JP2018024751A - 粘着シートの製造方法、粘着シート、積層体、及び、表示装置 - Google Patents

粘着シートの製造方法、粘着シート、積層体、及び、表示装置 Download PDF

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内藤 寛樹
Hiroki Naito
寛樹 内藤
迫 康浩
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康浩 迫
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Abstract

【課題】溶剤を配合した粘着剤塗工液から、均一な膜厚で、平滑な表面を有するポリウレタンの粘着シートを製造できる粘着シートの製造方法を提供する。【解決手段】ポリウレタンからなる粘着シートを製造する方法であって、少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分(A)の反応物である上記ポリウレタンのプレポリマーと、ポリイソシアネート成分(B)と、有機溶剤とを含有する粘着剤塗工液を調製する工程と、乾燥後の厚みが20〜550μmとなる量の上記粘着剤塗工液を塗工して乾燥する工程とを含み、上記ポリオール成分中の水酸基の数に対する上記ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の数の比率(NCO/OH)は、0.24〜0.48であり、上記プレポリマーの数平均分子量は、8000以下である粘着シートの製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、粘着シートの製造方法、粘着シート、積層体、及び、表示装置に関する。
近年、スマートフォン、タブレットPC、携帯型ゲーム機、カーナビゲーション装置等の分野でタッチパネルの需要が急速に伸びており、これに伴い、タッチパネルを他の光学部材に貼り合わせるために用いられる透明な粘着シートの需要も増加している。光学部材の貼り合わせに用いられる透明な粘着シートは、一般に、光学透明粘着(OCA:Optically Clear Adhesive)シートと呼ばれる。タッチパネルを備えた表示装置は、通常では、液晶パネル等の表示パネル、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル本体)、及び、透明導電膜を保護するカバーパネル等の光学部材が積層された構造を有し、光学部材間の貼り合わせにOCAシートが用いられている。
OCAシートとしては、例えば、シリコーン系樹脂組成物やアクリル系樹脂組成物からなるものが知られている。しかしながら、シリコーン樹脂を用いたOCAシートは、粘着力が低いため、光学部材間に空気が入り込み、例えば、表示画面の視認性が低下することがあった。アクリル系樹脂を用いたOCAシートでは、アクリル系樹脂中に残存したアクリル酸や加水分解によって生じた酸成分が、光学部材に用いられている金属を腐食させることがあった。また、アクリル系樹脂組成物が紫外線硬化型の樹脂組成物である場合には、紫外線照射時にアクリル系樹脂の表層部で反応に必要なフリーラジカルが消費されてしまい、底部が未硬化となるため、厚膜のOCAシートを得ることは困難であった。
これに対して、特許文献1には、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートが開示されている。
特開2015−209538号公報
特許文献1では、溶剤を用いずに熱硬化性ポリウレタン組成物を調製することが開示されているが、本発明者らは、溶剤を含む熱硬化性ポリウレタン組成物(粘着剤塗工液)から熱硬化ポリウレタンを製造する場合についても検討した。その結果、溶剤を使用する場合には、粘着剤塗工液が基材表面で弾かれてしまうことや、粘着剤塗工液が発泡することによって粘着シート表面の平滑性が損なわれることが分かった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、溶剤を配合した粘着剤塗工液から、均一な膜厚で、平滑な表面を有するポリウレタンの粘着シートを製造できる粘着シートの製造方法、並びに、それを用いて製造される粘着シート、積層体、及び、表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、溶剤を配合した粘着剤塗工液からポリウレタンの粘着シートを製造する方法について種々検討した結果、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを特定の比率で反応させることにより、分子量分布を制御したポリウレタンのプレポリマーを予め合成し、その後に、プレポリマーとポリイソシアネート成分とを反応させることによって、乾燥後の厚み20〜550μmの粘着シートであれば、均一な膜厚で、平滑な表面を有するポリウレタンの粘着シートを製造できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の粘着シートの製造方法は、ポリウレタンからなる粘着シートを製造する方法であって、少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分(A)の反応物である上記ポリウレタンのプレポリマーと、ポリイソシアネート成分(B)と、有機溶剤とを含有する粘着剤塗工液を調製する工程と、乾燥後の厚みが20〜550μmとなる量の上記粘着剤塗工液を塗工して乾燥する工程とを含み、上記ポリオール成分中の水酸基の数に対する上記ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の数の比率(NCO/OH)は、0.24〜0.48であり、上記プレポリマーの数平均分子量は、8000以下であることを特徴とする。
上記プレポリマーの重量平均分子量は、15万以下であることが好ましい。上記プレポリマーは、重量平均分子量が100万以上の高分子量成分を含まないことが好ましい。上記プレポリマーは、重量平均分子量が15万以下であり、かつ分子量100万以上の高分子量成分を含まないことがより好ましい。
上記プレポリマーと上記有機溶剤の混合物の23℃での粘度は、500〜8000mPa・sであることが好ましい。上記プレポリマーと上記有機溶剤の混合物の80℃での粘度は、100〜1000mPa・sであることが好ましい。上記プレポリマーと上記有機溶剤の混合物は、23℃での粘度が500〜8000mPa・sであり、かつ80℃での粘度が100〜1000mPa・sであることがより好ましい。
本発明の粘着シートは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分(A)の反応物であるポリウレタンのプレポリマーと、ポリイソシアネート成分(B)との反応物からなるポリウレタンからなる粘着シートであって、上記ポリオール成分中の水酸基の数に対する上記ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の数の比率(NCO/OH)は、0.24〜0.48であり、上記プレポリマーの数平均分子量は、8000以下であり、厚みが20〜550μmであることを特徴とする。
本発明の積層体は、本発明の粘着シートの製造方法により製造された粘着シート(A)、又は、本発明の粘着シート(B)と、上記粘着シート(A)又は(B)の一方の面を覆う第一の離型フィルムと、上記粘着シート(A)又は(B)の他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする。
本発明の表示装置は、本発明の粘着シートの製造方法により製造された粘着シート(A)、又は、本発明の粘着シート(B)と、上記粘着シート(A)又は(B)によって接着された2以上の構成部材とを有することを特徴とする。
本発明の粘着シートの製造方法によれば、溶剤を配合した粘着剤塗工液から、均一な膜厚で、平滑な表面を有するポリウレタンの粘着シートを製造できる。
また、本発明の粘着シートは、透明性及び粘着性が良好であり、光学透明粘着シートとして好適に用いることができる。本発明の積層体によれば、本発明の粘着シートの取扱い性を向上することができる。本発明の表示装置によれば、表示画面の視認性を向上することができる。
本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための図であり、(a)は、工程フロー図であり、(b)は、製造装置の構成の概要を示した斜視模式図であり、(c)は、製造装置の構成の概要を示した断面模式図である。 コンマダイレクト方式の塗工方法を説明するための断面図である。 リップコーター方式の塗工方法を説明するための断面図である。 図1の製造装置によって作製された本発明の積層体の一例を模式的に示した断面図である。 本発明の粘着シートを用いた表示装置の一例を模式的に示した断面図である。 ポリスチレンのGPC測定結果を示したグラフである。 ポリオレフィンポリオールのGPC測定結果を示したグラフである。 水添石油樹脂系タッキファイヤーのGPC測定結果を示したグラフである。 実施例1のプレポリマー溶液のGPC測定結果を示したグラフである。 実施例2のプレポリマー溶液のGPC測定結果を示したグラフである。 比較例2のプレポリマー溶液のGPC測定結果を示したグラフである。 実施例の粘着シートの粘着力の評価方法を説明するための模式図である。
本発明の粘着シートの製造方法は、ポリウレタンからなる粘着シートを製造する方法であって、少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分(A)の反応物である上記ポリウレタンのプレポリマーと、ポリイソシアネート成分(B)と、有機溶剤とを含有する粘着剤塗工液を調製する工程と、乾燥後の厚みが20〜550μmとなる量の上記粘着剤塗工液を塗工して乾燥する工程とを含み、上記ポリオール成分中の水酸基の数に対する上記ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の数の比率(NCO/OH)は、0.24〜0.48であり、上記プレポリマーの数平均分子量は、8000以下であることを特徴とする。
(粘着剤塗工液の調製工程)
粘着剤塗工液の調製工程では、少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分(A)の反応物であるポリウレタンのプレポリマーと、ポリイソシアネート成分(B)と、有機溶剤とを含有する粘着剤塗工液を調製する。
[ポリオール成分]
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレントリオール、これらの共重合体等のポリアルキレングリコール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ポリカプロラクトングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジアルキルカーボネートとジオールとの反応物が挙げられる。
上記ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。ジオールとしては、炭素数が4〜9の脂環族又は脂環族ジオールが好ましく、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオ−ル、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、及び、1,9−ノナンジオールを、単独で用いる又は2種類以上を併用することが好ましい。ジオールとしては、また、1,6−ヘキサンジオールと3−メチル−1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオールも好ましい。
また、上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等を用いることもできる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコール成分とを脱水縮合させたものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;p−キシレンジオール等の芳香族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、以上で例示したジカルボン酸及びグリコール成分によって形成される場合には、線状の分子構造を有するが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状の分子構造を有するポリエステルであってもよい。ジカルボン酸とグリコール成分とは、モル比1.1〜1.3にて150〜300℃で反応させればよい。
上記ポリオール成分の数平均分子量は、300以上、5000以下であることが好ましい。ポリオール成分の数平均分子量が300未満である場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応が速過ぎてポリウレタンを均一なシートに成形することが困難になったり、ポリウレタンの柔軟性が低下して脆くなったりすることがある。ポリオール成分の数平均分子量が5000を超える場合には、ポリオール成分の粘度が高くなり過ぎてポリウレタンを均一なシートに成形することが困難になったり、ポリウレタンが結晶化して白濁したりする等の不具合が生じることがある。ポリオール成分の数平均分子量は、500以上、2000以下であることがより好ましい。
上記ポリオール成分は、好ましくは、オレフィン骨格を有するものであり、すなわち主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されたものである。オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,2−ポリクロロプレンポリオール、1,4−ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。オレフィン骨格を有するポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。
上記オレフィン骨格を有するポリオール成分のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の水酸基末端ポリイソプレンを水添して得られるポリオレフィンポリオール(「EPOL(エポール、登録商標)」、数平均分子量:3369)、日本曹達社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン(「GI−1000」、数平均分子量:1500)、三菱化学社製のポリヒドロキシポリオレフィンオリゴマー(「ポリテール(登録商標)」)等が挙げられる。
[ポリイソシアネート成分(A)]
上記ポリイソシアネート成分(A)としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネートを用いることができる。上記ポリイソシアネート成分(A)は、好ましくは、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートである。脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートを用いることにより、粘着シートの着色や変色がより発生しにくく、長期に渡って粘着シートの透明性をより確実に確保することができる。また、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物を反応させた変性体とすることによって、ポリイソシアネート成分は、親水性部分(エチレンオキシドユニット)の作用によって白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット)の作用によって低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性を発揮することができる。
上記脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートは、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシネート、及び、脂肪族及び/又は脂環族のジイソシアネートを出発物質として得られるポリイソシアネートの少なくとも一種を意味する。
上記脂肪族ポリイソシネート及び脂環族ポリイソシネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、それらの変性体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記具体例のなかでも、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びそれらの変性体が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート及びその変性体が特に好ましい。なお、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート変性、アロファネート変性、及び/又は、ウレタン変性したもの等が挙げられる。
上記エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール類及び/又はアミン類のエチレンオキシド付加物が挙げられ、親水性を高める観点から、1分子当たり6個以上のエチレンオキシドユニットを有するものが好適に用いられる。
上記アルコール類としては、例えば、1価アルコール類、2価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブチレンジオール、ペオペンチルグリコール等)、3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン等)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)、フェノール化合物のホルマリン低縮合物(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記エチレンオキシドユニットの含有量は、ポリウレタン全体に対して、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。上記含有量が1重量%未満であると、充分に白化を抑制できないおそれがある。上記含有量が20重量%を超えると、低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性が低下することによって、ヘイズ等の光学特性が低下するおそれがある。
上記変性ポリイソシアネートの1分子当たりのイソシアネート基の数は、平均で2.0以上であることが好ましい。上記イソシアネート基の数が平均で2.0未満であると、架橋密度の低下により、ポリウレタンが充分に硬化しないおそれがある。
上記プレポリマーの合成において、上記ポリオール成分中の水酸基の数に対する上記ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の数の比率(以下、「プレポリマーのNCO/OH比率」ともいう)は、0.24〜0.48の範囲に調整される。上記比率が0.24未満である場合には、プレポリマーの重合度が低くなることで粘着剤塗工液の粘度が低くなり過ぎるため、離型処理がされたPETフィルム等の基材上に粘着剤塗工液を塗工すると、粘着剤塗工液が基材表面で弾かれてしまい、平滑な塗膜を形成することができない。一方、上記比率が0.48を超えると、プレポリマーの重合度が高くなり過ぎるため、粘着剤塗工液が塗工後にレベリング(平滑化)しにくく平滑な表面を有する塗膜が形成されなかったり、粘着剤塗工液の乾燥時に塗膜表面に皮張り(溶剤が少ない膜の形成)が生じるとともに基材側に溶剤成分が残りやすくなることで溶剤成分の揮発が円滑に行われず発泡が生じたりしてしまう。したがって、上記比率が0.24〜0.48の範囲外であると、均一な膜厚で、平滑な表面を有するポリウレタンの粘着シートを得ることができない。
[ポリウレタンのプレポリマー]
上記プレポリマーは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分(A)の反応物であり、下記式(A)に示した構造を有する。
Figure 2018024751
上記式(A)中、Rは、ポリイソシアネート成分(A)のNCO基を除いた部位を表し、R’は、ポリオール成分のOH基を除いた部位を表し、nは、繰り返し単位数を表す。
上記プレポリマーの数平均分子量は、8000以下である。上記数平均分子量が8000を超えると、プレポリマーの重合度が高くなり過ぎるため、粘着剤塗工液が塗工後にレベリング(平滑化)しにくく平滑な表面を有する塗膜が形成されなかったり、粘着剤塗工液の乾燥時に塗膜表面に皮張り(溶剤が少ない膜の形成)が生じるとともに基材側に溶剤成分が残りやすくなることで溶剤成分の揮発が円滑に行われず発泡が生じたりしてしまう。一方、上記数平均分子量の好ましい下限は、5000である。上記数平均分子量が5000未満であると、プレポリマーの重合度が低くなり過ぎることで粘着剤塗工液の粘度が低くなり過ぎるため、離型処理がされたPETフィルム等の基材上に粘着剤塗工液を塗工すると、粘着剤塗工液が基材表面で弾かれてしまい、平滑な塗膜を形成することができないおそれがある。上記数平均分子量は、プレポリマーのNCO/OH比率等によって調整できる。
上記プレポリマーの重量平均分子量は、15万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量が15万を超えると、プレポリマーの重合度が高くなり過ぎるため、粘着剤塗工液が塗工後にレベリング(平滑化)しにくく平滑な表面を有する塗膜が形成されなかったり、粘着剤塗工液の乾燥時に塗膜表面に皮張り(溶剤が少ない膜の形成)が生じるとともに基材側に溶剤成分が残りやすくなることで溶剤成分の揮発が円滑に行われず発泡が生じたりしてしまうおそれがある。一方、上記重量平均分子量の好ましい下限は、2万である。上記重量平均分子量が2万未満であると、プレポリマーの重合度が低くなることで粘着剤塗工液の粘度が低くなり過ぎるため、離型処理がされたPETフィルム等の基材上に粘着剤塗工液を塗工すると、粘着剤塗工液が基材表面で弾かれてしまい、平滑な塗膜を形成することができないおそれがある。上記重量平均分子量は、プレポリマーのNCO/OH比率等によって調整できる。
上記プレポリマーは、重量平均分子量が100万以上の高分子量成分を含まないことが好ましい。そのような高分子量成分を含むと、粘着剤塗工液の塗工及び乾燥時に、発泡が生じやすくなり、またゲル状の固形物が生成され(粘着剤塗工液の粘度が上がり過ぎるとゲル状になる)、均一な膜厚で、平滑な表面を有するポリウレタンの粘着シートを得ることができないおそれがある。高分子量成分の含有量は、プレポリマーのNCO/OH比率等によって調整できる。プレポリマーの調製時にイソシアネート基と水酸基の比率(NCO/OH)が溶剤中で一定となるように、均一分散させてから重合を開始することにより、部分的にイソシアネート基が多量となり高分子量化することを防止できる。
[ポリイソシアネート成分(B)]
上記ポリイソシアネート成分(B)は、上記ポリイソシアネート成分(A)と同種のポリイソシアネートであってもよいし、異なる種類のポリイソシアネートであってもよい。すなわち、上記ポリイソシアネート成分(B)としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネートを用いることができる。また、上記ポリイソシアネート成分(B)は、好ましくは、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートである。上記エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物は、1分子当たり3個以上のエチレンオキシドユニットを有するものが好適である。
上記粘着剤塗工液において、上記ポリオール成分中の水酸基の数に対する上記ポリイソシアネート成分(A)及び(B)中のイソシアネート基の総数の比率(NCO/OH)は、0.24〜0.48の範囲に調整されることが好ましい。上記比率が0.24未満の場合、ポリウレタンが充分に熱硬化しないおそれがある。上記比率が0.48を超える場合、ポリウレタンが硬くなり、粘着シートに要求される粘着力や柔軟性を確保することができないおそれがある。
[有機溶剤]
上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、トルエン、ジメチルホルムアミド、キシレン、酢酸エチル等を用いることができる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
[タッキファイヤー]
上記粘着剤塗工液は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有してもよい。タッキファイヤーは、粘着力を向上するために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。粘着剤塗工液がタッキファイヤーを含有することで、ポリウレタンからなる粘着シートの粘着力を向上させることができる。
上記タッキファイヤーとしては特に限定されず、例えば、石油樹脂系タッキファイヤー、炭化水素樹脂系タッキファイヤー、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー等を含むものが挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。石油樹脂系タッキファイヤー及び炭化水素樹脂系タッキファイヤーは、オレフィン骨格を有するポリオール成分との相溶性に優れている。
上記石油樹脂系タッキファイヤーとしては、ジシクロペンタジエンと芳香族化合物の共重合体を水素添加して得られる水添石油樹脂が好適に用いられる。ジシクロペンタジエンは、C5留分から得られる。上記芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。ジシクロペンタジエンとビニル芳香族化合物との割合は特に限定されないが、重量基準で、ジシクロペンタジエン:ビニル芳香族化合物=70:30〜20:80であることが好ましく、60:40〜40:60であることがより好ましい。上記水添石油樹脂の好ましい軟化点は90〜160℃、好ましいビニル芳香族化合物単位含有量は35質量%以下、好ましい臭素価は0〜30g/100g、好ましい数平均分子量は500〜1100である。上記水添石油樹脂のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の「アイマーブP−100」が挙げられる。
上記炭化水素樹脂系タッキファイヤーとしては、脂環族飽和炭化水素樹脂が好適に用いられる。上記脂環族飽和炭化水素樹脂のうち公知のものとしては、例えば、荒川化学工業社製の「アルコンP−100」が挙げられる。
上記タッキファイヤーは、酸価が1mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が1mgKOH/g以下であれば、タッキファイヤーがポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害するのを充分に防止することができる。また、タッキファイヤーの軟化点は、80℃以上、120℃以下であることが好ましく、80℃以上、100℃以下であることがより好ましい。軟化点が80℃以上、120℃以下である場合には、タッキファイヤーをポリオール成分中に溶解させる際に、ポリオール成分が熱によって劣化してしまうのを充分に防止することができる。
上記タッキファイヤーの含有量は、粘着剤塗工液に対して、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。タッキファイヤーの含有量が1重量%未満である場合には、粘着シートの粘着力を充分に向上できないことがあり、特に、高温・高湿下における粘着力が不充分になることがある。タッキファイヤーの含有量が20重量%を超える場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害し、熱硬化したポリウレタン中にウレタン架橋が充分に形成されなくなることがある。その結果、高温・高湿下において粘着シートが溶解して形状が変化したり、タッキファイヤーが析出(ブリード)したりすることがある。また、ウレタン架橋を充分に形成するためにポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応時間を長くすると、生産性が低下する。
[可塑剤]
上記粘着剤塗工液は、更に、可塑剤を含有してもよい。可塑剤の添加により、低硬度化されることで、粘着シートの取り扱い性や段差追従性を向上することができる。
上記可塑剤としては、熱可塑性樹脂に柔軟性を付与するために用いられる化合物であれば特に限定されないが、相溶性及び耐候性の観点から、カルボン酸系可塑剤を含むことが好ましい。上記カルボン酸系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル(フタル酸系可塑剤)や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリ−α−オレフィン等が挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。上記カルボン酸系可塑剤のうち公知のものとしては、例えば、BASF社製の「DINCH」、新日本理化社製の「サンソサイザーDUP」、イオネスオリゴマーズ社製の「Durasyn(登録商標)148」が挙げられる。
[触媒]
上記粘着剤塗工液は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記触媒としては、非アミン系触媒が好ましい。アミン系触媒を用いる場合、粘着シートが変色しやすくなることがある。より好ましい触媒は、ジラウリル酸ジメチル錫である。
上記触媒の添加量は、例えば、ポリオール成分、及び、ポリイソシアネート成分(A)の合計量に対して、0.001重量%以上、0.1重量%以下である。
[モノイソシアネート成分]
上記粘着剤塗工液は、更に、モノイソシアネート成分を含有してもよい。モノイソシアネート成分を含有することにより、粘着シートに要求される柔軟性を損なうことなく、高温・高湿下における粘着力を向上することができる。
上記モノイソシアネート成分は、分子内に1個のイソシアネート基を有する化合物であり、その具体例としては、例えば、オクタデシルジイソシアネート(ODI)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(AOI)、イソシアン酸オクチル、イソシアン酸ヘプチル、3−イソシアナートプロピオン酸エチル、イソシアン酸シクロペンチル、イソシアン酸シクロヘキシル、2−メトキシエタンイソシアネート、イソシアナート酢酸エチル、イソシアナート酢酸ブチル、p−トルエンスルフォニルイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。モノイソシアネート成分としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)が好ましい。これは、ポリオール成分との相溶性が良く、疎水性が高いためである。
しかしながら、粘着剤塗工液がモノイソシアネート成分を含有する場合には、モノイソシアネート成分が従来のウレタン骨格を阻害するために特性が低下することがある。また、モノイソシアネート成分が過剰に含有されると、空気中の水分と反応して発泡を引き起こすことがある。このため、設計のロバスト性を考慮すると、粘着剤塗工液は、モノイソシアネート成分を含有しないことが好ましい。
上記粘着剤塗工液には、粘着シートの要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、着色剤、安定剤、酸化防止剤、防徽剤、難燃剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
上記プレポリマーと上記有機溶剤の混合物は、23℃での粘度が500〜8000mPa・sであることが好ましい。粘着剤塗工液の塗工は、工程の簡素化の観点から、室温で行うことが好ましく、上記プレポリマーと上記有機溶剤の混合物の23℃での粘度を上記範囲内に制御することが最適な塗工状態を確保するのに有効である。23℃での粘度が500mPa・s未満であると、離型処理がされたPETフィルム等の基材上に粘着剤塗工液を塗工すると、粘着剤塗工液が基材表面で弾かれてしまい、平滑な塗膜を形成することができないおそれがある。23℃での粘度が8000mPa・sを超えると、粘着剤塗工液が塗工後にレベリング(平滑化)しにくく平滑な表面を有する塗膜が形成されなかったり、粘着剤塗工液の乾燥時に塗膜表面に皮張りが生じるとともに基材側に有機溶剤が残りやすくなることで有機溶剤の揮発が円滑に行われず発泡が生じたりしてしまうおそれがある。
また、上記プレポリマーと上記有機溶剤の混合物は、80℃での粘度が100〜1000mPa・sであることが好ましい。粘着剤塗工液の塗工後の乾燥は、乾燥炉内で行うことが好ましく、乾燥炉内の温度としては、例えば、80℃が好適である。乾燥炉内では粘着剤塗工液の温度上昇に伴い粘度が低下するため、上記プレポリマーと上記有機溶剤の混合物の80℃での粘度を上記範囲内に制御することで固化前の塗膜状態が悪化することを防止できる。80℃での粘度が100mPa・s未満であると、粘着剤塗工液が基材表面で弾かれてしまい、平滑な塗膜を形成することができないおそれがある。80℃での粘度が1000mPa・sを超えると、粘着剤塗工液がレベリング(平滑化)しにくく平滑な表面を有する塗膜が形成されなかったり、塗膜表面に皮張りが生じるとともに基材側に有機溶剤が残りやすくなることで有機溶剤の揮発が円滑に行われず発泡が生じたりしてしまうおそれがある。
(粘着剤塗工液の塗工・乾燥工程)
粘着剤塗工液の塗工・乾燥工程では、乾燥後の厚みが20〜550μmとなる量の上記粘着剤塗工液を塗工して乾燥する。粘着剤塗工液を乾燥することにより、有機溶剤が除去されるとともに、プレポリマーとポリイソシアネート成分(B)とが熱硬化反応し、基材上に20〜550μmの厚みを有するポリウレタン塗膜が形成される。この塗膜は、粘着性を有するものであり、粘着シートとして用いることができる。
上記乾燥後の厚みを20μm未満とすると、製造コストの面で本発明の製造方法を用いる優位性が小さくなり、また充分な粘着性が得られないことがある。上記乾燥後の厚みを550μmよりも大きくすると、粘着剤塗工液の塗工及び乾燥時に、皮張りや残留溶剤により発泡が生じてしまう。したがって、均一な膜厚で、平滑な表面を有するポリウレタンの粘着シートを得ることができない。上記乾燥後の厚みは、150〜200μmであることが好ましい。
上記粘着剤塗工液を塗工するための基材は、ポリウレタン塗膜の支持体となるものであれば、その種類は特に限定されないが、離型フィルムが好適である。離型フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが挙げられる。離型フィルムのポリウレタン塗膜側の表面には易剥離処理(離型処理)が施されていてもよい。易剥離処理としては、例えば、シリコン処理が挙げられる。
上記粘着剤塗工液の塗工方法は特に限定されず、粘着剤塗工液の粘度等に応じて適宜選択することができる。公知の各種コーティング装置(コーター)を用いて、バーコート、ドクターブレード、遠心成形法等の公知の塗工方法を実施してもよい。
上記粘着剤塗工液の乾燥方法は、粘着剤塗工液中の有機溶剤を除去できれば特に限定されず、有機溶剤の沸点等に応じて適宜選択することができる。また、プレポリマーとポリイソシアネート成分(B)との熱硬化反応を進行させる観点から、加熱されることが好ましい。
本発明の粘着シートの製造方法の具体例としては、まず、所定量のタッキファイヤーを、ポリオール成分に添加し、加温及び攪拌して溶解させることによって、マスターバッチを調製する。続いて、得られたマスターバッチ、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分(A)、及び、必要に応じて触媒等の他の成分を混合し、ミキサー等で攪拌することによって、液状又はゲル状の混合溶液を得る。この混合溶液にポリイソシアネート成分(B)を添加し、粘着剤塗工液を得る。得られた粘着剤塗工液は即座に製造装置に投入し、第一及び第二の離型フィルムによって挟んだ状態で粘着剤塗工液を移動させながら架橋硬化させることで、半硬化状態のポリウレタンが第一及び第二の離型フィルムと一体化されたシートを得る。その後、炉で一定時間架橋反応させることで、ポリウレタンからなる粘着シートが完成する。
図1は、本発明の粘着シートの製造方法の一例を説明するための図であり、(a)は、工程フロー図であり、(b)は、製造装置の構成の概要を示した斜視模式図であり、(c)は、製造装置の構成の概要を示した断面模式図である。図1に示した製造装置40では、連続的に繰り出された離型フィルム(基材)21の一方の面上に、硬化前の液状又はゲル状の粘着剤塗工液23を塗工(コーティング)し、未硬化の塗膜24を形成する。離型フィルム(基材)21としては、シリコン処理等の表面処理が施されたPETフィルムが好適に用いられる。塗工方法は、コンマダイレクト方式であってもよいし、リップコーター方式であってもよい。図1(b)及び(c)では、コンマダイレクト方式を用いる場合の装置構成が示されている。塗工温度は、室温であることが好ましい。
未硬化の塗膜24は、乾燥炉45内に搬入され、加熱乾燥される。乾燥炉45内において、硬化反応(架橋反応)が進行し、塗膜24から、ポリウレタンからなる粘着シート12が得られる。乾燥温度としては、上述したように80℃が好適であるが、150℃まで昇温してもよい。得られた粘着シート12の露出した粘着面には、離型フィルムが貼合わせ(ラミネート)されてもよい。離型フィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリオレフィン(PO)フィルムを用いることができる。離型フィルムの粘着シート12に対する貼合せ面には、貼合わせ前に、コロナ処理等の表面処理がされてもよい。離型フィルムの貼合わせ後、離型フィルム21、ポリウレタンからなる粘着シート12及び離型フィルムからなる積層フィルムの巻き取りが行われる(製品巻き取り)。
図2は、コンマダイレクト方式の塗工方法を説明するための断面図である。図2に示したコンマダイレクト方式では、容器44に入れられた粘着剤塗工液23を、離間して配置されたコーティングロール43とコンマロール42との間の隙間を通過した離型フィルム(基材)21上に塗工し、塗膜24を形成する。粘着剤塗工液23の塗布量は、コンマロール42とコーティングロール43の間の隙間の大きさによって調整できる。コンマダイレクト方式は、塗膜24を厚く形成する場合に適している。
図3は、リップコーター方式の塗工方法を説明するための断面図である。図3に示したリップコーター方式では、回転するコーティングロール43とリップコーター49との間の隙間を通過した離型フィルム(基材)21の下面に粘着剤塗工液23を塗工し、塗膜24を形成する。リップコーター49を用いれば、給液から塗工まで粘着剤塗工液23を空気に触れさせずに密閉状態にしたまま塗工することができる。リップコーター方式は、塗膜24の厚みを高精度に制御する場合に適している。
本発明の粘着シートの製造方法により製造される粘着シートもまた、本発明の一態様である。すなわち、本発明の粘着シートは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分(A)の反応物であるポリウレタンのプレポリマーと、ポリイソシアネート成分(B)との反応物からなるポリウレタンからなる粘着シートであって、上記ポリオール成分中の水酸基の数に対する上記ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の数の比率(NCO/OH)は、0.24〜0.48であり、上記プレポリマーの数平均分子量は、8000以下であり、厚みが20〜550μmであることを特徴とする。粘着シートの好ましい厚みは、150〜200μmである。
上記ポリウレタンは、アクリル変性されていないことが好ましく、主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。ポリウレタンがアクリル変性されると、疎水化されるため、高温・高湿下において水分の凝集が生じやすくなる。この水分の凝集は、白化、発泡等を引き起こし、光学特性を損なうことがある。したがって、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物をアクリル変性されていないものとすることで、高温・高湿下において白化、発泡等による光学特性の低下を防止することができる。
本発明の粘着シートは、ポリウレタンからなり、柔軟であるため、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。
本発明の粘着シートは、光学透明粘着シートとして好適に用いられる。光学透明粘着シートとしての性能を確保するためには、ヘイズが1%以下であること、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。ヘイズ及び全光線透過率は、例えば、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて測定することができる。ヘイズは、JIS K 7136に準拠した方法で測定され、全光線透過率は、JIS K 7361−1に準拠した方法で測定される。
本発明の粘着シートは、180°剥離試験で測定される粘着力が、常温・常湿下において10N/25mm以上であることが好ましく、高温・高湿下において1.0N/25mm以上であることが好ましい。180°剥離試験での粘着力は、常温・常湿下において、10N/25mm以上、15N/25mm以下であることがより好ましい。また、高温・高湿下において、4N/25mm以上、15N/25mm以下であることがより好ましく、10N/25mm以上、15N/25mm以下であることが更に好ましい。粘着シートの粘着力が15N/25mm以下であれば、タッチパネル等の光学部材の貼り合わせに用いた場合に、糊残りなく剥がすことができるので、リワーク性に優れる。また、粘着シートの粘着力が大きくなり過ぎると、粘着シートと被着体との間に入った気泡を抜くのが困難になることがある。なお、180°剥離試験の試験方法の詳細については後述する。
本発明の粘着シートの両面には離型フィルムが貼り付けられてもよい。本発明の粘着シートと、上記粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、上記粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものである積層体(以下、「本発明の積層体」ともいう)もまた、本発明の一態様である。ここで、本発明の粘着シートとは、本発明の粘着シートの製造方法により製造された粘着シート(A)、及び、本発明の粘着シート(B)の少なくとも一方に該当すればよい。第一及び第二の離型フィルムが貼り付けられることにより、本発明の粘着シートの表面を、被着物に貼り付ける直前まで保護することができる。これにより、粘着性の低下や、異物の付着を防止できる。また、被着物以外に貼りついてしまうことも防止できるので、本発明の粘着シートの取扱い性を向上することができる。
上記第一及び第二の離型フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリオレフィン(PO)フィルムを用いることができる。第一の離型フィルムと第二の離型フィルムの材質や厚みは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の粘着シートと第一の離型フィルムとの貼り合わせ強度(剥離強度)と、本発明の粘着シートと第二の離型フィルムとの貼り合わせ強度は、互いに異なることが好ましい。貼り合わせ強度に差があることにより、本発明の積層体から第一及び第二の離型フィルムの一方(貼り合わせ強度が弱い方の離型フィルム)のみを剥離し、露出させた粘着シートの第一の面と第一の被着体を貼り合わせ、その後に、第一及び第二の離型フィルムの他方(貼り合わせ強度が強い方の離型フィルム)を剥離し、露出させた粘着シートの第二の面と第二の被着体を貼り合わせる一連の貼り付け作業が容易になる。第一の離型フィルムの本発明の粘着シートと接する側の表面、及び、第二の離型フィルムの本発明の粘着シートと接する側の表面のいずれか一方、又は、両方に、易剥離処理(離型処理)が施されていてもよい。易剥離処理としては、例えば、シリコン処理が挙げられる。
図4は、図1の製造装置によって作製された本発明の積層体の一例を模式的に示した断面図である。図1の製造装置によれば、図4に示す離型フィルム21、ポリウレタンからなる粘着シート12及び離型フィルム22が順に積層された本発明の積層体が得られる。
本発明の粘着シートの用途は特に限定されないが、光学用粘着テープとして好適である。光学用粘着テープは、例えば、表示装置内の2以上の構成部材を互いに貼り合わせるのに用いられる。すなわち、本発明の粘着シートと、上記粘着シートによって接着された2以上の構成部材とを有する表示装置(以下、「本発明の表示装置」ともいう)もまた、本発明の一態様である。ここでも、本発明の粘着シートとは、本発明の粘着シートの製造方法により製造された粘着シート(A)、及び、本発明の粘着シート(B)の少なくとも一方に該当すればよい。表示装置内の構成部材としては、例えば、表示パネル、タッチパネル、カバーパネル等が挙げられる。
図5は、本発明の粘着シートを用いた表示装置の一例を模式的に示した断面図である。図5に示す表示装置10では、表示パネル11、粘着シート12、タッチパネル(ITO透明導電膜付きガラス基板)13、粘着シート12、及び、透明カバーパネル14が順に積層されている。表示パネル11、タッチパネル13、及び、透明カバーパネル14の3つの光学部材は、2枚の本発明の粘着シート12により一体化されている。本発明の粘着シート12は、柔軟であることから、表示装置の耐衝撃性を向上できる。
表示パネル11の種類は特に限定されず、例えば、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機ELパネル)等を用いることができる。タッチパネル13としては、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式等の検出方式のものが用いられる。本発明の粘着シート12は、ポリウレタンからなるため、誘電率が高く、従来のアクリル系樹脂からなる粘着シートよりも高い静電容量が得られる。このため、本発明の粘着シート12は、静電容量方式のタッチパネルの貼り合わせに好適である。
表示パネル11は、表示面側に開口が設けられたベゼル(表示パネル11の筐体)11A内に収容されており、ベゼル11Aの開口の外縁には、ベゼル11Aの厚みに対応した段差が存在する。粘着シート12は、表示パネル11、及び、ベゼル11Aの表示面側を覆って貼り付けられており、ベゼル11Aの厚みに対応した段差を被覆している。この場合、粘着シート12には、ベゼルの厚みによって形成される段差を被覆するために、段差部に追従することができる柔軟性と、ベゼルの厚みよりも厚いことが求められる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例における数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、以下のGPCシステム及び測定条件で測定された値である。なお、図6に、標準サンプルであるポリスチレンのGPC測定結果を示した。
装置:東ソー社製「HLC−8220」
カラム:ミックスカラム(2本連結)
東ソー社製「TSKguardcolumn HHR−H」+東ソー社製「TSKgel GMHHR−HHHR−」
移動相:クロロホルム
流速:1.0ml/min
測定温度:40℃
検出器:示差屈折計(RI)
標準サンプル:東ソー社製TSKgel標準ポリスチレン(A−500、A−1000、A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−128)
(配合原料)
下記の実施例及び比較例において、ポリウレタン粘着剤塗工液を調製するために用いた配合原料は以下の通りである。
(A)ポリオール成分
・ポリオレフィンポリオール(出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」、数平均分子量:3369)
(B)ポリイソシアネート成分
・HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)
(C)タッキファイヤー
・水添石油樹脂系タッキファイヤー(出光興産社製の「アイマーブP−100」)
(D)触媒
ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL−28」)
なお、図7に、ポリオレフィンポリオールのGPC測定結果を示し、図8に、水添石油樹脂系タッキファイヤーのGPC測定結果を示した。
HDI系ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)は、HDI及び/又はHDIモノマーを出発物質とするポリイソシアネートに対して、1分子当たり平均6個以上のエチレンオキシドユニットを有するエーテルポリオールを反応させて得られたものである。
(実施例1)
まず、120℃に温調したポリオレフィンポリオール(EPOL)に、固形状の水添石油樹脂系タッキファイヤー(アイマーブP−100)を添加し、攪拌することによって、ポリオレフィンポリオール中にタッキファイヤーを溶解させたマスターバッチを得た。このとき、マスターバッチにおけるタッキファイヤーの含有量は30重量%に調整した。次に、室温のトルエン909.6gに、ポリオレフィンポリオール(EPOL)514.8g、80℃に温調したタッキファイヤーマスターバッチ849.8gを少量ずつ混合攪拌し、不揮発分(トルエン以外の成分)を60重量%含むポリオール希釈溶液を2274g作製した。
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管及び滴下ロートを備えたフラスコに、ポリオール希釈溶液2000gと触媒マスターバッチ(触媒(ジラウリル酸ジメチル錫):1重量%、溶媒(EPOL):99重量%)6.032gとを入れ、HDI系ポリイソシアネート(変性HDI)56.38gをスポイトで滴下後、得られた混合溶液をオイルバスにより80℃まで昇温した。昇温完了後の混合溶液を80℃で3時間攪拌し、赤外線(IR)吸収スペクトルの測定結果によりイソシアネート基の反応が完了したことを確認した後、得られたプレポリマー溶液を回収した。プレポリマー溶液は、ポリオレフィンポリオール(EPOL)とHDI系ポリイソシアネート(変性HDI)の反応物であるポリウレタンのプレポリマーを含有するものであった。
プレポリマーの作製に使用したポリオレフィンポリオールとHDI系ポリイソシアネートの配合において、ポリオレフィンポリオール中の水酸基の数に対するHDI系ポリイソシアネート(変性HDI)中のイソシアネート基の数の比率(NCO/OH)は0.28であった。
プレポリマー溶液(プレポリマーと有機溶剤の混合物)は、無色透明であり、固形分が61.2重量%、23℃での粘度が550mPa・s、80℃での粘度が135mPa・sであった。粘度は、JIS K7117−1に準拠し、B型粘度計(ブルックフィールド回転粘度計)で測定した。プレポリマー溶液に含まれるプレポリマーは、数平均分子量(Mn)が6015、重量平均分子量(Mw)が21562であった。図9に、実施例1のプレポリマー溶液のGPC測定結果を示した。
プレポリマー溶液100gに対し、HDI系ポリイソシアネート(変性HDI)を2.73g添加し、粘着剤塗工液を作製した。得られた粘着剤塗工液を離型フィルム(PETフィルム)上に厚み50μmとなるように塗工し、乾燥機にて120℃で3分間加熱し、溶媒の気化及び架橋反応を完了させ、熱硬化ポリウレタンからなる厚み50μmの粘着シートを得た。
熱硬化ポリウレタンの作製に使用したポリオレフィンポリオールとHDI系ポリイソシアネートの配合において、ポリオレフィンポリオール中の水酸基の数に対するHDI系ポリイソシアネート(変性HDI)中のイソシアネート基の数の比率(NCO/OH)は0.55であった。この値をα比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)に換算すると1.8である。
(実施例2、3、及び、比較例1〜3)
プレポリマーの作製時のHDI系ポリイソシアネートの滴下量を、下記表1に示したプレポリマー作製時のNCO/OH比率を満たすように変更し、かつ、熱硬化ポリウレタンの作製に使用するポリオレフィンポリオールとHDI系ポリイソシアネートの総配合量が実施例1と同じになるように、プレポリマー溶液に添加するHDI系ポリイソシアネートの量を調整したことや、粘着シートの厚みを変更したことを除いて実施例1と同様にして、実施例2、3及び比較例1〜3を実施した。
実施例及び比較例で作製したプレポリマーの配合(NCO/OH比率)や物性の測定結果、熱硬化ポリウレタンの配合(NCO/OH比率)、及び、粘着シートの厚みを下記表1にまとめて示す。図10に、実施例2のプレポリマー溶液のGPC測定結果を示し、図11に、比較例2のプレポリマー溶液のGPC測定結果を示した。
Figure 2018024751
(実施例及び比較例の評価)
実施例及び比較例の評価結果を下記表2にまとめて示す。評価方法の詳細は、以下のとおりである。なお、粘着シートの評価は、実施例1〜3のみについて実施した。
(塗工液の弾き)
粘着剤塗工液を離型フィルム(PETフィルム)上に塗工した際に、離型フィルムの表面で粘着剤塗工液が弾かれたか否かを目視で確認した。なお、粘着剤塗工液の弾きが発生した場合には、製膜できないため、粘着シートは作製できなかった。
(塗工液の発泡)
粘着剤塗工液を離型フィルム上に塗工した直後に、粘着剤塗工液の表面を目視で観察し、残留溶剤による発泡が発生しているか否かを確認した。
(塗工液表面の平滑性)
粘着剤塗工液を離型フィルム上に塗工した直後に、粘着剤塗工液の表面が平滑であるか否かを目視で確認した。
(粘着力)
下記の方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。図12は、実施例の粘着シートの粘着力の評価方法を説明するための模式図である。まず、実施例で作製した離型フィルム付き粘着シートを、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。この試験片の粘着シート12側を、長さ75mm×幅25mmのスライドガラス31に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、粘着シート12とスライドガラス31とを貼り合わせた。次に、離型フィルムを剥離し、図12(a)に示すように、粘着シート12のスライドガラス31とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)32を貼り合わせた。
その後、常温・常湿(温度23℃、湿度50%)下で12時間放置した後、図12(b)に示すように、PETシート32を180°方向に引っ張り、粘着シート12をスライドガラス31との界面で剥離させ、スライドガラス31に対する粘着シート12の粘着力を測定した。なお、各実施例に対しては、2つの試験片を準備して測定した。得られた2つの測定値の平均値を、各実施例における測定結果とした。
(糊残り)
上記方法で粘着力を測定した後の、粘着シート12が剥離された後のスライドガラス31の表面を目視で確認し、糊残りが発生しているか否かを確認した。
(光学特性)
離型フィルム付き粘着シートの粘着シート側をスライドガラスに貼り付け、圧力0.4Mpaで30分間保持し、粘着シートとスライドガラスとを貼り合わせた。その後、離型フィルムを剥離し、以下の測定を行った。
(1)ヘイズの測定
日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて、JIS K 7136に準拠した方法でヘイズを測定した。なお、各実施例に対して、3つの試験片を準備し、常温・常湿下で測定した。得られた3つの測定値の平均値を、各実施例における測定結果とした。
(2)全光線透過率の測定
日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて、JIS K 7361−1に準拠した方法で全光線透過率を測定した。なお、各実施例に対して、3つの試験片を準備し、常温・常湿下で測定した。得られた3つの測定値の平均値を、各実施例における測定結果とした。
Figure 2018024751
表2から分かるように、実施例1〜3の粘着シートは、適度な粘着性を有し、ヘイズが低く、全光線透過率が高いものであった。したがって、光学透明粘着(OCA)シートとして好適に用いることができる。一方、プレポリマー作製時のNCO/OH比率を小さくした比較例1の粘着剤塗工液は、塗工液の弾きが発生し、粘着シートを製膜することができなかった。また、プレポリマー作製時のNCO/OH比率を大きくした比較例2の粘着剤塗工液は、塗工液の発泡が生じ、平滑な表面を有する粘着シートを得ることができなかった。更に、粘着シートの厚みを600μmにした比較例3の粘着剤塗工液は、塗工液の発泡が生じ、平滑な表面を有する粘着シートを得ることができなかった。
10 表示装置
11 表示パネル
11A ベゼル
12 粘着シート
13 タッチパネル
14 透明カバーパネル
21、22 離型フィルム
23 粘着剤塗工液
24 (未硬化の)塗膜
31 スライドガラス
32 PETシート
40 製造装置
42 コンマロール
43 コーティングロール
44 容器
45 乾燥炉
49 リップコーター

Claims (8)

  1. ポリウレタンからなる粘着シートを製造する方法であって、
    少なくとも、ポリオール成分とポリイソシアネート成分(A)の反応物である前記ポリウレタンのプレポリマーと、ポリイソシアネート成分(B)と、有機溶剤とを含有する粘着剤塗工液を調製する工程と、
    乾燥後の厚みが20〜550μmとなる量の前記粘着剤塗工液を塗工して乾燥する工程とを含み、
    前記ポリオール成分中の水酸基の数に対する前記ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の数の比率(NCO/OH)は、0.24〜0.48であり、
    前記プレポリマーの数平均分子量は、8000以下である
    ことを特徴とする粘着シートの製造方法。
  2. 前記プレポリマーの重量平均分子量は、15万以下であることを特徴とする請求項1に記載の粘着シートの製造方法。
  3. 前記プレポリマーは、重量平均分子量が100万以上の高分子量成分を含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シートの製造方法。
  4. 前記プレポリマーと前記有機溶剤の混合物の23℃での粘度は、500〜8000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
  5. 前記プレポリマーと前記有機溶剤の混合物の80℃での粘度は、100〜1000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シートの製造方法。
  6. ポリオール成分とポリイソシアネート成分(A)の反応物であるポリウレタンのプレポリマーと、ポリイソシアネート成分(B)との反応物からなるポリウレタンからなる粘着シートであって、
    前記ポリオール成分中の水酸基の数に対する前記ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基の数の比率(NCO/OH)は、0.24〜0.48であり、
    前記プレポリマーの数平均分子量は、8000以下であり、
    厚みが20〜550μmである
    ことを特徴とする粘着シート。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シートの製造方法により製造された粘着シート(A)、又は、請求項6に記載の粘着シート(B)と、前記粘着シート(A)又は(B)の一方の面を覆う第一の離型フィルムと、前記粘着シート(A)又は(B)の他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする積層体。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シートの製造方法により製造された粘着シート(A)、又は、請求項6に記載の粘着シート(B)と、前記粘着シート(A)又は(B)によって接着された2以上の構成部材とを有することを特徴とする表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020032646A (ja) * 2018-08-30 2020-03-05 大日本印刷株式会社 転写シート

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