JP2018025539A - 車両試験システム、車両試験システム用プログラム、車両試験方法、及び走行抵抗設定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両V又はその一部の性能を試験する車両試験システム100において、車両V又はその一部に負荷を与えるダイナモメータ1と、路上を走行する実走行車両V’から実走行データを取得する実走行データ取得部61と、実走行データに基づいて車両V又はその一部の性能試験に用いる走行抵抗を算出する走行抵抗算出部62、41と、走行抵抗をダイナモメータ1に設定する走行抵抗データ設定部43と、ダイナモメータ1に設定される前に、走行抵抗をユーザに視認可能に出力する出力部44とを備えるようにした。
【選択図】図2
Description
なお、ここでいう性能試験に用いる走行抵抗とは、実走行車両に加わる実走行抵抗から算出される目標走行抵抗の値や、この目標走行抵抗を表す算出式や、この算出式に用いられる係数などを含む概念である。
そのうえ、ダイナモメータに設定される走行抵抗をユーザが確認することができ、確認した走行抵抗がダイナモメータの設定値として不適切であれば、その試験を中断するなどして無駄な試験を行なわずに済む。
このような構成であれば、実走行時の環境をユーザが確認することができ、例えば実走行時の環境が通常とは大きく異なる場合などは、その実走行から得られた走行抵抗の使用を避け、ダイナモメータに不適切な走行抵抗が設定されることを防ぐことができる。
このような構成であれば、ダイナモメータにおいて走行抵抗を算出させることで、走行抵抗算出部により算出された走行抵抗を用いた試験を再現することができる。
そこで、走行抵抗の測定を公平に行なうためには、前記実走行車両の走行時にドライバーに対して、前記所定の規則に従って走行させるためのガイダンスをするガイダンス部をさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、ドライバーは同じ手順や同じ条件で車両を実走行させることができ、走行抵抗を公平に測定することができる。
以下、性能試験に用いる実走行抵抗Fや目標走行抵抗F0を算出する方法の一例として、TRIAS(Trafic Safety and Nuisance Research Institute’s Automobile Type Approval Test Standard)に規定される以下の算出式(1)〜(5)に基づいて、各指定速度における実走行抵抗Fや目標走行抵抗F0を算出する方法について説明する。
なお、例えば各国で定められているSAEやGTR等の他の規格で定められている式に基づいて実走行抵抗Fや目標走行抵抗F0を算出しても良い。
本実施形態では、いわゆる惰行法を用いて実走行抵抗Fを算出するようにしており、試験路を走行させた実走行車両V’から得られる実走行データに基づいて例えば20km/h、30km/h、40km/h、50km/h、60km/h、70km/h、80km/h、及び90km/hそれぞれの車速(以下、指定速度ともいう)における実走行抵抗Fを算出する。
各指定速度における惰行時間の測定は、往路及び復路をそれぞれ3回行なうものとし、その平均値を求める。
F:各指定速度における実走行抵抗
W:実走行車両V’の重量
W4:実走行車両V’の回転部分の相当慣性重量
t:各指定速度における平均惰行時間
実走行データは、実走行車両V’の走行により得られるデータである。本実施形態では、実走行データ測定計S1として、少なくとも速度計及び時間計(タイマー)を用いて、実走行データとして車両速度及び走行時間を測定している。
環境データは、実走行車両V’の走行時における走行環境を示すデータである。本実施形態では、環境データ測定計S2として、少なくとも大気圧計、温度計、風向風速計を用いて、環境データとして大気圧、気温、風向、及び風速を測定している。なお、環境データ測定計S2に関しては、一部又は全部を試験路に設けても良い。また、上記に挙げた環境データ測定計S2を全て用いる必要はなく、少なくとも1つ用いれば良い。
なお、請求項でいう走行抵抗算出部は、上述した実走行抵抗算出部62としての機能と、目標走行抵抗算出部41としての機能とを備えた概念である。
具体的な算出方法は惰行法により定められており、算出式(1)により算出された各速度毎の実走行抵抗Fをもとに、最小二乗法により実走行抵抗Fを車速をパラメータとした関数として表す。この関数は、下記に示されるものであり、実走行抵抗Fを車速の二乗で表したものである。
F:実走行抵抗
a:ころがり抵抗に相当する値
b:空気抵抗係数に相当する値
V:車速
F0:目標走行抵抗
a0:標準大気状態におけるころがり抵抗に相当する値
b0:標準大気状態における空気抵抗係数に相当する値
v:試験路に平行な風速成分の平均値
Te:試験路における平均温度
P:試験路における平均大気圧
なお、本実施形態の管理装置4及び情報処理装置6は、実走行抵抗Fや目標走行抵抗F0を外部から編集可能にするインターフェースを備えておらず、実走行抵抗Fや目標走行抵抗F0のユーザによる編集を不可能にしている。これにより、排ガス分析や燃費測定等における不正を防いでいる。
具体的には、例えば関数(5)で求めた目標走行抵抗F0の一覧から適切なものを一つ選択しても良いし(例えば目標走行抵抗F0の値が最も大きくなる或いは最も小さくなる係数a0、係数b0を選択する)、複数の算出結果の平均値を選択できるようにしてもよい。その際に、いくつかの特異な算出結果を除外してから平均値を算出するようにしてもよい。
そこで、本実施形態では、実走行車両V’に搭載されている情報処理装置6が、CPUやその周辺機器が協働することによって、図2に示すように、判断部63及びガイダンス部64としての機能をさらに発揮するように構成されている。
ハンドル操作が行なわれたり何らかの理由で計測が中断されたりして、判断部63が直線路を実走行していないと判断すると、ガイダンス部64は実走行車両V’が周回路を走行していることを示す「周回路走行中」というメッセージを表示する(S11)。このとき、ガイダンス部64は、次の直線路に至る際に必要な目標指定速度を表示する(S12)。より詳細に説明すると、例えば実走行車両V’が直線路から周回路に移行したときの車速が57km/hであったとすると、65km/hから55km/hまでの惰行時間を必要とする60km/hにおける実走行抵抗Fを算出することができない。そこで、ガイダンス部64は「車速を65km/h以上に加速」というメッセージを表示し、ドライバーは65km/hを目指す。
一方、最小指定速度における惰行時間の測定が完了すると、ガイダンス部64は「惰行時間測定完了」というメッセージを表示する(S16)。
なお、復路における測定時には、ガイダンス部64は「復路測定実施」というメッセージを表示する(S18)。
風速差が許容範囲を超えている場合は、ガイダンス部64が再計測を促すメッセージを表示し(S20)、ステップS2に戻る。
惰行時間差が許容範囲を超えている場合は、ガイダンス部64が再計測を促すメッセージを表示し(S20)、ステップS2に戻る。
一方、出力部44により表示された目標走行抵抗F0が、設定値として不適切であると判断した場合は、ユーザは管理装置4に再計測するための指示を入力することができる。
管理装置4は、再計測の指示を受けているかを判断し(S31)、指示を受けた場合は実走行車両V’の情報処理装置6にその指示を送信する。そうすると、前記ガイダンス部64が、再計測を促すメッセージを表示し(S32)、ステップS2に戻る。
なお、ユーザは表示された目標走行抵抗F0が設定値として適切でないと判断した場合に、再計測をすることなく、測定を中断しても構わない(S33)。
そのうえで、出力部44がダイナモメータ1に設定される目標走行抵抗F0を表示するので、この値をユーザが確認することができ、確認した値が不適切であれば、その試験を中断したり再試験したりすることができ、無駄な試験を行なわずに済む。
具体的に受付部45は、目標走行抵抗算出部41により算出された複数の目標走行抵抗F0を例えばタッチパネルなどのディスプレイに表示して、これらの中からユーザにより選択されたものを受け付けて走行抵抗データ設定部43に送信する。
また、目標走行抵抗F0を算出すべく例えばシャシダイナモメータに環境データの値を入力する必要がある場合には、上述したように出力部44が環境データを示す値を出力する構成であると有利である。
さらに、ダイナモメータに設定される目標走行抵抗F0が適切であるかを確認できるようにするためには、出力部44が、目標走行抵抗F0の算出に用いた実走行データを目標走行抵抗F0とともに出力するように構成されていても良い。
このフィルタリング部46は、環境データ測定計S2から環境データを受け取るか、或いは、実走行データ取得部61により取得された環境データを受け取り、この環境データの値が予め定められている範囲外である場合に、その環境データを用いて算出された目標走行抵抗F0をメモリから削除するなどしてフィルタリングする。
所定の環境条件の一例としては、TRIASに定められた風速の数値範囲であり、試験路に平行な風速成分が平均5m/s以下、試験路に垂直な風速成分が平均2m/s以下という条件が挙げられる。
なお、フィルタフィング部46は、選択部42により自動的に選択された目標走行抵抗F0をフィルタリングしても良いし、実走行抵抗算出部62により算出された実走行抵抗Fをフィルタリングしても良いし、図7に示される実施例においては、受付部45が受け付けた目標走行抵抗F0をフィルタリングしても良い。
より具体的に説明すると、上述した各データは、実走行抵抗算出部62による実走行抵抗Fの算出や目標走行抵抗算出部41による目標走行抵抗F0の算出に用いられるデータであり、前記走行抵抗データ設定部43は、これらのデータを実走行抵抗算出部62や目標走行抵抗算出部41から取得して、ダイナモ制御装置1aに設定する。なお、ここでいうダイナモメータへの設定とは、データがシャシダイナモメータ1又はダイナモ制御装置1aに入力された状態のことであり、必ずしも入力されたデータを使用しなければいけないというわけではない。このことは、前記実施形態についても同様である。また、実走行抵抗Fや目標走行抵抗F0と、これらの算出に用いられる実走行データやこの実走行データ取得時の環境データとを紐付けてメモリに記憶させておくことが好ましく、メモリはダイナモ制御装置1a、管理装置4、情報処理装置6、又は外部サーバ等に備えておけば良い。
この構成により、ダイナモ制御装置1aにおいて、実走行抵抗Fや目標走行抵抗F0を算出することが可能となり、設定された目標走行抵抗F0が正確か否かを検証することができる。
1 ・・・シャシダイナモメータ
41 ・・・目標走行抵抗算出部
42 ・・・選択部
43 ・・・走行抵抗データ設定部
44 ・・・出力部
61 ・・・実走行データ取得部
62 ・・・実走行抵抗算出部
Claims (12)
- 車両又はその一部の性能を試験する車両試験システムにおいて、
前記車両又はその一部に負荷を与えるダイナモメータと、
路上を走行する実走行車両から実走行データを取得する実走行データ取得部と、
前記実走行データに基づいて前記車両又はその一部の性能試験に用いる走行抵抗を算出する走行抵抗算出部と、
前記走行抵抗を前記ダイナモメータに設定する走行抵抗データ設定部と、
前記ダイナモメータに設定される前に、前記走行抵抗をユーザに視認可能に出力する出力部とを備える車両試験システム。 - 前記ダイナモメータに設定される前の前記走行抵抗を前記ユーザが編集できないように構成されている請求項1記載の車両試験システム。
- 前記走行抵抗が、所定の規則に従って算出される値であり、
前記所定の規則に従って算出された複数の走行抵抗のうち、ユーザにより選択された1つ又は複数の値を受け付ける受付部をさらに備え、
前記走行抵抗データ設定部が、前記受付部により受け付けられた走行抵抗を前記ダイナモメータに設定する請求項1又は2記載の車両試験システム。 - 前記走行抵抗が、所定の規則に従って算出される値であり、
前記所定の規則に従って算出された複数の走行抵抗のうち、所定の条件を満たす1つ又は複数の走行抵抗を自動的に選択する選択部をさらに備えており、
前記走行抵抗データ設定部が、前記選択部により選択された走行抵抗を前記ダイナモメータに設定する請求項1又は2記載の車両試験システム。 - 実走行データ取得時の環境データが所定の環境条件を満たさない場合に、前記走行抵抗算出部により算出された走行抵抗を前記走行抵抗データ設定部による設定から除外するフィルタリング部をさらに備えている請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の車両試験システム。
- 前記走行抵抗データ設定部が、実走行データ取得時の環境データを、前記走行抵抗とともに前記ダイナモメータに設定する請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の車両試験システム。
- 前記走行抵抗データ設定部が、前記実走行車両の車両重量、前記実走行車両の車両慣性重量、又は実走行における惰行時間の少なくとも何れかを、前記走行抵抗とともに前記ダイナモメータに設定する請求項1乃至6のうち何れか一項に記載の車両試験システム。
- 前記実走行車両の走行時にドライバーに対して、前記所定の規則に従って走行させるためのガイダンスをするガイダンス部をさらに備える請求項3又は4のうち何れか一項に記載の車両試験システム。
- 前記ガイダンス部は、実走行データ取得時の環境データが所定の条件を満たさない場合に、試験の中断又は再計測を促すガイダンスをする請求項8記載の車両試験システム。
- 車両又はその一部に負荷を与えるダイナモメータを備えた車両試験システムに用いられる車両試験システム用プログラムにおいて、
路上を走行する実走行車両から実走行データを取得する実走行データ取得部と、
前記実走行データに基づいて前記車両又はその一部の性能試験に用いる走行抵抗を算出する走行抵抗算出部と、
前記走行抵抗を前記ダイナモメータに設定する走行抵抗データ設定部と、
前記ダイナモメータに設定される前に、前記走行抵抗をユーザに視認可能に出力する出力部としての機能をコンピュータに発揮させる車両試験システム用プログラム。 - 車両又はその一部に負荷を与えるダイナモメータを備えた車両試験システムに用いて前記車両又はその一部の性能を試験する車両試験方法において、
路上を走行する実走行車両から取得された実走行データに基づいて前記車両又はその一部の性能試験に用いる走行抵抗を算出する走行抵抗算出ステップと、
前記走行抵抗を前記ダイナモメータに設定する走行抵抗データ設定ステップと、
前記走行抵抗データ設定ステップの前に、前記走行抵抗をユーザに視認可能に出力する出力ステップとを備える車両試験方法。 - 車両又はその一部に負荷を与えるダイナモメータに走行抵抗を設定する走行抵抗設定装置において、
路上を走行する実走行車両から取得された実走行データに基づいて前記車両又はその一部の性能試験に用いる走行抵抗を算出する走行抵抗算出部と、
前記走行抵抗を前記ダイナモメータに設定する走行抵抗データ設定部と、
前記ダイナモメータに設定される前に、前記走行抵抗をユーザに視認可能に出力する出力部とを備える走行抵抗設定装置。
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