JP2018024136A - 透明導電性積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 逆波長分散性に優れ、λ/4程度の面内レタデーションを有し、膜厚が20μm〜80μmであり、光弾性係数が低い透明導電性積層体を提供することを目的とする。【解決手段】 逆波長分散性を有する透明なポリマーフィルムを用い、無機物の透明導電層を該フィルムの少なくとも一方の面に積層することにより、波長分散特性、面内レタデーション、膜厚及び光弾性係数、導電性に優れた透明導電性積層体を実現することが可能である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に透明導電性膜を含む透明導電性積層体に関する。詳しくは、位相差特性に優れ、更には逆波長分散性を有する透明導電性積層体に関する。
近年の電子材料関連市場の中で、フレキシブルディスプレイ市場またはタッチパネル市場において、耐熱性と透明性を兼ね備えた基板のニーズが高まっている。特に透明耐熱プラスチックフィルムは、従来のガラス基板と異なりその形状の高い自由度、薄型・計量化が容易であることなどの特徴を持ち、高い透明性と、製造工程で要求される高い耐熱性の両立が可能であるため、薄型太陽電池、電子ペーパー、有機ELディスプレイなどのフレキシブル電子デバイスアプリケーションへの展開を中心に活発な開発が進められている。このように、透明性と耐熱性を両立するプラスチックフィルムの開発は次世代の電子デバイスアプリケーション材料市場規模拡大の観点から意義が高い。
また、高耐熱透明フィルムの中でも各種ディスプレイ機器に代表される画像表示機器に使用される透明光学フィルムは次世代のモデルを含めた各種電子デバイス機器の構成要素として重要であり、各表示デバイスの設計上で要求される様々な光学特性に応じた材料設計思想に基づき多くの透明光学フィルムが開発されている。液晶表示装置及び有機ELなどの画像表示装置には、視野角等の表示性能を向上させるために、種々の位相差フィルムが使用されている。中でも、長波長側ほど面内レタデーションが大きい位相差フィルム(以下「逆波長分散フィルム」と記す。)に関しては、反射型液晶表示装置、タッチパネルや有機ELの反射防止層としての利用が可能である。
反射防止層として逆波長分散フィルムを用いる場合、位相差は可視光波長λの1/4程度であり、かつ、450nmにおける面内レタデーションと550nmにおける面内レタデーションとの比Re(450)/Re(550)は0.81に近いことが好ましい。また、表示装置の薄型化を鑑みた場合、使用される逆波長分散フィルムは、20〜80μm程度の膜厚であることが求められる。前記のような特性要求に対し、種々の逆波長分散フィルムが開発されている。
特許文献1には、特定のセルロースアルキルエーテルの残ヒドロキシル基に特定の芳香族アシル基を導入し、かつ当該芳香族アシル基の置換度が異なる2種類以上の樹脂をブレンド(混合)し、芳香族アシル基の置換度を最適点に調整することにより目的の逆波長分散性(R450/R550=0.81)を20μm〜50μm程度の薄膜にて達成可能であることが開示されている。
特許文献2には、全体としてλ/4の位相差を有する透明プラスチックフィルムと透明導電層の積層体から形成され、特にタッチパネルとして使用した場合に視認性が向上する透明導電性積層体が開示されているが、当該技術に使用される透明プラスチックフィルムに関しては、単一フィルムの特性としては、長波長側ほど面内レタデーションが小さくなる正常波長分散性であるため、特定の波長におけるλ/4の位相差を有し、その波長における視認性の改良効果は有するものの、単一の透明導電積層体のみでは可視光領域全体における視認性改良効果は十分ではない。
WO15/060241号公報(2015年4月30日公開) WO04/057381号公報(2004年7月8日国際公開)
しかしながら、特許文献1においては、逆波長分散性と面内レタデーション発現性の両立に優れた技術であり、従来に無い薄膜化が可能であることが特徴であるものの、光弾性係数が高めであり、製品の加工プロセスや使用環境等でフィルムに外部応力が印加された際に色ムラが発生し易く、最適な特性を発現する光学設計が困難となる懸念があることから、低い光弾性係数を達成可能な樹脂が望ましい。
また、特許文献2においては、前記透明導電積層体の複層化による逆波長分散性の発現による更なる視認性改良効果を実現しているが、複層化の煩雑な工程と、実質2枚以上の透明導電積層体が必要であり、各フィルムの膜厚も最低50μm以上必要である点が大きな課題である。また使用する透明プラスチックフィルムの光弾性係数も高く、加工プロセスや使用環境等に発生する外部応力による色ムラが発生する問題は特許文献1に記載の内容と同様であり、更なる改良法の確立が望ましい。
本発明は、前記の電子材料関連市場のトレンド及び重要構成部材である透明導電性フィルム、中でもポリマーフィルムとの積層により視認性改良効果を有する透明導電性積層体に関する従来技術の問題点に鑑みなされたものである。本発明の目的は、逆波長分散性に優れ、λ/4程度の面内レタデーションを有し、膜厚が20μm〜80μmであり、光弾性係数が低い透明導電性積層体を提供することである。
本発明者らはこれらの問題点に鑑み、鋭意検討した結果、逆波長分散性を有する透明なポリマーフィルムを用い、無機物の透明導電層を該フィルムの少なくとも一方の面に積層することにより、波長分散特性、面内レタデーション、膜厚及び光弾性係数、導電性に優れた透明導電性積層体を実現することが可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
<1>
ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に、無機物の透明導電層を含む透明導電性積層体であって、透明導電性積層体の測定波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)が130nm〜160nm、測定波長450nmにおける面内レタデーションRe(450)と測定波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)の関係がRe(450)<Re(550)、厚みが20μm〜80μm、であることを特徴とする透明導電性積層体に関する。
<2>
前記ポリマーフィルムが、下記の一般式(1)で表される重合単位を含むセルロース誘導体の少なくとも1種を含有することを特徴とする、<1>に記載の透明導電性積層体に関する。
Figure 2018024136
(一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は脂肪族基もしくは不飽和脂肪族基、芳香族基、脂肪族及び芳香族アシル基、脂肪族及び芳香族カーバメート基を含む。)
<3>
前記ポリマーフィルムのガラス転移温度が180℃以上であることを特徴とする、<1>または<2>に記載の透明導電性積層体に関する。
<4>
前記ポリマーフィルムのRe(450)/Re(550)が0.80〜0.99であることを特徴とする、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の透明導電性積層体に関する。
<5>
前記ポリマーフィルムの光弾性係数Kが5×10-122/N〜30×10-122/Nであることを特徴とする、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の透明導電性積層体に関する。
<6>
前記導電層がインジウム−スズ複合酸化物を含む薄膜であることを特徴とする、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の透明導電性積層体に関する。
<7>
前記ポリマーフィルムがシリル基を含むセルロース誘導体であることを特徴とする、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の透明導電性積層体に関する。
<8>
前記ポリマーフィルムが芳香族アシル基を含むセルロース誘導体であることを特徴とする、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の透明導電性積層体に関する。
<9>
<1>〜<8>のいずれか1項に記載の透明導電性積層体を少なくとも一層含むことを特徴とする円偏光板に関する。
<10>
<9>に記載の円偏光板を含むことを特徴とする画像表示装置に関する。
本発明によれば、透明性及び耐熱性、逆波長分散性と導電性に優れるフィルムの作成が可能であり、更にはλ/4程度の面内レタデーションを有し、膜厚が20〜80μmと薄く、光弾性係数が低い透明導電性積層体を製造することが可能となる。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りである。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。本明細書中、数値範囲に関して「A〜B」と記載した場合、当該記載は「A以上B以下」を意図する。
(A)ポリマーフィルム
本発明に適用可能なポリマーフィルムとしては、特に限定されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが適用可能である。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。中でも、逆波長分散性及び位相差発現性や、透明性及び耐熱性の観点から、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が特に好ましい。
(B)セルロース誘導体
本発明におけるセルロース誘導体とは、一般式(1)に記載のように、セルロースを構成する単量体であるβ-グルコース骨格が有する3つのヒドロキシル基を公知の各種変換反応によりアルコール誘導体(ORn)に変換したものである。
前記セルロース誘導体を効果的に選定することで、従来のセルロース誘導体では困難であった高耐熱性と製膜フィルムの透明性の両立が可能となり、また当該製膜フィルムを延伸して作製される延伸フィルムに高い透明性と光学特性(高い面内レタデーション発現性及び適切な逆波長分散性及び低い光弾性係数)を付与することが可能となる。
前記セルロース誘導体は、置換基の形態により、各種脂肪族及び芳香族のエステル、アルコキシル、アミド、ウレタン、カーボネート、カーバメート等であり得、各種置換基が同一分子内に混合していてもよい。延伸フィルムの高い耐熱性に加え、良好な面内レタデーションと逆波長分散性の両立及び低い光弾性係数を達成する観点から、一般式(1)に示すR1〜R3は、脂肪族基又は不飽和脂肪族基又は芳香族基を有する3置換有機シリル基、及び脂肪族又は芳香族アシル基であることが好ましく、セルロース誘導体は、脂肪族基又は不飽和脂肪族基又は芳香族基を有する3置換有機シリル基と脂肪族アシル基又は芳香族アシル基とを同一分子内に含む骨格を有していることが好ましい。脂肪族基又は不飽和脂肪族基又は芳香族基を有する3置換有機シリル基を有するアルコキシル置換基を有すると、フィルム化した際に透明性を維持した状態で耐熱性が大幅に向上し、かつ延伸フィルムの位相差発現性が著しく向上するため好ましい。
脂肪族基又は不飽和脂肪族基又は芳香族基を有する3置換有機シリル基は、特には限定されないが、セルロース誘導体の有機溶剤に対する可溶性付与の観点から脂肪族基または芳香族基を有していることが好ましく、更に嵩高い置換基を少なくとも一つ有していることが好ましい。嵩高い置換基としては、三級ブチル基、三級ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、フェニル基、ナフチル基などが該当し特には限定されないが三級ブチル基を有していることが特に好ましい。三級ブチル基を有することにより、通常では加水分解性を有し水分や吸湿に対して耐久性が低い3置換有機シリル基を有するアルコキシル基の耐水性が向上するだけで無く、樹脂の母体骨格となるセルロース誘導体の耐熱性が樹脂の非晶性を維持したまま大幅に向上する。ガラス転移温度が高い材料であれば、続く透明導電層の製膜工程に適用した場合に優れた材料となる。具体的には、透明導電層としてはマグネトロンスパッター、EB蒸着、CVDなどの方法を用いて基板材料上に作成される無機系材料による透明導電層が一般的に用いられるが、これらの製膜工程において高温熱処理による無機材料の結晶化を促進することにより、薄膜の導電膜が形成可能となり、透明性を損なうことなく優れた導電性の発現が可能となる。これらの熱処理工程において、基材として上記のセルロース誘導体に代表されるプラスチックフィルムを用いた場合、耐熱性が高いほど熱処理工程における熱的な形状変化や特性の悪化を抑制できるため、材料のガラス転移温度が180℃以上であることが透明導電層形成時には好ましい。
また、嵩高い置換基を有する場合、後述になるが同一骨格内に導入された芳香族アシル基との高い立体障害の発生により芳香族アシル基の芳香環の自由回転を阻害することにより、光弾性係数の増加を抑制する効果も合わせて発現することが可能となる。上記のように、3置換有機シリル基が例えば三級ブチル基に代表される嵩高い置換基を少なくとも1個有していることが好ましいが、セルロース骨格への導入率及び工業的な原料の入手性等の観点から3置換有機ケイ素基は三級ブチルジメチルシリル基(以下TBDMS基と記載する)であることが最も好ましい。三級ブチル基以外の置換基が同様に嵩高いと3置換シリル基全体として過剰に嵩高い置換基となるためにセルロース骨格に対して目標の置換度を達成可能な置換基導入率を維持し難くなる。TBDMS基は三級ブチル基以外の置換基がメチル基であるために、上記観点から適切な嵩高さを有し比較的置換基導入率が高く、セルロース誘導体における目標置換度を容易に達成することが可能である。
芳香族アシル基は、その高い分極率のために逆波長分散性の発現に優れた効果を発揮するという好ましい特性を有する一方、芳香環の自由回転による光弾性係数の増加を併発させてしまうという好ましくない効果も併せて有する。光弾性係数は芳香族アシル基が有する芳香環の数と置換度に比例して増大する。つまり逆波長分散性を発現させるために芳香族アシル基を導入すると、結果として光弾性係数が増大するというトレードオフの関係を有することになる。一般的な知見として、芳香環を有する樹脂の高い光弾性係数の値に起因した色むらの発生機構は、芳香環を有する高分子鎖に応力が加わった際の芳香環の回転のし易さ(自由度)に起因することが解っている。よって良好な逆波長分散性を維持したまま光弾性係数を低減させるためには、分子骨格内に導入された芳香族アシル基が有する芳香環の自由回転を阻害することが必須であり、本発明においては、上述のように芳香族アシル基と同様に同一分子骨格内に導入されている嵩高い3置換有機シリル基と芳香族アシル基の高い立体障害により芳香環の回転が阻害されることにより低い光弾性係数と良好な逆波長分散性を両立している。
芳香族アシル基としては、置換または無置換のベンゾイル基及び置換又は無置換の多環式芳香族アシル基等が挙げられる。ここで、多環式芳香族とは、少なくとも2つ以上の芳香環が、それぞれの芳香環が有するsp2炭素を少なくとも2つ以上共有する芳香族化合物を示す。また、前記置換基は特に限定されず、その具体例として例えば、脂肪族置換基、不飽和脂肪族置換基、芳香族置換基、アルコキシル基、カルボニル基、エステル基、ハロゲン、イミド、及びカーバメート等が挙げられる。前記芳香族アシル基は、逆波長分散性の発現に対してより優れた効果を発現する点から2−ナフトイル基であることが特に好ましい。2−ナフトイル基は、ナフタレン環上に置換基を有していても良い。置換基としては特に限定されず、アルコキシル基、エステル基、アミド基、ニトリル基、ハロゲン等が適用可能である。
前記セルロース誘導体は、熱延伸することにより、その他のセルロース誘導体では通常トレードオフである良好な面内レタデーションと逆波長分散性の両立に加え、従来の先行技術では困難であった低い光弾性係数の達成が可能であるため、良好な逆波長分散性と面内レタデーションを保持した状態にて大幅な薄膜化が可能であり、更に低い光弾性係数を有することによりフィルムに外部応力が加わった際の色ムラの防止が可能となる。また、セルロース誘導体は、単一の誘導体に限定されず、相溶化が可能であれば2種以上の誘導体の混合物であっても良い。
(C)セルロース誘導体の変換反応
前記のセルロース誘導体を作製するための変換反応としては、公知の合成法を適時用いることが出来る。以下に1例を記載するが、これに限定されるものではない。最も簡便な方法は、市販の粉末セルロースを極性有機溶媒(例:N,N’−ジメチルアセトアミド)及びハロゲン化リチウム(例:塩化リチウム)共存下において加熱及び冷却処理を行うことによりセルロースが錯体を形成し均一に溶解した溶液を作成し、続いて求核触媒(例:N、N'−ジメチルアミノピリジン)及び有機アミン(例:トリエチルアミン)を添加し、3置換有機シリルクロリド(例:三級ブチルジメチルクロロシラン)を滴下し反応させた後に反応物を水及び有機溶剤にて洗浄することにより所定の3置換有機シリル置換度を有するセルロースシリルエーテルを合成する。続いて前記セルロースシリルエーテルと芳香族アシルクロリド(例:2−ナフトイルクロリド)とをピリジン存在下で共存させた状態にて加熱し、反応物を水及び有機溶剤にて洗浄することにより、セルロースシリルエーテル中の残ヒドロキシル基が芳香族エステル化された目的のセルロース誘導体を得ることが出来る。
(D)セルロース置換度
D(具体的には、D1〜D2)は、セルロース分子中の2、3、6位に存在する3個の水酸基が、平均してどれだけ置換されているかを表す、最大3の正数である。この場合、セルロース分子中の2、3、6位に存在する3個の水酸基の各々の置換度が略同一であってもよいし、セルロース分子中の2、3、6位に存在する3個の水酸基の何れかの置換度が高く、その他の水酸基の置換度が低くてもよい。
置換度(D1)は、セルロース分子中の2、3、6位に存在する3個の水酸基が、ポリマーフィルムに含まれる各種類のセルロース誘導体において、平均してどれだけアルコキシル化されているかを表す、最大3の正数である。この場合、セルロース分子中の2、3、6位に存在する3個の水酸基の各々の置換度が略同一であってもよいし、セルロース分子中の2、3、6位に存在する3個の水酸基の何れかの置換度が高く、その他の水酸基の置換度が低くてもよい。
置換度(D2)は、セルロース分子中の2、3、6位に存在する3個の水酸基が、ポリマーフィルムに含まれる各種類のセルロース誘導体において、平均してどれだけ芳香族アシル化されているかを表す、最大3の整数である。この場合、セルロース分子中の2、3、6位に存在する3個の水酸基の各々の置換度が略同一であってもよいし、セルロース分子中の2、3、6位に存在する3個の水酸基の何れかの置換度が高く、その他の水酸基の置換度が低くてもよい。
Dの値は、周知の方法によって計算することができる。例えば、アルコキシ基がTBDMS基である場合、アルコキシル基の置換度D1は、「Cellulose Communications 6, 73-79(1999)」に記載の方法(核磁気共鳴分光法:NMR)にて定量することができる。なお、当該文献は、参考として本明細書中に援用される。
以下に、置換度(D1)および置換度(D2)の各々について、更に詳細に説明する。
まずは、置換度(D1)について説明する。
セルロースシリルエーテルは、その3置換有機シリル基を有するアルコキシル基の種類及び置換度(D1)により溶剤に対する溶解性と位相差発現性、光弾性係数の値及び耐水性が大きく変化するが、逆波長分散性の発現を目的とした芳香族アシル基導入反応に無置換のヒドロキシル基が適量必要であるため、中程度の3置換アルコキシルシリル基の置換度(D1=1.10〜2.40)を有することが好ましい。
3置換アルコキシルシリル基置換度(D1)が1.10を下回ると、目的のセルロース誘導体が溶解する溶剤の種類が限定される上に、フィルム強度が脆くなる傾向を示す。一方、3置換アルコキシルシリル基の置換度(D1)が2.40を超えると、目的のセルロース誘導体が溶解する溶剤の種類が限定される上に、残ヒドロキシル基の周辺が非常に嵩高くなるために、続く芳香族アシル基の導入が非常に困難になり、かつガラス転位温度(Tg)が高くなりすぎるために後のフィルムの熱延伸の適用が困難になるために好ましくない。そのため、3置換アルコキシルシリル基の置換度(D1)は、1.10以上2.40以下であり、好ましくは1.30以上2.00以下であり、より好ましくは1.40以上1.80以下であり、最も好ましくは1.50以上1.60以下である。
本発明では、前記の範囲の3置換アルコキシルシリル基置換度(D1)を有するセルロースエーテル骨格中に残されたOH基に芳香族アシル基を導入することにより、セルロース誘導体における主鎖成分(セルロースシリルエーテル骨格)と側鎖成分の芳香族アシル基とが直交する。これによって、両成分の複屈折に関して加成性が成り立ち、各成分の複屈折により発現する面内レタデーションの波長分散性の差により、逆波長分散性を発現する。
更に、最適な倍率で製膜フィルムを熱延伸することにより、延伸フィルムにおいて正の複屈折を生じさせ、延伸フィルムにおいて正の面内レタデーションを発現させることが必要であるが、セルロース誘導体における側鎖成分の導入量が多すぎると延伸フィルムの最大複屈折方向が変わり、負の複屈折と負の面内レタデーション、及び、正常波長分散性を有する延伸フィルム(負の複屈折を有するセルロース誘導体を含む延伸フィルム)になってしまい、所望の特性を発現することが出来ない。
次いで、置換度(D2)について説明する。
置換度(D2)は、0.10〜1.90であることが好ましく、0.15〜1.00であることがより好ましい。
セルロース誘導体における芳香族アシル基の導入量(換言すれば、置換度(D2))は、逆波長分散性の最適化の観点から、最適な量である必要がある。最適な量は、導入する芳香族アシル基によって異なるが、本発明における最適な構成要素である2−ナフトイル基の場合、置換度(D2)は、0.10〜0.40であり得るが、最適な逆波長分散性を発現するには、好ましくは0.15〜0.30であり、より好ましくは0.18〜0.25である。
置換度(D2)がこの範囲内であれば、逆波長分散発現性が良好となる。
本発明では、上述のように3置換アルコキシルシリル基置換度(D1)を有するセルロースシリルエーテル骨格中に残されたOH基に芳香族アシル基が導入される。この場合、残されたOH基の略全てに芳香族アシル基が導入されてもよいし、残されたOH基の一部に芳香族アシル基が導入されてもよい。
(E)面内レタデーション:Re(λ)
Re(λ)とは、λnmにおける面内レタデーションを表し、下式(1)にて定義される。
Figure 2018024136
ここで、ΔNxy(λ)は、λnmにおける複屈折、dは、フィルムの厚みを表す。ここでいう複屈折とは、フィルム面内の屈折率のうち最大の屈折率と最小の屈折率との差である。
本発明の透明導電性積層体をフィルム反射防止層に使用する場合、透明導電性積層体の面内レタデーションは、測定波長のおよそ1/4程度であることが好ましい。特に550nmでのレタデーションRe(550)は、130nm〜160nmであることがより好ましく、130nm〜150nmであることがさらに好ましい。
(F)逆波長分散性
本発明の透明導電性積層体を反射防止層に使用する場合、透明導電性積層体の逆波長分散性Re(450)/Re(550)は、0.80〜0.99であることが好ましく、0.80〜0.86であることがより好ましく、0.81〜0.83であることがさらに好ましい。面内レタデーションおよび波長分散特性がこの範囲内の場合、種々の波長領域での反射防止機能を確保することができる。
(G)光弾性係数
光弾性係数(K(×10-122/N))とは、ポリマーフィルム等に応力を加えた際の複屈折の変化量を前記応力で割った値である。前記光弾性係数が高いポリマーフィルムを液晶表示装置等に使用すると、異なる基材に張り付けられる前記のポリマーフィルムは、その基材の熱膨張率の差や、偏光板の変形による応力を受け応力歪みが発生し、フィルムの屈折率が変化してその位相差が大きく変化する。その位相差の変化やばらつきにより、液晶表示装置等の機能に悪影響(例えば、ポリマーフィルムを組み込んだ表示装置に色ムラが生じる等)が生じるため、光弾性係数の大きいポリマーフィルムは、液晶表示装置や有機EL表示装置等に使用するポリマーフィルムとして好ましくない。
上述の事項から、本発明におけるポリマーフィルムの光弾性係数は低い方が好ましく、実際の製品(液晶表示装置及び有機ELなどの画像表示装置等)の反射防止層に使用する場合、ポリマーフィルムの光弾性係数Kは、5×10-122/N〜30×10-122/Nであることが好ましく、5×10-122/N〜20×10-122/Nであることがより好ましく、5×10-122/N〜15×10-122/Nであることがさらに好ましい。
(H)ヘイズ
本発明の透明導電性積層体のヘイズの値は、特に限定されないが、2.00%以下であることが好ましく、1.00%以下であることがより好ましく、0.50%以下であることがさらに好ましい。ヘイズの値が、前記範囲内であれば、最終の透明導電性積層体の全光線透過率の増加による透明性の向上を達成という利点があるため好ましい。
(I)フィルム厚み
本発明の透明導電性積層体を使用した場合の層全体の厚みを考慮すると、基材となるポリマーフィルムは20μm〜80μmであることが好ましく、20μm〜50μm〜であることがより好ましく、20μm〜30μmであることがさらに好ましい。
ポリマーフィルムの厚みは、所望の面内レタデーション及び逆波長分散性を満足する限りさらに薄くても構わない。しかしながら、フィルムの強度及びハンドリング性を考慮するとこの範囲内であることが好ましい場合が多い。逆にソルベントキャスト法によりフィルム厚みが過度に厚いフィルムを製造する場合、溶剤の乾燥時間が長くなるため生産性が悪くなる可能性がある。
(J)第三成分
本実施の形態のポリマーフィルムは、フィルム化及び透明導電膜の製膜の際に、必要に応じて少量の可塑剤や熱安定剤、紫外線安定剤、面内レタデーション上昇剤等の添加剤を第3成分として加えられもよい。特に、得られたポリマーフィルムが脆い場合、また延伸などの加工特性を改善する目的で可塑剤を加えることは有効である。これら第三成分の配合量は、所望の光学特性を損なわない範囲で任意である。
(K)セルロース誘導体の分子量
本発明で使用される樹脂(セルロース誘導体)の分子量は、フィルム成形が可能な限り特に限定されるものではない。例えば、靱性に優れたフィルムを得るためには、樹脂の数平均分子量が、10,000〜400,000であることが好ましい。天然樹脂を原料とした樹脂を用いる場合、入手容易性の観点から、樹脂の数平均分子量が、20,000〜200,000であることがさらに好ましい。分子量がこの範囲内であれば、フィルムの靭性を確保でき、また溶媒への樹脂の溶解性も良好であることから、樹脂溶液の固形分濃度を高くすることが可能であり、溶液キャスト時の溶剤使用量を少なくすることができるため、製造上も好ましい。
(L)フィルム作成方法
本発明のポリマーフィルムは、未延伸であるフィルム(原反フィルムとも呼ぶ)を延伸することにより製造されることが好ましい。原反フィルムは、周知の方法にしたがって作製することができる。
原反フィルムの代表的な成形方法としては、溶融した樹脂をTダイなどから押出してフィルム化する溶融押出法と、樹脂を溶解した有機溶剤を支持体上にキャストし加熱により有機溶剤を乾燥してフィルム化するソルベントキャスト法と、を挙げることができる。本発明においては、厚み精度の良い原反フィルムが比較的容易に得られるという理由から、ソルベントキャスト法を用いることが好ましい。使用する溶媒としては特に限定されず、各種汎用の芳香族系、ハロゲン系、ケトン系、エステル系、アルコール系などの有機溶媒を使用することが可能である。
(L)延伸倍率
本発明のポリマーフィルムを得るためには、前記で得られた原反フィルムを公知の延伸方法にしたがって、少なくとも1軸に延伸して配向処理を行うことが好ましい。延伸方法としては、1軸または2軸の熱延伸法を採用することができる。本発明のポリマーフィルムを得るためには、縦1軸延伸を採用することが好ましい。延伸倍率Xは、下式(2)で表される。ここでL0は未延伸フィルムの長さ、Lは延伸フィルムの長さである。
Figure 2018024136
(M)延伸温度
延伸温度は、フィルムのガラス転移温度Tgに対して、(Tg−30)℃〜(Tg+30)℃の範囲で選択されることが好ましい。特に好ましい延伸温度は、(Tg−10)℃〜(Tg+30)℃の範囲である。
更に具体的に、延伸温度は、200℃〜250℃であることが好ましく、220℃〜250℃以下であることがより好ましい。
延伸温度が上述した温度範囲内の値であれば、得られたポリマーフィルムの位相差のばらつきを小さくすることができ、かつ、最適な逆波長分散性、面内レタデーション、光弾性係数(具体的には、低い光弾性係数)を、全て両立して発現することが出来る。
(N)ソルベントキャスト法の支持体
ソルベントキャスト法によりフィルム化する際、樹脂を前記溶剤に溶解したのち、当該溶剤を支持体にキャストし、溶剤を乾燥してフィルムとする。
樹脂を溶解した溶剤の好ましい粘度は、10ポイズ〜50ポイズ、さらに好ましくは15ポイズ〜50ポイズである。好ましい支持体としては、ステンレス鋼のエンドレスベルトや、ポリイミドフィルム、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等のようなフィルムを用いることができる。
キャスト後の乾燥は、支持体上にフィルムを担持したまま行うことも可能であるが、必要に応じて、自己支持性を有するまで予備乾燥されたフィルムを支持体から剥離し、さらに乾燥することもできる。
乾燥には、一般にはフロート法や、テンターあるいはロール搬送法を利用できる。
(O)透明導電膜
透明導電膜としては、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物にドーピングを行って導電性を高めたものが一般的に用いられる。特に限定されないが、導電性、エッチング性等の観点から酸化インジウムと酸化スズの複合酸化物が好ましい。透明導電膜の製膜方法としては、マグネトロンスパッター、EB蒸着、CVDなどの方法を用いて作成されるが、これらの中で抵抗安定性、フィルムに対する密着性の点からマグネトロンスパッターが特に好ましく用いられる。積層される透明基材としてはガラス板が一般的に用いられるが、透明性が高く製膜工程に適用可能な耐熱性が高い材料であれば、基材はガラス板には限定されない。必要とされる導電性や機械特性は使用される各種機器により異なる。例えば有機EL等を搭載するスマートフォン等のモバイルディスプレイの静電容量式タッチパネル用途として使用する場合には、表面の透明導電層は比較的高抵抗(100Ω/□〜200Ω/□の範囲)に出来るため、透明導電膜は薄くてもよい。透明導電層の膜厚としては、前記の導電性を得るためには、15nm以上であることが好ましく、また十分に透明性の高い膜を得るためには150nm以下であることが好ましい。透明導電膜の形成が真空下で行われるため、フィルム中に水分や有機溶媒、その他の低分子の有機系不純物等が残留すると、透明導電膜中に不純物として入り込み膜質を悪くする、あるいは有機溶媒等の蒸発により十分真空度が上がらず生産性が極めて低下する等の現象が起きる問題が発生する。よって透明導電膜形成時のフィルムの残留溶剤量は低いことが好ましいため、透明導電膜を形成する前に更に高温で脱ガス処理などを行うことが可能な耐熱温度及びガラス転移温度(Tg)が高い材料が好ましい。一般にはガラス転移温度で80℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、160℃以上が最も好ましい。
(P)中間層
本発明の透明導電性積層体を構成する透明導電層とポリマーフィルムの間には、光学特性を損なわない範囲で各種課題に応じて機能付与可能な中間層を形成してもよい。具体的には、異種材料間の接着性を改良する透明粘着層や、屈折率差による反射や色ムラを改善する屈折率調整層(インデックスマッチング層)を設けてもよい。中間層は厚み0.1μm〜10μm、好ましくは1μm〜5μmの範囲でコーティング層として形成することが好ましい。好ましいコーティング層を例示すると、有機系コーティング層としては、メラミン樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アルキド樹脂系、含フッ素樹脂系であり、また有機―シリコーン複合系としては、ポリエステルポリオールやエーテル化メチロールメラミンにアルキルトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの部分加水分解物を配合したものが挙げられる。また、アミノシランやエポキシシランの部分加水分解物、シランカップリング剤とアルキルトリアルコキシシラン・テトラアルコキシシランの部分加水分解物、コロイダルシリカとアルキルトリアルコキシシランの加水分解物等のシリコーン系材料も好適に用いることが出来る。これら材料を該ポリマーフィルムの片面又は両面にコーティング後、熱硬化により耐溶剤性皮膜を有するコーティング層を得ることが出来る。この時、低温効果型の触媒を同時に用いることは、好ましくない該ポリマーフィルムの熱変性を抑制するために好ましい方法である。また、多官能アクリレート等のモノマーやオリゴマーに光増感剤を添加し、紫外線や電子線により得られる硬化層も好適に用いることが出来る。該コーティング層には、必要により、各種フィラーを添加することが出来る。フィラーを添加することにより、透明電極間での光の干渉による好ましくないニュートンリングの発生や、透明導電基板同士のブロッキングを防止することが出来る。好ましいフィラーとしては、ポリメタクリル酸エステル系やポリアクリル酸エステル系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ジビニルベンゼン系、ベンゾグアナミン系、有機シリコーン系等の有機系フィラーあるいはシリカやアルミナ、酸化チタン等の無機系フィラーが使用可能である。一方、フィラーの添加により表示像のギラツキ感を与えることがあり、フィラー形状、コーティング剤やコーティング条件の最適化により、0.25mmの光学くしを用いた時の像鮮明度を80%以上に保つことが好ましい。
(Q)円偏光板及び画像表示装置
本発明の透明導電性積層体は、反射防止板として用いることができる。一形態として、本発明の透明導電性積層体を含む円偏光板が挙げられる。円偏光板とは、直線偏光の光を円偏光に変換する光学素子である。円偏光板の構成として、偏光子の吸収軸と本発明の透明導電性積層体の遅相軸とが45°をなすように貼合した積層体が挙げられる。この際に用いられる粘着層及び偏光子保護フィルムは、任意の構成であり得る。これらの円偏光板は、液晶表示装置及び有機ELなどの画像表示装置に有用に使用され得る。また、本発明の透明導電性積層体を、偏光子保護フィルムとして兼用することもでき、更には導電性を付与したタッチパネル機能付き円偏光板として使用することも可能となる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<1.測定方法>
本明細書に記載の特性値等は、以下の評価法によって得られたものである。
(1)面内レタデーション及び逆波長分散性
シンテック社製OPTIPROを使用し、ポリマーフィルム及び透明導電性積層体の面内レタデーション及び波長分散特性を測定した。
(2)厚み
アンリツ製電子マイクロメーターを使用し、ポリマーフィルム及び透明導電性積層体の厚みを測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
ブルカー・エイエックスエス社製熱機械分析装置TMA−4000SAを使用し、ポリマーフィルムのガラス転移温度(Tg)を測定した。具体的には、窒素雰囲気下において、5mm×20mmに裁断したフィルムに対して3gの引張荷重をかけた状態で、3℃/minの条件にてフィルムを昇温させた。得られた実測グラフ(X軸方向に温度のデータをプロットし、Y軸方向の伸び実測値のデータをプロットした実測グラフ)のフィルム伸び始め前後における2つの接線の交点をTgと定義し、当該Tgを算出した。
(4)光弾性係数
王子計測機器株式会社製KOBRAを使用し、ポリマーフィルム及び透明導電性積層体の光弾性係数を測定した。具体的には、15mm×60mmに裁断したフィルムに引張荷重を掛け、引張荷重を0gから1100gまで100gずつ変えたときの位相差変化を測定し、得られた実測グラフ(X軸に引張荷重値より算出される応力をプロットし、Y軸に位相差実測値とフィルム厚みより算出される複屈折をプロットしたグラフ)の直線の傾きを光弾性係数と定義し、当該光弾性係数を算出した。
(5)ヘイズ
ヘイズメーター(スガ試験機株式会社製 HZ−V3)を使用し、ポリマーフィルム及び透明導電性積層体のフィルムヘイズを測定した。
(6)シート抵抗
測定にはLORESTA−GP(MCP−T610、三菱アナリテック社製)を用い、
4探針プローブを、透明導電性積層体の表面に押し当てて表面抵抗率を測定した。
(7)密着性
JIS−K−5400に従い、透明導電性積層体の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷をつけ100個の升目をつくり、セロファンテープをこれに接着した。その後セロファンテープを剥し、皮膜が残っている升目の数により密着性を判定した。
<2.セルロース誘導体の合成>
以下に、セルロース誘導体の具体的な合成方法を説明する。
(合成例1)
粉末セルロース(24.3g:150mmol)、塩化リチウム(38.15g:900mmol)を4つ口リアクターに計量した後に三日月ヘラ付き攪拌棒を設置し、4つ口リアクターに、ジムロート冷却管、滴下漏斗、熱電対、塩化カルシウム管を取り付け、続いてN、N’−ジメチルアセトアミド(450ml)を投入し、150℃にて2時間加熱攪拌を実施した後に室温まで自然冷却させ、セルロースの均一溶液を得た。この均一溶液に続いてN、N’−ジメチルアミノピリジン(1.83g:15mmol)、トリエチルアミン(39.46g:390mmol)を加え、攪拌下において滴下漏斗からN、N’−ジメチルアセトアミド(150ml)に溶解させた三級ブチルジメチルクロロシラン(58.78g:390mmol)を滴下し5時間室温にて攪拌した。メタノール(1000ml)を加えて反応を停止した後、反応溶液を900mlのメタノール中に滴下、攪拌して白色沈殿を発生させ、当該白色沈殿をろ過後に同様の操作を3回繰り返した後に、真空オーブンを用いて80℃にて5h真空乾燥させ、ブルカー製400MHz−1H−NMRにて分析し、目的のセルロース誘導体であることを確認するとともに、置換度を計算した結果、D1=1.58であった。(モル収率81%、41.85g)
続いて当該セルロースシリルエーテル(20.8g:60mol)を4つ口リアクターに計量した後三日月ヘラ付き攪拌棒を設置し、4つ口リアクターに、ジムロート冷却管、滴下漏斗、熱電対、塩化カルシウム管を取り付け、続いてピリジン(300ml)を投入した後、80℃加熱下において、セルロースシリルエーテルが溶解するまでマグネティックスターラーにて攪拌した。溶液が透明になったのを確認した後、ピリジン(20ml)に溶かした2−ナフトイルクロリド(5.15g:27mmol)を80℃下において滴下した。滴下後に5h攪拌した後、反応溶液を1000mlのメタノール中に滴下、攪拌して均一溶液を作製した。この均一溶液を1000mLのメタノールに滴下、攪拌する操作を3回繰り返すことにより、白色沈殿を得た。次に、白色沈殿を、真空オーブンを用いて80℃にて5h真空乾燥させ、目的の粉末状のセルロース誘導体を得た(モル収率99%、22.66g)。
樹脂をブルカー製400MHz−1H−NMRにて分析し、目的のセルロース誘導体であることを確認するとともに、置換度を計算した結果、D1=1.58、D2=0.17であった。
(合成例2)
2−ナフトイルクロリド(5.72g:30mmol)を使用した以外は合成例1と同様の手法を用いて目的のセルロース誘導体を得た(モル収率99%、22.44g)。
樹脂をブルカー製400MHz−1H−NMRにて分析し、目的のセルロース誘導体であることを確認するとともに、置換度を計算した結果、D1=1.58、D2=0.21であった。
<3.原反フィルムの作成>
以下に、上述したセルロース誘導体を用いた原反フィルムの作製方法を説明する。
(原反フィルムの製造例)
合成例1および2で得られた樹脂をキシレンに溶解して1wt%の希釈溶液を作製し、アドバンテック社の硬質濾紙No.4を用いた吸引ろ過にて希釈溶液から不溶物をろ過した後、希釈溶液をエバポレーターで濃縮して、10wt%の塗布液を得た。
該塗布液を支持体としての2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムと書く)上に流延した後、乾燥後の厚みがおよそ50μm〜70μmとなるように、塗布液をバーコーターで均一な膜状に塗布した。
その後、80℃で5分、100℃で5分、120℃で10分加熱した。得られたフィルムをPETフィルムから剥離し、500mm×300mmアルミ製の枠に固定して、さらに110℃で15分加熱して、残存キシレンを除き、原反フィルムを取得した。ガラス転移温度を測定したところ、219℃であった。
<4.延伸フィルム>
以下に、上述した原反フィルムを用いた延伸フィルムの作製方法を説明する。
(延伸フィルムの製造例)
原反フィルムを239℃にて20%自由端1軸延伸を行った。延伸後のフィルムの中央部より50mm×50mmを切り出し、延伸フィルムを得た。
<5.透明導電積層体>
作成した延伸フィルムを用い、以下の作成法にて各種透明導電性積層体を作成した。
(実施例1)
合成例1により得られた樹脂を用いて製造された延伸フィルムを用い、マグネトロンスパッター法によりITOの製膜を行った。ターゲットとしては、10%(重量%)の酸化錫を添加した酸化インジウムを用い、温度25℃、パワー密度2.5W/cm2、圧力0.6Pa、酸素分圧2.7×10-2Paのアルゴン雰囲気下で製膜を行った。ITOの膜厚は製膜レートから換算して約20nmであった。
(実施例2)
合成例2により得られた樹脂を用いて製造された延伸フィルムを用い、酸素分圧3.4×10-2Paを適用した以外は実施例1と同様の手法を用いてITOの製膜を実施した。ITOの膜厚は製膜レートから換算して約150nmであった。
(比較例1)
ポリマーフィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製:ルミラー)を使用した以外は実施例2と同様の手法によりITOの製膜を実施した。ITOの膜厚は製膜レートから換算して約150nmであった。
Figure 2018024136
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、各種電子デバイスの構成部材として適用できる透明導電性積層体を用い、液晶表示装置及び有機ELなどの画像表示装置に利用することができる。

Claims (10)

  1. ポリマーフィルムの少なくとも一方の面に、無機物の透明導電層を含む透明導電性積層体であって、透明導電性積層体の測定波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)が130nm〜160nm、測定波長450nmにおける面内レタデーションRe(450)と測定波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)の関係がRe(450)<Re(550)、厚みが20μm〜80μm、であることを特徴とする透明導電性積層体。
  2. 前記ポリマーフィルムが、下記の一般式(1)で表される重合単位を含むセルロース誘導体の少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1に記載の透明導電性積層体。
    Figure 2018024136
    (一般式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又は脂肪族基もしくは不飽和脂肪族基、芳香族基、脂肪族及び芳香族アシル基、脂肪族及び芳香族カーバメート基を含む。)
  3. 前記ポリマーフィルムのガラス転移温度が180℃以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電性積層体。
  4. 前記ポリマーフィルムのRe(450)/Re(550)が0.80〜0.99であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性積層体。
  5. 前記ポリマーフィルムの光弾性係数Kが5×10-122/N〜30×10-122/Nであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性積層体。
  6. 前記導電層がインジウム−スズ複合酸化物を含む薄膜であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性積層体。
  7. 前記ポリマーフィルムがシリル基を含むセルロース誘導体であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電性積層体。
  8. 前記ポリマーフィルムが芳香族アシル基を含むセルロース誘導体であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の透明導電性積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電性積層体を少なくとも一層含むことを特徴とする円偏光板。
  10. 請求項9に記載の円偏光板を含むことを特徴とする画像表示装置。
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