JP2018030327A - 光照射装置 - Google Patents
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Description
本発明の実施形態に係る光照射装置の構成について、図1、図2、および図3を参照して説明する。図1は、実施形態に係る光照射装置の要部の構成を示す外観図であり、図2は、図1に示す光照射装置の側面図である。図3および図4は、実施形態に係る光照射装置、従来の光照射装置のそれぞれによる媒体の搬送を説明するモデルであって、図1のA−A線における断面図に相当する。本明細書において、光照射装置とは、加熱されることによって膨張する層を備えたシート状の媒体である熱膨張性シートを被処理体とし、光を照射して、前記層を膨張させて立体画像を製造する装置である。まず、熱膨張性シートについて説明する。
熱膨張性シートWは、厚口の紙等を基材として、その一方の面に一定の厚さに熱膨張層が形成されている。熱膨張層は、熱可塑性樹脂をバインダとして熱膨張性のマイクロカプセルを含有する。マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂で形成され、揮発性溶媒を内包し、膨張温度域、具体的には前記熱可塑性樹脂や揮発性溶媒の種類にもよるが約80℃以上に加熱されると、加熱温度、さらには加熱時間に応じた大きさに膨張する。これにより、熱膨張層は、最大で膨張前の10倍程度の厚さに膨張させることができる。そのため、熱膨張性シートWは、部分的に加熱されることで、この部分で熱膨張層が発泡、膨張して厚さが増大して、熱膨張層を設けた側の表面に凹凸が形成される。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る光照射装置10は、熱膨張性シート(媒体)Wに光を照射する光照射部(光照射手段)2、熱膨張性シートWを白抜き矢印で示す一方向に搬送するシートローダ(搬送手段)50,50、シート押さえ板(媒体変形抑制手段)4、搬出案内部61,62、および光照射部2近傍を冷却する冷却器(図3に示す冷却ファン3)を筐体(図示省略)の内部に備える。光照射装置10はさらに、シートローダ50,50以外の搬送機構、光照射部2の温度を検知する温度センサ、熱膨張性シートWの裏面に付されたバーコード類を読み取る読取り機、光照射装置10の動作を制御する制御回路、ならびに、筐体の外側に設けられた、熱膨張性シートWを載置する供給トレイ、光照射後の熱膨張性シートW(立体画像)が排出されるための排出トレイ、運転操作のためのスイッチ類や表示パネル(図示省略)等を備える。ここでは、光照射装置10は、熱膨張性シートWを水平にして搬送しながら、上面に光を照射する構造である。ただし、光照射装置10は、下面に光を照射する構造であってもよく、また、熱膨張性シートWを鉛直や傾斜させて処理する構造であってもよい。なお、本明細書においては、別途記載のない限り、図2、図3およびその他の断面図における上下を同じく上下として説明する。以下、光照射装置の各部材の構成について、詳細に説明する。
光照射部2は、光照射装置10における主要部であり、水平に搬送される熱膨張性シートWの上面に光を照射するように、熱膨張性シートWの搬送経路の上方に設けられる。光照射部2は、熱に変換される近赤外線光を含む光を放射する光源21、および反射板22を備え、熱膨張性シートWの、搬送方向での所定長さの範囲において、幅方向(搬送方向に直交する方向)における両端(以下、両縁と称する)を除いた全体に光を照射する。この、光照射部2から光を照射される範囲を光照射領域1i(図3参照)と称する。光源21は、例えばハロゲンランプであり、熱膨張性シートWへその両縁を除いた全幅にわたって設けられる。反射板22は、光源21から熱膨張性シートWへ光を効率的に照射するために設けられ、略半円柱の柱面形状の曲面に形成されて内側に鏡面を有し、光源21の熱膨張性シートWと対向する側の反対側、すなわち上側を覆う。光照射領域1iは光照射部2の直下であり、搬送方向においては、反射板22の内面の両端間(始端から終端まで)である。
シートローダ50,50は光照射装置10における搬送機構であり、熱膨張性シートWをその両縁のみで支持して、光照射領域1iを通過するようにその後方近傍から前方まで水平に搬送する。なお、図2の側面図および図3以降の断面図において、搬送方向は右向きに示され、すなわち図中右側が前である。シートローダ50のそれぞれは、熱膨張性シートWの縁を両面から挟持するように、上下に2本の搬送ベルト51,52を備える。上側の搬送ベルト51は駆動ローラ53,55で張架され、下側の搬送ベルト52は駆動ローラ54,56で張架される。光照射部2の後方近傍に設けられた駆動ローラ53,54、および前方に設けられた駆動ローラ55,56は、それぞれ、搬送ベルト51,52を介在して熱膨張性シートWの縁を十分な強さで挟持するような間隔で回転軸が支持される。駆動ローラ53〜56は、モータ(図示省略)からその回転をプーリやギア等(図示省略)によって伝達され、同期して回転する。さらに、駆動ローラ53,55間に押さえローラ57が、駆動ローラ54,56間に押さえローラ58が、それぞれ回転自在に支持されて、搬送ベルト51,52によって駆動ローラ53〜56に協働して回転する。押さえローラ57,58は、駆動ローラ53〜56と同様に、搬送ベルト51,52を介在して熱膨張性シートWを光照射部2の前方近傍で挟持する。このような押さえローラ57,58が設けられていることにより、熱膨張性シートWの変形(熱膨張層の膨張、湾曲)が進行する光照射部2の前方近傍で、熱膨張性シートWの両縁が搬送ベルト51,52間からずれることを抑制する。なお、光照射装置10においては、熱膨張性シートWの両縁が搬送ベルト51,51で遮られて光照射部2からの光が照射されず、この両縁においては立体画像の表面に凹凸が形成されない。また、シートローダ50,50は、搬送ベルト51,52を設けずに、駆動ローラ53,54、駆動ローラ55,56、および押さえローラ57,58で、直接に熱膨張性シートWを挟持する構造としてもよく、この場合、光照射領域1iで熱膨張性シートWを挟持する小径の押さえローラ(図示せず)をさらに設けることが好ましい。
シート押さえ板4は、板状の部材であり、熱膨張性シートWを、その膨張層の膨張に伴う変形を抑制し、光照射領域1iからその前方の搬送路(搬出案内部61,62間)へ案内するために、熱膨張性シートWの光を照射される側の面に対面させて設けられる。熱膨張性シートWの変形とは、平面状態から少なくとも一部が曲面になることを指し(膨張層の膨張による表面のみの高さ位置の変化を除く)、特に、光照射部2の側へ部分的に近付くような反りや浮き上がりである。熱膨張性シートWの反りや浮き上がりについては、本実施形態に係る光照射装置10のように、両縁をシートローダ50,50で挟持されている場合の、後記にて説明するような幅方向中央部の浮き上がりを含む。シート押さえ板4は、十分な耐熱性と、光照射部2が照射する光、特に近赤外線光に対するできるだけ高い透過性とを有する材料で形成されることが好ましく、また、熱膨張性シートWに対面する側の面(下面)の摩擦が小さいことが好ましく、例えばガラス板が適用される。シート押さえ板4は、このような透過性の高い材料で形成されるので、熱膨張性シートWに到達する光の減衰が少なく、光源21の出力の効率の低下が抑制され、また、光照射部2が照射する光を吸収し難く、発熱して高温になることがない。さらに、シート押さえ板4は、例えば金属のような放熱効果の高い材料は適用されない。したがって、熱膨張性シートWが、シート押さえ板4に接触した箇所で局所的に、高温によって熱膨張層が変形したり、反対に温度が急激に降下して熱膨張層の膨張の進行が早期に停止することがない。
搬出案内部61,62は、熱膨張領域1fを通過した熱膨張性シートWを搬出口11へ案内するために、シート押さえ板4の前方(搬送方向側)に、熱膨張性シートWを両面から挟むように設けられる。本実施形態では、搬出案内部61,62は、熱膨張性シートWの前端が幅方向中央で浮き上がっていても、間に挟まれて変形状態を矯正しつつ案内するように、光照射領域1i側の端が広がるように縁を折り曲げられた板状で、軽量化等のために小径の孔が多数空けられている。このような搬出案内部61,62は、例えばアルミニウムやステンレス等の金属で形成され、ただし、熱膨張性シートWの膨張層が変形する温度に加熱されないように、光照射部2から十分に距離を空けて配置される。
冷却ファン3は、プリンタやパーソナルコンピュータ等に内蔵される一般的な空冷式の冷却器を構成し、光照射部2による光照射装置10の過剰な温度上昇を防止する。冷却ファン3は、光照射部2(反射板22)の上方に、1つまたは幅方向に2つ以上並べて設けられて、筐体に形成された通風孔から外気を取り込んで光照射部2に向けて送風する。冷却ファン3に代えて、水冷式のラジエータ等が設けられてもよい。
温度センサは、反射板22の温度を計測して、制御回路に伝達する。読取り機は、供給トレイ近傍に設けられて、被処理体が熱膨張性シートWのような専用の媒体であるかを判別する。読取り機は、例えば、熱膨張性シートWの裏面に付されたバーコード類を読み取るバーコードリーダ、QRコード(登録商標)リーダ、OCR(Optical character recognition)リーダであり、さらに、被処理体がいずれの面を上にして供給トレイに載置されても読み取るように、鏡を備える。搬送機構は、例えば、供給トレイに載置された熱膨張性シートWを光照射装置10の内部へ搬送して、熱膨張性シートWの前端をシートローダ50,50(駆動ローラ53,54間)に挟持させる。制御回路は、例えばCPUおよびメモリを備え、外部からの操作やセンサ類の信号等を受けて、光照射装置10を統括制御する。具体的には、例えば、光源21のON/OFF、シートローダ50,50およびその他の搬送機構の搬送開始と停止、搬送速度の切替え、温度センサからの反射板22の温度や読取り機からの信号による、運転可能か等の判定を行う。
本発明の実施形態に係る光照射装置の動作について、図3および図4を参照して説明する。ここでは、熱膨張性シートWの表面(熱膨張層側)に光を照射する。
光照射装置10は、水平な平板状のシート押さえ板4が光照射領域1iとその熱膨張領域1fにわたって設けられているが、これに限られない。以下、実施形態の変形例に係る光照射装置の構成について、図5および図6を参照して説明する。
〔付記〕
《請求項1》
シート状の媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記媒体における所定の面に向けて少なくとも所定の波長の光を照射する光照射手段と、
少なくとも前記所定の波長の光を透過させると共に、前記媒体における前記所定の面に向けた前記光の照射に伴って発生する前記所定の面側への前記媒体の反りまたは浮き上がりを所定の高さ以下に抑制する媒体変形抑制手段と、を備えることを特徴とする光照射装置。
《請求項2》
前記媒体変形抑制手段は、板状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
《請求項3》
前記媒体変形抑制手段は、前記搬送手段により搬送される前記媒体と前記光照射手段との間に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射装置。
《請求項4》
前記媒体変形抑制手段は、前記媒体において前記光を照射される領域よりも前記搬送手段による搬送方向側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射装置。
《請求項5》
前記媒体変形抑制手段は、前記搬送手段による搬送方向側の端部が、前記媒体における前記所定の面に対して近付くように傾斜していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の光照射装置。
1i 光照射領域
2 光照射部(光照射手段)
21 光源
22 反射板
3 冷却ファン
4,4A,4B シート押さえ板(媒体変形抑制手段)
50 シートローダ(搬送手段)
61,62 搬出案内部
W 熱膨張性シート(媒体)
Claims (5)
- シート状の媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記媒体における所定の面に向けて少なくとも所定の波長の光を照射する光照射手段と、
少なくとも前記所定の波長の光を透過させると共に、前記媒体における前記所定の面に向けた前記光の照射に伴って発生する前記所定の面側への前記媒体の反りまたは浮き上がりを所定の高さ以下に抑制する媒体変形抑制手段と、を備えることを特徴とする光照射装置。 - 前記媒体変形抑制手段は、板状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
- 前記媒体変形抑制手段は、前記搬送手段により搬送される前記媒体と前記光照射手段との間に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射装置。
- 前記媒体変形抑制手段は、前記媒体において前記光を照射される領域よりも前記搬送手段による搬送方向側に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射装置。
- 前記媒体変形抑制手段は、前記搬送手段による搬送方向側の端部が、前記媒体における前記所定の面に対して近付くように傾斜していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の光照射装置。
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