JP2018027734A - 駐車制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1系統部分(第1系統コイルSC1、第1系統インバータ34)および第2系統部分(第2系統コイルSC2、第2系統インバータ36)のいずれか一方に異常が生じる場合であっても駐車処理を実行できるようにした駐車制御装置を提供する。
【解決手段】CPU52は、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じる旨の判定をしている場合、判定をしていない場合と比較して、転舵輪22の転舵角の大きさの上限値を小さくしつつ、車両を目標駐車位置まで走行させる目標走行軌跡を算出する。そして、CPU52は、第1系統インバータ34および第2系統インバータ36のうち異常が生じていない側を操作したり、モータジェネレータ38用のインバータ40を操作したり、ブレーキアクチュエータ42を操作したりして、目標走行軌跡に沿って車両を走行させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、互いに独立に転舵輪を転舵させる動力を生成可能な第1系統部分および第2系統部分を備えた転舵アクチュエータを操作対象とする駐車制御装置に関する。
たとえば特許文献1には、車両を目標駐車位置に駐車させるために、ユーザが車両の走行速度(車速)を制御しているときに、転舵輪を自動で転舵させることによってステアリングの操舵によらずに車両を目標駐車位置に駐車させる駐車支援装置が記載されている。また、同文献には、電動パワーステアリング装置(転舵アクチュエータ)が適切に作動しないシステム異常時には、駐車支援(駐車処理)を中止することが記載されている(段落「0045」)。
一方、特許文献2には、転舵アクチュエータ内蔵の電動機が、ステータコイルとして3相の第1系統コイルと3相の第2系統コイルと、第1系統コイルの駆動回路と、第2系統コイルの駆動回路とを備えたものが記載されている。詳しくは、同文献に記載の技術は、転舵アクチュエータを操作するために、第1系統コイルおよびその駆動回路(第1系統部分)および第2系統コイルおよびその駆動回路(第2系統部分)の双方の正常時には、第1系統部分および第2系統部分の双方に通電する。一方、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方の異常時には、第1系統部分および第2系統部分のうちの正常なもののみを通電することが記載されている。
特開2004−291866号公報 特開2013−159165号公報
上記のように、第1系統部分および第2系統部分を備える場合、それらのいずれか一方に異常が生じる場合であっても、他方のみを用いて転舵アクチュエータによって転舵輪を転舵させることができる。ただし、いずれか一方に異常が生じる場合には、電動機の出力が半減するため、正常時のときのようには駐車処理を実行できないおそれがある。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、転舵アクチュエータが互いに独立に転舵輪を転舵させる動力を生成可能な第1系統部分および第2系統部分を備えるものにおいて、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じる場合であっても駐車処理を実行できるようにした駐車制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.駐車制御装置は、互いに独立に転舵輪を転舵させる動力を生成可能な第1系統部分および第2系統部分を備えた転舵アクチュエータを操作対象とし、車両を目標駐車位置に駐車させるための前記車両の目標走行軌跡を算出する軌跡算出処理と、前記車両を前記目標走行軌跡に沿って走行させるために前記転舵アクチュエータを操作する駐車処理と、前記第1系統部分および前記第2系統部分のうちのいずれか一方に異常が生じるか否かを判定する異常判定処理と、を実行し、前記軌跡算出処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されていることを条件に、異常がある旨判定されていない場合と比較して、前記転舵輪の転舵角の大きさの上限値を小さくしつつ前記目標走行軌跡を算出する処理を含む。
車両の転舵輪は、一般に、中立位置の転舵角をゼロとする場合、転舵角の大きさが大きい場合に小さい場合よりも、転舵輪を転舵させるのに要する力が大きくなる傾向を有する。このため、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じることにより、第1系統部分および第2系統部分のうちの他方のみによって生成される動力によって転舵輪を転舵させる場合には、第1系統部分および第2系統部分の双方によって生成される動力によって転舵輪を転舵させる場合よりも、転舵角の大きさの最大値が小さくなる。そこで上記構成では、異常判定処理によって異常があると判定されていることを条件に、転舵輪の転舵角の大きさの上限値を小さくしつつ目標走行軌跡を算出することにより、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方を利用することなく生成される動力によって転舵輪を転舵させる場合であっても、車両が取りうる軌跡を目標走行軌跡として算出することができる。これにより、転舵アクチュエータが互いに独立に転舵輪を転舵させる動力を生成可能な第1系統部分および第2系統部分を備えるものにおいて、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じる場合であっても駐車処理を実行できる。
2.上記1記載の駐車制御装置において、前記駐車処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されている場合、前記転舵アクチュエータ単独で前記転舵輪を転舵させることによって前記車両を前記目標走行軌跡に沿って走行させる処理を含む。
上記構成では、異常がある旨判定されている場合、転舵アクチュエータ単独で転舵輪を転舵させることによって車両を目標走行軌跡に沿って走行させる。このため、第1系統部分および第2系統部分のうちの他方のみによって生成される動力によって実現可能な転舵角の大きさの上限値を設定することにより、目標走行軌跡を実際に実現可能な走行軌跡とすることができる。
3.上記1記載の駐車制御装置において、前記転舵輪には、ステアリングに入力されるトルクが伝達可能とされており、前記軌跡算出処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されていることを条件に、前記ステアリングに入力されるトルクの想定値と前記第1系統部分および前記第2系統部分のうちの他方の駆動によって生成されるトルクとの合計のトルクによって実現可能な前記転舵角の最大値を上限値としつつ、前記目標走行軌跡を算出し、前記駐車処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されている場合、前記車両を前記目標走行軌跡に沿って走行させるうえで必要な前記ステアリングの操舵を教示しつつ前記転舵アクチュエータを操作する処理を含む。
上記構成では、異常がある旨判定されている場合、転舵アクチュエータによって生成されるトルクとステアリングに入力されるトルクとの協働で転舵輪を転舵させる前提で、目標走行軌跡を算出するため、ステアリングに入力されるトルクを用いない場合と比較すると、転舵輪の大きさの上限値をより大きい値とすることができる。
4.上記2または3記載の駐車制御装置において、前記駐車処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されている場合、前記車両の走行速度についてはユーザが制御することによって前記車両を前記目標走行軌跡に沿って走行させる支援処理を含み、該支援処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されている場合、異常があると判定されていない場合と比較して、前記車両の走行速度の上限値を低い値に制限する処理を含む。
車両の走行中に転舵角が変化する場合、転舵角速度が一定であっても、車両の走行速度が異なれば、走行軌跡が異なったものとなる。このため、支援処理によって車両を目標走行軌跡に沿って走行させるためには、車両の走行速度に応じて転舵角速度を可変制御することが望まれる。一方、一般に、転舵輪を転舵させるのに際し、転舵角速度が高い場合には低い場合よりも、より大きな力が必要とされる傾向がある。このため、異常がある旨判定されている場合には、判定されていない場合と比較すると、実現可能な転舵角速度の最大値が低くなる傾向がある。このため、車両を目標走行軌跡に沿って走行させるために車両の走行速度に応じて設定すべき転舵角速度が高くなる場合、正常時にはその転舵角速度を実現可能であるものの、異常時には実現可能とならないおそれがある。
そこで上記構成では、異常があると判定されている場合には、走行速度の上限値を低い値に制限することにより、車両を目標走行軌跡に沿って走行させるために実現すべき転舵角速度を実際には実現できないといった事態が生じることを抑制することができる。
5.上記1〜4のいずれか1項に記載の駐車制御装置において、前記駐車処理は、右側および左側のうちのいずれか一方側への旋回を含んだ前進走行の後、前記右側および左側のうちの他方側への旋回を含んだ後退走行によって前記車両を前記目標駐車位置に駐車するとき、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されていることを条件に、異常がある旨判定されていない場合と比較して、前記車両を前進走行から後退走行に切り替える際の前記車両の位置である切り替え位置と前記目標駐車位置との距離を長くする処理を含む。
転舵角の大きさの上限値が大きい場合には、右側および左側のうちのいずれか一方側への旋回を含んだ前進走行の後、右側および左側のうちの他方側への旋回を含んだ後退走行によって目標駐車位置に駐車することができる場合であっても、上記距離が同一であるなら、上限値の大きさが小さい場合には駐車させることができなくなるおそれがある。これに対し、転舵輪の転舵方向を反転させる回数である切り返し回数を増加させる場合には、駐車により多くの時間を要する傾向がある。そこで上記構成では、上記距離を長くすることにより、転舵角の大きさの上限値が小さくなる場合であっても、切り返し回数を増加させることなく、車両を目標駐車位置に駐車させることができる。
6.上記1〜5のいずれか1項に記載の駐車制御装置において、前記転舵角の大きさを大きくするように前記転舵輪を転舵させるのに必要な力は、前記転舵角の大きさが最小値と最大値との中央以上の大きさである領域において、前記転舵角の大きさが大きいほど大きくなる傾向を有する。
上記構成では、少なくとも転舵角の大きさが最大値の50%を超える場合には、転舵角の大きさが大きいほど転舵に必要な力が大きくなるため、異常がある場合にはない場合と比較して、実現可能な転舵角の範囲が小さくなりやすい。
7.上記1〜6のいずれか1項に記載の駐車制御装置において、前記転舵アクチュエータは、電動機と前記電動機に電力を供給する電力変換回路と、を備え、前記第1系統部分は、前記電動機のステータコイルである第1系統コイルと、前記第1系統コイルに電力を供給する前記電力変換回路としての第1系統回路と、を備え、前記第2系統部分は、前記電動機のステータコイルである第2系統コイルと、前記第2系統コイルに電力を供給する前記電力変換回路としての第2系統回路と、を備える。
駐車制御装置にかかる第1の実施形態を備えた車両の一部を示す図。 同実施形態にかかる第1系統および第2系統のいずれかの異常の有無を判定する処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかるラックストロークとラック軸力との関係を示す図。 同実施形態にかかる自動駐車の実行に関する処理の手順を示す流れ図。 (a)および(b)は、同実施形態にかかる目標走行軌跡を例示する図。 (a)および(b)は、同実施形態の比較例における走行軌跡を例示する図。 第2の実施形態にかかる駐車支援の実行に関する処理の手順を示す流れ図。 第3の実施形態にかかる駐車支援の実行に関する処理の手順を示す流れ図。
<第1の実施形態>
以下、車両用制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す操舵装置は、車両に搭載されるものであり、ユーザによってステアリングホイール(ステアリング10)に加えられたトルクが、ステアリングシャフト14、ラック軸20を介して転舵輪22に伝達される。
上記ステアリングシャフト14とラック軸20とは、所定の交叉角をもって配置されており、ラック軸20に形成された第1ラック歯24aとステアリングシャフト14に形成されたシャフト歯14aとが噛合されることで第1ラックアンドピニオン機構24が構成されている。
上記ラック軸20は、ピニオン軸28と所定の交叉角をもって配置されており、ラック軸20に形成された第2ラック歯26aとピニオン軸28に形成されたピニオン歯28aとが噛合されることで第2ラックアンドピニオン機構26が構成されている。ピニオン軸28は、ウォームアンドホイール等の減速機構30を介して、電動機32の回転軸32aに接続されている。
同期電動機(電動機32)は、回転軸32aに固定されたロータ32bと、ステータコイルとしての3相の第1系統コイルSC1と、ステータコイルとしての3相の第2系統コイルSC2とを備える。第1系統コイルSC1は、第1系統インバータ34に接続されている。第1系統インバータ34は、直流電圧源であるバッテリの正極および負極のそれぞれを第1系統コイルSC1の各端子に選択的に接続するためのスイッチング素子を備えた回路である。第2系統コイルSC2は、第2系統インバータ36に接続されている。第2系統インバータ36は、直流電圧源であるバッテリの正極および負極のそれぞれを第2系統コイルSC2の各端子に選択的に接続するためのスイッチング素子を備えた回路である。
こうした構成によれば、第1系統インバータ34によって第1系統コイルSC1に交流電圧を印加することによって、第1系統コイルSC1は、単独で回転磁界を生成することができる。同様に、第2系統インバータ36によって第2系統コイルSC2に交流電圧を印加することによって、第2系統コイルSC2は、単独で回転磁界を生成することができる。なお、ここで回転磁界とは、電気角の周期で周期的に変動する磁界のことである。
上記ラック軸20、第2ラックアンドピニオン機構26、減速機構30、電動機32、第1系統インバータ34および第2系統インバータ36は、転舵アクチュエータPSAを構成する。
本実施形態にかかる車両は、転舵アクチュエータPSAに加えて、主機回転電機としてのモータジェネレータ38と、モータジェネレータ38に電力を供給するインバータ40と、車輪に制動力を付与するブレーキアクチュエータ42とを備えている。
制御装置50は、電動機32のトルクを制御量とし、第1系統インバータ34および第2系統インバータ36を操作し、モータジェネレータ38のトルクを制御量としてインバータ40を操作し、また、車両の制動力を制御量としてブレーキアクチュエータ42を操作する。
上記各種アクチュエータの操作に際して、制御装置50は、各種センサの検出値を入力とする。これらセンサとしては、ステアリングシャフト14に加わるトルク(操舵トルクTrqs)を検出するトルクセンサ60や、電動機32の回転軸32aの回転角度θを検出する回転角度センサ62がある。また、第1系統インバータ34の出力線電流(電流iu1,iv1,iw1)を検出する電流センサ64や、第2系統インバータ36の出力線電流(電流iu2,iv2,iw2)を検出する電流センサ66がある。さらに、車両の走行速度(車速Vsp)を検出する車速センサ68や、アクセルペダル70の操作量ACCPを検出するアクセルセンサ72、ブレーキペダル74の操作量Brkを検出するブレーキセンサ76がある。また、制御装置50は、カメラ78から出力される車両の周囲の画像データや、ディスプレイ80に重ねて配置されるタッチパネル82の入力信号を取り込む。
制御装置50は、中央処理装置(CPU52)およびメモリ54を備えている。そして、制御装置50は、メモリ54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することによって、各種制御を実行する。すなわちCPU52は、アクセルペダル70の操作量ACCPに応じてインバータ40を操作することによってモータジェネレータ38のトルクを制御する。また、CPU52は、ブレーキペダル74の操作量Brkに応じてブレーキアクチュエータ42を操作することによって制動力を制御する。さらに、CPU52は、第1系統インバータ34および第2系統インバータ36を操作して、ステアリング10の操作に応じて操舵をアシストするアシスト制御を実行する。CPU52は、第1系統インバータ34および第1系統コイルSC1(以下、第1系統部分)と、第2系統インバータ36および第2系統コイルSC2(以下、第2系統部分)との双方に異常がない場合、第1系統部分および第2系統部分の双方を用いて電動機32のトルクを生成する。また、CPU52は、第1系統部分および第2系統部分の異常の有無の判定処理を実行する。
図2に、異常の有無の判定処理の手順を示す。図2に示す処理は、メモリ54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより実現される。図2に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。
図2に示す一連の処理において、CPU52は、まず、第1系統インバータ34および第2系統インバータ36を駆動しているときであるか否かを判定する(S10)。そして、CPU52は、駆動しているときであると判定する場合(S10:YES)、回転角度θから算出される電動機32の回転速度ωが所定速度ωth以上であるか否かを判定する(S12)。そしてCPU52は、所定速度ωth以上であると判定する場合(S12:YES)、「第1系統インバータ34の出力する電圧vu1,vv1,vw1の振幅が所定値以上であって且つ、電流iu1,iv1,iw1の少なくとも1つがゼロとなる」状態が所定期間継続するか否かを判定する(S14)。この処理は、第1系統部分の異常の有無を判定するための処理である。すなわち、第1系統部分が正常である場合、電圧vu1,vv1,vw1の振幅が所定値以上であるなら、第1系統コイルSC1に流れる電流が定常的にゼロとはならないと考えられる。そして、第1系統部分が正常である場合、回転速度ωが所定速度ωth以上であるなら、電流iu1,iv1,iw1のいずれか1つでも、定常的にゼロとなることはないと考えられる。CPU52は、所定期間継続すると判定する場合(S14:YES)、第1系統部分に異常があると判定する(S16)。
CPU52は、所定期間継続しないと判定する場合(S14:NO)、「第2系統インバータ36の出力する電圧vu2,vv2,vw2の振幅が所定値以上であって且つ、電流iu2,iv2,iw2の少なくとも1つがゼロとなる」状態が所定期間継続するか否かを判定する(S18)。この処理は、第2系統部分の異常の有無を判定するための処理である。CPU52は、所定期間継続すると判定する場合(S18:YES)、第2系統部分に異常があると判定する(S20)。
CPU52は、S10,S12,S18において否定判定する場合や、S16,S20の処理が完了する場合には、図2に示す一連の処理を一旦終了する。
本実施形態において、CPU52は、ユーザがステアリング10、アクセルペダル70およびブレーキペダル74を操作することなく、車両を目標駐車位置へと走行させる自動駐車処理を実行する。特に、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じる場合、他方のみを用いて自動駐車処理を実行する。
ここで、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じる場合、電動機32の出力が低下することに起因して、ステアリング10からトルクが入力されない状態で電動機32のトルクを用いて実現可能な転舵輪22の転舵角の大きさの最大値が小さくなる。以下、これについて説明する。なお、転舵角の大きさは、中立位置において最小となる。
図3に、転舵輪22の中立位置からのラック軸20の軸方向への変位量(ラックストローク)と、同ラックストロークとする際にラック軸20に加わる力(ラック軸力)との関係を示す。図3に示す曲線f1〜f4は、いずれもラックストロークとラック軸力との関係を示すものである。詳しくは、曲線f1は、車速Vspが極低速であって且つ転舵角速度が最大となるときの関係を示し、曲線f2は、車速Vspが極低速であって且つ転舵角速度が最大とゼロとの間の中間の速度となるときの関係を示す。また、曲線f3は、車速Vspが中速域から高速域であって且つ転舵角速度が最大となるときの関係を示し、曲線f4は、車速Vspが中速域から高速域であって且つ転舵角速度が最大とゼロとの間の中間の速度となるときの関係を示す。
図3に示すように、本実施形態では、ラックストロークに対してラック軸力が単調強増加する傾向を有する。換言すれば、転舵角の大きさを大きくするように転舵輪22を転舵させるのに必要な力が、転舵角の大きさが大きいほど大きくなる傾向を有する。これは、本実施形態にかかる車両のサスペンションジオメトリの設定等に起因したものである。
本実施形態において、自動駐車処理は、車速が中速域よりも低い領域において実行され、また、転舵角速度が中間の速度とされる。したがって、自動駐車処理を実行するときにおけるラックストロークに対するラック軸力の関係は、図3に示す曲線f2にて示される関係となる。この場合、第1系統部分および第2系統部分のいずれも正常である場合、電動機32の出力のみによってラックストロークを正常時最大ストロークY0とすることができる。これに対し、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じる場合、ラックストロークを正常時最大ストロークY0よりも小さい異常時最大ストロークY1以下とすることができるのみである。
図4に、自動駐車に関する処理の手順を示す。図4に示す処理は、メモリ54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより実現される。図4に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。
図4に示す一連の処理において、CPU52は、まず、目標駐車位置が指定されたか否かを判定する(S30)。この処理は、CPU52が、カメラ78の画像データに基づき、駐車候補周辺の画像をディスプレイ80に表示する処理をしていることを前提としている。ディスプレイ80の表示に基づき、ユーザがタッチパネル82にてディスプレイ80上に表示された駐車候補周辺の画像のうち特定の部分を指定すると、CPU52は、目標駐車位置が指定されたと判定する。
CPU52は、目標駐車位置が指定されたと判定する場合(S30:YES)、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常がある旨の判定がなされているか否かを判定する(S32)。そしてCPU52は、異常がある旨の判定がなされていない場合(S32:NO)、図3に示した正常時最大ストロークY0に対応する転舵角である正常時最大値θpLfを、自動駐車処理における転舵角の大きさの上限値θpLに代入する(S34)。一方、CPU52は、異常がある旨の判定がなされている場合(S32:YES)、図3に示した異常時最大ストロークY1に対応する転舵角である異常時最大値θpLhを、上限値θpLに代入する(S36)。
CPU52は、S34,S36の処理が完了する場合、車両の現在の位置から目標駐車位置までの車両の走行軌跡である目標走行軌跡を算出する(S38)。
図5(a)に、異常がある旨の判定がなされていない場合の目標走行軌跡を例示する。図5(a)に示す例は、駐車領域A1〜A3のうちの駐車領域A2が指定された例を示す。ここで、目標駐車位置とは、駐車領域A2からはみ出すことなく車両90が駐車した場合の車両90の位置のこととする。特に、図5(a)においては、説明の便宜上、車両90の幅方向の中央且つ車両90の後部の点の位置によって、目標駐車位置Ptrgを図示している。
図5(a)に示す目標走行軌跡は、右側への旋回を含んだ前進走行の後、左側への旋回を含んだ後退走行によって車両90を目標駐車位置まで走行させる軌跡の例である。本実施形態では、後退走行期間において旋回走行させるときには、転舵角速度を一定値としつつも途中で反転させ、目標駐車位置Ptrg付近において転舵輪22が直進方向となるようにする。このため、厳密には車両90の後退走行中に転舵角速度は一旦減速して符号が反転している。また、図5(a)に示す例では、前進走行から後退走行への切り替え位置Ptrnにおいて、転舵輪22が直進方向となるようにする。これは、前進走行時において転舵輪22の転舵角の大きさを大きくした後小さくしてゼロとすることで実現できる。また本実施形態では、前進走行期間においても旋回走行をするときには転舵角速度を一定値としつつ途中で反転させ、切り替え位置Ptrn付近において転舵角がゼロとなるようにする。
本実施形態にかかる目標走行軌跡の算出処理では、転舵角速度を反転させる期間における転舵角速度の変化は小さいとして無視する。また車両90が旋回している期間においては車速Vspを一定に制御することとする。この場合、車速Vspおよび転舵角速度が一定の場合の車両90の走行軌跡がクロソイド曲線にて近似できることに鑑みると、目標走行軌跡は、直線と、クロソイド曲線との組み合わせと見なせる。
目標走行軌跡の算出処理は、走行途中において車両90が物と接触することがないことを条件に実行される。特に、本実施形態では、隣接する駐車領域A1,A3に車両90が侵入することがないことを条件に実行される。このため、算出処理は、たとえば転舵輪が前輪の場合、車両90の前後左右の端点が描く曲線と、後輪の車軸における左右の端点が描く曲線とがともに駐車領域A1,A3に侵入しない走行軌跡を探索する処理となる。CPU52は、転舵角が上限値θpL以下となるような様々な長さのクロソイド曲線と、様々な長さの直線とを組み合わせて車両90の現在の位置と目標駐車位置とを結ぶ曲線を探索することによって目標走行軌跡を算出する。なお、この際、クロソイド曲線の曲率は、実現可能な範囲内の複数通りの転舵角速度と、実現可能な範囲の複数通りの車速とによって定まる複数通りの値としてもよい。
図5(b)に、異常がある旨の判定がなされている場合の目標走行軌跡を例示する。この場合も、CPU52は、転舵角が上限値θpL以下となるような様々な長さのクロソイド曲線と、様々な長さの直線とを組み合わせて車両90の現在の位置と目標駐車位置とを結ぶ曲線を探索することによって目標走行軌跡を算出する。ただし、図5(b)には、図4のS36において上限値θpLに正常時よりも小さい値が代入されていることに起因して、目標走行軌跡は図5(a)に示す例示するものと異なる例を示している。すなわち、図5(b)に示す目標走行軌跡は、図5(a)に示したものと比較すると、切り替え位置Ptrnと目標駐車位置Ptrgとの距離が長くなっている。なお、図5(b)に破線にて記載した車両90は、図5(a)の切り替え位置Ptrnにおけるものである。
図4に戻り、CPU52は、目標走行軌跡の算出処理が完了すると、自動駐車処理を実行する(S40)。ここでは、インバータ40の操作によって車速Vspを一定値に制御している期間において転舵角速度を一定値として車両を旋回させる。ただし、実際には、車両の実際の走行軌跡を目標走行軌跡にフィードバック制御するためのフィードバック操作量を電動機32のトルクとして、トルクを操作してもよい。この場合、自動駐車処理時の転舵角速度は、その極性を反転させるタイミング以外であっても変動しうる。また、図5に示した切り替え位置Ptrn付近や目標駐車位置Ptrg付近において転舵角をゼロとしつつ、ブレーキアクチュエータ42を操作することによって車両を減速させる。
なお、CPU52は、S40の処理が完了する場合や、S30において否定判定する場合には、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで本実施形態の作用を説明する。
CPU52は、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常があると判定している場合には、判定していない場合と比較して転舵角の大きさの上限値θpLをより小さい値としつつ、目標走行軌跡を探索する。これにより、CPU52は、異常時において自動駐車処理によって実際に実現できる走行軌跡を算出することができる。これに対し、CPU52により上限値θpLを正常時と同一としつつ目標走行軌跡を算出し、目標走行軌跡に沿って車両を走行させる場合には、図6(a)に示すように、車両90が駐車領域A2からはみ出し、駐車領域A3に侵入する。また、CPU52により上限値θpLを正常時と同一としつつ目標走行軌跡を算出し、目標走行軌跡に沿って車両を走行させる過程で、駐車領域A2に車両を駐車させることができないと判明する場合、図6(b)に示すように、車両90が目標駐車位置Ptrgに到達するまでの切り替えし回数が増加する。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する効果が得られる。
(1)駐車処理を、車速についても制御装置50が制御する自動駐車処理とした。これにより、目標走行軌跡に沿って車両を走行させるうえで、転舵角速度を目標走行軌跡の算出時に想定した値から大きくずらす必要が生じない。このため、目標走行軌跡の算出処理において、転舵角速度としてとりうる値を、マージンを持たせて低めの値に設定する制約が生じることを抑制することができ、ひいては、転舵アクチュエータPSAによって実現可能な範囲で最適な目標走行軌跡を算出することができる。
(2)右側および左側のうちのいずれか一方側への旋回を含んだ前進走行の後、右側および左側のうちの他方側への旋回を含んだ後退走行によって目標駐車位置Ptrgに駐車するとき、異常がある旨判定されている場合に異常がある旨判定されていない場合と比較して、切り替え位置Ptrnと目標駐車位置Ptrgとの距離を長くした。これにより、切り返し回数を増加させることなく車両90を目標駐車位置Ptrgに駐車させることができる。
(3)転舵輪22の転舵角がゼロよりも大きい領域において、転舵角の大きさが大きいほど転舵に必要な力が大きくなる傾向を有するものを用いた。この場合、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常がある場合にはない場合と比較して、実現可能な転舵角の範囲が小さくなりやすい。このため、異常の有無によって上限値θpLを変更する処理の利用価値が特に大きい。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じる場合、自動駐車処理に代えて、ユーザがステアリング10に入力するトルクと、電動機32のトルクとの協働で操舵を行う駐車支援処理を実行する。
図7に、本実施形態にかかる駐車処理の手順を示す。図7に示す処理は、メモリ54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより実現される。図7に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図7において、図4に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図7に示す一連の処理において、CPU52は、異常がある旨判定する場合(S32:YES)、上限値θpLに、異常時最大値θpLhよりも大きいアシスト時最大値θpLhhを代入する(S36a)。アシスト時最大値θpLhhは、電動機32のトルクと、ステアリング10から入力されるトルクとの協働で実現可能な転舵角の大きさの最大値である。ここで、ステアリング10から入力されるトルクは、たとえば、標準的な人よりもやや力が弱い人がステアリング10に入力できるトルクとすればよい。
CPU52は、アシスト時最大値θpLhhを上限値θpLに代入すると、上限値θpLに基づき、目標走行軌跡を算出する(S38a)。そしてCPU52は、目標走行軌跡を算出すると、駐車支援処理を実行する(S40a)。ここでは、右旋回または左旋回するタイミングにおいて、CPU52は、図1に示したスピーカ84から音声案内によってユーザにステアリング10を右側または左側に操作するように案内する。また、この際、CPU52は、ステアリング10に加えるトルクの大きさが不足している場合には、力を加えるように案内し、過剰である場合には、力を弱めるように案内する。また、CPU52は、転舵角の過不足に応じてこれを正すように電動機32のトルクを制御する。また、車両が目標走行軌跡からずれる場合、電動機32のトルクのみならず、車速を操作量として、車両の走行軌跡が目標走行軌跡となるように制御してもよい。
なお、CPU52は、S40aの処理が完了する場合、図7に示す一連の処理を一旦終了する。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、車両を駐車させる際に、車速についてはユーザによるアクセルペダル70やブレーキペダル74の操作にゆだね、転舵輪22の転舵制御を自動化する駐車支援処理を実行する。ただし、この駐車支援処理においては、車速に上限値を設けている。
図8に、本実施形態にかかる駐車処理の手順を示す。図8に示す処理は、メモリ54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することにより実現される。図8に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図8において、図4に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図8に示す一連の処理において、CPU52は、S34の処理が完了する場合、目標走行軌跡を算出する(S38b)。S38bの処理においては、目標走行軌跡を、実現可能な操舵速度において、車速が正常時用の上限値以下とされる場合に実現可能な走行軌跡とする。そしてCPU52は、S38bの処理が完了する場合、駐車支援処理を実行する(S44)。ここでは、車両が目標走行軌跡に沿って走行するように電動機32のトルクを操作する。なお、車速が上限値を超えそうになる場合、アクセルペダル70の操作量ACCPの増加にかかわらずモータジェネレータ38の出力を制限して車速が上限値を超えないように制御する。
一方、CPU52は、S36の処理が完了する場合、目標走行軌跡を算出する(S38c)。S38cの処理においては、目標走行軌跡を、実現可能な操舵速度において、車速が異常時用の上限値以下とされる場合に実現可能な走行軌跡とする。ここで、異常時用の上限値は、正常時用の上限値よりも低速度の値とされる。これは、転舵角速度が同一である場合、車速が大きいほど旋回時の曲率が小さくなることに鑑みたものである。そしてCPU52は、S38cの処理が完了する場合、駐車支援処理を実行する(S46)。ここでは、車両が目標走行軌跡に沿って走行するように電動機32のトルクを操作する。なお、車速が上限値を超えそうになる場合、アクセルペダル70の操作量ACCPの増加にかかわらずモータジェネレータ38の出力を制限して車速が上限値を超えないように制御する。
なお、CPU52は、S44,S46の処理が完了する場合、図8に示す一連の処理を一旦終了する。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。なお、以下において、「メモリ54に記憶されたプログラムに従って所定の処理を実行するCPU52」のことを、記載を簡素化するために、「所定の処理を実行するCPU52」と記載する。
1.駐車制御装置は、制御装置50に対応し、異常判定処理は、図2の処理に対応し、目標走行軌跡算出処理は、図4のS32〜S38の処理、図7のS32,S34,S36a,S38,S38aの処理、図8のS32〜S36,S38b,S38cの処理に対応する。駐車処理は、図4のS40の処理、図7のS40,S40aの処理および図8の44,S46の処理に対応する。
2.図4のS40の処理、および図8のS44,S46の処理に対応する。
3.軌跡算出処理は、S36a,S38aの処理に対応し、駐車処理は、S40aの処理に対応する。
4.駐車処理は、S44,S46の処理に対応する。
5.異常がある旨判定されているときの駐車処理は、図5(b)に示した目標走行軌跡に従って車両を走行させる処理に対応し、異常がある旨判定されていないときの駐車処理は、図5(a)に示した目標走行軌跡に従って車両を走行させる処理に対応する。
6.転舵輪を転舵させるために必要な力は、図3に示したものに対応する。
7.第1系統回路は、第1系統インバータ34に対応し、第2系統回路は、第2系統インバータ36に対応する。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
・「軌跡算出処理について」
車速および転舵角速度を一定として右旋回または左旋回させる走行軌跡と、直進走行軌跡と、を組み合わせて得られる目標走行軌跡を算出する処理に限らない。たとえば、転舵角が中立位置以外の所定角度に固定された状態が継続される場合の走行軌跡と、直進走行軌跡と、を組み合わせて得られる目標走行軌跡を算出する処理であってもよい。またたとえば、転舵角が中立位置以外の所定角度に固定された状態が継続される場合の走行軌跡と、車速および転舵角速度を一定として右旋回または左旋回させる走行軌跡と、直進走行軌跡と、を組み合わせて得られる目標走行軌跡を算出する処理であってもよい。
上記実施形態では、車速がゼロでないときに限って転舵輪を転舵させる制約の下で目標走行軌跡を算出したが、これに限らない。たとえば据え切りを行った後に車両を走行させる場合の軌跡を算出するものであってもよい。
正常時に図5(a)の走行軌跡を算出する場合において、第1系統および第2系統のいずれか一方に異常があるときに図5(b)に例示する走行軌跡を算出することは必須ではない。換言すれば、右側および左側のうちのいずれか一方側への旋回を含んだ前進走行の後、右側および左側のうちの他方側への旋回を含んだ後退走行によって目標駐車位置に駐車する目標走行軌跡を算出することは必須ではない。たとえば、転舵角の極性が反転する回数を増加させた目標走行軌跡を算出するものであってもよい。ちなみに、反転する回数を増加させて目標走行軌跡を算出する処理は、図5(b)に例示する走行軌跡によっては、車両が物に接触する場合に特に有効である。
軌跡算出処理としては、目標駐車位置と現在の車両の位置と、周囲の画像データとに基づき、車両が物に接触することなく目標駐車位置に到達する目標走行軌跡を探索するものに限らない。たとえば、第1系統および第2系統のいずれか一方に異常があるときと、正常時とのそれぞれについて、複数の目標走行軌跡のデータを予め記憶しておき、それらのいずれかを選択する処理としてもよい。この際、選択された目標走行軌跡の始点と車両の現在の位置とにずれがある場合、車両を前進走行または後退走行させたり、わずかに右旋回または左旋回させつつ車両を前進走行または後退走行させたりすることによって、車両を始点に到達させた後、選択された目標走行軌跡に沿って車両を走行させればよい。
・「異常判定処理について」
回転速度ωが所定速度ωth以上であって且つ第1系統インバータ34の出力線電圧(電圧vu1,vv1,vw1)の振幅が所定値以上であるときに電流iu1,iv1,iw1の少なくとも1つが所定期間ゼロとなる場合に、第1系統インバータ34および第1系統コイルSC1の少なくとも一方に異常があると判定するものに限らない。たとえば、第1系統インバータ34の出力端子と第1系統コイルSC1との間の配線の電位に基づき、異常の有無を判定してもよい。具体的には、たとえば電動機32が駆動されていないときに第1系統インバータ34の上側アームのスイッチング素子を閉状態とし、そのときの上記電位の検出値とバッテリの正極電位との差が所定値以上である場合に、異常があると判定してもよい。
回転速度ωが所定速度ωth以上であって且つ第2系統インバータ36の出力線電圧(電圧vu2,vv2,vw2)の振幅が所定値以上であるときに電流iu2,iv2,iw2の少なくとも1つが所定期間ゼロとなる場合に、第2系統インバータ36および第2系統コイルSC2の少なくとも一方に異常があると判定するものに限らない。たとえば、第2系統インバータ36の出力端子と第2系統コイルSC2との間の配線の電位に基づき、異常の有無を判定してもよい。
・「車速の上限値の制限について」
上記第3の実施形態では、アクセルペダル70の操作量ACCPの大きさにかかわらず車速を制限する処理によって、駐車支援処理時における車速の上限値を制限したが、これに限らない。たとえば、車速が上限値を超える場合、駐車支援処理を中止することによって、駐車支援処理時の車速の上限値を制限してもよい。
・「駐車支援処理について」
上記第2の実施形態では、車速を自動制御したが、これに限らず、ユーザによるアクセルペダル70の操作およびブレーキペダル74の操作にゆだねてもよい。ただし、この場合、上記第3の実施形態のように車速の上限値を制限することが望ましい。
・「転舵輪を転舵させるのに必要な力について」
図2に例示したように、転舵角の大きさが大きくなるほど、転舵角を維持するために必要な力が大きくなるものに限らない。たとえば、転舵角の大きさが最小値であるゼロと最大値との間の中央値未満では一定の領域を有するものであってもよい。またたとえば、サスペンションジオメトリの設定等によって、転舵角の大きさが最大値に対する10〜80%の領域においては、転舵輪を転舵させる力が一定とされたものであってもよい。この場合であっても、転舵角が大きい場合に小さい場合よりも転舵角を維持するための力が大きくなる領域があるため、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じた場合に他方のみを用いて駐車処理を実行する場合に利用可能な転舵角の大きさが、正常時よりも小さくなりうる。このため、上記実施形態やそれらの変形例の要領で駐車処理を実行することが有効である。
・「電動機について」
同期電動機に限らず、たとえばブラシ付き電動機であってもよく、また誘導機であってもよい。
・「第1系統部分および第2系統部分について」
上記実施形態では、電動機32のうちロータ32bや回転軸32aについては、第1系統コイルSC1および第2系統コイルSC2で共有としたが、これに限らない。たとえば、第1系統コイルSC1と第2系統コイルSC2とのそれぞれに各別のロータ等を割り振って、2つの独立した電動機である第1系統電動機および第2系統電動機を備えるものであってもよい。
第1系統部分および第2系統部分が、互いに独立なステータコイルを備えることも必須ではない。たとえば油圧式の転舵アクチュエータを備えるものにおいて、第1系統のパワーシリンダと第2系統のパワーシリンダを備え、それらに供給されるオイルの圧力を高める手段を、単一の主機回転電機とするものであってもよい。
・「異常時における上限値の設定について」
上記実施形態では、第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方に異常が生じる場合、他方による最大出力を、第1系統部分および第2系統部分の双方による最大出力の「1/2」とし、これに基づき上限値θpLを設定したが、これに限らない。たとえば、異常が生じる前に予め他方の最大出力を学習しておくなら、これに基づき上限値θpLを設定することもできる。これは、路面の摩擦係数(路面μ)の情報を取得しておくことで、たとえば次のようにして実行することができる。すなわち、異常が生じていないときに自動駐車処理を行うに際し、敢えて第1系統部分および第2系統部分のいずれか一方のみを用いてラックストロークが異常時最大ストロークY1を超える値に対応する転舵角に制御することを試み、実際に実現可能となった最大の転舵角を、最大出力を示す学習値として学習することで実行できる。
・「電力変換回路について」
直流電圧源の正極および負極と電動機の端子とを選択的に接続するスイッチング素子を備えるものに限らない。たとえば、電動機の各端子毎に、直流電圧源の端子電圧の昇圧および降圧ができる昇降圧回路を備えるものであってもよい。この場合、昇降圧を周期的に実行することにより電動機の各端子に交流電圧を印加することができるため、電動機がブラシレス電動機である場合に特に有効である。
・「転舵アクチュエータについて」
互いに独立に転舵輪22を転舵させる動力を生成可能な第1系統部分および第2系統部分からなるものに限らず、たとえばさらに第3系統部分を備えてもよい。
・「操舵装置について」
ステアリング10が転舵輪22に機械的に連結されたものに限らず、たとえばステアバイワイヤシステムを構成するものであってもよい。この場合であっても、上記第1および第3の実施形態やそれらの変形例を適用することは有効である。もっとも、たとえばフェールセーフ用にステアリング10と転舵輪22との間の機械的な連結を可能とするクラッチを備えるものである場合、クラッチを締結状態としつつ第2の実施形態やその変形例を適用することもできる。
・「駐車制御装置について」
駐車制御装置としては、CPU52とメモリ54とを備えて、ソフトウェア処理のみを実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、専用のハードウェア(たとえば、ASIC)にて処理してもよい。
・「そのほか」
主機回転電機としては、モータジェネレータ38に限らず、たとえば内燃機関であってもよい。
10…ステアリング、14…ステアリングシャフト、14a…シャフト歯、20…ラック軸、22…転舵輪、24…第1ラックアンドピニオン機構、24a…第1ラック歯、26…第2ラックアンドピニオン機構、26a…第2ラック歯、28…ピニオン軸、28a…ピニオン歯、30…減速機構、32…電動機、32a…回転軸、32b…ロータ、34…第1系統インバータ、36…第2系統インバータ、38…モータジェネレータ、40…インバータ、42…ブレーキアクチュエータ、50…制御装置、52…CPU、54…メモリ、60…トルクセンサ、62…回転角度センサ、64,66…電流センサ、68…車速センサ、70…アクセルペダル、72…アクセルセンサ、74…ブレーキペダル、76…ブレーキセンサ、78…カメラ、80…ディスプレイ、82…タッチパネル、84…スピーカ、90…車両。

Claims (7)

  1. 互いに独立に転舵輪を転舵させる動力を生成可能な第1系統部分および第2系統部分を備えた転舵アクチュエータを操作対象とし、
    車両を目標駐車位置に駐車させるための前記車両の目標走行軌跡を算出する軌跡算出処理と、
    前記車両を前記目標走行軌跡に沿って走行させるために前記転舵アクチュエータを操作する駐車処理と、
    前記第1系統部分および前記第2系統部分のうちのいずれか一方に異常が生じるか否かを判定する異常判定処理と、を実行し、
    前記軌跡算出処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されていることを条件に、異常がある旨判定されていない場合と比較して、前記転舵輪の転舵角の大きさの上限値を小さくしつつ前記目標走行軌跡を算出する処理を含む駐車制御装置。
  2. 前記駐車処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されている場合、前記転舵アクチュエータ単独で前記転舵輪を転舵させることによって前記車両を前記目標走行軌跡に沿って走行させる処理を含む請求項1記載の駐車制御装置。
  3. 前記転舵輪には、ステアリングに入力されるトルクが伝達可能とされており、
    前記軌跡算出処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されていることを条件に、前記ステアリングに入力されるトルクの想定値と前記第1系統部分および前記第2系統部分のうちの他方の駆動によって生成されるトルクとの合計のトルクによって実現可能な前記転舵角の最大値を上限値としつつ、前記目標走行軌跡を算出し、
    前記駐車処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されている場合、前記車両を前記目標走行軌跡に沿って走行させるうえで必要な前記ステアリングの操舵を教示しつつ前記転舵アクチュエータを操作する処理を含む請求項1記載の駐車制御装置。
  4. 前記駐車処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されている場合、前記車両の走行速度についてはユーザが制御することによって前記車両を前記目標走行軌跡に沿って走行させる支援処理を含み、
    該支援処理は、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されている場合、異常があると判定されていない場合と比較して、前記車両の走行速度の上限値を低い値に制限する処理を含む請求項2または3記載の駐車制御装置。
  5. 前記駐車処理は、右側および左側のうちのいずれか一方側への旋回を含んだ前進走行の後、前記右側および左側のうちの他方側への旋回を含んだ後退走行によって前記車両を前記目標駐車位置に駐車するとき、前記異常判定処理によって異常がある旨判定されていることを条件に、異常がある旨判定されていない場合と比較して、前記車両を前進走行から後退走行に切り替える際の前記車両の位置である切り替え位置と前記目標駐車位置との距離を長くする処理を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の駐車制御装置。
  6. 前記転舵角の大きさを大きくするように前記転舵輪を転舵させるのに必要な力は、前記転舵角の大きさが最小値と最大値との中央以上の大きさである領域において、前記転舵角の大きさが大きいほど大きくなる傾向を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の駐車制御装置。
  7. 前記転舵アクチュエータは、電動機と前記電動機に電力を供給する電力変換回路と、を備え、
    前記第1系統部分は、前記電動機のステータコイルである第1系統コイルと、前記第1系統コイルに電力を供給する前記電力変換回路としての第1系統回路と、を備え、
    前記第2系統部分は、前記電動機のステータコイルである第2系統コイルと、前記第2系統コイルに電力を供給する前記電力変換回路としての第2系統回路と、を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の駐車制御装置。
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