JP2018033367A - クリーム用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】液状油脂主体であるにもかかわらず、長期保存した場合でも風味の良好なクリームを得るのに好適なクリーム用油脂組成物を提供すること。【解決手段】液状油脂を90質量%以上含む、クリーム用油脂組成物であって、前記液状油脂が、菜種油及びハイオレイック菜種油の少なくとも1つを含み、クリーム用油脂組成物中の菜種油の量が25質量%以下であり、且つクリーム用油脂組成物中のハイオレイック菜種油の量が80質量%以下である、前記クリーム用油脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、コーヒーなどの飲料に添加するクリーム用油脂組成物に関する。
従来から、コーヒーなどの飲料に添加するためのクリームとして、植物性油脂を原料として製造される植物性クリーム(水中油型乳化物)が知られている。植物性クリームは生乳から得られる生クリームに比べて輸送・保存における乳化安定性に優れ、かつ比較的安価に製造されるという利点を有するためにその消費量は多い。この植物性クリームの製造では、通常、安定な乳化物を得るため、複数の乳化剤とリン酸塩、クエン酸塩等の安定剤を使用して調製される。
クリーム等の製造に用いられるクリーム用油脂組成物には、冷凍保存後、使用時に解凍してもボテ・固化が生じにくい優れた冷凍・解凍安定性(凍結耐性ともいう)や、長期保存を可能とする高い酸化安定性などが求められる。これらの特性に着目した従来の油脂としては、菜種硬化油などの部分水素添加油脂が知られている。
しかしながら、上記の油脂は高トランス酸油脂であり、2003年以降、トランス酸摂取による虚血性心疾患のリスクが報告されたことから、上記のような高トランス酸油脂に代えて低トランス酸油脂を用いることが増えている。低トランス酸油脂は、高トランス酸油脂に比べると凍結耐性や酸化安定性の点で若干劣るものの、上記虚血性心疾患のリスクを低減することができる。低トランス酸油脂を組み合わせた油脂組成物として、例えば、パーム核オレイン油、ヤシ油、パーム核油等と、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイック菜種油、オリーブ油等との混合油又はエステル交換油が知られている(例えば、特許文献1〜3)。
特開2008−000127号公報 特開2007−274997号公報 特開2009−153454号公報
しかしながら、近年、低トランス酸油脂を用いることによるリスクとして、低トランス酸油脂中に多く含まれる飽和脂肪酸の問題が取り上げられている。飽和脂肪酸は、体内におけるコレステロール量を増やし、動脈硬化を促進することが報告されている。従って、低トランス酸油であり且つ飽和脂肪酸量の少ない油脂を用いることに対する大きな需要が存在する。
低トランス酸油脂であり且つ飽和脂肪酸量の少ない油脂として、液状油脂を使用することが考えられる。しかしながら、液状油脂は酸化安定性が悪く、長期保存した際、風味が経時的に変化してしまうという問題を有する。このように、液状油脂主体のクリームは、風味の問題があるため実用に至っていない。
本発明は上記問題点に鑑みたものであり、液状油脂主体であるにもかかわらず長期保存した場合でも良好な風味(特にコク味やコーヒー風味)を有するクリームを得るのに好適なクリーム用油脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意努力により、クリーム用油脂組成物中にハイオレイック菜種油及び/又は菜種油を特定量含むことにより、液状油脂主体の組成物から得られたクリームであっても優れた風味を有することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 液状油脂を90質量%以上含む、クリーム用油脂組成物であって、
前記液状油脂が、菜種油及びハイオレイック菜種油の少なくとも1つを含み、
クリーム用油脂組成物中の菜種油の量が25質量%以下であり、且つ
クリーム用油脂組成物中のハイオレイック菜種油の量が80質量%以下である、前記クリーム用油脂組成物。
<2> クリーム用油脂組成物に含まれる全油脂の構成脂肪酸中に占めるリノール酸の割合が13質量%以下であり、且つリノレン酸の割合が3質量%以下である、<1>に記載のクリーム用油脂組成物。
<3> 菜種油を1〜25質量%含む、請求項1又は2に記載のクリーム用油脂組成物。
<4> ハイオレイック菜種油を5〜80質量%含む、<1>〜<3>のいずれかに記載のクリーム用油脂組成物。
<5> 液状油脂が、ハイオレイックヒマワリ油を更に含み、且つ
クリーム用油脂組成物中のハイオレイックヒマワリ油の量が20〜99質量%である、<1>〜<4>のいずれかに記載のクリーム用油脂組成物。
<6> 液状油脂が、菜種油とハイオレイックヒマワリ油とからなるか、ハイオレイック菜種油とハイオレイックヒマワリ油とからなるか、菜種油とハイオレイック菜種油とハイオレイックヒマワリ油とからなる、<5>に記載のクリーム用油脂組成物。
<7> クリーム用油脂組成物に含まれる全油脂の構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合が17質量%以下であり、且つトランス脂肪酸の割合が1.5質量%以下である、<1>〜<6>のいずれかに記載のクリーム用油脂組成物。
<8> 液状クリームの製造に用いるための、<1>〜<7>のいずれかに記載のクリーム用油脂組成物。
<9> <1>〜<8>のいずれかに記載のクリーム用油脂組成物を含む、コーヒークリーム。
本発明のクリーム用油脂組成物は、液状油脂主体であるにもかかわらず、長期保存した場合でも風味(特にコク味やコーヒー風味)に優れるクリームを得ることができる。また、本発明のクリーム用油脂組成物は、トランス脂肪酸および飽和脂肪酸量が少ないため、高トランス脂肪酸量の多い組成物から製造されるクリームや、飽和脂肪酸量の多い組成物から製造されるクリームが有する問題点を回避することができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
<<クリーム用油脂組成物>>
本発明のクリーム用油脂組成物は、液状油脂を90質量%以上含む、クリーム用油脂組成物であって、前記液状油脂が、菜種油及びハイオレイック菜種油の少なくとも1つを含み、クリーム用油脂組成物中の菜種油の量が25質量%以下であり、且つクリーム用油脂組成物中のハイオレイック菜種油の量が80質量%以下であることを特徴とする。
なお、本発明のクリーム用油脂組成物からクリームを作製する際には、後述するように油相部に乳脂肪を添加することができるが、本明細書及び特許請求の範囲において「油脂組成物」という場合には、特に断らない限り、植物性油脂(すなわち、乳脂肪を除く油脂)からなる油脂組成物を意味する。
本明細書において、「コク味」とは、コーヒークリームを添加することにより付与される濃厚感を意味する。
本明細書において、「コーヒー風味」とは、コーヒークリームを入れたコーヒーの総合的な風味、すなわち、コク味だけではなく油脂の酸化劣化に由来する劣化臭、苦み、エグ味なども総合考慮したコーヒーの風味を意味する。
<ハイオレイック菜種油及び/又は菜種油>
ハイオレイック菜種油は、ハイオレイック種の菜種から得られる油である。一般に、ハイオレイック菜種油は、構成脂肪酸に占めるオレイン酸の割合が70質量%以上である。これに対し、通常の菜種油は、構成脂肪酸に占めるオレイン酸の割合が70質量%未満である。本明細書及び特許請求の範囲において、ハイオレイック菜種油、菜種油は、それぞれ上記のオレイン酸割合を有するものをいう。
本発明のクリーム用油脂組成物は、菜種油及びハイオレイック菜種油の少なくとも1つを含む。菜種油及びハイオレイック菜種油の少なくとも1つを含むことにより、液状油脂主体の油脂から製造されるにもかかわらず、長期保存した場合でもコク味の良好なクリームを得ることができる。
菜種油を含む場合、菜種油は25質量%以下の量で含まれるものであり、1〜25質量%含まれることが好ましく、1〜20質量%含まれることがより好ましく、1〜15質量%がさらにより好ましく、1〜10質量%含まれることがさらにより好ましい。また、菜種油を含む場合、菜種油量の下限値は、2質量%であってもよく、5質量%であってもよい。
ハイオレイック菜種油を含む場合、ハイオレイック菜種油は、クリーム用油脂組成物中に80質量%以下の量で含まれるものであり、5〜80質量%含まれることが好ましく、5〜75質量%がより好ましく、10〜70質量%含まれることがさらにより好ましい。
<ハイオレイックヒマワリ油>
本発明のクリーム用油脂組成物は、ハイオレイックヒマワリ油を更に含むことが好ましい。ハイオレイックヒマワリ油は、クリーム用油脂組成物中に、20〜99質量%含まれることが好ましく、20〜98質量%含まれることがより好ましく、20〜95質量%含まれることがより好ましく、25〜90質量%含まれることがさらにより好ましい。
ハイオレイックヒマワリ油を上記範囲内の量で含むことにより、本発明のクリーム用油脂組成物から得られたクリームを長期保存した場合でも酸化劣化した風味を感じにくくなり、良好なコーヒー風味を有するコーヒーが得られやすくなる。
また、本発明のクリーム用油脂組成物が菜種油を含む場合、ハイオレイックヒマワリ油は75質量%以上含まれていてもよく、80〜99質量%含まれていてもよく、85〜99質量%含まれていてもよく、90〜99質量%含まれていてもよい。また、ハイオレイックヒマワリ油の上限値は98質量%であってもよく、95質量%であってもよい。
また、本発明のクリーム用油脂組成物がハイオレイック菜種油を含む場合、ハイオレイックヒマワリ油は20質量%以上含まれていてもよく、20〜95質量%含まれていてもよく、25〜95質量%含まれていてもよく、30〜90質量%含まれていてもよい。
<液状油脂>
本明細書及び特許請求の範囲において、液状油脂は、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を60質量%以上含む油脂を意味する。また、液状油脂は、好ましくは、20℃よりも低い融点を有する油脂である。
本発明のクリーム用油脂組成物は、液状油脂を90質量%以上含む。液状油脂は、クリーム用油脂組成物中に、95質量%以上含まれることが好ましく、98質量%以上含まれることがより好ましく、100質量%含まれていてもよい。
液状油脂の割合が上記範囲内であることにより、飽和脂肪酸量を抑えることができる。従って、飽和脂肪酸量が多いことに起因する健康上の問題点を回避することができる。
液状油脂の具体例としては、ハイオレイック菜種油、菜種油、ハイオレイックヒマワリ油、ヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、大豆油、コーン油、綿実油、紅花油、オリーブ油、またそれらを分別、配合、エステル交換等した油脂が挙げられる。これらの中でも、ハイオレイックナタネ油、菜種油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油が好ましく、ハイオレイックナタネ油、菜種油、ハイオレイックヒマワリ油がより好ましい。
上記の通り、本発明のクリーム用油脂組成物は、液状油脂として、ハイオレイック菜種油及び/又は菜種油を含む。従って、90質量%以上の液状油脂の少なくとも一部はハイオレイック菜種油及び/又は菜種油である。また、本発明のクリーム用油脂組成物は、液状油脂として、好ましくはハイオレイックヒマワリ油を含む。従って、90質量%以上の液状油脂の少なくとも一部はハイオレイックヒマワリ油であることが好ましい。
液状油脂は、ハイオレイック菜種油、菜種油及びハイオレイックヒマワリ油以外の油脂を含んでいてもよいが、菜種油とハイオレイックヒマワリ油とからなるか、ハイオレイック菜種油とハイオレイックヒマワリ油とからなるか、菜種油とハイオレイック菜種油とハイオレイックヒマワリ油とからなるかことが好ましい。すなわち、液状油脂は、菜種油、ハイオレイック菜種油及びハイオレイックヒマワリ油以外の油脂を含まないことが好ましい。
液状油脂が、ハイオレイック菜種油、菜種油並びにハイオレイックヒマワリ油以外の油脂を含む場合、当該油脂としては、例えばヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、大豆油、コーン油、綿実油、紅花油、オリーブ油を用いることができる。
<その他の油脂>
本発明のクリーム用油脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の油脂として、パーム系油脂、ラウリン系油脂などを含んでいてもよい。
その他の油脂を含む場合、その他の油脂は、クリーム用油脂組成物の全質量に対して0.1〜10質量%の割合で含まれることが好ましく、0.1〜5質量%の割合で含まれることがより好ましく、0.1〜2質量%の割合で含まれることがさらにより好ましい。
本発明のクリーム用油脂組成物は、その他の油脂を含んでいても含んでいなくてもよいが、その他の油脂を含んでいないことが好ましい。
(パーム系油脂)
本明細書及び特許請求の範囲において、パーム系油脂は、パーム油またはパーム油を分別、配合、エステル交換等した油脂を意味する。パーム系油脂としては、パーム油、パームオレイン、パームダブルオレイン、パームステアリン、パームミッドフラクション等が挙げられる。パーム系油脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(ラウリン系油脂)
本明細書及び特許請求の範囲において、ラウリン系油脂とは、構成脂肪酸としてラウリン酸を35質量%以上含み、かつ不飽和脂肪酸量が40%以下である油脂の総称である。
ラウリン系油脂としては、パーム核油、ヤシ油、これらのエステル交換、分別、配合等の処理を行った油脂が挙げられる。ラウリン系油脂は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
<その他の任意成分>
本発明のクリーム用油脂組成物は、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤などを含んでいてもよい。酸化防止剤としては、ビタミンE、ビタミンC、ローズマリー抽出物、茶抽出物、コケモモ抽出物等が挙げられる。
<リノール酸含量、リノレン酸含量>
本発明のクリーム用油脂組成物は、当該クリーム用油脂組成物中に含まれる全油脂の構成脂肪酸中に占めるリノール酸の割合が13質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、11質量%以下であることがさらにより好ましい。下限値に特に制限はなく、0質量%であってもよく、5質量%であってもよく、7質量%であってもよい。
また、本発明のクリーム用油脂組成物は、当該クリーム用油脂組成物中に含まれる全油脂の構成脂肪酸中に占めるリノレン酸の割合が3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下であることがさらにより好ましい。下限値に特に制限はなく、0質量%であってもよく、0.5質量%であってもよく、1質量%であってもよい。
<飽和脂肪酸含量、トランス脂肪酸含量>
本発明のクリーム用油脂組成物は、当該クリーム用油脂組成物中に含まれる全油脂の構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合が17質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、14質量%以下であることがさらにより好ましく、10質量%以下であることがさらにより好ましく、8質量%以下であることがさらにより好ましい。下限値に特に制限はなく、0質量%であってもよく、5質量%であってもよく、6質量%であってもよい。
トランス脂肪酸とは、脂肪酸の構造中にトランス型の二重結合を有する不飽和脂肪酸をいう。本発明のクリーム用油脂組成物は、当該クリーム用油脂組成物中に含まれる全油脂の構成脂肪酸に占めるトランス脂肪酸の割合が1.5質量%以下であることが好ましく、1.2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらにより好ましい。下限値に特に制限はなく、0質量%であってもよく、0.3質量%であってもよく、0.5質量%であってもよい。
本発明のクリーム用油脂組成物は、上記の油脂を単に混合しただけのものであってもよく、または、上記油脂を混合後にエステル交換したものであってもよい。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、特に断らない限り、「クリーム用油脂組成物」は、上記の油脂を単に混合しただけの組成物も、上記油脂を混合後にエステル交換して得られる組成物も包含する概念である。
エステル交換は、当該技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。例えば、非選択的エステル交換反応方法、選択型(指向型)エステル交換反応方法が挙げられる。
<<クリーム>>
上述した油脂組成物から下記のように水中油型乳化油脂組成物であるクリーム(又はクリーム組成物)を製造することができる。
〔油相部〕
本発明のクリームは水相部と油相部からなり、油相部に上記本発明のクリーム用油脂組成物を含有することを特徴とする。
本発明において、油相部は、本発明のクリーム用油脂組成物に加えて、油脂として乳脂肪を更に含んでいてもよい。乳脂肪としてバターオイル、バター、生クリーム、牛乳等を由来とする乳脂肪が挙げられる。
本発明のクリームの油相部には、上記油脂に加えて、親油性の乳化剤、着香料、着色料等を添加してもよい。乳化剤としては、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等従来公知の乳化剤のうちHLBの低い乳化剤が例示でき、本発明においてはこれらのいずれを適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明において、クリーム全質量に対する油相部質量が5〜45質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜40%、更により好ましくは10〜35%である。この範囲内であると、コーヒーや紅茶等に添加した場合にも風味が損なわれず良好だからである。特に油相部質量が45質量%を超えると、グリーシーになり風味が損なわれやすい。
〔水相部〕
本発明のクリームの水相部は、水に、カゼインナトリウム、脱脂粉乳、糖類や必要に応じて、蔗糖脂肪酸エステル、クエン酸ナトリウム、トリポリりん酸ナトリウム、第二りん酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ヘキサメタりん酸ナトリウム、カラギナン等増粘多糖類などを添加してもよい。
本発明のクリームの水相部は、更に、甘味や粘度の調節を目的として糖類を配合してもよい。糖類としては、例えば、水飴、粉飴、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、トレハロース等が挙げられ、これは必要に応じ適宜組み合わせて配合される。
<<クリームの製造方法>>
本発明のクリームは、一般的な水中油型乳化油脂組成物の製造方法により製造できる。代表的な方法を述べると、油脂を含む油相部の材料を混合して溶解ないし分散させて油相部を調製する。乳化剤を使用する場合であって、乳化剤が親油性のものを用いる場合には、原料油脂の一部または全部に添加し溶解ないし分散させて油相部を調製する。次に、上述したカゼインナトリウム等の添加物を水に添加して水相部を調製する。
調製した油相部と水相部を60℃から80℃に加温し、混合して予備乳化を行う。予備乳化後、ホモゲナイザーにて均質化し、バッチ式殺菌法、または間接加熱方式あるいは直接加熱方式によるUHT滅菌処理法にて滅菌し、再びホモゲナイザーにて均質化し冷却しエージングする。
本発明のクリーム用油脂組成物は、様々なクリーム用途に使用できるが、液状クリームの製造に好適に用いることができる。また、本発明のクリーム用油脂組成物は、コーヒークリームに代表される、飲料用のクリーム(特に液状クリーム)として好適に使用することができる。
飲料の具体例としては、コーヒー、紅茶、緑茶、果実飲料等が挙げられる。これらの中でも、コーヒー、紅茶が特に好ましい。すなわち、本発明のクリーム用組成物を用いて製造されたクリームは、コーヒークリームの用途として包含される、飲料としてのコーヒー用又は紅茶用の液状クリームとして好適に用いることができる。
<油脂組成物の調製>
表2〜3に示す油脂及び配合割合(質量%)で混合した後、結晶を完全に溶解させた。その後、脱色、脱臭し、実施例1〜5及び比較例1〜6の各油脂組成物を得た。実施例1〜5及び比較例1〜6において使用した各油脂の構成脂肪酸組成を表1に示す。
Figure 2018033367
Figure 2018033367
Figure 2018033367
表2〜表3中、%は質量%を意味する。
<原料油脂の分析>
(脂肪酸組成)
基準油脂分析法(暫17−2007トランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法))に準じて測定した。
ガスクロマトグラフィー装置は、島津製作所(株)製、GC−2010型。カラムは、SUPELCO社製、SP−2560。
<コーヒークリームの調製>
得られた各油脂組成物を60℃の高温で3日間保管して加速度的に劣化を進め、経時的に酸化劣化した場合と同様の状態にした(加速劣化試験)。
その後、下記表4に記載の割合で油相部と水相部を混合し、65℃にて10分間予備乳化を行い、100kg/cm2で均質化した。次いで、75℃にて15分間加熱殺菌を行い、300kg/cm2で再度、均質化した。
均質化後、冷却し、15℃で1晩、エージングし、実施例1〜5及び比較例1〜6の各油脂組成物を含むコーヒークリームを調製した。
なお、表4中、%は質量%を意味する。
Figure 2018033367
<評価>
市販のインスタントコーヒー(2g)にお湯(100ml)を注ぎ、各実施例又は比較例の油脂組成物を含むコーヒークリーム5mlを入れ、パネラー5人によりコーヒーを試飲し、コク味とコーヒー風味について評価試験を行った。なお、コク味試験は、実施例1〜5及び比較例1〜6のいずれかから調製されたコーヒークリームを入れたコーヒーにコク味が感じられるか、それともコク味が感じられずあっさりした味であるかを評価する試験である。コーヒー風味試験は、上記コーヒークリームを入れたコーヒーの総合的な風味、すなわち、コク味だけではなく油脂の酸化劣化に由来する劣化臭、苦み、エグ味なども含むコーヒーの総合的な風味を評価する試験である。その結果を表2〜3に示す。
(1)コク味試験
A:コク味があり良好であった。
B:コク味を感じた。
C:コク味がなく、あっさりしていた。
(2)コーヒー風味試験
A:劣化した風味を感じず、良好なコーヒー風味であった。
B:劣化した風味をやや感じるが、問題ないコーヒー風味であった。
C:劣化した風味を強く感じ、コーヒー風味が損なわれた。
表2〜3に示す結果から明らかなように、比較例1及び6のクリーム用油脂組成物から製造されたコーヒークリームを入れたコーヒーは、コク味がなくあっさりしていた。比較例2〜5のクリーム用油脂組成物から製造されたコーヒークリームを入れたコーヒーは、コク味はあるものの劣化した風味を強く感じ、コーヒー風味が損なわれていた。これに対し、実施例1〜5のクリーム用油脂組成物から製造されたコーヒークリームを入れたコーヒーは、コク味があり、コーヒー風味も良好であった。
以上の通り、本発明のクリーム用油脂組成物は、液状油脂主体であるにもかかわらず、風味が良好であり、コーヒークリームなどのクリーム用途に適していることが判る。
本発明によれば、液状油脂主体であるにもかかわらず、長期保存した場合でも風味の良好なクリームを得ることができる。したがって、本発明は、産業上、極めて有用である。

Claims (9)

  1. 液状油脂を90質量%以上含む、クリーム用油脂組成物であって、
    前記液状油脂が、菜種油及びハイオレイック菜種油の少なくとも1つを含み、
    クリーム用油脂組成物中の菜種油の量が25質量%以下であり、且つ
    クリーム用油脂組成物中のハイオレイック菜種油の量が80質量%以下である、前記クリーム用油脂組成物。
  2. クリーム用油脂組成物に含まれる全油脂の構成脂肪酸中に占めるリノール酸の割合が13質量%以下であり、且つリノレン酸の割合が3質量%以下である、請求項1に記載のクリーム用油脂組成物。
  3. 菜種油を1〜25質量%含む、請求項1又は2に記載のクリーム用油脂組成物。
  4. ハイオレイック菜種油を5〜80質量%含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリーム用油脂組成物。
  5. 液状油脂が、ハイオレイックヒマワリ油を更に含み、且つ
    クリーム用油脂組成物中のハイオレイックヒマワリ油の量が20〜99質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリーム用油脂組成物。
  6. 液状油脂が、菜種油とハイオレイックヒマワリ油とからなるか、ハイオレイック菜種油とハイオレイックヒマワリ油とからなるか、菜種油とハイオレイック菜種油とハイオレイックヒマワリ油とからなる、請求項5に記載のクリーム用油脂組成物。
  7. クリーム用油脂組成物に含まれる全油脂の構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合が17質量%以下であり、且つトランス脂肪酸の割合が1.5質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のクリーム用油脂組成物。
  8. 液状クリームの製造に用いるための、請求項1〜7のいずれか1項に記載のクリーム用油脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のクリーム用油脂組成物を含む、コーヒークリーム。
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