JP5987135B1 - 光学透明粘着シート、光学透明粘着シートの製造方法、積層体、及び、タッチパネル付き表示装置 - Google Patents
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Description
更に、OCAシートに求められる重要な特性は粘着力であり、ガラスに対する粘着力が評価指標として一般的に用いられている。これらに加えて、OCAシートには、使用環境に変化が生じても物性に変化が無いことが求められる。
また、本発明の光学透明粘着シートの製造方法によれば、上記光学透明粘着シートを好適に製造することができる。本発明の積層体によれば、本発明の光学透明粘着シートの取扱い性を向上することができる。本発明のタッチパネル付き表示装置によれば、表示画面の視認性を向上することができる。
上記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有するものであり、すなわち主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されている。オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,2−ポリクロロプレンポリオール、1,4−ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。上記ポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。
ポリイソシアネート成分は、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートである。脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートを用いることにより、光学透明粘着シートの着色や変色がより発生しにくく、長期に渡って光学透明粘着シートの透明性をより確実に確保することができる。また、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物を反応させた変性体とすることによって、ポリイソシアネート成分は、親水性部分(エチレンオキシドユニット)の作用によって白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット)の作用によって低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性を発揮することができる。
本発明において、熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有する。タッキファイヤーは、粘着力を向上するために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。熱硬化性ポリウレタン組成物がタッキファイヤーを含有することで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートは、その両面において充分な粘着力を有する。
本発明において、熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。可塑剤の添加により、低硬度化されることで、本発明の光学透明粘着シートの取り扱い性や段差追従性を向上することができる。なお、可塑剤の添加により接着力は低下するおそれがあるが、本発明の光学透明粘着シートによれば、多少接着力が低下しても充分な接着力を確保できる。
本発明において、熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、モノイソシアネート成分を含有してもよい。モノイソシアネート成分を含有することにより、光学透明粘着シートに要求される柔軟性を損なうことなく、高温・高湿下における粘着力を向上することができる。熱硬化性ポリウレタン組成物のα比が1以上である場合には、硬化物中に未反応のOH基が残存することを防止するために、モノイソシアネート成分が用いられることが好ましい。
下記の実施例及び比較例において、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製するために用いた配合原料は以下の通りである。
(A)ポリオール成分
・ポリオレフィンポリオール(出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」、数平均分子量:2500)
・ポリカーボネートポリオール(東ソー社製の「L34」、数平均分子量:500)
(B)ポリイソシアネート成分
・HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネートA(東ソー社製)
・HDI系ポリイソシアネートB(東ソー社製)
・HDI系ポリイソシアネートC(東ソー社製)
・HDI系ポリイソシアネートD(東ソー社製の「コロネート4022」)
・IPDI(イソホロンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(住化バイエルウレタン社製の「デスモジュールI」)
(C)タッキファイヤー
・水添石油樹脂系タッキファイヤー(出光興産社製の「アイマーブP−100」)
・ロジンジオール系タッキファイヤー(荒川化学工業社製の「KE−601」)
(D)可塑剤
・1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル80%とアジピン酸系ポリエステル20%の混合物(BASF社製の「OFH55」、BASF社製の「DINCH」の約20%をアジピン酸系ポリエステルに置換したもの)
・1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(BASF社製の「DINCH」)
・フタル酸ジウンデシル(新日本理化社製の「サンソサイザーDUP」)
・ポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製の「Durasyn(登録商標)148」、1−ドデセンのホモポリマーを水素化したもの
(E)触媒
ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL−28」)
まず、120℃に温調したポリオレフィンポリオール(EPOL)に、固形状の水添石油樹脂系タッキファイヤー(アイマーブP−100)を添加し、攪拌することによって、ポリオレフィンポリオール中にタッキファイヤーを溶解させたマスターバッチを得た。このとき、マスターバッチにおけるタッキファイヤーの含有量は30重量%に調整した。次に、ポリオレフィンポリオール(EPOL)100重量部、HDI系ポリイソシアネートB36.5重量部、タッキファイヤーマスターバッチ186.9重量部、及び、触媒(ジラウリル酸ジメチル錫)0.02重量部を、往復回転式撹拌機アジター(AJITER)を用いて1分30秒間攪拌混合し、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。
下記表1に示したように配合を変更したことを除いて実施例1と同様にして、実施例2〜8及び比較例1〜4に係る離型フィルム付き光学透明粘着シートをそれぞれ作製した。なお、実施例8は、光学透明粘着シート12の厚みを1000μmにしたこと以外は、実施例7と同様である。
実施例及び比較例で作製した離型フィルム付き光学透明粘着シートについて、下記の方法により、(1)マイクロゴムA硬さの測定、(2)粘着力の評価、(3)光学特性の評価、(4)紫外線暴露後の黄変の評価、及び、(5)耐久性の評価を行った。結果を表2に示した。
離型フィルム付き光学透明粘着シートを、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。各試験片について、高分子計器社製のマイクロゴム硬度計「MD−1タイプA」を用いて、常温における硬度を測定した。なお、本測定では、直径が0.16mmの円柱形で、高さが0.5mmの押針を用いた。また、各実施例及び比較例に対して、1つの試験片を準備して4回ずつ測定した。得られた4つの測定値のメジアン(中央値)を、各実施例及び比較例における測定結果とした。
下記の方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。図4は、実施例及び比較例の光学透明粘着シートの粘着力の評価方法を説明するための模式図である。まず、実施例及び比較例で作製した離型フィルム付き光学透明粘着シートを、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。この試験片の片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート12側を、長さ75mm×幅25mmのスライドガラス31に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、光学透明粘着シート12とスライドガラス31とを貼り合わせた。次に、スライドガラス31とは反対側の離型フィルムを剥離し、図4(a)に示すように、光学透明粘着シート12のスライドガラス31とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)32を貼り合わせた。
離型フィルム付き光学透明粘着シートの片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート側をスライドガラスに貼り付け、圧力0.4Mpaで30分間保持し、光学透明粘着シートとスライドガラスとを貼り合わせた。その後、スライドガラスとは反対側の離型フィルムを剥離し、以下の測定を行った。
日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて、JIS K 7136に準拠した方法でヘイズを測定した。なお、各実施例及び比較例に対して、3つの試験片を準備し、常温・常湿下で測定した。得られた3つの測定値の平均値を、各実施例及び比較例における測定結果とした。
日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて、JIS K 7361−1に準拠した方法で全光線透過率を測定した。なお、各実施例及び比較例に対して、3つの試験片を準備し、常温・常湿下で測定した。得られた3つの測定値の平均値を、各実施例及び比較例における測定結果とした。
離型フィルム付き光学透明粘着シートの両面から離型フィルムを剥離し、両面がスライドガラスに挟み込まれた光学透明粘着シートの試験片を準備した。この試験片を、スーパーキセノンウェザーメーターを用いて、照射波長:300〜400nm、照度:68W/m2、60℃固定(降雨なし)の条件下に72時間暴露した。その後、色差計(スガ試験機社製の「Colour Cute i」)のΔYI値を評価指標として黄変度を評価した。なお、紫外線暴露後の黄変度は、車載用途等において長期(例えば、10年間)に渡って紫外線に晒されたとしても透明度を維持できる性能が求められることを考慮し、1.0以下を目標値とした。
離型フィルム付き光学透明粘着シートの片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート側をスライドガラス(ソーダガラス製)に貼り付け、圧力0.4Mpaで30分間保持し、光学透明粘着シートとスライドガラスとを貼り合わせた。その後、スライドガラスとは反対側の離型フィルムを剥離し、高温・常湿下(95℃)、高温・高湿下(85℃、85%)でそれぞれ168時間放置した後、目視により光学透明粘着シートの状態を観察した。なお、高温・常湿条件では、送風オーブンにより温度のみを95℃に設定し、湿度の設定はしなかった。
11 表示パネル
11A ベゼル
12 光学透明粘着シート
13 タッチパネル
14 透明カバーパネル
20 成形装置
21 離型フィルム
22 ロール
23 熱硬化性ポリウレタン組成物
24 加熱装置
31 スライドガラス
32 PETシート
Claims (7)
- 熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートであって、
前記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、タッキファイヤーを含有し、
前記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有し、
前記ポリイソシアネート成分は、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートである
ことを特徴とする光学透明粘着シート。 - 前記タッキファイヤーは、ジシクロペンタジエンと芳香族化合物の共重合体を水素添加して得られる水添石油樹脂、及び、脂環族飽和炭化水素樹脂の少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学透明粘着シート。
- 前記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学透明粘着シート。
- 前記可塑剤は、カルボン酸系可塑剤を含むことを特徴とする請求項3に記載の光学透明粘着シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光学透明粘着シートを製造する方法であって、
前記ポリオール成分、前記ポリイソシアネート成分、及び、前記タッキファイヤーを攪拌混合して前記熱硬化性ポリウレタン組成物を調製する工程と、
前記熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含むことを特徴とする光学透明粘着シートの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の光学透明粘着シートと、前記光学透明粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、前記光学透明粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする積層体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光学透明粘着シートと、表示パネルと、タッチパネルとを備えることを特徴とするタッチパネル付き表示装置。
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