〔クーラント処理装置〕
本発明の実施形態1に係るクーラント処理装置100の構成について、図1〜図7に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るクーラント処理装置100を示す斜視図である。図2は、クーラント処理装置100を示す側面図である。図3は、クーラント処理装置100に装着されている濾過ドラム3を一部を切り欠いて示す斜視図である。図4は、フィルタを除く濾過ドラム3を示す分解斜視図である。図5は、図2のA−A線矢視断面図である。
図1および図2に示すように、クーラント処理装置100は、コンベヤフレーム1(フレーム)と、コンベヤ2と、濾過ドラム3と、ドラム支持機構4と、フィルタ洗浄装置5とを備えている。クーラント処理装置100は、コンベヤフレーム1内に貯留された混濁クーラントに含まれる切粉を、コンベヤ2によって掬い上げて排出することにより、混濁クーラントから分離している。また、クーラント処理装置100は、濾過ドラム3がコンベヤフレーム1内に貯留された混濁クーラントを濾過して浄化することにより、再利用が可能な浄化クーラントを生成する。また、クーラント処理装置100は、浄化クーラント貯留槽6内に設置されている。浄化クーラント貯留槽6は、濾過ドラム3から排出された浄化クーラントを貯留するために設けられている。
コンベヤフレーム1は、フレーム下部11と、フレーム上部12と、切粉排出部13とを有している。また、フレーム下部11およびフレーム上部12の側面は、コンベヤフレーム1の側部14を構成している。コンベヤフレーム1内には、コンベヤ2および濾過ドラム3が回転可能に配置されている。
フレーム下部11の一端側から所定の範囲には、上面にクーラント投入口11aが形成されている。クーラント投入口11aには、クーラント投入口11aの上方に配置された工作機械Mから排出された混濁クーラントが投入される。フレーム下部11は、全体に混濁クーラントを貯留する混濁クーラント貯留槽を形成している。
フレーム上部12は、フレーム下部11の他端側から上方に延びる閉空間をなすように形成されている。フレーム上部12における側部14には、濾過ドラム3の上方からコンベヤフレーム1の内部における濾過ドラム3の状態を監視するための監視窓12aが設けられている。
切粉排出部13は、フレーム上部12の上端部分に設けられており、コンベヤ2によって搬送されてきた切粉を排出するための切粉排出口13aを有している。
コンベヤ2は、無端搬送帯21と、駆動スプロケット22と、従動スプロケット23と、駆動モータ24とを有している。
無端搬送帯21は、フレーム下部11、フレーム上部12および切粉排出部13の内部に配置されている。無端搬送帯21は、駆動スプロケット22と従動スプロケット23との間に架け渡されており、駆動スプロケット22によって一定方向に移動するように駆動される。無端搬送帯21は、切粉を混濁クーラントから効率的に掬い上げて搬送する構造を有しており、例えば、ヒンジベルトや、スクレーパコンベヤで用いられるチェーンおよびスクレーパによって構成されている。無端搬送帯21の移動経路が送り経路から戻り経路へと変わる駆動スプロケット22の位置において、無端搬送帯21によって搬送されてきた切粉が下方に落下する。
駆動スプロケット22は、切粉排出部13内に配置されており、従動スプロケット23は、フレーム下部11におけるクーラント投入口11a側の端部の付近に配置されている。駆動モータ24は、駆動スプロケット22に連結されたモータであり、切粉排出部13内に配置されている。
ドラム支持機構4は、濾過ドラム3をコンベヤフレーム1に回転可能となるように支持する機構である。図2〜図5に示すように、ドラム支持機構4は、支持板41と、ローラ411と、ボルト412と、ナット413と、ワッシャ414と、ローラスペーサ415と、を有している。また、ドラム支持機構4は、カバー42と、ネジ43と、スペーサ44とを有している。
図1および図5に示すように、支持板41は、コンベヤフレーム1の側部14に設けられたフレーム開口14aの周囲に取り付けられており、側部14とともにコンベヤフレーム1の側壁(壁部)を構成している。図3〜図5に示すように、支持板41には、濾過ドラム3の内部に通じ、壁部の開口となる開口41aが形成されている。また、図5に示すように、支持板41には、後述するオイルシール36の状態を目視で観察できるように、切欠き部41iが限られた所定大きさで形成されている。この切欠き部41iは、ガラスなどの透光性部材によってコンベヤフレーム1内を見ることができるように封止している。なお、切欠き部41iは、オイルシール36を観察できる位置であれば特に配置される位置は限定されず、図2に示すA−A線断面の位置以外の位置に設けられていてもよい。
なお、切欠き部41iは、クーラントに漬かっていない範囲では上記のように封止されていなくてもよい。
支持板41には、外周端縁の近傍に複数のネジ孔41bが所定の間隔をおいて形成されている。このネジ孔41bに挿通されたネジ43をコンベヤフレーム1の側部14に輪状のスペーサ44を介して締結することにより、支持板41はコンベヤフレーム1に固定される。また、支持板41には、フレーム開口14aの周囲に4つのローラ411が取り付けられており、ローラ411を取り付けるためのボルト412が挿通されるボルト孔41cが形成されている。その他、支持板41には、フィルタ洗浄装置5を固定するための固定孔41dが2つ形成されている。なお、図2においては、便宜上、支持板41において固定孔41dを省略している。
図5に示すように、ローラ411の中心孔にはボルト412が挿通されており、ボルト412に挿通されたナット413がワッシャ414を介してローラ411に締め付けられている。これにより、ローラ411はボルト412を軸として回転するように支持板41に支持される。また、支持板41とローラ411との間には、ローラスペーサ415が挿入されている。
4つのローラ411は、上側の2箇所と下側の2箇所とに間隔をおいて設けられており、上記のように支持板41に回転可能に支持されている。これにより、4つのローラ411は、それぞれ後述する輪状部材31の内周面(周面)と当接することによって、濾過ドラム3を壁部に対して回転可能に支持している。
ローラ411は、ローラ411が長期に亘って浄化クーラント中に浸漬しないように、浄化クーラントの通常の液面の高さより高い位置に配置されている。これにより、ローラ411の腐食が防止されるとともに、ローラ411を取り替えるときの作業性が向上する。
なお、ローラ411の数は、濾過ドラム3を安定して支持することができれば、4つに限定されず3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
カバー42は、支持板41の開口41aにおける下側の一部を開放するように開口41aを塞ぐ板状の部材である。カバー42には、上述の4本のボルト412のうち、上側に位置する2本のボルト412の頭部を配置するために貫通した2つの貫通孔42aが形成されている。また、カバー42の外周端縁の近傍には、複数のネジ孔42bが支持板41のネジ孔41bと合致するように形成されている。このネジ孔42bに挿通されたネジ43をコンベヤフレーム1の側部14に締結することにより、カバー42は支持板41に取り付けられる。また、図2に示すように、カバー42に覆われていない開口41aの一部は、濾過ドラム3の内部に濾過された浄化クーラントを排出するクーラント排出口40となる。
濾過ドラム3は、フレーム下部11およびフレーム上部12に跨がる領域に配置されており、下側の一部がフレーム下部11に貯留された汚濁クーラントに浸漬する。図3〜図5に示すように、濾過ドラム3は、輪状部材31と、連結部材32と、フィルタ33と、支持部材34と、ホースバンド35と、オイルシール36(シール部材)と、シールガード37とを含んでいる。なお、図4においては、便宜上、フィルタ33を省略している。
輪状部材31は、その中心に沿った方向に延びた所定の幅を有する輪状の部材であり、濾過ドラム3の外周の一部をなしている。図5に示すように、輪状部材31の外方(濾過ドラム3の回転軸方向の外側に向く方向)の端部(以降、単に「外方端部」と称する)は、支持板41と対向している。輪状部材31における外方端部の端面と、支持板41の内壁面との間には、所定間隔の隙間Gが形成されている。輪状部材31の内方の端部(外方端部と反対側の端部,以降、単に「内方端部」と称する)の外周面には、コンベヤ2の無端搬送帯21に噛み合うスプロケット310が設けられている。濾過ドラム3は、スプロケット310が無端搬送帯21に噛み合うことにより、無端搬送帯21の移動に伴って回転駆動される。また、輪状部材31における内周面(周面)には、内方端部側に最も内径の小さい小径部31aが形成され、外方端部側に、小径部31aより大きい内径を有し、ローラ411の外周面が当接する大径部31bが形成されている。
連結部材32は、複数設けられた棒状の部材であり、対向するように配置される2つの輪状部材31を所定の間隔をおいて連結している。連結部材32の両端の端面は、輪状部材31の内方端部の端面と溶接などによって接合されている。
フィルタ33は、濾過ドラム3の外周に設けられており、複数の連結部材32の周りに隙間なく筒状に巻かれている。フィルタ33は、切粉が付着しやすい不織布などを材料として構成されている。
支持部材34は、連結部材32を支持するために設けられた輪状の部材である。支持部材34は、濾過ドラム3の回転軸方向に延びる固定部34aと、固定部34aの一端側から濾過ドラム3の回転軸方向に垂直な方向の外方に延びる鍔部34bとを有している。鍔部34bは、スプロケット310における、輪状部材31の内方端部側の端面に、溶接などによって接合されている。固定部34aの内周面には、連結部材32の側面の接する部分が溶接などによって接合されている。また、フィルタ33の輪状部材31側の端縁は、固定部34aに巻かれており、さらにホースバンド35によって固定部34aに締め付けられることで固定部34aに固定されている。
オイルシール36は、輪状部材31と支持板41(壁部)との間をシールするために設けられており、輪状部材31の外周面に固定されている。オイルシール36は、ニトリルゴムなどによって構成されている。オイルシール36は、輪状に形成されて中心軸に沿った断面がV字形状をなしており、リップ36aを有している。リップ36aは、支持板41の内壁面に摺接している。一般に、オイルシールは、弾性材料からなるリップによって摺接する面を押し付ける構造を有するので、高精度に作製しなくても大きい追従代を確保することができる。
なお、オイルシール36としては、上記の構造以外のタイプのオイルシールを用いることができる。また、オイルシール36は、輪状部材31ではなく支持板41(壁部)に固定され、リップ36aが輪状部材31の外周面に摺接するように配置されていてもよい。
シールガード37は、混濁クーラントに含まれる切粉からオイルシール36を保護するために設けられており、輪状部材31の外周面に固定されている。シールガード37は、輪状に形成されるとともに、オイルシール36を覆うような屈曲した形状に形成されている。また、シールガード37の支持板41と対向する端縁と、支持板41との間には隙間が形成されている。
なお、オイルシール36は、図7に示すように、その外周面に輪状に形成されたダストリップ36bを有していてもよい。ダストリップ36bは、隙間G側に伸びるように、かつ端部が支持板41の内壁面との間で隙間を形成するように形成されている。ダストリップ36bにより、濾過ドラム3の内側から隙間G,G11,G12を介して通り抜けた切粉がリップ36aへ進入することを抑止することができる。このオイルシール36の構造は、後述する実施形態2〜4にも適用できる。
ところで、支持板41の内壁面には、シールガード37の外周側に凸部材45が固定されている。凸部材45は、シールガード37の端縁と所定間隔の隙間を形成するように配置された輪状の部材である。凸部材45を設けることにより、オイルシール36側へ切粉を進入しにくくしている。凸部材45は、シールガード37の全周に沿って輪状に形成されていてもよいが、少なくとも混濁クーラントに浸漬する部分に円弧状に形成されていてもよい。
フィルタ洗浄装置5は、浄化クーラントを用いてフィルタ33を洗浄する装置である。フィルタ洗浄装置5は、濾過ドラム3内の浄化クーラントを吸い上げてフィルタ33の内側に噴射することにより、フィルタ33の表面に付着した切粉を吹き飛ばすように構成されている。
上記のように構成されるクーラント処理装置100の動作について説明する。
コンベヤフレーム1のクーラント投入口11aからフレーム下部11に投入された混濁クーラントには切粉が含まれている。無端搬送帯21は、その切粉を混濁クーラントから掬い上げて、コンベヤフレーム1の切粉排出部13まで矢印Tの方向に搬送して落下させる。これにより、切粉は切粉回収箱Bに回収される。
一方、濾過ドラム3は、フレーム下部11に貯留された混濁クーラントを濾過ドラム3の外側から内側へ通過させることにより、フィルタ33で濾過して切粉を取り除き、濾過後の浄化クーラントをクーラント排出口40から浄化クーラント貯留槽6に排出する。浄化クーラント貯留槽6に貯留された浄化クーラントは、後にポンプなどで吸い上げられて工作機械Mなどで再利用される。
また、濾過ドラム3の内外は、輪状部材31の両端部と支持板41との間がオイルシール36によって封止されている。これにより、濾過ドラム3の外側に貯留されている混濁クーラントが濾過ドラム3の内側に漏れ出すことを抑止できる。
ここで、濾過ドラム3およびドラム支持機構4における浄化クーラント貯留側のシール構造について説明する。
図6は、濾過ドラム3とドラム支持機構4とを示す側面図である。図7は、図6のB−B線矢視断面図である。
図6および図7に示すように、ドラム支持機構4の支持板41は第1板状部材41e(突出部)を有している。第1板状部材41eは、支持板41における開口41aを形成する端面と同一面をなす面を内周面に有する円弧状の部材であり、下側の2つのローラ411の下方において、支持板41の下端から高さHの位置に両端を有している。また、第1板状部材41eは、その外周面が輪状部材31の大径部31bと所定間隔の隙間G11をおいて対向するように配置されるとともに、その外周面が輪状部材31の小径部31aの内径と同じ内径を有している。また、第1板状部材41eの端縁と、輪状部材31の小径部31aと大径部31bとの間の段差面との間には、所定間隔の隙間G12が形成されている。また、前述のように、輪状部材31の外方端部の端面と支持板41の内壁面との間には隙間Gが形成されている。
濾過ドラム3において、クーラント処理装置100の通常動作時、支持板41の第1板状部材41eの両端の位置より下方に浄化クーラントの液面が位置する。上記の隙間G,G11,G12により、濾過ドラム3による濾過後の浄化クーラントが存在する浄化領域において、オイルシール36に至る屈曲した狭幅隙間が形成される。輪状部材31の内周面と、支持板41の内壁面と、第1板状部材41eとは、上記の狭幅隙間を形成することにより、切粉がオイルシール36に至るのを抑止する抑止部を構成している。隙間G,G11,G12の間隔は、鋸盤などの工作機械Mが発生する微細な切粉の進入を抑制するとともに、取り付け公差の範囲内で、輪状部材31と第1板状部材41eとの接触および輪状部材31と支持板41との接触を回避するように設定されることが好ましい。
ここで、本発明に係る濾過装置は、上述した壁部と、濾過ドラム3と、ドラム支持機構4とを含むものである。
上記のように構成される濾過ドラム3およびドラム支持機構4によれば、壁部と輪状部材31との間において濾過ドラム3の外側から内側への混濁クーラントの漏出がオイルシール36によって防止される。また、濾過後の浄化クーラントに切粉が混入してしまったとしても、その切粉がオイルシール36に至るのを抑止部によって抑止することができる。その結果、浄化クーラントに混入した切粉がオイルシール36に付着することによってオイルシール36のシール機能が損なわれることを抑制することができる。
また、狭幅隙間は、濾過ドラム3の回転軸に垂直に延びる垂直部として隙間G,G12を有し、回転軸に平行に延びる平行部として隙間G11を有している。このように狭幅隙間が垂直部と平行部とを有することにより、クーラントの流れを抑制することができる。通常、切粉は、重力によりクーラント中を沈むため、狭幅隙間が垂直部のみを有する構成ではオイルシール36に侵入する。そこで、垂直部だけでなく、クーラントの流れを生じない平行部を設けることで、切粉は、垂直部の底、すなわち平行部が垂直部と接続される平行部の端部に溜まっていくので、さらにオイルシール36側に移動しにくくなる。これにより、切粉がオイルシール36側に移動するのを抑制することができる。
また、濾過ドラム3の周方向に沿って、抑止部が設けられた部分と設けられていない部分とが存在している。抑止部が設けられた部分では、第1板状部材41eによる狭幅隙間が形成されていることにより、浄化領域側からオイルシール36を目視により観察することが困難である。これに対し、抑止部(第1板状部材41e)が設けられていない部分が存在することにより、支持板41からカバー42を外すだけで、オイルシール36を隙間Gから目視により容易に観察することができる。したがって、オイルシール36のメンテナンスなどのための検査をより容易に行うことができる。なお、抑止部が設けられていない部分におけるオイルシール36の観察をより容易にするために、抑止部が設けられていない部分の支持板41における輪状部材31の外方端部と対向する部分の厚さを薄くすることにより、輪状部材31の外方端部と支持板41の内壁面との間隔を広げてもよい。
また、抑止部は、隣り合うローラ411の間において、ローラ411が当接する輪状部材31(大径部31b)の内周面(周面)との間で狭幅隙間を形成している。このように、ローラ411と接する輪状部材31の内周面を狭幅隙間の形成に利用することにより、装置の大型化を伴わずに比較的長い狭幅隙間を形成することができる。したがって、切粉がオイルシール36に至るのを抑止する効果をより向上させることができる。
また、浄化クーラントに混入した切粉が濾過ドラム3の内部に進入するのは浄化クーラントに浸漬される側であり、浄化クーラントに浸漬されない側には切粉が進入しない。そこで、この部分に抑止部が設けられないことにより、メンテナンスを容易に行うことができる。
(変形例)
本実施形態の変形例を図8に基づいて説明する。図8は、本変形例に係る濾過ドラム3およびドラム支持機構4の要部を拡大して示す断面図である。
図8に示すように、本変形例に係るクーラント処理装置100では、図6および図7に示す支持板41に代えて支持板410を備えている。
支持板410は、支持板41の第1板状部材41eに代えて第2板状部材41fを有している。第2板状部材41fは、円環状の板部材であり、支持板410の内壁面に貼り付けられている。オイルシール36は、リップ36aが支持板410の内壁面に摺接するように配置されている。
第2板状部材41fの外周側の端縁と、輪状部材31の外方端部側の外周面との間には、所定間隔の隙間G13(上述の平行部)が形成されている。隙間G13の間隔についても、上述の微細な切粉の進入を抑制するとともに、取り付け公差の範囲内で、輪状部材31と第2板状部材41fとの接触を回避するように設定されることが好ましい。この隙間G13と、上述の隙間Gとにより、濾過ドラム3による濾過後の浄化クーラントが存在する浄化領域において、オイルシール36に至る屈曲した狭幅隙間が形成される。輪状部材31の外方端部と、支持板41の内壁面と、第2板状部材41fとは、上記の狭幅隙間を形成することにより、切粉がオイルシール36に至るのを抑止する抑止部を構成している。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について図1、図2、図9〜図11を用いて説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施形態において、実施形態1で用いた部材と同等の機能を有する部材については、適宜、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
図9は、実施形態2に係る濾過ドラム3Aとドラム支持機構4Aとを示す側面図である。図10は、図9のC−C線矢視断面図である。
図1および図2に示すクーラント処理装置101は、クーラント処理装置100の濾過ドラム3およびドラム支持機構4に代えて、濾過ドラム3Aおよびドラム支持機構4Aを備えており、それ以外はクーラント処理装置100と同様に構成されている。図9および図10に示すように、濾過ドラム3Aは、前述の濾過ドラム3において、輪状部材31に代えて輪状部材311を有するものである。
輪状部材311における内周面には、最も小さい内径を有する小径部311aと、小径部311aの内径より大きい内径を有する中径部311bと、中径部311bの内径より大きい内径を有する大径部311cとが形成されている。小径部311aは、輪状部材311の内方端部側に形成され、大径部311cは、輪状部材311の外方端部側に形成されている。中径部311bは、小径部311aと大径部311cとの間に形成され、ローラ411の外周面が当接する。また、輪状部材311の外周面には、輪状部材31と同様に、オイルシール36およびシールガード37が固定されている。
ドラム支持機構4Aの支持板41Aは第1凸部材41g(突出部)を有している。第1凸部材41gは、支持板41Aの内壁面から輪状部材311に向けて突出するように設けられている。第1凸部材41gは、断面形状が方形をなしている円弧状の部材であり、下側の2つのローラ411の下方において、支持板41Aの下端から高さHの位置に両端を有している。また、第1凸部材41gの内周面と中径部311bとは、同一の曲面上にある。
第1凸部材41gは、支持板41Aの内壁面と平行な端面が、輪状部材311の中径部311bと大径部311cとの間の段差面と所定間隔の隙間G21をおいて対向するように配置されている。また、第1凸部材41gは、外周側の端面が輪状部材311の大径部311cとの間と所定間隔の隙間G22をおいて対向するように配置されている。また、輪状部材311における外方端部の端面と、支持板41Aの内壁面との間には隙間Gが形成されている。
濾過ドラム3において、クーラント処理装置100の通常動作時、第1凸部材41gの両端より下方に浄化クーラントの液面が位置する。上記の隙間G,G21,G22により、濾過ドラム3による濾過後の浄化クーラントが存在する浄化領域において、オイルシール36に至る屈曲した狭幅隙間が形成される。輪状部材31の内周面と、支持板41の内壁面と、第1凸部材41gとは、上記の狭幅隙間を形成することにより、切粉がオイルシール36に至るのを抑止する抑止部を構成している。隙間G21,G22の間隔についても、上述の微細な切粉の進入を抑制するとともに、取り付け公差の範囲内で、輪状部材311と第1凸部材41gとの接触を回避するように設定されることが好ましい。
上記のように構成される濾過ドラム3Aおよびドラム支持機構4Aによれば、濾過後のクーラントに切粉が混入してしまったとしても、その切粉がオイルシール36に至るのを抑止部によって抑止することができる。その結果、オイルシール36のシール機能が損なわれることを抑制することができる。
また、狭幅隙間は、濾過ドラム3Aの回転軸に垂直に延びる垂直部として隙間G,G21を有し、回転軸に平行に延びる平行部として隙間G22を有している。このように狭幅隙間が垂直部と平行部とを有することにより、クーラントの流れを抑制することができる。これにより、前述のように、クーラントの流れを生じない水平部において切粉がオイルシール36側に移動するのを抑制することができる。
また、濾過ドラム3の周方向に沿って、抑止部が設けられた部分と設けられていない部分とが存在している。抑止部が設けられた部分では、第1凸部材41gによる狭幅隙間が形成されていることにより、浄化領域側からオイルシール36を目視により観察することが困難である。これに対し、抑止部(第1凸部材41g)が設けられていない部分が存在することにより、支持板41Aからカバー42を外すだけで、オイルシール36を隙間Gから目視により容易に観察することができる。したがって、オイルシール36のメンテナンスなどのための検査をより容易に行うことができる。なお、抑止部が設けられていない部分におけるオイルシール36の観察をより容易にするために、抑止部が設けられていない部分の支持板41Aにおける輪状部材311の外方端部と対向する部分の厚さを薄くすることにより、輪状部材311の外方端部と支持板41Aの内壁面との間隔を広げてもよい。
また、抑止部は、輪状部材311の内周面(大径部311c)との間で狭幅隙間を形成している。このように、ローラ411と接する輪状部材31の内周面を狭幅隙間の形成に利用することにより、装置の大型化を伴わずに比較的長い狭幅隙間を形成することができる。したがって、切粉がオイルシール36に至るのを抑止する効果をより向上させることができる。
なお、本実施形態では、抑止部として支持板41Aに固定される第1凸部材41gを設けているが、第1凸部材41gに代えて、支持板41Aに固定されない円環状部材(図示せず)を抑止部として設けてもよい。この円環状部材は、輪状部材311の大径部311cの内径よりも小さい外径を有し、かつ第1凸部材41gの断面形状(図10)と同じ断面形状を有している。また、円環状部材は、輪状部材311の中径部311bと大径部311cとの間の段差面と、大径部311cと、支持板41Aの内壁面とで囲まれる領域に配置されている。このため、円環状部材は、自重により一部で大径部311cと接触(線接触)するが、接触部分以外では大径部311cとの間で隙間G22を形成する。ただし、隙間G22は、大径部311cの内径と円環状部材の外径との差により一定にならない。また、上記の段差面と円環状部材との間には、隙間G21が形成されている。
(変形例)
本実施形態の変形例を図11に基づいて説明する。図11は、本変形例に係る濾過ドラム3Aおよびドラム支持機構4Aの要部を拡大して示す断面図である。
図11に示すように、本変形例に係るクーラント処理装置101では、図6および図7に示す支持板41Aに代えて支持板41A1を備えている。
支持板41A1は、支持板41Aにおいて第1凸部材41gに代えて第2凸部材41h(突出部)を有するものである。第2凸部材41hは、断面形状がL字形状をなしている円弧状の部材であり、支持板41A1の外壁面より内側に配置される内側部41h1と、支持板41A1の外壁面より外側に配置される外側部41h2とを有している。第2凸部材41hは、内側部41h1の外周面および外側部41h2の支持板41A1に対向する端面で支持板41A1に固定されている。また、第2凸部材41hは、下側の2つのローラ411の下方において、支持板41A1の下端から高さHの位置に両端を有している。また、第2凸部材41hの内周面と中径部311bとは、同一の曲面上にある。
なお、内側部41h1を配置する都合上、支持板41A1の開口41aは、下側の2つのローラ411より下方の領域で、支持板41Aの開口41aよりも広く形成されている。
内側部41h1の端縁は、支持板41A1の外壁面から輪状部材311に向けて突出している。内側部41h1の突出する部分は、上述の第1凸部材41gと同じ大きさである。これにより、内側部41h1の突出する部分は、支持板41A1の内壁面と平行な端面が、輪状部材311の中径部311bと大径部311cとの間の段差面と所定間隔の隙間G21(垂直部)をおいて対向するとともに、外周側の端面が輪状部材311の大径部311cとの間と所定間隔の隙間G22(平行部)をおいて対向する。
上記の変形例によれば、第2凸部材41hは、第1凸部材41gよりも大きくなるが、第1凸部材41gが支持板41Aに固定される面積よりも広い面積で支持板41A1に固定されている。これにより、第2凸部材41hを安定して支持板41A1に設けることができる。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について図1、図2、図12および図13を用いて説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施形態において、実施形態1,2で用いた部材と同等の機能を有する部材については、適宜、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
図12は、実施形態3に係る濾過ドラム3Bとドラム支持機構4Bとを示す側面図である。図13は、図12のD−D線矢視断面図である。
図1および図2に示すクーラント処理装置102は、クーラント処理装置100の濾過ドラム3およびドラム支持機構4に代えて、濾過ドラム3Bおよびドラム支持機構4Bを備えており、それ以外はクーラント処理装置100と同様に構成されている。図12および図13に示すように、ドラム支持機構4Bは、第1支持板41B1と、第2支持板41B2と、カバー42Bと、ネジ43,46と、スペーサ44,47とを有している。
第1支持板41B1は、4つのローラ411を有するなど、クーラント処理装置100における支持板41と同等の機能を有しているが、支持板41より小さい外径となるように形成されている。第2支持板41B2は、中心が大きく開口した円盤状に形成されており、支持板41と同じ外径を有するとともに、第1支持板41B1の外径よりも小さい開口径を有するように形成されている。第2支持板41B2の内壁面には、支持板41と同様に、凸部材45が固定されるとともに、オイルシール36のリップ36aが摺接している。第2支持板41B2は、輪状のスペーサ44を間においてネジ43により、図1に示すコンベヤフレーム1(側部14)に固定されている。第1支持板41B1は、輪状のスペーサ47を間においてネジ46により、第2支持板41B2に固定されている。
カバー42Bは、第1支持板41B1の外径と同じ外径を有している以外は、ドラム支持機構4に含まれるカバー42と同等に構成されている。
濾過ドラム3Bは、前述の濾過ドラム3において輪状部材31に代えて輪状部材312を有するものである。輪状部材312における内周面には、内方端部側に、内径の小さい小径部312aが形成され、外方端部側に、小径部312aより大きい内径を有し、ローラ411の外周面が当接する大径部312bが形成されている。また、輪状部材312の外周面には、外方端部から外周方向に鍔状に張り出した張出部312cが形成されている。
輪状部材312の外方端部の端面と第1支持板41B1の内壁面との間には隙間G31が形成されている。また、輪状部材312の張出部312cにおける外周側の端面とスペーサ47の内周側の端面との間には、所定間隔の隙間G32が形成されている。また、張出部312cのオイルシール36側の端面と第2支持板41B2におけるスペーサ47側の壁面との間には、所定間隔の隙間G33が形成されている。さらに、輪状部材312の外周面と当該外周面に対向する第2支持板41B2の内周側の端面との間には、所定間隔の隙間G34が形成されている。
上記の隙間G31〜G34により、濾過ドラム3Bによる濾過後の浄化クーラントが存在する浄化領域において、オイルシール36に至る屈曲した狭幅隙間が形成される。輪状部材312の外方端部の端面、外周面および張出部312cと、第1支持板41B1の内壁面と、第2支持板41B2の壁面と、スペーサ47とは、上記の狭幅隙間を形成することにより、切粉がオイルシール36に至るのを抑止する抑止部を構成している。隙間G31〜G34の間隔についても、上述の微細な切粉の進入を抑制するとともに、取り付け公差の範囲内で、輪状部材312と、第1支持板41B1、スペーサ47および第2支持板41B2との接触を回避するように設定されることが好ましい。
上記のように構成される濾過ドラム3Bおよびドラム支持機構4Bによれば、濾過後のクーラントに切粉が混入してしまったとしても、その切粉がオイルシール36に至るのを抑止部によって抑止することができる。その結果、オイルシール36のシール機能が損なわれることを抑制することができる。
また、狭幅隙間は、濾過ドラム3Bの回転軸に垂直に延びる垂直部として隙間G31,G33を有し、回転軸に平行に延びる平行部として隙間G32,G34を有している。このように狭幅隙間が垂直部と平行部とを有することにより、クーラントの流れを抑制することができる。これにより、前述のように、クーラントの流れを生じない水平部において切粉がオイルシール36側に移動するのを抑制することができる。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について図1、図2、図14および図15を用いて説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施形態において、実施形態1〜3で用いた部材と同等の機能を有する部材については、適宜、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
図14は、実施形態4に係る濾過ドラム3Cとドラム支持機構4Cとを示す側面図である。図15は、図14のE−E線矢視断面図である。
図1および図2に示すクーラント処理装置103は、クーラント処理装置100の濾過ドラム3およびドラム支持機構4に代えて、濾過ドラム3Cおよびドラム支持機構4Cを備えており、それ以外はクーラント処理装置100と同様に構成されている。また、濾過ドラム3Cは、実施形態3における濾過ドラム3Bと同一の構造を有しているが、ドラム支持機構4Cは実施形態3におけるドラム支持機構4Bと次のように異なる。図14および図15に示すように、ドラム支持機構4Cは、第1支持板41C1と、第2支持板41C2と、カバー42Cと、ネジ43,46と、スペーサ44,47とを有している。
第1支持板41C1は、実施形態3における第1支持板41B1と同一の構造を有しており、第2支持板41C2は、実施形態3における第1支持板41B1と同一の構造を有している。また、第1支持板41C1と第2支持板41C2との結合構造および第2支持板41C2のコンベヤフレーム1への固定構造は、第1支持板41B1および第2支持板41B2の結合構造および第2支持板41B2のコンベヤフレーム1への固定構造と同じである。
カバー42Cは、実施形態3におけるカバー42Bと異なり、第2支持板41C2の外径と同じ外径を有する円形に形成されている。カバー42Cは、4つのローラ411を支持するボルト412の頭部を全て露出する4つの貫通孔42aが形成されるとともに、下側の2つの貫通孔42aより下方に開口42dが形成されている。
また、カバー42Cは、板状部42eを有している。板状部42e(突出部)は、カバー42Cにおける開口42dを形成する端面のうちの下側の端面からややカバー42Cの外周方向にずれた位置で、カバー42Cの内壁面から輪状部材312に向けて突出する円弧状の部分である。板状部42eは、下側の2つのローラ411の下方において、第2支持板41C2の下端から高さHの位置に両端を有している。また、板状部42eは、その外周面が輪状部材312の大径部312bと所定間隔の隙間G35をおいて対向するように配置されるとともに、その内周面が輪状部材312の小径部312aの内径と同じ内径を有している。
輪状部材312の外方端部の端面と第1支持板41C1の内壁面との間には隙間G31が形成されている。また、輪状部材312の張出部312cにおける外周側の端面とスペーサ47の内周側の端面との間には、所定間隔の隙間G32が形成されている。また、張出部312cのオイルシール36側の端面と第2支持板41C2におけるスペーサ47側の壁面との間には、所定間隔の隙間G33が形成されている。さらに、輪状部材312の外周面と当該外周面に対向する第2支持板41C2の内周側の端面との間には、所定間隔の隙間G34が形成されている。
上記の隙間G31〜G35により、濾過ドラム3Cによる濾過後の浄化クーラントが存在する浄化領域において、オイルシール36に至る屈曲した狭幅隙間が形成される。輪状部材312の外方端部の端面、外周面および張出部312cと、第1支持板41C1の内壁面と、第2支持板41C2の壁面と、スペーサ47と、板状部42eの外周面とは、上記の狭幅隙間を形成することにより、切粉がオイルシール36に至るのを抑止する抑止部を構成している。隙間G31〜G35の間隔についても、上述の微細な切粉の進入を抑制するとともに、取り付け公差の範囲内で、輪状部材312と、板状部42e、第1支持板41C1、スペーサ47および第2支持板41C2との接触を回避するように設定されることが好ましい。
上記のように構成される濾過ドラム3Cおよびドラム支持機構4Cによれば、濾過後のクーラントに切粉が混入してしまったとしても、その切粉がオイルシール36に至るのを抑止部によって抑止することができる。その結果、オイルシール36のシール機能が損なわれることを抑制することができる。
また、狭幅隙間は、濾過ドラム3Cの回転軸に垂直に延びる垂直部として隙間G31,G33を有し、回転軸に平行に延びる平行部として隙間G32,G34,G35を有している。このように狭幅隙間が垂直部と平行部とを有することにより、クーラントの流れを抑制することができる。これにより、前述のように、クーラントの流れを生じない水平部において切粉がオイルシール36側に移動するのを抑制することができる。
また、濾過ドラム3Cおよびドラム支持機構4Cは、実施形態3と比較して、隙間G13が追加される構造となっており、より長く、かつより多く屈曲する狭幅隙間を有している。これにより、装置の大型化を伴わずに比較的長い狭幅隙間を形成することができる。したがって、切粉がシール部材に至るのを抑止する効果をより向上させることができる。
〔付記事項〕
上述した各実施形態では、ローラ411が輪状部材31,311,312の内周面に当接することで濾過ドラム3,3A〜3Cを回転可能に支持する構造について説明した。しかしながら、本発明は、このような構造に限定されず、輪状部材31,311,312の外周面に当接することで濾過ドラム3,3A〜3Cを回転可能に支持するローラを備えるドラム支持機構も含んでいる。具体的には、図5を参照すれば、輪状部材31の外周面(周面)におけるスプロケット310とシールガード37との間を広げて、この部分に当接するようにローラ411を配置する。このため、輪状部材31は、図5に示すものよりも、濾過ドラム3の回転軸方向の幅を大きくする必要があり、それだけ濾過ドラム3が重くなる。また、ローラ411を輪状部材31の外周側に配置するので、ローラ411を支持する支持板41をより広く形成する必要があり、支持板41の上方に設けられる監視窓12a(図1参照)の配置を変更しなければならず、設計の自由度を低下させる。この点で、各実施形態に記載した構造では、輪状部材31および支持板41を大きくする必要がなく、濾過装置の小型化に寄与する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。