JP2018030788A - フェノチアジン誘導体の製造方法 - Google Patents

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JP2018030788A JP2016162248A JP2016162248A JP2018030788A JP 2018030788 A JP2018030788 A JP 2018030788A JP 2016162248 A JP2016162248 A JP 2016162248A JP 2016162248 A JP2016162248 A JP 2016162248A JP 2018030788 A JP2018030788 A JP 2018030788A
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孝充 細谷
Takamitsu Hosoya
孝充 細谷
吉田 優
Masaru Yoshida
優 吉田
翼 松澤
Tsubasa Matsuzawa
翼 松澤
圭祐 内田
Keisuke Uchida
圭祐 内田
正一 近藤
Shoichi Kondo
正一 近藤
松下 武司
Takeshi Matsushita
武司 松下
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Abstract

【課題】配置できる官能基の制限が少なく、副生成物が生じにくい、収率の高いフェノチアジン誘導体の製造方法の提供。
【解決手段】ベンザイン前駆体を、式(A)で表される化合物と反応させる工程を含む、フェノチアジン誘導体の製造方法。

(RA1〜RA5は各々独立して、H、水酸基又は有機基であり、RA1とRA2、RA2とRA3、RA3とRA4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよい;RA6はH又は置換されてもよいC〜C20炭化水素基;Xはハロゲン原子)
【選択図】なし

Description

本発明は、フェノチアジン誘導体の製造方法に関する。
下記式
(式中、Rは水素原子または有機基である)
で表される骨格を有するフェノチアジン誘導体は医薬、染料、光電子、光学材料、電解質組成物などに用いられる化合物である。
フェノチアジン誘導体の製造方法としては、たとえば、SnAr反応およびSmiles転位を経由した製造方法(H. Yale, J. Am. Chem. Soc. 1955, 77, 2270.(非特許文献1))、Pd触媒を用いたカップリング反応による3分子連続連結合成法(T. Dahl, et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 1726.(非特許文献2))等が知られている。
SnAr反応およびSmiles転位を経由した製造方法は、たとえば、下記の反応式で表される。
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基である)
しかしながら、上記製造方法に用いられる(1)で表される化合物の合成は困難である。また、上記反応式で(1)の化合物と反応するために、(2)で表される化合物はハロゲン原子等の電子吸引基が必要である。したがって、SnAr反応およびSmiles転位を経由した上記製造方法では、得られるフェノチアジン誘導体の置換基が限定されている。
また、Pd触媒を用いたカップリング反応による3分子連続連結合成法は、たとえば、下記の反応式で表される。
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基であり、Rは有機基である)
しかしながら、上記製造方法では、副生成物が生じやすく、フェノチアジン誘導体の収率が低いという課題があった。
H. Yale, J. Am. Chem. Soc. 1955, 77, 2270. T. Dahl, et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 1726.
このような状況の下、配置できる官能基の制限が少ないフェノチアジン誘導体の製造方法が求められている。また、多置換のフェノチアジン誘導体の製造方法が求められている。さらに、副生成物が生じにくい収率の高いフェノチアジン誘導体の製造方法が求められている。
本発明の発明者らは、ベンザイン誘導体またはベンザイン前駆体を用いて、新たなフェノチアジン誘導体の製造方法を見出し、本発明の課題を解決するに至った。
本発明には以下の態様の発明が含まれる。
[1]
式(B)
(式中、RB1〜RB4はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RB1とRB2、RB2とRB3、RB3とRB4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよい。)
で表されるベンザイン誘導体を、式(A)
(式中、RA1〜RA5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RA1とRA2、RA2とRA3、RA3とRA4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
A6は水素原子または置換されてもよいC〜C20炭化水素基であり、
Xはハロゲン原子である。)
で表される化合物と反応させる工程を含む、式(C)
(式中、RA1〜RA4、RA6、RB1〜RB4およびXは上記と同意義である。)
で表される化合物の製造方法。
[2]
前記ベンザイン誘導体を、式(B1)
(式中、RB1〜RB4はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RB1とRB2、RB2とRB3、RB3とRB4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
B5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、
Yは脱離基である。)
で表されるベンザイン前駆体から製造する工程をさらに含む、[1]に記載の製造方法。
[3]
式(B1)
(式中、RB1〜RB4はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RB1とRB2、RB2とRB3、RB3とRB4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
B5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、
Yは脱離基である。)
で表されるベンザイン前駆体を、式(A)
(式中、RA1〜RA5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RA1とRA2、RA2とRA3、RA3とRA4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
A6は水素原子または置換されてもよいC〜C20炭化水素基であり、
Xはハロゲン原子である。)
で表される化合物と反応させる工程を含む、式(C)
(式中、RA1〜RA4、RA6、RB1〜RB4およびXは上記と同意義である。)
で表される化合物の製造方法。
[4]
式(B1)で表されるベンザイン前駆体が、式(B2)
(式中、RB1〜RB4はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RB1とRB2、RB2とRB3、RB3とRB4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
OTfはトリフルオロメタンスルホニル基である。)
で表される化合物である、[3]に記載の製造方法。
[5]
[1]〜[4]のいずれかで得られた式(C)の化合物を環化反応によって、式(D)
(式中、Rは水素原子または有機基であり、RA1〜RA4およびRB1〜RB4は[1]と同意義である。)
で表される化合物を製造する、フェノチアジン誘導体の製造方法。
本明細書において、「有機基」は、シアノ基、置換されてもよいC〜C20炭化水素基、置換されてもよいC〜C20アルコキシ基、置換されてもよいC〜C20アリールオキシ基、置換されてもよいアミノ基、置換されてもよいシリル基、置換されてもよいアルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換されてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換されてもよいアリールチオ基(−SY、式中、Yは置換されてもよいC〜C18アリール基を示す。)、置換されてもよいアルキルスルホニル基(−SO、式中、Yは置換されてもよいC〜C20アルキル基を示す。)、置換されてもよいアリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換されてもよいC〜C18アリール基を示す。)、置換されてもよいC〜C20アシル基、置換されてもよいC〜C20アルコキシカルボニル基、置換されてもよいC〜C20ジアルキルアミノ基、置換されてもよいC14〜C30ジアラルキルアミノ基、芳香族基、複素環基、縮合多環芳香族基または縮合多環複素環基であることが好ましい。
本明細書において、「C〜C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C〜C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C〜C20炭化水素基」には、C〜C20アルキル基、C〜C20アルケニル基、C〜C20アルキニル基、C〜C20アルキルジエニル基、C〜C18アリール基、C〜C20アルキルアリール基、C〜C20アリールアルキル基、C〜C20シクロアルキル基、C〜C20シクロアルケニル基、(C〜C10シクロアルキル)C〜C10アルキル基などが含まれる。
本明細書において、「C〜C20アルキル基」は、C〜C10アルキル基であることが好ましく、C〜Cアルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20アルケニル基」は、C〜C10アルケニル基であることが好ましく、C〜Cアルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C2〜C20アルキニル基」は、C〜C10アルキニル基であることが好ましく、C〜Cアルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20アルキルジエニル基」は、C〜C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C〜Cアルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1、3−ブタジエニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C18アリール基」は、C〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20アルキルアリール基」は、C〜C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2、3−キシリル、2、4−キシリル、2、5−キシリル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、メシチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20アリールアルキル基」は、C〜C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2、2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20シクロアルキル基」は、C〜C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20シクロアルケニル基」は、C〜C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20アルコキシ基」は、C〜C10アルコキシ基であることが好ましく、C〜Cアルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。
本明細書において、「C〜C20アリールオキシ基」は、C〜C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。
本明細書において、「アルキルチオ基(−SY、式中、Yは置換されてもよいC〜C20アルキル基を示す。)」及び「アルキルスルホニル基(−SO、式中、Yは置換されてもよいC〜C20アルキル基を示す。)」において、Y及びYは、C〜C10アルキル基であることが好ましく、C〜Cアルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。
本明細書において、「アリールチオ基(−SY、式中、Yは置換されてもよいC〜C18アリール基を示す。)」及び「アリールスルホニル基(−SO、式中、Yは置換されてもよいC〜C18アリール基を示す。)」において、Y及びYは、C〜C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20アシル基」のC〜C20アシル基は、C〜C10アシル基であることが好ましい。アシル基の例としては、制限するわけではないが、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20アルコキシカルボニル基」のC〜C20アルコキシカルボニル基は、C〜C10アルコキシカルボニル基であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例としては、制限するわけではないが、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等を挙げることができる。
本明細書において、「C〜C20ジアルキルアミノ基」のC〜C20ジアルキルアミノ基は、C〜C10ジアルキルアミノ基であることが好ましい。ジアルキルアミノ基の例としては、制限するわけではないが、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等を挙げることができる。
本明細書において、「C14〜C30ジアラルキルアミノ基」のC14〜C30ジアラルキルアミノ基は、C14〜C20ジアラルキルアミノ基であることが好ましい。ジアラルキルアミノ基の例としては、制限するわけではないが、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等を挙げることができる。
「C〜C20炭化水素基」、「C〜C20アルコキシ基」、「C〜C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」、「アシル基」、「アルコキシカルボニル基」、「ジアルキルアミノ基」および「ジアラルキルアミノ基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、たとえば、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、「置換されてもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。
本明細書において、「芳香族基」の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等がある。
本明細書において、「複素環基」の例としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ビピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環芳香族基」の例としては、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環複素環基」の例としては、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等がある。
また、これらの、「芳香族基」、「複素環基」、「縮合多環芳香族基」および「縮合多環複素環基」が有してもよい置換基の例としては、制限するわけではないが、C〜C10炭化水素基(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C〜C10アルコキシ基(たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C〜C10アリールオキシ基(たとえば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(たとえば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個〜4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において、「ハロゲン原子」の例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等がある。
本明細書において、「脱離基」はベンゼン骨格から脱離する基であれば特に限定されないが、その例としては、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニル基、4−クロロベンゼンスルホニル基、4−トルエンスルホニル基、等がある。
本明細書において、「OTf」はトリフルオロメタンスルホニル基、「Me」はメチル基を表す。
また、本明細書において、「式(A)」等で表される化合物を「化合物(A)」等と表記する
本発明の一態様にかかるフェノチアジン誘導体の製造方法は、配置できる官能基の制限が少ない。本発明の一態様にかかるフェノチアジン誘導体の製造方法では、多置換のフェノチアジン誘導体が製造できる。また、本発明の一態様にかかるフェノチアジン誘導体の製造方法は、副生成物が生じにくく、収率が高い。
本発明の製造方法は、ベンザイン誘導体(化合物(B))またはベンザイン前駆体(化合物(B1)を化合物(A)と反応させて化合物(C)を製造する工程を含む(第1工程)。また、本発明の製造方法はさらに、化合物(C)を環化させて化合物(D)(フェノチアジン誘導体)を製造する工程(第2工程)を含む。
以下、第1工程と第2工程に分けて説明する。
1 第1工程
第1工程は出発物質にベンザイン誘導体または、ベンザイン前駆体を用いることができる。出発物質にベンザイン前駆体を用いた場合でも、反応過程でベンザイン誘導体を経由して化合物(C)が合成されていると考えられるため、実質的に両者は同一の反応経路であると考えられるが、以下、出発物質毎に分けて第1工程を説明する。
1.1 出発物質がベンザイン前駆体の場合
第1工程は、ベンザイン前駆体(化合物(B1))を化合物(A)とを反応させる工程である。化合物(A)の合成方法は公知の方法が用いられる。たとえば、o-ブロモフェニルボロン酸をメチルチオ化した後に、ロジウム触媒を用いる合成法によって、オルト位にブロモ基を有するスルフィルイミンを合成することにより、化合物(A)を合成できる(C. Bolm, et al., Org. Lett. 2004, 6, 1306)。
ベンザイン前駆体とこのようにして得られた化合物(A)の混合物に、フッ化カリウム、クラウンエーテル等を加え有機溶媒中で加熱すると、ブロモ基を損なうことなく、硫黄、窒素原子の導入が可能になり、化合物(C)の合成が実現する。有機溶媒として、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル(CHCN)、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン等が用いられる。反応温度は限定されないが、−78〜100℃が好ましく、0〜60℃がさらに好ましく、20〜30℃が最も好ましい。
たとえば、ベンザイン前駆体として、3-メトキシ-2-(トリメチルシリル)フェニルトリフラートを用い、化合物(A)としてS-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)を用いた場合、以下の反応経路を経て2-(2-ブロモフェニルチオ)-3-メトキシアニリン(7a)が合成できると推定できる。
上記のとおり、ベンザイン前駆体と化合物(A)とを反応させて化合物(C)を合成する際、ベンザイン前駆体はハロゲンイオンの存在下で、ベンザイン誘導体となってから反応が進行すると推定できる。ベンザイン誘導体が反応する際の反応機構については、上記反応式に示したとおりであるが、以下1.2で説明する。
1.2 出発物質がベンザイン誘導体の場合
ベンザイン誘導体が反応する反応機構は、当該ベンザイン誘導体に対して、化合物(A)のスルフィルイミンの窒素原子の孤立電子対の求核攻撃、生じたアリールアニオンの硫黄原子に対する求核攻撃によって、4員環の中間体が生成される。次にS−N結合が開裂し、さらに反応停止時にこのスルホニウムのメチル基がメタノールとして脱離することで、化合物(C)が合成できる。
当該反応に用いられる有機溶媒として、THF、CHCN、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン等が用いられる。反応温度は限定されないが、−78〜100℃が好ましく、0〜60℃がさらに好ましく、20〜30℃が最も好ましい。
2 第2工程
第2工程は、第1工程で得られた化合物(C)の分子内アミノ化反応等による環化工程である。第2工程は環化が生じれば特に限定されないが、触媒として、パラジウム化合物を用いることが好ましい。特に、以下の化合物(Pd G1)を触媒として用いることが好ましい。
上記式中、BrettPhos、RuPhosは以下のとおりである。
第2工程に用いられる塩基としては、NaOt-Bu、KOt-Bu、フッ化セシウム等が使用できる。第2工程に用いられる溶媒としては、トルエン、ベンゼン、THF、CHCN、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン等が用いられる。また、第2工程の反応温度は限定されないが、0〜150℃が好ましく、80〜140℃がさらに好ましく、100〜110℃が最も好ましい。
環化工程によって得られたフェノチアジン誘導体は、ハロゲン化アルキルなどとの反応によって、アセチル基をアルキル化させてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例の発明に限定されるものではない。
1 分析方法・測定方法
本明細書における、クロマトグラフィー、核磁気共鳴(NMR)スペクトル、赤外線吸収(IR)、融点測定および質量測定の方法は以下のとおりである。
(1) クロマトグラフィー
分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、あらかじめシリカゲルが塗布されたガラスプレート(Merck Chemicals, Cat. No. 105715, silica gel 60 F254)を用いて行った。スポット検出は、紫外線ランプ(254 nmまたは365 nm)、ヨウ素吸着により行った。また、過マンガン酸カリウム溶液、ニンヒドリン、リンモリブデン酸溶液に浸して、ホットプレートで焼くことでも行った。分取用フラッシュカラムクロマトグラフィーには、シリカゲル(関東化学37563-85、silica gel 60N(spherical, neutral)、粒径45-50 μm;関東化学37565-85、silica gel 60N(spherical, neutral)、粒径63-210 μm)、あるいはNHシリカゲル(関東化学37567-79、silica gel 60(spherical, NH2)、粒径40-50 μm)を用いた。分取用薄層クロマトグラフィー(preparative TLC)には、ワコーゲル(R)B-5F(和光純薬工業株式会社)あるいは、Silica gel 60 PF254(Merk Chemicals)を用い、作製したものを利用した。
(2) 核磁気共鳴(NMR)スペクトル
1H 核磁気共鳴(NMR)スペクトル(400または500 MHz)は、Bruker社製、AVANCE400核磁気共鳴装置、またはAVANCE500核磁気共鳴装置を用いて測定した。化学シフト(δ)は、tetramethylsilane((CH3)4Si)(CDCl3中での測定:0.00 ppm)、測定溶媒の水素由来のピーク(CD3COCD3中での測定:2.05 ppm)、または測定溶媒の非重水素化体由来を内部標準として相対的値を表した。シグナル分裂線様式の略語s、d、t、m、brはそれぞれ単重線、二重線、三重線、多重線、ブロード化を表す。
13C 核磁気共鳴スペクトル(126 MHz)は、Bruker社製、AVANCE500核磁気共鳴装置を用いて測定した。化学シフト(δ)は、測定溶媒の炭素由来のピーク(CDCl3中での測定:77.0 ppm、CD3COCD3中での測定:30.0 ppm)を内部標準として相対的値を表した。
19F 核磁気共鳴スペクトル(376 MHz)は、Bruker社製、AVANCE400核磁気共鳴装置を用いて測定した。化学シフト(δ)は、α,α,α-トリフルオロトルエン(CDCl3中での測定:-63.0 ppm)を外部標準として相対的値を表した。
(3) 赤外線吸収(IR)
赤外吸収スペクトルは、DRS-8000を装着した島津製作所社製、IRPrestige-21 spectrophotometerを用い、拡散反射法により測定した。
(4) 融点測定
融点は、Yanaco社製、MP-J3を用いて測定した。
(5) 質量測定
高分解能質量分析スペクトル(HRMS)は、Bruker社製Bruker micrOTOFを用い、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)により測定した。
2.化合物(A)の合成
2.1 S-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)の合成
実施例1では、出発物質である化合物(A)の一例としてS-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)を用いた。S-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)は、以下の3工程(工程a〜c)によって合成できる
(工程a):2-ブロモフェニルボロン酸(8a)から(2-ブロモフェニル)メチルスルフィド(10a)の合成
(工程b):(2-ブロモフェニル)メチルスルフィド(10a)からS-(2-ブロモフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11a)の合成
(工程c):S-(2-ブロモフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11a)からS-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)の合成
2.1.1 工程a (2-ブロモフェニル)メチルスルフィド(10a)の合成
アルゴン雰囲気下、100 mLの2径ナス型フラスコに硫酸銅(II)無水物(95.8 mg, 0.600 mmol)、炭酸水素ナトリウム(1.01 g, 12.0 mmol)を加えた。これに対して、メタノール(40 mL)にp-トリルメチルチオスルホナート(9)(1.21 g, 6.00 mmol)と2-ブロモフェニルボロン酸(8a)(1.81 g, 9.00 mmol)を溶かした溶液を加え、室温で2日間撹拌した。この反応混合物に対して水を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(50 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30 g, n-ヘキサンのみ)にて精製することで、(2-ブロモフェニル)メチルスルフィド(10a)(867 mg, 4.27 mmol, 収率 71.1%)を得た。
なお、前記p-トリルメチルチオスルホナート(9)はp-トルエンチオスルホン酸カリウムおよびヨードメタンから合成した(S. Yoshida, Y. Sugimura, Y. Hazama, Y. Nishiyama, T. Yano, S. Shimizu, T. Hosoya, Chem. Commun. 2015, 51, 16613.)。
2.1.2 工程b S-(2-ブロモフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11a)の合成
アルゴン雰囲気下、100 mLの2径ナス型フラスコに(2-ブロモフェニル)メチルスルフィド(10a)(528 mg, 2.60 mmol)、酸化マグネシウム(II)(419 mg, 10.4 mmol)、2,2,2-トリフルオロアセトアミド(588 mg, 5.20 mmol)、酢酸ロジウム(II)二量体(28.7 mg, 65.0 μmol)、ジクロロメタン(8 mL)を加え、これを撹拌し均一な溶液とした。これに対して、(ジアセトキシヨード)ベンゼン(1.26 g, 3.90 mmol)を加え、室温で3日間撹拌した。これをセライトで濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20 g, n-ヘキサン/酢酸エチル = 2/1)にて精製することで、S-(2-ブロモフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11a)(688 mg, 2.19 mmol, 収率 84.2%)を得た。
得られたS-(2-ブロモフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11a)の分析結果は以下のとおりであった。
Colorless solid; Mp 96-97 oC; TLC Rf0.35 (CH2Cl2); 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 2.99 (s, 3H, CH3), 7.49 (ddd, 1H, J = 8.0, 8.0, 1.5 Hz, aromatic), 7.61 (ddd, 1H, J = 8.0, 8.0, 1.0 Hz, aromatic), 7.70 (dd, 1H, J = 8.0, 1.0 Hz, aromatic), 7.95 (dd, 1H, J = 8.0, 1.5 Hz, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 34.0 (1C), 116.8 (q, 1C, 1J C-F= 287.5 Hz), 121.8 (1C), 127.7 (1C), 129.5 (1C), 133.3 (1C), 133.9 (1C), 134.0 (1C), 166.8 (q, 1C, 2JC-F = 35.6 Hz); 19F NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -73.8 (s); IR (KBr, cm-1) 759, 773, 980, 1021, 1097, 1144, 1182, 1450, 1634, 1652; HRMS (ESI+) m/z 335.9262 ([M+Na]+, C9H7BrF3NNaOS+requires 335.9276).
2.1.3 工程c S-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)の合成
大気下、100 mLの単径ナス型フラスコにS-(2-ブロモフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11a)(3.87 g, 12.3 mmol)、メタノール(40 mL)を加え、これを撹拌し均一な溶液とした。これに対して、炭酸カリウム(9.69 g, 70.1 mmol)を加え、室温で5時間撹拌した。撹拌を停止した後、ジクロロメタン(80 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、精製を行うことなく目的化合物のS-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)(2.65 g, 12.2 mmol, 収率 98.9%)を得た。
得られたS-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)の分析結果は以下のとおりであった。
Pale yellow oil; TLC (Amino) Rf0.61 (CH2Cl2/MeOH = 10/1); 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 2.75 (s, 3H, CH3), 7.33 (ddd, 1H, J = 7.8, 7.6, 1.5 Hz, aromatic), 7.52-7.62 (m, 2H, aromatic), 8.03 (dd, 1H, J = 7.8, 1.5 Hz, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 41.7 (1C), 119.4 (1C), 125.8 (1C), 128.6 (1C), 131.7 (1C), 132.8 (1C), 146.2 (1C); IR (KBr, cm-1) 770, 912, 1325, 1423, 1505, 2994; HRMS (ESI+) m/z 217.9633 ([M+H]+, C7H9BrNS+ requires 217.9634).
2.2 S-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6b)の合成
実施例3では、出発物質である化合物(A)の一例としてS-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6b)を用いた。S-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6b)は、以下の3工程(工程d〜f)によって合成できる
(工程d):3-メトキシフェニルボロン酸(12)から2-ブロモ-5-メトキシフェニルボロン酸(8b)の合成
(工程e):2-ブロモ-5-メトキシフェニルボロン酸(8b)から(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)メチルスルフィド(10b)の合成
(工程f):(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)メチルスルフィド(10b)からS-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11b)の合成
(工程g):S-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11b)からS-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6b)の合成
2.2.1 工程d 2-ブロモ-5-メトキシフェニルボロン酸(8b)の合成
アルゴン雰囲気下、300 mLの2径ナス型フラスコに3-メトキシフェニルボロン酸(12)(9.12 g, 60.0 mmol)、トリフェニルホスフィンスルフィド(932 mg, 6.00 mmol)、ジクロロメタン(200 mL)を加え、これを撹拌し均一な溶液とした。これに対して、N-ブロモスクシンイミド(13.0 g, 72.0 mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。この反応混合物に対してチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液を加えて反応を停止した後、ジクロロメタン(100 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(290 g, n-ヘキサン/アセトン = 1/1)にて精製することで、2-ブロモ-5-メトキシフェニルボロン酸(8b)(8.45 g, 36.6 mmol, 収率 61.0%)を得た。
なお、前記トリフェニルホスフィンスルフィドは、トリフェニルホスフィンおよび硫黄(粉末)から合成した(S. Maddox, C. Nalbandian, D. Smith, J. Gustafson, Org. Lett. 2015, 17, 1042.)。
2.2.2 工程e (2-ブロモ-5-メトキシフェニル)メチルスルフィド(10b)の合成
アルゴン雰囲気下、100 mLの2径ナス型フラスコに硫酸銅(II)無水物(79.8 mg, 0.500 mmol)、炭酸水素ナトリウム(840 mg, 10.0 mmol)を加えた。これに対して、メタノール(30 mL)にp-トリルメチルチオスルホナート(28)(1.01 g, 5.00 mmol)と2-ブロモ-5-メトキシフェニルボロン酸(8b)(1.73 g, 7.50 mmol)を溶かした溶液を加え、室温で4日間撹拌した。この反応混合物に対して水を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(50 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30 g, n-ヘキサン/ジクロロメタン= 5/1)にて精製することで、(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)メチルスルフィド(10b)(835 mg, 3.62 mmol, 収率 72.4%)を得た。
なお、前記p-トリルメチルチオスルホナート(9)は、p-トルエンチオスルホン酸カリウムおよびヨードメタンから合成した(S. Yoshida, Y. Sugimura, Y. Hazama, Y. Nishiyama, T. Yano, S. Shimizu, T. Hosoya, Chem. Commun. 2015, 51, 16613.)。
2.2.3 工程f S-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11b)の合成
アルゴン雰囲気下、50 mLの2径ナス型フラスコに(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)メチルスルフィド(10b)(2.08 g, 9.00 mmol)、酸化マグネシウム(II)(1.45 g, 36.0 mmol)、2,2,2-トリフルオロアセトアミド(2.03 g, 18.0 mmol)、酢酸ロジウム(II)二量体(99.4 mg, 0.225 mmol)、ジクロロメタン(15 mL)を加え、これを撹拌し均一な溶液とした。これに対して、(ジアセトキシヨード)ベンゼン(4.35 g, 13.5 mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。これをセライトで濾過した後、減圧濃縮して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(110 g, ジクロロメタンのみ)にて精製することで、S-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11b)(1.81 g, 5.26 mmol, 収率 58.4%)を得た。
得られたS-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11b)の分析結果は以下のとおりであった。
Colorless solid; Mp 131-133 oC; TLC Rf0.46 (CH2Cl2); 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 2.98 (s, 3H, CH3), 3.85 (s, 3H, CH3), 7.01 (dd, 1H, J = 8.8, 3.0 Hz, aromatic), 7.46 (d, 1H, J = 3.0 Hz, aromatic), 7.55 (d, 1H, J = 8.8 Hz, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 33.9 (1C), 55.9 (1C), 111.4 (1C), 111.8 (1C), 116.9 (q, 1C, 1JC-F= 287.8 Hz), 120.8 (1C), 133.8 (1C), 134.6 (1C), 160.4 (1C), 166.7 (q, 1C, 2JC-F= 35.6 Hz); 19F NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -73.9 (s); IR (KBr, cm-1) 1143, 1182, 1230, 1264, 1296, 1438, 1472, 1586, 1634, 1652; HRMS (ESI+) m/z 365.9374 ([M+Na]+, C10H9BrF3NNaO2S+requires 365.9382).
2.2.4 工程g S-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチルスルフィルイミン(6b)の合成
大気下、200 mLの単径ナス型フラスコにS-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチル-N-(2,2,2-トリフルオロアセチル)スルフィルイミン(11b)(860 mg, 2.50 mmol)、メタノール(40 mL)を加え、これを撹拌し均一な溶液とした。これに対して、炭酸カリウム(1.97 g, 14.3 mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。撹拌を停止した後、ジクロロメタン(80 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、精製を行うことなく目的化合物のS-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチルスルフィルイミン(6b)(518 mg, 2.09 mmol, 収率 83.6%)を得た。
得られたS-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6b)の分析結果は以下のとおりであった。
Yellow oil; TLC (Amino) Rf 0.17 (tailing) (CH2Cl2); 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 2.75 (s, 3H, CH3), 3.90 (s, 3H, CH3), 6.86 (dd, 1H, J = 8.6, 3.1 Hz, aromatic), 7.41 (d, 1H, J = 8.6 Hz, aromatic), 7.65 (d, 1H, J = 3.1 Hz, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 41.2 (1C), 55.9 (1C), 109.1 (1C), 110.2 (1C), 118.9 (1C), 133.7 (1C), 146.9 (1C), 160.3 (1C); IR (KBr, cm-1) 914, 960, 1033, 1226, 1261, 1295, 1436, 1463, 1586; HRMS (ESI+) m/z 247.9743 ([M+H]+, C8H11BrNOS+requires 247.9739).
[実施例1]第1工程 2-(2-ブロモフェニルチオ)-3-メトキシアニリン(7a)の合成
アルゴン雰囲気下、工程a〜cで得られたS-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)(65.4 mg, 0.300 mmol)、5 mLのVバイアルに3-メトキシ-2-(トリメチルシリル)フェニルトリフラート(13a)(49.3 mg, 0.150 mmol)、アセトニトリル(2 mL)を加え、これを撹拌し均一な溶液とした。これに対して、フッ化セシウム(114 mg, 0.750 mmol)を加え、室温で1日間撹拌した。この反応混合物に対して水を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(20 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これを分取用薄層クロマトグラフィー(n-ヘキサン/ジクロロメタン = 2/3)にて精製することで、2-(2-ブロモフェニルチオ)-3-メトキシアニリン(7a)(21.6 mg, 69.6 μmol, 収率 59.4%)を得た。
得られた2-(2-ブロモフェニルチオ)-3-メトキシアニリン(7a)の分析結果は以下のとおりであった。なお、NMRにおいて生成物の位置化学はNuclear Overhauser Enhancement Spectroscopy (NOESY)法により確認した。
Brown solid; Mp 161-163 oC; TLC Rf0.58 (n-hexane/EtOAc = 1/1); 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 3.79 (s, 3H, CH3), 4.43 (br s, 2H, NH2), 6.37 (dd, 1H, J = 8.2, 1.0 Hz, aromatic), 6.46 (dd, 1H, J = 8.2, 1.0 Hz, aromatic), 6.59 (dd, 1H, J = 8.0, 1.5 Hz, aromatic), 6.94 (ddd, 1H, J = 8.0, 8.0, 1.3 Hz, aromatic), 7.07 (ddd, 1H, J = 8.0, 8.0, 1.5 Hz, aromatic), 7.23 (dd, 1H, J = 8.2, 8.2 Hz, aromatic), 7.49 (dd, 1H, J = 8.0, 1.3 Hz, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 56.1 (1C), 100.5 (1C), 101.1 (1C), 108.1 (1C), 120.9 (1C), 125.6 (1C), 125.9 (1C), 127.6 (1C), 132.0 (1C), 132.7 (1C), 137.7 (1C), 150.8 (1C), 161.8 (1C); IR (KBr, cm-1) 749, 775, 1018, 1127, 1261, 1435, 1445, 1469, 1573, 1605; HRMS (ESI+) m/z 331.9714 ([M+Na]+, C13H12BrNNaOS+requires 331.9715).
[実施例2] 第2工程 10-アセチル-4-メトキシフェノチアジン(14a)の合成
アルゴン雰囲気下、5 mLのVバイアルに実施例1で得られた2-(2-ブロモフェニルチオ)-3-メトキシアニリン(7a)(31.0 mg, 0.100 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(13.5 mg, 0.140 mmol)、(RuPhos)パラジウム(II)フェネチルアミンクロリド(3.9 mg, 0.0050 mmol)、RuPhos(2.3 mg, 0.0050 mmol)、トルエン(1 mL)を加え、110 oCで撹拌した。24時間後、反応物を室温まで冷却した後、この反応混合物に対して、アルゴン雰囲気下で塩化アセチル(70.0 μL, 1.00 mmol)を加えた。これを50 oCまで昇温し、2時間撹拌した。この反応混合物を室温まで戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(20 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これを分取用薄層クロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル = 2/1)にて精製することで、10-アセチル-4-メトキシフェノチアジン(14a)(19.3 mg, 71.1 μmol, 収率 71.1%)を得た。
得られた10-アセチル-4-メトキシフェノチアジン(14a)の分析結果は以下のとおりであった。なお、NMRにおいて生成物の位置化学はNOESYにより確認した。
Pale yellow solid; Mp 150-152 oC; TLC Rf0.38 (n-hexane/EtOAc = 1/1); 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 2.19 (s, 3H, CH3), 3.93 (s, 3H, CH3), 6.81 (d, 1H, J = 8.3 Hz, aromatic), 7.11 (br d, 1H, J = 7.7 Hz, aromatic), 7.21 (ddd, 1H, J = 7.7, 7.7, 1.3 Hz, aromatic), 7.27-7.35 (m, 2H, aromatic), 7.43-7.55 (m, 2H, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 23.0 (1C), 56.2 (1C), 108.4 (1C), 119.7 (1C), 121.7 (1C, br), 126.7 (1C), 126.9 (1C), 127.2 (1C+1C, two signals overlapped), 128.0 (1C), 132.6 (1C, br), 138.9 (1C), 139.7 (1C), 156.1 (1C), 169.5 (1C); IR (KBr, cm-1) 1253, 1265, 1296, 1369, 1471, 1587, 1684; HRMS (ESI+) m/z 294.0557 ([M+Na]+, C15H13NNaO2S+requires 294.0559).
[実施例3] 第1工程 2-(2-ブロモ-5-メトキシフェニルチオ)-3-メトキシアニリン(7b)の合成
アルゴン雰囲気下、5 mLのVバイアルに、工程d〜gで得られたS-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチルスルフィルイミン(6b)(248 mg, 1.00 mmol)、3-メトキシ-2-(トリメチルシリル)フェニルトリフラート(13a)(164 mg, 0.500 mmol)、アセトニトリル(6 mL)を加え、これを撹拌し均一な溶液とした。これに対して、フッ化セシウム(380 mg, 2.50 mmol)を加え、室温で3日間撹拌した。この反応混合物に対して水を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(30 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(14 g, n-ヘキサン/ジクロロメタン= 1/1)にて精製することで、2-(2-ブロモ-5-メトキシフェニルチオ)-3-メトキシアニリン(7b)(81.6 mg, 0.240 mmol, 収率 48.0%)を得た。
得られた2-(2-ブロモ-5-メトキシフェニルチオ)-3-メトキシアニリン(7b)の分析結果は以下のとおりであった。なお、NMRにおいて生成物の位置化学はNOESYにより確認した。
Pale brown solid; Mp 131-133 oC; TLC Rf0.58 (n-hexane/EtOAc = 1/1); 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 3.59 (s, 3H, CH3), 3.80 (s, 3H, CH3), 4.43 (br s, 2H, NH2), 6.17 (d, 1H, J = 3.0 Hz, aromatic), 6.36 (dd, 1H, J = 8.2, 1.0 Hz, aromatic), 6.45 (dd, 1H, J = 8.2, 1.0 Hz, aromatic), 6.51 (dd, 1H, J = 8.7, 3.0 Hz, aromatic), 7.22 (dd, 1H, J = 8.2, 8.2 Hz, aromatic), 7.37 (d, 1H, J = 8.7 Hz, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 55.2 (1C), 56.1 (1C), 100.5 (1C), 101.0 (1C), 108.1 (1C), 111.4 (1C), 111.5 (1C), 111.8 (1C), 132.1 (1C), 133.1 (1C), 138.7 (1C), 150.8 (1C), 159.2 (1C), 161.7 (1C); IR (KBr, cm-1) 773, 1042, 1225, 1262, 1291, 1434, 1469, 1565, 1578, 1606; HRMS (ESI+) m/z 361.9812 ([M+Na]+, C14H14BrNNaO2S+requires 361.9821).
[実施例4] 第2工程 10-アセチル-3,6-ジメトキシフェノチアジン(14b)の合成
アルゴン雰囲気下、5 mLのVバイアルに実施例3で得られた2-(2-ブロモ-5-メトキシフェニルチオ)-3-メトキシアニリン(7b)(34.0 mg, 0.100 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(13.5 mg, 0.140 mmol)、(RuPhos)パラジウム(II)フェネチルアミンクロリド(3.6 mg, 0.0050 mmol)、RuPhos(2.3 mg, 0.0050 mmol)、トルエン(1 mL)を加え、110 oCで撹拌した。24時間後、反応物を室温まで冷却した後、この反応混合物に対して、アルゴン雰囲気下で塩化アセチル(106 μL, 1.50 mmol)を加えた。これを50 oCまで昇温し、3時間撹拌した。この反応混合物を室温まで戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(20 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これを分取用薄層クロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル = 1/2)にて精製することで、10-アセチル-3,6-ジメトキシフェノチアジン(14b)(18.0 mg, 59.7 μmol, 収率 59.7%)を得た。
得られた10-アセチル-3,6-ジメトキシフェノチアジン(14b)の分析結果は以下のとおりであった。なお、NMRにおいて生成物の位置化学はNOESYにより確認した。
Pale red solid; Mp 163-164 oC; TLC Rf0.35 (n-hexane/EtOAc = 1/1); 1H NMR (CDCl3), 500 MHz) δ 2.17 (s, 3H, CH3), 3.79 (s, 3H, CH3), 3.93 (s, 3H, CH3), 6.80 (d, 1H, J = 8.2 Hz, aromatic), 6.85 (dd, 1H, J = 8.8, 2.8 Hz, aromatic), 6.99 (d, 1H, J = 2.8 Hz, aromatic), 7.10 (br s, 1H, aromatic), 7.28 (dd, 1H, J = 8.2, 8.2 Hz, aromatic), 7.38 (br s, 1H, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 22.9 (1C), 55.6 (1C), 56.2 (1C), 108.3 (1C), 112.4 (1C), 113.2 (1C), 119.6 (1C), 121.4 (1C, br), 127.2 (1C), 127.7 (1C), 131.8 (1C), 133.9 (1C, br), 140.1 (1C), 156.0 (1C), 157.9 (1C), 169.7 (1C); IR (KBr, cm-1) 1240, 1259, 1290, 1369, 1438, 1471, 1491, 1678; HRMS (ESI+) m/z 324.0663 ([M+Na]+, C16H15NNaO3S+ requires 324.0655).
[実施例5] 第1工程 2-(2-ブロモ-5-メトキシフェニルチオ)-3-メトキシ-5-(4-メトキシフェニル)アニリン(7c)の合成
アルゴン雰囲気下、5 mLのVバイアルに、工程d〜gで得られたS-(2-ブロモ-5-メトキシフェニル)-S-メチルスルフィルイミン(6b)(496 mg, 2.00 mmol)、3-メトキシ-5-(4-メトキシフェニル)-2-(トリメチルシリル)フェニルトリフラート(13b)(435 mg, 1.00 mmol)、アセトニトリル(5 mL)を加え、これを撹拌し均一な溶液とした。これに対して、フッ化セシウム(760 mg, 5.00 mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。この反応混合物に対して水を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(30 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20 g, n-ヘキサン/ジクロロメタン= 1/3)にて精製することで、2-(2-ブロモ-5-メトキシフェニルチオ)-3-メトキシ-5-(4-メトキシフェニル)アニリン(7c)(145 mg, 0.325 mmol, 収率 32.5%)を得た。
得られた2-(2-ブロモ-5-メトキシフェニルチオ)-3-メトキシ-5-(4-メトキシフェニル)アニリン(7c)の分析結果は以下のとおりであった。なお、NMRにおいて生成物の位置化学はNOESYにより確認した。
Pale brown solid; Mp 123-124 oC; TLC Rf0.56 (n-hexane/EtOAc = 1/1); 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 3.60 (s, 3H, CH3), 3.84 (s, 3H, CH3), 3.85 (s, 3H, CH3), 4.44 (br s, 2H, NH2), 6.26 (d, 1H, J =3.0 Hz, aromatic), 6.50 (dd, 1H, J = 8.5, 3.0 Hz, aromatic), 6.52 (d, 1H, J = 2.0 Hz, aromatic), 6.62 (d, 1H, J = 2.0 Hz, aromatic), 6.95-7.02 (AA’BB’, 2H, aromatic), 7.37 (d, 1H, J = 8.5 Hz, aromatic), 7.51-7.58 (AA’BB’, 2H, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 55.2 (1C), 55.3 (1C), 56.1 (1C), 99.4 (1C), 99.5 (1C), 106.4 (1C), 111.1 (1C), 111.4 (1C), 112.0 (1C), 114.1 (2C), 128.1 (2C), 133.1 (1C), 133.3 (1C), 138.9 (1C), 144.8 (1C), 150.7 (1C), 159.2 (1C), 159.5 (1C), 161.8 (1C); IR (KBr, cm-1) 760, 1225, 1255, 1290, 1431, 1460, 1515, 1555, 1580, 1606; HRMS (ESI+) m/z 468.0224 ([M+Na]+, C21H20BrNNaO3S+requires 468.0239).
[実施例6] 第2工程 10-アセチル-4,7-ジメトキシ-2-(4-メトキシフェニル)フェノチアジン(14c)の合成
アルゴン雰囲気下、5 mLのVバイアルに実施例5で得られた2-(2-ブロモ-5-メトキシフェニルチオ)-3-メトキシ-5-(4-メトキシフェニル)アニリン(7c)(44.6 mg, 0.100 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(13.5 mg, 0.140 mmol)、(RuPhos)パラジウム(II)フェネチルアミンクロリド(3.6 mg, 0.0050 mmol)、RuPhos(2.3 mg, 0.0050 mmol)、トルエン(1 mL)を加え、110 oCで撹拌した。24時間後、反応物を室温まで冷却した後、この反応混合物に対して、アルゴン雰囲気下で塩化アセチル(106 μL, 1.50 mmol)を加えた。これを50 oCまで昇温し、3時間撹拌した。この反応混合物を室温まで戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(20 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これを分取用薄層クロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル = 1/2)にて精製することで、10-アセチル-4,7-ジメトキシ-2-(4-メトキシフェニル)フェノチアジン(14c)(28.4 mg, 69.7 μmol, 収率 69.7%)を得た。
得られた10-アセチル-4,7-ジメトキシ-2-(4-メトキシフェニル)フェノチアジン(14c)の分析結果は以下のとおりであった。なお、NMRにおいて生成物の位置化学はNOESYにより確認した。
Brown solid; Mp 75-77 oC; TLC Rf0.29 (n-hexane/EtOAc = 1/1); 1H NMR (CDCl3), 500 MHz) δ 2.21 (s, 3H, CH3), 3.80 (s, 3H, CH3), 3.85 (s, 3H, CH3), 3.98 (s, 3H, CH3), 6.86 (dd, 1H, J = 8.8, 2.8 Hz, aromatic), 6.92-7.03 (m, 4H, aromatic), 7.28 (br s, 1H, aromatic), 7.41 (br s, 1H, aromatic), 7.48-7.54 (AA’BB’, 2H, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 23.0 (1C), 55.4 (1C), 55.6 (1C), 56.2 (1C), 107.0 (1C), 112.4 (1C), 113.2 (1C), 114.3 (2C), 118.1 (1C), 119.5 (1C, br), 127.8 (1C), 128.1 (2C), 131.8 (1C), 132.6 (1C), 133.8 (1C, br), 140.3 (1C), 140.7 (1C), 156.1 (1C), 157.9 (1C), 159.5 (1C), 169.7 (1C); IR (KBr, cm-1) 1228, 1255, 1279, 1295, 1491, 1516, 1678; HRMS (ESI+) m/z 430.1073 ([M+Na]+, C23H21NNaO4S+ requires 430.1083).
[実施例7] 第1工程 2-(2-ブロモフェニルチオ)-4,5-ジメトキシアニリン(7d)の合成
アルゴン雰囲気下、5 mLのVバイアルに、工程a〜cで得られたS-(2-ブロモフェニル)- S-メチルスルフィルイミン(6a)(262 mg,1.20 mmol)、4,5-ジメトキシ-2-(トリメチルシリル)フェニルトリフラート(13c)(215 mg, 0.600 mmol)、アセトニトリル(6 mL)を加え、これを撹拌し均一な溶液とした。これに対して、フッ化セシウム(456 mg, 3.00 mmol)を加え、室温で4日間撹拌した。この反応混合物に対して水を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(30 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンのみ)にて精製することで、2-(2-ブロモフェニルチオ)-4,5-ジメトキシアニリン(7d)(91.6 mg, 0.269 mmol, 収率 44.9%)を得た。
得られた2-(2-ブロモフェニルチオ)-4,5-ジメトキシアニリン(7d)の分析結果は以下のとおりであった。
Gray solid; Mp 129-131 oC; TLC Rf0.46 (n-hexane/EtOAc = 1/1); 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 3.80 (s, 3H, CH3), 3.89 (s, 3H, CH3), 4.08 (br s, 2H, NH2), 6.42 (s, 1H, aromatic), 6.60 (dd, 1H, J = 8.0, 2.0 Hz, aromatic), 6.96 (ddd, 1H, J = 8.0, 8.0, 2.0 Hz, aromatic), 7.11 (ddd, 1H, J = 8.0, 8.0, 2.0 Hz, aromatic), 7.26 (s, 1H, aromatic), 7.50 (dd, 1H, J = 8.0, 2.0 Hz, aromatic);13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 55.8 (1C), 56.5 (1C), 99.7 (1C), 102.3 (1C), 119.9 (1C), 120.1 (1C), 125.8 (1C), 126.0 (1C), 127.7 (1C), 132.7 (1C), 138.7 (1C), 142.3 (1C), 144.5 (1C), 152.4 (1C); IR (KBr, cm-1) 747, 1018, 1055, 1211, 1224, 1254, 1445, 1464, 1502; HRMS (ESI+) m/z 361.9816 ([M+Na]+, C14H14BrNNaO2S+requires 361.9821).
[実施例8] 第2工程 10-アセチル-2,3-ジメトキシフェノチアジン(14d)の合成
アルゴン雰囲気下、5 mLのVバイアルに実施例7で得られた2-(2-ブロモフェニルチオ)-4,5-ジメトキシアニリン(7d)(34.0 mg, 0.100 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(13.5 mg, 0.140 mmol)、(RuPhos)パラジウム(II)フェネチルアミンクロリド(3.6 mg, 0.0050 mmol)、RuPhos(2.3 mg, 0.0050 mmol)、トルエン(1 mL)を加え、110 oCで撹拌した。24時間後、反応物を室温まで冷却した後、この反応混合物に対して、アルゴン雰囲気下で塩化アセチル(106 μL, 1.50 mmol)を加えた。これを50 oCまで昇温し、6時間撹拌した。この反応混合物を室温まで戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(20 mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。これを分取用薄層クロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル = 1/2)にて精製することで、10-アセチル-2,3-ジメトキシフェノチアジン(14d)(12.4 mg, 41.1 μmol, 収率 41.1%)を得た。
得られた10-アセチル-2,3-ジメトキシフェノチアジン(14d)の分析結果は以下のとおりであった。
Brown solid; Mp 130-131 oC; TLC Rf0.28 (n-hexane/EtOAc = 1/1); 1H NMR (CDCl3), 500 MHz) δ 2.21 (s, 3H, CH3), 3.88 (s, 3H, CH3), 3.90 (s, 3H, CH3), 6.89 (s, 1H, aromatic), 7.06 (br s, 1H, aromatic), 7.22 (ddd, 1H, J = 7.7, 7.7, 0.9 Hz, aromatic), 7.32 (ddd, 1H, J = 7.7, 7.7, 1.5 Hz, aromatic), 7.41-7.52 (m, 2H, aromatic); 13C NMR (CDCl3, 126 MHz) δ 23.1 (1C), 56.2 (1C), 56.3 (1C), 110.0 (1C), 110.8 (1C), 110.9 (1C+1C, two signals overlapped), 126.7 (1C), 126.9 (1C), 127.9 (1C), 131.9 (1C), 139.3 (1C), 139.4 (1C), 147.8 (1C), 148.2 (1C), 169.6 (1C); IR (KBr, cm-1) 1216, 1231, 1263, 1292, 1440, 1468, 1503, 1678; HRMS (ESI+) m/z 324.0667 ([M+Na]+, C16H15NNaO3S+ requires 324.0655).

Claims (5)

  1. 式(B)
    (式中、RB1〜RB4はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RB1とRB2、RB2とRB3、RB3とRB4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよい。)
    で表されるベンザイン誘導体を、式(A)
    (式中、RA1〜RA5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RA1とRA2、RA2とRA3、RA3とRA4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
    A6は水素原子または置換されてもよいC〜C20炭化水素基であり、
    Xはハロゲン原子である。)
    で表される化合物と反応させる工程を含む、式(C)
    (式中、RA1〜RA4、RA6、RB1〜RB4およびXは上記と同意義である。)
    で表される化合物の製造方法。
  2. 前記ベンザイン誘導体を、式(B1)
    (式中、RB1〜RB4はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RB1とRB2、RB2とRB3、RB3とRB4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
    B5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、
    Yは脱離基である。)
    で表されるベンザイン前駆体から製造する工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 式(B1)
    (式中、RB1〜RB4はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RB1とRB2、RB2とRB3、RB3とRB4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
    B5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、
    Yは脱離基である。)
    で表されるベンザイン前駆体を、式(A)
    (式中、RA1〜RA5はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RA1とRA2、RA2とRA3、RA3とRA4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
    A6は水素原子または置換されてもよいC〜C20炭化水素基であり、
    Xはハロゲン原子である。)
    で表される化合物と反応させる工程を含む、式(C)
    (式中、RA1〜RA4、RA6、RB1〜RB4およびXは上記と同意義である。)
    で表される化合物の製造方法。
  4. 式(B1)で表されるベンザイン前駆体が、式(B2)
    (式中、RB1〜RB4はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または有機基であり、RB1とRB2、RB2とRB3、RB3とRB4は、一緒になって隣接する原子と共に5〜8員環を形成してもよく、
    OTfはトリフルオロメタンスルホニル基である。)
    で表される化合物である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかで得られた式(C)の化合物を環化反応によって、式(D)
    (式中、Rは水素原子または有機基であり、RA1〜RA4およびRB1〜RB4は請求項1と同意義である。)
    で表される化合物を製造する、フェノチアジン誘導体の製造方法。
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