JP2017101161A - 透明粘接着剤の剥離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被着体に貼り付けた透明粘接着剤を、被着体の損傷を防止しつつ容易に剥離することができる透明粘接着剤の剥離方法を提供する。【解決手段】 タッチパネル又は表示パネル等の被着体と、光学透明粘着シート等の透明粘接着剤とを貼り合わせた構造体における上記透明粘接着剤に、上記透明粘接着剤を膨潤させる薬液を含浸させることにより、上記透明粘接着剤の粘着力を低下させ、上記透明粘接着剤を剥離する透明粘接着剤の剥離方法である。【選択図】 図3
Description
本発明は、透明粘接着剤の剥離方法に関する。
近年、スマートフォン、タブレットPC、携帯型ゲーム機、カーナビゲーション装置等の分野でタッチパネルの需要が急速に伸びており、これに伴い、タッチパネルを他の光学部材に貼り合わせるために用いられる光学透明粘着シート(OCA:Optical Clear Adhesive)の需要も増加している。OCAは、光学部材の貼り合わせに利用される透明な粘着シートである。タッチパネルを備えた表示装置は、通常では、液晶ディスプレイ等の表示パネル、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル)、及び、透明導電膜を保護するカバーパネル等の光学部材が積層された構造を有し、光学部材間の貼り合わせにOCAが用いられている。
OCAに関する先行技術としては、例えば、特定の変性ポリイソシアネートと、液状ポリカーボネートジオールを含有するポリオールとからなる接着剤、または粘着剤として使用される光学部材用ポリウレタン樹脂形成性組成物を開示した特許文献1が挙げられる。
タッチパネル付き表示装置の製造において、表示パネル、タッチパネル、カバーパネル等のパネル部材を光学透明粘着シートで互いに貼り合せる工程では、貼り合わせ不良が多く発生している。表示パネル及びタッチパネルは高価であるため、貼り合わせ不良が発生した場合には、表示パネル及びタッチパネルを再利用するために光学透明粘着シートを剥離する。しかしながら、従来は、主にワイヤー等を用いた物理的な引き剥がしによって光学透明粘着シートを剥離していたため、パネル部材が剥離時に損傷して再利用できなくなることがあった。特に、優れた粘着力を有する光学透明粘着シートを貼り直す場合には、引き剥がしにくく糊残りが生じやすいことから、剥離作業後に、パネル部材に付着した光学透明粘着シートの残さを溶剤等で拭き取って除去する追加の作業を行うこととなり、作業工数が増加するという問題があった。また、拭き取りによって光学透明粘着シートの残さをすべて除去することが難しいという問題もあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、被着体に貼り付けた透明粘接着剤を、被着体の損傷を防止しつつ容易に剥離することができる透明粘接着剤の剥離方法を提供することを目的とする。
本発明の透明粘接着剤の剥離方法は、被着体と透明粘接着剤とを貼り合わせた構造体における上記透明粘接着剤に、上記透明粘接着剤を膨潤させる薬液を含浸させることにより、上記透明粘接着剤の粘着力を低下させ、上記透明粘接着剤を剥離することを特徴とする。
上記薬液の含浸による上記透明粘接着剤の体積変化は、50%/h以上であることが好ましい。
上記透明粘接着剤は、光学透明粘着シートであることが好ましい。上記光学透明粘着シートの上記薬液の含浸前の厚みは、150〜2000μmであることが好ましい。上記薬液が含浸していない状態での上記光学透明粘着シートの伸びは、300%以上であることが好ましい。
上記光学透明粘着シートは、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなることが好ましい。上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、タッキファイヤーを含有することが好ましい。
上記被着体は、タッチパネル又は表示パネルであることが好ましい。
本発明の透明粘接着剤の剥離方法によれば、被着体に貼り付けた透明粘接着剤を薬液で膨潤させた後に剥離するので、被着体の損傷を防止しつつ透明粘接着剤を容易に剥離することができる。
本発明の透明粘接着剤の剥離方法は、被着体と透明粘接着剤とを貼り合わせた構造体における上記透明粘接着剤に、上記透明粘接着剤を膨潤させる薬液を含浸させることにより、上記透明粘接着剤の粘着力を低下させ、上記透明粘接着剤を剥離することを特徴とする。
上記被着体は特に限定されず、例えば、タッチパネル(タッチセンサー)、表示パネル、カバーパネル等の光学部材が挙げられ、中でも、タッチパネル、表示パネルが好適である。タッチパネル及び表示パネルは高価であるため、貼り合わせ不良が発生したときに透明粘接着剤を剥離して再利用することが望まれるからである。
上記透明粘接着剤は特に限定されず、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)と呼ばれるシート状の基材レス粘着テープであってもよいし、OCR(Optically Clear Resin)と呼ばれる液状のUV硬化樹脂を、被着体に塗布した後に硬化したものであってもよい。上記透明粘接着剤は、光学透明粘着シート(OCA)であることが好ましい。なお、本明細書において、「粘接着剤」とは、粘着剤、接着剤、又は、粘着剤及び接着剤の両方の性質を兼ね備えたもののいずれかを指す。
本発明において、被着体と透明粘接着剤とを貼り合わせた構造体は、透明粘接着剤の片面に被着体を貼り合わせたものであってもよいし、透明粘接着剤の両面それぞれに被着体を貼り合わせたものであってもよい。透明粘接着剤の片面に被着体を貼り合わせたものとしては、透明粘接着剤の両面それぞれに被着体を貼り合わせた後、薬液を含浸させる前に一方の被着体のみを剥離したものが含まれる。本発明の剥離方法は、透明粘接着剤の両面それぞれに被着体が貼り合わせられた構造体から透明粘接着剤を剥離する方法として特に有効なものである。すなわち、上記構造体は、第一の被着体と第二の被着体とを透明粘接着剤によって貼り合わせたものであることが好ましい。例えば、上記構造体は、表示パネル、タッチパネル、カバーパネル等の複数の光学部材を互いに透明粘接着剤によって貼り合わせたものであることが好ましい。なお、上記構造体において、被着体及び透明接着剤の数は特に限定されず、上記構造体は、n個の被着体が(n−1)個の透明粘接着剤によって積層したものであってもよい。
図1は、光学透明粘着シートを用いたタッチパネル付き表示装置の一例を模式的に示した分解斜視図である。図1に示すタッチパネル付き表示装置10では、表示パネル11、光学透明粘着シート12、タッチパネル(タッチセンサー)13、光学透明粘着シート12、及び、カバーパネル14が順に積層されている。表示パネル11、タッチパネル13、及び、カバーパネル14の3つの光学部材は、2枚の光学透明粘着シート12により一体化されている。
表示パネル11の種類は特に限定されず、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の薄型ディスプレイを用いることができる。表示パネル11は、光学透明粘着シート12と接する表面に、偏光板等の光学フィルムを備えるものであってもよい。表示パネル11の光学透明粘着シート12と接する表面の材質は特に限定されず、ガラス、樹脂等が用いられる。
タッチパネル13としては、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式等の検出方式のものが用いられる。タッチパネル13は、例えば、ガラス基板上に、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明導電膜が設けられた構成を有する。
カバーパネル14は、タッチパネル13の表面を外部からの衝撃、汚れ等から保護する役割を有する。カバーパネル14の材質は、ガラスであってもよいし、樹脂であってもよいし、それらを組み合わせたもの(例えば、ガラス板の表面を樹脂でコーティングしたもの)であってもよい。
図2は、図1に示したタッチパネル付き表示装置の断面模式図である。図2に示したように、表示パネル11は、表示面側に開口が設けられたベゼル(表示パネル11の筐体、図1では図示を省略)11A内に収容されており、ベゼル11Aの開口の外縁には、ベゼル11Aの厚みに対応した段差が存在する。光学透明粘着シート12は、表示パネル11及びベゼル11Aの表示面側を覆って貼り付けられており、ベゼル11Aの厚みに対応した段差を被覆している。これにより、各光学部材と光学透明粘着シートとの間に空隙が発生しないので、界面反射の増加等による視認性の低下を防止することができる。光学透明粘着シート12には、ベゼル11Aの厚みによって形成される段差を被覆するために、段差部に追従することができる柔軟性(段差追従性)と、ベゼル11Aの厚みよりも厚いことが求められる。このように、ベゼル11Aに収容された表示パネル11との貼り合わせに用いられる場合、光学透明粘着シート12の厚みは、例えば、700μm以上であることが好ましい。
本発明では、上記透明粘接着剤に、上記透明粘接着剤を膨潤させる薬液(リワーク剤)を含浸させることにより、上記透明粘接着剤の粘着力を低下させ、上記透明粘接着剤を剥離する。薬液を含浸させる方法としては特に限定されず、透明粘接着剤に薬液を滴下する方法、透明粘接着剤内に薬液を注入する方法、透明粘接着剤を薬液中に浸漬させる方法等が挙げられる。図3は、透明粘接着剤に薬液を滴下する方法を示した図である。図3に示したように、タッチパネル13、光学透明粘着シート12及びカバーパネル14を積層した構造体の側面を上方に向け、スポイト等により光学透明粘着シート12に向けて薬液を滴下してもよい。図4は、透明粘接着剤を薬液中に浸漬させる方法を示した図である。図4に示したように、容器17に入れた薬液18中に、光学透明粘着シート12及びカバーパネル14を浸漬させてもよい。タッチパネル13は高価であることから、浸漬させないようにすることが好ましい。浸漬時間は特に限定されず、例えば、24時間としてもよい。図3又は図4のようにして光学透明粘着シート12中に薬液を含浸させると、光学透明粘着シート12が膨潤する。その結果、光学透明粘着シート12の粘着力が大幅に低下し、光学透明粘着シート12をタッチパネル13及びカバーパネル14から容易に剥離できる。回収されたタッチパネル13及びカバーパネル14は、再利用することができ、必要に応じて、乾拭き、アルコール拭き等の薬液の除去作業が行われる。
上記薬液は、透明粘接着剤を膨潤させることができるものであれば特に限定されないが、エクソンモービル(EXXON MOBIL)社製の「Isoper L」、鈴翔科技有限公司(SOAR LINK TECHNOLOGY)製の「SLT−50k」等が好適に用いられる。「Isoper L」は、炭素数9〜13のナフテンと、iso−及びn−パラフィンとの混合物であって、芳香族化合物及びヘキサンを極少量含むものである。「SLT−50k」は、ジアセトンアルコール25〜30%、リモネン30〜35%、グリセロール20〜25%、ビニルトルエン5〜10%を含有する。
上記透明粘接着剤に含浸させる薬液の量は、透明粘接着剤を剥離させることができれば特に限定されないが、上記薬液の含浸による上記透明粘接着剤の体積変化が50%/h以上(1時間含浸させた後の体積が、含浸前の体積の150%以上)となるように含浸させることが好ましい。これにより、速やかに透明粘接着剤を充分に膨潤させ、剥離を容易にすることができる。
以下、上記透明粘接着剤として用いられる光学透明粘着シート(OCA)について、更に説明する。
上記光学透明粘着シートの上記薬液の含浸前の厚みは、150〜2000μmであることが好ましい。上記光学透明粘着シートが厚いほど、粘着力が増し、凝集力が高くなることで、剥離の困難性が増すことから、本発明の剥離方法を適用する利点が大きい。また、上記厚みが150μm未満である場合には、光学透明粘着シートの一方の面を被着体の表面に貼り付けたときに、光学透明粘着シートによって被着体の表面に存在する凹凸又は段差を充分に被覆することができず、光学透明粘着シートの他方の面と他の被着体の表面とを充分な粘着力で貼り合わせることができないことがある。上記厚みが2000μmを超える場合には、ヘイズや全光線透過率等の光学特性が充分に得られないことがある。上記厚みの好ましい下限は250μmであり、好ましい上限は1000μmである。また、光学透明粘着シートは、被着体の貼り付け面に存在する凹凸又は段差の高さに対して3倍以上の厚みを有することが好ましい。
上記光学透明粘着シートの上記薬液の含浸前の厚みは、150〜2000μmであることが好ましい。上記光学透明粘着シートが厚いほど、粘着力が増し、凝集力が高くなることで、剥離の困難性が増すことから、本発明の剥離方法を適用する利点が大きい。また、上記厚みが150μm未満である場合には、光学透明粘着シートの一方の面を被着体の表面に貼り付けたときに、光学透明粘着シートによって被着体の表面に存在する凹凸又は段差を充分に被覆することができず、光学透明粘着シートの他方の面と他の被着体の表面とを充分な粘着力で貼り合わせることができないことがある。上記厚みが2000μmを超える場合には、ヘイズや全光線透過率等の光学特性が充分に得られないことがある。上記厚みの好ましい下限は250μmであり、好ましい上限は1000μmである。また、光学透明粘着シートは、被着体の貼り付け面に存在する凹凸又は段差の高さに対して3倍以上の厚みを有することが好ましい。
上記薬液が含浸していない状態での上記光学透明粘着シートの伸びは、300%以上であることが好ましく、800%以上であることがより好ましく、1000%以上であることが更に好ましい。伸びが小さい光学透明粘着シートであれば、一般的に硬く、低温環境下でガラス化して接着力が低下するため、例えば−20℃以下の低温環境下でパネル部材を少し曲げる剥離方法を適用できる。一方で、低温環境下における柔軟性(追従性)を確保するためには、伸びが大きい光学透明粘着シートを用いることが好ましい。伸びが大きい光学透明粘着シートについては、上記剥離方法を適用できないので、本発明の剥離方法が特に好適に用いられる。上記伸びは、光学透明粘着シートの組成を調整することによって制御でき、例えば、可塑剤の配合量や、熱硬化性ポリウレタン組成物であればα比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)を調整してもよい。なお、上記伸びは、JIS K 7161(プラスチック−引張特性の試験方法)に基づき測定される。上記伸びの測定方法の詳細については、実施例中で説明する。
上記薬液を含浸させる前の上記光学透明粘着シートは、180°剥離試験での粘着力が、常温・常湿下において2N/25mm以上であることが好ましい。上記粘着力が2N/25mm以上であると、ガラス板等を含む硬いパネル部材同士を物理的に剥離することが困難になるため、本発明の剥離方法が特に好適に用いられる。なお、180°剥離試験の試験方法の詳細については、実施例中で説明する。
上記薬液を含浸させる前の光学透明粘着シートは、光学透明粘着シートとしての性能を確保するために、ヘイズが0.5%以下であることが好ましく、また、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。ヘイズ及び全光線透過率は、例えば、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて測定することができる。ヘイズは、JIS K 7136に準拠した方法で測定され、全光線透過率は、JIS K 7361−1に準拠した方法で測定される。
上記光学透明粘着シートの材料は特に限定されず、例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂(メタクリル樹脂)、シリコーン樹脂等を用いることができる。炭化水素系の薬液を用いれば、ポリウレタン、アクリル樹脂又はシリコーン樹脂からなる光学透明粘着シートを容易に剥離することができる。
上記光学透明粘着シートは、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなることが好ましい。熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物(ポリウレタン)は、アクリル樹脂やシリコーン樹脂よりも粘着力が高く、光学透明粘着シートとして好適である反面、粘着力が高いため剥離しにくい。中でも、非溶剤型のポリウレタンは厚膜化できることから、特に高い粘着力が得られ、通常の剥離方法では剥離が困難であった。これに対して、本発明の剥離方法によれば、非溶剤型のポリウレタンであっても容易に剥離できるので、光学透明粘着シートの粘着性能を優れたものとしつつ、良好なリワーク性を確保することができる。なお、非溶剤型熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートは、柔軟であるとともに厚膜化できることから、耐衝撃性に優れるという利点も有する。更に、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートは、誘電率が高いという利点も有し、静電容量方式のタッチパネルの貼り合わせに好適である。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物は、アクリル変性されていないことが好ましく、主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物がアクリル変性されると、疎水化されるため、高温・高湿下において水分の凝集が生じやすくなる。この水分の凝集は、白化、発泡等を引き起こし、光学特性を損なうことがある。したがって、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物をアクリル変性されていないものとすることで、高温・高湿下において白化、発泡等による光学特性の低下を防止することができる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、通常では、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有する。ポリオール成分とポリイソシアネート成分とが下記反応式で示したように反応することで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物は、下記式(A)に示した構造を有するものとなる。
上記式(A)中、Rは、ポリイソシアネート成分のNCO基を除いた部位を表し、R’は、ポリオール成分のOH基を除いた部位を表し、nは、繰り返し単位数を表す。
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分としては、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、溶剤を用いずに熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物を得ることができる。タッキファイヤー等の他の成分は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分のいずれかに添加することができ、好ましくは、ポリオール成分に添加される。このように、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物によって光学透明粘着シートを作製する場合、溶剤の除去が必要ないため、均一なシートを厚く形成することができる。このため、光学透明粘着シートを、表示パネルと透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル)との貼り合わせに用いる場合、ベゼルの段差を被覆することができる。また、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートは厚く形成しても光学特性を維持することができるものであり、透明性(ヘイズ)の低下、色付き、発泡(被着体との界面での気泡の発生)を充分に抑制することができる。
[ポリオール成分]
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレントリオール、これらの共重合体等のポリアルキレングリコール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ポリカプロテクトングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジアルキルカーボネートとジオールとの反応物が挙げられる。
上記ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。ジオールとしては、炭素数が4〜9の脂環族又は脂環族ジオールが好ましく、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオ−ル、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、及び、1,9−ノナンジオールを、単独で用いる又は2種類以上を併用することが好ましい。ジオールとしては、また、1,6−ヘキサンジオールと3−メチル−1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオールも好ましい。
また、上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等を用いることもできる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコール成分とを脱水縮合させたものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;p−キシレンジオール等の芳香族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、以上で例示したジカルボン酸及びグリコール成分によって形成される場合には、線状の分子構造を有するが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状の分子構造を有するポリエステルであってもよい。ジカルボン酸とグリコール成分とは、モル比1.1〜1.3にて150〜300℃で反応させればよい。
上記ポリオール成分の数平均分子量は、300以上、5000以下であることが好ましい。ポリオール成分の数平均分子量が300未満である場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応が速過ぎて熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物を均一なシートに成形することが困難になったり、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物の柔軟性が低下して脆くなったりすることがある。ポリオール成分の数平均分子量が5000を超える場合には、ポリオール成分の粘度が高くなり過ぎて熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物を均一なシートに成形することが困難になったり、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物が結晶化して白濁したりする等の不具合が生じることがある。ポリオール成分の数平均分子量は、500以上、2000以下であることがより好ましい。
上記ポリオール成分は、好ましくは、オレフィン骨格を有するものであり、すなわち主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されたものである。オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,2−ポリクロロプレンポリオール、1,4−ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。オレフィン骨格を有するポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。
上記オレフィン骨格を有するポリオール成分のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の水酸基末端ポリイソプレンを水添して得られるポリオレフィンポリオール(「EPOL(エポール、登録商標)」、数平均分子量:2500)、日本曹達社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン(「GI−1000」、数平均分子量:1500)、三菱化学社製のポリヒドロキシポリオレフィンオリゴマー(「ポリテール(登録商標)」)等が挙げられる。
[ポリイソシアネート成分]
上記ポリイソシアネート成分としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネートを用いることができる。上記ポリイソシアネート成分は、好ましくは、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートである。脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートを用いることにより、光学透明粘着シートの着色や変色がより発生しにくく、長期に渡って光学透明粘着シートの透明性をより確実に確保することができる。また、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物を反応させた変性体とすることによって、ポリイソシアネート成分は、親水性部分(エチレンオキシドユニット)の作用によって白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット)の作用によって低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性を発揮することができる。
上記ポリイソシアネート成分としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネートを用いることができる。上記ポリイソシアネート成分は、好ましくは、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートである。脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートを用いることにより、光学透明粘着シートの着色や変色がより発生しにくく、長期に渡って光学透明粘着シートの透明性をより確実に確保することができる。また、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物を反応させた変性体とすることによって、ポリイソシアネート成分は、親水性部分(エチレンオキシドユニット)の作用によって白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット)の作用によって低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性を発揮することができる。
上記脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートは、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシネート、及び、脂肪族及び/又は脂環族のジイソシアネートを出発物質として得られるポリイソシアネートの少なくとも一種を意味する。
上記脂肪族ポリイソシネート及び脂環族ポリイソシネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、それらの変性体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記具体例のなかでも、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びそれらの変性体が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート及びその変性体が特に好ましい。なお、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート変性、アロファネート変性、及び/又は、ウレタン変性したもの等が挙げられる。
上記エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール類及び/又はアミン類のエチレンオキシド付加物が挙げられ、親水性を高める観点から、1分子当たり6個以上のエチレンオキシドユニットを有するものが好適に用いられる。
上記アルコール類としては、例えば、1価アルコール類、2価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブチレンジオール、ペオペンチルグリコール等)、3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン等)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)、フェノール化合物のホルマリン低縮合物(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記エチレンオキシドユニットの含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物の全体に対して、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。上記含有量が1重量%未満であると、充分に白化を抑制できないおそれがある。上記含有量が20重量%を超えると、低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性が低下することによって、ヘイズ等の光学特性が低下するおそれがある。
上記変性ポリイソシアネートの1分子当たりのイソシアネート基の数は、平均で2.0以上であることが好ましい。上記イソシアネート基の数が平均で2.0未満であると、架橋密度の低下により、熱硬化性ポリウレタン組成物が充分に硬化しないおそれがある。
熱硬化性ポリウレタン組成物は、α比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)が1以上であることが好ましい。α比が1未満である場合には、ポリイソシアネート成分の配合量が、ポリオール成分の配合量に対して過剰であるため、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物が硬くなり、光学透明粘着シートに要求される柔軟性を確保することが困難となる。光学透明粘着シートの柔軟性が低いと、特に、タッチパネル等の光学部材を貼り合わせる場合、貼り合わせ面に存在する凹凸及び段差を被覆することができない。また、光学透明粘着シートに要求される粘着力を確保することができない。α比は、1<α<2.0を満たすことがより好ましい。α比が2.0以上である場合には、熱硬化性ポリウレタン組成物が充分に硬化しないことがある。
[タッキファイヤー]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有することが好ましい。タッキファイヤーは、粘着力を向上するために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。熱硬化性ポリウレタン組成物がタッキファイヤーを含有することで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートの粘着力を向上させることができる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有することが好ましい。タッキファイヤーは、粘着力を向上するために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。熱硬化性ポリウレタン組成物がタッキファイヤーを含有することで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートの粘着力を向上させることができる。
上記タッキファイヤーとしては特に限定されず、例えば、石油樹脂系タッキファイヤー、炭化水素樹脂系タッキファイヤー、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー等を含むものが挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
上記タッキファイヤーとしては、上記オレフィン骨格を有するポリオール成分等との相溶性に優れることから、石油樹脂系タッキファイヤーが好適に用いられる。上記石油樹脂系タッキファイヤーの中でも、ジシクロペンタジエンと芳香族化合物の共重合体を水素添加して得られる水添石油樹脂が好適に用いられる。ジシクロペンタジエンは、C5留分から得られる。上記芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。ジシクロペンタジエンとビニル芳香族化合物との割合は特に限定されないが、重量基準で、ジシクロペンタジエン:ビニル芳香族化合物=70:30〜20:80であることが好ましく、60:40〜40:60であることがより好ましい。上記水添石油樹脂の好ましい軟化点は90〜160℃、好ましいビニル芳香族化合物単位含有量は35質量%以下、好ましい臭素価は0〜30g/100g、好ましい数平均分子量は500〜1100である。上記水添石油樹脂のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の「アイマーブP−100」が挙げられる。
上記タッキファイヤーとしては、上記オレフィン骨格を有するポリオール成分等との相溶性に優れることから、炭化水素樹脂系タッキファイヤーが好適に用いられる。上記炭化水素樹脂系タッキファイヤーの中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂が好適に用いられる。上記脂環族飽和炭化水素樹脂のうち公知のものとしては、例えば、荒川化学工業社製の「アルコンP−100」が挙げられる。
上記タッキファイヤーは、酸価が1mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が1mgKOH/g以下であれば、タッキファイヤーがポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害するのを充分に防止することができる。また、タッキファイヤーの軟化点は、80℃以上、120℃以下であることが好ましく、80℃以上、100℃以下であることがより好ましい。軟化点が80℃以上、120℃以下である場合には、タッキファイヤーをポリオール成分中に溶解させる際に、ポリオール成分が熱によって劣化してしまうのを充分に防止することができる。
上記タッキファイヤーの含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物に対して、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。タッキファイヤーの含有量が1重量%未満である場合には、光学透明粘着シートの粘着力を充分に向上できないことがあり、特に、高温・高湿下における粘着力が不充分になることがある。タッキファイヤーの含有量が20重量%を超える場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害し、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物中にウレタン架橋が充分に形成されなくなることがある。その結果、高温・高湿下において光学透明粘着シートが溶解して形状が変化したり、タッキファイヤーが析出(ブリード)したりすることがある。また、ウレタン架橋を充分に形成するためにポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応時間を長くすると、生産性が低下する。
[可塑剤]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。可塑剤の添加により、低硬度化されることで、光学透明粘着シートの取り扱い性や段差追従性を向上することができる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。可塑剤の添加により、低硬度化されることで、光学透明粘着シートの取り扱い性や段差追従性を向上することができる。
上記可塑剤としては、熱可塑性樹脂に柔軟性を付与するために用いられる化合物であれば特に限定されないが、相溶性及び耐候性の観点から、カルボン酸系可塑剤を含むことが好ましい。上記カルボン酸系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル(フタル酸系可塑剤)や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリ−α−オレフィン等が挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。上記カルボン酸系可塑剤のうち公知のものとしては、例えば、BASF社製の「DINCH」、新日本理化社製の「サンソサイザーDUP」、イオネスオリゴマーズ社製の「Durasyn(登録商標)148」が挙げられる。
[触媒]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記触媒としては、非アミン系触媒が好ましい。アミン系触媒を用いる場合、光学透明粘着シートが変色しやすくなることがある。より好ましい触媒は、ジラウリル酸ジメチル錫である。
上記触媒の添加量は、例えば、ポリオール成分、及び、ポリイソシアネート成分の合計量に対して、0.01重量%以上、0.1重量%以下である。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、モノイソシアネート成分を含有してもよい。モノイソシアネート成分は、分子内に1個のイソシアネート基を有する化合物であり、その具体例としては、例えば、オクタデシルジイソシアネート(ODI)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(AOI)、イソシアン酸オクチル、イソシアン酸ヘプチル、3−イソシアナートプロピオン酸エチル、イソシアン酸シクロペンチル、イソシアン酸シクロヘキシル、2−メトキシエタンイソシアネート、イソシアナート酢酸エチル、イソシアナート酢酸ブチル、p−トルエンスルフォニルイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なお、上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、モノイソシアネート成分を含有しないものであることが好ましい。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物には、光学透明粘着シートの要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、着色剤、安定剤、酸化防止剤、防徽剤、難燃剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
上記光学透明粘着シートの製法は特に限定されず、例えば、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した後、この組成物を従来公知の方法で熱硬化させつつ成形する方法が挙げられる。製法の具体例としては、まず、所定量のタッキファイヤーを、ポリオール成分に添加し、加温及び攪拌して溶解させることによって、マスターバッチを調製する。続いて、得られたマスターバッチ、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、必要に応じて触媒等の他の成分を混合し、ミキサー等で攪拌することによって、液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物を得る。その後、即座に熱硬化性ポリウレタン組成物を成形装置に投入し、一対の離型フィルムによって挟んだ状態で熱硬化性ポリウレタン組成物を移動させながら架橋硬化させることで、熱硬化性ポリウレタン組成物が半硬化され、一対の離型フィルムと一体化されたシートを得る。その後、炉で一定時間架橋反応させることで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートが得られる。
図5は、光学透明粘着シートの作製に用いる成形装置の一例を説明するための模式図である。図5に示す成形装置20では、まず、硬化前の液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物23を、離間して配置された一対のロール22から連続的に送り出される一対の離型フィルム(PETフィルム)21の間隙に流し込む。そして、一対の離型フィルム21の間隙に熱硬化性ポリウレタン組成物23を保持した状態で硬化反応(架橋反応)を進行させつつ、加熱装置24内に搬入する。加熱装置24内において、熱硬化性ポリウレタン組成物23は、一対の離型フィルム(PETフィルム)21間に保持された状態で熱硬化し、熱可塑性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12の成形が完了する。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例中に記載された光学透明粘着シートの粘着力及び伸びは、下記の方法で測定した値を用いている。
(粘着力)
下記の方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。図6は、実施例における光学透明粘着シートの粘着力の評価方法を説明するための模式図である。まず、離型フィルムが両面に貼り付けられた光学透明粘着シートを、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。この試験片の片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート12側を、長さ75mm×幅25mmのスライドガラス31に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、光学透明粘着シート12とスライドガラス31とを貼り合わせた。次に、スライドガラス31とは反対側の離型フィルムを剥離し、図6(a)に示すように、光学透明粘着シート12のスライドガラス31とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)32を貼り合わせた。その後、常温・常湿(温度23℃、湿度50%)下で12時間放置した後、図6(b)に示すように、PETシート32を180°方向に引っ張り、光学透明粘着シート12をスライドガラス31との界面で剥離させ、スライドガラス31に対する光学透明粘着シート12の粘着力を測定した。なお、各実施例について、2つの試験片を準備して測定した。得られた2つの測定値の平均値を、各実施例における測定結果とした。
(粘着力)
下記の方法で180°剥離試験を行い、粘着力(N/25mm)を測定した。図6は、実施例における光学透明粘着シートの粘着力の評価方法を説明するための模式図である。まず、離型フィルムが両面に貼り付けられた光学透明粘着シートを、長さ75mm×幅25mmに裁断し、試験片とした。この試験片の片面の離型フィルムを剥離した後、光学透明粘着シート12側を、長さ75mm×幅25mmのスライドガラス31に貼り付け、圧力0.4MPaで30分間保持し、光学透明粘着シート12とスライドガラス31とを貼り合わせた。次に、スライドガラス31とは反対側の離型フィルムを剥離し、図6(a)に示すように、光学透明粘着シート12のスライドガラス31とは反対側の面に、厚み125μmのPETシート(帝人デュポンフィルム社製の「メリネックス(登録商標)S」)32を貼り合わせた。その後、常温・常湿(温度23℃、湿度50%)下で12時間放置した後、図6(b)に示すように、PETシート32を180°方向に引っ張り、光学透明粘着シート12をスライドガラス31との界面で剥離させ、スライドガラス31に対する光学透明粘着シート12の粘着力を測定した。なお、各実施例について、2つの試験片を準備して測定した。得られた2つの測定値の平均値を、各実施例における測定結果とした。
(伸び)
JIS K 7161(プラスチック−引張特性の試験方法)に基づき、下記条件にて自動記録型引張試験機にて光学透明粘着シートを幅方向に伸長させ、破断したときの試験片の伸長率を「伸び」とした。
測定試料の寸法:幅19mm×長さ180mm
測定温度:23℃±2℃
標線間距離:25mm
チャック間距離:50mm
引張速度:300mm/min
JIS K 7161(プラスチック−引張特性の試験方法)に基づき、下記条件にて自動記録型引張試験機にて光学透明粘着シートを幅方向に伸長させ、破断したときの試験片の伸長率を「伸び」とした。
測定試料の寸法:幅19mm×長さ180mm
測定温度:23℃±2℃
標線間距離:25mm
チャック間距離:50mm
引張速度:300mm/min
(実施例1)
まず、120℃に温調したポリカーボネート系ポリオール(東ソー社製の「ON−K36PC」、数平均分子量:2000)に、固形状の水添石油樹脂系タッキファイヤー(荒川化学社製の「パインクリスタル」)を添加し、攪拌することによって、ポリカーボネート系ポリオール中にタッキファイヤーを溶解させたタッキファイヤーマスターバッチを得た。タッキファイヤーマスターバッチ中のタッキファイヤーの含有量は10重量%に調整した。次に、ポリカーボネート系ポリオール100重量部、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(東ソー社製)15重量部、タッキファイヤーマスターバッチ100重量部、及び、触媒(ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL−28」))0.02重量部を、往復回転式撹拌機アジター(AJITER)を用いて1分30秒間攪拌混合し、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。
まず、120℃に温調したポリカーボネート系ポリオール(東ソー社製の「ON−K36PC」、数平均分子量:2000)に、固形状の水添石油樹脂系タッキファイヤー(荒川化学社製の「パインクリスタル」)を添加し、攪拌することによって、ポリカーボネート系ポリオール中にタッキファイヤーを溶解させたタッキファイヤーマスターバッチを得た。タッキファイヤーマスターバッチ中のタッキファイヤーの含有量は10重量%に調整した。次に、ポリカーボネート系ポリオール100重量部、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(東ソー社製)15重量部、タッキファイヤーマスターバッチ100重量部、及び、触媒(ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL−28」))0.02重量部を、往復回転式撹拌機アジター(AJITER)を用いて1分30秒間攪拌混合し、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。
その後、得られた熱硬化性ポリウレタン組成物を図5に示した成形装置20に注入した。そして、熱硬化性ポリウレタン組成物を一対の離型フィルム(表面に離型処理が施されたPETフィルム)21によって挟んだ状態で搬送しつつ、炉内温度70℃、炉内時間10分間の条件で架橋硬化させ、離型フィルム21付きのシートを得た。その後、70℃に調節した加熱装置24で12時間架橋反応させ、両面に離型フィルム21が設けられた、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12を作製した。光学透明粘着シート12の厚みは300μmであった。また、光学透明粘着シート12の粘着力は、5.5N/25mmであり、伸びは1140%であった。
得られた光学透明粘着シート12の両面を、スライドガラスで挟み込み、圧力0.4MPaで30分間保持した。その後、常温常湿の環境下で、光学透明粘着シート12の全体をイソパラフィン系炭化水素溶剤(エクソンモービル(EXXON MOBIL)社製の「Isoper L」)中に24時間漬けた。溶剤への浸漬前後での光学透明粘着シート12の体積変化は、+99%であった。溶剤から取り出した光学透明粘着シート12は、スライドガラスから容易に剥離することができた。
(実施例2)
光学透明粘着シートの厚みを1000μmに変更したことを除いて実施例1と同様にして、光学透明粘着シートを作製した。上述した測定方法により測定した光学透明粘着シートの粘着力は、8.4N/25mmであり、伸びは1100%であった。
光学透明粘着シートの厚みを1000μmに変更したことを除いて実施例1と同様にして、光学透明粘着シートを作製した。上述した測定方法により測定した光学透明粘着シートの粘着力は、8.4N/25mmであり、伸びは1100%であった。
得られた光学透明粘着シートを、実施例1と同様の方法で、スライドガラスで挟み込み、イソパラフィン系炭化水素溶剤中に1時間漬けた。溶剤への浸漬前後での光学透明粘着シートの体積変化は、+99%であった。実施例2においても、溶剤から取り出した光学透明粘着シートは、スライドガラスから容易に剥離することができた。
(実施例3)
エクソンモービル社製の「Isoper L」の代わりに、鈴翔科技有限公司(SOAR LINK TECHNOLOGY)製の「SLT−50k」を用いて、実施例1と同様に、光学透明粘着シートの剥離を行った。「SLT−50k」の組成は、ジアセトンアルコール25〜30%、リモネン30〜35%、グリセロール20〜25%、ビニルトルエン5〜10%であった。溶剤への浸漬前後での光学透明粘着シートの体積変化は、+80%であった。実施例3においても、溶剤から取り出した光学透明粘着シートは、スライドガラスから容易に剥離することができた。
エクソンモービル社製の「Isoper L」の代わりに、鈴翔科技有限公司(SOAR LINK TECHNOLOGY)製の「SLT−50k」を用いて、実施例1と同様に、光学透明粘着シートの剥離を行った。「SLT−50k」の組成は、ジアセトンアルコール25〜30%、リモネン30〜35%、グリセロール20〜25%、ビニルトルエン5〜10%であった。溶剤への浸漬前後での光学透明粘着シートの体積変化は、+80%であった。実施例3においても、溶剤から取り出した光学透明粘着シートは、スライドガラスから容易に剥離することができた。
10 タッチパネル付き表示装置
11 表示パネル
11A ベゼル
12 光学透明粘着シート
13 タッチパネル
14 カバーパネル
17 容器
18 薬液
20 成形装置
21 離型フィルム
22 ロール
23 熱硬化性ポリウレタン組成物
24 加熱装置
31 スライドガラス
32 PETシート
11 表示パネル
11A ベゼル
12 光学透明粘着シート
13 タッチパネル
14 カバーパネル
17 容器
18 薬液
20 成形装置
21 離型フィルム
22 ロール
23 熱硬化性ポリウレタン組成物
24 加熱装置
31 スライドガラス
32 PETシート
Claims (8)
- 被着体と透明粘接着剤とを貼り合わせた構造体における前記透明粘接着剤に、前記透明粘接着剤を膨潤させる薬液を含浸させることにより、前記透明粘接着剤の粘着力を低下させ、前記透明粘接着剤を剥離することを特徴とする透明粘接着剤の剥離方法。
- 前記薬液の含浸による前記透明粘接着剤の体積変化は、50%/h以上であることを特徴とする請求項1に記載の透明粘接着剤の剥離方法。
- 前記透明粘接着剤は、光学透明粘着シートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明粘接着剤の剥離方法。
- 前記光学透明粘着シートの前記薬液の含浸前の厚みは、150〜2000μmであることを特徴とする請求項3に記載の透明粘接着剤の剥離方法。
- 前記薬液が含浸していない状態での前記光学透明粘着シートの伸びは、300%以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の透明粘接着剤の剥離方法。
- 前記光学透明粘着シートは、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなることを特徴とする請求項4又は5に記載の透明粘接着剤の剥離方法。
- 前記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、タッキファイヤーを含有することを特徴とする請求項6に記載の透明粘接着剤の剥離方法。
- 前記被着体は、タッチパネル又は表示パネルであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明粘接着剤の剥離方法。
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