JP2018032267A - 媒体収納庫及び自動取引装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、媒体収納庫を落下させてしまった場合でも、媒体が繰り出せなくなることを防止する。
【解決手段】紙幣出金機1の紙幣収納庫11は、ピッカガイド43のガイド本体51におけるピッカローラ62同士の間に、突出外周部62Aの高さよりも低い突部55をそれぞれ設けた。紙幣収納庫11は、持ち運ばれる途中での落下等により多数の紙幣50から加えられる衝撃力を、突部55により受け止めてカセット本体30の後側板30B等へ逃がすことができ、ピッカローラ62を介してピッカシャフト61に加わる衝撃力を大幅に縮小できる。これにより紙幣収納庫11は、ピッカシャフト61を塑性変形させずに弾性変形させることができ、ピッカローラ62の偏心を回避できるので、紙幣50を正常に繰り出し得る状態を維持できる。
【選択図】図9
【解決手段】紙幣出金機1の紙幣収納庫11は、ピッカガイド43のガイド本体51におけるピッカローラ62同士の間に、突出外周部62Aの高さよりも低い突部55をそれぞれ設けた。紙幣収納庫11は、持ち運ばれる途中での落下等により多数の紙幣50から加えられる衝撃力を、突部55により受け止めてカセット本体30の後側板30B等へ逃がすことができ、ピッカローラ62を介してピッカシャフト61に加わる衝撃力を大幅に縮小できる。これにより紙幣収納庫11は、ピッカシャフト61を塑性変形させずに弾性変形させることができ、ピッカローラ62の偏心を回避できるので、紙幣50を正常に繰り出し得る状態を維持できる。
【選択図】図9
Description
本発明は媒体収納庫及び自動取引装置に関し、例えば媒体としての紙幣を出金する紙幣出金機に適用して好適なものである。
従来の自動取引装置は、出金用の紙幣収納庫を有している。紙幣収納庫内には、収納庫長手方向の一端部に、紙幣繰出用の複数のピックアップローラがローラシャフトを介して回転可能に設けられている。また紙幣収納庫内には、収納庫長手方向の他端側に押板が収納庫長手方向に沿って移動可能に設けられ、押板が複数のピックアップローラとの間に収容された複数の紙幣を、これら複数のピックアップローラに押し付けている。そして自動取引装置は、紙幣収納庫が収納庫長手方向をほぼ水平にして他端側から装填されていた(例えば、特許文献1参照)。
ところが従来の自動取引装置では、紙幣収納庫を装填の際等に誤って一端側を下にして落下させると、地面に衝突したときに、紙幣収納庫の内部に集積されている複数の紙幣から複数のピックアップローラを介してローラシャフトに比較的大きな衝撃力が加わる。その結果、紙幣収納庫では、ローラシャフトが撓んで塑性変形する場合がある。この場合、自動取引装置では、紙幣収納庫が装填されると、ローラシャフトが塑性変形しているために、紙幣収納庫から紙幣を的確に繰り出せないという問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、媒体収納庫を落下させてしまった場合でも、媒体が繰り出せなくなることを防止し得る媒体収納庫及び自動取引装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の媒体収納庫においては、紙面を互いに重ねるように並べた状態で複数の紙葉状の媒体を収納する媒体収納空間と、前記媒体収納空間に収納された前記媒体の一面に対し、該一面に沿った分離方向へ媒体を繰り出すローラと、前記ローラが取り付けられ、該ローラと一体に回転するシャフトと、前記媒体収納空間に収納された前記媒体の一面と対向するガイド面を有し、前記媒体を案内するガイドと、前記ガイド面に形成された孔部を介して、前記ローラの外周の一部を該ガイド面から前記媒体収納空間内へ所定のローラ高さに突出させた状態で、前記シャフトを回転可能に支持する回転支持部と、前記ガイド面に設けられ、該ガイド面から突出した高さである突部高さが前記ローラ高さよりも低い突部とを設けた。
また本発明の自動取引装置においては、前述の媒体収納庫が着脱される筐体を設けた。
本発明では、媒体収納庫を持ち運び中に誤って媒体ガイドを下側にして落下させた場合でも、地面に衝突したときに複数の媒体によって発生する下向きの衝撃力を突部で受け止めるため、各ローラを介してシャフトに加わる衝撃力を大幅に縮小でき、シャフトを塑性変形させずに弾性変形させることができる。
本発明によれば、媒体収納庫を落下させてしまった場合でも、媒体が繰り出せなくなることを防止し得る媒体収納庫及び自動取引装置を実現することができる。
以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。
[1.紙幣出金機の構成]
図1に示すように、本実施の形態による紙幣出金機1は、例えば金融機関に設置され、利用者(すなわち金融機関の顧客)の操作に応じて媒体としての紙幣を出金する。自動取引装置としての紙幣出金機1は、大きく分けて下側の収納ユニット2及び上側の束搬送ユニット3により構成され、さらに全体を制御する制御部4が組み込まれている。
図1に示すように、本実施の形態による紙幣出金機1は、例えば金融機関に設置され、利用者(すなわち金融機関の顧客)の操作に応じて媒体としての紙幣を出金する。自動取引装置としての紙幣出金機1は、大きく分けて下側の収納ユニット2及び上側の束搬送ユニット3により構成され、さらに全体を制御する制御部4が組み込まれている。
[1−1.収納ユニットの構成]
収納ユニット2は、直方体状の収納筐体10内に、紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれており、紙幣を収納すると共に、利用者に引き渡すべき紙幣を集積して紙幣束を生成する。この収納筐体10内には、4個の紙幣収納庫11、搬送部13、鑑別部14、集積部16及びリジェクト収納庫17が設けられている。
収納ユニット2は、直方体状の収納筐体10内に、紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれており、紙幣を収納すると共に、利用者に引き渡すべき紙幣を集積して紙幣束を生成する。この収納筐体10内には、4個の紙幣収納庫11、搬送部13、鑑別部14、集積部16及びリジェクト収納庫17が設けられている。
紙幣収納庫11は、収納筐体10の前側における上下方向の下側から中央にかけて、順に積み重なるように取り付けられている。各紙幣収納庫11は、上下方向に短く前後方向に長い扁平な直方体状に形成され、その内部に複数の紙幣を収納する。
この紙幣収納庫11は、収納筐体10に形成された4箇所の装填スロットに対し、それぞれ着脱可能に構成されている。すなわち紙幣収納庫11は、収納筐体10の前面扉が開放された状態で、収納筐体10に装着された状態(図1)から(すなわち装填されている装填スロットから)前方へ引き抜かれることにより、収納筐体10から離脱され、保守員等により単体で運搬される。また紙幣収納庫11は、空の装填スロットに、その前方から後方(挿入方向)へ押し込まれて装填されることにより、図1に示したように収納筐体10に装着される。
紙幣収納庫11の後端近傍には、繰出部12が組み込まれている。繰出部12は、複数のローラ等の組合せによって構成されており、紙幣収納庫11内に収納されている紙幣を1枚ずつに分離し、後方へ繰り出して搬送部13に引き渡す。
搬送部13は、図示しないローラやベルト、或いはこれらを駆動するモータ等により、紙幣を搬送する経路である搬送路を構成している。この搬送路は、図中に実線で示すように、各紙幣収納庫11と集積部16及びリジェクト収納庫17とを接続している。搬送部13は、各紙幣収納庫11から繰り出された紙幣を、短辺に沿う方向を進行方向に沿わせて概ね上方向へ進行させる。
鑑別部14は、搬送部13の搬送路に沿って設けられ、内部に複数種類のセンサが組み込まれており、各センサから得られた情報を基に、搬送される紙幣の金種や走行状態等を鑑別し、その鑑別結果を制御部4へ供給する。制御部4は、得られた鑑別結果を基に、各紙幣の搬送先を決定する。具体的に制御部4は、出金すべき正常な紙幣の搬送先を集積部16に、出金すべきで無い紙幣(以下これをリジェクト紙幣と呼ぶ)の搬送先をリジェクト収納庫17に、それぞれ決定する。
集積部16は、収納筐体10内における最も上側の後側に位置しており、搬送部13から搬送された出金すべき紙幣をステージ16T上に集積して紙幣束を生成し、該紙幣束を束搬送ユニット3へ受け渡す。リジェクト収納庫17は、収納筐体10内における最も上側の前側に位置しており、搬送部13から搬送されたリジェクト紙幣と、束搬送ユニット3から落下した取忘れ紙幣束とを内部に収納する。
[1−2.束搬送ユニットの構成]
束搬送ユニット3は、全体として、上下方向に短く前後方向に長い、扁平な直方体状に形成されており、前後方向の長さが収納ユニット2よりも長くなっている。束搬送ユニット3は、直方体状の束搬送筐体20内に、紙幣束を搬送するための種々の機構が設けられている。
束搬送ユニット3は、全体として、上下方向に短く前後方向に長い、扁平な直方体状に形成されており、前後方向の長さが収納ユニット2よりも長くなっている。束搬送ユニット3は、直方体状の束搬送筐体20内に、紙幣束を搬送するための種々の機構が設けられている。
束搬送筐体20内における上側部分には、上側搬送ベルト21が設けられている。上側搬送ベルト21は、前端近傍及び後端近傍にそれぞれ配置されたローラの周囲に掛け回された無端ベルトであり、このローラが回転することにより、その下面を水平方向に沿った前後方向に沿って走行させる。説明の都合上、以下では、上側搬送ベルト21における下面部分の走行方向を、当該上側搬送ベルト21の走行方向と見なす。
束搬送筐体20内の上側搬送ベルト21よりも下側における中央付近ないし後側には、束搬送ガイド22が設けられている。束搬送ガイド22は、上下方向に薄い扁平な直方体状に形成されており、その上面を上側搬送ベルト21の下面と対向させている。この束搬送ガイド22は、前述した収納筐体10の最上部に、図示しない移動機構を介して取り付けられており、この移動機構により前後方向へ移動される。
束搬送筐体20内における上側搬送ベルト21よりも下側部分における前側、すなわち束搬送ガイド22の前側には、下側搬送ベルト24が設けられている。下側搬送ベルト24は、上側搬送ベルト21を前後方向に切り詰めたような無端ベルトであり、その上面を上側搬送ベルト21の下面と当接させている。以下では、下側搬送ベルト24における上面部分の走行方向を、当該下側搬送ベルト24の走行方向と見なす。
このようにして束搬送ユニット3内には、上側搬送ベルト21と、ステージ16T、束搬送ガイド22及び下側搬送ベルト24とにより上下方向から挟まれ水平方向に沿った束搬送路3Yが形成される。また束搬送筐体20の前端には、束搬送路3Y内を前方へ搬送されてきた紙幣束を利用者に引き渡す出金口26が形成されている。
さらに束搬送ユニット3内には、ラッセル板25が設けられている。ラッセル板25は、図示しない移動機構により、前後方向に沿って、すなわち束搬送路3Yに沿って移動する。このラッセル板25は、紙幣束の後側において前方へ移動することにより、該紙幣束の後端を押して前方へ搬送する。またラッセル板25は、紙幣束の前側において後方へ移動することにより、該紙幣束の前端を押して後方へ搬送する。
束搬送ユニット3は、ステージ16T及び束搬送ガイド22を適宜移動させた上で、上側搬送ベルト21及び下側搬送ベルト24を走行させると共に、ラッセル板25を移動させることにより、束搬送路3Yに沿って紙幣束を束状のまま前方向又は後方向へ搬送することができる。
[2.紙幣収納庫の構成]
[2−1.紙幣収納庫の外観構成]
次に図2を用いて、紙幣収納庫11の外観構成について説明する。紙幣収納庫11は、樹脂成形品であり前側、後側、左側、右側及び下側の各外側面を形成するカセット本体30と、樹脂成形品であり上側の外側面を形成する扉体31とを有している。カセット本体30には、後上端部のヒンジ部32を介して扉体31が取り付けられている。ヒンジ部32は、左右方向に沿った回動軸を中心として、カセット本体30に対し扉体31を開方向Do又は閉方向Dcへ回動させることができる。
[2−1.紙幣収納庫の外観構成]
次に図2を用いて、紙幣収納庫11の外観構成について説明する。紙幣収納庫11は、樹脂成形品であり前側、後側、左側、右側及び下側の各外側面を形成するカセット本体30と、樹脂成形品であり上側の外側面を形成する扉体31とを有している。カセット本体30には、後上端部のヒンジ部32を介して扉体31が取り付けられている。ヒンジ部32は、左右方向に沿った回動軸を中心として、カセット本体30に対し扉体31を開方向Do又は閉方向Dcへ回動させることができる。
これにより紙幣収納庫11は、扉体31がカセット本体30の上側に隣接して閉塞した状態(図2)から開方向Doに回動されると、該カセット本体30の上側開口部(図示せず)を開放した状態となる。このとき紙幣収納庫11は、カセット本体30の内部に複数の紙幣を収納させることができる。
また紙幣収納庫11は、カセット本体30に対し扉体31が開かれた状態からヒンジ軸33を中心にして閉方向Dcへ回転されると、該カセット本体30の上側開口部を閉塞した状態となる。因みに紙幣収納庫11の前端部には、ロック機構(図示せず)が設けられており、カセット本体30に対して扉体31を閉塞した状態に保持する(すなわちロックする)ことができる。
さらにカセット本体30における後側の外面には、下端寄りに、上述した受渡口34が設けられている。またカセット本体30の前側の外面には、取手35が設けられている。紙幣収納庫11は、上述したように収納筐体10から離脱されるとき、保守員等により取手35が把持されて装填スロットから前方へ引き抜かれる。そして紙幣収納庫11は、収納筐体10から離脱された場合、保守員等により引き続き取手35が把持されて、前側の外面を上方へ向けると共に後側の外面(すなわち受渡口34側)を下方へ向けた縦長の姿勢で持ち運ばれる。
[2−2.紙幣収納庫の内部構成]
次に図3及び図4を用いて、紙幣収納庫11の内部構成について説明する。なお図3は、図2のA1−A1矢視断面図である。また図4は、図3のA2−A2矢視断面図である。
次に図3及び図4を用いて、紙幣収納庫11の内部構成について説明する。なお図3は、図2のA1−A1矢視断面図である。また図4は、図3のA2−A2矢視断面図である。
紙幣収納庫11内には、カセット本体30及び扉体31により周囲が囲まれた内部空間11Sが形成されている。内部空間11Sには、2本のフロントガイド40、2枚のサイドガイド41、収納ガイド42、ピッカガイド43及び押圧板44が設けられている。フロントガイド40は、内部空間11Sの上寄りにおける右側及び左側に1本ずつ設けられている。このフロントガイド40は、前後方向に長く左右方向及び上下方向に短い直方体状ないし四角柱状に形成されており、扉体31の下面に取り付けられている。
サイドガイド41は、内部空間11Sの左右両端近傍にそれぞれ設けられている。このサイドガイド41は、例えば前後方向に長く左右方向に薄い、長方形の板状に形成されており、カセット本体30における左側板及び右側板の内側にそれぞれ取り付けられている。収納ガイド42は、内部空間11Sの下寄りに設けられている。この収納ガイド42は、例えば前後方向に長い長方形の板状に形成されており、カセット本体30の下側面に対し、やや間隔を隔てて取り付けられている。
ピッカガイド43は、内部空間11Sの後寄りに設けられている。このピッカガイド43は、前側に配置されたガイド本体51と、左右それぞれに配置された脚部52及び53とを有している。媒体ガイドとしてのガイド本体51は、左右方向に長く前後方向に短い長方形の板状に形成されている。ガイド本体51の左端及び右端は、カセット本体30の左側板及び右側板にそれぞれ近接した位置に到達しており、また後方へ向けて脚部52及び53がそれぞれ垂設されている。脚部52及び53は、何れも左右方向に薄い板状に形成されている。
このピッカガイド43は、カセット本体30の後側面を形成する後側板30Bの内側における左右の両端近傍に対し、脚部52及び53の後端をそれぞれ当接させた状態で取り付けられている。すなわちガイド本体51は、後側板30Bから十分に離れた箇所において、左右の両端近傍を脚部52及び53によりそれぞれ支持されている。これにより、ピッカガイド43は、ガイド本体51の前面であるガイド面51Aを前方に向けている。
押圧板44は、左右方向に長く前後方向に短い直方体状に形成されており、内部空間11S内のピッカガイド43よりも前側において、上下方向に関してフロントガイド40及び収納ガイド42の間であり、且つ左右方向に関し左右のサイドガイド41の間となる空間に配置されている。この押圧板44は、カセット本体30の前側板近傍からピッカガイド43のガイド本体51近傍までの比較的長い範囲において、前後方向へ移動可能となっており、また図示しないばねにより後方向へ付勢されている。
このように、紙幣収納庫11の内部空間11Sには、2本のフロントガイド40、一対のサイドガイド41、収納ガイド42、ピッカガイド43及び押圧板44により、該内部空間11Sよりも一回り小さい、直方体状の紙幣収納空間46が形成されている。媒体収納空間としての紙幣収納空間46には、複数の紙幣50が、長辺を左右方向に沿わせると共に短辺を上下方向に沿わせ、その紙面を前後方向に向けた姿勢で、前後方向に沿って互いに重なるように並べられた状態で、収納される。この紙幣50は、押圧板44が前方へ付勢されていることにより、後側に位置するピッカガイド43のガイド面51Aに押し付けられている。因みに紙幣収納庫11は、前後方向の長さが比較的長いために、紙幣収納空間46に例えば3千枚のように多くの紙幣50を収容することができる。
また紙幣収納庫11では、カセット本体30に対する各サイドガイド41の左右方向に関する取付位置が適宜調整されることにより、紙幣収納空間46における左右方向の長さが、紙幣50における長辺の長さよりも僅かに長くなっている。また紙幣収納庫11では、扉体31に対する各フロントガイド40の上下方向に関する取付位置が適宜調整されることにより、紙幣収納空間46における上下方向の長さが、紙幣50における短辺の長さよりも僅かに長くなっている。このため紙幣収納庫11では、運搬中等に様々な姿勢になった場合であっても、収納された紙幣50をこの紙幣収納空間46内で上下方向及び左右方向へ大きく変位させることがなく、前後方向に沿って整然と重ねて収納された状態を維持できる。
さらに収納ガイド42の後端には、一部を後下側へ湾曲させながら受渡口34(図2)へ到達する板状の搬送ガイド42Aが一体に設けられている。またピッカガイド43におけるガイド本体51の下端には、搬送ガイド42Aとの間に間隔を形成しながら後下側の受渡口34に到達する板状の搬送ガイド54が一体に設けられている。すなわち紙幣収納庫11は、互いに対向する搬送ガイド42A及び54により、紙幣50を搬送させるための搬送路47が形成されている。この搬送路47は、紙幣収納空間46の後下隅部と受渡口34とを連接させている。
[2−3.繰出部の構成]
上述したように、紙幣収納庫11の後端近傍側には、紙幣50を1枚ずつに分離して後方へ繰り出す繰出部12が組み込まれている。この繰出部12は、紙幣収納空間46の後側ないし下側後部に組み込まれており、紙幣と当接する複数のローラや各ローラが取り付けられた複数のシャフトを中心に構成されている。
上述したように、紙幣収納庫11の後端近傍側には、紙幣50を1枚ずつに分離して後方へ繰り出す繰出部12が組み込まれている。この繰出部12は、紙幣収納空間46の後側ないし下側後部に組み込まれており、紙幣と当接する複数のローラや各ローラが取り付けられた複数のシャフトを中心に構成されている。
繰出部12は、ピッカガイド43のガイド本体51よりも後側であって、上下方向の中央寄りもやや上側に、ピッカシャフト61を有している。ピッカシャフト61は、所定の金属によって構成され、中心軸を左右方向に沿わせた細長い円柱状に形成されている。またピッカシャフト61は、左右の両端近傍において、ピッカガイド43の脚部52及び53により、それぞれ回転可能に支持されている。このため以下では、脚部52及び53を回転支持部とも呼ぶ。さらにピッカシャフト61は、例えばカセット本体30内に設けられたモータ(図示せず)から駆動力が伝達されるようになっている。
ピッカシャフト61における左右方向の中央寄りには、4個のピッカローラ62が、左右方向にそれぞれ所定の間隔を空けて取り付けられている。各ピッカローラ62は、何れも同等に構成されており、中心軸を左右方向に沿わせた、左右方向の長さが比較的短い円柱状ないし円板状に形成されており、その中心部分においてピッカシャフト61により貫通されている。
各ピッカローラ62は、所定の樹脂により形成されると共に、外周の一部に扇状の高摩擦部材62Rが取り付けられている。高摩擦部材62Rは、例えばゴムのようにピッカローラ62よりも摩擦係数が高い材料でなり、その円弧面(周側面)を当該ピッカローラ62の外周面よりも外方へ僅かに突出させている。
一方、ピッカガイド43におけるガイド本体51の中央部分には、各ピッカローラ62に対応する箇所に、前後方向に貫通した孔部51Hが穿設されている。図5、図6及び図7に示すように、各ピッカローラ62は、前端近傍の一部分を、各孔部51Hを介してガイド面51Aから前側へ突出させ、紙幣収納空間46内に露出させている。以下の説明では、各ピッカローラ62においてガイド面51Aから紙幣収納空間46内へ突出した部分を、突出外周部62Aとも呼ぶ。
上述したように、紙幣収納庫11の押圧板44(図3及び図4)は、図示しないばねにより後方向へ付勢されている。このため押圧板44は、紙幣収納空間46に収納されている紙幣50に対して、後側へ、すなわちピッカガイド43側へ向かう力を作用させ、該紙幣50を各ピッカローラ62に押し付けている。
また繰出部12は、ピッカガイド43のガイド本体51よりも後側であって、下寄りの箇所、すなわちピッカシャフト61の下側に、フィードシャフト63を有している。フィードシャフト63は、ピッカシャフト61と同様、細長い円柱状に形成されており、左右の両端近傍において脚部52及び53によりそれぞれ回転可能に支持されている。このフィードシャフト63は、ピッカシャフト61と同様、例えば上述したモータ(図示せず)から駆動力が伝達される。
フィードシャフト63における左右方向の中央寄りには、2個のフィードローラ64が、左右方向に所定の間隔を空けて取り付けられている。各フィードローラ64は、何れも同等に構成されており、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成され、その中心部分においてフィードシャフト63により貫通されている。フィードローラ64は、左右方向の長さがピッカローラ62よりも十分に長くなっており、また外周面における左右方向に離れた2箇所に、一周に亘る溝が形成されている。さらにフィードローラ64には、ピッカローラ62の高摩擦部材62Rと同様の高摩擦部材64R(図3)が設けられている。因みに高摩擦部材64Rの円弧面(周側面)は、フィードローラ64の周側面と同等の半径でなる連続した円周面を形成している。
一方、ピッカガイド43におけるガイド本体51の下側部分から搬送ガイド54に亘る範囲には、各フィードローラ64に対応する箇所に、前後方向ないし上下方向に貫通した孔部が穿設されている(図5)。各フィードローラ64は、前端近傍ないし下端近傍の一部分を、この孔部を介してガイド面51Aの前側ないし搬送ガイド54の下側へ突出させ、紙幣収納空間46内ないし搬送路47内に露出させている。
さらに繰出部12は、収納ガイド42の下側であって搬送ガイド42Aよりも前側の箇所に、ゲートシャフト65を有している。ゲートシャフト65は、ピッカシャフト61及びフィードシャフト63と同様、細長い円柱状に形成されており、左右の両端近傍において、収納ガイド42の下側に設けられたシャフト支持部(図示せず)により、それぞれ回転可能に支持されている。このゲートシャフト65は、例えば上述したモータ(図示せず)からワンウェイクラッチ(図示せず)を介して駆動力が伝達される。
ゲートシャフト65における、各フィードローラ64と対応する位置には、それぞれ2個1組の(すなわち合計4個の)ゲートローラ66が取り付けられている。各ゲートローラ66は、何れも同等に構成されており、ピッカローラ62と同様、中心軸を左右方向に沿わせた、左右方向の長さが比較的短い円柱状ないし円板状に形成されており、その中心部分においてゲートシャフト65により貫通されている。
一方、収納ガイド42における搬送ガイド42Aの前側部分には、各ゲートローラ66と対応する箇所に、前後方向に貫通した孔部がそれぞれ穿設されている。各ゲートローラ66は、上端近傍の一部分を、各孔部を介して搬送ガイド42Aから後側へ突出させ、搬送路47内に露出させている。また各ゲートローラ66は、その外周の一部分を、各フィードローラ64に形成された溝に僅かに入り込ませている。
かかる構成において、繰出部12は、制御部4の制御に基づいて紙幣を繰り出す繰出処理を行う場合、上述したモータ(図示せず)を所定の正回転方向へ回転させることにより、ピッカシャフト61、フィードシャフト63及びゲートシャフト65のワンウェイクラッチにそれぞれ駆動力を伝達する。
ピッカシャフト61は、ピッカローラ62と一体に矢印D1方向(図3)へ回転する。このときピッカローラ62は、高摩擦部材62Rをピッカガイド43におけるガイド本体51の前側、すなわち紙幣収納空間46側に到達させると、最も後側に位置する紙幣50の紙面(後面)に当接させ、摩擦力の作用によりこの紙幣50に対して下方向へ向かう力を作用させて、搬送路47側へずらすように進行させる。一方、ピッカローラ62は、高摩擦部材62R以外の樹脂部分を紙幣50の紙面に当接させている間、該紙幣50に対し外周面を摺動させるため、該紙幣50をその位置に止める。このためピッカローラ62は、一定の回転速度で回転することにより、紙幣50を間欠的に1枚ずつ分離して下方へ、すなわち搬送路47へ送り出すことができる。以下では、下方向を分離方向とも呼ぶ。
フィードシャフト63は、フィードローラ64と一体に矢印D1方向へ回転する。このときフィードローラ64は、高摩擦部材64Rをガイド本体51の前側若しくは搬送ガイド54の下側に到達させると、ピッカローラ62により送り出された紙幣50に対し、該高摩擦部材64Rを当接させ、搬送路47に沿って後下方向へ送り出す。
一方、ゲートシャフト65は、ワンウェイクラッチの作用によりモータからの駆動力が切断され、ゲートローラ66と共に静止した状態となる。このためゲートローラ66は、仮にピッカローラ62から加えられた力によって2枚以上の紙幣50が下方向へ送り出されていたとしても、フィードローラ64との噛み合い部分において、後側から数えて2枚目及びその前側の紙幣50を堰き止め、最も後側の紙幣50のみを高摩擦部材64Rとに間に作用する摩擦力により搬送路47内へ進行させる。
かくして繰出部12は、ピッカローラ62及びフィードローラ64をそれぞれ回転させることにより、紙幣収納空間46内に収納された紙幣50のうち、最も後側の1枚を他の紙幣50から間欠的に順次分離し、搬送路47を介して受渡口34へ到達させ、後側の搬送部13(図1)に引き渡すことができる。
因みに繰出部12は、紙幣収納庫11からの紙幣50の繰出を停止する場合、各ピッカローラ62の高摩擦部材62Rをピッカガイド43の内側(すなわちガイド本体51の後側)に位置させる。これにより繰出部12は、繰出動作を行わない場合に高摩擦部材62Rを紙幣50と当接させないようになっている。
また紙幣収納庫11には、例えば搬送路47の所定位置に、紙幣50の有無を検出するセンサ(図示せず)が設けられている。制御部4は、このセンサから得られる検出信号を基に、紙幣50が正常に繰り出されたか否かを判断する。
そのうえで制御部4は、繰出処理の実行中に、センサからの検出信号を基に紙幣50が正常に繰り出されていないと判断した場合、搬送路47において紙幣50の詰まりが発生したと判断して、この詰まりの解消を図る。具体的に制御部4は、モータ(図示せず)を逆回転させることにより、フィードシャフト63と一体に各フィードローラ64を矢印D2方向(図3)へ回転させると共に、ゲートシャフト65と一体に各ゲートローラ66を矢印D1方向へ回転させる。これにより制御部4は、搬送路に詰まった紙幣50を搬送路47に沿って前上方向へ進行させて(すなわち逆送させて)紙幣収納空間46に戻し、該紙幣50の詰まりを解消させることができる。
[2−4.ピッカシャフトに対する力の作用]
ここで、ピッカシャフト61に作用する力について説明するために、図4と対応する図8に示すように、仮想的な紙幣収納庫81を想定する。紙幣収納庫81は、紙幣収納庫11と比較して、概ね同様に構成されているものの、ピッカガイド43に代わるピッカガイド83を有している。ピッカガイド83は、ピッカガイド43と同様のガイド本体51、脚部52及び53、並びに搬送ガイド54(図示せず)を有している。
ここで、ピッカシャフト61に作用する力について説明するために、図4と対応する図8に示すように、仮想的な紙幣収納庫81を想定する。紙幣収納庫81は、紙幣収納庫11と比較して、概ね同様に構成されているものの、ピッカガイド43に代わるピッカガイド83を有している。ピッカガイド83は、ピッカガイド43と同様のガイド本体51、脚部52及び53、並びに搬送ガイド54(図示せず)を有している。
この紙幣収納庫81は、紙幣収納庫11と同様、紙幣出金機1(図1)の設置場所とは異なる紙幣収納場所で、内部に多数の(例えば3000枚等の)紙幣50が収納された後、保守員等により該紙幣出金機1の設置場所まで運搬されて、収納筐体10に装着される。このとき紙幣収納庫81は、保守員等により取手35(図2等)が把持され、この取手35がある前側を上方に向けると共に繰出部12が組み込まれた後側を下方に向けた縦長の姿勢で、持ち運ばれる場合がある。
ここで紙幣収納庫81は、保守員等により縦長の姿勢で運搬されると、その内部において、繰出部12のピッカシャフト61及び各ピッカローラ62が、多数の紙幣50の下側に位置する。このためピッカシャフト61には、紙幣収納庫81が持ち運ばれている間、各ピッカローラ62を介して、紙幣50の総重量に応じた重力(以下、これを紙幣総重力と呼ぶ)が加えられる。ここでピッカシャフト61は、上述のように例えば金属によって形成され、所定の強度を有しているため、紙幣総重力が加えられた場合にも変形しない。
しかしながら紙幣収納庫81は、保守員等による運搬中に、誤って落下されて地面と衝突する場合や、周囲の物と衝突する場合等がある。このような場合、紙幣収納庫81では、多数の紙幣50が下方へ急激に移動しようとするため、紙幣総重力よりも大きな下向きの衝撃力が発生する。
このときピッカローラ62は、紙幣50から衝撃力を受け、これをピッカシャフト61の中央部分にそのまま伝える。ピッカシャフト61は、左右の両端近傍において脚部52及び53によって支持されているため、中央部分を後側板30Bの方向へ、弓形状にせり出すように撓んで変形する。またピッカシャフト61は、これと共にピッカローラ62を後側板30B側へ、すなわちピッカガイド43の内側に沈み込むように変位させる。
ここでピッカシャフト61は、衝撃力が加わることによる変形の度合が比較的小さければ、弾性変形となり、この衝撃力が消滅すると元の形状に復元できる。しかしながらピッカシャフト61は、この変形の度合が比較的大きければ、弾性限界を超えて塑性変形となり、この衝撃力が消滅した後も変形したまま、元の形状に復元できなくなる。
ピッカシャフト61が塑性変形した場合、紙幣収納庫81では、ピッカローラ62が偏心するため、紙幣50の繰出処理を行う時に該ピッカシャフト61を回転させると、各ピッカローラ62を前後や上下に振動させながら回転させることになる。この結果、紙幣収納庫81では、ピッカローラ62を紙幣50に安定的に当接させることができず、また該紙幣50に対し前方向へ向かう不要な力を繰り返し作用させる等の現象が発生することにより、該紙幣50を正常に繰り出し得なくなる。
そこで本実施の形態による紙幣収納庫11(図2〜図7)では、運搬中に衝撃力が発生した場合であっても、ピッカシャフト61の塑性変形を防止し得るような構成を、ピッカガイド43に設けた。以下では、このピッカガイド43の構成について説明する。
[2−5.ピッカガイドの構成]
ピッカガイド43は、図5に示したように、ガイド本体51のガイド面51Aにおいて、互いに隣接する各ピッカローラ62の突出外周部62A同士の間に、ガイド面51Aから前方へ突出した突部55がそれぞれ設けられている。突部55は、図6及び図7にも示したように、全体として上下方向に細長い立体形状となっており、左右方向から見た形状が、後側を比較的長い下底とし前側を比較的短い上底とする台形状となっている。
ピッカガイド43は、図5に示したように、ガイド本体51のガイド面51Aにおいて、互いに隣接する各ピッカローラ62の突出外周部62A同士の間に、ガイド面51Aから前方へ突出した突部55がそれぞれ設けられている。突部55は、図6及び図7にも示したように、全体として上下方向に細長い立体形状となっており、左右方向から見た形状が、後側を比較的長い下底とし前側を比較的短い上底とする台形状となっている。
突部55は、上下方向の長さL1が、突出外周部62Aにおけるガイド面51A付近の上下方向の長さL2よりも僅かに短くなっている。また突部55は、ガイド面51Aから頂上面55Aまでの高さである突部高さH1が、突出外周部62Aにおけるガイド面51Aから頂点(すなわち最も前側に位置する点)までのローラ高さH2よりも僅かに低くなっている(図7)。このため突部55は、左右方向から見て、ピッカローラ62の突出外周部62Aに隠れるような大きさ及び形状となっている(図6)。さらに突部55は、搬送路47側の下側面55Bが、ガイド面51Aに対して鋭角に傾斜している。
かかる構成により紙幣収納庫11は、落下により地面等に衝突した場合、紙幣50から衝撃力を受けた各ピッカローラ62がピッカシャフト61を変形させながらピッカガイド43の内側に僅かに沈み込み始めるものの、間もなく突部55の頂上面55Aを紙幣50に当接させ、衝撃力の一部を受け止めることができる。これにより紙幣収納庫11は、各ピッカローラ62の後方向への移動量を比較的小さくすることができ、ピッカシャフト61の撓み量を小さく抑えることができるので、該ピッカシャフト61の変形度合を小さくし、弾性変形に止めることができる。
詳細に見ると、紙幣収納庫11では、落下により地面に衝突した場合、突出外周部62Aのローラ高さH2と突部55の突部高さH1との差分である高低差H3だけ、各ピッカローラ62が紙幣50により下方に押されて変位する。すなわち高低差H3は、各ピッカローラ62の変位量であり、ピッカシャフト61の中央部分における撓み量となっている。
そこで紙幣収納庫11では、ピッカシャフト61の中央部分における弾性限界での撓み量である第1撓み量G1よりも高低差H3が小さくなるように、突部55の突部高さH1が適切に選定されている。すなわち突部55の突部高さH1は、突出外周部62Aのローラ高さH2よりも低い範囲において、紙幣収納庫11の落下時に生じる衝撃によるピッカシャフト61の変形を弾性変形に止め、塑性変形させないような高さ(長さ)に選定されている。
因みに突部55の突部高さH1は、高低差H3を比較的小さい値、例えば2[mm]や3[mm]程度とするように、選定されている。またピッカガイド43は、所定の樹脂材料により構成され、ガイド本体51に対し突部55並びに脚部52及び53が一体に形成されている。これによりピッカガイド43では、脚部52及び53により回転可能に支持するピッカシャフト61に取り付けられたピッカローラ62と、突部55との間の位置精度を高め、高低差H3の公差を小さく抑えることができる。
またピッカガイド43におけるガイド本体51の後側、すなわちガイド面51Aと反対の面には、各突部55の近傍に本体支持部56がそれぞれ設けられている。本体支持部56は、全体として直方体状に構成されており、左右方向の位置が、各突部55と同様に各ピッカローラ62同士の間となっている。これに伴い、本体支持部56における左右方向の長さは、互いに隣接するピッカローラ62同士の間隔よりも十分に短くなっている。
本体支持部56における上下方向の位置は、ピッカシャフト61よりも十分に上側であり、且つピッカローラ62よりも僅かに上側となっている。すなわち本体支持部56は、突部55よりも上側に配置されている。さらに本体支持部56は、前後方向の長さが脚部52及び53とほぼ同等となっており、その前端がガイド本体51の後面に固定されると共に、その後端をカセット本体30の後側板30Bに当接させている。
[3.効果等]
以上の構成において、紙幣出金機1では、収納筐体10に対し紙幣収納庫11を着脱可能に構成し、この紙幣収納庫11内に紙幣収納空間46を形成して、多数の紙幣50を収納させた。また紙幣収納庫11では、紙幣収納空間46の後側に配置されたピッカシャフト61に複数のピッカローラ62を挿通し、ピッカガイド43のガイド本体51に孔部51Hを形成して該ピッカローラ62の一部を紙幣収納空間46側へ露出させて突出外周部62Aとし、紙幣50と当接させた(図3及び図4)。
以上の構成において、紙幣出金機1では、収納筐体10に対し紙幣収納庫11を着脱可能に構成し、この紙幣収納庫11内に紙幣収納空間46を形成して、多数の紙幣50を収納させた。また紙幣収納庫11では、紙幣収納空間46の後側に配置されたピッカシャフト61に複数のピッカローラ62を挿通し、ピッカガイド43のガイド本体51に孔部51Hを形成して該ピッカローラ62の一部を紙幣収納空間46側へ露出させて突出外周部62Aとし、紙幣50と当接させた(図3及び図4)。
さらに紙幣収納庫11は、ガイド本体51の紙幣収納空間46側における互いに隣接するピッカローラ62同士の間に、ガイド面51Aから紙幣収納空間46側へ突出し、且つ頂上面55Aが該ピッカローラ62の頂点よりも低い(すなわちガイド面51A側に位置する)突部55をそれぞれ設けた(図5〜図7)。
紙幣収納庫11は、落下により地面等に衝突した場合、紙幣50から衝撃力を受けた各ピッカローラ62がピッカシャフト61を変形させながらピッカガイド43の内側へ僅かに変位させた後、突部55の頂上面55Aを紙幣50に当接させる。このため紙幣収納庫11は、紙幣50から加えられた衝撃力を各ピッカローラ62がピッカシャフト61により受け止めさせるのではなく、ガイド本体51や脚部52及び53等からカセット本体30の後側板30Bへ逃がすことができる。
これにより紙幣収納庫11では、ピッカローラ62の後側板30B側に対する変位量が高低差H3(図3)程度に止められ、図9に示すように、ピッカシャフト61の撓み量を第1撓み量G1よりも小さい第3撓み量G3に抑えることができる。すなわち紙幣収納庫11では、仮想的な紙幣収納庫81(図8)のように、ピッカシャフト61の撓み量が第1撓み量G1よりも大きい第2撓み量G2となることを、回避できる。
このため紙幣収納庫11では、落下等により紙幣50から比較的大きな衝撃力を受けた場合であっても、ピッカシャフト61の変形度合を弾性限界よりも小さく抑えることができ、該ピッカシャフト61を塑性変形させず、弾性変形に止めることができる。すなわち紙幣収納庫11では、落下等による衝撃力が消滅すると、図10に示すように、ピッカシャフト61が元の形状、すなわち左右方向に沿った直線状に復元される。これにより紙幣収納庫11では、ピッカローラ62の偏心が生じることがなく、繰出処理において紙幣50を適切に、すなわち1枚ずつに分離しながら順次繰り出すことができる。
また紙幣収納庫11では、突部55におけるガイド面51Aから頂上面55Aまでの突部高さH1を、突出外周部62Aにおけるガイド面51Aから頂点までのローラ高さH2よりも僅かに低くした(図7)。これにより紙幣収納庫11では、ピッカローラ62によって紙幣収納空間46から紙幣50を搬送路47へ送り出す場合に、突部55の頂上面55A等との接触による該紙幣50の損傷を未然に回避できる。
さらに紙幣収納庫11では、突部55の下側面55Bを、ガイド本体51のガイド面51Aに対して鋭角に傾斜させた(図6)。これにより紙幣収納庫11は、搬送路47から紙幣50を紙幣収納空間46へ戻す(逆送させる)場合に、該下側面55Bに紙幣50の端部(すなわち長辺部分)を引っかけて破損させることを未然に回避できる。
そのうえ紙幣収納庫11は、ガイド本体51の後側に、各突部55と対応する本体支持部56をそれぞれ設けた(図6及び図7)。これにより紙幣収納庫11では、落下等による衝撃力がピッカガイド43の突部55に加えられた場合、本体支持部56によりガイド本体51を支持し、この衝撃力を後側板30Bへ逃がすことができる。これを換言すれば、本体支持部56は、突部55の後側近傍において、ガイド本体51を、ガイド面51Aの法線方向である前後方向に関して支持している。これにより紙幣収納庫11では、ガイド本体51及び突部55が撓んで後側板30B側へ変位することを防止でき、ピッカローラ62及びピッカシャフト61の変位量を高低差H3程度に止めることができる。
以上の構成によれば、紙幣出金機1の紙幣収納庫11は、ピッカガイド43のガイド本体51におけるピッカローラ62同士の間に、突出外周部62Aの高さよりも低い突部55をそれぞれ設けた。紙幣収納庫11は、持ち運ばれる途中での落下等により多数の紙幣50から加えられる衝撃力を、突部55により受け止めてカセット本体30の後側板30B等へ逃がすことができ、ピッカローラ62を介してピッカシャフト61に加わる衝撃力を大幅に縮小できる。これにより紙幣収納庫11は、ピッカシャフト61を塑性変形させずに弾性変形させることができ、ピッカローラ62の偏心を回避できるので、紙幣50を正常に繰り出し得る状態を維持できる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、ピッカガイド43のガイド面に前後方向から見て長方形状であり左右方向から見て台形状の突部55を設ける場合について述べた(図6、図7)。しかしながら本発明は、これに限らず、例えば図11に示すように、ピッカガイド143のガイド本体151におけるガイド面151A側に、左右方向から見て頂上部分が弓形状又は円弧状に湾曲した突部155等、種々の形状でなる突部を設けても良い。また、複数の突部において互いの形状を相違させても良い。要は、紙幣収納庫11が落下して地面に衝突したときに、複数の紙幣50と共に、これらによって発生する衝撃力を受け止めることができれば良い。何れの場合においても、突部55において紙幣50と当接する面積をできるだけ大きくすることにより、該突部55から該紙幣50に作用する単位面積当たりの力の大きさを小さく抑えて、該紙幣50を損傷させる可能性を低減できる。
なお上述した実施の形態においては、ピッカガイド43のガイド面に前後方向から見て長方形状であり左右方向から見て台形状の突部55を設ける場合について述べた(図6、図7)。しかしながら本発明は、これに限らず、例えば図11に示すように、ピッカガイド143のガイド本体151におけるガイド面151A側に、左右方向から見て頂上部分が弓形状又は円弧状に湾曲した突部155等、種々の形状でなる突部を設けても良い。また、複数の突部において互いの形状を相違させても良い。要は、紙幣収納庫11が落下して地面に衝突したときに、複数の紙幣50と共に、これらによって発生する衝撃力を受け止めることができれば良い。何れの場合においても、突部55において紙幣50と当接する面積をできるだけ大きくすることにより、該突部55から該紙幣50に作用する単位面積当たりの力の大きさを小さく抑えて、該紙幣50を損傷させる可能性を低減できる。
また上述した実施の形態においては、ガイド面151Aにおけるピッカローラ62同士の間に突部55を配置する場合について述べた(図5及び図7)。しかしながら本発明は、これに限らず、例えばピッカローラ62における左右方向の外側等、他の種々の箇所に突部55を配置しても良い。この場合、繰出動作において紙幣50と当接しない箇所に設けることにより、該突部55による紙幣50の損傷を回避できる。
さらに上述した実施の形態においては、突部55の下側面55Bをガイド面51Aに対して鋭角に傾斜させる場合について述べた(図5及び図6)。しかしながら本発明は、これに限らず、例えばピッカローラ62との距離が十分に近く、繰出処理において紙幣50と当接するおそれが無い場合等に、下側面55Bをガイド面51Aに対して垂直に形成しても良く、或いは下側面55Bを曲面としても良い。
さらに上述した実施の形態においては、ピッカガイド43のガイド本体51、脚部52及び53、並びに突部55等を何れも一体の部品として構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばガイド本体51、脚部52及び53と突部55とを互いに異なる部品として製造し、該ガイド本体51のガイド面51Aに突部55を取り付けるようにしても良い。或いは、ガイド本体51と一体に形成された脚部52及び53とは別に、ピッカシャフト61等を回転可能に支持する回転支持部を設けても良い。
さらに上述した実施の形態においては、ガイド本体51の後側において突部55よりも上側に本体支持部56を設ける場合について述べた(図6)。しかしながら本発明は、これに限らず、例えば図11に示したように、突部55よりも下側にも本体支持部157を設ける等、種々の箇所に本体支持部を設けても良い。また本体支持部の形状についても、直方体状に限らず、例えば円柱状や六角柱状等、種々の形状としても良い。また各本体支持部の形状を互いに相違させても良い。何れの場合においても、本体支持部がピッカローラ62やピッカシャフト61等と干渉することなく、突部55に加えられた衝撃をカセット本体30の後側板30Bに逃がすことができれば良い。或いは、ガイド本体51の剛性が十分に高い場合等に、本体支持部56を省略しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、ピッカローラ62に扇状の高摩擦部材62R設け、当該ピッカローラ62の外周面から高摩擦部材62Rの円弧面を僅かに外方へ突出させる場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、例えば図11に示したように、ピッカローラ162に扇状の高摩擦部材162Rを設け、当該ピッカローラ162の外周面に高摩擦部材162Rの円弧面を一致させて設けても良い。
また本発明は、各ピッカローラ62に、それぞれ比較的軟らかい材料でなる扇状の高摩擦部材62Rを、当該ピッカローラ62の外周面から円弧面を僅かに突出させて設けても良い。この場合、例えば制御部4の誤動作や制御不良等により、高摩擦部材62Rを紙幣収納空間46側に露出させた状態でピッカシャフト61の回転を停止させていた状態で、紙幣収納庫11が落下したときに、複数の紙幣50が高摩擦部材62Rに押し付けられることになる。しかしながら本発明は、高摩擦部材62Rが比較的軟らかいために、紙幣50からの衝撃力によって潰れるように変形させることができ、ピッカシャフト61に過大な衝撃力が加わって塑性変形することを防止できる。またこの場合、高摩擦部材62Rの変形を考慮して突部55の突部高さH1を定めても良い。
さらに上述した実施の形態においては、紙幣収納庫11内に設けたモータ(図示せず)からピッカシャフト61等に駆動力を伝達して回転させる場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、例えば収納筐体10側にモータ(図示せず)を設け、所定のギア(図示せず)を介してその駆動力を紙幣収納庫11内へ伝達し、この駆動力を基にピッカシャフト61等を回転させても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙葉状の媒体である紙幣が収納される紙幣収納庫11を収納筐体10に対して着脱する紙幣出金機1に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば証券や金券、或いは商品券や入場券等、種々の紙葉状の媒体を収納する媒体収納庫を収納筐体に対し着脱する種々の装置に適用しても良い。
さらに本発明は、上述した実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
本発明は、例えば紙幣を束状に集積して出金する紙幣出金機の紙幣収納庫で利用できる。
1……紙幣出金機、11……紙幣収納庫、12……繰出部、43……ピッカガイド、46……紙幣収納空間、50……紙幣、51……ガイド本体、52、53……脚部、55……突部、56……本体支持部、61……ピッカシャフト、62……ピッカローラ、62R……高摩擦部材、62A……突出外周部、H1……突部高さ、H2……ローラ高さ。
Claims (8)
- 紙面を互いに重ねるように並べた状態で複数の紙葉状の媒体を収納する媒体収納空間と、
前記媒体収納空間に収納された前記媒体の一面に対し、該一面に沿った分離方向へ前記媒体を繰り出すローラと、
前記ローラが取り付けられ、該ローラと一体に回転するシャフトと、
前記媒体収納空間に収納された前記媒体の一面と対向するガイド面を有し、前記媒体を案内する媒体ガイドと、
前記媒体ガイドに形成された孔部を介して、前記ローラの外周の一部を前記ガイド面から前記媒体収納空間内へ所定のローラ高さに突出させた状態で、前記シャフトを回転可能に支持する回転支持部と、
前記ガイド面に設けられ、該ガイド面から突出した高さである突部高さが前記ローラ高さよりも低い突部と
を具えることを特徴とする媒体収納庫。 - 前記媒体ガイドは、前記ガイド面において2つの前記ローラの間に前記突部が設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体収納庫。 - 前記突部は、前記シャフトが弾性限界で塑性変形となる撓み量よりも、前記ローラ高さと前記突部高さとの高低差の方が小さくなるように、選定されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の媒体収納庫。 - 前記媒体ガイドは、前記突部と一体に構成された
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の媒体収納庫。 - 前記媒体ガイドは、前記回転支持部と一体に構成された
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の媒体収納庫。 - 前記媒体ガイドは、前記ガイド面と反対の面において、前記突部の近傍において該ガイド面を法線方向に支持する支持部が設けられた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の媒体収納庫。 - 前記突部は、分離方向側の側面が、前記ガイド面に対して鋭角をなすように傾斜している
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の媒体収納庫。 - 請求項1乃至請求項7の何れかに記載の前記媒体収納庫が着脱される筐体
を具えることを特徴とする自動取引装置。
Priority Applications (1)
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