JP2018030104A - シアン含有廃水用処理剤およびそれを用いるシアン含有廃水の処理方法 - Google Patents

シアン含有廃水用処理剤およびそれを用いるシアン含有廃水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シアンを含有する廃水、特にチオシアン酸イオンやアンモニウムイオンなどの共存化合物が存在するシアン含有廃水に対して、従来よりも薬剤添加量を極力抑え、簡便な操作で安全に廃水中のシアンを除去し得るシアン含有廃水用処理剤およびそれを用いるシアン含有廃水の処理方法を提供することを課題とする。【解決手段】N−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマートを含有する水溶液と、過酸化水素または金属化合物を含有する水溶液との2液、またはN−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマートを含有する水溶液と、過酸化水素を含有する水溶液と、金属化合物を含有する水溶液との3液の組み合わせからなることを特徴とするシアン含有廃水用処理剤により、上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、従来よりも薬剤添加量を極力抑え、簡便な操作で安全に廃水中のシアンを除去し得るシアン含有廃水用処理剤およびそれを用いるシアン含有廃水の処理方法に関する。
本発明では、各種形態で廃水中に含有するすべてのシアン、特にシアン化物イオンを簡便な操作で処理することができる。
シアンは生態系に強い悪影響を及ぼすため、シアン含有廃水(「シアン廃水」ともいう)を自然界にそのまま放出することはできない。シアンについては水質汚濁防止法に基づき排水基準が定められており、この基準(1mg/L以下)を満たすようにシアン除去処理を行い、無害化した廃水でなければ下水などに排出できないことになっている。また、地域によっては、条例により、上記の排水基準値よりもさらに低い上乗せ排水基準が定められている。
シアンは、廃水の由来にも因り、含有量の多少はあるが、難分解性シアン錯体、易分解性シアン錯体およびシアン化物イオンの3種の形態で廃水中に存在している。
従来からシアン含有廃水中のシアンの除去処理として様々な方法が提案され、実用化されているが、いずれも一長一短があり、廃水の状況に応じて使い分けられている。
例えば、(1)シアン含有廃水をアルカリ性に調整した後、塩素を注入してシアンを酸化分解するアルカリ塩素法、(2)強力なオゾンの酸化力でシアンを窒素ガスと炭酸水素塩に酸化分解するオゾン酸化法および(3)非溶解性の電極を用いてシアンを電気分解し、酸化反応を行なう電解酸化法(電解法)などの酸化分解法;(4)シアン含有廃水中に、鉄イオンの供給化合物として、例えば硫酸第一鉄を添加し、難溶性のフェリ/フェロシアン化物を生成させ、これを沈殿除去する紺青法、(5)塩化亜鉛と還元剤とを添加し、生成した不溶錯体を沈殿除去する亜鉛白法および(6)2価の銅塩と還元剤とを添加し、生成した不溶錯体を沈殿除去する還元銅塩法などの不溶錯体法;(7)シアンに対して馴養させた微生物(シアン分解菌)にシアンを分解させる生物処理法;(8)シアン含有廃水を高温に保持してシアン化合物をアンモニアと蟻酸に加水分解させ、共存する重金属類を単体または酸化物として析出させる熱加水分解法および(9)シアンの分解以外に有機汚濁物をも酸化分解させる湿式酸化法などの熱水反応などがある。
また、本発明の出願人は、次のようなシアン含有廃水の処理方法を提案してきた。
(A)シアン含有廃水に、次亜塩素酸塩および水に可溶であり、水中でマンガンイオンを形成し得るマンガン化合物を添加し、生成した水不溶性のマンガン塩を廃水から除去して、廃水中のシアンを除去するシアン含有廃水の処理方法(特許第4106415号公報:特許文献1参照)
(B)シアン化合物含有廃水に含有シアン化合物量の1.4モル以上に相当する量のホルムアルデヒドを添加して第1段の反応を行った後、次いで実質的に有効反応量の過酸化水素を含有シアン化合物量の3.0モル以上添加し、pH7.0以上で第2段の反応を行うシアン化合物含有廃水の処理方法(特開平02−35991号公報:特許文献2参照)
しかしながら、上記の先行技術では、煩雑な工程や操作が必要であり、それに伴い複数の反応槽が必要となる場合もある。また、チオシアン酸イオンやアンモニウムイオンが存在する廃水など、廃水の種類によってはシアン除去の効果が十分でなく、処理後の廃水のシアン濃度を排水基準(1mg/L以下)にすることができず、処理廃水をそのまま下水などに排出することができない場合もある。
また、水質汚濁防止法に基づき水素イオン濃度(pH)の排水基準は、海域では5.0〜9.0、海域外では5.8〜8.6と定められている。上記の先行技術において、廃水のpHを酸性やアルカリ性に調整した場合には、下水などに排出する前に、廃水のシアン濃度だけではなく、pHも排水基準範囲内に調整する中和処理が必要になる場合もある。
特許第4106415号公報 特開平02−35991号公報
例えば、上記の特許文献1の方法(A)では、シアン含有廃水に対して過剰量の薬剤を添加すれば、シアン濃度を規定値以下にすることができるが、薬剤添加量を極力抑えて、より安全なシアン処理を行うことが求められている。
そこで、本発明は、シアンを含有する廃水、特にチオシアン酸イオンやアンモニウムイオンなどの共存化合物が存在するシアン含有廃水に対して、従来よりも薬剤添加量を極力抑え、簡便な操作で安全に廃水中のシアンを除去し得るシアン含有廃水用処理剤およびそれを用いるシアン含有廃水の処理方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、共存物質が存在するシアン含有廃水に、N−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマートと、過酸化水素および/または金属化合物とを存在させることにより、意外にも、従来よりも薬剤添加量を極力抑え、簡便な操作で安全に廃水中のシアンを除去し得る事実を見出し、本発明を完成するに到った。
かくして、本発明によれば、N−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマートを含有する水溶液と、過酸化水素または金属化合物を含有する水溶液との2液、またはN−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマートを含有する水溶液と、過酸化水素を含有する水溶液と、金属化合物を含有する水溶液との3液の組み合わせからなることを特徴とするシアン含有廃水用処理剤が提供される。
また、本発明によれば、上記のシアン含有廃水用処理剤を、シアン含有廃水中に存在させ、該廃水中のシアンを分解もしくは不溶化させて該廃水からシアンを除去することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法が提供される。
本発明によれば、シアンを含有する廃水、特にチオシアン酸イオンやアンモニウムイオンなどの共存化合物が存在するシアン含有廃水に対して、従来よりも薬剤添加量を極力抑え、簡便な操作で安全に廃水中のシアンを除去し得るシアン含有廃水用処理剤およびそれを用いるシアン含有廃水の処理方法を提供することができる。
すなわち、本発明によれば、各種形態で廃水中に含有するすべてのシアン、特にシアン化物イオンを、従来よりも薬剤添加量を極力抑え、簡便な操作で処理することができる。
よって、本発明の方法で処理した廃水をそのまま自然界に放出しても、環境に対する影響が非常に少なくできることから、本発明の方法は産業上極めて有用である。
本発明者は、本発明のシアン含有廃水用処理剤に含有するN−クロロスルファマートやN−ブロモスルファマート、過酸化水素および金属化合物のそれぞれが有する、シアン除去効果が相乗的に発揮され、上記のような総合的に優れた効果が得られるものと考えている。
具体的には、(1)N−クロロスルファマートやN−ブロモスルファマートに由来する塩化シアンの発生を過酸化水素が抑制し、(2)N−クロロスルファマートやN−ブロモスルファマートと過酸化水素がシアン除去に対して相乗的な効果を発揮し、(3)他の2成分により除去し得なかったあるいは除去効果が不完全であったシアンを、金属化合物が金属錯体形成により不溶化し、これらが総合的に機能して、本願発明の優れた効果が発揮されるものと考えられる。
本発明のシアン含有廃水用処理剤は、次の要件のいずれか1つを満たす場合に、上記の効果をより発揮する。
(1)N−クロロスルファマートおよびN−ブロモスルファマートが、スルファミン酸と、次亜塩素酸および/または次亜臭素酸との反応生成物である。
(2)金属化合物が、マンガン、銅、亜鉛または鉄を含有する化合物である。
また、本発明のシアン含有廃水の処理方法は、次の要件を満たす場合に、上記の効果をより発揮する。
(3)シアン含有廃水が、pH6〜11に調整された廃水である。
(A)シアン含有廃水用処理剤
本発明のシアン含有廃水用処理剤は、N−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマート(2種を合わせて「スルファマート」ともいう)を含有する水溶液と、過酸化水素または金属化合物を含有する水溶液との2液、またはN−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマートを含有する水溶液と、過酸化水素を含有する水溶液と、金属化合物を含有する水溶液との3液の組み合わせからなることを特徴とする。
(N−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマート)
本発明のシアン含有廃水用処理剤のシアン処理の有効成分であるN−クロロスルファマートおよびN−ブロモスルファマートは、公知の方法、例えば、特表2003−503323号、特開2006−022097号、特表平11−506139号、特表2001−501869号、特表2003−507326号及び特開2014−101251号などに記載の方法により調製することができる。
また、本発明のシアン含有廃水用処理剤の有効成分としては、シアン除去効果の点でN−クロロスルファマートがより好ましい。
本発明では、スルファミン酸と、次亜塩素酸および/または次亜臭素酸との反応生成物を好適に用いることができる。この反応によるスルファマートの添加については、(B)シアン含有廃水の処理方法において詳説する。
本発明のシアン含有廃水用処理剤の形態は水溶液であり、シアン含有廃水用処理剤としての有効成分濃度、すなわちN−クロロスルファマートおよびN−ブロモスルファマートの合計の有効ハロゲン濃度は、0.5mg/L以上である。
高濃度のシアン含有廃水用処理剤を用いる場合には、使用時に適宜、工業用水などの水で希釈すればよい。また、その場で有効成分を反応生成させる場合には、反応後の濃度がその処理条件に合うように、反応前の各化合物の水溶液濃度を適宜設定すればよい。
また、本発明のシアン含有廃水用処理剤のpHは12以上であるのが好ましいが、その場で有効成分を反応生成させる場合にはこの限りではなく、スルファミン酸およびその塩の酸性を中和し得るアルカリ量であればよい。
(過酸化水素)
本発明において用いられる過酸化水素としては、主に工業用として市販されている濃度3〜60%の過酸化水素水溶液が挙げられる。
また、過酸化水素供給化合物(「過酸化水素発生剤」ともいう)から発生させた過酸化水素や、用水またはアルカリ溶液の電気分解などで発生させた過酸化水素を用いることもできる。
過酸化水素供給化合物としては、過酸化水素を水中で放出し得る過炭酸、過ホウ酸、ペルオキシ硫酸などの無機過酸、過酢酸のような有機過酸およびこれらの塩類が挙げられる。これら塩類としては、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記の過酸化水素および過酸化水素供給化合物は、添加に際して所望の過酸化水素濃度になるように工業用水などの水で希釈または溶解して用いてもよい。
(金属化合物)
本発明において用いられる金属化合物としては、例えば、当該技術分野でシアン除去に用いられる金属化合物が挙げられ、具体的には、マンガン化合物、銅化合物、亜鉛化合物、鉄化合物などが挙げられる。
(マンガン化合物)
マンガン化合物は、水に可溶な中性塩であれば特に限定されず、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、硼酸マンガンおよび酢酸マンガンなどが挙げられる。これらの中でも、シアン化合物の除去効果およびシアン廃水の処理コストの点で、塩化マンガンが特に好ましい。
(銅化合物)
銅化合物は、水に可溶であり、水中で1価または2価の銅イオンを形成し得る化合物で特に限定されず、塩化第一銅、フッ化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、塩化第二銅、フッ化第二銅、硝酸銅および硫酸銅などが挙げられる。これらの中でも、シアン化合物の除去効果およびシアン廃水の処理コストの点で、塩化第一銅、塩化第二銅および硫酸銅が好ましく、塩化第一銅および塩化第二銅が特に好ましい。また、銅化合物は溶液の形態でシアン廃水に添加するのが好ましいが、銅化合物が第一銅塩である場合には、塩化水素水、ハロゲン化アルカリ金属水溶液またはエタノールを溶媒とする第一銅塩溶液とするのが、第一銅塩の安定性の点から好ましい。
(亜鉛化合物)
亜鉛化合物は、水に可溶であり、水中で2価の亜鉛イオンを形成し得る化合物で特に限定されず、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム(テトラクロロ亜鉛酸アンモニウム)、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、クエン酸亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、シアン化合物の除去効果およびシアン廃水の処理コストの点で、塩化亜鉛が特に好ましい。
(鉄化合物)
鉄化合物は、水に可溶であり、水中で2価の鉄イオンを形成し得る化合物であれば特に限定されず、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸アンモニウム鉄(II)・12水和物(鉄ミョウバン)などの第一鉄塩が挙げられる。これらの中でもシアン化合物の除去効果およびシアン廃水の処理コストの点で、塩化第一鉄が特に好ましい。
本発明の方法では、水中で2価の鉄イオンを形成し得る化合物として、3価の鉄イオンを形成し得る化合物を還元剤と共にシアン含有廃水に添加するか、または還元性のシアン含有廃水に3価の鉄イオンを形成し得る化合物を添加して、廃水中で3価の鉄イオンを形成し得る化合物を還元させて生成した2価の鉄イオンを形成し得る化合物を含む。
ここで、還元剤としては、例えば、亜硫酸塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
上記の金属化合物の中でも、シアン化合物の除去効果およびシアン廃水の処理コストの点で、マンガン、銅、亜鉛または鉄を含有する化合物が好ましく、マンガン、銅または亜鉛を含有する化合物が特に好ましい。具体的には、塩化マンガン、塩化第一銅、塩化第二銅、塩化亜鉛および塩化第一鉄が挙げられ、塩化マンガン、塩化第一銅、塩化第二銅および塩化亜鉛が特に好ましい。
金属化合物は、スルファマートや過酸化水素と同様に、所望の濃度になるように工業用水などの水に溶解して用いればよい。
(製剤)
本発明のシアン含有廃水用処理剤は、次のような水溶液の2液または3液の組み合わせからなる。
(1)スルファマートを含有する水溶液と、過酸化水素を含有する水溶液と、金属化合物を含有する水溶液との3液の組み合わせ
(2)スルファマートを含有する水溶液と、過酸化水素を含有する水溶液との2液の組み合わせ
(3)スルファマートを含有する水溶液と、金属化合物を含有する水溶液との2液の組み合わせ
上記の組み合わせの中でも、本願発明の効果および製剤添加の操作性などの点で、製剤(1)または(2)が特に好ましい。
水溶液中のスルファマート、過酸化水素および金属化合物の濃度は、化合物の溶解度やpH、取扱い性などを考慮して適宜設定すればよい。
(シアン含有廃水)
本発明において処理対象となるシアン含有廃水としては、製鉄工場、化学工場、メッキ工場、コークス製造工場、金属表面処理工場などから排出される金属のシアン化合物、シアン化物イオン、シアン錯体、シアノ錯イオンなどを含むシアン含有廃水、放射能汚染水の処理工程において排出されるシアン含有廃水、土壌の処理装置から排出されるシアン含有廃水が挙げられる。特に、本発明のシアン含有廃水の処理方法は、コークス炉廃水のような、緩衝作用の強いシアン含有廃水、すなわちチオシアン酸およびその塩ならびにアンモニウムイオンを含有するシアン含有廃水の処理に好適である。
シアン含有廃水には、様々な共存物質、例えば、酸化剤と容易に反応し、ばっ気処理などにおいても反応すると考えられる、硫化物イオン、亜硫酸イオン、亜硝酸イオン、チオ硫酸イオン、ヒドラジン、第一鉄などの還元物質、ある一定以上の酸化力を有する酸化剤でなければ反応しないと考えられる、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、アンモニウムイオン、有機物(ホルムアルデヒド、アミノ酸、たんぱく質、微生物)などの難分解性物質が含まれている。
これらの物質やイオンは、酸化力の強い酸化剤と反応すると考えられるが、本発明のシアン含有廃水用処理剤のシアン処理の有効成分であるN−クロロスルファマートおよびN−ブロモスルファマートは、酸化力が弱く、シアン化物イオン(「フリーシアン」または「遊離シアン」ともいう)のような容易に酸化される物質のみに優先的に反応するものと考えられ、安定化ハロゲン系酸化剤ともいう。
また、本発明のシアン含有廃水用処理剤の有効成分が、安定化ハロゲン系酸化剤として優先的にシアン化物イオンと反応して本発明の効果を発揮すると共に、ORP(酸化還元電位)の上昇や、シアン含有廃水中に多量のハロゲンが残存することによる装置内の配管母材の腐食の発生や塩の析出リスクの低減をも期待できる。
したがって、本発明のシアン含有廃水用処理剤は、チオシアン酸およびその塩ならびにアンモニウムイオンから選択される1種以上の共存物質を含有するシアン含有廃水の処理についても、好適に用いることができる。
シアン含有廃水は、シアンの除去効果の点でpH6以上であればよく、好ましくはpH6〜11、より好ましくはpH6〜9である。
シアン含有廃水がpH6未満では、有害なシアン化水素ガスが気散する危険性がある。一方、シアン含有廃水がpH11を超えると、アルカリ薬剤のコストが嵩む課題があり、またpH9を超えると、廃水基準を超えるため、pH調整が必要となる。
処理対象のシアン含有廃水は、通常、このような中性域からアルカリ性域にあるが、この範囲外にある場合には、本発明の効果を阻害しない酸またはアルカリ、例えば硫酸または水酸化ナトリウムを処理廃水に添加してpHを調整すればよい。
(B)シアン含有廃水の処理方法
本発明のシアン含有廃水の処理方法は、本発明のシアン含有廃水用処理剤を、シアン含有廃水中に存在させ、該廃水中のシアンを分解もしくは不溶化させて該廃水からシアンを除去することを特徴とする。
本発明の発明者は、「廃水中のシアンの分解」は、添加されたスルファマート、ならびに過酸化水素によりシアンが酸化され、さらに生成されたシアン酸が加水分解により炭酸水素アンモニウムを生成することによるものと考えている。
また、本発明の発明者は、「廃水中のシアンの不溶化」は、添加された金属化合物により、該廃水中のシアンと水不溶性の金属錯塩を形成することによるものと考えられる。
本発明のシアン含有廃水の処理方法において、シアン含有廃水にスルファマートを存在させる方法は、特に限定されない。例えば、アルカリ剤およびグリシン、α−アラニン、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、メチオニンおよびリジン塩酸塩などのアミノ酸類、スルファミン酸、コハク酸イミド、カプロラクタム、マレインイミドなどのアミド類、タウリンから選択される安定化剤を含有する水溶液と、次亜塩素酸および/または次亜臭素酸を含有する水溶液とを同時または別々に添加する方法や、アルカリ剤、スルファミン酸および臭化ナトリウムを含有する水溶液と、次亜塩素酸を含有する水溶液とを同時または別々に添加する方法等が挙げられる。
(スルファミン酸)
本発明において用いられるスルファミン酸は、水中でスルファミン酸を生成して次亜塩素酸および次亜臭素酸と反応し得る化合物を水に溶解することにより得ることができる。例えば、スルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウムなどのスルファミン酸のアルカリ金属塩;メチルスルファミン酸、メチルスルファミン酸ナトリウム、メチルスルファミン酸カリウム、メチルスルファミン酸アンモニウム、フェニルスルファミン酸、フェニルスルファミン酸ナトリウム、フェニルスルファミン酸カリウム、フェニルスルファミン酸アンモニウムなどの有機スルファミン酸またはその塩が挙げられる。特に、スルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウムは工業的に入手し易く、本発明において好適に用いられる。
(次亜塩素酸および次亜臭素酸)
本発明において用いられる次亜塩素酸および次亜臭素酸は、水中でそれぞれ次亜塩素酸および次亜臭素酸を生成してスルファミン酸と反応し得る化合物を水に溶解することにより得ることができる。例えば、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カルシウム、次亜臭素酸マグネシウムなどの次亜塩素酸および次亜臭素酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩が挙げられる。特に、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウムは工業的に入手し易く、本発明において好適に用いられる。また、食塩水や海水を電解槽で電解することによって得られる次亜塩素酸塩であってもよい。
(アルカリ剤)
本発明において用いられるアルカリ剤は、スルファミン酸およびその塩の酸性を中和し、かつその水溶液のpHをアルカリ性にし、かつ次亜ハロゲン酸とスルファミン酸との反応生成物であるN−クロロスルファマート水溶液またはN−ブロモスルファマート水溶液の安定性に寄与する機能を有する。アルカリ剤は、このような機能を発揮し得る化合物であれば特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。特に、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは工業的に入手し易く、本発明において好適に用いられる。
(添加量)
本発明のシアン含有廃水用処理剤の添加量(シアン含有廃水中に存在させる量)は、シアン含有廃水に含まれるシアンの種類およびその濃度のほかに、シアン含有廃水に含まれる他の金属イオンの種類およびその濃度などの影響を受けるので、これらの添加量は条件に応じて適宜決定すればよい。具体的には、処理前のシアン含有廃水のシアン濃度などを予め測定しておき、この測定値に基づいて、各添加剤の添加量を決定すればよい。
例えば、シアン含有廃水に、その中のシアン含有量に対して、スルファマートの合計量の有効ハロゲン濃度が0.1モル当量以上になるように存在させるのが好ましい。より好ましくは、シアン含有廃水中のシアン含有量に対して、その有効ハロゲン濃度として0.5モル当量以上である。
その有効ハロゲン濃度が0.1モル当量未満では、シアン化物イオンとの反応が十分に起こらないため、シアン除去の効果が不十分になることがある。また、シアン含有廃水用処理剤の添加量の上限は特にないが、10モル当量程度であれば、十分なシアン除去効果が得られる。
また、過酸化水素は、シアン含有廃水に、その中のシアン含有量に対して、0.1モル当量以上になるように存在させるのが好ましい。より好ましくは、シアン含有廃水中のシアン含有量に対して、その過酸化水素濃度として0.5モル当量以上である。
その過酸化水素濃度が0.1モル当量未満では、シアン化物イオンとの反応が十分に起こらないため、シアン除去の効果が不十分になることがある。また、シアン含有廃水用処理剤の添加量の上限は特にないが、10モル当量程度であれば、十分なシアン除去効果が得られる。
さらに、金属化合物は、その化合物により異なるが、シアン含有廃水に、その中のシアン含有量に対して、その金属イオン濃度が0.1モル当量以上になるように存在させるのが好ましい。より好ましくは、シアン含有廃水中のシアン含有量に対して、その金属イオン濃度として0.5モル当量以上である。
その金属イオン濃度が0.1モル当量未満では、シアン化物イオンとの反応が十分に起こらないため、シアン除去の効果が不十分になることがある。また、シアン含有廃水用処理剤の添加量の上限は特にないが、10モル当量程度であれば、十分なシアン除去効果が得られる。
本発明において処理対象となるシアン含有廃水におけるシアンの含有量は、特に限定されないが、上記のシアン含有廃水は、一般に全シアン濃度で2〜500mg/L程度である。このようなシアン含有廃水を処理する場合には、シアン含有廃水に対して、アルカリ剤を0.3〜2000mg/L、好ましくは0.5〜600mg/L、スルファミン酸化合物を0.02〜1000mg/L、好ましくは0.04〜300mg/L、次亜塩素酸塩および次亜臭素酸塩を合計で1〜10000mg/L、好ましくは2.5〜3000mg/Lとなるように、シアン含有廃水に添加すればよい。
また、過酸化水素を0.2〜6500mg/L、好ましくは1〜2000mg/L、金属化合物を0.4〜12000mg/L、好ましくは2〜3600mg/Lとなるように、シアン含有廃水に添加すればよい。
(シアン含有廃水)
処理対象のシアン含有廃水は、(A)シアン含有廃水用処理剤で説明したとおりであり、チオシアン酸およびその塩ならびにアンモニウムイオンから選択される1種以上の共存物質を含有する廃水であるのが好ましい。
また、処理対象のシアン含有廃水は、pH6〜11であるのが好ましく、この範囲外にある場合には、酸またはアルカリで調整された廃液であるのが好ましい。
(添加)
本発明のシアン含有廃水の処理方法では、処理対象のシアン含有廃水中に2液または3液の組み合わせからなる製剤を同時または別々に添加することにより、スルファマートと、過酸化水素および/または金属化合物とを処理対象のシアン含有廃水中に存在させればよい。その添加には、既存の設備を用いてもよい。
(撹拌)
上記の各化合物の添加時、およびこれらの添加された化合物とシアンとの反応時には、シアンの除去効果の点で、混合溶液を撹拌するのが好ましい。この撹拌は、各化合物の添加毎に実施するのが好ましい。
また、撹拌時の反応を促進する意味で、混合溶液は、添加した化合物が分解されない、ある程度加温された状態であるのが好ましく、その液温は20〜60℃程度である。
さらに、撹拌時の反応に要する時間は、シアン含有廃水の量、シアンの種類およびその濃度、処理装置の形態およびその規模などにより異なるが、シアンと添加した化合物とが十分に接触するように適宜決定すればよい。通常、撹拌時間は10分以上であればよく、20〜60分とするのがより好ましい。
(処理および沈殿分離)
化合物の添加、撹拌混合、沈降分離、水不溶性塩の除去などの一連の操作には、添加剤槽、反応処理槽、シックナーおよび除濁沈殿池などの公知の装置を用いることができ、既設の装置を転用してもよい。
本発明のシアン含有廃水の処理方法では、本発明の効果を阻害しない範囲で、防錆剤、腐食防止剤、スケール分散剤、スライムコントロール剤、金属捕集剤、消泡剤などの公知の薬剤を併用してもよい。
また、沈降分離においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、界面活性剤や凝集剤を添加してもよい。
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、先行技術に記載のような化学的なシアン処理方法や、赤外線や紫外線など公知の物理的なシアン処理方法と併用してもよい。
ここで、本発明において「水不溶性」とは、化合物(塩)が20℃における水100gに対して1g以下の溶解度を有し、その化合物は、沈降分離や濾別により液相と分離可能であることを意味する。
以上の処理により、シアンを含有する廃水、特にチオシアン酸イオンやアンモニウムイオンなどの共存化合物が存在するシアン含有廃水に対して、従来よりも薬剤添加量を極力抑え、簡便な操作で安全に廃水中のシアンを除去し、処理前のシアン濃度(全シアン含有量(mg/L))を排水基準値以下に顕著に低減させることができ、処理後の廃水を中和処理なしに、そのまま下水などに排出または再利用することができる。
本発明の方法において、処理排水をそのまま放流する場合には、全シアン濃度を排水基準値以下に低下させるのに必要な量の化合物を添加すればよいが、処理排水を他の排水で希釈して放流する場合には、希釈後の排水が上記の排水基準値以下になるように化合物を添加すればよい。
通常、工場などにおいては、処理排水を他の排水で希釈して放流する場合が多く、費用に対する効果を考慮して、各有効成分の添加量をコントロールするのが好ましい。
よって、処理後の全シアン濃度が1mg/L以下にならない場合、概ね5mg/L以下になる場合も本発明に含まれる処理であることが理解される。
本発明を製剤例および試験例により具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例により限定されるものではない。
本発明のシアン含有廃水用処理剤は、製剤例1〜11のように、下記の所定濃度の化合物の水溶液の2液製剤または3液製剤とすることができる。
(製剤例1)
・35%N−クロロスルファマート水溶液
・3%過酸化水素水溶液
・30%塩化マンガン水溶液
(製剤例2)
・25%N−クロロスルファマート水溶液
・10%過酸化水素水溶液
・15%塩化第一銅水溶液
(製剤例3)
・20%N−クロロスルファマート水溶液
・15%過酸化水素水溶液
・25%塩化第二銅水溶液
(製剤例4)
・15%N−クロロスルファマート水溶液
・35%過酸化水素水溶液
・40%塩化亜鉛水溶液
(製剤例5)
・5%N−クロロスルファマート水溶液
・45%過酸化水素水溶液
・25%塩化第一鉄水溶液
(製剤例6)
・20%N−クロロスルファマート水溶液
・35%過酸化水素水溶液
(製剤例7)
・25%N−クロロスルファマート水溶液
・30%塩化マンガン水溶液
(製剤例8)
・25%N−クロロスルファマート水溶液
・15%塩化第一銅水溶液
(製剤例9)
・20%N−クロロスルファマート水溶液
・25%塩化第二銅水溶液
(製剤例10)
・20%N−クロロスルファマート水溶液
・40%塩化亜鉛水溶液
(製剤例11)
・25%N−クロロスルファマート水溶液
・25%塩化第一鉄水溶液
下記の試験例1および試験例3では、表1に示す水質を有するように調製した合成水(pH8.2)に、シアン化物イオン(遊離シアン:F−CN)、シアノ錯体、チオシアン酸イオン(SCN-)およびアンモニウムイオン(NH4 +)が表1に示す含有量になるように調製した合成シアン含有廃水Aを用いた。
上記の合成シアン含有廃水の調製には、フェロシアン化カリウム水溶液、シアン化カリウム水溶液、チオシアン酸カリウム水溶液、塩化カルシウム2水和物水溶液、塩化ナトリウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、塩化アンモニウム水溶液および炭酸水素ナトリウム水溶液を用いた。
Figure 2018030104
下記の試験例2では、某製鉄所のコークス炉廃水ラインより採取した、表2に示す水質を有するシアン含有廃水B(pH7.1)を用いた。
Figure 2018030104
(製剤例A:N−クロロスルファマートの調製)
容量500mLのビーカーに、それぞれ純水を48.8g、スルファミン酸を23.8g、48%水酸化ナトリウム水溶液を47.0g、10.6%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を130.5g添加し、撹拌してN−クロロスルファマート水溶液(有効塩素濃度5.5%)を得た。
(製剤例B:N−ブロモスルファマートの調製)
容量500mLのビーカーに、それぞれ10.6%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を172g、48%水酸化ナトリウム水溶液を35g、臭化ナトリウムを40g添加し、50℃のウォーターバスで2時間撹拌して黄色透明水溶液を得た。また、これとは別に容量200mLのビーカーに、それぞれ純水を64.0g、スルファミン酸を31.2g、48%水酸化ナトリウム水溶液を27g添加し、撹拌して透明水溶液を得た。上述の黄色透明水溶液と透明水溶液を室温下で混合してN−ブロモスルファマート水溶液(有効臭素濃度10.2%)を得た。
(試験例1)
容量100mLのビーカーに、それぞれシアン含有廃水Aを100mL分注し、表3に示す濃度になるようにN−クロロスルファマート、N−ブロモスルファマート、次亜塩素酸ナトリウムとスルファミン酸との組み合わせから選択される1種、過酸化水素ならびに塩化マンガンをそれぞれ添加して試験水を得た。
一部の試験水には、硫酸水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を添加して、試験水のpHが表3に示す値になるように調整した。
次いで、得られた試験水を、撹拌装置(アズワン株式会社製、マグネチックスターラー、型式:RS−4AR、撹拌子:プレーン形、最長辺30mm)を用いて回転数250rpmで撹拌した。具体的には、N−クロロスルファマート、N−ブロモスルファマート、または次亜塩素酸ナトリウムとスルファミン酸との組み合わせを添加してから1分間、その後過酸化水素を添加してから1分間、さらに塩化マンガンを添加してから15分間となるように撹拌した。試験後、ろ紙(東洋濾紙株式会社(ADVANTEC)製、品名:No.5C)を用いて、試験水を濾過し、得られたろ液を処理液とした。
次いで、試験水(処理液)中の全シアン濃度(T-CN)を、全シアン検定器(株式会社共立理化学研究所製、型式:WA−CNT)を用いてピクリン酸法により測定し、各試験水におけるシアン化合物の除去効果を評価した。
この試験においては、薬剤を添加しないブランク試験(比較例4)を同時に行った。
得られた結果を、添加化合物とその添加量および試験水のpHと共に表3に示す。
表3の試験結果から次のことがわかる。
・本発明のシアン含有廃水用処理剤で処理した場合には、十分なシアン除去効果を有すること(実施例1〜7)
・塩化マンガンのみ、塩化マンガンと次亜塩素酸ナトリウムおよび/または過酸化水素を含有するシアン含有廃水用処理剤で処理した場合には、十分なシアン除去の効果が得られないこと(比較例1〜5)
Figure 2018030104
(試験例2)
容量300mLのビーカーに、それぞれシアン含有廃水Bを300mL分注し、表4に示す濃度になるようにN−クロロスルファマートおよび過酸化水素をそれぞれ添加して試験水を得た。
一部の試験水には、硫酸水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を添加して、試験水のpHが表4に示す値になるように調整した。
次いで、得られた試験水を、撹拌装置(アズワン株式会社製、マグネチックスターラー、型式:RS−4AR、撹拌子:プレーン形、最長辺30mm)を用いて回転数250rpmで撹拌した。具体的には、過酸化水素を添加してから10分間(第一段階)、その後N−クロロスルファマートを添加してから40分間(第二段階)となるように撹拌した。試験後、ろ紙(東洋濾紙株式会社(ADVANTEC)製、品名:No.5C)を用いて、試験水を濾過し、得られたろ液を処理液とした。
次いで、試験水(処理液)中の全シアン濃度(T-CN)をJIS K0102に準拠して測定し、各試験水におけるシアン化合物の除去効果を評価した。
この試験においては、薬剤を添加しないブランク試験(比較例7)およびN−クロロスルファマート単独で添加する試験(参考例)を同時に行った。
得られた結果を、添加化合物とその添加量および試験水のpHと共に表4に示す。
Figure 2018030104
表4の試験結果から次のことがわかる。
・本発明のシアン含有廃水用処理剤で処理した場合には、十分なシアン除去効果を有し、N−クロロスルファマート単独で処理した場合(参考例)よりもさらに優れたシアン除去効果を有すること(実施例8)
・過酸化水素単独で処理した場合には、十分なシアン除去の効果が得られないこと(比較例7)
(試験例3)
容量100mLのビーカーに、それぞれシアン含有廃水Aを100mL分注し、表5に示す濃度になるようにN−クロロスルファマート、過酸化水素、金属化合物として塩化第一銅、塩化第二銅および塩化亜鉛から選択される1種をそれぞれ添加して試験水を得た。
得られた試験水を用いて試験例1と同様の操作により、各試験水におけるシアン化合物の除去効果を評価した。
この試験においては、薬剤を添加しないブランク試験(比較例8)を同時に行った。
得られた結果を、添加化合物とその添加量および試験水のpHと共に表5に示す
表5の試験結果から次のことがわかる。
・本発明のシアン含有廃水用処理剤で処理した場合には、十分なシアン除去効果を有すること(実施例9〜12)
Figure 2018030104

Claims (5)

  1. N−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマートを含有する水溶液と、過酸化水素または金属化合物を含有する水溶液との2液、またはN−クロロスルファマートおよび/またはN−ブロモスルファマートを含有する水溶液と、過酸化水素を含有する水溶液と、金属化合物を含有する水溶液との3液の組み合わせからなることを特徴とするシアン含有廃水用処理剤。
  2. 前記N−クロロスルファマートおよびN−ブロモスルファマートが、スルファミン酸と、次亜塩素酸および/または次亜臭素酸との反応生成物である請求項1に記載のシアン含有廃水用処理剤。
  3. 前記金属化合物が、マンガン、銅、亜鉛または鉄を含有する化合物である請求項1または2に記載のシアン含有廃水用処理剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のシアン含有廃水用処理剤を、シアン含有廃水中に存在させ、該廃水中のシアンを分解もしくは不溶化させて該廃水からシアンを除去することを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
  5. 前記シアン含有廃水が、pH6〜11に調整された廃水である請求項4に記載のシアン含有廃水の処理方法。
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