JP2018024950A - 繊維用仕上げ剤及び、繊維仕上げ剤を繊維に付着させてなる繊維または繊維製品。 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷感性機能を繊維に付与する繊維仕上げ剤及び、繊維及び、繊維製品に処理するための加工方法を提供することを課題とする。【解決手段】人間の皮膚に存在する冷感受容体を刺激する冷感物質を水分散する。すなわち、油滴が水に分散する水中油滴型のエマルジョンの形態をとった繊維仕上げ剤及び、繊維仕上げ剤を公知の加工方法、例えばパディング法、スプレー法、コーティング法、捺染法、浸漬法などの加工方法にて繊維に付着させてなる繊維または繊維製品を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は繊維仕上げ剤及び、繊維及び、繊維製品に処理するための加工方法に関する。
冷感機能を糸、または布帛などに与える従来の技術としては、大きく次の5種類に分類される。熱移動速度を速くして冷感を得る方法(特許文献1)、太陽光を反射し、熱を遮蔽する方法(特許文献2)、熱相変換物質を蓄熱材として内包したマイクロカプセルで冷感を得る方法(特許文献3)、吸湿吸熱性をもつ物質を利用した方法(特許文献4)である。また、アルコールにメントールを溶解させた噴霧式の冷感剤(特許文献5)が知られている。
前述の冷感機能を糸、または布帛などに与える技術は、涼感性の快適素材として使用されているが、それぞれ問題点を持つ。熱移動速度を速くして冷感を得る方法では、接触冷感を得るために高密度の織物、または編物であるため素材が限定される。太陽光を反射し、熱を遮蔽する方法では、十分な効果を得るために多量の無機物、または有機物の粉体を付着させるため、繊維の色相が変化する問題がある。次に、熱相変換物質を蓄熱材として内包したマイクロカプセルで冷感を得る方法では環境温度が相変換物質の融点以上の場合、冷感性を感じられない問題がある。そして、キシリトールに代表される吸湿吸熱性を有する物質を利用した方法では汗などの水分が必要であるため、冷感性が発揮されるシーンが限定される問題がある。
メントールを用いた冷感剤としては、メントールをアルコールに溶解し、少量の水で希釈した噴霧式のタイプがある。スプレー等の噴霧処理により、着用時に冷感効果を付与することができる。
しかし、上記の冷感剤はメントールをアルコールに溶解させることを特徴とするゆえ、大量の水に希釈させた時、アルコールの濃度が低くなるため、メントールが溶解できなくなり、浴中に析出してしまう問題がある。そのため、水で希釈する繊維仕上げ工程には適さない。
しかし、上記の冷感剤はメントールをアルコールに溶解させることを特徴とするゆえ、大量の水に希釈させた時、アルコールの濃度が低くなるため、メントールが溶解できなくなり、浴中に析出してしまう問題がある。そのため、水で希釈する繊維仕上げ工程には適さない。
そこで、本発明者らは鋭意研究を重ね、人間の皮膚に存在する冷感受容体を刺激する冷感物質を水分散した繊維仕上げ剤の開発に成功した。
本発明の繊維仕上げ剤を繊維に処理することで、種々の繊維に冷感性を付与できる。
本発明では冷感物質を水分散する。すなわち、油滴が水に分散する水中油滴型(以下、「O/W型」という)のエマルジョンの形態をとる。
本発明の冷感物質のO/W型のエマルジョンを得るために、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、多価アルコール、有機酸、無機酸、キレート剤などを配合できる。これらの物質と1種類以上の冷感物質の高濃度混合物に撹拌しながら水(50〜70℃)を加えていくことで、繊維仕上げに適した粘度のO/W型エマルジョンを得ることができる。
本発明に使用される冷感物質は、例えば、メントール、イソプレゴール、乳酸メンチル、コハク酸メンチル、メントングリセリンケタール、酢酸メンチル、シュウ酸メンチルエチルアミド、3‐(L‐メントキシ)プロパン‐1,2‐ジオール、N‐アルキル‐p‐メンタン‐3‐カルボキサミド、2‐メチル‐3‐(L‐メントキシ)プロパン‐1,2‐ジオール、p‐メンタン‐3,8‐ジオール、2‐(L‐メントキシ)エタン‐1‐オール、3‐(L‐メントキシ)プロパン‐1‐オール、4‐(L‐メントキシ)ブタン‐1‐オール、3‐ヒドロキシブタン酸メンチル、イシリン及び、これらの誘導体から選択される1種以上を組み合わせても良い。
本発明に用いられる冷感受容体を刺激する冷感物質は、人間の皮膚に存在する冷感受容体に作用することで清涼感を感じさせる。
本発明の繊維仕上げ剤は、上記の冷感物質を1種類以上含んだ組み合わせからなり、組成物中に0.5〜30重量%含有する。冷感物質は体感性を得るために少なくとも0.5重量%以上必要である。また、冷感物質を増やしすぎると、水分散での乳化が困難となるため、冷感物質は30重量%以下が好ましい。
本発明に用いることのできる、非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンセカンダリーアルコールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いることのできる、アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルサルフェート・ナトリウム塩、アルキルエーテルサルフェート・ナトリウム塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジエチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いることのできる、カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、アルキルアミン及び、それらの塩、N,N‐ジエチルエチレンジアミン脂肪酸アマイド等のアミドアミン類及び、それらの塩及び、第4級化物、トリエタノールアミン脂肪酸エステル等のアルカノールアミン脂肪酸エステルの第4級化物などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いることのできる、多価アルコールとしては、1,3‐ブタンジオール、1,4‐ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(プルロニック非イオン系界面活性剤)、ソルビトール、マンニトール、マンノース、キシリトール、マルチトール、オリゴ糖アルコールなどがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明の繊維仕上げ剤には布帛の風合いの調整、洗濯耐久性や機能を付与する目的で、繊維仕上げに一般的に使用される、脂肪酸系柔軟剤、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、多官能エポキシ樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、フッ素樹脂、無機粉体分散物などのうち、1種類以上を組み合わせることができる。
本発明は従来公知の加工方法で加工できる繊維仕上げ剤である。例えば、パディング法、スプレー法、コーティング法、捺染法、浸漬法などの加工方法を適用できる。
本発明は上記に挙げた公知の加工方法で、天然繊維、再生繊維または合成繊維及び、それらを混紡、公撚、混編したものなど、どの種類の繊維にも加工できる。それらの繊維は、衣料、衣料品関連資材、寝装品、インテリア、 生活雑貨品及び、自動車の内装品などの製品になりうる。
本発明の繊維仕上げ剤は他の涼感性を付与できる繊維仕上げ剤と組み合わせても良い。例えば、相変換物質を内包したマイクロカプセル、キシリトールなどの糖アルコールを含有する吸湿吸熱仕上げ剤、シリカなどの無機物粉体を含有する熱遮蔽仕上げ剤、撥水剤などを1種類以上組み合わせても良い。
以下に実施例及び、比較例を示し、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されない。
(製造方法)
表1の実施例1〜10及び、比較例1,3の組成比にて、容量1Lのガラス製ビーカーを用いてホモミキサーで乳化を行った。蒸留水を除く表1の原料をビーカーに仕込み、50℃、3000回転で10分間撹拌を行った。表1のアミノ変性シリコーンとしては《商品名:KF−8004、官能基当量:1500g/mol、信越シリコーン(株)製》を使用した。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては《商品名:エマルゲン707、HLB:12.1、花王(株)製》を使用した。原料の混合物に、水を徐々に加え転相乳化を行い、最終的に全量500gの繊維仕上げ剤の安定なエマルジョンを得た。
表1の実施例1〜10及び、比較例1,3の組成比にて、容量1Lのガラス製ビーカーを用いてホモミキサーで乳化を行った。蒸留水を除く表1の原料をビーカーに仕込み、50℃、3000回転で10分間撹拌を行った。表1のアミノ変性シリコーンとしては《商品名:KF−8004、官能基当量:1500g/mol、信越シリコーン(株)製》を使用した。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては《商品名:エマルゲン707、HLB:12.1、花王(株)製》を使用した。原料の混合物に、水を徐々に加え転相乳化を行い、最終的に全量500gの繊維仕上げ剤の安定なエマルジョンを得た。
表1の比較例2の組成比にて、上記と同様の製造方法で乳化を行ったが、エマルジョンが分離し、製品として成り立たないことがわかった。
(パディング加工)
表1の実施例1〜10及び、比較例1,3のエマルジョンをそれぞれ蒸留水で100g/Lの濃度に希釈し、全量を100gで調液したものを加工液とした。加工する生地は綿100%のスムースニット生地とポリエステル100%織物のデシン生地を選択し、それらの生地を縦20cm、横30cmの大きさに切り分けた。加工方法はパディング法を選択し、生地を加工液に浸した後に、加圧マングルを用いて、絞り率95%で脱水処理し、110℃に設定したテンター型の乾燥機で3分間乾燥させた。この一連の作業を繰り返し、表1の実施例1〜10及び、比較例1,3の繊維仕上げ剤を加工した繊維製品(以下、「加工布」という)を得た。得られた加工布を室温25℃、湿度65%の条件に設定した恒温恒湿機に静置し、これを評価用の生地とした。
表1の実施例1〜10及び、比較例1,3のエマルジョンをそれぞれ蒸留水で100g/Lの濃度に希釈し、全量を100gで調液したものを加工液とした。加工する生地は綿100%のスムースニット生地とポリエステル100%織物のデシン生地を選択し、それらの生地を縦20cm、横30cmの大きさに切り分けた。加工方法はパディング法を選択し、生地を加工液に浸した後に、加圧マングルを用いて、絞り率95%で脱水処理し、110℃に設定したテンター型の乾燥機で3分間乾燥させた。この一連の作業を繰り返し、表1の実施例1〜10及び、比較例1,3の繊維仕上げ剤を加工した繊維製品(以下、「加工布」という)を得た。得られた加工布を室温25℃、湿度65%の条件に設定した恒温恒湿機に静置し、これを評価用の生地とした。
(捺染加工)
表1の実施例1に記載の繊維仕上げ剤を10重量%及び、アクリル樹脂(パラゾールGH−908:大原パラヂウム化学(株)製))10重量%を蒸留水79重量%で希釈し、それに増粘剤(パラゾールV−20(大原パラヂウム化学(株)製))1重量%を加え、撹拌することで、粘度10000mPa・sの加工液を得た。加工する生地は綿100%のスムースニット生地とポリエステル100%織物のデシン生地を選択し、それらの生地を縦20cm、横30cmの大きさに切り分けた。加工方法は捺染法を選択し、80メッシュスクリーンにて塗布量が100g/m2となるように塗布し、110℃に設定したテンター型の乾燥機で3分間乾燥させた。得られた加工布を室温25℃、湿度65%の条件に設定した恒温恒湿機に静置し、これを評価用の生地とした。
表1の実施例1に記載の繊維仕上げ剤を10重量%及び、アクリル樹脂(パラゾールGH−908:大原パラヂウム化学(株)製))10重量%を蒸留水79重量%で希釈し、それに増粘剤(パラゾールV−20(大原パラヂウム化学(株)製))1重量%を加え、撹拌することで、粘度10000mPa・sの加工液を得た。加工する生地は綿100%のスムースニット生地とポリエステル100%織物のデシン生地を選択し、それらの生地を縦20cm、横30cmの大きさに切り分けた。加工方法は捺染法を選択し、80メッシュスクリーンにて塗布量が100g/m2となるように塗布し、110℃に設定したテンター型の乾燥機で3分間乾燥させた。得られた加工布を室温25℃、湿度65%の条件に設定した恒温恒湿機に静置し、これを評価用の生地とした。
(比較布)
比較用に綿100%のスムースニット生地とポリエステル100%織物のデシン生地を縦20cm、横30cmの大きさに切り分け、繊維仕上げを行わなかった(以下、「未加工布」という)。これらの未加工布を室温25℃、湿度65%の条件に設定した恒温恒湿機に静置し、これらを評価用の生地とした。
比較用に綿100%のスムースニット生地とポリエステル100%織物のデシン生地を縦20cm、横30cmの大きさに切り分け、繊維仕上げを行わなかった(以下、「未加工布」という)。これらの未加工布を室温25℃、湿度65%の条件に設定した恒温恒湿機に静置し、これらを評価用の生地とした。
(評価方法)
実施例1〜11及び、比較例1,3の繊維仕上げ剤の加工布と、未加工布を比較し、冷感性を評価した。加工布と未加工布を同時に被試験者の腕に乗せ、1分後に冷感性を評価した。被験者は30人で、60%以上の被験者が冷感性を感じると評価したものを合格とした。
実施例1〜11及び、比較例1,3の繊維仕上げ剤の加工布と、未加工布を比較し、冷感性を評価した。加工布と未加工布を同時に被試験者の腕に乗せ、1分後に冷感性を評価した。被験者は30人で、60%以上の被験者が冷感性を感じると評価したものを合格とした。
表2と表3の実施例1〜11及び、比較例1,3の結果から、冷感物質の組成比が0.5〜30重量%で冷感性を感じることがわかる。また、表1の比較例2の組成比ではエマルジョンが分離し、繊維仕上げ剤の製品としては適切でない。以上より、冷感物質の組成比は繊維仕上げ剤中に0.5〜30重量%含むことが適切であることがわかる。
本発明の繊維仕上げ剤を繊維または、繊維製品に加工することで、優れた冷感性を付与し、夏等の暑い季節に快適に過ごす衣料を提供する事ができる。
Claims (3)
- 人間の皮膚に存在する冷感受容体を刺激する冷感物質を水分散した繊維仕上げ剤及び、繊維仕上げ剤を繊維に付着させてなる繊維または繊維製品。
- 請求項1の冷感受容体を刺激する冷感物質は、メントール、イソプレゴール、乳酸メンチル、コハク酸メンチル、メントングリセリンケタール、酢酸メンチル、シュウ酸メンチルエチルアミド、3‐(L‐メントキシ)プロパン‐1,2‐ジオール、N‐アルキル‐p‐メンタン‐3‐カルボキサミド、2‐メチル‐3‐(L‐メントキシ)プロパン‐1,2‐ジオール、p‐メンタン‐3,8‐ジオール、2‐(L‐メントキシ)エタン‐1‐オール、3‐(L‐メントキシ)プロパン‐1‐オール、4‐(L‐メントキシ)ブタン‐1‐オール、3‐ヒドロキシブタン酸メンチル、イシリン及び、これらの誘導体から選択される。これらの冷感物質を1種以上含んだ組み合わせからなる請求項1に記載の冷感物質を水分散した繊維仕上げ剤及び、繊維仕上げ剤を付着させた繊維または繊維製品。
- 本発明の繊維仕上げ剤は、請求項2の冷感物質を1種類以上含んだ組み合わせからなり、組成物中に0.5〜30重量%含有する。
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JP2016155913A JP2018024950A (ja) | 2016-08-08 | 2016-08-08 | 繊維用仕上げ剤及び、繊維仕上げ剤を繊維に付着させてなる繊維または繊維製品。 |
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Cited By (2)
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CN110983766A (zh) * | 2019-11-18 | 2020-04-10 | 江苏金太阳纺织科技股份有限公司 | 一种凉感整理剂及其制备方法与应用方法 |
CN115075000A (zh) * | 2022-07-25 | 2022-09-20 | 达利(中国)有限公司 | 一种真丝织物持续天然凉感印制整理方法 |
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2016
- 2016-08-08 JP JP2016155913A patent/JP2018024950A/ja active Pending
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