以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、複数種類の電動工具が例示される。
[第一実施形態]
以下、図1〜図3を参照して、第一実施形態について説明する。本実施形態では、電動工具の一例として、円板状の先端工具を所定の回転軸周りに回転駆動するように構成されたグラインダ1を例示する。グラインダ1に装着可能な先端工具として、砥石、ゴムパッド、ブラシ、ブレード等が用意されている。作業者は、所望の加工作業に応じて適切な先端工具を選択し、グラインダ1に装着する。グラインダ1は、先端工具を回転駆動することで、被加工材に対して研削、研磨、切断等の加工作業を行うことができる。なお、本実施形態の説明では、先端工具として、グラインダ1に砥石81が装着された例を用いるものとする。
まず、図1を参照して、グラインダ1の全体構成について説明する。図1に示すように、グラインダ1の外郭は、長尺中空状の本体ハウジング100によって形成されている。本体ハウジング100は、複数の部分(モータハウジング、ギアハウジング等)が連結されることで1つのハウジングとして構成されていてもよい。本体ハウジング100の長軸方向の一端部には、砥石81を駆動するためのスピンドル130が、その回転軸A1が本体ハウジング100の長軸方向に交差する方向(より詳細には概ね直交する方向)に延在するように配置されている。スピンドル130の一端部は、本体ハウジング100から外部に露出しており、砥石81を着脱可能な工具装着部131として構成されている。
以下では、説明の便宜上、スピンドル130の回転軸A1の延在方向をグラインダ1の上下方向と規定し、工具装着部131が設けられた一端部側を下側と規定する。また、スピンドル130の回転軸A1に直交し、本体ハウジング100の長軸に対応する方向をグラインダ1の前後方向と規定し、本体ハウジング100においてスピンドル130が配置されている一端部側を前側と規定する。
本体ハウジング100の前側部分は、主に、モータ110と、伝達機構120と、スピンドル130を収容する駆動部収容部101を構成する。本実施形態では、モータ110は、直流ブラシレスモータとして構成されており、充電式のバッテリ90から供給される電力により出力シャフト111を回転駆動する。モータ110は、本体ハウジング100内においてスピンドル130の後側に配置されている。また、モータ110は、出力シャフト111の回転軸がスピンドル130の回転軸A1に直交して前後方向に延在するように配置されている。出力シャフト111は、モータ110の前側と後側でベアリング112、113によって回転可能に支持されている。
出力シャフト111には、モータ110の本体部(ステータおよびロータ)と前側のベアリング112の間に、モータ110冷却用のファン117が固定されている。ファン117は、本体ハウジング100を通って所定の経路を流れる空気流を形成するように構成されている。詳細は図示しないが、本体ハウジング100には、本体ハウジング100の内部と外部とを連通させる吸気口および排気口が形成されている。モータ110の駆動に伴ってファン117が回転されることで、モータ110よりも後方の吸気口から本体ハウジング100内に流れ込み、図中に矢印で示すように、モータ110近傍を前方へ向かって流れた後、モータ110よりも前方の排気口から外部へ流出する空気流が形成される。この空気流は、モータ110の冷却風として機能する。
ファン117によって形成される空気流の経路上には、ガスセンサ140が配置されている。より詳細には、ガスセンサ140は、図中に矢印で示すように本体ハウジング100内を流れる空気流の流れ方向において、モータ110よりも下流側の部分を含む領域(以下、下流側領域という)に配置されている。なお、ここでいう「モータ110よりも下流側」とは、モータ110のうち、空気流の流れ方向において最上流に配置される部分(本実施形態では、モータ110の後端)よりも下流側を意味する。本実施形態では、ガスセンサ140は、モータ110の前端部近傍において、本体ハウジング100内に固定されている。
ガスセンサ140は、モータ110の過熱状態に対応して発生する特定の気体を検出するように構成されている。一般的には、モータ110が過熱状態に置かれると、モータ110の巻線に短絡や断線が生じる前に、巻線の絶縁被膜(例えば、ポリエステル系樹脂)、巻線の絶縁や固定のためのワニス(例えば、エポキシ樹脂)、その他の付属物が加熱されて酸化または分解され、特定の気体が発生する。この特定の気体の濃度が増加するにつれ、モータの焼損の可能性が高くなると考えられる。そこで、本実施形態では、モータの焼損の可能性を検知するために、絶縁被膜またはワニスから発生する特定の気体(例えば、一酸化炭素、トルエン、炭化水素、スチレン、アクリロニトリル)を検出可能なガスセンサ140が採用されている。このことから、ガスセンサ140は、モータ110の巻線のうち、空気流の流れ方向において最上流に配置される部分よりも下流側の部分を含む領域に配置されることが好ましい。
なお、ガスセンサ140による特定の気体の検出方式は特に限定されないが、本実施形態では、ガスセンサ140として、半導体の抵抗値の変化量を電圧として出力可能な半導体式のガスセンサが採用されている。この場合、ガスセンサ140で検出される電圧値の大小は、特定の気体の濃度の大小に対応する。よって、後述のコントローラ170による制御処理において、電圧値に対する閾値の設定により、特定の気体の有無を判断することが可能となる。なお、気体の濃度は、単位体積比で表される場合(単位はppm等)と、重量で表される場合(単位はmg/m3等)がある。
スピンドル130は、モータ110の前側に、上下方向に延在するように配置され、ベアリング132、133によって回転可能に支持されている。本体ハウジング100前端部から下方に突出する工具装着部131は、2つのフランジ部によって上側と下側から砥石81を挟持し、スピンドル130に対して固定するように構成されている。なお、工具装着部131の構成については周知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
伝達機構120は、モータ110の出力シャフト111の回転を減速した上でスピンドル130に伝達するように構成されている。本実施形態の伝達機構120は、出力シャフト411の前端部に固定された小べベルギアと、スピンドル130の上端部に固定され、小べベルギアと噛合する大べベルギアとを含む減速ギア機構として構成されている。モータ110の回転は、伝達機構120によって減速され、スピンドル130に伝達される。これにより、工具装着部131に固定された砥石81が、スピンドル130と共に回転駆動される。
また、本体ハウジング100前端部の下端部には、加工作業で生じた被加工物の破片や粉塵の飛散を抑制するとともに、砥石81から作業者を保護するためのホイールカバー138が固定されている。なお、ホイールカバー138の構成については周知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
本体ハウジング100の後側部分(モータ110が収容されている部分よりも後方の部分)は、作業者によって把持される把持部103を構成する。把持部103には、作業者の外部操作に応じて指示を受け付けるように構成された第一操作部150および第二操作部160が設けられている。
第一操作部150は、トリガ151とトリガスイッチ152とを含む。トリガ151は、把持部103の下端部に設けられ、作業者によって外部から押圧操作可能に構成されている。トリガスイッチ152は、把持部103内に収容されている。トリガスイッチ152は、トリガ151に対する押圧操作に応じて、ON状態(モータ110の通常駆動を指示する駆動指示を受け付けた状態)と、OFF状態(駆動指示を受け付けていない状態)との間で切り替えられる。より詳細には、トリガスイッチ152は、トリガ151の押圧が解除されている初期状態ではOFF状態に維持されて、OFF状態を示す信号を出力する一方、作業者によってトリガ151が押圧されている間はON状態に切り替えられ、ON状態を示す信号を出力するように構成されている。
第二操作部160は、リセットボタン161とリセットスイッチ162(図2参照)とを含む。リセットボタン161は、把持部103の上後端部に設けられ、作業者によって外部から押圧操作可能に構成されている。リセットスイッチ162は、把持部103内に収容されている。リセットスイッチ162は、リセットボタン161に対する押圧操作に応じて、ON状態(後述のモータ110の駆動禁止状態を解除する解除指示を受け付けた状態)と、OFF状態(解除指示を受け付けていない状態)との間で切り替えられる。より詳細には、リセットスイッチ162は、常時にはOFF状態で維持されて、OFF状態を示す信号を出力する一方、作業者によってリセットボタン161が押圧されたときにのみON状態とされ、ON状態を示す信号を出力するように構成されている。
把持部103の後端には、バッテリ90を着脱可能に構成されたバッテリ装着部105が設けられている。また、把持部103の後端部内には、モータ110の駆動を制御するコントローラ170が配置されている。把持部103の上後端部には、コントローラ170およびリセットボタン161に隣接して、モータ110の焼損可能性を報知するための警告ランプ180が設けられている。本実施形態では、警告ランプ180は、LEDで構成されている。
次に、図2を参照して、グラインダ1の電気的構成について説明する。図2に示すように、モータ110の駆動を制御するコントローラ170は、制御回路171と、駆動回路173とを含む。本実施形態では、制御回路171は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成されている。駆動回路173は、バッテリ装着部105に装着されたバッテリ90からの電力供給を受けてモータ110の巻線に電流を流すように構成されており、制御回路171から出力された制御信号に従って動作する。制御回路171は、図示しない電源回路を介してバッテリ90からの電力供給を受けて動作する。
制御回路171には、前述のガスセンサ140と、トリガスイッチ152と、リセットスイッチ162と、警告ランプ180とが電気的に接続されている。ガスセンサ140は、検出した特定の気体の濃度に対応する電圧値(以下、検出値という)を示す信号を出力する。トリガスイッチ152およびリセットスイッチ162は、夫々、ON状態またはOFF状態に対応する信号を出力する。制御回路171は、制御信号によって警告ランプ180の点灯を制御する。
以下、図3を参照して、コントローラ170(より詳細には制御回路171のCPU)によって実行されるグラインダ1の駆動制御処理について説明する。図3の駆動制御処理は、バッテリ90がバッテリ装着部105に装着されることでグラインダ1への電力供給が開始されると開始され、電力供給が停止されると終了される。なお、以下の説明では、処理中の各「ステップ」を「S」と簡略表記する。
図3に示すように、まず、コントローラ170は、ガスセンサ140の検出値を取得し、検出値が閾値を超えたか否かを判断する(S101)。閾値は、特定の気体の濃度に関して、モータ110の焼損には達していないものとして許容される上限濃度に対応する値として、予め設定されている。よって、検出値が閾値を超えるということは、ガスセンサ140によって検出された特定の気体の濃度が上限濃度を超えることに等しい。なお、閾値は、例えば制御回路171に含まれるROMに予め記憶されていればよい。
検出値が閾値を超えていない場合(S101:NO)、コントローラ170は、トリガスイッチ152からの信号を監視し、トリガスイッチ152がOFF状態の間、つまり駆動指示を受け付けていない状態の間は待機する(S102:NO、S102)。トリガ151が作業者によって押圧操作され、トリガスイッチ152がON状態、つまり駆動指示を受け付けた状態に切り替えられると(S102:YES)、コントローラ170は、予め設定された通常回転数でモータ110の駆動を開始する(S103)。より詳細には、制御回路171からの制御信号に応じて、駆動回路173がモータ110への通電を開始する。
モータ110の駆動開始後、コントローラ170は、ガスセンサ140の検出値に応じてモータ110の駆動を制御する。具体的には、検出値が閾値を超えていない場合、つまり、検出された特定の気体の濃度が上限濃度を超えていない場合(S104:NO)、トリガスイッチ152がON状態であれば(S105:YES)、そのままS104の処理に戻って検出値の監視を継続する。この間、モータ110の駆動は継続される。一方、検出された特定の気体の濃度が上限濃度を超えていないが(S104:NO)、作業者がトリガ151の押圧操作を中止し、トリガスイッチ152がOFF状態、つまり、駆動指示を受け付けていない状態に置かれた場合には(S105:NO)、コントローラ170は、モータ110への通電を停止することでモータ110の駆動を停止し(S106)、S101の処理に戻る。
モータ110の駆動開始後に検出値が閾値を超えた場合(S104:YES)、ガスセンサ140によって検出された特定の気体の濃度が上限濃度を超えた、つまり、モータ110の焼損の可能性が、モータ110の駆動開始時に比べてある程度高まったことを意味する。そこで、コントローラ170は、モータ110を保護するために、モータ110への通電を停止することでモータ110の駆動を停止する(S107)。あわせて、制御回路171に含まれるRAMに、モータ110は駆動が禁止された駆動禁止状態であることを示す情報が記憶される。更に、コントローラ170は、警告ランプ180を点灯させることで、特定の気体の濃度が上限濃度を超えたことを作業者に報知する(S108)。
コントローラ170は、リセットスイッチ162からの信号を監視し、リセットスイッチ162がOFF状態の間、つまり駆動禁止状態の解除指示を受け付けていない間は待機する(S109:NO、S109)。この間は、作業者によってトリガ151が押圧操作され、トリガスイッチ152がONとされても、コントローラ170は、モータ110の駆動禁止状態であることを示す情報に従って、モータ110を駆動しない。作業者によってリセットボタン161が押圧操作され、リセットスイッチ162がON状態に切り替えられた場合(S109:YES)、コントローラ170は、モータ110の駆動禁止状態であることを示す情報をキャンセルし、警告ランプ180を消灯して(S110)、S101の処理に戻る。
警告ランプ180の消灯後に、検出値が依然として閾値を超えている場合(S101:NO)、作業者がリセットスイッチ162を押圧操作したものの、ガスセンサ140によって検出された特定の気体の濃度は上限濃度よりも低くなっていないことを意味する。そこで、コントローラ170は、モータ110を駆動することなく、再び警告ランプ180を点灯させる(S108)。駆動制御処理の開始直後に検出値が閾値を超えている場合(S101:NO)、コントローラ170はそのままS108の処理に進む。
一方、警告ランプ180の消灯後に、検出値が閾値を超えていない場合(S101:YES)、特定の気体の濃度は上限濃度以下に低減されており、モータ110の過熱状態がある程度改善されたと想定される。そこで、コントローラ170は、S102の処理に進み、トリガスイッチ152がON状態とされた場合には、再度モータ110の駆動を開始する(S102:YES、S103)。このようにして、コントローラ170は、ガスセンサ140の検出値に応じてモータ110の駆動を制御する。
以上に説明したように、本実施形態のグラインダ1は、モータ110の過熱状態に対応して発生する特定の気体を検出するように構成されたガスセンサ140を備えている。ガスセンサ140は、モータ110の過熱状態に対応して特定の気体が実際に発生していることを事実として検知することができる。このため、複雑に温度が変化するモータの蓄熱量を、電流値から算出する場合に比べ、モータ110の焼損の可能性をより適切に検知することが可能となる。そして、コントローラ170は、ガスセンサ140による検出結果に応じてモータ110の回転数を制限することで、モータ110の保護を図ることができる。
特に、本実施形態では、ガスセンサ140は、特定の気体として、モータ110が過熱状態にあるものの、モータ110の巻線に短絡や断線が生じる前に発生すると考えられる気体を検出可能に構成されている。このため、モータ110が実際に焼損し、交換が必要となる前に、作業者が何らかの対策をとる余地を増やすことができる。
本実施形態では、ガスセンサ140は、ファン117によって形成される空気流の経路上に配置されているため、空気流に含まれて流れる特定の気体を効果的に検出することができる。なお、特定の気体は、空気流の経路において、モータ110よりも下流側に流れることが想定される。本実施形態では、ガスセンサ140は、特に、空気流の経路のうち、モータ110よりも下流側の部分を含む下流側領域に配置されているため、特定の気体を更に効果的に検出することができる。
本実施形態では、グラインダ1は、トリガ151およびトリガスイッチ152を含む第一操作部150と、リセットボタン161およびリセットスイッチ162を含む第二操作部160とを備えている。コントローラ170は、検出値が閾値以上となってモータ110が駆動禁止状態に置かれた後は、リセットスイッチ162がON状態とされない限り、トリガスイッチ152によって駆動指示が受け付けられても、モータ110を駆動せず、駆動禁止状態を維持するように構成されている。よって、モータ110を、それ以上焼損に近い状態にしないように駆動禁止状態で維持することができる。
一方、リセットスイッチ162がON状態とされ、解除指示が受け付けられた場合、コントローラ170は、駆動禁止状態を解除するように構成されている。よって、モータ110が一旦駆動禁止状態に置かれた場合でも、作業者が駆動禁止状態を解除してもよいと確認してリセットボタン161を操作すれば、グラインダ1を再度通常の状態で使用することができる。例えば、何らかの誤作動でモータ110が駆動禁止状態に置かれた場合や、駆動禁止状態に置かれた後に過熱がおさまった場合等に作業者が状況に応じて対処することができるため、利便性が向上する。特に、本実施形態では、モータ110が駆動禁止状態に置かれた場合、警告ランプ180が点灯されるため、作業者は、モータ110の状況(焼損の可能性がある等)を認識し、必要に応じて負荷を軽減するための対策をとることができる。
[第一変形例]
以下、図4を参照して、第一実施形態の駆動制御処理(図3参照)の第一変形例について説明する。なお、本変形例の説明では、実施形態の処理と同一内容のステップについては、同じステップ番号を付して、説明を省略または適宜簡略化する。
前述の第一実施形態では、リセットボタン161およびリセットスイッチ162を含む第二操作部160によって、モータ110の駆動禁止状態を解除する解除指示が受け付けられた場合、その後、ガスセンサ140による検出値が閾値よりも小さければ、モータ110の駆動が許容される。これに対し、本変形例では、検出値が閾値を超えた場合、それ以降のモータ110の再駆動が禁止される。
具体的には、図4に示すように、駆動制御処理が開始されると、コントローラ170は、ガスセンサ140の検出値が閾値を超えていない場合にはモータ110を駆動し、検出値が閾値以上となるとモータ110の駆動を停止して、警告ランプ180を点灯して、リセットスイッチ162の状態を監視する(S101〜S109)。リセットボタン161が押圧操作されることで、リセットスイッチ162がONとされると(S109:YES)、コントローラ170は、警告ランプ180を消灯する(S110)。本変形例では、S107の処理でRAMに記憶された駆動禁止状態を示す情報は、キャンセルされずに維持されている。これにより、その後、作業者によってトリガ151が押圧操作され、トリガスイッチ152がONとされても、コントローラ170は、この情報に従って、モータ110を駆動しない。
以上に説明したように、本変形例では、一旦モータ110の駆動が停止された後は、リセットスイッチ162の状態やガスセンサ140の検出値にかかわらず、モータ110の停止状態が維持される。従って、モータ110が再駆動されることで、モータ110の焼損の可能性が高まることを防止することができ、より確実にモータ110の保護を図ることができる。
[第二変形例]
以下、図5および図6を参照して、第一実施形態の駆動制御処理(図3参照)の第二変形例について説明する。第二変形例では、ガスセンサ140の検出値と比較される2つの閾値が設定されており、作業者に対する警告とモータ110の駆動停止とが段階的に行われる点が、第一実施形態の処理とは異なっている。
本変形例では、2種類の閾値として、第一閾値および第二閾値が設定され、例えば、制御回路171のROMに予め記憶されている。第二閾値は、第一実施形態で説明した上限濃度に対応する値である。一方、第一閾値には、上限濃度よりも低い濃度に対応する値、つまり、第二閾値よりも小さい値が設定されている。第一閾値は、モータ110の過熱状態において、特定の気体の濃度が上限濃度に達するよりも前の、モータ110の焼損の可能性がより低い段階で、作業者に警告が与えられる濃度(以下、警告濃度という)に対応して設定される値である。
図5に示すように、まず、コントローラ170は、ガスセンサ140の検出値を取得し、検出値が第一閾値を超えているか否かを判断する(S121)。検出値が第一閾値を超えていない場合、つまり、特定の気体の濃度が警告濃度を超えていない場合(S121:NO)、コントローラ170は、トリガスイッチ152がOFF状態の間、つまり駆動指示を受け付けていない状態の間は待機する(S122:NO、S122)。トリガ151が作業者によって押圧操作され、トリガスイッチ152がON状態に切り替えられると(S122:YES)、コントローラ170は、予め設定された通常回転数でモータ110の駆動を開始する(S123)。
モータ110の駆動開始後、コントローラ170は、ガスセンサ140の検出値に応じてモータ110の駆動を制御する。具体的には、検出値が第一閾値を超えていない場合(S124:NO)、トリガスイッチ152がON状態であれば(S125:YES)、そのままS124の処理に戻って検出値の監視を継続する。この間、モータ110の駆動は継続される。一方、検出された特定の気体の濃度が警告濃度を超えていないが(S124:NO)、作業者がトリガ151の押圧操作を中止し、トリガスイッチ152がOFF状態に置かれた場合には(S125:NO)、コントローラ170は、モータ110の駆動を停止し(S126)、S121の処理に戻る。
モータ110の駆動開始後に検出値が第一閾値以上を超えた場合(S124:YES)、特定の気体の濃度が警告濃度を超えたことを意味する。そこで、コントローラ170は、警告ランプ180を点滅させることで、特定の気体の濃度が警告濃度を超えたことを作業者に報知する(S127)。
続いて、図6に示すように、コントローラ170は、ガスセンサ140の検出値を取得し、検出値が第二閾値を超えたか否かを判断する(S128)。検出値が第二閾値を超えていない場合、つまり、特定の気体の濃度が上限濃度を超えていない場合(S128:NO)、トリガスイッチ152がON状態であれば(S129:YES)、そのままS128の処理に戻って検出値の監視を継続する。この間、モータ110の駆動および警告ランプ180の点滅は継続される。一方、検出された特定の気体の濃度が上限濃度を超えていないが(S128:NO)、トリガスイッチ152がOFF状態に置かれた場合には(S129:NO)、コントローラ170は、モータ110の駆動を停止し(S130)、S121の処理(図5参照)に戻る。
検出値が第二閾値を超えた場合(S128:YES)、つまり、特定の気体の濃度が上限濃度を超えた場合、コントローラ170は、モータ110を保護するためにモータ110の駆動を停止し(S131)、制御回路171のRAMに、駆動禁止状態を示す情報を記憶させる。更に、コントローラ170は、警告ランプ180を点灯させることで、特定の気体の濃度が上限濃度を超えたことを作業者に報知する(S132)。その後、コントローラ170は、リセットスイッチ162がOFF状態の間は待機し(S133:NO、S133)、リセットスイッチ162がON状態とされると(S133:YES)、警告ランプ180を消灯して(S134)、S121の処理に戻る(図5参照)。なお、S131〜S134の処理は、第一実施形態のS107〜S110(図3参照)の処理と同様である。
警告ランプ180の消灯後に、検出値が第一閾値を超えている場合(図5のS121:YES)、作業者がリセットスイッチ162を押圧操作したものの、ガスセンサ140によって検出された特定の気体の濃度が、少なくとも警告濃度を超えていることを意味する。そこで、コントローラ170は、検出値と第二閾値とを判断する(S141)。検出値が第二閾値を超えている場合(S141:YES)、特定の気体の濃度が上限濃度も超えていることを意味する。そこで、コントローラ170は、モータ110を駆動することなく前述のS132の処理(図6参照)に進み、再び警告ランプ180を点灯させる。
一方、検出値が第二閾値を超えなくなっていれば(S141:NO)、特定の気体の濃度が警告濃度は超えているが、上限濃度以下まで低減されたことを意味する。そこで、コントローラ170は、再び警告ランプ180を点滅させることで、作業者に警告を与える(S142)。コントローラ170は、トリガスイッチ152がOFFの間は待機し(S143:NO、S143)、トリガスイッチ152がONとされると(S143:YES)、モータ110の駆動を開始して(S144)、前述のS128の処理(図6参照)に進み、検出値が第二閾値を超えたか否かを監視する。
一方、警告ランプ180の消灯後に、検出値が第一閾値を超えなくなった場合(S121:NO)、特定の気体の濃度は警告濃度よりも低くなっており、モータ110の過熱状態がある程度改善されたと想定される。そこで、コントローラ170は、前述のS122の処理に進み、トリガスイッチ152がON状態とされると(S122:YES)、モータ110の駆動を開始する(S123)。このようにして、コントローラ170は、ガスセンサ140の検出値に応じてモータ110の駆動を制御する。
以上に説明したように、本変形例では、ガスセンサ140によって検出される特定の気体に関し、警告濃度に対応する第一閾値と、警告濃度よりも高い上限濃度に対応する2つの閾値が予め設定されている。そして、検出値が第一閾値を超えた場合(つまり、検出された特定の気体の濃度が警告濃度を超えた場合)、警告ランプ180が点滅されることで、特定の気体の濃度が警告濃度を超えたことが作業者に報知される。よって、作業者は、モータ110に高負荷がかかっていることを認識し、負荷を軽減するための対策をとることができる。更に、警告ランプ180が点滅されることで警告が与えられたにもかかわらず、特定の気体が増加し、検出値が第二閾値を超えた場合(つまり、検出された特定の気体の濃度が上限濃度を超えた場合)、モータ110の駆動が停止される。これにより、モータを保護することができる。つまり、本変形例では、特定の気体の濃度が警告濃度を超えた後に、負荷を軽減するための対策がなされなかった場合に限って、モータ110が停止される。よって、モータ110の保護動作が不要に行われることを防止することができる。
また、検出値が第一閾値を超えた場合には警告ランプ180が点滅されるのに対し、検出値が第二閾値を超えた場合には、警告ランプ180が点灯されることで、特定の気体が上限濃度を超えたことが報知される。このように、警告ランプ180によって、検出された特定の気体の濃度が警告濃度を超えた場合と上限濃度を超えた場合とで異なる態様で報知することで、作業者は、モータ110の焼損の可能性が高くなったことを容易に認識することができる。
[第二実施形態]
以下、図7〜図9を参照して、第二実施形態について説明する。本実施形態では、電動工具の一例として、第一実施形態とは異なるグラインダ2を例示する。若干の相違はあるものの、グラインダ2の基本的な構成は、図1に示すグラインダ1と共通している。よって、以下では、両者に共通する基本的な構成には同じ符号を付して説明を省略または適宜簡略化し、主に、異なる構成について説明する。なお、グラインダ1との主な相違点は、グラインダ2のモータ210の構成、ガスセンサ241〜243の構成、およびガスセンサ241〜243の検出結果に応じたモータ110の駆動制御処理である。
まず、図7を参照して、グラインダ2の全体構成について説明する。図7に示すように、グラインダ2の外郭は、グラインダ1と同様、前後方向に延在する本体ハウジング100によって形成されている。本体ハウジング100の前端部には、上下方向に延在するスピンドル130が配置されている。スピンドル130の後側には、モータ210配置されている。本実施形態では、モータ210として、ブラシを有する交流モータが採用されている。第一実施形態と同様、ベアリング112、113に回転可能に支持されたモータ210の出力シャフト211は、スピンドル130の回転軸A1に直交して前後方向に延在するように配置されている。
また、出力シャフト211には、第一実施形態と同様、モータ210冷却用のファン117が固定されている。本実施形態では、ファン117によって形成される空気流の経路上には、3つのガスセンサ241〜243が配置されている。より詳細には、ガスセンサ241、242は、何れも下流側領域に配置されており、ガスセンサ243は、本体ハウジング100内を流れる空気流の流れ方向(図中に矢印で示す)において、モータ210よりも上流側の部分を含む領域(以下、上流側領域という)に配置されている。なお、ここでいう「モータ210よりも上流側」とは、モータ210のうち、空気流の流れ方向において最上流に配置される部分(本実施形態では、モータ210の後端)よりも上流側を意味する。
本実施形態では、ガスセンサ241、242は、モータ210の前端部の近傍において、本体ハウジング100内に固定され、ガスセンサ243は、モータ210の後端部側のベアリング113の近傍において、本体ハウジング100内に固定されている。なお、以下の説明では、ガスセンサ241、242を、夫々、下流側センサ241、242、ガスセンサ243を上流側センサ243とも称する。
ガスセンサ241〜243は何れも、同じ種類の特定の気体を検出可能に構成されている。具体的には、第一実施形態と同様、ガスセンサ241〜243は何れも、絶縁被膜またはワニスから発生する特定の気体を検出する。
なお、本実施形態において、本体ハウジング100の前側部分を形成する駆動部収容部101は、モータ210としてブラシ付きの交流モータが採用されていることに対応して、第一実施形態の駆動部収容部101よりも前後方向に長い。本体ハウジング100の後側部分を構成する把持部103には、第一実施形態と同様、コントローラ170(図8参照)と、トリガ151およびトリガスイッチ152を含む第一操作部150が配置されている。一方で、第一実施形態とは異なり、第二操作部160(リセットボタン161およびリセットスイッチ162)は設けられていない。また、把持部103の後端(本体ハウジング100の後端)には、外部の交流電源に接続するための電源ケーブル91が設けられている。更に、本実施形態では、本体ハウジング100には、第一実施形態の警告ランプ180に代えてブザー280(図8参照)が設けられている。
以下、図8を参照して、グラインダ2の電気的構成について説明する。図8に示すように、第一実施形態と同様、モータ210の駆動を制御するコントローラ170は、制御回路171と、駆動回路173とを含む。また、制御回路171には、ガスセンサ241〜243と、トリガスイッチ152と、ブザー280とが電気的に接続されている。ガスセンサ241〜243は、夫々、検出値を示す信号を出力する。トリガスイッチ152は、ON状態またはOFF状態に対応する信号を出力する。制御回路171は、制御信号によってブザー280の音の出力を制御する。
以下、図9を参照して、コントローラ170(より詳細には制御回路171のCPU)によって実行されるグラインダ2の駆動制御処理について説明する。図9の駆動制御処理は、電源ケーブル91が外部電源に接続され、グラインダ2への電力供給が開始されると開始され、電力供給が停止されると終了される。
図9に示すように、コントローラ170は、第一検出値を取得し(S151)、更に第二検出値を取得する(S152)。本実施形態では、第一検出値として、2つの下流側センサ241、242から出力された検出値の平均値が用いられる。一方、第二検出値は、上流側センサ243から出力された検出値である。
コントローラ170は、第一検出値と第二検出値の差分値を算出し、差分値が閾値を超えたか否かを判断する(S153)。第一検出値と第二検出値の差分値は、上流側領域で検出された特定の気体と下流側領域で検出された特定の気体の濃度の差に対応する。一般的には、モータ210の過熱状態に対応して発生した特定の気体は、空気流に含まれてモータ210から下流に流れるため、本体ハウジング100内でモータ210に対して上流側領域に配置された上流側センサ243によって検出される特定の気体の濃度よりも、モータ210に対して下流側領域に配置された下流側センサ241、242によって検出される特定の気体の濃度の方が高くなると想定される。一方、モータ210が過熱状態にないときに、外部要因でグラインダ2の周辺に存在していた特定の気体が本体ハウジング100の外部から流入した場合には、上流側センサ243によって検出される特定の気体の濃度と、下流側センサ241、242によって検出される特定の気体の濃度とは、概ね等しいか、上流側の濃度の方が高いと想定される。
そこで、本実施形態では、閾値として、ゼロ以上の値が予め設定されている。なお、閾値としてゼロに近い値が設定されるほど、モータ210の過熱状態に起因して発生したと想定される特定の気体が僅かであっても、モータ210の保護が行われることになる。よって、閾値としては、第一実施形態のように、モータ210の焼損には達していないものとして許容される上限の濃度差に対応する値が設定されていることが好ましい。この場合、ガスセンサ241〜243の検出誤差等に起因して不要にモータ210の駆動が停止される可能性を低減することができる。閾値は、例えば制御回路171のROMに記憶されていればよい。
差分値が閾値を超えていない場合(S153:NO)、コントローラ170は、トリガスイッチ152からの信号を監視し、トリガスイッチ152がOFF状態の間は待機する(S154:NO、S154)。トリガ151が作業者によって押圧操作され、トリガスイッチ152がON状態に切り替えられると(S154:YES)、コントローラ170は、予め設定された通常回転数でモータ210の駆動を開始する(S155)。
モータ210の駆動開始後、コントローラ170は、ガスセンサ241〜243の検出値に応じてモータ210の駆動を制御する。具体的には、コントローラ170は、再び第一検出値および第二検出値を取得し(S156、S157)、差分値が閾値を超えていない場合(S158:NO)、トリガスイッチ152がON状態であれば(S159:YES)、S156の処理に戻って差分値が閾値を超えたか否かの監視を継続する(S156〜S158)。この間、モータ210の駆動は継続される。一方、差分値が閾値を超えていないが(S158:NO)、作業者がトリガ151の押圧操作を中止し、トリガスイッチ152がOFF状態とされた場合には(S159:NO)、コントローラ170は、モータ210の駆動を停止し(S160)、S151の処理に戻る。
モータ210の駆動開始後に差分値が閾値を超えた場合(S158:YES)、モータ210の焼損の可能性が、モータ210の開始時に比べてある程度高まったことを意味する。そこで、コントローラ170は、モータ210を保護するためにモータ210の駆動を停止する(S161)。あわせて、制御回路171のRAMに、駆動禁止状態を示す情報が記憶される。更に、コントローラ170は、ブザー280から警告音を発することで、上流側領域と下流側領域で検出された特定の気体の濃度差が上限の濃度差を超えたことを作業者に報知する(S162)。
ブザー280を鳴らした後、コントローラ170は、第一検出値および第二検出値を取得し(S163、S164)、差分値が閾値を超えた状態が継続していれば(S165:YES)、S163の処理に戻って監視を継続する(S163〜S165)。この間は、作業者によってトリガ151が押圧操作され、トリガスイッチ152がONとされても、コントローラ170は、モータ210の駆動禁止状態であることを示す情報に従って、モータ210を駆動しない。差分値が閾値を超えなくなった場合(S165:NO)、コントローラ170は、モータ210の駆動禁止状態であることを示す情報をキャンセルし、ブザー280から警告音を発するのを停止して(S166)、S154の処理に戻る。トリガスイッチ152がON状態とされると(S154:YES)、コントローラ170は、再度モータ210の駆動を開始する(S155)。このようにして、コントローラ170は、ガスセンサ241〜243の検出値に応じてモータ210の駆動を制御する。
以上に説明したように、本実施形態のグラインダ2は、モータ210に対して上流側領域および下流側領域の両方に配置された上流側センサ243および下流側センサ241、242を備えている。そして、コントローラ170は、上流側センサ243および下流側センサ241、242の両方の検出結果に応じて、モータ210を停止するように構成されている。特定の気体は、空気流の経路において、モータ210の上流側領域で検出された特定の気体の濃度の方が高い場合、または上流側領域と下流側領域で検出された特定の気体の濃度にそれほど差がない場合、特定の気体は、モータ210の過熱状態に対応して発生したものではない可能性もある。よって、本実施形態のように、上流側センサ243および下流側センサ241、242の両方の検出結果を利用することで、モータ210の焼損可能性の誤検知の可能性を抑制し、モータ210の駆動をより適切に制御することができる。
本実施形態では、モータ210が駆動禁止状態に置かれた場合、ブザー280の警告音が発せられる。よって、作業者は、警告音に基づき、モータ210の焼損の可能性があることを認識し、必要に応じて負荷を軽減するための対策をとることができる。
また、本実施形態では、モータ210が駆動禁止状態に置かれた場合でも、第一検出値と第二検出値の差分、つまり、上流側領域で検出された特定の気体と下流側領域で検出された特定の気体の濃度の差が、予め設定された上限の濃度差よりも低くなった場合、駆動禁止状態が解除され、モータ210が再度駆動される。このように、モータ210が一旦駆動禁止状態に置かれた場合でも、その後、モータ210の過熱状態はおさまったと想定される場合には、自動的に駆動禁止状態が解除されるので、作業者にとっての利便性が向上する。
[変形例]
以下、図10を参照して、第二実施形態の駆動制御処理(図9参照)の変形例について説明する。なお、本変形例の説明では、実施形態の処理と同一内容のステップについては、同じステップ番号を付して、説明を省略または適宜簡略化する。
前述の第二実施形態では、モータ210の駆動を開始するか否かの判断基準として、第一検出値と第二検出値の差分値が用いられている(S153およびS165)。これに対し、本変形例では、差分値ではなく、第一検出値および第二検出値のうち少なくとも一方が用いられる。
具体的には、図10に示すように、コントローラ170は、第一検出値および第二検出値を取得した後(S151〜S152)、第一検出値および第二検出値のうち少なくとも一方が、予め設定された閾値を超えているか否かを判断する(S1530)。この閾値は、S158において、モータ210の駆動を停止するか否かの判断時に用いられる値(モータ210の焼損には達していないものとして許容される上限の濃度差に対応する値)とは異なり、第一実施形態と同様、モータ110の焼損には達していないものとして許容される特定の気体自体の上限濃度に対応する値である。
第一検出値および第二検出値のうち少なくとも一方が、予め設定された閾値を超えている場合(S1530:YES)、モータ210の上流側または下流側において、特定の気体が、上限濃度に達していることを意味する。よって、コントローラ170は、モータ210の駆動を開始することなくS162の処理に進み、ブザー280から警告音を発する。一方、第一検出値および第二検出値が何れも閾値を超えていない場合(S1530:NO)、コントローラ170は、トリガ151の操作に応じてモータ210の駆動を開始する(S154〜S155)。
モータ210の駆動の開始後に、第一検出値と第二検出値の差分値が閾値を超え、モータ210の駆動が停止され、警告音が発せられた後にも(S155〜S162)、同様に、コントローラ170は、第一検出値および第二検出値を取得し(S163〜S164)、第一検出値および第二検出値のうち少なくとも一方が、予め設定された閾値を超えているか否かを判断する(S1650)。これらのうち少なくとも一方が閾値を超えている場合(S1650:YES)、コントローラ170はS163の処理に戻る。第一検出値および第二検出値が何れも閾値を超えていない場合(S1650:NO)、コントローラ170は、警告音を停止して(S166)、S154の処理に戻る。
以上に説明したように、本変形例では、モータ210の上流側および下流側の何れにおいても特定の気体が上限濃度に達していない場合にモータ210の駆動が開始され、その後、第一検出値と第二検出値の差分値が閾値を超えた場合にモータ210の駆動が停止される。よって、モータ210の駆動に起因した過熱状態をより適切に検知することができる。なお、本変形例では、第一検出値および第二検出値の両方が閾値と比較されているが、例えば、下流側センサ241、242による第一検出値のみ、あるいは、上流側センサ243による第二検出値のみが閾値と比較されてもよい。
[第三実施形態]
以下、図11〜図13を参照して、第三実施形態について説明する。本実施形態では、電動工具の一例として、携帯型の丸鋸3を例示する。丸鋸3は、円板状の先端工具を回転駆動することで、被加工材を切断する切断作業を行うように構成されている。なお、本実施形態の説明では、先端工具として、丸鋸3に円板状の鋸刃82が装着された例を用いるものとする。
以下、図11を参照して、丸鋸3の全体構成について説明する。図11に示すように、丸鋸3の外郭は、全体として長尺矩形箱状の本体ハウジング300と、概ねU字状に形成され、本体ハウジング300に両端が連結されたハンドルハウジング303によって形成されている。本体ハウジング300の長軸方向(図11の紙面に直交する方向)における一端部には、鋸刃82を駆動するためのスピンドル330が配置されている。具体的には、スピンドル330は、その回転軸が本体ハウジング300の長軸方向に交差する方向(より詳細には概ね直交する方向)に延在するように、回転可能に配置されている。スピンドル330の一端部は、本体ハウジング300から外部に露出しており、鋸刃82を着脱可能な工具装着部331として構成されている。
以下では、説明の便宜上、スピンドル330の回転軸A3の延在方向を丸鋸3の左右方向と規定し、工具装着部331が設けられた一端部側を右側と規定する。また、スピンドル330の回転軸A3に直交し、本体ハウジング300の長軸に対応する方向(図11の紙面に直交する方向)を丸鋸3の前後方向と規定し、本体ハウジング300においてスピンドル330が配置されている一端部側(図11の紙面表側)を前側と規定する。
本体ハウジング300は、主にモータ310と、伝達機構320と、スピンドル330とを収容している。本実施形態では、モータ310は、直流ブラシレスモータとして構成されており、充電式のバッテリ90から供給される電力により出力シャフト311を回転駆動する。モータ310は、本体ハウジング300において、円筒状に形成された右前端部内に収容されている。モータ310は、出力シャフト311の回転軸がスピンドル330の回転軸A3に対して平行に、左右方向に延在するように配置されている。出力シャフト311は、モータ310の左側と右側でベアリング312、313によって回転可能に支持されている。
出力シャフト311には、モータ310の本体部(ステータおよびロータ)と右側のベアリング313の間に、モータ310冷却用のファン317が固定されている。ファン317は、本体ハウジング300を通って所定の経路を流れる空気流を形成するように構成されている。第一実施形態と同様、モータ310の駆動に伴ってファン317が回転されることで、モータ310左方の吸気口から本体ハウジング300内に流れ込み、図中に矢印で示すように、モータ310近傍を右方へ向かって流れた後、モータ310よりも右方の排気口から外部へ流出する空気流が形成される。なお、本実施形態では、モータ310の駆動を制御するためのコントローラ370は、モータ310とファン317の間に配置されている。
ファン317によって形成される空気流の経路上には、2つのガスセンサ341、342が配置されている。本実施形態では、ガスセンサ341、342は、何れもモータ310に対して下流側領域に配置されている。より詳細には、ガスセンサ341、342は、コントローラ370の基板上に配置されている。
本実施形態では、2つのガスセンサ341、342のうち、ガスセンサ341は、モータ310の過熱状態のうち、モータ310の過熱の度合いがより低い第一状態に対応して発生する特定の気体(以下、第一の気体という)を検出するように構成されている。一方、ガスセンサ342は、モータ310の過熱状態のうち、第一状態よりも過熱の度合いが高い第二状態に対応して発生する特定の気体(以下、第二の気体という)を検出するように構成されている。ガスセンサ341、342とで、検出する特定の気体の種類は異なっている。
第一の気体および第二の気体は、特に限定されるものではないが、例えば、モータ310が過熱状態に置かれた場合、モータ310の巻線の絶縁被膜を構成する樹脂が、ワニスを構成する樹脂よりも先に酸化または分解されて、特定の気体が発生することが判明している場合には、第一の気体として、巻線の絶縁被膜から発生するガスを検出可能なガスセンサ341を採用し、第二の気体として、ワニスから発生するガスを検出可能なガスセンサ342を採用すればよい。以下、ガスセンサ341および342を、夫々、第一ガスセンサ341および第二ガスセンサ342とも称する。
伝達機構320は、モータ110の出力シャフト311の回転を減速した上でスピンドル330に伝達するように構成されている。本実施形態の伝達機構320は、中間シャフトと複数のギアを含む減速ギア機構として構成されている。伝達機構320の構成は周知であるため、簡単に説明する。中間シャフトは、出力シャフト311およびスピンドル330に対して平行に配置されている。中間シャフトは、出力シャフト311の前端部に設けられた駆動ギアと噛合する従動ギアと、スピンドル330の中央部に設けられた従動ギアと噛合する駆動ギアとを有する。モータ310の回転動力は、伝達機構320によって減速され、スピンドル330に伝達される。これにより、工具装着部331に固定された鋸刃82が、スピンドル330と共に回転駆動される。
本体ハウジング300左端部から左方に突出する工具装着部331は、2つのフランジ部によって左側と右側から鋸刃82を挟持し、スピンドル330に対して固定するように構成されている。なお、工具装着部331の構成については周知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。また、本体ハウジング300の左端部には、鋸刃82から作業者を保護するためのブレードカバー305が、本体ハウジング300と一体的に設けられている。なお、ブレードカバー305の構成については周知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
更に、本体ハウジング300には、被加工物上に載置可能な載置面308を有するベース部307が連結されている。ベース部307の構成については周知であるため、ここでは簡単に説明する。ベース部307には開口部が形成されており、鋸刃82およびブレードカバー305の下部は、この開口部から下方へ突出している。ベース部307の載置面308を被加工物の上面に面接触させ、丸鋸3を前方に移動させることで、載置面308から下方に突出して回転される鋸刃82によって、被加工物を切断することができる。なお、鋸刃82の回転面P1は、載置面308に交差する方向に伸展する。
本体ハウジング300において、モータ310の収容部の後方には、充電式のバッテリ90が着脱可能に構成されたバッテリ装着部(図示せず)が設けられている。また、モータ310の収容部の上部には、第一実施形態の第二操作部160と同様の第二操作部360と、警告ランプ380とが設けられている。第二操作部360は、作業者によって押圧操作可能なリセットボタン361と、本体ハウジング300内に収容され、モータ310の駆動禁止状態の解除指示を受け付けるリセットスイッチ362(図12参照)とを含む。また、モータ310の焼損可能性を報知するための警告ランプ380は、リセットボタン361に隣接して配置されており、第一実施形態と同様、LEDで構成されている。
ハンドルハウジング303は、本体ハウジング300の上部に連結され、逆U字状に上方に突出している。ハンドルハウジング303の上部(突出部)は、持ち運び時や加工作業時に作業者によって把持される把持部を構成する。ハンドルハウジング303には、第一操作部350が設けられている。第一操作部350は、第一実施形態の第一操作部150と同様、作業者によって外部から押圧操作可能なトリガ351と、ハンドルハウジング303内に収容され、モータ310の駆動指示を受け付けるトリガスイッチ352と(図12参照)を含む。
次に、図12を参照して、丸鋸3の電気的構成について説明する。図12に示すように、モータ310の駆動を制御するコントローラ370は、制御回路371と、駆動回路373とを含む。本実施形態では、制御回路371は、第一実施形態の制御回路171と同様、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成されている。駆動回路373は、バッテリ装着部に装着されたバッテリ90からの電力供給を受けてモータ310の巻線に電流を流すように構成されており、制御回路371から出力された制御信号に従って動作する。制御回路371は、図示しない電源回路を介してバッテリ90からの電力供給を受けて動作する。
制御回路371には、前述の第一ガスセンサ341と、第二ガスセンサ342と、トリガスイッチ352と、リセットスイッチ362と、警告ランプ380とが電気的に接続されている。第一ガスセンサ341および第二ガスセンサ342は、夫々、検出値を示す信号を出力する。トリガスイッチ352およびリセットスイッチ362は、夫々、ON状態またはOFF状態に対応する信号を出力する。制御回路371は、制御信号によって警告ランプ380の点灯を制御する。
以下、図13および図14を参照して、コントローラ370(より詳細には制御回路371のCPU)によって実行される丸鋸3の駆動制御処理について説明する。図13および図14の駆動制御処理は、バッテリ90がバッテリ装着部に装着され、丸鋸3への電力供給が開始されると開始され、電力供給が停止されると終了される。
ここで、本実施形態で検出値との比較に用いられる閾値について説明する。本実施形態では、第一ガスセンサ341によって検出された第一の気体の濃度に対応して出力される検出値(以下、第一検出値という)と比較される第一閾値と、第二ガスセンサ342から出力される検出値(以下、第二検出値という)と比較される第二閾値とが予め設定されている。
前述の通り、第一の気体は、モータ110の過熱度合いがより低い第一状態に対応して発生し、第二の気体は、モータ110の過熱度合いがより高い第二状態に対応して発生する。そこで、例えば、第一閾値として、第一の気体がある程度発生しているが第二の気体は発生していない状態に対応する第一の気体の濃度を実験的に特定して、警告濃度として設定すると共に、第二閾値として、第二の気体がある程度発生しているが、モータ310の焼損には達していない状態に対応する第二の気体の上限濃度を実験的に特定して設定することができる。第一閾値と第二閾値は、例えば、制御回路371のROMに予め記憶されていればよい。
図13に示すように、駆動制御処理が開始されると、コントローラ370は、第一ガスセンサ341から出力された第一検出値を取得し、第一検出値が第一閾値を超えているか否かを判断する(S171)。第一検出値が第一閾値を超えていない場合、つまり、第一の気体の濃度が警告濃度を超えていない場合(S171:NO)、コントローラ370は、トリガスイッチ352がOFF状態の間は待機する(S172:NO、S172)。トリガ351が作業者によって押圧操作され、トリガスイッチ352がON状態に切り替えられると(S172:YES)、コントローラ370は、予め設定された通常回転数でモータ310の駆動を開始する(S173)。
モータ310の駆動開始後、コントローラ370は、第一ガスセンサ341、第二ガスセンサ342の検出値に応じてモータ310の駆動を制御する。具体的には、第一検出値が第一閾値を超えていない場合(S174:NO)、トリガスイッチ352がON状態であれば(S175:YES)、そのままS174の処理に戻って第一検出値の監視を継続する。この間、モータ310の駆動は継続される。一方、検出された第一の気体の濃度が警告濃度を超えていないが(S174:NO)、トリガスイッチ352がOFF状態に置かれた場合には(S175:NO)、コントローラ370は、モータ310の駆動を停止し(S176)、S171の処理に戻る。
モータ310の駆動開始後に第一検出値が第一閾値以上を超えた場合(S174:YES)、第一の気体の濃度が警告濃度を超えたことを意味する。そこで、コントローラ370は、警告ランプ380を点滅させることで、特定の気体の濃度が警告濃度以上となったことを作業者に報知する(S177)。
続いて、図14に示すように、コントローラ370は、第二ガスセンサ342から出力された第二検出値を取得し、第二検出値が第二閾値を超えたか否かを判断する(S178)。第二検出値が第二閾値を超えていない場合、つまり、第二の気体の濃度が上限濃度を超えていない場合(S178:NO)、トリガスイッチ352がON状態であれば(S179:YES)、そのままS178の処理に戻って第二検出値の監視を継続する。この間、モータ310の駆動および警告ランプ380の点滅は継続される。一方、検出された第二の気体の濃度が上限濃度を超えていないが(S178:NO)、トリガスイッチ352がOFF状態に置かれた場合には(S179:NO)、コントローラ370は、モータ310の駆動を停止し(S180)、S171の処理(図13参照)に戻る。
第二検出値が第二閾値を超えた場合(S178:YES)、つまり、第二の気体の濃度が上限濃度を超えた場合、コントローラ370は、モータ310を保護するためにモータ310の駆動を停止し(S181)、制御回路371のRAMに、駆動禁止状態を示す情報を記憶させる。更に、コントローラ370は、警告ランプ380を点灯させることで、第二の気体の濃度が上限濃度を超えたことを作業者に報知する(S182)。その後、コントローラ370は、リセットスイッチ362がOFF状態の間は待機し(S183:NO、S183)、リセットスイッチ362がON状態とされると(S183:YES)、警告ランプ380を消灯して(S184)、駆動制御処理を終了する。本実施形態では、第一実施形態の第一変形例と同様、S181の処理でRAMに記憶された駆動禁止状態を示す情報は、キャンセルされずに維持されている。これにより、その後、作業者によってトリガ351が押圧操作され、トリガスイッチ352がONとされても、コントローラ370は、この情報に従って、モータ310を駆動しない。
以上に説明したように、本実施形態の丸鋸3は、第一ガスセンサ341および第二ガスセンサ342を備えている。第一ガスセンサ341は、モータ310の過熱の度合いがより低い第一状態に対応して発生する第一の気体を検出し、第二ガスセンサ342は、第一状態よりもモータ310の過熱の度合いが高い第二状態に対応して発生する第二の気体を検出する。このように、第一ガスセンサ341および第二ガスセンサ342を設けることによって、コントローラ370は、モータ310の過熱の度合いに応じた適切な制御を行うことができる。
更に、本実施形態では、第一の気体に関する警告濃度に対応する第一閾値と、第二の気体に関する上限濃度に対応する第二閾値とが予め設定されている。第一検出値が第一閾値を超えた場合、つまり、第一の気体の濃度が警告濃度を超えた場合には、警告ランプ380によって警告が発せられることで、作業者は、モータに高負荷がかかっていることを認識し、負荷を軽減するための対策をとることができる。警告にもかかわらず、過熱の度合いがより高くなって、第二検出値が第二閾値を超えた場合、つまり、第二の気体の濃度が上限濃度を超えた場合には、コントローラ370によってモータ310の駆動が停止されることで、モータを確実に保護することができる。このように、本実施形態では、第一の気体が警告濃度を超えた後に、負荷を軽減するための対策がなされなかった場合に限って、モータ310の回転数が制限される。よって、モータ310の保護動作が不要に行われることを防止することができる。
また、第一検出値が第一閾値を超えた場合には警告ランプ380が点滅されるのに対し、第二検出値が第二閾値を超えた場合には、警告ランプ380が点灯されることで、第二の気体が上限濃度を超えたことが報知される。このように、警告ランプ380によって、モータ310の過熱の度合いに応じて異なる態様による報知が行われることで、作業者は、モータ310の焼損の可能性が高くなったことを容易に認識することができる。
[第四実施形態]
以下、図15を参照して、第四実施形態について説明する。本実施形態では、電動工具の一例として、チェンソー4を例示する。チェンソー4は、チェーン状の先端工具を回転駆動することで、被加工材を切断する切断作業を行うように構成されている。より詳細には、チェンソー4は、ガイドバー409に掛け渡されたループ状のチェーン刃83をガイドバー409の外周に沿って回転駆動するように構成されている。
図15に示すように、チェンソー4の外郭は、中空状の本体ハウジング400によって形成されている。本体ハウジング400の内部には、主に、モータ410と、伝達機構420と、チェーン刃83を駆動するためのスピンドル430とが配置されている。モータ410とスピンドル430は、モータ410の出力シャフト411の回転軸とスピンドル430の回転軸A4とが平行となるように配置されている。
スピンドル430の一端部は、本体ハウジング400から外部へ突出しており、この一端部に、スプロケット431がスピンドル430と一体的に回転可能に固定されている。スプロケット431は、チェーン刃83が噛合可能に構成されている。チェーン刃83が掛け渡される長尺状のガイドバー409は、その長軸方向の一端部において、本体ハウジング400に取り外し可能に固定されている。ガイドバー409は、スピンドル430の回転軸A4と交差する方向(より詳細には概ね直交する方向)に本体ハウジング400から突出する。
以下では、説明の便宜上、スピンドル430の回転軸A4の延在方向をチェンソー4の左右方向と規定し、スプロケット431が設けられた一端部側を右側と規定する。また、スピンドル330の回転軸A4に直交し、ガイドバー409の延在方向に対応する方向をチェンソー4の前後方向と規定し、ガイドバー409の突出端側を前側と規定する。
本体ハウジング400の右端部には、スプロケット431に対して前側に、ガイドバー409を着脱可能に構成されたガイドバー取付け部432が設けられている。ガイドバー取付け部432の構成は周知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。チェーン刃83がガイドバー409に掛け渡され、スプロケット431に噛合された後、ガイドバー409がガイドバー取付け部432に固定される。これにより、チェーン刃83がチェンソー4に装着される。
モータ410の出力シャフト411には、モータ410の本体部(ステータおよびロータ)の右側に、モータ410冷却用のファン417が固定されている。ファン417は、図中に矢印で示すように、本体ハウジング400を通って所定の経路を流れる空気流を形成する。図15は、特定の気体を検出可能な4つのガスセンサ441〜444が配置された例を示している。これらのうちガスセンサ441、442は、モータ410に対して下流側領域に配置され、ガスセンサ443、444は、モータ410に対して上流側領域に配置されている。
伝達機構420は、モータ410の出力シャフト411の回転を減速した上でスピンドル330に伝達するように構成されている。本実施形態の伝達機構420は、出力シャフト411の右端部に固定された小歯車と、スピンドル430に固定され、小歯車と噛合する大歯車とを含む減速ギア機構として構成されている。モータ410の回転は、伝達機構420によって減速され、スピンドル430に伝達される。これにより、スプロケット431に噛合され、ガイドバー409に掛け渡されたチェーン刃83がガイドバー409の外周に沿って回転駆動される。
本体ハウジング400の後端部には、充電式のバッテリ90を着脱可能に構成されたバッテリ装着部405が設けられ、モータ410とバッテリ装着部405の間には、モータ410の駆動を制御するコントローラ470が配置されている。コントローラ470は、第一実施形態のコントローラ170(図2参照)と同様の構成を有する。また、図示はされていないが、本体ハウジング400の上側には、作業者によって把持される把持部を構成するU字状のハンドルハウジングが連結されている。図5に示す丸鋸3と同様、ハンドルハウジングには、作業者による押圧操作が可能なトリガと、モータ410の駆動指示を受け付けるトリガスイッチとを含む第一操作部(図示せず)が設けられている。更に、本体ハウジング400には、リセットボタンおよびリセットスイッチを含む第二操作部や、警告ランプまたはブザーが設けられていてもよい。
かかる構成のチェンソー4において、コントローラ470によって行われるモータ410の駆動制御処理は、上記実施形態およびその変形例の何れかの処理と同じであってもよいし、何れかの処理の一部が変更されたものであってもよいし、これらのうち複数の処理の組み合わせであってもよい。例えば、前述の4つのガスセンサ441〜444がすべて同じ種類の特定の気体を検出可能な場合、コントローラ470は、第二実施形態と同様、下流側のガスセンサ441、442および上流側のガスセンサ443、444の検出結果に応じて、モータ410の駆動を制御することができる(図9参照)。この場合、ガスセンサ441、442の検出値の平均値を第一検出値とし、ガスセンサ443、444の検出値の平均値を第二検出値とすればよい。
一方、例えば、ガスセンサ441〜444のうち、下流側のガスセンサ441と上流側のガスセンサ443は、モータ410の過熱度合いがより低い第一状態に対応して発生する第一の気体を検出するように構成され、下流側のガスセンサ442と上流側のガスセンサ444は、モータ410の過熱度合いがより高い第二状態に対応して発生する第二の気体を検出するように構成されていてもよい。図示は省略するが、この場合、コントローラ470は、第二実施形態の駆動制御処理(図9参照)と、第三実施形態の駆動制御処理(図13および図14参照)とを組み合わせた処理を行うことができる。つまり、コントローラ470は、ガスセンサ441の検出値とガスセンサ443の検出値との差分値が第一閾値を超えた場合には警告を行い、ガスセンサ442の検出値とガスセンサ444の検出値との差分値が第二閾値を超えた場合にはモータ410の駆動を停止すればよい。
[第五実施形態]
以下、図16を参照して、第五実施形態について説明する。本実施形態では、電動工具の一例として、ハンマドリル5を例示する。ハンマドリル5は、円筒状のツールホルダ530に同軸状に装着された先端工具(図示しないハンマビット、ドリルビット等)を駆動することで、被加工物に対してハツリ作業や穴あけ作業を行うように構成されている。
図16に示すように、ハンマドリル5の外郭は、主に本体ハウジング500とハンドルハウジング503とから形成されている。本体ハウジング500は、駆動機構収容部501と、モータ収容部502とを含む。駆動機構収容部501は、打撃軸A5方向に延在する長尺状に形成されている。駆動機構収容部501の長軸方向における一端部内には、先端工具が着脱可能に構成されたツールホルダ530が配置されている。モータ収容部502は、駆動機構収容部501の長軸方向における他端部から、打撃軸A5に交差する方向(厳密には概ね直交する方向)に延在する。
以下の説明では、便宜上、打撃軸A5の延在方向(駆動機構収容部501の長軸方向)をハンマドリル5の前後方向と規定し、ツールホルダ530が設けられている側を前側と規定する。また、打撃軸A5に直交し、モータ収容部502の延在方向に対応する方向をハンマドリル5の上下方向と規定し、駆動機構収容部501とモータ収容部502とが接続されている側を上側と規定する。
モータ収容部502には、モータ510と、モータ510の駆動を制御するコントローラ570とが収容されている。モータ510は、ブラシレスモータとして構成されており、モータ510の出力シャフト511の回転軸が打撃軸A5と直交するように配置されている。出力シャフト511の上端部には、駆動ギア532が固定されている。モータ510の本体部(ステータおよびロータ)と駆動ギア532との間には、モータ510の冷却用のファン517が固定されている。ファン517は、本体ハウジング500を通って所定の経路を流れる空気流を形成する。なお、空気流は、モータ収容部502内では、図16に矢印で示すように、下から上方向に流れる。上図16は、特定の気体を検出可能な2つのガスセンサ541、542がモータ510に対して下流側領域、つまり上側の領域に配置された例を示している。
モータ510の下側には、コントローラ570が配置されている。コントローラ570は、第一実施形態のコントローラ170(図2参照)と同様の構成を有する。モータ収容部502の上部は後方に突出する突出部を構成しており、この突出部の下側に、充電式のバッテリ90が着脱可能なバッテリ装着部505が設けられている。
駆動機構収容部501には、運動変換機構531、打撃要素533、回転伝達機構535が収容されている。モータ510の回転は、駆動ギア532を介して運動変換機構531および回転伝達機構535に伝達される。なお、運動変換機構531、打撃要素533、回転伝達機構535の構成については周知であるため、ここでは簡単に説明する。
運動変換機構531は、揺動部材が揺動することで、出力シャフト511の回転に伴って回転駆動される中間シャフトの回転を、ピストンの打撃軸A5方向の直線運動に変換するように構成されている。打撃要素533は、打撃軸A5方向に直線状に移動可能に配置されている。打撃要素533は、ピストンの直線運動に伴い、ツールホルダ530に装着された先端工具に対して、打撃軸A5方向の打撃力を加えるように構成されている。先端工具は、モータ510の駆動に伴い、運動変換機構531および打撃要素533によって、打撃軸A5方向に直線状に駆動される。本実施形態の回転伝達機構535は、複数のギアを含む減速ギア機構として構成されており、モータ510の回転を適宜減速させた上で、最終軸としてのツールホルダ530を介して先端工具に伝達するように構成されている。先端工具は、モータ510の駆動に伴い、回転伝達機構535によって打撃軸A5周りに回転駆動される。
なお、ハンマドリル5は、先端工具を所定の打撃軸A5方向に直線状に駆動するハンマモード、先端工具を打撃軸A5周りに回転駆動するドリルモード、および先端工具の直線駆動と回転駆動とを同時に行うハンマドリルモードのうち、作業者によって選択された何れかのモードで動作するように構成されている。このため、駆動機構収容部501には、モード切替のための機構が設けられているが、この機構の構成については周知であるため、ここでの説明は省略する。
長尺状のハンドルハウジング503は、上下方向に延在するように配置され、上端部と下端部とが、駆動機構収容部501の後端およびモータ収容部502の後端から夫々後方に突出する突出部に連結されている。ハンドルハウジング503は、作業者によって把持される把持部を構成する。なお、駆動機構収容部501の前端部は筒状に形成されており、その外周面には、補助ハンドル504が着脱可能である。
ハンドルハウジング503には、作業者によって押圧操作されるトリガ551と、モータ510の駆動指示を受け付けるトリガスイッチ552とを含む第一操作部550が設けられている。更に、本体ハウジング500には、リセットボタンおよびリセットスイッチを含む第二操作部や、警告ランプまたはブザーが設けられていてもよい。
かかる構成のハンマドリル5において、コントローラ570によって行われるモータ510の駆動制御処理は、上記実施形態およびその変形例の何れかの処理と同じであってもよいし、何れかの処理の一部が変更されたものであってもよいし、これらのうち複数の処理の組み合わせであってもよい。例えば、前述のガスセンサ541、542が同じ種類の特定の気体を検出可能な場合、コントローラ570は、2つのガスセンサ541、542の検出値の平均値を用いて、第一実施形態およびその変形例と同様の処理(図3、図4、図5および図6参照)を行うことができる。また、例えば、ガスセンサ541、542が、過熱度合いの異なる第一、第二状態に対応して夫々発生する第一、第二気体を検出可能な場合は、第三実施形態の処理(図13および図14参照)が採用されてもよい。
[第六実施形態]
以下、図17を参照して、第六実施形態について説明する。本実施形態では、電動工具の一例として、ハンマドリル6を例示する。本実施形態のハンマドリル6は、若干の相違はあるものの、その基本的な構成は、図16に示す第五実施形態のハンマドリル5と共通している。よって、以下では、両者に共通する基本的な構成には同じ符号を付して説明を省略または適宜簡略化し、主に、異なる構成について説明する。
ハンマドリル6のモータ610は、外部電源から供給される電力で駆動される交流モータとして構成されている。よって、本体ハウジング500(モータ収容部502)の下端部には、外部電源に接続するための電源ケーブル92が設けられている。ハンマドリル6においても、モータ610は、その出力シャフト611の回転軸が打撃軸A5と直交するように配置されている。出力シャフト611の上端部には、運動変換機構531および回転伝達機構535にモータ610の回転を伝達する駆動ギア532が固定されている。なお、ハンマドリル6の運動変換機構531は、クランク機構を用いて中間シャフトの回転運動をピストンの直線運動に変換するように構成されている。ハンマドリル6は、ドリルモードおよびハンマドリルモードのうち、選択された何れかのモードで動作するように構成されている。
ハンマドリル6では、モータ610の冷却のためのファン617は、モータ610の本体部(ステータおよびロータ)の下側で出力シャフト611に固定されている。ファン617は、本体ハウジング500を通って所定の経路を流れる空気流を形成する。なお、空気流は、モータ収容部502内では、図17に矢印で示すように、上から下方向に流れる。図17は、同じ種類の特定の気体を検出可能な2つのガスセンサ641、642が、夫々、モータ510の本体部に対して下流側領域、つまり下側の領域と、上流側領域、つまり上側の領域とに配置された例を示している。
図示はされていないが、本体ハウジング500内にはコントローラが配置されており、モータ610の駆動を制御する。コントローラ570によって行われるモータ510の駆動制御処理は、上記実施形態およびその変形例の何れかの処理と同じであってもよいし、何れかの処理の一部が変更されたものであってもよいし、これらのうち複数の処理の組み合わせであってもよい。
上記実施形態およびその変形例は単なる例示であり、本発明に係る電動工具は、例示されたグラインダ1、2、丸鋸3、チェンソー4、ハンマドリル5、6の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示すグラインダ1、2、丸鋸3、チェンソー4、ハンマドリル5、6、あるいは請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
例えば、本発明は、例示された以外の、モータを駆動源として先端工具を駆動するように構成された電動工具に適用されてもよい。かかる電動工具の例として、ドライバドリル、インパクトドライバ、カッタ、レシプロソー、電動ハンマ、草刈り機、生垣バリカンが挙げられるが、これらの例以外の電動工具が排除されるわけではない。
なお、手持ち式の電動工具では、作業者に応じて作業状態が大きく異なるため、モータに対する負荷のかかり方が非定常的、非定型的となりやすい。また、手持ち式の電動工具は、様々な作業姿勢で使用されるため、作業者自身は焼損の可能性に気づきにくい場合もある。このため、本発明は、特に、手持ち式の電動工具に好適であるということができる。
上記実施形態およびその変形例で例示された電動工具におけるガスセンサの数と配置、および、ガスセンサの検出結果に応じた駆動制御処理は、適宜、変更が可能である。例示された電動工具の何れかにおけるガスセンサの数と配置が、他の電動工具に適用されてもよい。なお、ガスセンサは、必ずしも本体ハウジング内に配置される必要はないが、モータの過熱状態に対応して発生した特定の気体をより確実に検出できるように、少なくとも1つは本体ハウジング内に配置されることが好ましい。また、モータの焼損の可能性をより確実に検知するためには、ガスセンサはモータに対して下流側領域に配置されることが好ましいが、本体ハウジング内の他の位置に配置されてもよい。モータの過熱の度合いがより低い第一状態に対応して発生する第一の気体と、モータの過熱の度合いがより高い第二状態に対応して発生する第二の気体とを検出する場合、2つの検出部は、第一の気体と第二の気体の両方を検出可能な1つのガスセンサとして実現されてもよい。
上記実施形態および変形例では、特定の気体として、モータが過熱状態に置かれているときに、モータの巻線に短絡や断線が生じる前に発生することが知られている気体が検出される例が挙げられている。この場合、モータが焼損する前にモータを保護することができる可能性が高まるため、好ましい。しかしながら、電動工具は、巻線自体が焼けたことに対応して発生する気体を検出し、モータの駆動を停止するように構成されていてもよい。なお、実施形態および変形例では、特定の気体を検出可能な検出部をガスセンサと称しているが、所謂においセンサや煙センサと称されるものが採用されてもよい。
例示された電動工具の何れかにおける駆動制御処理が、他の電動工具に適用されてもよいし、例示された駆動制御処理の2つ以上の一部が適宜組み合わせられてもよい。例示された駆動制御処理の一部が適宜変更されてもよい。例えば、第一実施形態およびその変形例の駆動制御処理で、例えば、ガスセンサによる検出結果に応じてモータの回転数を制限する処理として、モータの駆動を停止する(モータの回転数をゼロにする)処理に代えて、モータの回転数を、ゼロよりは大きく通常回転数よりは低い回転数に変更する処理が行われてもよい。また、モータの回転数の低下とモータの駆動停止とが組み合わせられてもよい。例えば、第一実施形態の第二変形例の処理(図5および図6参照)において、検出値が第一閾値を超えた場合、モータを通常回転数よりも低い回転数で駆動し(S127およびS144)、その後、検出値が第二閾値を超えた場合にモータの駆動を停止する処理(S131)が行われてもよい。更には、例えば、検出値が第一閾値を超えた場合、モータを通常回転数よりも低い第1の回転数で駆動し(S127およびS144)、その後、検出値が第二閾値を超えた場合にモータを第1の回転数よりも低い第2の回転数で駆動する処理(S131)が行われてもよい。
また、モータの回転数を制限する処理を行うか否かを決定する基準として、検出値と予め設定された閾値とを比較するのに代えて、所定期間中の検出値の上昇率(つまり、特定の気体の濃度の上昇率)と、予め設定された上限上昇率とを比較してもよい。そして、所定期間中の上昇率が上限上昇率を超えた場合に、モータの回転数を制限する処理が行われればよい。
第一操作部、第二操作部、警告ランプ、ブザーの有無、配置、構成についても、適用される制御処理に応じて、適宜変更が可能である。また、モータは、何れの電動工具においても、直流モータとして構成されても、交流モータとして構成されてもよく、ブラシの有無も特に限定されない。
例えば、上記実施形態および変形例では、モータの回転数の制限(駆動の停止または回転数の低下)とあわせて、警告ランプ(LED)が発する光やブザーが発する音によって、ガスセンサの検出結果に応じた報知が行われているが、このような報知は必ずしも行われる必要はない。なお、第一実施形態の第二変形例の処理(図5および図6参照)や第三実施形態の処理(図13および図14参照)では、2段階で報知が行われているが、例えば、先の段階でのみ報知が行われ、後の段階では単にモータの回転数の制限のみが行われてもよい。また、報知の態様は、光や音によるもののみならず、例えば、ディスプレイに文字や図を表示することで行われてもよい。
上記実施形態および変形例では、コントローラの制御回路は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータにて構成される例が挙げられているが、制御回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのプログラマブル・ロジック・デバイスで構成されていてもよい。また、上記実施形態および変形例の駆動制御処理は、CPUが、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現されればよい。この場合、プログラムは、制御回路内のROMに予め記憶されていてもよいし、制御回路が不揮発性メモリを含む場合は不揮発性メモリに記憶されていてもよい。あるいは、プログラムは、データを読み取り可能な外部の記憶媒体(例えば、USBメモリ)に記録されていてもよい。上記実施形態および変形例の駆動制御処理は、複数の制御回路で分散処理されてもよい。
なお、電動工具の中には、加工作業時には概ね同じ姿勢で使用されるものがある。例えば、図5に示す丸鋸3は、通常、ベース部307が被加工物上に載置された状態で使用されるため、丸鋸3の上下方向は、実際の上下方向に一致する。このような電動工具では、絶縁材やワニスが加熱されて発生する特定の気体は、上方へ移動すると考えられる。よって、ガスセンサは、電動工具の加工作業時の通常姿勢において、モータの下端よりも上側に配置されることが好ましい。
更に、本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様は、各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記電動工具は、円板状の前記先端工具を回転駆動することで、被加工物に対する研削作業、研磨作業、または切断作業を行うように構成されたグラインダであって、
前記ハウジングは、長尺状に形成されており、
前記ハウジングの長軸方向における一端部に配置され、前記長軸方向に交差する方向に延在する回転軸周りに回転可能、且つ、先端工具を着脱可能に構成されたスピンドルを備え、
前記スピンドルは、前記モータの出力シャフトの回転に応じて、前記先端工具を前記回転軸周りに回転駆動するように構成されていることを特徴とする電動工具。
[態様2]
前記電動工具は、円板状の前記先端工具を回転駆動することで、被加工物に対する切断作業を行うように構成された丸鋸であって、
前記ハウジングに連結され、前記被加工物上に載置可能に構成された載置面を有するベース部と、
前記ハウジングに所定の回転軸周りに回転可能に配置され、前記先端工具を着脱可能に構成されたスピンドルとを備え、
前記スピンドルは、前記モータの出力シャフトの回転に応じて、前記先端工具を、前記載置面に交差する方向に伸展する回転面に沿って前記回転軸周りに回転駆動するように構成されていることを特徴とする電動工具。
[態様3]
前記電動工具は、チェーン状の前記先端工具を回転駆動することで、被加工物に対して切断作業を行うように構成されたチェンソーであって、
前記ハウジングに所定の回転軸周りに回転可能に配置され、前記先端工具に噛合可能に構成されたスプロケットを有するスピンドルと、
前記スプロケットに噛合された前記先端工具が掛け渡されるガイドバーとを備え、
前記スピンドルは、前記モータの出力シャフトの回転に応じて、前記先端工具を、前記ガイドバーの外周に沿って回転駆動するように構成されていることを特徴とする電動工具。
[態様4]
前記電動工具は、前記先端工具を所定の打撃軸方向に直線状に駆動することで被加工物に対するハツリ作業を行い、且つ、前記先端工具を前記打撃軸周りに回転駆動することでを行うことで前記被加工物に対する穴あけ作業を行うように構成されたハンマドリルであって、
前記ハウジングに対して前記打撃軸周りに回転可能に設けられ、前記先端工具を着脱可能に構成された工具保持部と、
前記打撃軸方向に直線状に移動可能に配置され、前記工具保持部に装着された前記先端工具を前記打撃軸方向に打撃することで直線状に駆動するように構成された打撃機構と、
前記モータの出力シャフトの回転を、前記打撃軸方向の直線運動に変換して前記打撃機構に伝達するように構成された運動変換機構と、
前記出力シャフトの前記回転を、前記打撃軸周りの回転運動として前記工具保持部に伝達するように構成された回転伝達機構とを備えたことを特徴とする電動工具。
上記実施形態および変形例の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。グラインダ1、2、丸鋸3、チェンソー4、ハンマドリル5、6は、各々、本発明の「電動工具」に対応する構成例である。本体ハウジング100、300、400、500は、各々、本発明の「ハウジング」に対応する構成例である。モータ110、210、310、410、510、610は、各々、本発明の「モータ」に対応する構成例である。コントローラ170、370、470、570は、各々、本発明の「制御部」に対応する構成例である。ファン117、317、417、517、617は、各々、本発明の「ファン」に対応する構成例である。
ガスセンサ140、241〜243、341、342、441〜444、541、542、641、642は、各々、本発明の「検出部」に対応する構成例である。ガスセンサ140、241、242、341、342、441、442、541、542、641は、各々、本発明の「下流側検出部」に対応する構成例である。ガスセンサ243、443、444、642は、各々、本発明の「上流側検出部」に対応する構成例である。ガスセンサ341は、本発明の「第一気体検出部」に対応する構成例である。ガスセンサ342は、本発明の「第二気体検出部」に対応する構成例である。
第一操作部150、350、550は、各々、本発明の「第一操作部」に対応する構成例である。第二操作部160、360は、各々、本発明の「第二操作部」に対応する構成例である。警告ランプ180、380、ブザー280は、各々、本発明の「報知部」に対応する構成例である。