JP2018025102A - レーザクラッドバルブシートの製造方法 - Google Patents

レーザクラッドバルブシートの製造方法 Download PDF

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悠佑 大石
弘樹 金森
Hiroki Kanamori
弘樹 金森
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Akio Sato
彰生 佐藤
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Kohei Yanaka
耕平 谷中
信吾 岩谷
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Abstract

【課題】溶剤の使用量を低減するとともに、バルブシート形成部への油分の再付着を抑えつつ、バルブシート形成部の鋳造欠陥に含浸した油分を除去する。
【解決手段】シリンダーヘッド10のバルブシート形成部11a,11b,…に肉盛層からなるバルブシートを形成するレーザクラッド工程を含むレーザクラッドバルブシートの製造方法である。レーザクラッド工程の前に、溶剤を用いて、バルブシート形成部11a,11b,…を洗浄する溶剤洗浄工程を含んでいる。溶剤洗浄工程では、吸気側バルブシート形成部11aにおける排気側バルブシート形成部11bに近い部位、または、排気側バルブシート形成部11bにおける吸気側バルブシート形成部11aに近い部位に溶剤を吹き付けるとともに、溶剤を吹き付けている第1気筒11と、これに隣接する第2気筒12との間に、溶剤の飛散を防止する飛散防止カバー3を配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、バルブシートの製造方法に関し、特に、レーザビームを照射してバルブシート形成部に肉盛層を形成する工程の前に、バルブシート形成部を洗浄する工程を含む、レーザクラッドバルブシートの製造方法に関するものである。
従来から、シリンダーヘッドのバルブシート形成部に、金属粉末を供給しながらレーザビームを照射し、該金属粉末を溶融固化させて形成される肉盛層(クラッド)によって構成されるレーザクラッドバルブシートが知られている。シリンダーヘッドのバルブシート部は、バルブが繰り返し当接したり、高温に晒されたりするため、軽量化等の観点からシリンダーヘッドをアルミニウム合金製とした場合には摩耗や溶損の発生が懸念されるが、かかるレーザクラッドバルブシートを設けることにより、シリンダーヘッドにおける摩耗や溶損の発生を抑えることができる。
このようなレーザクラッドバルブシートの製造方法では、シリンダーヘッドの基材であるアルミニウム合金の切削加工を行った後、切粉を剥離するべくシリンダーヘッドを洗浄し(切粉洗浄)、レーザビームを照射してシリンダーヘッドに付着した汚れや油分を除去(レーザクリーニング)した後、レーザビームを照射して肉盛層の形成(レーザクラッド加工)を行うことが多い。
しかしながら、切粉の剥離を主眼とする切粉洗浄では水溶性洗浄液を用いるため、油分に対しては好適ではなく、シリンダーヘッドにおけるバルブシート形成部の表面の鋳造欠陥(微小酸化膜、空孔など)に含浸したクーラント油(切削油)を除去しきれないという問題がある。そうして、バルブシート形成部の表面に油分が残ったままの状態でレーザクラッド加工を行うと、油分がガス化して溶融金属粉末の固化の途中に放出されることで、肉盛層にピンホール欠陥が発生するおそれがある。
そこで、例えば特許文献1には、油状物質を溶解可能な溶剤に部品を浸漬し、圧力サイクルを行った後、部品を水で洗浄し、アルカリ性石鹸と水の溶液に部品を浸漬し、圧力サイクルを行った後、部品を水で洗浄し、アミンと水の混合物に部品を浸漬し、圧力サイクルを行った後、部品を乾燥する、多孔性の部品から油状物質を除去する方法が開示されている。
特開平3−94083号公報
しかしながら、上記特許文献1のものでは、部品(シリンダーヘッド)を溶剤に浸漬することから、大量の溶剤を用いることになるため、製造コストが嵩むという問題がある。また、溶剤がきれいなうちは、シリンダーヘッドから油状物質を除去することができても、シリンダーヘッドの浸漬を繰り返すにつれて徐々に溶剤中の油分が増えると、シリンダーヘッドを溶剤に浸漬した際に油分がバルブシート形成部に再付着するという問題もある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶剤の使用量を低減するとともに、バルブシート形成部への油分の再付着を抑えつつ、バルブシート形成部の鋳造欠陥に含浸した油分を除去する技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係るレーザクラッドバルブシートの製造方法では、レーザクラッド加工の前工程として行う溶剤洗浄工程において、浸漬方式ではなく吹付け方式を採用するとともに、溶剤が不特定の方向に飛び散らないよう、バルブシート形成部における所定の部位に相対的に少量の溶剤を吹き付けるようにしている。
具体的には、本発明は、シリンダーヘッドのバルブシート形成部に、金属粉末を供給しながらレーザビームを照射することにより肉盛層からなるバルブシートを形成するレーザクラッド工程を含むレーザクラッドバルブシートの製造方法を対象としている。
そして、上記製造方法は、上記レーザクラッド工程の前に、溶剤を用いて、機械加工された上記シリンダーヘッドのバルブシート形成部を洗浄する溶剤洗浄工程を含んでおり、上記溶剤洗浄工程では、吸気側のバルブシート形成部における排気側のバルブシート形成部に近い部位、または、排気側のバルブシート形成部における吸気側のバルブシート形成部に近い部位に溶剤を吹き付けるとともに、溶剤を吹き付けている気筒と、これに隣接する気筒との間に、溶剤の飛散を防止するカバーを配置することを特徴とするものである。
この構成によれば、レーザクラッド工程の前工程としてバルブシート形成部に溶剤を吹き付ける溶剤洗浄工程を含むことで、例えば従来の切粉洗浄工程では除去しきれなかった、バルブシート形成部の表面の含浸油分を溶剤の溶解力によって溶かし出すことが可能となる。また、シリンダーヘッドを溶剤に含浸するのではなく、バルブシート形成部に溶剤を吹き付けることから、溶剤の使用量を低減することができる。
もっとも、バルブシート形成部の全面に溶剤を吹き付けると、溶剤の吹付けや例えば乾燥用エアブローによって、溶け出した油分を含む吹付け後の溶剤が不特定の方向に飛散し、既に洗浄済みの他のバルブシート形成部に油分が再付着するおそれがある。
ここで、バルブシート形成部は一般的にシリンダーヘッドにおける燃焼室側の表面から段差を介して窪んだ円環状の段差面として構成されている。そうして、本発明では、吸気側(または排気側)のバルブシート形成部における排気側(または吸気側)のバルブシート形成部に近い部位に溶剤を吹き付けることから、吹き付けられた溶剤は、吹付け箇所から二手に分かれて円環状の段差面を流れ、排気側(または吸気側)のバルブシート形成部から遠い部位で合流し、そこから段差を乗り越えてバルブシート形成部外に流れたり、吸気(または排気)ポートに流下したりすることになる。
このように、バルブシート形成部の全面に溶剤を吹き付けるのではなく、バルブシート形成部における所定の1箇所に溶剤を吹き付けることから、溶剤を不特定の方向に飛散させることなく、排気側(または吸気側)のバルブシート形成部から遠い部位において、吹付け後の溶剤の大半をバルブシート形成部外へ排出することができる。加えて、吹き付けられた溶剤は、円環状の段差面を流れることから、一箇所に吹付けた溶剤をバルブシート形成部全面に作用させることができるので、溶剤の使用量をより一層低減することができる。
さらに、本発明では、溶剤を吹き付けている気筒と、これに隣接する気筒との間に、溶剤の飛散を防止するカバーを配置することから、例えば、既に洗浄済みの隣接する気筒に油分が再付着するのを抑えることができる。
以上説明したように、本発明に係るレーザクラッドバルブシートの製造方法によれば、溶剤の使用量を低減するとともに、バルブシート形成部への油分の再付着を抑えつつ、バルブシート形成部の鋳造欠陥に含浸した油分を除去することができる。
本発明の実施形態に係るレーザクラッドバルブシートの製造方法における溶剤洗浄工程を模式的に説明する平面図である。 図1のII−II線の矢視断面図である。 吹付け後の溶剤の流れを模式的に説明する図である。 図3のIV−IV線の矢視断面図である。 自動溶剤洗浄機の一例を模式的に示す図である。 洗浄ヘッドの一例を模式的に示す図である。 その他の実施形態に係る溶剤洗浄工程を模式的に説明する平面図である。 その他の実施形態に係る溶剤洗浄工程を模式的に説明する平面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
−全体構成−
図1は、本実施形態に係るレーザクラッドバルブシートの製造方法における溶剤洗浄工程を模式的に説明する平面図であり、図2は、図1のII−II線の矢視断面図である。本実施形態のレーザクラッドバルブシートの製造方法は、鋳造により成形されたシリンダーヘッド10を切削加工する切削工程と、水溶性洗浄液等を用いて、切削加工によって生じた切粉を剥離する切粉洗浄工程と、溶剤を用いて、機械加工されたシリンダーヘッド10のバルブシート形成部11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14bを洗浄する溶剤洗浄工程と、レーザビームを照射してシリンダーヘッド10に付着した汚れや油分を除去するレーザクリーニング工程と、バルブシート形成部11a,11b,…に、金属粉末を供給しながらレーザビームを照射することにより肉盛層(クラッド)からなるバルブシートを形成するレーザクラッド工程と、を含んでいる。
切粉の剥離を主眼とする切粉洗浄工程では水溶性洗浄液を用いるため、バルブシート形成部11a,11b,…の表面の鋳造欠陥に含浸したクーラント油を除去しきれないところ、このような油分が残ったままの状態でレーザクラッド加工を行うと、油分がガス化して溶融金属粉末の固化の途中に放出されることで、肉盛層にピンホール欠陥が発生する場合がある。そこで、本実施形態ではレーザクラッド工程の前工程として溶剤洗浄工程を追加し、切粉洗浄工程では除去しきれなかった、バルブシート形成部11a,11b,…の表面の含浸油分を溶剤の溶解力によって溶かし出すことで、かかるピンホール欠陥の発生を抑制するようにしている。
この溶剤洗浄工程での具体的な作業は、溶剤の溶解力によって鋳造欠陥に含浸したクーラント油を溶かし出すために行われる、バルブシート形成部11a,11b,…への溶剤吹付けと、溶け出した油分を含む溶剤を除去するために行われる乾燥用エアブローである。また、この溶剤洗浄工程では、溶剤吹付けを行っている気筒に隣接する気筒に、油分が再付着するのを抑えるべく、これらの気筒の間に飛散防止カバー3を設置した状態で、溶剤吹付けや乾燥用エアブローを行うようにしている。以下、第1〜第4の4つの気筒11,12,13,14を有し、気筒毎に吸気バルブと排気バルブとが2つずつ設けられる所謂4バルブエンジンのシリンダーヘッド10を例にとって、かかる溶剤洗浄工程について詳細に説明する。
−溶剤洗浄工程−
本実施形態の溶剤洗浄工程では、シリンダーヘッド10を溶剤に浸漬する浸漬方式ではなく、洗浄が必要な最小部位にのみ、具体的には、バルブシート形成部11a,11b,…にのみ溶剤を吹き付ける吹付け方式を採用している。このような吹付け方式の採用により、本実施形態では、浸漬方式に比して溶剤の使用量を低減することができる。また、本実施形態では、きれいな溶剤をバルブシート形成部11a,11b,…に吹き付けてバルブシート形成部11a,11b,…外に流す「かけ流し」とすることから、浸漬を重ねる度に溶剤中の油分が増えて溶剤が劣化する浸漬方式と異なり、溶剤の劣化に起因するバルブシート形成部11a,11b,…への油分の再付着を抑制することができる。
もっとも、バルブシート形成部11a,11b,…へ大量の溶剤をかけ流すと、溶剤の使用量が増えるとともに、溶剤吹付けや乾燥用エアブローによって、油分を含む吹付け後の溶剤が不特定の方向に飛散し、既に洗浄済みのバルブシート形成部11a,11b,…に油分が再付着するおそれがある。そこで、本実施形態では、バルブシート形成部11a,11b,…の全面ではなく、バルブシート形成部11a,11b,…における所定の1箇所に溶剤を吹き付けるようにしている。
具体的には、図1および図2に示すように、溶剤吐出ノズルおよびエアブローノズルとして兼用されるノズル2と、当該ノズル2を挟むようにノズル2の両側に配置された2枚の飛散防止カバー3と、飛散防止カバー3の内側(ノズル2側)に配置された2つのエアカーテンノズル4と、を備える洗浄ヘッド1を用いて、バルブシート形成部11a,11b,…への溶剤吹付けを行う。そうして、吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14aの溶剤洗浄を行う場合には、溶剤吐出ノズル2から、吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14aにおける排気側バルブシート形成部11b,12b,13b,14bに近い部位に溶剤を吹き付ける。換言すると、吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14aにおける、吸気側バルブシート形成部と排気側バルブシート形成部との間の部位11c,12c,13c,14cの近傍部に溶剤を吹き付ける。これとは逆に、排気側バルブシート形成部11b,12b,13b,14bの溶剤洗浄を行う場合には、排気側バルブシート形成部11b,12b,13b,14bにおける吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14aに近い部位に、換言すると、排気側バルブシート形成部11b,12b,13b,14bにおける部位11c,12c,13c,14cの近傍部に溶剤を吹き付ける。なお、溶剤洗浄工程において用いられる溶剤は、油分を溶解可能であり且つ揮発性を有するのであれば、どのような溶剤を用いてもよい。
図3は、吹付け後の溶剤の流れを模式的に説明する図であり、図4は、図3のIV−IV線の矢視断面図である。バルブシート形成部11a,11b,…は一般的にシリンダーヘッド10における燃焼室側の表面10aから段差を介して窪んだ円環状の段差面として構成されている。第1気筒11の吸気側バルブシート形成部11aを例にとると、図3および図4に示すように、溶剤吐出ノズル2から、吸気側バルブシート形成部11aにおける排気側バルブシート形成部11bに近い部位(部位11cの近傍部)に吹き付けられた溶剤(矢印A参照)は、吸気側バルブシート形成部11aの表面の鋳造欠陥に含浸したクーラント油を溶解しながら、矢印Bに示すように吹付け箇所から二手に分かれて円環状の段差面を流れて、吸気側バルブシート形成部11aにおける排気側バルブシート形成部11bから遠い部位11dで合流する。溶解した油分を含んだ状態にて部位11dで合流した溶剤は、その一部が、矢印Cに示すように段差を乗り越えて吸気側バルブシート形成部11a外へ排出されるとともに、残りの一部が、矢印Dに示すように吸気ポート10bに流下して吸気側バルブシート形成部11a外へ排出される。
吸気側バルブシート形成部11aへの溶剤吹付けが終わると即座に、溶剤吐出ノズル2と兼用されるエアブローノズル2から空気を噴射して乾燥用エアブローを行う。この乾燥用エアブローにおいて空気が勢いよく吹付けられた際にも、溶剤の一部は、矢印Cに示すように吸気側バルブシート形成部11a外へ飛ばされて揮発するとともに、残りの一部は、矢印Dに示すように吸気ポート10bに飛ばされて揮発することになる。吸気側バルブシート形成部11aへの乾燥用エアブローが終わると、図1の白抜き矢印で示すように、洗浄ヘッド1を第2気筒12、第3気筒13および第4気筒14へと順次移動させ、これら第2気筒12、第3気筒13および第4気筒14においても第1気筒11と同様の動作にて溶剤吹付けおよび乾燥用エアブローを行う。
このように、本実施形態の溶剤洗浄工程では、吹付けられた溶剤が円環状の段差面を流れることで、少量の溶剤を吸気側バルブシート形成部11a全体に作用させることが可能となるので、溶剤の使用量をより一層低減することができる。また、油分を含む溶剤が不特定の方向に飛散する可能性のある全面吹付けと異なり、溶剤吹付けや乾燥用エアブローによって、吹付け後の溶剤を吸気側バルブシート形成部11aから特定の方向(矢印Cや矢印D)に排出することができる。しかも、矢印Cの場合には、排気側バルブシート形成部11bから遠い側へ溶剤が排出されるので、例えば、排気側バルブシート形成部11bを先に溶剤洗浄したような場合には、溶剤に含まれる油分が排気側バルブシート形成部11bに再付着するのを抑制することができる。
なお、これらの効果は、吸気側バルブシート形成部11aの溶剤洗浄を行う場合と同様の動作にて、排気側バルブシート形成部11bの溶剤洗浄を行う場合や、第2気筒12、第3気筒13および第4気筒14の吸気側バルブシート形成部12a,13a,14aおよび排気側バルブシート形成部12b,13b,14bの溶剤洗浄を行う場合にも、当然に得られる。
このように、本実施形態の溶剤洗浄工程では、少量の溶剤にて、同一気筒における反対側のバルブシート形成部11a,11b,…に油分を再付着させることなく、対象とするバルブシート形成部11a,11b,…の洗浄を行うことができるが、溶剤吹付けや乾燥用エアブローの際に、隣接する気筒のバルブシート形成部11a,11b,…に油分を含む溶剤が飛散することが懸念される。
そこで、本実施形態の溶剤洗浄工程では、溶剤を吹き付けている気筒と、これに隣接する気筒との間に、溶剤の飛散を防止する飛散防止カバー3を配置するようにしている。具体的には、洗浄ヘッド1に備えられた2枚の飛散防止カバー3を、溶剤を吹き付けようとする気筒(例えば第2気筒12)と、これに隣接する気筒(例えば第1気筒11および第3気筒13)との間に配置し、これら2枚の飛散防止カバー3の間で、溶剤吐出ノズル2からの溶剤吹付けおよびエアブローノズル2からの空気の噴射を行うようにしている。これにより、例えば第1気筒11を洗浄した後に第2気筒12を洗浄しようとする場合には、仮に第2気筒12の吸気側バルブシート形成部12aの洗浄中に溶剤が飛散しても、飛散した溶剤が飛散防止カバー3に当接するので、既に洗浄済みの第1気筒11の吸気側バルブシート形成部11aに油分が再付着するのを抑えることができる。
ここで、揮発性の溶剤が飛散防止カバー3に付着し、気化熱によって飛散防止カバー3が冷えると、油分を含む溶剤が結露する場合がある。そうして、例えば洗浄ヘッド1を移動しているときに、かかる結露した溶剤がバルブシート形成部11a,11b,…上に滴下すると、溶剤に含まれる油分がガス化源となり、肉盛層にピンホール欠陥を生じさせる場合がある。
そこで、本実施形態では、飛散防止カバー3の内側面(溶剤吐出ノズル2乃至エアブローノズル2側の面)に、断熱性および耐溶剤性に優れるテフロン(登録商標)シート(図示せず)を貼り付けて断熱を行うことで、結露の発生を抑えるようにしている。加えて、本実施形態では、洗浄ヘッド1における飛散防止カバー3の内側にエアカーテンノズル4を配置し、飛散防止カバー3の内側にエアカーテンを生じさせることで、そもそも揮発性の溶剤が飛散防止カバー3に付着するのを抑えるようにしている。これらにより、飛散防止カバー3で結露した溶剤がバルブシート形成部11a,11b,…上に滴下するのを抑えることができる。
−自動溶剤洗浄機−
次に、溶剤洗浄工程において吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14aの洗浄に用いられる自動溶剤洗浄機20の一例について説明する。なお、溶剤洗浄工程において排気側バルブシート形成部11b,12b,13b,14bの洗浄に用いられる自動溶剤洗浄機(図示せず)については、自動溶剤洗浄機20とほぼ同様の構成ゆえ、その説明を省略する。
図5は、自動溶剤洗浄機20の一例を模式的に示す図であり、図6は、洗浄ヘッド1の一例を模式的に示す図である。この自動溶剤洗浄機20は、上記洗浄ヘッド1の他、搬送コンベア21と、溶剤補給ポンプ22と、溶剤タンク23と、溶剤吐出ポンプ24と、モータ25と、吸引ファン26と、吸引配管27と、吸気ポート吸引ダクト28と、排気ポート吸引ダクト29と、支持アーム30と、前後移動機構31と、横移動機構32と、を備えている。なお、自動溶剤洗浄機20は、制御装置(図示せず)によって自動運転されるように構成されている。
搬送コンベア21は、ワークであるシリンダーヘッド10を、図5の白抜き矢印の向きに搬送するとともに、制御装置からの指令に基づき、溶剤洗浄が行われる所定位置にシリンダーヘッド10を停止させる。
溶剤タンク23は、吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14aに吹付けられる溶剤を貯留するものであり、その内部に溶剤の残量を検出するためのセンサ(図示せず)が設けられている。溶剤補給ポンプ22は、溶剤補給配管33を介して溶剤タンク23と接続されている。溶剤タンク23内の溶剤の残量が少ないことがセンサによって検出されると、制御装置からの指令に基づき、溶剤補給ポンプ22が、溶剤が収容された溶剤缶34から溶剤タンク23へ溶剤を補給する。制御装置は、溶剤缶34が空になると、溶剤の供給源を別の溶剤缶34に切り替える。溶剤吐出ポンプ24は、制御装置からの指令に基づき、溶剤供給路35を介して溶剤タンク23内に貯留された溶剤を洗浄ヘッド1に供給するように構成されている。
モータ25は、制御装置からの指令に基づいて吸引ファン26を駆動させて、吸引力を発生させる。吸引ファン26は、吸引配管27および吸気側吸引配管27aを介して吸気ポート吸引ダクト28と接続されている一方、吸引配管27および排気側吸引配管27bを介して排気ポート吸引ダクト29と接続されている。吸引ファン26が駆動すると、例えば、吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14aに吹き付けられた後に吸気ポート10bに流下して揮発した溶剤蒸気が吸気ポート吸引ダクト28に吸引されるとともに、揮発して排気側バルブシート形成部11b,12b,13b,14b側や排気ポート10cに流れた溶剤蒸気が排気ポート吸引ダクト29に吸引され、これらにより、溶剤蒸気の拡散が抑えられることになる。
支持アーム30は、搬送コンベア21の搬送方向と上下方向とに直交する搬送直角方向に延びており、その先端部に洗浄ヘッド1が取り付けられている。前後移動機構31は、制御装置からの指令に基づいて、搬送直角方向に横移動機構32および支持アーム30を移動させるように構成されている。これにより、シリンダーヘッド10の長手直角方向(気筒11,12,13,14の配列方向である長手方向と上下方向とに直交する方向)における洗浄ヘッド1の位置が調整可能となっている。また、横移動機構32は、制御装置からの指令に基づいて、搬送コンベア21の搬送方向に支持アーム30を移動させるように構成されている。これにより、シリンダーヘッド10の長手方向における洗浄ヘッド1の位置が調整可能となっている。
洗浄ヘッド1は、上述の如く、溶剤吐出ノズルおよびエアブローノズルとして兼用されるノズル2と、2枚の飛散防止カバー3と、2つのエアカーテンノズル4と、を備える他、ノズル2を支持する支持部材5を備えている。支持部材5は、回動軸5aを介して支持アーム30の先端部に回動自在に取り付けられている。支持部材5には円弧状の長穴5bが形成されていて、支持アーム30の先端部に設けられたストッパピン30aが長穴5bに挿通されることで、支持部材5の回動範囲が所定範囲に規制されている。なお、回動軸5aを中心としたノズル2の角度調整、溶剤吐出ノズル2からの溶剤の吐出、エアブローノズル2からの空気の噴射、エアカーテンノズル4からの空気の噴射等は制御装置によって制御されるようになっている。
以上のように構成された自動溶剤洗浄機20を用いて溶剤洗浄工程を実施する場合には、先ず、制御装置が、カメラ(図示せず)やセンサ(図示せず)等からの情報に基づいて、搬送コンベア21によって搬送されているシリンダーヘッド10を所定位置に停止させる。
次いで、制御装置が、前後移動機構31および横移動機構32を駆動させ、シリンダーヘッド10の長手方向および長手直角方向において支持アーム30を移動させて、一方の飛散防止カバー3が第1気筒11と第2気筒12との間に配置されるように、洗浄ヘッド1を吸気側バルブシート形成部11aの上方に配置する。
洗浄ヘッド1の配置が完了すると、制御装置が、エアカーテンノズル4から空気を噴射させて、飛散防止カバー3の内側にエアカーテンを生じさせるとともに、吸引ファン26を駆動させて、吸気ポート吸引ダクト28および排気ポート吸引ダクト29に吸引力を発生させる。これにより、溶剤吐出ノズル2から吐出された溶剤が飛散防止カバー3の内側に付着し難く、且つ、揮発した溶剤蒸気が拡散し難い状態が作り出される。
次いで、制御装置が、溶剤吐出ポンプ24から溶剤吐出ノズル2に至る、溶剤供給系統における全てのバルブを開き、吐出量および吐出時間を調整しながら、溶剤吐出ノズル2から、吸気側バルブシート形成部11aにおける排気側バルブシート形成部11bに近い部位に溶剤を吹き付ける。
吸気側バルブシート形成部11aへの溶剤の吹き付けが完了すると、制御装置が、溶剤吐出ノズル2と兼用されるエアブローノズル2から即座に空気を噴射して、吸気側バルブシート形成部11aへの乾燥用エアブローを行う。これにより、油分を含んだ吹付け後の溶剤が吸気側バルブシート形成部11aから除去される。
次いで、制御装置が、前後移動機構31および横移動機構32を駆動させ、洗浄ヘッド1を第2気筒12、第3気筒13および第4気筒14へと順次移動させて、これら第2気筒12、第3気筒13および第4気筒14において第1気筒11と同様の動作にて溶剤吹付けおよび乾燥用エアブローを行う。
このようにして、第1〜第4の4つの気筒11,12,13,14における吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14aの溶剤洗浄が完了すると、制御装置が、再び搬送コンベア21を起動させて、後工程であるレーザクリーニング工程へシリンダーヘッド10を搬送する。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神または主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、溶剤吐出ノズル2(またはエアブローノズル2)の両側に飛散防止カバー3を設けたが、これに限らず、例えば図7に示すように、洗浄ヘッド1の移動の向き(白抜き矢印参照)と反対側にのみ飛散防止カバー3を設けるようにしてもよい。このように、溶剤を吹き付けようとする気筒と、これに隣接し且つ既に洗浄済みの気筒との間に、1枚の飛散防止カバー3を配置する構成によっても、洗浄済みの吸気側バルブシート形成部11a,12a,13aに油分が再付着するのを抑えることができるので、洗浄ヘッド1の構造を簡単にすることができる。
また、上記実施形態では、溶剤吐出ノズル2とエアブローノズル2とを兼用させるようにしたが、これに限らず、例えば図8に示すように、溶剤吐出ノズル2とエアブローノズル6とを別体としてもよい。ただし、油分を含んだ吹付け後の溶剤が吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14a上で揮発すると、油分が吸気側バルブシート形成部11a,12a,13a,14a上に残るので、吹付け後の溶剤を直ぐに乾燥用エアブローで除去することができるように、洗浄ヘッド1において飛散防止カバー3の溶剤吐出ノズル2側とは反対側にエアブローノズル6を設け、溶剤吐出ノズル2とエアブローノズル6とを平行移動させることが好ましい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明によると、溶剤の使用量を低減するとともに、バルブシート形成部への油分の再付着を抑えつつ、バルブシート形成部の鋳造欠陥に含浸した油分を除去することができるので、バルブシート形成部を洗浄する工程を含む、レーザクラッドバルブシートの製造方法に適用して極めて有益である。
3 飛散防止カバー
10 シリンダーヘッド
11 第1気筒
11a 吸気側バルブシート形成部
11b 排気側バルブシート形成部
12 第2気筒
12a 吸気側バルブシート形成部
12b 排気側バルブシート形成部
13 第3気筒
13a 吸気側バルブシート形成部
13b 排気側バルブシート形成部
14 第4気筒
14a 吸気側バルブシート形成部
14b 排気側バルブシート形成部

Claims (1)

  1. シリンダーヘッドのバルブシート形成部に、金属粉末を供給しながらレーザビームを照射することにより肉盛層からなるバルブシートを形成するレーザクラッド工程を含むレーザクラッドバルブシートの製造方法であって、
    上記レーザクラッド工程の前に、溶剤を用いて、機械加工された上記シリンダーヘッドのバルブシート形成部を洗浄する溶剤洗浄工程を含んでおり、
    上記溶剤洗浄工程では、吸気側のバルブシート形成部における排気側のバルブシート形成部に近い部位、または、排気側のバルブシート形成部における吸気側のバルブシート形成部に近い部位に溶剤を吹き付けるとともに、溶剤を吹き付けている気筒と、これに隣接する気筒との間に、溶剤の飛散を防止するカバーを配置することを特徴とするレーザクラッドバルブシートの製造方法。
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