとマルチマニホールドダイ、もしくは分配ピンとフィードブロックを用い、各押出機に各層を構成する熱可塑性樹脂を導入し、Tダイ310において積層させた状態で吐出して溶融積層体150を形成するとよい。対向するロール(たとえば第一ロール320と第二ロール330)間のギャップは、適宜、製造樹脂シートの厚みを勘案して調整することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた各評価項目の評価方法は以下の通りであり、結果は表1に示す。また各樹脂シートにおける発泡層に用いた発泡剤の量(発泡層を構成する樹脂100質量部における発泡剤MBの添加量(質量部))は表1に示した。
<層厚み測定方法>
樹脂シートの全厚、最表面の透明樹脂層の厚み、中間透明樹脂層の厚み、及び発泡層の厚みは、以下のとおり測定した。樹脂シートをミクロトームで厚み方向に切断して断面を形成した。上記切断面を、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製デジタルマイクロコープVHX−900)にて50倍の倍率に拡大撮影した。得られた写真に基づいて、厚み方向における樹脂シートの全厚、最表面の透明樹脂層の厚み、中間透明樹脂層の厚み、及び発泡層の厚みをそれぞれ無作為に10箇所測定し、それらの算術平均値を求め、全厚、最表面の透明樹脂層厚み、中間透明樹脂層厚み、及び発泡層厚みとした。なお、最表面の透明樹脂層及び発泡層が複数存在する場合には表裏に分け、それぞれについて無作為に10箇所測定した算術平均値を採用した。
<発泡層の合計厚み比率αの算出方法>
上述する層厚みの測定により得られた樹脂シートの全厚に対する発泡層の合計厚みの比率を算出し、発泡層の合計厚み比率α(%)を算出した。発泡層の合計厚みとは、樹脂シートにおいて発泡層が1層である場合には、当該発泡層の厚みであり、発泡層が複数層である場合には、各発泡層の厚みの合計を意味する。
<鏡面光沢度の測定方法>
実施例及び比較例で得られた各樹脂シートを用いてJIS Z8741:1997に準拠した方法にて入射角20度、60度、85度それぞれにおける鏡面光沢度を測定した。上記鏡面光沢度の測定には、日本電色工業株式会社製PG−IIMを使用した。
<表面平滑性の評価方法>
実施例及び比較例で得られた各樹脂シートを用いてJIS B0601:2001に準拠した方法にて最外層である透明樹脂層の表面平滑性の評価として、算術平均粗さ(Ra)及び十点平均粗さRzjis)を測定した。上記測定には、株式会社小坂研究所製SE1700αを用い、カットオフλc=0.8mmの条件で測定した。
<発泡層の発泡倍率の測定方法>
予め各実施例及び比較例における樹脂シートに設けられる透明樹脂層のみのシートを作製し、単位体積当たりの質量を確認し、標準質量とした。実施例及び比較例で得られた所定形状の樹脂シートを用いて全体の坪量を測定し、上記層厚みの測定結果における透明樹脂層の厚み及び上記標準質量から透明樹脂層の秤量を算出した。全体の坪量、透明樹脂層の坪量、及び標準質量から発泡層の坪量を算出し、発泡層の倍率を算出した。
<発泡層における平均気泡径Dの測定方法>
各樹脂シートを幅方向にミクロトームで切断して切断面を作成し、それぞれの切断面を上記マイクロスコープ(落射モード)にて50倍の倍率に拡大撮影した。得られた写真に基づき、切断面において形状全体が確認された気泡の長径を測定し、平均値を算出して平均気泡径Dとした。尚、形状全体が確認された気泡とは、形状の一部が欠落し若しくは切断されているもの、又は隣の気泡等と一体化して外形が不明確な気泡を除き、気泡の外郭全体が観察された気泡である。
<発泡層における微細気泡の個数測定方法(平面)>
各樹脂シートの押出方向及び幅方向が縦横となるように、樹脂シートの面内方向に対し略垂直上方からマイクロスコープで100倍に拡大撮影した。得られた写真に基づいて、発泡層の押出方向2mm、幅方向2mmの範囲内に存在する外郭の鮮明な気泡の数を計測した。計測結果を1mm当たりの個数に単位換算し、発泡層における気泡数を求めた。尚、該気泡数の計測にあたっては、押出方向2mm、幅方向2mmの範囲内に一部のみが存在する気泡、即ち、該範囲内の境界線上の気泡は除外した。
<発泡層における気泡の個数測定方法(断面)>
各樹脂シートを幅方向において、ミクロトームで切断して断面を形成し、当該断面を上記マイクロスコープ(落射モード)で50倍にて拡大撮影した。得られた写真に基づいて、幅方向6mm、かつ1層の発泡層の厚み方向(厚み領域)の範囲内に存在する気泡の数を計数した。このとき長径が500μm以下の気泡の数は微細気泡の数Xとして計測し、長径が500μmを上回る気泡の数は大気泡の数Yとして計測した。計測結果を1mm当たりの個数に単位換算し、発泡層における微細気泡の数X及び大気泡の数Yを求めた。
また、単位面積当たりにおける、微細気泡の数Xと大気泡の数Yの合計に対する大気泡の数Yの割合を算出し、併せて表1に示した。
尚、上記気泡数の測定にあたっては、幅方向6mm、かつ1層の発泡層の厚み方向(厚み領域)の範囲内に一部のみが存在する気泡、即ち、該範囲内の境界線上の気泡は除外した。
<光学物性の評価>
ヘーズ(Hz)は、樹脂シートから無作為に50mm×50mmのサイズ(厚みは樹脂シートの厚み)の試験片を3枚切り出し、JIS K7136(2000年)に従って、濁度計(日本電色工業株式会社製Haze Meter NDH7000SP)を用いて上記試験片のヘーズを測定した。得られた3つの試験片の算術平均値をヘーズ(Hz)として表1に示した。
全光線透過率(TT)は、上記と同様にして試験片を作製して、JIS K7361−1:1997に従って、濁度計(日本電色工業株式会社社製Haze Meter NDH7000SP)を用いて測定した。得られた3つの試験片の算術平均値を全光線透過率(TT)として表1に示した。
<外観評価>
樹脂シートの一方側の表面を室内灯下において1mの距離から目視により観察し以下のとおり評価した。
平滑性及び光沢性があり外観が非常に良好であった・・・・・・◎
平滑性または光沢性があり外観が良好であった・・・・・・・・○
ざらつきが見られ外観が不良であった・・・・・・・・・・・・×
<破泡評価>
樹脂シート製造中に、第一ロールおよび第二ロール間を通過する際、ならびに第二ロールおよび第三ロール間を通過する際に、破泡現象が発生していないか目視評価を行った。上記目視評価は、各ロール間を通過したシートの外観を室内灯下において目視で観察し、破泡の発生の有無を評価することで行った。
以下の各実施例及び比較例の樹脂シートは、複数の単軸押出機と、上記複数の単軸押出機の全てに連結されたマルチマニホールド式積層Tダイ(リップ幅(w)300mm)とが取り付けられた共押出機を用いた。各単軸押出機の軸径と、これに導入される樹脂は、各実施例及び比較例に関する以下の説明にて示す。Tダイのリップ間隔は、4.5mm、リップ部の平行ランド長は5.0mmとした。各単軸押出機に各層を構成する樹脂を導入し、押出量40kg/hrとして共押出した。各押出機の吐出比率は、表1に示す層厚みになるよう調整した。上記Tダイから吐出された樹脂を図2に示す押出機と同様にゴム製タッチロールと冷却ロールからなるロールユニットにより送り出し、ロール鏡面を転写させて熱可塑性樹脂積層板である樹脂シートを作製した。尚、引取り速度は目的の製品厚みに合わせて調整した。各ロールの温度は3台のオイル温調ポンプを用いて別々の温度調整を行った。
<実施例1>
以下の条件で、一方側の面から、最表面の透明樹脂層、発泡層、中間透明樹脂層、発泡層、最表面の透明樹脂層の順に層構成されてなる3種5層の樹脂シートを作製し実施例1とした。
中間透明樹脂層用の分岐ポリスチレン樹脂(DIC株式会社製「HP−780」)を軸径65mmの単軸押出機に導入した。発泡層用の分岐ポリスチレン樹脂(DIC株式会社製「HP−780」)及び発泡剤として重曹系化学発泡剤MB(永和化成工業株式会社製ポリスレンES275)をドライブレンドしたものを軸径40mmの単軸押出機に導入した。最外層である透明樹脂層用の汎用ポリスチレン(PSジャパン株式会社製「679」)を軸径30mmの単軸押出に導入した。
上述のとおり各押出機に導入された樹脂材料を、3種5層の分配ピンを備えるマルチマニホールドダイから3種5層に積層された状態で共押出した。各押出機の吐出比率は、製造される樹脂シートにおける各層が設計厚みとなるよう適宜調整した。なお、実施例1において厚み方向に2層存在する最表面の透明樹脂層は、該分配ピンを調節することによって同じ厚みとした。また、発泡層についても同様にして2層の発泡層を同じ厚みとした。その後、図2に示す冷却引取部360と同様の構成のロールにて3種5層の溶融積層体を冷却するとともに所定方向に引き取り、樹脂シートを得た。尚、図2における第一ロール320に相当するロールとして、表面がシリコーンゴムロールで構成さえた軟質タッチロールを用い、第二ロール330および第三ロール340に相当するロールとして、表面が鏡面加工された金属ロールであって冷却機構を有する冷却ロールを用いた。冷却引取部の構成は、後述する実施例および比較例に関しても同様である。
<実施例2>
中間透明樹脂層用の樹脂を汎用ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製「680」)とし、各層の厚みを表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様の樹脂シートとし、透明樹脂層、発泡層、中間透明樹脂層、発泡層、透明樹脂層の順に層構成されてなる実施例2を得た。
<実施例3>
各層の厚みを表1に示すとおり変更したこと以外は実施例1と同様の樹脂シートとし、透明樹脂層、発泡層、中間透明樹脂層、発泡層、透明樹脂層の順に層構成されてなる実施例3を得た。
<実施例4>
一方側の面から、透明樹脂層、発泡層、透明樹脂層の順に層構成されてなる2種3層の樹脂シートとし、各層の厚みを表1に示すとおり変更したこと以外は実施例1と同様に樹脂シートを作製し、実施例4とした。
<実施例5>
各層の厚みを表1に示すとおり変更したこと以外は実施例1と同様の樹脂シートとし、透明樹脂層、発泡層、中間透明樹脂層、発泡層、透明樹脂層の順に層構成されてなる実施例5を得た。
<実施例6>
各層の厚みを表1に示すとおりを変更したこと以外は、実施例4と同様の樹脂シートとし、透明樹脂層、発泡層、透明樹脂層の順に層構成されてなる実施例6を得た。
<実施例7>
各層の厚みを表1に示すとおりを変更した以外は、実施例4と同様の樹脂シートとし、透明樹脂層、発泡層、透明樹脂層の順に層構成されてなる実施例7を得た。
<実施例8>
各層の厚みを表1に示すとおりを変更した以外は、実施例4と同様の樹脂シートとし、透明樹脂層、発泡層、透明樹脂層の順に層構成されてなる実施例8を得た。
<実施例9>
各層の厚みを表1に示すとおりを変更した以外は、実施例4と同様の樹脂シートとし、透明樹脂層、発泡層、透明樹脂層の順に層構成されてなる実施例9を得た。
<比較例1>
最表面の透明樹脂層を設けずに、一方側の面から、発泡層、中間透明樹脂層、発泡層の順に層構成されてなる2種3層の樹脂シートとし、比較例1とした。
<比較例2>
最表面の透明樹脂層の厚みを表1に示すとおり変更したこと以外は、実施例1と同様に樹脂シートを作製し比較例2とした。
<比較例3>
各層の厚みを表1に示すとおりを変更したこと、及び発泡剤の使用量を3倍に増大させたこと以外は実施例1と同様に樹脂シートを作製し比較例3とした。
表1に示すとおり、実施例は全て、最外層である透明樹脂層の厚みが50μm以上であり、発泡層に含まれる気泡の平均気泡径Dが500μm以下であり、最外層である透明樹脂層側の表面は、算術平均粗さRaが0.7μm以下であるとともに20度鏡面光沢度が50%以上であった。かかる構成を備える各実施例は、いずれも外観が非常に良好または良好であり、本発明の所期の課題を満たす樹脂シートであることが確認された。
透明樹脂層の厚みが75μmに調整され、当該透明樹脂層の表面にロールの表面が転写された実施例1の樹脂シートは、算術平均粗さRa=0.61μm、20度光沢度=59となり、表面平滑性が良好であった。また透明樹脂層の厚みを245μmに変更したこと以外は、実施例1と同様に作製された実施例5の樹脂シートは、算術平均粗さRa=0.18μm、20度光沢度=106となり、表面の平滑性が非常に良好であった。一方、透明樹脂層の厚みを30μmに変更したこと以外は、実施例1と同様に作製された比較例2の樹脂シートは、算術平均粗さRa=0.72μm、20度光沢度=49となり、表面の平滑性が不良であった。このことから、樹脂シートの透明樹脂層の厚みが、表面平滑性に影響を及ぼすことが理解される。良好な表面平滑性を得るという観点から、本発明の樹脂シートの透明樹脂層の厚みは50μm以上であり、200μm以上とすることが好ましいということが上記の結果から示された。
比較例1は、実施例と同様に、最外層の表面に対し、鏡面加工された2つのロール(第二ロール330および第三ロール340)の表面が転写されたものの、良好な表面平滑性は得られなかった。これは、上記最外層が透明樹脂層ではなく発泡層であるため、当該発泡層の表面付近に形成された気泡の影響により、良好に鏡面ロール転写面が形成されなかったものと推察された。
比較例3は、上記透明樹脂層の厚みが50μm以上に設計されたものの、良好な平滑性が得られなかった。比較例3は、発泡層における気泡の一部が合一しており、微細な気泡と合一した大気泡が混在している状態であった。また比較例3における発泡層は、大気泡が有意に測定され、当該大気泡の平均気泡径が最外層である透明樹脂層の厚みの2倍を超えていた。このことから、透明樹脂層の下層に位置する発泡層において、透明樹脂層の厚みの2倍を超える大気泡が有意に存在する場合には、当該大気泡が表面の平滑性に望ましくない影響を与え得ることが推察された。
Figure 2018034380
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)熱可塑性樹脂からなり、気泡を含む発泡層と熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層とが共押出により積層されてなる全体厚み500μm以上10000μm以下の樹脂シートであって、
前記透明樹脂層が樹脂シートの少なくとも一方の表面側に位置しているとともに前記透明樹脂層の厚みが50μm以上であり、
樹脂シートの押出方向と直交する垂直断面における発泡層の気泡の平均気泡径が500μm以下であり、
JIS B0601:2001に準拠して測定された前記樹脂シートの前記透明樹脂層側の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以下であり、
JIS Z8741:1997に準拠して測定された前記樹脂シートの前記透明樹脂層側の表面の20度鏡面光沢度が50%以上であることを特徴とする樹脂シート。
(2)前記樹脂シートの前記透明樹脂層側の前記表面が、鏡面ロール転写面であることを特徴とする、上記1に記載の樹脂シート。
(3)前記樹脂シートの面内方向に対し略垂直上方から観察される前記発泡層の単位面積における気泡径500μm以下の気泡数が、10個/mm以上である上記1または2に記載の樹脂シート。
(4)前記樹脂シートの押出方向と直交する垂直断面における発泡層の全気泡の数に対する、気泡径500μmを上回る気泡の数の割合が、1%以下である上記1から3のいずれか一項に記載の樹脂シート。
(5)前記透明樹脂層が、前記樹脂シートの両表面に位置し、それぞれの厚みが50μm以上である上記1から4のいずれか一項に記載の樹脂シート。
(6)前記発泡層を複数有し、一の発泡層と他の発泡層との間に中間透明樹脂層を有する上記1から5のいずれか一項に記載の樹脂シート。
(7)前記樹脂シートの少なくとも一方の表面に位置する前記透明樹脂層の厚みが、200μm以上である上記1から6のいずれか一項に記載の樹脂シート。
(8)前記発泡層の発泡倍率が、1倍を上回り2倍以下である上記1から7のいずれか一項に記載の樹脂シート。
(9)前記樹脂シートの前記全体厚みに対する前記発泡層の合計厚みの割合(α)が25%以上60%以下である上記1から8のいずれか一項に記載の樹脂シート。
10・・・発泡層
20・・・透明樹脂層
22・・・表面
30・・・中間透明樹脂層
100、200、220・・・樹脂シート
122・・・鏡面ロール転写面
131・・・第一の発泡層
132・・・第二の発泡層
150・・・積層体
300・・・単軸押出機
310・・・Tダイ
311・・・リップ
320・・・第一ロール
330・・・第二ロール
340・・・第三ロール
350・・・補助ロール
360・・・冷却取引部

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂からなり、気泡を含む発泡層と熱可塑性樹脂からなる透明樹脂層とが共押出により積層されてなる全体厚み500μm以上10000μm以下の樹脂シートであって、
    前記透明樹脂層が樹脂シートの少なくとも一方の表面側に位置しているとともに前記透明樹脂層の厚みが50μm以上であり、
    樹脂シートの押出方向と直交する垂直断面における発泡層の気泡の平均気泡径が500μm以下であり、
    JIS B0601:2001に準拠して測定された前記樹脂シートの前記透明樹脂層側の表面の算術平均粗さ(Ra)が0.7μm以下であり、
    JIS Z8741:1997に準拠して測定された前記樹脂シートの前記透明樹脂層側の表面の20度鏡面光沢度が50%以上であることを特徴とする樹脂シート。
  2. 前記樹脂シートの前記透明樹脂層側の前記表面が、鏡面ロール転写面であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 前記樹脂シートの面内方向に対し略垂直上方から観察される前記発泡層の単位面積における気泡径500μm以下の気泡数が、10個/mm以上である請求項1または2に記載の樹脂シート。
  4. 前記樹脂シートの押出方向と直交する垂直断面における発泡層の全気泡の数に対する、気泡径500μmを上回る気泡の数の割合が、1%以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  5. 前記透明樹脂層が、前記樹脂シートの両表面側に位置する請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  6. 前記発泡層を複数有し、一の発泡層と他の発泡層との間に中間透明樹脂層を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  7. 前記樹脂シートの少なくとも一方の表面側に位置する前記透明樹脂層の厚みが、200μm以上である請求項1から6のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  8. 前記発泡層の発泡倍率が、1倍を上回り2倍以下である請求項1から7のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  9. 前記樹脂シートの前記全体厚みに対する前記発泡層の合計厚みの割合(α)が25%以上60%以下である請求項1から8のいずれか一項に記載の樹脂シート。
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